説明

破裂可能な液体パッケージングとその使用

本発明は、生物学的反応及び化学反応を実施するためのシステム、装置、及び方法に関する。特に本発明は、生物学的アッセイ及び化学的アッセイへの試薬の供給のための破裂可能な液体パッケージングの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への言及
本出願は、2009年2月6日に出願された仮出願61/150,481号(これは参照により全体において本明細書に組み込まれる)の優先権を主張する。
発明の分野
本発明は、生物学的反応及び化学反応を実施するためのシステム、装置、及び方法に関する。特に本発明は、生物学的アッセイ及び化学的アッセイへの試薬の供給のための破裂可能な液体パッケージングの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
医学的診断に使用される液体試薬を貯蔵するための多くの既存の方法は、出荷、輸送、及び貯蔵のためにしばしばコールドチェーン技術を必要とする無菌プラスチック瓶で行われる。かかる方法は多くの先進国では実現可能であるが、このような要件は開発途上国では問題となりコスト上昇を招く。輸送、税関、試薬貯蔵場所での冷蔵装置用の信頼できる一定の電力の提供に問題がある場合がある。これらのいずれも、試薬を高温に曝露し、試薬を臨床用途に無効なものにしてしまう可能性がある。さらに試薬はバルクで貯蔵・供給されるため、個々の医学的診断検査用の正確なピペット操作と分注操作のために、熟練した臨床検査技師と正確な液体取り扱い装置がしばしば必要である。この手動操作はまた、試料間の交差汚染を上昇させ、さらなる処理時間を必要とし、診断検査を実施し処理するためのコストを上昇させる。
【0003】
診断システムが如何に機能するかに従って、診断検査カートリッジへの液体の供給は、精密ピペット操作を使用して、又はチューブや精密ポンプ、及び弁を介してストック液体試薬から、直接行うことができる。このような流体系部品は、コストの上昇を招き、診断システムの設計の複雑さを増す。さらに、これらはしばしば汚染、故障(機械的サービス及び/又は交換を必要とする)、漏れを受けやすい。試薬を貯蔵し供給するさらなる方法が必要である。特に、周囲温度で試薬を輸送し貯蔵するための構成と方法が必要である。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、生物学的反応及び化学反応を実施するためのシステム、装置、及び方法に関する。特に本発明は、生物学的アッセイ及び化学的アッセイへの試薬の供給のための破裂可能な液体パッケージングの使用に関する。一部の実施形態において、本発明は、1又は複数の液体貯蔵区画を含む液体パッケージングコンポーネントであって、ここで液体貯蔵区画が液体を含んでなり、破裂可能なシールで被覆される液体パッケージングコンポーネント;破裂可能なシールを破裂させるように形成されたシール破裂コンポーネント;及び、液体貯蔵区画から液体を受け取るように形成されたアッセイ装置を含んでなる、アッセイシステムとその使用法とを提供する。ある実施形態において破裂可能なシールは、箔(例えばアルミニウム)ラミネートである。ある実施形態においてラミネートは、保護プラスチックフィルムと感熱シーラントとの間に挟まれたアルミニウム箔を含んでなる。ある実施形態において、シールは剥離性であるか又は永続性である。ある実施形態においてシール破裂コンポーネントは、(例えば剥がして開くことにより)シールを破裂させるような条件下で、該液体貯蔵区画を圧縮するプランジャーを含んでなる。ある実施形態においてプランジャーは、1又は複数のモーターで駆動される。他の実施形態においてプランジャーは、手動で駆動される。ある実施形態において、アッセイ装置内の液体パッケージングコンポーネントとチャンバーは、流体管を介して連結しているか、又は直接接触している。ある実施形態において液体パッケージングコンポーネントは、1又は複数の液体貯蔵区画を含んでなる。ある実施形態において液体貯蔵区画は、60容量%未満の、好ましくは50容量%未満の空気を含んでなる。ある実施形態において液体貯蔵区画は、400μl未満の空気を含んでなる。ある実施形態において液体パッケージングコンポーネントはさらに、液体貯蔵区画を液体パッケージングコンポーネントに固定するための1又は複数の位置合わせピンを含んでなる。
【0005】
ある実施形態において液体貯蔵区画は、破裂可能なシールの周囲(perimeter)の一部にわたって均一な圧力を加える涙滴型クランプを含んでなる。ある実施形態において涙滴型クランプは、アッセイ装置と連通している破裂可能なシールの部分には圧力を加えない。ある実施形態において液体貯蔵区画は、生物学的アッセイ又は化学的アッセイを実施するための試薬を含んでなる。ある実施形態においてアッセイは、診断アッセイ又は研究アッセイ(例えば核酸ベースのアッセイ(例えばPCR)又はタンパク質ベースのアッセイ)から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】典型的(不透明)な高防湿性耐酸素性バリアアルミニウム(Al)箔ラミネート、(b)バリアとして挙動するAl箔の薄い板、及び(c)取扱中及び加工中にAlが損傷したり破れたりすることを防ぐ保護プラスチックフィルム、の断面図である。
【図2】圧力成形される高防湿性耐酸素性バリアラミネート中でブリスター(ここでは半球形)が如何に形成されるかを示すプロセス図である。(a)低温成形ステーションは、通気孔を有するオス型プラグと、オス型プラグが通過することを可能にする貫通孔を有するストリッパープレート、及び通気孔を有する一致するメス型空洞とを含んでなる。角の丸み(corner radius)は、低温成形中にラミネートフィルムが避けたり/挟まれたりすることを防ぐために、メス型空洞に一致している。(b)ラミネートフィルムを強く保持するために、ストリッパープレートに圧力がかけられる。次に、ブリスターの形を作成するためにオス型プラグに圧力がかけられる。(c)液体は低温成形ブリスター中に正確に分注される(上);ブリスターの写真も示す(下)。
【図3】液体を有する低温成形された高防湿性、耐酸素性、及び耐UV性バリア(Al箔)ラミネートブリスターの図である。液体の液滴の頂点は、ラミネートブリスターの上部と同じ平面にある。典型的なアルミニウム箔ラミネートの断面を右側に示す。液体はブリスターラミネートの感熱シーラント側にある。
【図4】2種類のヒートシール:剥離性と永続性シールである。剥離性シール(上)は、異なるシーラント材料を使用して低温で作成される。これらは低い剥離強度を有し、製造後開くように設計される。永続性シール(中央)は典型的には、同様のシーラント材料を使用して高温で作成され、高い剥離強度を有する。ヒートシールはまた、最下画像に示すように、ラミネートを硬質プラスチックとの結合に延長される。
【図5】低温成形済みブリスター内に液体を密封するために使用される輪郭(衝撃)ヒートシール圧縮機(左)である。上部のプラテン(右上)は、ブリスターの形に一致するように設計された交換可能なヒートシール(ここでは円形)バンドを有する。下部のプラテン(右下)は、これもブリスターの形に一致するように設計された交換可能なシリコーン/アルミニウム圧を有する。
【図6】液体を貯蔵するための低温成形Al箔ラミネートブリスターをヒートシールするための一般的方法を示す。(a〜b)低温成形済みブリスターは、下部のプラテンリリーフに配置される。(c)ヒートシールバンドを有する上部のプラテンがブリスターの上に降りてきて、同期された圧力と熱を加えて、2つのラミネートを(剥離可能に)ヒートシールする。(d)最終的にパッケージされヒートシールされたブリスターである。
【図7】ヒートシール済み(剥離性)アルミニウム箔ラミネートブリスター中に貯蔵された液体の断面図である。(a)ヒートシール加工のパラメータは:x−ブリスターの端とヒートシールバンドとの距離;w−ヒートシール幅である。(b)両方の箔ラミネート中のAl箔ラミネートのために、フィルムからの液体の喪失は起きず、ヒートシールからのみ起きる。これは、ブリスター容量、周囲温度、感熱シーラント材料の性質(浸透性)、ヒートシール表面積(wの関数)、及びtseal(最終的ヒートシールの厚さ)の関数である。
【図8】パッケージ済みブリスターが、両面テープを使用して硬質ディスポーザブル(プラスチック)カートリッジに如何に組み込まれるかを示す透視図と断面図である。(a)カートリッジと組み込まれたブリスターの透視図を示す概念図である(実質図−左;透明の図−右)。(b)入り口の適切なスリットを用いて、両面接着剤をカートリッジに結合する。次に、パッケージ済みブリスターが両面接着剤の反対側に結合される。箔ラミネート#2がブリスターを超えて延長され、入り口と位置合わせした一致するスリットを有する。(c)低温成形ラミネートが、接着剤によりカートリッジに結合されていない(b)の代替法である。(d〜e)代替法−箔ラミネート#2がブリスターの大きさにトリミングされており、パッケージ済みブリスターは両面接着剤を使用してカートリッジに結合される。
【図9】両面接着剤を使用するオプションにより、ヒートシールを使用して、パッケージ済みブリスターが如何に硬質ディスポーザブル(プラスチック)カートリッジに組み込まれるかを示す断面図である。(a)パッケージ済みブリスターは硬質カートリッジにヒートシールされる。低温成形済みブリスターラミネート上の感熱シーラントは、硬質カートリッジ材料と同様である。(b)代替法:箔ラミネート#2は硬質カートリッジに接着剤で結合される。次に、低温成形済みブリスターラミネートは硬質カートリッジにヒートシールされる。
【図10】パッケージ済みブリスターを破裂させて液体をカートリッジチャンバーに送るための機械的クランプ機構を示す。この例のカートリッジの初期状態を図8(e)に示す。(a〜b)断面図(左)及び対応する上面図(右)。ブリスターからの液体が一方向のみ(ブリスターから入り口)に流れるのを確実にするために、機械的クランプは、ブリスターの端の周りと硬質カートリッジの入り口周りに配置される。機械的プランジャーを使用して、剥離性のシールが破裂するまでブリスターに均一な圧力を加え、貯蔵されていた液体が漏れ出て、入り口に入り、そしてカートリッジチャンバー中に流入することを可能にする。
【図11】3つのパッケージ済みブリスターを有する硬質カートリッジ例が、機械的クランピング及び破裂可能なモジュールと如何に連動するかを示す略図である。このデザインは、機械的クランプとプランジャーとの組合せのそれぞれを操作する3つのリニアモーターを示すが、単一のリニアステッピングモーターにより駆動される可能性を有する。
【図12】剥離性及び永続性ヒートシールの両方を有する、組み込まれたカートリッジとパッケージ済みブリスターを示す断面図である。(a)カートリッジの初期状態−図9(b)に示すものと同じ配置である。(b)機械的プランジャーが低温成形済みブリスターと位置合わせされ、そこに押しつけられる。低い剥離強度のために剥離性シールはランダムな位置で破裂し、液体はブリスターからカートリッジチャンバー内に流れる。永続性シールは破裂しない。
【図13】3つの分離した水性及び/又は非水性液体を貯蔵する3つのパッケージ済み箔ラミネートブリスターを、その中で下側に組み込んで有する診断カートリッジの例を示す。図はまた、如何に凍結乾燥アッセイビーズが、各液体で溶解するためのカートリッジに容易に組み込まれるかを例示する。疎水性の通気性膜は、液体が各チャンバーに送られたとき空気が漏れ出る点を提供する。(a)カートリッジの初期状態である。(b)ブリスターが破裂し、入り口から液体を送り、チャンバー3に向ける。凍結乾燥ビーズが溶解する。(c)第二のブリスターが破裂し、同様にして第二の液体を送る。(d)第3のブリスターが同様に破裂する。ここで、このブリスターは、チャンバー1とオーバーフローの両方からチャンバー3を分離することにより混入を防ぐのを助ける非水性液体を有する。
【図14】ブリスター圧縮機の写真である。(a)3ブリスター圧縮機の前面図であり、3つの涙滴型クランプと、各ブリスターとかみ合うプランジャーを示す。(b)3ブリスター圧縮機の側面図であり、涙滴型クランプと、クランプ力を与えるバネを示す。ここで個々のステッピングモーターが各プランジャーを駆動する。カートリッジはアルミニウム板と取り付け板との間にはまる。(c)(灰色の同心円で示される)3つの各ブリスター、入り口、チャネル、及びチャンバーの位置を示すカートリッジの略図である。
【図15】ブリスター圧縮機構の例である。(a)裏面に接着剤で結合したブリスターを有する液体カートリッジの断面図である。ブリスターは、ヒートシールの周囲の上部が直接入り口の下にくるように配置される。(b)涙滴型クランプを介してヒートシールの周囲の大部分に圧力を加えるのに、ステッピングモーターが使用される。次にプランジャー(これもステッピングモーターにより駆動される)がブリスターを押しつけ、入り口に近い剥離性ヒートシールを破裂させる。空気がチャネルとチャンバーに漏れ出て、次に液体試薬が出る。(c)ブリスターと、涙滴型クランプの位置とを示す上面図である。さらなるクランプ力が、クランプ領域中のヒートシールが破裂するのを防ぐ。×印をした位置でのみヒートシールが開き、まず空気が漏れだし、次に液体試薬が出ていく。
【図16】3つのブリスター、及びこれらが流体カートリッジと如何に連動するか、並びにブリスターが(×で示す)ある特定の位置でのみ破裂することを確実にするさらなるプラスチック片(ブリスターガード)を示す、改変した流体カートリッジ(前面と裏面)の略図例である。
【図17】(a)内部の(リリーフを伴う)プランジャーを示す3つの涙滴型クランプの1つの写真である。涙滴型クランプの外面上のoリングが、ブリスター表面との緊密な接触を確保する。(b)ブリスター圧縮機内に位置するカートリッジの写真である。挿入写真は、流体カートリッジ上の入り口に対するブリスターの位置を示す。
【図18】溶出、油、及び溶解の各ブリスターを圧縮するのに必要な力を示すグラフである。グラフは、ブリスターのサイズと液体容量の両方が、ブリスターを破裂させるのに必要な力に影響を与える可能性を示す。縦の棒は、標準偏差を示す。
【図19】2つの異なるブリスター直径(0.55”と0.72”)についての、液体容量充填能力に及ぼすブリスターストロークの影響を示すデータプロットである。
【図20】ブリスター形状と充填容量について、デッドボリュームを決定するのに使用されるカートリッジの特徴の略図である。
【図21】ブリスターを破裂するのに必要な負荷(力)に対する、ブリスター形状中の液体容量の影響を示すデータプロットである。
【図22】低温成形ブリスターの図である。
【図23】(a)箔ラミネート中の低温成形ブリスターの平面略図である。位置合わせガイドとして機能する2つの位置合わせ孔が、箔ラミネートにあけられる。これらは、低温成形ブリスターの中央軸(点線)点に沿ってあけられ、円形のヒートシール幅の外側(一点鎖線)にある。(b)ブリスターと2つの位置合わせ孔を示す箔ラミネート中の低温成形ブリスターの斜方図である。
【図24】リッドストック(lidstock)の平面略図である。リッドストック材料に3つの孔があけられ、2つはヒートシール加工、次に硬質の検査カートリッジへの組み込みと配置のための位置合わせ孔として機能し、第3の孔は液体通過口として機能する。
【図25】ヒートシール法の概要であり、低温成形ブリスター(a)が如何にリッドストック(b)と位置合わせされるかを示す。衝撃ヒートシーラーの下部プラテン上の格納式位置合わせピンは、配置と位置合わせを容易にする(c〜f)。
【図26】(a)ブリスターをヒートシールするのに使用される一般的ヒートシールバンドの略図である。これは、両側にタブが延びているドーナツリングの形の中に活性領域を有し、これは低温成形ブリスターとリッドストック上の3つの孔と重複する。不活性領域は電気的接触のためであり、ヒートシールを促進しない。(b)(一点鎖線で区切られる)ヒートシールの周囲とこれが3つの孔と如何に重複するかを示す上面図である。(c)所望の形状にパンチ切断された(すなわち、ヒートシールの周囲の周りがトリミングされている)ヒートシールされたブリスターである。
【図27】(左)両面転写接着剤が結合した硬質アッセイカートリッジの断面図である。3つの孔を有するパッケージ済みブリスターは、硬質アッセイカートリッジに結合することができる(右に示す)。結合はブリスターと同じレベルであり、従って前記したようにチャネルは形成されない。
【図28】(a)試薬を有する低温成形ブリスターの上面図である。(b〜c)位置合わせ孔を使用して位置合わせされた各ブリスター上に配置された機械的クランプを示す2つの例である。クランプからの圧力が、ブリスターのヒートシールの周囲に加えられる。
【0007】
定義
本開示の理解を促進するために、用語が以下に定義される:
「精製されたポリペプチド」又は「精製されたタンパク質」又は「精製された核酸」は、目的のポリペプチド若しくはポリヌクレオチドに天然に結合している細胞成分を基本的に含まない、例えばこれらを約50%未満、好ましくは約70%未満、さらに好ましくは約90%未満含有する、目的のポリペプチド又は核酸またはその断片を意味する。
【0008】
用語「単離された」は、その物質が元々の環境(例えば、それが天然に存在する場合は、自然の環境)から取り出されていることを意味する。例えば、生きている動物中に存在する天然のポリヌクレオチド又はポリペプチドは単離されていないが、自然のシステム中に共存する物質の一部又は全部から分離されている同じポリヌクレオチド又はDNA又はポリペプチドは、単離されている。このようなポリヌクレオチドはベクターの一部でもよく、及び/又はこのようなポリヌクレオチド若しくはポリペプチドは組成物の一部でもよく、そしてベクター若しくは組成物が自然の環境の一部ではない点で単離されている。
【0009】
「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書において同義に使用され、後述のすべてのポリペプチドを含む。ポリペプチドの基本構造は公知であり、多くの教科書や当該分野の他の刊行物に記載されている。本文脈においてこの用語は、ペプチド結合により直鎖で互いに結合した2個またはそれ以上のアミノ酸を含んでなる任意のペプチドまたはタンパク質を示す。本明細書においてこの用語は、当該分野において一般的に例えばペプチド、オリゴペプチド、及びオリゴマーと呼ばれる短鎖と、当該分野において一般的にタンパク質(多くの種類がある)と呼ばれる長鎖とを示す。
【0010】
特定のポリペプチドの「断片」は、その特定のポリペプチドから得られる少なくとも約3〜5個のアミノ酸、さらに好ましくは少なくとも約8〜10個のアミノ酸、及びさらに好ましくは少なくとも約15〜20個のアミノ酸を含んでなるアミノ酸配列を示す。
【0011】
用語「により/として免疫学的に特定することができる」は、指定のポリペプチド中に存在し、これにユニークであるエピトープ及びポリペプチドの存在を示す。免疫学的な特定は、抗体結合及び/又は結合の競合により決定される。エピトープのユニーク性はまた、エピトープをコードするポリヌクレオチド配列については既知のデータベース(例えば、ジーンバンク(GenBank))のコンピューター検索により、及び他の既知のタンパク質とのアミノ酸配列の比較により決定することもできる。
【0012】
本明細書において「エピトープ」は、ポリペプチド又はタンパク質の抗原性決定基を意味する。おそらくエピトープは、エピトープにユニークな空間的立体構造で3個のアミノ酸を含むことができる。一般的にはエピトープは、少なくとも5個のそのようなアミノ酸からなり、より一般的には少なくとも8〜10個のアミノ酸からなる。空間的立体構造を調べる方法は当該分野で公知であり、例えばX線結晶解析及び2次元核磁気共鳴がある。
【0013】
「立体構造エピトープ」は、免疫学的に認識可能な構造中のアミノ酸の特異的な並列からなり、そのようなアミノ酸は、同じポリペプチド上で連続的若しくは非連続的順序で存在するか、又は異なるポリペプチド上に存在する。
【0014】
ポリペプチドは、ポリペプチド内に含有される特異的エピトープの抗体認識により抗体に結合する場合、抗体と「免疫学的に反応的」である。免疫学的反応性は、抗体結合により、さらに詳しくは抗体結合の動力学により、及び/又は抗体が向けられているエピトープを含有する競合物質である既知のポリペプチドを使用して、結合の競合により測定される。ポリペプチドが免疫学的反応性であるかどうかの測定法は、当該分野で公知である。
【0015】
本明細書において用語「目的のエピトープを含む免疫原性ポリペプチド」は、目的の天然に存在するポリペプチドまたはその断片、ならびに他の手段、例えば化学合成若しくは組換え生物中でのポリペプチドの発現により調製されるポリペプチドを意味する。
【0016】
「精製された生成物」は、通常は生成物が結合している細胞成分から、及び目的の試料中に存在し得る他の種類の細胞から、単離された生成物の調製物を示す。
【0017】
本明細書において「分析物」は、試験試料中に存在し得る検出すべき物質、例えば目的の生物学的分子、小分子、病原体などを含む。分析物には、タンパク質、ポリペプチド、アミノ酸、ヌクレオチド標的などがある。分析物は体液(例えば血液、血漿、又は血清、尿など)中で可溶性であってよい。分析物は組織(細胞表面又は細胞内)中に存在してよい。分析物は、体液(例えば血液、尿、乳房吸引物)中に分散されるか、又は生検試料として得られる細胞上又は内に存在してよい。
【0018】
本明細書において「捕捉試薬」は、サンドイッチアッセイにおける分析物に対して、競合アッセイにおける指示試薬若しくは分析物に対して、又は間接アッセイにおけるように、それ自体が分析物に対して特異的である補助的特異的結合メンバーに対して特異的である、非標識特異的結合メンバーを示す。捕捉試薬は、アッセイの実施前又はアッセイの実施中に、固相物質に直接または間接的に結合することができ、こうして試験試料からの固定化複合体の分離を可能にする。
【0019】
「指示試薬」は、外部手段により検出可能な測定可能シグナルを生成できかつ生成する「シグナル生成化合物」(「標識物」)を含んでなる。ある実施形態において指示試薬は、特異的結合メンバーに結合(付着)している。特異的結合対の抗体メンバーである以外に、指示試薬はまた、任意の特異的結合対のメンバーでもよく、例えばビオチン若しくは抗ビオチン、アビジン若しくはビオチン、炭水化物若しくはレクチン、相補的ヌクレオチド配列、エフェクター若しくは受容体分子、酵素補助因子と酵素、酵素インヒビター、若しくは酵素などのハプテン−抗ハプテンシステムを含む。免疫反応性特異的結合メンバーは、例えばサンドイッチアッセイにおけるように目的のポリペプチドに結合できるか、競合アッセイにおけるように捕捉試薬に結合できるか、又は間接アッセイにおけるように付属の特異的結合メンバーに結合できる、抗体、抗原、又は抗体/抗原複合体でもよい。プローブ及びプローブアッセイを説明する場合、「レポーター分子」という用語が使用される。受容体分子は、特異的結合対の特異的結合メンバーに結合した上記のシグナル生成化合物(例えばカルバゾール又はアダマンタン)を含んでなる。
【0020】
企図される種々の「シグナル生成化合物」(標識物)には、色原体、触媒(例えば酵素)、発光化合物(例えば、フルオレセイン及びローダミン)、化学発光化合物(例えば、ジオクセタン、アクリジニウム、フェナントリジニウム、及びルミノール)、放射性元素、及び直接視覚可能標識物がある。酵素の例には、アルカリ性ホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、ベータガラクトシダーゼなどがある。具体的な標識物の選択は決定的に重要ではないが、それ自体或いは1又は複数のさらなる物質とともに、シグナルを生成できるべきである。
【0021】
「固相」(「固体支持体」)は当業者に公知であり、反応トレイのウェルの壁、試験管、ポリスチレンビーズ、磁性又は非磁性ビーズ、ニトロセルロースストリップ、膜、微粒子(例えばラテックス粒子)などがある。「固相」は決定的に重要ではないが、当業者が選択することができる。すなわちラテックス粒子、微粒子、磁性若しくは非磁性ビーズ、膜、プラスチックチューブ、マイクロタイターウェルの壁、ガラス、又はシリコンチップは、すべて適切な例である。固相はまた任意の多孔性材料を含んでよいことを目的とし、かつ本発明の範囲内である。
【0022】
本明細書において用語「検出する」、「検出している」、又は「検出」は、検出可能に標識された組成物を発見するか若しくは区別するか、又はその特異的観察の一般的行為を示す。
【0023】
用語「ポリヌクレオチド」は、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、修飾RNA若しくはDNA、又はRNA若しくはDNA模倣物のポリマーを示す。従ってこの用語は、天然に存在するヌクレオ塩基、糖、及び共有結合性ヌクレオシド間(骨格)結合からなるポリヌクレオチドと、同様に機能する天然に存在しない部分を有するポリヌクレオチドとを含む。このような修飾又は置換ポリヌクレオチドは当該分野で公知であり、本発明の目的において、「類似体」と呼ばれる。
【0024】
本明細書において用語「核酸分子」は、任意の核酸含有分子を意味し、特に限定されないがDNA又はRNAを含む。この用語は、DNAとRNAの任意の既知の塩基類似体(特に限定されないが、4−アセチルシトシン、8−ヒドロキシ−N6−メチルアデノシン、アジリジニルシトシン、シュードイソシトシン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、イノシン、N6−イソペンテニルアデニン、1−メチルアデニン、1−メチルシュードウラシル、1−メチルグアニン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルアデニン、2−メチルグアニン、3−メチルシトシン、5−メチルシトシン、N6−メチルアデニン、7−メチルグアニン、5−メチルアミノメチルウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、ベータ−D−マンノシルクエオシン、5’−メトキシカルオキシ、5−メトキシウラシル、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、オキシブトキソシン、シュードウラシル、クエオシン、2−チオシトシン、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、N−ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、シュードウラシル、クエオシン、2−チオシトシン、及び2,6−ジアミノプリンを含む)を含む配列を包含する。
【0025】
用語「核酸増幅試薬」は、増幅反応に使用される通常の試薬を含み、特に限定されないが、ポリメラーゼ活性を有する1又は複数の酵素、酵素補助因子(例えばマグネシウム又はニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD))、塩、緩衝剤、デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP、例えばデオキシアデノシン三リン酸、デオキシグアノシン三リン酸、デオキシシチジン三リン酸、デオキシチミジン三リン酸)、及びポリメラーゼ酵素の活性若しくはプライマーの特異性を調節する他の試薬がある。
【0026】
本明細書において用語「相補的」又は「相補性」は、塩基対合規則に関連するポリヌクレオチド(すなわち、オリゴヌクレオチド又は標的核酸のようなヌクレオチドの配列)に関連して使用される。相補性は「部分的」でもよく、ここでは核酸塩基の一部のみが塩基対合規則に従って一致される。又は、核酸間に「完全な」又は「全」相補性もあり得る。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率と強度に大きな影響を与える。これは、増幅反応、ならびに核酸間の結合に依存する検出法で特に重要である。
【0027】
用語「相同性」は、同一性の程度を示す。部分的相同性又は完全な相同性がある。部分的に同一の配列は、他の配列と100%未満同一であるものである。
【0028】
本明細書において用語「ハイブリダイゼーション」は、相補的核酸の対合に関して使用される。ハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーションの強度(すなわち、核酸間の結合の強さ)は、核酸間の相補性の程度、関与する条件のストリンジェンシー、形成されるハイブリッドのTm、及び核酸内のG:C比のような因子の影響を受ける。
【0029】
本明細書において用語「Tm」は、「融解温度」に関連して使用される。融解温度は、2本鎖核酸分子の集団が半分1本鎖に解離する温度である。核酸のTmを算出するための式は、当該分野で公知である。標準的な文献に記載されているように、Tm値の単純な推定値は、以下の式により算出される:
核酸が1M NaCl中で水溶液である場合、Tm=81.5+0.41(%G−C)(例えば、Anderson and Young, Quantitative Filter Hybridization, in Nucleic Acid Hybridization (1985)を参照)。他の文献は、Tmの算出のために構造的特徴ならびに配列の特徴を考慮するさらに洗練された計算法を含む。
【0030】
本明細書において用語「ストリンジェンシー」は、核酸ハイブリダイゼーションが行われる温度、イオン強度、及び他の化合物の存在の条件に関して使用される。「高ストリンジェンシー」条件では、核酸塩基対合は、相補的塩基配列が高頻度である核酸断片間でのみ起きる。すなわち「弱い」又は「低い」ストリンジェンシーは、互いに完全に相補的ではない核酸がハイブリダイズするか又はアニーリングすることが好ましい場合に、しばしば必要である。
【0031】
用語「野生型」は、自然の起源から単離されている場合、その遺伝子又は遺伝子産物の特徴を有している遺伝子又は遺伝子産物を示す。野生型遺伝子は、集団中で最も頻繁に観察されるものであり、従って「正常な」又は「野生型」の遺伝子と呼ばれる。これに対して用語「修飾された」又は「変異体」は、野生型遺伝子又は遺伝子産物と比較した場合、配列及び/又は機能的性質の修飾(すなわち、改変された特徴)を示す遺伝子又は遺伝子産物を示す。天然に存在する変異体が単離できること、これらは野生型遺伝子又は遺伝子産物と比較した場合に、改変された特徴を有するという事実により特定されること、に留意されたい。
【0032】
本明細書において用語「オリゴヌクレオチド」は、2個またはそれ以上のデオキシヌクレオチド若しくはリボヌクレオチド、好ましくは少なくとも5ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも約10〜15ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも約15〜30ヌクレオチド、又はそれ以上からなる分子として定義される。正確なサイズは多くの因子に依存し、これはまたオリゴヌクレオチドの最終的機能又は用途に依存する。オリゴヌクレオチドは、化学合成、DNA複製、逆転写、又はこれらの組合せを含む任意の方法により作成される。
【0033】
モノヌクレオチドは、あるモノヌクレオチドペントース環の5’リン酸が1つの方向にホスホジエステル結合を介して隣の3’酸素に結合するように反応してオリゴヌクレオチドを生成するため、オリゴヌクレオチドの末端は、モノヌクレオチドペントース環の3’酸素に5’リン酸が結合しない場合は「5’末端」と呼ばれ、3’酸素が次のモノヌクレオチドペントース環の5’リン酸に結合しない場合は「3’末端」と呼ばれる。本明細書において核酸配列は、大きなオリゴヌクレオチドの内部であっても、5’末端及び3’末端を有すると言う。核酸鎖に沿った最初の領域は、核酸の鎖に沿って5’から3’の方向に動いている場合は、最初の領域の3’末端が第二の領域の5’末端の前にある場合は、別の領域の上流であると言う。
【0034】
2つの異なる、重複しないオリゴヌクレオチドが同じ直鎖相補的核酸配列の異なる領域にアニーリングし、あるオリゴヌクレオチドの3’末端が他のオリゴヌクレオチドの5’末端を指している場合、前者は「上流の」オリゴヌクレオチドであり、後者は「下流の」オリゴヌクレオチドである。
【0035】
用語「プライマー」は、プライマー伸長が開始される条件下に置かれる場合、合成の開始点として作用することができるオリゴヌクレオチドを示す。オリゴヌクレオチド「プライマー」は、精製した制限消化物中のように天然に存在するか、又は合成法により製造することもできる。
【0036】
発明の詳細な説明
本発明は、生物学的反応及び化学反応を実施するためのシステム、装置、及び方法に関する。特に本発明は、生物学的アッセイ及び化学的アッセイへの試薬の供給のための破裂可能な液体パッケージングの使用に関する。
【0037】
ある実施形態において本発明は、密封された高防湿性、耐酸素性、及び耐UV性バリアラミネート(例えば、アルミニウム箔ラミネート)ブリスター中に、水性及び非水性いずれの液体も貯蔵し、圧力を加えてシールを破裂させることにより液体を供給する能力を有するディスポーザブル液体パッケージングモジュールを提供する。
【0038】
ある実施形態において、かかるパッケージングモジュールは、アッセイ装置、例えば硬質(例えばプラスチック製ディスポーザブル)診断カートリッジ中のチャネルや各液体チャンバー中に液体を送るのに使用される。ある実施形態において、両側にシーラントを有するラミネートは圧力を利用して低温成形されて、必要な液体容量に適切なサイズの半球形ブリスターを形成し;形成されたブリスター中に、液体が正確に分注され;ヒートシーラーを使用して、異なるシーラント材料を有する第二の平らなラミネートが作成され、境界ヒートシールが作成される(シールはまた、例えば超音波、高周波、及びレーザー溶接法を使用して作成される)。パッケージ済みブリスターは位置合わせされ、硬質カートリッジ(これは、液体が入ってくる入り口と、液体チャンバーへの連結チャネルを含む)に接着される。ブリスターに調整圧力を加えることにより、ヒートシールを破裂させ、液体が入り口に入り、チャネル中を流れて、プラスチックカートリッジ中の各チャンバーに入ることを可能にする。診断カートリッジの1つの使用例は、特に限定されないがHIV、クラミジア、及び淋菌、又は他の病原体を含む感染症のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づく検出と分析である。
【0039】
液体をパッケージングし送達する方法は、多くの診断用途及び臨床用途について設計され開発されているが、これは特にポイントオブケアの場や、冷蔵やコールドチェーン技術が必ずしも利用できない、リソースの限られた状況で役立つ。これは、適切な液体試薬が検査毎にパッケージされているため、医薬診断カートリッジを自給式とすることができる。高防湿性、耐酸素性、及び耐UV性バリアラミネートは、小液体容量の汚染と蒸発とを防ぐ。パウチを破裂させ液体を第二の位置に供給する方法は、さらなる流体系部品(例えば、ポンプ、弁、及び精密液体計量装置)の必要性を排除する。
【0040】
本明細書に開示される本発明の実施形態は、既存技術に関連する問題を克服する多くの利点を有する:
・チップ上液体試薬を有する自給性検査カートリッジ;
・低コストアルミニウム箔ラミネートを使用する高防湿性、耐酸素性、及び耐UV性バリア貯蔵ブリスターは、使用までの液体の汚染と蒸発とを防ぐ;
・複雑でコストのかかる流体取り扱い部品(例えば、精密ポンプ、弁、及びチューブ)の排除;
・凍結乾燥アッセイビーズを組み込むことによる、コールドチェーン技術の排除;
・ブリスターに圧力を加えてシールを破裂させることによる、単純な液体供給機構;
・製造場所で、ブリスターへの試薬の正確な分注を行うことができ、臨床の場での複雑さを低減する。
【0041】
I.液体貯蔵コンポーネント
上記で定義したように本発明の実施形態は、破裂可能なシールを有する1又は複数のブリスターを含んでなる液体貯蔵コンポーネントを提供する。ある実施形態において、ブリスターは以下の工程により製造され、以下の典型的な適用で使用される。本発明は、実施形態に限定されない。以下の各工程は、後に詳述される。
【0042】
1.高防湿性、耐酸素性、及び耐UV性バリアラミネートは、圧力を利用して低温成形されて、半球形ブリスターが作成される工程;
2.(例えば、手動操作されるピペットを使用して検査室で)液体は正確にブリスター中に分注される工程;
3.多くの利用可能なヒートシール法(例えば、抵抗、レーザー、高周波、超音波)のいずれかを使用して、低温成形ラミネートブリスターと第二のラミネートとの間で周囲のヒートシールが作成される工程;
4.パッケージ済みブリスターを硬質プラスチックカートリッジに組み込む工程;
5.ブリスターの破裂は、プラスチックカートリッジ中のブリスターのヒートシールと入り口の周りに機械的クランプを置き、ブリスターと入り口の孔の間のシールが破れるまで、半球形ブリスター上に均一な圧力を加える工程;及び
6.自給式診断カートリッジを実現する、1又は複数のパッケージ済みブリスターを有する組み込みPCR診断カートリッジの例。
【0043】
以下の考察は、ブリスターパッケージングの製造法と使用法の例を示す。さらなる製造法と応用は、当業者の範囲内である。
【0044】
A.ブリスターの低温成形
ある実施形態において、圧力(低温)成形できる高防湿性、酸素や他のガスに抵抗性、及び耐UV性バリアラミネートが選択され、液体を貯蔵するブリスターを作成するのに使用される。低温成形できる材料を選択する選択肢は、(熱成形に)加熱の必要が無くなるため製造コストを下げるという利点を提供する。これらの高防湿性耐酸素性バリアラミネートは、透明又は不透明に製造することができる。透明ラミネートは、多くの方法(例えば、SiOX及びAl23)によるほとんど同等のバリア保護を与え、多くは低温成形又は熱成形することができる。しかし透明ラミネートは、バリアとして機能する薄いアルミニウム(Al)シートを使用できる不透明のラミネートの4〜10倍のコストがかかる。ディスポーザブルのプラスチック診断カートリッジの全コストを低減させるために、本発明のいくつかの実施形態は、不透明のAl又は他の金属箔ラミネートを使用する。かかるラミネートフィルムの総厚さは、典型的には0.002”〜0.012”の範囲である。一般にこれらは、少なくとも3つのラミネートからなる:感熱シーラント、Al箔フィルム、及び物理的傷害(裂け、引っかき)からAl箔を防御するためのプラスチックフィルムからなる(例えば図1参照)。
【0045】
ある実施形態においてブリスターは、オス型プラグ、ストリッパープレート、及びメス型空洞からなる低温成形ステーションを使用してラミネート中に形成される。その中に貯蔵される液体に適合するように選択されるラミネートフィルムの感熱シーラント側は、以後のヒートシール加工用のオス型プラグに面している。
【0046】
図2は、高防湿性耐酸素性バリアラミネート中でブリスターが低温成形される1つの方法のプロセス図を示す。ラミネートフィルムは、メス型空洞とストリッパープレート(いずれも、非常に平らで均一な表面を有するように機械加工される)との間に加えられた圧力を使用して、しっかり固定される。ラミネートにしわがよるのを防ぐために、好ましくはメス型空洞の端から最小で0.157”(4.0mm)を平らに保持して、ヒートシール加工を可能にする。次に加えられた圧力で、オス型プラグがラミネートフィルム上に降りて、半球形ブリスターを形成する。オス型プラグとメス型空洞の大きさは、ブリスター中に貯蔵する必要がある液体の量に従って設計される。メス型空洞の直径は、φ1+2t(ここでφ1はオス型プラグの直径であり、tは箔ラミネートシートの厚さである)である。低温成形ブリスターの深さ(h)は、オス型プラグがラミネートシートにどこまで押し込まれたかに依存し、ブリスターの総液体収容能力に影響を与える。ストリッパープレートとオス型プラグの両方の加えられる圧力は、多くの異なるスキーム(特に限定されないが、スクリュー、圧縮空気、及びステッピングモーターを使用する手動圧縮)により実現される。
【0047】
ブリスターの形は、オス型プラグとメス型空洞の形に依存し、半球形に限定されない(例えば、卵形、正方形、長方形など)。ある実施形態において面(角の丸み)がメス型空洞中で機械加工されて、端でのラミネートフィルムの破裂/締め付けを防ぐ。ある実施形態において、成形中のオス型プラグ又はメス型空洞へのラミネートフィルムの吸着を防ぐために、オス型プラグとメス型空洞の両方に非常に小さい通気孔が穿孔される。通気孔は、低温成形中に空気が漏れることを可能にし、真空が増加することを防ぐ。
【0048】
ある実施形態において、ブリスターの最終アスペクト比h/φ1は、図2(c)に示すように0.30である。低温成形後にラミネートシート中に、裂け目もピンホールも観察されない。
【0049】
ある実施形態において、ブリスターは成形/充填/密封(F/F/S)機械を使用する完全ライン生産施設中にあるように、コンベヤーに沿って動くことを可能にするヘッドスペースを有するように設計される。これは、ブリスターの端の縁から液体がこぼれる確率を顕著に低下させる。F/F/Sシステムでは、ブリスターのウェブがラインに沿って加速したり減速したりして動き、これが液体をこぼす可能性がある。本発明の実施形態は、ブリスターにデッドスペースを設けることによりこの問題を克服する。
【0050】
ある実施形態においてアッセイカートリッジは、ブリスターをカートリッジに固定することを助ける1つ以上の(例えば2つの)位置合わせピンを含んでなる。
【0051】
B.低温成形ブリスターへの液体分注
ある実施形態において、いったんブリスターが低温成形されると、液体分注ツールを使用して(例えば製造中に)手動で(例えばピペッッティング装置を使用して)又は自動的にその中に液体が分注される。ある実施形態において、手動ピペッッティング装置(例えば、PEPETMANピペッッティング装置(0.1μlの分割))を使用して、所望の液量(これは10μl〜1.0mLの範囲)が分注される。ラミネートシート上の感熱シーラントフィルムはしばしば疎水性であり、水性液体が比較的高い接触角を有するようになる。ここでは、液体の液滴の先端が図3に示すようにラミネートシートの先端と一致するまで、液体がブリスター中に充填される。
【0052】
以後のヒートシール操作で、ブリスターから及びヒートシール部位(ブリスターの周囲)へ液体がこぼれたり/漏れたりすることがあるため、液滴の先端は箔ラミネートの上端より高くないことが好ましい。非水性液体はブリスターの表面を濡らして、水性液体と比較して小さな接触角を生成するため、これは非水性液体に特に有用である。ブリスターの感熱表面はまた、種々の化学的又は物理的方法(例えば、界面活性剤又はプラズマ)により表面処理されて疎水性を上昇させる(水性液体に適している)。処理法は、シーラントフィルムのヒートシール性に影響を与えないように設計される。ある実施形態において水性液体は、表面張力を低下させることによりブリスターの表面を優先的に湿らせる化学成分(例えば界面活性剤又は洗浄剤)を含有する。
【0053】
C.液体を貯蔵するようにブリスターを(ヒート)シールする
感熱シーラントを用いて材料を(例えば、ラミネートからラミネートへ、ラミネートから硬質プラスチックへ、プラスチックからプラスチックへ)結合/シールする多くの方法の1つ(特に限定されないが、一定ヒートシーラー、衝撃ヒートシーラー、レーザー溶接、高周波、及び超音波シールを含む)が使用される。ここに記載される方法の例は、衝撃ヒートシーラーの使用に基づき、ここでブリスターの周囲に機械的圧力が加えられて、両方のラミネートフィルムを鋏み、液体と気体の緊密な密封を作り出す。次に、ヒートシールバンドの電源が入れられ、急速に熱が上昇し、感熱シーラントを溶解し、これらを結合させる。加熱を止め、一方機械的クランプ圧力は、ヒートシールバンドが冷却された場合にのみ放出させ、これによりシールは良好な強度と外観を有する。加熱が常にされている一定ヒートシーラーと比較してこの方法の利点は:
(1)優れた外観のより強いシールが作成され、そして(2)ヒートシールにおいて液体蒸発と蒸気捕捉(弱いシール強度)を引き起こし得る、ヒートシール操作中の高温に液体が曝露されないことである。
【0054】
ヒートシーラーは4つのパラメータの関数である:
・時間−いくつかのパラメータ(ラミネートシート及び/又は硬質プラスチックの厚さ、及び所望のシール強度の種類を含む)に依存するプリセットした温度にヒートシールバンドが維持される時間の長さ。
・圧力−一緒にシールされる2つの材料(例えばラミネートからラミネートへ、ラミネートから硬質プラスチックへ)にかかる圧力の量(psi)。
・温度−一般に200〜500°Fの範囲であるヒートシールバンドの温度。
・感熱シーラント材料−は、同じかまたは異なる両方のラミネートシートのシーラント材料である。
【0055】
上記パラメータの組合せを操作することにより、2種類のシールを作成することができる:(1)低い剥離強度を有し、手動により、又は自動機の助けで開くように設計される剥離性シール。これらは、異なる感熱シーラント材料を用いて低温で作成される。剥離性シールを作成するように具体的に設計されている種々の感熱シーラントが、製造業者から入手できる。(2)極めて強い剥離強度を有し、開くようには設計されていない永続性シール。これらは、同様の感熱シーラント材料を用いて高温で作成される。図4は、適切なヒートシール温度とシーラント材料を選択することにより、如何に剥離性ヒートシール及び永続性ヒートシールが作成されるかの概念図である。ある実施形態においてラミネートシートは、同様の材料特性を有する硬質プラスチック材料にヒートシールすることができる。
【0056】
ある実施形態において、これらの方法は、低温成形ブリスターをヒートシールしブリスター中に液体を貯蔵するのに使用される。ある実施形態において剥離性シールは、液体が使用に必要な場合に、続くブリスターの破裂を可能にするように作成される。ある実施形態において、ヒートシールを作成するために、上部及び下部プラテンと離れたユーザー操作モジュール(時間、温度、及び圧力同期を設定する)を有する輪郭衝撃ヒートシールが設計され開発される(図5)。上部プラテンは、ブリスターの周りの円形周囲シールを作成する交換可能な円形ヒートシールバンド(バンド幅、w)を保持する。ヒートシールバンドは、ブリスターの形状に一致するように設計される。wが大きいほど、シール強度は大きくなるが、シールを作成するためのより多くの電力と圧縮機による力が必要になるという代償がある。ヒートシール応用のためのwの典型的な値は、1/8”〜1/4”である。下部プラテンは、特定のブリスター形状の直径に一致するように機械加工される交換可能なシリコーン/アルミニウム圧力プレートを保持する。ブリスターを収容できるように圧力プレートとプラテンの両方にリリーフを提供し、ヒートシール加工中にこれがつぶれるのを防ぐ。剥離性シールを作成するのに実施形態で使用される一般的ヒートシール加工を、図6に略図で示す。
【0057】
ある実施形態において、あらかじめ液体を充填した低温成形ブリスターは、シリコーン/アルミニウム圧力プレートとリリーフにより支えられた下部プラテン上に置かれる。剥離性シールのために特異的に設計された異なるシーラントを有するラミネート#2は、感熱シーラントが下を向いて(図4の上の画像に似ている)ヒートシールを促進するように、上に置かれる。上部のプラテンは力を加えることで降りてきて、ブリスターを機械的に締め付ける。ヒートシールが実現されるまで短時間、プリセットした温度までヒートシールバンドへ電力供給する。ヒートシールバンドのへ電力供給を停止し、冷却したら、上部のプラテンを挙げて、機械的クランプを開放する。こうして、硬質(プラスチック)カートリッジに組み込む準備ができた、パッケージされヒートシールされた、剥離性シールを有するブリスターが得られる。
【0058】
図7は、パッケージ済みブリスターの断面図を示す。上記ブリスター形状以外にヒートシールパラメータが図7(a)に示される。×は低温成形ブリスターの端と、ヒートシールが始まる場所との距離である。ここで、この距離はできるだけ小さくされる(0.01”)。上記したように、wはヒートシールバンドにより作成されるヒートシール幅である。パッケージされシールされたブリスター中のある程度の捕捉空気(これは圧縮可能)は、外部空気圧の変化(例えば発送中)がブリスターのつぶれや破裂を引き起こさないように必要である。同様に、ブリスター全体のサイズと破裂中に液体を捕捉することができるデッドボリュームスペースをいずれも低下させるために、捕捉空気を最小にすることが好ましい。
【0059】
図7(b)は、液体の喪失が経時的に如何にどこで起きるかを説明する同様の断面図である。両方の箔ラミネート中のAl箔のために、ラミネートシートからの液体の喪失は起きず、ヒートシールされたシーラントからのみ起きる。この液体喪失は、ブリスター容量、周囲環境の温度、感熱シーラント材料特性(浸透性)、ヒートシール表面積(xの関数)であり、及びtseal(最終ヒートシールの厚さ)の関数である。
【0060】
D.硬質カートリッジへのパッケージ済みブリスターの組み込み
ある実施形態において、ヒートシールされたブリスターはアッセイ装置(例えば硬質カートリッジ)に組み込まれる。ある実施形態において、ポリプロピレンプラスチックがカートリッジ用の材料として選択される。ポリプロピレンは低コストであり、安全で、診断化学に(生体)適合性であり、容易に廃棄することができる。このプラスチックカートリッジは、多くの既存の量産技術(特に限定されないが、射出成形や真空成形を含む)を使用して製造される。次にブリスターは硬質カートリッジに組み込まれる。ある実施形態において、(1)両面接着剤が使用され、他の実施形態では、(2)衝撃/一定ヒートシーラー、レーザー溶接、高周波、又は超音波法によるシール化が使用される。両方の方法をここで説明する。
【0061】
ある実施形態において、両面接着剤を使用する場合、パッケージ済みブリスターを硬質カートリッジに結合させるために、3つの方法の1つが選択される。組み込まれたブリスターとカートリッジの概念的透視図と断面図を図8に示す。
【0062】
図8(a)は、硬質カートリッジに組み込まれたブリスターの概念的且つ実質的(左)及び半透明(右)の透視図を示す。カートリッジは、入り口、チャネル、及びチャンバーを有し、これらはパッケージ済みブリスターにアクセスできるようにされる。疎水性通気性膜もカートリッジに組み込まれて、ブリスターが破裂した時空気が漏れるようにして、液体はカートリッジチャネルとチャンバーとを満たす。ブリスターは、カートリッジチャネルとチャンバーの入り口の外に置かれる。図8(b〜e)は、両面接着剤を使用してブリスターをカートリッジに結合することができる4つの方法の例の対応する断面図を示す(寸法通りに描いていない)。図8(b)は、スリットを有する伸長した箔ラミネート#2を有するブリスターを示し、これは次にカートリッジの入り口と位置合わせされる。ブリスターの全表面エリアをカートリッジに結合させるために、両面接着剤(これも入り口のスリットを有する)が使用される。液体は箔ラミネート上のみを流れ(接着剤とは接触してもほんのわずかである)、ブリスターとカートリッジとの間に、破裂後に液体が出てくる空隙が無いことを確実にするために、これは有利である。図8(c)は図8(b)を少し変化させたものであり、低温成形ブリスターは、接着剤によって硬質カートリッジに結合していない。図8(d〜e)は、大きさがブリスターの形に合うようにトリミングされた箔ラミネート#2を有するブリスターを示す。ブリスターが破裂すると、再度液体は接着剤とたとえあったとしても最少の接触をする。しかし、箔ラミネート#2と硬質カートリッジとの間に液体が漏れる可能性はある。これは、ブリスターを破裂するのに加えられる(平面)圧力により(後の欄を参照)、又はデザインを図8(e)に修正することにより、避けることができる。
【0063】
ブリスターを硬質カートリッジに結合させる別の方法は、主にヒートシールを使用し、少しの両面接着剤を加える選択肢がある。この方法の断面図を図9に示す。
【0064】
図9(a)は、ヒートシールを使用して、パッケージ済みブリスターが如何に硬質カートリッジに結合できるかを示す。ここで感熱シーラント材料は、カートリッジ材料と厳密に一致する性質を有し、従って永続性シールとなるように設計される(剥離性シールと比較してより強い剥離強度)。図9(b)は、パッケージ済みブリスターをカートリッジに結合するために、ヒートシールと両面接着剤テープとの組合せが使用される代替法を示す。これは、ブリスターが破裂した場合、エアポケットが液体を捕捉する可能性を低下させる。しかしこれはまた、液体がチャネルと入り口を介してカートリッジチャンバー中に流れるため、液体が接着剤と接触する可能性を招く。
【0065】
II.本発明の使用例
ある実施形態において本発明は、本明細書に記載の液体貯蔵装置、アッセイ装置、及びシール破裂装置を使用して、アッセイを行う方法を提供する。本発明は、後述のシステムや方法の例に限定されない。
【0066】
A.ブリスターを破裂させ液体を送る
診断カートリッジを使用する準備ができると、液体含有ブリスターは破裂され、チャネルと入り口を介して液体が直接カートリッジチャンバーに向けられる。ある実施形態において、シールを破裂させ液体をアッセイ装置に送るのにシール破裂コンポーネントが使用される。2つのモデルの組み込みカートリッジ及びブリスターシステムが図8(e)と図9(a)に示される。ブリスターを破裂することができる2つの可能な破裂機構が使用される:(1)図8(e)と関連して、ブリスターの周囲と入り口に機械的クランプを適用して、剥離性シール上の破裂部位を特定し、液体が入り口方向にのみ流れることを確実にし、そして(2)図9(b)と関連して、機械的クランプは無いが、ブリスターを破裂させるプランジャーのみがある。剥離性剥離強度と永続性剥離強度の差が拡大する。これらの破裂機構の両方とも後に詳述される。
【0067】
図8(e)は、機械的クランプの助けで剥離性シールが破裂されて、カートリッジチャンバー内に如何に液体を送るかのモデルを示す。図10は、破裂した剥離性シールの断面図と上面図を示す。
【0068】
図10(b)に示すように、機械的クランプは位置合わせされ、剥離性ヒートシール上の硬質カートリッジとカートリッジ内の入り口周りに押しつけられる。機械的クランプの目的は:(1)液体が特定の領域にのみ流れように、漏れ防止シールを提供すること、(2)剥離性シールが破裂する一定の位置を特定することである。次に、機械的プランジャーは、剥離性シールが破裂するまで、パッケージ済みブリスターに均一に調節された圧力を加える。プランジャーはパッケージ済みブリスターに対する圧力量を制御して、入り口を経由して破裂ブリスターの1つから、チャネルを介してカートリッジチャンバーに液体が流れ出る容量を調節する(図10(a)を参照)。カートリッジは、ブリスター中の捕捉された空気が、入り口の反対側の上まで上がるように、縦に配置される。この破裂機構はユーザーが、如何にかつどこでブリスターが破裂し液体が流れるかを絶えず知ることを可能にする。これはまたユーザーが、低温成形ブリスター中に捕捉された気泡の存在を補正することを可能にし、(泡は上に上がり)気泡が存在せず液体のみが存在する、破裂が起きる位置を確保することを可能にする。カートリッジは液体のみで満たされ、カートリッジ中に導入される気泡は上まで上がり、疎水性の通気性膜から逃げていく。さらにクランプは、液体が移動する可能性のある停滞空気層を最小にし、デッド(液体)ボリュームを最小にする。この液体喪失の低下により、初期の液体充填量とブリスターサイズ及び形状が小さくなり、材料コストが節約できる。
【0069】
カートリッジが機械的クランプ及びプランジャーと連動する方法の例を図11に示す。ある実施形態において硬質カートリッジは、カートリッジホルダーにより所定の位置に保持される複数の(例えば、2個またはそれ以上の、3個またはそれ以上の、4個またはそれ以上の)パッケージ済みブリスターを有する。別々の機械的クランプとプランジャーは、ブリスターの形に一致するように適切な大きさであり、個々にリニアステッピングモーターにより駆動される。ある実施形態において、複数のクランプとプランジャーを駆動するのに単一のリニアステッピングモーターが使用される。これらの機械的モジュールを駆動する機構はステッピングモーターに限定されず、制御可能で一定の出力を生み出す任意の他の機構も包含される。機械的クランプとプランジャーは、あらかじめ硬質カートリッジに結合したブリスターと位置合わせされ、かつ各入り口とも位置合わせされる。
【0070】
第二の破裂方法は、剥離性ヒートシールと永続性ヒートシールとの剥離強度の差を利用する。このモードは図9に示すように、一体化デザインのブリスターとカートリッジで機能する。剥離性シール(これはブリスター中で液体を貯蔵する)と永続性シール(これはブリスターを硬質カートリッジに結合させる)との剥離強度の差のために、機械的クランプ全体を取り出すことが可能である。図12は、図9(b)からの一体化したカートリッジとブリスターが、機械的プランジャーと如何に位置合わせされ結合されるかを示す断面図の例を示す。
【0071】
機械的プランジャーが低温成形ブリスターに押しつけられると、剥離性シールが破裂し、入り口を介して液体がカートリッジ内に流れる。浸透性ヒートシールはそのままであり、液体がカートリッジモジュールの外に漏れるのを防ぐ。
【0072】
ある実施形態においてブリスター圧縮機構は、プラスチック製微小流体アッセイカートリッジに接着剤で結合した複数のブリスターを圧縮するように設計される(図13(c)参照)。ブリスターの数は、アッセイの要件に従って調整することができる。ブリスター圧縮機は、特定の位置で剥離性シールを剥離させることによりブリスターを圧縮し、液体を入り口を介してカートリッジチャンバーとチャンバーに送る。図13を参照。
【0073】
ある実施形態において、あらかじめ設定した位置で絶えず破裂が起きるように、ブリスター上の剥離性ヒートシールの剥離を指令するのに涙滴型クランプが使用される。図14を参照。ある実施形態において、ブリスターは接着剤によりカートリッジ表面に結合されるか、又は他のシール法を使用して結合され、ヒートシールの周囲の上部が直接入り口の下にくるように配置される(図14(c))。従ってブリスターを圧縮する場合のカートリッジの配置は重要である(図16(b)参照)。涙滴型クランプは、上部以外は、ヒートシールの周囲のほとんどに均一な圧力を加える。破裂が絶えず上部で剥離する自然の傾向を持つように、加える圧力は、ヒートシール性の差を補正するのに充分に大きくなければならない。これは、図14(c)の×で示されるように、ヒートシールがいったん傷つけられると、まず空気が抜け、次に液体が漏れることを確実にする。ある実施形態においてカートリッジは、「オーバフロー」チャンバー内の小さい排出ポート孔を備え、これはブリスターがカートリッジチャネルに入ることを可能にする。ブリスターを圧縮すると最初に液体が出てきて(すなわち、ヒートシールの周囲の底が入り口の上にあるように、ブリスターは位置している)、気泡と液体の多量の混合物がカートリッジ中に送られるため、空気−液体の順序は特に重要である。
【0074】
ある実施形態においてクランプ機構は、ディスポーザブル微小流体カートリッジに直接組み込まれる。例えばいったんブリスターがカートリッジに結合すると、プラスチック材料(ブリスターガード)の小片が微小流体カートリッジと結合し、必要な機械的クランプ圧力を与えて、ブリスターヒートシールが1方向にのみ破裂することを確実にする(図15の×で示される)。
【0075】
ある実施形態において破裂可能なブリスターのプランジャーは涙滴型と同様の形で、ブリスターよりわずかに大きなサイズにされて、これが破裂のために全表面エリアを覆うことを確実にする。これは、ブリスターの完全な圧縮を確実にし、カートリッジ上に送られないブリスター内のデッド(捕捉された)液体ボリュームを最少にする。ある実施形態においてプランジャーは、上部に切られた小さいチャネルリリーフを有し、これは、圧縮機中(すなわち剥離性ヒートシールが剥離する場合)に作成されるチャネルが完全に閉じることを防ぎ、これは、液体がブリスターから入り口及びカートリッジに移動することを可能にする。
【0076】
複数のブリスターを使用する実施形態において、特に溶解チャンバーと溶出チャンバーとの間で、液体は特定の順序で破裂されて交差汚染を防ぐ。さらに、気泡が以後のアッセイ処理を妨害するので、液体の分注は気泡がチャネルとチャンバーネットワーク中に存在しないことを確実にする。使用される2つの順序法の例がある。
【0077】
方法1
1.溶出ブリスターを破裂させ、チャネルとチャンバーを充填する。
2.溶解ブリスターを破裂させ、チャンバーを充填し、これがあふれ出ないことを確実にする。
3.油ブリスターを破裂させて、溶出と溶解との間のチャネルとチャンバーギャップを充填する。これは混合しない液体であるため、溶解と溶出試薬との交差汚染を防ぐであろう。
【0078】
方法2
1.溶出ブリスターを破裂させ、チャネルとチャンバーとを充填する。
2.油ブリスターを破裂させ、チャネルとチャンバーの部分とを充填する。これは、溶出と溶解との液体緩衝を作成し、あるいは溶解ブリスターがあふれ、油チャンバー中に流れ、次に溶出チャンバー中に流れる。
3.溶解ブリスターを破裂させ、チャネルとチャンバーとを充填する。
4.すでに圧縮した油ブリスターからさらなる油を送って、溶解と溶出試薬との間の残りのチャンバーギャップを充填する。
【0079】
ある実施形態において、カートリッジが設計される方法とその縦の配置(これは重力の利用を促進する)は、カートリッジに入った気泡が、上方に浮き上がり、オーバーフローチャンバーの近く又はその中に入ることを可能にする。
【0080】
B.システム例
図13(a)は、0.10mL〜1.0mLの容量範囲で、明瞭な水性及び/又は非水性液体を含有する複数のパッケージ済みブリスターを有する、診断アッセイ(例えばPCRアッセイ)用に設計された一体化カートリッジの例を示す。この実施形態はまた、いったんブリスターが破裂し、液体が入り口、流体チャネルを通過して各チャンバーに入ると、溶解される凍結乾燥アッセイペレットの組み込みを示す。ある実施形態において、疎水性通気性膜を含むオーバーフローチャンバーもカートリッジに組み込まれて、チャンバーを液体で充填する場合、空気の通過を可能にする。用途により1つずつ又は同時にブリスターは破裂され、その貯蔵液体を硬質カートリッジ中に送る(図13(b〜d)参照)。図に示すようにカートリッジは直立形で維持されるため、ブリスターから硬質カートリッジに移動する気泡は、チャネルとチャンバーの上部に容易に浮き上がり、オーバーフローチャンバーに入る。ここでチャンバー2を充填する液体は非水性液体であり、チャンバー3中の液体をチャンバー1の液体を分離することにより汚染を防ぎ、オーバーフローすることを助ける(US6,103,265;参照により本明細書に組み込まれる)。ある実施形態において、破裂し、カートリッジチャンバーを適切な液体で充填するスキームは、すでに図11に記載したように、完全に自動化される。
【0081】
ある実施形態においてカートリッジは、図14(a)の示すように、ブリスター内の液体が重力により下に引っ張られるように、縦に配置される。これはまた、いったんヒートシールが破裂されると、空気がまずぬけ、次に液体が出てくることを確実にする。これは、カルシウムチャネルとチャンバーに注入される気泡の数を最小にする。図16(b)の挿入画像は、ブリスターが如何にして入り口の真下に置かれるかを示す。
【0082】
C.用途
本発明の実施形態のシステムと方法は、多くの診断アッセイで使用される。例としては、特に限定されないが、PCR医学診断検査(例えば、HIVのような感染性疾患用)が含まれる。ある実施形態において本発明のシステムと方法は、温度制御環境が利用できない資源が限定されたエリアにおいてアッセイを実施するのに使用される。ある実施形態においてアッセイは、自給性の個々の検査としてパッケージされ、これは、患者の分析を完了するのに必要なすべての(液体)試薬をカートリッジ上に有する。さらに凍結乾燥アッセイビーズを組み込むことにより、コールドチェーン技術を回避することができ、コストが節約され、検査がより強固になり、より公に容易に利用可能になる。
【0083】
本発明の実施形態のシステムと方法は、比較的少量の液体を検査カートリッジに貯蔵しなければならないラボオンチップ(lab on a chip)技術において多くの利点と用途を有する。本明細書に記載のシステムと方法で使用するのに適した研究及び診断アッセイの例は、後述される。
【0084】
i.試料
精製及び/又は分析のための所望の物質を含有すると思われる試料を、開示した方法に従って検査する。ある実施形態において、試料は生物学的試料である。かかる試料は、細胞(例えばウイルスに感染していると思われる細胞)、組織(例えば生検試料)、血液、尿、精液、又はこれらの画分(例えば、血漿、血清、尿上清、尿細胞ペレット、又は前立腺細胞)でもよく、これらは患者又は他の生物学的物質源(例えば法医学的材料の剖検試料)から得られる。
【0085】
試料を装置又は装置若しくは自動システムのコンポーネントと接触させる前に、試料を処理して、所望の分子について試料を単離若しくは濃縮する。標準的検査慣習を使用する種々の方法がこの目的に使用され、例えば、遠心分離、免疫捕捉、細胞溶解、及び核酸標的捕捉がある。
別の実施形態において本発明の実施形態の方法は、完全な細胞(例えば原核細胞又は真核細胞)を精製及び/又は分析するのに使用される。
【0086】
ii.核酸検出
核酸修飾/分析/検出法の例には、特に限定されないが、核酸配列決定、核酸ハイブリダイゼーション、核酸増幅がある。核酸配列決定法の非限定例には、特に限定されないが、鎖ターミネーター(Sanger)配列決定法と色素ターミネーター配列決定法がある。RNAは細胞中でより不安定であり、実験的にヌクレアーゼ攻撃を受けやすいため、RNAは通常配列決定前にDNAに逆転写されることは、当業者に明らかであろう。核酸ハイブリダイゼーション法の非限定例には、特に限定されないが、インサイチューハイブリダイゼーション(ISH)、マイクロアレイ、及びサザンブロッティング又はノーザンブロットがある。核酸は、検出前に又は検出と同時に増幅してもよい。
【0087】
核酸増幅法の非限定例には、特に限定されないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、転写介在増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、鎖置換増幅(SDA)、及び核酸配列ベースの増幅(NASBA)が含まれる。ある増幅法(例えばPCR)は、増幅前にRNAをDNAに逆転写すること(例えばRT−PCR)が必要であり、他の増幅法はRNAを直接増幅すること(例えば、TMA及びNASBA)と、当業者は理解しているであろう。
【0088】
ポリメラーゼ連鎖反応(米国特許第4,683,195号、4,683,202号、4,800,159号、及び4,965,188号、これらはそれぞれ、全体において参照により本明細書に組み込まれる)(一般的にPCRと呼ばれる)は、複数サイクルのプライマー対の変性、反対の鎖へのアニーリング、及びプライマー伸長を使用して、標的核酸配列のコピー数を指数的に増加させる。RT−PCRを呼ばれるバリエーションでは、逆転写酵素(RT)を使用してmRNAから相補的DNA(cDNA)が作成され、次にcDNAはPCRにより増幅されて複数コピーのDNAを産生する。PCRの他の種々の組合せについては、例えば米国特許第4,683,195号、4,683,202号、及び4,800,159号; Mullis et al, Meth. Enzymol. 155: 335 (1987); 及び, Murakawa et al., DNA 7: 287 (1988)を参照されたい(これらはそれぞれ参照により全体において本明細書に組み込まれる)。
【0089】
転写介在増幅法(米国特許第5,480,784号、及び5,399,491号、これらのそれぞれは参照により全体において本明細書に組み込まれる)(一般的にTMAと呼ばれる)は、実質的に一定の温度、イオン強度、及びpHの条件下で自己触媒的に標的核酸配列の複数のコピーを合成し、ここで標的配列の複数のRNAコピーは自己触媒的にさらなるコピーを生成する。例えば米国特許第5,399,491号及び5,824,518号を参照(これらのそれぞれは参照により全体において本明細書に組み込まれる)。米国特許公開代20060046265号(参照により全体において本明細書に組み込まれる)に記載されているバリエーションでは、TMAは場合により、ブロッキング部分、停止部分、及び他の修飾部分の使用を取り込み、TMAプロセスの感度と正確度を改良する。
【0090】
リガーゼ連鎖反応(Weiss, R., Science 254: 1292 (1991)、参照により全体において本明細書に組み込まれる)(一般的にLCRと呼ばれる)は、標的核酸の隣接領域にハイブリダイズする相補的DNAオリゴヌクレオチドの2つのセットを使用する。DNAオリゴヌクレオチドは、熱変性、ハイブリダイゼーション、及び連結の繰り返しサイクルでDNAリガーゼにより共有結合されて、検出可能な2本鎖連結オリゴヌクレオチド生成物を生成する。
【0091】
鎖置換増幅法(Walker, G. et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 392-396 (1992); 米国特許第5,270,184号及び5,455,166号、これらのそれぞれは参照により全体において本明細書に組み込まれる)(一般的にSDAと呼ばれる)は、プライマー配列の対を標的配列の反対の鎖にアニーリングし、dNTPαSの存在下でのプライマー伸長による2本鎖ヘミホスホロチオエート化プライマー伸長生成物の産生、半修飾制限エンドヌクレアーゼ認識部位のエンドヌクレアーゼ介在ニッキング、及びニックの3’末端からのポリメラーゼ介在プライマー伸長、のサイクルを使用して、既存の鎖を置換し、次のラウンドのプライマーアニーリング、ニッキング、及び鎖置換のための鎖を産生し、生成物の幾何平均的増幅を与える。好熱性SDA(tSDA)は、基本的に同じ方法で高温で好熱性エンドヌクレアーゼとポリメラーゼを使用する(欧州特許第0684315号)。
【0092】
他の増幅法には、例えば核酸配列ベースの増幅(米国特許第5,130,238号、参照により全体において本明細書に組み込まれる)(一般的にNASBAと呼ばれる);RNAレプリカーゼを使用してプローブ分子自体を増幅する方法(Lizardi et al., BioTechnol. 6: 1197 (1988), 参照により全体において本明細書に組み込まれる)(一般的にQβレプリカーゼと呼ばれる);転写ベースの増幅法(Kwoh et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173 (1989)); 及び自立式配列複製(Guatelli et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87: 1874 (1990))が含まれる。公知の増幅法のさらなる考察については、Persing, David H., "In Vitro Nucleic Acid Amplification Techniques" in Diagnostic Medical Microbiology: Principles and Applications (Persing et al, ed), pp. 51-87 (American Society for Microbiology, Washington, DC (1993))を参照されたい。
【0093】
非増幅又は増幅標的核酸は、任意の従来法により検出することができる。例えば標的mRNAは、検出できるように標識したプローブを用いるハイブリダイゼーションと、生じるハイブリッドの測定により検出することができる。検出法の非限定例は後述される。
【0094】
検出法の1つであるハイブリダイゼーション保護アッセイ(HPA)は、化学発光性オリゴヌクレオチドプローブ(例えば、アクリジニウムエステル標識(AE)プローブ)を標的配列にハイブリダイズし、ハイブリダイズしないプローブ上に存在する化学発光標識物を選択的に加水分解し、そして残りのプローブから産生される化学発光をルミノメーターで測定することを含む。例えば、米国特許第5,283,174号、及び Norman C. Nelson et al., Nonisotopic Probing, Blotting, and Sequencing, ch. 17 (Larry J. Kricka ed, 2d ed. 1995)を参照されたい(これらのそれぞれは参照により全体において本明細書に組み込まれる)。
【0095】
別の検出法の例は、増幅プロセスのリアルタイムの定量的評価を与える。「リアルタイム」の増幅プロセスの評価は、増幅反応中に反応混合物中のアンプリコンの量を連続的に又は周期的に測定し、測定された値を使用して、最初に試料中に存在した標的配列の量を計算することを含む。リアルタイム増幅に基づく、試料中に存在した初期の標的配列の量を測定する種々の方法は、当該分野で公知である。これらには、米国特許第6,303,305号、及び6,541,205号に開示された方法(これらのそれぞれは参照により全体において本明細書に組み込まれる)がある。試料中に最初に存在した標的配列の量を測定するための別の方法(しかしこれはリアルタイム増幅に基づかない)は、米国特許第5,710,029号に開示されている(これは参照により全体において本明細書に組み込まれる)。
【0096】
増幅生成物は、種々の自己ハイブリダイズ性プローブ(そのほとんどはステムループ構造を有する)の使用によりリアルタイムで検出される。このような自己ハイブリダイズ性プローブは、プローブが自己ハイブリダイズ状態にあるか又は改変状態にあるかに依存して、標的配列へのハイブリダイゼーションを介して異なる検出シグナルを発するように標識される。非限定例として「分子トーチ(molecular torch)」は、結合領域(例えば非ヌクレオチドリンカー)により連結され、あらかじめ決められたハイブリダイゼーションアッセイ条件下で互いにハイブリダイズする自己相補性の明確な領域(「標的結合ドメイン」及び「標的クロージングドメイン」と呼ばれる)を含む自己ハイブリダイズ性プローブの種類である。好適な実施形態において分子トーチは、長さが1〜約20塩基で、かつ鎖置換条件下で増幅反応中に存在する標的配列へのハイブリダイゼーションのためにアクセスできる1本鎖塩基領域を標的結合ドメイン中に含む。標的配列の存在下を除いて、鎖置換条件下で、標的結合ドメイン中の1本鎖領域に結合し、標的クロージングドメインのすべて若しくは一部を置換する、分子トーチの2つの相補的領域(これは完全に又は部分的に相補的でもよい)のハイブリダイゼーションが好適である。分子トーチの標的結合ドメインと標的クロージングドメインは、分子トーチが標的配列にハイブリダイズした場合よりも、分子トーチが自己ハイブリダイズした場合に、異なるシグナルが産生されるように配置された検出可能な標識物若しくは相互作用性標識物対(例えば発光/クエンチャー)を含み、こうして、ハイブリダイズしていない分子トーチの存在下での試料中のプローブ:標的2本鎖の検出を可能にする。分子トーチと相互作用性標識物対の多くの種類は公知である(例えば、米国特許第6,534,274号、これは参照により全体において本明細書に組み込まれる)。
【0097】
自己相補性を有する検出プローブの別の例は、「分子ビーコン(molecular beacon)」である(米国特許第5,925,517号、及び6,150,097号を参照されたい、これは参照により全体において本明細書に組み込まれる)。分子ビーコンは、標的相補性配列を有する核酸分子、増幅反応中に存在する標的配列の非存在下で閉構造でプローブを保持する親和性対(核酸アーム)、及びプローブが閉構造状態である場合に相互作用する標識物対を含む。標的配列と標的相補性配列のハイブリダイゼーションは親和性対のメンバーを分離し、こうしてプローブを開構造にシフトさせる。開構造へのシフトは、標識物対(これは例えば、蛍光性物質とクエンチャー、例えばDABCYLとEDANSでもよい)の相互作用の低下により検出される。
【0098】
他の自己ハイブリダイズ性プローブは、当業者に公知である。非限定例として、相互作用性標識物を有するプローブ結合対(例えば、米国特許第5,928,862号参照、これは参照により全体において本明細書に組み込まれる)は、本明細書に開示の組成物と方法での使用に適合するように改変される。単一ヌクレオチド多型(SNP)を検出するのに使用されるプローブ系もまた使用される。さらなる検出系は「分子スイッチ」を含む(例えば、米国特許公開第20050042638号参照、これは参照により全体において本明細書に組み込まれる)。他のプローブ(例えば、インターカレーティング色素及び/又は蛍光物質を含んでなるもの)もまた、本明細書に開示の方法で増幅産物の検出に有用である(例えば、米国特許第5,814,447参照、これは参照により全体において本明細書に組み込まれる)。
【0099】
ある実施形態において検出法は定性的である(例えば、特定の核酸の有無)。他の実施形態においてこれらは定量的である(例えば、ウイルス量)。
【0100】
iii.タンパク質検出
タンパク質検出法の例には、特に限定されないが、酵素アッセイ、直接視覚化、及びイムノアッセイがある。ある実施形態において、イムノアッセイは精製タンパク質に対する抗体を利用する。かかる抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、ヒト化、1本鎖、又はFab断片でもよく、これらは標識されていても標識されていなくてもよく、これらのすべては、公知の方法及び標準の検査室慣習により製造される。例えば、Burns ed, Immunochemical Protocols, 3rded, Humana Press (2005); Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory (1988); Kozbor et al, Immunology Today 4: 72 (1983); Kohler and Milstein, Nature 256: 495 (1975)を参照されたい。ある実施形態において市販の抗体が使用される。
【0101】
D.データ解析
ある実施形態において、精製と検出後に、コンピューターベースの解析プログラムを使用して、検出アッセイにより作成された生データ(すなわち、ある標的分子の有無又は量)が、臨床家又は研究者のための予測値のデータに変換される。ある実施形態においてソフトウェアプログラムは自動装置に組み込まれる。他の実施形態において、これは遠くに位置する。臨床家は、適切な手段を使用してデータにアクセスすることができる。すなわちある好適な実施形態において本発明は、遺伝生物学又は分子生物学の教育を受けていないと推定される臨床家が生データを理解する必要がないというさらなる利点を与える。データは、その最も有用な形で直接臨床家に提供される。次に臨床家は、被験者の治療を最適化するために、その情報を直ちに利用することができる。
【0102】
アッセイを行う検査室、情報提供者、医療従事者、及び被験者へ及びこれらから、情報を受ける、処理する、伝達することができる任意の方法が使用される。例えば本発明のある実施形態において、試料(例えば、生検、若しくは血清、又は尿試料)は被験者から得られ、世界中のどこか(例えば、被験者が住む国以外の国、又は情報が最終的に使用される場所)にあるサービス(例えば、医学施設の臨床検査室、ゲノムプロフィール事業など)に提出されて、生データが作成される。試料が組織又は他の生物学的試料を含んでなる場合、被験者は医学センターを訪れて、試料を採取され、プロフィール作成センターに送られるか、又は被験者は自分で試料を採取し(例えば尿試料)、これを直接プロフィール作成センターに送る。試料があらかじめ決められた生物学的情報を含んでなる場合、その情報は被験者により直接プロフィール作成サービスに送られる(例えば、情報を含む情報カードはコンピューターによりスキャンされ、データは、電子通信システムを使用してプロフィール作成センターのコンピューターに送られる)。プロフィール作成サービスにより受け取られると、試料は処理され、被験者について所望の診断又は予後情報に特異的なプロフィール(すなわち、発現データ)が作成される。
【0103】
次に、プロフィールデータは、治療臨床家による解釈に適したフォーマットで準備される。例えば、生データを提供するよりも、準備されたフォーマットが、次に具体的な治療選択肢の推薦とともに、その被験者の診断又はリスク評価(例えばウイルス量のレベル)となる。データは、任意の適切な方法により臨床家に表示される。例えばある実施形態において、プロフィール作成サービスは、臨床家のために印刷できる報告書を作成する(例えばポイントオブケア)か、又はコンピューターモニターで臨床家に表示される。
【0104】
ある実施形態において、情報はまずポイントオブケア又は地域の施設で解析される。次に生データは、さらなる解析のために中央処理施設に送られ、及び/又は生データは臨床家又は患者に有用な情報に変換される。中央処理施設はプライバシー(すべてのデータは、均一なセキュリティプロトコールを用いて中央施設中で保存される)、速度、及びデータ解析の均一性の利点を提供する。次に中央処理施設は、被験者の治療後のデータの運命を制御する。例えば電子通信システムを使用して、中央施設は、臨床家、被験者、又は研究者にデータを提供することができる。
【0105】
ある実施形態において、被験者は炎症通信システムを使用してデータに直接アクセスすることができる。被験者は、結果に基づき、さらなる介入又はカウンセリングを選択することができる。ある実施形態においてデータは、研究用途で使用される。例えばデータは、特定の症状又は疾患状態の有用な指標としてのマーカーの包含又は排除をさらに最適化するのに使用される。
【0106】
E.組成物及びキット
ある実施形態において、精製及び分析を実施するのに必要なすべての部品(例えば、アッセイを実施するためのブリスターシール試薬及びカートリッジ)を含む本発明のシステム及び/又は装置が出荷される。別の実施形態において、さらなる反応部品が、一緒にキットにパッケージされて別の容器で供給される。
【0107】
これらの組成物のいずれか、単独で又は本明細書に開示の若しくは当該分野で公知の他の組成物と組合せて、キットの形で提供してもよい。キットは、適切な対照及び/又は検出試薬をさらに含んでよい。本明細書に記載の任意の方法で使用される任意の1又は複数の試薬を、キットで提供してもよい。
【0108】
実験
以下の例は、いくつかの好適な実施形態、組成物の態様、及び本明細書に開示の方法を説明し例示するために提供されるが、決して特許請求された発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0109】
実施例1
破裂力
ブリスターを破裂するのにどの程度の力が必要であるかを確認するために、実験を行った。この情報は、正しい種類のステッピングモーター(これは、プランジャーをブリスターに押しつけるのに充分な力を出力する)の決定を助けるのに使用される。ブリスターを盲検的に破裂するのに、Instron圧縮装置を使用した(すなわち、涙滴型クランプ無し)。ブリスターパラメータは下に記載される。
【0110】
−溶解ブリスター
0.72”直径
0.20”ストローク(深さ)
液体容量=500μL
−油ブリスター
0.72”直径
0.18”ストローク(深さ)
液体容量=400μL
−溶出ブリスター
0.55”直径
0.150”ストローク(深さ)
液体容量=150μL
【0111】
グラフデータを図18に示す。データプロットは、溶出、油、及び溶解ブリスターを破裂するのに必要な平均負荷(力)を示す。比較的狭い標準偏差で示されるように相対的に一定の力は、ヒートシーリング性が一定であることを示す。ブリスター内のブリスターサイズ、シール幅、又は液体容量のいずれかが変化すると、力が変化する。
【0112】
実施例2
加速老化試験
2つの箔ラミネートを結合するヒートシーリングプロセスを定量するために、実験を行った。ヒートシールの性質は、ブリスターを破裂するのに必要な力と蒸発による液体喪失との両方に、直接の影響を与える。ブリスターを42〜45℃(1〜3%RH)の対流オーブン中で数週間保管した。さらに冷出荷輸送をシミュレートするために、ブリスターを室温(RT)〜0℃に16時間、0℃〜−20℃に8時間、−20℃〜0℃で16時間曝露し、そしてRTに戻った。液体喪失は、定期的な重量測定により測定した。各液体試薬(溶出、溶解、及び油)を用いて実験計画(DOE)を行って、最適時間と温度管理を測定した。50〜90psiの範囲の圧力は、ヒートシールの性質にほとんどまたは全く影響を与えないことをあらかじめ測定した。液体の無いブリスターをまたヒートシールして、重量の変化を引き起こさないブリスター材料自体の物理的変化を測定した。これは、内部に液体を有するブリスターで観察される重量喪失のベースラインとなる。
【0113】
溶解DOE
・時間=2、5、8秒
・温度=191、211、232℃
溶出DOE
・時間=2、5秒
・温度=191、211℃
油DOE
・時間=2、5秒
・温度=191、211℃
【0114】
油ブリスターについては蒸発は予想されないが、油はヒートシール表面に漏れて、ヒートシールの品質を悪化させる。また、3つ全てのブリスターと液体に有効な普遍的時間と温度とを測定することは大規模生産に極めて有用であるため、当該測定を行うことが好ましい。重量喪失データは、以下の観察結果を示した:
【0115】
溶解ブリスター
・49日間
・空のブリスター平均重量喪失と標準偏差=0.0006g±0.0001
・液体ブリスター重量喪失は0.0005〜0.0013gの間で変動した
・観察−空のブリスター重要喪失を考慮すると、実際の液体喪失はせいぜい約0.0006gであり、これは0.6μLに相当し、非常に優れたヒートシールであることを示す。
【0116】
溶出ブリスター
・36日間
・空のブリスター平均重量喪失と標準偏差=0.0002g±0.0001
・液体ブリスター重量喪失は0.0001〜0.0003gの間で変動した
・観察−空のブリスター重要喪失を考慮すると、実際の液体喪失は無視できるものであり、これは非常に優れたヒートシールであることを示す。
【0117】
油ブリスター
・20日間
・空のブリスター平均重量喪失と標準偏差=0.0001g±0.0001
・液体ブリスター重量喪失は0.0000〜0.0005gの間で変動した
・観察−空のブリスター重要喪失を考慮すると、実際の液体喪失はせいぜい約0.0003gであり、これは0.38μLに相当し、非常に優れたヒートシールであることを示す。
【0118】
実施例3
液体容量充填能力
あるブリスターについて総液体容量充填能力を調べるために実験を行った。これは、ブリスター直径とストローク(深さ)に依存する。この情報は、オーバーフローする(すなわちヒートシールの周囲に達する)ことなくかつヒートシール加工に害を与えることなく、ブリスター内で安全にヒートシールできる液体の最大量を決定するために使用される。これは、箔ラミネートブリスターの表面を優先的に湿らせる液体について特に有用である。2つのブリスター直径を解析した:0.55”と0.72”。異なるストロークを有する複数のブリスターを(箔ラミネートが裂けなかった最大ストロークから出発して、次第に低下する深さで)低温成形し、空でヒートシールした。細いゲージ針を使用して箔ラミネートについてリッドストックに孔をあけ、液体がこぼれ始めるまで空のブリスターに液体を分注した。これは、ブリスターの液体容量充填能力であると決定した。図19を参照されたい。
【0119】
データプロットは、いくつかのストローク値での両方のブリスター直径の液体容量充填能力を示す。最大容量は、各データ点の上に記載される。他のストローク値においてさらなる数字解釈を与えることができる各ブリスター直径について、直線状トレンドラインも決定された。
【0120】
実施例4
デッドボリューム
ブリスターを完全に圧縮する場合、ブリスターが如何に圧縮されるかにより一定の割合の液体が絶えずブリスター内に残存する−しわは少量の液体を捕捉し得る。デッドボリュームはブリスター内にあるべき容量(ブリスター液体容量=チャネル容量+チャンバー容量+デッドボリューム+推定蒸発容量)に直接関連するため、デッドボリュームを解析することが有用である。さらに、これはまた、カートリッジ中にどれだけの液体が分注されるか、及びこれがアッセイに充分であるかどうかを決定する助けにもなる。
【0121】
デッドボリュームを測定するために、種々のブリスターを性状解析カートリッジ上に圧縮した。液体を、あらかじめ長さと液体容量と関連付けるように較正した1つの長いチャネル中に分注した。従ってデッドボリュームは以下のように定義される。カートリッジのスケッチとデッドボリュームを決定することの概念については、図20を参照されたい。
デッドボリューム=ブリスター中の総出発容量−チャネル中に分注された容量。
【0122】
以下の種類のブリスターを試験した:
−0.53”直径
・0.150”ストローク
・150μL
−0.72”直径
・0.135”、0.15”、0.18”、及び0.20”ストローク
・300、350、400、500、550、575、及び600μL
【0123】
生データは、表1に示される。「総容量充填能力」は図19から改変されている。表は、平均分注量、ならびに各デッドボリュームと、その総容量充填能力及び実際に分注された液体容量との比率を示す。これは、より小さいブリスターにより大きいデッドボリュームが続き、またブリスターに貯蔵すべき最小液体容量(すなわち、デッドボリュームと同等)に対する情報を与えることを示す。これはまた、液体容量と試験されるストロークについて、デッドボリュームが比較的一定であることを示す。
【0124】
表1に、各ブリスターの種類について分注した容量を示す生データと(ブリスターに残された)その各デッドボリュームを示す。デッドボリュームと、その総容量充填能力及び実際に分注された液体容量との比率もまた、ここに報告される。
【表1】

【0125】
実施例5
力に対する液体容量
あるブリスター中の液体容量を変化させると、これを破裂するのに必要な力に対する影響も変化する。これは、ブリスター中に存在する空気の量のためである。空気は圧縮できるが液体は圧縮できず、空気の容量が多いと剥離性ヒートシールを破裂させるのにより大きな力が必要になるであろう。ブリスター中の空気の量はできるだけ減少させることが好ましい:(1)低ATA(絶対気圧)中の輸送、ここではおそらく、キャビンは充分加圧されず、ブリスター中の増加した空気量は膨張し始め、ヒートシールをはがし始める;(2)空気量を減らすことは、ブリスターを破裂するための一定の均一な力を実現する助けになるであろう(すなわち、より多くの空気は力のより大きな標準偏差を意味する)。
【0126】
ブリスターの形についての液体容量が力に如何に影響を与えるかを調べる実験が今日まで行われている。ここでは以下のパラメータが試験された。
−0.72”直径のブリスター
−0.20”ストローク
−100、200、400、及び500μLの液体容量(これは、12、24、49、及び61%の総容量充填能力に相当する−823μL)
【0127】
得られたデータを図21に示す。データプロットは、空気量が多いほど、低液体容量で力が上昇することを示す。さらに低容量について標準偏差が顕著に大きくなり、これは、ブリスター毎の変動が大きいことを示す。これは、実際の実験では好ましくない。液体容量が400μL又はそれ以上である場合、力はより実現可能な値まで低下し、ブリスター間の変動はほとんど消失する。
【0128】
実施例6
さらなるデザイン
本例は、さらなるブリスターパックのデザインを説明する。しかし最初の提出以来、我々はこのデザインを問題にしていた。ある実施形態において、箔ラミネートと転写接着剤との間の結合プロセス中に、小さいチャネルが作成される(例えば図8を参照)。これらのチャネルは、転写接着剤と箔ラミネート間のステップの差により発生する(リッドストック箔ラミネートの厚さにより引き起こされる)。液体はこれらの位置に移動するため、これらのチャネルの発生は、ブリスターが破裂する場合にデッドボリュームの上昇を引き起こす。結合技術によってこのチャネル形成を最少にすることを確実にすることが、非常に求められている。ある実施形態において、デッドボリュームを最小にする修正されたブリスターパッケージングデザインが使用される。
【0129】
いったんブリスターが低温成形されると、図23に示すように、2つの位置合わせ孔がブリスター箔ラミネート中にあけられる。ここでは、ブリスターの中央軸点を通過する位置合わせ孔が低温成形後にあけられる。しかしこの操作は低温成形操作と同時に行うことが現実的である。位置合わせ孔は、これらが円形のヒートシールの周囲の外にあるように配置される(図23(a)に示される)。孔は、ヒートシーリングプロセス中(すなわち、箔ラミネート#1と箔ラミネート#2と位置合わせする)、及び全体のディスポーザブルの製造/組立て中(例えば、パッケージされた試薬ブリスターと硬質検査カートリッジとの組み込みと配置)にブリスターを位置合わせするように機能する。
【0130】
箔ラミネート#1と箔ラミネート#2との間でヒートシール化が起きる(「リッドストック」と呼ぶ)。ヒートシール化の前に3つの孔がリッドストック中にあけられる。図24を参照。箔ラミネート#1と同様に、2つの孔が(両方とも、硬質検査カートリッジとの以後の組み込みをヒートシール化するために)位置合わせ用にあけられる。第3の孔は液体ポート孔であり、ブリスターが圧縮された場合の液体の出口として機能する。これは、円形ヒートシールの周囲のすぐ外に配置される。
【0131】
低温成形済みブリスターとリッドストックは、ヒートシール化プロセスのために調製され、これは図25に簡単に概説される。位置合わせ孔を介して低温成形ブリスターをリッドストックと配置し位置合わせするために、格納式ピンが使用される。この方法は次に、製造中の位置決めマーク(位置合わせ)として使用される。
【0132】
この用途に使用されるヒートシールバンドは、ドーナツ形のヒートシールバンドであり、図26(a)に示すように横に伸長部がある。これは、蒸気と液体の緊密なヒートシール結合を促進し、3つの孔が重複する。
図23〜26にはブリスターのみが示されるが、この方法は、複数のブリスターのデザインと製造に拡大することができ、ここで、例えばある検査カートリッジアッセイには2種以上のブリスターが必要である。
【0133】
さらに全体のデザインは、接着剤結合中に、ブリスターは高さが変わらないため、(例えば、転写接着剤を使用した)検査カートリッジへの容易な結合を促進する。液体通過口パンチ孔及びヒートシールバンドのデザイン/形状は、液体が漏れたりチャネル形成したりすることなく、カートリッジへのリッドストックのスムーズな結合を促進する。図27を参照。
【0134】
箔ラミネート#1とリッドストックの両方は、パッケージ済みブリスターを介して等しく伸長するため、(両面転写接着剤を介して)ブリスターと硬質アッセイカートリッジを結合する場合、ステップの差が無く、チャネル形成が防がれる。
【0135】
ブリスターの破裂における機械的クランプの目的は:(1)ブリスターを破裂させ液体を送るという指向性ヒートシール剥離プロセスを助ける、(2)剥離が液体通過口への方向のみで起きるように、低温成形ブリスターの端の円形ヒートシールの周囲に沿って均一な圧力を提供する(低温成形ブリスターの端と機械的クランプのカラーの間のギャップを最小にする)、そして(3)ブリスターに力を加えて、最終的にこれを剥離して開かせるように、機械的プランジャーを導く。図28を参照。これは、液体デッドボリューム(例えば、完全に圧縮されたブリスター中に残った液体容量)を最小にし、さらに、ブリスターのヒートシールが、目的の方向に直ちに剥離することを確実にする。ギャップが最小にならない場合、これはランダムな方向への剥離を開始させ、これが液体容量を残し、硬質検査カートリッジが利用できる実際の容量を減少させ、及び/又はブリスターを圧縮し剥離して開くのに必要な力を積極的に追跡する場合、これは、剥離を液体通過口にうまく向かわせるのに複数の段階が必要かも知れない。
【0136】
上記明細書で言及した登録番号により特定されるすべての刊行物、特許、特許出願、及び配列は、参照により全体において本明細書に組み込まれる。本発明は具体例に関連して説明したが、特許請求される本発明は具体例に限定されないことを理解されたい。本明細書に記載の組成や方法の機能的特徴を大きく変化させない本発明に記載した構成と方法の修正及び変更は、以下の特許請求の範囲内であることを目的とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1又は複数の液体貯蔵区画を含んでなる液体パッケージングコンポーネントであって、ここでそれぞれの液体貯蔵区画が液体を含んでなり、破裂可能なシールで被覆される液体パッケージングコンポーネント;
b)上記破裂可能なシールを破裂させるように形成されたシール破裂コンポーネント;及び、
c)上記液体貯蔵区画から液体を受け取るように形成されたアッセイ装置、
を含んでなるアッセイシステム。
【請求項2】
前記破裂可能なシールが箔ラミネートである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記箔がアルミニウム箔である、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記シール破裂コンポーネントが、シールが剥離されて開くような条件下で液体貯蔵区画を圧縮するプランジャーを含んでなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記プランジャーが1又は複数のモーターにより駆動される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記プランジャーが手動で駆動される、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記アッセイ装置内の液体パッケージングコンポーネントとチャンバーとが流体管を介して連結している、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記アッセイ装置内の液体パッケージングコンポーネントとチャンバーとが直接接触している、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記液体パッケージングコンポーネントが1又は複数の液体貯蔵区画を含んでなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記液体貯蔵区画が50容量%未満の空気を含んでなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記液体貯蔵区画が400μL未満の空気を含んでなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記液体貯蔵区画が、破裂可能なシールの周囲の一部にわたって均一な圧力を加える涙滴型クランプを含んでなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記涙滴型クランプが、アッセイ装置と連通している破裂可能なシールの部分に圧力を加えない、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記液体貯蔵区画がアッセイを実施するための試薬を含んでなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記アッセイが、診断アッセイ及び研究アッセイからなる群から選択される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記液体パッケージングコンポーネントが、液体貯蔵区画を液体パッケージングコンポーネントに固定するための1又は複数の位置合わせピンをさらに含んでなる、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
1又は複数の液体貯蔵区画を含んでなる液体パッケージングコンポーネントであって、ここで、それぞれの液体貯蔵区画が液体を含んでなり、破裂可能なシールで被覆される液体パッケージングコンポーネントに、液体貯蔵区画から液体を受けるように形成されたアッセイ装置に液体が輸送されるような条件下で破裂可能なシールを破裂するように形成されたシール破裂コンポーネントを、接触させる工程、
を含んでなるアッセイ方法。
【請求項18】
前記破裂可能なシールが箔ラミネートである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記箔がアルミニウム箔である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記シール破裂コンポーネントが、シールが破裂するような条件下で液体貯蔵区画を圧縮するプランジャーを含んでなる、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記プランジャーが1又は複数のモーターにより駆動される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記プランジャーが手動で駆動される、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記アッセイ装置内の液体パッケージングコンポーネントとチャンバーとが流体管を介して連結している、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記アッセイ装置内の液体パッケージングコンポーネントとチャンバーとが直接接触している、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記液体パッケージングコンポーネントが1又は複数の液体貯蔵区画を含んでなる、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記液体貯蔵区画が50容量%未満の空気を含んでなる、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
前記液体貯蔵区画が60容量%未満の空気を含んでなる、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
前記液体貯蔵区画が400μL未満の空気を含んでなる、請求項17に記載の方法。
【請求項29】
前記液体貯蔵区画が、破裂可能なシールの周囲の一部にわたって均一な圧力を加える涙滴型クランプを含んでなる、請求項17に記載の方法。
【請求項30】
前記涙滴型クランプが、アッセイ装置と連通している破裂可能なシールの部分に圧力を加えない、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記液体貯蔵区画がアッセイを実施するための試薬を含んでなる、請求項17に記載の方法。
【請求項32】
前記アッセイが、診断アッセイ及び研究アッセイからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項33】
前記液体パッケージングコンポーネントが、液体貯蔵区画を液体パッケージングコンポーネントに固定するための1又は複数の位置合わせピンをさらに含んでなる、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公表番号】特表2012−517595(P2012−517595A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549282(P2011−549282)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/023310
【国際公開番号】WO2010/091246
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(596057893)ノースウエスタン ユニバーシティ (35)
【Fターム(参考)】