説明

研磨用組成物

【課題】配線構造体の製造における研磨工程において、表面段差の発生を抑制と高い研磨速度を両立できる研磨用組成物の提供。
【解決手段】砥粒、加工促進剤、ディッシング抑制剤、および水
を含んでなる研磨用組成物。ここで、前記砥粒が少なくとも第一の砥粒および第二の砥粒からなり、前記第一の砥粒の平均一次粒子径DS1に対する前記第二の砥粒の平均一次粒子径DL1の比DL1/DS1が5>DL1/DS1>1であり、かつ前記第一の砥粒の会合度が1.8以上5以下であり、前記第二の砥粒の会合度が2.5以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨用組成物に関するものである。より詳しくは、本発明は、例えば半導体デバイスの配線を形成するための研磨過程で使用される研磨用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータに使用されるULSI等の高集積化及び高速化に伴い、半導体装置のデザインルールは微細化が進んでいる。このような半導体装置の配線構造の微細化による配線抵抗の増大に対処するために、銅を含有する金属材料を配線材料として使用することが検討されている。
【0003】
銅を含有する金属材料を配線材料として使用する場合、異方性エッチングによる配線構造の形成は金属材料の性質上難しい。このため、配線構造は化学的機械的研磨法(Chemical Mechanical Polishing、以下CMP法ということがある)を用いた方法等によって形成されるのが一般的である。具体的には以下のような方法が用いられる。まず、タンタルや窒化タンタル等のタンタル含有化合物、またはチタン化合物やルテニウム化合物により形成されているバリア膜を、表面に配線溝が凹設された絶縁膜上に成膜する。次いで、銅を含有する金属材料により形成されている導体膜を、少なくとも配線溝内が完全に埋まるようにバリア膜上に成膜する。続いて、第1の研磨工程で導体膜の一部を研磨する。そして、第2の研磨工程で、導体膜を配線溝以外の箇所のバリア膜が露出するまで研磨する。次いで、第3の研磨工程でバリア膜を配線溝以外の箇所の絶縁膜が露出するまで研磨することにより、配線溝内に配線部を形成する。
【0004】
従来、研磨用組成物は、二酸化ケイ素等の研磨材や各種の添加剤を含むものが検討されている。しかし、従来の研磨用組成物には、上記したような研磨方法において、銅を含有する金属材料に対する研磨速度が高いために導体膜を過剰に研磨することがあった。このような場合、研磨後の被研磨面には、配線溝に対応する箇所の導体膜の表面がバリア膜の表面に比べて内方へ後退する現象、即ちディッシングが発生するという問題が発生する場合があった。
【0005】
このような問題を解決するために、種々の技術が検討されている。特許文献1には、一次粒子径が5〜30nmで、会合度が5以下のコロイダル粒子からなる研磨粒子を含む化学機械研磨用スラリーが開示されている。また、それに対して一次粒子径が20nmを超える第2コロイダル粒子を組み合わせることが開示されている。しかしながら、本発明者らの検討によれば、この特許文献に記載されたスラリーは、必ずしも高い研磨速度を得られず、また平坦性も改良の余地があった。これはおそらく、2種類のコロイダル粒子の大きさの比や会合度などが十分に調整されていなかったためと考えられる。
【0006】
また、特許文献2には、バリア金属膜と導体膜とを有する被研磨体を研磨するCMP法が開示されている。この方法は、ひとつの被研磨体を2種類の研磨液により続けて研磨するものであるが、それらは、(1)一次粒子径 が20〜50nmであり、且つ、会合度が2〜5である粒子、(2)有機酸、および(3)酸化剤を含むものであり、2種類の研磨液は粒子径が同様な粒子を含むものである。
【0007】
また、特許文献3にも、平均一次粒径が5〜300nmの範囲にあり、研磨剤中の会合度が1.5〜5の範囲にある砥粒(A)と、酸化剤(B)と、保護膜形成剤(C)と、酸(D)と、塩基性化合物(E)と、水(F)とを含有する研磨剤が開示されている。本発明者らの検討によれば、これらの特許文献に示されるような、単一の粒子を含む研磨用組成物では、平坦化特性に優れ、かつ表面に酸化膜等の変質層が形成された被研磨物においても研磨速度の低下を生じないという両方の性能を満たすことは困難である。また、特許文献3のように60nm以上の一次粒子径を持つ砥粒を用いた場合、平坦化性能が著しく悪化することもある。
【特許文献1】特開2002−141314号公報
【特許文献2】特開2007−227669号公報
【特許文献3】特開2007−12679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のように、従来の研磨用組成物では、研磨速度の向上と、ディッシング量の低減とが十分に両立されておらず、このようなジレンマを解決することができる研磨用組成物が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による研磨用組成物は、
(a)砥粒と、
(b)加工促進剤と、
(c)ディッシング抑制剤と、
(d)水と
を含んでなり、前記砥粒が少なくとも第一の砥粒および第二の砥粒からなり、前記第一の砥粒の平均一次粒子径DS1に対する前記第二の砥粒の平均一次粒子径DL1の比DL1/DS1が5>DL1/DS1>1であり、かつ前記第一の砥粒の会合度が1.8以上5以下であり、前記第二の砥粒の会合度が2.5以下であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、配線構造体の製造における研磨工程において、表面段差の発生を抑制することができるとともに良好な研磨速度を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
研磨用組成物
(a)砥粒
本発明による研磨用組成物に用いる砥粒は従来知られている任意のものから選択することができるが、具体的には、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、および酸化チタンからなる群より選ばれる少なくとも1種類であることが好ましい。
【0012】
二酸化ケイ素には、コロイダルシリカ、フュームドシリカ、およびその他の、製造法や性状の異なるものが多種存在する。
【0013】
また、酸化アルミニウムには、α−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、κ−アルミナ、およびその他の形態的に異なるものがある。また製造法からフュームドアルミナと呼ばれるものもある。
【0014】
酸化セリウムには、酸化数から3価のものと4価のもの、また結晶系から見て、六方晶系、等軸晶系、および面心立方晶系のものがある。
【0015】
酸化ジルコニウムは、結晶系から見て、単斜晶系、正方晶系、および非晶質のものがある。また、製造法からフュームドジルコニアと呼ばれるものもある。
【0016】
酸化チタンには、結晶系から見て、一酸化チタン、三酸化二チタン、二酸化チタンおよびその他のものがある。また製造法からフュームドチタニアと呼ばれるものもある。
【0017】
本発明の組成物には、これらのものを任意に、必要に応じて組み合わせて、用いることができる。組み合わせる場合には、その組み合わせ方や使用する割合は特に限定されない。しかしながら、本発明による効果、かつ経済性や入手容易性の観点から、二酸化ケイ素が好ましく、コロイダルシリカが特に好ましい。また、本発明による砥粒は後述するように第一の砥粒と、第二の砥粒とを混合して用いるが、いずれもコロイダルシリカであることが好ましい。
【0018】
本発明においては、砥粒は少なくとも第一の砥粒と、第二の砥粒とを含んでなる。ここで、第一の砥粒と第二の砥粒とは平均一次粒子径が異なるものである。この平均一次粒子径は、BET法(窒素吸着法)による比表面積より計算することにより求められる。また、砥粒は組成物中で会合して二次粒子を形成するが、この二次粒子の平均二次粒子径は動的光散乱法により測定することができる。本発明による研磨用組成物に用いられる砥粒は、平均一次粒子径、平均二次粒子径、およびそれらの比である会合度により特徴づけられる。
【0019】
まず、第一の砥粒は、第二の砥粒に対して平均一次粒子径が小さいものとする。この第一の砥粒の平均一次粒子径をDS1、平均二次粒子径をDS2とすると、DS1は一般に5〜40nm、好ましくは5〜20nm、更に好ましくは7〜15nmである。ここで、DS1は金属層、特に銅層を十分な速度で研磨するという観点から5nm以上であることが好ましく、一方で段差形状を良好に維持するという観点から40nm以下であることが好ましい。
【0020】
また、会合度DS2/DS1は1.8以上5以下であり、好ましくは2.0以上4以下であり、更に好ましくは2.5以上3.5以下である。金属層を十分な速度で研磨するという観点から会合度は高いことが好ましく、一方で段差形状を良好に維持するという観点からは会合度は低いことが好ましい。
【0021】
また、第一の砥粒の含有量は、研磨用組成物の総重量を基準として、一般に0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜3重量%、更に好ましくは0.8〜2重量%である。金属層、特に銅層を十分な速度で研磨するという観点から0.1重量%以上であることが好ましく、一方で製造コストを抑制し、また段差形状を良好に維持するという観点から10重量%以下であることが好ましい。
【0022】
一方、第二の砥粒の平均一次粒子径をDL1、平均二次粒子径をDL2とすると、第一の砥粒の一次粒子径DS1に対して5>DL1/DS1>1であり、好ましくは4>DL1/DS1>2、更に好ましくは3.5>DL1/DS1>2.5である。この平均一次粒子径の比DL1/DS1は被研磨物の表面に酸化膜等の変質層が形成されていたり、パターンが形成された後のウェハの研磨において十分な研磨速度を達成するという観点からは大きいことが好ましく、一方、段差形状を良好に保つという観点からは小さいことが好ましい。
【0023】
また、第二の砥粒における会合度はDL2/DL1は2.5以下であり、好ましくは2.2以下であり、更に好ましくは2.0以下である。この会合度は段差形状を良好に保つためにより小さいことが好ましい。
【0024】
また、第二の砥粒の含有量は、第一の砥粒の含有量に依存する。第二の砥粒(平均一次粒子径の大きい砥粒)の含有量が少ないことが好ましく、砥粒の総重量に対して、第一の砥粒の含有量が0.6以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましく、0.95以上であることが最も好ましい。言い換えれば、砥粒の総重量に対して、第二の砥粒の含有量が0.4以下であることが好ましく、0.1以下であることがより好ましく、0.05以下であることが最も好ましい。被研磨物の表面に酸化膜等の変質層が形成されていたり、パターンが形成された後のウェハの研磨において十分な研磨速度を達成するという観点からは、第一の砥粒の含有量が多いことが好ましく、段差形状の悪化を抑制するという観点からは第二の砥粒の含有量が多いことが好ましい。
【0025】
このように、本発明では、平均一次粒子径が小さく、かつ会合度が1.8以上の砥粒を用いることで良好な平坦性と高い研磨速度を達成すると同時に、平均二次粒子径が大きく、会合度が2.5以下の砥粒を併用することで、平坦性を悪化させることなく、表面に酸化膜等の変質層が形成された被研磨物や、パターン付ウェハにおいても研磨速度の低下を防ぐことができる。
【0026】
(b)加工促進剤
本発明による研磨用組成物は、少なくとも一種類の加工促進剤をさらに含んでなる。この加工促進剤は、金属層、特に銅層の研磨速度を促進するものである。その作用は、研磨により生じた金属イオンを捕捉することで、金属層の研磨を促進する。
【0027】
加工促進剤として好ましい具体例としては、優れた金属捕捉作用と入手の容易性から、カルボン酸およびアミノ酸が挙げられる。加工促進剤として用いることができるアミノ酸としては、例えばグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アロイソロイシン、セリン、トレオニン、アロトレオニン、システイン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、プロリン及びシスチン等の中性アミノ酸、アルギニン、ヒスチジン等の塩基性アミノ酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸が挙げられ、カルボン酸としては、シュウ酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、酒石酸、2−キノリンカルボン酸(キナルジン酸)、2−ピリジンカルボン酸、2,6−ピリジンカルボン酸、キノン等が挙げられる。これらのうち、最も好ましいのはグリシンである。
【0028】
本発明による研磨用組成物における加工促進剤の含有量は、研磨用組成物の総重量を基準として、一般に0.1〜3重量%、好ましくは0.5〜2重量%、更に好ましくは0.5〜1.5重量%である。金属層、特に銅層を十分な速度で研磨するという観点から0.1重量%以上であることが好ましく、一方で段差形状を良好に維持するという観点から3重量%以下であることが好ましい。
【0029】
(c)ディッシング抑制剤
本発明による研磨用組成物は、ディッシング抑制剤をさらに含んでなる。このディッシング抑制剤は金属層の表面状態を調製することによりディッシングの発生を抑制し、それと同時に金属層の腐食防止や研磨速度調整の機能をも併せ持つものである。
【0030】
そのようなディッシング抑制剤のひとつとして、ベンゾトリアゾールおよびその誘導体、トリアゾールおよびその誘導体、テトラゾールおよびその誘導体、インドールおよびその誘導体、ならびにイミダゾールおよびその誘導体が挙げられる。ベンゾトリアゾールおよびその誘導体は、金属層の表面に作用して、酸化剤などによる表面の腐食を抑制する機能をも有する。
【0031】
本発明において用いることができるベンゾトリアゾールおよびその誘導体としては、種々のものがあるが、下記一般式(III)で示されるものが好ましい。
【化1】

式中、Rは、水素、アルキル基、カルボキシル基で置換されたアルキル基、ヒドロキシル基および3級アミノ基で置換されたアルキル基、およびヒドロキシル基で置換されたアルキル基からなる群から選択され、R〜Rはそれぞれ独立に、水素および炭素数1〜のアルキル基からなる群から選択されるものである。
【0032】
具体的には、ベンゾトリアゾール、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、1−(2’、3’−ジヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾール、1−(2’、3’−ジヒドロキシプロピル)−4−メチルベンゾトリアゾール、1−(2’、3’−ジヒドロキシプロピル)−5−メチルベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1−[N, N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノメチル]−4−メチルベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノメチル]−5−メチルベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシメチル−1H−ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシメチル−4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、1−ヒドロキシメチル−5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、3−(4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)酪酸、3−(5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)酪酸、α−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−メタノール、α−エチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−メタノール、α−イソプロピル−1H−ベンゾトリアゾール−1−メタノール、1H−ベンゾトリアゾール−1−酢酸、1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−ベンゾトリアゾール、1−[[ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミノ]メチル]−1H−ベンゾトリアゾール、4,5−ジメチル−1H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0033】
これらのうち、本発明において好ましいベンゾトリアゾールは、1−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチル]−4−メチルベンゾトリアゾール、1−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチル]−5−メチルベンゾトリアゾール、またはそれらの混合物である。
【0034】
本発明による研磨用組成物における保護膜形成剤の含有量は、研磨用組成物の総重量を基準として、一般に0.001〜0.3重量%、好ましくは0.01〜0.1重量%、更に好ましくは0.02〜0.05重量%である。金属層の研磨速度を適切に抑制し、ディッシングを十分に低減させ、段差形状を良好に保つという観点から0.001重量%以上であることが好ましく。一方で過度に金属層の研磨速度を抑制することにより研磨速度が不当に低くならないように0.3重量%以下であることが好ましい。
【0035】
本発明による研磨用組成物に用いられるディッシング抑制剤のもう一つは、ノニオン界面活性剤である。このノニオン界面活性剤は、ディッシング抑制剤として機能するほか、研磨速度調整剤としても機能するものである。本発明において用いられるノニオン界面活性剤は、以下の式(I)により表されるものである。
R−POA (I)
(式中、Rはアルキル基を表し、POAはポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖およびポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)鎖からなる群から選択されるポリオキシアルキレン鎖を表す。)
ここで、水への溶解性、砥粒の分散性を良好に保つために、POAはポリオキシエチレン鎖であることが好ましく、Rの炭素数は10〜16であることが好ましく、さらにHLBが7〜14であることが好ましい。また、POAの重合度は砥粒の分散性を良好に保つために12以下であることが好ましい。なお、本発明において、HLBはグリフィンの式:
HLB=(親水部の式量の総和)/分子量)×20を用いて算出されたものである。
【0036】
また、研磨用組成物においてディッシング抑制剤として用いられるノニオン界面活性剤の含有量は、研磨用組成物の総重量を基準として、一般に0.0005〜0.5重量%、好ましくは0.01〜0.2重量%、更に好ましくは0.02〜0.1重量%である。金属層、特に銅層を十分な速度で研磨するという観点から0.0005重量%以上であることが好ましく、一方で段差形状を良好に維持するという観点から0.5重量%以下であることが好ましい。
【0037】
本発明による研磨用組成物に用いられるディッシング抑制剤のもう一つは、アニオン界面活性剤である。アニオン界面活性剤は、従来知られている任意のものから選択することができる。しかし、ノニオン界面活性剤との併用により、より強いディッシング抑制機能を発揮するものとして、下記式(IIa)または(IIb)で表されるアニオン界面活性剤が挙げられる。
R’−A (IIa)
R’−POA’−A (IIb)
(式中、R’はアルキル基、アルキルフェニル基、およびアルケニル基からなる群から選択される基を表し、POA’はポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖およびポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)鎖からなる群から選択されるポリオキシアルキレン鎖を表し、Aはアニオン性官能基を表す。)
ここで、ポリオキシアルキレン鎖を含む(IIb)のアニオン界面活性剤がより好ましい。
【0038】
本発明による研磨用組成物におけるアニオン界面活性剤の含有量は、研磨用組成物の総重量を基準として、一般に0.0005〜0.1重量%、好ましくは0.001〜0.05重量%、更に好ましくは0.005〜0.02重量%である。段差形状を良好に維持するという観点から0.0005重量%以上であることが好ましく。また金属層、特に銅層を十分な速度で研磨するという観点から0.1重量%以下であることが好ましい。
【0039】
(d)水
本発明による研磨用組成物は、各成分を分散又は溶解するための溶媒として水を含んでなる。水は、他の成分の作用を阻害することを抑制するという観点から、不純物をできる限り含有しない水が好ましく、具体的には、イオン交換樹脂にて不純物イオンを除去した後、フィルタを通して異物を除去した純水や超純水、又は蒸留水が好ましい。
【0040】
(e)酸化剤
本発明による研磨用組成物は必要に応じて酸化剤を含んでなることもできる。この酸化剤は金属層の研磨を促進する作用を有するものである。酸化剤としては、過酸化水素、過硫酸、過ヨウ素酸、過塩素酸、過酢酸、過蟻酸及び硝酸、並びにそれらの塩のうち少なくとも1種が挙げられるが、安価でかつ金属不純物の少ないものを容易に入手できることから、過酸化水素が好ましい。
【0041】
本発明による研磨用組成物における酸化剤の含有量は、金属層の十分な研磨速度を得るという観点、特に表面に酸化膜等の変質層が形成された被研磨物やパターン付ウェハにおいても高い研磨速度を達成できるとの観点から、研磨用組成物の総重量を基準として、0.3重量%以上が好ましく、0.5重量%以上がより好ましく、0.75重量%以上であることが特に好ましい。一方、酸化剤の含有量は、段差形状を良好に保つという観点から5重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましく、1.5重量%以下であることが特に好ましい。
(h)その他の成分
本発明による研磨用組成物には、必要に応じてその他の成分としてキレート剤、増粘剤、乳化剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、消泡剤等を情報に従って含有させることも可能である。
【0042】
本発明による研磨用組成物は、水に前記の各成分を溶解または分散させることにより調製される。溶解または分散の方法は任意であり、また各成分の混合順序や混合方法等は特に限定されるものではない。
【0043】
本発明の研磨用組成物のpHは特に限定されないが、公知の酸またはアルカリを添加することによって調整することが可能である。そのpHは、研磨用組成物の良好な取扱い性を維持するという観点から、好ましくは8〜10、より好ましくは9〜10である。
【0044】
本発明の研磨用組成物は、比較的高濃度の現役として調製して貯蔵または輸送などをし、実際の研磨加工時に希釈して使用することもできる。前述の好ましい濃度範囲は、実際の研磨加工時のものとして記述したものであり、このような使用方法をとる場合、貯蔵または輸送などをされる状態においてはより高濃度の溶液となることはいうまでもない。
【0045】
本発明を諸例を用いて説明すると以下の通りである。
【0046】
研磨用組成物の調製
研磨用組成物として、砥粒としてのコロイダルシリカ、加工促進剤としてのグリシン、酸化剤としての過酸化水素、ディッシング抑制剤としてのアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、およびベンゾトリアゾール化合物を、表1に示すとおりに配合して研磨用組成物を調製した。
【表1】

【0047】
研磨速度の評価
得られた研磨用組成物を用いて、下記の研磨条件1に従い、研磨速度を評価した。
<研磨条件1>
研磨機:片面CMP用研磨機(Reflexton LK;アプライドマテリアルズ社製)、
被研磨物:Cuブランケットウェハ(直径300mm)
研磨パッド:ポリウレタン製の積層研磨パッド(商品名IC−1010、ローム・アンド・ハース社製)、
研磨圧力:0.9psi(=約6.2kPa)、
定盤回転数:100rpm、
研磨用組成物の供給速度:300ml/min、
キャリア回転数:100rpm
<研磨速度の計算式>
研磨速度[nm/min]=(研磨加工前のブランケットウェハの厚み[nm]−研磨加工後のブランケットウェハの厚み[nm])÷研磨時間[min]
【0048】
研磨加工前後のCuブランケットウェハの厚みはシート抵抗測定器(VR−120SD/8(商品名)、株式会社日立国際電気製)を用いて測定した。得られた結果は表2に示すとおりであった。なお、一般に研磨速度は300nm/minであれば実用上問題がないものと考えられる。
【0049】
段差形状の測定
Cuパターンウェハ表面に、各例の研磨用組成物を用いて下記研磨条件2によりCu残膜300nmまで研磨を施した。上記研磨後、銅パターンウェハ表面に、各例の研磨用組成物を用いるとともに下記研磨条件3によりバリア膜が露出するまで研磨を施した。次いで、第2研磨後の銅パターンウェハ表面の100μm幅の孤立配線部において、原子間力顕微鏡(商品名WA−1300、日立建機ファインテック株式会社製)を用いてディッシング量を測定した。ディッシング量は、(◎)15nm未満、(○)15nm以上30nm未満、(△)30nm以上50nm未満、(×)50nm以上の4段階で評価した。得られた結果は表2に示すとおりであった。
【0050】
<研磨条件2>
研磨機:片面CMP用研磨機(Reflexion LK;アプライドマテリアルズ社製)、
被研磨物:銅パターンウェハ(SEMATECH社製、754マスクパターン、成膜厚さ10000Å、初期凹溝5000Å)、
研磨パッド:ポリウレタン製の積層研磨パッド(IC−1010;ローム・アンド・ハース社製)、
研磨圧力:2psi(=約14kPa)、
定盤回転数:100rpm、
研磨用組成物の供給速度:200ml/min、
キャリア回転数:100rpm
【0051】
<研磨条件3>
研磨機:片面CMP用研磨機(Reflexion LK;アプライドマテリアルズ社製)、
被研磨物:銅パターンウェハ(SEMATECH社製、754マスクパターン、成膜厚さ10000Å、初期凹溝5000Å)、
研磨パッド:ポリウレタン製の積層研磨パッド(IC−1010;ローム・アンド・ハース社製)、
研磨圧力:0.7psi(=約4.8kPa)、
定盤回転数:100rpm、
研磨用組成物の供給速度:300ml/min、
キャリア回転数:100rpm
【0052】
Cuパターン付ウェハの研磨速度の評価
Cuブランケットウェハ表面に、各例の研磨用組成物を用いるとともに研磨条件2により60秒間研磨を行いCuブランケットウェハの研磨速度を測定した。次いで、Cuパターン付ウェハ表面に、各例の研磨用組成物を用いるとともに研磨条件2によりCu残膜300nmまで研磨を施し、その際の研磨時間T1から、下記計算式によりパターン付ウェハでのCu速度を算出した。
Cuパターン付ウェハの研磨速度に関しては、下記計算式で求めた研磨速度比に関し、(◎)0.9以上、(○)0.8以上0.9未満、(△)0.6以上0.8未満、(×)0.6未満の3段階で評価した。
<Cuパターン付ウェハ研磨速度の計算式>
研磨速度 [nm/min]=Cuパターン付ウェハ研磨量 700[nm]/研磨時間 T1[sec]×60
<研磨速度比の計算式>
研磨速度比=Cuパターン付ウェハの研磨速度[nm/min] / Cuブランケットウェハの研磨速度[nm/min]
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)砥粒と、
(b)加工促進剤と、
(c)ディッシング抑制剤と、
(d)水と
を含んでなり、前記砥粒が少なくとも第一の砥粒および第二の砥粒からなり、前記第一の砥粒の平均一次粒子径DS1に対する前記第二の砥粒の平均一次粒子径DL1の比DL1/DS1が5>DL1/DS1>1であり、かつ前記第一の砥粒の会合度が1.8以上5以下であり、前記第二の砥粒の会合度が2.5以下であることを特徴とする、研磨用組成物。
【請求項2】
前記砥粒(a)の総重量に対する前記第一の砥粒の重量比が0.6以上1未満である、請求項1に記載の研磨用組成物。
【請求項3】
前記第一の砥粒の平均一次粒子径が5nm以上40nm未満である、請求項1または2に記載の研磨用組成物。
【請求項4】
酸化剤(e)をさらに含んでなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
【請求項5】
前記ディッシング抑制剤(c)が、ベンゾトリアゾールおよびその誘導体からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
【請求項6】
前記ディッシング抑制剤(c)が、
R−POA (I)
(但し、Rはアルキル基を表し、POAはポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖およびポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)鎖からなる群から選択されるポリオキシアルキレン鎖を表す。)で表されるノニオン界面活性剤、ならびに
R’−A (IIa)、および
R’−POA’−A (IIb)
(式中、R’はアルキル基、アルキルフェニル基、およびアルケニル基からなる群から選択される基を表し、POA’はポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖およびポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)鎖からなる群から選択されるポリオキシアルキレン鎖を表し、Aはアニオン性官能基を表す。)
で表されるアニオン界面活性剤からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の研磨用組成物。
【請求項7】
前記加工促進剤(b)が、カルボン酸およびアミノ酸からなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜6のいずれか一項に記載の研磨用組成物。

【公開番号】特開2009−164188(P2009−164188A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−339490(P2007−339490)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000236702)株式会社フジミインコーポレーテッド (126)
【Fターム(参考)】