説明

硬化型組成物及びコーティング剤

【課題】薄膜条件下や、低照射エネルギー条件下でも速硬化性を有し、その硬化膜が高硬度等の優れた物性を有する硬化型組成物の提供。
【解決手段】(a1)グリセリン又はグリセリンから誘導される二級水酸基を有するポリオール、(a2)多価有機イソシアネート及び(a3)水酸基を有する(メタ)アクリレートの反応物であるウレタン(メタ)アクリレート(A)を含む硬化型組成物。
(A)成分としては、水酸基価30〜75mgKOH/gであるもの、重量平均分子量3,000〜20,000であるものが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なウレタン(メタ)アクリレートを含有する硬化型組成物に関するものである。
本発明の組成物は、硬化性に優れ、特に活性エネルギー線照射により硬化させる場合において薄膜条件又は低エネルギー照射条件下においても優れた速硬化性を有し、得られる硬化膜性能にも優れることから、塗料等のコーティング剤、インキ、レジスト及び成形材等の種々の用途に使用可能であり、好ましくはコーティング剤、より好ましくはハードコート用コーティング剤として有用であり、これら技術分野で賞用され得るものである。
【背景技術】
【0002】
一般にプラスチック製品、例えばポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート及びABS樹脂等は、その軽量性、易加工性及び耐衝撃性等に優れており、種々の用途に使用されている。
しかしながら、これらのプラスチック製品は、その表面に傷がつき易く、その原料樹脂が本来持つ透明性又は外観を損なうという欠点があり、耐摩耗性が要求される多くの分野では、その表面にハードコートが施される。
当該ハードコートに使用されるハードコート用コーティング剤(以下ハードコート剤という)としては、アクリル系ハードコート剤、シラン系ハードコート剤及びアクリル―シリコン系ハードコート剤等が知られている。これらの中でも、アクリル系ハードコート剤は、(メタ)アクリレートを含有するもので、紫外線等の活性エネルギー線照射により硬化が可能であるために、硬化時間が短く優れた生産性を有し、原料樹脂コストがシラン系ハードコート剤の1/4〜1/8と安価である等の多くの利点があり、当該分野で広く使用されている。
【0003】
従来、アクリル系ハードコート剤としては、高硬度とするためにペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のような多官能(メタ)アクリレートが使用されている(特許文献1〜4)。
【0004】
しかしながら、これらの多官能(メタ)アクリレートを主成分とする組成物は、組成物を塗布、硬化させた後に、基材が変形する、又は硬化膜にクラックが発生するという問題があった。
多官能(メタ)アクリレートを主成分とする組成物において、基材の変形や組成物の硬化物のクラックを防止する組成物としては、充填剤を配合した組成物が知られており、充填剤として不飽和基を有する重合体を配合する例も知られている(特許文献5)
しかしながら、当該組成物は、硬化後の基材変形が少ないものの、硬化膜の硬度が低下してしまう問題を有するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭53−102936号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開昭53−104638号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開昭54−97633号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】特開2001−278924号公報(特許請求の範囲)
【特許文献5】特開2000−167999号公報(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの多官能(メタ)アクリレートを主成分とする組成物は、前記した問題の他、塗工膜厚10μm以上のような比較的厚膜条件下では優れた硬化性と硬化膜性能が得られるものの、たとえば5μm以下の薄膜においては空気中の酸素による硬化阻害の影響が大きく、硬化性が不充分となったり、得られる硬化膜の硬度が不充分となることが多い。
本発明者は、薄膜条件下や、低照射エネルギー条件下でも速硬化性を有し、その硬化膜が高硬度等の優れた物性を有する硬化型組成物を見出すため鋭意検討を行ったのである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決するために種々の検討を行なった結果、グリセリン又はグリセリンの誘導体といった二級水酸基を有するポリオールと多価有機イソシアネート、水酸基を有する(メタ)アクリレートから得られるウレタン(メタ)アクリレートを含む組成物が、硬化性、硬化膜の硬度等に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
以下、本発明を詳細に説明する。
尚、本明細書においては、アクリレート又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと表し、アクリル酸又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表す。
【発明の効果】
【0008】
本発明の組成物は、新規ウレタン(メタ)アクリレートである(A)成分が二級水酸基を含有するもので、従来の二級水酸基を含有しないウレタン(メタ)アクリレートを含む組成物や従来の多官能(メタ)アクリレートを含む組成物に対して、薄膜、低エネルギー照射条件下でも優れた硬化性を有するうえ、硬化物の硬度にも優れる。
さらに、多官能(メタ)アクリレートを配合することにより、速硬化性と硬化膜硬度、密着性等を両立することができる。
本発明は、この様な性能を有するため、特に活性エネルギー線硬化型コーティング用途で特に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、(a1)グリセリン又はグリセリンから誘導される二級水酸基を有するポリオール〔以下、「化合物(a1)」という〕、(a2)多価有機イソシアネート〔以下、「化合物(a2)」という〕及び(a3)水酸基を有する(メタ)アクリレート〔以下、「化合物(a3)」という〕の反応物であるウレタン(メタ)アクリレート(A)〔以下、「(A)成分」という〕を含む硬化型組成物に関する。
以下、(A)成分について説明する。
【0010】
1.(A)成分
(A)成分は、化合物(a1)、化合物(a2)及び化合物(a3)の反応物であるウレタン(メタ)アクリレートである。
(A)成分は、原料の化合物(a1)に含まれる水酸基の一部、特に二級水酸基の一部がウレタン化せずに残存し、特に二級水酸基近傍の水素が酸素阻害低減に対して効果が大きいために優れた硬化性を発現し、薄膜又は低エネルギー照射条件下でも硬化するうえ、得られる硬化膜が種々の物性に優れたものになるものと考えている。
(A)成分の水酸基価としては、30〜75mgKOH/gが好ましく、より好ましくは40〜60mgKOH/gである。当該水酸基価の範囲とすることにより、薄膜又は低エネルギー照射条件下でも硬化するうえ、得られる硬化膜が種々の物性に優れたものとすることができる。
尚、本発明において水酸基価とは、滴定法により測定された値をいう。
【0011】
(A)成分の分子量としては、重量平均分子量で3,000〜20,000が好ましく、より好ましくは4,000〜10,000である。
尚、本発明において重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)により測定された分子量を、ポリスチレン換算した値をいう。
以下、各構成成分及び製造方法について説明する。
【0012】
1−1.化合物(a1)
化合物(a1)は、グリセリン、又はグリセリンから誘導される二級水酸基を有するポリオール〔以下、「グリセリン誘導体」という〕である。
【0013】
グリセリン誘導体の例としては、ジグリセリン及びポリグリセリン等のポリグリセリン;グリセリン又はポリグリセリンのアルキレンオキサイド付加物;グリセリン又はポリグリセリンと多塩基酸とのポリエステルポリオール等が挙げられる。
【0014】
グリセリン又はポリグリセリンのアルキレンオキサイド付加物において、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキセイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。グリセリンのアルキレンオキサイド付加物の具体例としては、グリセリンのエチレンオキサイド付加物及びグリセリンのプロピレンオキサイド付加物等が挙げられ、ジグリセリンのアルキレンオキサイド付加物の具体例としては、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物及びジグリセリンのプロピレンオキサイド付加物等が挙げられ、ポリグリセリンのアルキレンオキサイド付加物の具体例としては、ポリグリセリンのエチレンオキサイド付加物及びポリグリセリンのプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0015】
グリセリン又はポリグリセリンと多塩基酸とのポリエステルポリオールにおいて、多塩基酸としては、アジピン酸、マレイン酸、セバシン酸及びフタル酸等が挙げられる
当該ポリエステルポリオールにおいては、グリセリン又はポリグリセリン以外のポリオールを併用して製造されたものも使用することができる。例えば、当該ポリオールとしては、エチレングリコール及びプロピレングリコール等のアルキレングリコール、並びにポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール等が挙げられる。
【0016】
前記した化合物(a1)において、共通する特徴としては、二級の水酸基を分子中に有していることであり、二級水酸基を有する化合物であれば任意の構造の化合物を使用できる。
化合物(a1)としては、1分子中に1個の二級水酸基を有する化合物を使用することが、(A)成分の製造において重合を防止し、不溶化成分の生成を抑制できるため好ましい。
1個の二級水酸基を有する化合物としては、グリセリン及びグリセリンのエチレンオキサイド付加物がより好ましい。
グリセリンのエチレンオキサイド付加物において、エチレンオキサイド付加物の付加数としては、1分子中にエチレンオキサイドが1モル付加した化合物が、(A)成分の製造においてゲル化を抑制することができ好ましい。
【0017】
1−2.化合物(a2)
化合物(a2)は、多価有機イソシアネートである。
化合物(a2)としては、芳香族有機イソシアネート及び脂肪族有機イソシアネートのいずれの化合物も使用することができる。
化合物(a2)の具体例としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。
化合物(a2)は、1種類を使用しても、2種類以上を併用しても良い。
【0018】
1−3.化合物(a3)
化合物(a3)は、水酸基を有する(メタ)アクリレートである。
化合物(a3)としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、具体例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
化合物(a3)は、1種類を使用しても、2種類以上を併用しても良い。
【0019】
1−4.製造方法
(A)成分は、常法により製造されたものを使用することができる。
具体的には、(A)成分の製造方法としては、有機溶媒中、又は反応成分のみからなる無溶剤条件下で、触媒及びラジカル重合禁止剤の存在下に、化合物(a1)、化合物(a2)及び化合物(a3)を反応させる方法が好ましい。
【0020】
化合物(a1)、化合物(a2)及び化合物(a3)は、一括仕込みで反応させても、化合物(a1)及び化合物(a2)を反応させた後、化合物(a3)を反応させても良い。
化合物(a1)、化合物(a2)及び化合物(a3)の使用割合は特に限定されるものではないが、(A)成分は分子中に二級水酸基を有することで優れた硬化性を発現するため、化合物(a1)と化合物(a3)を合計した全水酸基(以下「(a1・3)全水酸基」という)に対して、化合物(a2)のイソシアネート基(以下「(a2)NCO基」という)を等量以下にすることが好ましい。
具体的には、〔(a1・3)全水酸基〕/〔(a2)NCO基〕の比率(モル比)が、1.1〜3が好ましく、1.2〜2がより好ましい。
この比率を1.1以上とすることで、ウレタン化反応の不溶化を抑制することができ、一方、3以下とすることで、得られる(A)成分中に未反応の化合物(a1)が残存することを防止し、組成物の硬化膜から化合物(a1)がブリードアウトする等の問題を抑制することができる。
【0021】
触媒としては、ウレタン化反応で通常使用されるものを使用することができ、具体的には、ジブチルスズジラウレート等のスズ化合物、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等のアミン化合物及び下記一般式(1)で表される金属触媒等を挙げることができる。
【0022】
M(X)n ・・・(1)
〔式(1)において、MはFe、Ru又はZrを表し、Xはアセチルアセトナート、ハロゲン原子、カルボン酸又はアルコキシドを表し、nは2〜4の整数を表す。〕
ハロゲン原子としては、塩素原子及び臭素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。
カルボン酸としては、反応液に溶解し易いという理由で、長鎖アルキル基を有するものが好ましい。具体的には、炭素数5〜10のカルボン酸が好ましく、具体的には、2−エチルヘキサン酸、オクチル酸、ナフテン酸及びラウリル酸等が挙げられる。
アルコキシドとしては、メトキシド及びエトキシド等を挙げることができる。
金属触媒におけるXとしては、これらの中でも、アセチルアセトナート及びハロゲン原子が好ましく、得られるウレタン(メタ)アクリレートの着色が少ない点で、より好ましくはアセチルアセトナートである。具体例としては、Xがアセチルアセトナートの場合には、Fe(acac)3、Ru(acac)3及びZr(acac)4(acacはアセチルアセトナートを意味する)が挙げられる。Xがハロゲン原子の場合には、FeCl3及びRuCl3が挙げられる。Xがカルボン酸の場合には、Fe(Oc)3及びRu(Oc)3(Ocはオクチル酸を意味する)、並びにFe(NF)2及びRu(NF)2(NFはナフテン酸を意味する)等が挙げられる。Xがアルコキシドの場合には、Fe(OR)3及びRu(OR)3(ORはアルコキシドを意味する)等が挙げられる。
【0023】
触媒の使用割合は、一般的なウレタン化反応における使用量と同じで良く、反応溶液全体に対して10〜2000ppmが好ましい。
【0024】
ラジカル重合禁止剤としては、ラジカルを捕捉しうる化合物であれば特に制限されず、従来より知られている通常のラジカル重合禁止剤が使用可能である。
好ましい化合物としては、ハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、エトキシハイドロキノン、メチルハイドロキノン、メトキシフェノール、フェノチアジン、t−ブチルカテコール及び次亜リン酸等が挙げられる。
ラジカル重合禁止剤は単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
ラジカル重合禁止剤の使用割合は、反応液に対して10〜10000ppmの範囲で使用する事が好ましく、100〜5000ppmがより好ましい。
【0025】
有機溶媒としては、原料として使用されるイソシアネート基を含む化合物(a3)と反応するもの、例えば、アルコール以外のものであれば、特に限定されるものではない。
組成物を無溶剤型組成物としてする場合や、溶剤型組成物の場合でも、塗布後有機溶剤を乾燥して使用することから、組成物から容易に留去できる有機溶媒が好ましい。
このような有機溶剤の例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、キュメン、ジクロロエタン及びトリクロロエタン等を挙げることができる。
又、後記するラジカル重合性モノマーを組成物で使用する場合には、ラジカル重合性モノマーを有機溶媒として使用することもできる。
有機溶媒の使用量は、特に限定されるものではないが、通常は溶質に対して、3重量倍以下であり、好ましくは0.1以上〜2重量倍以下である。
【0026】
2.その他の成分
本発明の組成物は、前記(A)成分を必須とするものであり、必要に応じて種々の成分を配合することができる。
好ましい具体例としては、光重合開始剤〔以下(B)成分という〕、熱重合開始剤〔以下(C)成分という〕及び(A)成分以外のラジカル重合性モノマー〔以下(D)成分という〕及び有機溶剤〔以下(E)成分という〕が挙げられる。
以下、(B)〜(E)成分について説明する。
【0027】
2−1.(B)成分
本発明の新規な(A)成分は、活性エネルギー線の照射により硬化させ使用することができる。活性エネルギー線としては、電子線、可視光線及び紫外線等が挙げられ、特別な装置を必要とせず、簡便であるため、可視光線又は紫外線が好ましい。
可視光線又は紫外線硬化性組成物とする場合、組成物に(B)成分である光重合開始剤を配合する。尚、電子線硬化性組成物とする場合は、光重合開始剤を必ずしも配合する必要はない。
【0028】
本発明の(B)成分としては、種々の化合物を使用することができる。
(B)成分の具体例としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノン}及び2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン及び4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルファイド等のベンゾフェノン系化合物;メチルベンゾイルフォルメート、オキシフェニル酢酸の2−(2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ)エチルエステル及びオキシフェニル酢酸の2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステル等のα−ケトエステル系化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のフォスフィンオキサイド系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル及びベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系化合物;チタノセン系化合物;1−〔4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル〕−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフィニル)プロパン−1−オン等のアセトフェノン/ベンゾフェノンハイブリッド系光開始剤;2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−〔4−(フェニルチオ)〕−1,2−オクタンジオン等のオキシムエステル系光重合開始剤;並びにカンファーキノン等が挙げられる。
前記化合物は、単独で使用しても、これらを2種類以上組合わせて使用してもよい。
【0029】
本発明の組成物における(B)成分の含有割合は、(A)成分100重量部に対して、後記する(D)成分のラジカル重合性モノマーを配合する場合は、(A)成分及び(D)成分の合計100重量部に対して、0.05〜20重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜7重量部、特に好ましくは0.3〜5重量部である。
(B)成分の含有割合を0.3〜5重量部とすることで、組成物が硬化性に優れるものとなり、組成物の硬化膜が耐擦傷性に優れたものとなる。
【0030】
2−2.(C)成分
本発明の硬化性組成物は、(C)成分である熱重合開始剤を配合し、加熱硬化させることもできる。
(C)成分としては、種々の化合物を使用することができ、有機過酸化物及びアゾ系開始剤が好ましい。
有機過酸化物の具体例としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジーメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α、α‘−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
アゾ系化合物の具体例としては、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾジ−t−オクタン、アゾジ−t−ブタン等が挙げられる。
【0031】
これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。又、有機過酸化物は還元剤と組み合わせることによりレドックス反応とすることも可能である。
これら(C)成分を配合する場合の配合割合としては、(A)成分100重量部に対して、後記する(D)成分のラジカル重合性モノマーを配合する場合は、(A)成分及び(D)成分の合計量100重量部に対して、10重量部を超えないことが好ましい。
【0032】
熱重合開始剤を単独で用いる場合は、通常のラジカル熱重合の常套手段にしたがって行えばよく、場合によっては光重合開始剤と併用し、光硬化させた後にさらに反応率を向上させる目的で熱硬化を行うこともできる。
【0033】
2−3.(D)成分
本発明の(A)成分は、単独で使用することも可能であるが、種々の物性を調整する目的で、具体的には、基材との密着性を向上させたり、硬化物の耐摩耗性を向上させる目的等で、(D)成分である(A)成分以外のラジカル重合性モノマーを併用して使用することが好ましい。
【0034】
(D)成分としては、(メタ)アクリレート並びにスチレン及びジビニルベンゼン等のスチレン誘導体等が挙げられ、これらの中から使用目的や所望物性に合わせて、任意のものを任意の割合で使用することができる。
【0035】
(D)成分としては、(メタ)アクリレートが好ましい。
(メタ)アクリレートとしては、1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート〔以下単官能(メタ)アクリレートという〕、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート〔以下多官能(メタ)アクリレートという〕等が挙げられる。
【0036】
単官能(メタ)アクリレートとしては、フェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート及びイソボルニルアクリレート等の高沸点(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
又、これら以外にも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート及びブチル(メタ)アクリレート等の低分子量で沸点の低い(メタ)アクリレートを使用することもできる。
【0037】
多官能(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールFエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールZエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート及びポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート、並びにペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等の3個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これら以外にも、4個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートも使用可能である。
【0038】
又、ポリエステル(メタ)アクリレート、(A)成分以外のウレタン(メタ)アクリレートやエポキシ(メタ)アクリレート等のオリゴマーも使用することができる。
エポキシ(メタ)アクリレートとしては、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル及びトリグリシジルイソシアヌレート等のグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート並びにビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも得られる硬化塗膜の表面硬度に優れることから、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートが好ましい。
【0039】
2−4.有機溶剤
本発明の組成物においては、特にコーティング剤として使用する場合には、塗工性を改善するために、有機溶剤を含有することが好ましい
有機溶剤は、有機溶媒を使用して(A)成分を製造した場合は、そのまま使用することができ、又、別途添加することもできる。
有機溶剤の例としては、各成分を溶解できるものであれば種々の化合物を使用することができ、アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;並びにヘキサン、ヘプタン及びミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類等が挙げられる。
有機溶剤の配合割合としては、組成物全体の固形分が10〜90重量%であることが好ましく、より好ましくは30〜70重量%である。
【0040】
2−5.その他の成分
本発明の組成物には、前記した成分以外にも、使用する目的及び用途に応じて、種々の成分を配合することができる。
具体的には、顔料、染料、消泡剤、レベリング剤、無機フィラー、有機フィラー及び光安定剤等が挙げられる。
【0041】
3.使用方法
本発明の組成物は、(A)成分を含むものであり、前記したその他成分を含む場合は、常法に従いその他成分を、攪拌・混合して得ることができる。
【0042】
本発明の組成物は、前記した通り、活性エネルギー線硬化型組成物及び熱硬化型組成物のいずれにも使用することができるが、薄膜又は低エネルギーで硬化性に優れるという特長を生かして、活性エネルギー線硬化型組成物として使用することが好ましい。
【0043】
本発明の組成物の使用方法としては、常法に従えば良い。
例えば、塗料、インキ及びレジストとして使用する場合には、基材に組成物を塗布した後、活性エネルギー線硬化型組成物の場合は、活性エネルギー線を照射し、熱硬化型組成物の場合は加熱する。
活性エネルギー線硬化性組成物の場合において、組成物が有機溶剤を含む場合は、基材に組成物を塗布した後、加熱・乾燥して、有機溶剤を蒸発させた後、活性エネルギー線を照射する。
又、ハードコート剤として使用する場合は、光重合開始剤及び熱重合開始剤を併用した組成物を使用し、前記と同様に塗工後に活性エネルギー線照射し、これを加熱硬化させることにより、基材との密着性を向上させる方法も採用することができる。
【0044】
基材としては、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート及びポリ塩化ビニル等の成形樹脂加工品(プラスチック)、金属、ガラス、コンクリート、自然の木材及び合成木材等の木材、石材並びに紙等が挙げられる。
【0045】
本発明の組成物は種々の用途に使用可能であり、塗料等のコーティング剤、インキ、レジスト及び成形材等が挙げられる。
特に、本発明の組成物は、その硬化物物性から、コーティング剤に好適に使用でき、特にハードコート剤として好適に使用することができる。
コーティング剤としては、木工等塗料、モルタル及びスレート等のトップコート用塗料並びに電子回路を構成するプリント基板の防水塗料等が挙げられる。
ハードコート剤の具体的な使用形態としては、CD、DVD等の光ディスクの裏面のコーティング、携帯電話本体のコーティング及び自動車用ヘッドライトのコーティング等が挙げられる。又、成形材料としても有用であり、透明アクリル板及び液晶用材料等が挙げられる。
【実施例】
【0046】
以下に、実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。
尚、以下において「部」とは重量部を意味し、「%」とは重量%を意味する。
又、製造例における略号は、以下を意味する。
・IPDI:イソホロンジイソシアネート
・BHT :ジtert−ブチルヒドロキシトルエン
・HEA :ヒドロキシエチルアクリレート
・IBXA:イソボルニルアクリレート
・POA :フェノキシエチルアクリレート
・Mn :数平均分子量
・Mw :重量平均分子量
【0047】
○製造例1〔(A)成分の製造〕
冷却管、温度計及び攪拌棒を備えた1L容量3つ口フラスコに、IPDIの222.3g(1.00mol)、重合禁止剤としてBHTの0.1g、合成触媒としてトリス(アセチルアセトナート)鉄〔日本化学産業(株)製商品名:ナーセム第二鉄。以下、「ナーセム」という〕0.002gを加え、攪拌しながら80℃まで昇温し、HEAの116.1g(1.00mol)、グリセリン〔和光純薬工業(株)製1級試薬グリセリン。以下、単にグリセリンという〕46g(0.500mol)を2時間かけて連続的に滴下し、滴下終了後さらに3時間攪拌した。さらに、ナーセムの0.002gとIBXAの160gを加え、3時間反応させた結果、ウレタンアクリレート(以下、「UA1」という)を70.6%含むIBXA溶液を得た。これを反応液1という。
※〔(a1・3)全水酸基〕/〔(a2)NCO基〕=1.25
得られた反応液1を使用して、GPC(東ソー(株)製高速GPCシステム HLC−8020、カラム:TSKgel GMHXL−L、溶離液:THF)により分析したところ、IBXAに相当するピークを除いたUA1のMnは1,600、Mwは4,900であった。UA1の水酸基価は50.8mgKOH/gであった。
【0048】
○製造例2〔(A)成分の製造〕
製造例1と同様のフラスコに、IPDIの222.3g(1.00mol)、BHTの0.1g、ナーセムの0.002gを加え、攪拌しながら80℃まで昇温し、HEAの116.1g(1.00mol)及びグリセリン46g(0.500mol)を2時間かけて連続的に滴下し、滴下終了後さらに3時間攪拌した。さらに、ナーセム0.002gとPOAの160gを加え、3時間反応させた結果、ウレタンアクリレート(以下、「UA2」という)を70.6%含むPOA溶液を得た。これを反応液2という。
※〔(a1・3)全水酸基〕/〔(a2)NCO基〕=1.25
得られた反応液2を使用して、GPCにより分析したところ、POAに相当するピークを除いたUA2のMnは1,700、Mwは7,000であった。UA2の水酸基価は53.2mgKOH/gであった。
【0049】
○製造例3〔(A)成分の製造〕
製造例1と同様のフラスコに、IPDIの222.3g(1.00mol)、BHTの0.1g、ナーセムの0.002gを加え、攪拌しながら80℃まで昇温し、HEAの116.1g(1.00mol)、グリセリンのエチレンオキサイド1モル付加物〔花王(株)製、商品名:エマルゲンGE−1。以下、「エマルゲンGE−1」という。〕68.1g(0.501mol)を2時間かけて連続的に滴下し、滴下終了後さらに3時間攪拌した。さらに、ナーセム0.002gとPOAの140gを加え、3時間反応させた結果、ウレタンアクリレート(以下、「UA3」という)を74.4%含むPOA溶液を得た。これを反応液3という。
※〔(a1・3)全水酸基〕/〔(a2)NCO基〕=1.25
得られた反応液3を使用して、GPCにより分析したところ、POAに相当するピークを除いたUA3のMnは1,600、Mwは4,900であった。UA3の水酸基価は52.3mgKOH/gであった。
【0050】
○製造例4〔(A)成分の製造〕
製造例1と同様のフラスコに、IPDIの222.3g(1.00mol)、BHTの0.1g、ナーセムの0.002gを加え、攪拌しながら80℃まで昇温し、HEAの116.1g(1.00mol)、エマルゲンGE−1の68.1g(0.501mol)を2時間かけて連続的に滴下し、滴下終了後さらに3時間攪拌した。さらに、ナーセム0.002gとメチルイソブチルケトン(以下、「MBK」という)135gを加え、3時間反応させた結果、ウレタンアクリレート(以下、「UA4」という)を75.1%含むMBK溶液を得た。これを反応液4という。
※〔(a1・3)全水酸基〕/〔(a2)NCO基〕=1.25
得られた反応液4を使用して、GPCにより分析したところ、UA4のMnは1,600、Mwは5,700であった。又、UA4の水酸基価は54.0mgKOH/gであった。
【0051】
○実施例1〜10及び比較例1〜5
表1に示す成分を常法に従い混合し、あらかじめ40℃に保った乾燥機中で、固体状の光重合開始剤である1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン〔BASFジャパン(株)製IRGACURE184。以下、「CPHK」という。)を15分かけて加熱溶解させ、紫外線硬化性組成物を得た。
得られた組成物を使用して、以下に示す硬化性試験、密着性試験及び鉛筆硬度を評価した。
【0052】
・硬化性
得られた組成物を、バーコーター#4及び#10を用いて東レ(株)製ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムU−35に塗工し、80℃の乾燥機にて5分間乾燥し、組成物中の有機溶剤を蒸発させた。
乾燥被膜に、コンベアを備えた高圧水銀ランプを用いて、UV−A照度70mW/cm2、1パスあたりの照射エネルギー50mJ/cm2の条件で紫外線を照射した。
硬化膜表面のタックがなくなるまでのパス数から必要な照射エネルギー量を求め、硬化性を評価した。エネルギー量が少ないものほど硬化性が良好である。
【0053】
・密着性
硬化性試験において、バーコーター#10を用いて、上記と同一の塗工・乾燥工程の後に、コンベアを備えた高圧水銀ランプを用いて、UV−A照度200mW/cm2、1パスあたりの照射エネルギー200mJ/cm2で紫外線を照射した。
得られた硬化膜について、テープ剥離試験によりPETフィルムに対する組成物の密着性評価を行った。硬化膜を1mm×1mmの碁盤目にカッターで切り目を入れ、ます目100個のうちの残膜数を評価した。
【0054】
・鉛筆硬度
密着性試験と同じ条件で得られた硬化膜について、JIS K5600−5−4に準じ、鉛筆硬度を測定した。
【0055】
【表1】

【0056】
表1の略号において、前記で定義したもの以外は、下記を意味する。
1)UA−3061:ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンポリマー、共栄社化学(株)製UA−3061
2)PGM:プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0057】
【表2】

【0058】
表2の略号において、前記で定義したもの以外は、下記を意味する。
3)M−1200:ポリエステル系ウレタンアクリレート、東亞合成(株)製アロニックスM−1200
4)M−1600:ポリエーテル系ウレタンアクリレート、東亞合成(株)製アロニックスM−1600
5)M−309:トリメチロールプロパントリアクリレート、東亞合成(株)製アロニックスM−309
6)M−305:ペンタエリスリトールトリアクリレート、東亞合成(株)製アロニックスM−305
【0059】
【表3】

【0060】
実施例1〜同10の組成物は、硬化性に優れ、得られる硬化膜は、密着性及び硬度のいずれにも優れていた。特に、バーコーター♯4を使用して得られた薄膜状態でも、優れた硬化性を有していた。
これに対して、従来のウレタンアクリレートを含む比較例1〜同3の組成物は、実施例の組成物に対して硬化性が不充分であり、特に比較例2及び同3の組成物は、得られる硬化膜の硬度が不充分なものであった。
又、従来の多官能アクリレートを含む比較例4及び同5の組成物は、硬化性が悪く、又得られる硬化膜の密着性及び硬度が全く実用的なものではなかった。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の組成物は、塗料等のコーティング剤、インキ、レジスト及び成形材等の種々の用途に使用可能であり、好ましくはコーティング剤、より好ましくはハードコート用コーティング剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a1)グリセリン又はグリセリンから誘導される二級水酸基を有するポリオール、(a2)多価有機イソシアネート及び(a3)水酸基を有する(メタ)アクリレートの反応物であるウレタン(メタ)アクリレート(A)を含む硬化型組成物。
【請求項2】
(A)成分が、水酸基価30〜75mgKOH/gである請求項1記載の硬化型組成物。
【請求項3】
(A)成分が、重量平均分子量3,000〜20,000である請求項1又は請求項2記載の硬化型組成物。
【請求項4】
(A)成分が、化合物(a1)と化合物(a3)を合計した全水酸基に対して、化合物(a2)のイソシアネート基を1.1〜3(モル比)の割合で反応させて得られた化合物である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の硬化型組成物。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の組成物に、さらに光重合開始剤(B)を含み、その割合が、前記(A)成分の100重量部に対して、後記(D)成分を含む場合は前記(A)成分及び後記(D)成分の合計量100重量部に対して、0.01〜20重量部を含む活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項6】
さらに(A)成分以外のラジカル重合性モノマー(D)を含む請求項5に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項7】
前記(D)成分が、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含む請求項6活性エネルギー線硬化型組成物。
【請求項8】
請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載の組成物を含む活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
【請求項9】
さらに有機溶剤を含む請求項8記載の活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。

【公開番号】特開2011−241356(P2011−241356A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117215(P2010−117215)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000003034)東亞合成株式会社 (548)
【Fターム(参考)】