説明

硬化性樹脂組成物

カートリッジからの押出し性が良好で、且つ垂直面に塗布したとき基材を瞬時に固定できる初期固定性を発現することのできる、反応性ケイ素基を有した有機重合体を含有する硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明は、(a)1分子中に少なくとも1個の反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン重合体と、(a)100重量部に対して5から50重量部の(b)炭化水素系可塑剤、及び10から200重量部の(c)針状結晶性フィラーを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジからの押出し性が良好で、且つ垂直面に塗布したとき基材を瞬時に固定できる初期固定性を発現することのできる反応性ケイ素基を有したポリオキシアルキレン重合体を含有する硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
溶剤型ゴム系接着剤は、塗布後一定時間のオープンタイムを取ることで、仮止めすることなく、被着体を下地へ貼り合わせることができる。しかしながら、該接着剤は溶剤を含むことから、人体への毒性や引火による火災の危険がある等の欠点があった。
【0003】
溶剤問題を解決する為、水性エマルション型接着剤の検討が行われたが、水系であるために硬化時には水の揮発が必須であり、水分を通さない金属やプラスチック基材では使用が困難であるという問題点がある。また、特許文献1では、新たな無溶剤系コンタクト型接着方法が提案されている。これは、加水分解性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン系重合体と加水分解性ケイ素基含有(メタ)アクリル酸エステル共重合体から成る湿気硬化型接着剤を用いるものであり、溶剤型ゴム系接着剤と同様、所定のオープンタイムをとった後、接着物を仮止めすることなく貼り合わせることができる。しかしながら、該接着剤の場合は所定のオープンタイムを取る必要があり、直ちに固定できないのが問題であった。
【0004】
これらの課題を解決する手段として、特許文献2に示されるような加水分解性ケイ素基含有有機重合体を用いた接着剤組成物の高粘度化が挙げられる。高粘度の接着剤組成物は両面粘着テープと同様な仮止め能を発揮し、硬化により永久固定させることができる。ところが、該組成物が充填されたカートリッジやソーセージ等を手動シーリングガンや手動コーキングガンへ装着し押し出そうとした場合、押出しに大きな力を必要とし迅速な突出が困難であった。押出し性を向上させるために接着剤組成物の粘度を下げると、塗布後の初期固定性が十分に得られず、接着物がずれ落ちる等の問題があり、押出し性と初期固定性を両立させることは困難であった。
【特許文献1】特開平3−263478号
【特許文献2】特開2001−311056号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
すなわち本発明の目的は、カートリッジからの押出し性が良好で、且つ垂直面に塗布したとき基材を瞬時に固定できる初期固定性を発現することのできる、反応性ケイ素基を有した有機重合体を含有する硬化性樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、カートリッジからの押出し性と、垂直面に塗布したとき基材を瞬時に固定できる初期固定性を兼ね備えた硬化性樹脂組成物を見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち本発明は、1分子中に少なくとも1個の反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン重合体と、その有機重合体100重量部に対して5から50重量部の炭化水素系可塑剤、及び10から200重量部の針状結晶性フィラーを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物に関し、押出し性と初期固定性が良好である硬化性樹脂組成物に関する。
本発明における押出し性とは、組成物をポリエチレン製カートリッジ(FishBoch製)に充填し、口径6.5mmのノズルを取り付け、エアーガンにて2barの圧で押出した、1分間に押出された組成物の重量で示される。
また、本発明における初期固定性とは、アルミ基材(150mm×30mm×2mm)に組成物を2mm厚に均一に塗布した後、直ちにもう1枚のアルミ基材(150mm×15mm×2mm)を張り合わせ、一方のアルミ基材を固定し、もう一方にバネ計りを取り付け、その計りを持って手動でゆっくりと引き上げ、アルミ基材がずれた瞬間の計りの数値で示される(測定を5回行い、最大値と最小値を除いて、残りの3回の値を平均した)。
【0008】
本発明に使用される(a)1分子中に少なくとも1個の反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン重合体の主鎖骨格は、本質的に一般式(1):
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、Rは2価の有機基であり、炭素数1〜14の直鎖状もしくは分岐状アルキレン基が好ましい。)で示される繰り返し単位を有するものである。
【0011】
一般式(1)におけるRは、炭素数1〜14の、さらには2〜4の、直鎖状もしくは分岐状アルキレン基が好ましい。一般式(1)で示される繰り返し単位の具体例としては、例えば、
【0012】
【化2】

【0013】
等が挙げられる。ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。特にシーラントや接着剤等に使用される場合には、オキシプロピレンを主成分とする重合体から成るのが好ましい。
【0014】
ポリオキシアルキレン系重合体の合成法としては、たとえばKOHのようなアルカリ触媒による重合法、たとえば特開昭61−215623号に示される有機アルミニウム化合物とポルフィリンとを反応させて得られる錯体のような遷移金属化合物−ポルフィリン錯体触媒による重合法、たとえば特公昭46−27250号および特公昭59−15336号などに示される複金属シアン化物錯体触媒による重合法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0015】
上記ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格中には、ポリオキシアルキレン系重合体の特性を大きく損なわない範囲でウレタン結合成分等の他の成分を含んでいてもよい。
【0016】
上記ウレタン結合成分を含むポリオキシアルキレン系重合体としては特に限定されず、たとえばトルエン(トリレン)ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートと上記一般式(1)の繰り返し単位を有するポリオールとの反応から得られるもの等を挙げることができる。
【0017】
(a)成分中に含有される反応性ケイ素基はケイ素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうる基である。代表例としては、一般式(2):
【0018】
【化3】

【0019】
(式中、RおよびRは、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基またはRSiO−(Rは炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、3個のRは同一であってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、RまたはRが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基を示し、Xが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1または2を、bは0、1、2または3を、それぞれ示す。pは0〜19の整数を示す。またpが2以上の整数の場合、p個の一般式(3):
【0020】
【化4】

【0021】
におけるaは同一である必要はない。但し、(aの和)+b≧1を満足するものとする。)で表される基が挙げられる。
【0022】
上記Xで示される加水分解性基としては、特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、たとえば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの内では、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基が好ましく、加水分解性が穏やかで取扱やすいという観点からアルコキシ基が特に好ましい。上記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
【0023】
該加水分解性基や水酸基は1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、(aの和)+bは1〜5の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が反応性ケイ素基中に2個以上結合する場合には、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0024】
前記反応性ケイ素基を形成するケイ素原子は1個でもよく、2個以上であってもよいが、シロキサン結合等により連結されたケイ素原子の場合には、20個程度あってもよい。
なお、一般式(4):
【0025】
【化5】

【0026】
(式中、R,X,bは前記と同じ)で表される反応性ケイ素基が、入手が容易である点から好ましい。
【0027】
また上記一般式(3)、(4)におけるRおよびRの具体例としては、たとえばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基や、Rがメチル基、フェニル基等であるRSiO−で示されるトリオルガノシロキシ基等が挙げられる。これらの中ではメチル基が好ましい。さらに反応性ケイ素基の具体的な構造としては、アルコキシシリル基が好ましく、トリメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基が特に好ましい。また、反応性ケイ素基としては1種で使用しても良く、2種以上併用してもかまわない。
【0028】
反応性ケイ素基の導入は公知の方法で行えばよい。すなわち、たとえば以下の方法が挙げられる。
【0029】
(A)分子中に水酸基等の官能基を有するポリオキシアルキレン重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基および不飽和基を有する有機化合物を反応させ、不飽和基を含有するポリオキシアルキレン重合体を得る。もしくは、不飽和基含有エポキシ化合物との共重合により不飽和基含有ポリオキシアルキレン重合体を得る。ついで得られた反応生成物に反応性ケイ素基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化する。
【0030】
(B)(A)法と同様にして得られた不飽和基を含有するポリオキシアルキレン重合体にメルカプト基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる。
【0031】
(C)分子中に水酸基、エポキシ基やイソシアネート基等の官能基を有するポリオキシアルキレン重合体に、この官能基に対して反応性を示す官能基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる。
以上の方法のなかで、(A)の方法、または(C)のうち末端に水酸基を有する重合体とイソシアネート基および反応性ケイ素基を有する化合物を反応させる方法が好ましい。
【0032】
(a)成分の重合体は直鎖状、または分岐を有してもよく、その分子量は500〜50,000程度、より好ましくは1,000〜30,000である。含有される反応性ケイ素基は重合体1分子中に少なくとも1個、好ましくは1分子中に平均1.1〜5個存在するのがよい。1分子中に含まれる反応性ケイ素基の数が1個未満になると、硬化性が不充分になり、また多すぎると網目構造があまりに密となるため良好な機械特性を示さなくなる。
【0033】
(a)成分の具体例としては、特公昭45−36319号、同46−12154号、特開昭50−156599号、同54−6096号、同55−13767号、同55−13468号、同57−164123号、特公平3−2450号、米国特許 3,632,557、米国特許 4,345,053、米国特許 4,366,307、米国特許 4,960,844等の各公報に提案されているもの、また特開昭61−197631号、同61−215622号、同61−215623号、同61−218632号等の各公報に提案されている数平均分子量6,000以上、Mw/Mnが1.6以下の高分子量で分子量分布が狭いオキシアルキレン系重合体が例示できるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0034】
上記の反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン重合体は、単独で使用してもよいし2種以上併用してもよい。また、反応性ケイ素基を有するビニル系重合体をブレンドして使用することもできる。
【0035】
反応性ケイ素基を有するビニル系重合体をブレンドする方法は、特開昭59−122541号、同63−112642号、特開平6−172631号等に提案されている。好ましい具体例は、反応性ケイ素基を有し分子鎖が実質的に、下記一般式(5):
【0036】
【化6】

【0037】
(式中、Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数1〜8のアルキル基を示す)で表される炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸エステル単量体単位および/またはメタアクリル酸エステル単量体単位と、下記一般式(6):
【0038】
【化7】

【0039】
(式中、Rは前記に同じ、Rは炭素数10以上のアルキル基を示す)で表される炭素数10以上のアルキル基を有するアクリル酸エステル単量体単位および/またはメタクリル酸エステル単量体単位からなる共重合体に、反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン重合体をブレンドして製造する方法である。
【0040】
前記一般式(5)のRとしては、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基等の炭素数1〜8、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜2のアルキル基が挙げられる。なお、Rのアルキル基は同一でもよく、異なっていてもよい。
【0041】
前記一般式(6)のRとしては、たとえばラウリル基、トリデシル基、セチル基、ステアリル基、ベヘニル基等の炭素数10以上、通常は10〜30、好ましくは10〜20の長鎖のアルキル基が挙げられる。なお、Rのアルキル基はRの場合と同様、同一でもよく、異なっていてもよい。
【0042】
該ビニル系共重合体の分子鎖は実質的に式(5)及び式(6)の単量体単位からなるが、ここでいう実質的にとは該ビニル系共重合体中に存在する式(5)及び式(6)の単量体単位の合計が50重量%をこえることを意味する。式(5)及び式(6)の単量体単位の合計は好ましくは70重量%以上である。
【0043】
また式(5)の単量体単位と式(6)の単量体単位の存在比は、重量比で95:5〜40:60が好ましく、90:10〜60:40がさらに好ましい。
【0044】
該ビニル系共重合体に含有されていてもよい式(5)及び式(6)以外の単量体単位としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸等のアクリル酸;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアミド基を含む単量体;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を含む単量体;ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基を含む単量体;その他アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン等に起因する単量体単位が挙げられる。
【0045】
該ビニル系共重合体は、数平均分子量で500〜100,000のものが取扱いの容易さの点から好ましい。
該ビニル系共重合体が有する反応性ケイ素基は、一般式(7):
【0046】
【化8】

【0047】
(式中、RおよびRは、いずれも炭素数1〜20の置換もしくは非置換の1価の有機基またはトリオルガノシロキシ基を示す。Xは水酸基または異種もしくは同種の加水分解性基を示す。cは0、1または2の整数、dは0、1、2または3の整数をそれぞれ示す。qは0〜19の整数を示す。qが2以上の場合、cは同一である必要はない。但し、(cの和)+d≧1を満足するものとする。)で表される。経済性等の点から好ましい反応性ケイ素基は、一般式(8):
【0048】
【化9】

【0049】
(式中、R、X、dは前記に同じ)で表される基である。
該ビニル系共重合体中の反応性ケイ素基の個数は、充分な硬化性を得る点から1分子平均1個以上、さらには1.1個以上、とくには1.5個以上が好ましい。
【0050】
式(7)のXにおける加水分解性基の具体例としては、たとえばハロゲン原子、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらのうちでも加水分解性の緩やかさの点からメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基が好ましい。
【0051】
また式(7)におけるRおよびRの具体例としては、たとえばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等が挙げられる。さらにRおよびRはRSiO−(Rは前記に同じ)で示されるトリオルガノシロキシ基であってもよい。これらのうちではメチル基がとくに好ましい。
【0052】
さらに、反応性ケイ素基を有するビニル系重合体をブレンドしてなる有機重合体の製造方法としては、他にも、反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン重合体の存在下で(メタ)アクリル酸エステル系単量体の重合を行う方法が利用できる。この製造方法は、特開昭59−78223号、特開昭59−168014号、特開昭60−228516号、特開昭60−228517号等の各公報に具体的に開示されているが、これらに限定されるものではない。
【0053】
本発明に使用される(b)炭化水素系可塑剤は、一般によく知られたものが利用でき、特に脂肪族炭化水素の、例えばパラフィン系、オレフィン系、ジオレフィン系、ポリオレフィン系、アセチレン系等が好ましい。構造的には、直鎖状であっても分岐があってもよい。また、不飽和基含有炭化水素の重合体や、同重合体に水素を添加して得られる反応生成物も使用できる。
【0054】
更に好ましくはパラフィン系炭化水素であって、炭素数6以上、更には炭素数8〜18のパラフィン系炭化水素を使用すると顕著な効果が見られる。炭素数が小さいものは高温で揮発するため、また炭素数が大きいものは低温で固体となるため、使用される温度条件によっては充分な効果が得られなくなる。
【0055】
具体的には、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、n−トリデカン、n−テトラデカン、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン等の直鎖状パラフィン系;2−エチルヘプタン、3−メチルヘプタン、2−メチルオクタン、3−メチルオクタン、2−メチルノナン、3−メチルノナン、4,5−ジプロピルオクタン、3−メチルトリデカン、6−メチルトリデカン等のイソパラフィン系;シクロヘキサン、シクロデカン等のシクロパラフィン系等が例示できるが、これに限定されるものではない。これらのうち、ポリオキシアルキレン重合体との相溶性の点から、芳香族環に水素を添加して得られるシクロパラフィン系や分子中に分岐構造を持つイソパラフィン系が特に好ましい。
【0056】
本発明の硬化性樹脂組成物は、ポリオキシアルキレン重合体(a)100重量部に対して、炭化水素系可塑剤(b)を5から50重量部含有する。好ましい下限は15重量部以上であり、より好ましい下限は20重量部以上である。好ましい上限は45重量部以下であり、より好ましい上限は40重量部以下である。
【0057】
本発明で使用される(c)針状結晶性フィラーは、そのアスペクト比(粒子の長さ/粒子の直径)が2.5以上のものであり、3以上のものが特に好ましい。アスペクト比が小さいと配合物に十分なチクソ性が得られず、垂れが生じたり垂直面に塗布した場合の初期固定性を十分に得られなかったりする。
【0058】
この様な針状結晶性フィラーとしては、セピオライト、アスベスト、ウォラストナイト、針状結晶型炭酸カルシウム、ガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維および有機繊維の単独使用もしくはそれらの組み合わせが例示されるが、これらに限定されるものではない。これら針状結晶性フィラーのうち、針状結晶型炭酸カルシウムが貯蔵安定性及び機械物性の点から望ましい。
【0059】
本発明の硬化性樹脂組成物は、ポリオキシアルキレン重合体(a)100重量部に対して、針状結晶性フィラー(c)を10から200重量部含有する。好ましい下限は30重量部、好ましい上限は100重量部である。
【0060】
本発明の硬化性樹脂組成物は、押出し性が200g/分以上且つ初期固定性が180g以上であることが好ましい。上記押出し性は、より好ましくは300g/分以上であり、好ましくは1000g/分以下である。上記初期固定性は、より好ましくは190g以上であり、好ましくは1000g以下である。
【0061】
さらに本発明の組成物には、反応性ケイ素基の反応を促進するシラノール縮合触媒が含有されていてもよい。この様なシラノール縮合触媒としては、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート等のチタン酸エステル類;ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、ジオクチル酸錫、ナフテン酸錫、ステアリン酸錫、バーサチック酸錫、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物、ジブチル錫ジアセチルアセトナート等の有機錫化合物類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;ビスマス−トリス(2−エチルヘキソエート)、ビスマス−トリス(ネオデカノエート)等のビスマス塩と有機カルボン酸または有機アミンとの反応物等;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;オクチル酸鉛等の有機鉛化合物;ナフテン酸鉄等の有機鉄化合物;有機バナジウム化合物;ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物あるいはそれらのカルボン酸等との塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物等が例示されるが、これらに限定されるものではなく、一般に使用されている縮合触媒を用いることができる。これらのシラノール触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。これらのシラノール縮合触媒のうち、有機金属化合物類、または有機金属化合物類とアミン系化合物の併用系が硬化性の点から好ましい。さらには、硬化速度が速い点からジブチル錫マレエート、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物、ジブチル錫ジアセチルアセトナートが好ましい。また、復元率の高い硬化性樹脂組成物が得られるという点から、ジオクチル酸錫とラウリルアミンの併用系が好ましく、とくに反応性ケイ素基含有ポリオキシアルキレン重合体(a)100重量部に対してジオクチル酸錫0.5から10重量部、ラウリルアミン0.1から10重量部添加するのが好ましい。
【0062】
本発明の硬化性樹脂組成物には上記以外にも必要に応じて充填剤、可塑剤、垂れ防止剤、着色剤、シランカップリング剤、補強性樹脂、保存安定性改良剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、アミン系ラジカル連鎖禁止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤等の各種添加剤を配合してもよい。但し可塑剤と充填剤については、含有する炭化水素系可塑剤(b)及び針状結晶性フィラー(c)の量に応じて、その添加量を調整する必要がある。
【0063】
上記充填剤としては、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸およびカーボンブラックの如き補強性充填剤;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、カオリン、酸化チタン、ガラスバルーン、シラスバルーン、有機バルーン等の如き充填剤等が使用できる。
【0064】
これら充填剤と針状結晶性フィラー(c)をポリオキシアルキレン重合体(a)100重量部に対し、10〜500重量部の範囲で使用すれば好ましい結果が得られる。もちろんこれら充填剤は1種類のみで使用してもよいし、2種類以上混合使用してもよい。
【0065】
上記可塑剤としては、(b)炭化水素系可塑剤以外のものであればよく、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジイソウンデシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレート等の如きフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、セバシン酸ジブチル等の如き脂肪族二塩基酸エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等の如きグリコールエステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチルの如き脂肪族エステル類;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル等の如きリン酸エステル類、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ベンジル等の如きエポキシ可塑剤類;2塩基酸と2価アルコールとのポリエステル類等のポリエステル系可塑剤;ポリプロピレングリコールやその誘導体等のポリエーテル類;ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレン等のポリスチレン類等の可塑剤が単独または2種類以上の混合物の形で任意に使用できる。ポリオキシアルキレン重合体(a)と炭化水素系可塑剤(b)との相溶性の観点から、これらの可塑剤と炭化水素系可塑剤(b)の併用が好ましく、特にポリプロピレングリコールやその誘導体等のポリエーテル類との併用が好ましい。
【0066】
これら可塑剤と充填剤を併用すると、硬化物の伸びを大きくできたり、多量の充填剤を混入できたりするので効果的である。
【0067】
上記垂れ防止剤としては、水添ヒマシ油誘導体;ポリアミドワックス;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム等の金属石ケン類等が挙げられるが、使用目的または充填剤、補強性樹脂等の配合により必用な場合、適宜使用すればよい。
【0068】
上記着色剤としては、必要に応じて通常の無機顔料、有機顔料、染料等を使用しうる。
【0069】
上記シランカップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、1,3−ジアミノイソプロピルトリメトキシシラン等の如きアミノ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルジメトキシシラン等の如きメルカプト基含有シラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等の如きビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等の如き塩素原子含有シラン類;γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等の如きイソシアネート含有シラン類;メチルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルジエトキシシラン等の如きハイドロシラン類等が具体的に例示されうるが、これらに限定されるものではない。
【0070】
本発明における(a)ポリオキシアルキレン重合体および(b)炭化水素系可塑剤及び(c)針状結晶性フィラーからなる組成物の調製方法の具体的な例としては、(a)ポリオキシアルキレン重合体に(b)炭化水素系可塑剤と(c)針状結晶性フィラーを添加し、必要に応じて撹拌条件等を適宜調整し、均一に分散させればよい。他にも、各成分をミキサー、ロール、ニーダー等を用いて混合するといった方法も採用されうる。実質的に水分のない状態で上記方法により本発明の組成物を調製することによって1液型組成物が得られ、密閉状態に保存すれば長期間の貯蔵に耐え、大気中に曝すれば表面より硬化を開始する。
【0071】
本発明の硬化性樹脂組成物は、弾性シーリング接着剤として建造物、土木工事、工業用途等の分野に有用である。
【発明の効果】
【0072】
本発明は、カートリッジからの押出し性が良好で、且つ垂直面に塗布したとき基材を瞬時に固定できる初期固定性を発現する、反応性ケイ素基を有した有機重合体を含有する硬化性樹脂組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0073】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0074】
(実施例1)
国際公開第91/13928号の合成例1に記載された方法により合成された、分子内に反応性ケイ素基を有するポリオキシプロピレン(分子量15000、Mw/Mn=1.1)100重量部、重質炭酸カルシウム(商品名:Carbital−110S(Imerys製))100重量部、針状結晶性フィラー(針状膠質炭酸カルシウム、商品名:SOCAL90A(SOLVAY製))50重量部、分子量3000のポリオキシプロピレン30重量部、シクロパラフィン系可塑剤(完全水添環化飽和炭化水素混合物、商品名:ExxsolD110(ExxonMobil製))20重量部、酸化チタン20重量部、アミドワックス系チクソ付与剤(商品名:CrayvallacSuper(Crayvallay製))15重量部、老化防止剤スチレン化フェノール1重量部、脱水剤ビニルトリメトキシシラン(商品名:A−171(日本ユニカー株式会社製))2重量部、接着付与剤N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:A−1120(日本ユニカー株式会社製))3重量部、硬化触媒ジブチル錫ビスアセチルアセテート1重量部を混練し、硬化性樹脂組成物を得た。上述の方法により、初期固定性及び押出し性を測定した。結果を表1に示す。
【0075】
(実施例2)
針状結晶性フィラー(針状膠質炭酸カルシウム、商品名:SOCAL90A(SOLVAY製))50重量部を針状結晶性フィラー(セピオライト、商品名:PANGEL S9(TOLSA製))50重量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で、硬化性樹脂組成物を得、初期固定性及び押出し性を測定した。結果を表1に示す。
【0076】
(実施例3)
針状結晶性フィラー(針状膠質炭酸カルシウム、商品名:SOCAL90A(SOLVAY製))50重量部を針状結晶性フィラー(ウォラストナイト、商品名:WIC40(Nordkalk製))50重量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で、硬化性樹脂組成物を得、初期固定性及び押出し性を測定した。結果を表1に示す。
【0077】
(実施例4)
シクロパラフィン系可塑剤(完全水添環化飽和炭化水素混合物、商品名:ExxsolD110(ExxonMobil製))20重量部をイソパラフィン系可塑剤(炭素数15〜19の分岐炭化水素混合物、商品名:Hydroseal G3H(Total製))20重量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で、硬化性樹脂組成物を得、初期固定性及び押出し性を測定した。結果を表1に示す。
【0078】
(実施例5)
重質炭酸カルシウム(商品名:Carbital−110S(Imerys製))100重量部を150重量部に、針状結晶性フィラー(針状膠質炭酸カルシウム、商品名:SOCAL90A(SOLVAY製))50重量部を65重量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で、硬化性樹脂組成物を得、初期固定性及び押出し性を測定した。結果を表1に示す。
【0079】
(実施例6)
国際公開第91/13928号の合成例1に記載された方法により合成された分子内に反応性ケイ素基を有するポリオキシプロピレン(分子量15000、Mw/Mn=1.1)100重量部、重質炭酸カルシウム(商品名:Carbital−110S(Imerys製))80重量部、針状結晶性フィラー(針状膠質炭酸カルシウム、商品名:SOCAL90A(SOLVAY製))40重量部、分子量3000のポリオキシプロピレン50重量部、シクロパラフィン系可塑剤(完全水添環化飽和炭化水素混合物、商品名:ExxsolD110(ExxonMobil製))20重量部、酸化チタン20重量部、アミドワックス系チクソ付与剤(商品名:CrayvallacSuper(Crayvallay製))15重量部、老化防止剤スチレン化フェノール1重量部、脱水剤ビニルトリメトキシシラン(商品名:A−171(日本ユニカー株式会社製))2重量部、接着付与剤N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:A−1120(日本ユニカー株式会社製))3重量部、硬化触媒ジブチル錫ビスアセチルアセテート1重量部を混練し、硬化性樹脂組成物を得、初期固定性及び押出し性を測定した。結果を表1に示す。
【0080】
(実施例7)
針状結晶性フィラー(針状膠質炭酸カルシウム、商品名:SOCAL90A(SOLVAY製))40重量部を針状結晶性フィラー(セピオライト、商品名:PANGEL S9(TOLSA製))40重量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で、硬化性樹脂組成物を得、初期固定性及び押出し性を測定した。結果を表1に示す。
【0081】
(実施例8)
針状結晶性フィラー(針状膠質炭酸カルシウム、商品名:SOCAL90A(SOLVAY製))40重量部を針状結晶性フィラー(ウォラストナイト、商品名:WIC40(Nordkalk製))40重量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で、硬化性樹脂組成物を得、初期固定性及び押出し性を測定した。結果を表1に示す。
【0082】
(比較例1)
針状結晶性フィラー(針状膠質炭酸カルシウム、商品名:SOCAL90A(SOLVAY製))50重量部を非針状の表面処理膠質炭酸カルシウム(商品名:WinnofilSPM(SOLVAY製))50重量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で、硬化性樹脂組成物を得、初期固定性及び押出し性を測定した。結果を表1に示す。
【0083】
(比較例2)
シクロパラフィン系可塑剤(完全水添環化飽和炭化水素混合物、商品名:ExxsolD110(ExxonMobil製))20重量部をフタル酸エステル系のDIDP(ジイソデシルフタレート)20重量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で、硬化性樹脂組成物を得、初期固定性及び押出し性を測定した。結果を表1に示す。
【0084】
(比較例3)
シクロパラフィン系可塑剤(完全水添環化飽和炭化水素混合物、商品名:ExxsolD110(ExxonMobil製))20重量部をフタル酸エステル系のDIDP(ジイソデシルフタレート)20重量部に、針状結晶性フィラー(針状膠質炭酸カルシウム、商品名:SOCAL90A(SOLVAY製))50重量部を非針状の表面処理膠質炭酸カルシウム(商品名:WinnofilSPM(SOLVAY製))50重量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で、硬化性樹脂組成物を得、初期固定性及び押出し性を測定した。結果を表1に示す。
【0085】
(比較例4)
重質炭酸カルシウム(商品名:Carbital−110S(Imerys製))100重量部と針状結晶性フィラー(針状膠質炭酸カルシウム、商品名:SOCAL90A(SOLVAY製))50重量部を重質炭酸カルシウム(商品名:Carbital−110S(Imerys製))150重量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で、硬化性樹脂組成物を得、初期固定性及び押出し性を測定した。結果を表1に示す。
【0086】
(比較例5)
シクロパラフィン系可塑剤(完全水添環化飽和炭化水素混合物、商品名:ExxsolD110(ExxonMobil製))20重量部をフタル酸エステル系のDIDP(ジイソデシルフタレート)20重量部に、針状結晶性フィラー(針状膠質炭酸カルシウム、商品名:SOCAL90A(SOLVAY製))65重量部を非針状の表面処理膠質炭酸カルシウム(商品名:WinnofilSPM(SOLVAY製))65重量部に変更した以外は実施例5と同様の方法で、硬化性樹脂組成物を得、初期固定性及び押出し性を測定した。結果を表1に示す。
【0087】
(比較例6)
針状結晶性フィラー(針状膠質炭酸カルシウム、商品名:SOCAL90A(SOLVAY製))50重量部を非針状の表面処理膠質炭酸カルシウム(商品名:WinnofilSPM(SOLVAY製))40重量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で、硬化性樹脂組成物を得、初期固定性及び押出し性を測定した。結果を表1に示す。
【0088】
(比較例7)
シクロパラフィン系可塑剤(完全水添環化飽和炭化水素混合物、商品名:ExxsolD110(ExxonMobil製))20重量部をフタル酸エステル系のDIDP(ジイソデシルフタレート)20重量部に変更した以外は実施例1と同様の方法で、硬化性樹脂組成物を得、初期固定性及び押出し性を測定した。結果を表1に示す。
【0089】
【表1】

【0090】
実施例1〜4の組成物の押出し性は全て400g/分以上で且つ初期固定性も全て180g以上と作業性、固定性を兼ね備え良好であった。一方、比較例1は、初期固定性は180g未満で、押出し性が400g/分未満であった。比較例2、3は、初期固定性は180g以上であるが、押出し性が300g/分以下であった。比較例4は、押出し性は786g/分と良好であるが、初期固定性が弱かった。高粘度配合とした実施例5の組成物は、307.5gの初期固定性を有し且つ200g/分以上の押出し性を示した。一方、比較例5の初期固定性は良好であるが押出し性が152g/分と低く、作業性が悪い。
【0091】
実施例6〜8の組成物の押出し性は全て300g/分以上で且つ初期固定性も全て160g以上であった。一方、比較例6、7は、初期固定性は160g以上であるが、押出し性が300g/分以下であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1分子中に少なくとも1個の反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン重合体と、(a)100重量部に対して5から50重量部の(b)炭化水素系可塑剤、及び10から200重量部の(c)針状結晶性フィラーを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
炭化水素系可塑剤(b)が、1分子中に少なくとも1個の反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン重合体(a)100重量部に対し、20から40重量部の量で含有される請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
炭化水素系可塑剤(b)が、パラフィン系炭化水素である請求項1または2記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
炭化水素系可塑剤(b)が、シクロパラフィン系炭化水素もしくはイソパラフィン系炭化水素である請求項3記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
針状結晶性フィラー(c)が、セピオライト、アスベスト、ウォラストナイト、針状結晶型炭酸カルシウム、ガラス繊維、炭素繊維及び有機繊維からなる群より選ばれるものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
針状結晶性フィラー(c)が、針状結晶型炭酸カルシウムである請求項5記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
1分子中に少なくとも1個の反応性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン重合体(a)の反応性ケイ素基がアルコキシシリル基である請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
押出し性が200g/分以上且つ初期固定性が180g以上である請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。

【国際公開番号】WO2005/049730
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【発行日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515647(P2005−515647)
【国際出願番号】PCT/JP2004/017194
【国際出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【出願人】(593227925)カネカ ベルギー ナムローゼ フェンノートシャップ (2)
【氏名又は名称原語表記】KANEKA BELGIUM N.V.
【Fターム(参考)】