説明

硬化性樹脂組成物、その硬化物、及びプラスチックレンズ

【課題】有機系光学材料として硬化物における屈折率が高く、かつ、硬化物における耐熱性及び耐湿性にも優れる(メタ)アクリレート樹脂、硬化性樹脂組成物、その硬化物、及びプラスチックレンズを提供する。
【解決手段】
ビナフタレン骨格及びラジカル重合性不飽和結合を有する重合性化合物(A)と下記一般式(3)
【化1】


(式中、R、Rはそれぞれ水素原子またはアルキル基である。Xはそれぞれ水素原子または水酸基である。m、nはそれぞれ0〜5である。)で表される重合性化合物(B)とラジカル重合開始剤(C)を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物を、加熱又は活性エネルギー線照射により硬化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低粘度であって活性エネルギー線照射又は加熱により硬化し、また、硬化後は、屈折率が高く、かつ、高耐熱性及び高耐湿性を兼備した硬化物となるため、光学用オーバーコート剤、ハードコート剤、反射防止膜、眼鏡レンズ、光ファイバー、光導波路、ホログラム等の光学部品、その他プリズムレンズ、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ等のプラスチックレンズに適する硬化性樹脂組成物、及びその硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
光学用オーバーコート剤、ハードコート剤、反射防止膜、眼鏡レンズ、光ファイバー、光導波路、ホログラム等の光学部品には、近年、加工・生産性に優れる点から樹脂材料が広く用いられており、また、光学部品の小型化、薄型化といった傾向、或いは、反射防止性の調整といった観点から屈折率の高い樹脂材料が求められている。
【0003】
従来より、かかる要求に応える屈折率の高い光学材料として、フルオレン骨格を有するアクリレート樹脂が知られており、例えば、アクリロイル基がアルキレンオキシ基を介してフルオレン骨格に結合した2官能型化合物や(下記特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)、フルオレン骨格を含有するジグリシジルエーテルとアクリル酸又はメタクリル酸とを反応させて得られる化合物(下記特許文献4参照)が知られている。
【0004】
然しながら、前記したフルオレン骨格を有するアクリレート樹脂は、重合性成分としてそれ単独で用いた場合には硬化物の屈折率は高くなるものの、該アクリレート樹脂自体が固形、または常温で3000Pa・S以上の高粘度液体であるために、屈折率が低い希釈剤を多量に併用する必要があり、そのため得られる硬化物の屈折率が、結局、低くなってしまうものであった。加えて、フルオレン骨格を有するアクリレート樹脂の硬化物は、耐熱性、高耐湿性に劣り、光学材料の長期信頼性に劣るものであった。
【0005】
また、高屈折率の光学材料としてはビナフトール骨格を有するポリエステル樹脂が知られている(下記特許文献5参照)。
然しながら、かかるビナフトール骨格を有するポリエステル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が10,000〜100,000と高く、常温で固形の熱可塑性樹脂であるため、活性エネルギー線または熱硬化樹脂の用途に適用できるものでなく、更に、耐溶剤性、耐熱性、高耐湿性に劣る他、光学材料の長期信頼性も低いものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3130555号
【特許文献2】特開2007−84815号公報
【特許文献3】国際公開番号WO2005/033061
【特許文献4】特開平03−106918号公報
【特許文献5】特開2002−332345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明が解決しようとする課題は、低粘度でありながら硬化物における屈折率が高く、かつ、硬化物の耐熱性及び耐湿性にも優れる硬化性樹脂組成物、及びかかる性能を兼備した硬化物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、ビナフタレン骨格とラジカル重合性不飽和結合を有する重合性化合物は、その硬化物は高屈折率であること、該重合性化合物は前記フルオレン骨格を有するアクリレート樹脂と比べて低粘度であり、前記フルオレン骨格を有するアクリレート樹脂の粘度を低下させる際の反応性希釈剤として用いることができること、得られる組成物の硬化物は屈折率が高く、また、優れた耐熱性・耐湿性を兼備できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、ビナフタレン骨格及びラジカル重合性不飽和結合を有する重合性化合物(A)と下記一般式(3)
【0010】
【化1】

(式中、R、Rはそれぞれ水素原子またはアルキル基である。Xはそれぞれ水素原子または水酸基である。m、nはそれぞれ0〜5である。)で表される重合性化合物(B)とラジカル重合開始剤(C)を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物に関する。
【0011】
本発明は、更に、前記硬化性樹脂組成物を活性エネルギー線照射又は加熱により硬化させてなる硬化物に関する。
本発明は、更に、前記硬化性樹脂組成物を成形、硬化させてなるプラスチックレンズに関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、低粘度でありながら有機系光学材料として硬化物における屈折率が高く、かつ、硬化物の耐熱性及び耐湿性にも優れる硬化性樹脂組成物、及びかかる性能を兼備した硬化物を提供できる。
【0013】
従って、本発明の(メタ)アクリレート樹脂は、光学用オーバーコート剤、ハードコート剤、反射防止膜、眼鏡レンズ、光ファイバー、光導波路、ホログラム、プリズムレンズ等の光学部品に広く適用することができ、特に眼鏡レンズ、プリズムレンズ等のプラスチックレンズに好ましく適用できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明で用いる重合性化合物(A)は、ビナフタレン骨格及びラジカル重合性不飽和結合を有する重合性化合物(A)ことを特徴とするものである。このようなビナフタレン骨格を有することから、耐熱性及び耐湿性が良好なものとなると共に、有機材料としては極めて高い1.60以上の屈折率を有する材料となる。
【0015】
ここでビナフタレン骨格は、1,1’−ビナフタレン骨格、1,2’−ビナフタレン骨格、2,2’−ビナフタレン骨格、4,4’−ビナフタレン骨格等が挙げられるが、低粘度、高屈折率といった観点から1,1’−ビナフタレン骨格であることが好ましい。
【0016】
本発明で用いる重合性化合物(A)は、例えば、ビナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂(a1)とラジカル重合性不飽和二重結合含有モノカルボン酸(x1)とを反応させて得られる構造を有する重合性化合物(ビニルエステル樹脂)(a2)等が挙げられる。
【0017】
ここで、ビナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂(a1)としては、例えば、ビナフトール類とエピハロヒドリン類とを反応させて得られるエポキシ樹脂、或いは、該エポキシ樹脂に更に前記ビナフトール類を反応させて得られるエポキシ樹脂が挙げられる。
【0018】
前記ビナフトール類としては、1,1'−ビ−2−ナフトール、4,4'−ビ−1−ナフトール等が挙げられる。中でも低粘度で、得られる硬化物の屈折率が高い硬化性樹脂組成物が得られることから1,1'−ビ−2−ナフトールが好ましい。
【0019】
前記1,1'−ビ−2−ナフトールとしては、具体的には、下記構造式(1)
【0020】
【化2】

(式中、X〜X12は、各々独立的に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10の炭化水素基、又は炭素原子数1〜10のアルコキシ基を表す。)で表されるものが挙げられる。
【0021】
これらの中でも特に、屈折率と粘度の両特性の両立、合成上の難易度およびコストの面から、上記一般式(1)中の、X〜X12は、各々独立的に水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましく、特にその全てが水素原子であることが好ましい。
【0022】
前記エピハロヒドリン類には、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、β−メチルエピクロロヒドリン等が挙げあれるが、入手の容易さや経済性を考慮すればエピクロロヒドリンが好ましい。
【0023】
本発明では特に硬化物の耐熱性と基板との密着性の点から前記エポキシ樹脂(a1)のなかでも1,1'−ビ−2−ナフトールとエピハロヒドリンとを反応させて得られるエポキシ樹脂が好ましい。
【0024】
また、前記エポキシ樹脂(a1)は、エポキシ当量200〜500g/eq.の範囲であるものが硬化物の可撓性、光照射に対する感度が良好となる点から好ましく、特に200〜300g/eq.の範囲であることが好ましい。
【0025】
一方、前記エポキシ樹脂(a1)と反応させるラジカル重合性不飽和二重結合含有モノカルボン酸(x1)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などの(メタ)アクリル酸;アクリル酸クロリド、メタクリル酸クロリドなどの(メタ)アクリル酸ハロゲン;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルが挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸ハロゲンは反応時に塩酸などの酸性物質が副生し反応釜腐食の問題を引き起こす他、(メタ)アクリル酸アルキルを用いた場合には、副生するアルコールを除去するための脱アルコール処理を施す必要があることから(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0026】
前記エポキシ樹脂(a1)と、ラジカル重合性不飽和二重結合含有モノカルボン酸(x1)との反応比率は、特に制限されるものではないが、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量当たり、アクリル酸類のカルボキシル基が0.4〜1、1当量となる範囲であることが好ましく、なかでも光硬化性及び貯蔵安定性に優れる樹脂が得られる点で0.8〜1.0モルとなる範囲が好ましい。
【0027】
前記エポキシ樹脂(a1)のうち、も1,1'−ビ−2−ナフトールとエピハロヒドリン類とを反応させて得られるエポキシ樹脂、或いはこれに更にも1,1'−ビ−2−ナフトールを反応させて得られるエポキシ樹脂を用い、かつ、ラジカル重合性不飽和二重結合含有モノカルボン酸(x1)として(メタ)アクリル酸を用いた場合、得られる重合性化合物(a2)は、具体的には、下記一般式(2)で示されるものが挙げられる。(式中のnは繰り返し数の平均値を示し0〜10の範囲であり、R1は水素原子或いは置換基を有していてもよいアルキル基、またR2は水素原子またはメチル基を表す。)
【0028】
【化3】

【0029】
これらの例としては、下記構造式(2−1)或いは(2−2)が挙げられる。(式中のnは0〜10である。)
【0030】
【化4】

【0031】
本発明で用いる重合性化合物(A)は、25℃での粘度が3000Pa・s以下であることが、流動性が良好で各種用途への応用範囲が広がる他、粘度調整に使用する低屈折率物質である希釈剤の使用量を低減できることから好ましい。特にこの効果が顕著なものとなる点から1000〜100Pa・sの範囲であることが好ましい。
【0032】
重合性化合物(A)は、上記した通り、それ自体高い屈折率を有するものであり、具体的には、1.55以上の屈折率、分子構造の選択によっては1.60以上の屈折率を有する材料となる。
【0033】
本発明で用いる重合性化合物(B)は、下記一般式(3)
【0034】
【化5】

【0035】
(式中、R、Rはそれぞれ水素原子またはアルキル基である。Xはそれぞれ水素原子または水酸基である。m、nはそれぞれ0〜5である。)で表される化合物である。
【0036】
前記R、Rのアルキル基としては、例えば、炭素原子数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基が好ましい。
【0037】
、Rは中でも、それぞれ水素原子又はメチル基がより好ましい。
【0038】
前記一般式(3)におけるm、nは、それぞれ1〜3が好ましい。また、mとnの合計は平均0〜4が好ましく、2〜4がより好ましい。
【0039】
更に、本発明で用いる重合性化合物(B)の中でも、一般式(3−1)
【0040】
【化6】

または一般式(3−2)
【0041】
【化7】

で表される化合物がより好ましい。
【0042】
本発明において、重合性化合物(B)の使用量としては、本発明の硬化性組成物の粘度低減の効果を十分に発揮すると共に、硬化物の屈折率を高いレベルに維持できる点から〔重合性化合物(A)/重合性化合物(B)〕の質量比率で90/10〜10/90の割合で用いることが好ましく、なかでも80/20〜50/50の割合で用いることが好ましい。
【0043】
本発明で用いるラジカル重合開始剤(C)は、光重合開始剤、及び熱重合開始剤が挙げられる。光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、2−メチルベンゾイン、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、ベンジルジメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイル安息香酸、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオフェニル)〕−2−モルホリノ)プロパン−1、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0044】
これらの光重合開始剤は、それぞれ単独で用いることができ、また、2種以上の混合物として使用することもできる。その使用量は、重合性化合物(A)の100質量部に対して光重合開始剤が0.01〜30質量部となる割合であることが好ましく、特に好ましくは0.01〜20質量部以下である。
【0045】
また、これらの光重合開始剤には、アミン類等の光重合促進剤を併用することができる。例えば、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート、ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等が挙げられる。これらの光重合促進剤の使用割合は、光重合開始剤100重量部に対して、0.1〜100重量部の範囲であることが、重合速度が速く、かつ、硬化物の屈折率が高くなる点から好ましい。
【0046】
次に、熱重合開始剤としては、公知の過酸化物系開始剤やアゾビス系開始剤を使用することができる。過酸化物系開始剤としては、具体的には、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサンケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド系開始剤、イソブチルパーオキサイド、m−クロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、α−メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド系開始剤、2,4,4−トリメチルペンチル−2−ハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド系開始剤、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド系開始剤、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン、4,4−ジ−t−ブチルパーオキシ吉草酸−n−ブチルエステル等のパーオキシケタール系開始剤、2,4,4−トリメチルペンチルパーオキシフェノキシアセテート、α−クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルオジペート等のアルキルパーエステル系開始剤、ジ−t−メチキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート系開始剤、その他のアセチルシクロヘキシルスルフォニルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート等のものが挙げられ、また、アゾビス系開始剤としては、具体的には、1,1’−アゾビスシクロヘキサン−1−カルボニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス−(メチルイソブチレート)、α,α’−アゾビス−(イソブチロニトリル)、4,4’−アゾビス−(4−シアノバレイン酸)等が挙げられる。
【0047】
これらの熱重合開始剤は、それぞれ単独で用いることができ、また、2種以上の混合物として使用することもできる。その使用量は、重合性化合物(A)の100質量部に対して熱重合開始剤が0.1〜10質量部の範囲となる割合であることが、重合速度が速く、かつ、硬化物の屈折率が高くなる点から好ましい。
【0048】
本発明の硬化性樹脂組成物には、さらに性能改良のため、本来の特性を変えない範囲で反応性希釈剤、有機溶剤、シランカップリング剤、重合禁止剤、レベリング剤等の添加物を添加することができる。
【0049】
前記反応性希釈剤としては、例えば、ラジカル重合性単量体が挙げられる。ラジカル重合性単量体(C)としては、例えば、単官能(メタ)アクリレートモノマー、2官能(メタ)アクリレートモノマー、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマー等の(メタ)アクリレート系モノマー;スチレン、メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、ジビニルベンゼン等のビニル系モノマー等が挙げられる。
【0050】
ここで単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、アクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルポリエトキシ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールポリエトキシ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0051】
2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリプロポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0052】
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0053】
これらの中でも、特に硬化性樹脂組成物における反応性希釈剤として組成物の粘度低減の効果及び硬化物の屈折率が高く維持できる点からアクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノールポリエトキシ(メタ)アクリレート等の単官能あるいは2官能(メタ)アクリレートモノマー、ジビニルベンゼンが好ましく、特にフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルフェノールポリエトキシ(メタ)アクリレート、及びジビニルベンゼンから成る群から選択されるものが希釈能に優れると共に硬化物の屈折率が高くなる点から好ましく、フェニルフェノールポリアルコキシ(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0054】
前記フェニルフェノールポリアルコキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、下記一般式(4)
【0055】
【化8】

(式中、R3は水素原子又はメチル基であり、pの平均値は1〜5である。)で表される化合物等が挙げられる。
【0056】
前記一般式(4)で表される化合物は、例えば、P−フェニルフェノール或いはO−フェニルフェノールと、エチレンオキサイド或いはプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとの反応物と、(メタ)アクリル酸とを反応させることにより得ることができる。
【0057】
フェニルフェノールポリアルコキシ(メタ)アクリレートの中でもフェニルフェノールポリエトキシ(メタ)アクリレート〔前記一般式(4)においてRが水素原子〕が好ましい。
【0058】
前記フェニルフェノールポリアルコキシ(メタ)アクリレートの中でもO−フェニルフェノールポリアルコキシ(メタ)アクリレートが好ましく、O−フェニルフェノールポリエトキシ(メタ)アクリレートがより好ましい。O−フェニルフェノールポリエトキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、下記一般式(4−1)
【0059】
【化9】

(式中、nの平均値は1〜5である。)で表される化合物等が挙げられる。
【0060】
前記有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、カルビトールアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ソルベントナフサ等が挙げられる。
【0061】
前記シランカップリング剤としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0062】
前記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノンモノメチルエーテル、メチルハイドロキノン、t−ブチルカテコール、p−ベンゾキノン、2,5−t−ブチル−ハイドロキノン、フェノチアジン等が挙げられる。また、レベリング剤としては、例えば、モンサント社の「モダフロー」等が挙げられる。
【0063】
詳述した本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させる方法は、該硬化性樹脂組成物を目的・用途に応じて基材へ塗布或いは成型した後、活性エネルギー線を照射するか、或いは、加熱する方法が挙げられる。
【0064】
ここで、活性エネルギー線の照射によって硬化させる場合、かかる活性エネルギー線としては、電子線、紫外線、可視光線等が挙げられる。活性エネルギー線として、電子線を用いる場合には、コックロフトワルトン型加速器、バンデグラフ型電子加速器、共振変圧器型加速器、絶縁コア変圧器型、ダイナミトロン型、リニアフィラメント型および高周波型などの電子線発生装置を用いて本発明の硬化性樹脂組成物を硬化させることができる。また、活性エネルギー線として紫外線を用いる場合は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯等の水銀灯、キセノンランプ、カーボンアーク、メタルハイトランプ等により照射し、硬化させることができる。この際の紫外線の露光量は0.1〜1000mJ/cmの範囲であることが好ましい。
【0065】
一方、加熱によって硬化させる場合は、60〜250℃の温度領域に加熱することによって硬化させることができる。
【0066】
以上詳述した本発明の硬化性樹脂組成物は、高屈折率、高耐熱性、高耐湿性といった性能を有することから、眼鏡レンズ、デジタルカメラ用レンズ、フレネルレンズ、及びプリズムレンズ等のプラスチックレンズ、光学用オーバーコート剤、ハードコート剤、反射防止膜、光ファイバー、光導波路、ホログラム、プリズムレンズ、LED封止材料、太陽光電池用コーティング材等の各種光学材料に適用することができる。
【0067】
これらのなかでも特に、硬化物における屈折率が高く、かつ、硬化物の耐熱性及び耐湿性にも優れるという特性からプラスチックレンズに好ましく適用でき、特に液晶基板用プリズムレンズとして有用である。
【0068】
ここで液晶基板用プリズムレンズとは、シート状成形体の片面に微細なプリズム形状部を複数有するものであって、通常、液晶表示素子の背面(光源側)に、該素子側にプリズム面が向くように配設され、更に、その背面に導光シートが配設されるように用いられるシート状レンズ、或いは前記プリズムレンズがこの導光シートの機能を兼ねているシート状レンズである。
【0069】
ここで該プリズムレンズのプリズム部の形状は、プリズム頂角の角度θが70〜110°の範囲であることが、集光性に優れ輝度が向上する点から好ましく、特に75〜100°の範囲、中でも80〜95°の範囲であることが特に好ましい。
【0070】
また、プリズムのピッチは、100μm以下であることが好ましく、特に70μm以下の範囲であることが、画面のモアレ模様の発生防止や、画面の精細度がより向上する点から好ましい。また、プリズムの凹凸の高さは、プリズム頂角の角度θとプリズムのピッチの値によって決定されるが、好ましくは50μm以下の範囲であることが好ましい。さらに、プリズムレンズのシート厚さは、強度面からは厚い方が好ましいが、光学的には光の吸収を抑えるため薄い方が好ましく、これらのバランスの点から50μm〜1000μmの範囲であることが好ましい。
【0071】
本発明の硬化性樹脂組成物から前記したプリズムレンズを製造するには、例えば、該硬化性樹脂組成物をプリズムパターンが形成された金型あるいは樹脂型等の成形型に塗布し、樹脂組成物の表面を平滑化した後、透明基材を重ね合わせ活性エネルギー線を照射、硬化させることによって製造する方法が挙げられる。
【0072】
ここで、透明基材としては透明性の高いものであれば、活性エネルギー線の透過性や取扱性等を考慮した場合には、厚さ3mm以下のものが好ましい。また、透明基材の材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、これらポリマーの混合物等の合成樹脂あるいはガラス等が挙げられる。
【0073】
このようにして得られる透明基材上に形成されたプリズムシートは、そのまま使用することもできるが、透明基材を剥離してプリズム部単独の状態として使用してもよい。透明基材上にプリズム部を形成したまま使用する場合には、その界面の接着が十分であることが耐候性および耐久性の点で重要であり、透明基材にプライマー処理等の接着性向上処理を施すことが好ましい。
【0074】
一方、透明基材を剥離して使用する場合、比較的容易に剥離できるようにすることが好ましく、透明基材の表面をシリコーンやフッ素系の剥離剤で表面処理を施すことが好ましい。
【実施例】
【0075】
以下本発明の態様を合成例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また例中の「部」及び「%」は特に断わりのない限りすべて質量基準である。尚、150℃における溶融粘度及び軟化点測定、NMR、MSスペクトルは以下の条件にて測定した。
【0076】
1)粘度:25℃にてE型粘度計(東機産業(株)製「TV−20形」コーンプレートタイプを使用して測定。
2)13C−NMR:日本電子株式会社製NMR「GSX270」
3)FD−MS:日本電子株式会社製 二重収束型質量分析装置「AX505H(FD505H)」
【0077】
合成例1 〔重合性化合物(A)の合成〕
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、1,1’−ビ−2−ナフトールを143g(水酸基1当量)、エピクロルヒドリン463g(5.0モル)、n−ブタノール139g、テトラエチルベンジルアンモニウムクロライド2gを仕込み溶解させた。65℃に昇温した後、共沸する圧力まで減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液90g(1.1モル)を5時間かけて滴下した。その後、同条件で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸によって留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離し、水層を除去し、油層を反応系内に戻しながら、反応を行った。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留によって留去させた。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン590gとn−ブタノール177gとを加え溶解した。更にこの溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液10gを添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のPHが中性となるまで水150gで水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、精密濾過を経た後に溶媒を減圧下で留去してエポキシ樹脂を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は225g/eq、軟化点は60℃であった。
【0078】
得られたエポキシ樹脂225部とアクリル酸72部(エポキシ基の数:総カルボキシル基の数=1:1)とを反応させて樹脂297部と得た。その樹脂は、マススペクトルでn=1、n=2の理論構造に相当するM=543、M=885のピークが得られたことから構造式(2−1)で表される構造をもつ目的のエポキシアクリレート樹脂であることが確認された。これを重合性化合物(A1)と略記する。
【0079】
合成例2 (同上)
温度計、滴下ロート、冷却管、撹拌機を取り付けたフラスコに、窒素ガスパージを施しながら、1,1’−ビ−2−ナフトールを143g(水酸基1当量)、エピクロルヒドリン185g(2.0モル)、n−ブタノール139g、テトラエチルベンジルアンモニウムクロライド2gを仕込み溶解させた。65℃に昇温した後、共沸する圧力まで減圧して、49%水酸化ナトリウム水溶液90g(1.1モル)を5時間かけて滴下した。その後、同条件で0.5時間撹拌を続けた。この間、共沸によって留出してきた留出分をディーンスタークトラップで分離し、水層を除去し、油層を反応系内に戻しながら、反応を行った。その後、未反応のエピクロルヒドリンを減圧蒸留によって留去させた。それで得られた粗エポキシ樹脂にメチルイソブチルケトン590gとn−ブタノール177gとを加え溶解した。更にこの溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液10gを添加して80℃で2時間反応させた後に洗浄液のPHが中性となるまで水150gで水洗を3回繰り返した。次いで共沸によって系内を脱水し、精密濾過を経た後に溶媒を減圧下で留去してエポキシ樹脂を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は270g/eq、軟化点は74℃であった。
【0080】
得られたエポキシ樹脂270部とメタリル酸72部(エポキシ基の数:総カルボキシル基の数=1:1)とを反応させて樹脂342部と得た。その樹脂は、マススペクトルでn=1、n=2の理論構造に相当するM=571、M=913のピークが得られたことから構造式(2−1)で表される構造をもつ目的のエポキシアクリレート樹脂であることが確認された。これを重合性化合物(A2)と略記する。
【0081】
実施例1〜5及び1〜2
下記表1の配合に従い、ワニス状の組成物を調整し、該組成物の液屈折率及び粘度を下記の方法にて測定した。次いで、該組成物をバーコーター(No.20)を用いてガラス板に塗布した。次に、空気雰囲気下で120W/cmの高圧水銀灯を用い、500mJ/cmの照射量で照射し、硬化塗膜を得た。この硬化塗膜の耐溶剤性、耐熱性、耐湿性を評価した。
【0082】
また、各組成物を用いて下記の方法で硬化フィルムA及び硬化フィルム付き基板Bを製造して透明性、密着性、離型性を評価した。更に、該組成物を用い下記の方法にて金型からの離型性を評価した。結果を表1に示す。
【0083】
[硬化フィルムAの製造]
下記表5の配合に従って調整した組成物を、クロムメッキ処理金属板と透明表面未処理PETフィルムとの間に入れた後に厚さを調整し、高圧水銀灯により500mJ/cmの紫外線を透明基材側から照射して硬化させた後、金属板および透明基材から硬化フィルム(以下、これを「硬化フィルムA」と略記する。)を取り出した。
【0084】
[硬化フィルム付き基板Bの製造]
下記表5の配合に従って調整した組成物を、クロムメッキ処理金属板と透明表面密着処理PETフィルムとの間に入れた後に厚さを調整し、高圧水銀灯により、500mJ/cmの紫外線を透明基材側から照射して硬化させた後、金属板のみを剥離し、硬化フィルム付基板(以下、これを「硬化フィルム付き基板B」と略記する。)を得た。
【0085】
[液屈折率]
アッベ屈折計のプリズムに直接塗布し、25℃にて屈折率(589.3mmのD線)の測定を行った。
[粘度]
E型回転粘度計にて25℃での粘度測定を行った。
【0086】
[硬化物屈折率]
硬化フィルムAを、1−ブロモナフタレンにより、アッベ屈折計のプリズムに密着させ、25℃にて屈折率(589.3mmのD線)の測定を行った。
【0087】
[透明性]
硬化フィルムAを用い、400〜900nmの波長領域の光透過率を測定し、全領域で85%以上の透過率を示すものを○とし、透過率がそれ未満のものを×とした。
【0088】
[密着性]
硬化フィルム付き基板Bを用い、基材と硬化フィルム層との密着性をJIS K5400に準拠して測定し、升目が全て残存する時を○、それ以外を×とした。
【0089】
[離型性]
クロムメッキ処理したプリズム金型と透明表面密着処理PETフィルムとの間に下記表5の配合に従って調整した組成物を入れた後に厚さを調整し、高圧水銀灯により500mJ/cmの紫外線を透明基材側から照射して硬化させた後、金型から離型する際、金型に組成物が残らないものを○、残るものを×とした。
【0090】
[耐溶剤性]
ガラス板上で作成した硬化塗膜を用い、このフィルムをメチルエチルケトンを含ませた綿棒(ジョンソン社製)で50往復擦った後に塗膜の変化を目視で観察した。評価は以下のように判断した。
評価
○:変化なし
×:曇り、剥がれなどの変化あり
【0091】
[耐熱性]
ガラス板上で作成した硬化塗膜を用い、このフィルムを125℃の乾燥機に入れ150時間保持した。保持後の塗膜の変化を目視で観察した。評価は以下のように判断した。
評価
○:変化なし
△:色相のみ変化、形状変化なし
×:色相および形状が変化
【0092】
[耐湿性]
ガラス板上で作成した硬化塗膜を用い、このフィルムを85℃、湿度85%の恒温恒湿機に入れ300時間保持した。保持後の塗膜の変化を目視で観察した。評価は以下のように判断した。
評価
○:変化なし
△:色相のみ変化、形状変化なし
×:色相および形状が変化
【0093】
【表1】

【0094】
表1中の脚注
EA−0200:下記構造式
【0095】
【化10】

で表されるフルオレン型アクリレート(大阪ガスケミカル社製「オグゾールEA−0200」)。
ASF−400:下記構造式
【0096】
【化11】

で表されるフルオレン型エポキシアクリレート(新日鉄化学社製「ASF−400」)。
フェノキシエチルアクリレート」:共栄社化学(株)製「ライトアクリレートPO−A」
OPPEA:o−フェニルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成(株)製「アロニックスTO−1463」。エチレンオキサイドの平均付加モル数1)。
光開始剤:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製「イルガキュアー184」)。
【0097】
比較例2において、ワニスの粘度が粘度計の測定上限を超える為、測定できなかった(測定不可)。また、硬化物評価の離型性以外の物性は、硬化フィルムA及び硬化フィルム付基盤Bの製造の際に、硬化塗膜がクロムメッキ処理金属板から剥離できず、硬化フィルムが得られなかった為、評価できなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビナフタレン骨格及びラジカル重合性不飽和結合を有する重合性化合物(A)と下記一般式(3)
【化0】

(式中、R、Rはそれぞれ水素原子またはアルキル基である。Xはそれぞれ水素原子または水酸基である。m、nはそれぞれ0〜5である。)で表される重合性化合物(B)とラジカル重合開始剤(C)を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記重合性化合物(A)が、1、1’−ビ−ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂(a1)とラジカル重合性不飽和二重結合含有モノカルボン酸(x1)とを反応させて得られる構造を有する重合性化合物(a2)である請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記1、1’−ビ−ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂が、1,1'−ビ−2−ナフトールとエピハロヒドリンとを反応させて得られるものである請求項2記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記1、1’−ビ−ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂が、エポキシ当量200〜500g/eq.のものである請求項2又は3記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
前記重合性化合物(B)が一般式(3−1)
【化0】

または一般式(3−2)
【化0】

で表される化合物である請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記重合性化合物(A)と重合性化合物(B)とを、〔重合性化合物(A)/重合性化合物(B)〕の質量比率で90/10〜10/90の割合で含む請求項1〜6のいずれか1項記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
前記重合開始剤(C)が、光重合開始剤である請求項1〜6のいずれか1つに記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜8記載の硬化性樹脂組成物を活性エネルギー線照射又は加熱により硬化させてなる硬化物。
【請求項9】
請求項1〜8記載の硬化性樹脂組成物を成形、硬化させてなるプラスチックレンズ。

【公開番号】特開2011−37942(P2011−37942A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184430(P2009−184430)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】