説明

硬さ試験機

【課題】焦点調整時における、AFステージの位置ずれの発生を回避可能な硬さ試験機を提供する。
【解決手段】試料の表面を撮像する撮像手段と、撮像手段により撮像された画像データに基づいて試料台を昇降させ、試料の表面に焦点を合わせるAFステージと、を備える。AFステージは、ベース部材と、ベース部材の上部に載置され、ベース部材上をベース部材の一方向に移動するスライダと、スライダを前記一方向に移動させる駆動手段と、スライダの上部に載置され、スライダの前記一方向の移動に連動して上下方向に移動するテーブルと、テーブルの前記一方向一端部に連結され、テーブルに対して一端部方向への付勢力を付与する弾性部材と、テーブルの一端部と当接して、テーブルの水平方向への移動を規制するとともに、テーブルの上下方向の移動に際し転がり案内する案内部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬さ試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブリネル硬さ試験機、ビッカース硬さ試験機、ヌープ硬さ試験機等の各種硬さ試験機においては、試料の表面に形成されたくぼみの寸法に基づいて試料の硬さが測定される。
例えば、ビッカース硬さ試験機では、先端が四角錘状の圧子を試料の表面に押し込んで、試料に形成されたくぼみの対角線の長さを光学顕微鏡等で計測し、この計測したくぼみの対角線の長さに基づいて硬さを算出する。そして、上記くぼみの寸法を計測するにあたっては、計測誤差を生じさせないために、くぼみが形成された試料の表面に対する焦点合わせを行う必要がある。
【0003】
上記焦点合わせを行う硬さ試験機として、例えば、くぼみが形成された試料における複数の焦点調整位置を指定し、指定された焦点調整位置に合焦するように撮像部を操作してくぼみを撮像し、指定された焦点調整位置におけるくぼみの合焦度合いを算出してモニタに表示させることで、好適に焦点調整を行うことができるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
現状では、試料を搭載した台を上下(Z)方向に移動させることで、焦点調整を行っている。そして、自動で焦点調整を行うオートフォーカス機能を有する硬さ試験機の場合、自動で上下動する台(以下、AFステージ)が備えられている。
【0005】
オートフォーカス時に高倍の対物レンズを使用する場合、焦点深度が浅くなる(例えば、100倍の対物レンズで焦点深度が0.5μm程度)ため、高分解能のAFステージが必要となる。
そこで、従来のAFステージ104は、例えば、図11に示すように、ベース部材141と、ベース部材141の上部に載置されたスライダ142と、スライダ142の上部に載置されたテーブル143と、を備えた三層構造をなしており、右端部が左端部よりも厚みのあるくさび形状の部材で形成されたスライダ142を左右方向に移動させることにより、スライダ142の上部に載置されたテーブル143を微細に上下動させることで、高分解能化を実現している。
そして、スライダ142の左右方向の移動によりテーブル143が水平方向(特に右方向)に移動して位置ずれを起こすことを防止するため、テーブル143に対して引っ張りバネ148により左端部方向への付勢力が付与されるようになっている。
また、ベース部材141には、テーブル143の左端部と当接して、テーブル143の左方向への移動を規制する案内部149が設けられている。案内部149の右端部には、図12に示すように、右端部から右方向にわずかに突出した樹脂部材149aが設けられ、樹脂部材149aがテーブル143の左端部と接触するようになっている。樹脂部材149aは、テーブル143との接触面(右側面)がフラット形状に形成され、接触面の中央部に形成された凹部において、ネジ149bにより案内部149に締結されている。
【0006】
また、従来の硬さ試験機は、AFステージを移動させながらCCDカメラにより画像信号を順次取り込み、得られた画像に基づいてPCによりフォーカス位置を解析し、解析したフォーカス位置へとAFステージを移動させることで、オートフォーカスを行う。このため、従来の硬さ試験機には、水平(左右又は前後)方向に移動させた試料の観察画像を複数枚取得し、取得した複数の観察画像を張り合わせることで、広範囲に亘る試料表面の観察画像をPCの表示画面上に表示させるシステムが搭載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−2247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来のAFステージ104の場合、テーブル143は、接触面がフラット形状に形成された樹脂部材149a上を滑りながら上下動することとなるが、テーブル143を所定のフォーカス位置へと移動させる際に、フォーカス位置の下側から上方向に移動させる場合とフォーカス位置の上側から下方向に移動させる場合とで、フォーカス位置において水平方向に位置ずれが生じることがあった。
【0009】
上記位置ずれを回避するには、例えば、フォーカス位置の上側から下方向に移動させる場合に、一旦フォーカス位置の下側までテーブル143を通過させた後、フォーカス位置の下側から上方向に移動させる等、常に一定方向(ここでは、フォーカス位置の下側から上方向に移動)からの位置決めを行う必要があり、余計な手間が生じていた。
【0010】
また、広範囲に亘る試料表面の観察画像をPCの表示画面上に表示させる際、テーブル143の水平方向の位置ずれが生じると、取得される観察画像にずれが生じるため、試料表面の正確な観察画像を表示させることができない。この現象は、特に、レンズ倍率が高ければ高いほど顕著なものとなる。
【0011】
本発明は、焦点調整時における、AFステージの位置ずれの発生を回避可能な硬さ試験機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
試料台に載置された試料の表面に圧子により所定の試験力を負荷してくぼみを形成させ、当該くぼみの寸法を計測することにより試料の硬さを測定する硬さ試験機において、
前記試料の表面を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された画像データに基づいて前記試料台を昇降させ、前記試料の表面に焦点を合わせるAFステージと、を備え、
前記AFステージは、
ベース部材と、
前記ベース部材の上部に載置され、前記ベース部材上を前記ベース部材の一方向に移動するスライダと、
前記スライダを前記一方向に移動させる駆動手段と、
前記スライダの上部に載置され、前記スライダの前記一方向の移動に連動して上下方向に移動するテーブルと、
前記テーブルの前記一方向一端部に連結され、前記テーブルに対して一端部方向への付勢力を付与する弾性部材と、
前記テーブルの一端部と当接して、前記テーブルの水平方向への移動を規制するとともに、前記テーブルの上下方向の移動に際し転がり案内する案内部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の硬さ試験機において、
前記テーブルの一端部のうち前記案内部と当接する箇所に、V溝が上下方向に沿って形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の硬さ試験機において、
前記案内部は、前記テーブルとの当接面がクラウン形状に形成されたローラであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、AFステージのテーブルを所定のフォーカス位置へと移動させる際に、転がり案内によりテーブルが上下方向に案内されることとなって、案内部からの応力等の影響を軽減させることができ、焦点調整時における、AFステージの位置ずれの発生を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係る硬さ試験機の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係る硬さ試験機の試験機本体を示す模式図である。
【図3】本実施形態に係る硬さ試験機の硬さ測定部を示す模式図である。
【図4】本実施形態に係る硬さ試験機の制御構造を示すブロック図である。
【図5】本実施形態に係るAFステージの全体構成を示す斜視図である。
【図6】本実施形態に係るAFステージを側面からみた図である。
【図7】本実施形態に係るAFステージが下方向に移動する様子の一例を示す側面図である。
【図8】本実施形態に係るAFステージが上方向に移動する様子の一例を示す側面図である。
【図9】本実施形態に係るAFステージの変形例1を示す上面図である。
【図10】本実施形態に係るAFステージの変形例2を示す上面図である。
【図11】従来のAFステージの全体構成を示す斜視図である。
【図12】従来のAFステージの案内部の構成を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、図1におけるX方向を左右方向とし、Y方向を前後方向とし、Z方向を上下方向とする。また、X−Y面を水平面とする。
【0018】
硬さ試験機100は、例えば、ビッカース硬さ試験機であり、図1、図2に示すように、試験機本体10と、制御部6と、操作部7と、モニタ8等を備えている。
【0019】
試験機本体10は、試料Sの硬さ測定を行う硬さ測定部1と、試料Sを載置する試料台2と、試料台2を移動させるXYステージ3と、試料Sの表面に焦点を合わせるためのAFステージ4と、試料台2(XYステージ3、AFステージ4)を昇降する昇降機構部5等を備えている。
【0020】
硬さ測定部1は、例えば、図3に示すように、試料Sの表面を照明する照明装置11と、試料Sの表面を撮像するCCDカメラ12(撮像手段)と、圧子14aを備える圧子軸14と対物レンズ15を備え、回転することにより圧子軸14と対物レンズ15との切り替えが可能なターレット16等により構成されている。
【0021】
照明装置11は、光を照射することにより試料Sの表面を照明するものであり、照明装置11から照射される光は、レンズ1a、ハーフミラー1d、ミラー1e、対物レンズ15を介して試料Sの表面に到達する。
【0022】
CCDカメラ12は、試料Sの表面から対物レンズ15、ミラー1e、ハーフミラー1d、ミラー1g、及びレンズ1hを介して入力された反射光に基づき、当該試料Sの表面や圧子14aにより試料Sの表面に形成されるくぼみを撮像して画像データを取得し、複数フレームの画像データを同時に蓄積、格納可能なフレームグラバ17を介して、制御部6に出力する。
これにより、CCDカメラ12は、撮像手段として機能する。
【0023】
圧子軸14は、制御部6が出力する制御信号に応じて駆動される負荷機構部(図示省略)により、試料台2に載置された試料Sに向け移動され、先端部に備えた圧子14aを試料Sの表面に所定の試験力で押し付ける。
【0024】
対物レンズ15は、それぞれ異なる倍率からなる集光レンズであり、ターレット16の下面に複数保持されており、ターレット16の回転により試料Sの上方に配置されることで、照明装置11から照射される光を一様に試料Sの表面に照射させる。
【0025】
ターレット16は、下面に圧子軸14と複数の対物レンズ15を取り付け、Z軸方向を中心に回転することにより、当該圧子軸14と複数の対物レンズ15の中の何れか一つを切り替えて試料Sの上方に配置可能なように構成されている。つまり、圧子軸14を試料Sの上方に配置することで試料Sの表面にくぼみを形成し、対物レンズ15を試料Sの上方に配置することで、当該形成されたくぼみを観察することが可能となる。
【0026】
試料台2は、上面に載置される試料Sを試料固定部2aで固定する。
XYステージ3は、制御部6が出力する制御信号に応じて駆動する駆動機構部(図示省略)により駆動され、試料台2を圧子14aの移動方向(Z軸方向)に垂直な方向(X軸,Y軸方向)に移動させる。
AFステージ4は、制御部6が出力する制御信号に応じて駆動され、CCDカメラ12が撮像した画像データに基づき試料台2を微細に昇降させ、試料Sの表面に焦点を合わせる。なお、AFステージ4の詳細な構成については後述する(図5,6参照)。
昇降機構部5は、制御部6が出力する制御信号に応じて駆動され、試料台2(XYステージ3、AFステージ4)を上下方向に移動させることで、試料台2と対物レンズ15との間の相対距離を変化させる。
【0027】
操作部7は、キーボード71、マウス72等により構成されており、硬さ試験を行う際のユーザによる入力操作を実行させる。そして、操作部7により所定の入力操作がなされると、その入力操作に応じた所定の操作信号が制御部6に出力される。
【0028】
具体的には、操作部7は、上記キーボード71やマウス72等を介して、くぼみの合焦位置を決定する条件をユーザに選択させることができる。
また、操作部7は、ユーザに、試料台2(昇降機構部5及びAFステージ4)の移動する範囲(試料台2と対物レンズ15との間の相対距離の範囲)を指定させることができる。
また、操作部7は、ユーザに、当該硬さ試験機100による硬さ試験を実施する際の試験条件値を入力させることができる。そして、入力された試験条件値は制御部6に送信される。ここで、試験条件値とは、例えば、試料Sの材質、圧子14aにより試料Sに負荷される試験力(N)、対物レンズ15の倍率、等の値である。
また、操作部7は、ユーザに、くぼみの合焦位置の決定を手動で行う手動モード、あるいは自動で行う自動モードの何れかを選択させることができる。
【0029】
モニタ8は、例えば、LCDなどの表示装置により構成されており、操作部7において入力された硬さ試験の設定条件、硬さ試験の結果、CCDカメラ12が撮像した試料Sの表面や試料Sの表面に形成されるくぼみの画像等を表示する。
【0030】
制御部6は、図4に示すように、CPU(Central Processing Unit)61、RAM(Random Access Memory)62、記憶部63等を備えて構成され、記憶部63に記憶された所定のプログラムが実行されることにより、所定の硬さ試験を行うための動作制御等を行う機能を有する。
【0031】
CPU61は、記憶部63に格納された処理プログラム等を読み出して、RAM62に展開して実行することにより、硬さ試験機100全体の制御を行う。
【0032】
RAM62は、CPU61により実行された処理プログラム等を、RAM62内のプログラム格納領域に展開するとともに、入力データや上記処理プログラムが実行される際に生じる処理結果等をデータ格納領域に格納する。
【0033】
記憶部63は、例えば、プログラムやデータ等を記憶する記録媒体(図示省略)を有しており、この記録媒体は、半導体メモリ等で構成されている。また、記憶部63は、CPU61が硬さ試験機100全体を制御する機能を実現させるための各種データ、各種処理プログラム、これらプログラムの実行により処理されたデータ等を記憶する。より具体的には、記憶部63は、例えば、XYステージ制御プログラム、自動合焦プログラム、硬さ測定部制御プログラム等を格納している。
【0034】
CPU61は、記憶部63内に格納されたXYステージ制御プログラムを実行することにより、試料Sの表面の所定領域がCCDカメラ12の真下に位置するようにXYステージ3を移動させる。
また、CPU61は、記憶部63内に格納された自動合焦プログラムを実行することにより、硬さ測定部1のCCDカメラ12によって得られる画像情報に基づいて、AFステージ4を昇降させ、試料Sの表面に対する自動合焦を行う。
また、CPU61は、記憶部63内に格納された硬さ測定部制御プログラムを実行することにより、圧子14aを所定の試験力で試料Sの表面に押し付けてくぼみを形成したり、CCDカメラ12によって生成される試料Sの表面の画像情報に基づいてくぼみの対角線長さを計測したりするとともに、計測したくぼみの対角線長さに基づいて試料Sの硬さを算出する。
また、CPU61は、CCDカメラ12によって生成した試料Sの表面の画像情報や、硬さ測定部制御プログラムの実行により算出された試料Sの硬さの算出結果等をモニタ8に表示させる。
【0035】
次に、AFステージ4について、詳細に説明する。
AFステージ4は、図5,6に示すように、ベース部材41と、ベース部材41の上部に載置されたスライダ42と、スライダ42の上部に載置されたテーブル43と、を備えた三層構造をなしている。
【0036】
ベース部材41は、左右方向に長尺な矩形の板状部材で形成され、AFステージ4の三層構造のうち最下層を構成している。また、ベース部材41は、下面がXYステージ3の上面に載置されている。
【0037】
スライダ42は、右端部が左端部よりも厚みのあるくさび形状の部材で形成され、駆動源(モータ47)の回転力を左右方向の直線運動に変換するボールネジ44を介して、ベース部材41上を左右方向(ベース部材41の長手方向)に移動させるようになっている。また、スライダ42の上面及び下面には、例えば、クロスローラやLMガイド等の部材で形成された転がり案内42a、…が設けられており、スライダ42がベース部材41とテーブル43との間をガタなくスムーズに移動できるようになっている。
【0038】
ボールネジ44は、一端(右端)がスライダ42の左端部からスライダ42の内部を貫通し、他端(左端)がモータ47の回転力を伝達するカップリング46の右端部に連結されたネジ部44aと、モータ47の回転力によりネジ部44a上を左右方向に移動するナット部44bと、を備えて構成されている。ナット部44bは、スライダ42の左端部に固定されており、ナット部44bの左右方向の移動に合わせてスライダ42も左右方向に移動するようになっている。また、ボールネジ44(ネジ部44a)は、カップリング46とナット部44bとの間において、ベース部材41の上面に設けられた軸受45により軸支されている。
【0039】
従って、モータ47の回転力がカップリング46を介してボールネジ44に伝達され、その回転力でボールネジ44のナット部44bがネジ部44a上を左右方向に移動することにより、スライダ42が左右方向に移動するようになっている。
即ち、モータ47、カップリング46、及びボールネジ44は、スライダ42を左右方向に移動させる駆動手段として機能する。
【0040】
テーブル43は、左端部が右端部よりも厚みのあるくさび形状の部材で形成されている。即ち、テーブル43の上面がベース部材41と平行になるように、スライダ42及びテーブル43の厚みが調整されている。テーブル43の上面には、試料台2が載置されている。
また、テーブル43は、右端部が左端部よりも厚みのあるくさび形状の部材で形成されたスライダ42の左右方向の移動に連動して、上下方向に移動するようになっている。具体的には、例えば、図7に示すように、スライダ42が右方向に移動した場合、テーブル43は下方向に移動する(図中h1)。また、例えば、図8に示すように、スライダ42が左方向に移動した場合、テーブル43は上方向に移動する(図中h2)。
【0041】
また、テーブル43の左端部には、引っ張りバネ48(弾性部材)が連結されており、この引っ張りバネ48によりテーブル43に常時左端部方向への付勢力が付与されている。これにより、スライダ42の左右方向の移動に伴うテーブル43の水平方向(右方向)の移動が規制されるようになっている。
【0042】
また、テーブル43の左端部に当接して、テーブル43の水平方向(左方向)への移動を規制する案内部49が、ベース部材41に設けられている。案内部49は、例えば、カムフォロア、ローラフォロア、ベアリング、及び鋼球等の転がり案内用の部材で形成される。これにより、テーブル43の上下方向の移動に伴うテーブル43の水平方向の移動が規制されるとともに、テーブル43の上下方向の移動に際し転がり案内するようになっている。
【0043】
次に、本実施形態に係るAFステージ4の作用について、図7,8を用いて説明する。
AFステージ4は、制御部6が出力する制御信号に応じて駆動され、CCDカメラ12が撮像した画像データに基づき試料台2を微細に昇降させ、試料Sの表面に焦点を合わせる。
【0044】
例えば、フォーカス位置が下方であると判定された場合等、制御部6により下方向への移動を指示された場合、図7に示すように、スライダ42が右方向に移動される。具体的には、モータ47の回転力がカップリング46を介してボールネジ44に伝達され、その回転力でボールネジ44のナット部44bがネジ部44a上を右方向に移動することにより、スライダ42は右方向に移動する。スライダ42が右方向に移動すると、スライダ42の上面に載置されたテーブル43は下方向に移動し、フォーカス位置へと移動する。このとき、テーブル43の左端部と当接する案内部49によりテーブル43の水平方向の移動が規制されるとともに、テーブル43の下方向の移動に際し転がり案内される。
【0045】
また、フォーカス位置が上方であると判定された場合等、制御部6により上方向への移動を指示された場合、図8に示すように、スライダ42が左方向に移動される。具体的には、モータ47の回転力がカップリング46を介してボールネジ44に伝達され、その回転力でボールネジ44のナット部44bがネジ部44a上を左方向に移動することにより、スライダ42は左方向に移動する。スライダ42が左方向に移動すると、スライダ42の上面に載置されたテーブル43は上方向に移動し、フォーカス位置へと移動する。このとき、テーブル43の左端部と当接する案内部49によりテーブル43の水平方向の移動が規制されるとともに、テーブル43の上方向の移動に際し転がり案内される。
【0046】
以上のように、本実施形態に係る硬さ試験機100によれば、試料Sの表面を撮像するCCDカメラ12により撮像された画像データに基づいて試料台2を昇降させ、試料Sの表面に焦点を合わせるAFステージ4と、を備え、AFステージ4は、ベース部材41と、ベース部材41の上部に載置され、ベース部材41上をベース部材41の長手方向に移動するスライダ42と、スライダ42を前記長手方向に移動させる駆動手段(モータ47、カップリング46、及びボールネジ44)と、スライダ42の上部に載置され、スライダ42の前記長手方向の移動に連動して上下方向に移動するテーブル43と、テーブル43の前記長手方向一端部に連結され、テーブル43に対して一端部方向への付勢力を付与する引っ張りバネ48と、テーブル43の一端部と当接して、テーブル43の水平方向への移動を規制するとともに、テーブル43の上下方向の移動に際し転がり案内する案内部49と、を備えるので、テーブル43を所定のフォーカス位置へと移動させる際に、転がり案内によりテーブル43が上下方向に案内されることとなって、案内部49からの応力等の影響を軽減させることができ、焦点調整時における、AFステージ4の位置ずれの発生を回避することができる。
【0047】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0048】
<変形例1>
例えば、図9に示す例では、案内部として、例えば鋼球のような球体状の案内部49Aが設けられるとともに、テーブル43の左端部のうち案内部49Aと当接する箇所に、V字状のV溝43aが上下方向に沿って形成されている。そして、V溝43aに案内部49Aが当接した状態で、テーブル43が上下方向に移動する。ここで、例えば、図12に示したように、テーブル143の左端部と案内部149(樹脂部材149a)とがフラットな面同士で接触する場合、ミクロ的には接触面の表面粗さなどが影響するため、接触面積が大きければ大きいほど水平方向に対して不安定な状態となるが、テーブル43の左端部にV溝43aを形成した場合、テーブル43の左端部がフラットな構造と比べ、案内部49Aとの接触面積が小さくなるため、案内部49Aからの影響をさらに軽減させることができる。
【0049】
以上のように、変形例1に係る硬さ試験機100によれば、テーブル43の一端部のうち案内部49Aと当接する箇所に、V溝43aが上下方向に沿って形成されているので、案内部49Aとの接触面積が小さくなり、案内部49Aからの影響をさらに軽減させることができることとなって、AFステージ4の位置ずれをより確実に抑止することができる。
【0050】
<変形例2>
例えば、図10に示す例では、案内部49は、テーブル43との当接面がクラウン形状に形成されたローラである。従って、案内部49は、クラウン形状の先端部でテーブル43の左端部と当接する。このように、テーブル43との当接面をクラウン形状に形成している場合、テーブル43との当接面がフラットな構造と比べ、案内部49との接触面積が小さくなるため、案内部49からの影響をさらに軽減させることができる。
【0051】
以上のように、変形例2に係る硬さ試験機100によれば、案内部49は、テーブル43との当接面がクラウン形状に形成されたローラであるので、案内部49との接触面積が小さくなり、案内部49からの影響をさらに軽減させることができることとなって、AFステージ4の位置ずれをより確実に抑止することができる。
【0052】
また、上記実施形態では、駆動手段の構成として、モータ47、カップリング46、及びボールネジ44を例示して説明しているが、これに限定されるものではなく、スライダ42を左右方向に自在に移動させることができる構成であれば、いかなる構成であってもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、弾性部材の構成として、引っ張りバネ48を例示して説明しているが、これに限定されるものではなく、テーブル43に対して左端部方向への付勢力を付与できる構成であれば、いかなる構成であってもよい。
【0054】
その他、硬さ試験機100を構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0055】
100 硬さ試験機
10 試験機本体
1 硬さ測定部
12 CCDカメラ(撮像手段)
14 圧子軸
14a 圧子
2 試料台
3 XYステージ
4 AFステージ
41 ベース部材
42 スライダ
43 テーブル
44 ボールネジ(駆動手段)
45 軸受
46 カップリング(駆動手段)
47 モータ(駆動手段)
48 引っ張りバネ(弾性部材)
49、49A 案内部
5 昇降機構部
6 制御部
7 操作部
8 モニタ
S 試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料台に載置された試料の表面に圧子により所定の試験力を負荷してくぼみを形成させ、当該くぼみの寸法を計測することにより試料の硬さを測定する硬さ試験機において、
前記試料の表面を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された画像データに基づいて前記試料台を昇降させ、前記試料の表面に焦点を合わせるAFステージと、を備え、
前記AFステージは、
ベース部材と、
前記ベース部材の上部に載置され、前記ベース部材上を前記ベース部材の一方向に移動するスライダと、
前記スライダを前記一方向に移動させる駆動手段と、
前記スライダの上部に載置され、前記スライダの前記一方向の移動に連動して上下方向に移動するテーブルと、
前記テーブルの前記一方向一端部に連結され、前記テーブルに対して一端部方向への付勢力を付与する弾性部材と、
前記テーブルの一端部と当接して、前記テーブルの水平方向への移動を規制するとともに、前記テーブルの上下方向の移動に際し転がり案内する案内部と、を備えることを特徴とする硬さ試験機。
【請求項2】
前記テーブルの一端部のうち前記案内部と当接する箇所に、V溝が上下方向に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載の硬さ試験機。
【請求項3】
前記案内部は、前記テーブルとの当接面がクラウン形状に形成されたローラであることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬さ試験機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−19818(P2013−19818A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154376(P2011−154376)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】