説明

硬カプセル剤

本発明は、有効成分を含有する溶液を充填してなる硬カプセル剤であって、充填溶液中に無機塩化物を含有し、充填溶液の水分含量(w)が10<w≦80%、水分活性値(a)が0.50≦a≦0.90であり、且つカプセルがセルロース誘導体を含む基剤からなることを特徴とする硬カプセル剤に関する。 本発明によれば、高水分含量の有効成分内溶液を液体の状態のままカプセル化でき、薬物等の性状や安定性、更には服用感又は食感を損なうことのない硬カプセル剤を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等に使用される硬カプセル剤に関し、更に詳細には、高含水成分が充填可能な硬カプセル剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カプセル剤は医療・食品分野において服用時のコンプライアンスを上げるための剤形として使用されており、特に硬カプセル剤は、製造が簡便であり、主に粉末、細粒、顆粒といった固形物や油性物質を充填するための剤形として幅広く用いられている。
【0003】
硬カプセル剤は、皮膜材料として主にゼラチンが用いられることから、水に対する溶解性が高く、水分含量が高い有効成分をそのまま硬カプセル剤に充填すると、充填溶液によって皮膜のゼラチンが溶解或いは湿潤し、カプセル形状の変形や、充填溶液の流出が起こるため、製品として流通に耐え難い。従って、水溶液を含む内容物を充填する場合には、水分の影響を取り除くため、賦形剤を添加したり、濃縮や乾燥等の処理を行い固形化した後、充填を行ってきた。また、液性を確保したままでカプセル充填を行う場合には、油状物質に懸濁或いは乳化して充填したり、グリセロールを加えて加熱して水分を蒸発させ、10%以下の水分含量にし、セルロース誘導体カプセルに充填する方法(例えば、特許文献1参照)が利用されている。
【0004】
しかしながら、生薬エキス等の動植物抽出物は、加熱にて固形化処理を行った場合、生薬エキス特有の味、臭い、性質、成分が変化する恐れがある。更に、賦形剤を加えて固形化したり、油性基剤へ懸濁又は乳化したり、最終製品として20%〜80%の含量にもなるグリセロールを加え、加熱して水分含量を10%以下にして硬カプセル剤とする場合には、結果として有効成分の充填量が制限され、製造コストが上昇する等の欠点がある。
【0005】
一方、液状成分を充填するカプセル剤としてソフトカプセル剤が知られているが、この場合においても、生薬エキス等の高含水成分を充填するためには、水分を含有した植物エキス等を脂肪酸グリセライドで乳化させてソフトカプセル化すること(例えば、特許文献2参照)やゼラチン皮膜に耐水性を持たせるためにゼラチンシートと多糖類シートの積層膜ソフトカプセルにすること(例えば、特許文献3参照)等が必要であり、製造工程、製造条件が煩雑となり、製造コストの上昇が懸念される。
【0006】
従って、生薬水性エキスや動植物水性エキス等について、有効成分が揮発したり分解したりせず、服用感(味、臭い等)も害することなくカプセル化でき、且つ簡便な製造工程で安価にカプセル化できる技術が望まれていた。
【特許文献1】米国特許第6238696号明細書
【特許文献2】特開昭52−35178号公報
【特許文献3】特開昭63−164858号公報
【発明の開示】
【0007】
本発明は、生薬水性エキスや動植物水性エキス等の水分含量が高い有効成分含有溶液を、品質を害することなく長期間安定に保持できる硬カプセル剤を提供することを目的とする。
【0008】
本発明者らは、斯かる事情に鑑み、カプセル基剤とカプセル充填溶液の水分との関係について鋭意研究を重ねた結果、有効成分を含有する溶液中に、無機塩化物を共存させ、その水分含量と水分活性値を一定の範囲とし、且つ特定のカプセル基剤からなるカプセルを用いた場合に、当該溶液を溶液状態のままカプセル化でき、安定な硬カプセル剤として調製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、有効成分を含有する溶液を充填してなる硬カプセル剤であって、充填溶液中に無機塩化物を含有し、充填溶液の水分含量(w)が10<w≦80%、水分活性値(a)が0.50≦a≦0.90であり、且つカプセルがセルロース誘導体を含む基剤からなることを特徴とする硬カプセル剤を提供するものである。
【0010】
本発明によれば、水分含量が高い有効成分含有溶液を、賦形剤等を添加することなく溶液状態のままカプセル化することが可能である。そして、当該カプセル剤は、長期保存しても湿潤したり、変型することがなく安定である。従って、本発明によれば、水分含量が高い溶液中の薬物等の性状や安定性、更には服用感又は食感を損なうことのない製剤の提供が可能となる。また、本発明の硬カプセル剤は、充填内容物が液剤のため、カプセルに充填しやすく、充填量の調整が容易であり、効率的に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明硬カプセル剤における充填溶液は、有効成分の他に、無機塩化物を含み、水分含量(w)が10<w≦80%で、且つ水分活性値(a)が0.50≦a≦0.90のものである。
【0012】
ここで、水分活性値(water actibity:a)とは、水を含有する媒体において、同一温度での媒体の水蒸気圧Pと純水の蒸気圧Pとの比(P/P)であり、媒体中の水の活動度を示すパラメーターを意味する。
【0013】
充填溶液は、水分含量(w)が10<w≦80%で、且つ水分活性値(a)が0.50≦a≦0.90のものあれば、特に制限されることはなく、水溶液の他、有効成分の一部が水に難溶性である場合には、懸濁液やO/W型の乳化液であってもよい。
【0014】
充填溶液中の有効成分は、特に限定されるものではなく、薬物、天然物、食品、生薬エキス、植物エキス、発酵物等の任意の化合物又は組成物である。
具体的には、生薬、動植物、発酵物等を水又は含水アルコール等で抽出した水性エキス、例えば薬用ニンジン、ニンニク、エゾウコギ、トウキ、ジオウ、チンピ、トシシ、ゴミシ、バクモンドウ等の生薬水性エキス剤、葛根湯、麦門冬湯、小青龍湯、黄連解毒湯、四物湯、芍薬甘草湯等の漢方水性エキス剤、ブルーベリー、緑茶、ハーブ類、キノコ類、マムシ等の動植物の水性エキス、穀物、植物、海産物を麹菌、紅麹菌、乳酸菌、酢酸菌、納豆菌、酵母等で発酵させた発酵物の水性エキス;ビタミンB1類、ビタミンB2類、ナイアシン、ビタミンB6類、ビタミンB12類、ビタミンC類、パントテン酸、ビオチン、葉酸類、パントテニールアルコール等の水溶性ビタミン類;臭化水素酸デキストロメトルファン、アセトアミノフェン、マレイン酸クロルフェニラミン、グアヤコールスルホン酸カリウム、カフェイン、リン酸ジヒドロコデイン、塩酸メチルエフェドリン、水溶性アズレン等の水溶液、アルジオキサ、水酸化マグネシウム、スクラルファート,メタケイ酸アルミン酸マグネシウム,合成ヒドロタルサイト等の懸濁水溶液等が挙げられ、特に水溶液として安定に存在し、液体のまま製剤化可能な生薬水性エキス、動植物水性エキス又は発酵物水性エキスが好ましい。
【0015】
本発明においては、充填溶液中に無機塩化物を共存させるが、これにより、水分含量が高い溶液であっても、溶液状態のままカプセルへの充填が可能となり、長期間保存可能なカプセル剤を製造することが可能となる。
無機塩化物としては、溶液中で塩化物イオンを溶出し得る、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アンモニウム、塩化バリウム等の無機化合物が挙げられ、好ましくは、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムである。斯かる無機塩化物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
無機塩化物の添加量は、カプセルの安定性向上の点から、充填溶液に対して、0.01〜0.45g/mL、好ましくは0.20〜0.45g/mLである。
【0016】
充填溶液には、必要に応じて他の成分、例えば食品、医薬品に一般的に用いることができる甘味剤、酸味剤、安定化剤、増粘剤、pH調整剤、防腐剤、着色剤、着香剤等を用いることができる。
【0017】
ここで、甘味剤としては、ショ糖、乳糖、果糖、ブトウ糖等の糖類もしくはソルビトール、エリスリトール、マンニトール、キシリトール、トレハロース等の糖アルコール若しくはグリチルリチン、アスパルテーム、ステビア等が挙げられ、これらのいずれか1種又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】
酸味剤としては、医薬品、食品に一般に使用されているものが使用できる。例えば、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、乳酸等が挙げられ、これらのいずれか1種又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0019】
安定化剤としては、アスコルビン酸、エリソルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム等の抗酸化剤、ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム等の分散剤、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等の界面活性剤類、シクロデキストリン、グルコシルシクロデキストリン、マルトシルシクロデキストリン、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン等のシクロデキストリン類が挙げられ、これらのいずれか1種又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0020】
増粘剤としては、デキストリン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、トラガント末、キサンタンガム、カラギーナン、寒天、ペクチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の高分子が挙げられ、これらのいずれか1種又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】
pH調整剤としては、製剤技術において一般に使用されているものが使用できる。例えば、塩酸、酢酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、乳酸等の無機酸及び有機酸又はこれらの塩や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のアルカリが挙げられ、これらのいずれか1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】
防腐剤としては、安息香酸類、ソルビン酸類、パラオキシ安息香酸エステル類、サリチル酸類が挙げられ、これらのいずれか1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0023】
着色剤としては、カラメル、銅クロロフィリンナトリウム、リン酸リボフラビンナトリウム、インジゴカルミン、ブリリアントブルー、タートラジン、サンセットイエロー、ニューコクシン、アマランス、エリスロシン等が挙げられ、これらのいずれか1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】
着香剤としては、一般に医薬品や食品に用いられているウイキョウ油、オレンジ油、ケイヒ油、トウヒ油、ハッカ油、バニリン、ユーカリ油等が挙げられ、これらを原料として製した天然香料や調合香料を用いることができる。
【0025】
以上示した充填溶液は、その水分含量(w)が10<w≦80%、且つ水分活性値(a)が0.50≦a≦0.90に調整されるが、好ましくは水分含量が10<w≦75%で、水分活性値が0.50≦a≦0.80であり、さらに好ましくは、水分含量が10<w≦70%で、水分活性値が0.50≦a≦0.75である。
【0026】
充填溶液の水分含量が80%を超えた場合、又は水分活性値が0.90を超えるとカプセルの安定性が低下し、好ましくない。一方、水分含量が10%以下となり、又は水分活性値が0.50を下回る充填溶液は粘度が著しく上昇し、液性としての流動性を持たなくなってしまうため、製造工程上、充填が困難となり、好ましくない。
【0027】
水分含量(w)及び水分活性値(a)の調整は、特に限定されるものではないが、例えば、1)水又は温湯に、目的とする水分含量及び水分活性になるまで可溶性固形成分を溶解させる、2)動植物水性生薬エキスの場合には、動植物を水又は水エタノール混液で抽出した後、ろ液を加温(25〜50℃)下、減圧にて目的とする水分含量及び水分活性まで濃縮する、等により行えばよい。
【0028】
一方、本発明硬カプセル剤におけるカプセルは、セルロース誘導体を含む基剤からなるものである。
【0029】
セルロース誘導体としては、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルメロース、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、エチルセルロース等が挙げられ、特にヒドロキシプロピルメチルセルロースとメチルセルロースが好適である。斯かるセルロース誘導体は、1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0030】
セルロース誘導体の添加量は、カプセル製造時の基剤溶液に対して、15〜30重量%である。またカプセル基剤には、製剤技術において一般的に用いられる添加剤、例えばゲル化剤、ゲル化補助剤、着色剤、可塑剤、乳化剤、分散剤、保存剤等を加えることができる。
【0031】
ゲル化剤としては、カラギーナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、アラビアガム、グァーガム、タマリンド種子多糖、ペクチン、カードラン、ゼラチン、ファーセレラン、寒天などを使用することができるが、特にカラギーナンが好適に用いることができる。またこれらの物質を1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。ゲル化剤の添加量は、カプセル製造時の基剤溶液に対して、0.1〜1.0重量%である。
【0032】
ゲル化補助剤としては、カルシウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオンを与える水溶性化合物、例えば塩化カルシウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸カリウム、クエン酸カリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、有機酸及びその水溶性塩、例えばクエン酸又はクエン酸ナトリウムを使用することができるが、特にカリウムイオン、アンモニウムイオンを与える水溶性化合物が好適に用いることができる。ゲル化補助剤の添加量は、カプセル製造時の基剤溶液に対して、0.01〜1.0重量%である。
【0033】
着色剤としては、カプセルに通常使用される添加剤を適量添加することができるが、例えばカラメル、銅クロロフィリンナトリウム、リン酸リボフラビンナトリウム、インジゴカルミン、ブリリアントブルー、タートラジン、サンセットイエロー、ニューコクシン、アマランス、エリスロシン、酸化チタン、酸化鉄等が挙げられ、これらのいずれか1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
また可塑剤としてクエン酸トリエチル、トリアセチン、グリセリン、D−ソルビトール、ポリエチレングリコール、アセチル化モノグリセライド、有機酸(例えば、クエン酸、リンゴ酸、乳酸など)、炭酸カルシウムや界面活性剤を添加することができ、これらのいずれか1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
本発明の硬カプセル剤は、上述したように水分含量(w)を10<w≦80%、水分活性値(a)を0.50≦a≦0.90に調整した充填溶液を、従来用いられている油状物質用の液状薬物充填機を用いて、上記のカプセルに充填した後、カプセルのボディとキャップ接合部をセルロース誘導体のエタノール水溶液等でシールし、風乾することにより調製することができる。
【0036】
本発明の硬カプセル剤は、必要に応じてヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、メタアクリル酸コポリマー類等を含むコーティング剤の1種又は2種以上を組み合わせて用いることによりコーティングすることができる。
【0037】
また、カプセルの包装形態は、一般的に用いられている形態、例えば、ビン充填、アルミ包装、PTP包装等が挙げられる。
【0038】
本発明硬カプセル剤の好ましい態様としては、例えば、充填溶液の水分含量(w)が30≦w≦50%で且つ水分活性値(a)が0.60≦a≦0.80である生薬エキスであり、カプセルがヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゲル化剤及びゲル化補助剤を含むものが挙げられ、特にカプセルサイズが2号〜00号であり、ビン充填またはアルミ包装されたものが好ましい。
【実施例】
【0039】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
[実施例1]
水分含量を74及び78%、水分活性値0.80及び0.83に調整した人参エキス入り塩化ナトリウム水溶液をヒドロキシプロピルメチルセルロース製0号カプセルに充填した後、カプセルのボディとキャップ接合部をヒドロキシプロピルメチルセルロースのエタノール水溶液でシールし、風乾した。これらのサンプルを各々ガラス瓶に充填し、40℃で1カ月間保存し、硬カプセル剤からの充填溶液の流出の有無を観察した結果を表1に示した。その結果、硬カプセル剤からの充填溶液の流出は認められず、カプセル形状も変化は認められなかった。
【0041】

【0042】
[実施例2]
水分含量を67及び70%、水分活性値を0.75及び0.78に調整した人参エキス入り塩化カルシウム水溶液をヒドロキシプロピルメチルセルロース製0号カプセルに充填した後、実施例1と同様にシールし、風乾した。これらのサンプルを各々ガラス瓶に充填し、40℃で1カ月間保存し、硬カプセル剤からの充填溶液の流出の有無を観察した結果を表2に示した。その結果、硬カプセル剤からの充填溶液の流出は認めず、カプセル形状も変化は認められなかった。
【0043】

【0044】
[実施例3]
水分含量を66及び70%、水分活性値を0.53及び0.60に調整した人参エキス入り塩化マグネシウム水溶液をヒドロキシプロピルメチルセルロース製0号カプセルに充填した後、実施例1と同様にシールし、風乾した。これらのサンプルを各々ガラス瓶に充填し、40℃で1カ月間保存し、硬カプセル剤からの充填溶液の流出の有無を観察した結果を表3に示した。その結果、硬カプセル剤からの充填溶液の流出は認められず、カプセル形状も変化は認められなかった。
【0045】

【0046】
比較例1
水分含量を40及び50%、水分活性値を0.85及び0.88に調整した人参エキス入り果糖ブドウ糖水溶液をヒドロキシプロピルメチルセルロース製0号カプセルに充填した後、実施例1と同様にシールし、風乾した。これらのサンプルを各々ガラス瓶に充填し、40℃で1カ月間保存し、硬カプセル剤からの充填溶液の流出の有無を観察した結果を表4に示した。いずれのサンプルにおいても、保存1週間目から液漏れを認めた。
【0047】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分を含有する溶液を充填してなる硬カプセル剤であって、充填溶液中に無機塩化物を含有し、充填溶液の水分含量(w)が10<w≦80%、水分活性値(a)が0.50≦a≦0.90であり、且つカプセルがセルロース誘導体を含む基剤からなることを特徴とする硬カプセル剤。
【請求項2】
セルロース誘導体がヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシエチルセルロースからなる群から選ばれる1種又は2種以上のものである請求項1記載の硬カプセル剤。
【請求項3】
無機塩化物が塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上のものである請求項1又は2記載の硬カプセル剤。
【請求項4】
有効成分が生薬水性エキス、動植物水性エキス及び発酵物水性エキスからなる群から選ばれるものである請求項1〜3記載のいずれか1項記載の硬カプセル剤。

【国際公開番号】WO2005/000279
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【発行日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−511048(P2005−511048)
【国際出願番号】PCT/JP2004/008988
【国際出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000250100)湧永製薬株式会社 (51)
【Fターム(参考)】