説明

硫黄系化合物の管理方法及びその管理システム

【課題】簡単かつ精度良く、無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の濃度を測定し、その濃度を管理する方法およびその管理するシステムを提供する。
【解決手段】濃度管理システム1は、無電解ニッケルめっき液Lに接触する少なくとも表面が、金、銀、または白金からなる作用電極41、対極42、参照電極43、参照電極43に対する作用電極41の電位を制御する電圧制御装置44、及び対極42と作用電極43との間に流れる電流を測定する電流計45を備え、無電解ニッケルめっき液中の参照電極43に対する作用電極41の電位に応じて、作用電極41と対極に流れる電流Iを電流計で測定する電気化学測定装置4と、電流Iに基づいて、硫黄系化合物の濃度を算出し、無電解ニッケルめっき浴2内の硫黄系化合物の濃度を調整する制御信号Sを出力する制御装置5と、制御信号Sに基づいて無電解ニッケルめっき浴2内の硫黄系化合物の濃度を調整する調整装置6と、備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の濃度を測定し、これを管理する管理方法及びその管理システムに係り、特に無電解ニッケルめっき浴内における硫黄系化合物の濃度の管理を好適に行うことができる硫黄系化合物の管理方法及びその管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコンなどの電子機器の高性能化や小型化に伴い、機器内部に搭載されるプリント基板やパッケージ基板の高密度化・多層化が進んでいる。このような基板の高密度化・多層化が進んでいるため、同プロセスにおいても現状より高いレベルでのファインパターン性、はんだ接合性および金ワイヤーボンディング性などが求められるようになってきた。良好な実装特性を得るために、基板の表面に無電解ニッケルめっき皮膜が被覆されることがあるが、無電解ニッケルめっき皮膜を安定させ、その後はんだ付けで高い濡れ性を確保するためには、無電解ニッケルめっき皮膜の物性が重要であり、さらに、めっき溶液中の微量添加剤濃度の制御が重要であることが知られている。
【0003】
特に、無電解ニッケルめっき液に含まれる微量添加剤の中で、硫黄系化合物(硫黄系添加剤)はめっき皮膜特性を左右する重要な因子であり、溶液中の濃度が不足または過剰の状態にてめっきを行うと、ブラックパッドやスキップまたはパターン外析出といっためっき不良の原因となることがわかっている。
【0004】
さらに、硫黄系化合物の濃度が過剰な無電解ニッケルめっき液から得られた皮膜上に、はんだ接合を行うと、めっきはんだ接合界面に多数のボイドが発生する傾向がある。これにより、常温式はんだ接合強度も、無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の濃度が適正値から外れた際には低下することが知られている。
【0005】
特に、パワー半導体などに用いられるはんだ付けは発熱による破壊を防ぐため、はんだ付けに要求する品質基準が厳しく、ボイド及び不濡れが数%以下に管理される必要がある。このため、被はんだ付け対象面のめっき品質がはんだ付け性に大きく影響し、無電解ニッケルめっき液に含まれ、めっき膜質を安定させる硫黄系化合物の量(濃度)を常に一定量にコントロールすることが重要である。
【0006】
一般的に、このような添加剤の濃度を測定するにあたって、例えば、ガスクロマトグラフィや、HPLCなどの方法が知られている。また、別の態様としては、無電解ニッケルめっき液中に、金属クーポンを浸漬処理し、浸漬処理された金属クーポンをパラジウム含有液に浸漬し、銅などの参照電極を用いて参照電極と金属クーポン間の電位差を測定し、この電位差から硫黄系化合物の濃度の濃度を測定している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−147540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、発明者らが、ガスクロマトグラフィ(TICトータルイオンクロマトグラム)で測定した場合、図5に示すように(一番上のグラフの値は、その下の5本のグラフのトータル値)、下側の5本のグラフに示す結果から(硫黄系化合物の分子量相当(45,59,…119)に対して分析した結果)、硫黄系化合物に相当する明確なピークを得られなかった。また、HPLCなどを用いた機器分析では、時間とコストがかかる上、硫黄系化合物の濃度が極微量であるため分析できない場合もある。
【0009】
さらに、特許文献1に記載の測定方法では、金属クーポンを無電解ニッケルめっき液に浸漬した後に、この金属クーポンを無電解ニッケルめっき液から取り出して、パラジウム含有液にさらに浸漬を行うため、作業工程が煩雑となり、オンラインで迅速かつ容易に硫黄系化合物の濃度測定をすることができない。
【0010】
本発明は、これらの課題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、迅速かつ簡単に、無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の濃度を精度良く測定し、無電解ニッケルめっき液中の前記硫黄系化合物の濃度を管理する方法およびその管理するシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決すべく発明者らが、鋭意検討を重ねた結果、金、銀、または白金の作用電極を用いて、硫黄系化合物が添加された無電解ニッケルめっき液を測定した場合、無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の濃度(含有量)に応じた電流が対極と作用電極との間に流れることとの新たな知見を得た。
【0012】
本発明は、この新たな知見に基づくものであり、本発明は、無電解ニッケルめっき浴内の無電解ニッケルめっき液に添加された硫黄系化合物の濃度を測定し、前記無電解ニッケルめっき液中の前記硫黄系化合物の濃度を管理する濃度管理方法であって、前記無電解ニッケルめっき液に接触する少なくとも表面が、金、銀、または白金からなる作用電極を用いると共に、参照電極に対する前記作用電極の電位に応じて、対極と前記作用電極との間に流れる電流を測定する工程と、該測定した電流に基づいて、前記無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の濃度を算出する工程と、該算出された硫黄系化合物の濃度に基づいて、前記無電解ニッケルめっき浴内の硫黄系化合物の濃度が所定の濃度になるように、前記無電解ニッケルめっき浴内の硫黄系化合物の濃度を調整する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、無電解ニッケルめっき液に対して、たとえば、ポテンショスタットを用いて、前記作用電極の前記参照電極に対する電位を制御し、その電位に応じて作用電極と対極との間に流れる電流を測定する。これにより、参照電極を基準として作用電極に電位を印加したときに、無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物が、作用電極表面で酸化・還元、もしくは作用電極表面に対して吸着・脱離することにより、作用電極と対極の間に電流が流れる。
【0014】
この流れた電流と無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の濃度の関係が比例関係にあることから、この電流を測定することにより、硫黄系化合物の濃度をこれまでの方法に比べてより正確かつ簡便に算出することができる。
【0015】
そして、算出された硫黄系化合物の濃度に基づいて、前記無電解ニッケルめっき浴内の硫黄系化合物の濃度が所定の濃度になるように、前記無電解ニッケルめっき浴内の硫黄系化合物の濃度を調整する。
【0016】
具体的には、算出された硫黄系化合物の濃度が所定の濃度より低い場合には、無電解ニッケルめっき浴内に、硫黄系化合物のみを供給して、無電解ニッケルめっき浴内の硫黄系化合物の濃度を高めることができる。一方、算出された硫黄系化合物の濃度が所定の濃度より高い場合には、無電解ニッケルめっき浴内に、硫黄系化合物を含まない無電解ニッケルめっき液そのものを供給して、無電解ニッケルめっき浴内の硫黄系化合物の濃度を薄めることができる。
【0017】
なお、この硫黄系化合物の濃度を算出する工程、無電解ニッケルめっき浴内の硫黄系化合物の濃度を調整する工程は、制御装置において実行しても、手動で実行してもよい。
【0018】
また、無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の濃度を正確に測定することができるのであれば、電流を測定する工程において、ボルタンメトリーのように、参照電極に対する前記作用電極の電位を変化させて(掃引して)もよく、その方法は特に限定されることはない。
【0019】
しかしながら、より好ましい態様としては、前記電流を測定する工程において、クーロメトリーのように前記作用電極の電位を一定電位で一定時間保持し、前記硫黄系化合物の濃度を算出する工程において、前記一定時間保持したときの電流値を積算することにより前記対極と前記作用電極との間に流れる電荷量を算出し、該電荷量に基づいて前記無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の濃度を算出する。
【0020】
この態様では、測定した電流を積算して電荷量を算出する。上述したように、無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物が、作用電極表面で酸化・還元、もしくは作用電極表面に対して吸着・脱離することにより、作用電極と対極の間に電流が流れることから、このような現象が生じやすい電位に、作用電極の電位を一定時間保持し、そのときの電流を測定する。そして、その一定時間における前記作用電極に流れる電流値を積算することにより得られる電荷量に応じて、硫黄化合物に由来する上記現象(すなわち、硫黄系化合物の濃度)を確認することができる。これにより、硫黄系化合物の濃度がより低い濃度であっても、ノイズ等の影響を抑えて、無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の濃度を正確に測定することができる。
【0021】
また、前記電流密度を測定する工程において、無電解ニッケルめっき浴中の無電解ニッケルめっき液の流れや温度変化の影響等を受けずに、硫黄系化合物の濃度を測定することができるのであれば、無電解ニッケルめっき浴中において、硫黄系化合物の濃度を直接測定してもよい。
【0022】
しかしながら、より好ましい態様としては、前記電流を測定する工程の前に、前記無電解ニッケルめっき浴内の前記無電解ニッケルめっき液を採取する工程をさらに含み、前記電流を測定する工程において、前記採取した記無電解ニッケルめっき液を用いて前記電流を測定する。
【0023】
この態様によれば、採取した無電解ニッケルめっき液を温度調整および静置して、この状態で無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の濃度を測定すれば、無電解ニッケルめっき液の流れや温度変化の影響等を受けることなく、より正確に無電解ニッケルめっき浴中の硫黄系化合物の濃度を測定することができる。
【0024】
本願では、本発明として、さらに、上述した硫黄系化合物の濃度管理方法を好適に行うことができる濃度管理システムについても開示する。本発明は、無電解ニッケルめっき浴内の無電解ニッケルめっき液に添加された硫黄系化合物の濃度を測定し、該硫黄系化合物の濃度を管理する濃度管理システムであって、少なくとも表面が金、銀、または白金からなる作用電極と、対極と、参照電極と、該参照電極に対する前記作用電極の電位を制御する電圧制御装置と、前記対極と前記作用電極との間に流れる電流を測定する電流計と、を備え、前記無電解ニッケルめっき液中の前記参照電極に対する前記作用電極の電位に応じて、前記作用電極と前記対極との間に流れる電流を前記電流計で測定する電気化学測定装置と、該電気化学測定装置から出力された前記電流計の電流に基づいて、前記無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の濃度を算出し、該算出された無電解ニッケルめっき液の硫黄系化合物の濃度に基づいて、前記無電解ニッケルめっき浴内の硫黄系化合物の濃度が所定の濃度になるように、前記無電解ニッケルめっき浴内の硫黄系化合物の濃度を調整する制御信号を出力する制御装置と、該制御装置からの制御信号に基づいて前記無電解ニッケルめっき浴内の硫黄系化合物の濃度を調整する調整装置と、を少なくとも備えることを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、電気化学測定装置を用いて、無電解ニッケルめっき液中において、電圧制御装置を用いて参照電極に対する作用電極の電位を制御して、対極と作用電極との間に流れる電流を電流計で測定することができる。そして、電流計により得られた電流値に基づいて、CPU等で構成される制御装置は、予め測定された、電流値(または電流密度後述する電荷量)と硫黄系化合物の濃度の比例関係を利用して、硫黄系化合物の濃度を演算することができる。この結果、制御装置により、調整装置に制御信号を出力し、該制御装置からの制御信号に基づいて、調整装置により、前記無電解ニッケルめっき浴内の硫黄系化合物の濃度が所定の濃度になるように、前記無電解ニッケルめっき浴内の硫黄系化合物の濃度を調整することができる。
【0026】
さらに、好ましい態様としては、前記電気化学測定装置は、前記作用電極の電位を一定電位で一定時間保持するものであり、前記制御装置は、前記一定時間保持したときの電流値を積算することにより前記対極と前記作用電極との間に流れる電荷量を算出し、該電荷量に基づいて前記無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の濃度を算出する。
【0027】
この態様によれば、上述したクーロメトリーにより、測定した電流値を積算して電荷量を算出する。すなわち、電気化学測定装置の電圧制御装置を用いて、無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の上述した現象が生じやすい電位に作用電極の電位を制御し、その後、この電位に作用電極の電位を一定時間保持して、この一定時間における電流を測定することができる。そして、制御装置において、その一定時間における前記作用電極に流れる電流値を積算して得られる電荷量を算出すれば、ノイズ等の影響を抑えて、硫黄化合物の濃度を確認することができるので、硫黄系化合物の濃度がより低い場合であっても、無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の濃度を正確に測定することができる。
【0028】
また、算出した硫黄系化合物の濃度の値が正確であれば、無電解ニッケルめっき浴中に、電気化学測定装置を配置してもよいが、より好ましい態様としては、前記無電解ニッケルめっき浴から前記無電解ニッケルめっき液を採取するため採取槽をさらに備え、該採取槽内に、前記電気化学測定装置が配置されている。
【0029】
この態様によれば、採取槽内で、無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の濃度を測定することができるので、無電解ニッケルめっき液の流れの影響等を受けることなく、より正確に無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の濃度を測定することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、簡単かつ精度良く、無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の濃度を測定し、無電解ニッケルめっき液中の前記硫黄系化合物の濃度を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態に係る硫黄系化合物の濃度管理システムの模式的概念図。
【図2】実施例1に係る硫黄化合物量によるボルタモグラムの変化を示した図。
【図3】実施例1に係る電流密度と溶液中硫黄化合物量の関係を示した図。
【図4】実施例2に係る電荷量と溶液中硫黄化合物量の関係を示した図。
【図5】ガスクロマトグラフィによる硫黄系化合物の測定結果を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して、本発明に係る本実施形態を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る硫黄系化合物の濃度管理システムの模式的概念図である。
【0033】
図1に示すように、本実施形態に係る濃度管理システム1は、無電解ニッケルめっき浴2内の無電解ニッケルめっき液Lに添加された硫黄系化合物の濃度を測定し、該硫黄系化合物の濃度を管理するシステムである。
【0034】
本実施形態で用いられる無電解ニッケルめっき液は、ニッケルを無電解めっきできるものであれば任意の、公知の浴液が使用可能であり、例えば、還元剤の違いによって、無電解ニッケル−リン合金めっき液、無電解ニッケル−ホウ素合金めっき浴などが挙げられ、また、酸性無電解ニッケルめっき浴、アルカリ性無電解ニッケルめっき浴のいずれであっても良く、特に限定されるものではない。
【0035】
そして、無電解ニッケルめっき液中に含まれる硫黄系化合物とは、分子内に硫黄原子を含む任意の化合物を意味し、有機系、無機系いずれに限定されるものではない。例えば、一般的には、硫黄系化合物としては、無電解ニッケルめっき液において触媒毒となる硫黄含有安定剤として使用可能な化合物が挙げられるが、これに限定されず、分子内に硫黄原子を含む化合物であれば、他の目的に使用される化合物も、硫黄系化合物に包含される。また、硫黄系化合物としては、1種類の化合物が使用されても良いし、2種類以上の化合物が使用されても良い。
【0036】
硫黄系化合物の例としては、チオール、スルフィド、アルキレンスルフィド、ジスルフィド、チオアルデヒド、チオケトン、チオシアン酸及びその塩、チオ尿素及びその誘導体、チオ硫酸及びその塩、等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。好ましくは、チオールとしては、メルカプトコハク酸、メルカプトプロピオン酸等;スルフィドとしては、チオジグリコール酸、チオ乳酸、チオジ乳酸等;アルキレンスルフィドとしては、プロピレンスルフィド、ブチレンスルフィド等;ジスルフィドとしては、メチレンジスルフィド、エチレンジスルフィド等;チオアルデヒドとしては、トリチオホルムアルデヒド、トリチオアセトアルデヒド等;チオケトンとしては、トリチオアセトン、チオアセト酢酸エチル等;チオシアン酸;チオ硫酸;イソチオシアン酸アリル;チオ尿素;メチルチオ尿素;ジメチルチオ尿素;ジエチルチオ尿素;およびこれらの塩が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0037】
無電解ニッケルめっき液中でより不安定な硫黄系化合物の場合には、無電解ニッケルめっき処理を行う際に、より迅速でより高精度の測定およびそれに基づく浴液の管理が望まれるところ、かかる硫黄系化合物が使用される場合に本発明の管理方法の利点がより大きくなる。よって、この観点から、硫黄系化合物は、無電解ニッケルめっき液中で不安定な硫黄系化合物に対してより好適に濃度を測定することができ、より好ましくは、メルカプトコハク酸、チオ乳酸、イソチオシアン酸アリル、チオ尿素、ジメチルチオ尿素、ジエチルチオ尿素およびこれらの塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
また、無電解ニッケルめっき液の基本組成としては、公知の、通常の無電解ニッケルめっき液に使用されるものであれば特に制限なく使用することができ、本発明の目的が達成される限りにおいては、適宜、基本組成の組成物の変更、濃度の変更、任意の添加剤の添加等をすることが可能である。また、無電解ニッケルめっき液のpHも任意であり、特に限定されるものではないが、好ましくは、無電解ニッケルめっき液のpHは4〜7である。
【0039】
無電解ニッケルめっき液に含まれるニッケルのソースとしては、ニッケルイオンを浴液に供給できるものであれば、任意のソースが可能であり、例えば、硫酸ニッケル、次亜リン酸ニッケル、酢酸ニッケル、塩化ニッケル等のニッケル塩が可能であるがこれらに限定されるものではない。これらのニッケル塩としては、一般には、0.01〜1モル/Lの濃度である。また、無電解ニッケルめっき液に、次亜リン酸およびその塩、例えば、次亜リン酸ナトリウム、並びに、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、ヒドラジンなどの還元剤が含まれていてもよい。これら還元剤の濃度としては、一般には、0.01〜1モル/Lである。また、本実施形態の無電解ニッケルめっき液は、錯化剤を含むことができ、錯化剤としては、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酢酸等の有機酸およびこれらの塩、並びに、グリシン、アラニン、イミノジ酢酸、アルギニン、グルタミン酸をはじめとするアミノ酸およびこれらの塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
このような組成の無電解ニッケルめっき液の硫黄系化合物の濃度を測定するシステムを以下に示す。具体的には、図1に示すように、濃度管理システム1は、採取槽3、電気化学測定装置4、制御装置5、および調整装置6を備えている。採取槽3は、無電解ニッケルめっき浴2から無電解ニッケルめっき液Lを採取し、無電解ニッケルめっき液の硫黄系化合物を分析するための槽であり、無電解ニッケルめっき浴2の浴内を配管71を介して連通している。
【0041】
ここで、配管71には、無電解ニッケルめっき浴2の可動時間に応じて、採取槽3に無電解ニッケルめっき液を一定量供給する調整弁(図示せず)が設けられており、この調整弁を開弁することにより、無電解ニッケルめっき浴2から無電解ニッケルめっき液Lを採取槽3に採取することができる。
【0042】
また、採取槽3は、測定後の無電解ニッケルめっき液Lを廃液する廃液用の配管72に接続されており、硫黄系化合物の濃度の測定(算出)完了後、制御装置5から出力信号を出力し、これにより、廃液用の配管72に接続された廃液弁(図示せず)を開弁するように構成されている。
【0043】
さらに、配管71には、無電解ニッケルめっき浴2からの無電解ニッケルめっき液Lを冷却する冷却装置(図示せず)をさらに、備えていてもよい。冷却装置を設けることにより、採取した無電解ニッケルめっき液Lの温度を調整し、より精度よく無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の濃度を測定することができる。
【0044】
このような採取槽3を設けることにより、無電解ニッケルめっき浴2への添加剤以外の薬液の補給及びめっき付けによる浴内変動(温度変化、流れの変化等)の影響を受けにくくすることができる。
【0045】
また、採取槽3にヒータまたは断熱材等を設けて、無電解ニッケルめっき液の温度を一定に保つ構造にしてもよい。これにより、後述する作用電極41と硫黄系化合物との反応性を一定に保つことができる。
【0046】
さらに、採取槽3には、電気化学測定装置4が配置されている。この電気化学測定装置4は、例えば、一般的に用いられるポテンショスタットの機能を有した装置である。具体的には、電気化学測定装置4は、作用電極41、対極42、参照電極43を備えている。
【0047】
ここで、作用電極41は、採取槽3に収容された無電解ニッケルめっき液Lに接触する少なくとも表面が、金、銀、または白金からなる電極である。また、作用電極41は、採取した無電解ニッケルめっき液Lを攪拌するために回転する回転電極となっている。
【0048】
ここで、作用電極41に回転電極を用いたが、例えば無電解ニッケルめっき液Lを攪拌するための攪拌装置を別途配置してもよく、採取槽3の底部に空気を供給し、無電解ニッケルめっき液Lをバブリングすることにより攪拌してもよい。このように攪拌機構を設けることにより、作用電極41に、一定濃度の硫黄系化合物を供給することができる。
【0049】
また、対極42は、白金(線)からなり、参照電極43は、銀/塩化銀からなる。無電解ニッケルめっき液L中において安定して存在することができる材料であれば、対極42、参照電極43の材質は、特に限定されるものではない。
【0050】
更に、電気化学測定装置4には、参照電極43に対する作用電極41の電位を制御する電圧制御装置44、及び対極42と作用電極41との間に流れる電流を測定する電流計45を備えている。また、電圧制御装置44は、無電解ニッケルめっき液Lが採取槽3に採取された後、後述する制御装置5からの出力信号で、作用電極41の電位を一定電位で一定時間保持する制御ができるように、制御装置に接続されていている。
【0051】
電気化学測定装置4を上述した構成にすることにより、採取槽3で採取された無電解ニッケルめっき液L中の参照電極43に対する作用電極41の制御した電位に応じて、作用電極41と対極42との間に流れる電流を電流計45で測定することができる。
【0052】
制御装置5は、演算装置(CPU),メモリー(RAM、ROM)、タイマ等(図示せず)を備えている。演算装置では、メモリーからデータを読み出して後述する硫黄系化合物の濃度を計算し、無電解ニッケルめっき浴内の硫黄系化合物の濃度を調整する方法を選択するような演算を行う。メモリーには、後述する作用電極41と対極42との間に流れる電流と、硫黄系化合物の濃度との対応関係(例えば、対応表、または対応式等)、無電解ニッケルめっき浴内の無電解ニッケルめっき液の目標となる濃度の値等が記憶されている。
【0053】
そして、制御装置5は、電気化学測定装置4から出力された電流計45の電流Iに基づいて、無電解ニッケルめっき液L中の硫黄系化合物の濃度を算出する。具体的には、制御装置5は、作用電極41と対極42との間に流れる電流と硫黄系化合物の濃度との対応関係をメモリーから読み出し、この対応関係から、演算装置で硫黄系化合物の濃度を算出する。
【0054】
さらに詳細に説明すると、制御装置5は、作用電極41と対極42との間に、一定時間保持したときの電流Iの値を積算することにより作用電極41と対極42との間に流れる電荷量を算出する。そして、電荷量に基づいて、電荷量Qと硫黄系化合物の濃度Dとの線形的な対応関係から、無電解ニッケルめっき液L中の硫黄系化合物の濃度を算出する。
【0055】
制御装置5は、算出された無電解ニッケルめっき液Lの硫黄系化合物の濃度に基づいて、無電解ニッケルめっき浴2内の硫黄系化合物の濃度が所定の濃度になるように、無電解ニッケルめっき浴2内の硫黄系化合物の濃度を調整する制御信号Sを出力するようになっている。
【0056】
調整装置6は、無電解ニッケルめっき浴2内の硫黄系化合物の濃度を調整する装置であり、補給タンク61と、補給タンク61から無電解ニッケルめっき浴2に所望の調整剤等を供給すためのポンプ62と、を備えている。補給タンク61には、ニッケル濃度調整剤、pH調整剤、還元剤、硫黄系化合物(添加剤)等が個別に収容されており(図示せず)、これらは、選択的に切換え弁(図示せず)を用いて、個別に、ポンプ62を介して無電解ニッケルめっき浴2に供給可能となっている。具体的には、調整装置6は、制御装置5の制御信号Sにより、切換え弁でその供給すべき調整剤等を選択し、ポンプ62を所定の出力で所定時間駆動するようになっている。
【0057】
このような硫黄系化合物の濃度管理システム1を用いて、以下に示す硫黄系化合物の濃度管理方法を行うことができる。
【0058】
まず、無電解ニッケルめっき浴2内の無電解ニッケルめっき液を、採取槽3に採取する工程を行う。この工程では、たとえば、無電解ニッケルめっき浴2を所定時間稼動したことを制御装置5がタイマ等を用いて判断して、無電解ニッケルめっき浴2の可動時間に応じて、採取槽3に無電解ニッケルめっき液を一定量供給するように、上述した調整弁を開弁する。これにより、採取槽3には、無電解ニッケルめっき液Lが供給される。そして、採取した無電解ニッケルめっき液を、採取槽3内において温度調整(冷却)および静置する。
【0059】
次に、電気化学測定装置4を用いて、採取槽3内の無電解ニッケルめっき液Lに、作用電極41、対極42、参照電極43を接触させ(浸漬し)、作用電極41を回転させる。そして、電圧制御装置44を制御して、参照電極43に対する作用電極41の電位を一定電圧(例えば銀電極を用いた場合には、200〜300mVの範囲の一定電圧)で、一定時間(例えば1分間)保持し、対極42と作用電極41との間に流れる電流Iを測定する。
【0060】
制御装置5を用いて、電気化学測定装置4で測定した電流に基づいて、無電解ニッケルめっき液L中の硫黄系化合物の濃度を算出する。具体的には、クーロメトリーにより作用電極41の電位を一定電位で一定時間保持したときの電流Iの値を積算することにより、対極42と作用電極41との間に流れる電荷量を算出し、電荷量に基づいて無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の濃度を算出する。
【0061】
このように作用電極41に、金、銀、または白金を用いて、参照電極43に対して作用電極41を任意の電位に制御したときに、無電解ニッケルめっき液L中の硫黄系化合物が、作用電極41表面で酸化(もしくは吸着)・還元(もしくは脱離)することにより、対極と42作用電極41との間に電流が流れる。この流れた電流と無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の濃度の関係が後述する実施例の如く比例関係(後述する実施例1及び2を参照)にあることから、この電流を測定することにより、硫黄系化合物の濃度をこれまでの方法に比べてより正確に算出することができる。
【0062】
特に、本実施形態では、作用電極41の電位を一定時間保持し、そのときの電流を測定し、その一定時間における作用電極41と対極42との間に流れる電流値を積算することにより得られる電荷量に応じて、硫黄化合物に由来する上述の現象(すなわち、硫黄系化合物の濃度)を確認することができる。これにより、硫黄系化合物の濃度がより低い濃度であっても、ノイズ等を抑えて、無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の濃度を正確に測定することができる。
【0063】
さらに、制御装置5で、算出された硫黄系化合物の濃度に基づいて、無電解ニッケルめっき浴内の硫黄系化合物の濃度が所定の濃度になるような調整方法を選択し、制御信号Sを出力する。
【0064】
具体的には、算出された硫黄系化合物の濃度が所定の濃度より低い場合には、無電解ニッケルめっき浴2内に、硫黄系化合物を供給するように、調整装置6のポンプ62を駆動し、無電解ニッケルめっき浴内の硫黄系化合物の濃度を高める。一方、算出された硫黄系化合物の濃度が所定の濃度より高い場合には、無電解ニッケルめっき浴2内に、硫黄系化合物を含まない無電解ニッケルめっき液そのものを供給して、無電解ニッケルめっき浴2内の硫黄系化合物の濃度を薄めることができる。
【0065】
さらに、硫黄系化合物の濃度測定後、採取槽3において、参照電極43に対する作用電極41の電位を、上述した方向とは逆方向に制御し、作用電極41に吸着した硫黄分を除去してもよく、測定後の無電解ニッケルめっき液Lを配管72を介して廃液する際に、洗浄液で洗浄してもよい。
【実施例】
【0066】
以下に本実施形態のうち、硫黄系化合物の濃度測定に関する実施例を以下に示す。
(実施例1)
1.試験条件および試験方法
表1に示す組成の無電解ニッケルめっき液を準備した。なお、硫黄系化合物に、チオ尿素を用い、この添加割合を1倍(30μmol/L)〜10倍までとした無電解ニッケルめっき液を準備して、それぞれの無電解ニッケルめっき液に対して以下の測定を行った。
【0067】
【表1】

【0068】
次に、電気化学測定装置として、(株)東陽テクニカ製ポテンシオスタットSI 1287を用いた。作用電極には銀ディスク電極、対電極には白金線、および参照電極にはAg/AgCl (飽和KCl溶液)を用いて測定した。
【0069】
具体的には、参照電極に対する作用電極の電位の掃引範囲0→400mV、掃引速度5mV/sとし、作用電極回転数1000rpmの測定条件で、LSV(Linear sweep voltammetry)を行った。この結果を図2に示す。なお、図2に示すS×0は、硫黄系化合物を添加していない無電解ニッケルめっき液の測定結果、S×1は1倍量…S×10は、10倍量の硫黄系化合物を添加した無電解ニッケルめっき液の測定結果である。なお、図2及び後述する図3の縦軸は、電流密度であり、電流密度は、電流値を作用電極の表面積で除算したものであり、作用電極の単位面積当たりに流れる電流である。また、図2の横軸は、上記電流密度が与えられたときの参照電極に対する作用電極の電位であり、図3の横軸は、上述した1倍を標準量として、正規化した硫黄系化合物の割合である。
【0070】
2. 結果および考察
LSVの結果を図2に示すように、200〜300mV付近に硫黄濃度変化に伴うピークの変化が見られた。これは、無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物が、作用電極上で酸化もしくは吸着することにより、対極と作用電極との間に電流が流れたことに起因すると考えられる。相関性を確認するため、300,310mVにおける電流密度−溶液中硫黄化合物量との関係を図3に示した。その結果、直線性を確認したが、相関係数は0.99程度であった。
【0071】
(実施例2)
実施例1の無電解ニッケルめっき液に対して硫黄系化合物の濃度をより低くした無電解ニッケルめっき液を準備し、クーロメトリーにより、測定を行った。具体的には、参照電極に対する作用電極の電位を一定電位(電解電位+310mV)で一定時間(1分間)保持し、作用電極の回転数を1000rpmの条件にした。そして、一定時間保持したときの電流を積算することにより対極と作用電極との間に流れる電荷量を、硫黄系化合物の添加割合毎に算出した。この結果を、図4に示す。
【0072】
図4に示すように、LSVに比べて、クーロメトリーの場合には、電荷量と硫黄系化合物の量には高い直線性を示し、硫黄化合物が低濃度の条件下でも、ノイズの影響がほとんどなく、硫黄系化合物の定量が可能であることが分かった。
【0073】
このように、実施例1または2に示すグラフを用いて、測定した電流(電荷量)から、硫黄系化合物の濃度を制御装置で演算すれば、精度の高い硫黄系化合物の濃度を算出することができる。また、制御装置を用いて、クーロメトリーにより硫黄系化合物の濃度を算出すれば、より精度の高い硫黄系化合物の濃度を得ることができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【0075】
本実施形態では、制御装置を用いて、硫黄系化合物の濃度を調整したが、この方法に限定されず、一連の工程を手動により行ってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1:濃度管理システム、2:無電解ニッケルめっき浴、3:採取槽、4:電気化学測定装置、41:作用電極、42:対極、43:参照電極、44:電圧制御装置、45:電流計、5:制御装置、6:調整装置、61:補給タンク、62:ポンプ、71、72:配管、I:電流、L:無電解ニッケルめっき液、S:制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無電解ニッケルめっき浴内の無電解ニッケルめっき液に添加された硫黄系化合物の濃度を測定し、前記無電解ニッケルめっき液中の前記硫黄系化合物の濃度を管理する濃度管理方法であって、
前記無電解ニッケルめっき液に接触する少なくとも表面が、金、銀、または白金からなる作用電極を用いると共に、参照電極に対する前記作用電極の電位に応じて、対極と前記作用電極との間に流れる電流を測定する工程と、
該測定した電流に基づいて、前記無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の濃度を算出する工程と、
該算出された硫黄系化合物の濃度に基づいて、前記無電解ニッケルめっき浴内の硫黄系化合物の濃度が所定の濃度になるように、前記無電解ニッケルめっき浴内の硫黄系化合物の濃度を調整する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする硫黄系化合物の濃度管理方法。
【請求項2】
前記電流を測定する工程において、前記作用電極の電位を一定電位で一定時間保持し、
前記硫黄系化合物の濃度を算出する工程において、前記一定時間保持したときの電流値を積算することにより前記対極と前記作用電極との間に流れる電荷量を算出し、該電荷量に基づいて前記無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の濃度を算出することを特徴とする請求項1に記載の硫黄系化合物の濃度管理方法。
【請求項3】
前記電流を測定する工程の前に、前記無電解ニッケルめっき浴内の前記無電解ニッケルめっき液を採取する工程をさらに含み、
前記電流を測定する工程において、前記採取した記無電解ニッケルめっき液を用いて前記電流を測定することを特徴とする請求項1または2に記載の硫黄系化合物の濃度管理方法。
【請求項4】
無電解ニッケルめっき浴内の無電解ニッケルめっき液に添加された硫黄系化合物の濃度を測定し、該硫黄系化合物の濃度を管理する濃度管理システムであって、
無電解ニッケルめっき液に接触する少なくとも表面が、金、銀、または白金からなる作用電極と、対極と、参照電極と、該参照電極に対する前記作用電極の電位を制御する電圧制御装置と、前記対極と前記作用電極との間に流れる電流を測定する電流計と、を備え、前記無電解ニッケルめっき液中の前記参照電極に対する前記作用電極の電位に応じて、前記作用電極と前記対極との間に流れる電流を前記電流計で測定する電気化学測定装置と、
該電気化学測定装置から出力された前記電流計の電流に基づいて、前記無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の濃度を算出し、該算出された無電解ニッケルめっき液の硫黄系化合物の濃度に基づいて、前記無電解ニッケルめっき浴内の硫黄系化合物の濃度が所定の濃度になるように、前記無電解ニッケルめっき浴内の硫黄系化合物の濃度を調整する制御信号を出力する制御装置と、
該制御装置からの制御信号に基づいて前記無電解ニッケルめっき浴内の硫黄系化合物の濃度を調整する調整装置と、を少なくとも備えることを特徴とする硫黄系化合物の濃度管理システム。
【請求項5】
前記電気化学測定装置は、前記作用電極の電位を一定電位で一定時間保持するものであり、
前記制御装置は、前記一定時間保持したときの電流値を積算することにより前記対極と前記作用電極との間に流れる電荷量を算出し、該電荷量に基づいて前記無電解ニッケルめっき液中の硫黄系化合物の濃度を算出することを特徴とする請求項4に記載の硫黄系化合物の濃度管理システム。
【請求項6】
前記無電解ニッケルめっき浴から前記無電解ニッケルめっき液を採取するため採取槽をさらに備え、該採取槽内に、前記電気化学測定装置が配置されていることを特徴とする請求項4または5に記載の硫黄系化合物の濃度管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−177658(P2012−177658A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41764(P2011−41764)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(593174641)メルテックス株式会社 (28)
【Fターム(参考)】