説明

硝酸塩イオン検出用のバイオセンサー及びそれを利用した測定方法

本発明は、硝酸塩イオン検出用のバイオセンサー及びそれを利用した測定方法を提供する。
本発明により製造された使い捨ての硝酸塩イオン検出用のバイオセンサーは、電気化学的方法を使用して硝酸塩イオンの正確な濃度を現場で便利に測定できる。また、構造及び製作コストが安く、かつ携帯が可能であるため、既存の測定製品と差別性があり、かつ価格競争力も高い。
本発明の硝酸塩イオン化反応器は、硝酸塩ではない窒素化合物を便利に硝酸塩に転換する装置であって、硝酸塩イオン化反応器と硝酸塩イオン検出用のバイオセンサーとを結合すれば、試料内の総窒素を便利に測定できる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硝酸塩イオン検出用のバイオセンサー及びそれを利用した測定方法に係り、さらに具体的には、便利に携帯しつつ正確に試料内の硝酸塩イオンの濃度を測定できるバイオセンサー及びそれを利用した硝酸塩イオン濃度の測定方法に関する。また、硝酸塩ではない窒素化合物を硝酸塩に切り換えることによって、総窒素の濃度を測定できるようにする硝酸塩イオン化反応器に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオセンサーは、生体物質が電子測定機器と有機的に結合されて任意試料内の化学的な情報を容易に処理可能な電気的な信号に切り替えるセンサーを言う。前記バイオセンサーは、複雑な化学的、生物学的な処理を行う必要がなく、リアルタイムで所望の化学種の定量的な情報が選択的に得られるという長所のため広く開発されており、主に、医学、環境分野で広く使用されている。
【0003】
硝酸塩イオンは、公知の水質汚染物質の一つである。硝酸塩イオンによる広範な汚染は、環境及び人体の健康に対して深刻な脅威となっている。したがって、硝酸塩イオンの分析は非常に重要である。長期間高濃度の硝酸塩を摂取すると、消化系統の癌を誘発し得る可能性が非常に高い。多くの国では、飲み水中の硝酸塩の最高濃度を400ないし800μMと規定しており、米国の環境保護局(EPA)では700μMまで規定している。硝酸塩イオンの化学的な測定は、主に、大きく3つの方法があるが、直接測定法としては、比色分析、イオン選択電極、イオンクロマトグラフィ等があり、間接測定法としては、ポーラログラフィ等があり、そして、硝酸塩を亜硝酸塩、アンモニア、または窒素酸化物などに還元した後に測定する方法がある(非特許文献1)。このような方法は、特異性が劣り、多くのイオンが妨害作用を行う。したがって、測定する前に前処理過程を必要とするため不便であり、長い時間を必要とする。
【0004】
前述した化学的測定方法の他に、バイオセンサー方法でも硝酸塩イオンを測定できる。バイオセンサー方法は、酵素の特異性及び敏感性と、光学的、電気化学的及び熱分析法などの敏感性が結合されたため、医療及び環境分野で特に効果的である。バイオセンサー方法は、化学的方法に比べて装置の製作が簡単かつ経済的であり、使用が便利であり、試料の前処理過程が必要ないので分析時間を大きく短縮させ得るという長所がある。硝酸塩還元酵素(nitrate reductase:以下、NaRと略称する)を使用したバイオセンサーで硝酸塩イオンを測定した論文が発表されたが、あまり活発に研究されてはいない。
【0005】
特許文献1は、硝酸塩イオンを光学的方法で検出するバイオセンサーを開示している。前記バイオセンサーに含まれたNaRにより硝酸塩イオンが還元されれば、NADPHがNADPに酸化されつつ直接または間接的に発光剤が光子を生成し、それを光検出器で検出する。しかし、前記光学的方法は、適当な発光剤を必要とし、周囲環境の光の妨害を受け、発光試薬の量に依存するため、小さく作ることは困難であり、光検出器で光信号をさらに検出可能な電気信号に切り換える必要があるという問題点がある。
【0006】
NaRを利用した硝酸塩イオンの電流法的な測定が1994年に最初に発表されたが(非特許文献2)、NaRが還元反応を媒介するため、酸素の影響を多く受け、これまでの論文では酸素の妨害を減らすためにアルゴン上で一般電極を使用して実験室で測定した。これまで発表された硝酸塩イオンの測定に関するバイオセンサー方法のうち、実験室ではない現場で直ぐに使用可能な電流法測定用のセンサーはまだ報告されたことがない。硝酸塩イオンの電流法現場測定用のセンサーの最大難点は、どのようにして酸素の妨害を減らすかということである。
【0007】
また、実際の現場で使用する場合において最も重要な用途は、硝酸塩のみの濃度を測定するよりは、全体窒素化合物の量、すなわち、総窒素の量を測定することである。しかし、全体窒素化合物の量を測定するための従来技術による装置は、長時間にかけた前処理及び複雑な分析過程を必要とする実験室規模の装置であるので、現場で直ぐにモニタリングできないという短所があった。
【0008】
これにより、本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、硝酸塩還元酵素を固定化させた固定した作動電極、作動電極の周りに相対電極及び基準電極がスクリーンプリンティング技術で配列された3電極のバイオセンサーに酸素除去剤が含まれた試料を適用する場合、現場で硝酸塩イオンを簡便に電気化学的に検出できるということを確認し、本発明を完成するに至った。また、硝酸塩ではない窒素化合物を硝酸塩に容易に切り替える硝酸塩イオン化反応器を開発し、これを前記バイオセンサーと適切に結合することによって従来技術が有する前記問題点を解決できるということを確認した。
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,776,715号明細書
【非特許文献1】Sah,R.N.Commun.Soil Sci.plant Anal.1994,25,2841
【非特許文献2】S.,Cosnier,Innocent,C.and Jouanneau,Y.,Anal.Chem.1994,66,3198
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、硝酸塩イオンの濃度を現場モニタリングできる硝酸塩イオン検出用のバイオセンサーを提供することである。
【0011】
本発明が解決しようとする他の課題は、硝酸塩ではない窒素化合物を簡便に硝酸塩に切り換え可能な硝酸塩イオン化反応器を提供することである。
【0012】
本発明が解決しようとするさらに他の課題は、総窒素の濃度を現場モニタリングできるように簡便に測定できる総窒素の濃度測定システムを提供することである。
【0013】
本発明が解決しようとするさらに他の課題は、前記硝酸塩イオン検出用のバイオセンサーを利用して硝酸塩イオン濃度を測定する測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記課題を解決するために、作動電極と、これと所定間隔離隔された相対電極と基準電極とが配列されたバイオセンサーにおいて、前記作動電極は、硝酸塩還元酵素が固定した炭素電極であって、試料に含まれた硝酸塩イオンが前記硝酸塩還元酵素により還元反応される程度を電気化学的に測定することを特徴とする硝酸塩イオン検出用のバイオセンサーを提供する。
【0015】
本発明は、前記他の課題を解決するために、反応槽と、前記反応槽に浸る少なくとも一つ以上の酸化チタン(TiO)電極と、前記反応槽に浸る少なくとも二つ以上の白金(Pt)電極と、前記反応槽に反応物を投入できる投入口と、前記反応槽から反応物を排出できる排出口と、を有する硝酸塩イオン化反応器を提供する。
【0016】
本発明は、前記さらに他の課題を解決するために、前記硝酸塩イオン検出用のバイオセンサー及び前記硝酸塩イオン化反応器を備える総窒素濃度測定システムを提供する。
【0017】
本発明は、前記さらに他の課題を解決するために、前記バイオセンサーの試料注入口に試料を投入する工程と、前記バイオセンサーの作動電極に電圧を印加する工程と、前記印加工程で作動電極と相対電極との間に流れる電流の強度を測定する工程と、を含む硝酸塩イオン濃度の測定方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
硝酸塩イオン検出用のバイオセンサー
一般的に、電気化学的センサーストリップを含むバイオセンサーは大きく2部分に分類される。一つは、感知電極の部分であり、他の一つは、携帯用測定装置である。本発明で、バイオセンサーは、狭くは、前記感知電極の部分を意味するが、広くは、前記感知電極が装着された携帯用測定装置を意味する。前記携帯用測定装置は、前記ストリップ状の感知電極の部分が挿入され、感知電極に流れる電流を測定するための一定電位装置などを備え得る。
【0019】
本発明の目的を達成するために、本発明は、ストリップ状の基板上に作動電極と、これと所定間隔離隔された相対電極と基準電極とがスクリーンプリンティング技術で配列されて、前記作動電極上に試料注入口が備えられたバイオセンサーにおいて、前記作動電極は、硝酸塩還元酵素が重合体捕獲法で固定した炭素電極として試料に含まれた硝酸塩イオンが、前記硝酸塩還元酵素により還元反応される程度を電気化学的に測定することを特徴とする硝酸塩イオン検出用のバイオセンサーを提供する。
【0020】
本発明で使用された電気化学的方法の硝酸塩イオン測定用のバイオセンサーには、硝酸塩還元酵素(Sigma,USA)を使用できる。この酵素は、硝酸塩イオンを亜硝酸塩イオンに還元させる反応を促進するが、活性が相対的に良い。使用される酵素は、分析しようとする試料によって多様である。例えば、硝酸塩還元酵素、亜硝酸塩還元(酸化)酵素、アンモニウム酸化(還元)酵素などを使用できる。
【0021】
図1は、本発明の一実施例として、バイオセンサーの感知電極製作に使用した使い捨ての電極模型図である。1は、試料注入口、2は、相対電極、3は、作動電極、4は、基準電極、5は、絶縁層、6は、リード線、7は、リード端子である。ストリップ状の絶縁性基板上に使い捨てのSPCE(screen−printed carbon paste electrode)電極をスクリーンプリンティング技術で形成して、作動電極3の周りを相対電極2及び基準電極4が取り囲むように配列し、それらの電極2,3,4をリード線6を介して基板末端のリード端子7に連結し、前記電極2,3,4上に円形の試料注入口1を形成してバイオセンサーを製造した。このようなストリップタイプセンサーは、測定装備に挿入されて電気計測信号を変換して、試料内の物質濃度を測定できる。
【0022】
本発明のバイオセンサーにおいて、前記作動電極は、酵素が固定されて還元反応による電流を感知する役割を行い、材質は、炭素電極として炭素ペースト電極または変形された炭素ペースト電極が望ましい。炭素ペーストは、安価であり、使い捨てとして使用でき、量産が可能であり、その上に固定した酵素が相対的に安定的であるためである。
【0023】
本発明のバイオセンサーにおいて、前記相対電極は、作動電極と結合されて電流を流す役割を行い、材質は、作動電極と類似した電極を使用できる。また、前記基準電極は、電流が流れず、作動電極と相対電極との間に一定の作動電圧を維持させる機能を行い、材質は、主に、Ag/AgClが多く使用される。
【0024】
炭素ペースト及び銀ペーストは、Asahi社製(日本)を使用した。基準電極を作るために、銀ペースト層を塩化鉄(FeCl)飽和溶液で酸化させた後、蒸溜水で洗浄した後に空気中で乾燥させた。
【0025】
本発明のバイオセンサーにおいて、前記硝酸塩還元酵素の固定化のための重合体は、PVA(polyvinyl alcohol)、PAA(polyacrylamide)、PEG(polyethylene glycol)、アガロース、澱粉ゲル、ナイロン、シラスティックゲル、ポリピロール等であり得るが、望ましくは、1ないし5重量%のPVAを混合したものが望ましい。PVAは、−OH基を多く持っているので、水溶性であり、かつ環境にやさしいためである。
【0026】
本発明のバイオセンサーにおいて、固定した硝酸塩還元酵素(NaR)の量は、6.25ないし25mUであることが望ましい。NaR量が少なければ、センサーの信号が小さくて、測定限界がそれほど高まり、NaR量が多ければ、信号はそれ以上増大しないため、非経済的である。望ましくは、6.25ないし25mUの硝酸塩還元酵素をPVAと均一に混ぜた後、1ないし10mLずつ電極の作動電極に固定できる。
【0027】
本発明のバイオセンサーにおいて、基板の材料としては、柔軟性及び強度を有するものが望ましい。望ましくは、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン等の高分子化合物を使用でき、特に、ポリエチレンが望ましい。
【0028】
基板上の電極ストリップは、図2のような通常のスクリーンプリンティング方法によって電極状にあけられているマスクを基板上に置き、電極素材であるペースト(インク)を電極生成部位別に工程別に噴射した後、スキージで擦った後にマスクを除去すればストリップが形成される。マスクの厚さは、約0.1ないし0.25mmが適切である。印刷回路基板(Printed Circuit Board:PCB)の応用技術によって非常に少量で定量分析の可能な電気化学的バイオセンサーストリップの製造技術について米国特許第5,437,999号明細書を参照できる。
【0029】
本発明のバイオセンサーにおいて、前記試料のpHは、5.5ないし8.0であることが望ましい。本発明の実施例で最大の信号は、pH6.5で表れたが、5.5ないし8.0を選択した。その理由は、酸素除去剤の効果を共に考慮したためである。
【0030】
本発明のバイオセンサーにおいて、前記試料は、MOPS(3−(N−morpholino)propanesulfonic acid)、MES(2−(N−morpholino)ethanesulfonic acid)、リン酸塩などのバッファを使用できるが、望ましくは、前記試料は、0.05ないし0.2M濃度のMOPSバッファを使用したことを特徴とする。MOPSを選択した理由は、pH範囲が適切な生理的なバッファであり、非常に高い作動電圧(−700ないし−900mV vs.Ag/AgCl)でも安定的であるためである。バッファ濃度が高すぎれば、固定した酵素が不安定であり、濃度が低すぎれば、感応時間が相対的に長くなる。
【0031】
本発明のバイオセンサーにおいて、硝酸塩イオンの還元反応の電子遷移を媒介するために、前記試料にフェノチアジン類、トリフェニルメタン類、スルホンフタレイン類等の電子遷移媒介体をさらに追加できるが、望ましくは、前記試料に電子遷移媒介体として1.0ないし3.0mM濃度のMV(methyl viologen)をさらに追加したことを特徴とする。MVは、前述した電子遷移媒介体と比較するとき、電気化学的な可逆性が最も良好であるため選択した。MV濃度が低すぎれば、信号が相対的に低すぎて、MV濃度が高すぎれば、固定した酵素が不安定となる。
【0032】
本発明のバイオセンサーにおいて、前記硝酸塩還元酵素は、還元酵素として従来の血糖測定のためのグルコース酸化酵素とは違って、酸素の影響を多く受けるため、還元酵素に対する酸素の妨害を減らすために前記試料に亜硫酸塩、メタバイスルファイト、バイスルファイトのような酸素除去剤をさらに追加できるが、望ましくは、前記試料に酸素除去剤として0.5ないし4mM濃度の亜硫酸塩を使用することが望ましい。前述した酸素除去剤のうち亜硫酸塩の効果が最も優秀である。酸素除去剤の濃度が低すぎれば、酸素除去効果が不十分であり、濃度が高すぎれば、さらに高い濃度では不要であり、また、固定化した酵素層が不安定となる。
【0033】
硝酸塩イオン化反応器
本発明の他の目的を達成するために、前記本発明に係るバイオセンサーを利用するために試料を前処理する硝酸塩イオン化反応器を提供する。
【0034】
すなわち、本発明のバイオセンサーを利用して試料中に含まれた総窒素を測定するためには、硝酸塩ではない窒素化合物、例えば、アミノ酸、アミン、イミン、アミド、アンモニウム塩イオン、亜硝酸塩イオンなどを酸化させて硝酸塩に切り換える前処理が必要であるが、前記硝酸塩イオン化反応器は、このような要求を満足させるためのものであって、硝酸塩ではない窒素化合物を硝酸塩に切り換える。
【0035】
前記硝酸塩イオン化反応器は、反応槽と、前記反応槽に浸る少なくとも一つ以上のTiO電極と、前記反応槽に浸る少なくとも二つ以上のPt電極と、前記反応槽に反応物を投入できる投入口と、前記反応槽から反応物を排出できる排出口と、を備える。
【0036】
硝酸塩ではない窒素化合物を硝酸塩に切り換えるためには、酸化剤と、前記切り換え反応に触媒作用を行う触媒とが必要である。前記硝酸塩イオン化反応器の電極として前記触媒作用を行える物質を使用すれば、電極を通じて試料を通過する電子の流れが酸化剤の役割を行うので、このような要求を満足させ得る。ところが、試料中には有機窒素化合物も含まれ、無機窒素化合物も含まれ得る。前記触媒作用を行える物質は、試料が有機窒素化合物であるか、または無機窒素化合物であるかによって変わり得る。
【0037】
無機窒素化合物を前処理するためには、カソード電極としてはPt材質が望ましく、アノード電極としてはTiO電極が望ましい。このとき、硝酸塩ではない窒素化合物を硝酸塩に切り換える反応の概念図を図16に示した。ここで、TiOは、酸化のための触媒役割を行い、本酸化反応は、アルカリ雰囲気でさらに活性化される。
【0038】
有機窒素化合物を前処理するためには、カソード電極とアノード電極とが何れもPt材質であることが望ましい。このとき、硝酸塩ではない窒素化合物を硝酸塩に切り換える反応の概念図を図17に示した。前記電極をなすPtは、有機窒素化合物が酸化される反応に触媒作用を行う。有機窒素化合物は、前記酸化反応により炭素骨格が分解され、窒素は、アンモニウムイオンのような中間体を経て硝酸塩に切り換わる。
【0039】
したがって、有機窒素化合物及び無機窒素化合物を何れも含む試料を適切に硝酸塩に切り換えるためには、少なくとも一つのTiO電極及び少なくとも二つ以上のPt電極を含むことが要求される。
【0040】
前記硝酸塩イオン化反応器の電極は、横方向に対向する2つのPt電極と、縦方向に対向するPt電極及びTiO電極とを備えることが望ましい。また、前記電極は、反応表面積を拡大するために、突出部を有することが望ましい。前記電極の突出部は、外部回路の短絡を防止するために、他の電極の突出部と接触しないことが望ましく、相互接触せずとも反応面積を拡大させるために離隔されつつ、突出部が交互に重なる形態であり得る。このような形態の例示的な立面図を図12の(b)に示した。
【0041】
前記硝酸塩イオン化反応器の電極に全て同時に電源を供給してもよく、例えば、所定時間の間隔で順次に一対の電極ずつ交互に電源を供給しても良い。
【0042】
前記反応槽の材質は、反応物と化学的な反応を起こさない耐化学性を有するものであれば、何れも可能であり、特別に限定されない。また、前記反応槽の形態及び構造も、当業界に知られた形態及び構造を利用でき、特別に限定されるものではない。前記反応槽が反応物を収容できる容量は特別に限定されず、必要な試料の量により変化させ得るが、0.1μlないし10mLであることが望ましい。
【0043】
前記硝酸塩イオン化反応器は、反応物を希釈できる希釈槽をさらに備えることができ、前記希釈槽は、前記反応槽及び投入口を通じて連結され得る。前記希釈槽は、硝酸塩イオン化反応が終了した反応物の濃度を希釈させるために利用され、前記反応槽の上部に設置することが望ましい。前記希釈槽には、反応物のような液体を定量できる目盛りを表示することが望ましい。希釈槽の材質、形態及び構造などは特別に限定されず、当業界に公知の材質、形態及び構造であり得る。ただし、試料と化学的に反応しない耐化学性の材質であることが望ましい。
【0044】
経験的に、生活下水、汚水、産業廃水の原水には硝酸塩イオンの濃度が総窒素の40ないし80%を占めるため、硝酸塩イオンバイオセンサーで硝酸塩イオンの濃度を測定することによって希釈係数を容易に決定できる。また、処理工程を通じて処理した放流数の硝酸塩イオンの濃度は、総窒素の90%以上である場合がほとんどである。しかし、工場から処理場に移動する過程の廃水中に存在する有機窒素と硝酸塩イオンとの濃度比は、工場の廃水処理及び管理者を通じて情報化が可能である。したがって、硝酸塩イオン化反応後の希釈倍率は経験的に決定するか、または事前情報を利用して決定するか、または多様な濃度に希釈して全て適用する方法を取らなければならない。
【0045】
前記排出口は、重力を利用して反応物を排出できるように前記反応槽の下部に設置されることが望ましい。
【0046】
本発明の硝酸塩イオン化反応器は、外部の電源供給装置に連結されて使用されてもよく、自主的な電源供給装置を備えても良い。自主的な電源供給装置をさらに備える場合は、作動時間によって電源を供給するか、または中止させ得るタイマー装置をさらに備え得る。
【0047】
総窒素の濃度測定システム
本発明の他の目的を達成するために、試料中の総窒素の濃度を簡便に測定できる総窒素の濃度測定システムを提供する。
【0048】
すなわち、本発明の硝酸塩イオン化反応器と本発明の硝酸塩イオン検出用のバイオセンサーとを一体型に結合して前記目的を達成できる。前記硝酸塩イオン化反応器と前記硝酸塩イオン検出用のバイオセンサーとの結合関係は特別に限定されず、例えば、前記硝酸塩イオン化反応器の反応槽の排出口を前記硝酸塩イオン検出用のバイオセンサーの試料注入口と連結させてもよく、特別に限定されるものではない。
【0049】
硝酸塩イオン濃度の測定方法
本発明の他の目的を達成するために、本発明は、前記本発明に係るバイオセンサーの試料注入口に試料を投入する工程と、前記バイオセンサーの作動電極に電圧を印加する工程と、前記印加工程で作動電極と相対電極との間に流れる電流の強度を測定する工程と、を含む硝酸塩イオン濃度の測定方法を提供する。
【0050】
本発明の測定方法において、第2工程で作動電極に−700ないし−900mV(vs.Ag/AgCl)の作動電圧を印加し、第3工程で、電流の強度は循環電圧測定法(Kissinger et al.,J.Chem.Ed.60(9),702〜706を参照)で測定された。
【0051】
また、本発明の硝酸塩イオン濃度の測定方法において、前記第1工程で、前記バイオセンサーの試料注入口に投入する前に前記試料を硝酸塩イオン化反応器に投入する工程と、前記硝酸塩イオン化反応器に電源を印加して、試料内の硝酸塩ではない窒素化合物を硝酸塩に切り換える工程と、をさらに含み得る。このようにする場合、本体の試料内に存在する全ての窒素化合物の濃度を測定できる。
【0052】
前記のように試料を硝酸塩イオン化反応器に投入して、硝酸塩ではない窒素化合物を硝酸塩に転換するとき、酸性またはアルカリ性の物質を投入して試料を酸性またはアルカリ性の溶液にすれば、硝酸塩への転換がさらに迅速に行われる。ただし、酸性の物質は、電極の腐食を引き起こし得るので、アルカリ性の物質が望ましく、水酸化ナトリウムが特に望ましい。望ましい水酸化ナトリウムの濃度は、0.1ないし2.0N濃度である。前記水酸化ナトリウムの濃度が0.1Nより低ければ、硝酸塩への転換を促進する効果が微々であり、前記水酸化ナトリウムの濃度が2.0Nより高ければ、バイオセンサーに適用するときに中和させる工程が追加されなければならないという短所がある。
【0053】
前記硝酸塩イオン化反応を行う時間は、5分ないし30分が望ましい。反応時間が5分より短ければ、反応が十分に行われず、以後の測定結果に誤差が発生する恐れがあり、反応時間が30分より長ければ、反応が既に十分であるので非経済的である。
【0054】
前記硝酸塩イオン化反応のために印加される電源の電圧は、5ないし30Vであることが望ましい。前記電圧が5Vより低い場合には、電圧が低くて反応が良好に行われないこともあり、前記電圧が30Vより高い場合には、電圧による効果が飽和されて非経済的であり、電極の損傷及び過熱の恐れがあるため望ましくない。前記電圧は、反応槽のサイズに比例して適切に選択できる。
【0055】
本発明の硝酸塩イオン濃度の測定方法において、前記試料のpHは、5.5ないし8.0であることが望ましい。その理由は、前述した通りである。
【0056】
本発明の硝酸塩イオン濃度の測定方法において、前記試料は、MOPS、MES、リン酸塩などのバッファを使用できるが、望ましくは、前記試料は、0.05ないし0.2M濃度のMOPSバッファを使用したことを特徴とする。MOPSを選択した理由は、前述した通りである。バッファ濃度が高すぎれば、固定した酵素が不安定であり、濃度が低すぎれば、感応時間が相対的に長くなる。
【0057】
本発明の硝酸塩イオン濃度の測定方法において、硝酸塩イオンの還元反応の電子遷移を媒介するために、前記試料にフェノチアジン類、トリフェニルメタン類、スルホンフタレイン類などの電子遷移媒介体をさらに追加できるが、望ましくは、前記試料に電子遷移媒介体として1.0ないし3.0mM濃度のMVをさらに追加したことを特徴とする。MV濃度が低すぎれば信号が相対的に低すぎ、MV濃度が高すぎれば固定した酵素が不安定となる。
【0058】
本発明の硝酸塩イオン濃度の測定方法において、前記硝酸塩還元酵素は、還元酵素として従来の血糖測定のためのグルコース酸化酵素とは違って、酸素の影響を多く受けるため、還元酵素に対する酸素の妨害を減らすために前記試料に亜硫酸塩、メタバイスルファイト、バイスルファイトのような酸素除去剤をさらに追加できるが、望ましくは、前記試料に酸素除去剤として0.5ないし4mM濃度の亜硫酸塩を使用することが望ましい。酸素除去剤の濃度が低すぎれば、酸素除去効果が不十分であり、濃度が高すぎれば、さらに高い濃度では不要であり、また、固定化した酵素層が不安定となる。
【0059】
以下、具体的な実施例及び比較例で本発明の構成及び効果をさらに詳細に説明するが、これらの実施例は、単に本発明をさらに明確に理解させるためのものであり、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【実施例1】
【0060】
硝酸塩還元酵素の電気化学的な特性
電気化学実験は、3電極系で行った。作動電極は、glassy carbon disk電極(3mm)であり、補助電極は、螺旋形態のPt線であり、参照電極は、Ag/AgCl(3M KCl)を使用した。cDAQ−1604ポテンショスタット(Elbio、韓国)を循環電圧測定法(cyclic voltammogram:CV)、そして電流−電圧の記録に使用した。電流−電圧を記録する実験では、作動電位を−0.4ないし1.0mV(vs.Ag/AgCl)を印加した。
【0061】
図3は、本発明のバイオセンサーの硝酸塩還元酵素を利用した基質(硝酸塩イオン)濃度別の循環電圧測定の結果であって、電圧変化による電流の強度を示すグラフである。図3で硝酸塩還元酵素及び電子媒介体を作動電極に反応させ、基質の濃度が上昇するほど、還元電流は上昇するということが分かる。これは、硝酸塩還元酵素が硝酸塩を亜硝酸塩に還元することを意味し、同時に、MVが媒介体の役割を行うことが分かる。基質の濃度が50、100μMであると、同じ傾向を表した。実験結果によると、電気化学的にMVを持続的に還元させれば、電気化学的方法を通じて硝酸塩イオンの還元電流が得られ、未知の基質の濃度を測定できる。
【実施例2】
【0062】
感知電極センサーストリップの製造及び最適化
使い捨てのSPCE電極をスクリーン−プリンティング技術で携帯用測定機器のサイズに合わせて、幅12.8mm、長さ65mmに、図1に示すようにポリエチレン基板(PE板)上に製作した。酸素除去剤、電子遷移媒介体、MOPS、基質を含む溶液 3μLをピペットで酵素が固定した使い捨ての電極の端に接触させる。溶液が吸い込まれた後、−700ないし−900mV(vs.Ag/AgCl)の電圧を印加した後、cDAQ−1604ポテンショスタット(Elbio、韓国)を利用してデータを収集した。
【0063】
本発明で酵素の使い捨てのストリップタイプのセンサーを製作するために、まず、電極の部位に酵素の固定を容易にするために、安定性及び保存性に優れたPVAを使用した。
濃度を1%(wt)、2.5%、5%、10%、15%、20%別に実験した。最適のPVA濃度は、1ないし5wt%で表された。濃度が高ければ高いほど、ノイズが大きく表され、1wt%より低い濃度は、信号が相対的に低いため良好ではなかった。図4は、本発明のバイオセンサーのPVA濃度別の電流変化量(△I)を示すグラフである。
【0064】
電極信号の発生に必要な酵素の最適の量を調べるために、酵素の濃度を6.25、12.5、25、50mU/3μLで実験した。図5は、本発明にバイオセンサーの硝酸塩還元酵素の濃度による電流変化量(△I)を示すグラフである。固定化した酵素量の増加によって信号が増大するが、濃度別に増加する幅は、酵素の濃度が高ければ高いほど大きく鈍化した。望ましくは、固定化した最適の酵素の量を6.25ないし25mU/3μLに設定することが望ましい。
【0065】
硝酸塩の測定電極のpH依存性を調べるために、MESバッファ、MOPSバッファを使用して実験した。図6は、本発明のバイオセンサーの試料のpHによる電流量を示すグラフである。pH5.5ないし6.0の間は、MESバッファで実験し、6.5ないし8.0の間は、MOPSバッファを使用した。pH6.5、MESバッファから得たデータを、pH6.5、MOPSバッファから得たデータと比較して、MESバッファから得たデータを正規化した。実験結果によると、最適のpHを6.5ないし7.0に設定することが望ましい。
【0066】
バッファ濃度の効果を調べるために、MOPSバッファの濃度を0.05、0.1、0.2、0.3、0.4MとしてpH7.0で実験した。図7は、本発明のバイオセンサーのMOPSバッファの濃度による敏感度を示すグラフである。実験結果によると、全てのバッファ濃度で類似した信号を表した。信号は、平均敏感度 7.13を基準に標準偏差が1.4%に集中した。高いバッファの濃度では固定化酵素の安定性が相対的に悪いため、最適のバッファ濃度を0.05ないし0.2Mに設定した。
【0067】
最適のMV(電子遷移媒介体)の濃度を調べるために、MVの濃度を1mMないし5mMまで実験した。図8は、本発明のバイオセンサーの電子遷移媒介体としてMVの濃度による見掛けの電流を示すグラフである。実験結果を見ると、MVの濃度上昇によって信号は線形に増大した。そして、固定した酵素の量と基質の量とを比べてみると、最適のMV濃度は1.0ないし3.0mMが好適であった。
【0068】
酵素の酸素に対する反応を除去するために、最適の酸素除去剤として知られた亜硫酸濃度を0.5、1、2、4、6、8、10mMで変化させつつ実験した。SO2−の酸素除去反応は次の通りである:2SO2−+O→2SO2−
【0069】
図10は、本発明のバイオセンサーの酸素除去剤として、亜硫酸塩の濃度による電流量を示すグラフである。酸素の除去が行われる間にバッファの中に溶解されて入る酸素を同時に考慮して、最適の酸素除去剤の濃度は0.5ないし4mMが好適であった。
【0070】
硝酸塩の測定電極の検定曲線を得るために、基質の濃度を50、100、150、200、250、300mMの間で変化させつつ重複実験を行った(n=30)。図11は、本発明にバイオセンサーの硝酸塩の濃度による酵素電極システム(ストリップ型のセンサー)から発生した電流量変化(△I)を示すグラフである。実験結果を見ると、線形方程式は、Y=5.42X−38.43(r2=0.996)であった。
【実施例3】
【0071】
非硝酸塩イオン性窒素の硝酸塩イオン化反応の最適化
図12は、アンモニウム塩イオン及び有機窒素化合物の硝酸塩イオン化反応器であって、電解質として0.1ないし2.0Nの水酸化ナトリウムが存在する条件で、反応物質の濃度によって5ないし30Vの直流電源のみで付随的な酸化剤や触媒なしに、5ないし30分間の反応でアンモニウム塩イオン及び有機窒素を硝酸塩イオンに酸化できる。バイオセンサーに適用できる量及び濃度を考慮して、反応器の容量は0.1mlに調整し、バイオセンサーの感知能力の範囲に好適に適当な希釈及び中和が必要であり、バッファ溶液で希釈できるように20mlの希釈槽により構成した。
【0072】
図13は、本発明の硝酸塩イオン化反応器の運用のために製作した電源供給装置の側面図であって、供給される電圧及び反応時間を自由に調節できるように製作し、電流量は、反応物質の濃度によって自動的に調整されるようにした。電流量は、反応物質の濃度に比例して増減し得る余裕のために、最大5Aに、使用可能な最大の電圧は30Vに調整した。
【0073】
図14は、非硝酸塩イオン−アンモニア及び有機窒素(グルタミン酸ナトリウム)を、本発明の硝酸塩イオン化反応器を利用して硝酸塩イオン化した結果を示すグラフであって、20Vの電圧で反応に必要な時間を決定するための試験結果であり、試験に使用した物質の濃度は100ppmに調整した。その結果、図14に示すように、反応時間10分以後には反応効率の飛躍的な上昇は表されていない。したがって、現場で試験するとき、準備、反応、測定などの時間を考慮して10分が適すると決定した。試料の数が多い場合には、反応器の数を増やして処理できるので、全体的な処理時間には大きな延長はないと判断される。
【0074】
図15は、非硝酸塩イオン−有機窒素(グルタミン酸ナトリウム)を、電気化学触媒酸化方法によって硝酸塩イオン化した結果を示すグラフであって、試験に使用した物質の濃度は100ppmに調整し、試験結果は、図15に示すように、10分間十分な酸化反応が行われるのに必要な電圧は約25Vであり、これは自動車バッテリー電圧の2倍に該当する。したがって、処理した物質の濃度と、自然水に存在する有機窒素の量が微量であるという点とに鑑みれば、15Vで十分であると考えられる。
【0075】
表1は、本発明の硝酸塩イオン化反応器を利用して、アンモニア性窒素、有機窒素、河川数、処理場の下水などの硝酸塩イオン化の効率及び本発明の硝酸塩測定用のバイオセンサーで測定した総窒素の濃度を比較してまとめたものである。表1から分かるように、アンモニア性窒素の硝酸塩イオン化の効率は97%以上と非常に高かった。しかし、自然河川や下水処理場に流入される水、処理中である下水などの硝酸塩イオン化の効率は、全般的に85ないし95%程度と比較的に処理効率が高かった。これは、自然河川や下水などには有機性窒素の含有量より、アンモニア性、亜硝酸性、硝酸性窒素などが相対的に高く含まれているためであると考えられる。また、バイオセンサーで測定した総窒素の濃度は、イオンクロマトグラフィ(IC)で測定した値と非常に類似しているが、これは、試料の硝酸塩イオン化反応とバイオセンサーとを連係した測定方法が、総窒素の測定のために合理的に適用され得るということを表す。
【0076】
【表1】

【0077】
前記表1で(a)は、ハック(HACH)を利用して測定した総窒素の量であり、(b)は、イオンクロマトグラフィ(IC)を利用して測定した硝酸塩の量であり、(c)は、本発明の硝酸塩イオン化反応器を利用して硝酸塩に転換した後、これを100倍に希釈して、本発明のバイオセンサーを利用して測定した硝酸塩の量である。
【0078】
前記表1から分かるように、本発明の硝酸塩イオン化反応器及び硝酸塩イオン検出用のバイオセンサーの正確度が、2ないし3%以内の誤差を示しているので、非常に優秀であるということが分かる。
【0079】
以上で説明したように、本発明の望ましい実施例について詳細に記述されたが、当業者ならば、特許請求の範囲に定義された本発明の精神及び範囲を逸脱せずとも本発明を多様に変形して実施できるであろう。したがって、本発明の今後の実施例の変更は、本発明の技術を逸脱できないであろう。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明により製造された使い捨ての硝酸塩イオン検出用のバイオセンサーは、電気化学的方法を使用して硝酸塩イオンの正確な濃度を現場で便利に測定できる。また、構造及び製作コストが安く、かつ携帯が可能であるため、既存の測定製品と差別性があって価格競争力も高い。
【0081】
本発明の硝酸塩イオン化反応器は、硝酸塩ではない窒素化合物を便利に硝酸塩に転換する装置であって、前記硝酸塩イオン化反応器と前記硝酸塩イオン検出用のバイオセンサーと結合すれば、試料内の総窒素を便利に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施例として、バイオセンサーの感知電極の製作に使用した一回用電極模型図である。
【図2】本発明のストリップ状の電極を製造するための通常のスクリーンプリンティング方法を示す順序図である。
【図3】本発明のバイオセンサーの硝酸塩還元酵素の触媒作用を循環電圧電流法で示すグラフである。
【図4】本発明のバイオセンサーの最適のPVA濃度を示すグラフである。
【図5】本発明のバイオセンサーの硝酸塩還元酵素の最適の固定化の量を示すグラフである。
【図6】本発明のバイオセンサーの最適のpHを示すグラフである。
【図7】本発明のバイオセンサーの最適のバッファ(MOPS)の濃度を示すグラフである。
【図8】本発明のバイオセンサーの最適の電子遷移媒介体(methyl viologen:MV)濃度を示すグラフである。
【図9】CVを利用して酸素除去剤の濃度による電流の変化を測定した結果を示すグラフである。
【図10】本発明のバイオセンサーの最適の酸素除去剤(亜硫酸塩)の濃度を示すグラフである。
【図11】本発明にバイオセンサーの硝酸塩濃度による検定曲線を示すグラフである。
【図12】本発明の硝酸塩イオン化反応器の一具現例の斜視図及び下部電極構造の平面図である。
【図13】本発明の硝酸塩イオン化反応器を運用するための脱着式の電源供給装置及び反応時間を調節できるタイマー一体型の装置を示す模式図である。
【図14】硝酸塩ではない窒素化合物の硝酸塩イオン化の程度を反応時間によって示すグラフである。
【図15】硝酸塩ではない窒素化合物の硝酸塩イオン化の程度を加えた電圧によって示すグラフである。
【図16】電気化学的な接触触媒酸化反応によりアンモニウム塩イオンが硝酸塩イオンに酸化される過程を概念的に示す概念図である。
【図17】電気化学的な接触触媒酸化反応により有機窒素化合物がアンモニアに転換される過程を概念的に示す概念図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動電極と、これと所定間隔離隔された相対電極と基準電極とが配列されたバイオセンサーにおいて、前記作動電極が硝酸塩還元酵素が固定した炭素電極であって、試料に含まれた硝酸塩イオンが前記硝酸塩還元酵素により還元反応される程度を電気化学的に測定することを特徴とする硝酸塩イオン検出用のバイオセンサー。
【請求項2】
前記作動電極は、炭素ペースト電極であることを特徴とする請求項1に記載の硝酸塩イオン検出用のバイオセンサー。
【請求項3】
前記硝酸塩還元酵素を固定するために、1ないし5重量%のPVAを混合したことを特徴とする請求項1に記載の硝酸塩イオン検出用のバイオセンサー。
【請求項4】
前記硝酸塩還元酵素の固定した量は、6.25ないし25mUであることを特徴とする請求項1に記載の硝酸塩イオン検出用のバイオセンサー。
【請求項5】
前記試料のpHは、5.5ないし8.0であることを特徴とする請求項1に記載の硝酸塩イオン検出用のバイオセンサー。
【請求項6】
前記試料は、0.05ないし0.2M濃度のMOPSバッファを使用したことを特徴とする請求項1に記載の硝酸塩イオン検出用のバイオセンサー。
【請求項7】
前記試料に電子遷移媒介体として1.0ないし3.0mM濃度のMVをさらに追加したことを特徴とする請求項1に記載の硝酸塩イオン検出用のバイオセンサー。
【請求項8】
前記試料に酸素除去剤として0.5ないし4mM濃度の亜硫酸塩を使用したことを特徴とする請求項1に記載の硝酸塩イオン検出用のバイオセンサー。
【請求項9】
反応槽と、前記反応槽に浸る少なくとも一つ以上のTiO電極と、前記反応槽に浸る少なくとも二つ以上のPt電極と、前記反応槽に反応物を投入できる投入口と、前記反応槽から反応物を排出できる排出口と、を有することを特徴とする硝酸塩イオン化反応器。
【請求項10】
前記電極は、突出部を有することを特徴とする請求項9に記載の硝酸塩イオン化反応器。
【請求項11】
前記突出部は、互いに接触せず、互いに離隔されたまま交互に重なる形態であることを特徴とする請求項10に記載の硝酸塩イオン化反応器。
【請求項12】
前記電極は、横方向に対向する2つのPt電極と、縦方向に対向するPt電極及びTiO電極と、を備えることを特徴とする請求項9に記載の硝酸塩イオン化反応器。
【請求項13】
希釈槽をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の硝酸塩イオン化反応器。
【請求項14】
請求項1に記載の硝酸塩イオン検出用のバイオセンサーと、請求項9に記載の硝酸塩イオン化反応器と、を備えることを特徴とする総窒素濃度測定システム。
【請求項15】
請求項1ないし請求項8のうち何れか1項に記載のバイオセンサーの試料注入口に試料を投入する工程と、前記バイオセンサーの作動電極に電圧を印加する工程と、前記印加工程で作動電極と相対電極との間に流れる電流の強度を測定する工程と、を含む硝酸塩イオン濃度の測定方法。
【請求項16】
前記バイオセンサーの試料注入口に投入する前に前記試料を硝酸塩イオン化反応器に投入する工程と、前記硝酸塩イオン化反応器に電源を印加して、試料内の硝酸塩ではない窒素化合物を硝酸塩に切り換える工程と、をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の硝酸塩イオン濃度の測定方法。
【請求項17】
前記硝酸塩イオン化反応器に、水酸化ナトリウムの濃度が0.1ないし2.0N濃度になるように水酸化ナトリウムをさらに投入することを特徴とする請求項16に記載の硝酸塩イオン濃度の測定方法。
【請求項18】
一対の電極ずつ順次に交互に電源を供給することを特徴とする請求項16に記載の硝酸塩イオン濃度の測定方法。
【請求項19】
5分ないし30分間反応させることを特徴とする請求項16に記載の硝酸塩イオン濃度の測定方法。
【請求項20】
供給する電源の電圧は、5ないし30Vであることを特徴とする請求項16に記載の硝酸塩イオン濃度の測定方法。
【請求項21】
硝酸塩イオン濃度の測定時、前記試料のpHが5.5ないし8.0であることを特徴とする請求項15に記載の硝酸塩イオン濃度の測定方法。
【請求項22】
前記試料は、バッファとして0.05ないし0.2M濃度のMOPSをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の硝酸塩イオン濃度の測定方法。
【請求項23】
前記試料は、電子遷移媒介体として1.0ないし3.0mM濃度のMVをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の硝酸塩イオン濃度の測定方法。
【請求項24】
前記試料は、酸素除去剤として0.5ないし4mM濃度の亜硫酸塩をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の硝酸塩イオン濃度の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2007−510890(P2007−510890A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535282(P2006−535282)
【出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【国際出願番号】PCT/KR2005/001529
【国際公開番号】WO2005/119237
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(506125384)サムスン エンジニアリング カンパニー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】