説明

硫酸化糖脂質、その製造法及び結核に対するその使用

本発明は、以下の一般式:


の化合物、その製造法、及び結核の治療又は予防におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な硫酸化糖脂質抗原、その製造法、及び結核の治療又は予防におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
毎年、結核は、300万人の死亡の推定原因である。この疾患の原因物質は、世界中で3人の内の1人が感染される細菌、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)である。それは、感染者のくしゃみや咳によって空気伝染される。該細菌は、その疾患を発症しないだろう感染者によって不活性状態で保有され得る。しかしながら、加齢又は免疫系の低下のようなある条件下で、該細菌は、活性になり、そして結核を発症させる。マイコバクテリアエンベロープは、マイコバクテリウム属の細菌の毒性の重要な部分を説明するようである。実際に、最大40%のマイコバクテリウム乾燥重量は、脂質によって構成されている。これらの脂質の中で、それらのいくつかは、例えば硫酸化糖脂質のようなマイコバクテリウム・ツベルクローシスに限定されるようである(Vergne I. 及びDaffe M. Frontiers in Bioscience (1998) 3: 865-876)。この糖脂質のファミリーは、トレハロース単位の2'位置でのサルフェート基によって代表される(すなわち、α-D-グルコピラノシル-(1-1')−α'-D-グルコピラノシド)(A)。
【0003】
【化1】

【0004】
ファミリーのメンバーは、番号、トレハロース単位上の置換された脂肪酸の位置及び種類が、他のメンバーと異なる。脂肪酸置換基は、特に、パルミチン酸、ステアリン酸、フチセラノン酸及びヒドロキシフチセラノン酸を含む。後者の2つの脂肪酸は、硫酸化脂質に特徴的である。ほとんどの硫酸化糖脂質は、SL-Iである(Goren他. Biochemistry (1976) 15: 2728-2735) (B))。
【0005】
SL-Iは、マクロファージ抗菌活性を阻害し、及びLPS、IFN-Y又はTNF-αのような数種類の炎症剤のマクロファージに対する効果を遮断することができる(Vergne I. 及びDaffe M. Frontiers in Bioscience (1998) 3: 865-876)。
【0006】
現在、結核と戦う2つの方法:抗生物質療法及びワクチン接種がある。結核の予防のために使用されるワクチンは、マイコバクテリウム・ボビス(Mycobacterium bovis)種の生の弱毒化された細菌からなる。20世紀の初期に、最初に発見した2人の化学者にちなんで、BCG、すなわちカルメット・ゲラン桿菌と呼ばれる。免疫抑制患者におけるその使用を不可能にする生のワクチンとしてのその欠点に加えて、結核に対するその保護は、論議がある。従って、成人におけるBCG保護効率は、変動する試験によって0%〜80%の範囲にあり、加えて、成人での主な流行疾患である肺結核に対して保護できない。
【0007】
更に、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(M. tuberculosis)の抗生物質耐性株は、35を超える国で発見されている。従って、結核を治療及び/又は予防するより効果的な方法を提供することが本発明の課題である。
【0008】
更に、マイコバクテリウム・ツベルクローシスから抽出された免疫原性糖脂質は、WO2004/092192に開示されている。しかし、これらの天然生成物は、限られた量で取得できる;更に、それらは、病原菌株から得られ、それらの調製は、危険であり、特定の安全設備を必要とする。
【0009】
従って、工業的なスケールかつ実施可能な条件で取得可能な、より新規な合成的免疫原性糖脂質を提供することが非常に望ましい。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、特に、インビトロでCD 1-制限Tリンパ球を刺激することが明らかになっている新規な合成的硫酸化糖脂質抗原を提供する。
【0011】
本発明は、以下の一般式(I):
【0012】
【化2】

【0013】
[式中、
R2'、R3'は、同一又は異なって、独立にH、SO3H又はSO3-/M+から選ばれる、但し、R2'、R3'の少なくとも1つはSO3H又はSO3-/M+であり;
M+は、Na+、K+のような金属カチオンであり;
R2、R3は、同一又は異なって、独立にa)脂肪アシル基、b)
【0014】
【化3】

【0015】
(ここで、Xは、場合により1以上の置換基で置換される不飽和の直鎖又は分岐炭化水素であり;R2、R3の少なくとも1つはb)である。]
で表される化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物、及びその薬学的に許容される塩又はエステルに関する。
【0016】
好ましくは、Xは、式(b-1):
【0017】
【化4】

【0018】
(ここで、Yは、飽和の直鎖の、好ましくは飽和の、直線又は分岐の、場合により1以上の置換基で置換された炭化水素鎖である。)
の基である。
【0019】
好ましくは、Yは、場合により1〜10個、より好ましくは1〜4個のアルキル基、好ましくはメチル基によって置換された、飽和の直鎖アルキル鎖である。
【0020】
より好ましくは、メチル基は、Y鎖のC-1、C-3、C-7又はC-9の位置に位置する。
【0021】
より好ましくは、置換された炭素原子は、(S)配置を示す。
【0022】
Ri、Rjは、同一又は異なって、H、アルキルから独立に選ばれ、好ましくはRiはメチルであり、RjはHである。
【0023】
Ri及びRjは、配置が(E)又は(S)であり得るものでもよい。
【0024】
好ましい局面によれば、b)鎖は、式(b-2):
【0025】
【化5】

【0026】
[式中、
Rは、1、2又は3から選ばれる整数、好ましくは1であり;
lは、0〜10から選ばれる整数、好ましくは1、2又は3であり;
qは、0〜50から選ばれる整数、好ましくは5〜50、より好ましくは10〜20であり;
但し、l + q ≧ 1;
各Tiは、同一又は異なって、独立にアルキル基から選ばれ、好ましくは各Tiはメチルである。]
の鎖である。
【0027】
Tiが結合している炭素原子は、不斉である。好ましくは、該炭素原子は(S)配置を示す。
【0028】
Tiはアルキル基であり、好ましくはメチルである。
【0029】
別の好ましい局面によれば、R2はa)脂肪酸基であり、R3はb)上で定義された-C=O-Xである。
【0030】
脂肪酸アシル基は、2'-又は3'-硫酸化トレハロース単位の位置2又は3におけるヒドロキシル基をエステル化する脂肪酸基から得られる。
【0031】
脂肪酸基は、直鎖もしくは分岐鎖の飽和又は不飽和の、ヒドロキシル又はケトンのような基によって非置換又は置換され得る、脂肪酸である。
【0032】
好ましくは、それらは、5〜50、好ましくは15〜50炭素原子を含み、より好ましくは以下:
【0033】
【化6】

【0034】
からなる群より選ばれ得る。
【0035】
脂肪酸基は、特に、式:-C=O-(CH2)k-CH3(ここで、kは14〜50の整数である)に従う基のような、直鎖かつ飽和のアシル基を含む。
【0036】
更により好ましい脂肪酸アシル基は、パルミチン酸アシル及びステアリン酸アシルを含む群より選ばれる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、発明比較化合物の化合物による刺激(横軸)に反応する、細胞クローンZ4B27によって産生されたIFN-γの量(pg/mL、縦軸)を示す図である。
【図2】図2は、発明比較化合物の化合物による刺激(横軸)に反応する、細胞クローンZ4B27によって産生されたIFN-γの量(pg/mL、縦軸)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、より具体的には、式I、ここで、R2は、脂肪酸アシル基、好ましくはパルミチン酸アシル基又はステアリン酸アシル基を示し;及びR3は、(b-2)鎖、すなわち下記式(II):
【0039】
【化7】

【0040】
(ここで、R2’、R3’、r、p、l、q、T2、Tiは上で定義されたとおりである。)
の化合物、又はその対応する塩、及びそのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物、及びその薬学的に許容される塩又はエステルに関する。
【0041】
本発明は、特に式II、ここで、
l = 1、q = 14及びr= 1;
l = 2、q = 14及びr= 1;
l = 3、q = 14及びr= 1;
l = 4、q = 14及びr= 1;
l = 1、q = 14及びr = 2;
l = 2、q = 14及びr = 2;
l = 3、q = 14及びr = 2;
l = 4、q = 14及びr = 2;
l= 1、q = 12及びr= 1;
l = 2、q = 12及びr=1;
l = 3、q = 12及びr= 1;
l = 4、q = 12及びr= 1;
l = 1、q= 12及びr = 2;
l = 2、q = 12及びr = 2;
l = 3、q= 12及びr = 2;
l = 4、q = 12及びr = 2;
l= 1、q = 16及びr= 1;
l = 2, q = 16及びr= 1 ;
l = 3, q = 16及びr= 1 ;
l = 4、q = 16及びr= 1;
l= 1、q = 16及びr = 2;
l = 2、q = 16及びr= 2;
l = 3、q = 16及びr = 2;又は
l = 4、q = 16及びr = 2;
pは6〜22であり;並びにT2及びTiはメチルである、化合物に関する。
【0042】
本発明は、より具体的には、以下の式:
【0043】
【化8】

【0044】
【化9】

【0045】
【化10】

【0046】
の化合物及びそれらの対応する塩、及びエナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物、並びに薬学的に許容される塩又はエステルに関する。
【0047】
本明細書で使用する「薬学的に許容される塩」とは、特許化合物がその酸又は塩基性塩をつくることによって修飾される、開示された化合物の誘導体を言う。薬学的に許容される塩は、例えば非-毒性の無機又は有機酸から形成された特許化合物の慣用的な非-毒性塩又は四級アンモニウム塩を含む。例えば、かかる慣用的な非-毒性塩は、無機酸、例えば塩酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等、から得られた塩;及び、有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸等、から得られた塩を含む。
【0048】
本発明の薬学的に許容される塩は、慣用的な化学的方法によって塩基性又は酸性部分を含む親化合物から合成され得る。一般的に、かかる塩は、水もしくは有機溶媒又はこれらの混合物中で、これらの化合物の遊離酸又は塩基性形態を、好適な酸又は塩基の化学量論量と、反応させることによって調製され得る。一般的に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール又はアセトニトリルのような非-水性媒体が好ましい。好適な塩のリストは、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第17版, Mack Publishing Company, Easton, PA, 1985, p. 1418(その開示は本明細書に参照によって援用されている)に見られる。
【0049】
別の実施態様によれば、本発明は、上で定義されたような式Iの少なくとも2つの異なった化合物を含む組成物に関する。
【0050】
本発明はまた、上で定義された少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物、又は薬学的に許容されるビヒクルと組み合わせた上で定義された組成物に関する。薬学的に許容される担体は、特定のリポソームを含む。
【0051】
上記組成物は、ワクチンアジュバントを含んでもよい。ヒト個体又は動物における使用のためのワクチンアジュバントは、当業者に周知であり、かかる塩のリストは、例えば「ワクチンアジュバント及び賦形剤の概要」 第2版, Vogel他に見出される。特定のワクチンアジュバントは、特に、例えばアルミニウム塩又はM59を含む。
【0052】
本発明は、具体的には、経口又は注射用経路によって投与することを意図した形態で提供されることを特徴とする、上で定義された医薬組成物に関する。
【0053】
本発明は、より具体的には、BCG又はマイコバクテリア・タンパク質のような結核の治療又は予防のために有用な1以上の他の生成物を含むことを特徴とする、上で定義された医薬組成物に関する。BCGは、カルメット・ゲラン桿菌を表し、ワクチン接種に現在使用されているBCGの様々な株は、特に、Behr M.A.他, Science (1999) 284: 1520-1523に記載されている。
【0054】
表現「マイコバクテリア・タンパク質」は、マイコバクテリウム属の細菌のゲノム、特に、マイコバクテリウム・ツベルクローシスのゲノム、によってコードされるタンパク質又はそのフラグメントを言い、かかるタンパク質は有利に組み換えることができる。好ましい実施態様によれば、前記マイコバクテリア・タンパク質は、マイコバクテリウム・ツベルクローシスの抗原である。
【0055】
結核の治療又は予防のために有用な他の生成物は、特に免疫調節物質、例えばサイトカイン、M.ツベルクローシス抗原をコードするDNAフラグメント、生のM.ツベルクローシス欠損変異体、例えば毒性遺伝子が削除されている変異体、又は生の組換えBCG、例えばM.ツベルクローシスの抗原を発現するBCGを含む。本明細書で使用される結核は、細菌マイコバクテリウム・ツベルクローシスによってヒトで起こる疾患を言うが、動物における対応する疾患を言わない。
【0056】
別の実施態様によれば、本発明は、結核の治療又は予防における同時の、別個の又は連続した使用のための組合せ調製物としての、
−上で定義された少なくとも1つの化合物、及び
−結核の治療又は予防のために有用な少なくとも1つの他の生成物、例えばBCG又はマイコバクテリア・タンパク質
を含む生成物に関する。
【0057】
本発明はまた、結核の治療又は予防を意図した医薬、特にワクチンの調製のための、上で定義された少なくとも1つの化合物の使用又は上記組成物の使用に関する。場合により、ワクチンは、上記のようなワクチンアジュバントを含んでもよい。
【0058】
本発明は、免疫反応活性化因子、より具体的には炎症性反応活性化因子としての、上で定義された少なくとも1つの化合物の使用又は上で定義された組成物の使用に関する。
【0059】
「免疫反応活性化因子」とは、インビトロ又はインビボで、特に免疫系の細胞、例えばTリンパ球、Bリンパ球、抗原提示細胞(APC)、例えば樹状細胞又はマクロファージ、単球又は顆粒球において、免疫反応の成分又はプロセスを活性化する能力を有する化合物を意味する。
【0060】
「炎症性反応活性化因子」とは、インビトロ又はインビボで、炎症反応、例えば漏出、キャピラリー透過、マクロファージ活性化又は熱発生、の成分又はプロセスを活性化する能力を有する化合物を意味する。
【0061】
本発明はまた、Tリンパ球、特にCD1-制限Tリンパ球の活性化を誘導するための、上で定義された少なくとも1つの化合物の使用又は上で定義された組成物の使用に関する。活性化はインビトロ又はインビボで進行し得る。
【0062】
Tリンパ球の活性化は、数種類の方法、例えば、細胞増殖、あるいはサイトカイン産生、例えばIFN-γ(インテーフェロン-Y)、IL-2(インターロイキン-2)、IL-4(インターロイキン-4)、又はTNF-α(腫瘍壊死因子α)、の測定によって評価され得る。
【0063】
CD1-制限Tリンパ球は、CD1分子によって提示される抗原によって活性化されるTリンパ球である。本発明はまた、上で定義された少なくとも1つの化合物の、又はIFN-γ、TNF-α、IL-4もしくはグラニュリシンの産生を誘導するために上で定義された組成物の、使用に関する。
【0064】
この産生誘導は、インビトロ又はインビボでなされ得る。例えばIFN-γ、TNF-α、IL-4もしくはグラニュリシンの産生は、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)又はEIA(酵素免疫アッセイ)のような免疫アッセイによって測定され得る。
【0065】
本発明はまた、マイコバクテリウム・ツベルクローシスによる感染症の診断のための組成物の調製のための、上で定義された少なくとも1つの化合物の使用、又は上記の組成物の使用に関する。
【0066】
現在の試験(ツベルクリン又はいわゆる「PPD」試験)が、BCGを受けたPPD+個体と、潜伏している結核に実際に感染されたPPD+患者とを識別することができないので、結核診断は困難であることが明らかであるかもしれない。
【0067】
従って、マイコバクテリウム・ツベルクローシスによる感染に特異的な試験を提供することが非常に望ましい。
【0068】
このことは、本発明の化合物を用いることにより可能になった。本発明の化合物は、マイコバクテリウム・ツベルクローシス種に非常に特異的である。それらは、PPD+個体と、BCGで接種された個体とを識別し、及び結核に実際に感染した個体とを識別するために使用され得る。
【0069】
よって、更なる局面によれば、本発明は、以下のステップ:
−PPD+個体からの生物学的試料を提供し;
−該試料を式(X):
【0070】
【化11】

【0071】
[式中、
R2'、R3'は、同一又は異なって、独立にH、SO3H又はSO3-/M+から選ばれる、但し、R2'、R3'の少なくとも1つはSO3H又はSO3-/M+であり;
M+は、Na+、K+のような金属カチオンであり;
R2、R3は、同一又は異なって、独立にa)脂肪アシル基、b)
【0072】
【化12】

【0073】
(ここで、Xは、場合により1以上の置換基で置換される不飽和の直鎖又は分岐炭化水素であり;R2、R3の少なくとも1つはb)である。]
で表される化合物及びそのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物、及びその薬学的に許容される塩又はエステルに接触させ;
−Tリンパ球活性化を評価し;並びに
−該化合物の投与の前後のTリンパ球活性化を比較すること、
を含む、マイコバクテリウム・ツベルクローシスによる感染症を診断するための方法を提供する。
【0074】
Tリンパ球が活性化されている、すなわち、例えばIFN-γ放出が本発明の投与後に増加した、個体は、マイコバクテリウム・ツベルクローシスに感染している。
【0075】
本発明はまた、以下:
−式(X)の化合物;
−樹状細胞;
−Tリンパ球活性化、例えばIFN-γの放出、を検出するための手段、
を含む、結核を診断するためのキットを提供する。
【0076】
一般的に、T細胞の硫酸化糖脂質活性化は、任意のヒトIFN-γ ELISA検出キット(例えば、BD Pharmingenから購入)を用いて、樹状細胞及び硫酸化糖脂質での刺激48時間後の上清に放出されたIFN-γを測定することによって検出される。
【0077】
本発明はまた、組換えマイコバクテリウム・ツベルクローシスで調製されたワクチンの効力を評価するために本発明の化合物の使用に関する。ワクチンは、例えばタンパク質を過剰発現することがあるマイコバクテリウム・ツベルクローシス又はバクテリウム・ボビスBCGから得られた組換え生細菌を用いて開発された。かかるワクチンが有効であり、それが投与された患者を保護するか否かを評価することは非常に望ましい。評価は、本発明の診断法を実行することによって可能になる。
【0078】
本発明はまた、式(X)の化合物に対する特定のリガンドに関する。
【0079】
本明細書に記載の「特定のリガンド」は、本発明に従う化合物に特異的に結合するように調製又は誘導され得る任意の化合物に関する。
【0080】
特定のリガンドは、特に、抗体及びアプタマーを包含する。用語「抗体」は、完全抗体、特にモノクローナル抗体に関するが、本発明の化合物、例えばFab、Fab'、F(ab')、Fv又はscFvフラグメントに特異的に結合する能力を保持する抗体フラグメントにも関する。
【0081】
抗体調製物は、当業者に周知である。通常、本発明に従う化合物の調製は、動物例えばマウス、ラット、ウサギ又はヤギに、様々な経路例えば筋肉内、血管内又は腹腔内経路によって投与される。追加の投与は、抗体の産生を増加させるために、最初の投与後に実行され得る。次いで、抗体は、動物から採取された血液から、又は血清もしくは血漿のような血液誘導体から得られ、及び場合により例えばアフィニティ・クロマトグラフィーを用いて精製される。モノクローナル抗体は、特に、Koller & Milstein (1975) Nature 256: 495-499によって記載されるように調製され得る。
【0082】
「アプタマー」は、ペプチド型でも、又は核酸(例えば、デオキシリボ核酸又はリボ核酸)型でもよい。核酸アプタマーは、特に、周知のSELEX法を用いて、又はEllington & Szostak (1990) Nature 346: 818-22によって記載されているようにして、調製され得る。ペプチドアプタマーは、Cohen他 (1998) Proc. Natl. Acad Sci. USA 95: 14272-7によって記載されているようにして得られる。
【0083】
一般式(X)は、参考として本明細書に援用されているWO 2004/092192に開示されている式(I)、並びに本発明の式(I)及び(II)の化合物を含む。好ましくは、式(X)の化合物は、式(I)及び(II)の化合物、及び上記のその好ましい実施態様である。
【0084】
更なる目的によれば、本発明はまた、上記の式(I)の化合物の調製法に関する。
【0085】
本発明の化合物及び方法は、当業者に周知の多数の方法で調製され得る。該化合物は、例えば以下に記載の方法又は当業者によって理解されるその変更を適用又は採用することによって、合成され得る。好適な修飾及び置換は、当業者には、明らか及び周知であり、あるいは科学文献から容易に入手できる。
【0086】
特に、かかる方法は、R.C. Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH publishers, 1989で見られる。
【0087】
試薬及び出発物質は、商業的に入手可能であり、又は当業者によって周知の技術で容易に合成される。
【0088】
以下に記載される反応において、最終生成物において必要な場合には、反応におけるその不要な沈殿物を避けるために、場合によっては、反応性官能基、例えばヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオ又はカルボキシ基を保護することが必要である。慣用的保護基は、標準的な慣習に従って使用され得る。例えば、T.W. Green and P. G. M. Wuts in Protective Groups in Organic Chemistry, John Wiley and Sons, 1991; J. F. W. McOmie in Protective Groups in Organic Chemistry, Plenum Press, 1973参照。関連する反応又は試薬に対する逆効果がないことを条件に、通常、反応は、好適な溶媒において実行される。様々な溶媒が使用され得る。好適な溶媒の例は、以下:芳香族、脂肪族又は脂環式の炭化水素でよい炭化水素、例えばヘキサン、シクロへキサン、ベンゼン、トルエン及びキシレン;アミド、特に脂肪酸アミド、例えばジメチルホルミアミド;並びに、エーテル、例えばジエチルエーテル及びテトラヒドロフラン、を含む。
【0089】
反応は、幅広い温度に渡って行われる。一般的に、我々は、約0℃〜約150℃の温度(より好ましくはおよそ室温〜約100℃)で、反応を実行することが便利であることを見出した。反応に必要とされる時間は、多くの要素、特に反応時間及び試薬の性質によって幅広く変動し得る。しかしながら、反応は上で概略した好ましい条件下で実行されることを条件に、通常、約3時間〜約20時間の期間で充分である。
【0090】
このようにして調製された化合物は、慣用的手段によって反応混合物から回収され得る。例えば、化合物は、反応混合物から溶媒を留去することによって、あるいは必要ならば反応混合物から溶媒を留去した後、残渣を水に注ぎ、水-不溶性有機溶媒での抽出、及び該抽出物から溶媒を留去することによって、回収され得る。更に、生成物は、必要ならば、様々な周知の方法、例えば、再結晶、再沈殿又は様々なクロマトグラフィー技術、特にカラムクロマトグラフィー又はプレパラティブ・薄層クロマトグラフィー、によって更に精製され得る。
【0091】
更なる目的によれば、本発明は、以下のステップ:
−スルホン化し;並びに
−式(IV)及び(IV'):
【0092】
【化13】

【0093】
[式中、R2及びR3式(I)で定義され、X及びYは独立にハロゲン原子又はOH基を表す。]
の対応する化合物で、式(III):
【0094】
【化14】

【0095】
[式中、P4、P5、P4'、P5'の各々は、同一又は異なって、H又はOH-保護基を表し、あるいはP4及びP5及び/又はP4'及びP5'は一緒になって環状OH-基を形成する。]
の化合物をアシル化すること;ここで、スルホン化及びアシル化反応は、任意の順で連続的に又は代替的に行われる、
を含む、上で定義された式(I)の化合物の調製方法を提供する。
【0096】
1又は2のスルホン化及びアシル化反応が必要とされることがある。スルホン化及びアシル化ステップは、任意の順で、連続的に又は代替的に行われ得る。
【0097】
1又は2の保護及び/又は脱保護ステップは、好適には、アシル化及び/又はスルホン化ステップの前及び/又は後に必要とされることがある。
【0098】
かかる保護基は、アセタール又はケタール、例えば:
【0099】
【化15】

【0100】
又は二座保護基、例えば:
【0101】
【化16】

【0102】
を含む。
【0103】
本発明の方法は、前記保護基を加水分解する更なるステップを含む。この反応は、通常、酸条件で実行される。
【0104】
前記スルホン化反応は、一般的に、任意の好適なスルホン化剤、例えばピリジン-三酸化イオウ複合体又はトリメチルアミン-三酸化イオウ複合体を用いて実行される。
【0105】
2つの必要なアシル化は、1又は2のステップで実行され得る。アシル化ステップ(複数)は、通常、カップリング剤、例えばDMAP及び/又はDCCを用いて行われる。
【0106】
本発明の方法は、所望の化合物を単離する最終ステップを含んでもよい。
【0107】
本発明の代表的な方法は、以下のスキーム:
【0108】
【化17】

【0109】
で示される。
【0110】
2'、3'二-スルホン化化合物 (7”) は、過剰のスルホン化試薬を用いることによって得られる。3'-スルホン化化合物 (7') は、スルホン化反応の副生成物として得られ;通常、スルホン化反応の選択性は、約5/1である。化合物77'、及び7”は、クロマトグラフィーで分離される。
【0111】
式(IV)の化合物は、一般的に商業的に入手される。
【0112】
好ましくは、R3が上で定義されたb)鎖を示す時、式(IV')の化合物は、以下の説明のスキームの適用又は採用によって調製され得る。
【0113】
【化18】

【0114】
(ここで、Rは、
【0115】
【化19】

【0116】
がXに対応するように、対応する場合により置換された不飽和の直線又は分岐の炭化水素鎖を示す。)
【0117】
より正確には、商業的に入手可能なAから出発して、ステップは、必要な(S)立体化学を有する追加のメチル基を含むGまで行われる。Gは、次いで、所望のB’を導く還元されたA’に還元され、次いでCは式(IV')の所望の化合物に導くためにケン化される。
【0118】
特に、下記式(IV'-a):
【0119】
【化20】

【0120】
を有する式R3Y(IV')の化合物は、式(VI):
【0121】
【化21】

【0122】
の化合物を用いるウィッティヒ反応、次いでケン化によって、対応する式(V'):
【0123】
【化22】

【0124】
の化合物から得られる、
【0125】
式(IV')の化合物の上記調製方法は、所望の立体化学を有する化合物に導く点で特に有利である。
【0126】
上記方法は、実施例に記載の実験条件及び/又は出発物質を適用又は採用することによって実行される。
【実施例】
【0127】
実施例 1: 本発明の化合物
A. 硫酸化脂質の合成
【0128】
【化23】

【0129】
1. α,α-トレハロースのベンジリデン化
α,α-トレハロース二水和物 (1 eq.) は、還流下に30分間、無水エタノール (0.4 M) 中で沸騰することによって脱水した。次いで、乾燥した残渣を乾燥N,N,-ジメチルホルムアミド (DMF, 0.4 M) で懸濁し、α,α-ジメトキシトルエン (DMT, 2 eq.) を10-カンファースルホン酸 (CSA, 0.05 eq.) と共に加えた。メタノールを除くために、混合物を軽度の真空で回転式エバポレータで1時間加熱した(60℃)。次いで、更にDMT (0.25 eq.) 及びCSA (0.01 eq.) を加え、混合物を回転式エバポレータに再度かけた。反応の最後に、DMFを留去した。炭酸水素ナトリウム溶液(5 %)中で混合物を終夜攪拌し、結晶性ジアセタール2を得た。この生成物を沸騰エタノール中で溶解し、熱水を加え、そしてゆっくりと冷却することによって再結晶した。最後に、白色結晶2をろ過し、水及び石油エーテルで洗浄し、乾燥した(84 %)。
【0130】
2. 位置2のアシル化
ジアセタール2(1 eq.)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP, 1 eq.)及び塩化アシル(1.3 eq.)の乾燥ピリジン(0.6 M)の懸濁液を還流下で25時間沸騰した。モノ-アシル化生成物3を45 %収率で得た。
【0131】
3. 位置2’及び3’のシリル化
3 (1 eq.) のピリジン(0.1 M)の氷冷溶液に、1,3-ジクロロ-1,1,3,3-テトライソプロピルジシロキサン(1.2 eq.)を加えた。室温で2日間攪拌した後、混合物を氷水に注ぎ、生成物を酢酸エチルで抽出した。フラッシュクロマトグラフィーによって精製し、生成物4をシロップで58 %の収率で得た。
【0132】
4. 位置3のアシル化
化合物4 (1.5 eq.) を、酸R3OH (部分Bから得られた) (1 eq.)、DMAP (1 eq.) 及びDCC (1.5 eq.) の乾燥トルエン (0.1 Mの酸) で、マイクロ波の存在下で15分間処理した。最後に、溶媒を留去し、ジアシル化生成物5をフラッシュクロマトグラフィーで精製した。反応収率は、使用した酸の構造に高度に依拠した(25〜60 %)。
【0133】
5. 脱シリル化
化合物5 (1 eq.) を24時間、Bu4NF/THF (pHをほぼ6.40 eq.にするために1 M トリフルオロ酢酸で酸性にした) 溶液で40℃で加熱した。結晶生成物6を90 %収率で得た。
【0134】
6. 硫酸化(Sulfatation)
6 (1 eq.) のピリジン (0.06 M) 溶液に、ピリジン-三酸化イオウ複合体のDMF (0.5 M, 3 eq.) 溶液を加え、混合物を室温で攪拌した。2日後、混合物を留去し、残渣をシリカゲル上でクロマトグラフに付し7 (62 %)、その3’-硫酸化異性体7'及び2',3'-二硫酸化化合物7”を得た。
【0135】
7. アセタールの加水分解
ジベンジリデン誘導体77'及び7”を、クロロホルム/メタノール/1.7 % H2SO4(60/40/8)の溶液で、室温で2日間処理した。反応混合物をNaHCO3溶液で中性にした、この脱保護は、対応するジアシル化硫酸化糖脂質88'又は8”を定量的に与えた。
【0136】
B. 酸の合成
【0137】
【化24】

【0138】
1. アルコールの酸化
ピリジニウムクロロクロメート(2 eq.)及び酢酸ナトリウム(5 eq.)の乾燥ジクロロメタン(Aの0.4 M)の高速攪拌懸濁液に、室温で窒素下に、アルコールAを加えた。1.5時間攪拌後、ジエチルエーテルを加え、混合物をろ過した。粗生成物Bはこれ以上精製しなかった。
【0139】
2. ウィッティヒ反応
乾燥ジクロロメタン(0.6 M)中のB(1 eq.)の溶液に、1-カルボエトキシエチリデン・トリフェニルホスホラン (1.2 eq.) を加えた。次いで、混合物を、室温で終夜攪拌し、エステルCを得た。Aからの2ステップの収率は87 %であった。
【0140】
3. 水素化
複合化されたエステルC (1 eq.) を、触媒として10 %パラジウム炭素を用いて酢酸エチル (0.4 M) 中で水素化した。飽和エステルDをC-2位置での1/1エナンチオマー(ジアステレオ異性体)混合物として77 %で得た。
【0141】
4. ケン化
エステルD (1 eq.) を、水/エタノール2/3 (0.2 M) の水酸化カリウム (12 eq.)の溶液中で、110℃で終夜加熱した。この反応は、C-2の位置でのラセミ(1/1ジアステレオ異性体)混合物として、対応する酸Eを定量的に与えた。
【0142】
5. アミド化
E (1 eq.) をオキサリルクロリド (10 eq.) で、還流下で1時間加熱した。過剰の試薬を減圧下で除いた。乾燥ジクロロメタン (0.4 M) 及びDMAP (1.2 eq.)、次いで、(R)-2-フェニルグリシノール (1.1 eq.) を粗アシルクロリドに加え、反応混合物を室温で終夜攪拌した。フラッシュクロマトグラフィーはジアステレオ異性体の分離を可能にした。2Sジアステレオ異性体Fは、極性の低い化合物であり、36 %の収率で単離された。
【0143】
6. 酸加水分解
アミドF (1 eq.) は、1/1ジオキサン/水の混合物 (0.02 M) の硫酸(3 N)溶液中で、終夜還流して、2S-酸Gを定量的に遊離した。
【0144】
7. 還元
酸G (1 eq.) をBH3のTHF溶液(1 M, 1.7 eq)に溶解し、この混合物を室温で終夜攪拌した。エタノールを加え、次いで80 %酢酸水溶液を加え、混合物をNaHCO3で中性にした。アルコールを純粋な形態で定量的に得た。
【0145】
脂肪酸鎖への他のメチル分岐導入のために、反応の全体の順序を繰り返した。
【0146】
不飽和エステルCの上記のケン化によって不飽和酸を得た。
【0147】
以下の酸を得た:
【0148】
【化25】

【0149】
白色結晶
RMN 1H(250 MHz, CDCl3)
δ = 0.88 ppm (t, H-t, 3J = 6.5 Hz); δ = 1-1.7 ppm (m, H, 脂肪族); δ = 1.84 ppm (d, H-2', d, 4J2'-3 = 1.5 Hz); δ = 2.19 ppm (quad, H-4, 3J4-3 = 3J4-5 = 7 Hz); δ = 6.9 ppm (tq, H-3, 3J3-4 = 7 Hz 及び4J3-2' = 1.5 Hz)。
【0150】
【化26】

【0151】
白色結晶
RMN 1H(250 MHz, CDCl3)
δ = 0.87 ppm (t, H-t, 3J = 6.5 Hz); δ = 1.0 ppm (d, H-4', 3J4'-4 = 6.5 Hz); δ = 1.1-1.6 ppm (m, H, 脂肪族); δ = 1.84 ppm (d, H-2', d, 4J2'-3 = 1.5 Hz); δ = 2.5 ppm (m, H- 4); δ = 6.65 ppm (dquad, H-3, 3J3-4 = 10 Hz 及び4J3-2' = 1.5 Hz)。
【0152】
【化27】

【0153】
白色結晶
RMN 1H(250 MHz, CDCl3)
δ = 0.88 ppm (t, H-t, 3J = 6.5 Hz); δ = 1.01 ppm (d, H-4', 3J4'-4 = 6.5 Hz); δ = 1.1-1.5 ppm (m, H, 脂肪族); δ = 1.85 ppm (d, H-2', d, 4J2'-3 = 1.5 Hz); δ = 2.5 ppm (m, H-4); δ = 6.67 ppm (dquad, H-3, 3J3-4 = 10 Hz 及び4J3-2' = 1.5 Hz)。
【0154】
【化28】

【0155】
白色結晶
[α]D25 = + 13.8 (クロロホルム)
RMN 1H(250 MHz, CDCl3)
δ = 0.82 ppm (d, H-6', 3J6'-6 = 6.5 Hz); δ = 0.88 ppm (t, H-t, 3J = 7 Hz); δ = 0.99 ppm (d, H-4', 3J4'-4 = 6.5 Hz); δ = 1.05-1.4 ppm (m, H, 脂肪族); δ = 1.85 ppm (d, H-2', 4J2'-3 = 1.5 Hz); δ = 2.6 ppm (m, H-4); δ = 6.66 ppm (d, H-3, 3J3-4 = 10 Hz, 4J3-2' = 1.5 Hz);
RMN 13C(250 MHz, CDCl3)
δ = 12.1 ppm, C-6'; δ = 14.1 ppm, C-t; δ = 19-32 ppm, C脂肪族; δ = 37.6 ppm, C-2'; δ = 44.4 ppm, C-5; δ = 125 ppm, C-2; δ = 151.2 ppm, C-3。
【0156】
【化29】

【0157】
無色オイル
[α]D25 = + 15 (クロロホルム)
RMN 1H(300 MHz, CDCl3)
δ = 0.83 ppm (d, H-8', 3J8'-8 = 6.3 Hz); δ = 0.85 ppm (d, H-6', 3J6'-6 = 6.3 Hz); δ = 0.9 ppm (t, H-t, 3J = 6.6 Hz); δ = 1.01 ppm (d, H-4' 3J4'-4 = 6.6 Hz); δ = 1.1-1.5 ppm (m, H, 脂肪族); δ = 1.88 ppm (s, H-2'); δ = 2.67 ppm (m, H-4); δ = 6.69 ppm (d, H-3, 3J3-4 = 10.2 Hz)。
【0158】
【化30】

【0159】
無色オイル
[α]D25 = + 53.2 (クロロホルム)
RMN 1H(250 MHz, CDCl3)
δ = 0.86 ppm (d, H-6', 3J6'-6 = 5,5 Hz); δ = 0.88 ppm (t, H-8, 3J8-7 = 7 Hz); δ = 1.03 ppm (d, H-4', 3J4'-4 = 6,6 Hz); δ = 1.1-1.5 ppm (m, H-5, H-6, H-7); δ = 1.89 ppm (s, H-2'); δ = 2.67 ppm (m, H-4); δ = 6.7 ppm (d, H-3, 3J3-4 = 10 Hz);
RMN 13C(250 MHz, CDCl3)
δ = 11.2 ppm, C-8; δ = 12.1 ppm, C-2'; δ = 19.0 ppm, C-6'; δ = 20.4 ppm, C-4' δ = 30.0 ppm, C-7; δ = 31.1 ppm, C-4; δ = 32.3 ppm, C-6, δ = 44.1 ppm, C-5, δ = 125.5 ppm, C-2; δ = 151.1 ppm, C-3; δ = 174.1 ppm, C-1。
【0160】
本発明の以下の化合物を上記の手段を適用して調製した。
化合物a:
【0161】
【化31】

【0162】
RMN 1H (250 MHz, CDCl3/MeOD 4/1)
δ = 0.89 ppm (t, 3H-t, 3H-t', 3J = 7 Hz); δ = 1-1.6 ppm (m, H, 脂肪族); δ = 1.81 ppm (d, (CH3)α', 4J = 1 Hz); δ = 2.2 ppm (m, 2H-α, 2H-γ'); δ = 3.3-4.7 ppm (m, H-2', H-3', H-4, H-4', H-5, H-5', H-6ax, H-6'ax, H-6eq, H-6'eq); δ = 4.95 ppm (dd, H-2, 3J2-1 = 4 Hz and 3J2-3 = 10 Hz); δ = 5.29 ppm (d, H-1, 3J1-2 = 4 Hz); δ = 5.45 ppm (t, H-3, 3J3-4 = 3J3-2 = 10 Hz); δ = 5.52 ppm (d, H-1', 3J1'-2' = 4 Hz); δ = 6.8 ppm (tquad, H-β', 2Jβ'-γ' = 7.5 Hz, 4J = 1 Hz);
MALDI-Tof (負モード): M/Z = 965.75。
【0163】
化合物b:
【0164】
【化32】

【0165】
RMN 1H (250 MHz, CDCl3/MeOD 4/1)
δ = 0.9 ppm (t, 3H-t, 3H-t', 3J = 6.5 Hz); δ = 0.99 ppm (d, (CH3)γ', 3J = 6.5 Hz); δ =1.1-1.6 ppm (m, H, 脂肪族); δ = 1.82 ppm (d, (CH3)α', 4J = 1 Hz); δ = 2.22 ppm (t, 2H-α, 3J = 7 Hz); δ = 2.46 ppm (m, H-γ') ; δ = 3.4-4.4 ppm (m, H-2', H-3', H-4, H-4', H-5, H-5', H-6ax, H-6'ax, H-6eq, H-6'eq); δ = 4.87 ppm (dd, H-2, 3J2-1 = 4 Hz 及び3J2-3 = 10 Hz); δ = 5.29 ppm (d, H-1 , 3J1-2 = 4 Hz); δ = 5.44 ppm (t, H-3, 3J3-4 = 3J3-2 = 10 Hz); δ = 5.51 ppm (d, H-1', 3J1'-2' = 4 Hz); δ = 6.57 ppm (dquad, H-β', 3Jβ'-γ'= 10 Hz, 4J = 1 Hz);
MALDI-Tof (負モード): M/Z = 1007.59。
【0166】
化合物c:
【0167】
【化33】

【0168】
RMN 1H (250 MHz, CDCl3/MeOD 4/1)
δ = 0.89 ppm (t, 3H-t, 3H-t', 3J = 6.5 Hz); δ = 0.99 ppm (d, (CH3)γ', 3J = 6.5 Hz); δ = 1-1.6 ppm (m, H, 脂肪族); δ = 1.82 ppm (d, (CH3)α', 4J = 1 Hz); δ = 2.21 ppm (t, 2H-α, 3J = 7.5 Hz); δ = 2.5 ppm (m, H-γ'); δ = 3.3-4.7 ppm (m, H-2', H-3', H-4, H-4', H-5, H-5', H-6ax, H-6'ax, H-6eq, H-6'eq); δ = 4.95 ppm (dd, H-2, 3J2-1 = 4 Hz 及び3J2-3 = 10 Hz); δ = 5.29 ppm (d, H-1, 3J1-2 = 4 Hz); δ = 5.45 ppm (t, H-3, 3J3-4 = 3J3-2 = 10 Hz); δ = 5.52 ppm (d, H-1', 3J1'-2' = 4 Hz); δ = 6.57 ppm (dquad, H-β', 3Jβ'-γ' = 10 Hz, 4J = 1 Hz);
MALDI-Tof (負モード): M/Z = 1007.49。
【0169】
化合物d:
【0170】
【化34】

【0171】
RMN 1H (500 MHz, CDCl3/MeOD 4/1)
δ = 0.86 ppm (d, (CH3)δ', 3J = 6.5 Hz); δ = 0.88 ppm (t, 3H-t, 3H-t', 3J = 7 Hz); δ = 0.97 ppm (d, (CH3)γ' , 3J = 6.5 Hz); δ = 1-1.6 ppm (m, H, 脂肪族); δ = 1.82 ppm (d, (CH3)α', 4J = 1.5 Hz); δ = 2.22 及び2.26 ppm (2quint, 2H-α, 3Jα-β = 8 Hz, 2J = 16 Hz); δ = 2.62 ppm (m, H-γ'); δ = 3.5-3.8 ppm (m, H-4, H-4', H-5', H-6, 2H-6'); δ = 3.94 ppm (t, H-3', 3J3'-2' = 3J3'-4' = 10 Hz); δ = 3.97ppm (dd, H-6, 2J = 12 Hz, 3J6-5 = 3 Hz); δ = 4.23 ppm (m, H-2', H-5); δ = 4.97 ppm (dd, H-2, 3J2-1 = 3.6 Hz 及び3J2-3 = 10 Hz); δ = 5.25 ppm (d, H-1 , 3J1-2 = 3.6 Hz); δ = 5.43 ppm (t, H-3, 3J3-4 = 3J3-2 = 10 Hz); δ = 5.46 ppm (d, H-1', 3J1'-2' = 3.6 Hz); δ = 6.54 ppm (dquad, H-β', 3Jβ'-γ' = 10 Hz, 4J = 1.5 Hz);
MALDI-Tof (負モード): M/Z = 1049.47。
【0172】
化合物e:
【0173】
【化35】

【0174】
RMN 1H (250 MHz, CDCl3/MeOD 4/1)
δ = 0.89 ppm (t, 3H-t, 3H-t', 3J = 6,5 Hz); δ = 0.82; 0.84及び0.97 ppm (3d, (CH3)γ', (CH3)δ', (CH3)ε'); δ = 1-1.6 ppm (m, H, 脂肪族); δ = 1.84 ppm (d, (CH3)α', 4J = 1 Hz); δ = 2.24 ppm (m, 2H-α); δ = 2.6 ppm (m, H-γ'); δ = 3-4.5 ppm (m, H-2', H-3', H-4, H-4', H-5, H-5', 2H-6, 2H-6'); δ = 4.96 ppm (dd, H-2, 3J2-I = 4 Hz 及び3J2-3 = 10 Hz); δ = 5.27 ppm (d, H-1 , 3J1-2 = 4 Hz); δ = 5.43 ppm (t, H-3, 3J3-4 = 3J3-2 = 10 Hz); δ = 5.48 ppm (d, H-1', 3J1'-2' = 4 Hz); δ = 6.54 ppm (dq, H-β', 3Jβ'-γ' = 10.2 Hz, 4J = 1 Hz);
MALDI-Tof (負モード): M/Z = 1063.66。
【0175】
化合物f:
【0176】
【化36】

【0177】
RMN 1H (250 MHz, CDCl3/MeOD 4/1)
δ = 0.77 ppm (t, 3H-t, 3H-t', 3J = 6,5 Hz); δ = 0.7; 0.72及び0.86 ppm (3d, (CH3)γ', (CH3)δ' ,(CH3)ε'); δ = 1-1.5 ppm (m, H, 脂肪族); δ = 1.73 ppm (d, (CH3)α', 4J = 1.5 Hz); δ = 2.13 ppm (m, 2H-α); δ = 2.5 ppm (m, H-γ'); δ = 3.2-3.9 ppm (m, H-2', H-3', H-4, H-4', H-5, H-5', 2H-6, 2H-6'); δ = 4.84 ppm (dd, H-2, 3J2-1 = 4 Hz 及び3J2-3 = 10 Hz); δ = 5.0 ppm (d, H-1 , 3J1-2 = 4 Hz); δ = 5.16 ppm (d, H-1', 3J1'-2' = 4 Hz); δ = 5.36 ppm (t, H-3, 3J3-4 = 3J3-2 = 10 Hz); δ = 6.43 ppm (dq, H-β', 3Jβ'-γ' = 10.2 Hz, 4J = 1 Hz);
MALDI-Tof (負モード): M/Z = 1007.61。
【0178】
化合物g:
【0179】
【化37】

【0180】
RMN 1H (250 MHz, CDCl3/MeOD 4/1)
δ = 0.6-0.9 ppm (m, 3H-t, 3H-t', (CH3)γ', (CH3)δ' ,(CH3)); δ = 1-1.5 ppm (m, H, 脂肪族); δ = 1.73 ppm (d, (CH3)α', 4J = 1 Hz); δ = 2.1 ppm (m, 2H-α); δ = 2.5 ppm (m, H-γ'); δ = 3.1-4.5 ppm (m, H-2', H-3', H-4, H-4', H-5, H-5', 2H-6, 2H-6'); δ = 4.8 ppm (dd, H-2, 3J2-1 = 4 Hz 及び3J2-3 = 10 Hz); δ = 5.16 ppm (d, H-1 , 3J1-2 = 4 Hz); δ = 5.3 ppm (t, H-3, 3J3-4 = 3J3-2 = 10 Hz); δ = 5.46 ppm (d, H-1', 3J1'-2' = 4 Hz); δ = 6.43 ppm (dq, H-β', 3Jβ'-γ' = 10.2 Hz, 4J = 1 Hz);
MALDI-Tof (負モード): M/Z = 1175.57。
【0181】
化合物h:
【0182】
【化38】

【0183】
RMN 1H (250 MHz, CDCl3/MeOD 4/1)
δ = 0.65 ppm (d, (CH3)δ', 3J = 7 Hz); δ = 0.7 ppm (t, 3H-t, 3H-t', 3J = 7 Hz); δ = 0.8 ppm (d, (CH3)r', 3J = 7 Hz); δ = 1.1-1.5 ppm (m, H, 脂肪族); δ = 1.7 ppm (s, (CH3)α'); δ = 2.1 ppm (t, 2H-α, 3Jα-β = 7 Hz); δ = 2.5 ppm (m, H-γ'); δ = 3.1-4.5 ppm (m, H-2', H-3', H-4, H-4', H-5, H-5', 2H-6, 2H-6'); δ = 4.8 ppm (dd, H-2, 3J2-1 = 4 Hz 及び3J2-3 = 10 Hz); δ = 5.15 ppm (d, H-1 , 3J1-2 = 4 Hz); δ = 5.3 ppm (t, H-3, 3J3-4 = 3J3-2 = 10 Hz); δ = 5.4 ppm (d, H-1', 3J1'-2'= 4 Hz); δ = 6.4 ppm (d, H-β', 3Jβ'-γ'= 10.2 Hz);
MALDI-Tof (負モード): M/Z = 951.43。
【0184】
化合物i:
【0185】
【化39】

【0186】
RMN 1H (600 MHz, クリオプローブ,CDCl3/MeOD 4/1)
δ = 0.86 ppm (d, (CH3)δ', 3J = 6.6 Hz); δ = 0.88 ppm (t, 3H-t', 3J = 7.2 Hz); δ = 0.9 ppm (t, 3H-t, 3J = 7.2 Hz); δ = 0.99 ppm (d, (CH3)γ', 3J = 7.2 Hz); δ = 1.1-1.6 ppm (m, H, 脂肪族); δ = 1.85 ppm (d, (CH3)α', 4J = 1.5 Hz); δ = 2.27 及び2.3 ppm (2td, 2H-α, 3Jα-β = 7.2 Hz, 2J = 14.4 Hz); δ = 2.66 ppm (m, H-γ'); δ = 3.41 ppm (t, H-4', 3J4'-3' = 3J4'-5' = 9.3 Hz); δ = 3.66 ppm (dd, 1H-6', 3J6'-5' = 5.7 及び2J = 11.7 Hz); δ = 3.68 ppm (t, H-4, 3J4-5 = 3J4-3 = 10 Hz); δ = 3.75 ppm (m, H-5', H-6, H-6'); δ = 3.91 ppm (dd, H-6, 2J = 12 Hz, 3J6-5 = 2.4 Hz); δ = 3.92 ppm (t, H-3', 3J3'-2' = 3J3'-4' = 9-3 Hz); δ = 4.19 ppm (dd, H-2', 3J2'-1' = 3.6 Hz, 3J2'-3' = 9.3 Hz); δ = 4.24 ppm (ddd, H-5, 3J5-6 = 2.4 Hz, 3J5-6 = 4.2 Hz, 3J5-4 = 10 Hz); δ = 4.98 ppm (dd, H-2, 3J2-1 = 3.6 Hz 及び3J2-3 = 10 Hz); δ = 5.27 ppm (d, H-1, 3J1-2 = 3.6 Hz); δ = 5.50 ppm (d, H-1', 3J1'-2' = 3.6 Hz); δ = 5.51 ppm (t, H-3, 3J3-4 = 3J3-2 = 10 Hz); δ = 6.52 ppm (dquad, H-β', 3Jβ'-γ' = 10.2 Hz, 4J = 1.5 Hz);
【0187】
RMN 13C (600 MHz, クリオプローブ, MeOD)
δ = 11.6 ppm, C-t'; δ = 12.8 ppm, (CH3)α'; δ = 14.4 ppm, C-t ; δ = 19.5 ppm, (CH3)δ'; δ = 20.8 ppm, (CH3)γ'; δ = 23.7 ppm, C-(t-1); δ = 26.0 ppm, C-β; δ = 30 ; 30.1 ; 32.8 ppm, C オクタン酸; δ = 31.1 ppm, C-(t-1)'; δ = 32.1 ppm, C-γ'; δ = 33.6 ppm, C-δ'; δ = 35.0 ppm, C-α; δ = 45.3 ppm, C-ε'; δ = 61.8 ppm, C-6; δ 62.5 ppm, C-6'; δ = 69.9 ppm, C-4; δ = 71.6 ppm, C-4'; δ = 72.0 ppm, C-2; δ 72.8 ppm, C-3'; δ = 73.4 ppm, C-5; δ = 74.1 ppm, C-5'; δ = 74.4 ppm, C-3; δ 78.4 ppm, C-2'; δ = 93.5 ppm, C-1; δ = 94.3 ppm, C-1'; δ = 127.2 ppm, C-α'; δ 150.2 ppm, C-β'; δ = 169.3 ppm, (C=O)3; δ = 174.3 ppm, (C=O)2
MALDI-Tof (負モード): IWZ = 713,15;
並びに以下の化合物。
化合物j:
【0188】
【化40】

【0189】
化合物k:
【0190】
【化41】

【0191】
化合物l:
【0192】
【化42】

【0193】
化合物m:
【0194】
【化43】

【0195】
化合物n:
【0196】
【化44】

【0197】
化合物o:
【0198】
【化45】

【0199】
実施例 2: マイコバクテリウム・ツベルクローシス硫酸化糖脂質のイクスビボアッセイ
硫酸化糖脂質-抗原の免疫原性を特定するために、精製した硫酸化糖脂質での刺激の後にIFN-γ放出を測定した。2 x 105 PBMC/ウェルをGM-CSF (500 U/mL) 及びIL-4 (5 ng/mL) の存在下で4日間インキュベートした。この時間に10%ヒト血清中で自己エフェクターT-細胞をインキュベートした。照射したCD1-発現抗原-提示細胞に硫酸化糖脂質 (10 μg/mL) を加えた。最後に、エフェクター細胞を加え (2 x 105/ウェル)、18時間後の上清においてIFN-γ放出をELISAによって測定した。IFN-γ捕獲抗体 (2 μg/mL) でコートした96-ウェル免疫吸着プレートで、終夜、IFN-γ ELISAを行った。1 %ウシ血清アルブミンを含むPBSで非-特異的結合部位を遮断した。この上清を1:1に希釈し、最終体積100 μlとなるように加えた。プレートを室温で2時間インキュベートし、洗浄(3〜4回)によって除いた。最後に、ビオチン化抗-IFN-γ抗体を1時間加えた (2 μg/mL)。免疫反応性IFN-γを検出するために、西洋ワサビ-ペルオキシダーゼを30分間加えた。最後に、発色基質(TMB, Endogen, MA, USA)を加えた。20分後のインキュベーション後、反応を硫酸(20 %)の添加によって停止した。染色強度を480 nmの波長で光度測定的に決定した。サイトカイン濃度を見積るために、公知の濃度を有するIFN-γスタンダートをすべての試験に含めた。
【0200】
実施例 3: インビボ試験
PPD+ドナー(結核試験に陽性)及びPPD'ドナー(結核試験に陰性)を補充し、反応化合物を投与した。硫酸化糖脂質への反応は、各群の各患者においてELISA試験 (15 pg/mL) でIFN-γ産生を評価することによって測定した。各群の反応を比較した。
【0201】
実施例 4: 抗原提示アッセイ
本発明の化合物によって刺激された反応においてWO 2004/092192に開示された方法に従って調製したT細胞クローンZ4B27によって産生されたIFN-γの放出を測定した。
【0202】
CD1 + APCを、T細胞の添加前に超音波破壊された抗原(1〜10 μg/m)で37℃で2時間、5 x 104細胞/ウェルで予備インキュベートした(3重点で、5 x 104細胞/ウェル)。36時間後、サンドウィッチELISAキット(Instrumentation Laboratory)を用いてTNF-α及びIFN-γを測定した。3重点の平均ng/mL又はpg/mL ±SDとしてデータを表した。すべての実験を少なくとも2回繰り返した。
【0203】
本発明の化合物e(cpd e)についての結果を図1に示す。それは、本発明の化合物が、対応する非硫酸化化合物(化合物f、すなわち”cpd f”を参照)よりも高い活性を示し、及び式:
【0204】
【化46】

【0205】
の比較化合物(”comp”参照)に基づいて、WO 2004/092192に開示された対応する飽和化合物よりも高い活性を示す、ことを証明している。
【0206】
図2で示された更なる結果は、化合物b及びd(cpd b及びcpd d)の活性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】

[式中、
R2'、R3'は、同一又は異なって、独立にH、SO3H又はSO3-/M+から選ばれる、但し、R2'、R3'の少なくとも1つはSO3H又はSO3-/M+であり;
M+は、Na+、K+のような金属カチオンであり;
R2、R3は、同一又は異なって、独立にa)脂肪アシル基、b)
【化2】

(ここで、Xは、場合により1以上の置換基で置換される不飽和の直鎖又は分岐炭化水素であり;R2、R3の少なくとも1つはb)である。]
で表される化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物、及びその薬学的に許容される塩又はエステル。
【請求項2】
R2'がSO3H又はSO3-/M+であり、かつR3'がHである、式(II)の化合物。
【請求項3】
Xが式(b-1):
【化3】

[式中、
Yは、場合により1以上の置換基で置換される飽和もしくは不飽和の直鎖又は分岐炭化水素であり;
Ri、Rjは、同一又は異なって、独立にH、アルキルから選ばれる。]
で表される、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項4】
Riがメチルであり、かつRjがHである、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
Yが、場合により1〜10個のアルキル基で置換される飽和直鎖アルキル鎖である、請求項3又は4記載の化合物。
【請求項6】
前記b)鎖が、式(b-2):
【化4】

[式中、
rは、1、2又は3から選ばれる整数であり;
lは、0〜10から選ばれる整数であり;
qは、0〜50から選ばれる整数であり;
但し、l + q ≧ 1;
T2は、アルキルであり;
各Tiは、同一又は異なって、アルキル基から独立に選ばれる。]
で表される、請求項1〜5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
rが1であり;lが1、2又は3であり;qが10〜20の整数から選ばれ;T2はメチルであり;各Tiはメチルであり、Tiが結合している炭素原子は(S)配置を示す、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
前記脂肪酸基が以下:
【化5】

からなる群より選ばれる、請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
R2がa)脂肪酸基であり、R3がb)請求項1〜8のいずれか1項で定義された-C=O-Xである、請求項1〜8のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
式(II):
[式中、R2'、R3'、r、p、l、q、T2、Tは前記定義のとおりである。]
で表される、請求項1〜9のいずれか1項記載の化合物、その対応する塩;及びそのエナンチオマー、ジアステオ異性体、それらの混合物、並びに薬学的に許容される塩。
【請求項11】
l = 1、q = 14及びr= 1;
l = 2、q = 14及びr= 1;
l = 3、q = 14及びr= 1;
l = 4、q = 14及びr= 1;
l = 1、q = 14及びr = 2;
l = 2、q = 14及びr = 2;
l = 3、q = 14及びr = 2;
l = 4、q = 14及びr = 2;
l= 1、q = 12及びr= 1;
l = 2、q = 12及びr=1;
l = 3、q = 12及びr= 1;
l = 4、q = 12及びr= 1;
l = 1、q= 12及びr = 2;
l = 2、q = 12及びr = 2;
l = 3、q= 12及びr = 2;
l = 4、q = 12及びr = 2;
l= 1、q = 16及びr= 1;
l = 2, q = 16及びr= 1 ;
l = 3, q = 16及びr= 1 ;
l = 4、q = 16及びr= 1;
l= 1、q = 16及びr = 2;
l = 2、q = 16及びr= 2;
l = 3、q = 16及びr = 2;又は
l = 4、q = 16及びr = 2;
pは6〜22であり;並びに
T2及びTiはメチルである、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
以下:
【化6】

【化7】

【化8】

及びその対応する塩、及びそのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物並びにその薬学的に許容される塩からなる群より選ばれる、請求項1〜11のいずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
薬学的に許容されるビヒクルと組み合わせて、請求項1〜12のいずれか1項記載で定義された少なくとも1つの化合物を含む、医薬組成物。
【請求項14】
経口又は注射用の経路による投与のために意図された形態での、請求項13記載の医薬組成物。
【請求項15】
BCG又はマイコバクイテリアタンパク質のような、結核の治療又は予防のために有用な1以上の他の生成物を含むことを特徴とする、請求項13又は14記載の医薬組成物。
【請求項16】
結核の治療又は予防における同時、別個又は連続的な使用のための組合せ調製物としての、以下:
−請求項1〜12のいずれか1項記載の少なくとも1つの化合物、及び
−BCG又はマイコバクイテリアタンパク質のような、結核の治療又は予防のために有用な少なくとも1つの他の生成物、
を含む生成物。
【請求項17】
結核の治療又は予防を意図した医薬、特にワクチンの製造のための、請求項1〜12のいずれか1項記載の少なくとも1つの化合物の使用。
【請求項18】
免疫反応活性化因子、及びより具体的には炎症反応活性化因子としての、請求項1〜12のいずれか1項記載の少なくとも1つの化合物の使用。
【請求項19】
Tリンパ球の活性化を誘導するための、請求項1〜12のいずれか1項記載の少なくとも1つの化合物の使用。
【請求項20】
IFN-γ、TNF-α、IL-4又はグラニュリシンの産生を誘導するための、請求項1〜12のいずれか1項記載の少なくとも1つの化合物の使用。
【請求項21】
以下のステップ:
−PPD陽性個体から生物学的試料を提供し;
−該試料を、式(X):
【化9】

[式中、
R2'、R3'は、同一又は異なって、独立にH、SO3H又はSO3-/M+から選ばれる、但し、R2'、R3'の少なくとも1つはSO3H又はSO3-/M+であり;
M+は、Na+、K+のような金属カチオンであり;
R2、R3は、同一又は異なって、独立にa)脂肪アシル基、b)
【化10】

(ここで、Xは、場合により1以上の置換基で置換される不飽和の直鎖又は分岐炭化水素であり;R2、R3の少なくとも1つはb)である。]
で表される化合物及びそのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物、及びその薬学的に許容される塩又はエステルに接触させ;
−Tリンパ球活性化を評価し;並びに
−該化合物の投与の前後のTリンパ球活性化を比較すること、
を含む、結核を診断するためのインビトロ法。
【請求項22】
以下:
式(X):
【化11】

[式中、
R2'、R3'は、同一又は異なって、独立にH、SO3H又はSO3-/M+から選ばれる、但し、R2'、R3'の少なくとも1つはSO3H又はSO3-/M+であり;
M+は、Na+、K+のような金属カチオンであり;
R2、R3は、同一又は異なって、独立にa)脂肪アシル基、b)
【化12】

(ここで、Xは、場合により1以上の置換基で置換される不飽和の直鎖又は分岐炭化水素であり;R2、R3の少なくとも1つはb)である。]
で表される化合物及びそのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物、及びその薬学的に許容される塩又はエステル;
−樹状細胞;並びに
−Tリンパ球活性化を検出するための手段、
を含む、結核を診断するためのキット。
【請求項23】
組換えマイクバクテリウム・ツベルクローシスを用いて製造されたワクチンの有効性を評価するための、式(X):
【化13】

[式中、
R2'、R3'は、同一又は異なって、独立にH、SO3H又はSO3-/M+から選ばれる、但し、R2'、R3'の少なくとも1つはSO3H又はSO3-/M+であり;
M+は、Na+、K+のような金属カチオンであり;
R2、R3は、同一又は異なって、独立にa)脂肪アシル基、b)
【化14】

(ここで、Xは、場合により1以上の置換基で置換される不飽和の直鎖又は分岐炭化水素であり;R2、R3の少なくとも1つはb)である。]
で表される化合物及びそのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物、及びその薬学的に許容される塩又はエステル、の使用。
【請求項24】
式(X):
【化15】

[式中、
R2'、R3'は、同一又は異なって、独立にH、SO3H又はSO3-/M+から選ばれる、但し、R2'、R3'の少なくとも1つはSO3H又はSO3-/M+であり;
M+は、Na+、K+のような金属カチオンであり;
R2、R3は、同一又は異なって、独立にa)脂肪アシル基、b)
【化16】

(ここで、Xは、場合により1以上の置換基で置換される不飽和の直鎖又は分岐炭化水素であり;R2、R3の少なくとも1つはb)である。]
で表される化合物及びそのエナンチオマー、ジアステレオ異性体、それらの混合物、及びその薬学的に許容される塩又はエステル、に対するリガンド。
【請求項25】
式(IX)の化合物が、請求項1〜12のいずれか1項記載の式(I)の化合物である、請求項21〜24のいずれか1項記載の方法、キット、使用又はリガンド。
【請求項26】
以下のステップ:
−スルホン化し;並びに
−式(IV)及び(IV'):
【化17】

[式中、R2及びR3式(I)で定義され、X及びYは独立にハロゲン原子又はOH基を表す。]
の対応する化合物で、式(III):
【化18】

[式中、P4、P5、P4'、P5'の各々は、同一又は異なって、H又はOH-保護基を表し、あるいはP4及びP5及び/又はP4'及びP5'は一緒になって環状OH-基を形成する。]
の化合物をアシル化すること;ここで、スルホン化及びアシル化反応は、任意の順で連続的に又は代替的に行われる、
を含む、請求項1〜12のいずれか1項記載の式(I)の化合物の製造法。
【請求項27】
保護及び/又は脱保護ステップを更に含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
得られた化合物を単離するステップを更に含む、請求項26又は27記載の方法。
【請求項29】
式(IV'-a)の化合物:
【化19】

が、式(VI):
【化20】

の化合物を用いるウィッティヒ反応、次いでケン化によって、対応する式(V'):
【化21】

の化合物から得られる、請求項26〜28のいずれか1項記載の方法。

【図1】
image rotate

image rotate


【公表番号】特表2010−516748(P2010−516748A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546828(P2009−546828)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【国際出願番号】PCT/IB2008/000053
【国際公開番号】WO2008/090425
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(501089863)サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェサイアンティフィク(セエヌエールエス) (173)
【Fターム(参考)】