説明

硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の製造方法

【課題】硬化剤及び/又は硬化促進剤の放出性に優れ、硬化性樹脂組成物に配合された場合に優れた硬化性を発揮することができ、貯蔵安定性にも優れた硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子を製造することのできる硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の製造方法を提供する。
【解決手段】シェルを形成するポリマーと、該ポリマーを溶解する溶媒1と、硬化剤及び/又は硬化促進剤と、該硬化剤及び/又は硬化促進剤を溶解する溶媒2とを混合して混合溶液を調製する工程と、前記混合溶液と水性媒体とを乳化させる工程と、加熱を行い前記水性媒体中で前記溶媒1及び前記溶媒2を除去する工程とを有し、前記溶媒1の沸点は前記溶媒2の沸点より低く、かつ、前記溶媒1及び前記溶媒2の沸点は水の沸点より低い硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化剤及び/又は硬化促進剤の放出性に優れ、硬化性樹脂組成物に配合された場合に優れた硬化性を発揮することができ、貯蔵安定性にも優れた硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子を製造することのできる硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は、接着剤、シール剤、コーティング剤等の様々な用途に用いられている。一般に、エポキシ樹脂には、硬化反応を進行させるための成分として硬化剤が、また、硬化性を向上させるための成分として硬化促進剤が添加される。特に、硬化剤又は硬化促進剤とエポキシ樹脂とを安定な一液にするために、潜在性をもたせた硬化剤又は硬化促進剤が多用されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の異方導電性接着剤においては、平均粒径が0.1〜3μmであり、マイクロカプセル壁材膜の厚さが0.01〜0.3μmであるマイクロカプセル化イミダゾール誘導体エポキシ化合物が用いられている。
しかしながら、このようなマイクロカプセル化イミダゾール誘導体エポキシ化合物は、イミダゾール誘導体とエポキシ化合物とを途中段階まで反応させ、反応生成物を微粉砕して得られた粉体であり、イミダゾール誘導体とエポキシ化合物との接触界面が硬化しているにすぎない。そのため、このようなマイクロカプセル化イミダゾール誘導体エポキシ化合物をエポキシ樹脂用硬化剤又は硬化促進剤として用いる場合には、時間の経過とともに硬化反応が進行しやすく、充分な貯蔵安定性が得られない。
【0004】
この問題を解決するために、硬化反応を進行させることなく硬化剤又は硬化促進剤をマイクロカプセル化する種々の方法が検討されている。例えば、特許文献2には、アミン化合物と、有機溶媒中に所定のポリマーからなる膜物質が溶解された疎水性溶液とを、混合して溶解し、これを乳化剤を溶解した水性媒体中に乳化分散させた後、加熱して上記有機溶媒を除去することにより、上記アミン化合物と膜物質とを相分離させて膜物質によってアミン化合物を被覆保護するマイクロカプセルの製法が記載されている。
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載の方法により得られるマイクロカプセルは、熱に対する応答性、即ち、加熱時の硬化剤又は硬化促進剤の放出性の点では充分ではない。従って、貯蔵時には充分に安定でありながら、硬化時には熱に対してより鋭敏に応答して硬化剤又は硬化促進剤を放出し、速やかに硬化反応を開始することのできるマイクロカプセルが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3981341号公報
【特許文献2】特許第3411049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、硬化剤及び/又は硬化促進剤の放出性に優れ、硬化性樹脂組成物に配合された場合に優れた硬化性を発揮することができ、貯蔵安定性にも優れた硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子を製造することのできる硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シェルを形成するポリマーと、該ポリマーを溶解する溶媒1と、硬化剤及び/又は硬化促進剤と、該硬化剤及び/又は硬化促進剤を溶解する溶媒2とを混合して混合溶液を調製する工程と、前記混合溶液と水性媒体とを乳化させる工程と、加熱を行い前記水性媒体中で前記溶媒1及び前記溶媒2を除去する工程とを有し、前記溶媒1の沸点は前記溶媒2の沸点より低く、かつ、前記溶媒1及び前記溶媒2の沸点は水の沸点より低い硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の製造方法である。
以下、本発明を詳述する。
【0009】
シェルを形成するポリマーと硬化剤及び/又は硬化促進剤とを溶媒に溶解して混合溶液を調製する工程と、混合溶液と水性媒体とを乳化させる工程と、加熱を行い水性媒体中で溶媒を除去する工程とを有する方法によれば、ポリマーを含有する相と硬化剤及び/又は硬化促進剤を含有する相とを相分離させながら溶媒を除去し、ポリマーにより形成されたシェルに硬化剤及び/又は硬化促進剤を内包する硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子を製造することができる。
このような方法において、本発明者は、特定の沸点の条件を満たす溶媒を用いることにより、貯蔵安定性を損なうことなく、硬化剤及び/又は硬化促進剤の放出性が改善され、硬化性樹脂組成物に配合された場合に優れた硬化性を発揮することのできる硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子を製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
本発明の硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の製造方法では、まず、シェルを形成するポリマーと、該ポリマーを溶解する溶媒1と、硬化剤及び/又は硬化促進剤と、該硬化剤及び/又は硬化促進剤を溶解する溶媒2とを混合して混合溶液を調製する工程を行う。
【0011】
上記溶媒1の沸点は上記溶媒2の沸点より低く、かつ、上記溶媒1及び上記溶媒2の沸点は水の沸点より低い。なお、水の沸点は、1気圧で100℃である。
上記溶媒1及び上記溶媒2を用いることにより、本発明の硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の製造方法により製造される硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子は、シェルが、内側の一部分に凹部を有するシェルとなる。このようなシェルを有する硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子は、貯蔵安定性を損なうことなく、加熱時には上記凹部から速やかに崩壊して硬化剤及び/又は硬化促進剤を放出するため、硬化剤及び/又は硬化促進剤の放出性に優れ、硬化性樹脂組成物に配合された場合に優れた硬化性を発揮することができる。
【0012】
図1に、シェルが、内側の一部分に凹部を有する硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の断面図の一例を模式的に示す。図1に示す硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子1は、ポリマーにより形成されたシェル2に硬化剤及び/又は硬化促進剤3を内包しており、シェル2は、内側の一部分に凹部4を有している。凹部4においては、シェル厚みが、凹部以外のシェル厚みより薄くなっている。
なお、図1に示す硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子は、シェルが凹部を1つだけ有する場合の硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子であるが、シェルは、貯蔵安定性と、硬化剤及び/又は硬化促進剤の放出性とを両立できる範囲内であれば、凹部を1つだけ有していてもよいし、2つ以上有していてもよい。ただし、加熱時の硬化剤及び/又は硬化促進剤の放出性がより優れることから、シェルは凹部を1つだけ有することが好ましい。
【0013】
本発明の硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の製造方法において、内側の一部分に凹部を有するシェルが形成される理由としては、後述する工程において加熱を行い水性媒体中で溶媒を除去するときに、まず、上記溶媒1の大半が除去されて、上記硬化剤及び/又は硬化促進剤を含有する相を内包するように上記ポリマーの大半が析出し、次いで、上記硬化剤及び/又は硬化促進剤を残してコアから上記溶媒2の大半が除去され、最終的にコアから全ての溶媒が除去されるときには、析出した上記ポリマーの一部分、即ち、凹部となる一部分から除去されていくためであると推測される。
【0014】
上記溶媒1は、上記ポリマーを溶解することができて、沸点が上記溶媒2及び水の沸点より低ければ特に限定されず、例えば、ベンゼン、イソプレン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ギ酸イソブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等が挙げられる。
上記溶媒2は、上記硬化剤及び/又は硬化促進剤を溶解することができて、沸点が上記溶媒1の沸点より高く水の沸点より低ければ特に限定されず、例えば、エタノール、アリルアルコール、1−プロパノール、2−プロパノール、t−ブチルアルコール、アセトン、エチルメチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル等が挙げられる。
【0015】
上記溶媒1と上記溶媒2との組み合わせとして、上記溶媒1と上記溶媒2と水とが共沸する組み合せが好ましい。
上記溶媒1と上記溶媒2と水とが共沸することにより、後述する工程において加熱を行い水性媒体中で溶媒を除去するときには、まず、上記溶媒1の大半が除去され、次いで、上記溶媒2の大半が除去された後、上記溶媒1と上記溶媒2と水性媒体を構成する水との共沸混合物が除去されることとなる。溶媒除去の最終段階で上記溶媒1と上記溶媒2と水性媒体を構成する水との共沸混合物がコアから除去されることにより、内側の一部分に凹部を有するシェルをより形成しやすくなる。
【0016】
上記溶媒1と上記溶媒2と水とが共沸する組み合せとして、例えば、溶媒1としての酢酸エチル(沸点77.1℃)と溶媒2としての2−プロパノール(沸点82.5℃)、溶媒1としての酢酸エチル(沸点77.1℃)と溶媒2としてのt−ブチルアルコール(沸点83.0℃)、溶媒1としての酢酸エチル(沸点77.1℃)と溶媒2としてのエタノール(沸点78.5℃)、溶媒1としての酢酸エチル(沸点77.1℃)と溶媒2としての1−プロパノール(沸点97.0℃)、溶媒1としてのシクロヘキサン(沸点80.7℃)と溶媒2としてのt−ブチルアルコール(沸点83.0℃)等が挙げられる。
【0017】
上記ポリマーは特に限定されないが、例えば、親水性基と疎水性基とを有する熱可塑性ポリマー、水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂、アクリロニトリルに由来するセグメントを有する共重合体等を含有することが好ましい。
上記親水性基と疎水性基とを有する熱可塑性ポリマーにおける親水性基として、例えば、グリシジル基、水酸基、カルボキシル基、スルホン基等が挙げられる。なかでも、グリシジル基が好ましい。また、上記親水性基と疎水性基とを有する熱可塑性ポリマーにおける疎水性基として、例えば、フェニル基、メチル基、エチル基、プロピル基、メタクリル基等が挙げられる。なかでも、フェニル基が好ましい。
【0018】
上記親水性基と疎水性基とを有する熱可塑性ポリマーとして、具体的には、例えば、ポリスチレン誘導体、ポリメタクリル酸誘導体等が挙げられる。なかでも、ポリスチレン誘導体が好ましい。
上記ポリスチレン誘導体は、上記親水性基と上記疎水性基とを有するポリスチレン誘導体であれば特に限定されないが、例えば、上記親水性基としてグリシジル基を有し、上記疎水性基としてポリスチレン骨格に由来するフェニル基を有するポリスチレン誘導体が好ましい。
【0019】
上記親水性基と疎水性基とを有する熱可塑性ポリマーの重量平均分子量は特に限定されないが、好ましい下限が5000、好ましい上限が10万である。上記重量平均分子量が5000未満であると、得られる硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の耐熱性又は耐溶剤性が低下することがある。上記重量平均分子量が10万を超えると、上記ポリマーの析出速度が速くなりすぎて、得られる硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子がモノコア構造とならなかったりアスペクト比が大きくなったりすることがある。
【0020】
上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂は特に限定されないが、通常、ポリ酢酸ビニルのけん化反応により得られたポリビニルアルコールを、アルデヒドでアセタール化することにより得られる。上記アセタール化に使用するアルデヒドとして、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラアセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等が挙げられる。なかでも、ブチルアルデヒドが好ましい。
上記ポリマーとして上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂を用いる場合には、上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有量、アセタール化度、原料であるポリ酢酸ビニルのアセチル基に由来するアセチル基の含有量、重量平均分子量等を調整することにより、目的に合わせてシェルの物性を調整することができる。
【0021】
上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂の重量平均分子量は特に限定されないが、好ましい下限が5000、好ましい上限が50万である。上記重量平均分子量が5000未満であると、得られる硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の耐熱性又は耐溶剤性が低下することがある。上記重量平均分子量が50万を超えると、上記ポリマーの析出速度が速くなりすぎて、得られる硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子がモノコア構造とならなかったりアスペクト比が大きくなったりすることがある。
上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂の重量平均分子量は、より好ましい下限が3万、より好ましい上限が30万である。
【0022】
上記水酸基を有するポリビニルアセタール樹脂の市販品として、例えば、BL−10(積水化学工業社製)、BL−2H(積水化学工業社製)、BM−S(積水化学工業社製)、BH−3(積水化学工業社製)、♯−3000K(電気化学工業社製)、MOWITAL B60T(クラレ社製)等が挙げられる。
【0023】
上記ポリマーとして上記アクリロニトリルに由来するセグメントを有する共重合体を用いる場合には、シェルのガスバリア性及び耐薬品性を向上させることができる。
【0024】
上記アクリロニトリルに由来するセグメントを有する共重合体において、上記アクリロニトリルに由来するセグメント以外の他のモノマーに由来するセグメントは、特に限定されない。
上記他のモノマーとして、例えば、ビニル基を有する化合物等のラジカル重合性モノマーが挙げられる。上記ビニル基を有する化合物は特に限定されず、例えば、グリシジルメタクリレート(GMA)、メチルメタクリレート(MMA)等のメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、スチレン、ジビニルベンゼン、塩化ビニリデン、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、エチレングリコールジメタクリレート、ブタジエン等が挙げられる。なかでも、スチレン、グリシジルメタクリレート(GMA)、メチルメタクリレート(MMA)が好ましい。
【0025】
上記アクリロニトリルに由来するセグメントを有する共重合体の重量平均分子量は、好ましい下限が5000、好ましい上限が10万である。上記重量平均分子量が5000未満であると、得られる硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の耐熱性又は耐溶剤性が低下することがある。上記重量平均分子量が10万を超えると、得られる硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子は、硬化性樹脂組成物に配合された場合、加熱してもシェルが溶融又は分解せず硬化剤及び/又は硬化促進剤が放出されないために硬化が充分に進行しないことがある。
上記アクリロニトリルに由来するセグメントを有する共重合体の重量平均分子量は、より好ましい下限が8000、より好ましい上限が5万であり、更に好ましい下限が1万、更に好ましい上限が3万である。
【0026】
上記ポリマーは、更に、無機ポリマーを含有してもよい。
上記ポリマーが上記無機ポリマーを含有することで、硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の耐溶剤性が向上し、溶剤と混合する場合であっても硬化剤及び/又は硬化促進剤として好適に用いられる。
【0027】
上記無機ポリマーは特に限定されないが、分子中に2個以上の炭素数1〜6のアルコキシ基を有し、かつ、Si、Al、Zr及びTiからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含有する有機金属化合物の重合体が好ましい。このような有機金属化合物の重合体として、例えば、シリコーン樹脂、ポリボロシロキサン樹脂、ポリカルボシラン樹脂、ポリシラスチレン樹脂、ポリシラザン樹脂、ポリチタノカルボシラン樹脂等が挙げられる。なかでも、シリコーン樹脂が好ましく、グリシジル基を有するシリコーン樹脂がより好ましい。
【0028】
上記硬化剤は特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂の硬化剤として通常用いられる硬化剤が挙げられ、具体的には、例えば、アミン、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素、及び、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有する化合物等が挙げられる。
【0029】
上記硬化促進剤は特に限定されず、例えば、三級アミン化合物、リン系触媒、イミダゾール化合物等が挙げられる。なかでも、他の硬化促進剤に比べて硬化性に優れることから、イミダゾール化合物が好ましい。
上記イミダゾール化合物は特に限定されず、例えば、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド、及び、これらの付加体等が挙げられる。
【0030】
また、上記イミダゾール化合物として、疎水性イミダゾール化合物を用いることが好ましい。なお、本明細書中、疎水性イミダゾール化合物とは、水に最大限溶解させたときの濃度が5重量%未満であるイミダゾール化合物を意味する。
上記疎水性イミダゾール化合物は特に限定されないが、炭素数11以上の炭化水素基を有するイミダゾール化合物が好ましい。上記炭素数11以上の炭化水素基を有するイミダゾール化合物として、例えば、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1−シアノエチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4−ジアミノ−6−[2’−ウンデシルイミダゾリル−(1’)−エチル−s−トリアジン]等が挙げられる。なかでも、2−ウンデシルイミダゾールが好ましい。
【0031】
上記ポリマーと上記硬化剤及び/又は硬化促進剤との配合比は特に限定されないが、上記ポリマー6重量部に対する上記硬化剤及び/又は硬化促進剤の配合量の好ましい下限は1重量部、好ましい上限は8重量部である。上記硬化剤及び/又は硬化促進剤の配合量が1重量部未満であると、得られる硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子に内包される硬化剤及び/又は硬化促進剤の量が少なくなり、硬化反応が充分に進行しないことがある。上記硬化剤及び/又は硬化促進剤の配合量が8重量部を超えると、内包されない硬化剤及び/又は硬化促進剤が生じて凝集を招いたり、得られる硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の貯蔵安定性が低下したりすることがある。
上記ポリマー6重量部に対する上記硬化剤及び/又は硬化促進剤の配合量のより好ましい下限は3重量部、より好ましい上限は5重量部である。
【0032】
上記混合溶液を調製する工程では、予め上記溶媒1と上記溶媒2との混合溶媒を調製した後、得られた混合溶媒に上記ポリマーと上記硬化剤及び/又は硬化促進剤とを溶解して上記混合溶液を調製してもよい。
また、上記混合溶液を調製する工程では、上記ポリマーを上記溶媒1に溶解して溶液1を調製する工程と、上記硬化剤及び/又は硬化促進剤を上記溶媒2に溶解して溶液2を調製する工程と、上記溶液1と上記溶液2とを混合する工程とを行うことにより、上記混合溶液を調製してもよい。
【0033】
上記溶液1及び上記溶液2を調製する場合、上記溶液1における上記ポリマーの濃度は特に限定されないが、5.0g/mL以下が好ましい。上記ポリマーの濃度が5.0g/mLを超えると、得られる混合溶液において上記ポリマーが充分に溶解しないことがある。
上記溶液1における上記ポリマーの濃度は、2.5g/mL以下がより好ましい。
【0034】
上記溶液1及び上記溶液2を調製する場合、上記溶液2における上記硬化剤及び/又は硬化促進剤の濃度は特に限定されないが、好ましい下限が3.0g/mL、好ましい上限が8.0g/mLである。上記硬化剤及び/又は硬化促進剤の濃度が3.0g/mL未満であると、得られる硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子に内包される硬化剤及び/又は硬化促進剤の量が少なくなり、硬化反応が充分に進行しないことがある。上記硬化剤及び/又は硬化促進剤の濃度が8.0g/mLを超えると、内包されない硬化剤及び/又は硬化促進剤が生じて凝集を招いたり、得られる硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の貯蔵安定性が低下したりすることがある。
上記溶液2における上記硬化剤及び/又は硬化促進剤の濃度は、より好ましい下限が4.0g/mL、より好ましい上限が6.0g/mLである。
【0035】
本発明の硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の製造方法では、次いで、前記混合溶液と水性媒体とを乳化させる工程を行う。
上記水性媒体は特に限定されず、例えば、水、又は、水とメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の水溶性有機溶剤との混合物等が挙げられる。
上記水性媒体の添加量は特に限定されないが、上記混合溶液100重量部に対する好ましい下限が300重量部、好ましい上限が1000重量部である。
【0036】
上記水性媒体は、必要に応じて、乳化剤を含有してもよい。
上記乳化剤は特に限定されず、例えば、アルキル硫酸スルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0037】
上記混合溶液と上記水性媒体とを乳化させる方法は特に限定されず、上記混合溶液に上記水性媒体を添加してもよく、上記水性媒体に上記混合溶液を添加してもよい。
上記混合溶液と上記水性媒体とを乳化させる方法として、例えば、上記混合溶液に上記水性媒体を滴下し、ホモジナイザーを用いて攪拌する方法、超音波照射により乳化する方法、マイクロチャネル又はSPG膜を通過させて乳化する方法、スプレーで噴霧する方法、転相乳化法等が挙げられる。
【0038】
本発明の硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の製造方法では、次いで、加熱を行い上記水性媒体中で上記溶媒1及び上記溶媒2を除去する工程を行う。
【0039】
上記溶媒1及び上記溶媒2を除去する工程を行うことにより、上記ポリマーを含有する相と上記硬化剤及び/又は硬化促進剤を含有する相とを相分離させながら溶媒を除去し、上記ポリマーにより形成されたシェルに上記硬化剤及び/又は硬化促進剤を内包する硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の分散液を得ることができる。また、上述したように、得られた硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子は、シェルが、内側の一部分に凹部を有するシェルとなる。
【0040】
上記加熱の条件は特に限定されないが、30〜70℃に加熱することが好ましい。
また、上記溶媒1及び上記溶媒2を除去する工程では、より低温かつ短時間で溶媒を除去でき、内側の一部分に凹部を有するシェルをより形成しやすくなることから、加熱に加えて減圧を行うことが好ましい。上記減圧の条件は特に限定されないが、0.095〜0.080MPaの圧力となるよう設定することが好ましい。
【0041】
上記加熱の条件及び上記減圧の条件を調整することにより、硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子における凹部のシェル厚み及び凹部の長さを調整することができ、これにより、貯蔵安定性と、硬化剤及び/又は硬化促進剤の放出性とを両立した硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子を得ることができる。
【0042】
本発明の硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の製造方法では、得られた硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の分散液中の硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子を、純水を用いて繰り返して洗浄した後、真空乾燥等により乾燥してもよい。
【0043】
本発明の硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の製造方法により製造される硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子において、上記硬化剤及び/又は硬化促進剤の内包率は特に限定されないが、好ましい下限が20重量%、好ましい上限が50重量%である。上記内包率が20重量%未満であると、硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の凹部及び凹部以外のシェル厚みが増大し、上記硬化剤及び/又は硬化促進剤の放出性が低下することがある。上記内包率が50重量%を超えると、硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の凹部及び凹部以外のシェル厚みが低下し、貯蔵安定性が低下することがある。
上記硬化剤及び/又は硬化促進剤の内包率のより好ましい下限は30重量%、より好ましい上限は40重量%である。
なお、本発明の硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の製造方法により製造される硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子において、凹部以外のシェル厚みは特に限定されないが、好ましい下限が0.05μm、好ましい上限が1.0μmであり、より好ましい下限が0.1μm、より好ましい上限が0.5μmである。
【0044】
更に、上記硬化剤及び/又は硬化促進剤の内包率が上記範囲を外れると、上記ポリマーと上記硬化剤及び/又は硬化促進剤との配合比が大きく変化することから、得られる硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子がモノコア構造とならなかったりアスペクト比が大きくなったりすることがある。
【0045】
なお、本明細書中、硬化剤及び/又は硬化促進剤の内包率とは、硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子全体の重量に対する硬化剤及び/又は硬化促進剤の重量の占める割合を意味し、所定量の硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の乾燥粉末を秤量し、アルミカップに乗せ、真空乾燥機を用いて110℃で5時間乾燥した後、乾燥後の硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子を計量したとき、下記式(1)により算出される値を意味する。
内包率(重量%)=[{(乾燥前の重量)−(乾燥後の重量)}/(乾燥前の重量)]×100 (1)
【0046】
本発明の硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の製造方法により製造される硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子において、平均粒子径は特に限定されないが、好ましい下限が0.5μm、好ましい上限が5.0μmである。上記平均粒子径が0.5μm未満であると、上記範囲の内包率を維持しようとすると、硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の凹部及び凹部以外のシェル厚みが低下し、貯蔵安定性が低下することがある。上記平均粒子径が5.0μmを超えると、硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子を硬化性樹脂組成物に配合した場合に、加熱により上記硬化剤及び/又は硬化促進剤が放出された後、大きなボイドが生じて硬化物の信頼性が低下することがある。
上記平均粒子径のより好ましい上限は3.0μmである。
【0047】
本発明の硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の製造方法により製造される硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子において、アスペクト比は特に限定されないが、好ましい上限が1.1である。上記アスペクト比が1.1を超えると、硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の貯蔵安定性が低下したり、硬化性樹脂組成物に配合された場合に硬化が不均一となって硬化物の信頼性が低下したりすることがある。
上記アスペクト比のより好ましい上限は1.05である。
【0048】
本発明の硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の製造方法により製造される硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子において、粒子径のCV値は特に限定されないが、好ましい上限が50%である。上記粒子径のCV値が50%を超えると、硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の貯蔵安定性が低下したり、硬化性樹脂組成物に配合された場合に硬化が不均一となって硬化物の信頼性が低下したりすることがある。
上記粒子径のCV値のより好ましい上限は30%である。
【0049】
なお、本明細書中、硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の平均粒子径、アスペクト比及び粒子径のCV値は、以下のようにして求めた値を意味する。
硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子を、走査型電子顕微鏡を用いて1視野に約100個の粒子が観察できる倍率で観察し、任意に選択した50個の粒子の外径の最長径及び最短径を、ノギスを用いて測定する。最長径を粒子径とし、粒子径の数平均値を求め、これを平均粒子径とし、最短径に対する最長径の比(最長径/最短径)の数平均値を求め、これをアスペクト比とする。なお、アスペクト比は、1に近くなるほど真球状に近いことを意味する。また、粒子径のCV値は、下記式(2)で表される。
CV値(%)=(粒子径の標準偏差σ/平均粒子径Dn)×100 (2)
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、硬化剤及び/又は硬化促進剤の放出性に優れ、硬化性樹脂組成物に配合された場合に優れた硬化性を発揮することができ、貯蔵安定性にも優れた硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子を製造することのできる硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、本発明の硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の製造方法により製造される、シェルが、内側の一部分に凹部を有する硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の一例を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0053】
(実施例1)
溶媒1として酢酸エチル(沸点77.1℃)を、溶媒2として2−プロパノール(IPA、沸点82.5℃)を用いた。なお、水の沸点は100℃である。
シェルを形成するポリマーとしてマープルーフ(G−0130S、ポリスチレン一部エポキシ置換、日油社製)4.5重量部と、疎水性イミダゾール化合物として2−ウンデシルイミダゾール3.2重量部と、無機ポリマーとしてシリコーン樹脂(X−41−1053、アルコキシオリゴマー一部エポキシ置換、信越化学工業社製)1.5重量部とを、酢酸エチルと2−プロパノールとの混合溶媒(酢酸エチル:2−プロパノール=3:2)170重量部に溶解させて、混合溶液を得た。この混合溶液に、乳化剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル2重量%を含有する水1000重量部を滴下して、ホモジナイザーを用いて3000rpmで攪拌して乳化分散させた。その後、得られた分散液を減圧装置付反応器で50℃加熱しながら0.095〜0.090MPaとなるように減圧して、溶媒を除去することにより、硬化促進剤複合粒子分散液を得た。得られた硬化促進剤複合粒子分散液中の硬化促進剤複合粒子を、純水を用いて繰り返して洗浄した後、真空乾燥した。
【0054】
(実施例2)
溶媒1として酢酸エチル(沸点77.1℃)を、溶媒2としてt−ブチルアルコール(沸点83.0℃)を用いた。
酢酸エチルと2−プロパノールとの混合溶媒(酢酸エチル:2−プロパノール=3:2)170重量部の代わりに酢酸エチルとt−ブチルアルコールとの混合溶媒(酢酸エチル:t−ブチルアルコール=3:2)170重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、硬化促進剤複合粒子を得た。
【0055】
(実施例3)
溶媒1として酢酸エチル(沸点77.1℃)を、溶媒2としてエタノール(沸点78.5℃)を用いた。
酢酸エチルと2−プロパノールとの混合溶媒(酢酸エチル:2−プロパノール=3:2)170重量部の代わりに酢酸エチルとエタノールとの混合溶媒(酢酸エチル:エタノール=3:2)170重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、硬化促進剤複合粒子を得た。
【0056】
(実施例4)
溶媒1としてシクロヘキサン(沸点80.7℃)を、溶媒2として2−プロパノール(IPA、沸点82.5℃)を用いた。
酢酸エチルと2−プロパノールとの混合溶媒(酢酸エチル:2−プロパノール=3:2)170重量部の代わりにシクロヘキサンと2−プロパノールとの混合溶媒(シクロヘキサン:2−プロパノール=4:1)170重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、硬化促進剤複合粒子を得た。
【0057】
(実施例5)
マープルーフ(G−0130S、ポリスチレン一部エポキシ置換、日油社製)4.5重量部の代わりにポリメタクリル酸メチル4.5重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、硬化促進剤複合粒子を得た。
【0058】
(比較例1)
溶媒1として酢酸エチル(沸点77.1℃)を、溶媒2としてメタノール(沸点64.7℃)を用いた。
酢酸エチルと2−プロパノールとの混合溶媒(酢酸エチル:2−プロパノール=3:2)170重量部の代わりに酢酸エチルとメタノールとの混合溶媒(酢酸エチル:メタノール=3:2)170重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、硬化促進剤複合粒子を得た。
【0059】
(比較例2)
溶媒1として酢酸エチル(沸点77.1℃)を、溶媒2として1−ブタノール(沸点117.0℃)を用いた。
酢酸エチルと2−プロパノールとの混合溶媒(酢酸エチル:2−プロパノール=3:2)170重量部の代わりに酢酸エチルと1−ブタノールとの混合溶媒(酢酸エチル:1−ブタノール=3:2)170重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、硬化促進剤複合粒子を得た。
【0060】
(比較例3)
溶媒1としてトルエン(沸点110.6℃)を、溶媒2として1−ブタノール(沸点117.0℃)を用いた。
酢酸エチルと2−プロパノールとの混合溶媒(酢酸エチル:2−プロパノール=3:2)170重量部の代わりにトルエンと1−ブタノールとの混合溶媒(トルエン:1−ブタノール=3:2)170重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、硬化促進剤複合粒子を得た。
【0061】
<評価>
実施例及び比較例で得られた硬化促進剤複合粒子について以下の評価を行った。結果を表1に示した。
【0062】
(1)貯蔵安定性(ゲル分率の測定)
エポキシ樹脂(YL980、三菱化学社製)0.58重量部及び酸無水物硬化剤(YH309、三菱化学社製)0.29重量部中に、硬化促進剤複合粒子を0.13重量部添加して、公転自転撹拌機で撹拌した後、得られたエポキシ樹脂組成物を50μmの厚さに塗布して樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムを40℃で3日間放置した後、酢酸エチル中で24時間以上浸漬、振とうさせた。浸漬後の樹脂フィルムを取り出し、酢酸エチル浸漬前後の樹脂フィルムの重量を測定することで、ゲル分率測定を行った。
なお、本明細書中、ゲル分率とは、酢酸エチル浸漬後に乾燥させた樹脂フィルム重量を酢酸エチル浸漬前の樹脂フィルム重量で割ることにより得られる値を意味する。
【0063】
(2)速硬化性(硬化速度の測定)
エポキシ樹脂(YL980、三菱化学社製)0.58重量部及び酸無水物硬化剤(YH309、三菱化学社製)0.29重量部中に、硬化促進剤複合粒子を0.13重量部添加して、公転自転撹拌機で撹拌した後、得られたエポキシ樹脂組成物を180℃に熱したホットプレート上に置いたスライドガラスの上に滴下して、エポキシ樹脂組成物が硬化するまでの時間を測定した。
【0064】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明によれば、硬化剤及び/又は硬化促進剤の放出性に優れ、硬化性樹脂組成物に配合された場合に優れた硬化性を発揮することができ、貯蔵安定性にも優れた硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子を製造することのできる硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の製造方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子
2 シェル
3 硬化剤及び/又は硬化促進剤
4 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェルを形成するポリマーと、該ポリマーを溶解する溶媒1と、硬化剤及び/又は硬化促進剤と、該硬化剤及び/又は硬化促進剤を溶解する溶媒2とを混合して混合溶液を調製する工程と、
前記混合溶液と水性媒体とを乳化させる工程と、
加熱を行い前記水性媒体中で前記溶媒1及び前記溶媒2を除去する工程とを有し、
前記溶媒1の沸点は前記溶媒2の沸点より低く、かつ、前記溶媒1及び前記溶媒2の沸点は水の沸点より低い
ことを特徴とする硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の製造方法。
【請求項2】
溶媒1と溶媒2と水とが共沸することを特徴とする請求項1記載の硬化剤及び/又は硬化促進剤複合粒子の製造方法。

【図1】
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