説明

破砕分別装置及び破砕分別方法

【課題】容器状の廃棄物18を破砕洗浄できる破砕分別装置を提供する。
【解決手段】周壁の下部側14が網目状に形成された筒状形のドラム16と、ドラム16の一端面側に設けられた廃棄物投入用の投入口20と、ドラム16の他端面側に設けられた廃棄物排出用の排出口22と、ドラム16の内部に配置され、ドラム16内の廃棄物18を攪拌する複数の攪拌部材24が放射状に立設された回転軸26と、回転軸26を回転駆動する駆動機構28と、ドラム16の内周壁に回転軸26の回転方向に対して斜めに突設された複数枚の整流板30と、ドラム16の周壁に設けられ、ドラム16内に洗浄液を送出する廃棄物洗浄機構34とを備えた遠心分別機を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックボトル等の廃棄物を破砕しながら洗浄、分別を行って再資源化するのに好適な破砕分別装置及び破砕分別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生ゴミはゴミ袋に収容されているから、まず、その袋を破って中身を取り出さなければならない。また、その後の処理のために、生ゴミ自体を微細化して運び出すことが要求される。そこで、生ゴミを袋毎投入して、袋を破砕し、さらに生ゴミを微細化処理するための装置が開発されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−25754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、ペットボトルや飲料缶の資源再利用の要求が高まっている。しかしながら、例えば、ペットボトルの処理施設ではベルトコンベアの上を搬送されるペットポトルのキャップを取り、内容物を棄て、ラベルを剥がすといった手作業の処理が行われる。その後、容器本体を洗浄し、細片化して再使用が可能になる。ガラス瓶の処理、空き缶の処理についても同様で多数の人員が必要になり、処理コストの増大を招いている。
【0004】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、プラスチックボトル、ガラス容器、アルミニウム、鉄等の金属容器、紙パック容器のように、容器本体、ラベル、キャップ等の異種構成物からなる容器状の廃棄物を、破砕しながら異種構成物をそれぞれ分離、洗浄、分別を行って容易に再資源化できる破砕分別装置及び破砕分別方法を提供することを目的とする。また、本発明は、破砕し洗浄した廃棄物の各異種構成物を乾燥し分別できる破砕分別装置及び破砕分別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
〈構成1〉
外壁の下部側部分に多孔壁が形成された筒状形のドラムと、廃棄物を上記ドラム内に投入するために上記ドラムの一端面側に設けられた投入口と、上記廃棄物を上記ドラムの外へ排出するために上記ドラムの他端面側に設けられた排出口と、上記ドラムの内部に長さ方向に配置され、上記ドラム内に投入された上記廃棄物を攪拌する複数の攪拌部材が長さ方向に沿って放射状に立設された回転軸と、上記回転軸を回転駆動する駆動機構と、上記ドラムの天井部に上記回転軸の回転方向に対して斜めに突設された複数の整流板と、上記ドラムの天井部の、上記複数の整流板間に併設された複数の刃状突起と、上記ドラムの外壁に設けられ、上記ドラム内の廃棄物に向って洗浄液を噴出させる廃棄物洗浄機構とを備えた第1の遠心分別機からなることを特徴とする破砕分別装置。
【0006】
プラスチックボトル、ガラス容器、アルミニウム、鉄等の金属容器、紙パック容器のように、容器本体、ラベル、キャップ等の材質の異なる異種構成物からなる容器状の廃棄物を、破砕洗浄しながら異種構成物毎にそれぞれ分離して分別することができる。排出口から排出された廃棄物は、その異種構成物毎に分別されて回収されるので、人手をもってそれぞれ選り分ける必要がない。従って廃棄物処理のための作業人員を大幅に削減できることとなり容易に再資源化できる。
【0007】
〈構成2〉
構成1に記載の破砕分別装置において、上記第1の遠心分別機と、外壁の下部側部分に多孔壁が形成された筒状形の第2のドラムと、上記第1の遠心分別機の排出口に連結され、上記第1の遠心分別機のドラム内の廃棄物を上記第2のドラム内に投入するために上記第2のドラムの一端面側に設けられた第2の投入口と、上記廃棄物を上記第2のドラムの外へ排出するために上記第2のドラムの他端面側に設けられた第2の排出口と、上記第2のドラムの内部に長さ方向に配置され、上記第2のドラム内に投入された上記廃棄物を攪拌する複数の第2の攪拌部材が長さ方向に沿って放射状に立設された第2の回転軸と、上記第2の回転軸を回転駆動する第2の駆動機構と、上記第2のドラムの天井部に上記第2の回転軸の回転方向に対して斜めに突設された複数枚の第2の整流板と、上記第2のドラムの天井部の、上記複数の第2の整流板間に併設された複数の第2の刃状突起とを備えた第2の遠心分別機とからなることを特徴とする破砕分別装置。
【0008】
廃棄物は第1及び第2の各遠心分別機により確実に破砕され分別されると共に、第2の遠心分別機が遠心脱水機の機能を発揮して脱水乾燥される。脱水乾燥されることにより、水分を含んで一体になっていた廃棄物の塊を、篩にかけたり、風力等で分離することが容易になる。
【0009】
〈構成3〉
構成1又は2に記載の破砕分別装置において、上記第1及び又は第2の遠心分別機の近傍に、横方向に揺動される箱体と上記箱体の上部に横断する状態で配設され、一定以下の大きさの廃棄物のみを挿通させる網目を有する網目板とを備えた篩機と、上記篩機の側面に向って送風する送風機とを配設したことを特徴とする破砕分別装置。
【0010】
篩機により一定以下の大きさの廃棄物を網目板から箱体内に落下させ、送風機の風力で一定以上の大きさの廃棄物を異種構成物毎に軽重分別されて篩機外方の所定位置にそれぞれ移送されるので、破砕された廃棄物を簡単かつ確実に分別できる。
【0011】
〈構成4〉
構成1乃至3のいずれかに記載の破砕分別装置において、上記第1及び又は第2の遠心分別機の上記複数の攪拌部材として複数の攪拌板が用いられ、これらの攪拌板の先端部に複数の刃状突起を設けたことを特徴とする破砕分別装置。
【0012】
これらの攪拌板の先端部の突起と前記複数の攪拌板とにより廃棄物をより確実に破砕できる。
【0013】
〈構成5〉
構成1乃至4のいずれかに記載の破砕分別装置において、上記第1の遠心分別機のドラムの下方に、当該ドラムの下部側部分の多孔壁を通じて落下する上記洗浄液を受ける液受け容器を配設し、第2の遠心分別機の第2のドラムの下方に、当該ドラムの下部側部分の網目を通過した上記廃棄物を受ける廃棄物受け容器を配設したことを特徴とする破砕分別装置。
【0014】
使用後の洗浄液や廃棄物に含まれていた液状の内容物等の液体と、破砕分別された廃棄物等の固体とを別々に回収できるので、後処理が容易である。
【0015】
〈構成6〉
液状の内容物を収容した容器を円筒状のドラム内部に設けた回転羽根で攪拌し、遠心力により上記ドラムの内周壁に上記容器を押しつけ、上記回転羽根の回転力により上記ドラムの内周壁に設けられた刃状突起に上記容器を衝突させて破砕し、上記容器に収容されていた液状の内容物を上記ドラムの多孔壁から排出し、上記回転羽根を回転させながら、上記ドラムの内部に噴出させた洗浄液で上記破砕された容器を洗浄することを特徴とする破砕分別方法。
【0016】
ドラムの内周壁に設けられた刃状突起に容器を衝突させて破砕し、容器の内容物をドラムの壁に設けた多孔壁から排出し、洗浄液で破砕された容器を洗浄するので、容器の破砕と内容物の分別が一挙に自動的にできる。
【0017】
〈構成7〉
構成6に記載の破砕分別方法において、破砕されて洗浄された上記容器を、上記円筒状のドラム内部で上記回転羽根で攪拌し、遠心力により上記洗浄液を上記ドラムの内周壁に設けた多孔壁から排出して、上記破砕された容器を乾燥することを特徴とする破砕分別方法。
【0018】
破砕された容器を洗浄後、同様の機構でそのまま乾燥させることができる。
【0019】
〈構成8〉
構成7に記載の破砕分別方法において、液状の内容物を収容した容器を円筒状のドラム内部に設けた回転羽根で攪拌し、遠心力により上記ドラムの内周壁に上記容器を押しつけ、上記回転羽根の回転力により上記ドラムの内周壁に設けられた刃状突起に上記容器を衝突させて破砕し、上記容器に収容されていた液状の内容物を上記ドラムに設けた多孔壁から排出し、上記回転羽根を回転させながら、上記ドラムの内部に噴出させた洗浄液で上記破砕された容器を洗浄し、その後洗浄液の供給を絶って、破砕されて洗浄された上記容器を、上記円筒状のドラム内部で上記回転羽根で攪拌し、遠心力により上記洗浄液を上記ドラムの内周壁に設けた多孔壁から排出して、上記破砕された容器を乾燥することを特徴とする破砕分別方法。
【0020】
一台のドラムで破砕、洗浄、分別、乾燥処理を連続してできる。
【0021】
〈構成9〉
構成7に記載の破砕分別方法において、上記第1の遠心分別機のドラムを使用して、液状の内容物を収容した容器を円筒状のドラム内部に設けた回転羽根で攪拌し、遠心力により上記ドラムの内周壁に上記容器を押しつけ、上記回転羽根の回転力により上記ドラムの内周壁に設けられた刃状突起に上記容器を衝突させて破砕し、上記容器に収容されていた液状の内容物を上記ドラムに設けた多孔壁から排出し、上記回転羽根を回転させながら、上記ドラムの内部に噴出させた洗浄液で上記破砕された容器を洗浄し、破砕されて洗浄された上記容器を、第1のドラムと同様の構成の第2のドラムに移し、上記円筒状のドラム内部で上記回転羽根で攪拌し、遠心力により上記洗浄液を上記ドラムに設けた多孔壁から排出して、上記破砕された容器を乾燥することを特徴とする破砕分別方法。
【0022】
2台のドラムをタンデムに連結して、大量の容器を連続的に破砕し、洗浄し、乾燥させて分別処理をすることができる。
【0023】
〈構成10〉
構成9に記載の破砕分別方法において、上記第2のドラムにおいて、破砕された容器を乾燥するとともに、遠心力で容器の一部の部品を上記ドラムに設けた多孔壁から排出して分別することを特徴とする破砕分別方法。
【0024】
第2のドラムの内周壁に設けた多孔壁の透孔のサイズを適切に選ぶと、第2のドラムで、破砕物をそのサイズを利用して分別できる。
【0025】
〈構成11〉
構成6乃至10のいずれかに記載の破砕分別方法において、上記ドラムの内周壁には、螺旋状に任意の数の任意の長さの案内板が固定されており、上記ドラムの内周壁に上記破砕された容器を遠心力により押しつけ、上記回転羽根の回転力により、上記案内板に沿って、上記破砕された容器をドラムの一方の端から他方の端に移動させ、この移動の間に、上記破砕と内容物の分別と上記容器の洗浄とを行うことを特徴とする破砕分別方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基ずいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0027】
図1は本発明に係る破砕分別装置を示す説明図である。図2は本発明に係る第1の遠心分別機を示す斜視図、図3は同第1の遠心分別機の正面を示す断面図、図4は同第1の遠心分別機の側面を示す断面図、図5は同第1の遠心分別機の一部を示す説明図、図6は本発明に係る整流板を示す斜視図である。
【0028】
本発明に係る破砕分別装置は、第1の遠心分別機12のみ、あるいは、第1の遠心分別機12と第2の遠心分別機46及び又は篩機64、送風機66とが組み合わされて構成される。本発明は、特に、プラスチックボトル、ガラス容器、アルミニウム容器、一般金属容器、紙パック容器のように、容器本体、ラベル、キャップ等の異種構成物からなる容器状の廃棄物を破砕洗浄して異種構成物毎に分別するのに好適である。
【0029】
第1の遠心分別機12だけでも容器状の廃棄物を破砕洗浄して異種構成物毎に分別可能であるが、第2の遠心分別機46をタンデムラインとして連結し、さらに篩機64、送風機66を用いることにより、第1の遠心分別機12から送られてきた廃棄物をさらに破砕し乾燥して異種構成物をより確実に分別することができる。
【0030】
まず、第1の遠心分別機12は、次のように構成されている。すなわち、図示するように、円筒状のドラム16と、廃棄物18(図2)をドラム16内に投入するためにドラム16の一端面側に設けられた投入口20と、廃棄物18をドラム16の外へ排出するためにドラム16の他端面側に設けられた排出口22と、複数の攪拌部材24が長さ方向に沿って放射状に立設された回転軸26と、回転軸26を回転駆動する駆動機構28と、ドラム16の内周壁に設けられた複数枚の整流板30と、ドラム16の内周壁にドラム内に向って突出するように設けられた複数の刃状突起40(図3、図5)と、ドラム16内の廃棄物に向って洗浄液を噴出させる廃棄物洗浄機構34とを有して構成されている。
【0031】
ドラム16は周壁の下部側部分14が網目状に形成された円筒形状に形成され、下部の四隅に設けられた脚体39を介して床面68に設置されている。ドラム16の一端面側には廃棄物18をドラム16内に投入するための投入口20が設けられている。投入口20には廃棄物を投入口20に案内するためのホッパ20aが連設されている。一方、ドラム16の他端面側にはドラム16内で破砕洗浄された廃棄物を外へ排出する排出口22が設けられている。
【0032】
なお、ここで一端面側というのは、ドラムの一方の端面側のことである。投入口20は、その上部でも下部でも側面でもどこに取り付けても構わない。他端面側の排出口22についても同様である。ドラムの外壁の下側部分には、多孔壁が形成されている。ドラムの外壁から洗浄液を排出するためである。多孔壁としては、実施例に示したような金属網のほか、例えば、図3に示すような、金属板に多数の透孔を設けたパンチングメタル14P等が使用できる。特に、パンチングメタルは強度が高く円筒成型も容易なため、この種の破砕装置には好適する。また、壁に何本かの排水パイプを取り付けたようなものでも構わない。ドラムの下側壁だけでなく、筒状のドラムの両端の端壁に透孔を開けても構わない。
【0033】
ドラム16の周壁の下部側部分14はこの実施例では編目状に形成されている。この網目の孔径の大きさは、廃棄物を洗浄した洗浄水あるいは容器状廃棄物に残っていた液体を挿通させる程度の大きさが好ましい。ドラム16の側面に開閉窓17が設けられている。開閉窓17は、ドラム16にヒンジで取付けられた板体17aにより開閉されるように構成されている。板体には取っ手17bが設けられている。取っ手17bを持って開閉窓17を開くことにより、図5に示すようにドラム16内の攪拌部材24、整流板30等を覗くことができる。
【0034】
ドラム16の内部には攪拌部材24として4枚の攪拌板が放射状に立設された回転軸26が挿通されている。4枚の攪拌板24の各先端部24aは回転方向にやや曲線状に折れ曲がった形状を有している。この形状により、駆動時に廃棄物をすくい上げて勢いよくドラム16の内壁に向って放出することが可能となる。4枚の攪拌板24の各先端部には複数の突起41が適当間隔を置いて固設されている。これらの突起41は、後述するように廃棄物をより確実に破砕する役割がある。攪拌部材24は網状、針状、棒状、羽子板状でも構わないが、ドラム16の軸方向に狭い間隔で配列されるものが好ましい。なお、本実施例では、攪拌板24は4枚設けられているが、これに限定されるものではない。
【0035】
ドラム16の天井部には廃棄物を排出口22へ向って案内する複数の整流板30、30が突設されている。整流板30は、図4に示すように攪拌板24の回転を阻害しないように弓状形を有している。そして、整流板30は回転軸26の回転方向に対して若干角度を持って斜めに配置されており、攪拌板24の回転によって廃棄物を排出口22の方向に向って案内するようになっている。すなわち、複数枚の整流板30はドラム16内で分別された廃棄物18を排出口22へ向って案内する機能を有する。整流板30の取付け角度を大きくする程、廃棄物の送り速度を大きくすることができる。
【0036】
ドラム16の天井部には複数の平板状の刃状突起40が整流板30とほぼ平行に併設されている。これらの刃状突起40は、複数の整流板30の間に設けられて後述するように廃棄物を異種構成物毎に破砕する役割がある。
【0037】
また、整流板30には、図6に示すように、投入された廃棄物を引っかけて破くための爪状の破砕部30aが設けられている。破砕部30aは整流板30の両端部を鋭角に突出して形成されている。破砕部30aの形状はこれに限るものではなく、他の実施形態としては整流板30の主として内面に針状突起を設けたものでもよく、廃棄物に引っかかるような角部を有したものでよい。なお、刃状突起40が機能していれば破砕部30aが無くても廃棄物を破砕する能力がある。破砕部30aは必要に応じて取り付ければよい。
【0038】
廃棄物洗浄機構34は、図1に示したようにドラム16の外壁面に配設された配管36と、この配管36に所定間隔を置いて連結され、かつドラム16を貫通するように設けられた複数のノズル38と、配管36に洗浄水を供給する、ポンプを含む洗浄水供給装置(図示せず)とを備えたものである。複数のノズル38は、ドラム16内の廃棄物に向って洗浄液を噴出できるようにドラム16壁面に固定されている。なお、洗浄液を噴出するノズルの位置は、ドラムの外壁ならば、どこで構わない。ドラムの周壁だけでなく筒状のドラムの両端の端壁に設けても構わない。
【0039】
第1の各遠心分別機のドラム16の下方に、使用後の洗浄液や廃棄物に含まれていた液状の内容物等の液体を受ける液受け容器44が配設されている。液受け容器44は、図1に示したようにフォークリフトで持ち上げて移動可能なように底部に突出部44aを設けたり、あるいは図示しないが周知のキャスタを取付けるようにしてもよい。
【0040】
次に、本発明に係る第1の遠心分別機12の動作について説明する。
まず、ドラム16内に洗浄液を噴出しながら攪拌板24を回転する。この状態で、図2に示すように例えば、廃棄物18として、飲料物等の液状の内容物が入ったペットボトルをホッパ20aに投入した場合について説明する。
【0041】
投入されたペットボトル18は、回転する攪拌板24の遠心力でドラム16内で回転されてドラム16の内周壁に押しつけられながら攪拌板24の先端部及び突起41とドラム16の天井部の刃状突起40間に鋏まれて打壊される。このとき、整流板30に設けられた破砕部30aによっても破砕される。破砕されたペットボトルは、洗浄液で洗浄され、液状の内容物以外のボトル本体18a、ボトル本体に巻き付けられていたラベル18b、ボトル本体口元のキャップ18c等の異種構成物に分けられる。
【0042】
ボトル本体18a、ラベル18b、キャップ18c等の異種構造物は、それぞれ破砕されながらも重量、形状、材質等が異なるため、原形が見分けられる程度に分離されて攪拌板24の回転による遠心力と整流板30のガイド機能により整流板30に沿ってドラム16の投入口20側から排出口22側に向けて送り出される。一方、廃棄物洗浄機構34から送出された洗浄液19は、破砕されたペットボトルの破片外面を洗浄して廃棄物の液状の内容物と共に、ドラム16の下部側部分14の網目を通過して液受け容器44に回収される。
【0043】
なお、ドラム内面の刃状突起の状態や数や形状、あるいは攪拌板の回転速度等により、容器の破壊の程度が異なる。しかしながら、少なくとも容器から内容物が流出し、洗浄液で内部が洗浄できる程度まで、容器が切り裂かれるように、設計をすることが好ましい。容器が粉々になるまで、切り裂く必要性はない。むしろ、キャップやラベルが原型を止めた状態で、容器本体に多数の切り裂きが生じているように条件を調整するのが理想である。その後の材料別の分別処理が容易になるからである。
【実施例2】
【0044】
本発明においては、上述した第1の遠心分別機12に、第2の遠心分別機46及び又は篩機64と、送風機66とが組み合わされて構成されてもよい。
第2の遠心分別機46は、第1の遠心分別機12の、廃棄物洗浄機構34を除いた構成と略同じ構成である。
【0045】
すなわち、周壁の下部側部分が網目状に形成された円筒状形の第2のドラム48と、第1の遠心分別機12の排出口22に連結され、第1の遠心分別機12のドラム16内の廃棄物18を第2のドラム48内に投入するために第2のドラム48の一端面側に設けられた第2の投入口50と、廃棄物18を第2のドラム48の外へ排出するために第2のドラム48の他端面側に設けられた第2の排出口52と、第2のドラム48の内部に長さ方向に配置され、第2のドラム48内に投入された廃棄物18を攪拌する複数の第2の攪拌部材(図示せず)が長さ方向に沿って放射状に立設された第2の回転軸56と、第2の回転軸56を回転駆動する第2の駆動機構58と、第2のドラム48の周壁に第2の回転軸56の回転方向に対して斜めに突設された複数枚の第2の整流板(図示せず)とを備えている。第2の駆動機構58は、第1の遠心分別機12の駆動機構28と共通の動力装置を使用したものでもよい。
【0046】
第2のドラム48は下部の四隅に設けられた脚体61を介して床面68に設置されている。第2のドラム48の下方に、ドラム下部側部分の網目を通過した廃棄物の一部を受ける廃棄物受け容器45が配設されている。この廃棄物の一部とは、破砕されて小片となったものとか、例えばペットボトルの場合、キャップ等が含まれる。廃棄物受け容器45は、液受け容器44と同様に、フォークリフトで持ち上げて移動可能なように底部に突出部45aを設けたり、あるいは図示しないが周知のキャスタを取付けるようにしてもよい。廃棄物受け容器45は必要に応じて設けられればよく、設置が省略されてもよい。
【0047】
第2の排出口52の下方にシュータを介して篩機64が配設されている。第2の排出口52から排出された廃棄物が篩機64の上面に落下するようにされている。篩機64は、図1に示すように、箱体64aと、この箱体中間部に若干傾斜させて配置された網目板64bと、箱体64aを横方向に揺動させる加振機(図示せず)とを備えている。網目板64bは廃棄物18のうち一定以下の大きさのもののみを挿通させる網目を有している。さらに箱体64aの近傍に、この箱体に向って送風する送風機66とを配設している。
【0048】
篩機64は横方向に揺動されて一定以下の大きさの廃棄物18を網目板64bを通過して箱体64a内に落下させる。それ以上の大きさで篩機64上面に残った廃棄物18は、送風機66の風力で軽重分別されて篩機64の外方の2つの容器65a、65bにそれぞれ送り込まれる。例えば、廃棄物がペットボトルの場合、キャップは網目板64bから落下して箱体64a内に回収され、ラベルは比較的軽いので容器65aに回収され、破砕された容器本体は比較的大きく重いので別の容器65bに収容されることになる。
【0049】
上記した第2の遠心分別機46においては、第1の遠心分別機12の排出口22から送られてきたボトル本体、ラベル、キャップ等の異種構造物が第2の投入口50から第2のドラム48内に入る。第2のドラム48内において回転する第2の攪拌板54による遠心力でドラム内で回転されてドラム内周壁に押しつけられながら第1の遠心分別機12の場合と同様に攪拌板54の先端部等により天井部の刃状突起間に鋏まれて打壊される。ペットボトルは第1及び第2の各遠心分別機により確実に破砕され分別されると共に脱水乾燥される。攪拌するだけで運転すると、遠心脱水機の要領で脱水処理ができる。脱水乾燥されることにより、水分を含んで一体になっていた廃棄物18の塊を、篩にかけたり、風、遠心力、磁力等で分離することが容易になる。
【実施例3】
【0050】
図7(a)はドラムを縦に半割した状態を示す斜視図、同(b)は破砕された容器や内容物の斜視図、同(c)はドラムの横断面図である。
図7(a)に示すように、ペットボトルのような液状の内容物72を収容した容器70を、円筒状のドラム84の内部に投入する。このドラム84の内部で、同(c)に示すような回転羽根74を回転させて攪拌する。この遠心力により、ドラムの内周壁76に容器70が押しつけられる。さらに、回転羽根74の回転力によりドラム84の内周壁76に設けられた刃状突起78に、容器70を衝突させる。こうして破砕された容器70に収容されていた液状の内容物72は、ドラム84の壁に設けた透孔80から排出される。さらに、回転羽根74を回転させながら、ドラム84の上部のノズル90からドラム内部に噴出させた洗浄液82で、破砕された容器70を洗浄する。
【0051】
その結果、図7(b)に示すように、容器70が、本体部分73とキャップ71と液状の内容物72とに分別される。破砕された容器70の本体部分73やキャップ71が十分に洗浄された後に、洗浄液82の噴出を止めて、回転羽根74で攪拌を続けると、遠心力により洗浄液82をドラム84の内周壁76に設けた透孔80から排出することができる。これで、遠心脱水機の要領で破砕物を乾燥させることができる。例えば、ペットボトルの本体部分にはフィルム状のラベルが張り付けられている。本体部分は再利用され、フィルム状のラベル部分は廃棄物になる。乾燥をさせると両者が簡単に分離するので、既に説明した要領で分別できる。
【0052】
なお、上記の洗浄と脱水を別々のドラムで行ってもよいし、一台のドラムで破砕、洗浄、分別、乾燥処理を連続して行ってもよい。第1のドラムを使用して容器70を破砕し洗浄し、第2のドラムを用いて乾燥させるようにしてもよい。2台のドラムをタンデムに連結すると、大量の容器70を連続的に破砕処理できる。また、第2のドラムの内周壁76に設けた透孔80群の透孔80のサイズを適切に選ぶと、第2のドラムで、破砕物をそのサイズを利用して分別できる。また、刃状突起78の形状は任意である。しかし、上記の図7(c)に示すように、ドラム84の上部を膨らませて断面を長円形にすると、回転羽根74は刃状突起78のある部分で刃状突起に衝突せず、その他の部分では、ドラム84の内周壁76に先端を近接するように回転し、攪拌効果を高めることができる。
【0053】
以上の実施例において、略円筒状のドラムは、その回転羽根74の軸をほぼ水平に向けることが望ましいが、全体として傾斜していてもよいし、垂直置きをしても構わない。水平置きにすると、網目から液体が流下して排出される。垂直置きにすると、網目から液体が遠心力で排出される。また、ドラムの下端(底に相当する)部分に任意の透孔80を設けて、液体を流下させてもよい。
【0054】
上記の実施例では、洗浄液82を水にしたが、対象物に応じて有機溶媒でも構わない。いずれの場合でも、ドラムに洗浄液82を供給しながら攪拌をすると、投入物を洗浄できる。また、攪拌するだけで運転すると、遠心脱水機の要領で脱水処理ができる。脱水乾燥をすると、洗浄液82を含んで一体になっていた投入物の塊を、篩にかけたり、風、遠心力、磁力等で簡単に分離することができる。
【0055】
回転羽根74はドラムの軸を通る壁状の板であって、ドラム内部を複数に分割する板状体が好ましい。投入物を遠心力でドラムの内周壁76に押しつけ、羽根の端部とドラム内周壁76の刃状突起78で投入物を破砕する。整流板により投入物をドラムの一端から他端に向けて送ることができる。容器状の投入物を破砕するのでその内容物が遠心力で網目壁から排出されて、投入物が分別される。この内容物は液体状のものであれば、装置が良好に動作する。なお、回転羽根74は、網状、針状、棒状、羽子板状でも構わないが、ドラムの軸方向に狭い間隔で配列されたものが好ましい。板状体であれば、破砕した破片がからまりにくく、効率よく運転できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る破砕分別装置を示す説明図である。
【図2】本発明に係る第1の遠心分別機を示す斜視図である。
【図3】同第1の遠心分別機の正面を示す断面図である。
【図4】同第1の遠心分別機の側面を示す断面図である。
【図5】同第1の遠心分別機の一部を示す説明図である。
【図6】本発明に係る整流板を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る破砕分別方法の説明図で、(a)はドラムを縦に半割した状態を示す斜視図、(b)は破砕された容器や内容物の斜視図、(c)はドラムの横断面図である。
【符号の説明】
【0057】
12 第1の遠心分別機
14 下部側部分
16 ドラム
18 廃棄物
20 投入口
22 排出口
24 攪拌部材
26 回転軸
28 駆動機構
30 整流板
32 破砕部
34 廃棄物洗浄機構
36 配管
38 ノズル
40 刃状突起
41 突起
44 液受け容器
45 廃棄物受け容器
46 第2の遠心分別機
48 第2のドラム
50 第2の投入口
52 第2の排出口
56 第2の回転軸
58 第2の駆動機構
64 篩機
65a廃棄物受け容器
65b廃棄物受け容器
66 送風機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁の下部側部分に多孔壁が形成された筒状形のドラムと、
廃棄物を前記ドラム内に投入するために前記ドラムの一端面側に設けられた投入口と、
前記廃棄物を前記ドラムの外へ排出するために前記ドラムの他端面側に設けられた排出口と、
前記ドラムの内部に長さ方向に配置され、前記ドラム内に投入された前記廃棄物を攪拌する複数の攪拌部材が長さ方向に沿って放射状に立設された回転軸と、
前記回転軸を回転駆動する駆動機構と、
前記ドラムの天井部に前記回転軸の回転方向に対して斜めに突設された複数の整流板と、
前記ドラムの天井部の、前記複数の整流板間に併設された複数の刃状突起と、
前記ドラムの外壁に設けられ、前記ドラム内の廃棄物に向って洗浄液を噴出させる廃棄物洗浄機構と、
を備えた第1の遠心分別機からなることを特徴とする破砕分別装置。
【請求項2】
請求項1に記載の破砕分別装置において、
前記第1の遠心分別機と、
外壁の下部側部分に多孔壁が形成された筒状形の第2のドラムと、前記第1の遠心分別機の排出口に連結され、前記第1の遠心分別機のドラム内の廃棄物を前記第2のドラム内に投入するために前記第2のドラムの一端面側に設けられた第2の投入口と、前記廃棄物を前記第2のドラムの外へ排出するために前記第2のドラムの他端面側に設けられた第2の排出口と、前記第2のドラムの内部に長さ方向に配置され、前記第2のドラム内に投入された前記廃棄物を攪拌する複数の第2の攪拌部材が長さ方向に沿って放射状に立設された第2の回転軸と、前記第2の回転軸を回転駆動する第2の駆動機構と、前記第2のドラムの天井部に前記第2の回転軸の回転方向に対して斜めに突設された複数枚の第2の整流板と、前記第2のドラムの天井部の、前記複数の第2の整流板間に併設された複数の第2の刃状突起とを備えた第2の遠心分別機と、
からなることを特徴とする破砕分別装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の破砕分別装置において、
前記第1及び又は第2の遠心分別機の近傍に、
横方向に揺動される箱体と前記箱体の上部に横断する状態で配設され、一定以下の大きさの廃棄物のみを挿通させる網目を有する網目板とを備えた篩機と、
前記篩機の側面に向って送風する送風機と、
を配設したことを特徴とする破砕分別装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の破砕分別装置において、
前記第1及び又は第2の遠心分別機の前記複数の攪拌部材として複数の攪拌板が用いられ、これらの攪拌板の先端部に複数の突起を設けたことを特徴とする破砕分別装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の破砕分別装置において、
前記第1の遠心分別機のドラムの下方に、当該ドラムの下部側部分の多孔壁を通じて落下する前記洗浄液を受ける液受け容器を配設し、
第2の遠心分別機の第2のドラムの下方に、当該ドラムの下部側部分の多孔壁を通過した前記廃棄物を受ける廃棄物受け容器を配設したことを特徴とする破砕分別装置。
【請求項6】
液状の内容物を収容した容器を円筒状のドラム内部に設けた回転羽根で攪拌し、遠心力により前記ドラムの内周壁に前記容器を押しつけ、前記回転羽根の回転力により前記ドラムの内周壁に設けられた刃状突起に前記容器を衝突させて破砕し、前記容器に収容されていた液状の内容物を前記ドラムに設けた多孔壁から排出し、前記回転羽根を回転させながら、前記ドラムの内部に噴出させた洗浄液で前記破砕された容器を洗浄することを特徴とする破砕分別方法。
【請求項7】
請求項6に記載の破砕分別方法において、
破砕されて洗浄された前記容器を、前記円筒状のドラム内部で前記回転羽根で攪拌し、遠心力により前記洗浄液を前記ドラムに設けた多孔壁から排出して、前記破砕された容器を乾燥することを特徴とする破砕分別方法。
【請求項8】
請求項7に記載の破砕分別方法において、
液状の内容物を収容した容器を円筒状のドラム内部に設けた回転羽根で攪拌し、遠心力により前記ドラムの内周壁に前記容器を押しつけ、前記回転羽根の回転力により前記ドラムの内周壁に設けられた刃状突起に前記容器を衝突させて破砕し、前記容器に収容されていた液状の内容物を前記ドラムに設けた多孔壁から排出し、前記回転羽根を回転させながら、前記ドラムの内部に噴出させた洗浄液で前記破砕された容器を洗浄し、
その後洗浄液の供給を絶って、破砕されて洗浄された前記容器を、前記円筒状のドラム内部で前記回転羽根で攪拌し、遠心力により前記洗浄液を前記ドラムに設けた多孔壁から排出して、前記破砕された容器を乾燥することを特徴とする破砕分別方法。
【請求項9】
請求項7に記載の破砕分別方法において、
前記第1の遠心分別機のドラムを使用して、
液状の内容物を収容した容器を円筒状のドラム内部に設けた回転羽根で攪拌し、遠心力により前記ドラムの内周壁に前記容器を押しつけ、前記回転羽根の回転力により前記ドラムの内周壁に設けられた刃状突起に前記容器を衝突させて破砕し、前記容器に収容されていた液状の内容物を前記ドラムに設けた多孔壁から排出し、前記回転羽根を回転させながら、前記ドラムの内部に噴出させた洗浄液で前記破砕された容器を洗浄し、
破砕されて洗浄された前記容器を、第1のドラムと同様の構成の第2のドラムに移し、
前記円筒状のドラム内部で前記回転羽根で攪拌し、遠心力により前記洗浄液を前記ドラムに設けた多孔壁から排出して、前記破砕された容器を乾燥することを特徴とする破砕分別方法。
【請求項10】
請求項9に記載の破砕分別方法において、
前記第2のドラムにおいて、破砕された容器を乾燥するとともに、遠心力で容器の一部の部品を前記ドラムに設けた多孔壁から排出して分別することを特徴とする破砕分別方法。
【請求項11】
請求項6乃至10のいずれかに記載の破砕分別方法において、
前記ドラムの内周壁には、螺旋状に任意の数の任意の長さの案内板が固定されており、前記ドラムの内周壁に前記破砕された容器を遠心力により押しつけ、前記回転羽根の回転力により、前記案内板に沿って、前記破砕された容器をドラムの一方の端から他方の端に移動させ、この移動の間に、前記破砕と内容物の分別と前記容器の洗浄とを行うことを特徴とする破砕分別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−302343(P2008−302343A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154193(P2007−154193)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(399042063)共立工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】