説明

硬化性シリコーン組成物

【課題】比較的低温にて短時間で硬化させた場合でも、PPS等の難接着性樹脂に対して優れた接着性を有する硬化性シリコーン組成物を提供する。
【解決手段】(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、(B)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン、(C)ヒドロシリル化反応用触媒、および(D)ケイ素原子に結合したアルコキシ基またはケイ素原子に結合したアルコキシアルコキシ基を有する酸無水物、を含む硬化性シリコーン組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性シリコーン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有し且つ25℃での粘度が10mPa・s以上の液状又は固体状のオルガノポリシロキサン、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有し、かつ25℃での粘度が1,000mPa・s以下であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン及び/又はオルガノハイドロジェンシラン、ヒドロシリル化反応用触媒、一分子中に、ケイ素原子結合水素原子、オルガノオキシシリル基及びケイ素原子結合アルケニル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基とエポキシ基とを有するケイ素化合物、および液状酸無水物を少なくとも含む硬化性シリコーン組成物が開示されている。また特許文献2には、一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するジオルガノポリシロキサン、三官能性シロキサン単位及び四官能性シロキサン単位から選ばれる少なくとも一種の分岐形成単位を含有する三次元状のオルガノポリシロキサンレジン、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、ヒドロシリル化反応用触媒、接着性付与剤としての有機ケイ素化合物、および室温で液体の酸無水物を少なくとも含む硬化性シリコーン組成物が開示されている。
【0003】
しかし、このような硬化性シリコーン組成物といえども、比較的低温で硬化させた場合には、PPS等の難接着性樹脂に対しては十分な接着性を発現できず、接着強度が十分でないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−327777号公報
【特許文献2】特開2008−169386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、比較的低温且つ短時間で硬化させた場合でも、PPS等の難接着性樹脂に対して優れた接着性を有し、高い接着強度を示す硬化性シリコーン組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の硬化性シリコーン組成物は、
(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン
100質量部、
(B)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン{(A)成分中のアルケニル基1モルに対して、(B)成分中のケイ素原子結合水素原子が0.1〜10モルとなる量}、
(C)ヒドロシリル化反応用触媒(触媒量)、及び
(D)ケイ素原子に結合したアルコキシ基又はケイ素原子に結合したアルコキシアルコキシ基を有する酸無水物
0.1〜20質量部
を少なくとも含有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の硬化性シリコーン組成物は、比較的低温且つ短時間で硬化させた場合でも、PPS等の難接着性樹脂に対して優れた接着性を有し、高い接着強度を示すという特徴がある。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の硬化性シリコーン組成物を詳細に説明する。
(A)成分は本組成物の主剤であり、一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンである。(A)成分中のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、及びヘプテニル基が例示され、好ましくは、ビニル基である。また、(A)成分中のアルケニル基以外のケイ素原子結合有機基(すなわち、ケイ素原子に結合している有機基)としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、及びヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、及びキシリル基等のアリール基;ベンジル基及びフェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基及び3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が例示され、好ましくは、メチル基及びフェニル基から選択される。(A)成分の分子構造は特定の構造に限定されず、直鎖状、分岐鎖状、環状、網状、及び一部分岐を有する直鎖状が例示される。このような(A)成分は、好ましくは、(A1)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する直鎖状のオルガノポリシロキサンと(A2)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する分岐鎖状のオルガノポリシロキサンの混合物である。
【0009】
このような(A1)成分のオルガノポリシロキサンとしては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、及び分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体が例示される。
【0010】
(A1)成分の25℃における粘度は限定されないが、10〜1,000,000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に、100〜100,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。
【0011】
一方、(A2)成分のオルガノポリシロキサンとしては、式:R3SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:R2'SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサンが好ましい。上式中、Rはアルケニル基以外の一価炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、及びヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、及びナフチル基等のアリール基;ベンジル基及びフェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、及び3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロ置換アルキル基が例示される。また、上式中、R'はアルケニル基であり、具体的には、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、及びヘプテニル基が例示される。
【0012】
このような(A2)成分のさらに具体的なオルガノポリシロキサンとしては、(CH3)3SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体、及び、(C65)(CH3)2SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体が例示される。
【0013】
(A2)成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算の質量平均分子量は限定されないが、いずれも100〜10,000の範囲内であることが好ましい。
【0014】
(A1)成分と(A2)成分との割合は限定されないが、その質量比(A1:A2)が95:5〜50:50の範囲内であることが好ましく、さらに、90:10〜60:40の範囲内であることが好ましくは、特に、90:10〜70:30の範囲内であることが好ましい。これは、(A2)成分の質量比率を上記範囲の下限以上にすることによって、得られる硬化物の物理強度の大きな低下を防ぐことでき、一方、上記範囲の上限以下にすることによって、得られる硬化物の伸びの大きな低下を防ぐことができるからである。
【0015】
(B)成分は本組成物の架橋剤であり、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子(すなわち、ケイ素原子に結合した水素原子)を有するオルガノポリシロキサンである。(B)成分中のケイ素原子結合水素原子の結合位置は特に限定されず、例えば、分子鎖末端および/または分子鎖側鎖が挙げられる。(B)成分中のケイ素原子結合有機基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、及びヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、及びナフチル基等のアリール基;ベンジル基及びフェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、及び3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロ置換アルキル基が例示され、好ましくはメチル基及び/又はフェニル基である。このような(B)成分の分子構造は限定されず、直鎖状、分岐鎖状、環状、網状、及び一部分岐を有する直鎖状が例示され、好ましくは、直鎖状である。
【0016】
このような(B)成分のオルガノポリシロキサンとしては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、式:R3SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:R2HSiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体、R2HSiO1/2で示されるシロキサン単位とSiO4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体、式:RHSiO2/2で示されるシロキサン単位と式:RSiO3/2で示されるシロキサン単位またはHSiO3/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体、及びこれらのオルガノポリシロキサンの二種以上の混合物が例示される。式中、Rはアルケニル基以外の一価炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、及びヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、及びナフチル基等のアリール基;ベンジル基及びフェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、及び3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロ置換アルキル基が例示される。
【0017】
(B)成分の25℃における粘度は限定されないが、1〜500,000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に、5〜100,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。これは、粘度が1mPa・s以上の(B)成分を用いることによって、得られる硬化物の機械的強度の大きな低下を防ぐことができ、一方、粘度が500,000mPa・s以下の(B)成分を用いることによって、得られる組成物の取扱作業性の大きな低下を防ぐことができるからである。
【0018】
(B)成分の含有量は、(A)成分中のアルケニル基1モルに対して、(B)成分中のケイ素原子結合水素原子が0.1〜10モルの範囲内となる量であり、好ましくは、0.1〜5モルの範囲内となる量である。これは、(A)成分中のアルケニル基に対する(B)成分中のケイ素原子結合水素原子が上記範囲の下限以上であると、得られる組成物が十分に硬化しなくなることを防ぐことができ、一方、上記範囲の上限以下であると、得られる硬化物の物理的特性の経時的な変化を小さく抑えることができるからである。
【0019】
(C)成分のヒドロシリル化反応用触媒は本組成物の硬化を促進させるための触媒であり、白金系触媒、ロジウム系触媒、及びパラジウム系触媒が例示され、特に、白金系触媒であることが好ましい。この白金系触媒としては、白金微粉末、白金黒、白金担持シリカ微粉末、白金担持活性炭、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金のオレフィン錯体、及び白金のアルケニルシロキサン錯体等の白金系化合物が例示される。
【0020】
(C)成分の含有量は触媒量であり、具体的には、本組成物に対して、この触媒中の金属原子が質量単位で0.01〜1,000ppmの範囲内となる量であることが好ましい。これは、(C)成分の含有量が0.01ppm以上であると、得られる組成物の硬化が十分に進行しなくなることを防ぐことができ、一方、1,000ppm以下で充分な硬化速度を得ることができるとともに、硬化物の顕著な着色を防ぐことができるからである。
【0021】
(D)成分は、本組成物の接着性を向上させるための成分であり、ケイ素原子に結合したアルコキシ基又はケイ素原子に結合したアルコキシアルコキシ基を有する酸無水物である。このような(D)成分は、無水酢酸、無水安息香酸、無水安息香酸等のモノカルボン酸の対称的無水物;無水コハク酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水ジフェン酸等のポリカルボン酸の環状無水物において、その置換基としてケイ素原子に結合したアルコキシ基又はケイ素原子に結合したアルコキシアルコキシ基を含有する基を結合するものであり、好ましくは、前記のような環状無水物である。
【0022】
(D)成分は、以下の式(1)〜(4)で表される化合物からなる群から選択される1種以上の酸無水物官能性有機ケイ素化合物であることが好ましく、特に、式(1)又は(2)で表される化合物からなる群から選択される1種以上のコハク酸無水物官能性有機ケイ素化合物であることが好ましい。
【0023】
【化1】

【0024】
【化2】

【0025】
【化3】

【0026】
【化4】

【0027】
上記式(1)〜(4)中、R1は炭素原子数3〜12の置換または非置換の飽和二価炭化水素基又は不飽和炭素−炭素二重結合もしくは三重結合を有する置換または非置換の二価炭化水素基である。R1は直鎖状であることが好ましいが分岐していてもよい。ただし、R1が分岐鎖である場合は、分岐鎖の分子鎖末端に脂肪族不飽和炭素−炭素結合を含有しない。また、R1が置換基を有する場合は、置換基の分子鎖末端に脂肪族不飽和炭素−炭素結合を有しない。
R1としては、炭素原子数が3〜12のアルキレン基、側鎖にフェニル基及び/又はシクロアルキル基を有する置換アルキレン基、アルキレン・アリーレン・アルキレン基、アリーレン・アルキレン基(例えば、-C6H4-CH2CH2-基)、及びフェニレン基が例示できる。とりわけ、R1は炭素原子数3〜12のアルキレン基であることが好ましく、直鎖状の炭素原子数3〜10のアルキレン基であることが特に好ましい。
【0028】
R1の具体例としては、
【化5】

が挙げられる。
【0029】
式(1)〜(4)中、R2は、炭素原子数が1〜10の分子鎖末端に脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、及びデシル基などのアルキル基;3−クロロプロピル基および3,3,3−トリフルオロプロピル基などのハロゲン化アルキル基;並びにフェニル基、トリル基及びキシリル基などのアリール基が例示される。R2はアルキル基、特にメチル基であることが好ましい。
【0030】
式(1)〜(4)中、R3は、炭素原子数が1〜18のアルキル基またはアルコシアルキル基である。アルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、デシル基、ドデシル基、及びヘキサデシル基などのアルキル基が例示される。アルコキシアルキル基としては例えば、メチルオキシメチル基、メチルオキシエチル基、エチルオキシエチル基、エチルオキシメチル基、メチルオキシプロピル基、エチルオキシプロピル基、及びプロピルオキシプロピル基などの炭素原子数2〜10のアルコキシアルキル基が例示される。R3はアルキル基、特にエチル基またはメチル基であることが好ましい。
【0031】
式(1)及び(3)中、R4は炭素原子数1〜12の、置換または非置換の飽和二価炭化水素基又は不飽和炭素−炭素二重結合もしくは三重結合を有する置換または非置換の二価炭化水素基であり、この二価炭化水素基は直鎖状であることが好ましいが分岐していてもよい。ただし、この二価炭化水素基が、分岐鎖の分子鎖末端及び置換基の分子鎖末端に脂肪族不飽和結合を有しないことを条件とする。
【0032】
R4としては、鎖状の−CH2−、
−CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2−、および−CH(CH3)-CH2−などの炭素原子数が1〜12のアルキレン基、側鎖にフェニル基やシクロアルキル基を有する炭素原子数が8〜21の置換アルキレン基、炭素原子数が8〜21のアルキレン・アリーレン・アルキレン基、炭素原子数が8〜21のアリーレン・アルキレン基、及びフェニレン基が例示できる。中でもR4は炭素原子数1〜12のアルキレン基であることが好ましく、直鎖状の炭素原子数2〜9のアルキレン基であることがさらに好ましい。
【0033】
R4の具体例としては、
【化6】

が挙げられる。
【0034】
式(1)及び(3)中、R5はそれぞれ独立に、炭素原子数が1〜10の分子鎖末端に脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、及びデシル基などのアルキル基;3−クロロプロピル基及び3,3,3−トリフルオロプロピル基などのハロゲン化アルキル基;並びにフェニル基、トリル基及びキシリル基などのアリール基が例示される。R5はそれぞれ独立にアルキル基またはフェニル基、特に、メチル基、エチル基、シクロへキシル基及びフェニル基からなる群から選択されることが好ましく、メチル基がもっとも好ましい。-Si(R5)(R5)-の例として下記の構造を挙げることができる。
【0035】
【化7】

【0036】
式(1)〜(4)中、nは0、1、または2であり、0または1であることが特に好ましい。
【0037】
式(1)及び(3)中、mは0〜20の整数であり、0〜10の整数であることが好ましく、0〜2の整数であることがより好ましく、1または2であることが特に好ましい。
【0038】
式(1)で表されるこのような新規なコハク酸無水物官能性有機ケイ素化合物の例としては、以下のものが挙げられる。
【0039】
【化8】

【0040】
【化9】

【0041】
【化10】

【0042】
【化11】

【0043】
これらのなかでも、蒸留によって高純度なものを製造しやすい点、及び原料の入手が容易である点から、下記の化合物が特に好ましい。
【0044】
【化12】

【0045】
上記一般式(1)で表される新規化合物は、下記一般式(5)
【化13】

で示されるアルケニル官能性コハク酸無水物と、下記一般式(6)
【化14】

で示される有機ケイ素化合物とを反応させて製造することができる。
【0046】
上記式(5)中、R6は、炭素原子数1〜10の置換または非置換の二価炭化水素基であり、炭素原子数が2〜10の不飽和炭素−炭素二重結合を有する置換または非置換の二価炭化水素基であってもよい。この二価炭化水素基は直鎖状であることが好ましいが分岐していてもよい。ただし、この二価炭化水素基が分岐鎖である場合は分岐鎖の分子鎖末端に脂肪族不飽和結合を有さず、これが置換基を有する場合は置換基の分子鎖末端に脂肪族不飽和結合を有しないことを条件とする。R6は特に直鎖状の炭素原子1〜8のアルキレン基であることが好ましい。式(6)において、R2、R3、R4、R5、m、及びnは式(1)に対して上で定義したとおりである。
【0047】
ここで、式(1)〜(4)中のR3は上述のとおりアルキル基またはアルコキシアルキル基であるので、式(1)〜(4)及び(6)の化合物はアルコキシシリル官能性ケイ素化合物またはアルコキシアルコキシシリル官能性ケイ素化合物である。
【0048】
なお、一般式(6)で表される有機ケイ素化合物は、分子鎖両末端ジオルガノハイドロジェンシリル基封鎖ジオルガノシロキサンオリゴマーとアルケニル基含有アルコキシシラン及び/又はアルケニル基含有アルコキシアルコキシシランとのヒドロシリル化反応により容易に製造することができる。ヒドロシリル化反応を行う際の、分子鎖両末端ジオルガノハイドロジェンシリル基封鎖ジオルガノシロキサンオリゴマーとアルケニル基含有アルコキシシラン及び/又はアルケニル基含有アルコキシアルコキシシランとのモル比は、0.8:1.0〜1.2:1.0の範囲であることが好ましい。
【0049】
アルケニル官能性コハク酸無水物(5)と有機ケイ素化合物(6)とを反応させる場合に、アルケニル官能性コハク酸無水物1モルに対して有機ケイ素化合物(6)を1.0〜10.0モル用いて反応させるのが好ましく、1.0〜1.5モル用いて反応させるのがさらに好ましい。これは、アルケニル官能性コハク酸無水物1モルに対して有機ケイ素化合物(6)を1モル以上用いることによって、アルケニル官能性コハク酸無水物が未反応で多量に残存してしまうことを防止でき、目的物の収率を高くできるためであり、一方、アルケニル官能性コハク酸無水物1モルに対して有機ケイ素化合物(6)の使用量を10.0モル以下にすることによって、有機ケイ素化合物(6)が多量に残存することによる、製造時のポットイールドの低下を抑えることができ、コスト的に有利だからである。
【0050】
アルケニル官能性コハク酸無水物(5)と有機ケイ素化合物(6)の反応装置内への導入方法は任意の方法を用いることができるが、これらの化合物の混合モル比が、上述した範囲から外れないようにすることが好ましい。また、加熱条件下で、アルケニル官能性コハク酸無水物(5)中に有機ケイ素化合物(6)を導入してもよいし、またその逆でもよい。この反応を加熱して行う場合の温度は、後述する好適な反応温度の範囲内であることが好ましい。
【0051】
アルケニル官能性コハク酸無水物(5)と有機ケイ素化合物(6)との反応温度は目的とする反応が進行するかぎり特に規定されず、任意の温度でこの反応を行うことができるが、反応は加熱下でおこなってもよい。その場合、反応温度は100℃〜180℃の範囲であることが好ましい。反応温度を100℃以上にすることによって、反応温度を速くして目的物を製造するために時間を短縮することができるためにコスト的に有利である。一方、反応温度を180℃以下にすることによって、生成物が着色する可能性を低減することができる。
【0052】
上記の反応は任意の圧力で行うことができ、特に圧力に関する制限はない。しかし、用いる原料の沸点との関係によって、常圧で加熱した場合に目的とする温度に到達しない場合や、常圧における反応では反応の完結までに必要な時間が著しく長い場合は、加圧下で反応を行ってもよい。 この場合の圧力は任意の圧力であることができるが、1kPaから5kPaの範囲であることが望ましい。上記の反応を1kpa以上で行うことによって、目的生成物の収率の低下が起こりにくい。
【0053】
上記の反応は、不活性ガス下、例えば、窒素及びアルゴンなどから選択される不活性ガスの雰囲気下で行なうことが好ましい。また原料であるアルケニル官能性コハク酸無水物(5)と有機ケイ素化合物(6)に含まれる水分量もできるかぎり少なくすることが好ましい。
【0054】
また、上記の反応においては、必要に応じて有機溶媒、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘキサン、エチレンクロライド、クロロホルム、トリクロロエチレン、及びシクロヘキサンなどから選択される、活性水素を含まない有機溶媒を反応溶媒として使用してもよい。しかし、極性が低い溶媒を用いた上記反応を行った場合には反応効率が低下する場合があるので、これらの有機溶媒を使用しないことが一般的には好ましい。
【0055】
上記式(5)の化合物と式(6)の化合物とのヒドロシリル化反応に用いる触媒は、式(6)中のケイ素原子結合水素原子(すなわち、ケイ素原子に結合した水素原子)が式(5)中のアルケニル基へ付加する反応を促進するための触媒であり、例えば、長周期型周期律表における第VIII属遷移金属系の触媒が挙げられ、好ましくは、白金系触媒である。このような白金系触媒としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、及び白金のカルボニル錯体が例示できる。用いる触媒量は目的の反応が進行する限り、特に限定されない。
【0056】
一方、上記式(2)で表される化合物は、例えば、上記式(5)で表されるアルケニル官能性コハク酸無水物と下記式(7):
HSiR(OR3−n (7)
で表されるハイドロシランとのヒドロシリル化反応によって得ることができる。上記式(1)の化合物を製造するためのヒドロシリル化反応に関して上で説明した、上記式(5)の化合物と式(6)の化合物を用いる場合の使用原料のモル比、ヒドロシリル化の反応温度、反応圧力、反応雰囲気、反応溶媒、及びヒドロシリル化触媒についての記載は、そのまま式(5)の化合物と式(7)の化合物との間のヒドロシリル化反応に適用することができる。
【0057】
式(2)で表される化合物の具体例としては、式:
【化15】

で示される酸無水物が挙げられる。
【0058】
本発明の硬化性シリコーン組成物にはその他の任意の成分として無機充填剤を配合してもよい。この無機充填剤としては、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、焼成シリカ、及び粉砕石英等のシリカ系微粉末;酸化チタン、酸化アルミニウム、及び酸化鉄等の金属酸化物微粉末;水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム等の金属水酸化物微粉末;並びにこれらの無機充填剤をオルガノアルコキシシラン、オルガノハロシラン、及びオルガノシラザン等の有機ケイ素化合物から選択される化合物で表面処理した微粉末が例示される。このような無機充填剤の本発明の組成物中の含有量は限定されないが、得られる硬化物の機械的強度を向上させるため、(A)成分100質量部に対して1〜100質量部の範囲内であることが好ましく、さらには、1〜50質量部の範囲内であることが好ましい。
【0059】
また、本組成物の接着性をさらに向上させるための接着性付与剤として、オルガノトリアルコキシシラン(成分E)、特に、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等からなる群から選択されるオルガノトリアルコキシシランを本組成物に添加してもよい。本組成物中のこれらの接着性付与剤の含有量は限定されないが、(A)成分100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲内であることが好ましい。
【0060】
さらに、本組成物の硬化速度を調整し、取扱作業性を向上させるために、2−メチル−3−ブチン−2−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、及び2−フェニル−3−ブチン−2−オール等のアセチレン系化合物;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、及び3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン等のエンイン化合物;1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、フォスフィン類、メルカプタン類、及びヒドラジン類等から選択される硬化抑制剤を本組成物に含有させることが好ましい。これらの硬化抑制剤の含有量は限定されないが、(A)成分100質量部に対して0.001〜5質量部の範囲内であることが好ましい。
【0061】
さらに、本組成物には、本発明の目的を損なわない限り、公知の顔料、耐熱剤、及び難燃剤などからなる群から選択される添加剤を任意に含有していてもよい。
【0062】
本組成物を調製する方法は限定されず、(A)成分〜(D)成分、および必要に応じて(E)成分及びその他の任意の成分を混合することにより調製することができるが、本組成物に無機充填剤を含有させる場合には、予め(A)成分と無機充填剤を加熱混合して調製したベースコンパウンドに、(B)成分〜(D)成分を添加することが好ましい。このベースコンパウンドを調製する際、上記の有機ケイ素化合物を添加して、無機充填剤の表面をin−situ処理してもよい。本組成物を調製する際、2本ロール、ニーダーミキサー、及びロスミキサー等の周知の混練装置を用いることができる。
【0063】
このような本発明の硬化性シリコーン組成物は流動性及び充填性が優れており、その粘度は限定されないが、一般的には、25℃において100〜500,000mPa・sの範囲内であることが好ましく、特に、100〜100,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。
【実施例】
【0064】
本発明の硬化性シリコーン組成物を実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。なお、実施例中の粘度は25℃において測定した値である。また、PPS(ポリフェニレンサルファイド)に対する接着性の評価は次のようにして行った。
【0065】
[PPSに対する接着性]
硬化性シリコーン組成物の接着性をJIS K 6850に規定の引張せん断接着強さ試験方法に準拠して測定した。
すなわち、100mm×20mm×1.6mmのPPS製被着材と100mm×20mm×1.6mmのアルミ製被着材を用い、これらの被着材の間に硬化性シリコーン組成物からなる接着層を10mm×20mm×1mmとなるように形成し、これを120℃で所定時間(30分間又は60分間)加熱して前記組成物を硬化させて試験片を作製した。この試験片の引張せん断接着強さを引っ張り速度50mm/分で測定し、測定後のPPS製被着材の接着界面の状態を観察し、シリコーン硬化物が凝集破壊した割合をCF率(凝集破壊率)として示した。CF率が0%の場合はAF(界面破壊)と示した。
また、比較として、100mm×20mm×1.6mmのアルミ製被着材の間に、硬化性シリコーン組成物からなる接着層を10mm×20mm×1mmとなるように形成し、これを120℃で所定時間(30分間又は60分間)加熱して前記組成物を硬化させて試験片を作製した。上記と同様にして、引張せん断接着強さを測定し、測定後のアルミ製被着材の接着界面の状態を観察し、シリコーン硬化物が凝集破壊した割合をCF率(凝集破壊率)として示した。
【0066】
[参考例1]
窒素ガス導入管、温度計、ジムロート型コンデンサーおよび滴下漏斗を備えた50ミリリットルの4つ口フラスコに、アリルコハク酸無水物(和光純薬工業製)14.01g(0.1モル)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(アリルコハク酸無水物に対して錯体中の白金金属が15ppmとなる量)を投入し、100℃に加熱して攪拌した。続いて、1−ハイドロジェン−3−(2'−トリメトキシシリルエチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン28.26g(0.1モル)を1時間かけて反応混合物に滴下して添加した。その際、この反応が発熱反応であるため、フラスコを適宜冷却しながら反応をおこなった。ハイドロジェンシロキサンの滴下終了後、110℃でさらに1時間攪拌し、反応を完結させた。その後、反応溶液を減圧蒸留して主留分(沸点211−213℃/1torr)32.40g(収率76.7%)を得た。核磁気共鳴スペクトル分析、及びガスクロマトグラフ質量分析の結果から、この生成物が、下記式:
【化16】

で示される酸無水物であることを確認できた。
【0067】
[参考例2]
1-ハイドロジェン-3-(2’-トリメトキシシリルエチル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの代わりに1-ハイドロジェン-3-(1’-トリメトキシシリル-1’-メチル-メチル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンを用いた以外は、参考例1と同様にして、アリルコハク酸無水物とハイドロシラン化合物とのヒドロシリル化反応をおこなった。反応溶液を減圧蒸留して、28.1gの主留分を得た(収率 66.5%, 沸点201 - 203 ℃ / 1 torr)。
核磁気共鳴スペクトル分析、及びガスクロマトグラフ質量分析の結果から、この生成物が、下記式:
【化17】

で示される酸無水物であることを確認できた。
【0068】
[実施例1]
粘度50Pa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン50質量部、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した標準ポリスチレン換算の質量平均分子量が20,000である、平均単位式:
[(CH2=CH)(CH3)2SiO1/2]0.07[(CH3)3SiO1/2]0.71(SiO4/2)1.00
で表されるレジン状オルガノポリシロキサン10質量部、粘度40mPa・sの分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体3質量部(上記ジメチルポリシロキサンとレジン状オルガノポリオシロキサン中のビニル基の合計1モルに対して、本共重合体中のケイ素原子結合水素原子が2.9モルとなる量)、結晶シリカ微粉末(U.S. Silica Company社製のMIN−U−SIL(登録商標)5)40質量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.2質量部、式:
【化18】

で示される酸無水物1質量部、反応抑制剤として、2−フェニル−3−ブチン−2−オール(本組成物中に質量単位で1,000ppmとなる量)、および白金系触媒(本組成物に対して質量単位で白金原子が8ppmとなる量)を均一に混合して硬化性シリコーン組成物を調製した。この硬化性シリコーン組成物のPPSに対する接着性の評価結果を表1に示した。
【0069】
[実施例2]
実施例1において、酸無水物の代わりに参考例1で調製した酸無水物を同量用いた以外は実施例1と同様にして硬化性シリコーン組成物を調製した。この硬化性シリコーン組成物のPPSに対する接着性の評価結果を表1に示した。
【0070】
[実施例3]
実施例1において、酸無水物の代わりに参考例2で調製した酸無水物を同量用いた以外は実施例1と同様にして硬化性シリコーン組成物を調製した。この硬化性シリコーン組成物のPPSに対する接着性の評価結果を表1に示した。
【0071】
[比較例1]
実施例1において、酸無水物の代わりにアリルコハク酸無水物を同量用いた以外は実施例1と同様にして硬化性シリコーン組成物を調製した。この硬化性シリコーン組成物のPPSに対する接着性の評価結果を表1に示した。
【0072】
[比較例2]
実施例1において、酸無水物を配合しない以外は実施例1と同様にして硬化性シリコーン組成物を調製した。この硬化性シリコーン組成物のPPSに対する接着性の評価結果を表1に示した。
【0073】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の硬化性シリコーン組成物は、比較的低温で硬化させた場合でも、PPS等の難接着性樹脂に対して良好な接着性を有するので、PPS等の難接着性樹脂が使用されているECU(電子制御装置)等の車載用電子部品のための接着剤やシール剤として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン
100質量部、
(B)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン{(A)成分中のアルケニル基1モルに対して、(B)成分中のケイ素原子結合水素原子が0.1〜10モルとなる量}、
(C)ヒドロシリル化反応用触媒(触媒量)、及び
(D)ケイ素原子に結合したアルコキシ基又はケイ素原子に結合したアルコキシアルコキシ基を有する酸無水物 0.1〜20質量部
を含む、硬化性シリコーン組成物。
【請求項2】
(A)成分が、(A1)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する直鎖状のオルガノポリシロキサンと(A2)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する分岐鎖状のオルガノポリシロキサンの混合物である、請求項1記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項3】
(D)成分が、式:
【化1】

(式中、 R1は炭素原子数3〜12の置換または非置換の飽和二価炭化水素基または不飽和炭素−炭素二重結合もしくは三重結合を有する置換または非置換の二価炭化水素基(ただし、R1が分岐鎖である場合は分岐鎖の分子鎖末端に脂肪族不飽和炭素−炭素結合を有さず、R1が置換基を有する場合は置換基の分子鎖末端に脂肪族不飽和炭素−炭素結合を有しない)であり、R2は炭素原子数1〜10の分子鎖末端に脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基であり、R3は炭素原子数1〜18のアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、nは0,1,または2である。)
で示される酸無水物である、請求項1又は2に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項4】
(D)成分が、式:
【化2】

(式中、R1は炭素原子数3〜12の置換または非置換の飽和二価炭化水素基または不飽和炭素−炭素二重結合もしくは三重結合を有する置換または非置換の二価炭化水素基(ただし、R1が分岐鎖である場合は分岐鎖の分子鎖末端に脂肪族不飽和炭素−炭素結合を有さず、R1が置換基を有する場合は置換基の分子鎖末端に脂肪族不飽和炭素−炭素結合を有しない)であり、R2は炭素原子数1〜10の分子鎖末端に脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基であり、R3は炭素原子数1〜18のアルキル基またはアルコキシアルキル基であり、R4は炭素原子数1〜12の置換または非置換の二価炭化水素基(ただし、R4が分岐鎖である場合は分岐鎖の分子鎖末端に脂肪族不飽和炭素−炭素結合を有さず、R4が置換基を有する場合は置換基の分子鎖末端に脂肪族不飽和炭素−炭素結合を有しない)であり、R5はそれぞれ独立に、炭素原子数が1〜10の分子鎖末端に脂肪族不飽和結合を有しない一価炭化水素基であり、mは0〜20の整数であり、nは0、1、または2である。)で示される酸無水物である、請求項1又は2に記載の硬化性シリコーン組成物。
【請求項5】
さらに、(E)オルガノトリアルコキシシランを含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の硬化性シリコーン組成物。

【公開番号】特開2011−137103(P2011−137103A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298663(P2009−298663)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【Fターム(参考)】