説明

研磨用組成物

【課題】III−V族化合物材料を含有する部分とケイ素材料を含有する部分を同時に研磨する目的での使用に適した研磨用組成物を提供する。
【解決手段】本発明の研磨用組成物は、異形の砥粒と、標準電極が0.3V以上である酸化剤とを含有し、好ましくはアンモニウム塩などの塩をさらに含有する。研磨用組成物のpHは1〜6又は8〜14である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、III−V族化合物材料を含有する部分(以下、III−V族化合物材料部分ともいう)と酸化シリコンなどのケイ素材料を含有する部分(以下、ケイ素材料部分ともいう)とを有する研磨対象物を研磨する用途で使用される研磨用組成物に関する。本発明はまた、その研磨用組成物を用いた研磨方法及び基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンよりもキャリアの輸送特性に優れるヒ化ガリウム(GaAs)などのIII−V族化合物材料は、次世代の半導体チャネル材料として期待をされている。III−V族化合物チャネルは、III−V族化合物材料部分とケイ素材料部分とを有する研磨対象物を研磨して形成することができる。この場合、III−V族化合物材料部分とケイ素材料部分を非選択的に研磨除去することができる研磨用組成物を用いれば、III−V族化合物材料部分とケイ素材料部分を同時に研磨することが可能である。また、III−V族化合物材料部分とケイ素材料部分を非選択的に研磨することによって、III−V族化合物材料部分とケイ素材料部分との間に段差を生じさせることなく、所望とするパターン形状を良好に仕上げることができる。しかしながら、III−V族化合物半導体基板を研磨する用途で従来使用されている例えば特許文献1又は特許文献2に記載のような研磨用組成物は、ケイ素材料部分を研磨除去する能力に劣るために、III−V族化合物材料部分とケイ素材料部分を同時に研磨する目的での使用には不向きである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−150155号公報
【特許文献2】特開2004−327614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明の目的は、III−V族化合物材料部分とケイ素材料部分を同時に研磨する目的での使用に適した研磨用組成物を提供すること、またその研磨用組成物を用いた研磨方法及び基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様では、III−V族化合物材料部分とケイ素材料部分とを有する研磨対象物を研磨する用途で使用される研磨用組成物であって、異形の砥粒と、標準電極が0.3V以上である酸化剤とを含有し、pHが1〜6又は8〜14である研磨用組成物を提供する。
【0006】
前記砥粒の平均二次粒子径の値を前記砥粒の平均一次粒子径の値で除することにより得られる前記砥粒の平均会合度は1.6以上であることが好ましい。
前記砥粒は複数の突起を表面に有するいわゆる金平糖形の粒子であってもよい。その場合、複数の突起を表面に有する粒子のうち同粒子の体積平均粒子径よりも粒子径の大きな粒子が表面に有している突起の高さをそれぞれ同じ突起の基部における幅で除することにより得られる値の平均は0.245以上であることが好ましい。
【0007】
前記複数の突起を表面に有する粒子のうち同粒子の体積平均粒子径よりも粒子径の大きな粒子が表面に有している突起の平均高さは2.5nm以上であることが好ましい。
上記第1の態様の研磨用組成物は塩をさらに含有してもよい。その場合、前記塩はアンモニウム塩であることが好ましい。
【0008】
本発明の第2の態様では、上記第1の態様の研磨用組成物を用いて、III−V族化合物材料部分とケイ素材料部分とを有する研磨対象物を研磨する方法を提供する。
本発明の第3の態様では、上記第1の態様の研磨用組成物を用いて、III−V族化合物材料部分とケイ素材料部分とを有する研磨対象物を研磨することにより、基板を製造する方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、III−V族化合物材料部分とケイ素材料部分を同時に研磨する目的での使用に適した研磨用組成物と、その研磨用組成物を用いた研磨方法及び基板の製造方法とが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る研磨用組成物中に含まれる砥粒として使用することができる複数の突起を表面に有する粒子の外形を投影した輪郭を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を説明する。
本実施形態の研磨用組成物は、特定の砥粒と特定の酸化剤を水に混合して調製され、必要に応じてpH調整剤を添加することによりpHが1〜6又は8〜14の範囲に調整されている。従って、研磨用組成物は、特定の砥粒及び特定の酸化剤を含有し、必要に応じてさらにpH調整剤を含有している。
【0012】
この研磨用組成物は、III−V族化合物材料部分とケイ素材料部分とを有する研磨対象物を研磨する用途、さらに言えばその研磨対象物を研磨して基板を製造する用途においてIII−V族化合物材料部分とケイ素材料部分を同時に研磨する目的で使用される。III−V族化合物材料の例としては、リン化ガリウム(GaP)、リン化インジウム(InP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、ヒ化インジウム(InAs)、アンチモン化インジウム(InSb)等が挙げられる。また、ケイ素材料の例としては、ポリシリコン、酸化シリコン、窒化シリコン等が挙げられる。
【0013】
(砥粒)
研磨用組成物中に含まれる砥粒は、異形すなわち非球形の外形を有している。異形の砥粒を使用した場合、非異形すなわち球形の外形を有する砥粒を使用した場合に比べて、研磨用組成物によるIII−V族化合物材料部分及びケイ素材料部分の研磨速度、特にケイ素材料部分の研磨速度が向上するという有利がある。異形の砥粒の典型例としては、中央部にくびれを有するいわゆる繭形の粒子や、複数の突起を表面に有するいわゆる金平糖形の粒子がある。
【0014】
研磨用組成物中の砥粒が複数の突起を表面に有する粒子を含む場合、その粒子が表面に有する突起の数は、粒子1つあたり平均で3つ以上であることが好ましく、より好ましくは5つ以上である。
【0015】
ここでいう突起とは、砥粒の粒子径に比べて十分に小さい高さ及び幅を有するものである。さらに言えば、図1において点A及び点Bを通る曲線ABとして示されている部分の長さが、砥粒粒子の最大内接円の円周長さ、より正確には、砥粒粒子の外形を投影した輪郭に内接する最大の円の円周長さの4分の1を超えないような突起である。なお、突起の幅とは、突起の基部における幅のことをいい、図1においては点Aと点Bの間の距離として表されるものである。また、突起の高さとは、突起の基部と、その基部から最も離れた突起の部位との間の距離のことをいい、図1においては直線ABと直交する線分CDの長さとして表されるものである。
【0016】
研磨用組成物中の砥粒が複数の突起を表面に有する粒子を含む場合、その粒子のうち同粒子の体積平均粒子径よりも粒子径の大きな粒子が表面に有している突起の高さをそれぞれ同じ突起の基部における幅で除することにより得られる値の平均は0.245以上であることが好ましく、より好ましくは0.255以上である。この値の平均が大きくなるにつれて、突起の形状が比較的鋭いことが理由で、研磨用組成物によるIII−V族化合物材料部分及びケイ素材料部分の研磨速度、特にケイ素材料部分の研磨速度が向上する。なお、砥粒粒子の各突起の高さ及びその基部における幅は、一般的な画像解析ソフトウエアを用いて、走査型電子顕微鏡による砥粒粒子の画像を解析することにより求めることができる。
【0017】
研磨用組成物中の砥粒が複数の突起を表面に有する粒子を含む場合、その粒子のうち同粒子の体積平均粒子径よりも粒子径の大きな粒子が表面に有している突起の平均高さは、2.5nm以上であることが好ましく、より好ましくは2.7nm以上、さらに好ましくは3.0nm以上である。この突起の平均高さが大きくなるにつれて、研磨用組成物によるIII−V族化合物材料部分及びケイ素材料部分の研磨速度、特にケイ素材料部分の研磨速度が向上する。
【0018】
研磨用組成物中の砥粒は、無機粒子及び有機粒子のいずれであってもよい。無機粒子の具体例としては、シリカ、アルミナ、セリア、チタニアなどの金属酸化物からなる粒子が挙げられる。有機粒子の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子が挙げられる。その中でもシリカ粒子が好ましく、特に好ましいのはコロイダルシリカである。
【0019】
研磨用組成物中の砥粒の含有量は0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。砥粒の含有量が多くなるにつれて、研磨用組成物によるIII−V族化合物材料部分及びケイ素材料部分の研磨速度、特にケイ素材料部分の研磨速度が向上する。
【0020】
研磨用組成物中の砥粒の含有量はまた、20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは17質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。砥粒の含有量が少なくなるにつれて、研磨用組成物の材料コストを抑えることができるのに加え、砥粒の凝集が起こりにくくなる。
【0021】
砥粒の平均一次粒子径は5nm以上であることが好ましく、より好ましくは7nm以上、さらに好ましくは10nm以上である。砥粒の平均一次粒子径が大きくなるにつれて、研磨用組成物によるIII−V族化合物材料部分及びケイ素材料部分の研磨速度、特にケイ素材料部分の研磨速度が向上する。なお、砥粒の平均一次粒子径の値は、例えば、BET法で測定される砥粒の比表面積に基づいて計算することができる。
【0022】
砥粒の平均一次粒子径はまた、150nm以下であることが好ましく、より好ましくは110nm以下、さらに好ましくは100nm以下である。砥粒の平均一次粒子径が小さくなるにつれて、研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨することによりスクラッチのより少ない研磨面を得ることが容易になる。
【0023】
砥粒の平均二次粒子径は300nm以下であることが好ましく、より好ましくは270nm以下、さらに好ましくは250nm以下である。砥粒の平均二次粒子径が小さくなるにつれて、研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨することによりスクラッチのより少ない研磨面を得ることが容易になる。砥粒の平均二次粒子径の値は、例えば、レーザー光散乱法により測定することができる。
【0024】
砥粒の平均二次粒子径の値を平均一次粒子径の値で除することにより得られる砥粒の平均会合度は1.6以上であることが好ましく、より好ましくは1.7以上である。平均会合度が高い砥粒は、繭形又はその他の異形の形状を有している。砥粒の平均会合度が高くなるにつれて、研磨用組成物によるIII−V族化合物材料部分及びケイ素材料部分の研磨速度、特にケイ素材料部分の研磨速度が向上する。
【0025】
砥粒の平均会合度はまた、5以下であることが好ましく、より好ましくは4.5以下、さらに好ましくは4以下である。砥粒の平均会合度が小さくなるにつれて、研磨用組成物を用いて研磨対象物を研磨することによりスクラッチのより少ない研磨面を得ることが容易になる。
【0026】
(酸化剤)
研磨用組成物中に含まれる酸化剤は、0.3V以上の標準電極電位を有している。0.3V以上の標準電極電位を有する酸化剤を使用した場合には、0.3V未満の標準電極電位を有する酸化剤を使用した場合に比べて、研磨用組成物によるIII−V族化合物材料部分及びケイ素材料部分の研磨速度、特にケイ素材料部分の研磨速度が向上するという有利がある。0.3V以上の標準電極電位を有する酸化剤の具体例としては、過酸化水素、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、有機酸化剤、オゾン水、銀( I I ) 塩、鉄( I I I ) 塩、過マンガン酸、クロム酸、重クロム酸、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソリン酸、ペルオキソ硫酸、ペルオキソホウ酸、過ギ酸、過酢酸、過安息香酸、過フタル酸、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜ヨウ素酸、塩素酸、亜塩素酸、過塩素酸、臭素酸、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、硫酸、過硫酸、クエン酸、ジクロロイソシアヌル酸及びそれらの塩等が挙げられる。これらの中でも、研磨用組成物によるIII−V族化合物材料部分及びケイ素材料部分の研磨速度、特にケイ素材料部分の研磨速度が大きく向上することから、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、及びジクロロイソシアヌル酸ナトリウムが好ましい。
【0027】
なお、標準電極電位とは、酸化反応に関与するすべての化学種が標準状態にあるときに次式で表される。
E0=−△G0/nF=(RT/nF)lnK
ここで、E0は標準電極電位、△G0は酸化反応の標準ギブスエネルギー変化、Kはその平行定数、Fはファラデー定数、Tは絶対温度、nは酸化反応に関与する電子数である。従って、標準電極電位は温度により変動するので、本明細書中においては25℃における標準電極電位を採用している。なお、水溶液系の標準電極電位は、例えば改訂4版化学便覧(基礎編)II、pp464−468(日本化学会編)等に記載されている。
【0028】
研磨用組成物中の酸化剤の含有量は0.01mol/L以上であることが好ましく、より好ましくは0.1mol/L以上である。酸化剤の含有量が多くなるにつれて、研磨用組成物によるIII−V族化合物材料部分の研磨速度が向上する。
【0029】
研磨用組成物中の酸化剤の含有量はまた、100mol/L以下であることが好ましく、より好ましくは50mol/L以下である。酸化剤の含有量が少なくなるにつれて、研磨用組成物の材料コストを抑えることができるのに加え、研磨使用後の研磨用組成物の処理、すなわち廃液処理の負荷を軽減することができる。
【0030】
(pH調整剤)
研磨用組成物のpHの値は1〜6又は8〜14の範囲内である必要がある。pHが7前後である場合には、研磨用組成物によるケイ素材料部分の研磨速度が大きく低下するという不利がある。
【0031】
研磨用組成物のpHの値を1〜6又は8〜14の範囲に調整するために必要に応じて使用されるpH調整剤は酸及びアルカリのいずれであってもよく、また無機及び有機の化合物のいずれであってもよい。
【0032】
本実施形態によれば以下の作用効果が得られる。
本実施形態の研磨用組成物では、研磨用組成物によるIII−V族化合物材料部分及びケイ素材料部分の研磨速度、特にケイ素材料部分の研磨速度を向上させるために、異形の砥粒が使用されている。また、研磨用組成物によるIII−V族化合物材料部分の研磨速度を向上させるために、標準電極電位が0.3V以上である酸化剤も使用されている。さらには、研磨用組成物のpHの値を1〜6又は8〜14の範囲内に調整することにより、研磨用組成物によるケイ素材料部分の研磨速度を高く保つようにしている。そのため、この研磨用組成物を用いた場合には、III−V族化合物材料部分とケイ素材料部分の両方を高い研磨速度で研磨することができる。従って、本実施形態の研磨用組成物は、III−V族化合物材料部分とケイ素材料部分を同時に研磨する目的での使用に適する。
【0033】
前記実施形態は次のように変更されてもよい。
・ 前記実施形態の研磨用組成物は、二種類以上の砥粒を含有してもよい。この場合、一部の砥粒については必ずしも異形である必要はない。
【0034】
・ 前記実施形態の研磨用組成物は、二種類以上の酸化剤を含有してもよい。この場合、一部の酸化剤については必ずしも0.3V以上の標準電極電位を有している必要はない。
【0035】
・ 前記実施形態の研磨用組成物は、塩をさらに含有してもよい。塩は、砥粒の表面の電荷二重層を小さくする働きを有し、その結果、砥粒とケイ素材料部分の間の電気的反発を小さくする。そのため、研磨用組成物中に塩が含まれることにより、研磨用組成物によるケイ素材料部分の研磨速度は向上する。使用する塩の種類は特に限定されないが、硫酸アンモニウムなどのアンモニウム塩であることが好ましい。アンモニウム塩を使用した場合には、研磨用組成物中への金属不純物の混入を避けることができる。
【0036】
・ 前記実施形態の研磨用組成物は、防腐剤のような公知の添加剤を必要に応じてさらに含有してもよい。
・ 前記実施形態の研磨用組成物は一液型であってもよいし、二液型をはじめとする多液型であってもよい。
【0037】
・ 前記実施形態の研磨用組成物は、研磨用組成物の原液を水で希釈することにより調製されてもよい。
次に、本発明の実施例及び比較例を説明する。
【0038】
コロイダルシリカ及び酸化剤を、必要に応じて塩及びpH調整剤とともに水と混合することにより、実施例1〜9及び比較例1〜5の研磨用組成物を調製した。また、酸化剤を水と混合して比較例6の研磨用組成物を調製した。各研磨用組成物中の成分の詳細、及び各研磨用組成物のpHを測定した結果を表1に示す。
【0039】
【表1】

表1中、“H”は過酸化水素を表し、“APS”は過硫酸アンモニウムを表し、“KOH”は水酸化カリウムを表す。
【0040】
実施例1〜9及び比較例1〜6の各研磨用組成物を用いて、ヒ化ガリウムブランケットウェーハ及びオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)ブランケットウェーハの表面を、表2に記載の条件で研磨したときに求められる研磨速度の値を表3の“GaAsの研磨速度”欄及び“TEOSの研磨速度”欄に示す。研磨速度の値は、TEOSブランケットウェーハについては光干渉式膜厚測定装置を用いて測定される研磨前後のウェーハの厚みの差を研磨時間で除することにより求め、ヒ化ガリウムブランケットウェーハについては、研磨前後のウェーハの重量の差を密度と研磨時間で除することによって求めた。また、こうして求めた実施例1〜9及び比較例1〜6の各研磨用組成物によるヒ化ガリウムの研磨速度を同じ研磨用組成物によるTEOSの研磨速度で除して得られる値を表3の“GaAsの研磨速度/TEOSの研磨速度”欄に示す。ヒ化ガリウムの研磨速度の値は、500Å/min以上の場合に合格レベルであるが、より好ましくは600Å/min以上、さらに好ましくは700Å/min以上である。TEOSの研磨速度の値は、100Å/min以上の場合に合格レベルであるが、より好ましくは200Å/min以上、さらに好ましくは300Å/min以上である。ヒ化ガリウムの研磨速度をTEOSの研磨速度で除した値は、30以下の場合に合格レベルであるが、より好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下である。
【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

表3に示すように、実施例1〜9の研磨用組成物の場合には、ヒ化ガリウムの研磨速度が500Å/min以上でかつTEOSの研磨速度が100Å/min以上であり、III−V族化合物材料部分とケイ素材料部分を同時に研磨する目的で満足に使用できるレベルの結果が得られた。
【0043】
これに対し、比較例1〜6の研磨用組成物の場合には、ヒ化ガリウムの研磨速度又はTEOSの研磨速度が合格レベルに達しておらず、III−V族化合物材料部分とケイ素材料部分を同時に研磨する目的で満足に使用できるレベルの結果が得られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
III−V族化合物材料を含有する部分とケイ素材料を含有する部分とを有する研磨対象物を研磨する用途で使用される研磨用組成物であって、異形の砥粒と、標準電極が0.3V以上である酸化剤とを含有し、pHが1〜6又は8〜14であることを特徴とする研磨用組成物。
【請求項2】
前記砥粒の平均二次粒子径の値を前記砥粒の平均一次粒子径の値で除することにより得られる前記砥粒の平均会合度が1.6以上である、請求項1に記載の研磨用組成物。
【請求項3】
前記砥粒は複数の突起を表面に有する粒子を含み、その粒子のうち同粒子の体積平均粒子径よりも粒子径の大きな粒子が表面に有している突起の高さをそれぞれ同じ突起の基部における幅で除することにより得られる値の平均が0.245以上である、請求項1に記載の研磨用組成物。
【請求項4】
前記複数の突起を表面に有する粒子のうち同粒子の体積平均粒子径よりも粒子径の大きな粒子が表面に有している突起の平均高さが2.5nm以上である、請求項3に記載の研磨用組成物。
【請求項5】
塩をさらに含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の研磨用組成物。
【請求項6】
前記塩がアンモニウム塩である、請求項5に記載の研磨用組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の研磨用組成物を用いて、III−V族化合物材料を含有する部分とケイ素材料を含有する部分とを有する研磨対象物を研磨することを特徴とする研磨方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の研磨用組成物を用いて、III−V族化合物材料を含有する部分とケイ素材料を含有する部分とを有する研磨対象物を研磨することにより、基板を製造することを特徴とする基板の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−115151(P2013−115151A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258342(P2011−258342)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000236702)株式会社フジミインコーポレーテッド (126)
【Fターム(参考)】