説明

研磨用組成物及び研磨方法

【課題】タングステンを含むウエハを研磨する用途により適した研磨用組成物及びその研磨用組成物を用いた研磨方法を提供する。
【解決手段】本発明の研磨用組成物は、コロイダルシリカと過酸化水素とを含有する。研磨用組成物のpHは5〜8.5であり、研磨用組成物中の鉄イオン濃度は0.02ppm以下である。研磨用組成物は、リン酸又はリン酸塩をさらに含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タングステンを含むウエハを研磨する用途、より具体的にはタングステンプラグを形成するべくタングステンパターン付きウエハを研磨する用途に主に使用される研磨用組成物及びその研磨用組成物を用いた研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タングステンを含むウエハを研磨する用途に使用される研磨用組成物として、過酸化水素などの酸化剤、硝酸鉄などの鉄触媒、及びシリカなどの砥粒を含有する研磨用組成物が特許文献1に開示されている。しかしながら、特許文献1の研磨用組成物を用いて研磨を行った場合には、研磨用組成物中の鉄イオンによるウエハの鉄汚染が避けられないという問題があった。また、特許文献1の研磨用組成物では、シリコン酸化膜に対してタングステン膜を選択的に研磨することができなかった。
【特許文献1】特開平10−265766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、タングステンを含むウエハを研磨する用途により適した研磨用組成物及びその研磨用組成物を用いた研磨方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、コロイダルシリカと過酸化水素とを含有し、pHが5〜8.5であり、研磨用組成物中の鉄イオン濃度が0.02ppm以下である研磨用組成物を提供する。
【0005】
請求項2に記載の発明は、リン酸又はリン酸塩をさらに含有する請求項1に記載の研磨用組成物を提供する。
請求項3に記載の発明は、シリコン酸化膜の研磨速度に対するタングステン膜の研磨速度の比が3以上である請求項1又は2に記載の研磨用組成物を提供する。
【0006】
請求項4に記載の発明は、研磨用組成物を用いて研磨後のウエハにおけるシリコン酸化膜のロスのばらつきを20nm以下とすることができる請求項1〜3のいずれか一項に記載の研磨用組成物を提供する。
【0007】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の研磨用組成物を用いて、タングステンを含むウエハを研磨する研磨方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、タングステンを含むウエハを研磨する用途により適した研磨用組成物及びその研磨用組成物を用いた研磨方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
本実施形態の研磨用組成物は、コロイダルシリカ及び過酸化水素を、好ましくはpH調整剤とともに、水と混合することによってpHが5〜8.5になるように、かつ研磨用組成物中の鉄イオン濃度が0.02ppm以下になるように製造される。従って、研磨用組成物は、コロイダルシリカ、過酸化水素及び水を含有し、好ましくはpH調整剤をさらに含有する。
【0010】
この研磨用組成物は、タングステンを含むウエハを研磨する用途に使用される。より具体的には、タングステンプラグを形成するべくタングステンパターン付きウエハを研磨する用途、特にシリコン酸化膜に対してタングステン膜を選択的に研磨する用途に使用される。
【0011】
前記コロイダルシリカは、pHが5〜8.5の領域ではシリコン酸化膜に対してタングステン膜を選択的に機械的研磨する作用を有し、研磨用組成物によるタングステン膜の研磨速度を向上させる働きをする。なお、コロイダルシリカの代わりにヒュームドシリカやα−アルミナなどの他の砥粒を使用した場合には、研磨用組成物を用いて研磨後のウエハで測定されるエロージョン量を実用に足るレベルにまで低減することはできない。
【0012】
研磨用組成物に含まれるコロイダルシリカは、ケイ酸ソーダ法により合成されるコロイダルシリカよりはゾルゲル法により合成されるコロイダルシリカであることが好ましい。ゾルゲル法により合成されるコロイダルシリカは、ケイ酸ソーダ法により合成されるコロイダルシリカに比べて純度が高く、特に鉄イオンやナトリウムイオンなどの不純物金属イオンの含有量が少ない点で有利である。ゾルゲル法によるコロイダルシリカの合成は、ケイ酸メチルをメタノール、アンモニア及び水からなる溶媒中に溶解して加水分解させることにより行われる。一方、ケイ酸ソーダ法によるコロイダルシリカの合成は、ケイ酸ナトリウムを出発原料として用いてイオン交換を通じて行われる。
【0013】
研磨用組成物に含まれるコロイダルシリカの平均一次粒子径は8nm以上であることが好ましく、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは12nm以上である。平均一次粒子径が大きくなるにつれて、タングステン膜を機械的に研磨するコロイダルシリカの作用が強まるため、研磨用組成物によるタングステン膜の研磨速度は向上する。この点、コロイダルシリカの平均一次粒子径が8nm以上、さらに言えば10nm以上、もっと言えば12nm以上であれば、研磨用組成物によるタングステン膜の研磨速度を実用上特に好適なレベルにまで向上させることができる。
【0014】
研磨用組成物に含まれるコロイダルシリカの平均一次粒子径はまた100nm以下であることが好ましく、より好ましくは85nm以下、さらに好ましくは70nm以下である。平均一次粒子径が小さくなるにつれて、コロイダルシリカの分散性が向上し、研磨用組成物中にコロイダルシリカの沈殿が生じにくくなる。この点、コロイダルシリカの平均一次粒子径が100nm以下、さらに言えば85nm以下、もっと言えば70nm以下であれば、研磨用組成物中のコロイダルシリカの分散性を実用上特に好適なレベルにまで向上させることができる。また、コロイダルシリカの平均一次粒子径が70nm以下であれば、コロイダルシリカの平均一次粒子径が大きすぎる場合に起こりうる研磨用組成物によるタングステン膜の研磨速度の低下を抑制することもできる。なお、以上で説明した平均一次粒子径の値は、BET法で測定されるコロイダルシリカの比表面積に基づいて算出されるものである。
【0015】
研磨用組成物中のコロイダルシリカの含有量は10g/L以上であることが好ましく、より好ましくは15g/L以上、さらに好ましくは20g/L以上である。コロイダルシリカの含有量が多くなるにつれて、研磨用組成物によるタングステン膜の研磨速度は向上する。この点、研磨用組成物中のコロイダルシリカの含有量が10g/L以上、さらに言えば15g/L以上、もっと言えば20g/L以上であれば、研磨用組成物によるタングステン膜の研磨速度を実用上特に好適なレベルにまで向上させることができる。
【0016】
研磨用組成物中のコロイダルシリカの含有量はまた200g/L以下であることが好ましく、より好ましくは150g/L以下、さらに好ましくは100g/L以下である。コロイダルシリカの含有量が少なくなるにつれて、研磨用組成物によるタングステン膜の研磨速度に比べて研磨用組成物によるシリコン酸化膜の研磨速度が大きく低下するため、シリコン酸化膜に対するタングステン膜の研磨選択性が向上する。この点、研磨用組成物中のコロイダルシリカの含有量が200g/L以下、さらに言えば150g/L以下、もっと言えば100g/L以下であれば、シリコン酸化膜に対するタングステン膜の研磨選択性を実用上特に好適なレベルにまで向上させることができる。
【0017】
前記過酸化水素は、タングステン膜を酸化する作用を有し、研磨用組成物によるタングステン膜の研磨速度を向上させる働きをする。
研磨用組成物に含まれる過酸化水素は、ELグレード、すなわち電子工業用高純度品であることが好ましい。
【0018】
研磨用組成物中の過酸化水素の含有量は10g/L以上であることが好ましく、より好ましくは30g/L以上、さらに好ましくは50g/L以上である。過酸化水素の含有量が多くになるにつれて、研磨用組成物によるタングステン膜の研磨速度は向上する。この点、研磨用組成物中の過酸化水素の含有量が10g/L以上、さらに言えば30g/L以上、もっと言えば50g/L以上であれば、研磨用組成物によるタングステン膜の研磨速度を実用上特に好適なレベルまで向上させることができる。
【0019】
研磨用組成物中の過酸化水素の含有量はまた200g/L以下であることが好ましく、より好ましくは150g/L以下、さらに好ましくは100g/L以下である。過酸化水素の含有量が少なくなるにつれて、研磨用組成物の材料コストが抑えられる。この点、研磨用組成物中の過酸化水素の含有量が200g/L以下、さらに言えば150g/L以下、もっと言えば100g/L以下であれば、費用対効果の点で有利である。
【0020】
前記pH調整剤は、研磨用組成物のpHを5〜8.5、好ましくは6〜8、より好ましくは6.5〜7.5とするべく、必要に応じて適宜添加される。
pH調整剤として使用される酸は、硝酸、塩酸、ホウ酸、硫酸及びリン酸から選ばれる無機酸であってもよいし、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、グリセリン酸、マンデル酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、グリオキシル酸、グリコール酸、乳酸、グルコン酸、酒石酸、マレイン酸及びイタコン酸から選ばれる有機酸であってもよい。その中でも、硝酸は研磨用組成物の安定性を向上させる点で好ましく、リン酸は研磨用組成物によるタングステン膜の研磨速度を向上させる点で好ましく、クエン酸は研磨用組成物中の過酸化水素を安定化する点で好ましい。
【0021】
また、pH調整剤として使用されるアルカリは、アンモニア、第4級アンモニウム塩を除くアンモニウム塩、又はアルカリ金属水酸化物であることが好ましく、より好ましくは水酸化ナトリウム以外のアルカリ金属水酸化物又はアンモニア、最も好ましくはアンモニアである。アンモニア、第4級アンモニウム塩を除くアンモニウム塩、又はアルカリ金属水酸化物を使用した場合には、他のアルカリ、特に第4級アンモニウム塩を使用した場合に比べて、良好なスラリー安定性を有する研磨用組成物が得られる。また、水酸化ナトリウム以外のアルカリ金属水酸化物又はアンモニアを使用した場合には、シリコン酸化膜中にナトリウムイオンが拡散することによる不具合を避けることができ、アンモニアを使用した場合には、シリコン酸化膜中にアルカリ金属イオンが拡散することによる不具合を避けることができる。水酸化ナトリウム以外のアルカリ金属水酸化物は入手が容易な点で水酸化カリウムであることが好ましい。
【0022】
研磨用組成物のpHは5以上であることが必須である。研磨用組成物のpHが5以上であれば、研磨用組成物によるシリコン酸化膜の研磨が抑制されるため、シリコン酸化膜に対するタングステン膜の研磨選択性を向上させることができる。ただし、研磨用組成物のpHが弱酸性では研磨用組成物中のコロイダルシリカの安定性が低下するため、コロイダルシリカの安定性の向上のためには、研磨用組成物のpHは6以上であることが好ましく、より好ましくは6.5以上である。
【0023】
研磨用組成物のpHはまた8.5以下であることが必須である。これは、研磨用組成物のpHが8.5を超えると、研磨用組成物によるタングステン膜の研磨速度に関して実用に足るレベルにまで向上させることができないからである。研磨用組成物によるタングステン膜の研磨速度を実用上特に好適なレベルにまで向上させるためには、研磨用組成物のpHは8以下であることが好ましく、より好ましくは7.5以下である。
【0024】
本実施形態によれば以下の利点が得られる。
・ 本実施形態の研磨用組成物は、コロイダルシリカ及び過酸化水素を含有し、pHが5〜8.5に設定されているため、シリコン酸化膜に対してタングステン膜を選択的に研磨することができる。従って、この研磨用組成物によれば、シリコン酸化膜のロスを少なくすることができ、シリコン酸化膜のロスのばらつきも小さく抑えることができる。これにより、研磨後のウエハの表面平坦性は向上する。また、研磨用組成物中の鉄イオン濃度が0.02ppm以下であるため、ウエハの鉄汚染を極力抑制することもできる。よって、本実施形態の研磨用組成物は、タングステンを含むウエハを研磨する用途、より具体的にはタングステンプラグを形成するべくタングステンパターン付きウエハを研磨する用途に適する。
【0025】
・ 本実施形態の研磨用組成物には、ヨウ素酸や過ヨウ素酸などのヨウ素化合物が含有されていないため、研磨装置や研磨パッドを腐食する虞のあるヨウ素ガスが研磨中に研磨用組成物から発生する虞がない。
【0026】
前記実施形態は次のように変更されてもよい。
・ 前記実施形態の研磨用組成物には二種類以上のコロイダルシリカ、例えば平均一次粒子径が異なる二種類以上のコロイダルシリカが含有されてもよい。
【0027】
・ 前記実施形態の研磨用組成物には二種類以上のpH調整剤が含有されてもよい。
・ 前記実施形態の研磨用組成物には、リン酸塩を添加してもよい。リン酸塩を添加した場合には、pH調整剤としてリン酸を使用した場合と同様、研磨用組成物によるタングステン膜の研磨速度を向上させることができる。研磨用組成物に添加されるリン酸塩は、アルカリ金属のリン酸塩であってもよいし、リン酸二水素アンモニウムなどのリン酸アンモニウムであってもよい。
【0028】
・ 前記実施形態の研磨用組成物には必要に応じて、界面活性剤、水溶性高分子、金属キレート剤を添加してもよい。界面活性剤は、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤のいずれでもよい。水溶性高分子は、例えば、ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース又はプルランであってもよい。金属キレート剤は、例えば、エチレンジアミン四酢酸又はジエチレントリアミン五酢酸であってもよい。
【0029】
・ 前記実施形態の研磨用組成物は一剤型であってもよいし、二剤型を始めとする多剤型であってもよい。多剤型とする場合、コロイダルシリカを含む剤のpHは6〜12であることが好ましく、より好ましくは6.5〜11である。このpHが低すぎる場合には、コロイダルシリカの分散安定性が良くないため、ゲル化が起こりやすい。逆にpHが高すぎる場合には、コロイダルシリカの溶解が起こる虞がある。
【0030】
・ 前記実施形態の研磨用組成物は、研磨用組成物の原液を水で希釈することによって調製されてもよい。
・ 前記実施形態の研磨用組成物は、タングステン配線を形成するべくタングステンパターン付きウエハを研磨する用途に使用することもできる。
【0031】
次に、本発明の実施例及び比較例を説明する。
コロイダルシリカ、過酸化水素、酸、アルカリ及びリン酸塩を適宜に水と混合することにより実施例1〜16の研磨用組成物を調製した。コロイダルシリカ又はそれに代わる砥粒、過酸化水素又はそれに代わる酸化剤、酸、アルカリ、及びリン酸塩又はそれに代わる塩を適宜に水と混合することにより比較例1〜13の研磨用組成物を調製した。各例の研磨用組成物中のコロイダルシリカ又はそれに代わる砥粒、過酸化水素又はそれに代わる酸化剤、酸、アルカリ、及びリン酸塩又はそれに代わる塩の詳細、並びに研磨用組成物のpH及び研磨用組成物中の鉄イオン濃度を測定した結果を表1に示す。なお、研磨用組成物中の鉄イオン濃度の測定には、株式会社島津製作所製のプラズマ発光分析装置“ICPS-8100”を使用した。
【0032】
【表1】

表1の“コロイダルシリカ又はそれに代わる砥粒”欄中、“コロイダルシリカ*1”はゾルゲル法による平均一次粒子径が28nmのコロイダルシリカ、“コロイダルシリカ*2”はゾルゲル法による平均一次粒子径が23nmのコロイダルシリカ、“コロイダルシリカ*3”はゾルゲル法による平均一次粒子径が36nmのコロイダルシリカ、“コロイダルシリカ*4”はゾルゲル法による平均一次粒子径が44nmのコロイダルシリカ、“コロイダルシリカ*5”はゾルゲル法による平均一次粒子径が67nmのコロイダルシリカ、“コロイダルシリカ*6”はゾルゲル法による平均一次粒子径が22nmのコロイダルシリカ、“コロイダルシリカ*7”はゾルゲル法による平均一次粒子径が90nmのコロイダルシリカ、“コロイダルシリカ*8”はゾルゲル法による平均一次粒子径が11nmのコロイダルシリカ、“コロイダルシリカ*9”はゾルゲル法による平均一次粒子径が10nmのコロイダルシリカ、“コロイダルシリカ*10”はゾルゲル法による平均一次粒子径が30nmのコロイダルシリカ、“コロイダルシリカ*11”はケイ酸ソーダ法による平均一次粒子径が30nmのコロイダルシリカ、“フュームドシリカ”は平均粒子径が30nmのフュームドシリカ、“α−アルミナ”は平均粒子径が190nmのα−アルミナを表す。
【0033】
表1の“酸化剤”欄中、“H”は過酸化水素、“HIO”はオルト過ヨウ素酸を表す。
表1の“アルカリ”欄中、“KOH”は水酸化カリウム、“NH”はアンモニアを示す。
【0034】
表1の“塩類”欄中、“NHPO”はリン酸二水素アンモニウム、“NHNO”は硝酸アンモニウム、“NHCl”は塩化アンモニウムを表す。
下記の表2の“タングステン膜の研磨速度”欄及び“シリコン酸化膜の研磨速度”欄には、各例の研磨用組成物を用いて、タングステンブランケットウエハ及びTEOSブランケットウエハを表3に示す研磨条件で研磨したときにタングステン膜の研磨速度及びシリコン酸化膜(TEOS膜)の研磨速度を測定した結果を示す。研磨速度は、研磨前後の各ウエハの厚さの差を研磨時間で除することにより求めた。タングステンブランケットウエハの厚さの測定には、国際電気システムサービス株式会社のシート抵抗測定器“VR-120”を使用し、TEOSブランケットウエハの厚さの測定には、ケーエルエー・テンコール社の膜厚測定装置“ASET F5x”を使用した。
【0035】
表2の“選択比”欄には、上記にようにして求められるタングステン膜及びシリコン酸化膜の研磨速度からシリコン酸化膜の研磨速度に対するタングステン膜の研磨速度の比率を計算した結果を示す。
【0036】
表2の“エロージョン”欄には、各例の研磨用組成物を用いて表3に示す研磨条件で研磨したタングステンパターン付きウエハ(株式会社アドバンテック製)でエロージョン量を測定した結果を示す。使用したタングステンパターン付きウエハには、下から順に400nm厚のTEOS膜、20nm厚のチタン膜、50nmの窒化チタン膜及び400nm厚のタングステン膜が設けられている。TEOS膜の研磨量が厚さ80nmに達するまでタングステンパターン付きウエハを研磨することにより、0.2μm間隔で設けられた0.2μm幅のタングステンプラグをウエハ上に形成した。エロージョン量の測定は、ケーエルエー・テンコール社の接触式表面測定装置であるプロファイラ“HRP340”を用いて行った。
【0037】
表2の“鉄汚染”欄には、各例の研磨用組成物を用いて表3に示す研磨条件で研磨した後のタングステンパターン付きウエハの鉄汚染の程度を評価した結果を示す。具体的には、株式会社テクノス製の全反射蛍光X線分析装置“TREX620”を用いて、研磨後のタングステンパターン付きウエハ表面の鉄原子の個数を計測し、1×1010[atoms/cm2]未満の場合には○(良)、1×1010[atoms/cm2]以上の場合には×(不良)と評価した。
【0038】
表2の“シリコン酸化膜ロスのばらつき”欄には、各例の研磨用組成物を用いて表3に示す研磨条件で研磨したタングステンパターン付きウエハでシリコン酸化膜のロスのばらつきを測定した結果を示す。具体的には、ウエハの中心付近のセンター部分、ウエハの中心から30nm付近のミドル部分、及びウエハのエッジから30nm付近のエッジ部分におけるシリコン酸化膜の研磨前後の厚さの差を測定し、その厚さの差の最大値と最小値の差をシリコン酸化膜のロスのばらつきとした。
【0039】
表2の“スラリー安定性”欄には、各例の研磨用組成物のスラリー安定性を評価した結果を示す。より具体的には、各例の研磨用組成物1リットルを容量1リットルのポリエチレン瓶に入れて80℃の恒温槽中に保持し、一日経過した時点で研磨用組成物中に沈殿が生じたり研磨用組成物のゲル化が生じた場合には×(不良)、一日後にはなかったが一週間を経過した時点では沈殿又はゲル化があった場合には△(可)、一週間を経過しても沈殿又はゲル化がなかった場合には○(良)と評価した。
【0040】
表2の“ヨウ素ガス”欄には、各例の研磨用組成物のヨウ素ガス濃度を評価した結果を示す。具体的には、理研計器株式会社製のヨウ素ガス濃度検出器“EC-777”を用いて、各例の研磨用組成物のヨウ素ガス濃度を測定し、ヨウ素ガス濃度が0.1ppm以下の場合には○(良)、0.1ppmを上回る場合には×(不良)と評価した。
【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

表2に示すように、実施例1〜16の研磨用組成物では、タングステン膜の研磨速度に関して100nm/min以上という実用に足るレベルの値が得られ、シリコン酸化膜とタングステン膜の間の選択比に関しても3以上という実用に足るレベルの値が得られた。また、実施例1〜16の研磨用組成物では、エロージョンに関しても40nm以下という実用に足るレベルの値が得られた。さらに、シリコン酸化膜のロスのばらつきに関しても20nm以下という実用に足るレベルの値が得られた。また、実施例1〜16の研磨用組成物では、鉄汚染に関する評価がいずれも良であった。
【0043】
これに対し、比較例3〜13の研磨用組成物では、シリコン酸化膜とタングステン膜の間の選択比に関して実用に足るレベルの値が得られなかった。また、比較例1,2の研磨用組成物では、エロージョンに関して実用に足るレベルの値が得られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロイダルシリカと過酸化水素とを含有し、
pHが5〜8.5であり、
研磨用組成物中の鉄イオン濃度が0.02ppm以下であることを特徴とする研磨用組成物。
【請求項2】
リン酸又はリン酸塩をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の研磨用組成物。
【請求項3】
シリコン酸化膜の研磨速度に対するタングステン膜の研磨速度の比が3以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の研磨用組成物。
【請求項4】
研磨用組成物を用いて研磨後のウエハにおけるシリコン酸化膜のロスのばらつきを20nm以下とすることができる請求項1〜3のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の研磨用組成物を用いて、タングステンを含むウエハを研磨する研磨方法。

【公開番号】特開2008−135453(P2008−135453A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318670(P2006−318670)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000236702)株式会社フジミインコーポレーテッド (126)
【Fターム(参考)】