説明

硬化性オルガノポリシロキサン組成物および光半導体装置

【課題】 光透過性と接着性の耐久性が優れる、比較的高硬度の硬化物を形成する硬化性オルガノポリシロキサン組成物、さらには、信頼性が優れる光半導体装置を提供する。
【解決手段】 (A)(A−1)平均組成式で表されるオルガノポリシロキサンと(A−2)平均組成式で表されるオルガノポリシロキサンからなるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン、(B)(B−1)平均分子式で表され、ケイ素原子結合水素原子を少なくとも0.5重量%含有するオルガノポリシロキサン、(B−2)平均組成式で表され、ケイ素原子結合水素原子を少なくとも0.5重量%含有するオルガノポリシロキサン、および必要に応じて(B−3)平均分子式で表されるオルガノポリシロキサンからなるケイ素原子結合水素原子含有オルガノポリシロキサン、および(C)ヒドロシリル化反応用触媒から少なくともなる、光半導体素子の封止剤または接着剤として有用な硬化性オルガノポリシロキサン組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性オルガノポリシロキサン組成物、および該組成物の硬化物により光半導体素子を封止および/または接着してなる光半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトカプラー、発光ダイオード、固体撮像素子等の光半導体素子を有する光半導体装置において、該素子を封止あるいは接着するために硬化性オルガノポリシロキサン組成物が用いられている。この組成物には、その硬化物が光半導体素子から発光する光あるいは該素子に受光される光を吸収・散乱しないことが要求されると共に、光半導体装置の信頼性を向上させるため、該硬化物が着色や接着性の低下を生じないことが要求されている。
【0003】
特許文献1には、高硬度で、光透過率が良好な硬化物を形成する硬化性オルガノポリシロキサン組成物が提案されている。しかし、この硬化物は、光半導体装置の製造工程あるいは使用中に破損しやすかったり、また、光半導体素子あるいは該素子のパッケージから剥離しやすいという問題がある。
【0004】
また、特許文献2および3には、耐衝撃性に優れる硬化物を形成する硬化性オルガノポリシロキサン組成物が提案されている。しかし、これらの硬化物は黄変しやすいため、該硬化物により光半導体素子を封止あるいは接着した光半導体装置は、高温下で長時間使用されると、その信頼性が低下するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−342200号公報
【特許文献2】特開2007−063538号公報
【特許文献3】特開2008−120843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、光透過性と接着性の耐久性が優れる、比較的高硬度の硬化物を形成する硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供することにある。さらに、本発明の他の目的は、信頼性に優れる光半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、
(A)下記(A−1)成分 15〜35重量%および下記(A−2)成分 65〜85重量%からなるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン
(A−1)平均組成式:
(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RSiO3/2)(SiO4/2)
(式中、Rは炭素原子数2〜10のアルケニル基、メチル基、またはフェニル基であり、全Rの0.4〜50モル%が炭素原子数2〜10のアルケニル基であり、R中のメチル基とフェニル基の合計の90モル%以上がメチル基であり、a、b、c、およびdは、0≦a≦0.05、0.9≦b≦1、0≦c≦0.03、0≦d≦0.03、かつ、a+b+c+d=1を満たす数である。)
で表されるオルガノポリシロキサン
(A−2)平均組成式:
(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RSiO3/2)(SiO4/2)(HO1/2)
(式中、Rは炭素原子数2〜10のアルケニル基、メチル基、またはフェニル基であり、全Rの5〜10モル%が炭素原子数2〜10のアルケニル基であり、R中のメチル基とフェニル基の合計の90モル%以上がメチル基であり、e、f、g、h、およびiは、0.4≦e≦0.6、0≦f≦0.05、0≦g≦0.05、0.4≦h≦0.6、0.01≦i≦0.05、かつ、e+f+g+h=1を満たす数である。)
で表されるオルガノポリシロキサン
(B)下記(B−1)成分 10〜50重量%、下記(B−2)成分 50〜90重量%、および下記(B−3)成分 0〜30重量%からなるケイ素原子結合水素原子含有オルガノポリシロキサン{(A)成分中のアルケニル基の合計モル数に対して、(B)成分中のケイ素原子結合水素原子のモル数が0.5〜2.0となる量}
(B−1)平均分子式:
SiO(RSiO)(RHSiO)SiR
(式中、Rはメチル基またはフェニル基であり、全Rの90モル%以上がメチル基であり、jは0〜35の数、kは5〜100の数である。)
で表され、ケイ素原子結合水素原子を少なくとも0.5重量%含有するオルガノポリシロキサン
(B−2)平均組成式:
(HRSiO1/2)(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RSiO3/2)(SiO4/2)(R1/2)
(式中、Rはメチル基またはフェニル基であり、全Rの90モル%以上がメチル基であり、Rは水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、l、m、n、o、p、およびqは、0.4≦l≦0.7、0≦m≦0.2、0≦n≦0.05、0≦o≦0.5、0.3≦p≦0.6、0≦q≦0.05、かつ、l+m+n+o+p=1を満たす数である。)
で表され、ケイ素原子結合水素原子を少なくとも0.5重量%含有するオルガノポリシロキサン
(B−3)平均分子式:
HRSiO(RSiO)SiR
(式中、Rはメチル基またはフェニル基であり、全R中の90モル%以上がメチル基であり、rは10〜100の数である。)
で表されるオルガノポリシロキサン
および
(C)ヒドロシリル化反応用触媒(本組成物を硬化させるのに十分な量)
から少なくともなる。
【0008】
本組成物は、さらに(D)BET比表面積が20〜200m/gであるフュームドシリカを、上記(A)成分〜(C)成分の合計100重量部に対して1〜10重量部含有することが好ましい。
【0009】
このような本組成物は、硬化して、JIS K 6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さが30〜70である硬化物を形成するものが好ましく、光半導体素子、特には、発光ダイオードの封止剤または接着剤として好適である。
【0010】
本発明の光半導体装置は、光半導体素子が上記組成物の硬化物により封止および/または接着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、光透過性と接着性の耐久性が優れる、比較的高硬度の硬化物を形成するという特徴がある。また、本発明の光半導体装置は、信頼性が優れるという特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の光半導体装置の一例である表面実装型発光ダイオード(LED)装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(A)成分は本組成物の主剤であり、下記(A−1)成分と下記(A−2)成分からなるアルケニル基含有オルガノポリシロキサンである。
【0014】
(A−1)成分は、本組成物の取扱作業性と硬化物の硬化物の機械的強度を向上させるための成分であり、平均組成式:
(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RSiO3/2)(SiO4/2)
で表されるオルガノポリシロキサンである。式中、Rは炭素原子数2〜10のアルケニル基、メチル基、またはフェニル基である。Rのアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基が例示され、合成の容易さと反応性から、ビニル基が好ましい。ただし、全Rの0.4〜50モル%は前記アルケニル基である。これは、アルケニル基の割合が上記範囲の下限未満であると、硬化物の機械的強度が低下するからであり、一方、上記範囲の上限を超えると、硬化物が脆くなるからである。また、R中のメチル基とフェニル基の合計を100モル%としたとき、その90モル%以上はメチル基である。これは、メチル基の割合が上記下限未満であると、硬化物が高温で着色しやすくなるからである。また、式中、a、b、c、およびdはシロキサン構造単位の比率を表す数であり、0≦a≦0.05、0.9≦b≦1、0≦c≦0.03、0≦d≦0.03、かつ、a+b+c+d=1を満たす数である。これは、aが上記範囲の上限を超えると、本成分の粘度が低くなりすぎて、組成物の取扱作業性が低下したり、本成分が揮発性を有するようになり、硬化時に重量減少を起こしたり、硬化物の硬さが低下するからである。また、cおよびdが上記範囲の上限を超えると、本成分の粘度が高くなりすぎて、組成物の取扱作業性が低下したり、硬化物が脆くなるからである。bの範囲は、a、c、およびdにより決まるが、bが上記範囲の下限未満であると、組成物に適度な粘度を付与できなかったり、硬化物に適度な硬さや機械的強度を付与できないからである。このような本成分の分子構造としては、直鎖状、環状、部分環状、部分分岐状が挙げられる。また、本成分は25℃で液状であることが好ましく、具体的には、25℃の粘度が3〜100,000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に、5〜5,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。これは、本成分の粘度が上記範囲の下限未満であると、硬化物の機械的強度が低下するからであり、一方、上記範囲の上限を超えると、組成物の取扱作業性が低下するからである。
【0015】
このような(A−1)成分としては、下記の平均組成式で表されるオルガノポリシロキサンが例示される。なお、式中、Viはビニル基を表し、Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表している。
(ViMeSiO1/2)0.012(MeSiO2/2)0.988
(ViMeSiO1/2)0.007(MeSiO2/2)0.993
(MeSiO1/2)0.007(MeSiO2/2)0.983(MeViSiO2/2)0.010
(MeSiO1/2)0.01(MeViSiO1/2)0.01(MeSiO2/2)0.96(MeSiO3/2)0.02
(ViMeSiO1/2)0.005(MeSiO2/2)0.895(MePhSiO2/2)0.100
【0016】
また、このような(A−1)成分としては、下記の平均分子式で表されるオルガノポリシロキサンが例示される。なお、式中、ViおよびMeは前記と同様である。
(MeViSiO2/2)
(MeViSiO2/2)
(MeViSiO2/2)
【0017】
また、(A−2)成分は、本組成物の硬化物に硬さと機械的強度を付与するための成分であり、平均組成式:
(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RSiO3/2)(SiO4/2)(HO1/2)
で表されるオルガノポリシロキサンである。式中、Rは炭素原子数2〜10のアルケニル基、メチル基、またはフェニル基である。Rのアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基が例示され、合成の容易さおよび反応性から、ビニル基が好ましい。ただし、全Rの5〜10モル%は前記アルケニル基である。これは、アルケニル基の割合が上記範囲の下限未満であると、硬化物の機械的強度が低下するからであり、一方、上記範囲の上限を超えると、硬化物が脆くなるからである。また、Rのメチル基とフェニル基の合計を100モル%としたとき、その90モル%以上はメチル基である。これは、メチル基の割合が上記範囲の下限未満であると、硬化物が高温で着色しやすくなるからである。また、式中、e、f、g、h、およびiはシロキサン構造単位と水酸基の比率を表す数であり、0.4≦e≦0.6、0≦f≦0.05、0≦g≦0.05、0.4≦h≦0.6、0.01≦i≦0.05、かつ、e+f+g+h=1を満たす数である。これは、eが上記範囲の下限未満であると、硬化物の機械的強度が低下するからであり、一方、上記範囲の上限を超えると、硬化物に十分な硬さを付与できなくなるからである。また、fが上記範囲の上限を超えると、硬化物に十分な硬さを付与できなくなるからである。また、gが上記範囲の上限を超えると、硬化物の機械的強度が低下するからである。また、hが上記範囲の下限未満であると、硬化物に十分な硬さを付与できなくなるからであり、一方、上記範囲の上限を超えると、本成分の組成物中への分散性が低下し、硬化物に十分な機械的強度を付与できなくなるからである。また、iの範囲は特に本組成物の接着性を高める上で重要であり、iが上記範囲の下限未満であると、目的とする接着性が得られず、一方、iが上記範囲の上限を超えると、本成分の組成物中への分散性が低下し、硬化物に十分な機械的強度や接着性を付与できなくなるからである。このような本成分の分子構造としては、分岐状、網目状が挙げられる。本成分の25℃における性状は特に限定されず、上記(A−1)成分と相溶性があれば、液体であっても固体であってもよい。
【0018】
このような(A−2)成分としては、下記の平均組成式で表されるオルガノポリシロキサンが例示される。なお、式中、Vi、Me、およびPhは前記と同様である。
(ViMeSiO1/2)0.10(MeSiO1/2)0.33(SiO4/2)0.57(HO1/2)0.03
(ViMeSiO1/2)0.13(MeSiO1/2)0.35(SiO4/2)0.52(HO1/2)0.02
(ViMePhSiO1/2)0.10(MeSiO1/2)0.45(SiO4/2)0.45(HO1/2)0.03
(ViMeSiO1/2)0.09(MeSiO1/2)0.31(SiO4/2)0.60(HO1/2)0.04
(ViMeSiO1/2)0.10(MeSiO1/2)0.40(SiO4/2)0.50(HO1/2)0.03
【0019】
(A)成分は、上記(A−1)成分 15〜35重量%および上記(A−2)成分 65〜85重量%からなり、特に、上記(A−1)成分 20〜30重量%および上記(A−2)成分 70〜80重量%からなることが好ましい。これは、(A−1)成分の含有量が上記範囲の上限を超えると、硬化物に十分な硬さと機械的強度を付与できなくなるからであり、一方、上記範囲の下限未満であると、組成物の取扱作業性が低下するとともに、硬化物が脆くなるからである。
【0020】
このような(A)成分としては、最終的に均一な組成物を調製できるのであれば、必ずしも(A−1)成分と(A−2)成分を予め混合しておく必要はない。このような(A)成分は、取扱作業性が良好であることから、25℃で液状であることが好ましく、具体的には、25℃の粘度が100〜5,000,000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に、500〜100,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。
【0021】
(B)成分は、本組成物の架橋剤であり、下記(B−1)成分、下記(B−2)成分、および必要に応じてさらに下記(B−3)成分からなるケイ素原子結合水素原子含有オルガノポリシロキサンである。
【0022】
(B−1)成分は、架橋剤として作用するだけでなく、本組成物の界面接着性を向上させるのに有効な成分であり、平均分子式:
SiO(RSiO)(RHSiO)SiR
で表されるオルガノポリシロキサンである。式中、Rはメチル基またはフェニル基である。ただし、全Rの90モル%以上はメチル基である。これは、メチル基の割合が上記範囲の下限未満であると、硬化物が高温で着色しやすくなるからである。また、式中、jは0〜35の範囲内の数であり、kは5〜100の範囲内の数である。これは、jが上記範囲の上限を超えると、良好な接着性が得られなくなるからである。また、kが上記範囲の下限未満であると、良好な接着性が得られなくなり、一方、上記範囲の上限を超えると、硬化物の機械的強度が低下するからである。また、本成分は、ケイ素原子結合水素原子の含有量が0.5重量%以上である。これは、ケイ素原子結合水素原子の含有量が0.5重量%未満であると、組成物が十分な接着性を発揮しにくくなるからである。本成分は、25℃において液状であることが好ましく、25℃の粘度が3〜10,000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に、5〜5,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。これは、本成分の粘度が上記範囲の下限未満であると、硬化物の機械的強度と接着性が低下するからであり、一方、上記範囲の上限を超えると、組成物の取扱作業性が低下するからである。
【0023】
このような(B−1)成分としては、下記の平均構造式を有するオルガノポリシロキサンが例示される。なお、式中、MeおよびPhは前記と同様である。
MeSiO(MeHSiO)10SiMe
MeSiO(MeHSiO)80SiMe
MeSiO(MeSiO)30(MeHSiO)30SiMe
MePhSiO(MeHSiO)35SiMePh
【0024】
(B−2)成分は、架橋剤として作用するだけでなく、硬化物の機械的強度を高め、凝集接着性を高めるために有効な成分であり、平均組成式:
(HRSiO1/2)(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RSiO3/2)(SiO4/2)(R1/2)
で表されるオルガノポリシロキサンである。式中、Rはメチル基またはフェニル基である。ただし、全Rの90モル%以上はメチル基である。これは、メチル基の割合が上記範囲の上限未満であると、硬化物が高温で着色を生じやすくなるからである。また、式中、Rは水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基である。Rの炭素原子数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基が例示される。また、式中、l、m、n、o、p、およびqはシロキサン構造単位と水酸基またはアルコキシ基の比率を表し、0.4≦l≦0.7、0≦m≦0.2、0≦n≦0.05、0≦o≦0.5、0.3≦p≦0.6、0≦q≦0.05、かつ、l+m+n+o+p=1を満たす数である。これは、lが上記範囲の下限未満であると、目的とする硬さが得られないからであり、一方、上記範囲の上記範囲の上限を超えると、本成分の分子量が低下し、硬化物に十分な機械的強度を付与できなくなるからである。また、mが上限を超えると、目的とする硬さが得られなくなるからである。また、nが上記範囲の上限を超えると、目的とする硬さが得られなくなるからである。また、oが上記範囲の上限を超えると、本成分の組成物中への分散性が低下し、硬化物に十分な機械的強度を付与できなくなるからである。また、pが上記範囲の下限未満であると、目的とする硬さが得られなくなるからであり、一方、上記範囲の上限を超えると、本成分の組成物中への分散性が低下し、硬化物に十分な機械的強度を付与できなくなるからである。また、qが上記範囲の上限を超えると、本成分の分子量が低下し、硬化物に十分な機械的強度を付与できなくなるからである。また、本成分は、ケイ素原子結合水素原子の含有量が0.5重量%以上である。これは、ケイ素原子結合水素原子の含有量が0.5重量%未満であると、硬化物に十分な機械的強度を付与できなくなるからである。本成分は、本組成物と十分な相溶性があれば、25℃で液体であっても固体であっても構わない。
【0025】
このような(B−2)成分としては、下記の平均組成式で表されるオルガノポリシロキサンが例示される。なお、式中、MeおよびPhは前記と同様である。
(HMeSiO1/2)0.67(SiO4/2)0.33
(HMeSiO1/2)0.50(MeSiO1/2)0.17(SiO4/2)0.33
(HMeSiO1/2)0.65(PhSiO3/2)0.05(SiO4/2)0.30
【0026】
(B−3)成分は、硬化物の硬さを適度に制御するための任意成分であり、平均分子式:
HRSiO(RSiO)SiR
で表されるオルガノポリシロキサンである。式中、Rはメチル基またはフェニル基である。ただし、全Rの90モル%以上がメチル基である。これは、メチル基の割合が上記範囲の上限未満であると、硬化物が高温で着色を生じやすくなるからである。また、式中、rは10〜100の範囲内の数である。これは、rが上記範囲の下限未満であると、硬化物に適度な硬さを付与することが難しくなるからであり、一方、上記範囲の上限を超えると、硬化物の機械的強度が低下するからである。
【0027】
このような(B−3)成分としては、下記の平均分子式で表されるオルガノポリシロキサンが例示される。なお、式中、MeおよびPhは前記と同様である。
HMeSiO(MeSiO)20SiMe
HMeSiO(MeSiO)80SiMe
HMeSiO(MeSiO)50(MeSiO)SiMe
【0028】
(B)成分は、(B−1)成分 10〜50重量%、(B−2)成分 50〜90重量%、および必要に応じて(B−3)成分 0〜30重量%からなり、好ましくは、(B−1)成分 25〜45重量%、(B−2)成分 55〜75重量%、および必要に応じて(B−3)成分 0〜25重量%からなる。これは、(B−1)成分の含有量が上記範囲の上限を超えると、硬化物の機械的強度が低下し、一方、上記範囲の下限未満であると、硬化物の接着性が低下するからである。また、(B−2)成分の含有量が上記範囲の上限を超えると、硬化物の接着性が低下し、一方、上記範囲の下限未満であると、硬化物の機械的強度が低下するからである。また、(B−3)成分の含有量が上記範囲の上限を超えると、硬化物の硬さが低下するからである。このような(B)成分は、最終的に均一な組成物を得ることができれば、必ずしも各成分を予め混合しておく必要はない。このような(B)成分としては、取扱作業性が良好であることから、25℃において液状であることが好ましく、25℃の粘度は、5〜100,000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に、10〜50,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。
【0029】
(B)成分の含有量は、(B)成分中のケイ素原子結合水素原子が、(A)成分中のアルケニル基の合計1モルに対して0.5〜2.0モル、好ましくは0.8〜1.8モルの範囲内となる量である。これは、(B)成分の含有量が上記範囲の下限未満あるいは上限を超える量であると、硬さ、機械特性、接着性の点で目的とする特性が得られなくなるからである。
【0030】
(C)成分は、本組成物のヒドロシリル化反応を促進するためのヒドロシリル化反応用触媒である。このような(C)成分は、白金族元素触媒、白金族元素化合物触媒が好ましく、白金系触媒、ロジウム系触媒、パラジウム系触媒が例示される。(A)成分と(B)成分のヒドロシリル化反応、ひいては本組成物の硬化を著しく促進できることから白金系触媒が好ましい。白金系触媒としては、白金微粉末、白金黒、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール変性物、塩化白金酸とジオレフィンの錯体、白金−オレフィン錯体、白金ビス(アセトアセテート)、白金ビス(アセチルアセトネート)などの白金−カルボニル錯体、塩化白金酸・ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、塩化白金酸・テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン錯体などの塩化白金酸・アルケニルシロキサン錯体、白金・ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、白金・テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン錯体などの白金・アルケニルシロキサン錯体、塩化白金酸とアセチレンアルコール類との錯体が例示されるが、ヒドロシリル化反応性能が良好であることから、白金−アルケニルシロキサン錯体が特に好ましい。
【0031】
このアルケニルシロキサンとしては、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、これらのアルケニルシロキサンのメチル基の一部をエチル基、フェニル基等で置換したアルケニルシロキサンオリゴマー、これらのアルニルシロキサンのビニル基をアリル基、ヘキセニル基等で置換したアルケニルシロキサンオリゴマーが例示される。特に、生成する白金−アルケニルシロキサン錯体の安定性が良好であることから、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが好ましい。
【0032】
また、白金−アルケニルシロキサン錯体の安定性を向上させるため、これらの白金−アルケニルシロキサン錯体を、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジアリル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,3−ジメチル−1,3−ジフェニルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン等のアルケニルシロキサンオリゴマーやジメチルシロキサンオリゴマー等のオルガノシロキサンオリゴマーに溶解していることが好ましく、特にアルケニルシロキサンオリゴマーに溶解していることが好ましい。
【0033】
(C)成分の含有量は、本組成物の硬化を促進する量であれば特に限定されず、具体的には、本組成物に対して、本成分中の白金族金属原子、特には白金原子が重量単位で0.01〜500ppmの範囲内となる量であることが好ましく、さらには、0.01〜100ppmの範囲内となる量であることが好ましく、特には、0.1〜50ppmの範囲内となる量であることが好ましい。これは、(C)成分の含有量が上記範囲の下限未満であると、組成物が十分に硬化しなくなるからであり、一方、上記範囲の上限を超えると、硬化物に着色等の問題を生じるおそれがあるからである。
【0034】
本組成物には、取扱作業性および接着性を向上する目的で、(D)BET比表面積が20〜200m/gであるフュームドシリカを、上記(A)〜(C)成分の合計100重量部に対して1〜10重量部含有していることが好ましい。これは、(D)成分のBET比表面積が上記範囲の下限未満または上限を超えると、取扱作業上、適した粘度にならないからであり、また、(D)成分の含有量が上記範囲の上限を超えると、光透過性が低下するからである。
【0035】
本組成物には、常温での可使時間を延長し、保存安定性を向上させるため、(E)成分として、1−エチニルシクロヘキサン−1−オール、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2−フェニル−3−ブチン−2−オール等のアルキンアルコール;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のエンイン化合物;1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン等のメチルアルケニルシロキサンオリゴマー;ジメチルビス(3−メチル−1−ブチン−3−オキシ)シラン、メチルビニルビス(3−メチル−1−ブチン−3−オキシ)シラン等のアルキンオキシシラン;ベンゾトリアゾール等のヒドロシリル化反応抑制剤を配合することが好ましい。
【0036】
(E)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分と(C)成分の混合時にゲル化ないし硬化を抑制するのに十分な量であり、さらには長期間保存可能とするのに十分な量であり、具体的には、(A)成分〜(C)成分の合計100重量部に対して0.0001〜5重量部の範囲内であることが好ましく、0.01〜3重量部の範囲内であることがより好ましい。
【0037】
また、本組成物には、硬化途上で接触している基材への接着性を更に向上させるために(F)接着促進剤を含有することが好ましい。この接着促進剤としては、ヒドロシリル化反応により硬化する硬化性オルガノポリシロキサン組成物に添加し得る公知のものを用いることができる。
【0038】
このような(F)成分としては、トリアルコキシシロキシ基(例えば、トリメトキシシロキシ基、トリエトキシシロキシ基)もしくはトリアルコキシシリルアルキル基(例えば、トリメトキシシリルエチル基、トリエトキシシリルエチル基)と、ヒドロシリル基もしくはアルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)を有するオルガノシラン、またはケイ素原子数4〜20程度の直鎖状構造、分岐状構造又は環状構造のオルガノシロキサンオリゴマー;トリアルコキシシロキシ基もしくはトリアルコキシシリルアルキル基とメタクリロキシアルキル基(例えば、3−メタクリロキシプロピル基)を有するオルガノシラン、またはケイ素原子数4〜20程度の直鎖状構造、分岐状構造又は環状構造のオルガノシロキサンオリゴマー;トリアルコキシシロキシ基もしくはトリアルコキシシリルアルキル基とエポキシ基結合アルキル基(例えば、3−グリシドキシプロピル基、4−グリシドキシブチル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基)を有するオルガノシランまたはケイ素原子数4〜20程度の直鎖状構造、分岐状構造又は環状構造のオルガノシロキサンオリゴマー;アミノアルキルトリアルコキシシランとエポキシ基結合アルキルトリアルコキシシランの反応物、エポキシ基含有エチルポリシリケートが挙げられ、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ハイドロジェントリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランと3−アミノプロピルトリエトキシシランの反応物、シラノール基封鎖メチルビニルシロキサンオリゴマーと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの縮合反応物、シラノール基封鎖メチルビニルシロキサンオリゴマーと3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランの縮合反応物、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートが挙げられる。
【0039】
このような(F)成分は、硬化物が加熱下で長時間使用されたときの耐黄変性と光透過性低下防止の観点より、アミノ基などの活性窒素原子を含有しないものが好ましい。これら接着促進剤は、低粘度の液状であることが好ましく、25℃の粘度が1〜500mPa・sの範囲内であることが好ましい。
【0040】
また、このような(F)成分の含有量は、硬化特性、特に硬化物の変色を促進しない範囲であることが好ましく、(A)成分〜(C)成分の合計100重量部に対して0.01〜5重量部の範囲内であることが好ましく、特に、0.1〜3重量部の範囲内であることが好ましい。
【0041】
本組成物には、本発明の目的を損なわない限り、その他任意の成分として、(D)成分以外のシリカ、ガラス、アルミナ、酸化亜鉛等の無機質充填剤;シリコーンゴム粉末;シリコーン樹脂、ポリメタクリレート樹脂等の樹脂粉末;耐熱剤、染料、顔料、難燃性付与剤、溶剤等を配合してもよい。
【0042】
本組成物は、取扱作業性の点から、25℃において液状であることが好ましく、25℃の粘度は10〜1,000,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。本組成物を光半導体素子の封止剤として用いる場合には、25℃の粘度が100〜10,000mPa・sの範囲内であることが好ましく、また、本組成物を光半導体素子の接着剤として用いる場合には、25℃の粘度が1,000〜500,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。
【0043】
本組成物は、室温放置や、加熱により硬化が進行するが、迅速に硬化させるためには加熱することが好ましい。加熱温度は、50〜200℃の範囲内であることが好ましい。
【0044】
このような本組成物は、スチール、ステンレススチール、アルミニウム、銅、銀、チタン、チタン合金等の金属;シリコン半導体、ガリウムリン系半導体、ガリウム砒素系半導体、ガリウムナイトライド系半導体等の半導体素子;セラミック、ガラス、熱硬化性樹脂、極性基を有する熱可塑性樹脂等に対する初期接着性、接着耐久性、特には冷熱サイクルを受けたときの接着耐久性が優れている。
【0045】
本組成物は、硬化して、JIS K 6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さが30〜70である硬化物を形成することが好ましい。これは、硬さが上記範囲の下限未満であると、凝集力が乏しく、十分な強度と接着性が得られなくなるからであり、一方、上記範囲の上限を超えると、硬化物が脆くなり、十分な接着性が得られなくなるからである。
【0046】
次に、本発明の光半導体装置について詳細に説明する。
本発明の光半導体装置は、筺体内の光半導体素子が上記組成物からなる封止剤の硬化物により封止されているか、または上記組成物からなる接着剤の硬化物により接着されていることを特徴とする。この光半導体素子としては、具体的には、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ、フォトダイオード、フォトトランジスタ、固体撮像、フォトカプラー用発光体と受光体が例示され、特に、発光ダイオード(LED)であることが好ましい。
【0047】
発光ダイオード(LED)では、半導体の上下左右から発光が起きるので、装置を構成する部品は、光を吸収するものは好ましくなく、光透過率が高いか、反射率の高い材料が選ばれる。光半導体素子が搭載される基板もその例外でない。この基板としては、銀、金、銅等の導電性金属;アルミニウム、ニッケル等の非導電性の金属;PPAやLCP等の白色顔料を混合した熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、BT樹脂、ポリイミド樹脂やシリコーン樹脂等の白色顔料を含有する熱硬化性樹脂;アルミナ、窒化アルミナ等のセラミックスが例示される。本発明の組成物は、光半導体素子および基板に対して接着性が良好であるので、得られる光半導体装置の信頼性を向上することができる。
【0048】
本発明の光半導体装置を図1により詳細に説明する。図1は光半導体装置の代表例である単体の表面実装型発光ダイオード(LED)装置の断面図である。図1の発光ダイオード(LED)装置は、ポリフタルアミド(PPA)樹脂製筐体1内のダイパッド3上に発光ダイオード(LED)チップ5が接着材4によりダイボンディングされ、この発光ダイオード(LED)チップ5とインナーリード2とがボンディングワイヤ6によりワイヤボンディングされ、封止材7により該筐体内壁とともに封止されている。本発明の光半導体装置において、接着材4および/または封止材7を形成する組成物として、本発明の硬化性オルガノポリシロキサン組成物が使用される。
【実施例】
【0049】
本発明の硬化性オルガノポリシロキサン組成物および光半導体装置を実施例と比較例により詳細に説明する。なお、実施例・比較例中の粘度は25℃における値であり、また、実施例・比較例中の硬化性オルガノポリシロキサン組成物を調製するため、次の成分を用いた。なお、式中、Viはビニル基を表し、Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表し、Vi%は全有機基中のビニル基の割合(モル%)を表し、Me%はメチル基とフェニル基の合計中のメチル基の割合(モル%)を表す。また、表中、SiH/Viの比率は、組成物中、(a−1)成分〜(a−9)成分のビニル基の合計1モルに対する、(b−1)成分〜(b−6)成分のケイ素原子結合水素原子の合計モル数の値を表す。
【0050】
(a−1)成分:平均組成式:
(MeViSiO1/2)0.042(MeSiO2/2)0.958
で表される、粘度60mPa・sのオルガノポリシロキサン(Vi%=2.06モル%;Me%=100モル%)
(a−2)成分:平均組成式:
(MeViSiO1/2)0.012(MeSiO2/2)0.988
で表される、粘度550mPa・sのオルガノポリシロキサン(Vi%=0.60モル%;Me%=100モル%)
(a−3)成分:平均分子式:
(MeViSiO2/2)
で表される、粘度4mPa・sのオルガノポリシロキサン(Vi%=50モル%;Me%=100モル%)
(a−4)成分:平均組成式:
(MeViSiO1/2)0.09(MeSiO1/2)0.43(SiO4/2)0.48(HO1/2)0.03
で表される、25℃で固体状のオルガノポリシロキサン(Vi%=5.8モル%;Me%=100モル%)
(a−5)成分:平均組成式:
(MeViSiO1/2)0.10(MeSiO1/2)0.45(SiO4/2)0.45(HO1/2)0.02
で表される、25℃で固体状のオルガノポリシロキサン(Vi%=6.1モル%;Me%=100モル%)
(a−6)成分:平均組成式:
(MeViSiO1/2)0.09(MeSiO1/2)0.43(SiO4/2)0.48(HO1/2)0.005
で表される、25℃で固体状のオルガノポリシロキサン(Vi%=5.8モル%;Me%=100モル%)
(a−7)成分:平均組成式:
(MeViSiO1/2)0.10(MeSiO1/2)0.42(SiO4/2)0.48(HO1/2)0.07
で表される、25℃で固体状のオルガノポリシロキサン(Vi%=6.4モル%;Me%=100モル%)
(a−8)成分:平均組成式:
(MeViSiO1/2)0.17(MeSiO1/2)0.50(SiO4/2)0.33(HO1/2)0.04
で表される、25℃で固体状のオルガノポリシロキサン(Vi%=8.5モル%;Me%=100モル%)
(a−9)成分:平均組成式:
(MeViSiO1/2)0.05(MeSiO1/2)0.30(SiO4/2)0.65(HO1/2)0.03
で表される、粘度500mPa・sのオルガノポリシロキサン(Vi%=4.8モル%;Me%=100モル%)
【0051】
(b−1)成分:粘度が10mPa・sであり、ケイ素原子結合水素原子の含有量が1.3重量%である、平均分子式:
MeSiO(MeHSiO)10SiMe
で表されるオルガノポリシロキサン(Me%=100モル%)
(b−2)成分:粘度が200mPa・sであり、ケイ素原子結合水素原子の含有量が0.72重量%である、平均分子式:
MeSiO(MeSiO)30(MeHSiO)30SiMe
で表されるオルガノポリシロキサン(Me%=100モル%)
(b−3)成分:粘度が200mPa・sであり、ケイ素原子結合水素原子の含有量が0.34重量%である、平均分子式:
MeSiO(MeSiO)45(MeHSiO)15SiMe
で表されるオルガノポリシロキサン(Me%=100モル%)
(b−4)成分:粘度が120mPa・sであり、ケイ素原子結合水素原子の含有量が1.03重量%である、平均組成式:
(HMeSiO1/2)0.67(SiO4/2)0.33
で表されるオルガノポリシロキサン(Me%=100%)
(b−5)成分:粘度が130mPa・sであり、ケイ素原子結合水素原子の含有量が0.74重量%である、平均組成式:
(HMeSiO1/2)0.50(MeSiO1/2)0.17(SiO4/2)0.33
で表されるオルガノポリシロサキン(Me%=100モル%)
(b−6)成分:粘度が200mPa・sであり、ケイ素原子結合水素原子の含有量が0.65重量%である、平均組成式:
(HMeSiO1/2)0.60(PhSiO3/2)0.40
で表されるオルガノポリシロサキン(Me%=75モル%)
【0052】
(c)成分:白金金属の含有量が約4重量%である、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン溶液
(d−1)成分:BET比表面積が115〜165m/gであり、その表面がヘキサメチルジシラザンで疎水化処理されたフュームドシリカ(日本アエロジル社製の商品名:RX200)
(d−2)成分:BET比表面積が30〜50m/gであり、その表面がヘキサメチルジシラザンで疎水化処理されたフュームドシリカ(日本アエロジル社製の商品名:NAX50)
(e)成分:1−エチニルシクロヘキサン−1−オール
(f)成分:25℃における粘度が30mPa・sである分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルシロキサンオリゴマーと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの縮合反応物
【0053】
また、実施例・比較例中の硬化性オルガノポリシロキサン組成物の粘度、該組成物を硬化して得られる硬化物の硬さ、光透過性および接着力を次のようにして測定した。
【0054】
[硬化性オルガノポリシロキサン組成物の粘度]
硬化性オルガノポリシロキサン組成物を調製後、30分以内に、粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント社製AR-550)において、直径20mmの2°コーンプレートを用いて、せん断速度10(1/s)の条件で粘度を測定した。
【0055】
[硬化物の硬さ]
硬化性オルガノポリシロキサン組成物を150℃で1時間プレス成形することによりシート状硬化物を作製した。このシート状硬化物の硬さをJIS K 6253に規定されるタイプDデュロメータにより測定した。
また、このシート状硬化物を150℃のオーブン中で1000時間静置した。耐熱後の硬さを上記と同様に測定した。
【0056】
[硬化物の透過率]
硬化性オルガノポリシロキサン組成物を2枚のガラス板間に入れ150℃で1時間保持して硬化させた。硬化物(光路長0.1cm)の光透過率を、可視光(波長400nm〜700nm)の範囲において任意の波長で測定できる自記分光光度計を用いて25℃で測定した。ガラス板込みの光透過率とガラス板のみの光透過率を測定して、その差を硬化物の光透過率とした。なお、表1には波長450nmにおける光透過率を記載した。
また、上記の硬化物を150℃のオーブン中で1000時間静置した。耐熱後の透過率を上記と同様に測定した。
【0057】
[硬化物の接着力]
2枚の銀メッキした鋼板(幅25mm、長さ50mm、厚さ1mm)間にポリテトラフルオロエチレン樹脂製スペーサ(幅10mm、長さ20mm、厚さ1mm)を挟み込み、その隙間に硬化性オルガノポリシロキサン組成物を充填し、クリップで留め、150℃の熱風循環式オーブン中に1時間保持して硬化させた。室温に冷却後、クリップとスペーサを外した試験片を引張試験機により水平反対方向に引張って、硬化物の接着力を測定した。
また、上記の試験片を150℃のオーブン中で1000時間静置した。耐熱後の接着力を上記と同様に測定した。
【0058】
[実施例1〜4、比較例1〜6]
表1に示した混合比で硬化性オルガノポリシロキサン組成物を調製した。硬化物の諸特性を上記のようにして測定し、それらの結果を表1に示した。
【0059】
【表1】

【0060】
[実施例5〜8、比較例7〜12]
表2に示した混合比で硬化性オルガノポリシロキサン組成物を調製した。硬化物の諸特性を上記のようにして測定し、それらの結果を表2に示した。
【0061】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ、フォトダイオード、フォトトランジスタ、固体撮像、フォトカプラー用発光体と受光体などの光半導体素子の封止剤あるいは接着剤として有用である。また、本発明の光半導体装置は、光学装置、光学機器、照明機器、照明装置などの光半導体装置として有用である。
【符号の説明】
【0063】
1 ポリフタルアミド(PPA)樹脂製筐体
2 インナーリード
3 ダイパッド
4 接着材
5 発光ダイオード(LED)チップ
6 ボンディングワイヤ
7 封止材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記(A−1)成分 15〜35重量%および下記(A−2)成分 65〜85重量%からなるアルケニル基含有オルガノポリシロキサン
(A−1)平均組成式:
(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RSiO3/2)(SiO4/2)
(式中、Rは炭素原子数2〜10のアルケニル基、メチル基、またはフェニル基であり、全Rの0.4〜50モル%が炭素原子数2〜10のアルケニル基であり、R中のメチル基とフェニル基の合計の90モル%以上がメチル基であり、a、b、c、およびdは、0≦a≦0.05、0.9≦b≦1、0≦c≦0.03、0≦d≦0.03、かつ、a+b+c+d=1を満たす数である。)
で表されるオルガノポリシロキサン
(A−2)平均組成式:
(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RSiO3/2)(SiO4/2)(HO1/2)
(式中、Rは炭素原子数2〜10のアルケニル基、メチル基、またはフェニル基であり、全Rの5〜10モル%が炭素原子数2〜10のアルケニル基であり、R中のメチル基とフェニル基の合計の90モル%以上がメチル基であり、e、f、g、h、およびiは、0.4≦e≦0.6、0≦f≦0.05、0≦g≦0.05、0.4≦h≦0.6、0.01≦i≦0.05、かつ、e+f+g+h=1を満たす数である。)
で表されるオルガノポリシロキサン
(B)下記(B−1)成分 10〜50重量%、下記(B−2)成分 50〜90重量%、および下記(B−3)成分 0〜30重量%からなるケイ素原子結合水素原子含有オルガノポリシロキサン{(A)成分中のアルケニル基の合計モル数に対して、(B)成分中のケイ素原子結合水素原子のモル数が0.5〜2.0となる量}
(B−1)平均分子式:
SiO(RSiO)(RHSiO)SiR
(式中、Rはメチル基またはフェニル基であり、全Rの90モル%以上がメチル基であり、jは0〜35の数、kは5〜100の数である。)
で表され、ケイ素原子結合水素原子を少なくとも0.5重量%含有するオルガノポリシロキサン
(B−2)平均組成式:
(HRSiO1/2)(RSiO1/2)(RSiO2/2)(RSiO3/2)(SiO4/2)(R1/2)
(式中、Rはメチル基またはフェニル基であり、全Rの90モル%以上がメチル基であり、Rは水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、l、m、n、o、p、およびqは、0.4≦l≦0.7、0≦m≦0.2、0≦n≦0.05、0≦o≦0.5、0.3≦p≦0.6、0≦q≦0.05、かつ、l+m+n+o+p=1を満たす数である。)
で表され、ケイ素原子結合水素原子を少なくとも0.5重量%含有するオルガノポリシロキサン
(B−3)平均分子式:
HRSiO(RSiO)SiR
(式中、Rはメチル基またはフェニル基であり、全R中の90モル%以上がメチル基であり、rは10〜100の数である。)
で表されるオルガノポリシロキサン
および
(C)ヒドロシリル化反応用触媒(本組成物を硬化させるのに十分な量)
から少なくともなる硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項2】
さらに、(D)BET比表面積が20〜200m/gであるフュームドシリカを、(A)〜(C)成分の合計100重量部に対して1〜10重量部含有する、請求項1記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項3】
硬化して、JIS K 6253に規定されるタイプDデュロメータ硬さが30〜70である硬化物を形成する、請求項1記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項4】
光半導体素子の封止剤あるいは接着剤である、請求項1記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項5】
光半導体素子が発光ダイオードである、請求項3記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項6】
光半導体素子が請求項1に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物により封止および/または接着されていることを特徴とする光半導体装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−12434(P2012−12434A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147690(P2010−147690)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【Fターム(参考)】