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硬化性樹脂組成物
説明

硬化性樹脂組成物

【課題】生体及び環境へのリスクが低く、各種基材に対して良好な撥水撥油性を示す、離型性、透明性、密着性、耐熱性に優れる硬化膜を形成する硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)(1)下記式
【化14】


(RはH又はメチル基、nは1〜6、aは1〜4、bは0〜3、cは1〜3の整数。)
で表されるポリフルオロアルキルビニル単量体:50〜99.5質量%、
(2)分子中に1個以上のケイ素原子に結合した加水分解可能な基を含有する有機ケイ素系ビニル単量体、ヒドロキシル基含有ビニル単量体及びカルボキシル基含有ビニル単量体から選ばれるビニル単量体:0.5〜50質量%、
(3)(1)、(2)成分と共重合可能で、かつ(1)、(2)成分を含まない非ケイ素系又は有機ケイ素系ビニル単量体:0〜49質量%
からなる単量体混合物の共重合体、及び
(B)アルミキレート
を有効成分としてなる硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種基材に対して良好な撥水撥油性を示し、離型性、透明性、密着性、耐熱性に優れる硬化膜を形成する硬化性樹脂組成物に関する。更に詳しくは、生体蓄積性が低いといわれている炭素数6以下のパーフルオロアルキル基を分子鎖末端に有するポリフルオロアルキルビニル単量体を含む単量体混合物の共重合体及びアルミキレートを有効成分とする硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撥水撥油性能、離型性能などの表面改質機能を発揮させるために、例えば、特公平1−42983号公報(特許文献1)、特開平7−109317号公報(特許文献2)に示されるように、フッ素系アクリル又はメタクリルモノマーの重合物が用いられていた。また、高度な離型性能、撥水撥油性能などの表面改質機能を発揮させるには炭素数8以上の長鎖のパーフルオロアルキル基が必須であると考えられてきた。しかし、近年、炭素数が8以上のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロオクタン酸(以下、PFOA)の人体への蓄積性が注目されており、2003年3月に米国環境保護庁(USEPA)は、野生動物や人の血液を含め、種々の環境から検出されるPFOAの安全性に関する予備リスク調査報告書を公開した。更に、2006年1月には、PFOAとその類縁物質、及びこれらの前駆体物質の環境中への排出削減と製品中の含有量削減計画を提唱し、フッ素樹脂メーカー8社の参加を公表している。
【0003】
パーフルオロアルキル基の炭素数が6以下になると、生体及び環境へのリスクは大きく低減するものの、重合体中のパーフルオロアルキル基に起因する、離型性能、撥水撥油性能などの表面改質機能は著しく低下する。これは、炭素数が8以上のパーフルオロアルキル基は結晶性を持つが、炭素数が6以下のパーフルオロアルキル基であると結晶構造を形成しないため、十分な表面改質機能を発揮しなくなるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平1−42983号公報
【特許文献2】特開平7−109317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、生体及び環境へのリスクが低く、各種基材に対して良好な撥水撥油性を示す、離型性、透明性、密着性、耐熱性に優れる硬化膜を形成する硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、生体蓄積性が低いといわれている炭素数6以下のパーフルオロアルキル基を分子鎖末端に有する、下記一般式(I)で表されるポリフルオロアルキルビニル単量体を含む単量体混合物の共重合体が、生体及び環境へのリスクが低く、従来の含フッ素重合体と同等の撥水撥油性能、離型性能などの表面改質機能を有し、該共重合体及びアルミキレートを有効成分としてなる組成物を各種基材に使用した場合に、良好な撥水撥油性及び耐熱性を示し、離型性、透明性、密着性に優れる硬化膜を形成することを見出し、本発明をなすに至った。
【0007】
従って、本発明は、下記硬化性樹脂組成物を提供する。
〔1〕
(A)(1)下記一般式(I)
【化1】

(式中、Rは水素原子又はメチル基であり、nは1〜6の整数、aは1〜4の整数、bは0又は1〜3の整数、cは1〜3の整数である。)
で表されるポリフルオロアルキルビニル単量体:50〜99.5質量%、
(2)分子中に少なくとも1個のケイ素原子に結合した加水分解可能な基を含有する有機ケイ素系ビニル単量体、ヒドロキシル基含有ビニル単量体及びカルボキシル基含有ビニル単量体から選ばれるビニル単量体:0.5〜50質量%、
(3)上記(1)、(2)成分と共重合可能で、かつケイ素原子に結合した加水分解可能な基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基を含まない非ケイ素系又は有機ケイ素系ビニル単量体:0〜49質量%
からなる単量体混合物の共重合体、及び
(B)アルミキレート
を有効成分としてなることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
〔2〕
式(I)において、nが2〜4の整数、aが1又は2、bが1〜3の整数、cが1又は2である〔1〕記載の硬化性樹脂組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の硬化性樹脂組成物は、分子鎖末端に生体蓄積性の低い炭素数6以下のパーフルオロアルキル基を有し、分子鎖途中にオゾン分解を受けて分解し易いフッ化ビニリデン由来の−CH2CF2−基を有するポリフルオロアルキルビニル単量体を含む単量体混合物の共重合体を有効成分として用いていることから、環境を阻害することが少なく、しかも該共重合体は従来の含フッ素重合体と同等の性能を有するため、アルミキレートとの組合せにより、撥水撥油剤、離型剤などの表面改質剤として好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の硬化性樹脂組成物は、下記(1)〜(3)成分の単量体混合物の共重合体(A)及びアルミキレート(B)を有効成分としてなるものである。
(A)(1)下記一般式(I)
【化2】

(式中、Rは水素原子又はメチル基であり、nは1〜6の整数、aは1〜4の整数、bは0又は1〜3の整数、cは1〜3の整数である。)
で表されるポリフルオロアルキルビニル単量体:50〜99.5質量%、
(2)分子中に少なくとも1個のケイ素原子に結合した加水分解可能な基を含有する有機ケイ素系ビニル単量体、ヒドロキシル基含有ビニル単量体及びカルボキシル基含有ビニル単量体から選ばれるビニル単量体:0.5〜50質量%、
(3)上記(1)、(2)成分と共重合可能で、かつケイ素原子に結合した加水分解可能な基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基を含まない非ケイ素系又は有機ケイ素系ビニル単量体:0〜49質量%
からなる単量体混合物の共重合体、及び
(B)アルミキレート。
【0010】
本発明の(A)成分である共重合体を構成する(1)成分のポリフルオロアルキルビニル単量体は、下記一般式(I)
【化3】

(式中、Rは水素原子又はメチル基であり、nは1〜6の整数、aは1〜4の整数、bは0又は1〜3の整数、cは1〜3の整数である。)
で表される、一方の分子鎖末端に炭素数6以下のパーフルオロアルキル基を有し、もう一方の分子鎖末端にアクリロキシ基又はメタクリロキシ基を有するものである。
【0011】
(1)成分のポリフルオロアルキルビニル単量体は、分子鎖末端が生体蓄積性の低い炭素数6以下のパーフルオロアルキル基で構成されているだけではなく、分子鎖途中にフッ化ビニリデン由来の−CH2CF2−基を有しており、該−CH2CF2−基は容易に脱HFして二重結合を形成し、それがオゾン分解を受けて分解し易く、生分解によってより炭素数の小さい化合物となるため、該単量体を含んだ共重合体は、環境を阻害することが少なく、しかも従来の含フッ素重合体と同等の性能を有することから、離型剤、撥水撥油剤などの表面改質剤の有効成分として好適に使用することができる。
【0012】
上記一般式(I)において、nは1〜6の整数、aは1〜4の整数、bは0又は1〜3の整数、cは1〜3の整数であるが、重合時の重合液安定性、溶解性、重合速度及び重合体の表面改質性能といった観点から、nは2〜4の整数、aは1又は2、bは1〜3の整数、cは1又は2であることが好ましい。
【0013】
このようなポリフルオロアルキル基を含有するビニル単量体としては、下記式で示されるものが例示される。
【化4】

【0014】
【化5】

【0015】
このポリフルオロアルキルビニル単量体は、上記した化合物の1種単独でも2種以上の混合物であってもよい。
【0016】
このポリフルオロアルキルビニル単量体(1)の単量体混合物(即ち、(1)成分、後述する(2)成分及び(3)成分の単量体混合物)中における質量比は、単量体(1)の質量比が50質量%未満では、該単量体混合物の共重合体を有効成分とする硬化性樹脂組成物のシリコーン粘着剤等の粘着性材料に対する離型効果が十分でなくなったり、撥水撥油性を損なったりする。一方、99.5質量%を超えると高い撥水撥油性を示し、離型効果も期待できるが、該樹脂組成物を塗工して硬化膜とするための基材との接着性が悪くなってしまうので、50〜99.5質量%の範囲とする必要があり、より好ましい範囲は70〜99.5質量%とされる。
【0017】
次に、本発明の(A)成分である共重合体を構成する(2)成分は、分子中に少なくとも1個のケイ素原子に結合した加水分解可能な基を含有する有機ケイ素系ビニル単量体、ヒドロキシル基含有ビニル単量体及びカルボキシル基含有ビニル単量体から選ばれる官能基含有ビニル単量体であり、この(2)成分のうち有機ケイ素系ビニル単量体は、分子中に有機置換基と結合するケイ素原子を少なくとも1個有するビニル単量体であり、前記した(1)成分としてのポリフルオロアルキルビニル単量体と共重合するためのビニル基(アリル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基を含む)と、分子中に少なくとも1個、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上の、ケイ素原子に結合した加水分解可能な基とを含有することが必須要件とされるものであり、ビニルシラン単量体又はその部分加水分解縮合物であることが好ましい。
【0018】
この加水分解可能な基としては、アセトキシ基、オクタノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシロキシ基、ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基等のケトオキシム基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、イソプロペニルオキシ基、1−エチル−2−メチルビニルオキシ基等のアルケニルオキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアミノ基、ジメチルアミノキシ基、ジエチルアミノキシ基等のアミノキシ基、N−メチルアセトアミド基、N−エチルアセトアミド基、N−メチルベンズアミド基等のアミド基等を挙げることができる。これらはこの加水分解性基自身がケイ素原子から外れて系外に飛散されるものでなければならないので、電子的に安定なもの、立体障害性の大きいもの、加水分解後に高沸点物質を生成するものは避けるようにすることが好ましい。
【0019】
従って、この加水分解性基含有有機ケイ素系ビニル単量体としては、下記式で示されるもの、又はこれらの部分加水分解縮合物などが例示される。
【化6】

【0020】
【化7】

【0021】
また、ヒドロキシル基含有ビニル単量体は、分子中にヒドロキシル基を少なくとも1個有するビニル単量体であり、前記した(1)成分としてのポリフルオロアルキルビニル単量体と共重合するためのビニル基(アリル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基を含む)と、分子中に少なくとも1個、好ましくは1〜3個のヒドロキシル基とを含有することが必須要件とされるものであり、該ヒドロキシル基含有ビニル単量体としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が例示される。
【0022】
更に、カルボキシル基含有ビニル単量体は、分子中にカルボキシル基を少なくとも1個有するビニル単量体であり、前記した(1)成分としてのポリフルオロアルキルビニル単量体と共重合するためのビニル基(アリル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基を含む)と、分子中に少なくとも1個、好ましくは1〜3個のカルボキシル基とを含有することが必須要件とされるものであり、該カルボキシル基含有ビニル単量体としては、1,4−ジ(メタ)アクリロキシエチルピロメリット酸、4−(メタ)アクリロキシエチルピロメリット酸、N−(メタ)アクリロイル−p−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸、アクリル酸、メタクリル酸等が例示される。
【0023】
これら(2)成分の有機ケイ素系ビニル単量体、ヒドロキシル基含有ビニル単量体、カルボキシル基含有ビニル単量体は、上記した化合物の1種単独でも2種以上の混合物であってもよい。
【0024】
なお、この(2)成分の単量体混合物(即ち、(1)成分、(2)成分及び後述する(3)成分の単量体混合物)中における質量比は、単量体(2)の質量比が0.5質量%未満では、この共重合体から得られる塗膜が十分な性能を示さず、50質量%を超えると架橋密度が高すぎてその塗膜が脆くなり、重合反応中にゲル化するおそれもあるので、0.5〜50質量%の範囲であり、好ましくは0.5〜30質量%の範囲である。
【0025】
次に、本発明の(A)成分である共重合体を構成する(3)成分としての非ケイ素系(即ち、分子中にケイ素原子を含有しない)又は有機ケイ素系(即ち、分子中に有機基で置換されたケイ素原子を含有する)ビニル単量体は、前記(1)、(2)成分と共重合が可能で、かつ、分子中にケイ素原子に結合した加水分解可能な基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基を含まない(即ち、上記(1)、(2)成分を含まない)ビニル単量体であり、この共重合体の皮膜の強度、硬度、基材への密着性、耐汚染性などを調節する目的で添加される任意成分である。
【0026】
(3)成分の非ケイ素系又は有機ケイ素系ビニル単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどのアクリレート、メタクリレート類、γ−トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、γ−ビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレートなどのケイ素基含有アクリレート、メタクリレート類、スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族系ビニル化合物、マレイン酸、フマル酸などの不飽和カルボン酸と炭素数1〜18の1価アルコールとのジエステル類、n−ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどのビニルエーテル類などが例示される。
【0027】
この(3)成分の非ケイ素系又は有機ケイ素系ビニル単量体を使用する場合は、上記した化合物の1種単独でも2種以上の混合物であってもよい。
【0028】
この非ケイ素系又は有機ケイ素系ビニル単量体(3)の単量体混合物(即ち、(1)成分、(2)成分及び(3)成分の単量体混合物)中における質量比は、単量体(3)の質量比が共重合体中の49質量%までの成分比となるようにすればよい。即ち、上記単量体混合物中、0〜49質量%、特に0〜20質量%とすることが好ましい。単量体(3)の質量比が49質量%を超えると、該単量体混合物の共重合体を有効成分とする組成物の表面特性が十分でなくなってしまう。
【0029】
本発明の組成物の主要成分となる共重合体(A)は、上述した(1)〜(3)成分の単量体混合物をラジカル反応開始剤を用いて溶液重合などの公知の方法で共重合させることによって得ることができる。
【0030】
ここで、ラジカル反応開始剤としては、アゾビスイソブチルニトリル、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサネート、メチルエチルケトンパーオキサイドなどが例示される。
【0031】
また、この反応は、含フッ素ビニル単量体の含有量が多いため、NovecHFE−7200、7300(住友スリーエム社製商品名)、m−キシレンヘキサフロライドなどの部分フッ素化溶剤、又は酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などの有機溶剤中で行うことがよく、更に場合によってはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの低級1価アルコールと前記溶剤との混合溶剤中、又はメルカプタン類などの連鎖移動剤の存在下で実施してもよい。
【0032】
このようにして得られた共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、高速液体クロマトグラフィー法によって測定した値が、好ましくは約2,000〜2,000,000であり、より好ましくは10,000〜500,000である。
【0033】
次に、(B)成分であるアルミキレートは、共重合体(A)中の加水分解性基の縮合触媒として働き、またヒドロキシル基、カルボキシル基に対しては架橋剤として働くものである。アルミキレートとして、具体的には、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムブチレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)等が例示される。
これらは1種単独でも2種以上の混合物であってもよい。
【0034】
(B)成分であるアルミキレートの配合量は、(A)成分100質量部に対して0.1〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜30質量部である。(B)成分の配合量が少なすぎると硬化速度が遅く、また架橋密度の低下を招き、目標である耐熱性、及び耐久性が得られない場合があり、多すぎると架橋密度は上がるものの、表面特性低下を招く場合がある。
【0035】
本発明の組成物は、通常、上記した共重合体(A)及びアルミキレート(B)の有機溶剤溶液として提供される。この場合、有機溶剤としては、Novec7200、Novec7300(住友スリーエム社製商品名)、m−キシレンヘキサフロライドなどの部分フッ素化された炭化水素系溶剤が挙げられる。ここで、上記有機溶剤溶液中の共重合体(A)及びアルミキレート(B)量としては、これら(A)、(B)成分の合計量が0.01〜50質量%、特に0.05〜30質量%であることが好ましい。
【0036】
本発明の組成物は、ガラス、紙、プラスチック、金属などの基材と容易にかつ強固に密着して硬化膜を形成する。この硬化膜は共重合体中にフッ素原子が含まれていることから優れた撥水撥油性を示し、かつ非粘着性である。従って、繊維、紙、多孔質体、樹脂用撥水撥油剤、防汚コート剤、外壁用保護剤、剥離紙、金型用離型剤などとして使用することができる。なお、この適用に当たってはこれをそのままクリヤーなコーティング剤として使用しても、あるいは顔料などを添加して使用してもよい。
【0037】
上記組成物の硬化膜の形成方法としては、種々の方法が適用可能であるが、例えば刷毛塗り、スプレー塗装、浸漬塗装、コーター等を用いるコーティング法が用いられる。これらの塗布手段により、基材に任意の塗布量で塗布することができる。基材に塗布後は常温で乾燥させてもよいし、加熱硬化させることもできる。好ましくは、80℃以上の加熱により硬化させると本発明の硬化促進の効果は著しい。
【実施例】
【0038】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例中の部は質量部を示したものである。また、得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)は、高速液体クロマトグラフィー法によって測定した。
【0039】
[実施例1]
温度計、不活性ガス導入口、還流冷却器、撹拌機を取付けた300mlの四つ口フラスコに、下記式
【化8】

で示されるポリフルオロアルキルビニル単量体A118.8部、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン1.2部、フッ素化溶剤としてNovecHFE−7300(住友スリーエム社製商品名)280部及びラジカル反応開始剤としてパーブチルO(日油社製商品名)0.6部を仕込み、窒素ガスを通気させながら65〜75℃で5時間反応させ、次いで、そのままの温度で15時間熟成させて、ポリフルオロアルキルビニル単量体A99質量%とγ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン1質量%とからなる共重合体(重量平均分子量Mw:190,000)の溶液をNovecHFE−7300で固形分が15質量%となるように希釈して母液を調製した。
【0040】
次に、得られた母液100部に、MXHF(m−キシレンヘキサフロライド)で15質量%に希釈されたアルミキレート(ケロープS、ホープ製薬社製商品名)5部、フッ素系希釈剤(FSシンナー、信越化学工業社製商品名)895部を加えて硬化性樹脂組成物の処理液を調製した。これを基材としてのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)多孔質フィルム(厚さ0.54mm、空隙率54%)及びガラス板にDip塗布(10秒浸漬→150mm/分)し、150℃で5分間熱処理したのち、これら基材を用いて下記測定をしたところ、表1に示したとおりの結果が得られた。
【0041】
<ヘキサデカン浸透温度>
得られたPTFE多孔質フィルム上に、ヘキサデカンの液滴(30μl)を滴下させ、次いで、これを乾燥機内で環境温度を常温から昇温させて、ヘキサデカンが浸透した温度を目視により観察した。
【0042】
<接触角>
得られたガラス板のフッ素系溶剤AK−225(旭硝子社製商品名)による掛け流し洗浄前後について、全自動接触角計DM−700(協和界面科学社製)を用い、純水に対する接触角を測定した。
【0043】
[実施例2〜8、比較例1〜3]
上記実施例1において、ポリフルオロアルキルビニル単量体A又は下記式
【化9】

で示されるポリフルオロアルキルビニル単量体B〜D、官能基含有ビニル単量体として前記のγ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(以下官能基含有ビニル単量体1と略記)
【化10】

又は下記式
【化11】

で示される官能基含有ビニル単量体2,3、官能基を含まないビニル系単量体として下記式
【化12】

で示される無官能ビニル単量体I、IIを、表1に示した量で使用したこと以外は実施例1と同様にして、それぞれの共重合体溶液を調製した。
【0044】
実施例1において、MXHFで15質量%に希釈されたアルミキレート(ケロープS、以下アルミキレート〈a〉と略記)に加え、アルミキレート〈b〉としてケロープEP−12(ホープ製薬社製商品名)を使用した以外は、同様にFSシンナーで希釈した組成物について、上記実施例1と同じ方法でそのヘキサデカン浸透温度及び純水に対する接触角を調べたところ、表1に併記したとおりの結果が得られた。
【0045】
【表1】

【0046】
アルミキレート〈a〉:ケロープS
エチルアセトアセテートアルミニウムジブチレートとジエチルアセトアセテートアルミニウムブチレートの混合物
アルミキレート〈b〉:ケロープEP−12
エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(1)下記一般式(I)
【化1】

(式中、Rは水素原子又はメチル基であり、nは1〜6の整数、aは1〜4の整数、bは0又は1〜3の整数、cは1〜3の整数である。)
で表されるポリフルオロアルキルビニル単量体:50〜99.5質量%、
(2)分子中に少なくとも1個のケイ素原子に結合した加水分解可能な基を含有する有機ケイ素系ビニル単量体、ヒドロキシル基含有ビニル単量体及びカルボキシル基含有ビニル単量体から選ばれるビニル単量体:0.5〜50質量%、
(3)上記(1)、(2)成分と共重合可能で、かつケイ素原子に結合した加水分解可能な基、ヒドロキシル基及びカルボキシル基を含まない非ケイ素系又は有機ケイ素系ビニル単量体:0〜49質量%
からなる単量体混合物の共重合体、及び
(B)アルミキレート
を有効成分としてなることを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
式(I)において、nが2〜4の整数、aが1又は2、bが1〜3の整数、cが1又は2である請求項1記載の硬化性樹脂組成物。

【公開番号】特開2013−91753(P2013−91753A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236184(P2011−236184)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】