説明

硬化性樹脂組成物および成形体

【課題】光学特性、耐熱性および高い成形性を有する硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】重合性不飽和結合基を有する繰返単位(A)と、重合性不飽和結合を有さない繰返単位(B)と、前記繰返単位(B)の主鎖を構成する重合性基とは異なる重合性基によって形成される主鎖を有する繰返単位(C)を含む重合体(P)を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬化性樹脂組成物および該硬化性樹脂組成物を成形してなる成形体に関する。さらに、かかる成形体の製造方法に関する。特に、光学部品の製造に有益な硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、レンズ等の光学部品を製造するための、硬化性樹脂組成物が採用されている。ここで用いられる硬化性樹脂組成物は、鋳型等に注入し、硬化させて成形する。硬化性樹脂組成物中に、プレポリマーと呼ばれる重合性基を有した重合体を含有することで、効果収縮を低減させているものも知られている。
このような硬化性樹脂組成物としては、特許文献1および特許文献2に記載のものが知られている。特許文献1に記載の硬化性樹脂組成物は、樹脂成分として、ウレタン樹脂を用いている。特許文献1に記載の硬化性樹脂組成物は、硬化による収縮が小さく、離型性がよく、耐傷性にも優れ、さらに、60℃での長期安定性にも優れている。しかしながら、吸水率が高いという問題がある。
一方、特許文献2には、アダマンチルアクリレートを含む硬化性樹脂組成物が記載されている。特許文献2に記載の硬化性樹脂組成物は、透明性が高い。しかしながら、ガラス転移温度(Tg)が低いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−296513号公報
【特許文献2】特開2006−213851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、光学部品等の作製に用いることができる硬化性樹脂組成物であって、光学特性、耐熱性および高い成形性を有するものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる状況のもと、本願発明者が鋭意検討を行った結果、重合性不飽和結合基を有する繰返単位(A)と、重合性不飽和結合を有さない繰返単位(B)と、前記繰返単位(B)の主鎖を構成する重合性基とは異なる重合性基によって形成される主鎖を有する繰返単位(C)を含む重合体(P)を用いることにより、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、以下の手段により、達成された。
【0006】
(1)重合性不飽和結合基を有する繰返単位(A)と、重合性不飽和結合を有さない繰返単位(B)と、前記繰返単位(B)の主鎖を構成する重合性基とは異なる重合性基によって形成される主鎖を有する繰返単位(C)を含む重合体(P)と、2つ以上の重合性不飽和結合を有している化合物(D)と、1つの重合性不飽和基を有する化合物(E)を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
(2)重合性不飽和結合を有さない繰返単位(B)が、脂環構造を有していることを特徴とする(1)に記載の硬化性樹脂組成物。
(3)重合性不飽和結合を有さない繰返単位(B)が、下記一般式(1)で表されることを特徴とする(1)または(2)に記載の硬化性樹脂組成物。
一般式(1)
【化1】

〔一般式(1)中、R1は水素原子または置換基を表し、L1は二価の連結基または単結合を表し、環αは単環式または多環式の環を表す。〕
(4)一般式(1)のαが炭素数5〜15の炭素原子を骨格とする環状構造を含む繰返し単位である、(3)に記載の硬化性樹脂組成物。
(5)一般式(1)のαが、下記群(1)から選択される構造を骨格とする環状構造を含む繰返単位である、(3)に記載の硬化性樹脂組成物。
群(1)
【化2】

(6)一般式(1)のL1が、−CO−、−O−、−CH2−及びこれらの組み合わせからなる基から選択される、(3)〜(5)のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
(7)前記繰返単位(B)の主鎖を構成する重合性基とは異なる重合性基によって形成される主鎖を有する繰返単位(C)が、下記一般式(1)で表される繰返単位および下記一般式(2)で表される繰返単位の少なくとも1種類の繰返単位である、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【化3】

〔一般式(1)中、R1は、水素原子または置換基を表し、L1は二価の連結基または単結合を表し、環αは単環式または多環式の環を表す。〕
【化4】

〔一般式(2)中、環βは単環式または多環式の環を表す。〕
(8)重合性不飽和結合基を有する繰返単位(A)が、下記一般式(3)で表されることを特徴とする、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【化5】

〔一般式(3)中、R3〜R6はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、L3は二価の連結基または単結合を表す。〕
(9)2つ以上の重合性不飽和結合を有している化合物(D)が脂環構造を有していることを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
(10)1つの重合性不飽和基を有する化合物(E)が脂環構造を有していることを特徴とする(1)〜(9)のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
(11)重合体(P)の重量分子量が、500〜1,000,000である、(1)〜(10)のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
(12)重合体(P)が、重合性化合物を含む重合性組成物であって、該重合性化合物成分が、一般式(1)で表される繰返単位を構成する重合性化合物5〜80質量%と、一般式(2)で表される繰返単位を構成する重合性化合物0〜50質量%と、一般式(3)で表される繰返単位を構成する重合性化合物10〜90重量%と、他の重合性化合物5質量%以下のみからなる重合性組成物を用いて合成される、(8)〜(11)のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
(13)重合体(P)の含有量が5〜60質量%の範囲にあり、2つ以上の重合性不飽和結合を有している化合物(D)の含有量が20〜90質量%の範囲にあり、1つの重合性不飽和基を有する化合物(E)の含有量が2〜40質量%の範囲にあり、他の成分の含量が5質量%以下であることを特徴とする(1)〜(12)のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
(14)光または熱の照射により硬化を開始する開始剤(F)を少なくとも2種類以上有していることを特徴とする(1)〜(13)のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
(15)重合体(P)の2%重量減少温度が250℃以上であることを特徴とする、(1)〜(14)のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
(16)硬化後の波長589nmにおける屈折率が1.45以上であり、アッベ数が45以上であり、波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が75%以上であることを特徴とする(1)〜(15)のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
(17)硬化後のガラス転移温度が230℃以上であることを特徴とする(1)〜(16)のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
(18)(1)〜(17)のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
(19)空気中または窒素下で、300℃、10分保持しても、ひび割れを起こさない、(18)に記載の成形体。
(20)光学部品である、(18)または(19)に記載の成形体。
(21)レンズ基材である、(18)〜(20)のいずれか1項に記載の成形体。
(22)(1)〜(17)のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を成形金型内において、二段階で硬化させることを特徴とする成形体の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、光学特性、耐熱性および高い成形性を有する硬化性樹脂組成物を提供可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
【0009】
〔硬化性樹脂組成物〕
本発明の硬化性樹脂組成物は、重合性不飽和結合基を有する繰返単位(A)と、重合性不飽和結合を有さない繰返単位(B)と、前記繰返単位(B)の主鎖を構成する重合性基とは異なる重合性基によって形成される主鎖を有する繰返単位(C)を含む重合体(P)を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物である。
【0010】
本発明の硬化性樹脂組成物は、単離後の重合体(P)を、例えば、重合性不飽和基を有する化合物に溶解させても良いし、重合性不飽和基を有する化合物中で重合体(P)の合成を行うことにより調製してもよい。
【0011】
〔重合体(P)〕
本発明で用いる重合体(P)は、重合性不飽和結合基を有する繰返単位(A)と、重合性不飽和結合を有さない繰返単位(B)と、前記繰返単位(B)の主鎖を構成する重合性基とは異なる重合性基によって形成される主鎖を有する繰返単位(C)を含む。
【0012】
重合性不飽和結合基を有する繰返単位(A)
本発明における重合性不飽和結合基を有する繰返単位(A)は、重合性不飽和基を有していることを特徴とし、重合性不飽和基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、または、アリル基であることが好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基、またはビニル基であることがより好ましく、アクリロイル基、またはビニル基であることがさらに好ましい。
重合性不飽和結合基を有する繰返単位(A)は好ましくは一般式(3)で表される。
【化6】

〔一般式(3)中、R3〜R6はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、L3は二価の連結基または単結合を表す。〕
3は、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基がさらに好ましい。
4およびR5は、それぞれ、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基がさらに好ましく、水素原子が特に好ましい。
6は、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基がさらに好ましい。
3は、−CO−、−O−、−CH2−及びこれらの組み合わせからなる基から選択される二価の連結基であることが好ましい。L3は、−C(=O)−O−で表される構造を有することがより好ましい。
一般式(3)で表される繰返単位は、通常、重合性化合物の重合によって得られる。かかる重合性化合物の分子量は、50〜500が好ましく、70〜400がより好ましく、90〜300がさらに好ましい。
【0013】
重合性不飽和結合基を有する繰返単位(A)を構成することができるモノマーの具体例を以下のA3−1からA3−10に示すが、本発明で採用することができるモノマーはこれらの具体例に限定されるものではない。
【0014】
【化7】

【0015】
重合性不飽和結合を有さない繰返単位(B)
重合性不飽和結合を有さない繰返単位(B)は、脂環式構造を有していることが好ましく、下記一般式(1)で表される構造を有していることがさらに好ましい。
一般式(1)
【化8】

〔一般式(1)中、R1は水素原子または置換基を表し、L1は二価の連結基または単結合を表し、環αは単環式または多環式の環を表す。〕
【0016】
一般式(1)中、R1は、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基がさらに好ましい。
一般式(1)中、L1は、−CO−、−O−、−CH2−及びこれらの組み合わせからなる基から選択される二価の連結基、または、単結合であることが好ましく、−CO−、−O−、−CH2−及びこれらの組み合わせからなる基から選択される二価の連結基がより好ましい。L1は、主鎖に結合する側が、−C(=O)−O−であることが好ましい。
一般式(1)中、αは、炭素数5〜15の炭素原子を骨格とする環状構造であることが好ましく、下記群(1)から選択される構造を骨格とする環状構造であることがより好ましい。
群(1)
【化9】

上記環状構造は、置換基を有していても良いし、置換基を有していなくても良い。置換基を有している場合、アルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
一般式(1)で表される繰返単位は、通常、重合性化合物の重合によって得られる。かかる重合性化合物の分子量は、100〜500が好ましく、100〜400がより好ましく、150〜300がさらに好ましい。
【0017】
以下に、一般式(1)で表される繰返し単位を構成する重合性化合物具体例を示すが、本発明で採用することができるモノマーはこれらの具体例に限定されるものではない。
【0018】
【化10】

【0019】
【化11】

【0020】
また、繰返単位(B)としては、後述する一般式(2)で表される繰返単位であって、重合性基を有さないものも、好ましい例として挙げられるが、本発明では、繰返単位(B)として、一般式(1)で表される繰返単位が好ましい。
【0021】
繰返単位(B)の主鎖を構成する重合性基とは異なる重合性基によって形成される主鎖を有する繰返単位(C)
本発明における繰返単位(B)の主鎖を構成する重合性基とは異なる重合性基によって形成される主鎖を有する繰返単位(C)とは、通常、本発明における重合体(P)は重合性化合物の重合によって得られるが、この重合性基の種類が異なることをいう。従って、形成された主鎖自体は、同じである場合もある。特に本発明の好ましい態様は、繰返単位(B)と繰返単位(C)の主鎖を構成する重合性基の一方が、CH2=CH−であり、他方が、CH2=C(CH3)−である場合である。
また、重合性不飽和結合を有さない繰返単位(B)が2種類以上含まれている場合、そのうちの1種類の主鎖を構成する重合性基と、繰返単位(C)の主鎖を構成する重合性基が異なっていればよい。
繰返単位(B)の主鎖を構成する重合性基とは異なる重合性基によって形成される主鎖を有する繰返単位(C)は、上記一般式(1)で表される繰返単位または下記一般式(2)で表される繰返単位であることが特に好ましい。但し、繰返単位(C)が一般式(1)または一般式(2)で表される場合、繰返単位(B)の主鎖を構成する重合性基とは異なる重合性基によって形成される主鎖を有する繰返単位(C)が選択される。一般式(1)で表される繰返単位については、上述と同義であり、好ましい範囲も同義である。本発明では、繰返単位(C)は一般式(1)で表される方がより好ましい。
以下、一般式(2)の詳細について、説明する。
【化12】

〔一般式(2)中、環βは単環式または多環式の環を表す。〕
一般式(2)中、βは、炭素数5〜10の炭素原子を骨格とする環状構造であり、下記群(2)から選択される構造を骨格とする環状構造であることがより好ましい。
群(2)
【化13】

上記環状構造は、置換基を有していても良いし、置換基を有していなくても良い。置換基を有している場合、アルキル基、アリル基、オキソ基、ヒドロキシ基、シアノ基、ハロゲン原子が挙げられ、これらはさらにこれら基によって置換されていてもよい。また、置換基同士が結合して、環を形成していてもよい。置換基は、炭素原子、水素原子、酸素原子および窒素原子のいずれか1種以上から構成されることが好ましい。上記置換基は、炭素原子、酸素原子および窒素原子の合計原子数が、1〜10個であることが好ましく、1〜5個であることがより好ましい。
一般式(2)で表される繰返単位は、通常、重合性化合物の重合によって得られる。かかる重合性化合物の分子量は、60〜300が好ましく、70〜250がより好ましく、80〜200がさらに好ましい。
【0022】
以下に、一般式(2)で表される繰返単位を構成する重合性化合物その他、繰返単位(B)および/または繰返単位(C)を構成する重合性化合物の好ましい例を示すが、本発明がこれらに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0023】
【化14】

【0024】
重合体(P)は、通常、重合性化合物を含む重合性組成物を用いて、公知の方法によって合成することができる。
重合性組成物に含まれる重合性化合物成分は、重合性不飽和結合基を有する繰返単位(A)を構成する重合性化合物10〜90質量%と、重合性不飽和結合を有さない繰返単位(B)を構成する重合性化合物5〜80質量%と、繰返単位(B)の主鎖を構成する重合性基とは異なる重合性基によって形成される主鎖を有する繰返単位(C)5〜80質量%と、他の重合性化合物5質量%以下で構成されることが好ましい。
重合性組成物に含まれる重合性化合物成分中、繰返単位(A)を構成する重合性化合物は、20〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがさらに好ましい。
重合性組成物に含まれる重合性化合物成分中、繰返単位(B)を構成する重合性化合物は、10〜80質量%であることが好ましく、10〜70質量%であることがさらに好ましい。
重合性組成物に含まれる重合性化合物成分中、繰返単位(C)を構成する重合性化合物は、10〜80質量%であることが好ましく、10〜70質量%であることがさらに好ましい。
【0025】
一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)で表される繰返単位は、それぞれ、1種類のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
<共重合可能なモノマー>
本発明で用いる重合体(P)は、重合することによって一般式(1)で表される繰返単位、一般式(2)で表される繰返単位、または一般式(3)で表される繰返単位を形成することができるモノマーとともに、他のモノマーを共重合させることにより製造してもよい。そのような他のモノマーとして、Polymer Handbook 2nd ed.,J.Brandrup,Wiley lnterscience (1975) Chapter 2 Page 1〜483に記載のものなどを用いることができる。
【0027】
具体的には、例えば、スチレン誘導体、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルカルバゾール、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、イタコン酸ジアルキル類、前記フマール酸のジアルキルエステル類またはモノアルキルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
【0028】
前記スチレン誘導体としては、スチレン、2,4,6−トリブロモスチレン、2−フェニルスチレン、4−クロロスチレン等が挙げられる。
【0029】
前記アクリル酸エステル類としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸tert−ブチル、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等が挙げられる。
【0030】
前記メタクリル酸エステル類としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
【0031】
前記アクリルアミド類としては、アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミド等が挙げられる。
【0032】
前記メタクリルアミド類としては、メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0033】
前記イタコン酸ジアルキル類としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル等が挙げられ、前記フマール酸のジアルキルエステル類またはモノアルキルエステル類としては、ジブチルフマレート等が挙げられる。
【0034】
その他、クロトン酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイロニトリル等も挙げることができる。
【0035】
これらの重合体(P)は、硬化性樹脂組成物に1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
重合体(P)の数平均分子量は、500〜1,000,000であることが好ましく、1,000〜100,000であることがより好ましく、3,000〜70,000であることがさらに好ましい。
重合体(P)は、本発明の硬化性樹脂組成物中に、5〜60質量%の範囲で含まれることが好ましく、7〜50質量%の範囲で含まれることがより好ましく、10〜40質量%の範囲で含まれることがさらに好ましい。
【0036】
[2つ以上の重合性不飽和基を有する化合物(D)]
本発明で用いることができる2つ以上の重合性不飽和基を有する化合物(D)中の重合性不飽和結合は、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、または、アリル基であることが好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基、またはビニル基であることがより好ましく、アクリロイル基、またはビニル基であることがさらに好ましい。
【0037】
本発明で用いることができる2つ以上の重合性不飽和基を有する化合物(D)は炭素数5〜20の脂環構造を有していることが好ましく、炭素数6〜16の脂環構造を有していることがより好ましく、炭素数6〜10の脂環構造を有していることがさらに好ましい。また多環式脂環構造であることが更に好ましい。
重合性不飽和基と脂環構造は、直接にまたは連結基を介して結合していることが好ましく、−CO−、−O−、−CH2−及びこれらの組み合わせからなる基から選択される二価の連結基であることがより好ましく、−O−、−CH2−及びこれらの組み合わせからなる基から選択される二価の連結基であることがさらに好ましい。
2つ以上の重合性不飽和基を有する化合物(D)は、重合性不飽和基の数が2つまたは3つであることが好ましい。
2つ以上の重合性不飽和基を有する化合物(D)の分子量は、100〜700であることが好ましく、130〜600であることがより好ましく、150〜400であることがさらに好ましい。
【0038】
本発明で用いることができる2つ以上の重合性不飽和基を有する化合物(D)の具体例を以下のD−1〜D−18に示すが、本発明がこれらに限定されるものではないことはいうまでもない。
【0039】
【化15】

【0040】
これらの2つ以上の重合性不飽和基を有する化合物(D)は、硬化性樹脂組成物に1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
2つ以上の重合性不飽和基を有する化合物(D)は、本発明の硬化性樹脂組成物中に、20〜90質量%の範囲で含まれることが好ましく、25〜80質量%の範囲で含まれることがより好ましく、30〜70質量%の範囲で含まれることがさらに好ましい。
【0041】
[1つの重合性不飽和基を有する化合物(E)]
本発明で用いることができる1つの重合性不飽和基を有する化合物(E)中の重合性不飽和結合は、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、または、アリル基であることが好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基、またはビニル基であることがより好ましく、アクリロイル基、またはビニル基であることがさらに好ましい。
【0042】
本発明で用いることができる1つの重合性不飽和基を有する化合物(E)は炭素数5〜20の脂環構造を有していることが好ましく、炭素数6〜16の脂環構造を有していることがより好ましく、炭素数6〜10の脂環構造を有していることがさらに好ましい。また多環式脂環構造であることが更に好ましい。
重合性不飽和基と脂環構造は、直接にまたは連結基を介して結合していることが好ましく、−CO−、−O−、−CH2−及びこれらの組み合わせからなる基から選択される二価の連結基であることがより好ましく、−O−、−CH2−及びこれらの組み合わせからなる基から選択される二価の連結基であることがさらに好ましい。
1つの重合性不飽和基を有する化合物(E)の分子量は、100〜700であることが好ましく、150〜600であることがより好ましく、200〜500であることがさらに好ましい。
【0043】
本発明で用いることができる1つの重合性不飽和基を有する化合物(E)の具体例を下記E−1〜E−44示すが、本発明がこれらに限定されるものではないことはいうまでもない。
【0044】
【化16】

【0045】
1つの重合性不飽和基を有する化合物(E)は、硬化性樹脂組成物に1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
1つの重合性不飽和基を有する化合物(E)は、本発明の硬化性樹脂組成物中に、0〜40質量%の範囲で含まれることが好ましく、2〜40質量%の範囲で含まれることがより好ましく、5〜35質量%の範囲で含まれることがさらに好ましい。
【0046】
[開始剤(F)]
本発明の硬化性樹脂組成物は、紫外線、電子線等の活性エネルギー線の照射によって硬化してもよいし、加熱によって硬化してもよい。また、光照射と熱照射の両方によって硬化するのがより好ましい。
【0047】
紫外線、電子線等の活性エネルギー線の照射による硬化を行う場合、光重合開始剤を添加しておくことが好ましい。光重合開始剤としては、公知のものを使用することができる。例えば、α−ヒドロキシアルキルフェノン類、α−アミノアルキルフェノン類、オキシムエステル類、アシルホスフィンオキサイド類を挙げることができる。
【0048】
加熱による硬化を行う場合、熱重合開始剤を添加しておくことが好ましい。熱重合開始剤としては、公知のものを使用することができる。例えば、AIBN等のアゾ化合物類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシケタール類、ケトンパーオキサイド類を挙げることができる。
【0049】
本発明では、光重合開始剤と熱重合開始剤を併用することが好ましい。両者を併用し、活性エネルギー線の照射を行った後、加熱することがより好ましい。このような手段を採用することにより、予め、活性エネルギー線の照射により半硬化しているため、成形金型内での硬化収縮量を抑制し、金型の形状転写性に優れ、かつ金型の隙間(クリアランス)へのモレが抑制できる。
【0050】
本発明の硬化性樹脂組成物中における開始剤の含量は、0.001〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%が好ましい。
【0051】
本発明の硬化性樹脂組成物には、上記のほか、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、他の成分を添加することができる。例えば、酸化防止剤、光安定剤などを使用できる。酸化防止剤、光安定剤の具体例としては、特開2006−231851号公報の段落番号0022〜0025に記載のものが挙げられる。これらの成分は、本発明の硬化性樹脂組成物の5質量%以下であることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、実質的に、溶剤を含まないことが好ましい。実質的に含まないとは、例えば、溶剤の含量が、硬化性樹脂組成物の1質量%以下であることをいう。
【0052】
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化前において、25℃において液体とすることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化前、25℃において、粘度を10〜100万mPa・sとすることができ、好ましくは50〜50万mPa・sとすることができ、さらに好ましくは100〜10万mPa・sとすることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、ガラス転移温度(Tg)を230℃以上とすることができ、好ましくは250℃以上とすることができ、さらに好ましくは270℃以上とすることができる。上限値としては、特に定めるものではないが、例えば、400℃以下とすることができる。
【0053】
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化後の波長589nmにおける透過率を、75%以上とすることができ、好ましくは80%以上とすることができ、さらに好ましくは85%以上とすることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化後の硬化後の波長589nmにおける屈折率を、1.45以上とすることができ、1.50以上とすることができる。上限値については特に定めるものではないが、通常、1.65以下である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化後のアッベ数を45以上とすることができ、50以上とすることができる。上限値については特に定めるものではないが、通常、70以下である。
【0054】
[成形体の製造方法]
本発明の硬化性樹脂組成物を用いた光学部品等の成形体を製造する方法は公知の方法を広く採用できる。例えば、鋳型に本発明の硬化性樹脂組成物を充填し、活性エネルギーの照射および/または加熱により硬化し、製造することができる。本発明では、特に、活性エネルギーの照射と加熱の両方を併用することが好ましい。このような手段を採用することにより、成形金型内での硬化収縮量を抑制するため、金型の形状転写性に優れ、かつ金型の隙間(クリアランス)へのモレが抑制できる。
【0055】
[成形体の用途]
本発明の硬化性樹脂組成物を用いてなる成形体は、光学部品に好ましく用いられ、光学レンズにより好ましく用いられる。
【実施例】
【0056】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0057】
〔分析および評価方法〕
(1)熱分解温度測定
TG/DTA(セイコーインスツル(SII)製 EXSTAR6000、示差熱・熱重量同時測定)を用いて、粉末状の重合体5mgをサンプルパンに乗せ、50℃から400℃の領域における重量変化を観察した。
(2)光線透過率測定
厚さ1mmの基板状に成形した硬化物を作成し、紫外可視吸収スペクトル測定用装置UV−3100(島津製作所製)で波長589nmの光について測定した。
(3)屈折率測定
アッベ屈折計(アタゴ社製、DR−M4)にて、波長589nmの光について行った。
(4)アッベ数(νD)測定
アッベ屈折計(アタゴ社製、DR−M4)にて、波長486nm、589nm、656nmの光についてそれぞれの屈折率を測定し、波長486nmにおける屈折率をnF、波長589nmにおける屈折率をnD、波長656nmにおける屈折率をnCとした場合に、下記の式より算出した。
【化17】

(5)吸水率測定
厚さ1mmの基板状に成形した硬化物の重量(Wi)を測定し、を85℃85%RHに設定した環境試験機中に一週間保持した後の硬化物の重量(Wf)を測定し、下記の式より算出した。
【化18】

(6)ガラス転移温度測定
Rheogel−E4000(株式会社ユービーエム製、動的粘弾性測定装置)を用いて、厚さ200μm、幅5mm、長さ23mmの短冊フイルム状に成形した硬化物を引張りモード、周波数10Hz、歪み10μm(一定)の条件で、30〜300℃の温度範囲におけるtanδを測定し、そのピーク温度をガラス転移温度(Tg)とした。300℃までに明確なピークが存在しない場合、>300℃と表記した。
(7)成形性評価
硬化性樹脂組成物を成形金型内で硬化させ成形体を得る工程において、金型の隙間(クリアランス)へのモレの度合いを下記基準で評価した。成形を10回おこなった後、モレが発生している個数が0個である場合を◎、1〜3個の場合を○、4〜8個の場合を△、8個以上の場合を×とした。
(8)耐加熱ひび割れ評価
厚さ1mmの基板状に成形した硬化物(1水準あたり4枚)を、大気下、300℃に加熱したホットプレート上に10分保持し、ひび割れの状態を目視で判断した。
全サンプル無傷:◎
1〜2サンプル 小ヒビ:○
3〜4サンプル 小ヒビ:△
大きな亀裂・サンプル全面に及ぶヒビ:×
(9)加熱時アウトガス量評価
厚さ1mmの基板状に成形した硬化物(1水準あたり4枚)を、大気下、300℃に加熱したホットプレート上に10分保持し、加熱前後の重量変化を測定した。
【0058】
〔材料の調製〕
(1)重合体の合成例
還流冷却器、ガス導入コックを付した1L三口フラスコに、トリシクロ〔5,2,1,02,6〕デカ−8−イルメタクリレート(日立化成工業株式会社製、商品名FA−513M)12.0g、トリシクロ〔5,2,1,02,6〕デカ−8−イルアクリレート(日立化成工業株式会社製、商品名FA−513AS)12.0g、アリルメタクリレート(和光純薬工業株式会社製)36.0g、酢酸エチル470.7gを添加し、2回窒素置換した後、開始剤として和光純薬工業株式会社製、V−65(商品名)0.6gを添加し、さらに2回窒素置換した後、窒素気流下65℃で6時間加熱した。その後、メタノール2Lに反応液を注ぎ、析出した白色固体を吸引ろ過により回収した。70℃で5時間減圧乾燥をおこない、溶媒を留去することにより重合体P−1を得た(収率40%、数平均分子量45,800、重量平均分子量169,000)。他の例示したポリマーについても、同様の方法で調製できる。調製したポリマーの組成を表1に示す。組成比は、重量%で示した。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
表2から明らかなように、本発明で用いる重合体は、硬化性樹脂組成物に導入する重合体の熱分解温度を高めることが分かる。
【0062】
(2)硬化性樹脂組成物の調製
表1で示した重合体を下記表に示す組成で各種成分と混合・溶解し、硬化性樹脂組成物を得た。下記表中において、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェノン(和光純薬工業株式会社製)をD-1、クメンハイドロパーオキサイド(日油株式会社製、商品名パークミルH)をD-2と表す。比較例1では、重合体(P)を用いず、比較例2では重合体Q−1を用い、比較例3では重合体Q−2を用いた。
【0063】
【表3】

【0064】
〔紫外光照射および加熱圧縮による光学部品の製造〕
各実施例および各比較例の組成物を用い、レンズを下記の手順で製造した。
上記硬化性樹脂組成物を成形金型(材質;SUS304)に任意の量投入し、開口部よりHOYA社製UL750を用いて、30mW/cm2のUV光を10秒照射し、半硬化させ、その後室温から200℃まで10℃/分の速度で昇温し、圧力20kgfにて圧縮成形を行い、成形体を得た。得られた硬化物の光線透過率測定、屈折率測定、アッベ数測定、吸水率測定、ガラス転移温度測定を行った。また、成形時に成形性評価をおこなった。これらの結果は以下の表3に記載した。その後、レンズ用成形体をレンズの形状に成形して、光学部品であるレンズを得た。
【0065】
【表4】

【0066】
上記表から明らかなように、本発明の硬化性樹脂組成物を用いることにより、成形性が良く、屈折率が1.45より大きくて、アッベ数が45より大きく、透明性が良好であり、吸水率が小さく、ガラス転移温度が高く、加熱を行ってもアウトガス量が少なく、成形体にひびを生じることのない、良好な光学部品が得られた。一方、重合体(P)を用いない比較例1では、成形時に全てのサンプルで樹脂モレが生じ、また、加熱時のアウトガス量が多く、ひび割れを多く生じた。重合性不飽和結合を含有しない繰返単位(B)、(C)を有しないQ−2を導入した比較例2では、アッベ数が低下し、また、加熱時のアウトガス量が多く、加熱時に大きなひび割れを生じた。重合性不飽和結合を有する繰返単位(A)を有しないQ−1を導入した比較例1では、硬化後に相分離が生じたことにより、透過率が大きく低下し、ガラス転移温度も低下した。また、加熱時のアウトガス量が多く、加熱時、膳サンプルに小さなひび割れを生じた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性不飽和結合基を有する繰返単位(A)と、重合性不飽和結合を有さない繰返単位(B)と、前記繰返単位(B)の主鎖を構成する重合性基とは異なる重合性基によって形成される主鎖を有する繰返単位(C)を含む重合体(P)と、2つ以上の重合性不飽和結合を有している化合物(D)と、1つの重合性不飽和基を有する化合物(E)を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
重合性不飽和結合を有さない繰返単位(B)が、脂環構造を有していることを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
重合性不飽和結合を有さない繰返単位(B)が、下記一般式(1)で表されることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
一般式(1)
【化1】

〔一般式(1)中、R1は水素原子または置換基を表し、L1は二価の連結基または単結合を表し、環αは単環式または多環式の環を表す。〕
【請求項4】
一般式(1)のαが炭素数5〜15の炭素原子を骨格とする環状構造を含む繰返し単位である、請求項3に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
一般式(1)のαが、下記群(1)から選択される構造を骨格とする環状構造を含む繰返単位である、請求項3に記載の硬化性樹脂組成物。
群(1)
【化2】

【請求項6】
一般式(1)のL1が、−CO−、−O−、−CH2−及びこれらの組み合わせからなる基から選択される、請求項3〜5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
前記繰返単位(B)の主鎖を構成する重合性基とは異なる重合性基によって形成される主鎖を有する繰返単位(C)が、下記一般式(1)で表される繰返単位および下記一般式(2)で表される繰返単位の少なくとも1種類の繰返単位である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【化3】

〔一般式(1)中、R1は、水素原子または置換基を表し、L1は二価の連結基または単結合を表し、環αは単環式または多環式の環を表す。〕
【化4】

〔一般式(2)中、環βは単環式または多環式の環を表す。〕
【請求項8】
重合性不飽和結合基を有する繰返単位(A)が、下記一般式(3)で表されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【化5】

〔一般式(3)中、R3〜R6はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、L3は二価の連結基または単結合を表す。〕
【請求項9】
2つ以上の重合性不飽和結合を有している化合物(D)が脂環構造を有していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項10】
1つの重合性不飽和基を有する化合物(E)が脂環構造を有していることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項11】
重合体(P)の重量分子量が、500〜1,000,000である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項12】
重合体(P)が、重合性化合物を含む重合性組成物であって、該重合性化合物成分が、一般式(1)で表される繰返単位を構成する重合性化合物5〜80質量%と、一般式(2)で表される繰返単位を構成する重合性化合物0〜50質量%と、一般式(3)で表される繰返単位を構成する重合性化合物10〜90重量%と、他の重合性化合物5質量%以下のみからなる重合性組成物を用いて合成される、請求項8〜11のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項13】
重合体(P)の含有量が5〜60質量%の範囲にあり、2つ以上の重合性不飽和結合を有している化合物(D)の含有量が20〜90質量%の範囲にあり、1つの重合性不飽和基を有する化合物(E)の含有量が2〜40質量%の範囲にあり、他の成分の含量が5質量%以下であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項14】
光または熱の照射により硬化を開始する開始剤(F)を少なくとも2種類以上有していることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項15】
重合体(P)の2%重量減少温度が250℃以上であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項16】
硬化後の波長589nmにおける屈折率が1.45以上であり、アッベ数が45以上であり、波長589nmにおける厚さ1mm換算の光線透過率が75%以上であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項17】
硬化後のガラス転移温度が230℃以上であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
【請求項19】
空気中または窒素下で、300℃、10分保持しても、ひび割れを起こさない、請求項18に記載の成形体。
【請求項20】
光学部品である、請求項18または19に記載の成形体。
【請求項21】
レンズ基材である、請求項18〜20のいずれか1項に記載の成形体。
【請求項22】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を成形金型内において、二段階で硬化させることを特徴とする成形体の製造方法。

【公開番号】特開2012−41371(P2012−41371A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180733(P2010−180733)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】