説明

硬化性組成物、及びその硬化膜

【課題】 優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、耐擦傷性並びに基材及び低屈折率層との密着性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る硬化性組成物、その硬化膜、及び積層体を提供する。
【解決手段】 (A)ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物を主成分とし、重合性不飽和基を有する粒子、
(B)メタクリロイル基及びアクリロイル基を有する化合物、
(E)光重合開始剤、及び
(F)溶剤
とを含有する硬化性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物、その硬化膜及び積層体に関する。さらに詳しくは、優れた塗工性を有し、かつ各種基材[例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等]との密着性に優れ、基材の表面に、耐擦傷性、硬度、透明性並びに基材及び低屈折率層との密着性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る硬化性組成物、及び該組成物を硬化して得られる硬化膜に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種基材表面の傷付き(擦傷)防止や汚染防止のための保護コーティング材;各種基材の接着剤、シーリング材;印刷インクのバインダ材として、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、硬度、耐擦傷性、耐摩耗性、低カール性、密着性、透明性、耐薬品性及び塗膜面の外観のいずれにも優れた硬化膜を形成し得る硬化性組成物が要請されている。
また、フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等の反射防止膜の用途においては、上記要請に加えて、高屈折率の硬化膜を形成し得る硬化性組成物が要請されている。
【0003】
このような要請を満たすため、種々の組成物が提案されているが、硬化性組成物として優れた塗工性を有し、また硬化膜とした場合に、耐擦傷性並びに基材及び後述する積層体に用いる低屈折率層との密着性に優れ、さらにその硬化膜上に塗布によって低屈折率膜を積層した積層体とした場合に、低反射率を有するとともに耐擦傷性に優れるという特性を備えたものはまだ得られていないのが現状である。
【0004】
例えば、特許文献1には、下層の膜を半硬化させて、上層に低n層塗布後硬化させることで、耐擦傷性を向上させる技術が開示されている。
【0005】
特許文献2には、ハードコート膜の表面をアッシング処理により粗面化した上に真空プロセスで低屈折率層を設けることにより、反射防止膜の耐擦傷性を向上させている。
【0006】
特許文献3には、低屈折率層にシラン化合物等の成分を添加して、密着性と耐擦傷性を付与している。しかし、ハードコート層等の低屈折率層より下層にある層へは添加されていない。
【0007】
特許文献4には、ハードコート層にウレタン(メタ)アクリレートとリン酸基含有(メタ)アクリレートを使用することで、低屈折率層との密着性を上げて耐擦傷性を改良している。ただし、低屈折率層は蒸着法により作成されている。
【0008】
特許文献5には、低屈折率層の下に半硬化状態の密着層を挟むことで、低屈折率層と共有結合性を持たせて耐擦傷性を向上させている。
【0009】
【特許文献1】特開平6−18704号公報
【特許文献2】特開平7−159602号公報
【特許文献3】特開2001−194505号公報
【特許文献4】特開2003−335983号公報
【特許文献5】特開2004−309711
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、耐擦傷性並びに基材及び低屈折率層との密着性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る硬化性組成物、その硬化膜、並びに低反射率を有するとともに耐擦傷性に優れた積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究を重ね、重合性不飽和基を有する所定の金属酸化物粒子、メタクリロイル基及びアクリロイル基を有する化合物、光重合開始剤及び溶剤を含有し、組成物中のメタクリロイル基の量を所定量に調整した硬化性組成物の構成をとることにより、基材(下層)及び上層との密着性に優れる硬化膜が得られ、引いては耐擦傷性に優れた積層体が得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下の硬化性組成物、その硬化膜及び積層体を提供できる。
【0012】
[1](A)ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物を主成分とし、重合性不飽和基を有する粒子、
(B)1分子中にメタクリロイル基及びアクリロイル基を有する化合物、
(E)光重合開始剤、及び
(F)溶剤
を含有する硬化性組成物。
[2](C)2以上の重合性不飽和基を有する、前記(B)成分以外の化合物を含有する、上記[1]に記載の硬化性組成物。
[3]前記(B)成分が有するメタクリロイル基及びアクリロイル基の数の合計が3以上である、上記[1]又は[2]に記載の硬化性組成物。
[4]前記(B)成分が有するメタクリロイル基の数がメタクリロイル基及びアクリロイル基の合計数に対する割合が、15〜85%である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[5]前記(A)成分における重合性不飽和基を有する粒子が、重合性不飽和基に加えて、下記式(1)に示す基を有する上記[1]〜[4]のいずれかに記載の硬化性組成物。
−X−C(=Y)−NH− (1)
[式(1)中、Xは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Yは、O又はSを示す。]
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化膜。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、優れた塗工性を有し、かつ各種基材の表面に、耐擦傷性並びに基材、低屈折率層、その他の層等との密着性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る硬化性組成物、その硬化膜、並びに低反射率を有するとともに耐擦傷性に優れた積層体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の硬化性組成物、その硬化膜及び積層体の実施の形態を具体的に説明する。
I.硬化性組成物
本発明の硬化性組成物は、(A)ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物を主成分とし、重合性不飽和基を有する粒子、(B)メタクリロイル基及びアクリロイル基を有する化合物、(C)2以上の重合性不飽和基を有する、前記(B)成分以外の化合物、(D)分子内に一つの重合性不飽和基を有する化合物、(E)光重合開始剤、(F)溶剤を含有することを特徴とするものである。これらの成分のうち、(A)、(B)、(E)及び(F)成分が必須成分であり、その他の成分は非必須成分である。
【0015】
以下、本発明の硬化性組成物の各構成成分について具体的に説明する。
1.重合性不飽和基を有する金属酸化物粒子(A)
本発明に用いられる重合性不飽和基を有する金属酸化物粒子(A)は、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物を主成分とする粒子(以下、「酸化物粒子(Aa)」ということがある)と、重合性不飽和基を含む有機化合物(以下、「有機化合物(Ab)」ということがある)とを結合させてなる粒子(以下、「反応性粒子」ともいう。)である。
【0016】
(1)酸化物粒子(Aa)
本発明で用いられる酸化物粒子(Aa)は、得られる硬化性組成物の硬化被膜の無色性の観点から、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物を主成分とする粒子である。これらのうち、ジルコニウムやチタニウム等は屈折率が1.50以上と大きいため、これらの元素の酸化物粒子を用いることにより、硬化被膜の屈折率を高めると共に、耐擦傷性を改善することができる。また、亜鉛、インジウム、アンチモンの酸化物粒子として、それぞれアルミニウム含有酸化亜鉛、錫含有酸化インジウム(ITO)、アンチモン含有酸化スズ(ATO)等の粒子を用いることにより、硬化被膜に導電性を付与することができる。
【0017】
これらの酸化物粒子(Aa)としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、錫含有酸化インジウム(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウム等を主成分とする粒子を挙げることができる。中でも、高硬度の観点から、シリカ、アルミナ、ジルコニア及び酸化アンチモンの粒子が好ましい。これらは1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。
【0018】
さらには、酸化物粒子(Aa)は、粉体状又は溶剤分散ゾルであることが好ましい。溶剤分散ゾルである場合、他の成分との相溶性、分散性の観点から、分散媒は、有機溶剤が好ましい。このような有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。中でも、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレンが好ましい。
【0019】
酸化物粒子(Aa)の数平均粒子径は、0.001μm〜2μmが好ましく、0.001μm〜0.2μmがさらに好ましく、0.001μm〜0.1μmが特に好ましい。数平均粒子径が2μmを越えると、硬化膜としたときの透明性が低下したり、被膜としたときの表面状態が悪化する傾向がある。また、粒子の分散性を改良するために各種の界面活性剤やアミン類を添加してもよい。
酸化物粒子(Aa)の数平均粒子径は、例えば、(株)堀場製作所製 動的光散乱式粒径分布測定装置によって測定することができる。
【0020】
ケイ素酸化物粒子(例えば、シリカ粒子)として市販されている商品としては、例えば、コロイダルシリカとして、日産化学工業(株)製 商品名:メタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等を挙げることができる。また粉体シリカとしては、日本アエロジル(株)製 商品名:アエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルOX50、旭硝子(株)製 商品名:シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業(株)製 商品名:E220A、E220、富士シリシア(株)製 商品名:SYLYSIA470、日本板硝子(株)製 商品名:SGフレーク等を挙げることができる。
【0021】
また、アルミナの水分散品としては、日産化学工業(株)製 商品名:アルミナゾル−100、−200、−520;アルミナのイソプロパノール分散品としては、住友大阪セメント(株)製 商品名:AS−150I;アルミナのトルエン分散品としては、住友大阪セメント(株)製 商品名:AS−150T;ジルコニアのトルエン分散品としては、住友大阪セメント(株)製 商品名:HXU−110JC;アンチモン酸亜鉛粉末の水分散品としては、日産化学工業(株)製 商品名:セルナックス;アルミナ、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛等の粉末及び溶剤分散品としては、シーアイ化成(株)製 商品名:ナノテック;アンチモン含有酸化スズの水分散ゾルとしては、石原産業(株)製 商品名:SN−100D;ITO粉末としては、三菱マテリアル(株)製の製品;酸化セリウム水分散液としては、多木化学(株)製 商品名:ニードラール等を挙げることができる。
【0022】
酸化物粒子(Aa)の形状は球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、又は不定形状であり、好ましくは、球状である。酸化物粒子(Aa)の比表面積(窒素を用いたBET比表面積測定法による)は、好ましくは、10〜1000m/gであり、さらに好ましくは、100〜500m/gである。これら酸化物粒子(Aa)の使用形態は、乾燥状態の粉末、又は水もしくは有機溶剤で分散した状態で用いることができる。例えば、上記の酸化物の溶剤分散ゾルとして当業界に知られている微粒子状の酸化物粒子の分散液を直接用いることができる。特に、硬化膜に優れた透明性を要求する用途においては酸化物の溶剤分散ゾルの利用が好ましい。
【0023】
上記の酸化物粒子(Aa)の中で、ジルコニアや酸化チタン等の高屈折率の粒子を用いることにより、硬化膜の屈折率を高くすることができる。また、ITO粒子やアンチモン含有酸化スズ粒子を用いることにより、硬化膜に導電性を付与することもできる。さらに、シリカ粒子を用いることにより、耐擦傷性をさらに改善することもできる。
【0024】
(2)有機化合物(Ab)
本発明に用いられる有機化合物(Ab)は、分子内に、重合性不飽和基を含む化合物であり、重合性不飽和基に加えて、下記式(1)に示す基を含む特定有機化合物であることが好ましい。
−X−C(=Y)−NH− (1)
[式(1)中、Xは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Yは、O又はSを示す。]
より好ましくは、[−O−C(=O)−NH−]基を含み、さらに、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1つを含むものである。また、この有機化合物(Ab)は、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることが好ましい。
【0025】
(i)重合性不飽和基
有機化合物(Ab)に含まれる重合性不飽和基としては特に制限はないが、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエート基、アクリルアミド基を好適例として挙げることができる。
この重合性不飽和基は、活性ラジカル種により付加重合をする構成単位である。
【0026】
(ii)前記式(1)に示す基
特定有機化合物に含まれる前記式(1)に示す基[−X−C(=Y)−NH−]は、具体的には、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=S)−NH−]、及び[−S−C(=S)−NH−]の6種である。これらの基は、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−NH−]基と、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1つとを併用することが好ましい。
前記式(1)に示す基[−X−C(=Y)−NH−]は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化膜にした場合、優れた機械的強度、基材との密着性及び耐熱性等の特性を付与せしめるものと考えられる。
【0027】
(iii)シラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基
有機化合物(Ab)は、分子内にシラノール基を有する化合物(以下、「シラノール基含有化合物」ということがある)又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物(以下、「シラノール基生成化合物」ということがある)であることが好ましい。このようなシラノール基生成化合物としては、ケイ素原子にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が結合した化合物を挙げることができるが、ケイ素原子にアルコキシ基又はアリールオキシ基が結合した化合物、即ち、アルコキシシリル基含有化合物又はアリールオキシシリル基含有化合物が好ましい。
シラノール基又はシラノール基生成化合物のシラノール基生成部位は、縮合反応又は加水分解に続いて生じる縮合反応によって、酸化物粒子(Aa)と結合する構成単位である。
【0028】
(iv)好ましい態様
有機化合物(Ab)の好ましい具体例としては、例えば、下記式(2)に示す化合物を挙げることができる。
【0029】
【化1】

【0030】
式中、R33、R34は、同一でも異なっていてもよいが、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基若しくはアリール基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、フェニル、キシリル基等を挙げることができる。ここで、cは、1〜3の整数である。
[(R33O)343−cSi−]で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基等が好ましい。
35は、炭素数1〜12の脂肪族又は芳香族構造を有する2価の有機基であり、鎖状、分岐状又は環状の構造を含んでいてもよい。
36は、2価の有機基であり、通常、分子量14から1万、好ましくは、分子量76から500の2価の有機基の中から選ばれる。
37は、(d+1)価の有機基であり、好ましくは、鎖状、分岐状又は環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基の中から選ばれる。
Qは、活性ラジカル種の存在下、分子間架橋反応をする重合性不飽和基を分子中に有する1価の有機基を示す。また、dは、好ましくは、1〜20の整数であり、さらに好ましくは、1〜10の整数、特に好ましくは、1〜5の整数である。
【0031】
式(2)で示される化合物の具体例として、下記式(3)又は式(4)で示される化合物が挙げられる。
【0032】
【化2】

【化3】

[式(3)及び式(4)中、「Acryl」は、アクリロイル基を示す。]
【0033】
本発明で用いられる有機化合物(Ab)の合成は、例えば、特開平9−100111号公報に記載された方法を用いることができる。好ましくは、メルカプトプロピルトリメトキシシランとイソホロンジイソシアネートをジブチルスズジラウレート存在下で混合し、60〜70℃で数時間程度反応させた後に、ペンタエリスリトールトリアクリレートを添加して、さらに60〜70℃で数時間程度反応させることにより製造される。典型的には、上記式(3)で示される化合物と上記式(4)で示される化合物の混合物が得られる。
【0034】
酸化物粒子(Aa)への有機化合物(Ab)の結合量は、反応性粒子(A)(酸化物粒子(Aa)及び有機化合物(Ab)の合計)を100質量%として、好ましくは、0.01質量%以上であり、さらに好ましくは、0.1質量%以上、特に好ましくは、1質量%以上である。酸化物粒子(Aa)に結合した有機化合物(Ab)の結合量が0.01質量%未満であると、組成物中における反応性粒子(A)の分散性が十分でなく、得られる硬化膜の透明性、耐擦傷性が十分でなくなる場合がある。また、反応性粒子(A)製造時の原料中の酸化物粒子(Aa)の配合割合は、好ましくは、5〜99質量%であり、さらに好ましくは、10〜98質量%である。
【0035】
反応性粒子(A)の硬化性組成物中における配合(含有)量は、溶剤を除く組成物全量に対して、5〜90質量%が好ましく、15〜85質量%がさらに好ましい。5質量%未満であると、硬化膜の硬度が不十分となったり、ジルコニア粒子等の高屈折率粒子を用いる場合に高屈折率の硬化膜を得られないことがあり、90質量%を超えると、成膜性が不十分となることがある。
この場合、反応性粒子(A)を構成する酸化物粒子(Aa)の組成物中の含有量は、65〜90質量%であることが好ましい。
尚、反応性粒子(A)の量は、固形分を意味し、反応性粒子(A)が溶剤分散ゾルの形態で用いられるときは、その配合量には溶剤の量を含まない。
【0036】
2.(B)メタクリロイル基及びアクリロイル基を有する化合物
本発明で用いられる(B)成分は、1分子中にメタクリロイル基及びアクリロイル基を有する化合物であれば、特に限定されない。ただし、ケイ素やフッ素は含有しない方が好ましい。
(B)成分は、同一分子中にメタクリロイル基及びアクリロイル基を有するため、硬化速度が比較的小さいメタアクリロイル基の寄与によって、本発明の組成物を硬化してなるハードコート膜の上層に積層される低屈折率膜との密着性を向上させ、耐擦傷性に優れる積層体を与える成分である。また、アクリロイル基をも有するため、硬化膜表面近傍での硬化性を劣化させることがなく、平面性に優れる硬化膜を与えることができ、引いては、光学性能に優れる積層体を得ることができる。
【0037】
(B)成分の具体例としては、下記式(5)、(6)で示される化合物等を挙げることができる。
【化4】

【化5】

【0038】
(B)成分として用いることができる市販品としては、例えば、NKオリゴU−6HA(上記式(6)の化合物;新中村化学工業(株))を挙げることができる。
【0039】
前記(B)成分が有するメタクリロイル基及びアクリロイル基の数の合計は、必然的に2以上であることが必要であり、3以上であることが好ましく、4以上であることがさらに好ましい。また、(B)成分が有するメタクリロイル基の数の、メタクリロイル基及びアクリロイル基の合計数に対する割合は、15〜85%であることが好ましく、20%〜75%であることがさらに好ましい。
【0040】
本発明の(B)成分は、特に限定されないが、例えば、(a)ポリイソシアネート化合物及び(b)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーを反応させて得られる。(B)成分の合成に用いる(a)ポリイソシアネート化合物及び(b)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートモノマーの使用割合を変更することにより、(B)成分が有するメタクリロイル基の数の、メタクリロイル基及びアクリロイル基の合計数に対する割合を調整することができる。
【0041】
本発明に用いられる、(B)成分の配合(含有)量は、溶剤を除く組成物全量に対して、1〜80質量%配合することが好ましく、5〜80質量%がさらに好ましく、5〜60質量%が特に好ましい。1質量%未満又は80質量%を超えると、硬化膜としたときに高硬度のものを得られないことがあり、さらに塗膜の密着性が低下する可能性がある。
【0042】
3.(C)2以上の重合性不飽和基を有する、前記(B)成分以外の化合物
本発明に用いられる、分子内に2以上の重合性不飽和基を有する前記(B)成分以外の化合物(以下、「重合性不飽和基含有化合物(C)」又は「化合物(C)」ということがある)は、組成物の成膜性を高めるために好適に用いられる任意添加成分である。化合物(C)としては、分子内に重合性不飽和基を2以上含むものであれば特に制限はないが、例えば、メラミンアクリレート類、(メタ)アクリルエステル類、ビニル化合物類を挙げることができる。この中では、(メタ)アクリルエステル類が好ましい。
【0043】
以下、本発明に用いられる化合物(C)の具体例としては、(メタ)アクリルエステル類としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレングルコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、及びこれらの出発アルコール類へのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物のポリ(メタ)アクリレート類、分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴエステル(メタ)アクリレート類、オリゴエーテル(メタ)アクリレート類、オリゴウレタン(メタ)アクリレート類、及びオリゴエポキシ(メタ)アクリレート類、下記式(7)又は下記式(8)で示される化合物等を挙げることができる。この中では、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、下記式(7)又は下記式(8)で示される化合物が好ましい。
【化6】

[式(7)中、「Acryl」は、アクリロイル基を示す。]
【化7】

[式(8)中、「Acryl」は、アクリロイル基を示す。]
【0044】
ビニル化合物類としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等を挙げることができる。
【0045】
重合性不飽和基含有化合物(C)として用いることができる市販品としては、例えば、(株)三和ケミカル製 商品名:ニカラック MX−302、東亞合成(株)製 商品名:アロニックス M−400、M−408、M−450、M−305、M−309、M−310、M−315、M−320、M−350、M−360、M−208、M−210、M−215、M−220、M−225、M−233、M−240、M−245、M−260、M−270、M−1100、M−1200、M−1210、M−1310、M−1600、M−221、M−203、TO−924、TO−1270、TO−1231、TO−595、TO−756、TO−1343、TO−902、TO−904、TO−905、TO−1330、日本化薬(株)製 商品名:KAYARAD D−310、D−330、DPHA、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、DN−0075、DN−2475、SR−295、SR−355、SR−399E、SR−494、SR−9041、SR−368、SR−415、SR−444、SR−454、SR−492、SR−499、SR−502、SR−9020、SR−9035、SR−111、SR−212、SR−213、SR−230、SR−259、SR−268、SR−272、SR−344、SR−349、SR−601、SR−602、SR−610、SR−9003、PET−30、T−1420、GPO−303、TC−120S、HDDA、NPGDA、TPGDA、PEG400DA、MANDA、HX−220、HX−620、R−551、R−712、R−167、R−526、R−551、R−712、R−604、R−684、TMPTA、THE−330、TPA−320、TPA−330、KS−HDDA、KS−TPGDA、KS−TMPTA、共栄社化学(株)製 商品名:ライトアクリレート PE−4A、DPE−6A、DTMP−4A等を挙げることができる。
【0046】
本発明に任意に用いられる、化合物(C)の配合(含有)量は、溶剤を除く組成物全量に対して、0〜80質量%配合することが好ましく、0〜75質量%がさらに好ましい。
【0047】
4.分子内に一つの重合性不飽和基を有する化合物(D)
本発明の組成物には、前記(C)成分の分子内に2以上の重合性不飽和基を有する化合物の他に、必要に応じて、分子内に一つの重合性不飽和基を有する化合物(D)(以下、「化合物(D)」ということがある)を含有させることもできる。
【0048】
本発明に用いられる化合物(D)の有する重合性不飽和基としては、前記(C)成分の説明において記載した基が挙げられ、化合物(D)の具体例としては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル基含有ラクタム、イソボルニル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式構造含有(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0049】
本発明の組成物における化合物(D)の配合量(含有量)は、溶剤を除く組成物全量に対して、0〜30質量部であることが好ましい。
【0050】
5.光重合開始剤(E)
本発明の光重合開始剤(E)としては、光照射により分解してラジカルを発生して重合を開始せしめるものであれば特に制限はなく、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)等を挙げることができる。これらの中では、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン等が好ましい。
【0051】
光重合開始剤の市販品としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 商品名:イルガキュア 184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61、ダロキュア 1116、1173、BASF社製 商品名:ルシリン TPO、UCB社製 商品名:ユベクリル P36、フラテツリ・ランベルティ社製 商品名:エザキュアー KIP150、KIP65LT、KIP100F、KT37、KT55、KTO46、KIP75/B等を挙げることができる。
【0052】
本発明の組成物を硬化させる場合、必要に応じて光重合開始剤と熱重合開始剤とを併用することができる。
好ましい熱重合開始剤としては、例えば、過酸化物、アゾ化合物を挙げることができ、具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル−パーオキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。
【0053】
本発明において用いられる光重合開始剤(E)の配合量(含有量)は、溶剤を除く組成物全量に対して、0.01〜20質量%配合することが好ましく、0.1〜10質量%が、さらに好ましい。0.01質量%未満であると、成膜性が不十分となることがあり、20質量%を超えると、高硬度の硬化膜が得られないことがある。
【0054】
6.(F)溶剤
本発明に用いることができる溶剤としては、溶剤以外の成分の溶解性・分散性を阻害しない限り特に限定されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類等が挙げられる。また、この溶剤の使用量は、特に制限されないが、溶剤を除く組成物全量100質量部に対して、通常5〜100,000質量部、好ましくは10〜10,000質量部である。
溶剤で希釈することにより、塗膜の厚さを調節することができる。例えば、反射防止膜や被覆材として用いる場合の粘度は、通常0.1〜50,000mPa・秒/25℃であり、好ましくは、0.5〜10,000mPa・秒/25℃である。
【0055】
7.その他の成分
本発明の硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて、光増感剤、重合禁止剤、重合開始助剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、無機充填剤、顔料、染料等を適宜配合できる。
【0056】
8.組成物中のメタクリロイル基濃度
本発明の硬化性組成物中のメタクリロイル基濃度は、溶剤(F)を除く組成物100g中のメタクリロイル基の量(以下、「メタクリロイル基濃度」という。)が、0.001〜0.5モルであることが好ましい。メタクリロイル基濃度が、0.001モル/100g未満であると、積層体の耐擦傷性が低下する傾向がある。メタクリロイル基濃度が、0.5モル/100gを超えると、硬化膜の表面硬化性が低下するため、硬化膜の平面性が劣化して、引いては積層体の光学特性が低下する傾向がある。このような理由から、メタクリロイル基濃度は、0.002〜0.3モル/100gであることが好ましい。
【0057】
9.組成物の塗布(コーティング)方法
本発明の組成物は反射防止膜や被覆材の用途に好適であり、反射防止や被覆の対象となる基材としては、例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ、メラミン、トリアセチルセルロース、ABS、AS、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等を挙げることができる。これら基材の形状は板状、フィルム状又は3次元成形体でもよく、コーティング方法は、通常のコーティング方法、例えばディッピングコート、スプレーコート、フローコート、シャワーコート、ロールコート、スピンコート、刷毛塗り等を挙げることができる。これらコーティングにおける塗膜の厚さは、乾燥、硬化後、通常0.1〜400μmであり、好ましくは、1〜200μmである。
【0058】
10.組成物の硬化方法
本発明の組成物は、熱及び/又は放射線(光)によって硬化させることができる。熱による場合、その熱源としては、例えば、電気ヒーター、赤外線ランプ、熱風等を用いることができる。放射線(光)による場合、その線源としては、組成物をコーティング後短時間で硬化させることができるものである限り特に制限はないが、例えば、赤外線の線源として、ランプ、抵抗加熱板、レーザー等を、また可視光線の線源として、日光、ランプ、蛍光灯、レーザー等を、また紫外線の線源として、水銀ランプ、ハライドランプ、レーザー等を、また電子線の線源として、市販されているタングステンフィラメントから発生する熱電子を利用する方式、金属に高電圧パルスを通じて発生させる冷陰極方式及びイオン化したガス状分子と金属電極との衝突により発生する2次電子を利用する2次電子方式を挙げることができる。また、アルファ線、ベータ線及びガンマ線の線源として、例えば、Co60等の核分裂物質を挙げることができ、ガンマ線については加速電子を陽極へ衝突させる真空管等を利用することができる。これら放射線は1種単独で又は2種以上を同時に又は一定期間をおいて照射することができる。
【0059】
II.硬化膜
本発明の硬化膜は、前記硬化性組成物を種々の基材、例えば、プラスチック基材にコーティングして硬化させることにより得ることができる。具体的には、組成物をコーティングし、好ましくは、0〜200℃で揮発成分を乾燥させた後、上述の、熱及び/又は放射線で硬化処理を行うことにより被覆成形体として得ることができる。熱による場合の好ましい硬化条件は20〜150℃であり、10秒〜24時間の範囲内で行われる。放射線による場合、紫外線又は電子線を用いることが好ましい。そのような場合、好ましい紫外線の照射光量は0.01〜10J/cmであり、より好ましくは、0.1〜2J/cmである。また、好ましい電子線の照射条件は、加圧電圧は10〜300KV、電子密度は0.02〜0.30mA/cmであり、電子線照射量は1〜10Mradである。
また、基材の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ノルボルネン系樹脂(JSR株式会社製アートン等)を挙げることができる。
【0060】
本発明の硬化膜は、基材及び低屈折率層との密着性に優れた塗膜(被膜)を形成し得る特徴を有しているので、フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等のハードコートや反射防止膜等の積層体の一部を成す層として、特に好適に用いられる。
【実施例】
【0061】
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例の記載に限定されるものではない。また、実施例中、各成分の配合量は特に記載のない限り質量部、質量%を意味している。
【0062】
製造例1:前記式(5)で示される化合物((B)成分)の製造
攪拌機付きの容器内の昭和電工製カレンズMOI(2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート)23.1部と、ジブチル錫ジラウレート0.1部とからなる溶液に対し、新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)76.9部を、10℃、1時間の条件で滴下した後、60℃、3時間の条件で攪拌し、反応液とした。
この反応液中の生成物中の残存イソシアネート量をFT−IRで測定したところ、0.1質量%以下であり、反応がほぼ定量的に行われたことを確認した。また、分子内に、ウレタン結合、及びアクリロイル基(重合性不飽和基)とを含むことを確認した。
以上により、前記式(5)で示される化合物が69部とペンタエリスリトールテトラアクリレート31部が得られた。
【0063】
製造例2:重合性不飽和基を含む有機化合物(Ab)の製造
乾燥空気中、メルカプトプロピルトリメトキシシラン221部、ジブチル錫ジラウレ−ト1部からなる溶液に対し、イソホロンジイソシアネート222部を攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、70℃で3時間加熱攪拌した。これに新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(ペンタエリスリトールトリアクリレート60質量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート40質量%とからなる。このうち、反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)549部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で10時間加熱攪拌することで重合性不飽和基を含む有機化合物(Ab)を得た。生成物中の残存イソシアネ−ト量をFT−IRで分析したところ0.1%以下であり、反応がほぼ定量的に終了したことを示した。生成物の赤外吸収スペクトルは原料中のメルカプト基に特徴的な2550カイザ−の吸収ピ−ク及び原料イソシアネ−ト化合物に特徴的な2260カイザ−の吸収ピ−クが消失し、新たにウレタン結合及びS(C=O)NH−基に特徴的な1660カイザ−のピ−ク及びアクリロキシ基に特徴的な1720カイザ−のピ−クが観察され、重合性不飽和基としてのアクリロキシ基と−S(C=O)NH−、ウレタン結合を共に有するアクリロキシ基修飾アルコキシシランが生成していることを示した。以上により、前記式(3)で示される化合物及び前記式(4)で示される化合物の混合物(Ab)が合計で773部と、反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート220部が得られた。
【0064】
製造例3:反応性ジルコニア粒子(A−1)((A)成分)の製造
製造例2で製造した重合性不飽和基を含む有機化合物(Ab)2.23部、ジルコニア粒子分散液(Aa)(ジルコニア粒子33.3質量%のメチルエチルケトン分散液)97.37部、イオン交換水0.03部、及びp−ヒドロキシフェニルモノメチルエーテル0.02部の混合液を、60℃、4時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル0・34部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで反応性粒子(A−1)を得た。この分散液をアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、34.5%であった。また、分散液を磁性るつぼに2g秤量後、80℃のホットプレート上で30分予備乾燥し、750℃のマッフル炉中で1時間焼成した後の無機残渣より、固形分中の無機含量を求めたところ、85.8%であった。
【0065】
製造例4:反応性シリカ粒子(A−2)((A)成分)の製造
製造例2で製造した重合性不飽和基を含む有機化合物(Ab)2.32部、シリカ粒子ゾル(メチルエチルケトンシリカゾル、日産化学工業(株)製MEK−ST、数平均粒子径0.022μm、シリカ濃度30%)95.9部、イオン交換水0.12部、及びp−ヒドロキシフェニルモノメチルエーテル0.01部の混合液を、60℃、4時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.36部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで反応性粒子(A−2)を得た。この分散液をアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、31%であった。また、分散液を磁性るつぼに2g秤量後、80℃のホットプレート上で30分予備乾燥し、750℃のマッフル炉中で1時間焼成した後の無機残渣より、固形分中の無機含量を求めたところ、90%であった。
【0066】
製造例5:前記式(7)で示される多官能アクリレート((C)成分)の製造
攪拌機付きの容器内のイソホロンジイソシアネート18.8部と、ジブチル錫ジラウレート0.2部とからなる溶液に対し、新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)93部を、10℃、1時間の条件で滴下した後、60℃、6時間の条件で攪拌し、反応液とした。
この反応液中の生成物、即ち、製造例2と同様にして残存イソシアネート量をFT−IRで測定したところ、0.1質量%以下であり、反応がほぼ定量的に行われたことを確認した。また、分子内に、ウレタン結合、及びアクリロイル基(重合性不飽和基)とを含むことを確認した。
以上により、前記式(7)で示される化合物が75部と、反応に関与しなかったペンタエリスリトールテトラアクリレート37部が得られた。
【0067】
製造例6:前記式(8)で示される多官能アクリレート((C)成分)の製造
攪拌機付きの容器内の2,4−トリレンジイソシアネート16部と、ジブチル錫ジラウレート0.2部とからなる溶液に対し、新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(反応に関与するのは、水酸基を有するペンタエリスリトールトリアクリレートのみである。)93部を、10℃、1時間の条件で滴下した後、60℃、6時間の条件で攪拌し、反応液とした。
この反応液中の生成物、即ち、製造例2と同様にして残存イソシアネート量をFT−IRで測定したところ、0.1質量%以下であり、反応がほぼ定量的に行われたことを確認した。また、分子内に、ウレタン結合、及びアクリロイル基(重合性不飽和基)とを含むことを確認した。
以上により、前記式(8)で示される化合物が72部とペンタエリスリトールテトラアクリレート37部が得られた。
【0068】
製造例7:水酸基含有含フッ素重合体の合成
内容積2.0リットルの電磁攪拌機付きステンレス製オートクレーブを窒素ガスで十分置換した後、酢酸エチル1200g、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)346g、エチルビニルエーテル94g、ヒドロキシエチルビニルエーテル115g、過酸化ラウロイル4g、アゾ基含有ポリジメチルシロキサン(VPS1001(商品名)、和光純薬工業(株)製)23g及びノニオン性反応性乳化剤(NE−30(商品名)、旭電化工業(株)製)450gを仕込み、ドライアイス−メタノールで−50℃まで冷却した後、再度窒素ガスで系内の酸素を除去した。
次いでヘキサフルオロプロピレン215gを仕込み、昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が60℃に達した時点での圧力は5.3×105Paを示した。その後、70℃で20時間攪拌下に反応を継続し、圧力が1.7×105Paに低下した時点でオートクレーブを水冷し、反応を停止させた。室温に達した後、未反応モノマーを放出してオートクレーブを開放し、固形分濃度30%のポリマー溶液を得た。得られたポリマー溶液をメタノールに投入しポリマーを析出させた後、メタノールにて洗浄し、50℃にて真空乾燥を行い850gの水酸基含有含フッ素重合体を得た。
【0069】
製造例8:エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体の製造
電磁攪拌機、ガラス製冷却管及び温度計を備えた容量1リットルのセパラブルフラスコに、製造例7で得られた水酸基含有含フッ素重合体を70.0g、重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール0.01g及びMIBK520gを仕込み、20℃で水酸基含有含フッ素重合体がMIBKに溶解して、溶液が透明、均一になるまで攪拌を行った。次いで、この系に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート22gを添加し、溶液が均一になるまで攪拌した後、ジブチルチンジラウレート0.2gを添加して反応を開始し、系の温度を55〜65℃に保持し5時間攪拌を継続することにより、エチレン性不飽和基含有含フッ素重合体のMIBK溶液を得た。この溶液をアルミ皿に2g秤量後、150℃のホットプレート上で5分間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、15.0%であった。
【0070】
製造例9:低屈折率層用硬化性樹脂組成物の調製
製造例4で得られた反応性シリカ粒子(A−2)ゾル20g(反応性粒子として6.2g)、製造例8で得られたエチレン性不飽和基含有含フッ素重合体101.0g(エチレン性不飽和基含有フッ素重合体として15.2g)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート1.7g、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン(E−2)1.2g、製造例5で得られた式(7)で示される化合物0.4g、有機共重合物含有特殊シリコン(フローレンAC−901、共栄社化学株式会社)0.1g、メチルイソブチルケトン505.6gを加え、室温にて1時間攪拌し、低屈折率層形成用組成物1を得た。固形分含量を求めたところ、4質量%であった。
【0071】
製造例10:シリカ粒子含有ハードコート層用組成物の調製
製造例4で得られた反応性シリカ粒子(A−2)ゾル98.6g(反応性粒子として30.6g)、製造例5で得られた式(7)で示される化合物を含む溶液3.4g、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(E−1)2.1g、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(E−2)1.2g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート33.2g、シクロヘキサノン7gを混合攪拌し、シリカ粒子含有ハードコート層用組成物(固形分濃度50%)145gを得た。
【0072】
[硬化性組成物の調製]
実施例1
製造例3で製造した反応性ジルコニア粒子(A−1)23.3部(ジルコニア粒子(Aa)20.0部と粒子に結合した有機化合物(Ab)3.3部からなる。)、前記式(5)で示される化合物(B)10.0部、ペンタエリスリトールトリアクリレート61.7部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート0.42部、製造例5で製造した前記式(7)で示される多官能アクリレート0.62部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン5.0部、メチルエチルケトン20部(反応性ジルコニア粒子(A)の分散媒を含む)及びメチルイソブチルケトン30部を25℃で1時間撹拌することで均一な組成物を得た。このうち、ペンタエリスリトールテトラアクリレートは、有機化合物(Ab)及び製造例5で得た前記式(7)で示される多官能アクリレートに混在するペンタエリスリトールテトラアクリレートに由来する。この組成物の固形分含量を求めたところ、50%であった。
得られた溶剤を除く組成物100g中のメタクリロイル基濃度を、仕込量から算出したところ、0.015モルであった。
【0073】
実施例2〜5及び比較例1〜7
表1又は表2に示す組成に変えたこと以外は実施例1と同様の方法により、実施例2〜5及び比較例1〜7の各組成物を得た。得られた組成物中のメタクリロイル基濃度を、実質的に1と同様に算出した。
【0074】
[硬化膜の特性評価]
実施例及び比較例で得られた組成物を硬化させて得られる硬化膜の耐擦傷性、最低反射率及びヘイズを、下記のようにして測定又は評価し、表1及び表2に示す。
【0075】
1.耐擦傷性(耐スチールウール性)
(1−1)測定試料の調製
実施例1〜4及び比較例1〜6では、透明性評価の場合と同様にしてTACフィルム上に硬化膜を形成した。さらにその硬化膜上に、製造例9で得られた低屈折率層用硬化性樹脂組成物をワイヤーバーコータで膜厚0.1μmとなるように塗工し、80℃で3分間乾燥し、塗膜を形成した。次いで、窒素気流下、高圧水銀ランプを用いて、1J/cm2の光照射条件で紫外線を照射し、反射防止膜積層体を作成した。
実施例5及び比較例7では、製造例10で得られたシリカ粒子含有ハードコート層用組成物を、透明性評価の場合と同様にしてTACフィルム上に硬化させて硬化膜とし、その上に、膜厚0.1μmとなるように実施例5又は比較例7で得られた組成物の硬化膜を形成した。さらにその上に、製造例9で得られた硬化性樹脂組成物をワイヤーバーコータで膜厚0.1μmとなるように塗工し、80℃で3分間乾燥し、塗膜を形成した。次いで、窒素気流下、高圧水銀ランプを用いて、1J/cm2の光照射条件で紫外線を照射し、反射防止膜積層体を作成した。
(1−2)耐擦傷性の評価
得られた反射防止膜積層体の表面を#0000スチールウールにより、荷重400g/cm2の条件で10回こすり、反射防止膜積層体の耐擦傷性を目視にて評価した。
無傷又は傷が数本以下の場合を「○」、全面的に傷が付く場合を「×」、「○」と「×」の中間状態を「△」と判定した。「△」の場合、典型的には十数本程度の傷が付いている。
【0076】
2.反射率(%)
得られた反射防止積層体の反射率を、分光反射率測定装置(大型試料室積分球付属装置150−09090を組み込んだ自記分光光度計U−3410、日立製作所(株)製)により、波長340〜700nmの範囲で反射率を測定して評価した。具体的には、アルミの蒸着膜における反射率を基準(100%)として、各波長における反射防止積層体(反射防止膜)の反射率を測定した。波長550nmにおける反射率を表1及び表2に示す。
【0077】
3.透明性(ヘイズ)
(3−1)測定試料の調製
各実施例及び比較例で得られた組成物を、ワイヤーバーコータを装着したコータを用いて、TACフィルム(膜厚80μm)に塗工し、オーブン中、80℃、3分間の条件で乾燥し、塗膜を形成した。次いで、窒素下中、高圧水銀ランプを用いて、0.3J/cmの光照射条件で塗膜を紫外線硬化させ、膜厚6〜7μmの硬化膜を形成した。
(3−2)透明性(ヘイズ)の測定
須賀製作所(株)製 カラーヘイズメーターを用い、ASTM D1003に従いヘイズ値(%)を測定し、基材フィルム込みの値として評価した。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
表1及び表2中の(B)成分及び(C)成分の成分名の欄に記載の%値は、各成分が有するメタクリロイル基の数がメタクリロイル基及びアクリロイル基の合計数に対する割合(%)を示す。また、(A)成分の分散媒であるMEK量は、溶剤(F)の量に含まれている。
表1及び表2において用いた略号は下記のものを表す。
TMPTMA:トリメチロールプロパントリメタクリレート;NKエステルTMPT、新中村化学工業株式会社
PETriA:ペンタエリスリトールトリアクリレート
PETetraA:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
U−4H:下記式(9)で示される化合物;NKオリゴU−4H、新中村化学工業株式会社
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物;日本化薬株式会社
Irgacure184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社
Irgacure907:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社
【0081】
【化8】

【0082】
上記表1の結果から、メタクリロイル基及びアクリロイル基を有する化合物(B)を用いている実施例1〜5では、耐擦傷性が高いことがわかる。特に、メタクリロイル基濃度が0%、即ち、メタクリロイル基を全く含まない比較例3、5、6及び7では、耐擦傷性が低いことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の硬化性組成物、その硬化膜及び積層体は、例えば、プラスチック光学部品、タッチパネル、フィルム型液晶素子、プラスチック容器、建築内装材としての床材、壁材、人工大理石等の傷付き(擦傷)防止や汚染防止のための保護コーティング材;フィルム型液晶素子、タッチパネル、プラスチック光学部品等の反射防止膜;各種基材の接着剤、シーリング材;印刷インクのバインダ材等として、特に反射防止膜として好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物を主成分とし、重合性不飽和基を有する粒子、
(B)1分子中にメタクリロイル基及びアクリロイル基を有する化合物、
(E)光重合開始剤、及び
(F)溶剤
を含有する硬化性組成物。
【請求項2】
(C)2以上の重合性不飽和基を有する、前記(B)成分以外の化合物を含有する、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記(B)成分が有するメタクリロイル基及びアクリロイル基の数の合計が3以上である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記(B)成分が有するメタクリロイル基の数がメタクリロイル基及びアクリロイル基の合計数に対する割合が、15〜85%である、請求項1〜3のいずれか一に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記(A)成分における重合性不飽和基を有する粒子が、重合性不飽和基に加えて、下記式(1)に示す基を有する請求項1〜4のいずれか一に記載の硬化性組成物。
−X−C(=Y)−NH− (1)
[式(1)中、Xは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Yは、O又はSを示す。]
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一に記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化膜。

【公開番号】特開2007−77351(P2007−77351A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−269940(P2005−269940)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】