説明

硫酸化オリゴ糖誘導体

本発明はヘパランスルフェート結合蛋白の阻害剤及び酵素ヘパラナーゼの阻害剤としての活性を有するポリ硫酸化オリゴ糖誘導体である化合物;化合物の製造方法;化合物を含む組成物、及び、哺乳類対象における抗血管形成、抗転移、抗炎症、抗微生物、抗凝固及び/又は抗血栓の治療、血中トリグリセリド濃度の低下、及び、心臓血管疾患の抑制のための化合物及びその組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘパランスルフェート結合蛋白の阻害剤及び酵素ヘパラナーゼの阻害剤としての活性を有する化合物に関する。本発明の範囲を必ずしも限定しないが、特に本発明は硫酸化オリゴ糖誘導体に関する。特に本発明はポリ硫酸化オリゴ糖誘導体に関し、誘導体化は好ましくは、還元末端のC−1及び/又は非還元末端のC−6において、単糖類単位である。本発明はまた化合物の製造方法、化合物を含む組成物、及び、哺乳類対象の抗血管形成、抗転移、抗炎症、抗微生物、抗凝固及び/又は抗血栓の治療のための化合物及び組成物の使用に関する。化合物及びその組成物はまた哺乳類対象にいて血中トリグリセリド濃度を低下させるため、及び、心臓血管疾患を抑制するための有用性を有する。化合物は更に、哺乳類対象に投与した場合に上記した障害を予防する際にも有用性を有する。
【背景技術】
【0002】
PI-88[1,2]として知られる硫酸化オリゴ糖(下記の化合物1参照)は腫瘍の生育及び転移の有望な抑制剤であることが解っており[1,3]、そして、癌患者において第2相臨床治験実施中である[4]。PI-88は血管形成生育因子(主にFGF-1、FGF-2及びVEGF)及びその受容体とヘパランスルフェートとの相互作用を抑制することにより抗血管形成作用を示す[1,5]。更に又、PI-88は腫瘍細胞を包囲する細胞外マトリックス(ECM)及び基底膜の主要構成成分であるプロテオグリカンのヘパランスルフェート側鎖を分解するグリコシダーゼである酵素ヘパラナーゼの強力な阻害剤である[1,2]。ヘパラナーゼは血管形成に関与していることが強力に示唆されており、ECMから活性ヘパランスルフェート結合血管形成成長因子を遊離させることができ、そしてECMの分解及びその後の新血管萌芽に関連する組織リモデリングに関与している[6]。ヘパラナーゼによるECMの分解はまた、腫瘍細胞の拡延(転移)において、それらを血流中に通過させ二次腫瘍を形成できる遠隔部位に定着させることにより重要となっている[6,7]。
【0003】
その抗血管形成作用に加えて、PI-88は(i)内因性の経路においてプロテアーゼを阻害すること、(ii)組織因子経路阻害剤(TFPI)の放出を刺激すること、および(iii)トロンビンのヘパリンコファクターII媒介阻害を活性化することにより血液凝固カスケードを阻害する。しかしながらPI-88はATIIIと相互作用しないため抗Xa又はATIII媒介抗IIa活性を示さない[8,9]。サルにおけるインビボ試験によれば、PI-88の低用量が血管細胞壁からの全ヘパランスルフェート結合TFPIの放出を刺激することがわかっている[9]。近年、凝固に関することの作用のほかに、TFPIは細菌抗血管形成剤[10]及び転移抑制剤[11]であることが解った。PI-88は又血管平滑筋細胞増殖及び内膜肥厚化をブロックし[12]、細胞の単純疱疹ウィルス(HSV)感染及びHSV-1及びHSV-2の細胞から細胞への拡延を抑制し[13]、そして受動ヘイマン腎炎における蛋白尿を抑制する[14]ことが解った。
【0004】
PI-88は2糖類〜6糖類の範囲の大きさの高度に硫酸化された1リン酸化マンノースオリゴ糖の混合物である[15,16]。PI-88はコウボPichia(Hansenula)holstiiNRRLY−2448の細胞外ホスホマンナンの穏やかな酸触媒加水分解[17,18]により得られるオリゴ糖ホスフェート画分(2)(本パラグラフの後の式I参照)の消耗的スルホン化[2,16]により製造される。主要成分はそれぞれ5糖類及び4糖類のホスフェート3(約60%)及び4(約30%)であるが、残余の10%は2、3および6糖類のホスフェート(5〜7)及びテトラサッカリルアミン(図示せず)よりなる[15,16]。
【0005】
【化1】

種々の他のポリ硫酸化されたオリゴ及び多糖類及びその誘導体はPI-88の生物学的活性と同様の型を示すことがよく知られている[19〜25]。これ等の生物学的活性は種々のヘパランスルフェート(HS)結合蛋白の阻害に寄与している。本発明の目的は同様の生物学的活性を有するが、例えば薬物動態及び/又はADME(吸収、分布、代謝、排出)プロファイルにおいて向上した特性を有するPI-88の誘導体を作成することである。本発明の別の目的は合成と定性分析が容易である単一の炭素骨格を含む化合物を提供することである。
【発明の開示】
【0006】
本発明の第1の実施形態によれば、下記式:
【0007】
【化2】

[式中、
X、Y及びZは各々、単結合又は多重結合を介して結合したUR1を担持する単糖類Zの炭素1を除いて、X、Y及びZの各非連結炭素に単結合又は多重結合を介して結合した基URを有する単糖類単位であり;
nは0〜6の値を有する整数であり;
各Uは独立してC、N、S又はO又はこれ等の、CO、COO、NO、NO2、S(O)、S(O)Oを包含する、より高度に酸化された状態であり;
各Rは独立してSO3M又はHであり、ここでMは製薬上許容しうるカチオンであるか、又は、何れかのアルキル、アリール、アシル、アロイル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、PEG、PEG誘導体、H又は下記式:
【0008】
【化3】

{式中各AB基において独立して、AはO又はNHであり、そしてBはH又はMであり、ここでMは上記の通り定義されるか、又はアルキル、アリール又は何れかの他の適当な基である}の基であり;
R1はSO3M、H、アルキル、アリール、アシル、アロイル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、PEG、PEG誘導体であるか、又は、R1はUと一緒になってN3又は置換トリアゾール又は誘導体、又は置換テトラゾール又は誘導体、又は置換アリール又は誘導体、又は置換ヘテロアリール又は誘導体となるが;
ただし、全てのUR1およびUR基がOSO3M又はOHである場合(単糖類Xの環外メチレン基を除く)は、単糖類Xの環外メチレン基はOPO3M2でありえない]の化合物が提供される。
【0009】
本発明の第2の実施形態によれば、血管形成、転移、炎症、凝固/血栓、高血中トリグリセリド濃度、微生物感染及び/又は心臓血管疾患から生じる障害の哺乳類対象における予防又は治療のための医薬品又は獣医科用の組成物であって、組成物が、第1の実施形態の化合物少なくとも1つを、該化合物少なくとも1つのための製薬上又は獣医科上許容しうる担体又は希釈剤と共に含む、上記組成物が提供される。
【0010】
本発明の第3の実施形態は、血管形成、転移、炎症、凝固/血栓、高血中トリグリセリド濃度、微生物感染及び/又は心臓血管疾患から生じる障害の哺乳類対象における予防又は治療のための医薬の製造における第1の実施形態の化合物の使用を包含する。
【0011】
本発明の第4の実施形態によれば、血管形成、転移、炎症、凝固/血栓、高血中トリグリセリド濃度、微生物感染及び/又は心臓血管疾患から生じる障害の哺乳類対象における予防又は治療のための方法であって、方法が第1の実施形態の化合物少なくとも1つ又は該化合物少なくとも1つを含む組成物の有効量を投与することを含む上記方法が提供される。
【0012】
本発明の別の実施形態は第1の実施形態の硫酸化オリゴ糖をもたらす新しい中間体及び合成経路を包含する。
【0013】
単糖類分子が排他的にD−マンノースであり、そしてグリコシド結合がα−(1→2)およびα−(1→3)である本発明の好ましい化合物は、以下の構造:
【0014】
【化4】

[式中、R、R1、Uおよびnは前述の通り定義される]に示す通りである。
【0015】
本発明をよりよく理解して実行するために、以下にその好ましい実施形態1つ以上を例示のためのみに添付図面を参照しながら説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明者等は後に広範に説明し、実施例に示す通り、多くの種類の方策を用いて多数の硫酸化オリゴ糖誘導体が形成できることを発見した。これ等の化合物は血管形成、転移、炎症、凝固、血栓、高血中トリグリセリド濃度、微生物感染及び/又は心臓血管疾患から生じる障害の哺乳類対象における予防又は治療において有用性を有する。この有用性は、ヘパランスルフェート結合蛋白がその受容体に結合する能力をブロックする、又は酵素ヘパラナーゼの活性を阻害する化合物の能力に起因する。
【0017】
式IIの要件化合物に関して、単糖類単位X、YおよびZは例えば何れかの6炭糖又は5炭糖であることができ、そして、D又はL異性体であることができる。このような6炭糖にはグルコース、マンノース、アルトロース、アロース、タロース、ガラクトース、イドース及びグロースが包含される。このような5炭糖にはリボース、アラビノース、キシロースおよびリキソースが包含される。単糖類単位のグリコシド結合は配置及び連結に関して1つの型のもののみ、又は、種々の型のものであることができる。
【0018】
製薬上許容しうるカチオンMは好ましくはナトリウムである。
【0019】
整数nに関しては、好ましい値は3であり、これにより5糖類である化合物が得られる。
【0020】
好ましい適当なR1基はn−オクチルである。
【0021】
式IIの化合物のUR1における該当する場合のアノマー配置は、α又はβの何れか、又は、アノマー型α/β混合物であることができる。
【0022】
式IIの化合物の定義において上記した置換基に関しては、「アルキル」という用語は、単独又は「アリールアルキル」のような複合語で使用する場合、直鎖、分枝鎖又は環状の炭化水素基、好ましくはC1−20、例えばC1−10を指す。例えば「C1−C6アルキル」という用語は炭素原子1〜6個の直鎖、分枝鎖又は環状のアルキル基を指す。「C1−C6アルキル」の例は、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、2−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、3−メチルペンチル及び2,3−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、2−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、3−メチルペンチル及び2,3−ジメチルブチルを包含する。環状C1−C6アルキルの例はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルを包含する。他のアルキルの例は、ヘプチル、5−メチルヘキシル、2−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルペンチル、4,4−ジメチルペンチル、1,2−ジメチルペンチル、1,3−ジメチルペンチル、1,4−ジメチルペンチル、1,2,3−トリメチルブチル、1,1,2−トリメチルブチル、1,1,3−トリメチルブチル、オクチル、6−メチルヘプチル、1−メチルヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ノニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−又は7−メチルオクチル、1−、2−、3−、4−又は5−エチルヘプチル、1−、2−又は3−プロピルヘキシル、デシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−メチルノニル、1−、2−、3−、4−、5−又は6−エチルオクチル、1−、2−、3−又は4−プロピルヘプチル、ウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−又は9−メチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−又は7−エチルノニル、1−、2−、3−、4−又は5−プロピルオクチル、1−、2−又は3−ブチルヘプチル、1−ペンチルヘキシル、ドデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−、9−又は10−メチルウンデシル、1−、2−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−エチルデシル、1−、2−、3−、4−、5−又は6−プロピルノニル、1−、2−、3−又は4−ブチルオキシル、1−2−ペンチルヘプチル等を包含する。アルキル基は場合により本明細書定義した任意の置換基1つ以上で置換されていてよい。場合により、直鎖、分枝鎖又は環状の炭化水素基(炭素原子少なくとも2個を有する)は1、2又はそれ以上の不飽和度を有してよく、これにより、アルケニル又はアルキニル基、好ましくはC2−20アルケニル、より好ましくはC2−6アルケニル、又はC2−20アルキニル、より好ましくはC2−6アルキニルを形成してよい。その例は二重結合1又は2個以上、又は3重結合1又は2個以上を含有する炭化水素残基を包含する。即ち、「アルキル」はアルケニル及びアルキニルを包含するようにとらえられる。
【0023】
「アリール」という用語は、単独又は「アリールアルキル」のような複合語として使用される場合、芳香族炭化水素又は芳香族複素環(ヘテロアリール)の環系の単一の、多核の、共役又は縮合した残基を指し、ここで環状炭化水素残基の炭素原子1つ以上はヘテロ原子で置換されることにより芳香族残基を形成する。炭素原子2個以上が置き換えられる場合、これは同じヘテロ原子の2つ以上によるか、又は、異なるヘテロ原子によるものであってよい。適当なヘテロ原子はO、N、SおよびSeを包含する。
【0024】
「アリール」の例は、フェニル、ビフェニル、ターフェニル、クオタフェニオル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、アントラセニル、ジヒドロアントラセニル、ベンズアントラセニル、ジベンズアントラセニル、フェナントレニル、フルオレニル、ピレニル、イデニル、アズレニル、クリセニル、ピリジル、4−フェニルピリジル、3−フェニルピリジル、チエニル、フリル、ピロリル、インドリル、ピリダジニル、ピラゾリル、ピラジニル、チアゾリル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、プリニル、キナゾリニル、フェナジニル、アクリジニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチアゾリル等を包含する。好ましい炭化水素アリール基はフェニル及びナフチルを包含する。好ましい複素環アリール基は、ピリジル、チエニル、フリル、ピロリルを包含する。アリール基は場合により本明細書に定義する任意の置換基1つ以上で置換されていてよい。
【0025】
「アシル」という用語は基−C(O)−Rを指し、ここでRはアルキル又はアリール基である。アシルの例は、直鎖又は分枝鎖のアルカノイル、例えばアセチル、プロパノイル、ブタノイル、2−メチルプロパノイル、ペンタノイル、2,2−ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ウンデカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ペンタデカノイル、ヘキサデカノイル、ヘプタデカノイル、オクタデカノイル、ノナデカノイル及びイコサノイル;シクロアルキルカルボニル、例えばシクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル及びシクロヘキシルカルボニル;アロイル、例えばベンゾイル、トルオイル及びナフトイル;アラルカノイル、例えばフェニルアルカノイル(例えばフェニルアセチル、フェニルプロパノイル、フェニルブタノイル、フェニルイソブチリル、フェニルペンタノイル及びフェニルヘキサノイル)及びナフチルアルカノイル(例えばナフチルアセチル、ナフチルプロパノイルおよびナフチルブタノイル)を包含する。R基は場合により上記した通り置換されていてよいため、「アシル」とは場合により置換されたアシルを指すともとらえられる。
【0026】
アルキル、アリール又はアシルのための任意の置換基はハロ(ブロモ、フルオロ、クロロ、ヨード)、ヒドロキシ、C1−6アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル(n−およびi−異性体))、C1−6アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ(n−およびi−異性体))、ブトキシ(n−、sec−およびt−異性体))、ニトロ、アミノ、C1−6アルキルアミノ(例えばメチルアミノ、エチルアミノ、プロピル(n−およびi−異性体)アミノ)、C1−6ジアルキルアミノ(例えばジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジイソプロピルアミノ)、ハロメチル(例えばトリフルオロメチル、トリブロモメチル、トリクロロメチル)、ハロメトキシ(例えばトリフルオロメトキシ、トリブロモメトキシ、トリクロロメトキシ)及びアセチルを包含する。
【0027】
5〜6員の複素環基は上記定義した芳香族の5〜6員の複素環基(ヘテロアリール)及びO、N、S及びSeから独立して選択されるヘテロ原子1つ以上(好ましくは1又は2個)を含有する非芳香族の5〜6員の複素環基を包含する。その例はジオキサニル、ピラニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジル、モルホリノ、ピペラジニル、チオモルホリノ及び糖類を包含する。
【0028】
本発明による化合物の硫酸化度は典型的には少なくとも50%である。即ちオリゴ糖誘導体のR基の少なくとも50%がSO3Mを含む。硫酸化度は典型的には70〜100%、そして好ましくは少なくとも90%もの高値である。
【0029】
式IIのPI-88誘導体は段階的な合成経路を介して、又は既に存在するPI-88骨格を原料とし(市販品8〜11を使用;上記式Iを参照)、そしてそれに所望の修飾を施すことにより製造することができる。本発明者等はPI-88(1)及びその前駆体(2)の考えられる構造から、誘導体化の2つの好ましい部位、即ち、以下の構造式に示す通り、還元末端(A)及び非還元末端の末端6位(B)が存在することを決定した。
【0030】
【化5】

2、3、4及び5糖類(及びより大型のもの)の誘導体は全て、同じ化学的操作により製造できることに留意しなければならない。しかしながら、5糖類誘導体はそれらが最も生物学的に活性であることから好ましい[1,2,5,8,13]。次に製造した全ての誘導体を脱保護(典型的にはNaOMeによる脱アセチル化)に付し、そして得られたポリオールをスルホン化試薬、例えば3酸化イオウピリジン複合体又は3酸化イオウトリメチルアミン複合体を用いてスルホン化する。
【0031】
上記した通り、本発明の化合物は血管形成、転移、炎症、凝固、血栓、高血中トリグリセリド濃度、微生物感染又は心臓血管疾患から生じる障害の哺乳類対象における予防又は治療における有用性を有する。化合物はヒトにおける上記した障害の治療において特に有用性を有している。化合物は典型的には、以下のパラグラフに記載する通り医薬組成物の成分として投与される。以下に説明するとおり、化合物はPI-88そのものと同様かそれより優れた活性を示す。
【0032】
経口投与のための医薬組成物は錠剤、カプセル、粉末又は液体の形態であることができる。錠剤は固体担体、例えばゼラチン又は補助剤又は不活性希釈剤を含むことができる。液体の医薬組成物は一般的に水、ワセリン、動物又は植物性の油、鉱物油又は合成油のような液体担体を含む。生理食塩水又はグリコール類、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール又はポリエチレングリコールを含んでよい。このような組成物及び調製品は一般的に化合物少なくとも0.1重量%を含有する。
【0033】
非経腸投与は以下の経路、即ち、静脈内、皮内又は皮下、経鼻、筋肉内、眼内、表皮経由、腹腔内及び局所投与により行うことを包含する。局所投与は皮膚、目、直腸、鼻並びに吸入又はエアロゾル手段によるものを包含する。静脈内、皮膚又は皮下注射、又は投与が望まれる部位における注射のためには、活性成分は発熱物質非含有で適当なpH、等張性及び安定性を有する非経腸的に許容される水溶液の形態とする。当業者は例えば要件化合物又はその誘導体の溶液を用いて適当な溶液を容易に製造することができる。
【0034】
化合物少なくとも1つ及び担体又は希釈剤のほかに、本発明の組成物は製薬上又は獣医科上許容しうる賦形剤、緩衝剤、安定化剤、等張性付与剤、保存料又は抗酸化剤又は当業者の知る何れかの他の物質を含むことができる。当業者の知るとおり、このような物質は非毒性であり、化合物の薬効を妨害してはならない。何れかの添加剤の厳密な性質は組成物の投与経路により、即ち組成物が経口投与されるか非経腸投与されるかにより異なる。緩衝剤に関しては、水性組成物は典型的にはこのような物質を、生理学的pHの近傍、又は、少なくとも約pH5.0〜8.0の範囲内に組成物が維持されるように含む。
【0035】
本発明の組成物は化合物少なくとも1つに加えて活性成分を含むこともできる。このような成分は、抗血管形成、抗転移、抗炎症、抗微生物、抗凝固、抗微生物及び抗血栓剤、及び高血中トリグリセリド濃度に対抗して有効な薬剤としてのその薬効に関して主に選択されるが、いずれかの関連する状態に対抗するその薬効について選択することもできる。
【0036】
本発明の医薬品又は獣医科用の組成物は検討対象となっている特定の状況に対して必要な予防有効量又は治療有効量の何れかにおいて対象に投与される。組成物により投与される化合物少なくとも1つの実際の量、および、投与の速度及び時間的経過は治療すべき状態又は所望の予防の性質及び重症度に応じて異なる。用量の決定等のような治療の詳細は対象の担当である医師又は獣医師の知るとおりである。しかしながら典型的にはヒト対象への投与のための組成物はkg体重当たり化合物約0.01〜100mg、より好ましくはkg体重当たり化合物約0.1〜10mgを含む。
【0037】
化合物は製薬上又は獣医科上許容しうるその誘導体として組成物中に含有させることができる。本明細書においては、化合物の「誘導体」とは、塩、Mn2+及びZn2+のような金属イオンとの配位複合体、インビボ加水分解性のエステル、遊離の酸又は塩基、水和物又はプロドラッグを包含する。酸性の基、例えばホスフェート又はスルフェートを有する化合物は、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えばNa、K、Mg及びCaと、そして、有機アミン、例えばトリエチルアミン及びトリス(2−ヒドロキシエチル)アミンと塩を形成することができる。塩はまた塩基性の基、例えばアミンを有する化合物と、無機酸、例えば塩酸、リン酸又は硫酸、又は有機酸、例えば酢酸、クエン酸、安息香酸、フマル酸又は酒石酸との間にも形成することができる。酸性及び塩基性の基の両方を有する化合物は内部塩を形成できる。
【0038】
エステルは化合物中に存在するヒドロキシル又はカルボン酸基及び適切なカルボン酸又はアルコールの反応相手との間に、当該分野でよく知られている方法を用いて形成することができる。
【0039】
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体はインビボ又はインビトロで親化合物に変換することができる。典型的には、親化合物の生物学的活性少なくとも1つを化合物のプロドラッグ形態においては抑制してよく、そして、親化合物又はその代謝産物へのプロドラッグの変換により活性化することができる。プロドラッグの例は、脂質部分1つ以上が部分上の置換基として与えられることにより、ホスホリパーゼ活性を有する酵素による切断により化合物の遊離の形態の放出をもたらすような糖脂質誘導体である。本発明の化合物のプロドラッグはインビボで除去されることにより活性化合物を放出するか、このプロドラッグのクリアランスを抑制する保護基の使用を含む。適当な保護基は当業者のよく知るとおりであり、アセテート基を包含する。
【0040】
同じく上記した通り、本発明の化合物は血管形成、転移、炎症、凝固/血栓、微生物感染、高血中トリグリセリド濃度及び/又は心臓血管疾患から生じる障害の哺乳類対象における予防又は治療のための医薬の製造において有用性を有する。このような医薬の製造のための方法は当業者のよく知るとおりであり、そして上記した医薬組成物を製造するために使用される方法を包含する。
【0041】
本発明の化合物にいたる合成経路の一般的説明を以下に記載する。単純化のために、以下に記載する全てのスキーム、図及び表において、特段の記載が無い限り、R1はα−(1→3)連結Man44糖類部分(末端6−O−ホスホ基を有するもの又は有さないもの)を示す。
一般的操作法
PI-88のグリコシド誘導体(O−、S−及びC−グリコシド
グリコシド誘導体はグリコシル化のためにオリゴ糖(末端6−O−ホスホ基を有するもの又は有さないもの)を活性化すること、及び、それを適切なアルコールと縮合させることにより容易に製造できる。適当な方法はアルコールアクセプターとの例えば12のような過アセチル化糖のルイス酸触媒又は促進反応により13及び14とすることである。より非反応性のアクセプターが必要である場合は、より反応性のグリコシルドナーを製造することが必要であり、例えばトリクロロアセトイミデート15を用いてPEG化誘導体16及び17を製造する(スキーム1)。
【0042】
【化6】

種々の他の型のドナーが当該分野で知られており、そしてドナーとして適しており、例えばチオグリコシド、ハライド、n−ペンテニルグリコシド、セレノグリコシド等が挙げられる。当業者のよく知る通り、S及びCグリコシドは文献記載の方法と同様か類似の方法により製造でき、例えば、適切なチオール(又はチオール誘導体)又は既知炭素求核剤(例えばアリルトリメチルシラン又は適切なフェノール)を適当に活性化されたドナーと共に使用することが挙げられる。次に生成物を容易に脱アセチル化し、スルホン化することができる。グリコシル化産物は単一のアノマー(α又はβ)又は両方のアノマーの混合物であってよい。純粋なα及びβアノマーの両方及びアノマー混合物が後の変換に適している。このことは後のセクションに記載するアノマー中心の操作を介して得られる他の誘導体にもあてはまる。従って、単一のアノマーを記載している場合は、対向するアノマー又は2アノマーの混合物にも言及しているものとする。当業者の知るとおり、最初に形成されたグリコシドはアグリコンの性質に応じて更に誘導体化することができる。一例として、アルコールとして2−ブロモヘキサノールを使用する場合、生成物はアジド(18)に変換できる。これは極めて汎用的な化合物(スキーム2)であり、例えば適当な親双極子物質を含有する化合物との環付加により更に官能性付与してよい。或いは、アジドを還元してアミンとし、次に、例えばアルキル化、アシル化、4−成分Ugi縮合等により更に官能性付与することができる。
【0043】
【化7】

N連結誘導体
12より、TMSN3とのルイス酸触媒反応によりアジド19(主にα)が得られる。或いは、β−アジド20はα−ブロミドをまず形成し、その後NaN3で置き換えることにより排他的に形成できる(スキーム3)。ブロミドはまた例えばチオグリコシド又はイソチオシアネートの製造のための中間体としても使用できる。アジドは脱保護及びスルホン化するか、又は、還元して種々の酸クロリドでアシル化することにより一連のグリコシルアミドとすることができる(スキーム3)。
【0044】
【化8】

非還元末端誘導体
誘導体化はまた例えばホスホリル化オリゴ糖(単独又は混合物)の使用及びホスフェート基を介した誘導体化、例えばホスフェートエステル又はホスホアミドの製造により非還元末端において行うこともできる。実際、同じか異なる官能基を有するように還元末端も誘導体化することができるように適当な化合物を製造できる。
【0045】
以上本発明を広範に記載したが、化合物の非限定的な例、その合成及びその生物学的活性を以下に説明する。
【実施例】
【0046】
中性マンノオリゴ糖
(a)文献記載の操作法に従って、サイズエクスクルージョンクロマトグラフィーによりP. holstiiNRRLY−2448由来の細胞外ホスホマンナンの穏やかな酸加水分解の中性画分からマンノオリゴ糖(8)α−D−Man−(1→2)−D−Man、(9)α−D−Man−(1→3)−α−D−Man−(1→2)−D−Man、(10)α−D−Man−(1→3)−α−D−Man−(1→3)−α−D−Man−(1→2)−D−Man及び(11)α−D−Man−(1→3)−α−D−Man−(1→3)−α−D−Man−(1→3)−α−D−Man−(1→2)−D−Manを単離した[17]。或いはオリゴ糖8〜11は実施例1に記載する単糖類ビルディングブロックから段階的な方法で合成した(後述参照)。
【0047】
(b)或いは、中性画分は直接アセチル化(過剰のAc2O/ピリジン)し、そしてここの過アセチル化オリゴ糖をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)で単離し、この形式で直接次の工程で使用した。
【0048】
(c)別の手法において、(b)で得た過アセチル化混合物を次の工程に直接使用し、次に個々の産物をフラッシュクロマトグラフィーで単離した。
【0049】
脱アセチル化のための一般的操作法
無水メタノール中のパーアセテートの溶液(0.1M)をメタノール中のナトリウムメトキシ度の溶液(1.35M、0.2〜0.6等量)で処理した。混合物を1〜3時間室温で攪拌した(TLCでモニタリング)。酸性樹脂AG(登録商標)−50W−X8(H型)を添加してpH=6〜7に調節し、混合物を濾過し、そして樹脂をメタノールで洗浄した。合わせた濾液及び洗液を真空下に濃縮し、十分乾燥してポリオール産物とした。
【0050】
スルホン化の一般的操作法
DMF中のポリオール及びSO3トリメチルアミン又はSO3ピリジン複合体(アルコール当たり2等量)の混合物を加熱した(60℃、一夜)。冷却(室温)した反応混合物をMeOHで処理し、次にNa2CO3(10%w/w)を添加して塩基性(pH>10まで)とした。混合物を濾過し、濾液を蒸発し、共蒸発(H2O)させた。粗製のポリ硫酸化物質をH2Oに溶解し、サイズエクスクルージョンクロマトグラフィーに付し(後述参照)硫酸化産物を得た。必要に応じて、凍結乾燥後、生成物をイオン交換樹脂カラム(AG(登録商標)−50W−X8、Na型、1x4cm、脱イオンH2O、15ml)に付すことにより生成物を均質にナトリウム塩型に変換した。収集した溶液を蒸発させ、凍結乾燥し、無色ガラス状物又は白色粉末として最終生成物を得た。
【0051】
サイズエクスクルージョンクロマトグラフィー
サイズエクスクルージョンクロマトグラフィーは5x100cmカラム中のBio−GelP−2上で、0.1MNH4・HCO3流量2.8ml/分において行い、2.8分(7.8ml)画分を収集した。画分は、シリカゲルプレート上にスポットし、燃焼させて可視化することにより炭水化物含有量を分析、及び/又は、ジメチルメチレンブルー試験により多荷電物質種を分析した。最後に画分の純度をCE15で確認し、塩非含有と推定されるものを合わせて凍結乾燥した。硫酸化が不十分な副生成物又は他の有機塩の夾雑物が存在する場合(通常は少量のみであるが、頻繁に検出される)は、LH20カラムクロマトグラフィー(2x95cm、脱イオン水、1.2ml/分、バイアル当たり3.5分)を適用してそれらを完全に除去した。
【0052】
実施例1:Pichia由来中性マンノオリゴ糖(8−11)の全合成
【0053】
【化9】

ベンジル2−O−(3−O−アリル−2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル)−3,4,6−トリ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシド(24)
1,2−DCE(10ml)中の3−O−アリル−2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシルトリクロロアセトイミデート[26](902mg、1.21ミリモル)及びベンジル3,4,6−トリ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシド[27](723mg、1.34ミリモル)の混合物をモレキュラーシーブ(1.0g、3Å粉末)の存在下アルゴン雰囲気下に攪拌した(30分)。混合を継続(10分間)しながら混合物を冷却(0℃)した後、TMSOTf(219μL、1.21ミリモル)を添加した。しばらくの後(10分)、Et3N(100μL)を導入し混合物を濾過した。溶媒を蒸発させ、残留物をFC(10〜50%EtOAc/ヘキサン)に付し、無色油状物としてトリベンゾエート(24)(1.14g、84%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ3.67-3.81, 3.88-3.95, 4.06-4.15, 4.30-4.35(4m, 12H; H-2I,-3I,-4I,-5I,-6aI,-6bI,-3II,-5II,-6aII,-6bII,OCH2), 4.94-4.70(m, 7H;CH2Ph), 4.84(d, 1H, JA,B 10.8 Hz; AB4重線のA), 4.93-4.96, 5.04-5.09(2m, 2H; =CH2), 5.02(d, 1H, J1,21.9 Hz; H-1I), 5.24(d, 1H; J1,2 1.9 Ha; H-1II), 5.59-5.69(m, 1H; =CH), 5.72(dd, 1H, J2,3 3.1 Hz; H-2II), 5.75(dd, 1H, J3,4 9.8, J4,59.9 Hz;H-4II), 7.09-7.58, 7.97-8.06(2m, 35 H; Ar). 13C NMR(CDCl3)δ61.50, 63.49(2 C;C-6I,-6II), 68.63, 69.17, 69.31, 69.46, 69.64, 71.08, 72.04, 72.64, 73.60, 74.73, 75.30, 75.38(13 C; C-3I,-4I,-5I,-2II,-3II,-4II,-5II, OCH2, CH2Ph), 79.97(C-2I), 98.52, 99.60(C-1I,-1II), 117.67(=CH2), 127.70-138.43(43 C; =CH, Ar), 165.61, 165.69, 166.42(3 C; C=O).
【0054】
【化10】

ベンジル2−O−(2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル)−3,4,6−トリ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシド(25)
PdCl2(40mg)をMeOH(10ml)及び1,2−DCE(10ml)中のアリルエーテル(24)(1.09g、0.97ミリモル)の溶液に添加し、合わせた混合物を加熱した(70℃、40分)。その後、溶媒を蒸発させ、残留物をFC(20〜30%EtOAc/ヘキサン)に付し、無色油状物としてアルコール(25)(0.96g、91%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ3.68-3.81, 3.97-4.06, 4.32-4.71(3 m, 18 H; H-2I,-3I,-4I,-5I,-6aI,-6bI,-3II,-5II,-6aII,-6bII, CH2Ph), 4.84(d, 1H, JA,B 12 Hz; AB4重線のA), 5.05(d, 1H, Jl,2 1.9 Hz; H-1I), 5.26(d, 1H; J1,2 1.9 Ha; H-1II), 5.61(dd, 1H, J2,3 3.3 Hz; H-2II), 5.67(dd, 1H, J3,4 9.8, J4,59.9 Hz; H-4II), 7.13-7.40, 7.48-7.59, 7.98-8.06(3 m, 35 H; Ar). 13C NMR(CDCl3)δ60.61, 63.32(2 C; C-6I,-6II), 69.06, 69.12, 69.25, 69.44, 70.45, 72.14, 72.65, 72.77, 73.48, 74.79, 75.48, 75.47, 76.23(13 C; C-3I,-4I,-5I,-2II,-3II,-4II,-5II, OCH2, CH2Ph), 79.66(C-2I), 98.34, 99.40(C-1I,-1II), 127.70-138.47(42 C; Ar), 165.97, 166.36, 166.97(3 C; C=O).
【0055】
【化11】

ベンジル2−O−[(3−O−アリル−2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル)−(1→3)−(2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル)]−3,4,6−トリ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシド(26)
1,2−DCE(10ml)中の3−O−アリル−2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシルトリクロロアセトイミデート(742mg、1.01ミリモル)及びアルコール(25)(908mg、0.84ミリモル)の混合物をモレキュラーシーブ(1.0g、3Å粉末)の存在下アルゴン雰囲気下に攪拌した(30分)。混合を継続(10分間)しながら混合物を冷却(0℃)した後、TMSOTf(181μL、1.01ミリモル)を添加した。しばらくの後(10分)、Et3N(100μL)を導入し混合物を濾過した。溶媒を蒸発させ、残留物をFC(10〜50%EtOAc/ヘキサン)に付し、無色油状物としてヘキサベンゾエート(26)(1.26g、90%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ3.51-3.56, 3.66-4.06, 4.23-4.27, 4.30-42, 4.47-4.72, 4.78-4.86(6 m, 26H; H-2I,-3I,-4I,-5I,-6aI,-6bI,-3II,-5II,-6aII,-6bII,-3III,-5III,-6aIII,-6bIII, OCH2, =CH2, CH2Ph), 5.04(d, 1H, J1,2 1.7 Hz; H-1I), 5.15(dd, 1H, J1,2 1.8, J2,32.7 Hz; H-2II), 5.26(d, 1H; H-1II), 5.28(d, 1H, J1,2 1.7 Hz; H-1III), 5.33-5.43(m, 1H; =CH), 5.77-5.82(m, 2H; H-4II,-2III), 5.92(dd, 1H, J3,4 9.5, J4,59.8 Hz; H-4III), 7.00-7.61, 7.80-8.19(2m, 50 H; Ar).
【0056】
【化12】

ベンジル2−O−[(2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル)−(1→3)−(2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル)]−3,4,6−トリ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシド(27)
PdCl2(40mg)をMeOH(10ml)及び1,2−DCE(10ml)中のアリルエーテル(26)(394mg、241マイクロモル)の溶液に添加し、合わせた混合物を加熱した(70℃、60分)。その後、溶媒を蒸発させ、残留物をFC(20〜30%EtOAc/ヘキサン)に付し、無色油状物としてアルコール(27)(317mg、84%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ3.67-3.82, 3.91-3.99, 4.01-4.21, 4.29-4.71(4 m, 21H; H-2I,-3I,-4I,-5I,-6aI,-6bI,-3II,-5II,-6aII,-6bII,-3III,-5III,-6aIII,-6bIII, CH2Ph), 4.83(d, 1H, JA,B 10.9 Hz; AB4重線のA), 5.03-5.05(m, 2H; H-1I,-2II), 5.25-5.28(m, 2H; H-1II,-1III), 5.63(dd, 1H, J3,4 = J4,59.9 Hz; H-4II), 5.77(dd, 1H, J1,2 2.0, J2,3 3.1 Hz; H-2III), 5.92(dd, 1H, J3,4 9.7, J4,59.9 Hz; H-4III), 6.99-7.62, 7.80-8.16(2 m, 50H; Ar).
【0057】
【化13】

ベンジル2−O−[(3−O−アリル−2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル)−(1→3)−(2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル)] −(1→3)−(2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル)]−3,4,6−トリ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシド(28)
1,2−DCE(6ml)中の3−O−アリル−2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシルトリクロロアセトイミデート(102mg、138マイクロモル)及びアルコール(27)(135mg、86.5マイクロモル)の混合物をモレキュラーシーブ(100mg、3Å粉末)の存在下アルゴン雰囲気下に攪拌した(30分)。混合を継続(10分間)しながら混合物を冷却(0℃)した後、TMSOTf(25μL、138マイクロモル)を添加した。しばらくの後(10分)、Et3N(100μL)を導入し混合物を濾過した。溶媒を蒸発させ、残留物をFC(10〜50%EtOAc/ヘキサン)に付し、無色油状物としてノナベンゾエート(28)(173mg、94%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ3.44-3.49, 3.60-3.99, 4.05-4.16, 4.42-4.44, 4.48-4.68, 4.73-4.77(6 m, 30H; H-2I,-3I,-4I,-5I,-6aI,-6bI,-3II,-5II,-6aII,-6bII,-3III,-5III,-6aIII,-6bIII,-3IV,-5IV,-6aIV,-6bIV, OCH2, =CH2, CH2Ph), 4.83(d, 1H, JA,B 10.9 Hz; AB4重線のA), 5.01-5.04(m, 2H; H-1I,-2III), 5.19-5. 23(m, 1H; H-2II), 5.27-5.40(m, 4H; H-1I,-1II,-1III, =CH2), 5.61(dd, 1H, J3,4 = 4,5 9.9 Hz;H-4IV), 5.77(dd, 1H, J1,2 2.0, J2,33.1 Hz; H-2IV), 5.90-5.96(m, 2H; H-4II,-4III), 7.01-7.56, 770-8.16(2 m, 65H; Ar).
【0058】
【化14】

ベンジル2−O−[(2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル)−(1→3)−(2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル)]−(1→3)−(2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル)]−3,4,6−トリ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシド(29)
PdCl2(30mg)をMeOH(5ml)及び1,2−DCE(5ml)中のアリルエーテル(28)(155mg、70.4マイクロモル)の溶液に添加し、合わせた混合物を加熱した(70℃、40分)。その後、溶媒を蒸発させ、残留物をFC(20〜40%EtOAc/ヘキサン)に付し、無色油状物としてアルコール(29)(97mg、64%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ3.67-3.82, 3.90-4.10, 4.24-4.68(3 m, 26H; H-2I,-3I,-4I,-5I,-6aI,-6bI,-3II,-5II,-6aII,-6bII,-3III,-5III,-6aIII,-6bIII,-3IV,-5IV,-6aIV,-6bIV, CH2Ph), 4.84(d, 1H, JA,B 11.2 Hz; AB4重線のA), 4.86(d, J1,2 1.8 Hz; H-1I), 4.90(dd, 1H; J1,2 1.8, J2,3 3.1 Hz; H-2III), 5.03(d, 1H, J1,2 1.5 Hz; H-1IV), 5.22(dd, 1H, J1,2 2.1, J2,3 2.6 Hz; H-2II), 5.27-5.29(m, 2H; H-1III,-1IV), 5.46(dd, 1H, J3,4 9.7, J4,59.9 Hz; H-4IV), 5.79(dd, 1H, J2,3 2.9 Hz; H-2IV), 5.90-5.96(m, 2H; H-4II,-4III), 7.01-7.56, 7.68-8.16(2 m, 65H; Ar).
【0059】
【化15】

ベンジル2−O−[(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−マンノピラノシル)−(1→3)−(2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル)]−(1→3)−(2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル)−(1→3)−(2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル)]−3,4,6−トリ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシド(30)
1,2−DCE(3ml)中の2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−α−D−マンノピラノシルトリクロロアセトイミデート[28](39mg、78マイクロモル)及びアルコール(29)(85mg、39マイクロモル)の混合物をモレキュラーシーブ(100mg、3Å粉末)の存在下アルゴン雰囲気下に攪拌した(30分)。混合を継続(10分間)しながら混合物を冷却(0℃)した後、TMSOTf(14.2μL、78マイクロモル)を添加した。しばらくの後(30分)、Et3N(100μL)を導入し混合物を濾過した。溶媒を蒸発させ、残留物をFC(30〜60%EtOAc/ヘキサン)に付し、無色油状物としてテトラアセテート(30)(85mg、87%)を得た。
1H NMR(CDCl3)δ1.82-2.04(4 s, 各々3H; CH3CO), 3.67-3.95, 4.05-4.72, 4.82-5.03, 5.21-5.28, 5.69-5.50(m, 43H; H-1I-IV, -2I-IV, -3I-IV, 4I-IV, -5I-IV, -6abI-IV, CH2Ph)7.01-7.56, 7.68-8.16(2 m, 65H; Ar).
マンノオリゴ糖(25、27、29、30)の脱保護のための一般的方法
(A)MeOHおよびTHF中のテトラベンジルエーテル(25、27、29、30)の溶液に少量のナトリウムを添加し、合わせた混合物を攪拌した(室温、一夜)。その後混合物をDowex50X8樹脂(H)型で中和し、濾過した。溶媒を蒸発し、共蒸発(MeOH)させ、更に精製することなく後の反応に使用した。
【0060】
(B)Pd(OH)2(C上10%)を少量のAcOHを含有するTHF及びH2O中の(A)の粗生成物の溶液(50□L)に添加し、合わせた混合物を水素下激しく攪拌した(100psi、3時間)。その後混合物を濾過し溶媒を蒸発させた。残留物をゲル濾過クロマトグラフィー(BiogelP2;H2O;60ml/hr)に付し、凍結乾燥の後無色の粉末としてマンノオリゴ糖(8〜11)を得た。化合物8〜11は上記Pichia加水分解物から単離したものと全ての点において同一であった。
【0061】
実施例2:ベンジルグリコシドポリスルフェート(PG500)
【0062】
【化16】

パーアセテート12
4糖類11(1.03g、95%M5)、酢酸ナトリウム(1.2g)及び無水酢酸(50ml)を乾燥チューブ下一夜140℃で(攪拌しながら)加熱した。混合物を室温に冷却し、蒸発乾固させ、EtOAcに回収し、塩水で洗浄(x3)し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル40g、80:20EtOAc:Hx)に付し、純度のより低い物質と共にガラス状物としてパーアセテート12を810mg得た。
1H NMR(400 MHz, CDCl3)δ6.14(d, 0.84H, J= 2.0, αH1I), 5.71(d, 0.16H, J= 0.9, βH1I), 5.30-5.10(m, 8H), 5.00-4.85(m, 7H), 4.25-3.70(m, 19H), 2.20-1.90(m, 51H).
元素分析値:C64H87O43[M+H]の計算値1543.4623、実測値1543.4599
過アセチル化オリゴ糖の直接グリコシル化のための一般的操作法
3ÅMS乾燥DCM中のパーアセテート(例えば物質12)の溶液(0.03M)にアルコール(6等量)を添加した。場合により粉末3ÅMSを少量添加した。3フッ化ホウ素エーテレート(4等量)を添加し、混合物を2〜26時間60℃〜75℃でアルゴン雰囲気下に攪拌した。混合物を冷却し、トリエチルアミンを添加した。混合物をジクロロメタンで希釈し、炭酸ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、乾燥した(無水MgSO4)。乾燥溶液を濾過し、残渣をジクロロメタンで洗浄した。合わせた濾液及び洗液を濃縮し、シリカゲル上に担持させ、フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、勾配溶離ヘキサン−EtOAc6:1〜1:4)により精製し、蒸発及び高真空下に乾燥させた後に所望のグリコシドを得た。
【0063】
【化17】

ベンジルグリコシド13
物質12及びベンジルアルコールを用いてグリコシル化を行い、無色のガム状物として生成物(13)108mgを46%で得た(Rf=0.32、ヘキサン−EtOAc=1:3)。
1H NMR(CDCl3, 400 MHz)δ7.35-7.27(m, 5H, C6H5), 5.30-5.12(m, 8H), 5.00-4.85(m, 8H), 4.68(AB4重線, 1H, J= 11.8)および 4.50(AB4重線, 1H, J = 11.8, PhCH20), 4.27-3.74(m, 19H), 2.14(4), 2.13(5), 2.13, 2.10, 2.08(4), 2.07(9), 2.07(6), 2.06(9), 2.06(6), 2.06(2×), 2.02, 2.00, 1.99, 1.97, 1.94(15s, 48H, 16×Ac); 13C NMR(CDCl3, 100 MHz)δ171.0, 170.5(3), 170.5(1), 170.5(0), 170.4, 170.3, 170.2, 170.0(4), 170.0(2), 169.8(9), 169.8(8), 169.7, 169.6, 169.5(6), 169.4(6),および169.3(合計16×CO), 136.1(イプソ−C6H5), 128.5, 128.2および127.9(o,m,p-C6H5), 99.2(2C), 98.9, 98.8, 97.3(5糖Cl), 76.7, 75.1, 74.9(9), 74.9(7), 71.1, 70.9, 70.8, 70.2, 69.7, 69.5(9),69.5(6), 69.4(2),69.3(7), 69.2, 68.6, 68.3, 67.1, 66.7(3), 66.6(7), 66.1, 65.5, 62.4, 62.1, 61.9, 61.6および60.2(26C, 5糖Cl及びベンジルCH2を除く25糖炭素), 20.9, 20.8(2),20.8(0), 20.7(8), 20.7, 20.6, 20.5(4), 20.5(1), 20.4(9)および20.4(6)(10C, 16×Ac)
【0064】
【化18】

ベンジルグリコシドポリスルフェート(PG500)
化合物13を脱アセチル化(HRMS、ポリオールC37H59O26[M+H]計算値919.3296、測定値919.3279)し、一般的方法に従ってスルホン化することにより白色粉末として生成物(PG500)76.1mgを44%で得た。
1H NMR(D20, 400 MHz)δ7.35-7. 26(m, 5H, C6H5), 5.32(s,1H), 5.30(d, 1H, J = 1.2), 5.26(d, 1H, J= 2.0), 5.24(d, 1H, J= 1.6), 5.05(dd, 1H, J= 2.8, 2.0), 5.00(d, 1H, J= 2.0), 4.87-4.85(m, 2H), 4.68-4.34(m, 12H), 4.32-3.86(m, 17H); 13C NMR(D20, 100 MHz)δ137.0, 129.5, 129.4, 129.1, 100.5(9), 100.5(6), 100.2, 97.9, 93.8, 76.9, 76.8, 75.6, 75.5(3), 75.4(8), 74.4, 73.8, 73.1, 73.0, 72.8, 72.7, 71.8, 71.3, 70.7, 70.6, 70.4, 69.9, 69.8, 69.7, 68.0, 67.8, 67.5, 66.6, 66.3(7), 66.3(5).
実施例3:オクチルグリコシドポリスルフェート(PG501)
【0065】
【化19】

オクチルグリコシド14
物質12及びオクタノールを用いてグリコシル化を行い、無色のガム状物として生成物(14)207mgを66%で得た(Rf=0.41、ヘキサン−EtOAc=1:3)。
1H NMR(CDCl3, 400 MHz)δ5.23-5.09(m, 8H), 4.96-4.82(m, 8H), 4.23-3.71(m, 19H), 3.59(dt, 1H, J = 9.4, 6.8, OCH2R), 3.35(dt, 1H, J= 9.4, 6.8, OCH2R), 2.11, 2.10(2), 2.09(8), 2.06, 2.05, 2.04(4), 2.04(1), 2.03(8), 2.03, 2.02, 2.01, 1.99(3), 1.98(8), 1.96, 1.94および1.90(16s, 48H, 16×Ac), 1.52(5重線, 2H,J = 7.2, CH2), 1.27-1.18(m, 10H,(CH25), 0.80(t, 3H, J = 7.2, CH3); 13C NMR(CDCl3, 100 MHz)δ170.4(0)(2C), 170.3(8)(2C), 170.3, 170.2, 170.1, 169.9(2C), 169.8(2), 169.7(5), 169.6, 169.5, 169.4(4), 169.3(5), 169.3(16×CO, 3重複), 99.1(2C), 98.8, 98.7, 98.0(5糖Cl), 77.0, 75.0, 74.8(3), 74.7(5), 71.0, 70.8, 70.7, 70.1, 69.4(9), 69.4(7), 69.3(0), 69.2(7), 69.2, 68.3, 68.2(0), 68.1(6), 67.2, 66.6(4), 66.6(0), 66.1, 65.4, 62.4, 62.3, 61.8および61.5(25C, 糖ClおよびオクチルCH2Oを除く糖炭素), 31.5, 29.1, 29.0, 28.9, 25.9, 22.4(6糖オクチルCH2), 20.7(3), 20.7(0), 20.6(7), 20.6, 20.5, 20.4(3), 20.4(0), 20.3(9), 20.3(7)(9C, 16×Ac), 13.85(オクチルCH3).
【0066】
【化20】

化合物14を脱アセチル化(HRMS、ポリオールC38H69O26[M+H]計算値941.40784、測定値941.4060)し、一般的方法に従ってスルホン化することにより白色粉末として生成物(PG501)195mgを72%で得た。
1H NMR(D20, 400 MHz)δ5.33(s, 1H), 5.29(d, 1H, J = 1.6), 5.24(d, 1H, J = 1.6), 5.21(d, 1H, J = 1.6), 5.03(dd, 1H, J= 2.8, 2.0), 4.87(d, 1H, J = 1.6), 4.86-4.83(m, 2H), 4.70-3.92(m, 27H), 3.59(dt, 1H, J= 9.6, 7.0), 3.44(dt, 1H, J = 9.6, 7.0), 1.48-1. 40(m, 2H), 1.21-1. 08(m, 10H), 0.678(t, 3H, J = 7.2); 13C NMR(D2O, 100 MHz)δ100.5, 100.4, 100.1, 100.0, 99.0, 98.4(1), 98.3(8), 98.3(6), 98.3(5), 76.8(5), 76.7(9), 76.7, 76.6, 76.5(2), 76.4(7), 76.0, 75.4(0), 75.3(5), 75.3, 75.2, 74.3, 73.0(5), 72.9(9), 72.7, 72.6, 71.7, 70.4, 70.2, 69.8(4), 69.7(5), 69.6, 69.1, 67.8(5), 67.7(7), 66.5, 66.2, 31.5, 30.0, 28.8, 25.8, 22.5, 14.0.
実施例4:PEG5000ポリスルフェート(PG504)
【0067】
【化21】

中間体15
(A)アセテート(12)(68mg、51マイクロモル)及びBnNH2(17μL、152マイクロモル)の混合物を所定時間(2日)攪拌(室温)した。混合物をCHCl3希釈し、(20ml)で希釈し、後処理した。有機層を蒸発させ共蒸発(2x10mlMeCN)させ、更に精製することなく後の反応に使用した。
【0068】
(B)DBU(10μL,6.7マイクロモル)を1,2−DCE(4ml)中の粗生成物(Aより)及びトリクロロアセトニトリル(1.0ml、10ミリモル)の溶液に添加し、合わせた混合物を攪拌した(0℃→12℃、一夜)。混合物を濃縮し、残留物をFC(50〜90%EtOAc/ヘキサン)に付し、淡黄色の無色油状物として物質15を得た(35mg、48%、2工程)。
1H NMR(400 MHz, CDCl3)δ8.70(s, 1H, NH), 6.32(d, 1H, J = 2.0, H1I), 5.36-5.13(m, 8H), 5.00-4.90(m, 6H), 4.26-3.75(m, 20H), 2.15-1.94(m, 48H).
【0069】
【化22】

PEG5000ポリスルフェート(PG504)
(A)1,2−DCE(3ml)中の中間体15(33mg、20.2マイクロモル)及びPEG5000モノメチルエーテル(151mg、30.3マイクロモル)の混合物をモレキュラーシーブ(50mg、3Å粉末)の存在下アルゴン雰囲気下に攪拌した(10分)。攪拌を継続(10分)しながら混合物を冷却(−20℃)した後、TMSOTf(5μL、2.8マイクロモル)を添加した。しばらくの後(20分)、Et3N(10μL)を導入し混合物を濾過した。溶媒を蒸発させ、残留物をFC(0〜7.5%MeOH/CHCl3)に付し、無色ガラス状物として物質16(104mg、80%、平均Mr6483に基づく)を得た。
1H NMR(400 MHz, CDCl3)δ5.28-4.87(m, 14H), 4.43-3.42(m, 829H,), 3.34(s, 3H, OMe), 2.15-1.94(m, 48H).
(B)化合物16(104mg、16マイクロモル)を一般的操作法に従って脱アセチル化し、Man5-PEG5000-OMeを無色ワックス状物として得た(82mg、89%、平均Mr5769に基づく)。
【0070】
(C)M5-PEG5000-OMe(82mg、14マイクロモル)を一般的操作法に従ってスルホン化し、無色泡状物としてPG504(45mg、42%、平均Mr7401に基づく)を得た。
1H NMR(400 MHz, D20)δ5.34-4.87(m, 7H), 4.71-3.97(m, 20H), 3.76-3.35(m, 432H), 3.23(s, 3H, OMe).
実施例5:PEG2000ポリスルフェート(PG506)
【0071】
【化23】

(A)中間体(15)(60mg、36.5マイクロモル)及びPEG2000-OMe(110mg、55.0マイクロモル)をPEG5000-OMeの場合と同様にTMSOTfで処理し、無色ガラス状物として化合物17を得た(96mg、74%)。
1H NMR(400 MHz,CDCl3)δ5.28-5.13, 5.00-4.87, 4.27-3.40(3m, 多くのH, H1I-V,2I-V,3I-V,4I-V,5I-V,6aI-V,6bI-V, OCH2CH2O), 3.34(s, 3H, OMe), 2.15-1.94(16s, 各々3H, COMe).
(B)化合物17を一般的操作法に従って脱アセチル化し、PEG2000-OMeポリオールを無色ワックス状物として得た(63mg、81%)。この残留物は更に精製又は定性することなく次の反応に使用した。
【0072】
(C)上記(B)の生成物を一般的操作法に従ってスルホン化し、無色粉末として標題化合物(PG506)を得た(47mg、68%)。
1H NMR(400 MHz, D20)δ5.34-3.97(m, 498H), 3.80-3.35(m, 81H), 3.23(s, 3H, OMe).
実施例6:PG502
【0073】
【化24】

アジド19
無水DCM(20ml)中のパーアセテート12(270mg、175マイクロモル)、TMSN3(60mg、525マイクロモル)及びSnCl4(DCM中1M200μL)の溶液を暗所一夜攪拌した。TMSN3及びSnCl4を更に(3等量)添加し、再度一夜暗所で攪拌を継続した。氷及びNaHCO3(飽和水溶液)を添加し、混合物をEtOAcで抽出し、塩水で洗浄し、蒸発させ、フラッシュクロマトグラフィー(10gシリカゲル、勾配溶離、50:50〜75:25EtOAc:Hx)に付し、アジド19を218mg(82%)得た。
1H NMR(400 MHz, CDCl3)δ5.52(d, 1H, J = 2.0, H1I), 5.29-5.12(m, 8H), 5.02-4.87(m, 7H), 4.29-3.76(m, 19H), 2.18-1.95(m, 48H); 13C NMR(100 MHz, CDCl3)δ170.5(9), 170.5(7), 170.5(6), 170.4, 170.3, 170.2, 170.1, 169.9(9), 169.9(8), 169.9(5), 169.7(3), 169.6(9), 169.6(6), 169.6, 169.5, 169.3, 99.3(0), 99.2(7), 99.1, 99.0, 88.1, 75.2, 75.1, 74.8, 71.1, 70.9, 70.8, 70.6, 69.7, 69.5, 69.4, 69.2, 68.3, 67.3, 66.8, 66.7, 65.5(9), 65.5(8), 62.6, 62.2, 62.0, 61.7, 20.8(8), 20.8(6), 20.8, 20.7, 20.6(2), 20.5(8), 20.5(7), 20.5.
HRMS、C62H84N3O41[M+H]計算値1526.4583、測定値1526.4557。
【0074】
【化25】

1−デオキシ−1−α−フェノキシアセトアミドパーアセテート21
無水アセトニトリル(5ml)中の物質19(32mg、21マイクロモル)、PPh3(11mg、42.6マイクロモル)及びフェノキシアセチルクロリド(7.3mg、43マイクロモル)の溶液を4時間0℃で、次に一夜室温で攪拌した。EtOAc及びNaHCO3(飽和水溶液)を添加し、そして有機層を塩水で洗浄し、次に乾燥(MgSO4)し、フラッシュクロマトグラフィー(勾配溶離、60:40〜90:10EtOAc:Hx)に付し、一部残存するPPh3/PPh3Oと共にアミド21を11.4mg(33%)得た。
1H NMR(400 MHz, CDCl3)δ7.36-7.32(m, 2H), 7.18(br d, 1H, J = 8.1, NH), 7.00-6.90(m, 3H), 5.79(dd, 1H, J = 3.8, 8.2, H1I), 5.32-4.97(m, 15H), 4.60-3.76(m, 21H), 2.20-1.95(m, 48H, AcO).
HRMS、C70H92NO43[M+H]計算値1634.5045、測定値1634.5002。
【0075】
【化26】

PG502
パーアセテート21(11mg、6.7マイクロモル)を一般的操作法に従って脱アセチル化およびスルホン化し、凍結乾燥の後、PG502を6mg(2工程で34%)得た。
1H NMR(400 MHz, D2O, 溶媒抑制)δ: 7.30-7.21(m, 2H, ArHm), 6.96-6.84(m, 3H, ArHo,p), 5.56-3.59(m, 抑制により影響された30H).
実施例7:PG503
【0076】
【化27】

1−デオキシ−1−α−ビオチンアミドカプロアミドパーアセテート22
2:1EtOAc:EtOH(3ml)中の物質19(70mg、46マイクロモル)及びアダム触媒(2mg)の混合物を一夜H2(100psi)下に攪拌し、次に濾過し、蒸発させ、無水ピリジンと共蒸発させた。ビオチンアミドカプロエートN−ヒドロキシスクシンイミドエステル(31mg、68マイクロモル)及び1mlの無水ピリジンを添加し、混合物を攪拌しながら3日間60℃に加熱した。溶液を蒸発させ、フラッシュクロマトグラフィー9.4gEt3N、洗浄シリカゲル、勾配溶離、75:25EtOAc:Hx〜30:70MeOH:EtOAc)に付し、アミド22を30.8mg(2工程で36%)得た。
1H NMR(400 MHz, CDCl3)δ7.41(br d, 1H, J = 9.4, NH), 6.47, 6.17(2×br s, 2×1H, イミドNHs), 5.40(br d, 1H, J = 9. 4, H1I), 5.40-4.90(m, 16H), 4.52(dd, 1H, J = 4.9, 7.5, ビオチン−H4), 4.36-3.72(m, 20H), 3.25-3.12(m, 3H), 2.91(dd, 1H, J = 5.0, 13.0, ビオチン−H5A), 2.75(d, 1H, J = 12.9, ビオチン−H5B), 2.27-1.96(m, 52H), 1.82-1.29(m, 12H, アルキル鎖).
【0077】
【化28】

PG503
パーアセテート22(30mg、16.3マイクロモル)を一般的操作法に従って脱アセチル化およびスルホン化し、凍結乾燥の後、PG503を28mg(2工程で61%)得た。
1H NMR(400 MHz, D20, 溶媒抑制、アミド回転異性体の影響)δ5.60-4.75(m, 7H, 糖Hs), 4.68(dd, 1H, J = 4.7, 7.2, ビオチン−H4), 4.60-3.60(m, 26H, 糖Hs), 4.21(dd, 1H, J = 4.4, 7.2, ビオチン−H3), 3.33-3.16(m, 1H, ビオチン−H2), 3.07-2.97(m, 3H, ビオチン−H5A+CH2N), 2.92(dd, 1H, J = 4.9, 13.5, ビオチン−H5B), 2.33-2.14(m, 2H, COCH2B), 2.09(t, 2H, J = 7.4, COCH2A), 1.63-1.15(m, 12H, アルキル鎖).
実施例8:PG505
【0078】
【化29】

アジド31
無水DCM(20ml)中のマルトヘキサオースパーアセテート(500mg、273マイクロモル)、TMSN3(83mg、726マイクロモル)及びSnCl4(DCM中1M145μL)の溶液を暗所一夜攪拌した。TMSN3(50μl)及びSnCl4(DCM中1M100μL)を更に添加し、再度一夜暗所で攪拌を継続した。氷及びNaHCO3(飽和水溶液)を添加し、混合物をEtOAcで抽出し、塩水で洗浄し、蒸発させ、フラッシュクロマトグラフィー(10gシリカゲル、勾配溶離、75:20〜80:20EtOAc:Hx)に付し、アジド31を488mg(98%)得た。
1H NMR(400 MHz, CDCl3)δ: 5.30-5.11(m, 11H), 4.93(t, 1H, J = 9.9), 4.72(dd, 1H, J= 4.0, 10.5), 4.68-4.57(m, 6H), 4.44-3.67(m, 23H), 2.09-1.85(m, 57H). 13C NMR(100 MHz, CDCl3)δ: 170.3(4), 170.3(1), 170.2(7), 170.2, 170.1(4), 170.1(0), 170.0(7), 170.0, 169.6, 169.4, 169.3, 169.2(3), 169.2(2), 169.1(7), 169.1(4), 169.1(1), 95.5(0), 95.4(5), 95.4, 95.3, 87.1, 74.7, 73.9, 73.3, 73.2, 72.2, 71.4, 71.3, 71.2(4), 71.2(1), 70.2, 70.1, 69.8, 69.0, 68. 8, 68.7, 68.2, 67.7, 62.4, 62.3, 62.1(8), 62.1(6), 62.0, 61.1, 30.0, 20.5(5), 20.5(3), 20.5(0), 20.4(6), 20.3(3), 20.2(8), 20.2(4), 20.2(2).
【0079】
【化30】

PG505
アジド31(97mg、54マイクロモル)を一般的操作法に従って脱アセチル化及びスルホン化し、凍結乾燥後にPG505を66mg(2工程で41%)を得た。
1H NMR(400 MHz, D20, 溶媒抑制)δ: 3.69-5.78(m, 溶媒抑制により影響された42H).
実施例9:PG515
【0080】
【化31】

6−アジド−6−デオキシ−2,3,4−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシルトリクロロアセトイミデート(34)
(A)AcOH(5ml)中のメチルグリコシド(32)[29](1.52g、2.9ミリモル)及びAc2O(10ml)の冷却(0℃)溶液にH2SO4(0.5ml)を添加し、合わせた混合物を攪拌した(0℃→室温、一夜)。NaOAc(1.0g)をpH>5.0となるまで少しずつ添加し、次に混合物をMeOH(3ml)で処理した。混合物を濾過し、溶媒を蒸発させ、共蒸発(トルエン)させた後、後処理(EtOAc)及びRSF(10〜20%、EtOAc/ヘキサン)を行い、無色泡状物としてアセテート(33)と推定されるものを得た(1.12g、70%)。
【0081】
(B)ヒドラジンアセテート(196mg、2.13ミリモル)をDMF(10ml)中のアセテート(33)(1.08g、1.94ミリモル)の攪拌溶液に添加し、合わせた混合物を加熱した(55℃、15分)。混合物を飽和NaClに注ぎ込み、抽出した(EtOAc)。有機層を蒸発させ、RSF(10〜30%EtOAc/ヘキサン)に付し、無色油状物を得た(888mg)。この残留物を共蒸発(2x100ml、CH3CN)させ、更に精製又は定性することなく次の反応に使用した。
【0082】
(C)DBU(3滴)を1,2−DCE(8ml)中の(B)の粗生成物(上記、888mg)及びCl3CN(2.0ml、20ミリモル)の溶液に添加し、合わせた混合物を攪拌した(0℃〜室温、1時間)。混合物を濾過し、溶媒を蒸発させ、残留物をFC(10〜30%EtOAc/ヘキサン)に付し、無色油状物としてイミデート(34)を得た(777mg、61%、2工程)。
1H NMR(400 MHz, CDCl3)δ8.88(br s, 1H, NH), 8.10-7.22(m, 15H, ArH), 6.56(d, 1H, J1,2 2.0 Hz, H1), 5.99(dd, 1H, J3,4-4,5 9.6 Hz, H4), 5.94-5.88(m, 2H, H2,3), 4.44(ddd, 1H, J5,6 2.8, 5.6 Hz, H5), 3.54(dd, 1H, J6,6 13.6 Hz, H6), 3.47(dd, 1H, H6). 13C NMR(100 MHz, CDCl3)δ165.61, 165.37, 159.95, 134.00, 133.92, 133.58, 130.25, 130.05, 129.12, 129.04, 128.97, 128.91, 128.76, 128.74, 128.57, 94.62, 73.03, 69.69, 68.90, 67.05, 51.06.
【0083】
【化32】

ベンジル(6−アジド−6−デオキシ−α−D−マンノピラノシル)−(1→3)−(α−D−マンノピラノシル)−(1→3)−(α−D−マンノピラノシル)−(1→2)−(α−D−マンノピラノシド)(37)
(A)1,2−DCE(3ml)中のイミデート(34)(93mg、141マイクロモル)、アルコール(35)(90mg、94.1マイクロモル)及びモレキュラーシーブ(50mg、3Å粉末)の混合物をTMSOTf(10μL、55.1マイクロモル)で処理し、合わせた混合物を攪拌した(0℃〜室温、20分)。Et3N(100μL)を導入し、混合物を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物をFC(10〜40%EtOAc/ヘキサン)に付し、無色油状物としてアジド(36)(68mg、57%)を得た。
1H NMR(400 MHz, CDCl3)δ8.80-7.12(m, 65H, ArH), 6.01(dd, 1H, J3,4-4,5 9.9 Hz, H4III), 5.96(dd, 1H, J3,4-4,5 9,9 Hz, H4I), 5.92(dd, 1H, J3,4-4,5 9.6 Hz, H4II), 5.83(dd, 1H, J2,3 3.3Hz, H3I), 5.79(dd, 1H, J1,2 2.0, J2,3 3.3 Hz, H2II), 5.70(dd,1H,J3,4-4,5 9.9 Hz,H4Iv), 5.50(dd, 1H, J2,3 3.3 Hz, H3IV), 5.36(d, 1H, J1,2 1.7 Hz, H1III), 5.29(dd, 1H, J2,3 3.0 Hz, H2III), 5 23(d, 1H, H1II), 5.18(dd, 1H, J1,2 1.9 Hz, H2IV), 5.16(d, 1H, J1,2 1.6 Hz, H1I), 4.87(d, 1H, H1IV), 4.72-4.24(m, 14H, H2I, H3II,III, H5I-III, H6I-III), 3.99(ddd, 1H, J5,6 2.9, 3.4 Hz, H5IV), 3.02(dd, 1H, J6,6 13.5 Hz, H6IV), 2,83(dd, 1H, H6IV).
(B)ベンゾエート(36)(63mg、31マイクロモル)を一般的操作法に従ってエステル転移し、そして残留物のクロマトグラフィー(C18、0〜10%MeOH/H2O)により無色ガラス状物として4糖類(37)を得た(15mg、62%)。
1H NMR(400 MHz, MeOD)δ7.34-7.22(m, 5H, ArH), 5.12(d, 1H, J1,2 1.5 Hz, H1a), 5.09(d, 1H, J1,2 1.7 Hz, H1b), 5.07(d, 1H, J1,2 1.6 Hz, H1c), 4.92(d, 1H, J1,2 1.9 Hz, H1d), 4.71, 4.48(AB4重線のAB, J11.7 Hz, CH2Ph), 4.14(dd, 1H, J2,33.0 Hz, H2a), 4.19(dd, 1H, J2,33.2 Hz, H2b), 3.96(dd, 1H, J2,33.4 Hz, H2c), 3.94(dd, 1H, J3,49.4 Hz, H3b), 3.88-3.52(m, 19H, H2d, H3a,c,d, H4a-d, H5a-d, H6a-d), 3.44(dd,1H, J5,6 6.3, J6,6 10.1 Hz, H6IV).
【0084】
【化33】

PG515
4糖類37(12mg、15.3マイクロモル)を一般的操作法に従ってスルホン化し、凍結乾燥後にPG515を14mg(2工程で38%)得た。
1H NMR(500 MHz, D20)δ7.47-7.37(m, 1H, ArH), 5.45-4.02(m, 29H, C1I-IV,2I-IV,3I-IV,4I-IV,5I-IV,6aI-IV,6bI-III, CH2Ph), 3.69-3.67(m, 1H, H6bIV).
実施例10:PG509
【0085】
【化34】

メチル3−O−(2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル)−2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシド(39)
(A)1,2−DCE(6ml)中の3−O−アリル−2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシルトリクロロアセトイミデート[26](410mg、0.57ミリモル)及びメチル2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシド[26](300mg、0.51ミリモル)の混合物を、モレキュラーシーブ(700mg、3Å粉末)の存在下においてTMSOTf(30μL、0.17ミリモル)で処理し、合わせた混合物を攪拌した(0℃〜室温、30分)。Et3N(100μL)を導入し、混合物を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物をFC(10〜50%EtOAc/ヘキサン)に付し、無色油状物として2糖類38と推定されるものを得た。
【0086】
(B)PdCl2(40mg)をMeOH(10ml)および1,2−DCE(10ml)中の(A)の生成物の溶液に添加し、合わせた混合物を加熱した(70℃、40分)。溶媒を蒸発させ、残留物をFC(10〜50%EtOAc/ヘキサン)に付し、無色油状物としてアルコール(39)を得た(316mg、68%、2工程)。1H及び13CNMR(CDCl3)スペクトルは文献記載のものと同様であった[26]。
【0087】
【化35】

メチル(α−D−マンノピラノシル)−(1→3)−(α−D−マンノピラノシド)(40)
アルコール(39)(10mg、0.10ミリモル)を一般的操作法に従ってエステル転移し、文献記載のものであることがNMRにより同定された無色油状物(3mg、85%)として2糖類(40)を得た[30,31]。
【0088】
【化36】

PG509
2糖類40(25mg、70マイクロモル)を一般的操作法に従ってスルホン化し、凍結乾燥後にPG509を27mg(36%)得た。
1H NMR(400 MHz, D20)δ5.26(d, 1H, J1,2 1.8 Hz; HlII), 4.98(dd, 1H, J2,3 2.4 Hz; H2II), 4.87(d, 1H, J1,2 1.9 Hz; H1I), 4.60-4.55(m, 1H; H3II), 4.53(dd, 1H, J2,3 2.3 Hz; H2I), 4.41-4.19(m, 5H; H4I,4II,6aI,6aII,6bII), 4.15(dd, 1H, J3,4 9.3 Hz; H3I), 4.06-3.91(m, 3H; H5I,5II,6bI), 3.29(s, 3H; OCH3).
実施例11:PG508
【0089】
【化37】

メチル3−O−[3−O−(2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル)−2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシル]−2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシド(42)
(A)1,2−DCE(5ml)中の3−O−アリル−2,4,6−トリ−O−ベンゾイル−α−D−マンノピラノシルトリクロロアセトイミデート(269mg、0.37ミリモル)及びアルコール(39)(306mg、0.31ミリモル)の混合物を、モレキュラーシーブ(100mg、3Å粉末)の存在下においてTMSOTf(20μL、0.11ミリモル)で処理し、合わせた混合物を攪拌した(0℃〜室温、30分)。Et3N(100μL)を導入し、混合物を濾過し、溶媒を蒸発させた。残留物をFC(10〜50%EtOAc/ヘキサン)に付し、無色油状物として3糖類41と推定されるものを得た。
【0090】
(B)PdCl2(40mg)をMeOH(10ml)および1,2−DCE(10ml)中の(A)の生成物の溶液に添加し、合わせた混合物を加熱した(70℃、40分)。溶媒を蒸発させ、残留物をFC(10〜50%EtOAc/ヘキサン)に付し、無色油状物としてアルコール(42)を得た(316g、70%、2工程)。
1H NMR(400 MHz, CDCl3)δ8.14-7.22(m, 45H, ArH), 6.63(dd, 1H, J1III,2III 1.8, J2III,3III 3.3 Hz, H2III), 5.94(dd, 1H, J3III,4III 10.0, J4III,5III10.0 Hz, H4III),5.84(dd, 1H, J3II,4II 9.9, J4II,5II 9.9 Hz, H4II), 5.48(dd, 1H, J3I,4I 9.8, J4I,5I9.8 Hz, H4I), 5.26(d, 1H, J1I,2I 1.9 Hz, H1I), 5.22(dd, 1H, J1II,2II 2.1, J2II,3II 3.0 Hz, H2II), 4.91(d, 1H, H1III), 4.90(dd, 1H, J2I,3I 3.2 Hz, H2I), 4.86(dd, 1H, J1II,2II 1.7 Hz, H1II). 4.67-4.63(,12H, H3I,3II,3III,5I,5II,5III,6I,6II,6III). 13C NMR(100 MHz, CDCl3)δ166.49, 166.38, 166.25, 166.07, 165.94, 165.77, 165.63, 165.19, 165.15, 133.80, 133.60, 133.61, 133.58, 133.52, 133.06, 130.22, 130.16, 130.09, 130.05, 130.16, 129.97, 129.9, 129.88, 129.84, 129.51, 129.17, 129.01, 128.85, 128.63, 128.53, 128.5, 128.46, 99.35, 99.24, 98.73, 76.48, 76.12, 72.45, 71.77, 71.64, 69.93, 69.7, 69.01, 68.86, 68.6, 68.53, 67.82, 63.17, 62.79, 62.41, 55.66; ESMS: m/z 1373.4[M-Bz+H+Na]+, 1269.4[M-2Bz+2H+Na]+.
【0091】
【化38】

メチル(α−D−マンノピラノシル)−(1→3)−(α−D−マンノピラノシル)−(1→3)−(α−D−マンノピラノシド)(43)
アルコール(42)(115mg、0.79ミリモル)を一般的操作法に従ってエステル転移し、文献記載のものであることがNMRにより同定された無色油状物(35mg、86%)として3糖類(43)を得た[32]。
HRMS: m/z 519.1862[M+H]+, 541.1646[M+Na]+.
【0092】
【化39】

PG508
3糖類43(25mg、49マイクロモル)を一般的操作法に従ってスルホン化し、凍結乾燥後にPG508を36mg(49%)得た。
1H NMR(400 MHz, D20)δ5.26(d, 1H, J1,2 1.9 Hz; H1III), 5.22(d, 1H, J1,2 1.8 Hz; H1II), 5.04(dd, 1H, J2,3 2.4 Hz; H2III), 4.89(d, 1H, J1,2 1.6 Hz; H1I), 4.76-4.75(m, 1H; H2II), 4.60-4.55(m, 1H; H3III), 4.55(dd, 1H, J2,3 3.1 Hz; H2I), 4.50(dd, 1H, J3,4 9.6, J4,59.7 Hz; H4III), 4.41-4.12, 4.04-3.91(m, 12H; H3II,4I,4II,5I-III,6aI-III,6bI-III), 4.10(dd, 1H, J3,4 9.5 Hz; H3I), 3.29(s, 3H; OCH3).
実施例12:PG512
【0093】
【化40】

ベンジル(3−O−アリル−α−D−マンノピラノシル)−(1→3)−(α−D−マンノピラノシル)−(1→3)−(α−D−マンノピラノシル)−(1→2)−(3,4,6−トリ−O−ベンジル−α−D−マンノピラノシド(44)
MeOH(6ml)中のノナベンゾエート(28)(115mg、0.79ミリモル)にナトリウム(小片)を添加し、合わせた混合物を攪拌した(室温一夜)。混合物を中和(Dowex50X8、H)し、濾過し、濾液を濃縮し、FC(0〜10%MeOH/CH2Cl2)に付し、無色油状物としてテトラベンジルエーテル(44)を得た(89mg、64%)。
1H NMR(CD30D)δ7.33-7.13(m, 20H, ArH), 6.02-5.92(m, 1H, CH=CH2), 5.32-5.27, 5.11-5.09(2m, 2H, CH=CH2), 5.10(d, 1H, J1,2 1.4 Hz, H1a), 5.09(d, 1H, J1,2 1.5 Hz, H1b), 5.03(d, 1H, J1,2 1.2 Hz, H1c), 4.97(d, 1H, J1,2 1.4 Hz, H1d), 4.74, 4.49(2d, AB4重線のAB, JH,H10.9 Hz, PhCH2-a), 4.67, 4.48(2d, AB4重線のAB, JH,H11.8 Hz, PhCH2-b), 4.65, 4.58(2d, AB4重線のAB, JH,H11.6 Hz, PhCH2-c), 4.57, 4.51(2d, AB4重線のAB, JH,H12.4 Hz, PhCH2-d), 4.21-3.62(m, 26H, H2I-IV,3I-IV,4I-IV,5I-IV,6aI-IV,6bI-IV, OCH2CH=).
【0094】
【化41】

PG512
4糖類44(23mg、21.5マイクロモル)を一般的操作法に従ってスルホン化し無色粉末としてPG512を得た(26mg、61%)。
1H NMR(400 MHz, D20)δ7.32-7.18, 7.00-6.98(2m, 20H, ArH), 5.88-5.78(m, 1H,CH=CH2), 5.30-5.23, 5.08-5.04, 4.91-4.90, 4.83-4.82, 4.71-4.08, 4.00-3.89, 3.73-3.70, 3.62-3.45(8m, 40H, CH=CH2, OCH2CH, H1-6I-IV, PhCH2I-IV).
実施例13:PG513
【0095】
【化42】

THF(1ml)及びH2O(1ml)中のテトラベンジルエーテル(44)(62mg、50マイクロモル)及びPd(OH)2(C上10%、10mg)の混合物をH2下(100psi)に攪拌した(室温一夜)。混合物を濾過し、濃縮し、Fc(SiO2:H2O)に付し、無色ガラス状物としてプロピルエーテル(45)を得た(32mg、73%)。
1H NMR(D2O)δ5.22(br s, 1H, H1a), 5.00(d, 1H, J1,2 1.7 Hz, H1b), 4.97(d, 1H, J1,2 21.6 Hz, H1C), 4.87(d, 1H, J1,2 1.8 Hz, H1d), 4.11-4.07, 3.91-3.35(2m, 26H, H2I-IV,3I-IV,4I-IV,5I-IV, 6aI-IV,6bI-IV, OCH2), 1.50-1.42(m, 2H, CH2CH3), 0.76(t, 3H, JH,H 7.2Hz, CH2CH3).
【0096】
【化43】

PG513
4糖類45(21mg、29.6マイクロモル)を一般的操作法に従ってスルホン化し無色粉末としてPG513を得た(29mg、34%)。
1H NMR(D2O)δ5.61(d, 1H, J1,2 2.3 Hz; H1a), 5.61(br s, 1H; H1b), 5.32(d, 1H, J1,2 1.8 Hz; H1c), 5.26(d, 1H, J1,2 2.0 Hz; H1d), 4.90-4.88, 4.77-4.31, 4.23-4.04, 3.98-3.81, 3.57-3.51, 3.41-3.36(6m, 26H, OCH2CH2, H2-6I-IV), 1.48-1.39(m, 1H; CH2CH3), 0.76(dd, 1H, JH,H 7.4 Hz ; CH2CH3).
実施例14:PG510
【0097】
【化44】

ポリオール46[31](22mg、61.7マイクロモル)を一般的操作法に従ってスルホン化し無色粉末としてPG510を得た(46mg、70%)。
1H NMR(D2O)δ5.10(d, 1H, J1,2 2.0 Hz; H1II), 4.90(d, 1H, J1,2 2.0 Hz; H1I), 4.78(dd, 1H, J2,3 3.0 Hz; H2II), 4.73(dd, 1H, J2,3 3.1 Hz; H2I), 4.64-4.40(m, 1H ; H3II), 4.52(dd, 1H, J3,4 9.5 Hz; H3I), 4.33-4.30(m, 2H; H4II,6aII), 4.22(dd, 1H, J4,5 9.7 Hz; H4I), 4.12-4.04(m, 2H; H5II,6bII), 3.96-3.90(m, 2H; H5I,6aI), 3.76(dd, 1H, J5,6b 8.6, J6a,6b11.3 Hz; H6bI), 3.31(s, 3H; OCH3).
実施例15:PG511
【0098】
【化45】

ポリオール47[31](20mg、56マイクロモル)を一般的操作法に従ってスルホン化し無色粉末としてPG511を得た(29mg、48%)。
1H NMR(D2O)δ5.36(d, 1H, J1,2 2.2 Hz; H1II), 4.90(br s, 1H; H2II), 4.87(d, 1H, J1,2 2.1 Hz; H1I), 4.74(dd, 1H, J2,3 3.0 Hz; H2II), 4.58-4.40, 4.29-4.10, 3.88-3.85(3m, 10H, H3-6I,II), 3.30(s, 3H; OCH3).
実施例16:PG514
【0099】
【化46】

アジド18
(A)DCE(20ml、3Åモレキュラーシーブ)中のパーアセテート12(700mg、0.453ミリモル)および6−ブロモ−1−ヘキサノール(492.7mg、2.721ミリモル)の溶液に3フッ化ホウ素ジエチルエーテレート(257mg、1.81ミリモル)をゆっくり添加し、混合物を72時間60℃でアルゴン下に攪拌した。溶液を冷却し、Et3Nで中和し、DCM(30ml)で希釈し、飽和NaHCO3で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、フラッシュクロマトグラフィー(シリカ、勾配溶離、40:60〜100:0EtOAc:Hx)に付し、6−ブロモヘキシルグリコシド340mg(0.204ミリモル、45.0%)を得た。
1H NMR(400 MHz, CDCl3)δ: 5.25-5.08(m, 8H), 4.98-4.81(m, 8H), 4.25-3.70(m,19H), 3.607(dt, 1H, J = 9.553, J = 6.635, OCH2A), 3.354(dt, 1H, J = 9.641, J = 6.637, OCH2B), 3.33(t, 2H, J = 6.700, CH2Br), 2.104, 2.096, 2.09, 2.06, 2.043, 2.038, 2.036, 2.033, 2.029, 2.02, 2.01, 1.97, 1.95, 1.94および1.90(16×S, 48H, OAc), 1.85-1.74(m, 2H, CH2), 1.59-1.46(m, 2H, CH2), 1.44-1. 35(m, 2H,CH2), 1.35-1. 25(m, 2H, CH2); 13C NMR(CDCl3, 100 MHz): 170.42, 170.41, 170.39, 170.28, 170.16, 170.07, 169.96, 169.94, 169.83, 169.77, 169.58, 169.52, 169.45, 169.36, 169.25(19xCO), 99.10, 98.83, 98.75, 98.01(糖Cl), 76.96, 75.00, 74.83, 74.75, 70.96, 70.82, 70.70, 70.08, 69.49, 69.28, 69.16, 68.24, 68.17, 68.04, 67.20, 66.65, 66.60, 66.09, 65.44, 62.41, 62.31, 61.86, および61.54(糖Clおよびブロモヘキシル−CH2Oを除く糖炭素), 33.49, 32.32, 29.43, 28.92, 27.59, 25.12(6×ブロモヘキシル−CH2), 20.73, 20.71, 20. 68, 20.62, 20.56, 20.47, 20.44, 20.41,(Ac-CH3), 13.85(CH2Br).
(B)DMF(4ml)中の(A)の6−ブロモヘキシルグリコシド(340mg、0.204ミリモル)及びアジ化ナトリウム(66mg、1.02ミリモル)の溶液を48時間100℃に加熱した。粗製の混合物のTLC分析によれば、変化は認められなかった。次にヨウ化テトラブチルアンモニウム(20mg)を添加し、混合物を更に48時間反応させた。粗製の混合物を冷却し、フラッシュクロマトグラフィー(0:100〜5:95DCM:MeOH)に付し、アジド18を21.1mg(0.013ミリモル、6.4%)得た。
【0100】
【化47】

PG514
(A)アジド18(21.1mg、0.013ミリモル)を標準的なZemplen条件下(2mlMeOH)に脱アセチル化し、ポリオール48を12.6mg(0.013ミリモル、102%)を得た。
【0101】
(B)ポリオール48(12.6mg、13.2マイクロモル)を一般的な硫酸化操作法に従ってSO3トリメチルアミンで処理し、無色粉末としてPG514を得た(18.4mg、54%)。
1H NMR(D2O, 400 MHz): 5.40-4.69(m, 8H), 4.68-3.41(m, 27H), 3.22(t, 2H, J = 6.5), 1.51(br s, 5H), 1.29(br s, 5H).
化合物の生物学的試験
成長因子結合試験
成長因子FGF−1、FGF−2及びVEGFに対するリガンドの結合親和性を表面プラズモン共鳴(SPR)に基づく溶液親和性試験を用いて測定した。試験の原理はセンサーチップ表面に固定化されたヘパリンが成長因子及びリガンドの平衡溶液中の遊離と結合型の成長因子を識別することである。溶液の注入により、遊離の成長因子は固定化されたヘパリンに結合し、SPR共鳴の増大として検出され、そして、これによりその濃度が測定される。リガンド濃度の関数としての遊離の成長因子の濃度の低下は解離定数Kdの計算を可能とする。相互作用にHS結合部位が関与している場合に成長因子に結合しているリガンドのみが検出され、これにより蛋白の他の部位への非特異的結合を計上する機会が排除される点が重要である。1:1の化学量論的関係が全蛋白:リガンド相互作用に関して推定されている。
【0102】
成長因子結合活性の試験のためにヘパリンコーティングセンサーチップを使用した。ストレプトアビジンコーティングセンサーチップ上のビオチニル化BSAヘパリンの固定化を介したその調製は文献記載である[5]。ヘパリンは又アジピン酸ジヒドラジド又は1,4−ジアミノブタンを用いたアルデヒドカップリングを介しても固定化されている。各Kdの測定のために、固定された濃度の蛋白及び変化する濃度のリガンドを緩衝液中に含有するように溶液を調製した。FGF−1及びVEGFに結合するリガンドはHBS−EP緩衝液(10mMHEPES、pH7.4、150mMNaCl、3.0mMEDTA及び0.005%(v/v)ポリソルベート20)中で測定し、FGF−2への結合は0.3MNaClを含有するHBS−EP緩衝液中で測定した[5]。注入の前に、試料を4℃に維持することにより蛋白の安定性を最大限とした。各試験混合物につき、溶液50〜200μLを5〜40μL/分で注入し、相対結合応答を測定した。全ての表面結合実験は25℃で実施した。表面は40μL/分で4MNaClを40μl注入し、その後、40μL/分で緩衝液を40μl注入することにより再生した。
【0103】
センサーグラムデータはBIAevaluationソフトウエア(BIAcore)を用いて分析した。バックグラウンドセンサーグラムを実験センサーグラムから差し引くことにより特異的結合の曲線を作成し、そして後に全ての曲線につきベースラインをゼロに調節した。注入された蛋白の濃度への相対的応答値に関する標準曲線は直線であり、結合応答が蛋白濃度に比例していることを示しており、そして即ち、結合実験が質量輸送条件下に行われたことを示唆している[34]。従って、各注入に関する相対的結合応答は以下の式を用いて遊離蛋白濃度に変換することができる。
【0104】
【数1】

式中、rは相対結合応答であり、rmは最大結合応答である。
【0105】
注射の前に溶液中に確立された結合の平衡は1:1の化学量論的関係にあると推定された。従って、平衡については以下の式が成立する。
【0106】
【数2】

式中、Pは成長因子蛋白に相当し、Lはリガンドであり、そしてP−Lは蛋白:リガンド複合体であり、平衡の式は以下:
【0107】
【数3】

の通りであり、そして結合の式[5]は以下:
【0108】
【数4】

の通り表すことができる。
【0109】
示されたKd値は[P]vs[L]全体のプロットに結合式を用いてフィットする数値である。Kd値が2連で測定された場合、数値は2連の測定の平均を示す。これ等の成長因子に堅固に結合するGAGミメティック、例えばPI-88はインビボで生物学的応答を示すことがわかっている[5]。
【0110】
ヘパラナーゼ阻害剤試験
ヘパラナーゼ試験はMicrocon限外濾過試験を用いて実施した。試験は、ヘパラナーゼ活性を測定するためにネイティブヘパランスルフェート(HS)からヘパラナーゼにより消化されているHSを物理的に分離するという原理を利用するものである。試験はネイティブのHSからより小型のヘパラナーゼ分解HSフラグメントを分離するために限外濾過装置(MicroconYM−10)を使用する。
【0111】
反応は全体容量90μL中、下記成分:
40mM酢酸塩緩衝液(pH5.0)
0.1mg/mlBSA
90ngヘパラナーゼ
2.5μM3H標識HS
種々の濃度の阻害剤
を有するようにした。
【0112】
反応は3H標識HSを除く全成分を用意し、22℃で10分間平衡化させた。次にHSを添加することにより試験を開始し、即座に20μLを採取し、10mMリン酸塩(pH7.0)80μLと混合し、100μLをMicroconYM-10コンセントレーターに移し、次にこれを5分間14000gで遠心分離した。メンブレンを通過した溶液(濾液)を保持した。この試料を時間=0の試料とみなした。試験(この時点で70μl容量)を2.5時間22℃で行い、次に各試験から20μlづつ3点につき濾過工程を反復した。
【0113】
時間=0の濾液及び3点の2.5時間濾液試料の3Hを計数した。時間=0と平均2.5時間試料の間の差がヘパラナーゼ活性の量を示している。全阻害試験は、阻害剤が存在しないことを除き上記試験組成と同一であるヘパラナーゼ標準試験を用いて行い、他の試験のヘパラナーゼ阻害の量はこの標準と比較することにより求めた。この試験におけるPI-88のIC50は0.98μMであった。
【0114】
抗ウィルス試験
アフリカングリーンモンキーの腎細胞の単層培養物[35]及び単純疱疹ウィルス(HSV-1)KOS321菌株[36]を全体に渡り使用した。化合物の抗ウィルス試験はNyberg等の記載のとおり実施した[13]。慨すれば、外来的に添加されたウィルスによる細胞の感染に対する化合物の作用はウィルス約200プラーク形成単位と化合物の連続5倍希釈液物(0.032〜20μM)を混合することにより試験した。室温で10分間ウィルスと化合物をインキュベートした後、混合物を細胞に添加し、37℃で2時間細胞単層上に放置した。その後、接種物を吸引し、イーグル最小必須培地(EMEM)中1%メチルセルロース溶液の被覆培地と交換した。37℃で3日間細胞をインキュベートした後に形成されたウィルスプラークを1%クリスタルバイオレット溶液で染色し、計数した。HSV-1の細胞から細胞への拡延に対する化合物の作用は、HSV-1による感染後の細胞に血清非含有被覆培地中化合物の連続5倍希釈物(0.032〜20μM)を添加することにより試験した。37℃で3日間細胞と共に化合物をインキュベートした後に、20プラークの画像をキャプチャーし、IM500ソフトウエア(Leica)を用いて面積測定に付した。細胞のウィルス感染及びウィルスの細胞から細胞への拡延に対する結果はそれぞれ図1A及び1Bに示す通りであり、そして誘導されたIC50値は表1に示す通りである。
【0115】
結果
前記セクションに記載した試験結果を表1に示す。
【0116】
【表1】

薬物動態の評価
35S]標識化合物の調製
PG500、PG501、PG503、PG504、PG506及びPI-88(各々2mg)に関するポリオール前駆体を3日間P2O5上真空下に乾燥させた。各バイアルには、無水DMF(Aldrich、新たに燃焼させた3Aのモレキュラーシーブ上で再乾燥)300μl中の35SO3・ピリジン複合体1.77mg(2.0mCi)および2mgSO3・Me3Nの保存溶液50μLをシリンジで添加した。更に600μLの無水DMFをSO3バイアルに添加し、各試料バイアルに分注した。試料を66時間60℃に加熱した。SO3・Me3N(無水DMF300μL中14mg)を各容器に添加し、得られた溶液を一夜60℃に加熱した。バイアルを室温に冷却し、精製まで−80℃で保存した。
【0117】
Na2CO3(飽和水溶液、pH8〜9に調節)を添加して各試料をクエンチングし、蒸発乾固させ、SEC(BiogelP2、2.6x90cm、流量30mL/時、5分/画分)に付した。所望の物質を含有する画分をG−Mカウンターで検出し、DMB試験、ついでCEを行った。結果を表2に示す。
【0118】
【表2】

薬物動態試験
雄性Sprague Dawleyラット(250〜350g)を使用した。動物は実験前及び実験中は自由給餌給水とし、その間、代謝ケージ中に非拘束で維持した。ラットはイソフルラン(Forthane(登録商標))で麻酔した。カテーテルを頚部切開部を介して外頸静脈に挿入し、皮下を通過させて背部皮膚の第2の切開部(肩甲骨の正中近接部)まで通した。次にこれを軽金属スプリングの保護により露出させた。切開部を閉鎖し、スプリングはMichel縫合しで皮膚に固定することによりラットは完全に運動可能となるようにした。動物は回復の間(1〜4時間)慎重にモニタリングした。
【0119】
投与用の保存溶液は、未標識及び放射標識の薬剤(リン酸塩緩衝食塩水に溶解)の適切な量を混合して総薬剤濃度1.25mg/mlとすることにより調製した。全用量を2mL/kgの容量で2.5mg/kgの瞬時静脈内注射として投与した。各ラットに投与された放射能の総量は0.5〜10μCiであった。この試験において使用した用量水準はPI-88の急性毒性に関して予め明らかにされている無作用用量の10分の一と低い。血液試料(約250μl)を投与前5、15、30、45分及び投与後1、1.5、2、4、8、12、24、36及び48時間に収集した。血液試料は即座に遠心分離し、結晶を収集した。実験終了時に、動物はIVペントバルビトン麻酔薬(Nembutal(登録商標))を致死過剰量により屠殺した。尿は各動物より投与後0〜12時間、12〜24時間及び24〜48時間の間隔で収集した。ケージの洗浄液(脱イオン水約15ml)も収集した。実験終了時に膀胱の内容物を各動物から吸引し、24〜48時間の排尿に追加した。糞は尿と同じ時間間隔で収集した。
【0120】
血漿(100μl)、尿及びケージ洗浄液(500μl)の小分量を直接、放射能測定用の6mlのポリプロピレンのシンチレーションバイアルに移した。各時間帯に収集された糞(各化合物を投与された一匹に由来)を計量し、4容量の脱イオン水中、メカニカルホモゲナイザーを用いてホモゲナイズした。このスラリー約1g(正確に計量)を20mlのガラスのシンチレーションバイアルに写し、組織可溶化剤2mlを添加し、バイアルにキャップをして少なくとも24時間60℃でインキュベートした。放射能は試料をPacard Ultima Gold液体シンチレーション計数カクテル(血漿および投薬については2.0ml、尿及びケージ洗液については5.0ml、糞については10ml)と試料を混合した後に測定した。計数はPackard Tr-Carb液体シンチレーションカウンター上で行った。バックグラウンドの3倍未満の如何なる結果も計算に使用しない定量下限未満と見なした。血漿、尿及びケージ洗液は収集5日以内に3連で計数し、放射化学的崩壊について補正しなかった。糞は試験終了時にバッチとして処理し、これ等の試料からの計数は放射化学的崩壊について補正した。血漿の薬物動態パラメーターはPK Solutions 2.0ソフトウエア(Summit Research Services,Ohio)を用いて計算し、表3に示した。
【0121】
【表3】

表1に示す結果は本発明に包含される化合物の広範な範囲がヘパラナーゼ阻害活性を有し、そしてGAG結合成長因子に対して強力な親和性を有し、そしてこれによりPI-88に対しても同様の方法でこのような因子の活性のモジュレーターとして作用できることを示している。更に又、化合物はPI-88と同様の抗ウィルス活性を有する。表3に示す結果は化合物がPI-88に比較して改変された薬物動態活性を有することを示している。
【0122】
上記した実施形態は本発明の原理を説明するのみであり、そして種々の改良及び変更は当業者のよく知る通りである。本発明は種々の方法において、そして他の実施形態において実施され、実行することができる。本明細書記載した用語は説明を目的としており、限定的ではない。
【0123】
「含む」という用語及び「含んでいる」等のその変形は本明細書においては記載した整数を含む意味を有するが、その内容又は用例において用語の排他的解釈が必要でない限り他の整数を排除しない。
【0124】
本明細書において引用した出版物に言及したことは、その開示がオーストラリアにおける共通の一般的知識を構成するものとして受け入れたことではない。
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【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】HSV-1の感染性(A)及びHSV-1の細胞から細胞への拡延(B)に対するPI-88様化合物の作用を示す。パネルAにおいては、結果は、擬似物投与対照群と相対比較した場合の化合物投与ビリオンを感染させた細胞において形成されたウィルスプラーク形成単位(PFU)の数のパーセントとして表示する。パネルBにおいては、結果は、擬似物投与対照群細胞と相対比較した場合の化合物の持続的存在下に形成された20ウィルスプラークの平均面積のパーセントとして表示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式:
【化1】

[式中、
X、Y及びZは各々、単結合又は多重結合を介して結合したUR1を担持する単糖類Zの炭素1を除いて、X、Y及びZの各非連結炭素に単結合又は多重結合を介して結合した基URを有する単糖類単位であり;
nは0〜6の値を有する整数であり;
各Uは独立してC、N、S又はO又はこれ等の、CO、COO、NO、NO2、S(O)、S(O)Oを包含する、より高度に酸化された状態であり;
各Rは独立してSO3M又はHであり、ここでMは製薬上許容しうるカチオンであるか、又は、何れかのアルキル、アリール、アシル、アロイル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、PEG、PEG誘導体、H又は下記式:
【化2】

{式中各AB基において独立して、AはO又はNHであり、そしてBはH又はMであり、ここでMは上記の通り定義されるか、又はアルキル、アリール又は何れかの他の適当な基である}の基であり;
R1はSO3M、H、アルキル、アリール、アシル、アロイル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、PEG、PEG誘導体であるか、又は、R1はUと一緒になってN3又は置換トリアゾール又は誘導体、又は置換テトラゾール又は誘導体、又は置換アリール又は誘導体、又は置換ヘテロアリール又は誘導体となるが;
ただし:
UR1又はURの少なくとも1つはOSO3M、NSO3M、OH又はOPO3M2ではなく、そして、
R基の少なくとも50%はSO3Mである]の化合物。
【請求項2】
下記式:
【化3】

[式中、
nは0〜6の値を有する整数であり;
UはC、N、S又はO又はこれ等の、CO、COO、NO、NO2、S(O)、S(O)Oを包含する、より高度に酸化された状態であり;
各Rは独立してSO3M又はHであり、ここでMは製薬上許容しうるカチオンであるか、又は、何れかのアルキル、アリール、アシル、アロイル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、PEG、PEG誘導体、H又は下記式:
【化4】

{式中各AB基において独立して、AはO又はNHであり、そしてBはH又はMであり、ここでMは上記の通り定義されるか、又はアルキル、アリール又は何れかの他の適当な基である}の基であり;
R1はSO3M、H、アルキル、アリール、アシル、アロイル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、PEG、PEG誘導体であるか、又は、R1はUと一緒になってN3又は置換トリアゾール又は誘導体、又は置換テトラゾール又は誘導体、又は置換アリール又は誘導体、又は置換ヘテロアリール又は誘導体となるが;
ただし:
UがO又はNである場合は、R1又はRの少なくとも1つはSO3M、H又はPO3M2ではなく、そして、
R基の少なくとも50%はSO3Mである]の化合物。
【請求項3】
Mがナトリウムである請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
nが3である請求項1又は2記載の化合物。
【請求項5】
R1がn−オクチルである請求項1又は2記載の化合物。
【請求項6】
R基の70〜100%がSO3Mを含む請求項1又は2記載の化合物。
【請求項7】
該化合物が前記PG500、PG501、PG502、PG503、PG504、PG506、PG507、PG508、PG509、PG510、PG511、PG512、PG513、PG514である請求項1記載の化合物。
【請求項8】
血管形成、転移、炎症、凝固/血栓、高血中トリグリセリド濃度、微生物感染及び/又は心臓血管疾患から生じる障害の哺乳類対象における予防又は治療のための医薬品又は獣医科用の組成物であって、組成物が、請求項1又は2記載の化合物少なくとも1つを、該化合物少なくとも1つのための製薬上又は獣医科上許容しうる担体又は希釈剤と共に含む、上記組成物。
【請求項9】
更に製薬上又は獣医科上許容しうる賦形剤、緩衝剤、安定化剤、等張性付与剤、保存料又は抗酸化剤を含む請求項9記載の組成物。
【請求項10】
該化合物がエステル、遊離の酸又は塩基、水和物又はプロドラッグとして内部に存在する請求項9記載の組成物。
【請求項11】
血管形成、転移、炎症、凝固/血栓、高血中トリグリセリド濃度、微生物感染及び/又は心臓血管疾患から生じる障害の哺乳類対象における予防又は治療のための医薬の製造のための請求項1又は2記載の化合物の使用。
【請求項12】
該哺乳類対象がヒト対象である請求項12記載の使用。
【請求項13】
血管形成、転移、炎症、凝固/血栓、高血中トリグリセリド濃度、微生物感染及び/又は心臓血管疾患から生じる障害の哺乳類対象における予防又は治療のための方法であって、方法が請求項1又は2記載の化合物少なくとも1つ又は該化合物少なくとも1つを含む組成物の有効量を該対象に投与することを含む上記方法。
【請求項14】
該哺乳類対象がヒト対象である請求項14記載の方法。
【請求項15】
血管形成から生じる該障害が増殖性網膜症又は固形腫瘍の生育から生じる血管形成である請求項14記載の方法。
【請求項16】
炎症から生じる該障害が慢性関節リューマチ、多発性硬化症、炎症性腸疾患、同種移植片拒絶又は慢性喘息である請求項14記載の方法。
【請求項17】
凝固及び/又は血栓症から生じる該疾患が深静脈血栓、肺塞栓、血栓性卒中、末梢動脈血栓症、不安定アンギナ又は心筋梗塞である請求項14記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−526257(P2007−526257A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501068(P2007−501068)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000314
【国際公開番号】WO2005/085264
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(506215180)プロジェン インダストリーズ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】