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破砕したかき殻を使用したジーンズの着古し加工方法
説明

破砕したかき殻を使用したジーンズの着古し加工方法

【課題】
我が国のジーンズの洗い加工は、水洗い加工からブリーチ加工、ストーンウォッシュ、ケミカルウォッシュ、サンドブラスト、バイオウォッシュへと発展してきた。1990年ごろより環境問題もあり、これらに続く新技術が現れていない。環境問題を解決できて、着古した風合いと外観を発現させる技術の確立が求められていた。
【解決手段】
かきは、空気中から海水へ溶解した炭酸ガスと海水に溶解しているカルシウムを吸収して炭酸カルシウムを合成して成長している。かき殻は、全国的に水産バイオマスの未利用資源としてかなりの量がある。かき殻を利用してジーンズの加工ができれば、水産バイオマスの利活用であり、しかも加工後に発生するかき殻粉末は、肥料と飼料に再利用できる。本発明はかき殻を利用したジーンズの着古し加工方法であり、我が国の産業界で利用できる有効な加工技術である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジーンズの着古し加工技術に関する。
【背景技術】
【0002】
1970年前後から色落ち、収縮、風合いの改良のため水洗い加工が取り入れられた。その後、漂白剤によるブリーチ加工、フェード加工が開発された。1982年頃になって、ストーンウォッシュ加工が始まり、今日の基本的な洗い加工となった。砂利石、軽石、セラミック等色々のものによる洗い加工も普及した。
【0003】
1986年になると、次亜塩素酸ソーダのような薬品を多孔質の軽石に含浸させて、乾燥ジーンズに当てるケミカルストーンウォッシュ技術が開発されたが、排水の問題もあり、国内では主力ではなくなった。それに代わって、研磨用の金剛砂を高圧圧縮空気で、ジーンズに吹き付けるサンドブラスト加工が開発された。サンドペーパーでこすって着古した感じを出す方法よりも自然に近い仕上がりとなることと、縫い糸の糸切れが少ないため採用しているメーカーがある。さらに、1990年頃よりバイオウォッシュといわれるセルロース分解酵素を使用して、ジーンズの表面を3ないし5%ほど分解除去する技術が開発された。ここで着古しとは、ウェアリングアウト、ユーズド加工、色抜き加工、中古風、古着風などと呼ぶこともあり、中古品のように見えるものの総称である。
【0004】
地球環境の問題から廃液を少なく、軽石の粉末廃棄物の少ない加工が、採用されることが多くなり、最近では新技術の開発スピードが低下しているといえる。廃棄物の少ない砂利石、セラミック、とげ状の突起のあるプラスチック等の工夫が見られる。公報テキスト検索により要約と請求の範囲で、ジーンズとストーンウォッシュで検索すると、134件あった。2004年には、粒状又は粉状のドライアイスを投射して、色抜きする特許が公開されている(特許文献1)。かき殻と着古し加工、又はかき殻とジーンズで検索した場合には、ヒット数ゼロであった。
【0005】
技術開発が停滞している中で、企業は、1バイオウォッシュとサンドブラスト加工、2ストーンウォッシュとサンドブラスト加工、3ストーンウォッシュとバイオウォッシュ、4サンドペーパーとサンドブラスト、5軽石バイオストーンウォッシュ等、複合技術を採用して、他社との差別化をした商品作りをしているのが現状である。
【0006】
【特許文献1】特開2004−324015
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
背景技術に記載したように、30年以上にわたって多くの加工技術が開発されてきたが、自然な着古し感をもたらす新規な加工法の開発も最近停滞しており、地球環境に配慮した
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新しい加工技術が求められていた。発明者らは、水産バイオマスとして未利用資源であるかき殻をストーンウォッシュの一つの技術として活用することを検討した。さらに、軽石を使用したストーンウォッシュの後で発生する軽石の粉の廃棄問題についても、このかき殻を使用したストーンウォッシュによって解決しようとした。ここで云うかき殻とは、未破壊のかき殻のみでなく、色々の大きさに破砕したものを含むものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
軽石は、二酸化珪素が60%以上を占める化合物であるが、かき殻は95%以上が炭酸カルシウムである。どちらもポーラス構造をしており、硬さはかき殻の方が柔らかいと考えられる。かき殻のポーラス構造は、一般にはチョーク構造と命名されている。新しい着古し感を出すために、水産バイオマスであるかき殻を使用して、ケミカルストーンウォッシュやバイオウォッシュ加工を研究した。ねらいは新規な風合い及びより自然な着古し感、さらに廃棄物であるかき殻の粉の再利用可能性に着目した。すなわち、かき殻の粉は、炭酸カルシウムであり、洗浄によって畑の肥料や家畜の飼料としてのリサイクルの可能性があり、廃棄物を産出しない。
【0009】
かき殻は、長さ約10センチメートルぐらいで、扇型のように一方が広がり、かつ湾曲している。これを砕いて、色々のサイズのかき殻を作成することができる。外部表面は、薄い板状に突き出たひさしのような重なりがあり、内部表面は平滑で光沢がある。二枚貝の一方は、おわん型でありもう一方は平板に近いものもある。これらを破砕すると、色々の形態の破断面が形成される。これらを使い分けることにより色々の表現の着古し感のあるジーンズが得られる。
【発明の効果】
【0010】
破砕のかき殻サイズとしては、直径2センチメートルから数センチメートルの大きさに破砕したかき殻、直径約1センチメートルに破砕したかき殻、2ミリメートル以下のサイズの三通りのサイズでその効果が発現できる。さらに、これらかき殻破砕物に、酸化剤のような化学薬品やセルロース分解酵素を含浸させたもの、処理方法として回転ドラムでの処理のほかに、2ミリメートル以下のものでは、サンドブラスト法との組合せ等、多くの組合せ効果が活用できる。組合せの幾つかで、かき殻使用による新規な風合いと着古し感が実現できた。破砕したかき殻が扁平な形状をしていることと、エッジ状のチョーク構造の破断面が形成されていることによる効果である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
平均で3センチに破砕したエッジのある板状のかき殻を、軽石の代わりに使用した。薄片状のかき殻やエッジによって色抜きが起こり、風合いと概観に自然な着古し感が達成できる。着古し処理後に発生するかき殻の粉末は、洗浄してストックしておき、農家のほ場で活用してもらうことが出来る。
【0012】
平均1センチに破断したかき殻に酵素又は酸化剤を含浸させて、ジーンズと混合して、回転ドラムで処理をすることも最良の形態である。かき殻のチョーク構造の空隙の中に、水溶液として薬品がストックされ、ジーンズの生地の表面と接触するたびに、薬品が放出されて、乾燥したジーンズの表面の色抜きを発現させる。チョーク構造は壊れながら色抜きを促進することが期待される。加工処理後の粉末は、洗浄して野菜作りのほ場に散布して利用する。
【0013】
2ミリメートル以下のサイズのかき殻粉末、或いはその粉末に酸化剤を含浸させて、サンドブラストする加工方法も着古し加工の最良の形態の一つである。砂のサンドブラストと比較して、かき殻粉末のサンドブラストは、マイルドな加工となり、自然な着古しに近い表現が得られる。ジーンズの目標とする部分の色抜きには最適である。
【0014】
さらに、ジーンズの特定の部分の色抜きに、酸化剤を含浸させたかき殻の粉末を、ブラシ、ベルベット様の起毛布に付着させて、ブラッシングや摩擦によって、酸化剤水溶液をジーンズ表面に移行させての色抜き加工もハンドメイドの一つの形態である。
【実施例】
【0015】
洗い加工の通常の回転ドラムの中に、よく乾燥した木綿のジーンズパンツ15本を入れ、
セルロース分解酵素の5%液を含浸させた平均1センチメートルに破砕したかき殻を2Kg添加した。3時間ドラムを回転して加工処理をした。ジーンズの生地表面に、かき殻のチョーク構造の中からでた酵素溶液の酵素が作用して、セルロースを分解して、生地の表面の色が褪せると共に、減量によって良好な風合いとなった。直径1センチメートル程度の碁石状のかき殻の断面には、チョーク構造が露出しており、酵素溶液を蓄えることができ、最良のバイオウォッシュとなった。2から3年間着用したジーンズ特有の風合いとルックスを実現できた。
【産業上の利用可能性】
【0016】
我が国は、ジーンズの生産技術においても生産量においても世界をリードしている。しかし、ストーンウォッシュやケミカルウォッシュ等は、廃棄物や廃液の関係で、国内では加工しにくくなった。かき殻のチョーク構造に、必要量のみ、酸化剤や酵素を含浸させて
廃液を少なくし、かき殻の粉末は、肥料や飼料に再利用できることは国内産業においても
利用可能性が極めて大きい。ジーンズの洗い加工場は、全国に数多くあり、本技術は利活用されると考えている。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
かき殻又は破砕したかき殻を使用したジーンズの着古し加工方法
【請求項2】
軽石の代わりに、又は軽石と共に、破砕したかき殻を使用して、回転ドラムの中でジーンズの着古し処理をする加工方法
【請求項3】
酵素又は化学薬品を含浸した破砕かき殻を使用して、バイオウォッシュ、ケミカルウォッシュを行うジーンズの加工方法
【請求項4】
粉砕したかき殻をサンドブラストの砂として使用するジーンズの加工方法
【請求項5】
チョーク構造のかき殻の破片を使用して摩擦によりジーンズの着古し処理を
する加工方法


【公開番号】特開2009−249791(P2009−249791A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−102214(P2008−102214)
【出願日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(304056464)花田技研工業株式会社 (2)
【出願人】(300066368)株式会社テクノブレインズ (3)
【Fターム(参考)】