説明

硬さ試験機

【課題】画像中の複数の測定ポイントを、分解能を維持したまま同時に表示することのできる硬さ試験機を提供する。
【解決手段】硬さ試験機100は、対物レンズを介して試料の表面に形成されたくぼみを撮像するCCDカメラ12と、CCDカメラ12により撮像されたくぼみの画像を表示するモニタ8と、CCDカメラ12により撮像されたくぼみの画像から、所定の測定ポイントを含んだ複数の領域を切り出す切り出し手段(CPU61、切り出しプログラム634)と、切り出し手段により切り出された複数の領域の画像を、同時にモニタ8に表示させる表示制御手段(CPU61、表示制御プログラム635)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬さ試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、試料の表面に圧子を押し込んでくぼみを形成し、そのくぼみの寸法に基づいて試料の硬さを測定する硬さ試験機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、ビッカース硬さ試験機を用いて試料の硬さを測定する場合、試料表面のくぼみ形成位置が圧子の真下になるよう試料の水平方向の位置合わせが行われ、そのくぼみ形成位置において高さ方向の位置合わせ(焦点合わせ)が行われる。そして、ターレットを回転させて圧子を試料に対向配置させ、圧子により試料表面に所定の試験力を負荷してくぼみを形成する。その後、形成されたくぼみの対角線の長さを計測し、この計測したくぼみの対角線の長さに基づいて硬さを算出する。
【0003】
こうした硬さ試験機においては、CCDカメラにより、試料の表面や、圧子により試料の表面に形成されたくぼみが撮像され、モニタにこれらの画像が表示されるようになっている。
このとき、メガピクセルカメラ(CCDカメラ)から取り込まれる画像は、画素数が高すぎて硬さ試験機に通常搭載されるサイズのモニタでは全体を表示できないため、例えば、図9に示すように、取り込まれた画像G1の画素を間引いて全体を縮小した画像(縮小画像)G2をモニタ71上に表示する手法が用いられている。
しかしながら、縮小画像G2を表示する手法では、画素が間引かれているため画像の分解能が損なわれてしまい、CCDカメラの性能を活かすことができない。
画像の分解能を損なわない表示方法としては、例えば、図10に示すように、取り込まれた画像G1上に矩形ビューBを設定し、矩形ビューBの中の画像(部分画像)G3のみをモニタ81上に表示する手法が知られている。この手法では、画像G1上の矩形ビューBの位置を移動(スクロール)させることで、モニタ81上に表示される部分画像G3が変更可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−166923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、部分画像G3のみを表示する手法では、矩形ビューBの中(画像の一部分)しか表示できないため、ユーザがくぼみの画像を目視しながらくぼみの頂点(測定ポイント)を指定することで対角線の長さを計測する手動読み取りが実行できないという問題がある。
【0006】
本発明の課題は、画像中の複数の測定ポイントを、分解能を維持したまま同時に表示することのできる硬さ試験機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
試料台に載置された試料の表面に圧子により所定の試験力を負荷してくぼみを形成させ、当該くぼみの寸法を計測することにより試料の硬さを測定する硬さ試験機において、
対物レンズを介して試料の表面に形成されたくぼみを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像されたくぼみの画像を表示する表示手段と、
前記撮像手段により撮像されたくぼみの画像から、所定の測定ポイントを含んだ複数の領域を切り出す切り出し手段と、
前記切り出し手段により切り出された複数の領域の画像を、同時に前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の硬さ試験機において、
前記くぼみの画像は、四角形状であり、
前記所定の測定ポイントは、前記くぼみの画像の頂点であることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の硬さ試験機において、
前記表示制御手段は、前記表示手段上の画像と重ねて、垂直方向に延びる垂直ガイドラインと水平方向に延びる水平ガイドラインとを表示可能であることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の硬さ試験機において、
前記切り出し手段により切り出された複数の領域の各々に、前記所定の測定ポイントが含まれるか否かを判定する判定手段を更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、撮像手段により撮像されたくぼみの画像から、所定の測定ポイントを含んだ複数の領域を切り出す切り出し手段と、切り出し手段により切り出された複数の領域を、同時に表示手段に表示させる表示制御手段と、を備えている。
このため、画像中の複数の測定ポイントを、分解能を維持したまま同時に表示手段に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の硬さ試験機の全体構成示す模式図である。
【図2】図1の硬さ試験機における試験機本体を示す模式図である。
【図3】図1の硬さ試験機の硬さ測定部を示す模式図である。
【図4】図1の硬さ試験機の制御構造を示すブロック図である。
【図5】撮像したくぼみの画像の切り出し領域を示した概念図である。
【図6】表示手段に切り出された領域が表示された状態を示した一例である。
【図7】図6の切り出された領域が表示された画像に、垂直ガイドライン及び水平ガイドラインが重ねて表示された状態を示した一例である。
【図8】変形例の硬さ試験機の制御構造を示すブロック図である。
【図9】硬さ試験機における従来の画像の表示方法を説明するための図である。
【図10】硬さ試験機における従来の画像の表示方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本実施形態に係る硬さ試験機について詳細に説明する。
【0014】
先ず、本実施形態の硬さ試験機100の構成について説明する。
なお、以下の説明においては、図1に示すように、硬さ試験機100の左右方向をX方向、前後方向をY方向、高さ方向をZ方向とする。
【0015】
硬さ試験機100は、例えば、ビッカース硬さ試験機であって、図1に示すように、試験機本体10と、制御部6と、操作部7と、モニタ8と、等を備えている。
【0016】
試験機本体10は、例えば、図2に示すように、試料Sの硬さ測定を行う硬さ測定部1と、試料Sを載置する試料台2と、試料台2を移動させるXYステージ3と、試料Sの表面に焦点を合わせるためのAF(Z)ステージ4と、試料台2(XYステージ3、AF(Z)ステージ4)を昇降する昇降機構部5と、等を備えている。
【0017】
硬さ測定部1は、例えば、試料Sの表面を照明する照明装置11と、試料Sの表面を撮像するCCD(Charge Coupled Device)カメラ12と、圧子14aを備える圧子軸14と対物レンズ15を備え、回転することにより圧子軸14と対物レンズ15との切り替えが可能なターレット16と、等により構成されている。
【0018】
照明装置11は、照明手段として、光を照射することにより試料Sの表面を照明するものであり、照明装置11から照射される光は、レンズ1a、ハーフミラー1d、ミラー1e、対物レンズ15を介して試料Sの表面に到達する。
【0019】
CCDカメラ12は、撮像手段であり、例えば、図3に示すように、その試料Sの表面から対物レンズ15、ミラー1e、ハーフミラー1d、ミラー1g、及びレンズ1hを介して入力された反射光に基づき、当該試料Sの表面や圧子14aにより試料Sの表面に形成されるくぼみを撮像して、画像データを取得し、複数フレームの画像データを同時に蓄積、格納可能なフレームグラバ17を介して、制御部6に出力する。
【0020】
圧子軸14は、制御部6が出力する制御信号に応じて駆動される負荷機構部(図示省略)により、試料台2に載置された試料Sに向け移動され、先端部に備えた圧子14aを試料Sの表面に所定の試験力で押し付ける。
なお、本実施形態の圧子14aは、先端が四角錘状であるため、平面視で四角形状のくぼみが試料Sの表面に形成される。
【0021】
対物レンズ15は、それぞれ異なる倍率からなる集光レンズであり、ターレット16の下面に複数保持されており、ターレット16の回転により試料Sの上方に配置されることで、照明装置11から照射される光を一様に試料Sの表面に照射させる。
具体的には、対物レンズ15は、高倍対物レンズ15aと、高倍対物レンズ15aよりも倍率の低い低倍対物レンズ15bと、を備えて構成されている。
【0022】
ターレット16は、下面に圧子軸14と複数の対物レンズ15(高倍対物レンズ15a、低倍対物レンズ15b)を備え、Z軸方向の軸周りに回転することにより、当該圧子軸14と複数の対物レンズ15の中の、何れか一つを切り替えて試料Sの上方に配置可能なように構成されている。つまり、圧子軸14を試料Sの上方に配置した状態で圧子軸を降下させることで試料Sの表面にくぼみを形成し、対物レンズ15を試料Sの上方に配置することで、当該形成されたくぼみを観察することが可能となる。
【0023】
試料台2は、上面に載置される試料Sを固定する試料固定部2aを備えている。
XYステージ3は、制御部6が出力する制御信号に応じて駆動する駆動機構部(図示省略)により駆動され、試料台2を圧子14aの移動方向(Z方向)に垂直な方向(X方向、Y方向)に移動させる。
AFステージ4は、制御部6が出力する制御信号に応じて駆動され、CCDカメラ12が撮像した画像データに基づき試料台2を微細に昇降させ、試料Sの表面に焦点を合わせる。
昇降機構部5は、制御部6が出力する制御信号に応じて駆動され、試料台2(XYステージ3、AFステージ4)を上下方向に移動させることで、試料台2と対物レンズ15との間の相対距離を変化させる。
【0024】
操作部7は、キーボード71、マウス72等を備えて構成され、硬さ試験機100による硬さ試験を実施する際の各種の条件の設定等を、ユーザが行う際に利用される。
各種の条件の設定とは、例えば、試験条件(試料Sの材質、圧子14aにより試料Sに負荷される試験力(N)、対物レンズ15の倍率、等の値)や、試験開始点、行・列数、ピッチ等の設定である。
ユーザにより操作部7に所定の操作がなされると、その操作に応じた所定の操作信号が制御部6に出力される。
【0025】
モニタ8は、表示手段であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置により構成されており、CCDカメラ12が撮像した試料Sの表面画像や、試料Sの表面に形成されるくぼみの画像を表示する。
また、モニタ8は、操作部7において入力された硬さ試験の設定条件、硬さ試験の結果等を表示する。
【0026】
制御部6は、図4に示すように、CPU(Central Processing Unit)61、RAM(Random Access Memory)62、記憶部63等を備えて構成され、記憶部63に記憶された所定のプログラムが実行されることにより、所定の硬さ試験を行うための動作制御等を行う機能を有する。
【0027】
CPU61は、記憶部63に格納された処理プログラム等を読み出して、RAM62に展開して実行することにより、硬さ試験機100全体の制御を行う。
【0028】
RAM62は、CPU61により実行された処理プログラム等を、RAM62内のプログラム格納領域に展開するとともに、入力データや上記処理プログラムが実行される際に生じる処理結果等をデータ格納領域に格納する。
【0029】
記憶部63は、例えば、プログラムやデータ等を記憶するための、半導体メモリ等で構成された記録媒体(図示省略)を有しており、CPU61が硬さ試験機100全体を制御する機能を実現させるための各種データ、各種処理プログラム、これらプログラムの実行により処理されたデータ等を記憶する。
【0030】
具体的には、記憶部63は、CCDカメラ12により撮像した画像データを記憶する画像データ記憶部63aと、プログラムを記憶するプログラム記憶部63bと、を備えている。
【0031】
画像データ記憶部63aには、例えば、試料Sの表面に形成されたくぼみの画像の画像データが格納される。
【0032】
プログラム記憶部63bには、例えば、XYステージ制御プログラム631、オートフォーカスプログラム632、くぼみ形成プログラム633、切り出しプログラム634、表示制御プログラム635、硬さ算出プログラム636、等が格納されている。
【0033】
XYステージ制御プログラム631は、例えば、試料台2に試料Sを載置した後、試料SとCCDカメラ12とが対向するように、XYステージ3の位置を制御する機能をCPU61に実現させるプログラムである。
具体的に、CPU61は、XYステージ制御プログラム631を実行することにより、試料Sの表面の所定領域がCCDカメラ12の真下に位置するようにXYステージ3を移動させる。
【0034】
オートフォーカスプログラム632は、例えば、試料Sの表面に対するオートフォーカスを行う機能をCPU61に実現させるプログラムである。
具体的に、CPU61は、オートフォーカスプログラム632を実行することにより、硬さ測定部1のCCDカメラ12によって得られる画像情報に基づいて、AFステージ4を昇降させ、試料Sの表面に対するオートフォーカスを行う。
【0035】
くぼみ形成プログラム633は、例えば、試料Sの表面にくぼみを形成する機能をCPU61に実現させるプログラムである。
具体的に、CPU61は、くぼみ形成プログラム633を実行することにより、圧子14aを所定の試験力で試料Sの表面に押し付けて、くぼみを形成する。
なお、本実施形態においては、平面視で四角形状のくぼみが形成されるため、四角形状のくぼみの画像が撮像される。
形成されたくぼみはCCDカメラ12によって撮像され、撮像されたくぼみの画像の画像データは、画像データ記憶部63aに格納される。
【0036】
切り出しプログラム634は、例えば、CCDカメラ12により撮像されたくぼみの画像から、所定の測定ポイントを含んだ複数の領域を切り出す機能をCPU61に実現させるプログラムである。
ここで、図5に、撮像したくぼみの画像の切り出し領域を示した概念図を示す。
CPU61は、切り出しプログラム634を実行することにより、図5に示すように、所定の測定ポイントとしてくぼみの画像の頂点P1〜P4を含んだ4つの領域(切り出し領域)R1〜R4を切り出す。
このとき、切り出し領域R1〜R4の位置や形状は、硬さ試験に用いる圧子の形状に応じて予め設定されている。例えば、本実施形態においては、四角形状のくぼみ画像が撮像される硬さ試験であるため、撮像された画像の上部及び下部それぞれの中央部と、画像の左部及び右部それぞれの中央部とに、くぼみの4つ頂点がそれぞれ位置することを想定し、画像の上部及び下部それぞれの中央部に三角形状の切り出し領域R1及びR3が設定され、画像の左部及び右部それぞれの中央部に五角形状の切り出し領域R2及びR4が設定されるようになっている。
CPU61は、かかる切り出しプログラム634を実行することにより、切り出し手段として機能している。
【0037】
表示制御プログラム635は、例えば、切り出しプログラム634の実行により切り出された複数の領域(切り出し領域R1〜R4)の画像を、同時にモニタ8に表示させる機能をCPU61に実現させるプログラムである。
具体的に、CPU61は、表示制御プログラム635を実行することにより、図6に示すように、くぼみ画像の中から切り出し領域R1〜R4のみを抽出した画像をモニタ8に表示させる。
【0038】
また、CPU61は、表示制御プログラム635を実行することにより、図7に示すように、モニタ8上に表示された切り出し領域R1〜R4の画像と重ねて、垂直方向に延びる垂直ガイドラインL1と水平方向に延びる水平ガイドラインL2とを表示可能である。
垂直ガイドラインL1は、モニタ8の幅方向中央を通るように設定された中央垂直ガイドラインL11と、中央垂直ガイドラインL11と平行し、頂点P2近傍に位置するように設定された左垂直ガイドラインL12と、中央垂直ガイドラインL11と平行し、頂点P4近傍に位置するように設定された右垂直ガイドラインL13と、からなる。
また、水平ガイドラインL2は、モニタ8の高さ方向中央を通るように設定された中央水平ガイドラインL21と、中央水平ガイドラインL21と平行し、頂点P1近傍に位置するように設定された上水平ガイドラインL22と、中央水平ガイドラインL21と平行し、頂点P3近傍に位置するように設定された下垂直ガイドラインL23と、からなる。
CPU61は、ユーザからの指示操作に応じて、これらのガイドラインL1、L2を表示する。
ユーザは、これらのガイドラインL1、L2によって、頂点P1とP3の位置、及び頂点P2とP4の位置を合せることができる。
【0039】
CPU61は、かかる表示制御プログラム635を実行することにより表示制御として機能している。
【0040】
硬さ算出プログラム636は、例えば、くぼみの画像からくぼみの対角線長さを計測し、計測したくぼみの対角線長さに基づいて、試料Sの硬さを算出する機能をCPU61に実現させるプログラムである。
具体的には、例えば、ユーザにより測定ポイントとしてくぼみの頂点P1〜P4が指定されると、CPU61は、硬さ算出プログラム636を実行し、くぼみの対角線長さを計測する。なお、CPU61は、モニタ8に表示されていない画像部分の画素数も、計算上含めるのは勿論である。
このとき、くぼみの4つの頂点P1〜P4が同時にモニタ8に表示されているため、ユーザは4つの頂点P1〜P4の位置を確認しながら幅と高さの計測を行うことができるようになっている。
【0041】
次に、本実施形態の硬さ試験機100の作用について説明する。
上記構成の硬さ試験機100においては、CCDカメラ12により撮像されたくぼみの画像は、モニタ8に表示される際に、所定の測定ポイント(くぼみの画像の頂点P1〜P4)を含んだ複数の切り出し領域R1〜R4が切り出され(図5参照)、その切り出し領域R1〜R4の画像のみがモニタ8上に表示される(図6参照)。
このため、CCDカメラ12により撮像された画像の全体を表示する必要がなく、切り出し領域R1〜R4以外の領域分は表示させないので、モニタ8に表示される切り出し領域域R1〜R4の画像の画素は間引く必要がなく、分解能が損なわれることがない。
また、モニタ8に表示された切り出し領域域R1〜R4の画像は、くぼみの画像のうち有用な測定ポイント(頂点P1〜P4)を含んだ部分が切り出された画像であり、モニタ8上でくぼみの画像の頂点P1〜P4を同時に全て確認することができる。
【0042】
また、モニタ8に切り出し領域R1〜R4の画像が表示された際に、この画像に重ねて垂直ガイドラインL1及び水平ガイドラインL2を表示させることができる。
このため、ユーザは、対向する頂点(P1とP3、P2とP4)の位置を合せることができ、頂点P1〜P4の位置を目視しながら、くぼみの幅及び高さの計測を行うことができる。
【0043】
以上のように、本実施形態の硬さ試験機100によれば、対物レンズ15を介して試料Sの表面に形成されたくぼみを撮像するCCDカメラ12と、CCDカメラ12により撮像された四角形状のくぼみの画像を表示するモニタ8と、CCDカメラ12により撮像されたくぼみの画像から、所定の測定ポイントとしてくぼみの画像の頂点P1〜P4を含んだ複数の領域R1〜R4を切り出す切り出し手段(CPU61、切り出しプログラム634)と、切り出し手段により切り出された複数の領域R1〜R4を、同時にモニタ8に表示させる表示制御手段(CPU61、表示制御プログラム635)と、を備えている。
このため、画像中の複数の測定ポイント(くぼみの画像の頂点P1〜P4)を、分解能を維持したままモニタ8に同時に表示することができる。
よって、手動で測定ポイントを指定する手動読み取りの処理を、正確に実行することができる。
【0044】
また、本実施形態の硬さ試験機100によれば、表示制御手段は、モニタ8上の画像と重ねて、垂直方向に延びる垂直ガイドラインL1と水平方向に延びる水平ガイドラインL2とを表示可能である。
このため、対向する頂点(P1とP3、P2とP4)の位置を合せることができ、画像上の4つの頂点P1〜P4の位置を目視しながら、幅と高さの計測を行うことができる。
【0045】
なお、図8に示すように、切り出し手段により複数の領域R1〜R4を切り出した後、モニタ8に表示させる前に、切り出された複数の領域R1〜R4の各々に、所定の測定ポイント(くぼみの画像の頂点P1〜P4)が含まれるか否かを判定する判定手段(CPU61、判定プログラム637)を、更に備えることとしても良い。
具体的に、CPU61は、この判定プログラム637を実行することによって、切り出し領域R1〜R4を切り出した後、各切り出し領域R1〜R4に対してエッジ検出を行うことで画像の頂点P1〜P4が含まれるか否かを判定する。
このようにすることで、撮像位置がずれていた場合にも、迅速に撮りなおしなどの処理を行うことができる。
【0046】
また、上記実施形態においては、くぼみの画像が四角形状である場合を例示して説明したが、くぼみの画像の形状はこれに限定されない。即ち、圧子は四角錘状のものに限定されない。そして、切り出し領域は、圧子の形状から想定されるくぼみの画像の形状に応じて設定されれば良い。
また、上記実施形態においては、三角形及び五角形の切り出し領域が設定される場合を例示して説明したが、切り出し領域の形状はれに限定されない。
【符号の説明】
【0047】
100 硬さ試験機
1 硬さ測定部
2 試料台
2a 試料固定部
3 XYステージ
4 AFステージ
5 昇降機構部
6 制御部
7 操作部
8 モニタ(表示手段)
10 試験機本体
11 照明装置
12 CCDカメラ(撮像手段)
14 圧子軸
14a 圧子
15 対物レンズ
16 ターレット
17 フレームグラバ
61 CPU(切り出し手段、表示制御手段、判定手段)
62 RAM
63 記憶部
63a 画像データ記憶部
63b プログラム記憶部
631 ステージ制御プログラム
632 オートフォーカスプログラム
633 くぼみ形成プログラム
634 切り出しプログラム(切り出し手段)
635 表示制御プログラム(表示制御手段)
636 硬さ算出プログラム
637 判定プログラム(判定手段)
S 試料
L1 垂直ガイドライン
L2 水平ガイドライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料台に載置された試料の表面に圧子により所定の試験力を負荷してくぼみを形成させ、当該くぼみの寸法を計測することにより試料の硬さを測定する硬さ試験機において、
対物レンズを介して試料の表面に形成されたくぼみを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像されたくぼみの画像を表示する表示手段と、
前記撮像手段により撮像されたくぼみの画像から、所定のポイントを含んだ複数の領域を切り出す切り出し手段と、
前記切り出し手段により切り出された複数の領域の画像を、同時に前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする硬さ試験機。
【請求項2】
前記くぼみの画像は、四角形状であり、
前記所定のポイントは、前記くぼみの画像の頂点であることを特徴とする請求項1に記載の硬さ試験機。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記表示手段上の画像と重ねて、垂直方向に延びる垂直ガイドラインと水平方向に延びる水平ガイドラインとを表示可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬さ試験機。
【請求項4】
前記切り出し手段により切り出された複数の領域の各々に、前記所定のポイントが含まれるか否かを判定する判定手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の硬さ試験機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−50379(P2013−50379A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188460(P2011−188460)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)