説明

硫酸溶液中の塩素濃度の測定方法

【課題】高い精度で塩素を含有する硫酸溶液中の塩素濃度を測定する方法を提供する。
【解決手段】塩素を含有する硫酸溶液中の塩素濃度の測定方法であって、塩素濃度既知の硫酸溶液をN,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジン及び/又はそのアルカリ金属塩と混合して得られた液に対し波長450nm以上500nm以下の吸収帯における極大の吸光度を測定し、得られた極大の吸光度と塩素濃度との関係式を求めておき、次いで、測定対象となる塩素を含有する硫酸溶液をN,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジン及び/又はそのアルカリ金属塩と混合して得られた液に対し波長450nm以上500nm以下の吸収帯における極大の吸光度を測定し、得られた極大の吸光度と前記関係式から塩素濃度を算出することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩素を含有する硫酸溶液中の塩素濃度を測定する方法に関するものである。また本発明は、塩素を含有する硫酸溶液中にさらに金属が含まれる場合における、硫酸溶液中の塩素濃度を測定する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塩素を含有する硫酸溶液中の塩素濃度を測定する方法として、例えば、特許文献1には、塩素を含有する硫酸において、試料溶液に2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)を添加して、色調表と比較して塩素濃度を求める方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−184083
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の方法では、塩素を含有する硫酸溶液中の塩素濃度を測定するに際し、測定精度の点で必ずしも満足のいくものではなかった。そこで、本発明の目的は、高い精度で塩素を含有する硫酸溶液中の塩素濃度を測定する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、塩素濃度既知の硫酸溶液をN,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジン及び/又はそのアルカリ金属塩と混合して得られた液に対し波長450nm以上500nm以下の吸収帯における極大の吸光度を測定し、得られた極大の吸光度と塩素濃度との関係式を求めておき、次いで、測定対象となる塩素を含有する硫酸溶液をN,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジン及び/又はそのアルカリ金属塩と混合して得られた液に対し波長450nm以上500nm以下の吸収帯における極大の吸光度を測定し、得られた極大の吸光度と前記関係式から塩素濃度を算出することを特徴とする塩素を含有する硫酸溶液中の塩素濃度の測定方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、塩素を含有する硫酸溶液中の塩素濃度を、高い精度で測定することができる。加えて、塩素を含有する硫酸溶液中に金属が含まれる場合においても、硫酸溶液中の塩素濃度を高い精度で測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の塩素を含有する硫酸溶液中の塩素濃度の測定時に実施される吸光度の測定から得られる吸収スペクトルの一例を示す図である。
【図2】本発明の塩素を含有する硫酸溶液中の塩素濃度の測定に使用される検量線の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明における塩素を含有する硫酸溶液中の塩素濃度の測定方法は、塩素濃度既知の硫酸溶液をN,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジン及び/又はそのアルカリ金属塩と混合して得られた液に対し波長450nm以上500nm以下の吸収帯における極大の吸光度を測定し、得られた極大の吸光度と塩素濃度との関係式を求めておき、次いで、測定対象となる塩素を含有する硫酸溶液をN,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジン及び/又はそのアルカリ金属塩と混合して得られた液に対し波長450nm以上500nm以下の吸収帯における極大の吸光度を測定し、得られた極大の吸光度と前記関係式から塩素濃度を算出して塩素を含有する硫酸溶液中の塩素濃度を測定するものである。
【0011】
塩素を含有する硫酸溶液中の硫酸濃度は、特に制限されないが、通常1〜98重量%であり、好ましくは2〜96重量%であり、さらに好ましくは3〜20重量%である。前記の塩素を含有する硫酸溶液は、水を加えて希釈することにより硫酸濃度が調整されたものであってもよい。但し、水を加えて希釈することで塩素を含有する硫酸溶液中の塩素濃度が低くなりすぎると、測定し難くなることがある。塩素を含有する硫酸溶液のpHは、通常2以下であり、1以下が好ましい。
【0012】
塩素を含有する硫酸溶液中の塩素濃度としては、通常0.01〜100重量ppmであり、好ましくは0.01〜10重量ppmである。
【0013】
塩素を含有する硫酸溶液には、金属が含まれていてもよい。該金属としては、特に制限はないが、例えば、Fe、Cr、Ni、Al、Cu、Zn、Mn、Mg、Ca、Na等が挙げられる。特に、Feが含まれる場合に、本発明の測定方法は好適に使用できる。該金属の含有量は、前記硫酸溶液中、通常0.001〜500重量ppmであり、好ましくは0.01〜100重量ppmであり、さらに好ましくは0.01〜10重量ppmである。金属の含有量が高くなると、塩素濃度の測定精度が低くなることがある。
【0014】
塩素を含有する硫酸溶液としては、食塩の電気分解、塩酸または塩化水素の電気分解や酸化反応等において生成した塩素を乾燥させるための硫酸溶液が良く用いられる。
【0015】
本発明で使用するN,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジンとしては、水和物や溶媒和物を使用してもよい。
【0016】
本発明で使用するN,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジンのアルカリ金属塩としては、例えば、N,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジンの四ナトリウム塩、四カリウム塩、四リチウム塩等が挙げられ、N,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジンの四ナトリウム塩が好ましい。また、N,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジンのアルカリ金属塩の水和物や溶媒和物を使用してもよい。
【0017】
本発明において、塩素を含有する硫酸溶液にN,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジン及び/又はそのアルカリ金属塩を添加する方法は、該硫酸溶液にN,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジン及び/又はそのアルカリ金属塩を添加できれば、直接添加しても、N,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジン及び/又はそのアルカリ金属塩を溶解させた溶液を添加してもよい。N,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジン及び/又はそのアルカリ金属塩を溶解させる液は、N,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジン及び/又はそのアルカリ金属塩が溶解し、塩素と反応しないものならばいかなるものでも良い。N,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジン及び/又はそのアルカリ金属塩を添加する量は、添加後に前記硫酸溶液中で塩素と作用し発色すれば特に制限されないが、前記硫酸溶液中のN,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジン及び/又はそのアルカリ金属塩の濃度が0.01g/L〜1g/Lとなるのが好ましい。
【0018】
本発明における塩素を含有する硫酸溶液をN,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジン及び/又はそのアルカリ金属塩と混合して得られた液の吸光度は、通常、450nm以上500nm以下の吸収帯で極大値をもつ。
【0019】
塩素を含有する硫酸溶液をN,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジン及び/又はそのアルカリ金属塩と混合して得られた液の吸光度を測定する方法としては、波長450nm以上500nm以下の吸収帯における極大の吸光度が測定できれば特に制限はないが、例えば、紫外可視分光法や紫外可視近赤外分光法が挙げられる。該吸光度は、紫外及び可視領域の波長の光を用いた紫外可視分光法により測定することが好ましく、その測定波長の範囲は、通常200〜900nm、好ましくは400〜800nm、さらに好ましくは400〜600nmである。該吸光度の測定に使用される装置は、通常使用可能な紫外可視分光光度計や紫外可視近赤外分光光度計が挙げられる。
【0020】
このようにして測定された極大の吸光度から、塩素を含有する硫酸溶液中の塩素濃度を算出するために、通常の手法で予め関係式(検量線)を作成しておく必要がある。前記関係式(検量線)は、塩素濃度既知の硫酸溶液を調製し、該硫酸溶液をN,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジン及び/又はそのアルカリ金属塩と混合して得られた液に対し波長450nm以上500nm以下の吸収帯における極大の吸光度を測定し、得られた極大の吸光度と塩素濃度との関係から作成する。特に、前記関係式(検量線)は、各々塩素濃度の異なる複数の塩素濃度既知の硫酸溶液を調製し、それぞれについてN,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジン及び/又はそのアルカリ金属塩と混合し、得られた各液に対し波長450nm以上500nm以下の吸収帯における極大の吸光度を測定し、得られたそれぞれの極大の吸光度と塩素濃度との関係から作成するのが測定精度の面から好ましい。
【実施例】
【0021】
以下に実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0022】
参考例1
[塩素を含有する硫酸溶液の調製(1)]
試薬の90重量%硫酸(和光純薬工業(株)製)6.77gを純水93.13gと混合し、硫酸溶液(A)を得た。
【0023】
試薬の塩素水(塩素濃度約0.3重量%、キシダ化学(株)製)0.5gを純水101gと混合し、塩素溶液(B)を得た。ヨウ素滴定法で塩素溶液(B)の塩素濃度を測定したところ、塩素濃度は13.4重量ppmであった。
硫酸溶液(A)、塩素溶液(B)及び純水を使用して、塩素濃度が0.3重量ppmとなるように調整した硫酸濃度3.8重量%の硫酸溶液(C)を作成した。
【0024】
[吸光度の測定(1)]
分光光度計用石英セル(内容量4.0mL)に硫酸溶液(C)3.9mLを入れた後、市販のN,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジン,四ナトリウム塩溶液((株)同仁化学研究所製、残留塩素測定試薬−SBT法の色素液)を1滴加えてよく振り混ぜ、紫外可視分光光度計(日本分光(株)製、V−560型)により波長200〜800nmの範囲で吸光度を測定した。波長200〜800nmの範囲の吸光度を示す吸収スペクトルを図1に示す。測定範囲において、波長478nmにて極大の吸光度を示した。
【0025】
参考例2
[塩素を含有する硫酸溶液の調製(2)]
硫酸溶液(A)及び純水を使用して、硫酸濃度3.8重量%の硫酸溶液(D)(塩素濃度0重量ppm)を作成した。
【0026】
[吸光度の測定(2)]
分光光度計用石英セル(内容量4.0mL)に硫酸溶液(D)3.9mLを入れた後、市販のN,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジン,四ナトリウム塩溶液((株)同仁化学研究所製、残留塩素測定試薬−SBT法の色素液)を1滴加えてよく振り混ぜ、紫外可視分光光度計(日本分光(株)製、V−560型)により波長400〜600nmの範囲で吸光度を測定した。波長400〜600nmの範囲の吸光度を示す吸収スペクトルを図1に示す。波長478nmにおける吸光度は0.0であった。
【0027】
参考例3
[塩素を含有する硫酸溶液の調製(3)]
硫酸溶液(A)、塩素溶液(B)及び純水を使用して、塩素濃度が0.6重量ppmとなるように調整した硫酸濃度3.8重量%の硫酸溶液(E)を作成した。
【0028】
[吸光度の測定(3)]
硫酸溶液(D)に代えて、硫酸溶液(E)を使用した以外は、参考例2[吸光度の測定(2)]と同様の操作で吸光度を測定した。波長400〜600nmの範囲の吸光度を示す吸収スペクトルを図1に示す。測定範囲において、波長478nmにて極大の吸光度を示した。
【0029】
参考例4
[塩素を含有する硫酸溶液の調製(4)]
硫酸溶液(A)、塩素溶液(B)及び純水を使用して、塩素濃度が1.0重量ppmとなるように調整した硫酸濃度3.8重量%の硫酸溶液(F)を作成した。
【0030】
[吸光度の測定(4)]
硫酸溶液(D)に代えて、硫酸溶液(F)を使用した以外は、参考例2[吸光度の測定(2)]と同様の操作で吸光度を測定した。波長400〜600nmの範囲の吸光度を示す吸収スペクトルを図1に示す。測定範囲において、波長478nmにて極大の吸光度を示した。
【0031】
参考例5
[関係式(検量線)の作成]
硫酸溶液(C)〜(F)に含まれる塩素濃度と波長478nmにおける吸光度との間に、Y=aX+b(X:硫酸溶液中の塩素濃度、Y:波長478nmにおける吸光度)の直線関係があるとして最小二乗法で直線近似したところ、関係式がY=0.916X−0.006、相関係数が0.999である検量線が作成され、良好な直線性を示すことがわかった。得られた検量線を図2に示す。
【0032】
実施例1
[塩素を含有する硫酸溶液の調製(5)]
参考例1と同様の操作を行い、硫酸溶液(A)及び塩素溶液(B)を得た。
【0033】
ガラス製のビーカーに硫酸溶液(A)29.50gと純水9.78gとを入れて混合し、氷水の入った水浴中でガラス製のビーカー全体を冷やしながら、塩素溶液(B)をゆっくりと0.74g加えて混合し、硫酸溶液(G)を得た。
【0034】
硫酸溶液(G)7.14gに純水1.30gを加えて混合し、硫酸濃度3.8重量%の硫酸溶液(H)を得た(塩素濃度計算値:0.2重量ppm)。硫酸溶液(H)のpH試験紙で測定したpHは1であった。
【0035】
[吸光度の測定(5)]
硫酸溶液(D)に代えて、硫酸溶液(H)を使用した以外は、参考例2[吸光度の測定(2)]と同様の操作で吸光度を測定した。測定範囲において、波長478nmにて極大の吸光度を示し、その値は0.16であった。波長478nmにおける吸光度から参考例5の関係式を使用して硫酸溶液(H)に含まれる塩素濃度を算出したところ、0.2重量ppmであった。
【0036】
実施例2
[塩素及び鉄を含有する硫酸溶液の調製]
塩化鉄(III)六水和物0.013g(純度99.9%、和光純薬工業(株)製)に純水32.94gを加えて混合し、塩化鉄溶液(I)を得た。塩化鉄溶液(I)1.07gに純水20.00gを加えて混合し、塩化鉄溶液(J)を得た。
【0037】
実施例1と同様の操作を行って調製した硫酸溶液(G)7.16gをガラス製のビーカーに入れ、氷水の入った水浴中でガラス製のビーカー全体を冷やしながら、塩化鉄溶液(J)1.32gをゆっくりと加えて混合し、硫酸濃度3.8重量%の硫酸溶液(K)を得た(塩素濃度計算値:0.2重量ppm、鉄濃度計算値:0.64重量ppm)。硫酸溶液(K)のpH試験紙で測定したpHは1であった。
【0038】
[吸光度の測定(5)]
硫酸溶液(D)に代えて、硫酸溶液(K)を使用した以外は、参考例2[吸光度の測定(2)]と同様の操作で吸光度を測定した。測定範囲において、波長478nmにて極大の吸光度を示し、その値は0.14であった。波長478nmにおける吸光度から参考例5の関係式を使用して硫酸溶液(K)に含まれる塩素濃度を算出したところ、0.2重量ppmであった。
【0039】
比較例1
試薬の塩素水(塩素濃度約0.3%、キシダ化学(株)製)0.15gを純水91gと混合し、塩素溶液(L)を得た。ヨウ素滴定法で塩素溶液(L)の塩素濃度を測定したところ、塩素濃度は3.7重量ppmであった。
【0040】
参考例1と同様の操作を行って調製した硫酸溶液(A)5.30g、実施例2と同様の操作を行って調製した塩化鉄溶液(J)1.33g及び純水1.41gをガラス製のビーカーに入れて混合し、氷水の入った水浴中でガラス製のビーカー全体を冷やしながら、塩素溶液(L)をゆっくりと0.46g加えて混合し、硫酸濃度3.8重量%の硫酸溶液(M)を得た(塩素濃度計算値:0.2重量ppm、鉄濃度計算値:0.64重量ppm)。硫酸溶液(M)のpH試験紙で測定したpHは1であった。
【0041】
硫酸溶液(M)6mLに2、2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)を1錠(和光純薬工業(株)製、活性塩素テストワコー)加え、3秒間振とうさせた後に色調表と照合すると、硫酸溶液(M)に含まれる塩素濃度は0.4ppmであった。
【0042】
参考例6
試薬の塩素水(塩素濃度約0.3%、キシダ化学(株)製)0.33gを純水102gと混合し、塩素溶液(N)を得た。ヨウ素滴定法で塩素溶液(N)の塩素濃度を測定したところ、塩素濃度は9.1重量ppmであった。ガラス製のビーカーに純水8.29gを入れ、氷水の入った水浴中でガラス製のビーカー全体を冷やしながら、塩素溶液(N)をゆっくりと0.20g加えて混合し、溶液(O)を得た(塩素濃度計算値:0.2重量ppm)。溶液(O)のpH試験紙で測定したpHは6であった。
分光光度計用石英セル(内容量4.0mL)に溶液(O)3.9mLを入れた後、市販の酢酸緩衝液((株)同仁化学研究所製、残留塩素測定試薬−SBT法の調整液)を2滴加えてよく振り混ぜてから、市販のN,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジン,四ナトリウム塩溶液((株)同仁化学研究所製、残留塩素測定試薬−SBT法の色素液)を1滴加えて再度振り混ぜ、紫外可視分光光度計(日本分光(株)製、V−560型)により波長500〜800nmの間で吸光度を測定したところ、波長676nmにて極大の吸光度を示し、その値は0.087であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩素を含有する硫酸溶液中の塩素濃度の測定方法であって、塩素濃度既知の硫酸溶液をN,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジン及び/又はそのアルカリ金属塩と混合して得られた液に対し波長450nm以上500nm以下の吸収帯における極大の吸光度を測定し、得られた極大の吸光度と塩素濃度との関係式を求めておき、次いで、測定対象となる塩素を含有する硫酸溶液をN,N’−ビス(2,4−ジスルホベンジル)トリジン及び/又はそのアルカリ金属塩と混合して得られた液に対し波長450nm以上500nm以下の吸収帯における極大の吸光度を測定し、得られた極大の吸光度と前記関係式から塩素濃度を算出することを特徴とする前記測定方法。
【請求項2】
前記硫酸溶液が金属を含有するものである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
硫酸溶液中の前記金属の濃度が0.01〜10重量ppmである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属が鉄である請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記硫酸溶液のpHが2以下である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記硫酸溶液中の塩素濃度が0.01〜10重量ppmである請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記吸光度を紫外可視分光法により測定する請求項1〜6のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−169611(P2011−169611A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31078(P2010−31078)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】