説明

硬化ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム

【目的】 最適な架橋点の数を特定することにより、耐熱性、耐薬品性を損なうことなく屈曲性がある硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂のフィルムを提供する。
【構成】 不飽和基を含むポリフェニレンエーテル樹脂から成るフィルムにおいて、不飽和基を繰り返し単位100個あたり0.1以上5個以下架橋させたもの。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、硬化ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムおよびこれと金属箔とから成る積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、通信用、民生用、産業用等の電子機器の分野における実装方法の小型化、高密度化への指向は著しいものがあり、それに伴って材料の面でも、より優れた耐熱性、寸法安定性、電気特性が要求されつつある。例えばフレキシブルプリント配線板用フィルムとしては、従来からカプトン(Du Pont社製)に代表されるポリイミドがフィルムとして用いられてきた。これは各種の性能をバランスよく有するものの、誘電特性が悪く、かつ吸湿率が大きいという間題点をもっている。この間題点を改善したフィルムとしてポリフェニレンスルフィドおよびポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂フィルムが開発されたが、これらのフィルムは吸湿率は小さいがガラス転移温度が低く耐熱性に劣るという問題点をもっている。
【0003】以上の問題を解決する新しい材料としてポリフェニレンエーテルが近年注目をあびている。この樹脂は、低誘電率かつ低吸湿率であり、かつ耐熱性に優れるという特性をもっている。しかしながら、耐薬品性が劣っているので用途が限定されていた。耐薬品性を改良する目的で、ポリフェニレンエーテルに不飽和基を導入した硬化性ポリフェニレンエーテル系ポリマーが開発されている。しかしながら、フィルム、シート等の硬化後の性質は屈曲性が劣っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような事情を鑑みてなされたものであり、不飽和基を含むポリフェニレンエーテルの優れた誘電特性、耐熱性を損なうことなく、かつ硬化後において優れた屈曲性を示す硬化ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムおよび積層体を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述のような課題を解決するため不飽和基の架橋度に着目し鋭意検討を重ねた結果、本発明の目的に沿った架橋点の数を見出し本発明を完成するに至った。本発明は次に述べる2つの発明より構成される。すなわち本発明の第1は、不飽和結合基を含むポリフェニレンエーテル樹脂から成るフィルムにおいて、上記不飽和基が繰り返し単位100個あたり0.1個以上5個以下架橋していることを特徴とする硬化ポリフェニレンエーテル系樹脂から成るフィルム、である。
【0006】本発明の第2は、上記第1発明の、硬化ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムと金属箔とからなることを特徴とする積層体、である。以上2つの発明について以下に詳しく説明する。まず、本発明の第1である、硬化ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムについて説明する。
【0007】硬化ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムの成分として用いられる不飽和基を含むポリフェニレンエーテル樹脂とは、ポリフェニレンエーテル類に対して側鎖として炭素−炭素二重結合および/または炭素−炭素三重結合を含む官能基を導入したものを指す。その例としては、次の一般式(I)で表されるポリフェニレンエーテル樹脂と一般式(III)のアルケニルハライドおよび/または一般式(IV)のアルキニルハライドの反応生成物から成る樹脂であって、
【0008】
【化1】


【0009】
【化2】


【0010】Xおよび/またはY、下記アルケニル基および/またはアルキニル基がそれぞれ共有的にポリフェニレンエーテル樹脂に結合している樹脂を挙げることができる。
【0011】
【化3】


【0012】一般式(I)のポリフェニレンエーテル樹脂について説明すると、Qの代表的な例としては、次の4種の一般式で表される化合物群が挙げられる。
【0013】
【化4】


【0014】具体例として、
【0015】
【化5】


【0016】
【化6】


【0017】等がある。一般式(I)中のJで表されるポリフェニレンエーテル鎖中には、該ポリフェニレンエーテル樹脂の耐熱性、熱安定性を低下させない限りにおいて以下に述べる単位または末端基のうち一種または二種以上が含まれていてもよい。
i)次の一般式で表される単位であって(II)以外のもの、
【0018】
【化7】


【0019】ii)次の一般式で表される単位、
【0020】
【化8】


【0021】iii)次の一般式で表される末端基、
【0022】
【化9】


【0023】iv)上記式(II)および一般式(V)〜(VII)の単位または末端基に対し、スチレン、メタクリル酸メチルなどの不飽和結合を持つ重合性モノマーをグラフト重合させて得られる単位または末端基。一般式(V)の単位の例としては、
【0024】
【化10】


【0025】等が挙げられる。一般式(VI)の単位の例としては、
【0026】
【化11】


【0027】等が挙げられる。一般式(VII)の末端基の例としては、
【0028】
【化12】


【0029】等が挙げられる。次に一般式(III)のアルケニルハライドの具体的な例を挙げると、アリルクロライド、アリルブロマイド、アリルアイオダイド、4−ブロモ−1−ブテン、トランス−および/またはシス−1−ブロモ−2−ブテン、トランス−および/またはシス−1−クロロ−2−ブテン、1−クロロ−2−メチル−2−プロペン、5−ブロモ−1−ペンテン、4−ブロモ−2−メチル−2−ブテン、6−ブロモ−1−ヘキセン、5−ブロモ−2−メチル−2−ペンテン等がある。
【0030】一般式(IV)のアルキニルハライドの具体的な例を挙げるとプロパルギルクロライド、プロパルギルブロマイド、プロパルギルアイオダイド、4−ブロモ−1−ブチン、4−ブロモ−2−ブチン、5−ブロモ−1−ペンチン、5−ブロモ−2−ペンチン、1−ヨード−2−ペンチン、1−ヨード−3−ヘキシン、6−ブロモ−1−ヘキシン等がある。
【0031】これらのアルケニルハライドおよびアルキニルハライドは、一種のみあるいは二種以上をあわせて用いることができる。本発明に用いられる不飽和基が導入されたポリフェニレンエーテル樹脂は、例えば特公平5−8931号公報、特公平5−8930号公報、特公平5−8932号公報、特公平5−8933号公報、特開平2−232260号公報、特開平2−233759号公報に開示された方法に従い、一般式(I)のポリフェニレンエーテル樹脂を有機金属でメタル化し、続いてアルケニルハライド(III)および/またはアルケニルハライド(IV)で置換反応することにより製造することができる。上記方法に従って製造されるポリフェニレンエーテル樹脂は、少なくとも次の2種ないし3種の構造式で表される単位より構成される。
【0032】
【化13】


【0033】さらには上記の他、次の単位を含むこともある。
【0034】
【化14】


【0035】上記一般式(VIII)に由来するハロゲンの含量は、該ポリフェニレンエーテル樹脂を基準として0以上30重量%以下の範囲であり、より好ましくは0以上20重量%以下の範囲である。本発明に用いられる不飽和基が導入されたポリフェニレンエーテル樹脂中には、必ずしもハロゲンが含まれる必要はない。しかしながらハロゲンが特に塩素、臭素である場合には、本発明に用いられる硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に難燃性を付与できるという効果がある。難燃性を付与する場合好ましいハロゲンの含量は1重量%以上である。しかし30重量%を越えるとポリフェニレンエーテル樹脂自体の熱安定性が低下するので好ましくない。
【0036】上記の方法で得られる不飽和基が導入されたポリフェニレンエーテル樹脂の好ましい例としては、以下に述べるポリフェニレンエーテル系樹脂とアリルブロマイド、アリルクロライド、プロパルギルブロマイド、プロパルギルクロライドの反応生成物からなる樹脂を挙げることができる。ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、2,6−ジメチルフェノールの単独重合で得られるポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)のポリスチレングラフト共重合体、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと2,6−ジメチル−3−フェニルフェノールの共重合体、2,6−ジメチルフェノールを多官能性フェノール化合物
【0037】
【化15】


【0038】の存在下で重合して得られた多官能性ポリフェニレンエーテル樹脂、例えば特開昭63−301222号公報、特開平1−29748号公報に開示されているような一般式(V)および(VI)の単位を含む共重合体、例えば特願平1−135763号公報に開示されているような一般式(V)の単位および一般式(VII)の末端基を含む樹脂等を挙げることができる。
【0039】本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムに用いられる不飽和基を含むポリフェニレンエーテル樹脂の他の例としては、次のような繰り返し単位を含む樹脂を挙げることができる。
【0040】
【化16】


【0041】具体的な例としては、米国特許第3422062号明細書に開示されているような2−アリル−6−メチルフェノールと、2,6−ジメチルフェノールの共重合体、米国特許第3281393号明細書に開示されているような2,6−ジアリル−4−ブロモフェノールと2,6−ジメチル−4−ブロモフェノールの共重合体、特公昭63−47733号公報に開示されているような2,6−ジプレニルフェノールと2,6−ジメチルフェノールの共重合体、同じく2,6−ビス(2−ブテニル)フェノールと2,6−ジメチルフェノールの共重合体、同じく2,6−ジシンナミルフェノールと2,6−ジメチルフェノールの共重合体、特開昭58−27719号公報の開示されているような2−プレニル−6−メチルフェノールの単独重合体、同じく2−プレニル−6−メチルフェノールと2,6−ジメチルフェノールの共重合体、同じく2−(2−ブテニル)−6−メチルフェノールの単独重合体、同じく2−(2−ブテニル)−6−メチルフェノールと2,6−ジメチルフェノールの共重合体、同じく2−シンナミル−6−メチルフェノールの単独重合体、同じく2−シンナミル−6−メチルフェノールと2,6−ジメチルフェノールの共重合体等が挙げられる。
【0042】また米国特許第4634742号明細書に開示されたポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)の2,6位のメチル基をビニル基に変換して得られる樹脂、同じくポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)のフェニル基の3,5位にビニル基を導入して得られる樹脂も本発明に用いられる不飽和基を含むポリフェニレンエーテル樹脂の好ましい例の一つである。
【0043】本発明に用いられる不飽和基を含むポリフェニレンエーテル樹脂の不飽和基の含量の範囲は、次式の定義に従った場合0.1モル%以上100モル%以下、より好ましくは0.5モル%以上50モル%以下が好適である。
【0044】
【数1】


【0045】不飽和基の含量が0.1モル%未満では硬化後の耐薬品性の改善が不十分となるので好ましくない。逆に100モル%を越えると硬化後において非常に脆くなるので好ましくない。また本発明に用いられる不飽和基が導入されたポリフェニレンエーテル樹脂は、分子量が、30℃,0.5g/dlのクロロホルム溶液で測定した粘度数ηsp/cで0.1〜1.0の範囲にあるものであることが好ましい。
【0046】本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムの、フィルムの製造方法は特に限定されないが、通常の溶媒成膜法(キャスティング法)等が利用でき、0.1〜1000μmの厚みのものが製造できる。溶液混合に用いられる溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレンなどのハロゲン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒またはテトラヒドロフランが単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いられる。
【0047】本発明の硬化ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムは、後述するように加熱等の手段により架橋反応を起こして硬化するが、その際の温度を低くしたり架橋反応を促進する目的でラジカル開始剤を含有させて製膜することができる。ラジカル開始剤としては、通常の過酸化物が使用できる。本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムは、上記のラジカル開始剤の他にその用途に応じて所望の性能を付与する目的で本来の性質を損なわない範囲の量の添加剤を配合して製膜することができる。
【0048】添加剤としては、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、可塑剤、顔料、染料、着色剤などが挙げられる。また難燃性の一層の向上を図る目的で、塩素系、臭素系、リン系の難燃剤や、Sb23,Sb25,NaSb3・1/4H2O等の難燃剤を併用することもできる。さらには、ポリフェニレンエーテルをはじめとする熱可塑性樹脂、あるいは他の熱硬化性樹脂を一種または二種以上配合することも可能である。
【0049】本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムの硬化の方法は任意であり、熱、光、電子線等による方法を採用することができる。加熱により硬化を行う場合その温度は、ラジカル開始剤の有無やその種類によっても異なるが、100〜350℃、より好ましくは150〜300℃範囲で選ばれる。また時間は1分〜5時間程度、より好ましくは1分〜3時間である。
【0050】得られた硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムは、赤外吸収スペクトル法によって、架橋度を決定することができる。第2の本発明は、上記第1の本発明の硬化ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムと金属箔とより構成され、積層体が得られる。本発明に用いられる金属箔としては、例えば銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。その厚みは特に限定されないが、5〜200μm、より好ましくは5〜100μmの範囲である。
【0051】本発明の硬化ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムと金属箔より構成される積層体の製造方法は特に限定されないが通常、フィルムを金属箔で挟み、プレス成形する方法が用いられる。本発明の硬化ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムおよび積層体は、硬化後において優れた耐屈曲性、耐薬品性、誘電特性、耐熱性を示し、電気産業、電子産業、宇宙・航空機産業等の分野に用いることができる。特に片面、両面、セミリジッドプリント基板及びフレキシブルプリント配線板用フィルムとして用いることができる。
【0052】
【実施例】以下、本発明を一層明確にするために実施例を挙げて説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものではない。以下、物性測定方法、実施例に用いた各成分は、次のとおりである。
(1)架橋度の測定銅箔を除去したフィルムのIRスペクトル(透過法)を測定し、アリル基(912cm-1)または、プロパギル基(625cm-1)の吸収強度を求める。硬化前を100%として不飽和基の減少量を求め、これを不飽和結合基を含むポリフェニレンエ−テルの繰り返し単位100個当たりの架橋点の数に換算した。
(2)耐薬品性銅箔を除去したフィルムを次に挙げる薬品にそれぞれ23℃5分間浸漬し、外観の変化を目視により観察した。外観変化なしを○、外観変化ありを×とした。
・塩素系溶剤:1,1,1−トリクロロエタン・アルコール:イソプロピルアルコール・アルカリ:水酸化ナトリウム水溶液(2N)
・酸:塩酸(2N)
(3)ハンダ耐熱性JPCA規格に準拠し、一部銅箔を除去したフィルムを260℃のハンダ浴中に5秒間浮かべ、外観の変化を目視により観察した。外観変化なしを○、外観変化ありを×とした。
(4)屈曲性サンプルは、銅箔を除去したフィルムで幅15mmとした。これをJIS規格C5016に準拠し、耐折性試験機により連続的に屈曲させ、フィルムが切断するまでの屈曲回数を測定した。なお耐折性試験機の折り曲げ面の曲率半径は0.38mmである。
〔開始剤〕 2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシン)ヘキシン−3(日本油脂 パーヘキシン25B)(以下PH25Bと略す)
〔不飽和基を含むポリフェニレンエーテル樹脂〕 平均置換率15、10、5%、粘度数はそれぞれηsp/C=0.62、0.62、0.59(30℃,0.5g/dl、クロロホルム溶液)のアリル基置換ポリフェニレンエーテル(A−PPEと略す)を特公平5−8930号に開示された公知の方法に従ってηsp/C=0.56のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)より合成した。
【0053】
【実施例1〜3】上記で合成した不飽和基置換率15%の不飽和基を含むポリフェニレンエーテル42gをトリクロロエチレン100mlに溶解させガラス板上にキャストし製膜した。このフィルムを130℃4時間エアーオーブン中で乾燥させて得られたフィルムの厚さは約40μmであった。乾燥フィルムの両面に厚さ35μmの銅箔を置き、表に示す温度で30分圧力44kg/cm2の条件でプレス成形硬化させた。
【0054】こうして得た銅張フィルムの諸物性の測定結果を表1に示す。また、銅箔とフィルムとのピール強度はすべての実施例で1.7Kg/cm以上で銅箔はフィルムと良く接着していた。更に、得られたフィルムの誘電率は、全ての実施例で、2.6であった。表1に示すように、不飽和基が繰り返し単位100個当たり0.1個以上5個以下架橋しているフィルムにおいて、優れた屈曲性、耐薬品性、ハンダ耐熱性が得られた。
【0055】
【比較例1〜2】実施例1〜3と同様の方法でフィルムを作成し、評価した。比較例1では、屈曲性には優れているが不飽和基が架橋していないため耐薬品性、ハンダ耐熱性が得られなかった。また、比較例2では、不飽和基が架橋しすぎているため、屈曲性が劣った。
【0056】
【実施例4〜10】表1に示す不飽和基置換率のポリフェニレンエ−テルにパーオキサイド(PH25B)を添加し、表1のような組成のフィルムを、実施例1〜3と同様の方法で作成し評価した。表1に示すように、不飽和基が繰り返し単位100個当たり0.1個以上5個以下架橋しているフィルムにおいて、優れた屈曲性、耐薬品性、ハンダ耐熱性が得られた。
【0057】
【比較例3〜4】表1に示す不飽和基置換率のポリフェニレンエーテルにPH25Bを添加し、表1のような組成のフィルムを実施例1〜3と同様の方法で作成し評価した。比較例3では、屈曲性には優れているが、架橋点が不足しているため、耐薬品性、ハンダ耐熱性が得られなかった。また、比較例4では架橋点の数が多すぎるため、屈曲性が劣った。
【0058】
【表1】


【0059】
【発明の効果】本発明の硬化ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムは、屈曲性に最も適した架橋点を有するため、従来のものに比べ、フィルムのもつ屈曲性を最大限に活かすことができる。さらに優れた誘電特性、耐熱性、耐薬品性、銅との接着性を備えている。
【0060】従って、本発明の硬化ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムは、誘電材料、絶縁材料、耐熱材料等として用いることができる。特に片面、両面フレキシブルプリント基板用フィルムとして好適に用いられる。また、本発明の硬化ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムは、銅箔との接着性に優れているため接着剤を必要としないで直接銅箔と積層できるので、いわゆる2層型フレキシブルプリント基板として使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 不飽和基を含むポリフェニレンエーテル樹脂から成るフィルムにおいて、上記不飽和基が繰り返し単位100個あたり0.1個以上5個以下架橋していることを特徴とする硬化ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルム。
【請求項2】 請求項1記載の硬化ポリフェニレンエーテル系樹脂フィルムと金属箔とから成る積層体。