説明

硬化性樹脂組成物、そのドライフィルム及び硬化物並びにそれらを用いたプリント配線板

【課題】ハロゲンフリーであると共に、高感度ではんだ耐熱性、無電解金めっき耐性、耐湿性、耐電極腐食性に優れ、環境問題に配慮した硬化性樹脂組成物、及びそれを用いたドライフィルムや硬化物、並びにそれらの硬化被膜を有するプリント配線板の提供。
【解決手段】(A)下記一般式(1)で示される構造を含む化合物から誘導される硬化性樹脂及び(B)ハイドロタルサイトなどの層状複水酸化物を含有する硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のポリエステルポリオールから誘導される硬化性樹脂と層状複水酸化物を含有する硬化性(光硬化性及び/又は熱硬化性)樹脂組成物、特に回収されたポリエステルを原料として得られる硬化性樹脂と層状複水酸化物を含有するアルカリ現像性の光硬化性樹脂組成物、そのドライフィルム及び硬化物並びにそれらを用いたプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題の観点から、電子機器に使用されるプリント配線板にも環境に配慮した材料の使用が求められている。例えば、焼却時のダイオキシン等有害ガス発生の社会問題化により、プリプレグやソルダーレジスト膜等に使用される難燃化材料や着色材料にも、従来の臭素等ハロゲンを含んだ系からノンハロゲン系への転換が求められている。
例えば、プリント配線板用組成物の難燃材料のノンハロゲン化については、これまでも種々検討が行われている(例えば特許文献1など参照)。しかし、環境問題への関心の高まりから更なる環境への配慮を求められている。
その一方で、プリント配線板は電子機器に用いられることから、絶縁性が要求される。また、プリント配線板の層間樹脂絶縁層には、電子部品が高温で取り付けられることから、耐熱性が要求される。
【0003】
また、近年、プリント配線板の最外層に形成されているソルダーレジスト膜のパターンの微細化に伴い、パターン形成にフォトリソグラフィー法が用いられている。このとき、マスクパターンを介して活性エネルギー線を照射することによりパターンを形成するため、ソルダーレジスト膜を形成するための樹脂組成物には、さらに光硬化性が要求される。そこで、このような感光性の樹脂組成物において、環境に配慮したノンハロゲンタイプのものが提案されている(例えば特許文献2など参照)。
【0004】
このように、プリント配線板用樹脂組成物において、環境への配慮と特性の維持向上の両立が求められている。
しかしながら、従来のソルダーレジストに用いられていたカルボキシル基含有樹脂としては、エポキシ樹脂の変性により誘導されたエポキシアクリレート変性樹脂が一般的に用いられている。例えば、特開昭61−243869号公報(特許文献3)には、ノボラック型エポキシ化合物と不飽和一塩基酸の反応生成物に酸無水物を付加した感光性樹脂、光重合開始剤、希釈剤及びエポキシ化合物からなるソルダーレジスト組成物が開示されている。また、特開平3−250012号公報(特許文献4)には、サリチルアルデヒドと一価フェノールとの反応生成物にエピクロロヒドリンを反応させて得られたエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加し、さらに多塩基性カルボン酸又はその無水物を反応させて得られる感光性樹脂、光重合開始剤、有機溶剤等からなるソルダーレジスト組成物が開示されている。これら、エポキシアクリレート変性樹脂では、エピクロロヒドリンを原料に使用しているためハロゲンイオンを含有しており、ハロゲンフリー化が困難であった。
【0005】
一方、PETボトルは、近年、軽量で透明性、ガスバリア性に優れ、強度も高いことから使用量が急増してきており、それに伴い、その廃棄方法が社会問題化してきている。そのため、PETボトルのリサイクルについて種々検討されている(特許文献5、6など参照)。しかしながら、リサイクル過程において、エステル結合の加水分解によりPETの分子量が減少し、PETの溶融粘度と機械的強度が減少してしまうという問題がある。そして、このような品質の低下が、PETボトルのリサイクル阻害の要因となっている。そのため、再生PET樹脂は、現状として、主に繊維分野や産業用資材分野において利用されるに過ぎないが、PETボトル廃棄量の増加に伴い、再生PET樹脂の新たな有効な活用法が模索されている。
【0006】
廃ポリエステルの新たな再生方法の例として、グリコール類による解重合反応を用いた塗料用アルキッド樹脂の製造(特許文献7参照)、再生ポリエステルを用いた塗料用ポリエステル樹脂の製造(特許文献8、9参照)、さらに再生ポリエステルを光硬化性ウレタン樹脂の原料として利用すること(特許文献10参照)などが検討されているが、いずれも塗料組成物に用いることを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO02/006399号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2000−7974号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開昭61−243869号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】特開平3−250012号公報(特許請求の範囲)
【特許文献5】特開平10−287844号公報(特許請求の範囲)
【特許文献6】特開平11−114961号公報(特許請求の範囲)
【特許文献7】特許第3310661号公報(特許請求の範囲)
【特許文献8】特許第3443409号公報(特許請求の範囲)
【特許文献9】特許3256537号公報(特許請求の範囲)
【特許文献10】特開2004−307779号公報(特許請求の範囲、実施例)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記したような従来技術に鑑みなされたものであり、ハロゲンフリーであると共に、高感度ではんだ耐熱性、無電解金めっき耐性、耐湿性、耐電極腐食性に優れ、環境問題に配慮した硬化性樹脂組成物を提供することを目的としている。
さらに本発明の目的は、このような硬化性樹脂組成物を用いることによって得られる上記のような諸特性に優れたドライフィルム及び硬化物、並びに該ドライフィルムや硬化物によりソルダーレジスト等の硬化皮膜が形成されてなるプリント配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明によれば、(A)下記一般式(1)で示される構造を含む化合物から誘導される硬化性樹脂、(B)層状複水酸化物を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物が提供される。
【化1】

(式中、Rは(m+l)価の多価アルコール誘導体を表し、m及びnは1以上、10未満の整数であり、lは0もしくは1以上の整数であり、RはCH、C、C、C、置換もしくは無置換の芳香族環のいずれかを表し、Rは置換もしくは無置換の芳香族環を表す。)
【0010】
好適な態様においては、前記一般式(1)で示される構造を含む化合物は、(a)ポリエステルを(b)1分子内に2個以上の水酸基を有するポリオールで解重合させることにより得られるポリオール樹脂である。より好適には、前記(a)のポリエステルは、回収されたポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(PET)であり、また、前記(b)のポリオールは、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、植物油及びグリセリンよりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、特にトリメチロールプロパンが好ましい。
別の好適な態様においては、さらに熱硬化性成分を含有し、好ましくはさらに着色剤を含有する。このような硬化性樹脂組成物、特に熱硬化性成分を含有する硬化性樹脂組成物は、ソルダーレジストとして好適に用いることができる。
【0011】
また、本発明によれば、前記硬化性樹脂組成物を、フィルム上に塗布・乾燥させて得られる硬化性ドライフィルムや、前記硬化性樹脂組成物又は該ドライフィルムを硬化させて得られる硬化物、特に銅上にて光硬化させて得られる硬化物や、パターン状に光硬化して得られる硬化物も提供される。
さらに本発明によれば、前記光硬化性樹脂組成物又はドライフィルムをパターン状に光硬化させた後、熱硬化して得られる硬化皮膜を有することを特徴とするプリント配線板も提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の硬化性樹脂組成物に用いられる硬化性樹脂は、熱硬化性もしくは光硬化性又は光硬化性兼熱硬化性を有する。また、この硬化性樹脂は従来のエポキシアクリレート変性樹脂とは異なり、前記一般式(1)で示される構造を含むポリエステルポリオールから誘導されるため、ハロゲンイオンを含有していない原料を使用できる。そのため、ハロゲンフリー化が可能であり、電気絶縁性、耐熱性、指触乾燥性に優れた硬化皮膜を形成できる。また、前記一般式(1)で示される構造を含むポリエステルポリオールから誘導される硬化性樹脂と共に、層状複水酸化物を含有するため、耐電極腐食性に著しく優れた硬化皮膜を形成できる。
また、前記一般式(1)で示される構造を含む化合物がポリエステルの解重合により製造される場合、出発材料のポリエステルとして、廃ポリエステルを回収したものを原料として利用できるので、資源の有効活用に貢献できる。さらに、ポリエステルをポリオールで解重合させた解重合物は、分離することなくそのまま次の反応に供することができるので、再生樹脂利用率が高くなると共に、回収されたポリエステルの解重合物中の芳香環(ベンゼン環)を有するカルボン酸、特にテレフタル酸は、硬化性樹脂組成物の硬化塗膜のはんだ耐熱性、無電解金めっき耐性、耐湿性、電気絶縁性等に寄与できる。
さらに、熱硬化性樹脂を含むことで、はんだ耐熱性、無電解金めっき耐性、耐湿性、電気絶縁性等がさらに優れた硬化皮膜を形成できる。
従って、本発明の硬化性樹脂組成物は、プリント配線板やフレキシブルプリント配線板のソルダーレジスト等の硬化皮膜の形成に有利に適用できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
前記したように、本発明の硬化性樹脂組成物の特徴は、(A)下記一般式(1)で示される構造を含む化合物から誘導される硬化性樹脂、(B)層状複水酸化物を用いている点にある。
【化2】

(式中、Rは(m+l)価の多価アルコール誘導体を表し、m及びnは1以上、10未満の整数であり、lは0もしくは1以上の整数であり、RはCH、C、C、C、置換もしくは無置換の芳香族環のいずれかを表し、Rは置換もしくは無置換の芳香族環を表す。)
【0014】
本発明者らの研究によれば、このような樹脂組成物は、耐電極腐食性、耐熱性、指触乾燥性に優れた硬化皮膜を形成でき、さらに前記ポリエステルがPETボトル等の廃材から回収されたリサイクルポリエステル及び再生ポリエステルである場合、環境に配慮した組成物を提供することが可能である。
以下、本発明の硬化性樹脂組成物の各構成成分について詳しく説明する。
【0015】
ポリエステルを公知の方法に従ってポリオール成分で解重合すると、ポリエステルの解重合により生じたカルボキシル基を有する成分と水酸基を有する成分の混合物、あるいはポリオール成分の添加量によっては残存するポリオール成分をさらに含む混合物が得られるが、いずれも脂環式多塩基酸もしくはその無水物との反応や分子中に1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物との反応に供することができる。
【0016】
本発明で用いる前記一般式(1)で示される構造を含む化合物から誘導される硬化性樹脂(A)がカルボン酸樹脂の場合、(a)ポリエステルを(b)1分子内に2個以上の水酸基を有するポリオールで解重合し、その解重合体に(c)脂環式多塩基酸もしくはその無水物を反応させることによって得られる。
【0017】
本発明で用いる前記一般式(1)で示される構造を含む化合物から誘導される硬化性樹脂(A)が感光性樹脂の場合、(a)ポリエステルを(b)1分子内に2個以上の水酸基を有するポリオールで解重合し、その解重合体に(d)分子中に水酸基もしくはカルボキシル基と反応し得る官能基と、1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させることによって得られる。
【0018】
本発明で用いる前記一般式(1)で示される構造を含む化合物から誘導される硬化性樹脂(A)がアルカリ現像可能なカルボキシル基含有感光性樹脂の場合、(a)ポリエステルを(b)1分子内に2個以上の水酸基を有するポリオールで解重合し、その解重合体に(d)分子中に水酸基もしくはカルボキシル基と反応し得る官能基と、1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させ、さらに(c)脂環式多塩基酸もしくはその無水物を反応させることによって得られる。
【0019】
前記ポリエステルと1分子内に2個以上の水酸基を有するポリオールの割合は、ポリエステルの繰り返し単位のモル数(α)と1分子内に2個以上の水酸基を有するポリオールのモル数(β)の比率が、(α)/(β)=0.5〜3が適当であり、好ましくは0.8〜2の範囲内にあることが望ましい。上記比率が0.5よりも少ないと、ポリオール成分が過剰に含まれることとなり、ポリエステルに由来する芳香環の割合が減少し、耐熱性や耐薬品性向上の効果が少なくなるので好ましくない。一方、上記比率が3よりも大きいと、解重合物がほとんどの場合結晶化しており、溶媒に不溶であるので好ましくない。
【0020】
前記ポリエステル(a)は、慣用公知のポリエステルであれば何でもよいが、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンファフタレート、液晶ポリマーなどがある。また、PETボトル廃材等廃棄物から回収されたリサイクルPET及び再生PETは、環境保護の観点からさらに好ましい。回収されたPETは粉砕し洗浄され、再生PETは洗浄しペレット化されたものが市場から手に入れることができる。上記ポリエステルの形状は特に限定されないが、ペレット状及び又はフレーク状であるほうが好ましい。また、粉状に細かく粉砕する必要はないが、粉砕されたものでもかまわない。
【0021】
前記1分子内に2個以上の水酸基を有するポリオール(b)としては、2官能ポリオールや3官能以上のポリオールなどを全て用いることができ、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0022】
2官能ポリオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、スピログリコール、ジオキサングリコール、アダマンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、メチルオクタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−メチルプロパンジオール1,3、3−メチルペンタンジオール1,5、ヘキサメチレングリコール、オクチレングリコール、9−ノナンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、ビスフェノールAのごとき二官能フェノールのエチレンオキサイド変性化合物、ビスフェノールAのごとき二官能フェノールのプロピレンオキサイド変性化合物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド共重合変性化合物、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合系ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、アダマンタンジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール(例えば、プラクセル205、プラクセルL205AL、プラクセル205U、プラクセル208、プラクセルL208AL、プラクセル210、プラクセル210N、プラクセル212、プラクセルL212AL、プラクセル220、プラクセル220N、プラクセル220NP1、プラクセルL220AL、プラクセル230、プラクセル240、プラクセル220EB、プラクセル220EC;以上いずれもダイセル化学工業(株)製;商品名)、ヒドロキシル基末端ポリアルカンジエンジオール類(例えば1,4−ポリイソプレンジオール、1,4−及び1,2−ポリブタジエンジオール並びにそれらの水素添加物のごときエラストマー)が挙げられ、例えば、上記ヒドロキシル基末端ポリアルカンジエンジオールの市販品の例としては、エポール(登録商標;水素化ポリイソプレンジオール、分子量1,860、平均重合度26、出光興産(株)製)、PIP(ポリイソプレンジオール、分子量2,200、平均重合度34、出光興産(株)製)、ポリテールH(水素化ポリブタジエンジオール、分子量2,200、平均重合度39、三菱化学(株)製)、R−45HT(ポリブタンジオール、分子量2,270、平均重合度42、出光興産(株)製)等が挙げられる。
【0023】
3官能以上のポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、アダマンタントリオール、ポリカプロラクトントリオール(例えば、プラクセル303、プラクセル305、プラクセル308、プラクセル312、プラクセルL312AL、プラクセル320ML、プラクセルL320AL;以上いずれもダイセル化学工業(株)製;商品名)、また芳香環を有するものとしては3官能以上のフェノール化合物のエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド変性物、複素環を有するものとしては四国化成工業(株)製セイク、などが挙げられる。特にトリメチロールプロパンを用いた場合、解重合物にしたときに濁りが無いアモルファスな半固形の流動性のある物が得られ、さらに溶剤への溶解性が高くなるので好ましい
【0024】
前記脂環式多塩基酸もしくはその無水物(c)としては、慣用公知の多塩基酸もしくはその無水物を使用することができる。具体的な例としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラブロム無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、テトラクロロ無水フタル酸等の芳香族多価カルボン酸及びそれらの無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式カルボン酸及びそれらの無水物、無水マレイン酸、フマル酸、無水コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪族多価カルボン酸及びそれらの無水物、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物等の3官能以上のカルボン酸等が挙げられ、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0025】
分子中に水酸基もしくはカルボキシル基と反応し得る官能基と、1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(d)としては、1つのカルボキシル基と1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物、イソシアネート基を有する(メタ)アクリル系単量体、1つの環状エーテル基と1つ以上のエチレン性不飽和基を併せ持つ化合物、1つの水酸基と1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物などが挙げられる。
【0026】
1つのカルボキシル基と1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物としては、アクリル酸、アクリル酸の2量体、メタクリル酸、β−スチリルアクリル酸、β−フルフリルアクリル酸、クロトン酸、α−シアノ桂皮酸、桂皮酸、(メタ)アクリル酸カプロラクトン付加物、及び飽和又は不飽和二塩基酸無水物と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類とのハーフエステル化合物などが挙げられる。ハーフエステル化合物を製造するための水酸基を有する(メタ)アクリレート類としては、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、フェニルグリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。ハーフエステル化合物を製造するための二塩基酸無水物としては、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸などが挙げられ、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート及びそれらの混合物を総称する用語であり、他の類似の表現についても同様である。
【0027】
イソシアネート基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、1分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上のエチレン性不飽和基を有するイソシアネート化合物であればよく、特に限定されない。具体的な例としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシエトキシエチルイソシアネート、ビス(アクリロキシメチル)エチルイソシアネートあるいはこれらの変性体等が挙げられ、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。市販品としては、「カレンズMOI」(メタクリロイルオキシエチルイソシアネート)、「カレンズAOI」(アクリロイルオキシエトキシエチルイソシアネート)、「カレンズMOI−EG」(メタクリロイルオキシエトキシエチルイソシアネート)、「カレンズMOI一BM」(カレンズMOIのイソシアネートブロック体)、「カレンズMOI−BP」(カレンズMOIのイソシアネートブロック体)、「カレンズBEI」(1,1−ビス(アクリロキシメチル)エチルイソシアネート)が、昭和電工(株)から市販されている。なお、これらの商品名は、いずれも登録商標である。さらには、1分子中に1つの水酸基と1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物と、イソホロンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネートとのハーフウレタン化合物も使用することができる。
【0028】
1分子中に1つの環状エーテル基と1つ以上のエチレン性不飽和基を併せ持つ化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、2ーヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、2ーヒドロキシペンチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、6ーヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルもしくはグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート等が挙げられ、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0029】
1分子中に1つの水酸基と1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられ、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
前記したような水酸基もしくはカルボキシル基と反応し得る官能基を有する(メタ)アクリル系単量体は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0030】
前記解重合を促進させるために、解重合触媒を使用することができる。解重合触媒としては、例えば、モノブチル錫ハイドロオキサイド、ジブチル錫オキサイド、モノブチル錫−2−エチルヘキサノエート、ジブチル錫ジラウレート、酸化第一錫、酢酸錫、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸カルシウム、酢酸鉛、三酸化アンチモン、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネートなどを挙げることができる。これらの解重合触媒の使用量は、前記ポリエステルと多価アルコールとの合計量100質量部に対して、通常0.005〜5質量部、好ましくは0.05〜3質量部の範囲が適当である。
【0031】
また、解重合触媒ではないが、解重合を促進する化合物として水がある。これは、例えば再生PETに不純物として存在しているものであって、PETをリサイクルする際に分子量低下の原因になるため、通常は乾燥という非常にエネルギーを消費してしまう工程によって除去する必要がある。しかしながら、本発明の用途においては、その必要が無く、むしろ水を加えて押出し成型機のようなペレット製造機で一度溶融混練した再生PETペレットを使用する方が、再生PETの分子量が低く、解重合する際の反応温度を低下でき、溶融時の粘度が低いため、高濃度で反応ができるという点で好ましい。
【0032】
一般に、市販のポリエステルペレット(バージン)は、IV値(固有粘度)が1.0〜1.2程度であるが、リサイクルPETや再生PETはIV値が0.6〜0.7であった。このため、解重合に必要な時間がリサイクルPET及び再生PETを用いた場合には短時間で済むという効果があった。また、PETの再生時に水分を取り除かずに押出し成型機でリペレットしたものは、IV値が低いもので0.1前後であったが、本発明に使用した場合は特に問題はなかった。
【0033】
本発明で用いる層状複水酸化物(B)は、イオン吸着剤として知られる。また、医薬の分野では制酸剤として知られている。層状複水酸化物を含有する本発明の硬化性樹脂組成物は、層状複水酸化物を含有しない場合と比較して、耐電極腐食性が著しく優れることを本発明者らは見出した。層状複水酸化物が、それを含有する組成物の耐電極腐食性を向上させる効果は、層状複水酸化物がハロゲンを吸着することによるものであると考えられ、それ故、通常ハロゲンを含有しない組成物に層状複水酸化物を添加しても、電極腐食性が改善するという効果は無かった。しかしながら、ハロゲンフリーである本発明の硬化性樹脂組成物に層状複水酸化物を添加すると、電極腐食性の劇的改善が確認された。これは、層状複水酸化物が受酸剤として作用し、本発明に用いる硬化性樹脂を合成する際の触媒等の酸を抑制することにより得られた効果であると考えられる。
【0034】
本発明で用いる層状複水酸化物(B)の具体例としては、Indigirite MgAl[(CO(OH)]・15HO、Fe2+Al[(OH)12CO]・3HO、Quintinite MgAl(OH)12CO・HO、Manasseite MgAl[(OH)16CO]・4HO、SjOegrenite MgFe3+[(OH)16CO]・4HO、Zaccagnaite ZnAl(CO)(OH)12・3HO、Desautelsite MgMn3+[(OH)16CO]・4HO、Hydrotalcite MgAl[(OH)16CO]・4HO、Pyroaurite MgFe3+[(OH)16CO]・4HO、Reevesite NiFe3+[(OH)16CO]・4HO、Stichtite MgCr[(OH)16CO]・4HO、Takovite NiAl[(OH)16CO]・4HOなどが挙げられ、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
また、合成ハイドロタルサイト類の市販品としては、協和化学工業(株)製;アルカマイザー、DHT−4A、キョーワード500、キョーワード1000、堺化学(株)製STABIACEシリーズのHT−1、HT−7、HT−Pなどが挙げられる。
【0036】
特に好ましいものは合成ハイドロタルサイト類で、平均粒経が2μm以下、さらに好ましくは1μm以下のものが好ましい。また、これらのハイドロタルサイト類は、水和物のまま、又は焼成して無水物の状態でも使用することができる。
【0037】
層状複水酸化物(B)の配合量は、組成物全体量の0.1〜30wt%とすることが好ましい。好ましくは0.5〜30wt%、より好ましくは0.1〜25wt%の範囲が適当である。前記層状複水酸化物(B)の配合量が上記範囲よりも多すぎると、組成物の粘度とチキソ性が高くなり過ぎ、印刷性が低下したり、硬化物が脆くなる場合があるので好ましくない。一方、0.1wt%未満の場合、電極腐食耐性の効果が損なわれるので好ましくない。
【0038】
本発明の硬化性樹脂組成物を光硬化性樹脂組成物に組成する場合、組成物はさらに光重合開始剤を含有する。
本発明で用いる光重合開始剤としては、オキシムエステル基を有するオキシムエステル系光重合開始剤、α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤からなる群から選択される少なくとも1種の光重合開始剤を使用することができる。
【0039】
前記オキシムエステル系光重合開始剤としては、市販品として、チバ・ジャパン社製のCGI−325、イルガキュアー OXE01、イルガキュアー OXE02、アデカ社製N−1919、NCI−831などが挙げられる。また、分子内に2個のオキシムエステル基を有する光重合開始剤も好適に用いることができ、具体的には、下記一般式で表されるカルバゾール構造を有するオキシムエステル化合物が挙げられる。
【化3】

(式中、Xは、水素原子、炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、フェニル基、フェニル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基により置換されている)、ナフチル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基により置換されている)を表し、Y、Zはそれぞれ、水素原子、炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン基、フェニル基、フェニル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基により置換されている)、ナフチル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基又はジアルキルアミノ基により置換されている)、アンスリル基、ピリジル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基を表し、Arは、結合か、炭素数1〜10のアルキレン、ビニレン、フェニレン、ビフェニレン、ピリジレン、ナフチレン、チオフェン、アントリレン、チエニレン、フリレン、2,5−ピロール−ジイル、4,4’−スチルベン−ジイル、4,2’−スチレン−ジイルで表し、nは0か1の整数である。)
【0040】
特に上記一般式中、X、Yが、それぞれ、メチル基又はエチル基であり、Zはメチル基又はフェニル基であり、nは0であり、Arは、結合か、フェニレン、ナフチレン、チオフェン又はチエニレンであることが好ましい。
【0041】
このようなオキシムエステル系光重合開始剤の配合量は、組成物全体量の0.02〜10wt%とすることが好ましい。0.02wt%未満であると、銅上での光硬化性が不足し、塗膜が剥離するとともに、耐薬品性などの塗膜特性が低下する。一方、10wt%を超えると、ソルダーレジスト塗膜表面での光吸収が激しくなり、深部硬化性が低下する傾向がある。
【0042】
前記α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤としては、具体的には2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。市販品としては、チバ・ジャパン社製のイルガキュアー907、イルガキュアー369、イルガキュアー379などが挙げられる。
【0043】
前記アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、具体的には2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。市販品としては、BASF社製のルシリンTPO、チバ・ジャパン社製のイルガキュアー819などが挙げられる。
【0044】
これらα−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の配合量は、組成物全体量の0.5〜15wt%とすることが好ましい。0.5wt%未満であると、同様に銅上での光硬化性が不足し、塗膜が剥離するとともに、耐薬品性などの塗膜特性が低下する。一方、15wt%を超えると、アウトガスの低減効果が得られず、さらにソルダーレジスト塗膜表面での光吸収が激しくなり、深部硬化性が低下する傾向がある。
【0045】
その他、本発明の光硬化性樹脂組成物に好適に用いることができる光重合開始剤、光開始助剤及び増感剤としては、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物、及びキサントン化合物などを挙げることができる。
【0046】
前記ベンゾイン化合物としては、具体的には、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどが挙げられる。
【0047】
前記アセトフェノン化合物としては、具体的には、例えばアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。
【0048】
前記アントラキノン化合物としては、具体的には、例えば2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノンなどが挙げられる。
【0049】
前記チオキサントン化合物としては、具体的には、例えば2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。
【0050】
前記ケタール化合物としては、具体的には、例えばアセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
【0051】
前記ベンゾフェノン化合物としては、具体的には、例えばベンゾフェノン、4−ベンゾイルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−エチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−プロピルジフェニルスルフィドなどが挙げられる。
【0052】
前記3級アミン化合物としては、具体的には、例えばエタノールアミン化合物、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物、例えば、市販品では、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(日本曹達(株)製ニッソキュアーMABP)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学(株)製EAB)などのジアルキルアミノベンゾフェノン、7−(ジエチルアミノ)−4−メチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オン(7−(ジエチルアミノ)−4−メチルクマリン)などのジアルキルアミノ基含有クマリン化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬(株)製カヤキュアーEPA)、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure DMB)、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure BEA)、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエチルエステル(日本化薬(株)製カヤキュアーDMBI)、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル(Van Dyk社製Esolol 507)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学(株)製EAB)などが挙げられる。
【0053】
上記の光重合開始剤、光開始助剤及び増感剤のうち、チオキサントン化合物及び3級アミン化合物が好ましい。特に、チオキサントン化合物が含まれることが、深部硬化性の面から好ましい。中でも、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン化合物を含むことが好ましい。
【0054】
このようなチオキサントン化合物の配合量としては、組成物全体量の15wt%以下であることが好ましい。チオキサントン化合物の配合量が15wt%を超えると、厚膜硬化性が低下するとともに、製品のコストアップに繋がる。より好ましくは10wt%以下である。
【0055】
また、3級アミン化合物としては、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物が好ましく、中でも、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、最大吸収波長が350〜450nmにあるジアルキルアミノ基含有クマリン化合物及びケトクマリン類が特に好ましい。
【0056】
前記ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物としては、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンが、毒性も低く好ましい。前記ジアルキルアミノ基含有クマリン化合物は、最大吸収波長が350〜410nmと紫外線領域にあるため、着色が少なく、無色透明な感光性組成物はもとより、着色顔料を用い、着色顔料自体の色を反映した着色ソルダーレジスト膜を提供することが可能となる。特に、7−(ジエチルアミノ)−4−メチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オンが、波長400〜410nmのレーザー光に対して優れた増感効果を示すことから好ましい。
【0057】
このような3級アミン化合物の配合量としては、組成物全体量の0.1〜15wt%とすることが好ましい。3級アミン化合物の配合量が0.1wt%未満であると、十分な増感効果を得ることができない傾向にある。15wt%を超えると、3級アミン化合物による乾燥ソルダーレジスト塗膜の表面での光吸収が激しくなり、深部硬化性が低下する傾向がある。
【0058】
これらの光重合開始剤、光開始助剤及び増感剤は、単独で又は2種類以上の混合物として使用することができる。
このような光重合開始剤、光開始助剤、及び増感剤の総量は、本発明の硬化性樹脂100質量部に対して35質量部以下であることが好ましい。35質量部を超えると、これらの光吸収により深部硬化性が低下する傾向にある。
【0059】
なお、これら光重合開始剤、光開始助剤、及び増感剤は、特定の波長を吸収するため、場合によっては感度が低くなり、紫外線吸収剤として働くことがある。しかしながら、これらは組成物の感度を向上させることだけの目的に用いられるものではない。必要に応じて特定の波長の光を吸収させて、表面の光反応性を高め、レジストのライン形状及び開口を垂直、テーパー状、逆テーパー状に変化させるとともに、ライン幅や開口径の加工精度を向上させることができる。
【0060】
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに、カルボジイミド基を有する化合物を含有することができる。カルボジイミド基を有する化合物を含有することにより、硬化物中に残存する未反応の水酸基や未反応のカルボキシル基と架橋し、塗膜強度を向上させることができる。さらにはエステル結合の加水分解による塗膜劣化を抑制することができる。
【0061】
本発明で用いるカルボジイミド基を有する化合物は、市場より容易に入手することができる。具体的には、日清紡(株)製カルボジライトシリーズの、カルボジライトV−03、カルボジライトV−06、カルボジライト10M−SP、カルボジライト9010等が挙げられる。
【0062】
カルボジイミド基を有する化合物の配合量は、組成物全体量の0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%の範囲が適当である。カルボジイミド基を有する化合物の配合量が上記範囲よりも多すぎると、塗膜の強度が低下するため好ましくない。一方0.5wt%未満の場合、加水分解耐性の効果が損なわれるので好ましくない。
【0063】
本発明の光硬化性樹脂組成物には、感度を向上するために連鎖移動剤として公知慣用のNフェニルグリシン類、フェノキシ酢酸類、チオフェノキシ酢酸類、メルカプトチアゾール等を用いることができる。連鎖移動剤の具体例を挙げると例えば、メルカプト琥珀酸、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、メチオニン、システイン、チオサリチル酸及びその誘導体等のカルボキシル基を有する連鎖移動剤;メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノール、メルカプトプロパンジオール、メルカプトブタンジオール、ヒドロキシベンゼンチオール及びその誘導体等の水酸基を有する連鎖移動剤;1−ブタンチオール、ブチル−3−メルカプトプロピオネート、メチル−3−メルカプトプロピオネート、2,2−(エチレンジオキシ)ジエタンチオール、エタンチオール、4−メチルベンゼンチオール、ドデシルメルカプタン、プロパンチオール、ブタンチオール、ペンタンチオール、1−オクタンチオール、シクロペンタンチオール、シクロヘキサンチオール、チオグリセロール、4,4−チオビスベンゼンチオール等である。
【0064】
さらに、連鎖移動剤として働くメルカプト基を有する複素環化合物として、例えば、メルカプト−4−ブチロラクトン(別名:2−メルカプト−4−ブタノリド)、2−メルカプト−4−メチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−エチル−4−ブチロラクトン、2−メルカプト−4−ブチロチオラクトン、2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−メトキシ−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−エトキシ−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−メチル−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−エチル−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−(2−メトキシ)エチル−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、N−(2−エトキシ)エチル−2−メルカプト−4−ブチロラクタム、2−メルカプト−5−バレロラクトン、2−メルカプト−5−バレロラクタム、N−メチル−2−メルカプト−5−バレロラクタム、N−エチル−2−メルカプト−5−バレロラクタム、N−(2−メトキシ)エチル−2−メルカプト−5−バレロラクタム、N−(2−エトキシ)エチル−2−メルカプト−5−バレロラクタム及び2−メルカプト−6−ヘキサノラクタム等が挙げられる。
【0065】
特に、光硬化性樹脂組成物の現像性を損なうことがない連鎖移動剤であるメルカプト基を有する複素環化合物としてメルカプトベンゾチアゾール、3−メルカプト−4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾールが好ましい。これらの連鎖移動剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0066】
さらに本発明の光硬化性樹脂組成物は、感光性、現像性、耐熱性、及び電気特性を向上させる目的で慣用公知のカルボキシル基含有感光性樹脂を加えてもよい。カルボキシル基含有感光性樹脂の具体例としては、以下に列挙するような化合物(オリゴマー及びポリマーのいずれでもよい)が好ましい。
【0067】
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂に分子内に1つ以上のエチレン性不飽和基と1つのエポキシ基を有する化合物を反応させてなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0068】
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物及びポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基及びアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0069】
(3)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物及びジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0070】
(4)前記(2)又は(3)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子内に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0071】
(5)前記(2)又は(3)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子内に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリル基を有する化合物を加え末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0072】
(6)後述するような2官能又はそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0073】
(7)後述するような2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0074】
(8)ノボラックのごとき多官能フェノール化合物にエチレンオキサイドのごとき環状エーテル、プロピレンカーボネートのごとき環状カーボネートを付加させ、得られた水酸基を(メタ)アクリル酸で部分エステル化し、残りの水酸基に多塩基酸無水物を反応させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0075】
(9)上記(1)〜(8)の樹脂にさらに1分子内に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0076】
これらの中でも(1)、(2)及びその(4)及び(5)の変性物、(8)に挙げられる樹脂は、エピクロロヒドリンを原料とするエポキシ化合物(樹脂)を使用することなくカルボン酸含有樹脂が合成することができるのでハロゲンフリーの観点から特に好ましい。尚、エポキシ化合物(樹脂)でもエピクロロヒドリンを使用しないエポキシ化合物(樹脂)を使用することでハロゲンフリーを達成することもできる。さらに樹脂合成で使用するイソシアネート化合物も可能な限り、ホスゲン法でないイソシアネートを原料とするものが好ましい。
【0077】
上記のようなカルボキシル基含有感光性樹脂は、バックボーン・ポリマーの側鎖に多数のカルボキシル基を有するため、希アルカリ水溶液による現像が可能になる。
【0078】
また、上記カルボキシル基含有感光性樹脂の酸価は、40〜200mgKOH/gの範囲が適当であり、より好ましくは45〜120mgKOH/gの範囲である。カルボキシル基含有樹脂の酸価が40mgKOH/g未満であるとアルカリ現像が困難となり、一方、200mgKOH/gを超えると現像液による露光部の溶解が進むために、必要以上にラインが痩せたり、場合によっては、露光部と未露光部の区別なく現像液で溶解剥離してしまい、正常なレジストパターンの描画が困難となるので好ましくない。
【0079】
また、上記カルボキシル基含有感光性樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000〜150,000、さらには5,000〜100,000の範囲にあるものが好ましい。重量平均分子量が2,000未満であると、タックフリー性能が劣ることがあり、露光後の塗膜の耐湿性が悪く、現像時に膜減りが生じ、解像度が大きく劣ることがある。一方、重量平均分子量が150,000を超えると、現像性が著しく悪くなることがあり、貯蔵安定性が劣ることがある。
【0080】
このようなカルボキシル基含有感光性樹脂の配合量は、組成物全体量の50wt%以下、好ましくは10〜40wt%の範囲が適当である。
これらカルボキシル基含有感光性樹脂は、前記列挙したものに限らず使用することができ、1種類でも2種以上を混合しても使用することができる。
【0081】
本発明の硬化性樹脂組成物は、耐熱性を付与するために、あるいは熱硬化性樹脂組成物に組成するために、熱硬化性成分を含有することができる。本発明に用いられる熱硬化成分としては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などのアミン樹脂、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、多官能エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂、メラミン誘導体、ビスマレイミド、オキサジン化合物、オキサゾリン化合物などの公知慣用の熱硬化性樹脂が使用できる。特に好ましいのは分子中に複数の環状エーテル基及び/又は環状チオエーテル基(以下、「環状(チオ)エーテル基」と略す)を有する熱硬化性成分である。
【0082】
このような分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分は、分子中に3、4又は5員環の環状エーテル基、又は環状チオエーテル基のいずれか一方又は2種類の基を複数有する化合物であり、例えば、分子内に複数のエポキシ基を有する化合物、すなわち多官能エポキシ化合物、分子内に複数のオキセタニル基を有する化合物、すなわち多官能オキセタン化合物、分子内に複数のチオエーテル基を有する化合物、すなわちエピスルフィド樹脂などが挙げられる。
【0083】
前記多官能エポキシ化合物としては、旭電化製のアデカサイザーO−130P、アデカサイザーO−180A、アデカサイザーD−32、アデカサイザーD−55等のエポキシ化植物油;ジャパンエポキシレジン社製のjER828、jER834、jER1001、jER1004、ダイセル化学工業社製のEHPE3150、DIC社製のエピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、東都化成社製のエポトートYD−011、YD−013、YD−127、YD−128、ダウケミカル社製のD.E.R.317、D.E.R.331、D.E.R.661、D.E.R.664、チバ・ジャパン社のアラルダイド6071、アラルダイド6084、アラルダイドGY250、アラルダイドGY260、住友化学工業社製のスミ−エポキシESA−011、ESA−014、ELA−115、ELA−128、旭化成工業社製のA.E.R.330、A.E.R.331、A.E.R.661、A.E.R.664等(何れも商品名)のビスフェノールA型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のjERYL903、DIC社製のエピクロン152、エピクロン165、東都化成社製のエポトートYDB−400、YDB−500、ダウケミカル社製のD.E.R.542、チバ・ジャパン社製のアラルダイド8011、住友化学工業社製のスミ−エポキシESB−400、ESB−700、旭化成工業社製のA.E.R.711、A.E.R.714等(何れも商品名)のブロム化エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のjER152、jER154、ダウケミカル社製のD.E.N.431、D.E.N.438、DIC社製のエピクロンN−730、エピクロンN−770、エピクロンN−865、東都化成社製のエポトートYDCN−701、YDCN−704、チバ・ジャパン社製のアラルダイドECN1235、アラルダイドECN1273、アラルダイドECN1299、アラルダイドXPY307、日本化薬社製のEPPN−201、EOCN−1025、EOCN−1020、EOCN−104S、RE−306、NC−3000、住友化学工業社製のスミ−エポキシESCN−195X、ESCN−220、旭化成工業社製のA.E.R.ECN−235、ECN−299等(何れも商品名)のノボラック型エポキシ樹脂;DIC社製のエピクロン830、ジャパンエポキシレジン社製jER807、東都化成社製のエポトートYDF−170、YDF−175、YDF−2004、チバ・ジャパン社製のアラルダイドXPY306等(何れも商品名)のビスフェノールF型エポキシ樹脂;東都化成社製のエポトートST−2004、ST−2007、ST−3000(商品名)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のjER604、東都化成社製のエポトートYH−434、チバ・ジャパン社製のアラルダイドMY720、住友化学工業社製のスミ−エポキシELM−120等(何れも商品名)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;チバ・ジャパン社製のアラルダイドCY−350(商品名)等のヒダントイン型エポキシ樹脂;ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021、チバ・ジャパン社製のアラルダイドCY175、CY179等(何れも商品名)の脂環式エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のYL−933、ダウケミカル社製のT.E.N.、EPPN−501、EPPN−502等(何れも商品名)のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のYL−6056、YX−4000、YL−6121(何れも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂又はそれらの混合物;日本化薬社製EBPS−200、旭電化工業社製EPX−30、DIC社製のEXA−1514(商品名)等のビスフェノールS型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のjER157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン社製のjERYL−931、チバ・ジャパン社製のアラルダイド163等(何れも商品名)のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;チバ・ジャパン社製のアラルダイドPT810、日産化学工業社製のTEPIC等(何れも商品名)の複素環式エポキシ樹脂;日本油脂社製ブレンマーDGT等のジグリシジルフタレート樹脂;東都化成社製ZX−1063等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;新日鐵化学社製ESN−190、ESN−360、DIC社製HP−4032、EXA−4750、EXA−4700等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;DIC社製HP−7200、HP−7200H等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日本油脂社製CP−50S、CP−50M等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;さらにシクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂;エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体(例えばダイセル化学工業製PB−3600等)、CTBN変性エポキシ樹脂(例えば東都化成社製のYR−102、YR−450等)等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特にEHPE3150、PB−3600、セロキサイド2021(いずれもダイセル化学工業社製)等の過酢酸法によるエポキシド変性化合物はハロゲンイオンを不純物として含まないので好ましい。また、アデカサイザーD−32、アデカサイザーD−55、アデカサイザーO−130P、アデカサイザーO−180A(いずれもADEKA社製)等のエポキシ化植物油等のものは同様にハロゲンを含まないため好ましい。
【0084】
前記多官能オキセタン化合物としては、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートやそれらのオリゴマー又は共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、又はシルセスキオキサンなどの水酸基を有する樹脂とのエーテル化物などが挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
【0085】
前記分子中に複数の環状チオエーテル基を有する化合物としては、例えば、ジャパンエポキシレジン社製のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂 YL7000などが挙げられる。また、同様の合成方法を用いて、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えたエピスルフィド樹脂なども用いることができる。
【0086】
前記分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分の配合量は、組成物中のカルボキシル基1当量に対して、好ましくは0.6〜2.5当量、より好ましくは、0.8〜2.0当量となる範囲が適当である。分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分の配合量が0.6当量未満である場合、ソルダーレジスト膜にカルボキシル基が残り、耐熱性、耐アルカリ性、電気絶縁性などが低下するので、好ましくない。一方、2.5当量を超える場合、低分子量の環状(チオ)エーテル基が乾燥塗膜に残存することにより、塗膜の強度などが低下するので、好ましくない。
【0087】
また、他の熱硬化成分として、1分子内に複数のイソシアネート基又はブロック化イソシアネート基を有する化合物を加えることができる。このような1分子内に複数のイソシアネート基又はブロック化イソシアネート基を有する化合物は、1分子内に複数のイソシアネート基を有する化合物、すなわちポリイソシアネート化合物、又は1分子内に複数のブロック化イソシアネート基を有する化合物、すなわちブロックイソシアネート化合物などが挙げられる。
【0088】
前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートが用いられる。芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート及び2,4−トリレンダイマーが挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)及びイソホロンジイソシアネートが挙げられる。脂環式ポリイソシアネートの具体例としてはビシクロヘプタントリイソシアネートが挙げられる。並びに先に挙げられたイソシアネート化合物のアダクト体、ビューレット体及びイソシアヌレート体が挙げられる。
【0089】
前記ブロックイソシアネート化合物に含まれるブロック化イソシアネート基は、イソシアネート基がブロック剤との反応により保護されて一時的に不活性化された基である。所定温度に加熱されたときにそのブロック剤が解離してイソシアネート基が生成する。
【0090】
このようなブロックイソシアネート化合物としては、イソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤との付加反応生成物が用いられる。ブロック剤と反応し得るイソシアネート化合物としては、イソシアヌレート型、ビウレット型、アダクト型等が挙げられる。このイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートが用いられる。芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートの具体例としては、先に例示したような化合物が挙げられる。
【0091】
前記イソシアネートブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、クロロフェノール及びエチルフェノール等のフェノール系ブロック剤;ε−カプロラクタム、δ−パレロラクタム、γ−ブチロラクタム及びβ−プロピオラクタム等のラクタム系ブロック剤;アセト酢酸エチル及びアセチルアセトンなどの活性メチレン系ブロック剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルエーテル、グリコール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジアセトンアルコール、乳酸メチル及び乳酸エチル等のアルコール系ブロック剤;ホルムアルデヒドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系ブロック剤;ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系ブロック剤;酢酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系ブロック剤;コハク酸イミド及びマレイン酸イミド等のイミド系ブロック剤;キシリジン、アニリン、ブチルアミン、ジブチルアミン等のアミン系ブロック剤;イミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系ブロック剤;メチレンイミン及びプロピレンイミン等のイミン系ブロック剤等が挙げられる。
【0092】
前記ブロックイソシアネート化合物は市販のものであってもよく、例えば、スミジュールBL−3175、BL−4165、BL−1100、BL−1265、デスモジュールTPLS−2957、TPLS−2062、TPLS−2078、TPLS−2117、デスモサーム2170、デスモサーム2265(以上、住友バイエルウレタン社製、商品名)、コロネート2512、コロネート2513、コロネート2520(以上、日本ポリウレタン工業社製、商品名)、B−830、B−815、B−846、B−870、B−874、B−882(三井武田ケミカル社製、商品名)、TPA−B80E、17B−60PX、E402−B80T(旭化成ケミカルズ社製、商品名)等が挙げられる。なお、スミジュールBL−3175、BL−4265はブロック剤としてメチルエチルオキシムを用いて得られるものである。
【0093】
上記の1分子内に複数のイソシアネート基又はブロック化イソシアネート基を有する化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような1分子内に複数のイソシアネート基又はブロック化イソシアネート基を有する化合物の配合量は、組成物全体量の1wt%〜50wt%、より好ましくは2〜40wt%の割合が適当である。前記配合量が、1wt%未満の場合、十分な塗膜の強靭性が得られず、好ましくない。一方、50wt%を超えた場合、保存安定性が低下して、好ましくない。
【0094】
さらに、他の熱硬化成分としてメラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体などが挙げられる。例えばメチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物及びメチロール尿素化合物などがある。さらに、アルコキシメチル化メラミン化合物、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン化合物、アルコキシメチル化グリコールウリル化合物及びアルコキシメチル化尿素化合物は、それぞれのメチロールメラミン化合物、メチロールベンゾグアナミン化合物、メチロールグリコールウリル化合物及びメチロール尿素化合物のメチロール基をアルコキシメチル基に変換することにより得られる。このアルコキシメチル基の種類については特に限定されるものではなく、例えばメトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基等とすることができる。特に人体や環境に優しいホルマリン濃度が0.2%以下のメラミン誘導体が好ましい。
【0095】
これらの市販品としては、例えばサイメル300、同301、同303、同370、同325、同327、同701、同266、同267、同238、同1141、同272、同202、同1156、同1158、同1123、同1170、同1174、同UFR65、同300(以上、三井サイアナミッド(株)製)、ニカラックMx−750、同Mx−032、同Mx−270、同Mx−280、同Mx−290、同Mx−706、同Mx−708、同Mx−40、同Mx−31、同Ms−11、同Mw−30、同Mw−30HM、同Mw−390、同Mw−100LM、同Mw−750LM、(以上、(株)三和ケミカル製)等を挙げることができる。上記熱硬化成分は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0096】
上記分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分を使用する場合、熱硬化触媒を含有することが好ましい。そのような熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物などが挙げられる。また、市販されているものとしては、例えば四国化成工業社製の2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ社製のU−CAT(登録商標)3503N、U−CAT3502T(いずれもジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物の商品名)、DBU、DBN、U−CATSA102、U−CAT5002(いずれも二環式アミジン化合物及びその塩)などが挙げられる。特に、これらに限られるものではなく、エポキシ樹脂やオキセタン化合物の熱硬化触媒、もしくはエポキシ基及び/又はオキセタニル基とカルボキシル基の反応を促進するものであればよく、単独で又は2種以上を混合して使用してもかまわない。また、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS−トリアジン誘導体を用いることもでき、好ましくはこれら密着性付与剤としても機能する化合物を前記熱硬化触媒と併用する。
【0097】
これら熱硬化触媒の配合量は、通常の量的割合で充分であり、例えば分子中に複数の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜15.0質量部である。
【0098】
本発明の硬化性樹脂組成物には層間の密着性、又は感光性樹脂層と基材との密着性を向上させるために密着促進剤を用いることができる。具体的に例を挙げると例えば、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンズチアゾール、3−モルホリノメチル−1−フェニル−トリアゾール−2−チオン、5−アミノ−3−モルホリノメチル−チアゾール−2−チオン、2−メルカプト−5−メチルチオ−チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、アミノ基含有ベンゾトリアゾール、シランカップリング剤などがある。
【0099】
本発明の光硬化性樹脂組成物には、分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物を配合することができる。本発明の光硬化性樹脂組成物に用いられる分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物は、活性エネルギー線照射により、光硬化して、本発明の硬化性樹脂や前記カルボキシル基含有感光性樹脂を、アルカリ水溶液に不溶化、又は不溶化を助けるものである。このような化合物としては、慣用公知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートが使用でき具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのジアクリレート類;N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコール又はこれらのエチレオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、もしくはε−カプロラクトン付加物などの多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、及びこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの多価アクリレート類;上記に限らず、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオールなどのポリオールを直接アクリレート化、もしくは、ジイソシアネートを介してウレタンアクリレート化したアクリレート類及びメラミンアクリレート、及び/又は上記アクリレートに対応する各メタクリレート類などが挙げられる。
【0100】
さらに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などの多官能エポキシ樹脂に、アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート樹脂や、さらにそのエポキシアクリレート樹脂の水酸基に、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのヒドロキシアクリレートとイソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートのハーフウレタン化合物を反応させたエポキシウレタンアクリレート化合物などが、挙げられる。このようなエポキシアクリレート系樹脂は、指触乾燥性を低下させることなく、光硬化性を向上させることができる。
【0101】
このような分子中に複数のエチレン性不飽和基を有する化合物の配合量は、組成物の固形分中1〜70wt%、さらに好ましくは5〜60wt%であり、前記カルボキシル基含有感光性樹脂と併用するときは、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、5〜100質量部、より好ましくは、5〜70質量部の割合が適当である。前記配合量が、5質量部未満の場合、光硬化性が低下し、活性エネルギー線照射後のアルカリ現像により、パターン形成が困難となるので、好ましくない。一方、100質量部を超えた場合、アルカリ水溶液に対する溶解性が低下して、塗膜が脆くなるので、好ましくない。
【0102】
本発明の硬化性樹脂組成物は、着色剤を配合することができる。着色剤としては、赤、青、緑、黄などの慣用公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。但し、環境負荷低減並びに人体への影響の観点からハロゲンを含有しないことが好ましい。
【0103】
赤色着色剤:
赤色着色剤としてはモノアゾ系、ジズアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系などがあり、具体的には以下のようなカラ−インデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyers and Colourists)発行)番号が付されているものが挙げられる。
モノアゾ系:Pigment Red 1, 2, 3, 4, 5, 6, 8, 9, 12, 14, 15, 16, 17, 21, 22, 23, 31, 32, 112, 114, 146, 147, 151, 170, 184, 187, 188, 193, 210, 245, 253, 258, 266, 267, 268, 269。
ジスアゾ系:Pigment Red 37, 38, 41。
モノアゾレーキ系:Pigment Red 48:1, 48:2, 48:3, 48:4, 49:1, 49:2, 50:1, 52:1, 52:2, 53:1, 53:2, 57:1, 58:4, 63:1, 63:2, 64:1,68。
ベンズイミダゾロン系:Pigment Red 171、Pigment Red 175、Pigment Red 176、Pigment Red 185、Pigment Red 208。
ぺリレン系:Solvent Red 135、Solvent Red 179、Pigment Red 123、Pigment Red 149、Pigment Red 166、Pigment Red 178、Pigment Red 179、Pigment Red 190、Pigment Red 194、Pigment Red 224。
ジケトピロロピロール系:Pigment Red 254、Pigment Red 255、Pigment Red 264、Pigment Red 270、Pigment Red 272。
縮合アゾ系:Pigment Red 220、Pigment Red 144、Pigment Red 166、Pigment Red 214、Pigment Red 220、Pigment Red 221、Pigment Red 242。
アンスラキノン系:Pigment Red 168、Pigment Red 177、Pigment Red 216、Solvent Red 149、Solvent Red 150、Solvent Red 52、Solvent Red 207。
キナクリドン系:Pigment Red 122、Pigment Red 202、Pigment Red 206、Pigment Red 207、Pigment Red 209。
【0104】
青色着色剤:
青色着色剤としてはフタロシアニン系、アントラキノン系があり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなものを挙げることができる:Pigment Blue 15、Pigment Blue 15:1、Pigment Blue 15:2、Pigment Blue 15:3、Pigment Blue 15:4、Pigment Blue 15:6、Pigment Blue 16、Pigment Blue 60。
染料系としては、Solvent Blue 35、Solvent Blue 63、Solvent Blue 68、Solvent Blue 70、Solvent Blue 83、Solvent Blue 87、Solvent Blue 94、Solvent Blue 97、Solvent Blue 122、Solvent Blue 136、Solvent Blue 67、Solvent Blue 70等を使用することができる。上記以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
【0105】
緑色着色剤:
緑色着色剤としては、同様にフタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系があり、具体的にはPigment Green 7、Pigment Green 36、Solvent Green 3、Solvent Green 5、Solvent Green 20、Solvent Green 28等を使用することができる。上記以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
【0106】
黄色着色剤:
黄色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等があり、具体的には以下のものが挙げられる。
アントラキノン系:Solvent Yellow 163、Pigment Yellow 24、Pigment Yellow 108、Pigment Yellow 193、Pigment Yellow 147、Pigment Yellow 199、Pigment Yellow 202。
イソインドリノン系:Pigment Yellow 110、Pigment Yellow 109、Pigment Yellow 139、Pigment Yellow 179、Pigment Yellow 185。
縮合アゾ系:Pigment Yellow 93、Pigment Yellow 94、Pigment Yellow 95、Pigment Yellow 128、Pigment Yellow 155、Pigment Yellow 166、Pigment Yellow 180。
ベンズイミダゾロン系:Pigment Yellow 120、Pigment Yellow 151、Pigment Yellow 154、Pigment Yellow 156、Pigment Yellow 175、Pigment Yellow 181。
モノアゾ系:Pigment Yellow 1, 2, 3, 4, 5, 6, 9, 10, 12, 61, 62, 62:1, 65, 73, 74, 75, 97, 100, 104, 105, 111, 116, 167, 168, 169, 182, 183。
ジスアゾ系:Pigment Yellow 12, 13, 14, 16, 17, 55, 63, 81, 83, 87, 126, 127, 152, 170, 172, 174, 176, 188, 198。
【0107】
その他、色調を調整する目的で紫、オレンジ、茶色、黒などの着色剤を加えてもよい。
具体的に例示すれば、Pigment Violet 19、23、29、32、36、38、42、Solvent Violet 13、36、C.I.ピグメントオレンジ1、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ17、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ63、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73、C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7等がある。
【0108】
前記したような着色剤の配合割合は、特に制限はないが、組成物の固形分中5wt%以下、さらに好ましくは0.1〜3wt%で十分である。
【0109】
高分子材料の多くは、一度酸化が始まると、次々と連鎖的に酸化劣化が起き、高分子素材の機能低下をもたらすことから、本発明の硬化性樹脂組成物には酸化を防ぐために、(1)発生したラジカルを無効化するようなラジカル補足剤又は/及び(2)発生した過酸化物を無害な物質に分解し、新たなラジカルが発生しないようにする過酸化物分解剤などの酸化防止剤を添加することができる。
【0110】
ラジカル補足剤として働く酸化防止剤としては、例えば、ヒドロキノン、4−t−ブチルカテコール、2−t−ブチルヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン等のフェノール系、メタキノン、ベンゾキノン等のキノン系化合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、フェノチアジン等のアミン系化合物等が挙げられる。
【0111】
ラジカル補足剤は市販のものであってもよく、例えば、アデカスタブAO−30、アデカスタブAO−330、アデカスタブAO−20、アデカスタブLA−77、アデカスタブLA−57、アデカスタブLA−67、アデカスタブLA−68、アデカスタブLA−87(いずれも旭電化社製)、IRGANOX 1010、IRGANOX 1035、IRGANOX 1076、IRGANOX 1135、TINUVIN 111FDL、TINUVIN 123、TINUVIN 144、TINUVIN 152、TINUVIN 292、TINUVIN 5100(いずれもチバ・ジャパン社製)等が挙げられる。
【0112】
過酸化物分解剤として働く酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルフォスファイト等のリン系化合物、ペンタエリスリトールテトララウリルチオプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート等の硫黄系化合物等が挙げられる。
過酸化物分解剤は市販のものであってもよく、例えば、アデカスタブTPP(旭電化社製)、マークAO−412S(アデカ・アーガス化学社製)、スミライザーTPS(住友化学社製)等が挙げられる。
上記のような酸化防止剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0113】
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記酸化防止剤の他に、紫外線吸収剤を使用することができる。
このような紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾエート誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、シンナメート誘導体、アントラニレート誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体等が挙げられる。
【0114】
ベンゾフェノン誘導体としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン及び2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0115】
ベンゾエート誘導体としては、例えば、2−エチルヘキシルサリチレート、フェニルサリチレート、p−t−ブチルフェニルサリチレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート及びヘキサデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
【0116】
ベンゾトリアゾール誘導体としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)エンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール及び2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0117】
トリアジン誘導体としては、例えば、ヒドロキシフェニルトリアジン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等が挙げられる。
【0118】
紫外線吸収剤としては、市販のものであってもよく、例えば、TINUVI PS、TINUVIN 99−2、TINUVIN 109、TINUVIN 384−2、TINUVIN 900、TINUVIN 928、TINUVIN 1130、TINUVIN 400、TINUVIN 405、TINUVIN 460、TINUVIN 479(いずれもチバ・ジャパン社製)等が挙げられる。
【0119】
前記したような紫外線吸収剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、酸化防止剤と併用することで、本発明の硬化性樹脂組成物より得られる成形物の安定化を図ることができる。
【0120】
本発明の硬化性樹脂組成物は、その塗膜の物理的強度等を上げるために、必要に応じて、フィラーを配合することができる。このようなフィラーとしては、公知慣用の無機又は有機フィラーが使用できるが、特に硫酸バリウム、球状シリカ及びタルクが好ましく用いられる。さらに、白色の外観や難燃性を得るために酸化チタンや金属酸化物、水酸化アルミなどの金属水酸化物を体質顔料フィラーとしても使用することができる。フィラーの配合量は、好ましくは組成物全体量の75wt%以下、より好ましくは0.1〜60wt%の割合である。フィラーの配合量が、組成物全体量の75wt%を超えた場合、絶縁組成物の粘度が高くなり、塗布、成形性が低下したり、硬化物が脆くなるので好ましくない。
【0121】
さらに、本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明の硬化性樹脂や前記カルボキシル基含有感光性樹脂の合成のため、組成物の調製のため、又は基板やキャリアフィルムに塗布するための粘度調整のため、有機溶剤を使用することができる。
【0122】
このような有機溶剤としては、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などを挙げることができる。より具体的には、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート、2-ヒドロキシイソ酪酸メチルなどのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などである。このような有機溶剤は、単独で又は2種以上の混合物として用いられる。
【0123】
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらに必要に応じて、公知の熱重合禁止剤、微粉シリカ、有機ベントナイト、モンモリロナイト等の公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤及び/又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤、酸化防止剤、防錆剤等のような公知の添加剤類を配合することができる。
【0124】
熱重合禁止剤は、重合性化合物の熱的な重合又は経時的な重合を防止するために用いることができる。熱重合禁止剤としては、例えば、4−メトキシフェノール、ハイドロキノン、アルキル又はアリール置換ハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−メトキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、塩化第一銅、フェノチアジン、クロラニル、ナフチルアミン、β−ナフトール、2,6−ジ−t−ブチル−4−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ピリジン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ピクリン酸、4−トルイジン、メチレンブルー、銅と有機キレート剤反応物、サリチル酸メチル、及びフェノチアジン、ニトロソ化合物、ニトロソ化合物とAlとのキレート等が挙げられる。
【0125】
本発明の硬化性樹脂組成物は、例えば前記有機溶剤で塗布方法に適した粘度に調整し、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布し、約60〜100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることにより、タックフリーの塗膜を形成できる。また、上記組成物をキャリアフィルム上に塗布し、乾燥させてフィルムとして巻き取ったものを基材上に張り合わせることにより、樹脂絶縁層を形成できる。その後、光硬化性樹脂組成物の場合、接触式(又は非接触方式)により、パターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光もしくはレーザーダイレクト露光機により直接パターン露光し、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば0.3〜3wt%炭酸ソーダ水溶液)により現像してレジストパターンが形成される。さらに、熱硬化性成分を含有している組成物の場合、例えば約140〜180℃の温度に加熱して熱硬化させることにより、本発明の硬化性樹脂や前記カルボキシル基含有感光性樹脂のカルボキシル基と、分子中に複数の環状エーテル基及び/又は環状チオエーテル基を有する熱硬化性成分が反応し、耐熱性、耐薬品性、耐吸湿性、密着性、電気特性などの諸特性に優れた硬化塗膜を形成することができる。尚、熱硬化性成分を含有していない場合でも、熱処理することにより、露光時に未反応の状態で残った光硬化性成分のエチレン性不飽和結合が熱ラジカル重合し、塗膜特性が向上するため、目的・用途により、熱処理(熱硬化)してもよい。
【0126】
上記基材としては、予め回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙−フェノール樹脂、紙−エポキシ樹脂、ガラス布−エポキシ樹脂、ガラス−ポリイミド、ガラス布/不繊布−エポキシ樹脂、ガラス布/紙−エポキシ樹脂、合成繊維−エポキシ樹脂、フッ素樹脂・ポリエチレン・PPO・シアネートエステル等の複合材を用いた全てのグレード(FR−4等)の銅張積層板、ポリイミドフィルム、PETフィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を用いることができる。
【0127】
本発明の硬化性樹脂組成物を塗布した後に行う揮発乾燥は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブンなど(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法及びノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
【0128】
以上のように本発明の光硬化性樹脂組成物を塗布し、揮発乾燥した後、得られた塗膜に対し、露光(活性エネルギー線の照射)を行う。塗膜は、露光部(活性エネルギー線により照射された部分)が硬化する。
【0129】
上記活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、直接描画装置(例えばコンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)、メタルハライドランプを搭載した露光機、(超)高圧水銀ランプを搭載した露光機、水銀ショートアークランプを搭載した露光機、もしくは(超)高圧水銀ランプなどの紫外線ランプを使用した直接描画装置を用いることができる。活性エネルギー線としては、最大波長が350〜410nmの範囲にあるレーザー光を用いていればガスレーザー、固体レーザーどちらでもよい。また、その露光量は膜厚等によって異なるが、一般には5〜800mJ/cm、好ましくは5〜500mJ/cmの範囲内とすることができる。上記直接描画装置としては、例えば日本オルボテック社製、ペンタックス社製等のものを使用することができ、最大波長が350〜410nmのレーザー光を発振する装置であればいずれの装置を用いてもよい。
【0130】
前記現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類などのアルカリ水溶液が使用できる。
【0131】
本発明の硬化性樹脂組成物は、液状で直接基材に塗布する方法以外にも、予めポリエチレンテレフタレート等のフィルムにソルダーレジストを塗布・乾燥して形成したソルダーレジスト層を有するドライフィルムの形態で使用することもできる。本発明の硬化性樹脂組成物をドライフィルムとして使用する場合を以下に示す。
【0132】
ドライフィルムは、キャリアフィルムと、ソルダーレジスト層と、必要に応じて用いられる剥離可能なカバーフィルムとが、この順序に積層された構造を有するものである。ソルダーレジスト層は、例えばアルカリ現像性の光硬化性樹脂組成物をキャリアフィルム又はカバーフィルムに塗布・乾燥して得られる層である。キャリアフィルムにソルダーレジスト層を形成した後に、カバーフィルムをその上に積層するか、カバーフィルムにソルダーレジスト層を形成し、この積層体をキャリアフィルムに積層すればドライフィルムが得られる。
【0133】
キャリアフィルムとしては、2〜150μmの厚みのポリエステルフィルム等の熱可塑性フィルムが用いられる。
ソルダーレジスト層は、アルカリ現像性光硬化性樹脂組成物をブレードコーター、リップコーター、コンマコーター、フィルムコーター等でキャリアフィルム又はカバーフィルムに10〜150μmの厚さで均一に塗布し乾燥して形成される。
カバーフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等を使用することができるが、ソルダーレジスト層との接着力が、キャリアフィルムよりも小さいものが良い。
【0134】
ドライフィルムを用いてプリント配線板上に保護膜(永久保護膜)を作製するには、カバーフィルムを剥がし、ソルダーレジスト層と回路形成された基材を重ね、ラミネーター等を用いて張り合わせ、回路形成された基材上にソルダーレジスト層を形成する。形成されたソルダーレジスト層に対し、前記と同様に露光、現像、加熱硬化すれば、硬化塗膜を形成することができる。キャリアフィルムは、露光前又は露光後のいずれかに剥離すれば良い。
【実施例】
【0135】
以下に実施例及び比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではないことはもとよりである。尚、以下において「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
【0136】
カルボキシル基含有アクリレート合成例1
攪拌機、窒素導入管、冷却管を取り付けた500ミリリットルの四口丸底セパラブルラスコにIV値0.6〜0.7のリサイクルPETフレーク384部を仕込み、フラスコ内を窒素雰囲気とした後、300℃に昇温させた塩浴に浸した。PETが溶解したところで、攪拌を開始するとともに、酸化ジブチルスズ1.30部を添加した。次いで、予め130℃で加温し溶解させたトリメチロールプロパン134部をPETが固化しないよう注意しながら少量ずつ添加した。この間、粘度が低下した段階で攪拌速度を150rpmに高めた。次に、塩浴から予め240℃へ昇温した油浴に交換し、フラスコ内温を220℃±10℃に保ち、5時間反応させた。次に、この反応物を攪拌機、空気導入管、分留管、冷却管を取り付けた500mLの四口フラスコに150部取り、アクリル酸31.2部、パラトルエンスルホン酸1.82部、パラメトキシフェノール0.17部、メチルイソブチルケトン76部、トルエン38部を仕込み、攪拌して均一に溶解させた後、115℃±5℃に昇温させた油浴に浸し、所定時間反応を続けた。反応終了後、反応液の酸価を測定し、酸当量のアルカリ水溶液をフラスコ内に加えて攪拌し、中和した。次いで、食塩水(20wt%)を加え攪拌した。その後、溶液を分液漏斗に移し、反応液と同量のメチルエチルケトンを加え、水相を捨てた。油相を2回食塩水(5wt%)にて洗い、水相を捨てた。さらに、油相を少量の水道水で2回洗い、水相を捨てた。次に、反応液をビーカーに移し、ビーカー中で油相をヘキサンと攪拌し、静置後に上澄みを捨てた。最後に、エバポレーターにて濃縮を行い、PET含有アクリレート樹脂Aを得た。次に攪拌機、窒素導入管、冷却管を取り付けた300mLの四口丸底フラスコにPET含有アクリレート樹脂Aを50部、カルビトールアセテートを30部を仕込み、フラスコ内を窒素雰囲気とした後、80℃±5℃に昇温させた油浴に浸した。次に、トリフェニルホスフィン0.8部とメトキノン0.4部を7.8部のカルビトールアセテートに溶解させたカルビトールアセテート溶液を徐々に滴下しつつ、テトラヒドロ無水フタル酸20部を2.5時間毎に4回に分けて添加しながら10時間反応させ、固形分65%、固形分酸価119mgKOH/gのカルボキシル基含有アクリレートの樹脂溶液を得た。この樹脂溶液をワニスAとする。
【0137】
カルボキシル基含有アクリレート合成例2
攪拌機、窒素導入管、冷却管を取り付けた1000ミリリットルの四口丸底セパラブルラスコにIV値0.6〜0.7のリサイクルPETフレーク384部を仕込み、フラスコ内を窒素雰囲気とした後、300℃に昇温させた塩浴に浸した。PETが溶解したところで、攪拌を開始するとともに、酸化ジブチルスズ1.6部を添加した。次いで、予め130℃で加温し溶解させたトリメチロールプロパン134部をPETが固化しないよう注意しながら少量ずつ添加した。この間、粘度が低下した段階で攪拌速度を150rpmに高めた。次に、塩浴から予め240℃へ昇温した油浴に交換し、フラスコ内温を220℃±10℃に保ち、5時間反応させた。次に、この反応物を攪拌機、空気導入管、分留管、冷却管を取り付けた1000mLの四口フラスコに518部取り、アクリル酸81部、パラトルエンスルホン酸2.4部、パラメトキシフェノール0.8部、メチルイソブチルケトン212部、トルエン112部を仕込み、攪拌して均一に溶解させた後、115℃±5℃に昇温させた油浴に浸し、所定時間反応を続けた。反応終了後、反応液の酸価を測定し、酸当量のアルカリ水溶液をフラスコ内に加えて攪拌し、中和した。次いで、食塩水(20wt%)を加え攪拌した。その後、溶液を分液漏斗に移し、反応液と同量のメチルエチルケトンを加え、水相を捨てた。油相を2回食塩水(5wt%)にて洗い、水相を捨てた。さらに、油相を少量の水道水で2回洗い、水相を捨てた。次に、反応液をビーカーに移し、ビーカー中で油相をヘキサンと攪拌し、静置後に上澄みを捨てた。最後に、エバポレーターにて濃縮を行い、PET含有アクリレート樹脂Bを得た。次に、攪拌機、窒素導入管、冷却管を取り付けた300mLの四口丸底フラスコにPET含有アクリレート樹脂Bを50部、カルビトールアセテートを27部を仕込み、フラスコ内を窒素雰囲気とした後、80℃±5℃に昇温させた油浴に浸した。次に、トリフェニルホスフィン0.8部とメトキノン0.4部を10部のカルビトールアセテートに溶解させたカルビトールアセテート溶液を徐々に滴下しつつ、テトラヒドロ無水フタル酸20部を2.5時間毎に4回に分けて添加しながら10時間反応させ、固形分65%、固形分酸価128mgKOH/gのカルボキシル基含有アクリレートの樹脂溶液を得た。この樹脂溶液をワニスBとする。
【0138】
カルボキシル基含有アクリレート合成例3
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート600部にオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、EPICLON N−695、軟化点95℃、エポキシ当量214、平均官能基数7.6)1070部(グリシジル基数(芳香環総数):5.0モル)、アクリル酸360部(5.0モル)、及びハイドロキノン1.5部を仕込み、100℃に加熱攪拌し、均一溶解した。次いで、トリフェニルホスフィン4.3部を仕込み、110℃に加熱して2時間反応後、120℃に昇温してさらに12時間反応を行った。得られた反応液に芳香族系炭化水素(ソルベッソ150)415部、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)456.0部(3.0モル)を仕込み、110℃で4時間反応を行い、冷却後、固形分酸価89mgKOH/g、固形分65%の樹脂溶液を得た。この樹脂溶液をワニスCとする。
【0139】
カルボン酸樹脂合成例
攪拌機、窒素導入管、冷却管を取り付けた500ミリリットルの四口丸底セパラブルラスコにIV値0.6〜0.7のリサイクルPETフレーク192部を仕込み、フラスコ内を窒素雰囲気とした後、300℃に昇温させた塩浴に浸した。PETが溶解したところで、攪拌を開始するとともに、酸化ジブチルスズ0.65部を添加した。次いで、予め130℃で加温し溶解させたトリメチロールプロパン134部をPETが固化しないよう注意しながら少量ずつ添加した。この間、粘度が低下した段階で攪拌速度を150rpmに高めた。次に、塩浴から予め240℃へ昇温した油浴に交換し、フラスコ内温を220℃±10℃に保ち、5時間反応させた後、室温まで冷却した。次に、THPAを121.6部、カルビトールアセテートを240部仕込み、フラスコ内を窒素雰囲気とした後、125±5℃に昇温させた油浴に浸した。攪拌を徐々に開始し3時間反応を行い、不揮発分65%、固形分酸価103mgKOH/gのカルボン酸樹脂ワニスを得た。これをワニスDとする。
【0140】
感光性樹脂合成例
攪拌機、窒素導入管、冷却管を取り付けた500ミリリットルの四口丸底セパラブルラスコにIV値0.6〜0.7のリサイクルPETフレーク192部を仕込み、フラスコ内を窒素雰囲気とした後、300℃に昇温させた塩浴に浸した。PETフレークが溶解したところで、攪拌を開始するとともに、酸化ジブチルスズ0.65部を添加した。
次いで、予め130℃で加温し溶解させたトリメチロールプロパン134部をPETが固化しないよう注意しながら少量ずつ添加した。この間、粘度が低下した段階で攪拌速度を150rpmに高めた。次に、塩浴から予め240℃へ昇温した油浴に交換し、フラスコ内温を220℃±5℃に保ち、5時間反応させた。反応物は常温で黄色透明、軟質粘調状であった。
得られた反応物100部にトルエン37部、メチルイソブチルケトン74部を導入し、混合した。次にアクリル酸65部、パラトルエンスルホン酸1.94部、パラメトキシフェノール0.26部を加えて110℃で100時間反応させ、室温まで冷却した。得られた反応液の酸価を測定し、酸当量のアルカリ水溶液をフラスコ内に加え攪拌し、中和した。次いで、食塩水50部を加え攪拌した。
その後、溶液を分液ロートに移して水相を捨て、油相を5wt%のNaCl溶液100部にて2回洗った。洗浄後、エバポレーターにて溶剤分を留去し、不揮発分100%の反応物を得た。得られた反応物は常温で褐色透明の軟質液状であった。これを樹脂Eとする
【0141】
実施例1〜6及び比較例1〜3
上記各合成例で得られた樹脂を用い、下記表1に示す種々の成分と共に表1に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、ソルダーレジスト用感光性樹脂組成物を調製した。
【0142】
【表1】

上記表1中の符号の意味は以下のとおりである。
*1 ハイドロタルサイト化合物:アルカマイザー 協和化学工業(株)製
*2 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:日本化薬(株)製
*3 イルガキュアOXE02 チバ・ジャパン社製
*4 カルボジイミド化合物:カルボジライト10M−SP 日清紡(株)製
*5 EHPE3150(ダイセル化学工業(株)製)
*6 ブロックイソシアネート(TPA−B80E;旭化成ケミカルズ(株)製)
*7 トリグリシジルイソシアヌレート
*8 メラミン
*9 Irganox1010(チバ・ジャパン社製)
*10 2-メルカプトベンゾチアゾール(アクセルM;川口化学工業(株)製)
*11 C.I.Pigment Blue 15:3
*12 C.I.Pigment Yellow 147
*13 硫酸バリウム(B−30:堺化学(株)製)
*14 KS−66(信越シリコーン(株)製)
*15 ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
【0143】
性能評価:
<再生ポリエステル含有率>
前記実施例及び比較例の組成物において、硬化塗膜中の全有機物に対する再生ポリエステル樹脂の含有率を算出した。
【0144】
<最適露光量>
銅厚35μmの回路パターン基板をバフロール研磨後、水洗し、乾燥してから、前記実施例及び比較例の光硬化性熱硬化性樹脂組成物をスクリーン印刷法により全面に塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で60分間乾燥させた。乾燥後、高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光装置を用いてステップタブレット(Kodak No.2)を介して露光し、現像(30℃、0.2MPa、1wt%NaCO水溶液)を60秒で行った際に残存するステップタブレットのパターンが7段の時を最適露光量とした。
【0145】
<現像性>
前記実施例及び比較例の光硬化性熱硬化性樹脂組成物を、銅ベタ基板上にスクリーン印刷法により乾燥後の膜厚が約25μmになるように塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させた。乾燥後、1wt%NaCO水溶液によって現像を行い、乾燥塗膜が除去されるまでの時間をストップウォッチにより計測した。
【0146】
<指触乾燥性>
前記実施例及び比較例の光硬化性熱硬化性樹脂組成物をそれぞれパターン形成された銅箔基板上にスクリーン印刷で全面塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させ、室温まで放冷した。この基板にPETフィルムを押し当て、その後、ネガフィルムを剥がしたときのフィルムの張り付き状態を評価した。判定基準は以下のとおりである。
◎:フィルムを剥がすときに、全く抵抗が無く、塗膜に跡が残らない。
○:フィルムを剥がす時に、全く抵抗が無いが、塗膜に跡が少しついている。
△:フィルムを剥がす時に、僅かに抵抗があり、塗膜に跡が少しついている。
×:フィルムを剥がす時に、抵抗があり、塗膜にはっきり跡がついている。
【0147】
<解像性>
実施例及び比較例の光硬化性熱硬化性樹脂組成物を、ライン/スペースが300/300、銅厚35μmの回路パターン基板をバフロール研磨後、水洗し、乾燥してからスクリーン印刷法により塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させた。乾燥後、高圧水銀灯を搭載した露光装置を用いて露光した。露光パターンはスペース部に20/30/40/50/60/70/80/90/100μmのラインを描画させるネガを使用した。露光量は感光性樹脂組成物の最適露光量となるように活性エネルギー線を照射した。露光後、30℃の1wt%NaCO水溶液をスプレー圧0.2MPaの条件で60秒間現像を行い、150℃×60分の熱硬化をすることにより硬化塗膜を得た。得られたソルダーレジスト用感光性樹脂組成物の硬化塗膜の最小残存ラインを200倍に調整した光学顕微鏡を用いて求め、これを解像性とした。
【0148】
<ハロゲン含有量>
上記各合成例で得られた樹脂溶液を用い、前記表1に示す種々の成分と共に表1に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、光硬化性熱硬化性樹脂組成物を調製した。得られた光硬化性熱硬化性樹脂組成物をJPCA規格に基づくフラスコ燃焼処理イオンクロマトグラフ法を用いることにより、ハロゲンイオン不純物含有量(塩素物と臭素物の合計)を定量した。結果を表2に示す。尚、ハロゲン濃度が20ppm以下のものに関しての表記は[−]とする。
【0149】
特性試験:
前記各実施例及び比較例の組成物を、パターン形成された銅箔基板上にスクリーン印刷で全面塗布し、80℃で30分乾燥し、室温まで放冷した。この基板に高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光装置を用いて最適露光量でソルダーレジストパターンを露光し、30℃の1wt%NaCO水溶液をスプレー圧0.2MPaの条件で60秒間現像を行い、レジストパターンを得た。この基板を、UVコンベア炉にて積算露光量1000mJ/cmの条件で紫外線照射した後、150℃で60分加熱して硬化した。得られたプリント基板(評価基板)に対して以下のように特性を評価した。
【0150】
<はんだ耐熱性>
ロジン系フラックスを塗布した評価基板を、予め260℃に設定した、はんだ槽に浸漬し、変性アルコールでフラックスを洗浄した後、目視によるレジスト層の膨れ・剥がれについて評価した。判定基準は以下のとおりである。
◎:10秒間浸漬を6回以上繰り返しても剥がれが認められない。
○:10秒間浸漬を3回以上繰り返しても剥がれが認められない。
△:10秒間浸漬を3回以上繰り返すと少し剥がれる。
×:10秒間浸漬を3回以内にレジスト層に膨れ、剥がれがある。
【0151】
<無電解金めっき耐性>
市販品の無電解ニッケルめっき浴及び無電解金めっき浴を用いて、ニッケル0.5μm、金0.03μmの条件でめっきを行い、テープピーリングにより、レジスト層の剥がれの有無やめっきのしみ込みの有無を評価した後、テープピーリングによりレジスト層の剥がれの有無を評価した。判定基準は以下のとおりである。
◎:染み込み、剥がれが見られない。
○:めっき後に少し染み込みが確認されるが、テープピール後は剥がれない。
△:めっき後にほんの僅かしみ込みが見られ、テープピール後に剥がれも見られる。
×:めっき後に剥がれが有る。
【0152】
<耐アルカリ性>
評価基板を10wt%NaOH水溶液に室温で30分間浸漬し、染み込みや塗膜の溶け出し、さらにテープビールによる剥がれを確認した。判定基準は以下のとおりである。
○:染み込み、溶け出し、剥がれなし。
△:染み込み、溶け出し、もしくは剥がれが少し確認される。
×:染み込み、溶け出し、もしくは剥がれが大きく確認される。
【0153】
<電極変色耐性>
銅箔基板に代えてライン/スペース=50/50μmのクシ型電極パターンを用い、上記の条件で評価基板を作製し、このクシ型電極を121℃、97%R.H.の加温加湿条件下でDC305Vのバイアス電圧を印加し、100時間後の電極周辺の塗膜の変色度合いを評価した。判定基準は以下のとおりである。
○:塗膜の変色無し。
△:塗膜の変色が僅かに確認される。
×:塗膜の変色有り。
【0154】
<ドライフィルム作製>
実施例1及び比較例2のソルダーレジスト用感光性樹脂組成物をそれぞれメチルエチルケトンで適宜希釈した後、アプリケーターを用いて、乾燥後の膜厚が30μmになるようにPETフィルム(東レ製 FB−50:16μm)に塗布し、40〜100℃で乾燥させドライフィルムを得た。
【0155】
<基板作製>
回路形成された基板をバフ研磨した後、上記方法にて作製したドライフィルムを真空ラミネーター(名機製作所製 MVLP−500)を用いて加圧度:0.8MPa、70℃、1分、真空度:133.3Paの条件で加熱ラミネートして、未露光のソルダーレジスト層を有する基板(未露光の基板)を得た。得られた基板を前記評価方法と同様にして、最適露光量、現像性、解像性、はんだ耐熱性、金めっき耐性、耐アルカリ性の各試験を行った。
評価結果を表2に示す。
【0156】
【表2】

【0157】
上記のように、本発明の硬化性樹脂組成物は、耐電極腐食性に優れ、また、PETボトル廃材等を原料とすることで環境へ与える負荷を低減でき、アルカリ現像性光硬化性樹脂組成物、特にソルダーレジストとして有用であることが認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で示される構造を含む化合物から誘導される硬化性樹脂、(B)層状複水酸化物を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【化1】

(式中、Rは(m+l)価の多価アルコール誘導体を表し、m及びnは1以上、10未満の整数であり、lは0もしくは1以上の整数であり、RはCH、C、C、C、置換もしくは無置換の芳香族環のいずれかを表し、Rは置換もしくは無置換の芳香族環を表す。)
【請求項2】
前記一般式(1)で示される構造を含む化合物が、(a)ポリエステルを(b)1分子内に2個以上の水酸基を有するポリオールで解重合させることにより得られるポリオール樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記ポリエステル(a)が、再生ポリエステルであることを特徴とする請求項2に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
カルボジイミド基を有する化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を、フィルム上に塗布・乾燥させて得られる硬化性ドライフィルム。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物、又は前記硬化性樹脂組成物をフィルム上に塗布・乾燥させて得られる硬化性ドライフィルムを、パターン状に硬化させて得られる硬化物。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物、又は前記硬化性樹脂組成物をフィルム上に塗布・乾燥させて得られる光硬化性のドライフィルムを、パターン状に光硬化させた後、熱硬化して得られる硬化皮膜を有するプリント配線板。

【公開番号】特開2012−46691(P2012−46691A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192193(P2010−192193)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(591021305)太陽ホールディングス株式会社 (327)
【Fターム(参考)】