説明

研磨用パッド

【課題】 CMP法をはじめとする各種の高精度な研磨加工において採用され得る、新規な構造の研磨用パッドを提供すること。
【解決手段】 研磨用パッドの裏面20において、周方向に延びる環状の裏面凹溝22(38)を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨用パッドに係り、特に、半導体ウェハや半導体基板,ガラス基板等のように極めて高い加工精度が要求される加工対象物の表面を研磨加工する際に用いられる研磨用パッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、LSI等の半導体製造工程において、例えばシリコンウエハ表面に金属膜や絶縁膜等の各種薄膜を多層に積層形成して半導体基板を製造するに際して各層表面を平坦化するための処理方法の一つとして、CMP法(Chemical Mechanical Polishing)と称される化学的機械的研磨法が知られている。CMP法は、一般に、合成樹脂材やその発泡材からなる薄肉円板形状の研磨パッドを用い、微粒子と液体からなるスラリをウェハ(半導体基板)と研磨パッドの間に供給しつつ、研磨パッドとウェハを相対的に回転作動せしめて研磨するものである。
【0003】
ところで、CMP法においては、複雑な微細構造の配線を多層に形成して半導体デバイスの高集積化と高精度化を実現する等のために、ウェハの全面を高精度な平坦化能力をもって研磨する研磨精度が要求される。また、CMP法における研磨精度向上の要求は、特に近年の半導体デバイスにおけるより一層の高密度化等に伴って、研磨効率の確保と共に、より強くなってきている。
【0004】
そして、高度な研磨精度や平坦化能力を確保するためには、パッドやウェハの材質,要求される研磨精度などに応じて、研磨パッドにある程度の弾性が必要であることが広く知られている。即ち、研磨パッドに弾性を付与することで、ウェハ表面の凹凸に沿わせて、研磨パッド表面に追従させること等が可能となって、研磨精度の向上が図られるのである。しかし、実際に研磨を行う表面(加工面)は、研磨パッドの耐久性や研磨効率を確保する等の目的から硬質であることが要求されるため、研磨パッドに十分な弾性を付与することは困難であった。要するに、従来構造の研磨パッドでは、要求に応ずるに充分な「研磨精度」と「研磨効率」を両立して達成することが困難だったのである。
【0005】
特に、近年では、超LSI等の分野において、ウェハ上に形成される配線のメタル線幅を0.1μm以下と極めて狭小とし、研磨の均一性2%以内で研磨すると共に、軟質の銅や金等からなるメタル配線を新規に採用することなどが、既に実用化を考慮した検討段階に入っている。このような現在の状況を考慮すると、満足できる研磨精度や研磨能率を得るために、研磨パッドに関して更なる改良が、急務として切望されていることがわかる。
【0006】
なお、上述の如き問題に鑑み、多層構造の研磨パッドが提案されている(特許文献1参照)。この多層構造の研磨パッドは、一般に、加工面に要求される物性を実現できる硬質な材料で形成された表層に対して、樹脂含浸された圧縮繊維材などからなる弾性材料を裏層として貼り合わせた多層構造とされている。即ち、裏層によって弾性を確保しつつ、表面によって研磨効率を確保することで、「研磨精度」と「研磨効率」の両立が図られるようになっている。
【0007】
しかしながら、このような多層構造の研磨パッドは、その製造が難しいという問題と、層間剥離のおそれがあるという問題があり、必ずしも満足できるものではなかった。
【0008】
一方、特許文献2(特開2001−18165号公報)には、単一の材質からなる単層構造の研磨パッドにおいて、不足しがちな弾性を補うために、裏面に直線状の溝を形成したものが提案されている。かかる研磨パッドにおいては、パッド裏面の溝によって機械的に弾性を向上させることが出来ることから、パッド表面での研磨効率を維持しつつ、弾性を付与して研磨精度を向上させることが可能である。しかも、多層構造の研磨パッドのような製造上の問題や層間剥離の問題も回避されることとなる。
【0009】
ところが、特許文献2に記載の研磨パッドは、複数の新たな問題を内包しており、実用的であるとは言い難いのである。
【0010】
すなわち、特許文献2に記載された従来構造の研磨パッドは、以下の(1)乃至(4)の問題を内在していた。
(問題点1)研磨パッドの材料等によっては、裏面に溝を形成するだけで十分な弾性を実現することが難しい場合がある。特に、要求される弾性を付与するために多数の溝を裏面に形成すると、溝が形成されていないパッド裏面の表面積が実質的に小さくなってしまうことから、回転プラテン等への研磨パッドの固着面積を十分に確保し難くなるおそれがあり、裏面に形成可能な溝の数量が実質的に制限されてしまうこともある。
(問題点2)裏面への溝形成だけでは不足しがちな研磨パッドの弾性を補うために、表面にも溝を形成することが考えられる。しかしながら、研磨パッドの表裏にそれぞれ溝を形成することは、研磨パッドの製造が非常に煩雑となり、生産効率の大幅な低下が懸念される場合がある。
(問題点3)また、研磨パッドの成形条件等によって表裏の区別がある場合には、研磨パッドの表裏にそれぞれ溝を形成すると、その後の表裏の区別が困難となり、表裏を間違えて回転プラテン等に装着することに起因する研磨不良の発生が問題となるおそれもある。
(問題点4)研磨パッドの裏面に溝を形成すると、溝の開口面積分だけ、研磨パッドの回転プラテン等への固着面積が減るだけでなく、CMP法のようにスラリ等を供給しつつ研磨する場合には、かかるスラリ等が溝を通じて裏面の広い範囲に広がり易く、それに起因して研磨パッドの回転プラテン等からの剥離が発生するおそれもある。
【0011】
【特許文献1】 特開平11−156701号公報
【特許文献2】 特開2001−18165号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであり、その解決課題とするところは、CMP法をはじめとする各種の高精度な研磨加工において採用され得る、新規な構造の研磨用パッドを提供することにある。
【0013】
特に、本発明の請求項1,請求項5,請求項10および請求項13に記載の発明は、何れも、上述の(問題点2)および(問題点4)を特に効果的に解決することを目的の一つとする。
【0014】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、上述の(問題点3)および(問題点4)を特に効果的に解決することを目的の一つとする。
【0015】
また、本発明の請求項3乃至9および請求項11乃至13に記載の発明は、何れも、上述の(問題点1)および(問題点4)を特に効果的に解決することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様について記載する。なお、以下に記載の各態様においてそれぞれ採用される複数の構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0017】
すなわち、本発明の請求項1に記載の発明は、薄肉円板形状を有しており、裏面において支持面に固着されることにより研磨装置に装着され、表面において半導体ウェハ等の加工対象物に対して研磨作用を施す研磨用パッドであって、前記裏面と前記表面の両面に対して、中心軸周りで同心的に延びる複数条の環状凹溝を、同一の断面形状と同一の径方向間隔で、略同じ数だけ形成したことを、特徴とする。
【0018】
このような請求項1に従う構造とされた研磨用パッドにおいては、研磨用パッド基板の裏面だけでなく、表面にも溝を形成したことにより、裏面の溝だけでなく表面の溝によっても、研磨用パッドの弾性の向上が図られ得る。それ故、パッド基板の材質自体の硬度により研磨効率を良好に確保しつつ、弾性による研磨精度の向上も実現可能となる。特に、裏面の溝を著しく多くしたり大きくすることなく、表面の溝によって、研磨用パッドの弾性の向上が実現されることから、裏面の回転プラテン等への固着面積も有利に確保することが出来る。
【0019】
しかも、請求項1に記載の研磨用パッドにおいては、表裏両面の溝が、何れも、同一の断面形状と同一の径方向間隔で形成されていることから、それら表裏両面への溝加工を、略同じ条件で行うことが可能となる。それ故、研磨用パッドの加工を、簡単な装置構造と作動制御によって効率的に行うことが可能となると共に、加工装置の管理等も容易となる。
【0020】
加えて、請求項1に記載の研磨用パッドにおいては、裏面に形成される凹溝が環状凹溝とされていることから、研磨装置における回転プラテン等の装着面に研磨パッドを重ね合わせた際、かかる裏面の凹溝がパッド外周面に開口することなく、外部空間に対して閉じた略密閉空間とされる。それ故、研磨に際してパッド表面に研磨液(スラリ)が供給されたとしても、研磨用パッドの裏面と回転プラテン等の装着面との間への侵入が効果的に防止される。これにより、かかる研磨液の侵入に起因する研磨用パッドの研磨装置からの脱落や位置ずれを効果的に防ぐことが可能となる。
【0021】
また、例えば研磨用パッドのパッド基板自体に表裏の設定がないような場合には、請求項1に記載の構造に従えば、表裏の凹溝を含めて両面何れも任意に使用できる研磨パッドが実現可能となる。このような研磨パッドによれば、表裏を間違って研磨装置に装着することに起因する加工上の不具合を完全に回避することが可能となり、研磨パッドの表裏を判別しなければならない場合に比して、作業者の労力負担も大幅に軽減することが可能となる。なお、請求項1に記載の発明において、表面の環状凹溝と裏面の環状凹溝は、径方向ピッチ乃至はは隣接する環状凹溝間の径方向間隔が同一であれば良く、表裏両面の環状凹溝が互いに同一位置に形成されている必要はない。例えば、表側の環状凹溝と裏側の環状凹溝が、径方向で相互に所定距離だけずれた位置に形成されていても良い。表裏両面の環状凹溝の位置が径方向で同じであっても或いはずれていても、上述の如き請求項1に記載の発明の効果は有効に発揮され得る。
【0022】
また、本発明の請求項2に記載の発明は、薄肉円板形状を有しており、裏面において支持面に固着されることにより研磨装置に装着され、表面において半導体ウェハ等の加工対象物に対して研磨作用を施す研磨用パッドであって、前記裏面に対して中心軸回りで同心的に延びる複数条の環状凹溝を形成する一方、前記表面に対して、互いに平行に延びる複数条の直線凹溝を少なくとも一方向に形成したことを、特徴とする。
【0023】
このような請求項2に記載された発明に従う構造とされた研磨用パッドにおいては、請求項1に記載の発明と同様に表裏両面に形成された溝によって、研磨効率を良好に確保しつつ、適度な弾性に基づく研磨精度の向上が図られ得ると共に、研磨装置に対する装着面(裏面)への研磨液の侵入も防止され得る。
【0024】
それに加えて、請求項2に記載の研磨用パッドにおいては、視認により明確に判別される形状を有する溝を表面と裏面にそれぞれ形成することにより、研磨装置に対する研磨用パッドの取付作業時に表裏の判別が、効率的に行えて作業効率の向上を図ることが出来ると共に、取付時に表裏の取り違いといった問題が発生することを、容易に且つ一層確実に回避することが出来る。
【0025】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、薄肉円板形状を有しており、裏面において支持面に固着されることにより研磨装置に装着され、表面において半導体ウェハ等の加工対象物に対して研磨作用を施す研磨用パッドであって、前記裏面に対して、中心軸回りで同心的に延びる複数条の裏側環状凹溝を所定の径方向間隔で形成すると共に、前記表面に対して、中心軸回りで同心的に延びる複数条の表側環状凹溝を所定の径方向間隔で形成する一方、これら裏側環状凹溝と表側環状凹溝の何れか一方の環状凹溝の径方向間に、他方の環状凹溝が一本乃至複数本位置するようにしたことを、特徴とする。
【0026】
このような請求項3に記載された発明に従う構造とされた研磨用パッドにおいては、請求項1に記載の発明と同様に表裏両面に形成された溝によって、研磨効率を良好に確保しつつ、適度な弾性に基づく研磨精度の向上が図られ得ると共に、研磨装置に対する装着面(裏面)への研磨液の侵入も防止され得る。
【0027】
しかも、研磨パッドの表面に形成された表側環状凹溝と裏面に形成された裏側環状凹溝の径方向での位置関係を特定することにより、裏側環状凹溝によって研磨用パッドに対して付与される弾性を表面において一層有利に発揮させることができて、研磨精度の更なる向上が実現可能となる。
【0028】
また、本発明の請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の発明に係る研磨用パッドにおいて、前記表側環状凹溝を、前記裏側環状凹溝と同じ一定の径方向間隔で形成すると共に、該表側環状凹溝が該裏側環状凹溝の径方向間の略中央部分に位置するようにしたことを、特徴とする。
【0029】
このような請求項4に記載された発明に従う構造とされた研磨用パッドにおいては、表側環状凹溝を裏側環状凹溝の径方向間の略中央部分に位置するようにされていることにより、表面において被加工物に対して当接せしめられる部分の裏面側に裏側環状凹溝が位置せしめられている。それ故、研磨パッドの厚さ方向の荷重が作用せしめられた際に、表裏の各環状凹溝の径方向間に位置する部分で剪断的変形が生ぜしめられることとなり、研磨パッドの材質が同じでも一層有効な弾性が実現可能となる。
【0030】
また、本発明の請求項5に記載の発明は、前記請求項4に記載の発明に係る研磨用パッドにおいて、請求項1に記載の構成を採用したことを、特徴とする。
【0031】
また、本発明の請求項6に記載の発明は、前記請求項3に記載の発明に係る研磨用パッドにおいて、前記裏側環状凹溝を、前記表側環状凹溝よりも小さな径方向間隔で形成したことを、特徴とする。
【0032】
このような請求項6に記載された発明に従う構造とされた研磨用パッドにおいては、裏側環状凹溝を表側環状凹溝に比して小さな径方向間隔で形成したことにより、裏側環状凹溝による研磨用パッドに対する弾性の付与をより有利に実現することができて、均一性や平坦性に優れた高精度な研磨処理を行うことが可能となる。特に、研磨精度や研磨性能に大きな影響を与える表面に比して、研磨性能等に与える影響の小さい裏面側の凹溝を小さな径方向間隔としたことにより、研磨性能を有利に確保しつつ、弾性の更なる向上を図ることが可能となるのである。
【0033】
また、本発明の請求項7に記載の発明は、前記請求項3乃至6の何れかに記載の発明に係る研磨用パッドにおいて、前記裏側環状凹溝と前記表側環状凹溝の何れか一方の環状凹溝の深さ寸法と、該一方の環状凹溝の径方向間に位置せしめられた前記他方の環状凹溝の深さ寸法との合計値が、パッド全体の厚さ寸法よりも大きくされたことを、特徴とする。
【0034】
このような請求項7に記載された発明に従う構造とされた研磨用パッドにおいては、表裏の凹溝の内面によって与えられる自由表面積を一層大きく設定することが可能となる。それ故、研磨パッドの材料を同じにしつつ、弾性の更なる向上を図ることが可能となるのである。
【0035】
また、本発明の請求項8に記載の発明は、前記請求項3乃至6の何れかに記載の発明に係る研磨用パッドにおいて、前記裏側環状凹溝の深さ寸法と前記表側環状凹溝の深さ寸法の合計値を、パッド全体の厚さ寸法よりも小さくしたことを、特徴とする。
【0036】
このような本請求項に記載された発明に従う構造とされた研磨用パッドにおいては、裏側環状凹溝と表側凹溝を、互いの位置や大きさ等を特別に考慮することなく、大きな自由度をもって設計することが出来る。それ故、裏側の凹溝によって実現される弾性の向上と、表側の凹溝によって実現される研磨精度や平坦性等の研磨性能とを、両立して達成することが容易となるのである。
【0037】
また、本発明の請求項9に記載の発明は、薄肉円板形状を有しており、裏面において支持面に固着されることにより研磨装置に装着され、表面において半導体ウェハ等の加工対象物に対して研磨作用を施す研磨用パッドにおいて、前記裏面に対して、中心軸回りで同心的に延びる複数条の裏側環状凹溝を形成すると共に、それら複数条の裏側環状凹溝を、何れも、その内周面と外周面が何れも中心軸に対して略一定の傾斜角度を持って平行に傾斜せしめられた略一定の断面形状で周方向の全周に亘って延びる傾斜凹溝としたことを、特徴とする。
【0038】
このような請求項9に記載された発明に従う構造とされた研磨用パッドにおいては、裏側環状凹溝を傾斜凹溝としたことにより、研磨パッドの厚さ方向の外荷重に際して研磨パッドに生ぜしめられる変形に剪断成分を持たせることが可能となる。これにより、研磨パッドの弾性を一層有利に向上させることが出来る。しかも、裏側環状凹溝は、環状とされているが故に、剪断的な弾性変形が発生した場合でも、その変形方向が全体として釣り合うこととなる。それ故、研磨面が特定方向に歪に変形することが抑えられ、良好な弾性を達成しつつ、安定した研磨面精度が維持され得るのである。
【0039】
なお、請求項9に記載の研磨用パッドにおいても、研磨装置に対する装着面(裏面)への研磨液の侵入防止という効果は、請求項1に記載の研磨用パッドと同様に発揮され得る。
【0040】
また、本発明の請求項10に記載された発明は、前記請求項9に記載の発明に係る研磨用パッドにおいて、請求項1乃至7の何れかに記載の構成を採用したことを、特徴とする。
【0041】
また、本発明の請求項11に記載された発明は、薄肉円板形状を有しており、裏面において支持面に固着されることにより研磨装置に装着され、表面において半導体ウェハ等の加工対象物に対して研磨作用を施す研磨用パッドにおいて、前記裏面に対して中心軸回りで同心的に延びる複数条の環状凹溝を形成する一方、前記表面に対して複数条の表側凹溝を形成すると共に、それら表側凹溝を、両側壁内面が略平行に傾斜せしめられた傾斜凹溝としたことを、特徴とする。
【0042】
このような請求項11に記載された発明に従う構造とされた研磨用パッドにおいては、請求項1に記載の発明と同様に表裏両面に形成された溝によって、研磨効率を良好に確保しつつ、適度な弾性に基づく研磨精度の向上が図られ得ると共に、研磨装置に対する装着面(裏面)への研磨液の侵入も防止され得る。
【0043】
それに加えて、特に請求項11に記載の研磨用パッドにおいては、表側凹溝を傾斜溝としたことにより、研磨パッドの厚さ方向の外荷重に際して研磨パッドに生ぜしめられる変形に剪断成分を持たせることが可能となる。これにより、研磨パッドの弾性を一層有利に向上させることが出来る。
【0044】
また、本発明の請求項12に記載された発明は、請求項11に記載された発明に係る研磨用パッドにおいて、請求項1乃至10の何れかに記載の構成を採用したことを、特徴とする。
【0045】
また、本発明の請求項13に記載された発明は、請求項1乃至12の何れかに記載された発明に係る研磨用パッドにおいて、前記裏面に形成された複数条の環状凹溝における幅寸法:B,深さ寸法:D,径方向ピッチ:Pを、下式:
0.005mm ≦ B ≦ 3.0mm
0.1mm ≦ D ≦ 2.0mm
0.1mm ≦ P ≦ 5.0mm
の範囲で設定したことを、特徴とする。
【0046】
このような請求項13に記載された発明に従う構造とされた研磨用パッドにおいては、裏面に形成された環状凹溝の各寸法を上記範囲内に設定することにより、研磨装置に対する装着時の固着面積を確保しつつ、研磨用パッドに要求される弾性を一層効果的に向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0047】
上述の説明から明らかなように、本発明の請求項1,8,9,13に従う構造とされた研磨用パッドにあっては、上述の従来技術の問題点における(問題点2),(問題点4)を解決することが可能となる。
【0048】
また、本発明の請求項2に従う構造とされた研磨用パッドにあっては、上述の従来技術の問題点における(問題点3),(問題点4)を解決することが可能となる。
【0049】
また、本発明の請求項3乃至8および11乃至13に従う構造とされた研磨用パッドにあっては、上述の従来技術の問題点における(問題点1),(問題点4)を解決することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
〔実施形態A〕
【0051】
先ず、図1,2には、請求項1及び13に記載された本発明の一実施形態としての研磨用パッド10が示されている。
【0052】
より詳細には、この研磨用パッド10は、全体に一定の厚さ寸法:Tを有する薄肉円板形状のパッド基板12によって形成されている。このパッド基板12は、例えば硬質の発泡或いは未発泡の合成樹脂材料や硬質ゴム材料,或いは繊維材料や無機材料などをはじめとする各種の適当な材料によって形成されており、特に本実施形態においては、発泡ウレタンによって形成されている。なお、パッド厚さ寸法は、限定されるものでなく、パッド基板12の材質だけでなく、加工対象となるウェハの材質や、要求される加工精度などに応じて適宜に設定される。
【0053】
また、かかるパッド基板12の一方の面である表面14には、周方向に延びる表側環状凹溝としての表面凹溝16が、パッド基板12の中心軸18の回りに形成されており、表面14に開口せしめられている。
【0054】
かかる表面凹溝16は、本実施形態において、図1に示されているように、それぞれ中心軸18を曲率中心として延びる、相互に曲率半径が異ならせられた多数の円形の溝16,16,16,・・・によって構成されている。
【0055】
一方、パッド基板12の他方の面である裏面20には、表面14と同様に周方向に延びる裏側環状凹溝としての裏面凹溝22が、パッド基板12の中心軸18の回りに形成されており、裏面20に開口せしめられている。かかる裏面凹溝22は、本実施形態において、表面凹溝16と同一形状とされた多数の円形の溝22,22,22,・・・によって構成されている。
【0056】
ここにおいて、特に本実施形態では、表面凹溝16の溝深さ:Dtと裏面凹溝22の溝深さ:Db,表面凹溝16の溝幅:Btと裏面凹溝22の溝幅:Bb,表面凹溝16の径方向ピッチ:Ptと裏面凹溝22の径方向ピッチ:Pbが、それぞれ等しくされていると共に、表面凹溝16の形成位置と裏面凹溝22の形成位置が径方向で互いに等しくされている。
【0057】
これにより、本実施形態において、表面凹溝16が形成されたパッド基板12の表面14と裏面凹溝22が形成されたパッド基板12の裏面20とが、互いに同一の形状を有するようにされている。
【0058】
なお、表面凹溝16と裏面凹溝22の各部寸法等の具体的な設定値は、パッド基板12の材質や厚さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成されたメタル線の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定されるものであって、特に限定されるものでないが、一般に、表面凹溝16と裏面凹溝22の溝幅:Bt,Bb、深さ:Dt,Db、径方向ピッチ:Pt,Pbの各値は、以下の範囲内で設定されることが望ましい。
【0059】
〔略円形の周方向溝の場合〕
0.005mm ≦ Bt=Bb ≦ 3.0mm
0.1mm ≦ Dt=Db ≦ 2.0mm
0.1mm ≦ Pt=Pb ≦ 5.0mm
【0060】
また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
〔略円形の周方向溝の場合〕
0.005mm ≦ Bt=Bb ≦ 2.0mm
(より一層好ましくは、0.005mm ≦ Bt=Bb ≦ 1.0mm)
0.1mm ≦ Dt=Db ≦ 1.0mm
0.2mm ≦ Pt=Pb ≦ 3.0mm
【0061】
蓋し、表面凹溝16と裏面凹溝22の溝幅:Bt,Bbが小さ過ぎると、研磨くず等による表面凹溝16の目詰まりが発生し易くなって安定した効果が発揮され難いと共に、表面凹溝16と裏面凹溝22による十分な弾性の確保が為され難い。一方、表面凹溝16と裏面凹溝22の溝幅:Bt,Bbが大き過ぎると、表面凹溝16のエッジ部分(開口端縁部)におけるウェハとの接触面圧が増大して食い込み状の研磨等が発生し易く、安定した研磨が実現され難いと共に、表面凹溝16と裏面凹溝22によって過大な弾性が付与されて、研磨精度の低下を招くおそれがある。
【0062】
また、表面凹溝16と裏面凹溝22の溝深さ:Dt,Dbが小さ過ぎると、研磨用パッド10の表面14における剛性が大きくなり過ぎて、研磨用パッド10に付与される弾性が表面14において有効に発揮されずに精密な研磨が困難となる傾向にあると共に、研磨用パッド10に対して表面凹溝16と裏面凹溝22による十分な弾性の付与が為され難い。一方、表面凹溝16と裏面凹溝22の溝深さ:Dt,Dbが大き過ぎると、製造が難しいばかりでなく、研磨用パッド10の表面14が変形し易くなると共に、スティックスリップの発生のおそれもあり、研磨が不安定となり易いと共に、表面凹溝16と裏面凹溝22によって研磨用パッド10に付与される弾性が大きすぎることによる研磨精度の低下が問題となり易い。
【0063】
更にまた、表面凹溝16と裏面凹溝22の径方向ピッチ:Pt,Pbが小さ過ぎると、製造が難しく、研磨用パッド10の表面14及び裏面20に変形や損傷が発生し易くなって安定した研磨が実現され難い。一方、表面凹溝16と裏面凹溝22の径方向ピッチ:Pt,Pbが大き過ぎると、表面凹溝16及び裏面凹溝22によって十分な弾性が研磨用パッド10に対して付与されなくなって、所期の研磨精度の実現が困難となるおそれがある。
【0064】
また、本実施形態においては、表面凹溝16の溝深さ:Dtと裏面凹溝22の溝深さ:Dbの合計値(Dt+Db)が、パッド基板12の厚さ寸法:Tよりも小さくされている。なお、特に本実施形態においては、パッド基板12の厚さ寸法:Tの値が以下の範囲内に設定されている。
0.5mm ≦ T ≦ 10.0mm
より好ましくは、
1.0mm ≦ T ≦ 3.0mm
【0065】
そして、このような表面14及び裏面20を有する研磨用パッド10は、従来と同様にして、ウェハ等の研磨に用いられる。具体的には、例えば図3に示されているように、研磨装置の回転板(支持板)24の支持面上に載置されて、エアによる負圧吸引や両面テープによる接着等の手段で該回転板に固定されて装着される。そして、中心軸18の回りに回転駆動せしめられつつ、表面14に対してウェハ26が重ね合わせられることにより、研磨処理に供されることとなる。また、そのような研磨処理に際しては、従来と同様に、一般に、研磨用パッド10の表面14とウェハ26の被加工面28の対向面間に対して研磨液(スラリ)30が供給されると共に、ウェハ自体もその中心軸回りに回転駆動せしめられる。なお、研磨液30は、例えば研磨用パッド10の中央部分から研磨用パッド10の表面14に供給され、研磨用パッド10の中心軸18回りの回転に伴う遠心力の作用で研磨用パッド10の表面に広がるようにされる。
【0066】
このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド10においては、上述した従来技術の問題点における(問題点1),(問題点2),(問題点4)を有効に解決することができる。
【0067】
すなわち、パッド基板12の裏面20に対して裏面凹溝22を形成するだけでなく、表面14にも表面凹溝16を形成したことにより、裏面凹溝22だけでなく表面凹溝16によっても、研磨用パッド10の弾性の向上が図られ得る。それ故、パッド基板12の材質自体の硬度により研磨効率を良好に確保しつつ、弾性による研磨精度の向上も実現可能となる。
【0068】
また、表面14に形成される表面凹溝16と裏面20に形成される裏面凹溝22が互いに略同一の断面形状,同一の径方向間隔で同じ数だけ形成されていることにより、表面凹溝と裏面凹溝の形状が異なる場合に比して溝加工が容易であると共に、加工装置のメンテナンス等の保守,管理が簡単になる。
【0069】
さらに、表面14の形状や材質と裏面20の形状や材質が互いに略同一とされていることにより、回転板24への固着方法によっては、表面14と裏面20の何れの面も加工面(研磨面)として利用することが可能であり、研磨用パッド10を研磨装置の回転板(支持板)24の支持面上に載置する際に、表裏の確認が不要となる。それ故、高精度の研磨を実現できる研磨用パッド10を容易に取り付けることが可能となると共に、表裏を誤って取り付けることを防ぐことができて確実な取付が可能となる。
【0070】
また、裏面凹溝22を周方向に延びる円環溝としたことにより、表面14側に供給される研磨液30が外周面を伝って裏面20側へ浸入することを有利に防ぐことができる。それ故、研磨液30が裏面20と回転板24の支持面との対向面間に浸入することに起因する、研磨用パッド10が研磨装置の回転板24から脱落したり、回転板上で変位したりといった問題の発生を防止することが出来て、高い信頼性をもって研磨処理を行うことが可能となる。
【0071】
さらに、裏面凹溝22の幅寸法:Bb深さ寸法:Db,径方向ピッチ:Pbを上述した所定の範囲内で設定することにより、研磨用パッド10に十分な弾性を確保することが出来ると共に、裏面20と回転板24との間で十分な固着力を得ることが出来て、高い信頼性を実現することが可能となる。
【0072】
更にまた、表面凹溝16の溝深さ:Dtと、裏面凹溝22の溝深さ:Dbの合計値(Dt+Db)の値を、パッド基板12の厚さ寸法よりも小さくしたことにより、研磨用パッド10に対して適度な弾性を付与すると共に、十分な剛性を保つことができて、研磨精度を高度に確保することが可能となる。
【0073】
また、図3及び図4には、請求項1,9,10,11,12,13に記載された本発明の別の実施形態としての研磨用パッド32,34が示されている。なお、以下の説明において、前記実施形態と実質的に同一とされた部材乃至は部位については、図中に同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0074】
より詳細には、研磨用パッド32,34を形成するパッド基板12の表面14には、同心的に周方向に延びる多数の円形の溝によって構成された表側環状凹溝としての表面凹溝36が形成されていると共に、パッド基板12の裏面20には、同じく同心的に周方向に延びる多数の円形の溝によって構成された裏側環状凹溝としての裏面凹溝38が形成されている。
【0075】
また、本実施形態においては、表面凹溝36は、パッド基板の中心軸18に対して一定の角度で傾斜せしめられた傾斜溝によって形成されている。具体的には、例えば、表面凹溝36の内周側の側壁面(以下「表面内側壁面」という)40と表面凹溝36の外周側の側壁面(以下「表面外側壁面」という)42の何れもが中心軸18に対して所定角度:αtだけ傾斜せしめられた傾斜面とされている。要するに、本実施形態における表面凹溝36では、表面内側壁面40と表面外側壁面42が、互いに平行な面とされており、表面凹溝36の周方向だけでなく深さ方向においても、表面凹溝36の全体に亘って略一定の幅寸法:Btとされており、図3に示された研磨用パッド32においては、かかる表面凹溝36が、開口部に行くに従って次第に中心軸18から外周側に離隔して、パッド基板12の径方向斜め外方に向かって開口せしめられている一方、図4に示された研磨用パッド34においては、かかる表面凹溝36が、開口部に行くに従って次第に中心軸18に接近して、パッド基板12の径方向斜め内方に向かって開口せしめられている。
【0076】
さらに、本実施形態においては、裏面凹溝38もまた、パッド基板の中心軸に対して一定の角度で傾斜せしめられた傾斜溝によって形成されている。具体的には、例えば、裏面凹溝38の内周側の側壁面(以下「裏面内側壁面」という)44と裏面凹溝38の外周側の側壁面(以下「裏面外側壁面」という)46の何れもが中心軸18に対して所定角度:αbだけ傾斜せしめられた傾斜面とされている。要するに、本実施形態における裏面凹溝38は、裏面内側壁面44と裏面外側壁面46が、互いに平行な面とされており、裏面凹溝38の周方向だけでなく深さ方向においても、裏面凹溝38の全体に亘って略一定の幅寸法:Bbとされており、図3に示された研磨用パッド32においては、かかる裏面凹溝38が、開口部に行くに従って次第に中心軸18から外周側に離隔して、パッド基板12の径方向斜め外方に向かって開口せしめられている一方、図4に示された研磨用パッド34においては、かかる裏面凹溝38が、開口部に行くに従って次第に中心軸18に接近して、パッド基板12の径方向斜め内方に向かって開口せしめられている。
【0077】
ここにおいて、特に本実施形態においては、表面凹溝36の溝深さ:Dtと裏面凹溝38の溝深さ:Db,表面凹溝36の溝幅:Btと裏面凹溝38の溝幅:Bb,表面凹溝36の径方向ピッチ:Ptと裏面凹溝38の径方向ピッチ:Pb,表面凹溝36の傾斜角:αtと裏面凹溝38の傾斜角:αbが、それぞれ等しい大きさとされており、表面凹溝36と裏面凹溝38が同形状で表面14と裏面20にそれぞれ形成されている。これにより、本実施形態における研磨用パッド32,34においては、その表面14と裏面20が同一形状とされている。
【0078】
なお、表面凹溝36と裏面凹溝38の各部寸法等の具体的な設定値は、パッド基板12の材質や厚さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成されたメタル線の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定されるものであって、特に限定されるものでないが、一般に、表面凹溝36と裏面凹溝38の溝幅:Bt,Bb,深さ:Dt,Db,径方向ピッチ:Pt,Pbの各値は、以下の範囲内で設定されることが望ましい。
【0079】
〔略円形の周方向溝の場合〕
0.005mm ≦ Bt=Bb ≦ 3.0mm
0.1mm ≦ Dt=Db ≦ 2.0mm
0.1mm ≦ Pt=Pb ≦ 10.0mm
−50度 ≦ αt=αb ≦ 50度
【0080】
また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
〔略円形の周方向溝の場合〕
0.005mm ≦ Bt=Bb ≦ 2.0mm
(より一層好ましくは、0.005mm ≦ Bt=Bb ≦ 1.0mm)
0.1mm ≦ Dt=Db ≦ 1.0mm
0.2mm ≦ Pt=Pb ≦ 2.0mm
−45度 ≦ αt=αb ≦ 45度
【0081】
蓋し、表面内外側壁面40,42(裏面内外側壁面44,46)の傾斜角度:αt(αb)が小さ過ぎると、研磨用パッド32,34に十分な弾性を付与することができず、所期の性能を発揮できないおそれがある。一方、表面内外側壁面40,42(裏面内外側壁面44,46)の傾斜角度:αt(αb)が大き過ぎると、製造が難しくなるだけでなく、表面凹溝36(裏面凹溝38)の側壁部分の強度が低下して面圧分布が安定し難くなったり、研磨用パッド32,34の耐久性が充分に得られ難くなるおそれがある。
【0082】
このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド32,34においては、上述した従来技術の問題点における(問題点1),(問題点2),(問題点4)を有効に解決することが出来て、特に、中心軸18に対して傾斜せしめられた傾斜溝によって表面凹溝36及び裏面凹溝38が構成されていることにより、研磨用パッド32,34に対して比較的大きな弾性を有利に付与することが可能となる。
〔実施形態B〕
【0083】
また、図5〜図7には、請求項2及び13に記載された本発明の一実施形態としての研磨用パッド48が示されている。
【0084】
より詳細には、この研磨用パッド48は、全体に一定の厚さ寸法:Tを有する薄肉円板形状のパッド基板12によって形成されている。このパッド基板12は、例えば硬質の発泡或いは未発泡の合成樹脂材料や硬質ゴム材料,或いは、繊維材料や無機材料などをはじめとする各種の適当な材料によって形成されており、特に本実施形態においては、発泡ウレタンによって形成されている。なお、パッド厚さ寸法は、限定されるものでなく、パッド基板12の材質だけでなく、加工対象となるウェハの材質や、要求される加工精度などに応じて適宜に設定される。
【0085】
また、かかるパッド基板12の一方の面である表面14には、図5に示されているように、径方向一方向において直線的且つ相互に平行に延びる多数の溝50,50,50,・・・によって構成された直線凹溝としての表面凹溝50が形成されており、表面14に開口せしめられている。
【0086】
なお、表面凹溝50の各部寸法等の具体的な設定値は、パッド基板12の材質や厚さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成されたメタル線の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定されるものであって、特に限定されるものでないが、一般に、表面凹溝50の溝幅:Bt,深さ:Dt,径方向ピッチ:Ptの各値は、以下の範囲内で設定されることが望ましい。
【0087】
〔直線状の凹溝の場合〕
0.005mm ≦ Bt ≦ 5.0mm
0.1mm ≦ Dt ≦ 2.0mm
0.1mm ≦ Pt ≦ 60.0mm
【0088】
また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
〔直線状の凹溝の場合〕
0.005mm ≦ Bt ≦ 3.0mm
0.1mm ≦ Dt ≦ 1.0mm
0.2mm ≦ Pt ≦ 10.0mm
【0089】
蓋し、表面凹溝50の溝幅:Btが小さ過ぎると、研磨くず等による表面凹溝50の目詰まりが発生し易くなって安定した効果が発揮され難い。一方、表面凹溝50の溝幅:Btが大き過ぎると、表面凹溝50によって研磨用パッド48に付与される弾性が大きくなりすぎると共に、表面凹溝50のエッジ部分(開口端縁部)におけるウェハとの接触面圧が増大して食い込み状の研磨等が発生し易く、安定した研磨が実現され難い。
【0090】
また、表面凹溝50の溝深さ:Dtが小さ過ぎると、研磨用パッド48の表面14の剛性が大きくなり過ぎて、研磨用パッド48に付与される弾性が表面14において有効に発揮されずに精密な研磨が困難となる傾向にある。一方、表面凹溝50の溝深さ:Dtが大き過ぎると、過大な弾性が表面凹溝50によって研磨用パッド48に付与される。更に、製造が困難となる一方、研磨用パッド48の表面14が変形し易くなると共に、スティックスリップの発生のおそれもあり、研磨が不安定となり易い。
【0091】
更にまた、表面凹溝50の径方向ピッチ:Ptが小さ過ぎると、製造が難しく、研磨用パッド48の表面14の変形や損傷が発生し易くなって安定した研磨が実現され難い。一方、表面凹溝50の径方向ピッチ:Ptが大き過ぎると、研磨精度や研磨効率の低下を招くおそれがある。
【0092】
一方、パッド基板12の他方の面である裏面20には、周方向に延びる多数の溝によって構成された裏側環状凹溝としての裏面凹溝22が、パッド基板の中心軸18を曲率中心として形成されており、裏面20に開口せしめられている。かかる裏面凹溝22は、本実施形態において、図6に示されているように、それぞれ中心軸18を曲率中心として延びる、相互に曲率半径が異ならせられた多数の円形の溝22,22,22,・・・によって構成されている。
【0093】
なお、裏面凹溝22の各部寸法等の具体的な設定値もまた、パッド基板12の材質や厚さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成されたメタル線の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定されるものであって、特に限定されるものでないが、一般に、裏面凹溝22の溝幅:Bb,深さ:Db,径方向ピッチ:Pbの各値は、以下の範囲内で設定されることが望ましい。
【0094】
〔略円形の周方向溝の場合〕
0.005mm ≦ Bb ≦ 3.0mm
0.1mm ≦ Db ≦ 2.0mm
0.1mm ≦ Pb ≦ 5.0mm
【0095】
また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
〔略円形の周方向溝の場合〕
0.005mm ≦ Bb ≦ 2.0mm
(より一層好ましくは、0.005mm ≦ Bb ≦ 1.0mm)
0.1mm ≦ Db ≦ 1.0mm
0.2mm ≦ Pb ≦ 2.0mm
【0096】
蓋し、裏面凹溝22の溝幅:Bbや溝深さ:Dbが小さ過ぎると、研磨用パッド46に対して十分な弾性を付与することが困難となり、所期の研磨精度を実現することが難しい。一方、裏面凹溝22の溝幅:Bbや溝深さ:Dbが大き過ぎると、研磨用パッド48の表面14において発揮される弾性が必要以上に大きくなって、研磨精度の低下を招くおそれがある。
【0097】
更にまた、裏面凹溝22の径方向ピッチ:Pbが小さ過ぎると、製造が難しく、損傷等が発生しやすくなって安定した研磨実現され難い。一方、裏面凹溝22の径方向ピッチ:Pbが大き過ぎると、裏面凹溝22を構成する円形の溝22,22,22,・・・の数が少なくなるため、表面14において発揮される弾性が研磨用パッド48の径方向位置に応じて大きく異なることとなり、均一な研磨を効率よく行うことが困難となる。
【0098】
また、表面凹溝50及び裏面凹溝22の底面は、形状等が限定されるものでなく、湾曲面や平坦面等の何れであっても良いが、特に本実施形態では、表面凹溝50及び裏面凹溝22の底面が研磨用パッド48の中心軸18に対して直交する平坦面とされている。このように表面凹溝50と裏面凹溝22の底面を研磨用パッド48の表面と略平行な平坦面とすることにより、表面凹溝50と裏面凹溝22の有効深さを大きく設定した場合でも、表面凹溝50と裏面凹溝22の底壁部の間隙を有利に確保して良好な強度特性を得ることが可能となる。
【0099】
また、本実施形態においては、表面凹溝50の溝深さ:Dtと裏面凹溝22の溝深さ:Dbの合計値(Dt+Db)が、パッド基板12の厚さ寸法:Tよりも小さくされている。特に本実施形態においては、パッド基板12の厚さ寸法:Tの値が以下の範囲内に設定されている。
0.5mm ≦ T ≦ 10.0mm
より好ましくは、
1.0mm ≦ T ≦ 3.0mm
【0100】
そして、このような表面14及び裏面20を有する研磨用パッド48は、従来と同様にして、ウェハ等の研磨に用いられる。具体的には、例えば図7に示されているように、研磨装置の回転板(支持板)24の支持面上に載置されて、エアによる負圧吸引や両面テープによる接着等の手段で該回転板24に固定されて装着される。そして、中心軸18の回りに回転駆動せしめられつつ、表面14に対してウェハ26が重ね合わせられることにより、研磨処理に供されることとなる。また、そのような研磨処理に際しては、従来と同様に、一般に、研磨用パッド48の表面14とウェハ26の被加工面28の対向面間に対して研磨液(スラリ)30が供給されると共に、ウェハ26自体もその中心軸回りに回転駆動せしめられる。なお、研磨液30は、例えば研磨用パッド48の中央部分から研磨用パッド48の表面に供給され、研磨用パッド48の中心軸18回りの回転に伴う遠心力の作用で研磨用パッド48の表面に広がるようにされる。
【0101】
このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド48においては、上述の従来技術の問題点における(問題点1),(問題点3),(問題点4)を有効に解決することができる。
【0102】
すなわち、本実施形態においては、表面14に形成された表面凹溝50が直線的に延びるように形成されている一方、裏面20に形成された裏面凹溝22が周方向に延びるように形成されている。それ故、研磨用パッド48の表面14と裏面20の形状が著しく異なり、表面14と裏面20を視認によって容易に判別できるようになっている。従って、研磨用パッド48の研磨装置に対する取付時に、表裏を取り違える等の問題が生じるのを回避して確実に取り付けることが可能となる。
【0103】
また、裏面凹溝22を周方向に延びる円環溝としたことにより、表面14側に供給される研磨液30が外周面を伝って裏面20側へ浸入することを有利に防ぐことができる。それ故、研磨液30が裏面20と回転板24の支持面との対向面間に浸入することに起因する、研磨用パッド48が研磨装置の回転板24から脱落したり、回転板24上で変位したりといった問題の発生を防止することが出来て、高い信頼性をもって研磨処理を行うことが可能となる。
【0104】
さらに、裏面凹溝22の幅寸法:Bb,深さ寸法:Db,径方向ピッチ:Pbを上述した所定の範囲内で設定することにより、研磨用パッド48に十分な弾性を確保することが出来ると共に、裏面20と回転板24との間で十分な固着力を得ることが出来て、高い信頼性を実現することが可能となる。
【0105】
更にまた、表面凹溝50の溝深さ:Dtと、裏面凹溝22の溝深さ:Dbの合計値(Dt+Db)の値を、パッド基板12の厚さ寸法よりも小さくしたことにより、研磨用パッド48に対して適度な弾性を付与すると共に、十分な剛性を保つことができて、研磨精度を高度に確保することが可能となる。
【0106】
次に、図8及び図9には、請求項2,9,10,13に記載された本発明の別の実施形態としての研磨用パッド52,54が示されている。なお、以下の説明において、前記実施形態と同一の部材乃至は部位については、図中に同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0107】
具体的には、パッド基板12の一方の面である表面14には、径方向一方向に直線的に延びる多数の溝によって構成された表面凹溝50が形成されており、表面14に開口せしめられている。
【0108】
一方、パッド基板12の他方の面である裏面20には、周方向に延びる裏面凹溝38が、パッド基板12の中心軸18の回りに形成されており、裏面20に開口せしめられている。かかる裏面凹溝38は、本実施形態において、中心軸18を曲率中心として同心的に形成された多数の円形の溝38,38,38,・・・によって構成されている。
【0109】
また、本実施形態においては、裏面凹溝38がパッド基板の中心軸に対して一定の角度で傾斜せしめられた傾斜溝によって形成されている。具体的には、例えば、裏面凹溝38の内周側の側壁面(以下「裏面内側壁面」という)44と裏面凹溝38の外周側の側壁面(以下「裏面外側壁面」という)46何れもが中心軸18に対して所定角度:αbだけ傾斜せしめられた傾斜面とされている。要するに、本実施形態における裏面凹溝38は、裏面内側壁面44と裏面外側壁面46が、互いに平行な面とされており、裏面凹溝38の周方向だけでなく深さ方向においても、裏面凹溝38の全体に亘って略一定の幅寸法:Bbとされており、図8に示された研磨用パッド52においては、かかる裏面凹溝38が、開口部に行くに従って次第に中心軸18から外周側に離隔して、パッド基板12の径方向斜め外方に向かって開口せしめられている一方、図9に示された研磨用パッド54においては、かかる裏面凹溝38が、開口部に行くに従って次第に中心軸18に接近して、パッド基板12の径方向斜め内方に向かって開口せしめられている。
【0110】
なお、裏面凹溝38の各部寸法等の具体的な設定値もまた、パッド基板12の材質や厚さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成されたメタル線の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定されるものであって、特に限定されるものでないが、一般に、裏面凹溝38の溝幅:Bb,深さ:Db,径方向ピッチ:Pbの各値は、以下の範囲内で設定されることが望ましい。
【0111】
0.005mm ≦ Bb ≦ 3.0mm
0.1mm ≦ Db ≦ 2.0mm
0.1mm ≦ Pb ≦ 5.0mm
−50度 ≦ αb ≦ 50度
【0112】
また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
0.005mm ≦ Bb ≦ 2.0mm
(より一層好ましくは、0.005mm ≦ Bb ≦ 1.0mm)
0.1mm ≦ Db ≦ 1.0mm
0.2mm ≦ Pb ≦ 2.0mm
−45度 ≦ αb ≦ −20度
又は、 20度 ≦ αb ≦ 45度
【0113】
蓋し、裏面内外側壁面44,46の傾斜角度:αbが小さ過ぎると、研磨用パッド52,54に十分な弾性を付与することができず、所期の性能を発揮できないおそれがある。一方、裏面内外側壁面44,46の傾斜角度:αbが大き過ぎると、製造が難しくなるだけでなく、裏面凹溝38の側壁部分の強度が低下して面圧分布が安定し難くなったり、研磨用パッド52,54の耐久性が充分に得られ難くなるおそれがある。
【0114】
このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド52,54においては、上述した従来技術の問題点における(問題点1),(問題点2),(問題点3),(問題点4)を有効に解決することが出来る。
【0115】
次に、図10及び図11には、請求項2,11,12,13に記載された本発明の別の実施形態としての研磨用パッド56,58が示されている。なお、以下の説明において、前記実施形態と同一の部材乃至は部位については、図中に同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0116】
具体的には、パッド基板12の一方の面である表面14には、径方向一方向に直線的に延びる多数の溝によって構成された表面凹溝60が形成されており、表面14に開口せしめられている。
【0117】
また、本実施形態においては、表面凹溝60は、パッド基板12の中心軸(中心軸18に平行な直線)に対して一定の角度で傾斜せしめられた傾斜溝によって形成されている。具体的には、例えば、表面凹溝60の内周側の側壁面(以下「表面内側壁面」という)62と表面凹溝60の外周側の側壁面(以下「表面外側壁面」という)64の何れもが中心軸18に対して所定角度:αt(中心軸18に平行な直線との交角=αt)だけ傾斜せしめられた傾斜面とされている。要するに、本実施形態における表面凹溝60では、表面内側壁面62と表面外側壁面64が互いに平行な面とされており、表面凹溝60の周方向だけでなく深さ方向においても、表面凹溝60の全体に亘って略一定の幅寸法:Btとされており、図10に示された研磨用パッド56においては、かかる表面凹溝60が、開口部に行くに従って次第に中心軸18から外周側に離隔して、パッド基板12の径方向斜め外方に向かって開口せしめられている一方、図11に示された研磨用パッド58においては、かかる表面凹溝60が、開口部に行くに従って次第に中心軸18に接近して、パッド基板12の径方向斜め内方に向かって開口せしめられている。
【0118】
なお、表面凹溝60の各部寸法等の具体的な設定値は、パッド基板12の材質や厚さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成されたメタル線の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定されるものであって、特に限定されるものでないが、一般に、表面凹溝60の溝幅:Bt,深さ:Dt,径方向ピッチ:Pt,傾斜角度:αtの各値は、以下の範囲内で設定されることが望ましい。
【0119】
〔直線状の凹溝の場合〕
0.005mm ≦ Bt ≦ 5.0mm
0.1mm ≦ Dt ≦ 2.0mm
0.1mm ≦ Pt ≦ 60.0mm
−30度 ≦ αt ≦ 30度
【0120】
また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
〔直線状の凹溝の場合〕
0.005mm ≦ Bt ≦ 3.0mm
0.1mm ≦ Dt ≦ 1.0mm
0.2mm ≦ Pt ≦ 10.0mm
−30度 ≦ αt ≦ −10度
又は、 10度 ≦ αt ≦ 30度
【0121】
蓋し、表面内外側壁面62,64の傾斜角度:αtが小さ過ぎると、研磨用パッド56,58に十分な弾性を付与することができず、所期の性能を発揮できないおそれがある。一方、表面内外側壁面62,64の傾斜角度:αtが大き過ぎると、製造が難しくなるだけでなく、表面凹溝60の側壁部分の強度が低下して面圧分布が安定し難くなったり、研磨用パッド56,58の耐久性が充分に得られ難くなるおそれがある。
【0122】
一方、パッド基板12の他方の面である裏面20には、中心軸18を曲率中心として周方向に延びる多数の円形の溝22,22,22,・・・によって構成された裏面凹溝22が、パッド基板の中心軸18の回りに形成されており、裏面20に開口せしめられている。
【0123】
このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド56,58においては、上述した従来技術の問題点における(問題点1),(問題点3),(問題点4)を有効に解決することが出来る。
【0124】
次に、図12〜図15には、請求項2,9,10,11,12,13に記載された本発明の別の実施形態としての研磨用パッド66,68,70,72が示されている。なお、以下の説明において、前記実施形態と同一の部材乃至は部位については、図中に同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0125】
具体的には、研磨用パッド66,68,70,72には、その表面14において径方向一方向に直線的に延びる多数の傾斜溝によって構成された表面凹溝60が形成されている一方、その裏面20において周方向に延びる多数の傾斜溝によって構成された裏面凹溝38が形成されている。
【0126】
なお、図12に示されているように、研磨用パッド66においては、表面凹溝60が径方向斜め外方に向かって開口して形成されていると共に、裏面凹溝38が径方向斜め内方に向かって開口して形成されている。
【0127】
また、図13に示されているように、研磨用パッド68においては、表面凹溝60が径方向斜め内方に向かって開口して形成されていると共に、裏面凹溝38が径方向斜め外方に向かって開口して形成されている。
【0128】
また、図14に示されているように、研磨用パッド70においては、表面凹溝60が径方向斜め外方に向かって開口して形成されていると共に、裏面凹溝38が径方向斜め外方に向かって開口して形成されている。
【0129】
また、図15に示されているように、研磨用パッド72においては、表面凹溝60が径方向斜め内方に向かって開口して形成されていると共に、裏面凹溝38が径方向斜め内方に向かって開口して形成されている。
【0130】
このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド66,68,70,72においては、上述した従来技術の問題点における(問題点1),(問題点2),(問題点3),(問題点4)を有効に解決することができる。
〔実施形態C〕
【0131】
また、図16〜18には、請求項1,3,4,5,8,13に記載された本発明の実施形態としての研磨用パッド74が示されている。
【0132】
より詳細には、この研磨用パッド74は、全体に一定の厚さ寸法:Tを有する薄肉円板形状のパッド基板12によって形成されている。このパッド基板12は、例えば硬質の発泡或いは未発泡の合成樹脂材料や硬質ゴム材料,或いは、繊維材料や無機材料などをはじめとする各種の適当な材料によって形成されており、特に本実施形態においては、発泡ウレタンによって形成されている。なお、パッド厚さ寸法は、限定されるものでなく、パッド基板12の材質だけでなく、加工対象となるウェハの材質や、要求される加工精度などに応じて適宜に設定される。
【0133】
また、かかるパッド基板12の一方の面である表面14には、周方向に延びる円形溝によって構成された表側環状凹溝としての表面凹溝16が、パッド基板12の中心軸18の回りに形成されており、表面14に開口せしめられている。
【0134】
かかる表面凹溝16は、本実施形態において、図16に示されているように、それぞれ中心軸18を曲率中心として延びる、相互に曲率半径が異ならせられた多数の円形の溝16,16,16,・・・によって構成されている。
【0135】
なお、表面凹溝16の各部寸法等の具体的な設定値は、パッド基板12の材質や厚さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成されたメタル線の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定されるものであって、特に限定されるものでないが、一般に、表面凹溝16の溝幅:Bt,深さ:Dt,径方向ピッチ:Ptの各値は、以下の範囲内で設定されることが望ましい。
【0136】
〔略円形の周方向溝の場合〕
0.005mm ≦ Bt ≦ 3.0mm
0.1mm ≦ Dt ≦ 2.0mm
0.1mm ≦ Pt ≦ 10.0mm
【0137】
また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
〔略円形の周方向溝の場合〕
0.005mm ≦ Bt ≦ 2.0mm
(より一層好ましくは、0.005mm ≦ Bt ≦ 1.0mm)
0.1mm ≦ Dt ≦ 1.0mm
0.2mm ≦ Pt ≦ 2.0mm
【0138】
蓋し、表面凹溝16の溝幅:Btが小さ過ぎると、研磨くず等による表面凹溝16の目詰まりが発生し易くなって安定した効果が発揮され難い。一方、表面凹溝16の溝幅:Btが大き過ぎると、表面凹溝16によって研磨用パッド74に付与される弾性が大きくなりすぎると共に、表面凹溝16のエッジ部分(開口端縁部)におけるウェハとの接触面圧が増大して食い込み状の研磨等が発生し易く、安定した研磨が実現され難い。
【0139】
また、表面凹溝16の溝深さ:Dtが小さ過ぎると、研磨用パッド74の表面14の剛性が大きくなり過ぎて、研磨用パッド74に付与される弾性が表面14において有効に発揮されずに精密な研磨が困難となる傾向にある。一方、表面凹溝16の溝深さ:Dtが大き過ぎると、過大な弾性が表面凹溝16によって研磨用パッド74に付与される。更に、製造が困難となる一方、研磨用パッド74の表面14が変形し易くなると共に、スティックスリップの発生のおそれもあり、研磨が不安定となり易い。
【0140】
更にまた、表面凹溝16の径方向ピッチ:Ptが小さ過ぎると、製造が難しく、研磨用パッド74の表面14の変形や損傷が発生し易くなって安定した研磨が実現され難い。一方、表面凹溝16の径方向ピッチ:Ptが大き過ぎると、研磨精度や研磨効率の低下を招くおそれがある。
【0141】
一方、かかるパッド基板12の他方の面である裏面20には、周方向に延びる円形溝によって構成された裏側環状凹溝としての裏面凹溝22が、パッド基板12の中心軸18の回りに形成されており、裏面20に開口せしめられている。
【0142】
かかる裏面凹溝22は、本実施形態において、図17に示されているように、それぞれ中心軸18を曲率中心として延びる、相互に曲率半径が異ならせられた多数の円形の溝22,22,22,・・・によって構成されている。
【0143】
なお、裏面凹溝22の各部寸法等の具体的な設定値もまた、パッド基板12の材質や厚さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成されたメタル線の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定されるものであって、特に限定されるものでないが、一般に、裏面凹溝22の溝幅:Bb,深さ:Db,径方向ピッチ:Pbの各値は、以下の範囲内で設定されることが望ましい。
【0144】
〔略円形の周方向溝の場合〕
0.005mm ≦ Bb ≦ 3.0mm
0.1mm ≦ Db ≦ 2.0mm
0.1mm ≦ Pb ≦ 5.0mm
【0145】
また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
〔略円形の周方向溝の場合〕
0.005mm ≦ Bb ≦ 2.0mm
(より一層好ましくは、0.005mm ≦ Bb ≦ 1.0mm)
0.1mm ≦ Db ≦ 1.0mm
0.2mm ≦ Pb ≦ 2.0mm
【0146】
蓋し、裏面凹溝22の溝幅:Bbや溝深さ:Dbが小さ過ぎると、研磨用パッド74に対して十分な弾性を付与することが困難となり、所期の研磨精度を実現することが難しい。一方、裏面凹溝22の溝幅:Bbや溝深さ:Dbが大き過ぎると、研磨用パッド74の表面14において発揮される弾性が必要以上に大きくなって、研磨精度の低下を招くおそれがある。
【0147】
更にまた、裏面凹溝22の径方向ピッチ:Pbが小さ過ぎると、製造が難しく、損傷等が発生しやすくなって安定した研磨実現され難い。一方、裏面凹溝22の径方向ピッチ:Pbが大き過ぎると、裏面凹溝22を構成する円形の溝22,22,22,・・・の数が少なくなるため、表面14において発揮される弾性が研磨用パッド74の径方向位置に応じて大きく異なることとなり、均一な研磨を効率よく行うことが困難となる。
【0148】
また、表面凹溝16及び裏面凹溝22の底面は、形状等が限定されるものでなく、湾曲面や平坦面等の何れであっても良いが、特に本実施形態では、表面凹溝16及び裏面凹溝22の底面が研磨用パッド74の中心軸18に対して直交する平坦面とされている。このように表面凹溝16と裏面凹溝22の底面を研磨用パッド74の表面と略平行な平坦面とすることにより、表面凹溝16と裏面凹溝22の有効深さを大きく設定した場合でも、表面凹溝16と裏面凹溝22の底壁部の間隙を有利に確保して良好な強度特性を得ることが可能となる。
【0149】
さらに、特に本実施形態においては、表面凹溝16の溝深さ:Dtと裏面凹溝22の溝深さ:Dbの合計値がパッド基板12の厚さ寸法:Tよりも小さくされている。これにより、研磨用パッド74に対して弾性を適度に付与して、研磨精度の向上を図ることが出来る。なお、特に本実施形態においては、パッド基板12の厚さ寸法:Tの値が以下の範囲内に設定されている。
0.5mm ≦ T ≦ 10.0mm
より好ましくは、
1.0mm ≦ T ≦ 3.0mm
【0150】
ここにおいて、特に本実施形態では、表面凹溝16と裏面凹溝22が互いに特定の位置関係で形成されている。具体的には、隣り合う裏面凹溝22,22の径方向間の表面14側に表面凹溝16が形成されており、特に本実施形態においては、裏面凹溝22,22の径方向間における径方向略中央の表面14側において一条の表面凹溝16が形成されている。更に、隣り合う表面凹溝16の径方向中央部分には、その裏面20において、一条の裏面凹溝22が形成されており、これによって表面凹溝16と裏面凹溝22がパッド基板12の表裏において径方向で互いにずれた位置に交互に形成されている。
【0151】
そして、このような表面14及び裏面20を有する研磨用パッド74は、従来と同様にして、ウェハ等の研磨に用いられる。具体的には、例えば図18に示されているように、研磨装置の回転板(支持板)24の支持面上に載置されて、エアによる負圧吸引や両面テープによる接着等の手段で回転板24に固定されて装着される。そして、中心軸18の回りに回転駆動せしめられつつ、表面14に対してウェハ26が重ね合わせられることにより、研磨処理に供されることとなる。また、そのような研磨処理に際しては、従来と同様に、一般に、研磨用パッド74の表面14とウェハ26の被加工面28の対向面間に対して研磨液(スラリ)30が供給されると共に、ウェハ26自体もその中心軸回りに回転駆動せしめられる。なお、研磨液30は、例えば研磨用パッド74の中央部分から研磨用パッド74の表面に供給され、研磨用パッド74の中心軸18回りの回転に伴う遠心力の作用で研磨用パッド74の表面に広がるようにされる。
【0152】
このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド74においては、上述した従来技術の問題点における(問題点1),(問題点2),(問題点4)を有効に解決することが出来る。
【0153】
すなわち、研磨用パッド74の表面14において、被加工物、つまり研磨対象物に対して当接せしめられる部分(接触面)に対して面圧が作用せしめられると、接触面に作用した応力は軸方向下方に伝達されることとなる。ここで、本実施形態においては、表面14において接触面が形成されている部分の裏面20側には、裏面凹溝22が形成されており、弾性が付与されているため、応力の作用によって弾性的に変形して応力を逃すことが可能となっている。それ故、裏面20と回転板(支持板)24との固着面積を十分に確保しつつ、裏面凹溝22が形成されることによって発揮される弾性を表面14において有利に発揮させることが出来て、高い平坦性や均一性をもって研磨処理を実現することが出来る。
【0154】
また、研磨用パッド74の表面14と裏面20の両面にそれぞれ形成された表面凹溝16と裏面凹溝22を共に周方向に延びる円形の溝としたことにより、溝の形成加工が容易となって、研磨用パッドの生産効率の向上を図ることが可能となる。
【0155】
また、裏面凹溝22を周方向に延びる円環溝としたことにより、表面14側に供給される研磨液30が外周面を伝って裏面20側へ浸入することを有利に防ぐことができる。それ故、研磨液30が裏面20と回転板24の支持面との対向面間に浸入することに起因する、研磨用パッド74が研磨装置の回転板24から剥離したり、回転板24上で変位したりといった問題の発生を防止することが出来て、高い信頼性をもって研磨処理を行うことが可能となる。
【0156】
さらに、裏面凹溝22の幅寸法:Bb,深さ寸法:Db,径方向ピッチ:Pbを上述した所定の範囲内で設定することにより、研磨用パッド74に十分な弾性を確保することが出来ると共に、裏面20と回転板24との間で十分な固着力を得ることが出来て、高い信頼性を実現することが可能となる。
【0157】
更にまた、表面凹溝16の溝深さ:Dtと、裏面凹溝22の溝深さ:Dbの合計値(Dt+Db)の値を、パッド基板12の厚さ寸法よりも小さくしたことにより、研磨用パッド74に対して適度な弾性を付与すると共に、十分な剛性を保つことができて、研磨精度を高度に確保することが可能となる。
【0158】
次に、図19と図20には、請求項3,4,8,11〜13に記載された本発明の別の実施形態としての研磨用パッド76,78が示されている。なお、以下の説明において、前記実施形態と実質的に同一の部材乃至は部位については、図中に同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0159】
具体的には、パッド基板12の一方の面である表面14には、中心軸を曲率中心として同心的に周方向に延びる多数の円形の溝36,36,36,・・・によって構成された表面凹溝36がパッド基板12の中心軸18の回りに形成されており、表面14に開口せしめられている。
【0160】
また、本実施形態においては、表面凹溝36は、パッド基板の中心軸(中心軸18に平行な直線)に対して一定の角度で傾斜せしめられた傾斜溝によって構成されている。具体的には、例えば、表面凹溝36の内周側の側壁面(以下「表面内側壁面」という)40と表面凹溝36の外周側の側壁面(以下「表面外側壁面」という)42の何れもが中心軸18に対して所定角度:αt(中心軸18に平行な直線との交角=αt)だけ傾斜せしめられた傾斜面とされている。要するに、本実施形態における表面凹溝36では、表面内側壁面40と表面外側壁面42が互いに平行な面とされており、表面凹溝36の周方向だけでなく深さ方向においても、表面凹溝36の全体に亘って略一定の幅寸法:Btとされており、図19に示された研磨用パッド76においては、かかる表面凹溝36が、開口部に行くに従って次第に中心軸18から外周側に離隔して、パッド基板12の径方向斜め外方に向かって開口せしめられている一方、図20に示された研磨用パッド78においては、かかる表面凹溝36が、開口部に行くに従って次第に中心軸18に接近して、パッド基板12の径方向斜め内方に向かって開口せしめられている。
【0161】
なお、表面凹溝36の各部寸法等の具体的な設定値は、パッド基板12の材質や厚さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成されたメタル線の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定されるものであって、特に限定されるものでないが、一般に、表面凹溝36の溝幅:Bt,深さ:Dt,径方向ピッチ:Pt,傾斜角度:αtの各値は、以下の範囲内で設定されることが望ましい。
【0162】
〔略円形の周方向溝の場合〕
0.005mm ≦ Bt ≦ 3.0mm
0.1mm ≦ Dt ≦ 2.0mm
0.1mm ≦ Pt ≦ 10.0mm
−30度 ≦ αt ≦ 30度
【0163】
また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
〔略円形の周方向溝の場合〕
0.005mm ≦ Bt ≦ 2.0mm
(より一層好ましくは、0.005mm ≦ Bt ≦ 1.0mm)
0.1mm ≦ Dt ≦ 1.0mm
0.2mm ≦ Pt ≦ 2.0mm
−30度 ≦ αt ≦ −10度
又は、 10度 ≦ αt ≦ 30度
【0164】
蓋し、表面内外側壁面40,42の傾斜角度:αtが小さ過ぎると、研磨用パッド76,78に十分な弾性を付与することができず、所期の性能を発揮できないおそれがある。一方、表面内外側壁面40,42の傾斜角度:αtが大き過ぎると、製造が難しくなるだけでなく、表面凹溝36の側壁部分の強度が低下して面圧分布が安定し難くなったり、研磨用パッド76,78の耐久性が充分に得られ難くなるおそれがある。
【0165】
一方、パッド基板12の他方の面である裏面20には、周方向に延びる円形溝によって構成された裏面凹溝22が、パッド基板の中心軸18の回りに形成されており、裏面20に開口せしめられている。かかる裏面凹溝22は、本実施形態において、中心軸を曲率中心として同心的に延びる多数の円形の溝22,22,22,・・・によって構成されている。
【0166】
このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド76,78においては、上述した従来技術の問題点における(問題点1),(問題点4)を有効に解決することができる。
【0167】
次に、図21と図22には、請求項3,4,8,9,10,13に記載された本発明の別の実施形態としての研磨用パッド80,82が示されている。
【0168】
具体的には、パッド基板12の一方の面である表面14には、中心軸を曲率中心として周方向に延びる、相互に曲率半径が異ならせられた多数の円形の溝16,16,16,・・・によって構成された表面凹溝16が、パッド基板12の中心軸18の回りに形成されており、表面14に開口せしめられている。
【0169】
一方、パッド基板12の他方の面である裏面20には、周方向に延びる円形溝によって構成された裏面凹溝38が、パッド基板の中心軸18の回りに形成されており、裏面20に開口せしめられている。かかる裏面凹溝38は、本実施形態において、中心軸を曲率中心として同心的に延びる多数の円形の溝38,38,38,・・・によって構成されている。
【0170】
また、本実施形態においては、裏面凹溝38は、パッド基板の中心軸18(中心軸18に平行な直線)に対して一定の角度で傾斜せしめられた傾斜溝によって形成されている。具体的には、例えば、裏面凹溝38の内周側の側壁面(以下「裏面内側壁面」という)44と裏面凹溝38の外周側の側壁面(以下「裏面外側壁面」という)46の何れもが中心軸18に対して所定角度:αt(中心軸18に平行な直線との交角=αt)だけ傾斜せしめられた傾斜面とされている。要するに、本実施形態における裏面凹溝38では、裏面内側壁面44と裏面外側壁面46が互いに平行な面とされており、裏面凹溝38の周方向だけでなく深さ方向においても、裏面凹溝38の全体に亘って略一定の幅寸法:Btとされており、図21に示された研磨用パッド80においては、かかる裏面凹溝38が、開口部に行くに従って次第に中心軸18から外周側に離隔して、パッド基板12の径方向斜め外方に向かって開口せしめられている一方、図22に示された研磨用パッド82においては、かかる裏面凹溝38が、開口部に行くに従って次第に中心軸18に接近して、パッド基板12の径方向斜め内方に向かって開口せしめられている。
【0171】
なお、裏面凹溝38の各部寸法等の具体的な設定値は、パッド基板12の材質や厚さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成されたメタル線の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定されるものであって、特に限定されるものでないが、一般に、裏面凹溝38の溝幅:Bb,深さ:Db,径方向ピッチ:Pbの各値は、以下の範囲内で設定されることが望ましい。
〔略円形の周方向溝の場合〕
0.005mm ≦ Bb ≦ 3.0mm
0.1mm ≦ Db ≦ 2.0mm
0.1mm ≦ Pb ≦ 5.0mm
−50度 ≦ αb ≦ 50度
【0172】
また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
〔略円形の周方向溝の場合〕
0.005mm ≦ Bb ≦ 2.0mm
(より一層好ましくは、0.005mm ≦ Bb ≦ 1.0mm)
0.1mm ≦ Db ≦ 1.0mm
0.2mm ≦ Pb ≦ 2.0mm
−45度 ≦ αb ≦ −20度
又は、 20度 ≦ αb ≦ 45度
【0173】
蓋し、裏面内外側壁面44,46の傾斜角度:αbが小さ過ぎると、研磨用パッド80,82に十分な弾性を付与することができず、所期の性能を発揮できないおそれがある。一方、裏面内外側壁面44,46の傾斜角度:αbが大き過ぎると、製造が難しくなるだけでなく、裏面凹溝38の側壁部分の強度が低下して面圧分布が安定し難くなったり、研磨用パッド80,82の耐久性が充分に得られ難くなるおそれがある。
【0174】
このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド80,82においては、上述した従来技術の問題点における(問題点1),(問題点2),(問題点4)を有効に解決することができる。
【0175】
また、図23,24には、請求項3,4,8〜13に記載された本発明の別の実施形態としての研磨用パッド84,86が示されている。なお、以下の説明において、前記実施形態と実質的に同一の部材乃至は部位については図中に同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0176】
具体的には、研磨用パッド84,86には、その表面14において中心軸18を曲率中心として同心的に周方向に延びる多数の傾斜溝によって構成された表面凹溝36が形成されている一方、その裏面20において同じく中心軸18を曲率中心として同心的に周方向に延びる多数の傾斜溝によって構成された裏面凹溝38が形成されている。
【0177】
なお、図23に示されているように、研磨用パッド84においては、表面凹溝36が径方向斜め外方に向かって開口して形成されていると共に、裏面凹溝38が径方向斜め内方に向かって開口して形成されている。
【0178】
また、図24に示されているように、研磨用パッド86においては、表面凹溝36が径方向斜め内方に向かって開口して形成されていると共に、裏面凹溝38が径方向斜め外方に向かって開口して形成されている。
【0179】
このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド84,86においては、上述した従来技術の問題点における(問題点1),(問題点2),(問題点4)を有効に解決することができる。
【0180】
また、図25,26には、請求項1,3,4,5,8〜13に記載された本発明の別の実施形態としての研磨用パッド88,90が示されている。なお、以下の説明において、前記実施形態と実質的に同一の部材乃至は部位については図中に同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0181】
具体的には、研磨用パッド88,90には、その表面14において中心軸18を曲率中心として同心的に周方向に延びる多数の傾斜溝によって構成された表面凹溝36が形成されている一方、その裏面20において同じく中心軸18を曲率中心として同心的に周方向に延びる多数の傾斜溝によって構成された裏面凹溝38が形成されている。
【0182】
また、図25に示されているように、研磨用パッド88においては、表面凹溝36が径方向斜め外方に向かって開口して形成されていると共に、裏面凹溝38が径方向斜め外方に向かって開口して形成されている。
【0183】
また、図26に示されているように、研磨用パッド90においては、表面凹溝36が径方向斜め内方に向かって開口して形成されていると共に、裏面凹溝38が径方向斜め内方に向かって開口して形成されている。
【0184】
このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド88,90においては、上述した従来技術の問題点における(問題点1),(問題点2),(問題点4)を有効に解決することができる。
【0185】
さらに、図27には、請求項3,8,13に記載された本発明の別の実施形態としての研磨用パッド92が示されている。なお、以下の説明において、前記実施形態と実質的に同一の部材乃至は部位については図中に同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0186】
具体的には、パッド基板12の一方の面である表面14には、表面凹溝16がパッド基板12の中心軸18の回りに形成されており、表面14に開口せしめられている一方、パッド基板12の他方の面である裏面20には、裏面凹溝22がパッド基板の中心軸18の回りに形成されており、裏面20に開口せしめられている。
【0187】
ここにおいて、特に本実施形態では、裏面凹溝22の径方向ピッチ:Ptが、表面凹溝16の径方向ピッチ:Pbに比して小さくされている。より詳細には、裏面凹溝22が表面凹溝16の略二倍の径方向ピッチで形成されており、裏面凹溝22は表面凹溝16に比して多く形成されている。
【0188】
このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド92においては、上述した従来技術の問題点における(問題点1),(問題点4)を有効に解決することができる。
【0189】
なお、図27に示された研磨用パッド92においては、表面凹溝と裏面凹溝が共に中心軸に対して傾斜角度を有しない円形溝によって構成された表面凹溝16と裏面凹溝22とされている。しかしながら、これらの各実施形態においても、図28〜33にそれぞれ示されているように、表面凹溝として中心軸に対して傾斜せしめられた傾斜溝で構成された表面凹溝36を採用することが可能であると共に、図30〜35にそれぞれ示されているように、裏面凹溝としても中心軸に対して傾斜せしめられた傾斜溝で構成された裏面凹溝38を採用することが可能である。
【0190】
一方、図36には、請求項3,6,8,13に記載された本発明の別の実施形態としての研磨用パッド94が示されている。なお、以下の説明において、前記実施形態と実質的に同一の部材乃至は部位については図中に同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0191】
具体的には、パッド基板12の一方の面である表面14には、表面凹溝16がパッド基板12の中心軸18の回りに形成されており、表面14に開口せしめられている一方、パッド基板12の他方の面である裏面20には、裏面凹溝22がパッド基板の中心軸18の回りに形成されており、裏面20に開口せしめられている。
【0192】
ここにおいて、本実施形態では、裏面凹溝22の径方向ピッチ:Pbが、表面凹溝16の径方向ピッチ:Ptに比して大きくされている。より詳細には、裏面凹溝22が表面凹溝16の略半分の径方向ピッチで形成されており、裏面凹溝22が表面凹溝16に比して多く形成されている。
【0193】
これにより、裏面20において裏面凹溝22が形成されていることにより研磨用パッド92に付与されている弾性が、より一層有効に発揮されることとなる。
【0194】
このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド94においては、上述した従来技術の問題点における(問題点1),(問題点4)を有効に解決することができる。
【0195】
なお、図36にしめされた研磨用パッド94においては、表面凹溝が中心軸に対して傾斜角度を有しない円形溝によって構成された表面凹溝16とされている。しかしながら、これらの各実施形態においても、図37〜44にそれぞれ示されているように、表面凹溝として中心軸に対して傾斜せしめられた傾斜溝で構成された表面凹溝36を採用することが可能である。これにより、請求項11に記載された本発明の構造を有することとなり、上述した従来技術の問題点における(問題点1),(問題点4)を有効に解決することができる。
【0196】
また、図36にしめされた研磨用パッド94においては、裏面凹溝が中心軸に対して傾斜角度を有しない円形溝によって構成された裏面凹溝22とされている。しかしながら、図39〜44にそれぞれ示されているように、裏面凹溝としては中心軸に対して傾斜せしめられた傾斜溝で構成された裏面凹溝38を採用することが可能である。これにより、請求項9に記載された本発明の構造を有することとなり、上述した従来技術の問題点における(問題点1),(問題点4)に加えて(問題点2)を有効に解決することができる。
【0197】
次に、図45には、請求項3,4,7,13に記載された本発明の実施形態としての研磨用パッド96が示されている。なお、以下の説明において、前記実施形態と実質的に同一の部材乃至は部位については、図中に同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0198】
具体的には、パッド基板12の一方の面である表面14には、表面凹溝16がパッド基板12の中心軸18の回りに形成されており、表面14に開口せしめられている一方、パッド基板12の他方の面である裏面20には、裏面凹溝22がパッド基板の中心軸18の回りに形成されており、裏面20に開口せしめられている。
【0199】
ここにおいて、本実施形態では、表面凹溝16の溝深さ:Dtと裏面凹溝22の溝深さ:Dbの合計値(Dt+Db)が、パッド基板12の厚さ寸法:Tよりも大きくされている。これにより、研磨用パッド96には、より大きな弾性が有利に付与されることとなる。
【0200】
このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド96においては、上述した従来技術の問題点における(問題点1),(問題点4)を有効に解決することができる。
【0201】
なお、図45に示された研磨用パッド96においては、表面凹溝が中心軸に対して傾斜角度を有しない円形溝によって構成された表面凹溝16とされている。しかしながら、図46〜51にそれぞれ示されているように、表面凹溝として中心軸に対して傾斜せしめられた傾斜溝で構成された表面凹溝36を採用することが可能である。これにより、請求項11に記載された本発明の構造を有することとなり、上述した従来技術の問題点における(問題点1),(問題点4)を有効に解決することができる。
【0202】
また、図45に示された研磨用パッド96においては、裏面凹溝が中心軸に対して傾斜角度を有しない円形溝によって構成された裏面凹溝22とされている。しかしながら、図48〜53にそれぞれ示されているように、裏面凹溝としては中心軸に対して傾斜せしめられた傾斜溝で構成された裏面凹溝38を採用することが可能である。これにより、請求項9に記載された本発明の構造を有することとなり、上述した従来技術の問題点における(問題点1),(問題点4)に加えて(問題点2)を有効に解決することができる。
〔実施形態D〕
【0203】
また、図54〜56には、請求項9,13に記載された本発明の一実施形態としての研磨用パッド98,100が示されている。
【0204】
より詳細には、この研磨用パッド98,100は、全体に一定の厚さ寸法:Tを有する薄肉円板形状のパッド基板12によって形成されている。このパッド基板12は、例えば硬質の発泡或いは未発泡の合成樹脂材料や硬質ゴム材料,或いは繊維材料や無機材料などをはじめとする各種の適当な材料によって形成されており、特に本実施形態においては、発泡ウレタンによって形成されている。なお、パッド厚さ寸法は、限定されるものでなく、パッド基板12の材質だけでなく、加工対象となるウェハの材質や、要求される加工精度などに応じて適宜に設定される。
【0205】
また、本実施形態におけるパッド基板12の一方の面である表面14は、溝などが形成されていない平坦面とされている。
【0206】
一方、パッド基板12の他方の面である裏面20には、周方向に延びる円形溝によって構成された裏面凹溝38が、パッド基板の中心軸18の回りに形成されており、裏面20に開口せしめられている。
【0207】
かかる裏面凹溝38は、本実施形態において、図54に示されているように、それぞれ中心軸18を曲率中心として延びる、相互に曲率半径が異ならせられた多数の円形の溝38,38,38,・・・によって構成されている。
【0208】
ここにおいて、特に本実施形態においては、裏面凹溝38が円形の溝であると共に、パッド基板12の中心軸18に対して一定の角度だけ傾斜せしめられた傾斜溝によって構成されている。具体的には、例えば、縦断の拡大説明図である図55,図56に示されているように、かかる裏面凹溝38は、その内周側の側壁面(以下「裏面内側壁面」という)44と外周側の側壁面(以下「裏面外側壁面」という)46の何れもが、周方向の全長に亘って、中心軸18に対して所定角度:αb(中心軸18に平行な直線に対する交角=αb)だけ傾斜せしめられた傾斜面とされている。要するに、図57,58に示された裏面凹溝38では、裏面内側壁面44と裏面外側壁面46が、互いに平行な面とされており、裏面凹溝38の周方向だけでなく深さ方向においても、裏面凹溝38の全体に亘って略一定の幅寸法:Bbとされており、図55に示された研磨用パッド98においては、かかる裏面凹溝38が、開口部に行くに従って次第に中心軸18に接近して、パッド基板12の径方向斜め内方に向かって開口せしめられている一方、図56に示された研磨用パッド100においては、かかる裏面凹溝38が、開口部に行くに従って次第に中心軸18から外周側に離隔して、パッド基板12の径方向斜め外方に向かって開口せしめられている。
【0209】
なお、裏面凹溝38の各部寸法等の具体的な設定値は、パッド基板12の材質や厚さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成されたメタル線の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定されるものであって、特に限定されるものでないが、一般に、裏面凹溝38の溝幅:Bb,深さ:Db,径方向ピッチ:Pbの各値は、以下の範囲内で設定されることが望ましい。
【0210】
〔略円形の周方向溝の場合〕
0.005mm ≦ Bb ≦ 3.0mm
0.1mm ≦ Db ≦ 2.0mm
0.1mm ≦ Pb ≦ 5.0mm
−50度 ≦ αb ≦ 50度
【0211】
また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
〔略円形の周方向溝の場合〕
0.005mm ≦ Bb ≦ 2.0mm
(より一層好ましくは、0.005mm ≦ Bb ≦ 1.0mm)
0.1mm ≦ Db ≦ 1.0mm
0.2mm ≦ Pb ≦ 2.0mm
−45度 ≦ αb ≦ −20度
又は、 20度 ≦ αb ≦ 45度
【0212】
蓋し、裏面凹溝38の溝幅:Bbや溝深さ:Dbが小さ過ぎると、研磨用パッド98,100に対して十分な弾性を付与することが困難となり、所期の研磨精度を実現することが難しい。一方、裏面凹溝38の溝幅:Bbや溝深さ:Dbが大き過ぎると、研磨用パッド98,100の裏面20において発揮される弾性が必要以上に大きくなって、研磨精度の低下を招くおそれがある。
【0213】
さらに、裏面凹溝38の径方向ピッチ:Pbが小さ過ぎると、製造が難しく、損傷等が発生しやすくなって安定した研磨実現され難い。一方、裏面凹溝38の径方向ピッチ:Pbが大き過ぎると、裏面凹溝38を構成する円形の溝38,38,38,・・・の数が少なくなるため、裏面20において発揮される弾性が研磨用パッド98,100の径方向位置に応じて大きく異なることとなり、均一な研磨を効率よく行うことが困難となる。
【0214】
更にまた、裏面内外側壁面44,46の傾斜角度:αbが小さ過ぎると、研磨用パッド98,100に十分な弾性を付与することができず、所期の性能を発揮できないおそれがある。一方、裏面内外側壁面44,46の傾斜角度:αbが大き過ぎると、製造が難しくなるだけでなく、裏面凹溝38の側壁部分の強度が低下して面圧分布が安定し難くなったり、研磨用パッド98,100の耐久性が充分に得られ難くなるおそれがある。
【0215】
また、裏面凹溝38の底面は、形状等が限定されるものでなく、湾曲面や平坦面等の何れであっても良いが、特に本実施形態では、裏面凹溝38の底面が研磨用パッド98,100の中心軸18に対して直交する平坦面とされている。このように裏面凹溝38の底面を研磨用パッド98,100の表面と略平行な平坦面とすることにより、裏面凹溝38の有効深さを大きく設定した場合でも、裏面凹溝38の底壁部の間隙を有利に確保して良好な強度特性を得ることが可能となる。
【0216】
そして、このような表面14及び裏面20を有する研磨用パッド98,100は、従来と同様にして、ウェハ等の研磨に用いられる。具体的には、例えば図55,56に示されているように、研磨装置の回転板(支持板)24の支持面上に載置されて、エアによる負圧吸引や両面テープによる接着等の手段で回転板24に固定されて装着される。そして、中心軸18の回りに回転駆動せしめられつつ、表面14に対してウェハ26が重ね合わせられることにより、研磨処理に供されることとなる。また、そのような研磨処理に際しては、従来と同様に、一般に、研磨用パッド98,100の表面14とウェハ26の被加工面28の対向面間に対して研磨液(スラリ)30が供給されると共に、ウェハ26自体もその中心軸回りに回転駆動せしめられる。なお、研磨液30は、例えば研磨用パッド98,100の中央部分から研磨用パッド98,100の表面に供給され、研磨用パッド98,100の中心軸18回りの回転に伴う遠心力の作用で研磨用パッド98,100の表面に広がるようにされる。
【0217】
このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド98,100においては、上述した従来技術の問題点における(問題点2),(問題点4)を有効に解決することができる。
【0218】
すなわち、裏面凹溝38を中心軸に対して傾斜せしめられた傾斜溝としたことにより、凹溝の形成によって研磨用パッド98,100に付与される弾性を、より有利に確保することが可能となって、研磨用パッド98,100に対する種々の要求性能に対して確実に対応することが可能となる。しかも、傾斜溝を円環状に延びる態様で採用することにより、溝を傾斜せしめたことによって被加工物への接触面(加工面)に作用する応力に基づくパッド基板12の弾性変形が、一方向に剪断的に発生することを効果的に回避することが出来るため、ウェハ等の被加工物を軸直角方向で固定的に位置決めして保持することが出来て、高精度の研磨を安定して行うことが可能となる。
【0219】
また、裏面凹溝38を周方向に延びる円環溝としたことにより、表面14側に供給される研磨液30が外周面を伝って裏面20側へ浸入することを有利に防ぐことができる。それ故、研磨液30が裏面20と回転板24の支持面との対向面間に浸入することに起因する、研磨用パッド98,100が研磨装置の回転板24から剥離したり、回転板上で変位したりといった問題の発生を防止することが出来て、高い信頼性をもって研磨処理を行うことが可能となる。
【0220】
さらに、裏面凹溝38の幅寸法:Bb,深さ寸法:Db,径方向ピッチ:Pb,αbを上述した所定の範囲内で設定することにより、研磨用パッド98,100に十分な弾性を確保することが出来ると共に、裏面20と回転板24との間で十分な固着力を得ることが出来て、高い信頼性を実現することが可能となる。
【0221】
なお、本実施形態において表面14は凹溝等が形成されていない平滑面とされていたが、表面14には、図57〜60,或いは図2〜4,8〜15,18〜49,61〜67に示されているような各種形状を有する表面凹溝を形成することが可能である。具体的には、例えば、中心軸18を曲率中心として周方向に延びる多数の円形溝によって構成された表面凹溝16や、径方向一方向において直線的に延びる多数の直線溝によって構成された表面凹溝50,中心軸18を曲率中心として周方向に延びて、中心軸18(中心軸18に平行な直線)に対して所定の傾斜角度をもって傾斜せしめられた多数の円形溝によって構成された表面凹溝36,径方向一方向において直線的に延びて、中心軸18(中心軸18に平行な直線)に対して所定の傾斜角度をもって傾斜せしめられた多数の直線傾斜溝によって構成された表面凹溝60,図64に示されているように、略直交する径方向二方向にそれぞれ延びる多数の直線溝によって構成された表面凹溝102,図65に示されているように、円環凹溝によって構成された表面凹溝16(36)と直線溝によって構成された表面凹溝50(60)とを組み合わせて構成された表面凹溝104,図66に示されているように、屈曲せしめられてジグザグに延びる表面凹溝106,図67に示されているように、中心軸18から放射状に延びる表面凹溝108など、各種態様の表面凹溝が適宜に選択されて表面14に形成され得る。
【0222】
また、上述の説明からも明らかなように、図3,4,10〜15,21〜26,30〜35,41〜44,48〜53においてそれぞれ示されている前記各実施形態は、何れも本発明の請求項9に記載された発明の構造を有しており、本実施形態において説明したように、従来技術の問題点における(問題点2)と(問題点4)を有効に解決することが可能である。
〔実施形態E〕
【0223】
また、図68〜70には、請求項11,12,13に記載された本発明の一実施形態としての研磨用パッド110,112が示されている。
【0224】
より詳細には、この研磨用パッド110,112は、全体に一定の厚さ寸法:Tを有する薄肉円板形状のパッド基板12によって形成されている。このパッド基板12は、例えば硬質の発泡或いは未発泡の合成樹脂材料や硬質ゴム材料,或いは繊維材料や無機材料などをはじめとする各種の適当な材料によって形成されており、特に本実施形態においては、発泡ウレタンによって形成されている。なお、パッド厚さ寸法は、限定されるものでなく、パッド基板12の材質だけでなく、加工対象となるウェハの材質や、要求される加工精度などに応じて適宜に設定される。
【0225】
また、かかるパッド基板12の一方の面である表面14には、周方向に延びる円形溝によって構成された表面凹溝36が、パッド基板12の中心軸18の回りに形成されており、表面14に開口せしめられている。
【0226】
かかる表面凹溝36は、本実施形態において、図68に示されているように、それぞれ中心軸18を曲率中心として延びる、相互に曲率半径が異ならせられた多数の円形の溝36,36,36,・・・によって構成されている。
【0227】
また、本実施形態においては、表面凹溝36は、パッド基板の中心軸(中心軸18に平行な直線)に対して一定の角度で傾斜せしめられた傾斜溝によって構成されている。具体的には、例えば、表面凹溝36の内周側の側壁面(以下「表面内側壁面」という)40と表面凹溝36の外周側の側壁面(以下「表面外側壁面」という)42の何れもが中心軸18に対して所定角度:αt(中心軸18に平行な直線との交角=αt)だけ傾斜せしめられた傾斜面とされている。要するに、本実施形態における表面凹溝36では、表面内側壁面40と表面外側壁面42が互いに平行な面とされており、表面凹溝36の周方向だけでなく深さ方向においても、表面凹溝36の全体に亘って略一定の幅寸法:Btとされており、図69に示された研磨用パッド110においては、かかる表面凹溝36が、開口部に行くに従って次第に中心軸18から外周側に離隔して、パッド基板12の径方向斜め外方に向かって開口せしめられている一方、図70に示された研磨用パッド112においては、かかる表面凹溝36が、開口部に行くに従って次第に中心軸18に接近して、パッド基板12の径方向斜め内方に向かって開口せしめられている。
【0228】
なお、表面凹溝36の各部寸法等の具体的な設定値は、パッド基板12の材質や厚さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成されたメタル線の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定されるものであって、特に限定されるものでないが、一般に、表面凹溝36の溝幅:Bt,深さ:Dt,径方向ピッチ:Pt,傾斜角度:αtの各値は、以下の範囲内で設定されることが望ましい。
【0229】
〔略円形の周方向溝の場合〕
0.005mm ≦ Bt ≦ 3.0mm
0.1mm ≦ Dt ≦ 2.0mm
0.1mm ≦ Pt ≦ 10.0mm
−30度 ≦ αt ≦ 30度
【0230】
また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
〔略円形の周方向溝の場合〕
0.005mm ≦ Bt ≦ 2.0mm
(より一層好ましくは、0.005mm ≦ Bt ≦ 1.0mm)
0.1mm ≦ Dt ≦ 1.0mm
0.2mm ≦ Pt ≦ 2.0mm
−30度 ≦ αt ≦ −10度
又は、 10度 ≦ αt ≦ 30度
【0231】
蓋し、表面凹溝36の溝幅:Btが小さ過ぎると、研磨くず等による表面凹溝36の目詰まりが発生し易くなって安定した効果が発揮され難い。一方、表面凹溝36の溝幅:Btが大き過ぎると、表面凹溝36によって研磨用パッド110,112に付与される弾性が大きくなりすぎると共に、表面凹溝36のエッジ部分(開口端縁部)におけるウェハとの接触面圧が増大して食い込み状の研磨等が発生し易く、安定した研磨が実現され難い。
【0232】
また、表面凹溝36の溝深さ:Dtが小さ過ぎると、研磨用パッド110,112の表面14の剛性が大きくなり過ぎて、研磨用パッド110,112に付与される弾性が表面14において有効に発揮されずに精密な研磨が困難となる傾向にある。一方、表面凹溝36の溝深さ:Dtが大き過ぎると、過大な弾性が表面凹溝36によって研磨用パッド110,112に付与される。更に、製造が困難となる一方、研磨用パッド110,112の表面14が変形し易くなると共に、スティックスリップの発生のおそれもあり、研磨が不安定となり易い。
【0233】
更にまた、表面凹溝36の径方向ピッチ:Ptが小さ過ぎると、製造が難しく、研磨用パッド110,112の表面14の変形や損傷が発生し易くなって安定した研磨が実現され難い。一方、表面凹溝36の径方向ピッチ:Ptが大き過ぎると、研磨精度や研磨効率の低下を招くおそれがある。
【0234】
また、表面内外側壁面40,42の傾斜角度:αtが小さ過ぎると、研磨用パッド110,112に十分な弾性を付与することができず、所期の性能を発揮できないおそれがある。一方、表面内外側壁面40,42の傾斜角度:αtが大き過ぎると、製造が難しくなるだけでなく、表面凹溝36の側壁部分の強度が低下して面圧分布が安定し難くなったり、研磨用パッド110,112の耐久性が充分に得られ難くなるおそれがある。
【0235】
一方、パッド基板12の他方の面である裏面20には、周方向に延びる円形溝によって構成された裏面凹溝22が、パッド基板の中心軸18の回りに形成されており、裏面20に開口せしめられている。
【0236】
かかる裏面凹溝22は、本実施形態において、それぞれ中心軸18を曲率中心として延びる、相互に曲率半径が異ならせられた多数の円形の溝22,22,22,・・・によって構成されている。
【0237】
なお、裏面凹溝22の各部寸法等の具体的な設定値は、パッド基板12の材質や厚さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成されたメタル線の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定されるものであって、特に限定されるものでないが、一般に、裏面凹溝22の溝幅:Bb,深さ:Db,径方向ピッチ:Pbの各値は、以下の範囲内で設定されることが望ましい。
【0238】
〔略円形の周方向溝の場合〕
0.005mm ≦ Bb ≦ 3.0mm
0.1mm ≦ Db ≦ 2.0mm
0.1mm ≦ Pb ≦ 5.0mm
【0239】
また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
〔略円形の周方向溝の場合〕
0.005mm ≦ Bb ≦ 2.0mm
(より一層好ましくは、0.005mm ≦ Bb ≦ 1.0mm)
0.1mm ≦ Db ≦ 1.0mm
0.2mm ≦ Pb ≦ 2.0mm
【0240】
蓋し、裏面凹溝22の溝幅:Bbや溝深さ:Dbが小さ過ぎると、研磨用パッド110,112に対して十分な弾性を付与することが困難となり、所期の研磨精度を実現することが難しい。一方、裏面凹溝22の溝幅:Bbや溝深さ:Dbが大き過ぎると、研磨用パッド110,112の裏面20において発揮される弾性が必要以上に大きくなって、研磨精度の低下を招くおそれがある。
【0241】
さらに、裏面凹溝22の径方向ピッチ:Pbが小さ過ぎると、製造が難しく、損傷等が発生しやすくなって安定した研磨実現され難い。一方、裏面凹溝22の径方向ピッチ:Pbが大き過ぎると、裏面凹溝22を構成する円形の溝22,22,22,・・・の数が少なくなるため、裏面20において発揮される弾性が研磨用パッド110,112の径方向位置に応じて大きく異なることとなり、均一な研磨を効率よく行うことが困難となる。
【0242】
また、表面凹溝36及び裏面凹溝22の底面は、形状等が限定されるものでなく、湾曲面や平坦面等の何れであっても良いが、特に本実施形態では、表面凹溝36と裏面凹溝22の底面が研磨用パッド110,112の中心軸18に対して直交する平坦面とされている。このように表面凹溝36と裏面凹溝22の底面を研磨用パッド110,112の表面と略平行な平坦面とすることにより、表面凹溝36と裏面凹溝22の有効深さを大きく設定した場合でも、表面凹溝と裏面凹溝22の底壁部の間隙を有利に確保して良好な強度特性を得ることが可能となる。
【0243】
また、本実施形態においては、表面凹溝36の溝深さ:Dtと裏面凹溝22の溝深さ:Dbの合計値(Dt+Db)が、パッド基板12の厚さ寸法:Tよりも小さくされている。なお、特に本実施形態においては、パッド基板12の厚さ寸法:Tの値が以下の範囲内に設定されている。
0.5mm ≦ T ≦ 10.0mm
より好ましくは、
1.0mm ≦ T ≦ 3.0mm
【0244】
そして、このような表面14及び裏面20を有する研磨用パッド110,112は、従来と同様にして、ウェハ等の研磨に用いられる。具体的には、例えば図69,70に示されているように、研磨装置の回転板(支持板)24の支持面上に載置されて、エアによる負圧吸引や両面テープによる接着等の手段で回転板24に固定されて装着される。そして、中心軸18の回りに回転駆動せしめられつつ、表面14に対してウェハ26が重ね合わせられることにより、研磨処理に供されることとなる。また、そのような研磨処理に際しては、従来と同様に、一般に、研磨用パッド110,112の表面14とウェハ26の被加工面28の対向面間に対して研磨液(スラリ)30が供給されると共に、ウェハ26自体もその中心軸回りに回転駆動せしめられる。なお、研磨液30は、例えば研磨用パッド110,112の中央部分から研磨用パッド110,112の表面に供給され、研磨用パッド110,112の中心軸18回りの回転に伴う遠心力の作用で研磨用パッド110,112の表面に広がるようにされる。
【0245】
このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド110,112においては、上述した従来技術の問題点における(問題点1),(問題点4)を有効に解決することができる。
【0246】
すなわち、研磨用パッド110,112の裏面20に裏面凹溝22を形成すると共に、表面14に表面凹溝36を形成したことにより、研磨用パッド110,112に対して弾性を有利に付与することが可能となる。しかも、表面凹溝36を中心軸に対して傾斜せしめられた傾斜溝によって構成したことにより、凹溝の形成によって研磨用パッド110,112に付与される弾性をより一層有利に確保することが可能となって、研磨用パッド110,112に対する種々の要求性能に対して対応することが可能となる。
【0247】
また、裏面凹溝22を周方向に延びる円環溝としたことにより、表面14側に供給される研磨液30が外周面を伝って裏面20側へ浸入することを有利に防ぐことができる。それ故、研磨液30が裏面20と回転板24の支持面との対向面間に浸入することに起因する、研磨用パッド110,112が研磨装置の回転板24から剥離したり、回転板上で変位したりといった問題の発生を防止することが出来て、高い信頼性をもって研磨処理を行うことが可能となる。
【0248】
なお、図3,4,10〜15,19,20,23〜26,28〜33,37〜42,46〜53,59,60,63に示された各実施形態としての研磨用パッドは、請求項11に記載された発明に従う構造を有しており、本実施形態において示した上述の如き効果を有効に発揮することが可能となる。
【0249】
また、本実施形態においては、表面凹溝36を構成する傾斜溝を円環状に延びる態様で採用することにより、被加工物への接触面(加工面)に作用する応力に基づくパッド基板12の弾性変形が、溝を傾斜せしめたことによって一方向に剪断的に発生することを効果的に回避することが出来るため、ウェハ等の被加工物を軸直角方向で固定的に位置決めして保持することが出来て、高精度の研磨を安定して行うことが可能となる。
【0250】
さらに、表面凹溝36及び裏面凹溝22の幅寸法:Bb深さ寸法:Db,径方向ピッチ:Pbを上述した所定の範囲内で設定することにより、研磨用パッド110,112に十分な弾性を確保することが出来ると共に、裏面20と回転板24との間で十分な固着力を得ることが出来て、高い信頼性を実現することが可能となる。
【0251】
更にまた、表面凹溝36の溝深さ:Dtと、裏面凹溝22の溝深さ:Dbの合計値(Dt+Db)の値を、パッド基板12の厚さ寸法よりも小さくしたことにより、研磨用パッド110,112に対して適度な弾性を付与すると共に、十分な剛性を保つことができて、研磨精度を高度に確保することが可能となる。
【0252】
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0253】
例えば、図4〜60に示された各実施形態、即ち、実施形態B,C,Dにおいて、表面14に形成される表面凹溝の溝幅:Bt,溝深さ:Dt,径方向ピッチ:Pt,傾斜角度:αtの各値と、裏面凹溝の溝幅:Bb,溝深さ:Db,径方向ピッチ:Pb,傾斜角度:αbの各値とは相互に異なっていても良い。具体的には、例えば、図63に示されているように、溝幅が相互に異なる表面凹溝36と裏面凹溝38を組み合わせて採用しても良い。また、例えば、図62に示されているように、溝深さが相互に異なる表面凹溝16と裏面凹溝22を組み合わせて採用することも可能である。更に、例えば、図63に示されているように、傾斜角度が相互に異なる傾斜溝によってそれぞれ形成された表面凹溝16と裏面凹溝22を組み合わせて採用することも可能である。
【0254】
また、図5〜15に示された各実施形態、即ち、実施形態Bに係る研磨用パッドおいて、表面14に形成される表面凹溝の形状は、前記各実施形態のものに何等限定されない。具体的には、例えば、図64に示されているような略直交する二方向に延びる直線溝によって構成された格子状の表面凹溝102や、図65に示されているような周方向に延びる円形溝と直線的に延びる直線溝とを組み合わせて構成された表面凹溝104なども適宜に採用され得る。
【0255】
また、前記各実施形態において、表面凹溝16,36,50,60及び裏面凹溝22,38の底面は、表面14及び裏面20と平行に広がる平坦面とされていたが、例えば、図71に示すように、湾曲面によって構成されていても良い。
【0256】
また、前記各実施形態において示された研磨用パッドはシリコンウェハ等の研磨の他、ガラス基板の研磨などにも好適に採用され得る。
【0257】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0258】
【図1】本発明の一実施形態としての研磨用パッドを示す平面図である。
【図2】図1に示された研磨用パッドの研磨装置への装着状態を示した縦断面図である。
【図3】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図4】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図5】本発明の一実施形態としての研磨用パッドを示す平面図である。
【図6】図5に示された研磨用パッドの底面図である。
【図7】図5に示された研磨用パッドの研磨装置への装着状態を示した縦断面図である。
【図8】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図9】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図10】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図11】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図12】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図13】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図14】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図15】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図16】本発明の一実施形態としての研磨用パッドを示す平面図である。
【図17】図16に示された研磨用パッドの底面図である。
【図18】図16に示された研磨用パッドの研磨装置への装着状態を示した縦断面図である。
【図19】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図20】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図21】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図22】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図23】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図24】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図25】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図26】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図27】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図28】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図29】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図30】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図31】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図32】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図33】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図34】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図35】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図36】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図37】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図38】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図39】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図40】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図41】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図42】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図43】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図44】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図45】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図46】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図47】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図48】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図49】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図50】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図51】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図52】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図53】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図54】本発明の実施形態としての研磨用パッドを示す平面図である。
【図55】図54に示された研磨用パッドの研磨装置への装着状態を示した縦断面図である。
【図56】図54に示された研磨用パッドの研磨装置への装着状態を示した縦断面図である。
【図57】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図58】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図59】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図60】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図61】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図62】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図63】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【図64】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す平面図である。
【図65】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す平面図である。
【図66】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す平面図である。
【図67】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す平面図である。
【図68】本発明の実施形態としての研磨用パッドを示す平面図である。
【図69】図68に示された研磨用パッドの研磨装置への装着状態を示した縦断面図である。
【図70】図68に示された研磨用パッドの研磨装置への装着状態を示した縦断面図である。
【図71】本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0259】
10 研磨用パッド
14 表面
16 表面凹溝
18 中心軸
20 裏面
22 裏面凹溝
36 表面凹溝
38 裏面凹溝
40 表面内側壁面
42 表面外側壁面
44 裏面内側壁面
46 裏面外側壁面
48 研磨用パッド
50 表面凹溝
74 研磨用パッド
98 研磨用パッド
100 研磨用パッド
110 研磨用パッド
112 研磨用パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄肉円板形状を有しており、裏面において支持面に固着されることにより研磨装置に装着され、表面において半導体ウェハ等の加工対象物に対して研磨作用を施す研磨用パッドであって、
前記裏面と前記表面の両面に対して、中心軸周りで同心的に延びる複数条の環状凹溝を、同一の断面形状と同一の径方向間隔で、略同じ数だけ形成したことを特徴とする研磨用パッド。
【請求項2】
薄肉円板形状を有しており、裏面において支持面に固着されることにより研磨装置に装着され、表面において半導体ウェハ等の加工対象物に対して研磨作用を施す研磨用パッドであって、
前記裏面に対して中心軸回りで同心的に延びる複数条の環状凹溝を形成する一方、前記表面に対して、互いに平行に延びる複数条の直線凹溝を少なくとも一方向に形成したことを特徴とする研磨用パッド。
【請求項3】
薄肉円板形状を有しており、裏面において支持面に固着されることにより研磨装置に装着され、表面において半導体ウェハ等の加工対象物に対して研磨作用を施す研磨用パッドであって、
前記裏面に対して、中心軸回りで同心的に延びる複数条の裏側環状凹溝を所定の径方向間隔で形成すると共に、前記表面に対して、中心軸回りで同心的に延びる複数条の表側環状凹溝を所定の径方向間隔で形成する一方、これら裏側環状凹溝と表側環状凹溝の何れか一方の環状凹溝の径方向間に、他方の環状凹溝が一本乃至複数本位置するようにしたことを特徴とする研磨用パッド。
【請求項4】
前記表側環状凹溝を、前記裏側環状凹溝と同じ一定の径方向間隔で形成すると共に、該表側環状凹溝が該裏側環状凹溝の径方向間の略中央部分に位置するようにした請求項3に記載の研磨用パッド。
【請求項5】
請求項1に記載の構成を採用した、請求項4に記載の研磨用パッド。
【請求項6】
前記裏側環状凹溝を、前記表側環状凹溝よりも小さな径方向間隔で形成した請求項3に記載の研磨用パッド。
【請求項7】
前記裏側環状凹溝と前記表側環状凹溝の何れか一方の環状凹溝の深さ寸法と、該一方の環状凹溝の径方向間に位置せしめられた前記他方の環状凹溝の深さ寸法との合計値が、パッド全体の厚さ寸法よりも大きくされた請求項3乃至6の何れかに記載の研磨用パッド。
【請求項8】
前記裏側環状凹溝の深さ寸法と前記表側環状凹溝の深さ寸法の合計値を、パッド全体の厚さ寸法よりも小さくした請求項3乃至6の何れかに記載の研磨用パッド。
【請求項9】
薄肉円板形状を有しており、裏面において支持面に固着されることにより研磨装置に装着され、表面において半導体ウェハ等の加工対象物に対して研磨作用を施す研磨用パッドにおいて、
前記裏面に対して、中心軸回りで同心的に延びる複数条の裏側環状凹溝を形成すると共に、それら複数条の裏側環状凹溝を、何れも、その内周面と外周面が何れも中心軸に対して略一定の傾斜角度を持って平行に傾斜せしめられた略一定の断面形状で周方向の全周に亘って延びる傾斜凹溝としたことを特徴とする研磨用パッド。
【請求項10】
請求項1乃至8の何れかに記載の構成を採用した、請求項9に記載の研磨用パッド。
【請求項11】
薄肉円板形状を有しており、裏面において支持面に固着されることにより研磨装置に装着され、表面において半導体ウェハ等の加工対象物に対して研磨作用を施す研磨用パッドにおいて、
前記裏面に対して中心軸回りで同心的に延びる複数条の環状凹溝を形成する一方、前記表面に対して複数条の表側凹溝を形成すると共に、それら表側凹溝を、両側壁内面が略平行に傾斜せしめられた傾斜凹溝としたことを特徴とする研磨用パッド。
【請求項12】
請求項1乃至10の何れかに記載の構成を採用した、請求項11に記載の研磨用パッド。
【請求項13】
前記裏面に形成された複数条の環状溝における幅寸法:B,深さ寸法:D,径方向ピッチ:Pを、下式:
0.005mm ≦ B ≦ 3.0mm
0.1mm ≦ D ≦ 2.0mm
0.1mm ≦ P ≦ 5.0mm
の範囲で設定した請求項1乃至12の何れかに記載の研磨用パッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【公開番号】特開2006−187819(P2006−187819A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−383013(P2004−383013)
【出願日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(599096053)東邦エンジニアリング株式会社 (11)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】