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硬化性樹脂組成物
説明

硬化性樹脂組成物

【課題】防汚性に優れた塗膜を得ることができる硬化性樹脂組成物を提出する。
【解決手段】1分子中にフルオロカーボン部位と6個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する(メタ)アクリレート化合物(A)と、ウレタン(メタ)アクリレート(B)と、光重合開始剤(C)と、を含有する硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリカーボネート樹脂等のプラスチックの成型品は、その表面を損傷から保護する等の観点から、塗膜で被覆されるのが一般的である。
【0003】
このような塗膜を得るために用いられる硬化性樹脂組成物として、例えば、特許文献1には、「重量平均分子量が50,000以上の(メタ)アクリル重合体(A)と、1分子中に4個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン(メタ)アクリレート(B)と、光重合開始剤(C)とを含有し、全不揮発分100質量部中、前記(メタ)アクリル重合体(A)が10〜30質量部であり、前記ウレタン(メタ)アクリレート(B)が60〜90質量部であり、前記光重合開始剤(C)が1〜10質量部である硬化性樹脂組成物。」が記載されている([請求項1])。
特許文献1に記載の硬化性樹脂組成物によれば、「高硬度でかつプラスチックに対して優れた密着性を有し、乾燥性にも優れる塗膜を得ることができる」とされている([0013])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−292916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、上述したような塗膜を得るために用いられる硬化性樹脂組成物においては、要求される特性は多岐に渡り、また、その要求レベルも増している。とりわけ、防汚性に優れた塗膜(硬化物)を得ることができる硬化性樹脂組成物の開発が望まれている。
そこで、本発明は、防汚性に優れた塗膜を得ることができる硬化性樹脂組成物を提出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、1分子中にフルオロカーボン部位と6個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する(メタ)アクリレート化合物を配合した硬化性樹脂組成物から得られる塗膜が、防汚性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(9)を提供する。
【0007】
(1)1分子中にフルオロカーボン部位と6個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する(メタ)アクリレート化合物(A)と、ウレタン(メタ)アクリレート(B)と、光重合開始剤(C)と、を含有する硬化性樹脂組成物。
【0008】
(2)上記(メタ)アクリレート化合物(A)が、1分子中に12個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する、上記(1)に記載の硬化性樹脂組成物。
【0009】
(3)上記(メタ)アクリレート化合物(A)が、イソシアヌレート環を有する、上記(1)または(2)に記載の硬化性樹脂組成物。
【0010】
(4)上記(メタ)アクリレート化合物(A)が、下記式(I)で表される化合物である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、3つのQはそれぞれ独立にQ1,Q2またはQ3を表すが、少なくとも1つのQはQ1を表す。R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表し、R2は炭素数1〜10のポリオール残基を表す。R7は水素原子またはメチル基を表し、R8は炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表す。R9〜R12はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子およびトリフルオロメチル基のいずれかを表し、いずれか1つ以上はフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。R13は水素原子、フッ素原子およびトリフルオロメチル基のいずれかを表す。R14はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、R15はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。複数のR1〜R15はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。kは0または1を表す。m1は1〜5の整数を表し、全てのm1の合計は6以上である。m2は0または1を表し、全てのm2の合計は1以上である。m3およびm4はそれぞれ独立に0または1を表す。nは1〜100の整数を表す。pは5〜100の整数を表す。X1は−S−、−NH−または−PO(OH)−を表し、X2は酸素原子または硫黄原子を表す。Yは酸素原子または単結合を表す。)
【0013】
(5)上記ウレタン(メタ)アクリレート(B)が、1分子中に6個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
【0014】
(6)上記(メタ)アクリレート化合物(A)の含有量が、固形分で、前記ウレタン(メタ)アクリレート(B)100質量部に対して0.001〜60質量部である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
【0015】
(7)さらに、質量平均分子量が10,000以上であるポリ(メタ)アクリル酸エステル(D)を含有する、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
【0016】
(8)さらに、多官能(メタ)アクリルモノマー(E)を含有する、上記(1)〜(7)のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
【0017】
(9)さらに、溶剤(F)を含有する、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、防汚性に優れた塗膜を得ることができる硬化性樹脂組成物を提出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の硬化性樹脂組成物(以下、「本発明の組成物」ともいう。)は、1分子中にフルオロカーボン部位と6個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する(メタ)アクリレート化合物(A)と、ウレタン(メタ)アクリレート(B)と、光重合開始剤(C)と、を含有する硬化性樹脂組成物である。
以下では、本発明の組成物に含有される各成分について詳述する。
【0020】
<(メタ)アクリレート化合物(A)>
まず、本発明の組成物に含有される(メタ)アクリレート化合物(A)について説明する。
上記(メタ)アクリレート化合物(A)は、1分子中にフルオロカーボン部位と6個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する(メタ)アクリレート化合物である。
ここで、「フルオロカーボン部位」とは、主鎖を構成する炭化水素の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子により置換されている繰り返し単位構造を意味し、直鎖構造および分岐構造のいずれであってもよい。
また、「(メタ)アクリロイルオキシ基」とは、アクリロイルオキシ基および/またはメタクリロイルオキシ基を意味する。
【0021】
本発明の組成物が上記(メタ)アクリレート化合物(A)を含有することにより、得られる塗膜(硬化物)は防汚性に優れる。
これは、上記(メタ)アクリレート化合物(A)におけるフルオロカーボン部位が有する低表面自由エネルギーにより、当該フルオロカーボン部位が塗膜表面に固定される(塗膜表面に出やすくなる)ことで、塗膜表面にレベリング性が与えられ(塗膜表面が平滑になり)、防汚性が発現されると考えられる。
【0022】
上記(メタ)アクリレート化合物(A)の(メタ)アクリロイルオキシ基の個数は、防汚性がより向上し、また、従来公知の多官能アクリレートとの相溶性がより良好となる理由から、12個以上であるのが好ましい。
【0023】
また、上記(メタ)アクリレート化合物(A)は、本発明の組成物から得られる塗膜(硬化物)の硬度を保持する理由から、イソシアヌレート環を有しているのが好ましく、例えば、下記式(I)で表される化合物がより好ましい。
【0024】
更に、上記(メタ)アクリレート化合物(A)は、滑り性や撥水性を付与できる理由から、ポリシロキサン部位を有しているのが好ましく、例えば、下記式(I)で表される化合物のうち、式中のR5を有している化合物(いずれかのm3が1である場合)がより好ましい。
ここで、「ポリシロキサン部位」とは、シロキサン結合による繰り返し単位構造を意味し、直鎖構造および分岐構造のいずれであってもよい。
【0025】
【化2】

【0026】
式中、3つのQはそれぞれ独立にQ1,Q2またはQ3を表すが、少なくとも1つのQはQ1を表す。R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表し、R2は炭素数1〜10のポリオール残基を表す。R7は水素原子またはメチル基を表し、R8は炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表す。R9〜R12はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子およびトリフルオロメチル基のいずれかを表し、いずれか1つ以上はフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。R13は水素原子、フッ素原子およびトリフルオロメチル基のいずれかを表す。R14はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、R15はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。複数のR1〜R15はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。kは0または1を表す。m1は1〜5の整数を表し、全てのm1の合計は6以上である。m2は0または1を表し、全てのm2の合計は1以上である。m3およびm4はそれぞれ独立に0または1を表す。nは1〜100の整数を表す。pは5〜100の整数を表す。X1は−S−、−NH−または−PO(OH)−を表し、X2は酸素原子または硫黄原子を表す。Yは酸素原子または単結合を表す。
【0027】
上記式(I)中においては、3つのQのうち、少なくとも1つのQがQ1を表すが、本発明の組成物から得られる塗膜の防汚性がより優れるという理由から、2つ以上のQがQ1を表すのが好ましく、3つのQが全てQ1を表すのがより好ましい。
【0028】
ここで、上記式(I)中、R1の置換基を有していてもよい炭素数1〜15の2価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜15の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜15の2価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜15の2価の芳香族炭化水素基およびこれらを組み合わせた基等が挙げられる。
【0029】
上記脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜6のアルキレン基であるのが好ましく、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル等が挙げられる。
【0030】
上記脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜6であるのが好ましく、具体的には、例えば、シクロヘキサン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、下記式(a)で表される1−メチル−3,3−ジメチルシクロヘキサン−1,5−ジイル基(式中、Xは上記式(I)中のイソシアヌレート環を構成する窒素原子を表し、Yは上記式(I)中のウレタン結合を構成するイミノ基を表す。)等が挙げられる。
【0031】
【化3】

【0032】
上記芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜12のアリール基であるのが好ましく、具体的には、例えば、フェニレン基、トルエン−3,5−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基等が挙げられる。
【0033】
一方、上記式(I)中、R1が有していてもよい置換基としては、例えば、炭素数1〜4の1価の脂肪族炭化水素基が挙げられる。
上記脂肪族炭化水素基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基;アリル基;等が挙げられる。
【0034】
これらのうち、上記式(I)中のR1は、本発明の組成物の硬化時における着色が少なくなり、また、硬化物の硬度も高くなる理由から、上記脂肪族炭化水素基と上記脂環式炭化水素基とを組み合わせた基であるのが好ましく、具体的には、例えば、下記式(b)で表される基(式中、Xは上記式(I)中のイソシアヌレート環を構成する窒素原子を表し、Yは上記式(I)中のウレタン結合を構成するイミノ基を表す。)等が挙げられる。
【0035】
【化4】

【0036】
また、上記式(I)中、R2の炭素数1〜10のポリオール残基としては、具体的には、例えば、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタグリセロールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート等から水酸基およびアクリロイルオキシ基(R3に相当)を除いた残基が挙げられる。
これらのうち、多官能のアクリレート化合物が容易に合成できる理由から、ジペンタエリスリトールテトラアクリレートから水酸基およびアクリロイルオキシ基(5個のR3に相当)を除いた残基であるのが好ましい。
【0037】
また、上記式(I)中、R8の炭素数1〜15の2価の炭化水素基としては、R1と同様のものが挙げられる。
これらのうち、合成における経済的観点理由から、炭素数1〜15の2価の脂肪族炭化水素基であるのが好ましく、炭素数2〜10のアルキレン基であるのがより好ましい。
【0038】
また、上記式(I)中、R9〜R12はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子およびトリフルオロメチル基のいずれかを表し、いずれか1つ以上はフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表し、いずれか2つ以上はフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表すのが好ましい。
【0039】
また、上記式(I)中、R13は水素原子、フッ素原子およびトリフルオロメチル基のいずれかを表し、いずれもフッ素原子またはトリフルオロメチル基であるのが好ましい。
【0040】
また、上記式(I)中、R14のヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基としては、例えば、酸素原子を有していてもよい炭素数1〜20の2価の脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
上記脂肪族炭化水素基としては、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイルなどの炭素数1〜6のアルキレン基;ジメチレンエーテル基(−CH2OCH2−)、ジエチレンエーテル基(−CH2CH2OCH2CH2−)、プロピレンエチレンエーテル基(−CH2CH2CH2OCH2CH2−)など炭素数2〜20のアルキレンエーテル基;等が挙げられる。
これらのうち、合成等の際に使用する溶媒に対する溶解性が高い理由から、アルキレンエーテル基であるのが好ましい。
【0041】
また、上記式(I)中、R15のヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基としては、具体的には、炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基)、アリル基等が挙げられる。
【0042】
上記式(I)で表される上記(メタ)アクリレート化合物(A)としては、具体的には、例えば、下記式(1)で表される化合物((メタ)アクリロイルオキシ基:14個)、下記式(2)で表される化合物((メタ)アクリロイルオキシ基:13個)、下記式(3)で表される化合物((メタ)アクリロイルオキシ基:13個)、下記式(4)で表される化合物((メタ)アクリロイルオキシ基:18個)、下記式(5)で表される化合物((メタ)アクリロイルオキシ基:10個)等が挙げられる。
【0043】
【化5】

【0044】
【化6】

【0045】
【化7】

【0046】
【化8】

【0047】
【化9】



【0048】
上記(メタ)アクリレート化合物(A)の製造方法は特に限定されないが、例えば、以下に説明する製造方法P1(以下の第1反応工程〜第3反応工程を有する方法)、製造方法P2(第1反応工程および第4反応工程を有する方法)、製造方法P3等が好ましい。
【0049】
[製造方法P1]
製造方法P1は、第1反応工程〜第3反応工程を有する方法である。そこで、以下では、第1反応工程〜第3反応工程について説明する。
【0050】
〔第1反応工程〕
第1反応工程は、1分子中に13個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物と、メルカプト基と水酸基とを有する化合物、アミノ基と水酸基とを有する化合物およびヒドロキシホスホノイル基(−PO(OH)H)を有する化合物からなる群から選択されるいずれかの化合物と、を反応させる工程である。
【0051】
<(メタ)アクリレート化合物>
上記第1反応工程に用いられる1分子中に13個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物は、例えば、ポリイソシアネート化合物と1分子中に水酸基および(メタ)アクリロイルオキシ基を有するアクリレートとの反応により合成することができる。
【0052】
(ポリイソシアネート化合物)
上記ポリイソシアネート化合物は、分子内にイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に限定されず、その具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)などの脂肪族ポリイソシアネート;トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)などの脂環式ポリイソシアネート;TDI(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI))、MDI(例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI))、1,4−フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート体;等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、上記(メタ)アクリレート化合物(A)を含有する本発明の組成物から得られる塗膜(硬化物)の硬度を保持する理由から、イソシアヌレート体であるのが好ましく、着色を抑制する観点から脂肪族ポリイソシアネートのイソシアヌレート体および脂環式ポリイソシアネートのイソシアヌレート体であるのがより好ましく、強度の観点から脂環式ポリイソシアネート、特に、IPDIのイソシアヌレート体であるのが更に好ましい。
【0053】
(1分子中に水酸基および(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート)
上記(メタ)アクリレートは、1分子中に水酸基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する(メタ)アクリレートである。
ここで、上記(メタ)アクリレートの具体例としては、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート等が挙げられる。
【0054】
このような原料を用いて合成される1分子中に13個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、具体的には、例えば、下記式(6)および式(7)で表される化合物等が挙げられる。
【0055】
【化10】

【0056】
【化11】



【0057】
<メルカプト基と水酸基とを有する化合物等>
上記第1反応工程に用いられるメルカプト基と水酸基とを有する化合物、アミノ基と水酸基とを有する化合物およびヒドロキシホスホノイル基(−PO(OH)H)を有する化合物からなる群から選択されるいずれかの化合物は、上述した1分子中に13個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物の(メタ)アクリロイルオキシ基と反応して水酸基を導入する化合物である。
メルカプト基と水酸基とを有する化合物としては、具体的には、例えば、2−メルカプトエタノール、3−メルカプトプロパノール、4−メルカプトブタノール、5−メルカプトペンタノール、6−メルカプトヘキサノール、7−メルカプトヘプタノール、8−メルカプトオクタノール、5−メルカプト−3−チアペンタノール等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アミノ基と水酸基とを有する化合物としては、具体的には、例えば、アミノエタノ−ル、1−アミノプロパノ−ル、2−アミノプロパノール、アミノブタノール、アミノペンタノール、アミノヘキサノール等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ヒドロキシホスホノイル基(−PO(OH)H)を有する化合物としては、例えば、ホスフィン酸類が挙げられ、具体的には、メチルホスフィン酸、エチルホスフィン酸、プロピルホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、2−ヒドロキシエチルホスフィン酸、3−ヒドロキシプロピルホスフィン酸、4−ヒドロキシメチルフェニルホスフィン酸等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、より温和な条件で定量的に反応が進行する理由から、メルカプト基と水酸基とを有する化合物であるのが好ましく、2−メルカプトエタノールであるのがより好ましい。
【0058】
第1反応工程で生成される反応生成物としては、具体的には、例えば、下記式(8),式(9),式(10)および式(11)で表される化合物等が挙げられる。
【0059】
【化12】

【0060】
【化13】

【0061】
【化14】

【0062】
【化15】

【0063】
〔第2反応工程〕
第2反応工程は、上記第1反応工程により得られた化合物と、イソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物とを反応させる工程である。
ここで、上記ポリイソシアネート化合物としては、上記第1反応工程で例示したものが挙げられ、なかでも、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートであるのが好ましい。
第2反応工程で生成される反応生成物としては、具体的には、例えば、下記式(12),式(13),式(14)および式(15)で表される化合物等が挙げられる。
【0064】
【化16】

【0065】
【化17】

【0066】
【化18】

【0067】
【化19】

【0068】
〔第3反応工程〕
第3反応工程は、上記第2反応工程により得られた化合物と、水酸基を有するパーフルオロ化合物とを反応させて、上記(メタ)アクリレート化合物(A)を得る工程である。
ここで、水酸基を有するパーフルオロ化合物は、主鎖を構成する炭化水素の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子により置換されている直鎖状または分岐状の繰り返し単位構造を有し、片末端に水素原子を有する重合体であり、例えば、下記式(16)で表される重合体が挙げられる。
【0069】
【化20】

【0070】
式中、R9〜R12はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子およびトリフルオロメチル基のいずれかを表し、いずれか1つ以上はフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。R13は水素原子、フッ素原子およびトリフルオロメチル基のいずれかを表す。nは1〜100の整数を表す。Yは酸素原子または単結合を表す。
【0071】
上記式(16)で表されるパーフルオロ化合物としては、具体的には、例えば、CF3−(OCF2CF22−OCF2CH2−OH(Y=O,n=2+1)、CF3−OCF2CF2−OCF2CH2−OH(Y=O,n=1+1)、CF2H−CF2CF2−CF2CH2−OH(Y=単結合,n=1+1)、CF2H−(CF2CF22−CF2CH2−OH(Y=単結合,n=2+1)、CF(CF32−OCF2CF(CF3)−OCF2CH2−OH(Y=O,n=1+1)、CF3−CF(CF3)CF2−CF2CF2−OH(Y=単結合,n=1+1)等が挙げられる。
【0072】
上記第3反応工程においては、得られる上記(メタ)アクリレート化合物(A)にポリシロキサン部位を持たせる観点から、上述した水酸基を有するパーフルオロ化合物とともに、水酸基またはメルカプト基を有するポリシロキサンを上記第2反応工程により得られた化合物と反応させるのが好ましい。
ここで、上記ポリシロキサンは、主鎖がシロキサン結合で構成され、片末端に水酸基またはメルカプト基を有する直鎖状または分岐状の重合体であり、例えば、下記式(17)で表される重合体が挙げられる。
【0073】
【化21】

【0074】
式中、R14はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、R16は炭素数1〜4の1価の炭化水素基を表す。複数のR16はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。pは5〜100の整数を表す。X2は酸素原子または硫黄原子を表す。
【0075】
上記式(17)中、R14は、上記式(I)のR14と同義である。
また、上記式(17)中、R16としては、具体的には、炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基)、アリル基等が挙げられる。
【0076】
上記式(17)で表されるポリシロキサンとしては、具体的には、例えば、−C240C36OH、−C24O(C24O)nH、−C24(O(C=O)C510nOHなどの水酸基を含有する有機基や、−C24OC36SH、−CH2SH、−C36SH、−C1122SHなどのメルカプト基を含有する有機基で変性されたジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0077】
上記第3反応工程を有する製造方法P1によれば、例えば、上記式(1),式(2)および式(4)で表される化合物を生成することができる。
なお、上記式(2)で表される化合物は、上記式(13)で表される化合物の一方のイソシアネート基を水酸基を有するパーフルオロ化合物と反応させ、他方のイソシアネート基を水酸基を有するポリシロキサンと反応させて得られる化合物である。
また、上記式(4)で表される化合物は、上記式(13)で表される化合物の一方のイソシアネート基を水酸基を有するパーフルオロ化合物と反応させ、他方のイソシアネート基をジペンタエリスリトールテトラアクリレートと反応させて得られる化合物である。
【0078】
[製造方法P2]
製造方法P2は、第1反応工程および第4反応工程を有する方法である。第1反応工程は、製造方法P1において説明したとおりである。そこで、以下では、第4反応工程について説明する。
【0079】
〔第4反応工程〕
第4反応工程は、上記第2反応工程および上記第3反応工程に代えて、上記第1反応工程により得られた化合物と、イソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物および水酸基を有するパーフルオロ化合物を予め反応させて得られるイソシアネート基を1個有するフルオロカーボン骨格イソシアネートと、を反応させて、上記(メタ)アクリレート化合物(A)を得る工程である。
ここで、上記ポリイソシアネート化合物としては、上記第2反応工程と同様、上記第1反応工程で例示したものが挙げられ、なかでも、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートであるのが好ましい。
また、上記パーフルオロ化合物は、上記第3反応工程と同様、主鎖を構成する炭化水素の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子により置換されている直鎖状または分岐状の繰り返し単位構造を有し、片末端に水素原子を有する重合体であり、例えば、上記式(16)で表される重合体が挙げられる。
また、上記ポリイソシアネート化合物と上記パーフルオロ化合物との反応は、上記第1反応工程により得られた化合物との反応部位としてのイソシアネート基が1個残存するように、当量比(NCO/OH)を調整して行われる。
【0080】
上記第4反応工程を有する製造方法P2によれば、例えば、上記式(1),式(2)および式(4)で表される化合物を生成することができる。
なお、上記式(2)で表される化合物は、上記第1反応工程により得られた化合物に対して、上記ポリイソシアネート化合物および上記パーフルオロ化合物とともに水酸基またはメルカプト基を有するポリシロキサンを予め反応させて得られた化合物(フルオロカーボン骨格イソシアネート)を反応させて得られる化合物である。
また、上記式(4)で表される化合物は、上記第1反応工程により得られた化合物に対して、上記ポリイソシアネート化合物および上記パーフルオロ化合物とともにジペンタエリスリトールテトラアクリレートを予め反応させて得られた化合物(フルオロカーボン骨格イソシアネート)を反応させて得られる化合物である。
【0081】
[製造方法P3]
製造方法P3は、分子内にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物と、1分子中に水酸基および(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリレートと、水酸基を有するパーフルオロ化合物とを反応させて、上記(メタ)アクリレート化合物(A)を得る方法である。
ここで、上記ポリイソシアネート化合物としては、上記第1反応工程で例示したものが挙げられ、なかでも、脂環式ポリイソシアネート、特に、IPDIのイソシアヌレート体であるのが好ましい。
上記(メタ)アクリレートとしては、具体的には、例えば、上記第1反応工程で例示したジペンタエリスリトールアクリレートが挙げられる。
上記パーフルオロ化合物としては、上記第3反応工程と同様、主鎖を構成する炭化水素の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子により置換されている直鎖状または分岐状の繰り返し単位構造を有し、片末端に水素原子を有する重合体であり、例えば、上記式(16)で表される重合体が挙げられる。
製造方法P3により、例えば、上記式(5)で表される化合物((メタ)アクリロイルオキシ基:10個)を生成することができる。
【0082】
上記(メタ)アクリレート化合物(A)の含有量は、固形分で、後述するウレタン(メタ)アクリレート(B)100質量部に対して0.001〜60質量部であるのが好ましく、0.001〜10質量部であるのがより好ましい。
この範囲であれば、本発明の組成物から得られる塗膜は、防汚性がより優れる。
【0083】
<ウレタン(メタ)アクリレート(B)>
次に、本発明の組成物に含有されるウレタン(メタ)アクリレート(B)について説明する。
上記ウレタン(メタ)アクリレート(B)は、1分子中にウレタン結合と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有するウレタン(メタ)アクリレートであれば特に限定されないが、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート(b1)と、1分子中に1個以上のヒドロキシ基と1個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する化合物(b2)とを反応させることにより得られるウレタン(メタ)アクリレートであるのが好ましい。
以下では、まず、上記ポリイソシアネート(b1)および上記化合物(b2)について説明する。
【0084】
〔ポリイソシアネート(b1)〕
上記ポリイソシアネート(b1)としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するものであれば特に限定されず、例えば、上記(メタ)アクリレート化合物(A)を製造する際の上記第1反応工程において用いられる「ポリイソシアネート化合物」として説明したものが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、密着性等の観点から、IPDI、HDIのイソシアヌレート体であるのが好ましい。
【0085】
〔化合物(b2)〕
上記化合物(b2)としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、骨格がペンタエリスリトールである化合物、骨格がジペンタエリスリトールである化合物等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
骨格がペンタエリスリトールである化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
骨格がジペンタエリスリトールである化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのうち、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETIA)、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)が好ましい。
【0086】
上記ウレタン(メタ)アクリレート(B)の製造において、上記化合物(b2)の量は、上記ポリイソシアネート(b1)1モルに対して、1.5〜2.5モルであるのが好ましい。
【0087】
上記ウレタン(メタ)アクリレート(B)の製造方法としては、例えば、上記ポリイソシアネート(b1)と上記化合物(b2)とを、50〜80℃の条件下において、触媒として既存の有機スズ触媒(例えばジブチルスズジラウレート)を使用し、溶媒としてメチルエチルケトン、酢酸エチルを使用する方法が挙げられる。
【0088】
上記ウレタン(メタ)アクリレート(B)としては、上記ポリイソシアネート(b1)と上記化合物(b2)との反応により得られるものであれば特に限定されないが、得られる塗膜の意匠性、密着性、硬度等の観点から、1分子中の(メタ)アクリロイルオキシ基が6個以上であるものが好ましく、6〜15個であるものがより好ましい。
このようなウレタン(メタ)アクリレート(B)としては、具体的には、例えば、下記式(B1)、下記式(B2)で表されるものが挙げられる。
【0089】
【化22】

【0090】
【化23】

【0091】
<光重合開始剤(C)>
本発明の組成物に含有される光重合開始剤(C)は、光によって例えばラジカル重合性官能基を有する化合物を重合させうるものであれば特に制限されない。
上記光重合開始剤(C)としては、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、ベンゾイン類、ベンゾインメチルエーテル、チオキサントン類、プロピオフェノン類、ベンジル類、アシルホスフィンオキシド類が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、光安定性、光開裂の高効率性、表面硬化性、樹脂との相溶性、低揮発、低臭気という観点から、アルキルフェノン系光重合開始剤であるのが好ましい。
アルキルフェノン系光重合開始剤としては、具体的には、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等が挙げられ、なかでも、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンであるのが好ましい。
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンとしては、市販品を用いることができ、具体的には、例えば、イルガキュア184(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)が挙げられる。
【0092】
上記光重合開始剤(C)の含有量は、固形分で、上記(メタ)アクリレート化合物(A)および上記ウレタン(メタ)アクリレート(B)の合計100質量部に対して、1〜10質量部であるのが好ましく、2〜5質量部であるのがより好ましい。
【0093】
<ポリ(メタ)アクリル酸エステル(D)>
本発明の組成物は、得られる塗膜の意匠性が優れるという理由から、さらに、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(D)を含有していてもよい。
上記ポリ(メタ)アクリル酸エステルの質量平均分子量は10,000以上であり、20,000〜100,000が好ましく、30,000〜100,000がより好ましい。ガラス転移温度は90〜120℃が好ましく、100〜110℃がより好ましい。
上記ポリ(メタ)アクリル酸エステル(D)としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルを重合したものを用いることができ、その(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、塗膜の耐熱性および乾燥性が優れるという理由から、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチルであるのが好ましく、ポリ(メタ)アクリル酸メチルであるのがより好ましい。
上記ポリ(メタ)アクリル酸エステル(D)の含有量は、固形分で、上記(メタ)アクリレート化合物(A)および上記ウレタン(メタ)アクリレート(B)の合計100質量部に対して、0〜30質量部であるのが好ましく、5〜15質量部であるのがより好ましい。
【0094】
なお、ガラス転移点は、示差熱分析計(DSC)を用い、ASTMD3418−82に従い、昇温速度10℃/分にて測定した値である。
また、質量平均分子量は、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(Gel permeation chromatography(GPC))により測定した質量平均分子量(ポリスチレン換算)であり、測定にはテトラヒドロフラン(THF)を溶媒として用いるのが好ましい(以下、同じ)。
【0095】
<多官能(メタ)アクリルモノマー(E)>
本発明の組成物は、硬化性等の観点から、多官能(メタ)アクリルモノマー(E)をさらに含有していてもよい。
上記多官能(メタ)アクリルモノマー(E)としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記多官能(メタ)アクリルモノマー(E)の含有量は、固形分で、上記(メタ)アクリレート化合物(A)および上記ウレタン(メタ)アクリレート(B)の合計100質量部に対して、0〜50質量部であるのが好ましく、10〜20質量部であるのがより好ましい。
【0096】
<溶剤(F)>
本発明の組成物は、作業性等の観点から、さらに、溶剤(F)を含有するのが好ましい。
溶剤(F)は、有機溶剤であり、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンなどの脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ドデシルベンゼン、メチルナフタレンなどの芳香族炭化水素類;メチレンクロライド、クロロホルム、エチレンクロライド、クロロベンゼンなどのハロゲン化物;THF、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテルなどのエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、ヘキサメチレンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどのエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、プロピルセルソルブ、ブチルセルソルブなどのグリコールエーテル類;等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、揮発速度、扱いやすさ、コストの観点から、エステル類、グリコールエーテル類であるのが好ましく、酢酸ブチルであるのがより好ましい。
【0097】
<その他の添加剤>
本発明の組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の添加剤、例えば、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、接着性付与剤、レベリング剤、分散剤、消泡剤、艶消し剤、光安定剤(例えば、ヒンダードアミン系化合物等)、染料、顔料等を含有することができる。
【0098】
本発明の組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、反応容器に上記の各必須成分と任意成分とを入れ、減圧下で混合ミキサー等のかくはん機を用いて十分に混練する方法等により製造することができる。
【0099】
本発明の組成物は、プラスチック基材の表面に直接接着する用途に用いることができ、例えば、アンダーコート剤組成物として使用できる。
【0100】
上記プラスチック基材としては、熱可塑性プラスチック、熱硬化性プラスチックを問わず種々のプラスチック基材を用いることができる。
具体的には、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アセテート樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、ポリカーボネート樹脂であるのが好ましい。
【0101】
本発明の組成物を塗布する方法は、特に限定されず、例えば、はけ塗り、流し塗り、浸漬塗り、スプレー塗り、スピンコート等の公知の塗布方法を採用できる。
なお、本発明の組成物の塗布量としては、硬化時の塗膜の膜厚が1〜30μmとなるようにするのが好ましい。
【0102】
本発明の組成物の硬化は、紫外線により行うことができる。本発明の組成物を硬化させる際に使用する紫外線の照射量としては、速硬化性、作業性の観点から、500〜3000mJ/cm2が好ましい。本発明の組成物を紫外線照射により硬化させる際の温度は、20〜80℃であるのが好ましい。紫外線を照射するために使用する装置は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
【実施例】
【0103】
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限られるものではない。
【0104】
<(メタ)アクリレート化合物A1の合成>
下記のとおり、上記式(1)で表される化合物を合成し、これを(メタ)アクリレート化合物A1とした。
(合成1−1:メルカプトエタノールの付加反応)
まず、ジペンタエリスリトールアクリレートとイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体とを反応させて得られる上記式(6)で表される15官能アクリレート30.2gと、トリエチルアミン0.20gと、を酢酸ブチル15mL中で混合した溶液を調製した。
次いで、調製した混合溶液に、メルカプトエタノール1.14gを室温で滴下し、室温で15時間撹拌した。
撹拌終了後、1H−NMR分析により、上記式(8)で表される化合物の生成を確認した。ケミカルシフトは以下の通りである。
1H−NMR(400MHz、重クロロホルム、20℃)δ(ppm):6.4(m),6.1(m),5.8(m),4.4−4.0(m),3.7(br),3.6(br),2.8−2.5(m),1.2(m)
【0105】
(合成1−2:ジイソシアネートの付加反応)
まず、合成1−1で生成した上記式(8)で表される化合物5.36gを酢酸ブチル20mLに溶解させた溶液を調製した。
次いで、調製した溶液にイソホロンジイソシアネート2.02gを添加し、50℃で6時間撹拌した。
撹拌終了後、IR分析により、イソシアネート基とウレタン結合の存在を確認し、上記式(12)で表される化合物の生成を確認した。
【0106】
(合成1−3:フルオロカーボン部位の導入)
合成1−2でイソホロンジイソシアネートを反応させた後の溶液に、CF3(OCF2CF22OCF2CH2OH 3.19gのメチルエチルケトン(5mL)溶液を添加し、70℃で5時間撹拌した。
撹拌終了後、IR分析により、イソシアネート基の消失を確認し、1H−NMR分析により、上記式(1)で表される化合物の生成を確認した。ケミカルシフトは以下の通りである。
1H−NMR(400MHz、重クロロホルム、20℃)δ(ppm):6.4(m),6.1(m),5.8(m),5.2−5.0(m),4.4−4.0(m),3.7(br),3.6(br),3.5−3.4(br),2.8−2.5(m),1.2(m)
【0107】
<(メタ)アクリレート化合物A2の合成>
下記のとおり、上記式(3)で表される化合物を合成し、これを(メタ)アクリレート化合物A2とした。
【0108】
(合成2−1:メルカプトエタノールの付加)
まず、ジペンタエリスリトールアクリレートとイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体とを反応させて得られる上記式(7)で表される15官能アクリレート30.2gと、トリエチルアミン0.20gと、を酢酸ブチル15mL中で混合した溶液を調製した。
次いで、調製した混合溶液に、メルカプトエタノール2.28gを室温で滴下し、室温で15時間撹拌した。
撹拌終了後、1H−NMR分析により、上記式(9)で表される化合物の生成を確認した。ケミカルシフトは以下の通りである。
1H−NMR(400MHz、重クロロホルム、20℃)δ(ppm):6.4(m),6.1(m),5.8(m),4.5−4.0(m),3.7(br),3.6(br),2.9−2.4(m),1.2(m)
【0109】
(合成2−2:ジイソシアネートの付加)
まず、合成2−1で生成した上記式(9)で表される化合物31.7gを酢酸ブチル15mLに溶解させた溶液を調製した。
次いで、調製した溶液にイソホロンジイソシアネート6.16gを添加し、50℃で6時間撹拌した。
撹拌終了後、IR分析により、イソシナネート基とウレタン結合の存在を確認し、上記式(13)で表される化合物の生成を確認した。
【0110】
(合成2−3:フルオロカーボン部位の導入)
合成2−2でイソホロンジイソシアネートを反応させた後の溶液に、CF3(OCF2CF22OCF2CH2OH 1.54gのメチルエチルケトン(3mL)溶液を添加し、70℃で5時間撹拌した。
撹拌終了後、IR分析により、イソシアナート基の消失を確認し、1H−NMR分析により、上記式(3)で表される化合物の生成を確認した。ケミカルシフトは以下の通りである。
1H−NMR(400MHz、重クロロホルム、20℃)δ(ppm):6.4(m),6.1(m),5.8(m),5.2−4.9(m),4.4−4.0(m),3.7(br),3.6(br),3.5−3.3(br),2.8−2.4(m),1.2(m)
【0111】
<(メタ)アクリレート化合物3の合成>
下記のとおり、下記式(18)で表される化合物を合成し、これを(メタ)アクリレート化合物3とした。
【0112】
(合成3−1:メルカプトエタノールの付加反応)
まず、上記式(B1)で表される6官能のウレタンアクリレートと、トリエチルアミンと、を酢酸ブチル中で混合した溶液を調製し、次いで、調製した混合溶液に、メルカプトエタノールを室温で滴下し、室温で撹拌し、下記式(19)で表される化合物を生成させた。
【0113】
(合成3−2:ジイソシアネートの付加反応)
まず、合成3−1で生成した下記式(19)で表される化合物を酢酸ブチルに溶解させた溶液を調製し、次いで、調製した溶液にイソホロンジイソシアネートを添加し、撹拌して、下記式(20)で表される化合物を生成させた。
【0114】
(合成3−3:フルオロカーボン部位の導入)
合成3−2でイソホロンジイソシアネートを反応させた後の溶液に、CF3(OCF2CF22OCF2CH2OHのメチルエチルケトン溶液を添加し、撹拌して、下記式(18)で表される化合物を生成させた。
【0115】
【化24】



【0116】
【化25】

【0117】
【化26】

【0118】
<実施例1〜4、比較例1,2>
下記第1表に示す各成分を、同表に示す配合量(単位:質量部)で、かくはん機を用いて混合し、各硬化性樹脂組成物を得た。なお、下記第1表中に示す「組成比」とは、各成分の固形分の合計量に対する質量比(質量%)を表す。
得られた各硬化性樹脂組成物の各特性を以下の方法により評価した。その結果を下記第1表に示す。
【0119】
(意匠性)
塗布面を45°に傾けた状態のポリカーボネート製基板に対して、得られた各硬化性樹脂組成物をスプレーで10μmの膜厚となるよう塗布し、サンプルを得た。
スプレー塗布後、得られたサンプルの塗布面を水平にして、60℃で3分間乾燥させた後、サンプルの塗布面に対して斜め45°の角度からサンプルを肉眼で観察した。
塗膜にユズ肌等の異常が確認された場合には意匠性に劣るものとして「×」と評価し、塗膜の光沢が優れて凹凸が少ない場合には意匠性に優れるものとして「○」と評価した。
なお、塗膜の膜厚は、上記サンプルの作製条件と同一の条件において鉄板(磁性金属)に塗装し、硬化した後に、電磁膜厚計(株式会社ケット科学研究所製、LE―200J)を用いて測定した。得られた値をサンプルにおける塗膜の膜厚とした。
【0120】
(密着性)
密着性の評価は、碁盤目テープはく離試験によって行った。
具体的には、まず、意匠性の評価で使用したサンプルと同様のサンプルに対して、日本電池社製のGS UV SYSTEMを用いて、ピーク強度が80mW/cm2、積算光量が900mJ/cm2または1500mJ/cm2となるようにUV照射を行い、塗膜を形成させた。
次いで、塗膜上に、碁盤目テープはく離試験用の試験体を作製した。
得られた試験体に、1mmの基盤目100個(10×10)を作り、基盤目上にセロハン粘着テープ(幅18mm)を完全に付着させ、直ちにテープの一端をポリカーボネート製基板に対して直角に保ちながら瞬間的に引き離し、完全に剥がれないで残った基盤目の数を調べた。
下記第1表には、残った基盤目の数を分子として、碁盤目の全数(100個)を分母として結果を記載した。
【0121】
(鉛筆硬度)
硬度の評価を行うため、塗膜の鉛筆硬度を測定した。具体的には、密着性の評価で使用したサンプルと同様のサンプルを使用して、JIS K5600−5−4:1999に準拠して行った。
【0122】
(接触角)
防汚性の評価を行うため、塗膜表面における水またはオレイン酸の接触角を測定した。具体的には、密着性の評価で使用したサンプル(900mJ/cm2照射)と同様のサンプルを使用して、塗膜の上に、自動接触角測定装置OCA20(データフィジックス社製)を用いて、1μm3の水滴またはオレイン酸滴を滴下し、接触角を測定した(測定環境:25℃、測定法:Sessile Drop法)。
水接触角が100°以上であり、オレイン酸接触角が45°以上あれば、防汚性に優れるものとして評価できる。
【0123】
【表1】

【0124】
【表2】

【0125】
第1表に示す(メタ)アクリレート化合物A1、A2および(メタ)アクリレート化合物3については、上述したものを用いた。また、第1表に示すその他の成分については以下に示す通りである。
・ウレタン(メタ)アクリレートB1:上記式(B1)で表される化合物
・ウレタン(メタ)アクリレートB2:上記式(B2)で表される化合物
・光重合開始剤:イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ社製)
・ポリ(メタ)アクリル酸エステル:メタクリル酸メチルと酢酸エチルとの共重合体(メタクリル酸メチル/酢酸エチル=30/70、Tg:105、Mw:40,000)
・多官能(メタ)アクリルモノマー:TMPTA(ダイセルサイテック社製)
・溶剤:酢酸ブチル(関東化学社製)
【0126】
第1表に示す結果から、(メタ)アクリレート化合物A1またはA2を含有する実施例1〜4は、水接触角が100°以上であり、また、オレイン酸接触角も45°以上あり、いずれも、防汚性に優れることが分かった。
これに対して、フルオロカーボン部位を有するものの5官能である(メタ)アクリレート化合物3を用いた比較例1、および、(メタ)アクリレート化合物A1またはA2を用いていない比較例2は、いずれも、水接触角が100°未満であり、また、オレイン酸接触角も45°未満であり、防汚性に劣ることが分かった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1分子中にフルオロカーボン部位と6個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する(メタ)アクリレート化合物(A)と、
ウレタン(メタ)アクリレート(B)と、
光重合開始剤(C)と、を含有する硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(メタ)アクリレート化合物(A)が、1分子中に12個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(メタ)アクリレート化合物(A)が、イソシアヌレート環を有する、請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(メタ)アクリレート化合物(A)が、下記式(I)で表される化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
【化1】

(式中、3つのQはそれぞれ独立にQ1,Q2またはQ3を表すが、少なくとも1つのQはQ1を表す。R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表し、R2は炭素数1〜10のポリオール残基を表す。R7は水素原子またはメチル基を表し、R8は炭素数1〜15の2価の炭化水素基を表す。R9〜R12はそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子およびトリフルオロメチル基のいずれかを表し、いずれか1つ以上はフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。R13は水素原子、フッ素原子およびトリフルオロメチル基のいずれかを表す。R14はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表し、R15はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。複数のR1〜R15はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。kは0または1を表す。m1は1〜5の整数を表し、全てのm1の合計は6以上である。m2は0または1を表し、全てのm2の合計は1以上である。m3およびm4はそれぞれ独立に0または1を表す。nは1〜100の整数を表す。pは5〜100の整数を表す。X1は−S−、−NH−または−PO(OH)−を表し、X2は酸素原子または硫黄原子を表す。Yは酸素原子または単結合を表す。)
【請求項5】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(B)が、1分子中に6個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(メタ)アクリレート化合物(A)の含有量が、固形分で、前記ウレタン(メタ)アクリレート(B)100質量部に対して0.001〜60質量部である、請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
さらに、質量平均分子量が10,000以上であるポリ(メタ)アクリル酸エステル(D)を含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
さらに、多官能(メタ)アクリルモノマー(E)を含有する、請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
さらに、溶剤(F)を含有する、請求項1〜8のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。

【公開番号】特開2012−116999(P2012−116999A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270026(P2010−270026)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】