説明

硬化性アルカノールアミン含有エポキシ粉末コーティング組成物

本発明は、少なくとも1種のエポキシ樹脂、少なくとも1種のアルカノールアミン、コーティングを硬化させるのに有効な量の硬化剤、および任意選択的に少なくとも1種のホウ酸亜鉛化合物を含む硬化性アルカノールアミン含有エポキシ粉末コーティング組成物を提供する。更に、本発明は、陰極防食保護の方法であって、金属基材を機械的処理に供する工程、硬化性アルカノールアミン含有エポキシ粉末コーティング組成物を該金属基材の表面に被着させる工程、および陰極として被覆された材料を分極させる工程を含む方法を提供する。本発明は、本発明のアルカノールアミン含有エポキシ粉末コーティング組成物を製造し被着させるための方法にも関連する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性用途と装飾用途の両方において用いるための硬化性アルカノールアミン含有エポキシ粉末コーティング組成物に関する。特に、本発明は、高温および湿潤条件下で基材に対して改善された粘着力を有する硬化性エポキシ粉末コーティング組成物に関する。本発明は、本発明のアルカノールアミン含有エポキシ粉末コーティング組成物の基材への粘着力が改善されるように改善された耐陰極剥離性を有する粉末コーティングにも関連する。
【背景技術】
【0002】
高い耐化学浸食性および種々の基材への良好な粘着力などのエポキシ樹脂の物理的特性および化学的特性のゆえに、エポキシ樹脂は粉末コーティングの調製に際して有用である。従来通り、エポキシ粉末コーティング結合剤系は、エポキシド基と反応して硬質不融性コーティングを形成させることができる1つまたは複数の反応性フェノールヒドロキシル基または1つまたは複数の反応性アミン基のいずれかを含む化合物などの共反応物とエポキシ樹脂をブレンドすることにより調製される。その後、このエポキシ粉末コーティング結合剤系は、追加の硬化剤、顔料、流動調整剤などの他の添加剤と組み合わせて、金属基材を被覆するために適するエポキシ粉末コーティング組成物を形成させることが可能である。
【0003】
一般に、基材へのエポキシ粉末コーティング組成物の粘着力は適切である。しかし、高温および湿潤条件下での金属基材への現在入手できるエポキシ粉末コーティング組成物の粘着力は問題であり続けている。これは、鉄筋ならびにパイプの内部および外部を被覆するために現在入手できるエポキシ粉末コーティング組成物に特に当てはまる。
【0004】
エリオット(Elliot)に付与された米国特許公報(特許文献1)およびアレン(Allen)に付与された米国特許公報(特許文献2)には、粉末プレミックスに添加される前にエポキシ−アミン付加体を形成させるためにヒドロキシルアミンと前もって反応させたエポキシ樹脂を有する種々の鉄筋およびパイプ用のエポキシ粉末コーティング組成物が開示されている。しかし、こうした粉末コーティングには、劣った耐湿気性の問題がなおある。
【0005】
エポキシ粉末コーティングは、腐食を防ぐとともにパイプの陰極防食を促進するためにガスとオイルのパイプラインで過去にも使われてきた。陰極防食は、電解質、すなわちブラインおよび塩の溶液を含む湿り条件でスチールなどの鉄含有金属材料の腐食を防ぐためのもう1つの手段である。一般に、陰極防食は、陰極として材料を維持するとともに中に含まれた鉄のイオン化を抑制することにより鉄含有金属材料の溶解を防ぐ。しかし、鉄含有金属材料は陰極防食を提供するために一般に単独で用いられない。鉄部分が大きい面積を有する時、動力および電気防食用陽極の消費が増大するからである。そうでなく、陰極防食は、鉄含有金属材料に有機コーティングおよび/またはライニングを被着させることにより一般に行われる。このアプローチを通して、鉄含有金属材料の大部分は腐食から保護され、引掻きおよび/またはピンホールなどの有機コーティングおよび/またはライニング中に起きる欠陥部分の結果として発生しかねないあらゆる腐食は陰極防食を通して補足的に保護することが可能である。
【0006】
残念なことに、危険な状態にある表面積の正確なサイズを予測することは極めて困難であり、従って、過剰量の動力および陰極防食は鉄含有金属材料に最後には適用される。しかし、過剰の陰極防食を適用する時、過剰の分極があり、それは陰極での水の加水分解を経由してヒドロキシルイオンを発生させる。結果として、有機コーティングの引掻き部分で露出した金属は陰極として最後に機能し、従って、有機コーティングはアルカリ環境に常にさらされる。結局、これらの条件は、有機コーティングおよび/またはライニングの接着の点を金属材料と有機コーティングとの間の界面でおよび有機コーティング間で、特に耐アルカリ性が最も弱い点で分解させる。結果として、有機コーティングの陰極剥離が起きる。
【0007】
こうした陰極剥離を制限する手段として、(特許文献3)には、特定の熱硬化性エポキシド樹脂のクロメート処理方法または亜鉛リッチプライマコーティングのいずれかを用いることが提案され、(特許文献4)には、ベーキングタイプのための前処理組成物としてポリビニルブチラール樹脂、液体エポキシド樹脂、ボレート化合物、エポキシ−シランカップリング剤および燐酸からなる組成物の使用が提案されている。
【0008】
更に、カガ(Kaga)に付与された(特許文献5)には、5〜75重量%の亜鉛化合物を含む熱硬化性エポキシド樹脂系粉末コーティングを被着させて、後で陰極として被覆されたスチール材料を分極させるスチール前処理工程を用いることを含む陰極防食を提供する方法が記載されている。
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,678,712号明細書
【特許文献2】米国特許第4,330,644号明細書
【特許文献3】特開昭59−222275号公報
【特許文献4】特開昭55−142063号公報
【特許文献5】欧州特許第0588318B1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、より安いコストで短期間および長期間の最適な高温高湿度陰極剥離保護を提供する粉末コーティング組成物および該組成物を被着させる方法が必要とされている。高温および湿潤条件下で基材への改善された粘着力を提供する粉末コーティング組成物であって、より低い温度、従ってより低いエネルギー消費コストで被着させることが可能である粉末コーティング組成物および該組成物を被着させる方法も必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
(a)少なくとも1種のエポキシ樹脂、
(b)粉末コーティング組成物の全重量を基準にして約0.02〜約6.0重量%の少なくとも1種のアルカノールアミンおよび
(c)前記粉末コーティング組成物を硬化させるのに有効な量の少なくとも1種のエポキシ硬化剤の均質混合物を含む第1のエポキシ粉末コーティング組成物であって、
前記成分(a)、(b)および(c)を合わせて混合する前に反応させないことを特徴とするエポキシ粉末コーティング組成物に関する。
【0012】
本発明は、第2のエポキシ粉末コーティング組成物であって、第1のエポキシ粉末コーティング組成物が全固形物重量を基準にして約0.5〜4.75重量%の少なくとも1種のホウ酸亜鉛化合物を更に含む第2のエポキシ粉末コーティング組成物にも関連する。
【0013】
本発明は、少なくとも1つの表面を有するスチール材料のための陰極腐食保護の方法であって、前記スチール材料の表面を機械的処理に供する工程、第1または第2のエポキシ粉末コーティング組成物を前記スチール材料の前記表面に被着させる工程、および陰極として被覆された材料を分極させる工程を含む方法に更に関連する。
【0014】
本発明は、その上に被覆された第1または第2のエポキシ粉末コーティング組成物を有する金属基材にも関連する。
【0015】
本発明は、
(a)少なくとも1種のエポキシ樹脂を混合容器に添加する工程、
(b)粉末コーティング組成物の全重量を基準にして約0.02〜約6.0重量%の少なくとも1種のアルカノールアミンを前記混合容器に添加する工程、
(c)粉末コーティングを硬化させるのに有効な量の少なくとも1種のエポキシ硬化剤を前記混合容器に添加する工程、および
(d)成分(a)、(b)および(c)を合わせて混合する工程
を含む本発明の第1の粉末コーティング組成物を製造する第1の方法であって、
成分(a)、(b)および(c)を前記混合容器に添加する前に反応させないことを特徴とする方法にも関連する。
【0016】
本発明は、
(a)少なくとも1種のエポキシ樹脂を混合容器に添加する工程、
(b)粉末コーティング組成物の全重量を基準にして約0.02〜約6.0重量%の少なくとも1種のアルカノールアミンを前記混合容器に添加する工程、
(c)前記粉末コーティング組成物の全重量を基準にして約0.5〜約4.75重量%の少なくとも1種のホウ酸亜鉛化合物を添加する工程、
(d)粉末コーティングを硬化させるのに有効な量の少なくとも1種のエポキシ硬化剤を前記混合容器に添加する工程、および
(e)成分(a)、(b)、(c)および(d)を合わせて混合する工程
を含む本発明の第2の粉末コーティング組成物を製造する第2の方法であって、
成分(a)、(b)、(c)および(d)を前記混合容器に添加する前に反応させないことを特徴とする方法に更に関連する。
【0017】
最後に、本発明は、第1または第2の粉末コーティング組成物で金属基材を被覆する方法であって、第1または第2の粉末コーティング組成物を金属基材に被着させて、前記粉末コーティング組成物を硬化させることを含む方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本明細書において引用されたすべての特許、特許出願および刊行物は全体的に引用して援用する。
【0019】
更に、量、濃度または他の値あるいはパラメータが好ましい上方値および好ましい下方値のリストとして示されている時、これは、範囲が別個に開示されているか否かに無関係に、好ましい上方値と好ましい下方値のいずれかの対から形成されたすべての範囲を特に開示していると理解されるべきである。
【0020】
本発明は、少なくとも1種のエポキシ樹脂、低レベル(添加量)の少なくとも1種のアルカノールアミンおよびコーティング組成物を硬化させるのに有効な量のエポキシ硬化剤を含むエポキシ粉末コーティング組成物であって、アルカノールアミン、エポキシ樹脂およびエポキシ硬化剤がアルカノールアミンとエポキシ樹脂またはエポキシ硬化剤のいずれかと前もって反応させずに混合されているエポキシ粉末コーティング組成物は、高温および湿潤条件下で優れた粘着力および特に短期間の高温高湿度条件で優れた耐陰極剥離性を有するコーティングをもたらすという発見に基づいている。
【0021】
本発明は、少なくとも1種のエポキシ樹脂、低レベル(添加量)の少なくとも1種のアルカノールアミン、低レベル(添加量)のホウ酸亜鉛化合物およびコーティング組成物を硬化させるのに有効な量のエポキシ硬化剤を含むエポキシ粉末コーティング組成物であって、エポキシ樹脂、アルカノールアミン、ホウ酸亜鉛化合物およびエポキシ硬化剤がアルカノールアミンとエポキシ樹脂またはエポキシ硬化剤のいずれかと前もって反応させずに混合されているエポキシ粉末コーティング組成物は、長期と短期の両方の高温高湿度条件で優れた耐陰極剥離性を有するコーティングをもたらすという発見にも基づいている。
【0022】
従来のエポキシコーティングと比較して、本発明により調製されたコーティングは、理想的とはいえない表面調製に供された金属表面に被着された時にも改善された粘着力を示す。理想的に調製されたといえない金属表面には、例えば、ブラストされたが酸リンスされなかったスチール表面、通常塗布温度より低く予熱されたスチール表面、および清浄化されたが化学的に前処理されなかったスチール表面が挙げられる。
【0023】
本発明のコーティング組成物は改善された粘着力を示すのみでなく、その改善された粘着力は良好な粘着力を有するとして見られてきた現在入手できる粉末コーティング組成物の塗布温度より低い塗布温度で実現もされる。実際、良好な粘着力は、230℃(488°F)の温度でコーティング組成物を被着させることにより以前は得られてきた。結果として、本発明のコーティング組成物は、大幅なエネルギー節約および従ってコストの節約を提供することが可能である。
【0024】
(エポキシ樹脂)
一般に、本発明により用いてもよいエポキシ樹脂には、ブラストクリーニングなどの機械的処理またはクロメート処理または燐酸亜鉛による処理などの化学処理に供された金属材料を含む金属材料に強く接着することができるあらゆるエポキシ樹脂またはエポキシ樹脂の混合物が挙げられる。こうした樹脂の例には、4,4−(ビスヒドロキシフェニル)アルカンのジグリシジルエーテル、フェノールノボラックエポキシ官能性樹脂、クレゾールノボラックエポキシ官能性樹脂、ビスフェノール−A/エピクロロヒドリンエポキシ官能性樹脂またはそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、エポキシ樹脂は、フェノールノボラックエポキシ官能性樹脂、ビスフェノール−A/エピクロロヒドリンエポキシ官能性樹脂またはそれらの混合物である。
【0025】
本発明の4,4−(ビスヒドロキシフェニル)アルカンのジグリシジルエーテルは、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどの4,4’−(ビスヒドロキシフェニル)アルカンをエピクロロヒドリンと反応させることにより調製することが可能である。フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂または他の多官能性樹脂と組み合わせて主成分として4,4−(ビスヒドロキシフェニル)アルカンのジグリシジルエーテルを用いる際に問題はない。当業者は、本発明により使用できる4,4−(ビスヒドロキシフェニル)アルカン樹脂の市販されているジグリシジルエーテルに精通している。例えば、4,4−(ビスヒドロキシフェニル)アルカンのジグリシジルエーテルは、「エポン(EPON)」(登録商標)および「エピコート(EPIKOTE)」(商標)という商品名でレゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products,LLC)によって、「エポ・トート(EPO TOHTO)」(商標)という商品名で東都化成株式会社(Tohto Kasei K.K.)によって、「アラルダイト(ARALDITE)」(登録商標)という商品名でバンチコ(Vantico,Inc.)によって、「エピクロン(EPICLON)」(登録商標)という商品名で大日本インキ化学工業株式会社(Dainippon Ink & Chemicals,Inc.)によって販売されている。
【0026】
本発明のフェノールノボラックエポキシ官能性樹脂は、フェノールノボラック樹脂をエピクロロヒドリンと反応させることにより調製することが可能である。場合によって、エポキシフェノールノボラック樹脂は、標準ビスフェノールAエポキシ樹脂とブレンドされる。当業者は本発明により使用できる市販されているフェノールノボラックエポキシ官能性樹脂に精通している。例えば、フェノールノボラックエポキシ官能性樹脂は、例えばD.E.R.(商標)672UおよびD.E.R.(商標)642UなどのD.E.R.(商標)という商品名でダウ・ケミカル(Dow Chemical Co.)によって販売されている。
【0027】
本発明のクレゾールノボラックエポキシ官能性樹脂は、クレゾールノボラック樹脂をエピクロロヒドリンと反応させることにより調製することが可能である。当業者は本発明により使用できる市販されているクレゾールノボラックエポキシ官能性樹脂に精通している。例えば、クレゾールノボラックエポキシ官能性樹脂は、例えば「エポン(EPON)」(登録商標)樹脂164などの「エポン(EPON)」(登録商標)という商品名でレゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products,LLC)によって販売されている。
【0028】
本発明のビスフェノールA/エピクロロヒドリンエポキシ官能性樹脂は、ビスフェノールAをエピクロロヒドリンと反応させることにより調製することが可能である。当業者は本発明により使用できる市販されているビスフェノールA/エピクロロヒドリンエポキシ官能性樹脂に精通している。例えば、ビスフェノールA/エピクロロヒドリンエポキシ官能性樹脂、例えば「エポン(EPON)」(登録商標)樹脂2024などの「エポン(EPON)」(登録商標)という商品名でレゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products,LLC)によって、214CRという商品名でクドコ(Kudko)によって販売されている。
【0029】
好ましくは、本発明のコーティング組成物は、コーティング組成物の全重量を基準にして約25〜約90重量%のエポキシ樹脂またはエポキシ樹脂の混合物を含む。より好ましくは、組成物は、コーティング組成物の全重量を基準にして約60〜約80重量%のエポキシ樹脂またはエポキシ樹脂の混合物を含む。
【0030】
好ましくは、エポキシ樹脂は、ビスフェノールA/エピクロロヒドリンエポキシ官能性樹脂、ノボラック変性エポキシ官能性樹脂およびそれらの混合物から選択される固体エポキシ樹脂である。最も好ましくは、固体エポキシ樹脂は「エポン(EPON)」(登録商標)樹脂2024である。
【0031】
(アルカノールアミン)
一般に、本発明により用いてもよいアルカノールアミンには、以下の式を有するものが挙げられるが、それらに限定されない。
【0032】
【化1】

【0033】
式中、Rは、少なくとも1個の第一ヒドロキシル基を含む1〜10個の炭素、好ましくは2〜8個の炭素、より好ましくは2〜4個の炭素の直鎖または分岐アルキル基である。
【0034】
【化2】

【0035】
式中、Rは、1〜10個の炭素、好ましくは2〜8個の炭素、より好ましくは2〜4個の炭素の直鎖または分岐アルキル基、または少なくとも1個の第一ヒドロキシル基を含む1〜10個の炭素、好ましくは2〜8個の炭素、より好ましくは2〜4個の炭素の直鎖または分岐アルキル基であり、Rは、少なくとも1個の第一ヒドロキシル基を含む1〜10個の炭素、好ましくは2〜8個の炭素、より好ましくは2〜4個の炭素の直鎖または分岐アルキル基である。
【0036】
本発明により用いられるアルカノールアミンは、液体または固体のいずれかの形を取ることが可能である。当業者は、液体アルカノールアミンを粉体混合物に導入するために使用できる技術に精通している。例えば、本発明の粉体コーティング混合物に液体アルカノールアミンを添加する前に、液体アルカノールアミンはシリカなどの不活性担体上に吸収させることが可能である。
【0037】
好ましくは、本発明のアルカノールアミンには、ジエタノールアミン、エタノールアミン、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、モノメチルアミノエタノール、イソプロピルアミノエタノール、t−ブチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、n−ブチルアミノエタノール、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミンおよびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。より好ましくは、本発明のアルカノールアミンは、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンおよびそれらの混合物である。最も好ましくは、アルカノールアミンはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンである。
【0038】
当業者は、本発明により使用できる市販されているアルカノールアミンに精通している。例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンは、「トリスアミノ(TRIS AMINO)」(登録商標)という商品名でダウ・ケミカル(Dow Chemical Co.)によって販売されている。ジエタノールアミンは、ジエタノールアミンという商品名でアルドリッチ(Aldrich Chemial Co.,Inc.)によって販売されている。2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールは、AMPD(商標)という商品名でダウ・ケミカル(Dow Chemical Co.)によって販売されている。2−アミノ−1−ブタノールはAB(登録商標)という商品名でダウ・ケミカル(Dow Chemical Co.)によって販売されている。2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールは、AMPという商品名でダウ・ケミカル(Dow Chemical Co.)によって販売されている。2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールは、AEPD(登録商標)という商品名でダウ・ケミカル(Dow Chemical Co.)によって販売されている。
【0039】
好ましくは、本発明のコーティング組成物は、コーティング組成物の全重量を基準にして約0.02〜約6.0重量%のアルカノールアミンまたはその混合物を含む。より好ましくは、組成物は、コーティング組成物の全重量を基準にして約0.1〜約3.0重量%のアルカノールアミンまたはその混合物を含む。なおより好ましくは、組成物は、コーティング組成物の全重量を基準にして約0.1〜約0.5重量%のアルカノールアミンまたはその混合物を含む。最も好ましくは、組成物は、コーティング組成物の全重量を基準にして約0.3重量%のアルカノールアミンまたはその混合物を含む。
【0040】
理論に拘束されるものではないが、出願人らは、本発明によるエポキシ粉末コーティング組成物にアルカノールアミンを添加すると良好な短期陰極剥離結果をもたらすのに対して、本発明によるコーティング組成物にホウ酸亜鉛化合物を更に添加すると良好な長期陰極剥離結果をもたらすことを考えている。出願人らは、エポキシ樹脂または硬化剤のいずれかとアルカノールアミンを最初に前もって反応させずに他の成分を添加すると同時にコーティング組成物にアルカノールアミンを添加すると、添加されるアルカノールアミンの量をより良好に制御することを可能にするのみでなく、1)高温および湿潤条件下での基材へのアルカノールアミン含有エポキシ粉末コーティング組成物の粘着力および2)基材へのアルカノールアミン含有エポキシ粉末コーティング組成物の粘着力を改善するように陰極剥離に対するアルカノールアミン含有エポキシ粉末コーティング組成物の抵抗も改善することも更に考えている。
【0041】
(エポキシ硬化剤)
本発明により用いてもよいエポキシ硬化剤またはその混合物には、芳香族アミンなどのアミン、酸無水物、酸、芳香族酸、メルカプタン、フェノール類、エポキシ基とその誘導体の間の付加反応性および自己重付加触媒活性を有する促進および/または変性ジシアンジアミド、イミダゾール、イミダゾール付加体、ヒドラジドなどが挙げられるが、それらに限定されない。好ましくは、エポキシ硬化剤は、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products,LLC)による「エピキュア(Epicure)」(商標)硬化剤P−104などのジシアンジアミド官能性エポキシ硬化性化合物またはボーデン・ケミカル(Borden Chemicals,Inc.)による「デュライト(Durite)」(登録商標)SD357Bなどのフェノール官能性エポキシ硬化性化合物あるいはそれらの混合物である。より好ましくは、エポキシ硬化剤は、2個を上回る官能基を有するフェノール官能性エポキシ硬化性化合物である。最も好ましくは、エポキシ硬化剤はテトラフェノールエタンである。
【0042】
硬化剤は、コーティングを硬化させるのに有効な量で本発明のコーティング組成物に導入される。好ましくは、コーティング組成物は、コーティング組成物の全重量を基準にして約0.5〜約35重量%の硬化剤またはその混合物を含む。より好ましくは、組成物は、コーティング組成物の全重量を基準にして約1.5〜約20重量%の硬化剤またはその混合物を含む。最も好ましくは、組成物は、コーティング組成物の全重量を基準にして約1.5〜約6.0重量%の硬化剤またはその混合物を含む。
【0043】
当業者は本発明により使用できる市販の硬化剤に精通している。例えば、種々のアミン付加体は、「サンマイド(SUNMIDE)」という商品名でサンワ・ケミカル(Sanwa Chemical Industry Co.Ltd.)によって、および「エピキュア(EPICURE)」(商標)という商品名でレゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products,LLC)によって販売されている。種々の酸無水物は、「リカシャイド(RIKASHIDE)」という商品名で新日本理化株式会社(New Japan Chemical CO.Ltd.)によって販売されている。種々のフェノール類は、例えば「デュライト(Durite)」(登録商標)SD357Bなどの「デュライト(Durite)」(登録商標)という商品名でボーデン・ケミカル(Borden Chemicals,Inc.)によって、およびD.E.H.(商標)84などのD.E.H.(商標)という商品名でダウ・ケミカル(Dow Chemical Company)によって販売されている。
【0044】
当業者は、コーティング組成物の配合、硬化条件などに基づいて選択すべきエポキシ樹脂硬化剤を知っている。特定の有用なエポキシ硬化剤は、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products)の「エピキュア(EPICURE)」P−104(商標)である。
【0045】
コーティング組成物の硬化剤対反応性樹脂成分の比は、硬化剤の反応性基と硬化剤の反応性基と反応できるエポキシ官能基の当量比に関して、好ましくは(0.5〜1.1)/1.0、より好ましくは(0.7−0.9)/1.0である。
【0046】
当業者は、本発明のコーティング組成物に触媒を更に添加することを必要とする状況にも精通している。例えば、テトラフェノールエタンが用いられる唯一の硬化剤である時、触媒を添加する必要がある場合がある。本発明において有用な触媒をより明確に以下で記載する。
【0047】
(ホウ酸亜鉛化合物)
本発明のコーティング組成物はホウ酸亜鉛化合物を更に含むことが可能である。本発明により有用なホウ酸亜鉛化合物には、メタホウ酸亜鉛[Zn(BO]、塩基性ホウ酸亜鉛[ZnB・2ZnO]、ホウ酸亜鉛[2ZnO・3B・3.5HO]またはそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。好ましくは、ホウ酸亜鉛化合物はホウ酸亜鉛[2ZnO・3B・3.5HO]である。
【0048】
ホウ酸亜鉛は、酸化亜鉛およびホウ酸の混合出発材料を溶融させるか、または混合出発材料の水溶液を二重分解することにより調製することが可能である。特に有用なホウ酸亜鉛化合物は、U.S.ボラックス(U.S.Borax,Inc.)から入手できる「ボロガード(Borogard)ZBファイン」[2ZnO・3B・3.5HO]である。
【0049】
本発明のコーティング組成物は、粉末コーティング組成物の全重量を基準にして5重量%未満のホウ酸亜鉛化合物を含む。コーティング組成物は、粉末コーティング組成物の全重量を基準にして好ましくは約0.5〜約4.75重量%、より好ましくは約0.5〜約4.0重量%、最も好ましくは約1.5〜2.5重量%のホウ酸亜鉛化合物を含む。少量のホウ酸亜鉛化合物を添加することのみを必要とすることにより、ホウ酸亜鉛の溶解度に関連する問題は、低レベルの化合物を用いる時にホウ酸亜鉛化合物の溶解性が改善するので問題を提起しない。
【0050】
(他の添加剤)
本発明のコーティング組成物は、顔料、染料、流動調整剤、分散剤、チキソトロープ剤、粘着促進剤、酸化防止剤、光安定剤、熱可塑性ポリマー、硬化触媒、他の腐食防止剤およびそれらの混合物に限定されないが、それらを含む1つまたは複数の添加剤を更に含んでもよい。
【0051】
他の腐食防止剤には、ホスフェート含有顔料などの腐食防止顔料、および例えばニトロソフタル酸の塩、燐酸エステル、工業グレードアミンおよび置換ベンゾトリアゾールなどの他の有機または無機の腐食抑制剤が挙げられるが、それらに限定されない。
【0052】
本発明において用いるために適する触媒は、エポキシ樹脂のエポキシ基、アミン官能性硬化剤のアミン水素、フェノール化合物のフェノールヒドロキシル基とエポキシ樹脂の単独重合の間の反応に影響を及ぼすことができる触媒が挙げられる。これらの触媒には、ホスホニウムと有機酸および無機酸の第四アンモニウム塩などのオニウム化合物、イミダゾール、イミダゾリンならびに第三アミンおよびホスフィンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0053】
好ましくは、用いられる触媒は室温で固体であり、2−スチリルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−ブチルイミダゾールおよびそれらの混合物などのイミダゾール、およびトリフェニルホスフィンなどの固体ホスフィンならびに酸のホスホニウム塩、酸エステルまたはエステルから選択される。より好ましくは、用いられる触媒は、イミダゾール化合物または置換イミダゾール化合物のエポキシ付加体のいずれかである。時によって、ジシアンジアミド硬化剤と組み合わせてイミダゾール化合物の付加体などのアミノ含有化合物とエポキシ樹脂の混合物を用いることが望ましい。
【0054】
触媒は、コーティングの硬化を開始させるのに有効な量で本発明のコーティング組成物に導入される。当業者は、硬化プロセスを開始させる際に有効であるように添加されるべき触媒の量を本発明のコーティング組成物を配合する際に用いられる成分を基準にして知っているであろう。
【0055】
当業者は、本発明の組成物に触媒を添加するのが有益であるか、または必須である状況も認識している。例えば、テトラフェノールエタンが用いられる唯一の硬化剤である時、触媒を添加することが必須な場合がある。
【0056】
当業者は、レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products,LLC)による「エピキュア(Epicure)」(商標)硬化剤P−101などの幾つかの硬化剤が硬化剤と触媒の両方として機能することが可能であることを更に認識している。
【0057】
本発明において有用な顔料には、二酸化チタン、酸化鉄、アルミニウムブロンズ、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンおよびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0058】
本発明において有用な充填剤には、タルク、アルミナ、酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、ケイ酸アルミニウム、バライト粉、マイカ、シリカおよびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0059】
流動調整剤およびチキソトロープ剤は、例えば変性ベントナイトまたはシリカに基づく。
【0060】
本発明において有用な熱可塑性ポリマーには、例えばゼオン・ケミカル(Zeon Chemical)から「ジーアロイ(Zealloy)」(登録商標)1422として入手できるアクリロニトリル/ブタジエン系化合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0061】
本発明のコーティング組成物は、粉末コーティング組成物の全重量を基準にして好ましくは0〜約55重量%、より好ましくは約5〜約35重量%の充填剤、顔料、添加剤またはそれらの混合物を含む。
【0062】
(金属基材)
本発明の組成物は、スチール、真鍮、アルミニウム、クロムおよびそれらの混合物に限定されないが、それらを含む多くの金属基材を被覆するために用いることが可能である。より詳しくは、本発明の組成物は、例えば、スチールパイプの内面および/または外面、コンクリート中で用いられる構造鋼、貯蔵タンク、バルブ、海洋環境で用いられる構造鋼、ならびに油生産用の管材料および鋳物に限定されないが、それらを含む金属基材を被覆するために有用である。好ましくは、被覆される構造鋼は鉄筋である。本発明の組成物は、スチールなどの鉄含有金属基材が本発明による陰極防食の方法に供される時、こうした基材を被覆するためにも用いることが可能である。
【0063】
(調製のプロセス)
一般に、本発明の成分は当業者が精通しているプロセスにより混合され、押し出され、粉砕される。唯一の制約は、追加の粉末コーティング成分のいずれかと組み合わされる前にアルカノールアミンを硬化剤またはエポキシ樹脂のいずれかと反応させないことである。更に、アルカノールアミンが他の粉末コーティング成分と一般に前もってブレンドされないけれども、本発明の粉末コーティングの優れた性能特性が、前もってブレンドされる成分とアルカノールアミンが反応しない限り、こうした前もってのブレンドにより影響を受けないことが考えられる。要するに、アルカノールアミンと他の粉末コーティング成分とのプレブレンドは、前もってブレンドされる成分のいずれかとアルカノールアミンが反応させられないかぎり受け入れることができると考えられる。
【0064】
好ましい実施形態において、硬化性コーティング組成物は、粉末コーティング技術において用いられる従来の技術によって調製された粉末コーティング組成物である。典型的には、本粉末コーティング配合物の成分のすべては、配合物を入れるために適切に大きさを決められている混合容器に添加され、その後、媒体を経由して高強度混合に向けて完全にブレンドされる。アルカノールアミンがエポキシ樹脂または硬化剤のいずれかと前もって反応しないことに注意することが重要である。そうでなくて、硬化剤、エポキシ樹脂、アルカノールアミン、充填剤、添加剤などは特定の順序はなく混合容器にすべて添加され、合わせて混合される。
【0065】
混合容器は、粉末コーティング成分のすべてを入れるために適切に大きさを決められ、造形される。例えば、容器の形状は円筒状、正方形状などであることが可能であり、容器は、粉末コーティング成分と非反応性であるいかなる固体材料からも製造することが可能である。
【0066】
その後、ブレンドされた混合物は、押出物の出口温度が約200°F〜約280°Fの範囲である高温溶融押出機内で溶融ブレンドされる。押出機温度の注意深い制御は、押出機内であらゆる硬化およびゲル化が起きるのを最少にするように維持される。その後、押し出された組成物は、例えば水冷式チルロールで約100°Fに冷却される。冷却後、押出物はチップに破砕され、例えば「バンタム(Bantam)」グラインダを用いて粉末に粉砕される。粉砕された粉末は後で篩に掛けられて、所望の粒度を達成する。
【0067】
本発明のホウ酸亜鉛含有粉末コーティング組成物を調製する際に、ホウ酸亜鉛化合物の所定の量は熱硬化性樹脂に添加してもよく、その後、プレミックスしてもよい。その後、プレミックスは熱混練され、冷却され、その後、粉砕され、分級される。
【0068】
(被覆プロセス)
本発明の粉末コーティング組成物は、粉末コーティング技術において知られている典型的な塗布方法により鉄筋、パイプラインおよび他の金属基材に容易に被着させることが可能である。一般に、本発明のコーティング組成物は、予熱されているかまたは予熱されていない基材に被着させることが可能である。典型的には、粉末コーティングは、流動床浸漬、静電吹付け塗布、フロッキングおよび摩擦静電吹付け塗布などの標準手段によって被着される。
【0069】
基材を予熱しない本発明の実施形態において、本発明のコーティング組成物は、例えば、40KVの電圧で設定された静電「ゲーマ(Gema)」ガンにより上に静電吹付けすることにより基材表面に被着させてもよい。コーティング組成物を被着させる前に、基材は粉砕してもよいが、基材が約77°Fの周囲温度にあるように予熱しなくてもよい。被着された後、コーティングは325°Fで設定されたオーブン内で10分にわたり硬化することが可能である。しかし、当業者は本発明のコーティング組成物により用いてもよい硬化手段に精通している。こうした硬化手段には、例えば、焼成および赤外線、誘導および紫外線などの放射線硬化が挙げられる。オーブンから取り出された後、基材を空冷することが可能である。
【0070】
基材を予熱する本発明の実施形態において、本発明のコーティング組成物は、例えば、当業者が精通している手段を用いて約350〜約470°Fの範囲の温度に基材を予熱することにより被着させてもよい。その後、予熱された基材は、本発明の粉末コーティング組成物の1種を含む流動床内に浸漬される。その後、基材上に被覆された組成物は、約510°Fの温度で設定されたオーブン内で約2〜5分にわたりポスト硬化される。しかし、当業者は、本発明のコーティング組成物により用いてもよい硬化手段に精通している。こうした硬化手段には、例えば、焼成および赤外線、誘導および紫外線などの放射線硬化が挙げられる。
【0071】
更に、本発明のコーティング組成物を被着させる基材の表面は、基材が予熱されるか予熱されないかを問わず、理想的に調製されたとはいえない場合があり、本発明のコーティング組成物は良好な粘着力をそれでも示す。理想的に調製されたとはいえない基材表面には、例えば、ブラストされたが酸リンスされなかったスチール表面、通常塗布温度より低く予熱されたスチール表面、または清浄化されたが化学的に前処理されなかったスチール表面が挙げられる。更に、本発明の優れた接着剤特性は、スチールストラップおよび辛うじて清浄な他の金属基材で発生するものなどの油性表面および鱗片状表面にコーティング組成物を接着させることを可能にする。
【0072】
本発明の粉末コーティング組成物を被着させる基材は、約300〜約500°F、より好ましくは約350〜約470°Fの範囲の温度に予熱することが可能である。基材を予熱することにより、基材の残留熱は粉末コーティング組成物が溶融し、流出し、連続腐食防止膜に硬化し始めるのを可能にする。被覆された基材を供してもよい対流オーブン、赤外線オーブンまたはそれらの組み合わせのオーブンなどの高温オーブンはコーティング組成物が溶融し、流出し、平滑な硬化フィルムに硬化することを更に可能にする。
【0073】
本発明の組成物のポスト硬化の時間および温度は、約400〜約550°Fの範囲の温度で約2〜約5分の範囲である。予熱されなかった基材に被着された本発明の組成物の硬化時間および温度範囲は、約300〜約450°Fの範囲の温度で約4〜約30分の範囲である。硬化/ポスト硬化された後、被覆された基材は、典型的には空冷または水冷に供されて、約100°F〜約200°Fの間に温度を下げる。
【0074】
被覆された基材が冷却された後、接着剤および/またはポリエチレンライニング、ポリオレフィン、強力保護ウレタンコーティング組成物またはエポキシ樹脂コーティング組成物などの強力保護膜および/または着色層またはもう1種のエポキシ粉末コーティング組成物などの仕上げ層は本発明のコーティング組成物上に被着させてもよい。本願特許出願人製の「フサボンンド(Fusabond)」(登録商標)接着剤などの接着剤は、保護膜をエポキシコーティングに接着させために用いてもよい。種々の入手できる接着剤、保護膜および仕上げ層は当業者に熟知されている。
【0075】
好ましくは、基材は有効量の本粉末コーティング組成物で被覆して、約1〜約30ミルの範囲の乾燥膜厚さをもたらす。より好ましくは、基材は約2〜約18ミルの範囲の厚さをもたらすのに十分な粉末コーティングで被覆される。最も好ましくは、ブラスト形材をもたず、陰極防食に供されない金属基材に典型的に被着される薄膜コーティングについて約2〜5ミルおよび後で陰極防食により保護されてもよいブラスト金属に被着された厚膜機能コーティングについて6〜18ミルである。典型的には、乾燥膜厚さは、被着されているコーティングのタイプに応じて異なる。例えば、薄膜が必要である時、本発明のコーティング組成物は約2〜約5ミルの厚さを有するコーティングをもたらすように被着される。プライマコーティングが保護膜の下で用いるために必要である時、本発明のコーティング組成物は、約6〜約12ミルの厚さを有するコーティングをもたらすように被着される。陰極防食により後で保護しようとする単一層パイプコーティングが必要な時、本発明のコーティング組成物は約10〜約18ミルの厚さを有するコーティングをもたらすように被着される。
【0076】
(陰極防食の方法)
本発明は、基材の表面を本発明のコーティング組成物で被覆することにより腐食性金属表面を有する基材上に耐食性表面をもたらす方法にも関連する。当業者は、基材上に耐食性表面をもたらす際に使用できる種々の工程に精通している。1方法において、基材の表面は、ブラスト処理、その後の酸リンスなどの機械的処理または清浄化、その後の化学処理に供される。次に、本発明の粉末コーティング組成物のコーティングは、例えば、流動床浸漬、フロッキング、摩擦吹付け塗布または静電吹付け塗布などの種々の利用可能な粉末被覆方法により被着される。その後、基材は陰極として分極される。任意選択的に、ポリエチレンライニング、強力保護ウレタンコーティング組成物またはエポキシ樹脂コーティング組成物などの強力保護膜および/または着色層などの仕上げ層を本発明のコーティング組成物上に被着させてもよい。
【実施例】
【0077】
本発明を以下の実施例において更に定義する。これらの実施例があくまで例示として提示されることが理解されるべきである。上の説明およびこの実施例から、当業者は本発明の本質的な特徴を確認することが可能であり、本発明の精神および範囲を逸脱せずに本発明の種々の改変および変更を行って、種々の用途および条件に向けて本発明を適合させることが可能である。結果として、本発明は、以下で記載する例証的な実施例によって限定されず、逆に冒頭に含まれる請求の範囲によって定義される。
【0078】
(試験手順)
(陰極剥離試験手順)
実施例1〜16において報告されたデータを作る際に以下の陰極剥離試験手順を用いた。以下で含まれている実施例において用いられた48時間試験、88時間試験および28日試験において、スチールパネル(4×4×5/8インチまたは4×4×1/4インチのいずれか)を最初にブラストして、3〜4ミルの形材をもたらした。その後、28日試験において用いられる4×4×5/8インチパネルを最初に燐酸でリンスし、次に脱イオン水でリンスすることにより更に処理した。48時間試験および88時間試験において用いられるそれぞれ4×4×5/8インチおよび/または4×4×1/4インチのパネルを一切の更なるポストブラスト処理に供さなかった。
【0079】
以下でより明確に記載する実施例により調製された組成物で各試験において用いられたそれぞれのパネルを被覆した。28日試験に供したパネルを14〜20ミルで被覆する一方で、48時間試験および88時間試験に供したパネルは13〜16ミルで被覆した。
【0080】
350〜470°Fの範囲の温度にそれぞれのパネルを予熱し、その後、加熱されたパネルを流動床に浸漬させることにより各コーティングを被着させた。510°Fで設定されたオーブン内で2、3または5分のポスト硬化後に、パネルを水冷した。
【0081】
その後、被覆された各試験パネルの中心を通して直径3mmの穴をあけ、直径3.5インチの円筒体をパネル上で密封した。円筒体を後で3%NaCl溶液で充填し、白金線を溶液に浸漬した。その後、この全体のパネル−円筒体アセンブリを80℃で設定されたオーブン内に入れ、1.5Vの電圧を白金線と試験パネルを横切って48時間、88時間または28日にわたって印加した。各試験期間の終わりに、パネルをオーブンから取り出し、NACL溶液を円筒体から注ぎ出し、円筒体をパネルから取り外した。
【0082】
円筒体を取り外すと、塗り落ちから離れた8正目をNACLコーティングと接触していた円筒体内でコーティングの一部に作り、パネルを1時間にわたり放置して室温に冷却した。その後、てこの作用を用いて塗り落ち端から離れて働かすことによりコーティングをナイフで除去した。28日の試験において、剥離された領域の端への塗り落ちの中心からの剥離を測定し、その後、平均した。この方法は、CSA Z245.20−98に基づく「トランスカナダ・パイプライン(TransCanada Pipeline)」スペック・TESCOAT FBE Rev.0に準拠している。それに対して48時間試験および88時間試験において、剥離された領域の端への塗り落ちの端からの剥離を測定し、その後、平均した。この方法はCSA Z245.20−02に準拠している。
【0083】
(塩水噴霧試験)
実施例17〜19において報告されたデータを作る際に以下の塩水噴霧試験手順を用いた。化学的に前処理されていない普通鋼パネル(5×3×0.04インチ)をメチルエチルケトン中でリンスし、その後、乾燥させた。以下で含まれる実施例においてより明確に記載される個々の粉末コーティング組成物の2〜3.5ミルで各パネルを後で被覆した。40KVの電圧で設定された静電「ゲーマ(Gema)」ガンにより各パネル上に粉末コーティング組成物を吹付けることによりパネルを被覆した。しかし、粉末コーティング組成物を被着させる前に、パネルを粉砕したが、加熱しなかった。粉末コーティング組成物を静電で被着させた後、パネルを325°Fで設定されたオーブン内で10分にわたり焼成し、その後、オーブンから取り出し、空冷した。
【0084】
冷却後、万能ナイフを用いてパネルにXをけがき、ASTM B117による塩水噴霧キャビネットランに入れた。66時間後、パネルを取り出した。スチールへの粘着力を失った一切のコーティングをコインで擦ることにより除去した。その後、けがき線からの剥離を測定し、その後、平均した。
【0085】
(実施例1〜6)
以下の表1の実施例2〜5は、本発明のアルカノールアミン含有熱硬化性エポキシ粉末コーティング組成物であって、用いたアルカノールアミンの量が0%から1%まで累進的に変わる組成物を例示している。実施例1はアルカノールアミンを含まない対照サンプルである。実施例6は、「トリスアミノ(TrisAmino)」(登録商標)とビスフェノールA/エピクロロヒドリンエポキシ樹脂を前もって反応させることにより製造されていると考えられる事前包装樹脂であるレゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products,LLC)の「エポン(EPON)(登録商標)樹脂DPS−2034を用いている比較サンプルである。実施例1〜6に関して、エポキシ硬化剤は促進ジシアンジアミド型硬化剤である。すべての量は全配合物重量の重量%で示されている。
【0086】
【表1】

【0087】
表1の実施例1〜6コーティング組成物を構成する成分を袋に添加し、約3分にわたり攪拌することにより混合した。その後、混合物を高温溶融押出機に注ぎ込み、押出機内で押出物の出口温度は220〜260°Fの範囲であった。水冷チルロールで約100°Fに冷却した後、「バンタム(Bantam)」グラインダを用いて押出物を粉砕し、40マイクロメートルの平均粒度で2〜100マイクロメートルのサイズ範囲を有する粒子をもたらした。その後、こうして製造された表1のコーティング組成物の各々をブラストされた別個の4×4×1/4インチスチールパネルに被着させた。
【0088】
コーティング組成物を被着させるプロセスは、パネルの各々を350〜470°Fの範囲の温度に加熱し(表1に記載されたそれぞれの粉末コーティング組成物の各々を被着させた温度を確認するために表2を参照すること)、その後、表1に記載されたそれぞれの粉末コーティング組成物を含有する流動床に各パネルを別個に浸漬させることを含んでいた。その後、組成物の各々を510°Fの温度で設定されたオーブン内で2、3または5分(表2参照)にわたりポスト硬化させた。硬化させた後、各パネルを上で記載された陰極剥離試験に供した。
【0089】
表1および2において示したように、粘着力の大幅な増加、および従って陰極剥離の減少は、コーティング組成物の全配合物重量を基準にして約0.1重量%以上の「トリスアミノ(Tris Amino)」(登録商標)濃度を含む実施例2〜5組成物において観察された。驚くべきことに、粘着力のこの増加は、350〜450°Fの広い塗布温度範囲にわたって観察された。
【0090】
実施例1〜6の陰極剥離試験結果を含む表2は、アルカノールアミンを含まない実施例1組成物と、エポキシ樹脂(レゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products,LLC)の前包装「エポン(Epon)」(登録商標)樹脂DPS−2034)と前もって反応し、その後、後で粉末コーティングプレミックスに添加されたアルカノールアミンを含む実施例6組成物の両方と比べた時、本発明の実施例2〜5アルカノールアミン含有熱硬化性エポキシ粉末コーティング組成物の改善された粘着力を更に例示している。事実、実施例2〜5に関する陰極剥離試験結果は、「トリスアミノ(Tris Amino)」(登録商標)濃度が増加するにつれて陰極剥離のレベルが減少することを示している。
【0091】
更に、実施例4において得られた陰極剥離結果の図1のグラフは、本発明のアルカノールアミン含有コーティング組成物を被着させる温度が陰極剥離のレベルに実質的に影響を及ぼさないことを更に例示している。それに対して、実施例1において得られた陰極剥離結果の図2のグラフは、アルカノールアミンを含まないコーティング組成物において得られた陰極剥離のレベルがコーティングを被着させる温度に直接依存することを示している。より詳しくは、アルカノールアミンを含まないコーティング組成物がより高い塗布温度を必要とするのに対して、本発明のアルカノールアミン含有コーティング組成物は、コーティングを基材に被着させる温度に関係なく低い陰極剥離を有する。
【0092】
表2に記載された実施例6陰極剥離試験結果は、前もって反応させたと考えられている「トリスアミノ(TrisAmino)」(登録商標)とビスフェノールA/エピクロロヒドリンエポキシ樹脂よりなるレゾリューション・パフォーマンス・プロダクツ(Resolution Performance Products,LLC)による「エポン(EPON)(登録商標)樹脂DPS−2034のプレミックスされたコーティング組成物の追加の成分への添加が本発明により調製されたコーティング組成物で観察されるように陰極剥離の同じ好ましい減少をもたらさないことを示している。
【0093】
【表2】

【0094】
(実施例7〜11)
表3の実施例8〜11は、鉄筋、パイプラインおよび他の金属基材のために適するコーティング組成物を調製するために本発明のアルカノールアミン含有熱硬化性エポキシコーティング組成物(種々のアルカノールアミン1〜3%)およびそれらの混合物を用いることを示している。実施例7は、アルカノールアミンを含まない対照サンプルである。実施例7〜11に関して、エポキシ硬化剤は促進ジアシルジアミド型硬化剤である。すべての量は全粉末コーティング配合物重量の重量%で示している。
【0095】
実施例7〜11の粉末コーティング組成物を実施例1〜6のために上で記載されたのと同じプロセスを用いて調製する。
【0096】
【表3】

【0097】
パネルのすべてを450°Fの温度に予熱し、その後、510°Fの温度で設定されたオーブン内で2分にわたりポスト硬化させたことを除き、上でより完全に記載しされている実施例1〜6において用いられたのと同じ塗布プロセスにより表3のアルカノールアミン含有エポキシ粉末コーティング組成物を4×4×1/4インチスチールパネル上に被覆した。被覆されたパネルを上で記載されたのと同じ陰極剥離試験にも供した。
【0098】
実施例7〜11の陰極剥離試験結果を含む表4は、本発明による種々のアルカノールアミンおよびそれらの混合物1〜3%濃度を含むコーティング組成物がアルカノールアミンを含まない対照実施例7などの組成物と比べた時に改善された粘着力を有することが実施例8〜12によって更に例示している。
【0099】
【表4】

【0100】
(実施例12〜16)
表5の実施例12〜15は、本発明のアルカノールアミン含有熱硬化性エポキシ粉末コーティング組成物を例示しており、ここで、「トリスアミノ(TRIS AMINO)」(登録商標)が鉄筋、パイプラインおよび他の金属基材のために適するコーティング組成物を調製するために用いられる。実施例16は、アルカノールアミンもホウ酸亜鉛化合物も含まない比較実施例である。
【0101】
実施例12〜15は、「トリスアミノ(TRIS AMINO)」(登録商標)を含むコーティング組成物への長期陰極剥離を改善するホウ酸亜鉛、および/または架橋密度の増加を与える「デュライト(Durite)」(登録商標)SD357B(テトラフェノールエタン(TPEとしても知られている)硬化剤)などの他の添加剤の添加が本発明のアルカノールアミン含有エポキシ粉末コーティング組成物で得られた改善された粘着力に悪影響を及ぼさないことを示している。実施例12〜14の場合、エポキシ硬化剤はテトラフェノールエタンまたはテトラフェノールエタンと促進ジシアンジアミド型硬化剤の混合物である。実施例15および16の場合、エポキシ硬化剤は促進ジシアンジアミド型硬化剤である。すべての量は全粉末コーティング配合物重量の重量%で示している。
【0102】
【表5】

【0103】
実施例1〜6のために上で記載されたのと同じプロセスを用いて実施例12〜16の粉末コーティング組成物を調製する。
【0104】
48時間試験および28日試験において用いられた組成物を450°Fで被着させたことを除き、実施例1〜6において上で用いられたのと同じ塗布プロセスによる48時間試験において4×4×1/4インチスチールパネルまたは4×4×5/8インチスチールパネルのいずれかの上に、および28日試験において4×4×5/8インチスチールパネル上に表5の実施例12〜15アルカノールアミン含有エポキシ粉末コーティング組成物を被覆した。その後、28日にわたり試験されたパネルをブラストし、燐酸でリンスした。被覆されたパネルを上で記載されたのと同じ陰極剥離試験に供した。
【0105】
ブラストされ燐酸でリンスされた4×4×5/8インチスチールパネル上に比較例16粉末コーティング組成物を被覆した。パネルを470°Fに予熱し、その後流動床にパネルを浸漬させることにより、パネルを14〜18ミルの実施例16組成物で被覆した。3分のポスト硬化後、パネルを水冷した。実施例16組成物で被覆されたスチールパネルを上で記載されたのと同じ陰極剥離試験に供した。
【0106】
表6は実施例12〜15の48時間陰極剥離試験結果を含んでいる。実施例12〜13は、0.3%「トリスアミノ(TRIS AMINO)」(登録商標)およびテトラフェノールエタン硬化剤を含むコーティング組成物がアルカノールアミンを含まない実施例1などの組成物と比べた時に改善された粘着力を有することを例示している。
【0107】
実施例14は、0.3%「トリスアミノ(TRIS AMINO)」(登録商標)、1.7%ホウ酸亜鉛およびテトラフェノールエタン硬化剤を含むコーティング組成物がアルカノールアミンを含まない実施例1などの組成物と比べた時に改善された粘着力を有することを例示している。実施例14は、実施例12〜13と比べた時、アルカノールアミンの添加によって達成された改善された粘着力が、ホウ酸亜鉛とテトラフェノール硬化剤の両方の添加により悪影響を受けないことを更に例示している。
【0108】
実施例15は、0.4%「トリスアミノ(TRIS AMINO)」(登録商標)およびホウ酸亜鉛を含むコーティング組成物がアルカノールアミンを含まない実施例1などの組成物と比べた時に改善された粘着力を有することを例示している。実施例15は、実施例2〜5と比べた時、アルカノールアミンの添加によって達成された改善された粘着力が、コーティング組成物へのホウ酸亜鉛の添加によっても悪影響を受けないことを更に例示している。
【0109】
【表6】

【0110】
実施例14、15および16の28日陰極剥離試験結果を含む表7は、「トリスアミノ(TRIS AMINO)」(登録商標)およびホウ酸亜鉛を含むコーティング組成物が、より低い塗布温度で被着された時でさえもホウ酸亜鉛も「トリスアミノ(TRIS AMINO)」(登録商標)も含まない実施例16と比べた時に改善された性能を与えることを実施例14および15によって例示している。
【0111】
【表7】

【0112】
(実施例17〜19)
表8の実施例17〜18は、フェノール型硬化剤および1%のアルカノールアミンが中に導入されている本発明のアルカノールアミン含有熱硬化性エポキシ粉末コーティング組成物を例示している。表5の粉末コーティングは薄いコーティング(2〜3.5ミル)を調製するために用いられる。実施例19は、アルカノールアミンを含まない対照サンプルである。すべての量は全配合物重量の重量%で示されている。
【0113】
【表8】

【0114】
表5の実施例17〜19コーティング組成物を構成する成分を袋に添加し、約3分にわたり混合した。その後、混合物を高温溶融押出機に注ぎ込み、押出機内で押出物の出口温度は220〜260°Fの範囲であった。水冷チルロールで約100°Fに冷却した後、「バンタム(Bantam)」グラインダを用いて押出物を粉砕し、40マイクロメートルの平均粒度で2〜100マイクロメートルのサイズ範囲を有する粒子をもたらした。その後、こうして製造された表8のコーティング組成物の各々を化学的に前処理されていない3×5×0.04インチ普通鋼パネルに被着させた。
【0115】
コーティング組成物を被着させるプロセスは、77°Fの温度であるパネルの各々を静電吹付けすることを含んでいた。それぞれのコーティング組成物の各々を表8に記載している。
【0116】
その後、パネルを325°Fで設定されたオーブン内で10分にわたり硬化させた。オーブンからパネルを取り出した後、パネルを空冷した。硬化した後、各パネルを上で記載したようにASTM B117による短期塩水噴霧試験に供した。
【0117】
実施例17〜19の短期塩水噴霧試験結果を含む表9は、本発明によるアルカノールアミンを含む組成物がアルカノールアミンを含まない対照実施例19と比べた時に改善された粘着力を有することを実施例17〜18によって更に例示している。より詳しくは、実施例17〜18のコーティング組成物は、実施例19のコーティング組成物より、けがき線からの少ない剥離を有していた。
【0118】
実施例17〜19は、本発明のコーティング組成物がたとえ理想的に調製されたといえない基材の表面に被着されても改善された粘着力を得ることが可能であることを更に例示している。
【0119】
【表9】

【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】アルカノールアミンを含まない実施例1コーティング組成物に及ぼす塗布温度の影響を例示するグラフである。
【図2】実施例4アルカノールアミン含有コーティング組成物に及ぼす塗布温度の影響を例示するグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種のエポキシ樹脂、
(b)粉末コーティング組成物の全重量を基準にして約0.02〜約6.0重量%の少なくとも1種のアルカノールアミン、
(c)前記粉末コーティング組成物を硬化させるのに有効な量の少なくとも1種のエポキシ硬化剤、および
(d)任意選択的に少なくとも1種のホウ酸亜鉛化合物
の均質混合物を含むエポキシ粉末コーティング組成物であって、
前記成分(a)、(b)、(c)および(d)を合わせて混合する前に反応させないことを特徴とするエポキシ粉末コーティング組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1種のエポキシ樹脂が4,4−(ビスヒドロキシフェニル)アルカンのジグリシジルエーテル、フェノールノボラックエポキシ官能性樹脂、クレゾールノボラックエポキシ官能性樹脂、ビスフェノール−A/エピクロロヒドリンエポキシ官能性樹脂、およびそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種のアルカノールアミンが
【化1】

(式中、Rは、少なくとも1個の第一ヒドロキシル基を含む1〜10個の炭素の直鎖または分岐アルキル基である)、
【化2】

(式中、
は、1〜10個の炭素の直鎖または分岐アルキル基、または少なくとも1個の第一ヒドロキシル基を含む1〜10個の炭素の直鎖または分岐アルキル基であり、
は、少なくとも1個の第一ヒドロキシル基を含む1〜10個の炭素の直鎖または分岐アルキル基である)、および
(iii)それらの混合物
の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種のアルカノールアミンがジエタノールアミン、エタノールアミン、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、モノメチルアミノエタノール、イソプロピルアミノエタノール、t−ブチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、n−ブチルアミノエタノール、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミンおよびそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種のアルカノールアミンが約0.1〜約0.5重量%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種の硬化剤が芳香族アミン、酸無水物、酸、芳香族酸、メルカプタン、フェノール類、付加反応性および自己重付加触媒活性を有するジシアンジアミド誘導体、イミダゾール、イミダゾール付加体、ヒドラジドおよびそれらの混合物から選択されるエポキシ硬化化合物であることを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
前記粉末コーティング組成物の全重量を基準にして約0.5〜約4.75重量%の前記少なくとも1種のホウ酸亜鉛化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種のホウ酸亜鉛化合物がメタホウ酸亜鉛、塩基性ホウ酸亜鉛、ホウ酸亜鉛およびそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項7に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
酸化カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウムおよびそれらの混合物から選択される少なくとも1種の充填剤を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
顔料、染料、流動調整剤、分散剤、チキソトロープ剤、粘着促進剤、酸化防止剤、光安定剤、硬化触媒、腐食防止剤、置換ベンゾトリアゾール、熱可塑性ポリマーおよびそれらの混合物から選択される少なくとも1種の添加剤を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項11】
少なくとも1つの表面を有する鉄含有金属材料のための陰極防食の方法であって、
(a)前記鉄含有金属材料の表面を機械的処理に供する工程、および次に
(b)請求項1に記載のコーティング組成物を前記表面に被着させる工程、および最後に
(c)陰極としてその上に被覆される請求項1に記載のコーティング組成物を有する前記鉄含有金属材料を分極させる工程
を含むことを特徴とする陰極防食の方法。
【請求項12】
工程(b)において被着させたコーティング組成物上に接着剤および/または強力保護膜および/または仕上げ層を被覆することを更に含むことを特徴とする請求項11に記載の陰極防食の方法。
【請求項13】
金属基材を被覆する方法であって、金属基材に請求項1に記載のコーティング組成物を被着させて、前記コーティング組成物を硬化させることを含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1に記載のコーティング組成物を被着させる前に約350〜約470°Fの範囲の温度に前記基材を予熱することを更に含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記基材を約300〜約450°Fの範囲の温度で硬化させることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
請求項1に記載のコーティング組成物上に強力保護膜および/または仕上げ層を被覆することを更に含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記基材が内面および/または外面を有するパイプであり、前記コーティング組成物が前記内面および/または外面に被着されることを特徴とする求項13に記載の方法。
【請求項18】
請求項1に記載の組成物で被覆されたことを特徴とする金属基材。
【請求項19】
前記基材がパイプであることを特徴とする請求項18に記載の基材。
【請求項20】
前記基材が鉄筋であることを特徴とする請求項18に記載の基材。
【請求項21】
(a)少なくとも1種の固体エポキシ樹脂、
(b)粉末コーティング組成物の全重量を基準にして約0.02〜約6.0重量%のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、
(c)粉末コーティング組成物を硬化させるのに有効な量のテトラフェノールエタン、および
(d)有効量の少なくとも1種の触媒
の均質混合物を含むエポキシ粉末コーティング組成物であって、
前記成分(a)、(b)および(c)を合わせて混合する前に反応させないことを特徴とするエポキシ粉末コーティング組成物。
【請求項22】
(a)少なくとも1種の固体エポキシ樹脂、
(b)粉末コーティング組成物の全重量を基準にして約0.02〜約6.0重量%のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、
(c)粉末コーティング組成物の全重量を基準にして約0.5〜4.75重量%の少なくとも1種のホウ酸亜鉛化合物、
(d)粉末コーティング組成物を硬化させるのに有効な量のテトラフェノールエタン、および
(e)有効量の少なくとも1種の触媒
の均質混合物を含むエポキシ粉末コーティング組成物であって、
前記成分(a)、(b)、(c)および(d)を合わせて混合する前に反応させないことを特徴とするエポキシ粉末コーティング組成物。
【請求項23】
(a)少なくとも1種の固体エポキシ樹脂、
(b)粉末コーティング組成物の全重量を基準にして約0.02〜約6.0重量%のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、
(c)粉末コーティング組成物を硬化させるのに有効な量のジシアンジアミド、および
(d)有効量の少なくとも1種の触媒
の均質混合物を含むエポキシ粉末コーティング組成物であって、
前記成分(a)、(b)および(c)を合わせて混合する前に反応させないことを特徴とするエポキシ粉末コーティング組成物。
【請求項24】
(a)少なくとも1種のエポキシ樹脂を混合容器に添加する工程、
(b)粉末コーティング組成物の全重量を基準にして約0.02〜約6.0重量%の少なくとも1種のアルカノールアミンを前記混合容器に添加する工程、
(c)前記粉末コーティング組成物を硬化させるのに有効な量の少なくとも1種のエポキシ硬化剤を前記混合容器に添加する工程、および
(d)成分(a)、(b)および(c)を合わせて混合する工程
を含む硬化性エポキシ粉末コーティング組成物を製造する方法であって、
前記成分(a)、(b)および(c)を前記混合容器に添加する前に反応させないことを特徴とする方法。
【請求項25】
(a)少なくとも1種のエポキシ樹脂を混合容器に添加する工程、
(b)粉末コーティング組成物の全重量を基準にして約0.02〜約6.0重量%の少なくとも1種のアルカノールアミンを前記混合容器に添加する工程、
(c)粉末コーティング組成物の全重量を基準にして約0.5〜約4.75重量%の少なくとも1種のホウ酸亜鉛化合物を添加する工程、
(d)前記粉末コーティング組成物を硬化させるのに有効な量の少なくとも1種のエポキシ硬化剤を前記混合容器に添加する工程、および
(e)成分(a)、(b)、(c)および(d)を合わせて混合する工程
を含む硬化性エポキシ粉末コーティング組成物を製造する方法であって、
前記成分(a)、(b)、(c)および(d)を前記混合容器に添加する前に反応させないことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−504328(P2007−504328A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525493(P2006−525493)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/028921
【国際公開番号】WO2005/023941
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】