説明

硬化性樹脂組成物並びにこれを用いたカラーフィルタ用樹脂皮膜およびカラーフィルタ

【課題】高い剥離液耐性と低誘電率とを有する樹脂皮膜を形成可能な硬化性樹脂組成物、並びに、これを用いたカラーフィルタ用樹脂皮膜およびカラーフィルタを提供する。
【解決手段】バインダーと、重合開始剤と、重合性モノマーと、を含む硬化性樹脂組成物であって、前記光重合性モノマーは、特定のトリアジン骨格と、特定のエチレン性二重結合含有置換基とウレタン結合、を有するトリアジン系化合物、を含む硬化性樹脂組成物、並びにこれを用いたカラーフィルタ用樹脂皮膜およびカラーフィルタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性樹脂組成物に関し、具体的には、カラーフィルタの製造に好適に用いることができる硬化性樹脂組成物、並びに、これを用いたカラーフィルタ用樹脂皮膜およびカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、液晶表示装置はカラーフィルタ基板とTFT(Thin−Film−Transistor)基板とを、個別に作製し、液晶を挟んで貼りあわせることで製造される。この際、カラーフィルタ基板は、カラーフィルタ層の上に、液晶を配向させるためのポリイミド等の配向膜が塗布される。このため、カラーフィルタ層には、ポリイミド樹脂に含まれるNMP(N−メチル−ピロリドン)など極性の強い溶剤に対する耐性が必要とされる。
また、カラーフィルタは3色独立して1色ずつ画素がストライプ状またはモザイク状に形成される。このため、カラーフィルタ層表面に凹凸ができるので、その表面に平坦化膜として、樹脂被膜(以下、「オーバーコート層」という場合がある。)が用いられることがある。この樹脂被膜に対してもカラーフィルタ層と同様に耐NMP性が要求される。
【0003】
またTFT基板においては、基板の上にTFTを作製するとその表面に凹凸ができる。このため、その上に樹脂被膜(以下「層間絶縁膜」という場合がある。)を設け、平坦化させた上にITO(インジウムチンオキシド、酸化インジウムと酸化錫との混合物)をスパッタリング、蒸着法などの真空成膜法で薄膜形成する。通常はITOを、ポジ型レジストを使ってフォトリソでパターン形成し画素電極とするが、このとき下地の層間絶縁膜には、ITOをエッチングするために耐エッチング液耐性(耐酸性)が必要となる。ここで、より重要なことはITOは無機物であり、樹脂被膜は有機物であるために、樹脂被膜が剥離液により膨潤や膨張したときにITOがそれに追随できず、断線してしまうことにある。従って、樹脂被膜は剥離液による剥がれがないことは勿論、更に膨潤・膨張が少ないことが求められる。このポジ型レジストの剥離の際に用いられる剥離液(以下、単に「剥離液」という場合がある。)としては、MEA(モノエタノールアミン)とDMSO(ジメチルスルフォキシド)との混合物などが用いられる。更に、樹脂被膜は、画素電極とTFTとの間に挟まれているために、帯電を起こし、液晶の表示不良の原因となることがあるため、低誘電率材料である点が重要な要求特性となる。
【0004】
また、COA(Color−filter On Array)方式の液晶表示装置にあっては、TFTの上に上記層間絶縁膜の役割も兼ねるカラーフィルタ層を形成する。このため、カラーフィルタ層に対する要求特性は前述のような通常の要求特性に加え、層間絶縁膜に対する要求特性、即ち低誘電率および剥離液耐性が追加される。これらの要求特性を満足するためには、カラーフィルタ層の上に保護層として樹脂被膜を設けることも行なわれている。
通常、カラーフィルタの評価に用いられる耐NMP性は50℃・10minで浸漬させた前後の色度変化で評価されるのに対し、上記剥離液耐性は80℃・2min浸漬後の膨潤率で評価する。従って、この条件では一般には剥離液耐性の方が厳しい評価となり、係る剥離液耐性を満足することが求められる。
【0005】
上述のように、COA方式にあっては、上記樹脂皮膜やカラーフィルタが画素用の半導体に直接接するため低誘電率である必要があり、更に、層間絶縁膜にも低誘電率であることが求められている。特にCOA方式にあっては、画素用半導体と上記樹脂皮膜やカラーフィルタとが直接接することから低誘電率である点が重要である。
【0006】
一方、カラーフィルタ用の感光性組成物としては、トリスイソシアヌル酸化合物を含むものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。係る感光性組成物は、カバーフィルム等との剥離性に優れ、線跡による表示ムラを防止することを目的とする。しかし、係る感光性組成物においても剥離液等に対する剥離液耐性が低いといった問題点があった。
【0007】
また、ラジカル重合性化合物の一例として、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレートモノマーを用いたカラーフィルタなどの画像形成用感光性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、係る感光性樹脂組成物も剥離液等に対する剥離液耐性が低く、更なる改良が望まれている。
【0008】
以上のように、高い剥離液耐性と低誘電率との双方を充足する樹脂皮膜やカラーフィルタ層を形成できる樹脂皮膜は未だ提供されておらず、係る性能を具備する樹脂皮膜を形成可能な光硬化性樹脂組成物や着色剤含有光硬化性樹脂組成物の開発が望まれていた。
【0009】
【特許文献1】特開平10−333330号
【特許文献2】特開2003−177534号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述の問題を解決すべく、高い剥離液耐性と低誘電率とを有する樹脂皮膜を形成可能な硬化性樹脂組成物、並びに、これを用いたカラーフィルタ用樹脂皮膜およびカラーフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
<1> バインダーと、重合開始剤と、エチレン性二重結合を有する重合性モノマーと、を含む硬化性樹脂組成物であって、前記エチレン性二重結合を有する重合性モノマーは、少なくとも下記一般式(1)〜(2)で表されるトリアジン骨格から選ばれる一つに、エポキシ基含有置換基を少なくとも一つ有するトリアジン系化合物Aを含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物である。
【0012】
【化1】


〔一般式(1)〜(2)中、*は、連結基を示す。〕
【0013】
<2> バインダーと、重合開始剤と、エチレン性二重結合を有する重合性モノマーと、を含む硬化性樹脂組成物であって、前記エチレン性二重結合を有する重合性モノマーは、少なくとも下記一般式(1)〜(2)で表わされるトリアジン骨格から選ばれる一つに、下記一般式(3)で表わされる置換基を有するトリアジン系化合物Bを含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物である。
【0014】
【化2】


〔一般式(1)〜(2)中、*は、連結基を示す。〕
【化3】


〔一般式(3)においてR1は、エチレン性二重結合含有置換基を表わす。〕
【0015】
<3> 前記バインダーがアルカリ可溶性樹脂であり、前記重合開始剤が光重合開始剤であり、前記エチレン性二重結合を有する重合性モノマーが光重合性モノマーであることを特徴とする上記<1>または<2>の硬化性樹脂組成物である。
<4> 更に、着色剤を含むことを特徴とする上記<1>〜<3>の硬化性樹脂組成物である。
【0016】
<5> 基板上に形成されたカラーフィルタ層上に設けられるカラーフィルタ用樹脂皮膜であって、上記<1>〜<3>の硬化性樹脂組成物を用いて形成されることを特徴とするカラーフィルタ用樹脂皮膜である。
【0017】
<6> 上記<4>の硬化性樹脂組成物を用いてなることを特徴とするカラーフィルタである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、高い剥離液耐性と低誘電率とを有する樹脂皮膜を形成可能な硬化性樹脂組成物、並びに、これを用いたカラーフィルタ用樹脂皮膜およびカラーフィルタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の第1の硬化性樹脂組成物は、バインダーと、重合開始剤と、エチレン性二重結合を有する重合性モノマーと、を含む硬化性樹脂組成物であって、前記エチレン性二重結合を有する重合性モノマーは、少なくとも下記一般式(1)〜(2)で表されるトリアジン骨格から選ばれる一つに、エポキシ基含有置換基を少なくとも一つ有するトリアジン系化合物Aを含むことを特徴とする。
【0020】
【化4】


〔一般式(1)〜(2)中、*は、連結基を示す。〕
【0021】
また、本発明の第2の硬化性樹脂組成物は、バインダーと、重合開始剤と、エチレン性二重結合を有する重合性モノマーと、を含む硬化性樹脂組成物であって、前記エチレン性二重結合を有する光重合性モノマーは、少なくとも下記一般式(1)〜(2)で表わされるトリアジン骨格から選ばれる一つに、下記一般式(3)で表わされる置換基を有するトリアジン系化合物Bを含むことを特徴とする。
【化5】


〔一般式(1)〜(2)中、*は、連結基を示す。〕
【化6】


〔一般式(3)においてR1は、エチレン性二重結合含有置換基を表わす。〕
【0022】
本発明の第1および第2の硬化性樹脂組成物(以下、単にこれらを「本発明の硬化性樹脂組成物」と称する。また、本発明の硬化性樹脂組成物には、着色剤を含有しない硬化性樹脂組成物および着色剤を含有する硬化性樹脂組成物の両者が含まれる。)は、上記一般式(1)〜(2)のいずれかで表わされるトリアジン骨格に、エポキシ基含有置換基およびエチレン性二重結合含有置換基をそれぞれ少なくとも一つ有するトリアジン系化合物(以下、「トリアジン系化合物A」という場合がある。)、或いは、上記一般式(1)〜(2)のいずれかで表わされるトリアジン骨格に、上記一般式(3)で表わされる置換基を有するトリアジン系化合物(以下、「トリアジン系化合物B」という場合がある。)を、エチレン性二重結合を有する重合性モノマーとして含むため、特にポジ型レジストの剥離液に対する剥離液耐性に優れるとともに、誘電率が低い。このため、本発明の硬化性樹脂組成物を用いて形成された樹脂被膜は、TFTの層間絶縁膜として好適に用いることができ、さらにCOA方式のカラーフィルタにおいては、保護膜(オーバーコート層)や、着色剤を含有させることでカラーフィルタ(画素)用カラーレジストとして好適に用いることができる。
尚、上記ポジ型レジストの剥離液としては、例えば、モノエタノールアミン(MEA)とジメチルスルフォキシド(DMSO)との混合物;モノエタノールアミン(MEA)とN−メチル−2−ピロリドン(NMP)との混合物;MEAとNMPと2,3−ヒドロキシナフタレンとの混合物;等が挙げられる。本発明の硬化性樹脂組成物を用いたカラーフィルタ層は、これらの剥離液に対しての耐性(剥離液耐性)が高い。
【0023】
以下、本発明について詳細に説明する。
《硬化性樹脂組成物》
本発明の硬化性樹脂組成物は、少なくともバインダーと、重合開始剤と、本発明におけるトリアジン系化合物AまたはBであるエチレン性二重結合を有する重合性モノマーと、を含み、必要に応じて他の成分を含んで構成される。本発明の硬化性樹脂組成物は、バインダーと重合開始剤と重合性モノマーとの種類に応じて、熱硬化、光硬化、光・熱硬化、更に電子線硬化を行うことが可能である。
即ち、本発明の硬化性樹脂組成物は、光硬化性、熱硬化性、及び、光・熱硬化性樹脂組成物、更には電子線硬化性樹脂組成物などの硬化性樹脂組成物として幅広く適用が可能である。
【0024】
<エチレン性二重結合を有する重合性モノマー>
本発明においてエチレン性二重結合を有する重合性モノマーとは、光および/または熱重合性を有し、エチレン性二重結合を有する重合性モノマーであり、少なくとも上述のトリアジン系化合物Aまたはトリアジン系化合物Bのいずれかを含む。
【0025】
(トリアジン系化合物A)
上記トリアジン系化合物Aは、下記一般式(1)〜(2)で表わされるトリアジン骨格から選ばれる一つに、エポキシ基含有置換基とエチレン性二重結合含有置換基とをそれぞれ少なくとも一つ有する化合物である。
【0026】
【化7】


〔一般式(1)〜(2)中、*は、連結基を示す。〕
【0027】
上記トリアジン系化合物Aは、一般式(1)〜(2)で表わされるトリアジン骨格を少なくとも一つ含むが、溶剤溶解性などの取り扱い性の観点から、一般式(1)で表わされるトリアジン骨格を含むことが好ましい。また、現像性や解像度の観点から、低分子量であることが好ましく、一分子中におけるトリアジン骨格の数は一つであることが好ましい。
【0028】
また、トリアジン系化合物Aは、上記トリアジン骨格に、エポキシ基含有置換基およびエチレン性二重結合含有置換基を含み、これらの置換基は各一般式において「*」が付された箇所(連結基)において結合される。即ち、一般式(1)〜(2)で表わされるトリアジン骨格は各々三箇所において各置換基と連結基「*」を介して結合することができる。本発明におけるトリアジン系化合物Aが、エポキシ基含有置換基およびエチレン性二重結合含有置換基と、「*」で表わされる連結基において各々一カ所づつで結合している場合、残りの連結基(連結部位)には水素原子または本発明の効果を阻害しない限り他の置換基が結合していてもよい。このような他の置換基としては、例えば、アルキル基等が挙げられる。尚、トリアジン系化合物Aにおいて「*」で表される連結基は、エポキシ基含有置換基やエチレン性二重結合含有置換基とトリアジン骨格とを連結している基を意味する。
【0029】
上記エポキシ基含有置換基は、分子鎖末端にエポキシ環を有する置換基である。上記エポキシ基含有置換基としては、例えば、下記の置換基(a−1)〜(a−4)が挙げられ、(a−1)が好ましい。また、置換基(a−3)〜(a−4)におけるnとしては、1〜2が好ましい。尚、下記の置換基(a−1)〜(a−4)は、上記「*」で表される連結基を含んで表示される。
【0030】
【化8】

【0031】
上記トリアジン系化合物Aとしては、例えば、エポキシ基含有置換基として上記置換基(a−1)〜(a−4)のいずれかを含んでいればよいが、上記一般式(1)〜(2)で表わされるトリアジン骨格の*箇所(連結基)から直接上記置換基(a−1)〜(a−4)が結合していてもよい。また、トリアジン骨格の*箇所(連結基)に結合される一つの置換基中にエポキシ基含有置換基が2以上含まれていてもよい。トリアジン系化合物Aの一分子中に含まれるエポキシ基の数は、誘電率を低くする観点から1〜2が好ましく、1であることが特に好ましい。同様の理由から、上記エポキシ基含有置換基の炭素数は、3〜30が好ましく、3〜20が更に好ましい。
【0032】
上記エチレン性二重結合含有置換基は、エチレン性二重結合を有するものであれば特に限定はされず、例えば下記置換基(b−1)〜(b−6)が挙げられる。本発明においては、下記置換基(b−1)および(b−4)が好ましい。尚、下記の置換基(b−1)〜(b−6)は、上記「*」で表される連結基を含んで表示される。
【0033】
【化9】

【0034】
上記トリアジン系化合物Aは、エチレン性二重結合含有置換基として上記置換基(b−1)〜(b−6)を含んでいればよいが、上記一般式(1)〜(2)で表わされるトリアジン骨格の*箇所から直接上記置換基(b−1)〜(b−6)が結合していてもよい。上記エチレン性二重結合含有置換基の炭素数は、3〜30が好ましく、3〜15が更に好ましい。
【0035】
また、トリアジン系化合物Aに含まれる分子鎖末端に位置するエチレン性二重結合の総数は、硬化性を向上させる観点から、1〜8が好ましく、2が更に好ましい。同様に、トリアジン骨格に結合する置換基一つ当たりに含まれる分子鎖末端に位置するエチレン性二重結合の数としては、1〜4が好ましく、1が更に好ましい。
【0036】
本発明の硬化性樹脂組成物において、トリアジン系化合物Aの含有量は、バインダーに対して10〜250質量%が好ましく、50〜150質量%が更に好ましい。本発明の硬化性樹脂組成物が光硬化系である場合には、トリアジン系化合物(重合性モノマー)とバインダーとを過不足なく架橋させる観点から、トリアジン系化合物Aに含まれるエポキシ環の数と、後述のアルカリ可溶性樹脂に含まれるカルボン酸等の酸性基の数とが一致するように上記トリアジン系化合物Aの含有量を決定することが特に好ましい。
【0037】
即ち、本発明の硬化性樹脂組成物が光硬化系である場合に、上記トリアジン系化合物Aの組成物中の含有割合は、当量比で硬化性樹脂組成物中のバインダーのカルボキシル当量に対して、0.5〜1.5当量であることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.2当量である。上記トリアジン系化合物Aの配合量の計算は、架橋するバインダーの酸価から当量比割合(1/1)にするとき次の計算式で配合量を求めることができる。
(COOH当量)=KOHの分子量×1000/(酸価)
【0038】
上記計算式においてバインダーのCOOH基の数と上記トリアジン系化合物Aのエポキシ基の数との比(エポキシ当量/COOH基当量)が、0.5未満では架橋密度が低くなる場合がある。また1.5を超えると架橋しないエポキシが存在することになり、特に液晶の電圧保持率の低下を引き起こす場合がある。
尚、上記トリアジン系化合物Aの組成物中の含有量の基準として、バインダーの官能基としてカルボキシル基の量にしたが、バインダー中の他の官能基(フェノール性OH基等)が基準でもよい。
【0039】
以下にトリアジン系化合物Aの具体例を挙げるが本発明はこれに限定されるものではない。
【0040】
【化10】

【0041】
尚、本発明におけるトリアジン系化合物Aとしては、対称性を有する構造のものが好ましい。また、上記トリアジン系化合物Aは、後述の一般式(3)で表わされるようなウレタン基を有するものであってもよい。
【0042】
本発明においては、後述するように本発明におけるトリアジン系化合物Aと他の公知の重合性モノマーを併用することができる。該トリアジン系化合物Aと併用することのできる重合性モノマーとしては、特に下記イソシアヌル酸エチレンオキサイド付加物のアクリレートが好ましい。
【0043】
【化11】

【0044】
この際、剥離液耐性の向上と低誘電率の低減との両立を図る観点からトリアジン系化合物Aと上記イソシアヌル酸エチレンオキサイド付加物のアクリレートとの質量比は、20/1〜1/10が好ましく、15/1〜1/4が更に好ましい。
【0045】
(トリアジン系化合物B)
上記トリアジン系化合物Bは、トリアジン系化合物Aと同様に上記一般式(1)〜(2)で表わされるトリアジン骨格から選ばれる一つに、下記一般式(3)で表わされる置換基(ウレタン基)を有する化合物である。
【0046】
【化12】


〔一般式(3)においてR1は、エチレン性二重結合含有置換基を表わす。〕
【0047】
上記トリアジン系化合物Bは、一般式(1)〜(2)で表わされるトリアジン骨格を少なくとも一つ含むが、溶剤溶解性などの取り扱い性の観点から、一般式(1)で表わされるトリアジン骨格を含むことが好ましい。また、現像性や解像度の観点から低分子量であることが好ましく、一分子中におけるトリアジン骨格の数は一つであることが好ましい。
【0048】
また、トリアジン系化合物Bは、上記トリアジン骨格に、一般式(3)で表わされる置換基を含み、これらの置換基は各一般式において「*」が付された箇所(連結基)において結合される。即ち、一般式(1)〜(2)で表わされるトリアジン骨格は各々三箇所において各置換基と連結基を介して結合することができる。尚、本発明におけるトリアジン系化合物Bが、一般式(3)で表わされる置換基と、「*」で表わされる連結基において各々一カ所づつで結合している場合、残りの連結基(連結部位)には水素原子または本発明の効果を阻害しない限り他の置換基が結合していてもよい。このような他の置換基としては、例えば、アルキル基等が挙げられる。尚、トリアジン系化合物Bにおいて「*」で表される連結基は、一般式(3)で表される置換基とトリアジン骨格とを連結している基を意味する。
【0049】
上記一般式(3)中、R1は、エチレン性二重結合含有置換基を表わす。該R1におけるエチレン性二重結合含有置換基は、エチレン性二重結合を有する基であれば特に限定されないが、一価アルコールの残基であって、分子鎖末端にエチレン性二重結合を有する置換基が好ましい。該置換基としては、例えば、下記置換基(c−1)〜(c−14)が挙げられる。
【0050】
【化13】

【0051】
【化14】

【0052】
上記トリアジン系化合物BにおいてR1で表わされるエチレン性二重結合含有置換基としては、2官能の置換基であること、即ち、エチレン性二重結合を2つ有する置換基が好ましい。上記R1で表わされるエチレン性二重結合含有置換基としては、上記置換基(c−1)〜(c−3)が好ましく、上記置換基(c−1)が特に好ましい。また、トリアジン系化合物Bは対称性を有する構造のものが好ましいことから、トリアジン骨格に結合される置換基はそれぞれ同一のものが好ましい。
【0053】
トリアジン骨格Bにおいて、「*」で表される連結基は、OCN−Y−NCOで表されるジイソシアネート化合物の連結基「Y」が好ましい。上記*で表される連結基としては、例えば、下記連結基(d−1)〜(d−11)が挙げられる。
【0054】
【化15】

【0055】
上記*で表わされる連結基としては、耐熱変色性の少ない、耐光性のよい脂肪鎖含有のものが好ましく、特にn=6の上記連結基(d−1)、脂環式構造の連結基(d−4)、(d−6)、(d−10)、(d−11)などが好ましく、中でも連結基(d−1)、(d−4)が更に好ましい。
【0056】
また、トリアジン系化合物Bに含まれる置換基分子鎖末端エチレン性二重結合の総数は、硬化性を向上させる観点から、含まれる置換基の数が多い方が好ましい。特に、硬化物の対称性や硬化時の熱収縮を考慮すると、上記置換基分子鎖末端エチレン性二重結合の総数は、3〜12が好ましく、3〜6であることが最も好ましい。上記総数が3〜12の範囲にあると、結合基の数が多いことに起因して熱収縮によって膜にクラックが生じたり、結合基が少なすぎることに起因して剥離液耐性が低下したりすることがない。
【0057】
本発明の硬化性樹脂組成物において、トリアジン系化合物Bの含有量は、バインダーに対して50〜100質量%が好ましい。
【0058】
以下に、トリアジン系化合物Bの具体例を挙げる。但し、本発明は、これに限定されるものではない。
【0059】
【化16】

【0060】
尚、上記トリアジン系化合物Bは、上述のエポキシ基含有置換基またはエチレン性二重結合を有するものであってもよい。また、上述のトリアジン系化合物Aとトリアジン系化合物Bとを併用してもよい。
【0061】
(他のエチレン性二重結合を有する重合性モノマー)
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で上記トリアジン系化合物AおよびB以外の他のエチレン性二重結合を有する重合性モノマーを含有していてもよい。上記他のエチレン性二重結合を有する重合性モノマーとしては、上述のイソシアヌル酸エチレンオキサイド付加物のアクリレートの他、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、常圧下で100℃以上の沸点を持つ化合物が好ましい。
【0062】
上記少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、常圧下で100℃以上の沸点を持つ化合物としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報、特開昭51−37193号公報等に記載されているようなウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、特公昭52−30490号各公報等に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレートを挙げることができる。更に、日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用できる。
【0063】
また、上述の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化した化合物が、特開平10−62986号公報に一般式(1)および(2)としてその具体例と共に記載されており、これらもエチレン性二重結合を有する重合性モノマーとして用いることができる。
【0064】
これらの他のエチレン性二重結合を有する重合性モノマーを用いる場合、硬化物の対称性を考慮すると、本発明の硬化性樹脂組成物に含まれるエチレン性二重結合を有する重合性モノマーの総量に対して、上記トリアジン系化合物AまたはBは50質量%以上含まれていることが好ましく、75質量%以上が更に好ましい。
【0065】
(バインダー)
本発明において用いられるバインダーとしてはアルカリ可溶性樹脂を好適に用いることができる。該アルカリ可溶性樹脂としては、酸価が30〜150mgKOH/gの範囲にあるアクリル系共重合体が好ましい。また、カラーフィルタやCCDに用いる場合には、アルカリ可溶性樹脂は変色性がなく、耐光性があるものが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物において、好ましいアルカリ可溶性樹脂としては、酸価が30〜150、好ましくは35〜120(mgKOH/gポリマー)の範囲であるアクリル系共重合体(以下、「アクリル系結着樹脂」という場合がある。)が挙げられる。
【0066】
上記アクリル系結着樹脂は、上述の酸価を満たし、後記する溶剤に溶解し、かつ皮膜を形成して結着樹脂として機能するアクリル系共重合体であれば、特に制限されずに用いることができる。
【0067】
好ましい上記アクリル系結着樹脂の構成単位としては、(メタ)アクリル酸と、共重合可能な他の単量体との共重合体が挙げられる。
【0068】
上記(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アリ−ル(メタ)アクリレートやビニル化合物等が挙げられる。ここで、アルキル基およびアリール基の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。上記アルキル(メタ)アクリレートおよびアリ−ル(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジルアクリレート、トリルアクリレート、ナフチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等を挙げることができる。
【0069】
また、上記ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー等を挙げることができる。
【0070】
特に好ましい共重合可能な他の単量体は、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートおよびスチレンである。
これら共重合可能な他の単量体は、1種単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0071】
アクリル系結着樹脂として特に好ましくは、(メタ)アクリル酸と、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、およびスチレンから選択される少なくとも1種の単量体との共重合体である。
【0072】
上述の通り、アクリル系結着樹脂は、30〜150mgKOH/gの範囲の酸価を有することが好ましい。上記アクリル系結着樹脂の酸化が上記範囲内にあると、アクリル系結着樹脂がアルカリに対する溶解性が大きくなりすぎて現像適正範囲(現像ラチチュード)が狭くなることがなく、また、アルカリに対する溶解性が小さくなり現像に時間がかかり過ぎることがない。
また、アクリル系結着樹脂の重量平均分子量Mw(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)は、カラーレジストを塗布等の工程上使用しやすい粘度範囲を実現するために、また膜強度を確保するために、5,000〜100,000であることが好ましく、より好ましくは8,000〜50,000である。
【0073】
アクリル系結着樹脂の酸価を上記で特定した範囲とするには、各単量体の共重合割合を適切に調整することに容易に行うことができる。
また、アクリル系結着樹脂の重量平均分子量の範囲を上記範囲とするには、単量体の共重合の際に、重合方法に応じた連鎖移動剤を適切な量使用することにより容易に行うことができる。
上記アクリル系結着樹脂は、例えばそれ自体公知のラジカル重合法により製造することができる。ラジカル重合法でアクリル系結着樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類およびその量、溶媒の種類等々の重合条件は、当業者であれば容易に設定することができるし、実験的に条件を知ることもできる。
【0074】
また、アルカリ可溶性樹脂は架橋効率を向上させるために、重合性基を側鎖に有していてもよく、アリル基、(メタ)アクリル基、アリルオキシアルキル基等を側鎖に含有したポリマー等も本発明におけるアルカリ可溶性樹脂として有用である。これらの重合性基を含有するポリマーの例を以下に示すが、COOH基、OH基、アンモニウム基等の塩基のアルカリ可溶性基と炭素−炭素不飽和結合とが含まれていれば下記に限定されない。OH基を有する例えば2−ヒドロキシエチルアクリレートと、COOH基を含有する例えばメタクリル酸と、これらと共重合可能なアクリル系若しくはビニル系化合物等のモノマーとの共重合体に、OH基と反応性を有するエポキシ環と炭素−炭素不飽和結合基を有する化合物、例えばグリシジルアクリレートのような化合物を反応させて得られる化合物等を使用できる。OHとの反応ではエポキシ環の他に酸無水物、イソシアネート基を有し、アクリロイル基を有する化合物も使用できる。また、特開平6−102669号公報や特開平6−1988号公報に開示されるエポキシ環を有する化合物にアクリル酸のような不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物に、飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物を反応させて得られる反応物も使用できる。COOHのようなアルカリ可溶化基と炭素−炭素不飽和基を併せ持つ化合物としては例えばダイヤナールNRシリーズ(三菱レイヨン(株)製、酸価:25KOHmg/g、ポリアクリル(メタ)アクリレート)、Photomer 6173(COOH含有Polyurethane acrylic oligomer, Diamond Sharmrock Co., Ltd.製)、ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ、プラクセル CF200シリーズ(いずれもタイセル化学工業(株)製)、Ebecry 13800(ダイセルユーシーピー(株)製、酸価:25KOHmg/g、酸官能性エポキシアクリレート)などが挙げられる。
【0075】
これら各種の樹脂のなかで、本発明に用いるアルカリ可溶性樹脂としては、耐熱性の観点で、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、アクリル系樹脂、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂が更に好ましい。また、現像性制御の観点でアクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
上記アクリル系樹脂としてはベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等から選ばれるモノマーからなる共重合体、およびサイクロマーPシリーズ、プラクセル CF200シリーズ(いずれもタイセル化学工業(株)製)、Ebecry 13800(ダイセルユーシーピー(株)製)、ダイヤナールNRシリーズ(三菱レイヨン(株)製)、ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業(株)製)等が好ましい。
また、硬化被膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとエピクロルヒドリンのポリエーテル等も有用である。
【0076】
本発明の硬化性樹脂組成物中の上記バインダーの含有量は、組成物の全固形分の5〜90質量%であることが好ましく、10〜60質量%であることが更に好ましい。バインダーの含有量が上述の範囲内にあると、膜強度が十分であり、また、酸性分が少なくなるので、溶解性のコントロールが容易であり、更に、相対的に顔料を多く用いることができるので十分な画像濃度を得ることができる。
【0077】
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、光硬化をせずに熱硬化だけで使用することができる。その用途としては、低誘電率が必要なプリント基板の多層回路基板用絶縁膜が有用である。この場合、上記バインダーとしては、規則性を維持できる2官能或いは3官能エポキシ樹脂が好ましく、このようなエポキシ樹脂には、下記構造式によって表されるものが挙げられる。また、この場合には、エポキシ用に別途イミダゾールなどの硬化触媒を用いることもできる。尚、上記絶縁膜では、一般的に導通穴は、ドリル加工或いはビルドアップ基板のように絶縁層を組み上げて多層回路を造る場合、炭酸ガスレーザーによるレーザー穴あけにより形成することができる。
【0078】
【化17】

【0079】
(重合開始剤)
上記重合開始剤としては、光重合開始剤や熱重合開始剤等を用いることができる。即ち、本発明の硬化性樹脂組成物を、光重合系、熱重合系、若しくは、光・熱重合系の組成物として形成する場合には、それぞれの系に応じた重合開始剤が用いられる。
【0080】
−光重合開始剤−
本発明において用いられる光重合開始剤としては、従来公知のものが使用できる。例えば、特公昭57−6096号公報等に記載のハロメチルオキサジアゾール化合物、特公昭59−1281号公報および特開昭53−133428号公報等に記載のハロメチル−s−トリアジン等の活性ハロゲン化合物、米国特許第4318791号明細書および欧州特許第88050A号明細書等に記載のケタール、アセタール、ベンゾインアルキルエーテル類等の芳香族カルボニル化合物、米国特許第4199420号明細書に記載のベンゾフェノン類等の芳香族ケトン化合物、フランス特許第2456741号明細書に記載の(チオ) キサントン類、アクリジン類化合物、特開平10−62986号公報に記載のクマリン類、ロフィンダイマー類化合物、特開平8−15521号公報に記載のスルホニウム有機硼素錯体等が挙げられる。
【0081】
具体的には、アセトフェノン系開始剤(例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオフェノン等)、ケタール系開始剤(例えば、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール等)、ベンゾフェノン系開始剤(例えば、ベンゾフェノン、4,4’−(ビスジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−(ビスジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−トリル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン−1等)、ベンゾイン系およびベンゾイル系開始剤(例えば、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート等)、キサントン系開始剤(ジエチルチオキサントン、ジイソプロピルチオキサントン、モノイソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン等)、トリアジン系開始剤(例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ビフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メチルビフェニル)−s−トリアジン、p−ヒドロキシエトキシスチリル−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、メトキシスチリル−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、3,4−ジメトキシスチリル−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−ベンズオキソラン−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−(o−ブロモ−p−N,N−(ジエトキシカルボニルアミノ)フェニル)−2,6−ジ(クロロメチル)−s−トリアジン、4−(p−N,N−(ジエトキシカルボニルアミノ)フェニル)−2,6−ジ(クロロメチル)−s−トリアジン等)、ハロメチルオキサジアゾール系開始剤(例えば、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(シアノスチリル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(ナフト−1−イル)−1,3,4−オキソジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−スチリル)スチリル−1,3,4−オキソジアゾール等)、アクリジン類開始剤(例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9−アクリジニル)ヘプタン等)、クマリン類開始剤(例えば、3−メチル−5−アミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−クロロ−5−ジエチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン、3−ブチル−5−ジメチルアミノ−((s−トリアジン−2−イル)アミノ)−3−フェニルクマリン等)、ロフィンダイマー類開始剤(例えば、2−(o−クロルフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体等)、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、o−ベンゾイル−4’−(ベンズメルカプト)ベンゾイル−ヘキシル−ケトキシム、2,4,6−トリメチルフェニルカルボニル−ジフェニルフォスフォニルオキサイド、ヘキサフルオロフォスフォロ−トリアルキルフェニルスルホニウム塩、2−メルカプトベンズイミダゾール、2,2’−ベンゾチアゾリルジサルファイド等が挙げられる。
【0082】
本発明の硬化性樹脂組成物における光重合開始剤の含有量は、組成物中の光重合性モノマーに対して0.5〜60質量%が好ましく、1〜50質量%が好ましい。光重合開始剤の含有量が上記範囲内にあると、重合反応が阻害されず、膜強度が低くなるのを防止することができる。
【0083】
−熱重合開始剤−
本発明の光および/または熱硬化性樹脂組成物は、上記光重合開始剤を用いず、熱重合開始剤のみを用いることができる。即ち、この場合には、熱のみで硬化し、ITOの配線用などの導通穴は、硬化後レーザーによって穴開けにより形成することも可能である。更にこの場合は、アルカリ現像も不要となるため、バインダーとしてアルカリに不溶なタイプ、例えば、カルボン酸を全く持たないメチルメタクリレートのようなアクリル系樹脂や塗料用に使用されるポリエステル系樹脂のようなものも使用することができる。上記熱重合開始剤としては、一般に知られている有機過酸化物系化合物やアゾ系の化合物を用いることができる。
【0084】
本発明においては、熱重合開始剤として、有機過酸化物系化合物およびアゾ系化合物を2種以上併用することができる。また、上述の光重合開始剤と併用することも可能である。
上記有機過酸化物系化合物としては、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン等のペルオキシケタール系化合物;ベンゾイルペルオキシド等のジアシルペルオキシド系化合物;t−ブチルペルオキシベンゾエート等のペルオキシエステル系化合物が挙げられる。また、上記アゾ系化合物としては、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド(2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル)等が挙げられる。これらの化合物は、半減期温度が比較的高く、保存安定性がよく、更に硬化特性(硬化速度、硬化後の耐溶剤性などの特性)もよい。
有機過酸化物系およびアゾ系化合物の組成物中の含有量は、硬化性樹脂組成物中のエチレン性二重結合を有する重合性モノマーの量に対して、0.5〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜15質量%である。有機過酸化物系化合物およびアゾ系化合物の配合量が、エチレン性二重結合を有する重合性モノマーに対して0.5質量%未満では効果が余りなく、また20質量%を超えると組成物の粘度が経時変化する場合がある。また、有機過酸化物系化合物およびアゾ系化合物の中でも、半減期温度の比較的高いもの(好ましくは50℃以上、更に好ましくは80℃以上)のものを使用しないと、組成物の粘度が経時変化する場合がある。
【0085】
−その他の重合開始剤−
また、特開2003−255531号公報に示す下記構造式のようなベンゾフェノン骨格及び過酸化物の両方を構造内に含むものは、光重合、熱重合および光・熱重合の開始剤として好適である。
【0086】
【化18】


〔式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基または炭素数7〜20のアラルキル基を表す。R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、カルボキシル基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基または炭素数2〜20のジアルキルアミノ基を表す。mは、0,1または2であり、nは1,2または3である。〕
【0087】
上記構造式で表される化合物の具体例としては、下記のものが挙げられる。
【0088】
【化19】

【0089】
(溶剤)
本発明において、本発明の硬化性樹脂組成物を調製する際に溶剤を使用することができる。上記溶剤としては、例えば、エステル類、具体的には酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチルなどの3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等;エーテル類、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート等;ケトン類、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等;芳香族炭化水素類、例えばトルエン、キシレシ等が挙げられる。
【0090】
これらのうち、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等が好ましく用いられる。
【0091】
これらの溶剤は、単独で用いても或いは2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0092】
(着色剤)
本発明においては更に着色剤を含有させることで、本発明の硬化性樹脂組成物をカラーフィルタ層(画素)等の形成に用いることができる。
【0093】
本発明に用いることができる着色剤としては、従来公知の種々の顔料、(絶縁性)カーボンブラック、または、染料を、一種若しくは二種以上混合して用いることができる。
【0094】
本発明に用いることができる顔料としては、従来公知の種々の無機顔料または有機顔料を用いることができる。また、顔料は、高透過率であることが好ましく、なるべく細かいものの使用がよいが、ハンドリング性をも考慮すると、好ましくは平均粒子径0.01μm〜0.1μm、より好ましくは0.01μm〜0.05μmの顔料が用いられる。
上記無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で示される金属化合物であり、具体的には鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、および上記金属の複合酸化物を挙げることができる。
【0095】
上記有機顔料としては、C.I.Pigment Yellow 11, 24, 31, 53, 83, 93, 99, 108, 109, 110, 138, 139, 147, 150, 151, 154, 155, 167, 180, 185, 199, ;
C.I.Pigment Orange 36, 38, 43, 71;
C.I.Pigment Red 81, 105, 122, 149, 150, 155, 171, 175, 176, 177,209, 220, 224,
242, 254, 255, 264, 270;C.I.Pigment Violet 19, 23, 32, 39;
C.I.Pigment Blue 1, 2, 15, 15:1, 15:3, 15:6, 16, 22, 60, 66;
C.I.Pigment Green 7, 36, 37;
C.I.Pigment Brown 25, 28;
C.I.Pigment Black 1, 7;
等を挙げることができる。
【0096】
本発明においては、特に顔料の構造式中に塩基性のN原子をもつものが好ましく用いることができる。これら塩基性のN原子をもつ顔料は本発明の硬化性樹脂組成物中で良好な分散性を示す。その原因については十分解明されていないが、感光性重合成分と顔料の親和性の良さが影響しているものと推定される。
【0097】
上記各種顔料のうちでも、さらに本願発明において好ましく用いることができる顔料として、以下のものを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0098】
C.I.Pigment Yellow 11, 24, 108, 109, 110, 138, 139, 150, 151, 154, 167, 180, 185,
C.I.Pigment Orange 36, 71,
C.I.Pigment Red 122, 150, 171, 175, 177, 209, 224, 242, 254, 255, 264,
C.I.Pigment Violet 19, 23, 32,
C.I.Pigment Blue 15:1, 15:3, 15:6, 16, 22, 60, 66,
C.I.Pigment Black 1
【0099】
これら有機顔料は、単独若しくは色純度を上げるため種々組合せて用いる。係る組合わせの具体例を以下に示す。赤の顔料としては、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料単独またはそれらの少なくとも一種と、ジスアゾ系黄色顔料、イソインドリン系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料またはペリレン系赤色顔料と、の混合などが用いられる。例えばアントラキノン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド177、ペリレン系顔料としては、C.I.ピグメントレッド155、C.I.ピグメントレッド224、ジケトピロロピロール系顔料としては、C.I.ピグメントレッド254が挙げられ、色再現性の点でC.I.ピグメントイエロー83またはC.I.ピグメントイエロー139との混合が良好である。赤色顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:50が好ましい。赤色顔料と黄色顔料との質量比が上述の範囲にあると、400nm〜500nmの光透過率を抑えることができ、色純度を上げることができ、更に、主波長が短波長よりにならずNTSC目標色相からのずれが小さい。上記赤色顔料と黄色顔料との質量比としては、100:10〜100:30が特に好ましい。赤色顔料同士の組み合わせの場合は、色度に併せて調整することができる。
【0100】
緑の顔料としては、ハロゲン化フタロシアニン系顔料単独またはジスアゾ系黄色顔料、キノフタロン系黄色顔料、アゾメチン系黄色顔料またはイソインドリン系黄色顔料との混合が用いられ、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36またはC.I.ピグメントグリーン37と、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー180またはC.I.ピグメントイエロー185と、の混合が好ましい。緑顔料と黄色顔料との質量比は、100:5〜100:150が好ましい。上記質量比が上述の範囲内にあると、400nm〜450nmの光透過率を抑えることができ、色純度を上げることができる。更に上記質量比が上記範囲内にあると、主波長が長波長よりにならずNTSC目標色相からのずれが小さい。より好ましい質量比は100:30〜100:120の範囲である。
【0101】
青の顔料としては、フタロシアニン系顔料単独またはジオキサジン系紫色顔料との混合が用いられ、例えば、C.I.ピグメントブルー15:6と、C.I.ピグメントバイオレッ ト23と、の混合が好ましい。青色顔料と紫色顔料との質量比は、100:0〜100:30が好ましく、より好ましくは100:10以下である。
【0102】
更に上記の顔料をアクリル系樹脂、マレイン酸系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマーおよびエチルセルロース樹脂等に微分散させた粉末状加工顔料を用いることにより分散性および分散安定性の良好な硬化性樹脂組成物を得ることができる。
【0103】
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、カーボン、チタンカーボン、酸化鉄、酸化チタンなどを単独若しくは混合した着色剤を用いることで、ブラックマトリックスを形成することも可能である。
【0104】
上記顔料は顔料樹脂被膜よって被覆されたものも用いることができる。上記顔料被覆樹脂としては、カルボキシル基を含有するアクリル樹脂等の樹脂を挙げることができる。該カルボキシル基を含有するアクリル樹脂は、例えば、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、などのカルボキシル基を有するモノマーとスチレン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル酸グリシジル、クロトン酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸クロライド、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N,Nジメチルアクリルアミド、N−メタクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、などの共重合成分を共重合させたポリマーが挙げられる。中でも好ましいものは、構成モノマーとして少なくとも(メタ)アクリル酸或いは(メタ)アクリル酸アルキルエーテルを含有するアクリル樹脂であり、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸およびスチレンを含有するアクリル樹脂である。
【0105】
また、これらの樹脂は架橋効率を向上させるために、重合性基を側鎖に有していてもよく、樹脂側鎖にエチレン性二重結合を付加させることもできる。樹脂側鎖に二重結合を付与することにより光硬化性が高まるため、解像性、密着性をさらに向上させることができる。
エチレン性二重結合を導入する合成手段として、例えば、特公昭50−34443号公報、特公昭50−34444号公報などに記載の方法等が挙げられる。
具体的には、カルボキシル基や水酸基にグリシジル基、エポキシシクロヘキシル基および(メタ)アクリロイル基を併せ持つ化合物やアクリル酸クロライドなどを反応させる方法が挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、α−エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸クロライド、(メタ)アリルクロライドなどの化合物を使用し、カルボキシル基や水酸基を有する樹脂に反応させることにより側鎖に重合基を有する樹脂を得ることができる。
【0106】
上記有機顔料やカーボン等の分散には、通常分散剤が用いられる。分散剤には、上記顔料被覆樹脂をそのまま用いるほか、後述するような分散剤が併用可能である。これらの分散剤は単独でも、また、複数組み合わせても使用可能である。分散処理により顔料の表面に樹脂が吸着されると同時に顔料粒子の凝集が破壊され粒径が微細化される。
【0107】
分散剤としては、BYK社製のAnti−Terra−U、Disperbyk−160、161、162、163、ZENECA社製のSolspers20000、24000GR、26000、28000、楠本化成社製のDA−703−50、NDC−8194 L、NDC−8203L、NDC−8257L、KS−860、花王社製のホモゲナールL−18、L−1820、L−95、L−100、日本ペイント社製のVP5000、グッドリッチ社製のE5703P、ユニオンカーバイド社製のVAGH、東洋紡社製のUR8200、日本ゼオン社製のMR113、等の公知の分散樹脂を使用することができる。
【0108】
また、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745(森下産業製));オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社油脂化学工業製)、W001(裕商製)等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤;エフトップEF301、EF303、EF352(新秋田化成製)、メガファックF171、F172、F173(大日本インキ製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム製)、アサヒガードAG710、サーフロンS382、SC−101、SC−102、SC−103、SC−104、SC−105、SC−1068(旭硝子製)等のフッ素系界面活性剤;W004、W005、W017(裕商製)等のアニオン系界面活性剤;EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(以上森下産業製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ製)等の高分子分散剤;ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(ゼネカ(株)製);アデカプルロニックL31,F38,L42,L44,L61,L64,F68,L72,P95,F77,P84,F87、P94,L101,P103,F108、L121、P−123(旭電化製)およびイソネットS−20(三洋化成製)も挙げられる。
【0109】
本発明において、着色剤が染料である場合には、組成物中に均一に溶解して硬化性樹脂組成物を得ることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物を構成する着色剤として使用できる染料は、特に制限はなく、従来カラーフィルタ用として公知の染料が使用できる。例えば、特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特登2592207号、米国特許第4,808,501号明細書、米国特許第5,667,920号明細書、米国特許第5,059,500号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報、特開平8−211599号公報、特開平4−249549号公報、特開平10−123316号公報、特開平11−302283号公報、特開平7−286107号公報、特開2001−4823号公報、特開平8−15522号公報、特開平8−29771号公報、特開平8−146215号公報、特開平11−343437号公報、特開平8−62416号公報、特開2002−14220号公報、特開2002−14221号公報、特開2002−14222号公報、特開2002−14223号公報、特開平8−302224号公報、特開平8−73758号公報、特開平8−179120号公報、特開平8−151531号公報等に開示されている色素が使用できる。
化学構造としては、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリア ゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサテン系、フタロシアニン系、ペンゾピラン系、インジゴ系等の染料が使用できる。
【0110】
本発明の硬化性樹脂組成物中の着色剤の含有率は、全固形分に対して、20〜60質量%であり、好ましくは25〜65質量%である。含有率は高い方が、良好な遮光性や高色度の色特性が得られるが、樹脂成分が少なくなることで、比誘電率が高くなる可能性がある。
【0111】
(他の添加剤)
本発明の硬化性樹脂組成物には、上記した成分の他に、必要に応じて各種添加物、例えば充填剤、上記アルカリ可溶性樹脂以外の高分子化合物、上記以外の界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。
【0112】
これらの添加物の具体例としては、ガラス、アルミナ等の充填剤;イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの、アルコール可 溶性ナイロン、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから形成されたフェノキシ樹脂などのアルカリ可溶の樹脂;ノニオン系、カチン系、アニオン系等の界面活性剤、具体的にはフタロシアニン誘導体(市販品EFKA−745(森下産業製));オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社油脂化学工業製)、W001(裕商製)等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製 プルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1等のノニオン系界面活性剤;W004、W005、W017(裕商製)等のアニオン系界面活性剤;EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(以上森下産業製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ製)等の高分子分散剤;ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(ゼネカ(株)製);アデカプルロニックL31,F38,L42,L44,L61,L64,F68,L72,P95,F77,P84,F87、P94,L101,P103,F108、L121、P−123(旭電化製)およびイソネットS−20(三洋化成製);
【0113】
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;およびポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤を挙げることができる。
【0114】
また、放射線未照射部のアルカリ溶解性を促進し、本発明の硬化性樹脂組成物の現像性の更なる向上を図る場合には、更に有機カルボン酸、好ましくは分子量1000以下の低分子量有機カルボン酸の添加を行うことができる。具体的には、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等のその他のカルボン酸が挙げられる。
【0115】
本発明の硬化性樹脂組成物には以上の各成分の他に、更に、樹脂組成物の常温或いは冷蔵保管時の粘度経時変化を抑えるために重合防止剤を加えておくことが好ましく、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンゾイミダゾール等が有用である。本発明の硬化性樹脂組成物に熱重合防止剤を添加させることで、その保存安定性を改良することができる。重合防止剤の配合量としては、通常重合性モノマーに対し、100ppm〜1質量%であり、好ましくは500ppm程度添加する。
【0116】
<硬化性樹脂組成物の調製方法>
本発明の硬化性樹脂組成物は、バインダーと、エチレン性二重結合を有する重合性モノマーと、重合開始剤とを、さらに必要に応じて、着色剤、その他の添加剤と併せて、溶剤と混合し各種の混合機、分散機を使用して混合分散することによって調製することができる。
尚、混合分散工程は、混練分散とそれに続けて行う微分散処理からなるのが好ましいが、混練分散を省略して、微分散処理のみとすることも可能である。
【0117】
本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物は透明性に優れ、耐光性、耐熱性、剥離液耐性(耐NMP性を含む)、更にアルカリ水溶液による現像特性も高いことから、種々用途への展開が可能である。主な用途として、プリント基板に関連したソルダーレジスト、ビルドアップ基板の絶縁材料、特にLCD用として、TFTの層間絶縁膜用、COAの保護膜(平坦化膜)用、スペーサー用に好適に用いることができる。更に、着色剤を導入した本発明の硬化性樹脂組成物は、カラーフィルタ材料として、上記種々の耐性が出せるので、特開平9−311347号公報の図1などに開示されている、いわゆるCOA用として有用である。また、着色剤を含んだ本発明の硬化性樹脂組成物は、種々耐性が優れていることから、通常のカラーフィルタへの適用も、保護膜なしで使用でき、カラーフィルタ製造工程の工程短縮および製造合理化を期待することができる。
【0118】
上記TFT基板としては、例えば、液晶表示素子等に用いられる無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラスおよびこれらに透明導電膜を付着させたものや、固体撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えばシリコン基板等が挙げられる。さらに、プラスチック基板も可能である。これらの基板上には、通常、各画素を隔離するブラックマトリックスやブラックストライプが形成されている。
【0119】
通常のTFT方式のLCDは、TFT基板とカラーフィルタ基板とを別々に作製し、液晶を挟んで貼り合わせる方法で作製される。この場合、カラーフィルタは、ブラックマトリックスと各画素とを形成した後、ITOを全面にスパッタリング、蒸着法などの真空成膜法で形成される。このことから、通常のTFT方式のLCDは、その後のパターニングの必要がなく、下地のカラーフィルタは剥離液耐性、低誘電率およびコンタクトホールが不要という状況の中で一般的に使用されていた。このため、TFT基板の作製とカラーフィルタの作製とは別々の会社で行われ、独自の進歩を遂げている。TFT基板の製造技術には、主に半導体の製造技術が使用されて進歩してきたが、基板の大型化に伴い、基板の搬送方法、露光機および露光方法、ポジ型レジストの塗布機および塗布方法、層間絶縁膜の低誘電率化、剥離液耐性と塗布方法などの問題を抱えている。本発明の硬化性樹脂組成物は、このTFT基板の層間絶縁膜として好適に用いることができる。
【0120】
しかし、近年モニター用、TV用などの用途が拡大し、年々生産効率を上げるために、新しく建設する量産工場は、使用する基板面積が大きくなってきており、TFT側の画素とカラーフィルタ側の画素との位置合わせが技術的に難しくなっている。このため、ブラックマトリックスを太くし、位置ズレによる不良を少なくすると、開口率が減り、画面が暗くなる。しかし、画面を明るくするために、バックライトの輝度を上げると、バックライトの寿命問題、発熱問題、消費電力問題等の様々な問題を引き起こすことになる。
【0121】
これらのことから、COA方式というTFT基板側にカラーフィルタを造る方法が検討されている。元来、COAは上述のようにTFT上に直接カラーフィルタを形成するので、基本的に位置合わせの必要がないことから、ブラックマトリックスを細くできる。このため、開口率を高めることができ、バックライトの輝度を上げる必要がないことから、バックライトの消費電力を少なくすることができる。しかし、COA方式は以前から注目された技術であるが、TFTの上に直接カラーフィルタを形成することで、後述の耐酸性、剥離液耐性、低誘電率、コンタクトホールなど、これまでの通常のカラーフィルタ材料では、対応できない要求特性があり、普及するには至らなかった。
【0122】
上記カラーフィルタの製造方法においては、通常、基板上にTFT膜を形成し、その上に各画素パターンを形成してカラーフィルタ層を設け、通常はゲート電極に対向する部分にクロム薄膜などの金属膜若しくはカーボンブラックなどの黒色着色剤を分散した塗膜からなる遮光膜を形成する。さらに、カラーフィルタ層の上にゲート電極に対応する画素電極をパターン状に形成する。画素電極は、ITO、酸化錫、酸化インジウムなどの金属酸化物をスパッタリング、蒸着法などの真空成膜法で形成された金属酸化物薄膜上にポジ型フォトレジストを塗布し、フォトレジスト法で画素電極パターンを形成する。また、画素電極を形成後、電極上に残存するレジスト膜を剥離液で除去する。剥離液によるレジスト硬化膜の除去は、通常溶解力の高い有機溶媒を100℃近い高温で行うため、カラーフィルタ層を破壊することがある。したがって、カラーフィルタ層を剥離液から保護するために、カラーフィルタ層と画素電極との間に画素保護膜(オーバーコート層)を形成することもある。本発明の硬化性樹脂組成物は着色剤を含有し、このCOA用カラーフィルタとすることも好適であるが、着色剤なしでオーバーコート剤として使用し、下地のカラーフィルタを保護することにも好適に用いることができる。
【0123】
また、プラスチック基板の原材料としては、光学特性、耐熱性、機械的強度などの点から(1)アモルファスポリオレフィン、(2)ポリエーテルスルホン、(3)ポリグルタルイミド、(4)ポリカーボネート、(5)ポリエチレンテレフタレート、(6)ポリエチレンナフタレート、(7)ノルボルネンポリマー、(8)ビスアニリンフルオレンをジアミン成分としたポリイミド、(9)ビスフェノールフルオレンと2塩基酸とからなるポリエステルなどが挙げられる。この中でも(2)ポリエーテルスルホン、(4)ポリカーボネート、(5)ポリエチレンテレフタレート、および(7)ノルボルネンポリマーが好ましい。上記原材料は特にLCD用途において好ましい。
プラスチック基板に求められる特性としては、低熱膨張(カラーフィルタ作製時の硬化処理に伴う表示精度の劣化防止)、ガスバリヤー性(液晶の安定性確保)、光透過率や光学等方性などの光学特性、表面平滑性などがある。熱膨張に関しては熱膨張係数が10-4以下であることが好ましい。
また、プラスチック基板にはその表面にガスバリヤー層および/または耐溶剤性層を有していることが好ましい。
また、TFTにおいてはアニーリング工程において400℃以上の高温処理を施すことが、プラスチック基板を用いる場合にネックとなっている。このため、アニーリング工程における低温化の研究が進んでいるが、一方で、温度問題を回避するために、ガラス基板などにTFTを形成した後、該TFTをプラスチック基板に転写する方法も研究されている。
【0124】
上記画素は、硬化性樹脂組成物を上記TFT基板上に塗布して形成される層である。該硬化性樹脂組成物の塗布厚み(乾燥後)は、一般的に0.3〜5.0μm、望ましくは0.5〜3.5μmが好ましい。塗布厚みが厚い方が高色度を達成できるが、塗布厚みが厚いとコンタクトホールの解像性が悪くなるので、バランスが必要である。
また、上記画素電極としては、従来公知のものを特に制限なく用いることができる。
【0125】
[本発明の硬化性樹脂組成物を用いたCOAの製造方法]
以下に、本発明の硬化性樹脂組成物の最も適したCOA用途における使用例を記述する。
通常のカラーフィルタはガラス基板上に設けられ、TFT基板と貼り合せられる。これに対し、COAの技術はTFT基板に直接カラーフィルタを形成するもので、通常のカラーフィルタ材料と比較して下記(i)〜(iii)の点を考慮する必要がある。
(i)低誘電率
COAではTFTに直接画素電極を設けるため、電圧が直接カラーフィルタにかかることから、カラーフィルタの材料が低誘電率材料であることが求められる。
(ii)コンタクトホール
COAでは画素電極のITO配線がその下に設けられるTFTと接続される必要がある。このため、コンタクトホールが現像時に確実に形成されることが求められる。
(iii)剥離液耐性
COAでは画素毎に電極形成が必須となる。該電極の形成は、画素の上にITOをスパッタで付け、パターニングおよびエッチングによる配線をポジ型レジストで行い、次いで、残ったポジ型レジストを、通常80℃程度の高温の剥離液で除去する。このためCOAではカラーフィルタ等がこの剥離液によって侵されないこと、および剥離液によって膨潤し、ITOが追従できなくて断線することのないように低膨潤率が求められる。
【0126】
一方、TFT基板の上にカラーフィルタを作製する際、カラーフィルタ作製工程における不良品の出現はTFT基板も含めて不良品となるため、非常にリスクが高い。しかし、近年液晶TVに代表されるようにLCDが大型化されるに伴い、製造基板サイズも年々大型化している。さらに液晶の注入時間も長くなるため、液晶注入方法が滴下方式へと変わりつつある。上述したように、このような基板サイズの大型化、液晶滴下方式の適用などに伴い、カラーフィルタとTFT基板を貼り合せる際に、カラーフィルタの画素とTFTとの位置合せ精度がシビアになっており、基板の中心部と周辺部との位置ズレを修正することが非常に困難になりつつある。
【0127】
この点において、COAはTFTの上に直接画素を設けるために、位置ズレの心配はなく、また、液晶を挟んだ対向基板には、ITOを全面にスパッタした基板を用意すればよい。このため、位置合せの必要はシール剤の位置程度になり、飛躍的に作業効率が向上する。上述したように、COAの技術は、位置合せ精度が必要ない(緩やかである)ことから、ブラックマトリックスの線幅を非常に狭くして、開口率を広げることができ、バックライトの電力消費を低く抑えられるメリットがある。このようにCOAについては種々検討されており、今後のLCD大型基板への必須技術になる可能性がある。しかしながら、上述の通り、TFTの上にカラーフィルタを作製することによるリスクと、カラーフィルタ材料として上記(i)〜(iii)の要求に応えられるようなものが提供されていないため、採用が進んでいないのが現状である。
【0128】
本発明の硬化性樹脂組成物はCOA用の上記材料に起因する問題点を解決するものであり、その使用方法は、それぞれ目的によって使い分けることができる。
即ち、最も望ましい方法は、着色剤を含んだ本発明の硬化性樹脂組成物を用いてカラーフィルタを作製する方法である。更に、TFT上にカラーフィルタを作製することによって平坦性が満足できない場合には、さらに着色剤を含まない本発明の硬化性樹脂組成物を平坦化膜として使用することで、種々の要求特性を満足することができる。当然、該平坦化層は下地のカラーフィルタとの相性も良いので、密着性も良くCOAの材料面からの不良率を最少に抑えることができる。
【0129】
−カラーフィルタの製造方法および使用方法−
上述の通り、本発明のカラーフィルタは、TFT基板上に着色剤を含む本発明の硬化性樹脂組成物を塗布して、硬化性樹脂組成物の塗布膜を形成し、該塗布膜にパターン露光、アルカリ現像、ポストベーク処理を施して、各画素を形成し、該各画素上に透明電極(ITO)膜をスパッタリングで形成し、次いで、ポジ型フォトレジスト塗布膜を形成し、該フォトレジスト膜にパターン露光、現像を施し、更に必要なITOをエッチングして画素電極パターンを形成した後に、該 画素電極パターン上に残存しているフォトレジスト膜を剥離液で除去することにより製造することができる。
【0130】
本発明の硬化性樹脂組成物を塗布して塗布膜を形成するには、直接または他の層を介して基板に回転塗布(スピンコート)、スリット塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布方法により塗布、乾燥(プリベーク)する等すればよい。基板上に塗布された硬化性樹脂組成物層の乾燥(プリベーク)は、ホットプレート、オーブン等で50℃〜140℃の温度で10〜300秒で行うことができる。また、近年、基板の大型化が進んでいることから、塗布膜の形成方法としてはスリット塗布も有効であり、係る塗布方法が一般的になりつつある。
【0131】
また、塗布膜のパターン露光は、所定のマスクパターンを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させ、現像液で現像して、各色(3色或いは4色)の画素からなるパターン状皮膜を形成することにより行うことができる。露光に際して用いることができる放射線としては、特にg線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。
次いでアルカリ現像処理を行うことにより、上記露光により光未照射部分をアルカリ水溶液に溶出させ、光硬化した部分だけが残る。現像液としては、下地の回路などにダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度としては通常20℃〜30℃であり、現像時間は20〜90秒である。
アルカリとしては、例えばアンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5、4、0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物を濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように純水で希釈したアルカリ性水溶液が使用される。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後純水で洗浄(リンス)する。
次いで、余剰の現像液を洗浄除去し、乾燥を施した後に加熱処理(ポストベーク)を行う。このように各色ごとに上記工程を順次繰り返して硬化皮膜を製造することができる。これによりカラーフィルタが得られる。
【0132】
ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理であり、通常200℃〜240℃の熱硬化処理を行う。
このポストベーク処理は、現像後の塗布膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式或いはバッチ式で行うことができる。
【0133】
そして、形成された画素上にスパッタリングで透明電極(ITO)膜を形成し、さらにその上にポジ型フォトレジスト膜を形成し、パターン露光、現像を施した後、フッ酸などの薬品で不要なITOをエッチングして画素電極を形成する。この際用いられるフォトレジストとしては、エッチング耐性のあるポジ型フォトレジストが必要である。またパターン露光や現像、エッチングは通常公知の手法を制限なく用いることができる。
次に、形成された画素電極上に残っているポジ型レジストを剥離液で速やかに剥離除去する。この剥離液としては特に制限はなく従来公知の剥離液を使用することができる。例えば、特開昭51−72503号、特開昭57−84456号、特開平6−222573号等の各公報や米国特許第4165294号および欧州特許第0119337号の各明細書に開示されている各種の有機溶剤が使用できる。代表的な剥離液としては、モノエタノールアミン(MEA)とジメチルスルホキシド(DMSO)の混合溶媒が挙げられる。また、剥離液として60℃以上に加熱した有機溶剤を使用することで、剥離工程を短時間にすることができ、さらにまた、現像残査の問題もなくすことができる。本発明における硬化性樹脂組成物は特に耐剥離液性が優れているので、60℃以上に加熱した有機溶剤を使用してもカラーフィルタの塗膜が剥れるようなことはなく、レジスト膜を除去することができる。
【0134】
本発明のカラーフィルタは、通常、特開平9−311347号公報の図面に開示されているような構造でTFT液晶表示装置などの各種表示装置に用いられる。
本発明のカラーフィルタは、COAタイプであるため、位置合わせが容易で、開口率を高めることができる。しかも、本発明の硬化性樹脂組成物を用いて画素を形成しているので、剥離液耐性が高く、そのため良品化率が高く、生産効率も高いものである。また、通常カラーフィルタに要求される耐熱変色性、低誘電率性、膜厚均一性、解像性、電圧保持率、耐光性なども良好である。
【0135】
カラーフィルタの構造は、本発明の上記(1)の形態においては、画素が1層のみからなるものだったのに対して、本形態においては、上記画素用硬化性樹脂組成物の塗布膜からなる画素膜と該画素膜上に形成された上記画素保護膜用硬化性樹脂組成物からなる画素保護膜との2層を基板と画素電極との間に有する。
上記画素膜の膜厚は、0.3〜5.0μmが好ましく、0.5〜3.5μmがより好ましい。塗布厚みが厚い方が高色度を達成できるが、塗布厚みが厚いとコンタクトホールの解像性が悪くなるので、バランスが必要である。また、上記画素保護膜の膜厚は0.2〜5.0μmが好ましく、0.2〜3.0μmがより好ましい。また、下地の画素の凹凸を平坦化して、表面は平滑であることが望ましい。
【実施例】
【0136】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0137】
[比誘電率の測定]
a)クロム被覆ガラス基板(1辺75mm、クロム膜の厚さ0.3μm)上に、硬化後(ポストベーク後)の膜厚が2.5μmになるように回転数を調整し、スピンコーターにて下記表1〜4に記載の硬化性樹脂組成物を塗布した。
b)次いで、塗布膜が形成されたクロム被覆ガラス基板をホットプレート上で100℃・120秒の条件でプリベークし、溶剤を乾燥させた。
c)プリベーク後、2.5kwの超高圧水銀灯を使用し、200mJ/cm2の露光量で塗布膜を光照射した。
d)次いで、熱風循環式乾燥機にて、塗布膜が形成されたクロム被覆ガラス基板を220℃60分の条件で加熱硬化(ポストベーク)し、試験片を作製した。
e)ポストベーク後、試験片の角隅1ヶ所の塗膜を削り取り、クロム表面を露出させた。
f)次いで、試験片の裏面に、銀ペーストをスピンコートし、風乾した。その後、表面のクロム露出面と裏面の銀ペースト塗布面とを上記銀ペーストで導通(接続)した。
【0138】
g)乾燥後、試験片の表塗膜面に真空蒸着装置(商品名:イオンスパッタE1030、日立(株)製)を用いて、Pt・Pdターゲット材で図1に示すように、基板1上に蒸着厚みが約50nmの主電極2(内円)およびガード電極3(外円)を作製した。尚、基板1上には、上記e)において削り取ったクロム表面4が露出している。
【0139】
h)電極作製後、電極のついていない部分の塗膜の厚みを触針式表面形状測定器(商品名:DEKTAK3、(株)アルバック製)で測定した。
i)次いで、静電容量測定器(精密インピーダンス アナライザー4294A、アジレント テクノロジー(株)製)に誘電テストフィクスチャー16451Bおよび電極を取り付け、更に上記h)における基板を装着して、1kHz、0.5Vの交流電圧を印加したときの比誘電率ε’および誘電正接δを測定した。結果を表1〜4に示す。
【0140】
〔現像特性〕
a)LCD用ガラス基板(商品名:1737、1.1t、コーニング製)に、硬化後(ポストベーク後)の膜厚が2.5μmになるように回転数を調整し、スピンコーターにて表1〜4に記載の硬化性樹脂組成物を塗布した。
b)次いで、塗布膜が形成されたガラス基板をホットプレート上で100℃・120秒の条件でプリべークし、溶剤を乾燥させた。
c)プリベーク後、塗布膜が形成されたガラス基板を2.5kwの超高圧水銀灯を使用し、種々のサイズの異なるコンタクトホールを模ったマスクを通して200mJ/cm2の露光量で光照射した。
d)次いで、有機アルカリ現像液(商品名:CD−2000、富士フイルムアーチ(株)製、26℃、有機アルカリ系現像液、12.5%純水希釈)に50秒浸漬して現像、水洗、乾燥した。
e)乾燥後、熱風循環式乾燥機にて220℃・60分の条件で加熱硬化(ポストベーク)し、試験片を作製した。
f)ポストベーク後、光学顕微鏡にてコンタクトホールのパターン形状を観察し、どの大きさのコンタクトホールまでパターンが抜けている(貫通してコンタクトホールが形成されている)かを下記の基準にしたがって評価した。結果を下記表1〜4に示す。
【0141】
〔評価〕
◎:10μm□以上のコンタクトホールが抜けていた。
○:20μm□以上のコンタクトホールが抜けていた。
×:20μm□以上のコンタクトホールが抜けていなかった。
【0142】
〔剥離液耐性〕
剥離液耐性は以下の手順で試験片の膜厚みを測定し、膨潤率を算出した。但し、剥離液耐性が悪いものは剥離液への浸漬時に、塗膜が剥離液中に溶解したり、基板から剥れたりして、膜厚を測定できないものがある。このようなものは「×」の評価とした。
【0143】
a)各実施例および比較例について上記〔現像特性〕のf)における試験片の膜厚(FT0)を測定した。
b)測定後、剥離液として、モノエタノールアミン(MEA)とジメチルスルフォキシド(DMSO)との混合物(MEA/DMSO=7/3質量比)を用い、上記の試験片を剥離液に80℃・120秒浸漬した。
c)バットにMEA/DMSO=7/3の液を満たし、上記b)の浸漬後の試験片を更に漬け、その後、触針式表面形状測定器(商品名:DEKTAK3、(株)アルバック製)の試験片支持台に剥離液に表面を覆われた状態の試験片を載せて、塗膜厚み(FT1)を測定した(剥離液による膨潤状態の膜厚測定)。
d)別のバットに純水を満たし、上記c)において膨潤した試験片を浸漬し、1晩静置して塗膜に含まれる剥離液と水を置換した後、試験片を200℃・30分で乾燥し、再度塗膜厚(FT2)を測定した。
e)上記により測定したFT0、FT1、FT2を用いて、試験片の膨潤率および膜減り率を算出し、下記の基準に基づいて剥離液耐性を評価した。
尚、(FT1−FT0)は、剥離液による見掛の膨潤を測定しているため、剥離液によって侵食された膜減り分(FT2−FT0)で補正し、真の膨潤率を算出した。
真の膨潤率(%)=100×(FT1−FT2)/F0、膜減り率(%)=100×(FT2−FT0)/F0
【0144】
〔評価〕
◎:真の膨潤率≦40%、膜減り率≦5%であり、剥離液耐性が良好であった。
○:真の膨潤率≦40%、膜減り率>5%であり、剥離液耐性が許容の範囲内であった。
×:塗膜が溶解または剥れ、剥離液耐性に劣っていた。
【0145】
【表1】

【0146】
【表2】

【0147】
【表3】

【0148】
*下記アルカリ可溶性樹脂(1):
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液(共重合比(モル)70:30、Mw30,000、固形分40%)
*光重合性モノマー
・下記モノマーM1
(トリアジン系化合物A:ジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸モノマー、商品名:DA−MGIC、四国化成(株)製)
・下記モノマーM2
(トリアジン系化合物A:モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸モノマー、商品名:MA−DGIC、四国化成(株)製)
・下記モノマーM3
(トリアジン系化合物B、商品名:U−6HA、新中村化学(株)製)
・下記モノマーM4
(トリアリルイソシアヌレートモノマー、商品名:TAIC、日本化成(株)製)
・下記モノマーM5
(トリアリルシアヌレート、商品名:TAC、デグッサジャパン(株)製)
・下記M−315
(イソシアヌル酸エチレンオキサイド付加物のアクリレート、東亞合成(株)製)
・DPHA
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製)
*フッ素系界面活性剤
(商品名:メガファックF−781−F、0.2%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液、大日本インキ化学(株)製)
*光重合開始剤
2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン
*溶剤
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
* モノマーA/モノマーBについては、表において上段に記載してあるモノマーをモノマーA、下段にあるものをモノマーBとした。
【0149】
【化20】

【0150】
【化21】

【0151】
【表4】

【0152】
*上記アルカリ可溶性樹脂(1):
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液(共重合比(モル)70:30、Mw30,000、固形分40%)
*光重合性モノマー
・上記モノマーM1
(トリアジン系化合物A:ジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸モノマー、商品名:DA−MGIC、四国化成(株)製)
・上記M−315
(イソシアヌル酸エチレンオキサイド付加物のアクリレート、東亞合成(株)製)
・DPHA
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製)
*フッ素系界面活性剤
(商品名:メガファックF−781−F、0.2%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液、大日本インキ化学(株)製)
*光重合開始剤1
2−(4’−メチル−4−ビフェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン
*光重合開始剤2
7−[[−4−クロロ−6−(ジエチルアミノ)−s−トリアジニル]−アミノ]−3−フェニルクマリン
*光重合開始剤3
2,4−トリクロロメチル(ピペロニル)−6−トリアジン
*光重合開始剤4
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4’−モルフォリノブチロフェン
*光重合開始剤5
2,4−ジエチルチオキサントン
*赤色顔料分散液
ピグメントレッド254、顔料濃度19%(上記アルカリ可溶性樹脂(1)+分散剤(固形換算)6%)
*黄色顔料分散液1
ピグメントイエロー139、顔料濃度19%(上記アルカリ可溶性樹脂(1)+分散剤(固形換算)6%)
*緑色顔料分散液
ピグメントグリーン36、顔料濃度19%(上記アルカリ可溶性樹脂(1)+分散剤(固形換算)6%)
*黄色顔料分散液2
ピグメントイエロー138、顔料濃度19%(アルカリ可溶性樹脂(1)+分散剤(固形換算)6%)
*青色顔料分散液
ピグメントブルーl5:6、顔料濃度15%(アルカリ可溶性樹脂(1)+分散剤(固形換算)10%)
*溶剤
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0153】
上記表1〜4から、本発明の硬化性樹脂組成物を用いた実施例は、比誘電率が低く、現像特性および剥離液耐性に優れていることがわかった。これに対し、比較例は特に比誘電率と剥離液特性との両立を図ることができなかった。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】比誘電率の測定において作製した主電極およびガード電極の概略図である。
【符号の説明】
【0155】
1 基板
2 主電極
3 ガード電極
4 クロム表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダーと、重合開始剤と、エチレン性二重結合を有する重合性モノマーと、を含む硬化性樹脂組成物であって、前記エチレン性二重結合を有する重合性モノマーは、少なくとも下記一般式(1)〜(2)で表わされるトリアジン骨格から選ばれる一つに、下記一般式(3)で表わされる置換基を有するトリアジン系化合物Bを含むことを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【化1】


〔一般式(1)〜(2)中、*は、連結基を示す。〕
【化2】


〔一般式(3)においてR1は、エチレン性二重結合含有置換基を表わす。〕
【請求項2】
前記バインダーがアルカリ可溶性樹脂であり、前記重合開始剤が光重合開始剤であり、前記エチレン性二重結合を有する重合性モノマーが光重合性モノマーであることを特徴とする請求項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
更に、着色剤を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
基板上に形成されたカラーフィルタ層上に設けられるカラーフィルタ用樹脂皮膜であって、請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を用いて形成されることを特徴とするカラーフィルタ用樹脂皮膜。
【請求項5】
請求項に記載の硬化性樹脂組成物を用いてなることを特徴とするカラーフィルタ。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−122153(P2011−122153A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271903(P2010−271903)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【分割の表示】特願2004−213289(P2004−213289)の分割
【原出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】