説明

硫化水素の除害方法

【課題】硫化水素含有ガスの湿度を規定することにより、硫化水素の除害をより効率的に行う。
【解決手段】硫化水素含有ガスを酸化鉄に接触させる硫化水素の除害方法であって、前記硫化水素含有ガスの湿度は、30%以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化鉄を用いた硫化水素の除害方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1では、硫化水素含有ガスを酸化鉄系触媒と接触させる際、酸化鉄系触媒の温度を規定することで硫化水素を効率的に分解している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−125651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記特許文献1にあっては、硫化水素含有ガスの湿度と硫化水素除害量の関係については記載されていない。
本発明は上記問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、硫化水素含有ガスの湿度を規定することにより、硫化水素の除害をより効率的に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を解決するため、本願発明では、硫化水素含有ガスの湿度は、30%以上であることとした。
【発明の効果】
【0006】
よって、硫化水素の除害をより効率的に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の硫化水素の除害方法では、除害剤としてハニカム化した樹脂基材(ポリエステル等)に酸化鉄を添着させたものが用いられる(例えば、フジタ商会製:コルラインSC−G−08等)。この除害剤に、硫化水素含有ガスを接触させ、硫化水素を除害する。接触させる際は常温常圧であってもよいし、温度や圧力を適宜変更してもよい。なお、除害剤は粒状のものであってもよい。
【0008】
除害剤は、樹脂基材を円筒状に捲回したものであってもよいし、複数の樹脂基材を積層したものであってもよい。この除害剤を容器内に格納し、硫化水素含有ガスをこの容器内に供給することで両者を接触させ、硫化水素除害後のガス出口からを排出する。供給される硫化水素含有ガスは、湿度が高くなるほど好ましく、30%以上が好ましい。より好ましくは湿度100%である。
【実施例】
【0009】
[実施例1]
内径900mm、高さ670mmの円筒状の塩化ビニル製容器に除害剤(フジタ商会製:コルラインSC−G−08)を420リットル充填し、0.01容量%(100ppm)の硫化水素含有ガス(Air:99.9容量%)を容器に供給し、容器の入口、出口それぞれにおける硫化水素ガス濃度の検出を行った(ガステック社製ガス検知管、入口濃度測定用;型番 NO.4HM、出口濃度測定用;型番 NO.4LL)。硫化水素含有ガスの供給条件は、常圧下、25℃、空間速度2500(1/h)、流量17.5(m/min)であり、湿度は30%である。
【0010】
そして、容器出口において硫化水素が許容濃度である0.001容量%(10ppm)となるまでの時間(破過時間)を硫化水素含有ガスの供給時間とし、この供給時間内に容器出口から排出された硫化水素の量を測定し、硫化水素の供給量と排出量の差に基づき、容器内で除害された硫化水素の量を求めた(表1参照)。
【0011】
[実施例2]
容器内に供給する硫化水素含有ガスの湿度を100%とし、容器内で除害された硫化水素の量を求めた(表1参照)。なお、湿度以外の条件は実施例1と同様である。
【0012】
[比較例]
容器内に供給する硫化水素含有ガスの湿度を0%とし、それ以外は実施例1、2と同じ条件として容器内で除害された硫化水素の量を求めた(表1参照)。
【0013】
【表1】

【0014】
表1から、湿度を30%とした実施例1では、比較例と比べて硫化水素の除害量が増大することが明らかとなった。また、湿度を100%とした実施例2では、実施例1よりもさらに除害量が増大することが確認された。したがって、硫化水素含有ガスの湿度を増大させるほど、硫化水素を効率的に除害できるものと推定される。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は、ガス中の硫化水素除去方法および装置一般に適用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫化水素含有ガスを酸化鉄に接触させる硫化水素の除害方法であって、
前記硫化水素含有ガスの湿度は、30%以上である
硫化水素の除害方法。
【請求項2】
請求項1に記載の硫化水素の除害方法において、
前記硫化水素含有ガスの湿度は100%である
硫化水素の除害方法。

【公開番号】特開2013−22498(P2013−22498A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158560(P2011−158560)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】