説明

硬化性作用基で表面修飾されたカーボンナノチューブを用いたパターン薄膜形成方法および高分子複合体の製造方法

【課題】オキシラン基又はアンハイドライド基をカーボンナノチューブの表面に化学的方法で導入し、このように表面修飾されたカーボンナノチューブの光硬化によってパターン薄膜を形成し、或いは熱硬化によってカーボンナノチューブの高分子複合体を製造する方法を提供する。
【解決手段】カーボンナノチューブの表面に陽イオン重合に参加することが可能なオキシラン基又はアンハイドライド基を導入し、前記カーボンナノチューブを光酸発生剤又は光塩基発生剤と共に有機溶媒に分散させ、基材上にコーティングした後、フォトマスクを介してUVに露光させ、露光部でカーボンナノチューブの陽イオン重合を誘発した後、非露光部を現像液で除去することにより、カーボンナノチューブのネガティブパターンを形成する。また、カーボンナノチューブを熱硬化剤と共に有機溶媒に分散させ、基材上にコーティングした後、熱硬化させてカーボンナノチューブ高分子複合体を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性作用基が導入されたカーボンナノチューブを用いて、カーボンナノチューブからなるパターン薄膜または高分子複合体を製造する方法、ならびにそれらの方法によって得られるネガティブパターンおよびカーボンナノチューブ高分子複合体に関する。より詳細には、表面に、オキシラン基、アンハイドライド基等の硬化性作用基を有するカーボンナノチューブを用いて、前記硬化性作用基の光反応を利用するフォトリソグラフィ法によってカーボンナノチューブからなるネガティブパターンを形成する方法、あるいは熱硬化によって相互貫入高分子網目構造(IPN:Interpenetrating Polymer Network)を有するカーボンナノチューブ高分子複合体を製造する方法、ならびにそれらの方法によって得られるネガティブパターンおよびカーボンナノチューブ高分子複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブは、1991年、日本の名城大学の飯島澄男博士によって電子顕微鏡観察中に発見されて以来、多くの研究が行われてきた。典型的なカーボンナノチューブは、黒鉛面を丸く巻いた中空円筒状の構造を有し、1〜20nmの直径を有する。黒鉛は、結合配列が独特であって丈夫で平坦な六角形板状層構造を有するが、この板状層の上部および下部は自由電子で満たされており、電子は離散状態で板状層に対して平行な方向に運動する。このような黒鉛層が螺旋状に巻かれながらカーボンナノチューブを形成するので、相異なる地点でエッジの結合が行われる。そのため、カーボンナノチューブの電気的特性が構造と直径によって大きく変化することが非特許文献1および非特許文献2に報告されている。すなわち、カーボンナノチューブの電気的特性が、構造と直径との差によって絶縁体から半導体、さらには金属性まで表わすという事実が報告されている。カーボンナノチューブの螺旋構造またはキラリティー(chirality)を変更すると、自由電子の運動方式が変わり、その結果、自由電子の運動が金属物質中でのように完全に自由になったり、それとも半導体中でのようにバリア(barrier)を克服しなければならない。バリアの大きさは、チューブの直径によって決定され、チューブの直径が最も小さい場合には1eVも可能であることが知られている。カーボンナノチューブは、このように力学的堅固性と化学的安定性に優れ、半導体と導体の性質を両方とも呈することができ、直径が小さくて長さが長く、中空円筒状の形態を有する等の特性のため、フラットパネル表示素子、トランジスタ、エネルギー貯蔵体、ナノサイズの電子素子などの素材として有用である。
【0003】
最近、カーボンナノチューブを基材上に配列する方法として、中国の北京大学のZhongfan Liuなどによって、金の基材上にカーボンナノチューブの末端を硫黄で置換して配列する方法が報告された(非特許文献3)。その他、リソグラフィを用いる技術としては、米国Rice大学のSmalleyなどは、シリコン基板上にトリメチルシリル基の自己組織化単分子膜(Self Assembly Monolayer)を形成し、その後、電子ビームを用いてパターニングを行い、そのパターンにアミン基を吸着させた後、ここにカーボンナノチューブをさらに吸着させる例(非特許文献4)がある。ところが、このような従来の技術では、自己組織化単分子膜が周辺の環境変化に弱いという問題が、克服すべき課題として指摘されている。
【0004】
一方、カーボンナノチューブを用いて高分子複合体を形成する技術としては、ポリビニルアルコールにカーボンナノチューブを10〜100質量%混合してカーボンナノチューブと高分子の複合体を得る技術が知られている。このカーボンナノチューブ高分子複合体の熱的特性は、カーボンナノチューブの添加量に応じて増加すると報告された例(非特許文献5)がある。ところが、高分子とカーボンナノチューブの単純ブレンディングのみでは、界面における接着力が良くないため、別途の界面活性剤を選定して使用しなければならないという問題があり、実際にエポキシ樹脂とカーボンナノチューブとの界面接着力を向上させるために界面活性剤を使用した例が報告されている(非特許文献6)。
【非特許文献1】Saito. et. al.; Phys.Rev. B46, 1804(1992)
【非特許文献2】Hamada et. al.; Phys.Rev.Lett.68, 1579(1992)
【非特許文献3】Zhongfan Liu et.Lanmuir(2000) 16:3569
【非特許文献4】Smalley et. Chemical Physics Letters(1999) 303:125
【非特許文献5】Windle et. al.; Adv. Mater. (1992) 11:937
【非特許文献6】Zhongfan Liu et. al.; Chem. Mater. (2000) 12:1049
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる従来の技術の問題点を解決するためのもので、その目的は、オキシラン基またはアンハイドライド基をカーボンナノチューブの表面に化学的方法で導入し、このように表面修飾(surface−modified)されたカーボンナノチューブの光硬化によってパターン薄膜を形成し、あるいは熱硬化によってカーボンナノチューブの高分子複合体を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、陽イオン重合性のオキシラン基またはアンハイドライド基を硬化性作用基としてカーボンナノチューブの表面に導入することにより、光酸発生剤(Photoacid generator)または光塩基発生剤(Photobase generator)の存在下に紫外線(UV)照射によって前記硬化性作用基の間の陽イオン重合によって架橋結合が形成されて不溶性カーボンナノチューブ層を形成し、あるいは熱強化剤を用いてカーボンナノチューブの表面において熱硬化を進行させ、相互貫入高分子網目構造を形成することに成功し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の一側面は、次の工程を含むカーボンナノチューブのネガティブパターン形成方法である:
(a)下記化学式1で表わされるオキシラン基で表面修飾されたカーボンナノチューブ及び/又は下記化学式2〜7のいずれか一つで表わされるアンハイドライド基で表面修飾されたカーボンナノチューブを、光酸発生剤及び/又は光塩基発生剤と共に有機溶媒に分散させてコーティング液を製造する工程、
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、Rは炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。)
【0010】
【化2】

【0011】
(b)前記コーティング液を基材の表面に塗布し、予備乾燥させて溶媒を揮発させることにより、フィルムを形成させる工程、
(c)前記フィルムを所望のパターンのフォトマスクを介して紫外線で露光させ、露光部において前記カーボンナノチューブの光重合反応を誘発する工程、
(d)前記露光したフィルムを有機現像液で現像することにより、前記フィルムの非露光部を除去してカーボンナノチューブのネガティブパターンを得る工程。
【0012】
本発明の他の側面は、次の工程を含むカーボンナノチューブ高分子複合体の製造方法である:
(a)下記化学式1で表わされるオキシラン基で表面修飾されたカーボンナノチューブ及び/又は下記化学式2〜7のいずれか一つで表わされるアンハイドライド基で表面修飾されたカーボンナノチューブを、1種以上の熱硬化剤と共に有機溶媒に分散させてコーティング液を製造する工程、
【0013】
【化3】

【0014】
(式中、Rは炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。)
【0015】
【化4】

【0016】
(b)前記コーティング液を基材の表面に塗布し、熱硬化させてカーボンナノチューブ高分子複合体を得る工程。
【0017】
本発明のさらに他の側面は、前記方法により製造されたカーボンナノチューブのネガティブパターンである。
【0018】
本発明のさらに他の側面は、前記方法により製造されたカーボンナノチューブ高分子複合体である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の方法によれば、既存のフォトリソグラフィ法によって様々な材質の基材上にカーボンナノチューブからなるパターンを容易に形成することができ、カーボンナノチューブ自体のみであるいは他の高分子と共に、硬化物性が向上したカーボンナノチューブ高分子複合体を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の表面修飾されたカーボンナノチューブについてより詳細に説明する。
【0021】
本発明において、「オキシラン基」とは、下記化学式1で表わされる構造を有する作用基を意味する。
【0022】
【化5】

【0023】
一方、本発明において、「アンハイドライド基」とは、下記化学式2〜7で表わされる構造を有する任意の作用基を意味する。
【0024】
【化6】

【0025】
(式中、Rは炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。)
【0026】
【化7】

【0027】
本発明において、前記オキシラン基またはアンハイドライド基をカーボンナノチューブの表面に導入するためには、カーボンナノチューブの表面のカルボキシル化を先行して行わなければならない。カーボンナノチューブの表面をカルボキシル化する方法は、当業界に公知になっており、特に限定されるものではない。例えば、次のように行うことができる。まず、カーボンナノチューブを、硝酸:硫酸=7:3(v/v)の混合酸溶液入りのソニケータで24時間還流させる。この溶液を0.2μmのポリカボネートフィルタで濾過した後、得られる濾過物をさらに硝酸に浸して90℃で45時間還流させ、その後、約12,000rpmで遠心分離する。遠心分離後、上澄層を回収して0.1μmのポリカーボネートフィルタで濾過した後、その濾過物を完全に乾燥させて、表面がカルボキシル化されたカーボンナノチューブが得られる。そして、乾燥した濾過物を蒸留水またはジメチルホルムアミド(Dimethylformamide,DMF)中に分散させた後、再び0.1μmのポリカーボネートフィルタで濾過して、一定サイズの表面がカルボキシル化されたカーボンナノチューブのみを選別する。
【0028】
次に、下記の過程を経て、本発明のオキシラン基またはアンハイドライド基で表面修飾されたカーボンナノチューブが得られる。
【0029】
(a)まず、カルボキシル化されたカーボンナノチューブを、DMF、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(4−Hydroxy−4−methyl−2−pentanone)、エチレングリコールモノエチルエーテル(Ethylene glycol monoethyl ether)、2−メトキシエタノール(2−Methoxyethanol)などの有機溶媒に添加し、超音波処理(ultrasonication)によってカーボンナノチューブ粒子を均一に分散させる。
【0030】
(b)その後、オキシラン基またはアンハイドライド基の導入を容易にするための目的で、カーボンナノチューブの表面にあるカルボキシ基のヒドロキシ末端をクロリンで置換するため、前記分散液にチオニルクロライドを添加して60〜80℃で20〜30時間十分撹拌する。
【0031】
(c)反応終了後、反応混合物を無水THFで希釈した後、遠心分離して茶色の浮遊溶液を注ぎ捨てる。その後、沈澱物のみを再び無水THFで数回洗浄して精製した後、残っている黒色の固体を室温で減圧乾燥させ、クロリンの置換されたカーボンナノチューブを得る。
【0032】
(d)次に、前記クロリン置換カーボンナノチューブを、クロロホルム、ジメチルホルムアミドなどの有機溶媒に分散させた後、
(d−1)ピリジンのような塩基触媒の存在下に、グリシドールのようなオキシラン化合物と30〜60時間還流反応させることにより、オキシラン基が表面に導入されたカーボンナノチューブを得る。
【0033】
あるいは
(d−2)分子の一端にヒドロキシ基を有するジメチルエステル誘導体と反応させ、ジメチルエステル基で置換されたカーボンナノチューブを先に得た後、前記ジメチルエステル基で置換されたカーボンナノチューブを水酸化ナトリウムの存在下に水と反応させてジカルボン酸を生成し、その後、縮合反応を行い、最終的にアンハイドライド基が表面に導入されたカーボンナノチューブを得る。
【0034】
(e)反応終了後、未反応物はメタノールまたは適当な溶媒で数回洗浄して除去する。
【0035】
このとき、カーボンナノチューブの表面に置換された作用基の存在は、ラマンスペクトルで容易に確認することができる。
【0036】
本発明に用いられるカーボンナノチューブは、本発明の目的を阻害しない限り、特に制限されず、市販の製品を使用することができる。例えば、通常のアーク放電法、レーザアブレーション(Laser ablation)法、高温フィラメントプラズマCVD法、マイクロ波プラズマCVD法、熱CVD法または熱分解法で製造されたものの中から選択することができる。但し、前記の方法で合成されたカーボンナノチューブには、副産物の非晶質炭素、フラーレンなどの炭素含有物質とチューブの成長のための触媒として用いられる遷移金属などが含まれているため、これを除去するための別途の精製工程が必要である。
【0037】
カーボンナノチューブの精製方法も当業界に公知であり、特に制限されない。例えば、次の方法によって行うことができる。まず、カーボンナノチューブを100℃の蒸留水中で8〜24時間、好ましくは12時間還流させた後濾過し、得られる濾過物を完全に乾燥させ、次に、乾燥して得られる粉末をトルエンで洗浄して前記炭素含有物質を除去する。さらに、これから得られた煤物質(soot)を470℃で20〜30分間、好ましくは20分間加熱し、最後に6Mの塩酸で洗浄して全ての金属性汚染物を除去することにより、純粋なカーボンナノチューブを得ることができる。また、このような方法以外にも、本発明の目的を阻害しない限り、他の精製方法を使用することも可能である。
【0038】
次に、本発明のカーボンナノチューブを光硬化させてネガティブパターンを形成する方法と熱硬化させて高分子複合体を得る方法についてより詳細に説明する。
【0039】
本発明において、光硬化によるパターン薄膜の形成に使用されるコーティング液は、本発明のオキシラン基で表面修飾されたカーボンナノチューブおよび/またはアンハイドライド基で表面修飾されたカーボンナノチューブと、光硬化剤としての1種以上の光酸発生剤または光塩基発生剤を有機溶媒に分散させて製造される。また、熱硬化による高分子複合体の製造に使用されるコーティング液は、前記表面修飾されたカーボンナノチューブと1種以上の熱硬化剤を有機溶媒に分散させて製造される。
【0040】
本発明に使用される光酸発生剤は、下記化学式8ないし18で表わされる構造を有するオニウム(onium)性光酸発生剤、下記化学式19で表わされる構造を有するヒドロキシ基含有芳香族スルホン酸のジフェニルヨードニウム塩類のイオン性光酸発生剤、下記化学式20で表わされる構造を有するDNQ(diazonaphthoquinone)類の光酸発生剤、および下記化学式21で表わされる構造を有するニトロベンジルスルホン酸類の非イオン性光酸発生剤からなる群より選ばれるものである。
【0041】
【化8】

【0042】
式中、RおよびRはそれぞれ独立的に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状アルキル基であり、Zはスルホニル(sulfonyl)基またはカルボニル(carbonyl)基である。
【0043】
前記化学式8の構造を有する化合物の好ましい例としては、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1−メチルエチルスルホニル)メタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−シクロヘキシルカルボニルジアゾメタン、1−ジアゾ−1−シクロヘキシルスルホニル−3,3’−ジメチル−2−ブタノン、1−ジアゾ−1−メチルスルホニル−4−フェニル−2−ブタノン、1−ジアゾ−1−(1,1−ジメチルエチルスルホニル)−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−アセチル−1−(1−メチルエチルスルホニル)ジアゾメタンなどがある。
【0044】
【化9】

【0045】
式中、RおよびRはそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状アルキル基、または炭素数1〜12のフェニルアルキル基であり、前記RおよびRの少なくとも一つの水素原子はハロゲン原子で置換させられる。
【0046】
前記化学式9で表わされる構造を有する化合物の好ましい例としては、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニル−p−トルエンスルホニルジアゾメタン、1−ジアゾ−1−(p−トルエンスルホニル)−3,3−ジメチル−2−ブタノン、ビス(p−クロロベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、シクロヘキシルスルホニル−p−トルエンスルホニルジアゾメタンなどがある。
【0047】
【化10】

【0048】
式中、RおよびRはそれぞれ独立的に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数1〜12のフェニルアルキル基、フェニル基、またはトリル(tolyl)基である。
【0049】
前記化学式10で表わされる構造を有する化合物の好ましい例としては、1−シクロヘキシルスルホニル−1−シクロヘキシルカルボニルジアゾメタン、1−p−トルエンスルホニル−1−シクロヘキシルカルボニルジアゾメタン、1−ジアゾ−1−(p−トルエンスルホニル)−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−ジアゾ−1−ベンゼンスルホニル−3,3−ジメチル−2−ブタノン、1−ジアゾ−1−(p−トルエンスルホニル)−3−メチル−2−ブタノンなどがある。
【0050】
【化11】

【0051】
式中、R、RおよびRは、それぞれ独立的に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状アルキル基、炭素数1〜12のフェニルアルキル基、またはフェニル基であり、前記RないしRの少なくとも一つが有する水素原子は、ハロゲン原子、ニトロ基またはチエニル基で置換されていてもよい。
【0052】
前記化学式11で表わされる構造を有する化合物の好ましい例としては、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(2,2,2−トリフルオロエタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(2−クロロエタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−トリフルオロベンゼンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−ニトロベンゼンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−フルオロベンゼンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(p−トリフルオロメチルオキシベンゼンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(2,2,2−トリフルオロエタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,4−トリス(2−チエニルスルホニルオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(2,2,2−トリフルオロエタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(p−ニトロベンゼンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゼンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(p−フルオロベンゼンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(2−クロロエタンスルホニルオキシ)ベンゼンなどがある。
【0053】
【化12】

【0054】
式中、R10ないしR13は、それぞれ独立的に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数1〜12のフェニルアルキル基、またはフェニル基であり、前記R10ないしR13の少なくとも一つが有する水素原子はハロゲン原子、ニトロ基またはチエニル基で置換されていてもよい。
【0055】
前記化学式12で表わされる構造を有する化合物の好ましい例としては、2,3,4−トリス(p−フルオロベンゼンスルホニルオキシ)ベンゾフェノン、2,3,4−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゾフェノン、2,3,4−トリス(2−クロロエタンスルホニルオキシ)ベンゾフェノン、2,3,4−トリス(p−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ベンゾフェノン、2,3,4−トリス(p−ニトロベンゼンスルホニルオキシ)ベンゾフェノン、2,3,4−トリス(p−フルオロベンゼンスルホニルオキシ)アセトフェノン、2,3,4−トリス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゼンスルホニルオキシ)アセトフェノン、2,3,4−トリス(2−ニトロベンゼンスルホニルオキシ)アセトフェノン、2,3,4−トリス(2,5−ジクロロベンゼンスルホニルオキシ)アセトフェノン、2,3,4−トリス(2,3,4−トリクロロベンゼンスルホニルオキシ)アセトフェノン、2,2’,4、4’−テトラ(メタンスルホニルオキシ)ベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラ(2,2,2−トリフルオロエタンスルホニルオキシ)ベンゾフェノン、2,2’,4,4’−トラ(2−クロロエタンスルホニルオキシ)ベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラ(2−クロロエタンスルホニルオキシ)ベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラ(2,5−ジクロロベンゼンスルホニルオキシ)ベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラ(2,4,6−トリメチルベンゼンスルホニルオキシ)ベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラ(m−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ベンゾフェノンなどがある。
【0056】
【化13】

【0057】
式中、R14、R15およびR16は、それぞれ独立的に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数1〜12のフェニルアルキル基、またはフェニル基であり、前記R14ないしR16の少なくとも一つが有する水素原子はハロゲン原子、ニトロ基またはチエニル基で置換されていてもよく、Xはメタンスルホネート(methanesulfonate)、トリフルオロメタンスルホネート(trifluoromethanesulfonate)、p−トルエンスルホネート(p−toluenesulfonate)、10−カンファースルホネート(10−camphorsulfonate)、シクロヘキサンスルファマート(cyclohexanesulfamate)、パーフルオロ−1−ブタンスルホネート(perfluoro−1−butanesulfonate)、Cl、Br、SbF、BF、PFまたはAsFである。
【0058】
前記化学式13で表わされる構造を有する化合物の好ましい例としては、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロオクタンスルホネート、ジフェニル−p−トリルスルホニウムパーフルオロオクタンスルホネート、トリス(p−トリル)スルホニウムパーフルオロオクタンスルホネート、トリス(p−クロロベンゼン)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリス(p−トリル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジメチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジメチルトリルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジメチルトリルスルホニウムパーフルオロオクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムn−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム1−ナフタレンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ナフタレンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウム2,5−ジクロロベンゼンスルホネート、ジフェニルトリルスルホニウム1,3,4−トリクロロベンゼンスルホネート、ジメチルトリルスルホニウムp−トルエンスルホネートトルエンスルホネート、ジフェニルトリルスルホニウム2,5−ジクロロベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムクロライド、トリフェニルスルホニウムブロマイド、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、トリフェニルスルホニウムヘキサタフルオロアルセナートなどがある。
【0059】
【化14】

【0060】
式中、Xはメタンスルホネート(methanesulfonate)、トリフルオロメタンスルホネート(trifluoromethanesulfonate)、p−トルエンスルホネート(p−toluenesulfonate)、10−カンファースルホネート(10−camphorsulfonate)、シクロヘキサンスルファマート(cyclohexanesulfamate)、パーフルオロ−1−ブタンスルホネート(perfluoro−1−butanesulfonate)、Cl、Br、SbF、BF、PFまたはAsFであり、DおよびDは、それぞれ独立的に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、またはビニルオキシメチル基である。
【0061】
【化15】

【0062】
式中、R17は炭素数1〜10のアルキル基であり、MXnはBF、PF、AsF―またはSbFである。
【0063】
【化16】

【0064】
式中、MXnはPFまたはSbFである。
【0065】
【化17】

【0066】
式中、R18ないしR21はそれぞれ独立的に炭素数1〜10のアルキル基であり、MXnはPFまたはSbFである。
【0067】
【化18】

【0068】
式中、R22、R23およびR24は、それぞれ独立的に炭素数1〜12のアルキル基あるいはアルコキシ基、またはヒドロキシ基であり、Ar、ArおよびArは、それぞれ独立的にフェニル基、ナフタレン基、またはアントラセンである。
【0069】
【化19】

【0070】
式中、QおよびQは、それぞれ独立的に炭素数1〜12のアルキル基またはアリール基であり、gおよびhはそれぞれ独立的に1以上の整数である。
【0071】
【化20】

【0072】
式中、R25は、炭素数1〜12のアルキルおよびアリール基であって、異種原子を含んでいてもよく、jは1〜3の整数である。
【0073】
上述した化学式(8)ないし(21)で表わされる構造を有する光酸発生剤以外にも、本発明においては、分子量500〜1,000,000の高分子化合物であって、主鎖または側鎖にスルホニウム塩またはヨードニウム塩を有し、あるいは側鎖に有機光酸発生基を有することにより、光によって酸を発生させる高分子形態の光酸発生剤を使用することもできる。
【0074】
本発明では、光酸発生剤の代りに光塩基発生剤を使用することもできる。用いられる光塩基発生剤は、下記化学式22で表わされる構造を有する。
【0075】
【化21】

【0076】
式中、3つのR26は、それぞれ独立的にメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基であり、XはBrまたはIである。
【0077】
前記化学式22で表わされる構造を有する化合物の好ましい例としては、トリメチルベンズヒドリルアンモニウムアイオダイド(Trimethylbenzhydrylammonium Iodide)、トリメチルベンズヒドリルアンモニウムトリフラート(Trimethylbenzhydrylammonium triflate)、トリメチルフルオレニルアンモニウムアイオダイド(Trimethylfluorenylammonium Iodide)などがある。
【0078】
また、本発明では、前記光酸発生剤と光塩基発生剤の光反応性をより広い領域のUV波長帯で確保するために、選択的に光増感剤として、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン(2−ethyl−9,10−dimethoxyanthracene)、9,10−ジクロロアントラセン(9,10−dichloroanthracene)、1−クロロアントラセン(1−chloroanthracene)、2−メチルアントラセン(2−methylanthracene)、9−メチルアントラセン(9−methylanthracene)、2−t−ブチルアントラセン(2−t−butylanthracene)、アントラセン(anthracene)、1,2−ベンズアントラセン(1,2−benzanthracene)、1,2,3,4−ジベンズアントラセン(1,2,3,4−dibenzanthracene)、1,2,5,6−ジベンズアントラセン(1,2,5,6−dibenzanthracene)、1,2,7,8−ジベンズアントラセン(1,2,7,8−dibenzanthracene)、9,10−ジメトキシジメチルアントラセン(9,10−dimethoxydimethylanthracene)、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン(2−ethyl−9,10−dimethoxyanthracene)、N−メチルフェノチアジン(N−methylphenothiazine)、イソプロピルチオキサントン(isopropylthioxanthone)などを使用することもできる。
【0079】
一方、熱硬化用コーティング液に用いられる熱硬化剤としては、アミン類、アンハイドライド類、イミダゾール類、アリールフェノール類、ポリメタクリル酸等のカルボン酸類、ポリアミド−アミン樹脂、ポリアミド樹脂、ボロントリフルオライド(boron trifluoride)、トリス(β−メチルグリシジル)イソシアヌレート、ビス(β−メチルグリシジル)テレフタレート、p−フェノールスルホン酸などを使用することができる。
【0080】
アミン類は、非芳香族と芳香族に区分されるが、好ましい非芳香族アミン系熱硬化剤の例としては、1,3−ジアミノプロパン(1,3−diaminopropane)、1,4−ジアミノブタン(1,4−diaminobutane)、エチレンジアミン(ethylenediamine)、ジエチルアミノプロピルアミン(diethylaminopropylamine)、ジメチルアミン(dimethylamine)、トリメチルヘキサメチレンジアミン(trimethylhexamethylenediamine)、ジエチレントリアミン(diethylene triamine)、トリエチレンテトラミン(triethylene tetramine)、ジエチルアミノプロピルアミン(diethylamino propylamine)、メンタンジアミン(menthane diamine)、1,1−ジメチルヒドラジン(1,1−dimethylhydrazine)、N−(3−アミノプロピル)1,3−プロパンジアミン(N−(3−aminopropyl)1,3−propanediamine)、スペルミジン(spermidine)、スペルミン(spermine)、3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン(3,3’−diamino−N−methyldipropylamine)、シクロプロピルアミン(cyclopropylamine)、シクロペンチルアミン(cyclopentylamine)、シクロヘキシルアミン(cyclohexylamine)、シクロオクチルアミン(cyclooctylamine)、シクロドデシルアミン(cyclododecylamine)、エキソ−2−アミノボラン(exo−2−aminobornane)、1−アダマンタンアミン(1−adamantanamine)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)(4,4’−methylenbis(cyclohexylamine))、イソホロンジアミン(isophorone diamine)、エタノールアミン(ethanolamine)、2−ヒドロキシエチルヒドラジン(2−hydroxyethylhydrazine)、3−アミノ−1−プロパノール(3−amino−1−propanol)、5−アミノ−1−ペンタノール(5−amino−1−pentanol)、セリノール(serinol)、2−(2−アミノエチルアミノ)−エタノール(2−(2−aminoethylamino)−ethanol)、3−ピロリジノール(3−pyrrolidinol)、ピペリジン(piperidine)、ヘキサメチレンイミン(hexamethyleneimine)、ピペラジン(piperazine)、N−アミノエチルピペラジン(N−aminoethylpiperazine)および1,4,7−トリアザシクロノナン(1,4,7−triazacyclononane)などが挙げられる。
【0081】
好ましい芳香族アミン系熱硬化剤の例としては、ベンジルジメチルアミン(benzyl dimethyl amine)、アニリン(aniline)、4,4’−ジメチルアニリン(4,4’−dimethyl aniline)、ジフェニルアミン(diphenylamine)、N−フェニルベンジルアミン(N−phenylbenzylamine)、メタフェニレンジアミン(meta phenylene diamine)、メタキシリレンジアミン(metaxylylene diamine)、パラキシレンジアミン(paraxylene diamine)、2−アミノフェノール(2−aminophenol)、3−フルオロアニリン(3−fluoroaniline)、4,4’−エチレンジアニリン(4,4’−ethylenedianiline)、アルキルアニリン(alkylaniline)、4−シクロヘキシルアニリン(4−cyclohexylaniline)、3,3−メチレンジアニリン(3,3−methylenedianiline)、4,4’−メチレンジアニリン(4,4’−methylenedianiline)、4−クロロアニリン(4−chloroaniline)、4−ブトキシアニリン(4−butoxyaniline)、4−ペンチルオキシアニリン(4−pentyloxyaniline)、4−ヘキシルオキシアニリン(4−hexyloxyaniline)、4,4’−オキシジアニリン(4,4’−oxydianiline)、4”、4’’’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ビス(4−フェノキシアニリン)(4”,4’’’−(hexafluoroisopropylidene)−bis(4−phenoxyaniline))、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン(N,N−diglycidyl−4−glycidyloxyaniline)、4−アミノフェノール(4−aminophenol)、4、4’−チオジアニリン(4,4’−thiodianiline)、4−アミノフェネチルアルコール(4−aminophenethy alcohol)、2,2−ジメチルアニリン(2,2−dimethylaniline)、4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)アニリン(4−fluoro−2−(trifluoromethyl(aniline)、4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)アニリン(4−fluoro−3−(trifluoromethyl)aniline)、5,5’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ジ−0−トルイジン(5,5’−(hexafluoroisopropylidene)−di−0−toluidine)、4’−アミノベンゾ−15−クラウン−5,1,4−フェニレンジアミン(4’−aminobenzo−15−crown−5,1,4−phenylendiamine)、2−アミノビフェニル(2−aminobiphenyl)、4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)(4,4’−methylenbis(N,N−diglycidylaniline))、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ジアニリン(4,4’−(hexafluoroisopropylidene)−dianiline)、4−フェノキシアニリン(4−phenoxyaniline)、3,3’−ジメトキシベンジジン(3,3’−dimethoxybenzidine)、2−アミノナフタレン(2−aminonaphthalene)、2,3−ジアミノナフタレン(2,3−diaminonaphthalane)、1,8−ジアミノナフタレン(1−8−diaminonaphthalene)、1−アミノアントラセン(1−aminoanthracene)、2−アミノアントラセン(2−aminoanthracene)、9−アミノフェナントレン(9−aminophenanthrene)、9,10−ジアミノフェナントレン(9,10−diaminophenanthrene)、3−アミノフルオロアンテン(3−aminofluoroanthene)、1−アミノピレン(1−aminopyrne)、6−アミノクリセン(6−aminochrysene)、フェニルヒドラジン(phenylhydrazine)、1,2−ジフェニルヒドラジン(1,2−diphenylhydrazine)、4−(トリフルオロメチル)−フェニルヒドラジン(4−(trifluoromethyl)−phenylhydrazine)、2,3,5,6−(テトラフルオロフェニルヒドラジン(2,3,5,6−tetrafluorophenylhydrazine)、ジベンジルアミン(dibenzylamine)、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン(N,N’−dibenzylethylenediamine)、N−ベンジル−2−フェネチルアミン(N−benzyl−2−phenethylamine)、1−アミノインダン(1−aminoindan)、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチルアミン(1,2,3,4−tetrahydro−1−naphthylamine)、2−メチルベンジルアミン(2−methylbenzylamine)、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミン(3,5−bis(trifluoromethyl)benzylamine)、3,4,5−トリメトキシベンジルアミン(3,4,5−trimethyoxybenzylamine)、インドリン(indoline)、3−アミノ−1,2,4−トリアジン(3−amino−1,2,4−triazine)、2−クロロ−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン(2−chloro−4,6−diamino−1,3,5−triazine)、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン(2,4−diamino−6−methyl−1,3,5−triazine)、2,4,6−トリアミノピリミジン(2,4,6−triaminopyrimidine)、2,4,5,6−テトラアミノピリミジンサルフェート(2,4,5,6−tetraaminopyrimidine sulfate)、ジアミノジフェニルスルホン(diamino diphenyl sulfone)、トリス(ジメチル−アミノメチル)フェノール(tris(dimethyl−aminomethyl)phenol)、およびジメチルアミノメチルフェノール(dimethyl aminomethyl phenol)などが挙げられる。
【0082】
好ましいアンハイドライド系熱硬化剤の例には、こはく酸無水物(succinic anhydride)、ペンテニルこはく酸無水物(pentenyl succinic anhydride)、ヘキセニルこはく酸無水物(hexenyl succinic anhydride)、オクテニルこはく酸無水物(octenyl succinic anhydride)、ドデセニルこはく酸無水物(dodecenyl succinic anhydride)、オクタデセニルこはく酸無水物(octadecenyl succinic anhydride)、ポリイソブテニルこはく酸無水物(polyisobutenyl succinic anhydride)、マレイン酸無水物(maleic anhydride)、グルタル酸無水物(glutaric anhydride)、シス−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物(cis−1,2−cyclohexanedicarbocylic anhydride)、フェニルマレイン酸無水物(phenylmaleic anhydride)、フタル酸無水物(phthalic anhydride)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)−ジフタル酸無水物(4,4’−(hexafluoroisopropylidene)−diphthalic anhydride)、4−メチルフタル酸無水物(4−methylphthalic anhydride)、3,6−ジフルオロフタル酸無水物(3,6−difluorophthalic anhydride)、3,6−ジクロロフタル酸無水物(3,6−dichlorophthalic anhydride)、4,5−ジクロロフタル酸無水物(4,5−dichlorophthalic anhydride)、テトラフルオロフタル酸無水物(tetrafluorophthalic anhydride)、テトラクロロフタル酸無水物(tetrachlorophthalic anhydride)、テトラブロモフタル酸無水物(tetrabromophthalic anhydride)、3−ヒドロキシフタル酸無水物(3−hydroxyphthalic anhydride)、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物(1,2,4−benzenetricarboxylic anhydride)、3−ニトロフタル酸無水物(3−nitrophthalic anhydride)、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物(1,2,4,5−benzenetetracarboxylic dianhydride)、ジフェニック酸無水物(diphenic anhydride)、1,8−ナフタル酸無水物(1,8−naphthalic anhydride)、4−クロロ−1,8−ナフタル酸無水物(4−chloro−1,8−naphathalic anhydride)、4−ブロモ−1,8−ナフタル酸無水物(4−bromo−1,8−naphthalic anhydride)、4−アミノ−1,8−ナフタル酸無水物(4−amino−1,8−naphthalic anhydride)、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(1,4,5,8−naphthalenetetracarboxylic dianhydride)、および3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(3,4,9,10−perylenetetracarboxylic dianhydride)などが含まれる。
【0083】
好ましいイミダゾール系熱硬化剤の例には、イミダゾール(imidazole)、1−メチルイミダゾール(1−methylimidazole)、2−メチルイミダゾール(2−methylimidazole)、4−メチルイミダゾール(4−methylimidazole)、2−エチルイミダゾール(2−ethylimidazole)、2−プロピルイミダゾール(2−propylimidazole)、2−イソプロピルイミダゾール(2−isopropylimidazole)、1−ブチルイミダゾール(1−butylimidazole)、2−ウンデシルイミダゾール(2−undecylimidazole)、1,2−ジメチルイミダゾール(1,2−dimethylimidazole)、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2−ethyl−4−methylimidazole)、1−デシル−2−メチルイミダゾール(1−decyl−2−methylimidazole)、1,5−ジシクロヘキシルイミダゾール(1,5−dicyclohexylimidazole)、2,2’−ビス(4,5−ジメチルイミダゾール)(2,2’−bis(4,5−dimethylimidazole))、1−ビニルイミダゾール(1−vinylimidazole)、1−アリルイミダゾール(1−allylimidazole)、5−クロロ−1−メチルイミダゾール(5−chloro−1−methylimidazole)、5−クロロ−1−エチル−2−メチルイミダゾール(5−chloro−1−ethyl−2−methylimidazole)、4,5−ジクロロイミダゾール(4,5−dichloroimidazole)、2,4,5−トリブロモイミダゾール(2,4,5−tribromoimidazole)、2−メルカプトイミダゾール(2−mercaptoimidazole)、2−メルカプト−1−メチルイミダゾール(2−mercapto−1−methylimidazole)、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール(1−(3−aminopropyl(imidazole)、1−フェニルイミダゾール(1−phenylimidazole)、2−フェニルイミダゾール(2−phenylimidazole)、4−フェニルイミダゾール(4−phenylimidazole)、4−(イミダゾール−1−イル)フェノール(4−(imidazol−1−yl)phenol)、1−ベンジルイミダゾール(1−benzylimidazole)、4−メチル−2−フェニルイミダゾール(4−methyl−2−phenylimidazole)、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール(1−benzyl−2−methylimidazole)、4,5−ジフェニルイミダゾール(4,5−diphenylimidazole)、2,4,5−トリフェニルイミダゾール(2,4,5−triphenylimidazole)、1−(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)イミダゾール(1−(2,3,5,6−tetrafluorophenyl)imidazole)、4,5−ジフェニル−2−イミダゾールチオル(4,5−diphenyl−2−imidazolethiol)、ヒスタミン(histamine)、2−ニトロイミダゾール(2−nitroimidazole)、4−ニトロイミダゾール(4−nitroimidazole)、2−メチル−5−ニトロイミダゾール(2−methyl−5−nitroimidazole)、2−イミダゾールカルボキサルデヒド(2−imidazolecarboxaldehyde)、4−メチル−5−イミダゾールカルボキサルデヒド(4−methyl−5−imidazolecarboxaldehyde)、1,1’−カルボニルイミダゾール(1,1’−carbonylimidazole)、1,1’−オキサリルジイミダゾール(1,1’−oxalyldiimidazole)、1,1’−カルボニルビス(2−メチルイミダゾール)(1,1’−carbonylbis(2−methylimidazole))、メチル−イミダゾールカルボキシラート(methyl−imidazolecarboxylate)、1−(tert−ブトキシカルボニル)イミダゾール(1−(tert−butoxycarbonyl)imidazole)、1−トランス−シナモイルイミダゾール(1−trans−cinnamoylimidazole)、1−(2−ナフトイル)イミダゾール(1−(2−naphthoyl)imidazole)、およびエチル−4−メチル−5−イミダゾール−カルボキシラート(ethyl−4−methyl−5−imidazole−carboxylate)などが含まれる。
【0084】
好ましいアリールフェノール系熱硬化剤の例には、m−クレゾール(m−cresol)、o−クレゾール(o−cresol)、p−クレゾール(p−cresol)、2,4−キシレノール(2,4−xylenol)、2,5−キシレノール(2,5−xylenol)、3,4−キシレノール(3,4−xylenol)、3,5−キシレノール(3,5−xylenol)、チモール(thymol)、カテコール(catechol)およびピロガロール(pyrogallol)などが含まれる。
【0085】
好ましいカルボン酸系熱硬化剤の例には、酢酸(acetic acid)、ギ酸(formic acid)、プロピオン酸(propionic acid)、酪酸(butyric acid)、イソ酪酸(isobutyric acid)、吉草酸(valeric acid)、イソ吉草酸(isovaleric acid)、ピバル酸(pivalic acid)およびヘキサン酸(hexanoic acid)などが含まれる。
【0086】
コーティング液の製造に用いられる有機溶媒としては、ネガティブパターン薄膜形成用のコーティング液、高分子複合体の形成用のコーティング液では、共に、混和性、分散性および皮膜形成の容易性を考慮して、DMF、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(4−Hydroxy−4−methyl−2−pentanone)、エチレングリコールモノエチルエーテル(Ethylene glycol monoethyl ether)、2−メトキシエタノール(2−Methoxyethanol)、メトキシプロピルアセテート(Methoxypropylacetate)、エチル−3−エトキシプロピオネート(Ethyl−3−ethoxypropionate)およびシクロヘキサノン(Cyclohexanone)からなる群より選ばれる1種以上を使用することが好ましい。
【0087】
好ましくは、調製したコーティング液中のカーボンナノチューブの濃度は3〜95質量%であり、光酸発生剤または光塩基発生剤は、コーティング液のUV安定性を考慮してカーボンナノチューブ100質量部当たり0.1〜15質量部の割合で添加されることが好ましく、熱硬化剤は貯蔵安定性(port life)を考慮してカーボンナノチューブ100質量部当たり1〜35質量部の割合で添加されることが好ましい。そして、光硬化用コーティング液に光増感剤を添加する場合、その添加量は、カーボンナノチューブ100質量部当たり0.3〜2質量部の割合が最も効果的である。
【0088】
また、本発明では、硬化皮膜に強靭性(toughness)を与えるために、選択的にアミノプロピルトリエトキシシラン(aminopropyltriethoxysilane)、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(phenylaminopropyltrimethoxysilane)、ウレイドプロピルトリエトキシシラン(ureidopropyltriethoxysilane)、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(glycidoxypropyltrimethoxysilane)、イソシアナートプロピルトリエトキシシラン(isocyanatopropyltriethoxysilane)、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート(isopropyltriisostearoyltitanate)およびアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート(acetoalkoxyaluminium diisopropylate)のようなカップリング剤を使用してもよい。カップリング剤を使用する場合、コーティング液への添加量は、カーボンナノチューブ100質量部当たり0.1〜10質量部の割合となる量が最も効果的である。
【0089】
そして、本発明のコーティング液には、カーボンナノチューブに表面修飾された硬化性作用基の種類に関係なく、オキシラン基含有および/またはアンハイドライド基含有モノマー、オリゴマーまたはポリマーを添加してもよい。これらは光または熱による重合過程において本発明の表面修飾されたカーボンナノチューブと架橋反応を起こし、コーティング皮膜に均一性と様々な機能性を与えることができる。このような目的で使用可能なオキシラン基含有樹脂の例を挙げると、エポキシアクリラート誘導体およびグリシジルエーテル基を持っている、商用化されたエポキシ化合物などがある。このような架橋形成性モノマー、オリゴマーまたはポリマーを添加する場合は、カーボンナノチューブ100質量部当たり1〜95質量部、好ましくは3〜60質量部の割合で添加することが好ましい。
【0090】
また、本発明では、高分子バインダーとして、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフタルアミド、ポリエーテルニトリル、ポリベンズイミダゾール、ポリカルボジイミド、ポリシロキサン、ポリメチルメタクリラート、ポリメタクリルアミド、ニトリルゴム、アクリルゴム、ポリエチレンテトラフルオライド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレア樹脂、ポリブテン、ポリペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−ジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ブチルゴム、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、水素添加(hydrogenated)スチレン−ブタジエン共重合体、水素添加ポリイソプレンおよび水素添加ポリブタジエンの中から選ばれる1種以上を用いることができる。高分子バインダーを用いる場合は、カーボンナノチューブ100質量部当たり1〜30質量部の割合でコーティング液中に分散させてコーティングに用いることもできる。
【0091】
しかも、パターン薄膜および高分子複合体の用途に応じて染料(dye)、充填剤(filler)、難燃剤(retarding agent)および湿潤剤(wetting agent)のような各種添加剤を使用することも可能である。
【0092】
調製したコーティング液は、基材上に均一に塗布される。コーティングされる基材の材質は、本発明の目的を阻害しない限り、特に制限されず、ガラス基材、シリコンウェーハ、プラスチック基材などを用途に応じて選択して使用することができる。
【0093】
基材にコーティング液を塗布する方法は、特に制限されず、スピンコーティング(spin coating)、ディップコーティング(dip coating)、スプレーコーティング(spray coating)、フローコーティング(flow coating)、スクリーン印刷(screen printing)などが挙げられる。特に、作業性およびコーティングの均一性の面において最も好ましい塗布方法はスピンコーティングである。スピンコーティングを行う場合、スピン速度は500〜3500rpmの範囲内で調節されることが好ましく、正確なスピン速度はコーティング液の粘度と所望のコーティング厚さによって決定される。
【0094】
コーティング液の塗布が完了した後、光硬化によるネガティブパターン形成の場合、80〜120℃、好ましくは100℃で1〜2分程度予備乾燥(prebaking)を行って有機溶媒を揮発させ、基材上にフィルムを形成させる。次に、所望のパターンが形成されたフォトマスクを介して前記フィルムに紫外線を照射し、選択的に70〜120℃、好ましくは100℃で1〜3分間後硬化(post curing)を行う。紫外線の照射の際、露光量は100〜800mJ/cm程度であることが好ましい。露光過程において、露光部では上述したように光酸発生剤または光塩基発生剤によって生成された酸または塩基が陽イオン重合反応を促進することにより、カーボンナノチューブの表面上に置換されたオキシラン基またはアンハイドライド基が互いに架橋を形成する。その結果、露光部のフィルムは不溶化されて後続の現像工程で現像液によって現像する際、非露光部と比較して著しく減少した溶解速度を示し、結局、このような溶解速度の差異によって露光部のみが基材上に残ることになり、所望のネガティブパターンを形成することができる。
【0095】
前記現像過程に使用される現像液の種類は、本発明の目的を阻害しない限り、特に制限されるものではなく、フォトリソグラフィ分野で常用される任意の有機現像液を使用することが可能である。特に、DMF、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(4−Hydroxy−4−methyl−2−pentanone)、エチレングリコールモノエチルエーテル(Ethylene glycol monoethyl ether)または2−メトキシエタノール(2−Methoxyethanol)を使用することが得られるパターンの皮膜安定性と均一性の面において好ましい。
【0096】
一方、熱硬化による高分子複合体は、コーティング液が塗布された基材を常温で24時間以上放置し、あるいは100〜150℃の高温で15〜40分間熱処理することにより得ることができる。
【実施例】
【0097】
以下、本発明について実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、これらの実施例は本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の保護範囲を制限するものと解釈されてはならない。
【0098】
製造例1:カーボンナノチューブの精製
100mgのカーボンナノチューブ(商品名ILJIN CNT AP−Grade、イルジンナノテック、韓国)を、還流管付き500mlのフラスコ内で50mlの蒸留水を用いて100℃で12時間還流させた。次に、フィルタによって濾過された物質を60℃で12時間乾燥させた後、トルエンで残留フラーレンを洗い出した。残っている煤状の物質をフラスコから回収して470℃の加熱炉で20分間加熱した後、最後に、6Mの塩酸で洗浄することにより、金属成分が全て除去された純粋なカーボンナノチューブを得た。
【0099】
製造例2:カーボンナノチューブの表面へのカルボキシル基の導入
前記製造例1で得られた純粋なカーボンナノチューブを、硝酸:硫酸=7:3(v/v)の混合酸溶液を入れたソニケータで24時間還流させた。得られた溶液を0.2μmのポリカーボネートフィルタで濾過した。次に、濾過物を硝酸に浸漬して90℃で45時間還流させた後、12,000rpmで遠心分離して得た上澄液を0.1μmのポリカーボネートフィルタで濾過し、得られた濾過物を60℃で12時間乾燥させた。乾燥したカーボンナノチューブをDMFに分散させた後、再び0.1μmのポリカーボネートフィルタで濾過して選別した。
【0100】
製造例3:カーボンナノチューブの表面へのアセチルクロライド基の導入
前記製造例2で得られた、表面にカルボキシル基が導入されたカーボンナノチューブ0.03gを、内部が火炎乾燥(flame dry)された2ネックシュレンクフラスコ(2−neck Schrenk flask)内で、窒素雰囲気下、20mlのDMF中で1時間超音波処理して均一に分散させた後、チオニルクロライド20mlを添加し、さらに70℃で24時間程度撹拌して反応させた。反応終了後、反応混合物を無水THFで希釈し、その後、遠心分離して茶色の浮遊溶液を注ぎ捨てた。次に、残っているペレットを、さらに無水THFで3回繰り返し洗浄して精製した。残っている黒色の固体を室温で減圧乾燥させて、表面にアセチルクロライド基が導入されたカーボンナノチューブを得た。
【0101】
製造例4:カーボンナノチューブの表面へのオキシラン基の導入
前記製造例3で得られた、表面にアセチルクロライド基が導入されたカーボンナノチューブ40mgを、クロロホルム20mlに入れて30分間超音波処理して分散させた後、ピリジン4mlとグリシドール1mlを順次添加し、還流条件の下で48時間程度撹拌して反応させた。反応終了後、反応混合物をメタノールで数回洗浄して未反応のグリシドールを除去し、残っている黒色の固体を室温で減圧乾燥させ、表面にグリシジルエーテル基が導入されたカーボンナノチューブを得た。
【0102】
製造例5:カーボンナノチューブの表面へのアンハイドライド基の導入
前記製造例3で得られた、表面にアセチルクロライド基が導入されたカーボンナノチューブ40mgを、ジメチルクロロホルムアミド2mlに入れて超音波処理で分散させた後、ピリジン10mlと4−ヒドロキシフタル酸ジメチルエステル2gを順次添加し、70℃で18時間程度撹拌して反応させた。反応終了後、反応混合物を蒸留水で数回洗浄した。さらに残っている黒色の固体にアセトン20mlと、0.2gの水酸化ナトリウムが溶解している蒸留水10mlを順次添加した後、60℃で18時間程度撹拌して反応させた。反応終了後、希塩酸水溶液、蒸留水およびエチルアセテートで数回洗浄し、室温で減圧乾燥させた。乾燥した固体に酢酸5mlと無水酢酸5mlを加え、125℃で8時間程度反応させた後、メタノールで数回洗浄して未反応物を除去し、室温で減圧乾燥させ、表面にアンハイドライド基が導入されたカーボンナノチューブを得た。
【0103】
実施例1:カーボンナノチューブを用いたネガティブパターン(1)の形成
前記製造例4で得られた、オキシラン基で表面修飾されたカーボンナノチューブを用いて、次の組成で光硬化用コーティング液を製造した。
【0104】
製造例4で得られたカーボンナノチューブ 0.1g
光酸発生剤(トリフェニルスルホニウムペンタフルオロアルセネート) 0.001g
溶媒(DMF) 3g
1時間超音波処理して前記各成分を十分混合した後、得られたコーティング液をシリコンウェーハ上に300rpmでスピンコーティングした。次に、100℃で1分間乾燥させ、コーティングされた表面に残っている溶媒を除去して、コーティングフィルムを得た。このように形成されたコーティングフィルムを、所望のパターンが形成されたフォトマスクを用いて600mJ/cmの露光量でUVに露光させた後、100℃で約2分間後硬化を行った。その後、DMFに20秒間浸漬して現像し、カーボンナノチューブからなるネガティブパターンライン(ライン幅:50μm)を得た。
【0105】
実施例2:カーボンナノチューブを用いたネガティブパターン(2)の形成
前記製造例4で得られた、オキシラン基で表面修飾されたカーボンナノチューブを用いて次の組成で光硬化用コーティング液を製造した。
【0106】
製造例4で得られたカーボンナノチューブ 0.1g
光酸発生剤(トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート)
0.0005g
光酸発生剤(1−ジアゾ−1−ベンゼンスルホニル−3,3−ジメチル−2−ブタノンン) 0.0005g
溶媒(DMF) 2g
溶媒(メトキシプロピルアセテート) 1g
1時間超音波処理して各成分を混合し、得られたコーティング液をシリコンウェーハ上に500rpmでスピンコーティングした。その後、100℃で1分間乾燥させ、コーティングされた表面に残っている溶媒を除去して、コーティングフィルムを得た。このように形成されたコーティングフィルムを、所望のパターンが形成されたフォトマスクを用いて600mJ/cmの露光量でUVに露光させた後、100℃で2分間後硬化を行った。その後、DMFに20秒間浸漬して現像し、カーボンナノチューブからなるネガティブパターンライン(ライン幅:50μm)を得た。
【0107】
実施例3:カーボンナノチューブを用いたネガティブパターン(3)の形成
前記製造例4で得られた、オキシラン基で表面修飾されたカーボンナノチューブを用いて次の組成で光硬化用コーティング液を製造した。
【0108】
製造例4で得られたカーボンナノチューブ 0.01g
高分子バインダー(ポリスチレン、分子量5000) 0.15g
光酸発生剤(トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート)
0.0005g
光酸発生剤(1−ジアゾ−1−ベンゼンスルホニル−3,3−ジメチル−2−ブタノンン) 0.0005g
溶媒(DMF) 1.5g
溶媒(メトキシプロピルアセテート) 1g
溶媒(トルエン) 0.5g
1時間超音波処理して各成分を十分混合して調製されたコーティング液を、シリコンウェーハ上に500rpmでスピンコーティングした。その後、100℃で1分間乾燥させ、コーティングされた表面に残っている溶媒を除去して、コーティングフィルムを得た。このように形成されたコーティングフィルムを、所望のパターンが形成されたフォトマスクを用いて600mJ/cmの露光量でUVに露光させた後、100℃で2分間後硬化を行い、その後、DMFに20秒間浸漬して現像し、カーボンナノチューブのネガティブパターンライン(ライン幅:40μm)を得た。
【0109】
実施例4:カーボンナノチューブを用いたネガティブパターン(4)の形成
前記製造例4で得られた、オキシラン基で表面修飾されたカーボンナノチューブを用いて次の組成で光硬化用コーティング液を製造した。
【0110】
製造例4で得られたカーボンナノチューブ 0.01g
高分子バインダー
(ポリビニルアルコール、分子量6000、加水分解80%) 0.15g
光塩基発生剤(トリメチルベンズヒドリルアンモニウムトリフラート) 0.001g
溶媒(DMF) 1.5g
溶媒(メトキシプロピルアセテート) 1g
1時間超音波処理して各成分を十分混合して調製されたコーティング液を、シリコンウェーハ上に400rpmでスピンコーティングした。その後、100℃で1分間乾燥させ、コーティングされた表面に残っている溶媒を除去して、コーティングフィルムを得た。このように形成されたコーティングフィルムを、所望のパターンが形成されたフォトマスクを用いて600mJ/cmの露光量でUVに露光させた後、100℃で2分間後硬化を行い、その後、DMFに20秒間浸漬して現像し、カーボンナノチューブのネガティブパターンライン(ライン幅:50μm)を得た。
【0111】
実施例5:カーボンナノチューブを用いたネガティブパターン(5)の形成
前記製造例5で得られた、アンハイドライド基で表面修飾されたカーボンナノチューブを用いて次の組成で光硬化用コーティング液を製造した。
【0112】
製造例5で得られたカーボンナノチューブ 0.01g
高分子バインダー(ポリスチレン、分子量5000) 0.15g
光酸発生剤(トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート)
0.0005g
光酸発生剤(1−ジアゾ−1−ベンゼンスルホニル−3,3−ジメチル−2−ブタノンン) 0.0005g
溶媒(DMF) 1.5g
溶媒(メトキシプロピルアセテート) 1g
1時間超音波処理して各成分を十分混合して調製されたコーティング液を、シリコンウェーハ上に500rpmでスピンコーティングした。その後、100℃で1分間乾燥させ、コーティングされた表面に残っている溶媒を除去して、コーティングフィルムを得た。このように形成されたコーティングフィルムを、所望のパターンが形成されたフォトマスクを用いて400mJ/cmの露光量でUVに露光させた後、100℃で2分間後硬化を行い、その後、DMFに20秒間浸漬して現像し、カーボンナノチューブのネガティブパターンライン(ライン幅:60μm)を得た。
【0113】
実施例6:カーボンナノチューブを用いたネガティブパターン(6)の形成
前記製造例5で得られた、アンハイドライド基で表面修飾されたカーボンナノチューブを用いて次の組成で光硬化用コーティング液を製造した。
【0114】
製造例5で得られたカーボンナノチューブ 0.01g
高分子バインダー(ポリスチレン、分子量5000) 0.15g
光酸発生剤(2,2’,4,4’−テトラ(2,2,2−トリフルオロエタンスルホニルオキシ)ベンゾフェノン) 0.001g
光増感剤(イソプロピルチオキサントン) 0.0002g
溶媒(DMF) 1.5g
溶媒(メトキシプロピルアセテート) 1g
1時間超音波処理して各成分を十分混合して調製されたコーティング液を、シリコンウェーハ上に400rpmでスピンコーティングした。その後、100℃で1分間乾燥させ、コーティングされた表面に残っている溶媒を除去して、コーティングフィルムを得た。このように形成されたコーティングフィルムを、所望のパターンが形成されたフォトマスクを用いて400mJ/cmの露光量でUVに露光させた後、100℃で2分間後硬化を行い、その後、DMFに20秒間浸漬して現像し、カーボンナノチューブのネガティブパターンライン(ライン幅:70μm)を得た。
【0115】
実施例7:カーボンナノチューブを用いたネガティブパターン(7)の形成
前記製造例4と製造例5でそれぞれ得られた、オキシラン基とアンハイドライド基で表面修飾されたカーボンナノチューブを混合使用して、次の組成で光硬化用コーティング液を調製した。
【0116】
製造例4で得られたカーボンナノチューブ 0.01g
製造例5で得られたカーボンナノチューブ 0.01g
高分子バインダー(ポリビニルアルコール、分子量6,000、加水分解80%)
0.3g
光酸発生剤(1,2,3−トリス(p−フルオロベンゼンスルホニルオキシ)ベンゼン) 0.001g
溶媒(DMF) 2.5g
溶媒(メトキシプロピルアセテート) 1g
1時間超音波処理して各成分を十分混合して調製されたコーティング液を、シリコンウェーハ上に500rpmでスピンコーティングした。その後、100℃で1分間乾燥させ、コーティングされた表面に残っている溶媒を除去してコーティングフィルムを得た。このように形成されたコーティングフィルムを、所望のパターンが形成されたフォトマスクを用いて500mJ/cmの露光量でUVに露光させた後、100℃で2分間後硬化を行い、その後、DMFに20秒間浸漬して現像し、カーボンナノチューブのネガティブパターンライン(ライン幅:60μm)を得た。
【0117】
実施例8:カーボンナノチューブを用いた高分子複合体(1)の形成
前記製造例4で得られた、オキシラン基で表面修飾されたカーボンナノチューブを用いて、次の組成で光硬化用のコーティング液を調製し、このコーティング液を用いてフィルムキャスティングを行った。
【0118】
製造例4で得られたカーボンナノチューブ 0.01g
高分子バインダー(ポリスチレン、分子量5000) 1g
硬化剤(エチレンジアミン) 0.002g
溶媒(トルエン) 9g
溶媒(DMF) 1g
前記コーティング液を1時間超音波処理して各成分を十分混合し、平らなガラスカルチャーディッシュ(直径100mm、高さ10mm)に塗布した後、3日間、温度を80℃に保って溶媒を徐々に揮発させ、平均厚さ0.4mmの試片を得た。前記試片の機械的物性を測定したところ、表1に示す通りである。
【0119】
実施例9:カーボンナノチューブを用いた高分子複合体(2)の形成
次の組成でコーティング液を製造したことを除いては、前記実施例8と同様にして、フィルムキャスティングによって試片を作成して、その機械的物性を測定した(参照:表1)。
【0120】
製造例4で得られたカーボンナノチューブ 0.02g
高分子バインダー(ポリスチレン、分子量5000) 1g
硬化剤(エチレンジアミン) 0.002g
溶媒(トルエン) 9g
溶媒(DMF) 1g
実施例10:カーボンナノチューブを用いた高分子複合体(3)の形成
次の組成でコーティング液を製造したことを除いては、前記実施例8と同様にして、フィルムキャスティングによって試片を作成して、その機械的物性を測定した(参照:表1)。
【0121】
製造例4で得られたカーボンナノチューブ 0.05g
高分子バインダー(ポリスチレン、分子量5000) 1g
硬化剤(エチレンジアミン) 0.002g
溶媒(トルエン) 9g
溶媒(DMF) 1g
比較例1:カーボンナノチューブを用いた高分子複合体(4)の形成
次の組成でコーティング液を製造したことを除いては、前記実施例8と同様にして、フィルムキャスティングによって試片を作成して、その機械的物性を測定した(参照:表1)。
【0122】
製造例2で得られたカーボンナノチューブ 0.01g
高分子バインダー(ポリスチレン、分子量5000) 1g
硬化剤(エチレンジアミン) 0.002g
溶媒(トルエン) 9g
溶媒(DMF) 1g
比較例2:カーボンナノチューブを用いた高分子複合体(5)の形成
次の組成でコーティング液を製造したことを除いては、前記実施例8と同様にして、フィルムキャスティングによって試片を作成し、その機械的物性を測定した(参照:表1)。
【0123】
製造例2で得られたカーボンナノチューブ 0.02g
高分子バインダー(ポリスチレン、分子量5000) 1g
硬化剤(エチレンジアミン) 0.002g
溶媒(トルエン) 9g
溶媒(DMF) 1g
比較例3:カーボンナノチューブを用いた高分子複合体(6)の形成
次の組成のコーティング液を製造したことを除いては、前記実施例8と同様にして、フィルムキャスティングによって試片を作成し、その機械的物性を測定した(参照:表1)。
【0124】
製造例2で得られたカーボンナノチューブ 0.05g
高分子バインダー(ポリスチレン、分子量5000) 1g
硬化剤(エチレンジアミン) 0.002g
溶媒(トルエン) 9g
溶媒(DMF) 1g
【0125】
【表1】

【0126】
註)測定方法:ASTM D882−97に準拠して測定した。
【0127】
測定機構:SHIMADZU社製、AGS−100Gを用いて測定した。
【0128】
PS:ポリスチレン
表1の結果より、カーボンナノチューブの表面に硬化性作用基を導入した場合、単にカーボンナノチューブと高分子とを混合して得られた複合体より、平均で10%以上機械的な強度が増加し、また、カーボンナノチューブの間、カーボンナノチューブと高分子成分との間に形成された相互貫入高分子網目構造が複合体の機械的物性の改善に有効であることが分る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の工程を含むカーボンナノチューブのネガティブパターン形成方法。
(a)下記式1で表わされるオキシラン基で表面修飾されたカーボンナノチューブ及び/又は下記式2〜7のいずれか一つで表わされるアンハイドライド基で表面修飾されたカーボンナノチューブを、光酸発生剤及び/又は光塩基発生剤と共に有機溶媒に分散させてコーティング液を製造する工程、
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。)
【化2】

(b)前記コーティング液を基材の表面に塗布し、予備乾燥させて溶媒を揮発させることにより、フィルムを形成させる工程、
(c)前記フィルムを所望のパターンのフォトマスクを介して紫外線で露光させ、露光部において前記カーボンナノチューブの光重合反応を誘発する工程、
(d)前記露光したフィルムを有機現像液で現像することにより、前記フィルムの非露光部を除去してカーボンナノチューブのネガティブパターンを得る工程。
【請求項2】
前記コーティング液が、カーボンナノチューブを3〜95質量%含み、さらに光酸発生剤および光塩基発生剤から選ばれる少なくとも1種をカーボンナノチューブ100質量部当たり0.1〜15質量部含むことを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブのネガティブパターン形成方法。
【請求項3】
前記コーティング液が、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジクロロアントラセン、1−クロロアントラセン、2−メチルアントラセン、9−メチルアントラセン、2−t−ブチルアントラセン、アントラセン、1,2−ベンズアントラセン、1,2,3,4−ジベンズアントラセン、1,2,5,6−ジベンズアントラセン、1,2,7,8−ジベンズアントラセン、9,10−ジメトキシジメチルアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、N−メチルフェノチアジン、イソプロピルチオキサントンからなる群より選ばれる1種以上の光増感剤を、カーボンナノチューブ100質量部当たり0.3〜2質量部の割合でさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブのネガティブパターン形成方法。
【請求項4】
前記コーティング液で用いる有機溶媒が、DMF、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエタノール、メトキシプロピルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート及びシクロヘキサノンからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブのネガティブパターン形成方法。
【請求項5】
前記コーティング液が、アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート及びアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートからなる群より選ばれる1種以上のカップリング剤を、カーボンナノチューブの100質量部当たり0.1〜10質量部の割合でさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブのネガティブパターン形成方法。
【請求項6】
前記コーティング液が、前記オキシラン基含有モノマ、前記オキシラン基含有モノマのオリゴマーおよびそのポリマー、ならびに前記アンハイドライド基含有モノマおよびそのポリマーよりなる群から選ばれる少なくとも1種を、カーボンナノチューブ100質量部当り1〜95質量部の割合で、さらに含むことを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブのネガティブパターン形成方法。
【請求項7】
前記コーティング液が、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフタルアミド、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルホン、ポリベンズイミダゾール、ポリカルボジイミド、ポリシロキサン、ポリメチルメタクリラート、ポリメタクリルアミド、ニトリルゴム、アクリルゴム、ポリエチレンテトラフルオライド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレア樹脂、ポリブテン、ポリペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−ジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ブチルゴム、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、水素添加(hydrogenated)スチレン−ブタジエン共重合体、水素添加ポリイソプレン及び水素添加ポリブタジエンの中から選ばれる1種以上の高分子バインダーを、カーボンナノチューブ100質量部当たり1〜30質量部の割合でさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブのネガティブパターン形成方法。
【請求項8】
前記(c)工程の露光後、前記露光したフィルムを後硬化させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブのネガティブパターン形成方法。
【請求項9】
前記請求項1に記載の方法により製造されたカーボンナノチューブのネガティブパターン。
【請求項10】
次の工程を含むカーボンナノチューブ高分子複合体の製造方法:
(a)下記式1で表わされるオキシラン基で表面修飾されたカーボンナノチューブ及び/又は下記式2〜7のいずれか一つで表わされるアンハイドライド基で表面修飾されたカーボンナノチューブを、1種以上の熱硬化剤と共に有機溶媒に分散させてコーティング液を製造する工程、
【化3】

(式中、Rは炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。)
【化4】

(b)前記コーティング液を基材の表面に塗布し、熱硬化させてカーボンナノチューブ高分子複合体を得る工程。
【請求項11】
前記コーティング液が、カーボンナノチューブを3〜95質量%含み、さらに熱硬化剤をカーボンナノチューブ100質量部当たり1〜35質量部含むことを特徴とする請求項10に記載のカーボンナノチューブ高分子複合体の製造方法。
【請求項12】
前記コーティング液で用いる有機溶媒が、DMF、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエタノール、メトキシプロピルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート及びシクロヘキサノンからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項10に記載のカーボンナノチューブ高分子複合体の製造方法。
【請求項13】
前記コーティング液が、アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート及びアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートからなる群より選ばれる1種以上のカップリング剤を、カーボンナノチューブ100質量部当たり0.1〜10質量部の割合でさらに含むことを特徴とする請求項10に記載のカーボンナノチューブ高分子複合体の製造方法。
【請求項14】
前記コーティング液が、オキシラン基含有モノマおよびアンハイドライド基含有モノマから選ばれる少なくとも1種と、前記オキシラン基含有モノマまたはアンハイドライド基含有モノマのオリゴマーもしくはポリマーとを、カーボンナノチューブ100質量部当り1〜95質量部の割合で、さらに含むことを特徴とするカーボンナノチューブ高分子複合体の製造方法。
【請求項15】
前記コーティング液が、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフタルアミド、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルスルホン、ポリベンズイミダゾール、ポリカルボジイミド、ポリシロキサン、ポリメチルメタクリラート、ポリメタクリルアミド、ニトリルゴム、アクリルゴム、ポリエチレンテトラフルオライド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレア樹脂、ポリブテン、ポリペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−ジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ブチルゴム、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、水素添加(hydrogenated)スチレン−ブタジエン共重合体、水素添加ポリイソプレン及び水素添加ポリブタジエンの中から選ばれる1種以上の高分子バインダーを、カーボンナノチューブ100質量部当たり1〜30質量部の割合でさらに含むことを特徴とする請求項10に記載のカーボンナノチューブ高分子複合体の製造方法。
【請求項16】
前記請求項10に記載の方法により製造されたカーボンナノチューブ高分子複合体。

【公開番号】特開2009−93186(P2009−93186A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271282(P2008−271282)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【分割の表示】特願2004−50632(P2004−50632)の分割
【原出願日】平成16年2月26日(2004.2.26)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】