説明

硬化性組成物とその調製方法、遮光ペースト、遮光用樹脂とその形成方法、発光ダイオード用パッケージ及び半導体装置

【課題】本発明は、特定の成分及び無機部材からなる遮光ペースト、並びにLED用パッケージにおいて、上記遮光ペーストをパッケージの側壁にのみ流延させる遮光用樹脂層の形成方法である。
【解決手段】本発明の遮光用ペーストは低流動性であるため、LED用パッケージの側壁にのみに硬化物を形成できる。さらに、本発明の遮光用樹脂層の形成方法によれば、効率的にLED用パッケージ側壁にのみ遮光用樹脂層を形成可能であり、生産性が大幅に向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物、硬化性組成物の調製方法、遮光ペースト、遮光ペーストを硬化させてなる遮光用樹脂、遮光用樹脂の形成方法、遮光用樹脂で被覆された発光ダイオード用パッケージ、及び、半導体装置としての発光ダイオードに関するものである。さらに詳しくは、接着性に優れ、高い遮光性を有する硬化性組成物、好ましくはさらに低流延性であり、好適な作業性を有する硬化性組成物に関する。また、効率的にLED用パッケージ開口部側壁にのみ遮光用樹脂層を形成する方法、LED用パッケージ開口部側壁のみに遮光層が形成された発光ダイオードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオード(以下、LEDともいう)の利用分野の広がりと共に、より信頼性が高く長期間かつ、高輝度に発光可能な発光ダイオードが求められている。発光ダイオードは外部電極、LEDチップ、LEDチップからの光を効率的に取り出すため底面と側壁を備えた開口部からなるパッケージ及びモールド部材で構成される。パッケージ底面には外部電極が一体成形により形成され、光を良好に外部に取り出す目的で光反射率の高い貴金属膜が形成されている。一方、パッケージは一般に有機樹脂であるため該側壁に光が照射され続けた場合、パッケージ樹脂の劣化によるモールド部材との接着性の低下、またパッケージ樹脂の着色により反射率が低下し、LEDの輝度が低下するといった問題があった。
従って、LED用パッケージに直接光が照射されないようにする目的、及び/又はパッケージ樹脂の着色による反射率の低下を起こさせないことを目的に、パッケージ樹脂を保護する遮光ペーストが求められていた。
【0003】
従来、付加型反応硬化型(ヒドロシリル化)シリコーンにおいて、エポキシ基及びアルコキシ基がケイ素原子に結合した有機ケイ素化合物と有機アルミニウム化合物を含有した硬化性組成物が良好な密着性を示し、粘着シート、加工布等に応用する技術が提案されている(特許文献1、2)。しかしながら、この技術で得られる材料は、光学特性の観点から発光ダイオード用の遮光用樹脂としては向いていない。また、付加型反応硬化型(ヒドロシリル化)液状組成物にエポキシ樹脂及びアルミニウム化合物を添加し接着性を向上させる技術が提案されている(特許文献3)。しかしながら、発光ダイオード用の遮光用樹脂に関しては何ら開示されていなかった。
【0004】
また、縮合反応硬化型シリコーンにおいて、建造物目地部のシーリング材として使用する場合に、ほう酸エステルを添加することにより目地深さが浅い場合でも被着体との良好な接着性を発現できることが開示されている(特許文献4)。しかしながら本系は室温硬化であり、加熱硬化での効果発現や、反応形式が異なる付加反応型の系に適用した場合の効果発現に関しては何ら開示されていなかった。
【0005】
一方、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物、ヒドロシリル化触媒を含有する硬化性組成物からなる硬化物が発光ダイオード用の封止剤として適用可能なことが知られている(特許文献5)。しかしながら、発光ダイオード用の遮光用樹脂として必要な光照射後の接着性についてはなんら開示されていなかった。
【0006】
ところで、該遮光層は硬化性組成物を硬化させて形成させることが可能であるが、硬化性組成物の流延性が高いと硬化時にパッケージ底面に流延し、所望の厚みの遮光層が得られないといった問題があった。また、硬化性組成物の流延性が高いと、底面が汚染され、例えば底面に配置されたリードフレーム材への導通が取れなくなるといった問題もあった。
さらに、LED用パッケージ開口部側壁にのみ塗布可能な有効な方法が得られていないことも問題であった。なお、本発明で言う「LED用パッケージ開口部側壁のみに塗布する」という意味は、側壁近傍の底面に本発明の遮光ペーストが流れ出して硬化した場合でも、最終的に製品となる発光ダイオードの性能に悪影響を及ぼさない限り、該場合も含まれるという意味である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平08−183934号公報
【特許文献2】特開平05−140459号公報
【特許文献3】特許第3354973号
【特許文献4】特開昭59−155483号公報
【特許文献5】特開2002−314140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の第一の目的は、接着性に優れ、高い遮光性を有する硬化性組成物、さらに低流動性である硬化性組成物、該硬化性組成物の調製方法、当該硬化性組成物からなる遮光ペースト、硬化物、遮光ペーストを硬化させてなる遮光用樹脂、遮光ペースト及び/又は遮光用樹脂によってLED用パッケージの実質上側壁のみが遮光されてなる発光ダイオードを提供することである。
さらに、本発明の第二の目的は、効率的にLED用パッケージ開口部側壁にのみ遮光用樹脂層を形成する方法、該方法に好適な遮光ペースト、該方法により形成された遮光用樹脂、該遮光用樹脂で側壁が被覆されたLED用パッケージ、該方法によりLED用パッケージ開口部側壁のみに遮光層が形成されてなる発光ダイオードを提供することである。
【0009】
かかる課題を解決するために本発明者らは鋭意研究の結果、
熱可塑性樹脂及び無機部材を必須成分として含む遮光ペースト;熱硬化性樹脂及び無機部材を必須成分として含む遮光ペースト;(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機系骨格からなる有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)シランカップリング剤及び/又はエポキシ基含有化合物、(E)シラノール縮合触媒、及び(F)無機部材を必須成分として含む硬化性組成物;さらに(G)シリカを含む上記硬化性組成物;80度の角度に傾斜したガラス基材上での、100℃で1時間経過後における流延性が2cm以下である上記硬化性組成物;上記硬化性組成物よりなる遮光ペースト;又は、底面と側壁とからなる開口部を備え、かつ、開口部底面には正の外部電極と負の外部電極との各端部が所定の間隔を隔てて露出するように成形樹脂にて一体成形されてなるLED用パッケージにおいて、(1)基材に塗布させた遮光ペーストに、(2)LED用パッケージの開口部を密着させた後、(3)LED用パッケージの開口部を上にした状態で加熱することにより、遮光ペーストをパッケージの側壁にのみ流延させる遮光用樹脂層の形成方法とすることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明の第一は、
熱可塑性樹脂及び無機部材を必須成分として含むことを特徴とする遮光ペースト(請求の範囲第1項)であって、
熱硬化性樹脂及び無機部材を必須成分として含むことを特徴とする遮光ペースト(請求の範囲第2項)であって、
無機部材が酸化チタンであることを特徴とする請求の範囲第1又は2項記載の遮光ペースト(請求の範囲第3項)であって、
請求の範囲第3項記載の酸化チタンがルチル型であり、その平均粒子径が0.1〜1.0μmであることを特徴とする遮光ペースト(請求の範囲第4項)であって、
(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機系骨格からなる有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)シランカップリング剤及び/又はエポキシ基含有化合物、(E)シラノール縮合触媒、及び(F)無機部材を必須成分として含むことを特徴とする硬化性組成物(請求の範囲第5項)であって、
(F)成分が酸化チタンであることを特徴とする請求の範囲第5項記載の硬化性組成物(請求の範囲第6項)であって、
酸化チタンがルチル型であり、その平均粒子径が0.1〜1.0μmであることを特徴とする請求の範囲第6項記載の硬化性組成物(請求の範囲第7項)であって、
(D)成分が、分子中にエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基及びカルバメート基からなる群より選ばれる少なくとも1個の官能基と加水分解性のケイ素基を有するシランカップリング剤であることを特徴とする請求の範囲第5〜7項のいずれか一項に記載の硬化性組成物(請求の範囲第8項)であって、
(D)成分が、分子中にエポキシ基と加水分解性のケイ素基を有するシランカップリング剤であることを特徴とする請求の範囲第5〜8項のいずれか一項に記載の硬化性組成物(請求の範囲第9項)であって、
(E)成分が、有機アルミニウム化合物及びほう酸エステルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求の範囲第5〜9項のいずれか一項に記載の硬化性組成物(請求の範囲第10項)であって、
(E)成分が、アルミニウムキレート化合物及びアルミニウムアルコラート化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求の範囲第5〜10項のいずれか一項に記載の硬化性組成物(請求の範囲第11項)であって、
(E)成分が、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソブチレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート及びアルミニウムトリス(アセチルアセトネート)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求の範囲第5〜10項のいずれか一項に記載の硬化性組成物(請求の範囲第12項)であって、
(E)成分が、ほう酸トリノルマルオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリエチル及びほう酸トリメチルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求の範囲第5〜10項のいずれか一項に記載の硬化性組成物(請求の範囲第13項)であって、
(A)成分が、下記一般式(I)
【0011】
【化1】

【0012】
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される有機化合物を含むことを特徴とする請求の範囲第5〜13項のいずれか一項に記載の硬化性組成物(請求の範囲第14項)であって、
(A)成分がトリアリルイソシアヌレートであり、(B)成分が1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとトリアリルイソシアヌレートの反応物であることを特徴とする請求の範囲第5〜14項のいずれか一項に記載の硬化性組成物(請求の範囲第15項)であって、
(A)成分がトリアリルイソシアヌレートとモノグリシジルジアリルイソシアヌレートの混合物であり、(B)成分が1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとトリアリルイソシアヌレートの反応物であることを特徴とする請求の範囲第5〜14項のいずれか一項に記載の硬化性組成物(請求の範囲第16項)であって、
さらに(G)シリカを含有することを特徴とする請求の範囲第5〜16項のいずれか一項に記載の硬化性組成物(請求の範囲第17項)であって、
80度の角度に傾斜したガラス基材上での、100℃で1時間経過後における硬化性組成物の流延性が2cm以下であることを特徴とする請求の範囲第17項に記載の硬化性組成物(請求の範囲第18項)であって、
(A)成分〜(E)成分を混合したものに、(F)成分及び(G)成分を混合して得られる請求の範囲第17又は18項記載の硬化性組成物(請求の範囲第19項)であって、
(G)シリカの一次粒子の平均粒子径が3〜20nmであることを特徴とする請求の範囲第17〜19項のいずれか一項に記載の硬化性組成物(請求の範囲第20項)であって、
(A)〜(E)成分を混合したものに、遊星式攪拌脱泡機を用いて(F)成分及び(G)成分を混合することを特徴とする請求の範囲第17〜20項のいずれか一項に記載の硬化性組成物を調製する方法(請求の範囲第21項)であって、
(A)〜(E)成分を混合したものに、ディゾルバーを用いて(F)成分及び(G)成分を混合することを特徴とする請求の範囲第17〜20項のいずれか一項に記載の硬化性組成物を調製する方法(請求の範囲第22項)であって、
請求の範囲第5〜20項のいずれか一項に記載の硬化性組成物からなる遮光ペースト(請求の範囲第23項)であって、
請求の範囲第5〜20項のいずれか一項に記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物(請求の範囲第24項)であって、
請求の範囲第1〜4、23項のいずれか一項に記載の遮光ペーストを硬化させてなる遮光用樹脂(請求の範囲第25項)であって、
LED用パッケージ開口部の実質上側壁にのみ、請求の範囲第25項記載の遮光用樹脂を有することを特徴とするLED用パッケージ(請求の範囲第26項)であって、
LED用パッケージが樹脂製であることを特徴とする請求の範囲第26項記載のLED用パッケージ(請求の範囲第27項)であって、
LED用パッケージの成形樹脂が半結晶性ポリマー樹脂を含有する組成物であることを特徴とする請求の範囲第26項記載のLED用パッケージ(請求の範囲第28項)であって、
LED用パッケージがセラミック製であることを特徴とする請求の範囲第26項記載のLED用パッケージ(請求の範囲第29項)であって、
LED用パッケージの開口部が長方形であることを特徴とする請求の範囲第26項記載のLED用パッケージ(請求の範囲第30項)であって、
LED用パッケージの開口部が円形であることを特徴とする請求の範囲第26項記載のLED用パッケージ(請求の範囲第31項)であって、
LED用パッケージの開口部が楕円形であることを特徴とする請求の範囲第26項記載のLED用パッケージ(請求の範囲第32項)であって、
底面と側壁とからなる開口部を備え、かつ、開口部底面には正の外部電極と負の外部電極との各端部が所定の間隔を隔てて露出するように成形樹脂にて一体成形されてなるLED用パッケージと、LED用パッケージの底面に載置される発光素子とを有する半導体装置において、該LED用パッケージの実質上側壁にのみ、請求の範囲第5〜20項のいずれか一項に記載の硬化性組成物が塗布され、及び/又は請求の範囲第24項記載の硬化物が形成されてなることを特徴とする半導体装置(請求の範囲第33項)であって、
底面と側壁とからなる開口部を備え、かつ、開口部底面には正の外部電極と負の外部電極との各端部が所定の間隔を隔てて露出するように成形樹脂にて一体成形されてなるLED用パッケージと、LED用パッケージの底面に載置される発光素子とを有する半導体装置において、該LED用パッケージの実質上側壁にのみ、請求の範囲第1〜4、23項のいずれか一項に記載の遮光ペーストが塗布され、及び/又は請求の範囲第25項記載の遮光用樹脂が形成され遮光されてなることを特徴とする半導体装置(請求の範囲第34項)であって、
パッケージの成形樹脂が半結晶性ポリマー樹脂を含有する組成物であることを特徴とする請求の範囲第33又は34項記載の半導体装置(請求の範囲第35項)である。
【0013】
また、本発明の第二は、
底面と側壁とからなる開口部を備え、かつ、開口部底面には正の外部電極と負の外部電極との各端部が所定の間隔を隔てて露出するように成形樹脂にて一体成形されてなるLED用パッケージにおいて、
(1)基材に塗布させた遮光ペーストに、
(2)LED用パッケージの開口部を密着させた後、
(3)LED用パッケージの開口部を上にした状態で加熱する、
ことにより、遮光ペーストをパッケージの側壁にのみ流延させることを特徴とする遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第36項)であって、
遮光ペーストが、平板、水平板、板状ベルト、Δ状ロールからなる群より選ばれる平面状基材上にコーティングされていることを特徴とする請求の範囲第36項記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第37項)であって、
遮光ペーストが、ロール、ボールからなる群より選ばれる曲面状基材上にコーティングされていることを特徴とする請求の範囲第36項記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第38項)であって、
LED用パッケージの開口部を上にした状態で加熱する工程(3)において、加熱を段階的に実施することを特徴とする請求の範囲第36項記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第39項)であって、
LED用パッケージの開口部が長方形であり、短い方の一辺の長さが100μm以上であることを特徴とする請求の範囲第36項記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第40項)であって、
LED用パッケージの開口部が円形であることを特徴とする請求の範囲第36項記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第41項)であって、
LED用パッケージの開口部が楕円形であることを特徴とする請求の範囲第36項記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第42項)であって、
遮光ペーストの粘度が、常温(23℃)では10ポイズ以上であり、加熱時(30℃)には1ポイズ以上であることを特徴とする請求の範囲第36〜42項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第43項)であって、
遮光ペーストの23℃におけるチクソ性(粘度比)が0.8〜1.2であることを特徴とする請求の範囲第36〜42項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第44項)であって、
遮光ペーストの115℃におけるスナップアップタイムで測定される硬化時間が15秒〜90秒であることを特徴とする請求の範囲第36〜42項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第45項)であって、
遮光ペースト50mgをガラス板に8mm径の円状に塗布した後、該ガラス板を斜め80度に固定して、21℃に10分間保持した時の流下距離が、5mm〜30mmであることを特徴とする請求の範囲第36〜42項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第46項)であって、
遮光ペースト50mgをガラス板に8mm径の円状に塗布した後、該ガラス板を斜め80度に固定して、60℃に5分間保持した時の流下距離が、10mm〜70mmであることを特徴とする請求の範囲第36〜42項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第47項)であって、
遮光ペーストが、熱可塑性樹脂及び無機部材を必須成分として含むことを特徴とする請求の範囲第36〜42項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第48項)であって、
遮光ペーストが、熱硬化性樹脂及び無機部材を必須成分として含むことを特徴とする請求の範囲第36〜42項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第49項)であって、
遮光ペーストが、
(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)シランカップリング剤及び/又はエポキシ基含有化合物、(E)シラノール縮合触媒、及び(F)無機部材を必須成分として含むことを特徴とする硬化性組成物よりなる遮光ペースト、であることを特徴とする請求の範囲第36〜42項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第50項)であって、
無機部材が酸化チタンであることを特徴とする請求の範囲第48〜50項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第51項)であって、
酸化チタンがルチル型であり、その平均粒子径が0.1〜1.0μmであることを特徴とする請求の範囲第51項記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第52項)であって、
さらに(G)シリカを含有することを特徴とする請求の範囲第48〜50項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第53項)であって、
シリカが疎水性シリカであることを特徴とする請求の範囲第53項記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第54項)であって、
(D)成分が、分子中にエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基及びカルバメート基からなる群より選ばれる少なくとも1個の官能基と加水分解性のケイ素基を有するシランカップリング剤であることを特徴とする請求の範囲第50項記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第55項)であって、
(D)成分が、分子中にエポキシ基と加水分解性のケイ素基を有するシランカップリング剤であることを特徴とする請求の範囲第50項記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第56項)であって、
(E)成分が、有機アルミニウム化合物及びほう酸エステルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求の範囲第50項記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第57項)であって、
(E)成分が、アルミニウムキレート化合物及びアルミニウムアルコラート化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求の範囲第50項記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第58項)であって、
(E)成分が、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムエチルアセトアセテートジイソブチレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート及びアルミニウムトリス(アセチルアセトネート)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求の範囲第50項記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第59項)であって、
(E)成分が、ほう酸トリノルマルオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリエチル及びほう酸トリメチルからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求の範囲第50項記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第60項)であって、
(A)成分が、下記一般式(I)
【0014】
【化2】

【0015】
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される有機化合物を含むことを特徴とする請求の範囲第50項記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第61項)であって、
(A)成分がトリアリルイソシアヌレートであり、(B)成分が1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとトリアリルイソシアヌレートの反応物であることを特徴とする請求の範囲第50項記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第62項)であって、
(A)成分がトリアリルイソシアヌレートとモノグリシジルジアリルイソシアヌレートの混合物であり、(B)成分が1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとトリアリルイソシアヌレートの反応物であることを特徴とする請求の範囲第50項記載の遮光用樹脂層の形成方法(請求の範囲第63項)であって、
請求の範囲第36〜42項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法により形成された遮光用樹脂の黄色度(イェローインデックス,YI)が、初期値を100とした場合、260℃/3分間加熱後の値が100〜150であることを特徴とする遮光用樹脂(請求の範囲第64項)であって、
請求の範囲第36〜42項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法により形成された遮光用樹脂の黄色度(イェローインデックス,YI)が、初期値を100とした場合、キセノンウエザーメーターによる耐光性試験後の値が100〜150であることを特徴とする遮光用樹脂(請求の範囲第65項)であって、
請求の範囲第36〜42項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法により形成された遮光用樹脂層の厚みが、1〜1000μmであることを特徴とする遮光用樹脂(請求の範囲第66項)であって、
請求の範囲第36〜42項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法により形成された遮光用樹脂と基板との接着強度が、初期値を100とした場合、キセノンウエザーメーターによる耐光性試験後の値が70以上であることを特徴とする遮光用樹脂(請求の範囲第67項)であって、
請求の範囲第36〜63項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法によって遮光ペーストが塗布され、遮光用樹脂層が形成されたLED用パッケージ(請求の範囲第68項)であって、
LED用パッケージが樹脂製であることを特徴とする請求の範囲第68項記載のLED用パッケージ(請求の範囲第69項)であって、
LED用パッケージが半結晶性ポリマー樹脂を含有することを特徴とする請求の範囲第68項記載のLED用パッケージ(請求の範囲第70項)であって、
LED用パッケージがセラミックス製であることを特徴とする請求の範囲第68項記載のLED用パッケージ(請求の範囲第71項)であって、
底面と側壁とからなる開口部を備え、かつ、開口部底面には正の外部電極と負の外部電極との各端部が所定の間隔を隔てて露出するように成形樹脂にて一体成形されてなるLED用パッケージと、LED用パッケージの底面に載置される発光素子とを有する半導体装置において、該LED用パッケージの実質上側壁にのみ、請求の範囲第36〜63項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法により、遮光用樹脂が形成され遮光されてなることを特徴とする半導体装置(請求の範囲第72項)であって、
LED用パッケージが樹脂製であることを特徴とする請求の範囲第72項記載の半導体装置(請求の範囲第73項)であって、
LED用パッケージが半結晶性ポリマー樹脂を含有することを特徴とする請求の範囲第72項記載の半導体装置(請求の範囲第74項)であって、
LED用パッケージがセラミックス製であることを特徴とする請求の範囲第72項記載の半導体装置(請求の範囲第75項)であって、
底面と側壁とからなる開口部を備え、かつ、開口部底面には正の外部電極と負の外部電極との各端部が所定の間隔を隔てて露出するように成形樹脂にて一体成形されてなるLED用パッケージと、LED用パッケージの底面に載置される発光素子とを有する半導体装置において、発光素子の周囲のLED用パッケージの底面及び側壁に、遮光用樹脂が形成され遮光されてなることを特徴とする半導体装置(請求の範囲第76項)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
<本発明の第一>
本発明でいう遮光ペーストとは、樹脂と無機部材を必須成分とし、必要に応じて、その他の粘度調整剤、接着性付与剤、溶剤等の添加剤を含むものである。また、該遮光ペーストを被着体に塗布し、その被着体を光から保護するものである。
本発明の遮光ペーストは、熱可塑性樹脂と無機部材を必須成分として含むもの、及び、熱硬化性樹脂と無機部材を必須成分として含むものが挙げられる。
【0017】
本発明の遮光ペーストに用いられる熱可塑性樹脂としては、種々のものを用いることができる。例えば、メチルメタクリレートの単独重合体あるいはメチルメタクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリメチルメタクリレート系樹脂(例えば日立化成社製オプトレッツ等)、ブチルアクリレートの単独重合体あるいはブチルアクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリブチルアクリレート系樹脂等に代表されるアクリル系樹脂;ビスフェノールA、3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデンビスフェノール等をモノマー構造として含有するポリカーボネート樹脂等のポリカーボネート系樹脂(例えば帝人社製APEC等);ノルボルネン誘導体、ビニルモノマー等を単独あるいは共重合した樹脂、ノルボルネン誘導体を開環メタセシス重合させた樹脂、あるいはその水素添加物等のシクロオレフィン系樹脂(例えば、三井化学社製APEL、日本ゼオン社製ZEONOR、ZEONEX、JSR社製ARTON等);エチレンとマレイミドの共重合体等のオレフィン−マレイミド系樹脂(例えば東ソー社製TI−PAS等);ビスフェノールA、ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン等のビスフェノール類やジエチレングリコール等のジオール類と、テレフタル酸、イソフタル酸等のフタル酸類や脂肪族ジカルボン酸類を重縮合させたポリエステル等のポリエステル系樹脂(例えば鐘紡社製O−PET等);ポリエーテルスルホン樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリビニルアセタール樹脂;ポリエチレン樹脂;ポリプロピレン樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリアミド樹脂;シリコーン樹脂;フッ素樹脂等の他、天然ゴム、EPDM等のゴム状樹脂等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
LED用パッケージ側壁との接着性の点から、アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましい。また、耐光性の点からは、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が好ましい。
【0018】
熱可塑性樹脂としては架橋性基を有していてもよい。例えば、分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合及び/又はSiH基を有していてもよい。得られる架橋体がより強靭となりやすいという点においては、分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合及び/又はSiH基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。その他の架橋性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。得られる架橋体の耐熱性が高くなりやすいという点においては、架橋性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
【0019】
熱可塑性樹脂の分子量としては、特に限定はないが、塗布性という点においては、数平均分子量が10000以下であることが好ましく、5000以下であることがより好ましい。分子量分布についても特に限定はないが、混合物の粘度が低くなり塗布性が良好となりやすいという点においては、分子量分布が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。また、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。
熱可塑性樹脂としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
【0020】
遮光ペースト中の熱可塑性樹脂の配合量としては特に限定はないが、好ましい使用量は本発明の遮光ペースト全体量の0.1〜90重量%である。塗布性が良好である点から、好ましい使用量の範囲は、遮光ペースト全体量の10重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上、特に好ましくは80重量%以上である。配合量が少ないと塗布性が低下し、塗布不良のため遮光性が低下し易くなる傾向がある。また、遮光性が良好である点から、好ましい使用量の範囲は、遮光ペースト全体量の90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは60重量%以下、特に好ましくは50重量%以下、より特に好ましくは30重量%以下である。熱可塑性樹脂の配合量が多いと、添加する無機部材が少なくなり遮光性が低下し易くなる傾向がある。そこで、塗布性と遮光性の両立のためには、好ましい使用量の範囲は、遮光ペースト全体量の10重量%以上80重量%以下、より好ましくは10重量%以上50重量%以下、さらに好ましくは10重量%以上30重量%以下である。
【0021】
熱可塑性樹脂は下記に説明する無機部材と直接混合させてもよいし、溶媒等を用いて均一に混合してもよいし、その後溶媒を除いて均一な分散状態及び/又は混合状態としてもよい。熱可塑性樹脂を分散させて用いる場合は、その平均粒子径は種々設定できるが、好ましい平均粒子径の下限は10nmであり、好ましい平均粒子径の上限は10μmである。粒子系の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、遮光ペーストの粘度が低く塗布性が良好となりやすいという観点からは粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。
【0022】
本発明の遮光ペーストに用いられる熱硬化性樹脂としては、種々のものを用いることができる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ビスマレイミド樹脂等が例示されるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、接着性等の実用特性に優れるという観点から、エポキシ樹脂が好ましい。
【0023】
エポキシ樹脂としては、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等のエポキシ樹脂を、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物等の脂肪族酸無水物で硬化させたものが挙げられる。これらのエポキシ樹脂あるいは硬化剤は、それぞれ単独で用いても、複数のものを組み合わせてもよい。
熱硬化性樹脂としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
【0024】
遮光ペースト中の熱硬化性樹脂の配合量としては特に限定はないが、好ましい使用量は本発明の遮光ペースト全体量の0.1〜90重量%である。塗布性が良好である点から、好ましい使用量の範囲は、遮光ペースト全体量の10重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上、特に好ましくは80重量%以上である。配合量が少ないと塗布性が低下し、塗布不良のため遮光性が低下し易くなる傾向がある。また、遮光性が良好である点から、好ましい使用量の範囲は、遮光ペースト全体量の90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは60重量%以下、特に好ましくは50重量%以下、より特に好ましくは30重量%以下である。熱硬化性樹脂の配合量が多いと、添加する無機部材が少なくなり遮光性が低下し易くなる傾向がある。そこで、塗布性と遮光性の両立のためには、好ましい使用量の範囲は、遮光ペースト全体量の10重量%以上80重量%以下、より好ましくは10重量%以上50重量%以下、さらに好ましくは10重量%以上30重量%以下である。
【0025】
熱硬化性樹脂は、下記に説明する無機部材と直接混合させてもよいし、溶媒等を用いて均一に混合してもよいし、その後溶媒を除いて均一な分散状態及び/又は混合状態としてもよい。熱硬化性樹脂を分散させて用いる場合は、その平均粒子径は種々設定できるが、好ましい平均粒子径の下限は10nmであり、好ましい平均粒子径の上限は10μmである。粒子系の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、遮光ペーストの粘度が低く成形性が良好となりやすいという観点からは、粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。
遮光ペーストに用いられる熱硬化性樹脂において、耐光性・耐熱性の点から請求の範囲第5項に説明される熱硬化性樹脂が好ましい。
【0026】
本発明において用いられる無機部材は、樹脂中に分散し外部からの光を反射させることが望まれる。このような無機部材としては、例えば、アルミナ、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、一酸化錫、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム等の酸化物;窒化硼素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物;SiC等の金属炭化物;炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;ほう酸アルミニウム、チタン酸バリウム、珪酸カルシウム、クレー、石膏、硫酸バリウム、マイカ、ケイソウ土、白土、無機バルーン、蛍光物質等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0027】
無機部材は、適宜表面処理してもよい。表面処理としては、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、カップリング剤による処理等が挙げられる。
この場合のカップリング剤の例としては、シランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。
【0028】
有機基と反応性のある官能基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては、取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
【0029】
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
【0030】
遮光ペースト中の無機部材の配合量としては特に限定はないが、好ましい使用量は、本発明の遮光ペースト全体量の0.1〜90重量%である。塗布性が良好であるという点から、好ましい使用量は、遮光ペースト全体量の80重量%以下、より好ましくは70重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下、特に好ましくは40重量%以下、より特に好ましくは30重量%以下である。配合量が多いと塗布性が低下し、塗布不良のため遮光性が低下し易くなる傾向がある。また、遮光性が良好である点から、好ましい使用量は、遮光ペースト全体量の5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上、特に好ましくは40重量%以上、より特に好ましくは50重量%以上である。そこで、塗布性と遮光性の両立のためには、好ましい使用量は、遮光ペースト全体量の10重量%以上80重量%以下、より好ましくは20重量%以上70重量%以下、さらに好ましくは30重量%以上60重量%以下である。
無機部材の形状は、分散性や遮光性を考慮して、球状、針状、フレーク状等、種々の形状をとることができる。
【0031】
また、無機部材の平均粒子径は、1nm〜100μmの種々のものを好適に用いることができるが、樹脂への分散性の点から1.0μm以下が好ましく、0.8μm以下がより好ましく、0.4μm以下がさらに好ましい。また、隠ぺい力の点からは、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましい。そこで、分散性と隠ぺい力の両立の点からは、平均粒子径は、0.1μm以上1.0μm以下が好ましい。なお、当該平均粒子径は、電子顕微鏡写真をもとに実測することができる。
【0032】
特に酸化チタンは、高い白色度、隠ぺい力、優れた耐久性の観点から遮光ペーストの無機部材として好適に用いることが出来る。遮光用樹脂の耐久性の観点からその結晶形はルチル型が好ましい。また、平均粒子径は、樹脂への分散性の点から1.0μm以下が好ましく、0.8μm以下がより好ましく、0.4μm以下がさらに好ましい。また、隠ぺい力の点からは、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましい。そこで、分散性と隠ぺい力の両立の点からは、平均粒子径は、0.1μm以上1.0μm以下が好ましい。なお、酸化チタンの平均粒子径は、電子顕微鏡写真をもとに画像解析装置(ルーゼックスIIIU)にて測定する。酸化チタンは硫酸法及び塩素法どちらで製造されたものも好適に用いることが出来る。また、樹脂との親和性をよくするためにAlやSi等の含水酸化物でその表面を処理したものも好適に用いることが出来る。例えば、石原産業株式会社製 タイペークR−820,R−680,CR−50−2,CR−97,CR−60,CR−60−2等が好適に用いることが出来る。
【0033】
遮光ペースト中の酸化チタンの配合量としては特に限定はないが、好ましい使用量は、本発明の遮光ペースト全体量の0.1〜90重量%である。塗布性が良好であるという点から、好ましい使用量は、遮光ペースト全体量の80重量%以下、より好ましくは70重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下、特に好ましくは40重量%以下、より特に好ましくは30重量%以下である。配合量が多いと塗布性が低下し、塗布不良のため遮光性が低下し易くなる傾向がある。また、遮光性が良好である点から、好ましい使用量は、遮光ペースト全体量の5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上、特に好ましくは40重量%以上、より特に好ましくは50重量%以上である。そこで、塗布性と遮光性の両立のためには、好ましい使用量は、遮光ペースト全体量の10重量%以上80重量%以下、より好ましくは20重量%以上70重量%以下、さらに好ましくは30重量%以上60重量%以下である。
また、無機部材としてアルミナ、シリカ、窒化硼素、窒化アルミニウム等を用いた場合は、耐侯性に強く高反射率を維持させることができる。
【0034】
無機部材としての蛍光物質は、遮蔽効果に加えてLEDチップからの青色光を白色光に変換することが可能であり、さらに発光ダイオードの特性を向上させることが可能である。また、蛍光物質に加えて該遮光ペースト中に拡散剤を含有させることによって、より指向性を増すこともできる。具体的な拡散剤としては、無機系であるチタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素等や有機系であるグアナミン樹脂等が好適に用いられる。蛍光物質は、窒化物系化合物半導体から放出された可視光や紫外光を他の発光波長に変換するためのものである。したがって、LEDチップに用いられる発光層から発光される発光波長や発光ダイオードから放出される所望の発光波長に応じて種々のものが用いられる。特に、LEDチップが発光した光と、LEDチップからの光によって励起され発光する蛍光物質からの光が補色関係にあるとき白色系光を発光させることもできる。
【0035】
このような蛍光物質として、セリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光物質、ペリレン系誘導体や、銅、アルミニウムで付活された硫化亜鉛カドミウムや、マンガンで付活された酸化マグネシウム・チタン等種々のものが挙げられる。これらの蛍光物質は、1種類で用いてもよいし、2種類以上混合して用いてもよい。特に、セリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光物質(ReRe’12:Ce、但し、Reは、Y、Gd、Lu、Sc、Laから選択される少なくとも一種、Re’は、Al、In、B、Tlから選択される少なくとも一種である。)は、ガーネット構造であるため、熱、光及び水に強く、励起スペクトルのピークを450nm付近にさせることができる。また、発光ピークも530nm付近等にあり、700nmまで裾を引くブロードな発光スペクトルを持たせることができる。しかも、組成のAlの一部をGaで置換することで発光波長が短波長側にシフトし、また組成のYの一部をGdで置換することで、発光波長が長波長側へシフトさせることができる。このように組成を変化させることで連続的に種々の発光波長とすることができるため蛍光物質として特に好ましい。なお、所望に応じて発光波長を長波長や短波長側に調節させるため、イットリウムの一部をLu、Sc、Laに置換させることもできるし、アルミニウムの一部をIn、B、Tlに置換させることもできる。さらに、セリウムに加えて、TbやCrを微量含有させて吸収波長を調整させることもできる。
【0036】
変換性が良好である点から、蛍光物質の好ましい使用量は、遮光ペースト全体量の5重量%以上であり、より好ましくは10重量%以上であり、さらに好ましくは30重量%以上であり、特に好ましくは40重量%以上であり、より特に好ましくは50重量%以上である。使用量の上限は、遮光ペースト全体量の好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。
【0037】
次に、本発明の硬化性組成物について説明する。
当該硬化性組成物は、(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)シランカップリング剤及び/又はエポキシ基含有化合物、(E)シラノール縮合触媒、及び(F)無機部材を必須成分として含むものである。
【0038】
まず、(A)成分について説明する。
(A)成分は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物であれば特に限定されない。有機化合物としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、ハロゲンのみを含むものであることが好ましい。シロキサン単位を含むものの場合は、ガス透過性やはじきの問題がある。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
【0039】
(A)成分の有機化合物は、有機重合体系の化合物と有機単量体系化合物に分類できる。
有機重合体系化合物としては、例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物等を用いることができる。
有機単量体系化合物としては、例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系;直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系;複素環系の化合物、及びこれらの混合物等が挙げられる。
(A)成分におけるSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、特に限定されないが、下記一般式(II)
【0040】
【化3】

【0041】
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される基が反応性の点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
【0042】
【化4】

【0043】
で示される基が特に好ましい。
(A)成分におけるSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、下記一般式(III)
【0044】
【化5】

【0045】
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表し、2つのRは同一でも異なっていてもよい。)で表される部分構造を環内に有する脂環式の基が、硬化物の耐熱性が高いという点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、下記式
【0046】
【化6】

【0047】
で表される部分構造を環内に有する脂環式の基が好適である。
【0048】
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合は(A)成分の骨格部分に直接結合していてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していても良い。
2価以上の置換基としては、炭素数0〜10の置換基であれば特に限定されないが、構成元素としてC、H、N、O、S、及びハロゲンのみを含むものが好ましい。これらの置換基の例としては、
【0049】
【化7】

【0050】
等が挙げられる。また、これらの2価以上の置換基の2つ以上が共有結合によりつながって1つの2価以上の置換基を構成していてもよい。
【0051】
以上のような骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2,2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2,2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、
【0052】
【化8】

【0053】
等が挙げられる。
【0054】
(A)成分の具体的な例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、及びそれらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1、2比率10〜100%のもの、好ましくは1、2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、
【0055】
【化9】

【0056】
【化10】

の他、従来公知のエポキシ樹脂のグリシジル基の一部あるいは全部をアリル基に置き換えたもの等が挙げられる。
【0057】
(A)成分としては、上記のように骨格部分とアルケニル基とに分けて表現しがたい、低分子量化合物も用いることができる。これらの低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられる。
【0058】
(A)成分としては、耐熱性をより向上し得るという観点からは、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を(A)成分1gあたり0.001mol以上含有するものが好ましく、(A)成分1gあたり0.005mol以上含有するものがより好ましく、(A)成分1gあたり0.008mol以上含有するものがさらに好ましい。
【0059】
(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数は、平均して1分子当たり少なくとも2個あればよいが、力学強度をより向上したい場合には2個を越えることが好ましく、3個以上であることがより好ましい。(A)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数が1分子内当たり1個以下の場合は、(B)成分と反応してもグラフト構造となるのみで架橋構造とならない。
【0060】
(A)成分としては反応性が良好であるという観点からは、1分子中にビニル基を1個以上含有していることが好ましく、1分子中にビニル基を2個以上含有していることがより好ましい。また貯蔵安定性が良好となりやすいという観点からは、1分子中にビニル基を6個以下含有していることが好ましく、1分子中にビニル基を4個以下含有していることがより好ましい。
【0061】
(A)成分としては、力学的耐熱性が高いという観点及び原料液の糸引き性が少なく成形性、取扱い性、塗布性が良好であるという観点からは、分子量が900未満のものが好ましく、700未満のものがより好ましく、500未満のものがさらに好ましい。揮発性が少なく取扱い性が良好であるという観点からは、好ましくは100以上、より好ましくは150以上である。分子量は、例えばガスクロマトグラフ質量分析計や液体クロマトグラフ質量分析計により測定することができる。
【0062】
(A)成分としては、他の成分との均一な混合、及び良好な作業性を得るためには、粘度としては23℃において1000ポイズ未満のものが好ましく、300ポイズ未満のものがより好ましく、30ポイズ未満のものがさらに好ましい。下限としては、好ましくは0.05ポイズ以上、より好ましくは0.1ポイズ以上である。粘度はE型粘度計によって測定することができる。
【0063】
(A)成分としては、着色特に黄変の抑制の観点からはフェノール性水酸基及び/又はフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物の含有量が少ないものが好ましく、フェノール性水酸基及び/又はフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物を含まないものが好ましい。本発明におけるフェノール性水酸基とはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等に例示される芳香族炭化水素核に直接結合した水酸基を示し、フェノール性水酸基の誘導体とは上述のフェノール性水酸基の水素原子を、メチル基、エチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、アセトキシル基等のアシル基等により置換された基を示す。
【0064】
得られる遮光用樹脂の着色が少なく、耐光性が高いという観点からは、(A)成分としてはビニルシクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが好ましく、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが特に好ましい。
得られる硬化性組成物の粘度を低減させる目的では、ビニルシクロヘキセン、ジビニルベンゼン、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、トリアリルイソシアヌレートが特に好ましい。
【0065】
(A)成分としてはその他の反応性基を有していてもよい。この場合の反応性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。これらの官能基を有している場合には得られる硬化性組成物の接着性が高くなりやすく、得られる硬化物の強度が高くなりやすい。接着性がより高くなりうるという点からは、これらの官能基のうちエポキシ基が好ましい。また、得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、反応性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
【0066】
(A)成分としては耐熱性・耐光性が高いという観点から、下記一般式(I)
【0067】
【化11】

【0068】
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される有機化合物を含むことが好ましい。
【0069】
上記一般式(I)のRとしては、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、炭素数1〜20の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜10の一価の有機基であることがより好ましく、炭素数1〜4の一価の有機基であることがさらに好ましい。Rの例としては、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
【0070】
【化12】

【0071】
等が挙げられる。
【0072】
上記一般式(I)のRとしては、得られる硬化物の各種材料との接着性が良好になりうるという観点からは、3つのRのうち少なくとも1つがエポキシ基を一つ以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、
【0073】
【化13】

【0074】
で表されるエポキシ基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、グリシジル基、
【0075】
【化14】

【0076】
等が挙げられる。
【0077】
上記一般式(I)のRとしては、得られる硬化物の化学的な熱安定性が良好になりうるという観点からは、これらのうち少なくとも1つが、2個以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、N、Oのみを含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜50の一価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
【0078】
【化15】

【0079】
等が挙げられる。
【0080】
上記一般式(I)のRとしては、反応性が良好になるという観点からは、3つのRのうち少なくとも1つが
【0081】
【化16】

【0082】
で表される基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、下記一般式(IV)
【0083】
【化17】

【0084】
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で表される基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好ましく、
3つのRのうち少なくとも2つが下記一般式(V)
【0085】
【化18】

【0086】
(式中Rは直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基を表し、Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で表される有機化合物(複数のR及びRはそれぞれ異なっていても同一であってもよい。)であることがさらに好ましい。
【0087】
上記一般式(V)のRは、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基であるが、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、直接結合あるいは炭素数1〜20の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜10の二価の有機基であることがより好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜4の二価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいRの例としては、
【0088】
【化19】

【0089】
等が挙げられる。
【0090】
上記一般式(V)のRとしては、得られる硬化物の化学的な熱安定性が良好になりうるという観点からは、直接結合あるいは2つ以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、Oのみを含む炭素数1〜48の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、
【0091】
【化20】

【0092】
等が挙げられる。
【0093】
上記一般式(V)のRは、水素原子あるいはメチル基であるが、反応性が良好であるという観点からは、水素原子が好ましい。
ただし、上記のような一般式(I)で表される有機化合物の好ましい例においても、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有することは必要である。耐熱性をより向上し得るという観点からは、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に3個以上含有する有機化合物であることがより好ましい。
【0094】
以上のような一般式(I)で表される有機化合物の好ましい具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、
【0095】
【化21】

【0096】
等が挙げられる。
【0097】
得られる硬化性組成物の粘度を低減する目的ではトリアリルイソシアヌレートが好ましい。
遮光用樹脂の接着性向上のためには、(A)成分としてはジアリルモノグリシジルイソシアヌレートが好ましい。
遮光用樹脂の接着性向上と耐光性を両立させるためには、(A)成分としてはトリアリルイソシアヌレートとジアリルモノグリシジルイソシアヌレートの混合物が好ましい。該混合物はイソシアヌル環骨格を有するため耐熱性の点からも有効である。混合比は任意に設定出来るが、上記目的達成のためにはトリアリルイソシアヌレート/ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート(モル比)=9/1〜1/9が好ましく、8/2〜2/8がさらに好ましく、7/3〜3/7が特に好ましい。
(A)成分は、単独又は2種以上のものを混合して用いることが可能である。
【0098】
次に、(B)成分について説明する。
本発明の(B)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物である。
(B)成分については1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する化合物であれば特に制限がなく、例えば国際公開WO96/15194に記載される化合物で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。
これらのうち、入手性の面からは、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状オルガノポリシロキサンが好ましい。具体的には、例えば
【0099】
【化22】

【0100】
【化23】

【0101】
等が挙げられる。
(A)成分との相溶性が良いという観点からは、下記一般式(VI)
【0102】
【化24】

【0103】
(式中、Rは炭素数1〜6の有機基を表し、nは2〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する環状オルガノポリシロキサンがより好ましい。
一般式(VI)で表される化合物中の置換基Rは、C、H、Oから構成される炭素数1〜6の有機基であることが好ましく、炭素数1〜6の炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
【0104】
一般式(VI)で表される化合物としては、入手容易性の観点からは、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
【0105】
(B)成分の分子量は特に制約はなく任意のものが好適に使用できるが、硬化性組成物の流動性をより発現しやすいという観点からは低分子量のものが好ましく用いられる。この場合、分子量の下限は好ましくは50であり、分子量の上限は好ましくは100,000、より好ましくは1,000、さらに好ましくは700である。
(B)成分は単独又は2種以上のものを混合して用いることが可能である。
【0106】
また、(A)成分と良好な相溶性を有するという観点、及び(B)成分の揮発性が低くなり得られる組成物からのアウトガスの問題が生じ難いという観点からは、(B)成分は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個以上含有する有機化合物(α)と、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサン(β)を、ヒドロシリル化反応して得ることができる化合物であることが好ましい。
【0107】
((α)成分)
ここで(α)成分としては、上記した(A)成分である、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物と同じもの(α1)も用いることができる。(α1)成分を用いると得られる硬化物の架橋密度が高くなり力学強度が高い硬化物となりやすい。
その他、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物(α2)も用いることができる。(α2)成分を用いると得られる硬化物が低弾性となりやすい。
【0108】
((α2)成分)
(α2)成分としては、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に1個含有する有機化合物であれば特に限定されないが、(B)成分が(A)成分と相溶性がよくなるという点においては、化合物としてはポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位(Si−O−Si)を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、及びハロゲンのみを含むものであることが好ましい。
【0109】
(α2)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
(α2)成分の化合物は、重合体系の化合物と単量体系化合物に分類できる。
重合体系化合物としては例えば、ポリシロキサン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物等を用いることができる。
【0110】
また単量体系化合物としては、例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系;直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系;複素環系の化合物、シリコン系の化合物及びこれらの混合物等が挙げられる。
(α2)成分におけるSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては特に限定されないが、下記一般式(II)
【0111】
【化25】

【0112】
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される基が反応性の点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
【0113】
【化26】

【0114】
で示される基が特に好ましい。
(α2)成分におけるSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、下記一般式(III)
【0115】
【化27】

【0116】
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表し、2つのRは同一でも異なっていてもよい。)で表される部分構造を環内に有する脂環式の基が、硬化物の耐熱性が高いという点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、下記式
【0117】
【化28】

【0118】
で表される部分構造を環内に有する脂環式の基が好適である。
【0119】
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合は(α2)成分の骨格部分に直接結合していてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していても良い。
2価以上の置換基としては炭素数0〜10の置換基であれば特に限定されないが、(B)成分が(A)成分と相溶性がよくなりやすいという点においては、構成元素としてC、H、N、O、S、及びハロゲンのみを含むものが好ましい。これらの置換基の例としては、
【0120】
【化29】

【0121】
等が挙げられる。また、これらの2価以上の置換基の2つ以上が共有結合によりつながって1つの2価以上の置換基を構成していてもよい。
【0122】
以上のような骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2,2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2,2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、
【0123】
【化30】

【0124】
等が挙げられる。
【0125】
(α2)成分の具体的な例としては、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−ウンデセン、出光石油化学社製リニアレン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2,3,3−トリメチル−1−ブテン、2,4,4−トリメチル−1−ペンテン等のような鎖状脂肪族炭化水素系化合物類;シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、メチレンシクロヘキサン、ノルボルニレン、エチリデンシクロヘキサン、ビニルシクロヘキサン、カンフェン、カレン、αピネン、βピネン等のような環状脂肪族炭化水素系化合物類;スチレン、αメチルスチレン、インデン、アリルベンゼン、4−フェニル−1−ブテン等のような芳香族炭化水素系化合物類;アルキルアリルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類;グリセリンモノアリルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン等の脂肪族系化合物類;1,2−ジメトキシ−4−アリルベンゼン、o−アリルフェノール等の芳香族系化合物類;モノアリルジベンジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等の置換イソシアヌレート類;ビニルトリメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェニルシラン等のシリコン化合物等が挙げられる。さらに、片末端アリル化ポリエチレンオキサイド、片末端アリル化ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル系樹脂;片末端アリル化ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂;片末端アリル化ポリブチルアクリレート、片末端アリル化ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、等の片末端にビニル基を有するポリマーあるいはオリゴマー類等も挙げることができる。
【0126】
構造は線状でも枝分かれ状でもよく、分子量は特に制約はなく種々のものを用いることができる。分子量分布も特に制限ないが、混合物の粘度が低くなり成形性が良好となりやすいという点においては、分子量分布が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
【0127】
(α2)成分のガラス転移温度が存在する場合はこれについても特に限定はなく種々のものが用いられるが、得られる硬化物が強靭となりやすいという点においては、ガラス転移温度は100℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、0℃以下であることがさらに好ましい。好ましい樹脂の例としてはポリブチルアクリレート樹脂等が挙げられる。逆に得られる硬化物の耐熱性が高くなるという点においては、ガラス転移温度は100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることがさらに好ましく、170℃以上であることが最も好ましい。ガラス転移温度は動的粘弾性測定においてtanδが極大を示す温度として求めることができる。
【0128】
(α2)成分としては、得られる硬化物の耐熱性が高くなるという点においては、炭化水素化合物であることが好ましい。この場合、好ましい炭素数の下限は7であり、好ましい炭素数の上限は10である。
【0129】
(α2)成分としてはその他の反応性基を有していてもよい。この場合の反応性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。これらの官能基を有している場合には得られる硬化性組成物の接着性が高くなりやすく、得られる硬化物の強度が高くなりやすい。接着性がより高くなりうるという点からは、これらの官能基のうちエポキシ基が好ましい。また、得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、反応性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。具体的にはモノアリルジグリシジルイソシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、アリロキシエチルメタクリレート、アリロキシエチルアクリレート、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上記のような(α2)成分としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
【0130】
((β)成分)
(β)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサンである。
具体的には、例えば
【0131】
【化31】

【0132】
【化32】

【0133】
等が挙げられる。
【0134】
ここで、(α)成分との相溶性が良くなりやすいという観点から、下記一般式(VI)
【0135】
【化33】

【0136】
(式中、Rは炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサンが好ましい。
一般式(VI)で表される化合物中の置換基Rは、C、H、Oから構成される炭素数1〜6の有機基であることが好ましく、炭素数1〜6の炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
入手容易性等から、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
上記したような各種(β)成分は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
【0137】
((α)成分と(β)成分の反応)
次に、本発明の(B)成分として、(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応して得ることができる化合物を用いる場合の、(α)成分と(β)成分とのヒドロシリル化反応に関して説明する。
なお、(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応すると、本発明の(B)成分を含む複数の化合物の混合物が得られることがあるが、そこから(B)成分を分離することなく混合物のままで用いて本発明の硬化性組成物を作成することもできる。
【0138】
(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応させる場合の(α)成分と(β)成分の混合比率は、特に限定されないが、得られる(B)成分と(A)成分とのヒドロシリル化による硬化物の強度を考えた場合、(B)成分のSiH基が多い方が好ましいため、一般に、混合する(α)成分中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の総数(X)と、混合する(β)成分中のSiH基の総数(Y)との比が、Y/X≧2であることが好ましく、Y/X≧3であることがより好ましい。また(B)成分の(A)成分との相溶性がよくなりやすいという点からは、10≧Y/Xであることが好ましく、5≧Y/Xであることがより好ましい。
【0139】
(α)成分と(β)成分をヒドロシリル化反応させる場合には適当な触媒を用いてもよい。触媒としては、例えば次のようなヒドロシリル化触媒を用いることができる。白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO))、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh、Pt(PBu)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び第3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒等が挙げられる。さらに、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl等が挙げられる。
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0140】
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるために、好ましい添加量の下限は、(β)成分のSiH基1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−6モルであり、好ましい添加量の上限は(β)成分のSiH基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。
【0141】
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能である。助触媒としては、例えば、トリフェニルホスフィン等のリン系化合物;ジメチルマレエート等の1,2−ジエステル系化合物;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物;単体の硫黄等の硫黄系化合物;トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。
助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対して、好ましい添加量の下限は、10−2モル、より好ましくは10−1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。
【0142】
反応させる場合の(α)成分、(β)成分、触媒の混合の方法としては、各種方法をとることができるが、(α)成分に触媒を混合したものを、(β)成分にを混合する方法が好ましい。(α)成分、(β)成分の混合物に触媒を混合する方法だと反応の制御が困難である。(β)成分と触媒を混合したものに(α)成分を混合する方法をとる場合は、触媒の存在下(β)成分が混入している水分と反応性を有するため、変質することがある。
【0143】
反応温度としては種々設定できるが、この場合、好ましい反応温度の下限は30℃、より好ましくは50℃であり、好ましい反応温度の上限は200℃、より好ましくは150℃である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと実用的でない。反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。
反応時間、反応時の圧力も必要に応じ種々設定できる。
【0144】
ヒドロシリル化反応の際に溶媒を使用してもよい。使用できる溶媒は、ヒドロシリル化反応を阻害しない限り特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、12−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。当該溶媒は、単独で用いてもよいし、2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量も適宜設定できる。
その他、反応性を制御する目的等のために種々の添加剤を用いてもよい。
【0145】
(α)成分と(β)成分を反応させた後に、溶媒及び/又は未反応の(α)成分及び/又は(β)成分を除去することもできる。これらの揮発分を除去することにより、得られる(B)成分が揮発分を有さないため、(A)成分との硬化の場合に揮発分の揮発によるボイド、クラックの問題が生じにくい。除去する方法としては例えば、減圧脱揮の他、活性炭、ケイ酸アルミニウム、シリカゲル等による処理等が挙げられる。減圧脱揮する場合には低温で処理することが好ましい。この場合の好ましい温度の上限は100℃であり、より好ましくは60℃である。高温で処理すると増粘等の変質を伴いやすい。
【0146】
以上のような、(α)成分と(β)成分の反応物である(B)成分の例としては、ジビニルベンゼンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ビスフェノールAジアリルエーテルと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ビニルシクロヘキセンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジシクロペンタジエンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、トリアリルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、アリルグリシジルエーテルと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、αメチルスチレンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、モノアリルジグリシジルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物等を挙げることができる。
【0147】
硬化性組成物が低粘度になる点から、ジビニルベンゼンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、αメチルスチレンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物が好ましい。
硬化性組成物を硬化させてなる樹脂の耐熱性・耐光性の点からジビニルベンゼンと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、及びトリアリルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物が好ましい。また、耐熱性・耐光性・接着性の点からジアリルモノグリシジルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物、モノアリルジグリシジルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物が好ましい。
【0148】
次に本発明の(C)成分であるヒドロシリル化触媒について説明する。
ヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化反応の触媒活性があれば特に限定されないが、例えば、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO))、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh、Pt(PBu)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号及び第3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒等が挙げられる。さらに、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl等が挙げられる。
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0149】
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるために、好ましい添加量の下限は、(B)成分のSiH基1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−6モルであり、好ましい添加量の上限は(B)成分のSiH基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。
なお、当該ヒドロシリル化触媒は、(B)成分合成時に使用して残存している量で十分な硬化性を示す場合には必ずしも添加する必要はないが、硬化性を調整するために上記の範囲で新たに添加することもできる。
【0150】
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能である。助触媒としては、例えば、トリフェニルホスフィン等のリン系化合物;ジメチルマレエート等の1,2−ジエステル系化合物;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物;単体の硫黄等の硫黄系化合物;トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。
助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対して、好ましい添加量の下限は、10−2モル、より好ましくは10−1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。
【0151】
本発明の組成物の保存安定性を改良する目的、あるいは製造過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整する目的で、硬化遅延剤を使用することができる。硬化遅延剤としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、これらを併用してもかまわない。
【0152】
脂肪族不飽和結合を含有する化合物として、プロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、マレイン酸エステル類等が例示される。有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフィン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示される。有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示される。窒素含有化合物としては、アンモニア、1〜3級アルキルアミン類、アリールアミン類、尿素、ヒドラジン等が例示される。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示される。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示される。
これらの硬化遅延剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが好ましい。
【0153】
硬化遅延剤の添加量は種々設定できるが、使用するヒドロシリル化触媒1molに対する好ましい添加量の下限は10−1モル、より好ましくは1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは50モルである。
また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0154】
次に、(D)成分であるシランカップリング剤及び/又はエポキシ基含有化合物について説明する。本発明の(D)成分は、本発明の(E)成分との組み合わせにより、硬化性組成物にパッケージ樹脂との接着性を与える成分として必須である。
シランカップリング剤としては、分子中に、有機基と反応性のある官能基と、加水分解性のケイ素基を、各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。
【0155】
有機基と反応性のある官能基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましい。硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基がより好ましく、エポキシ基が特に好ましい。
加水分解性のケイ素基としては、取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
【0156】
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
【0157】
シランカップリング剤の添加量としては種々設定できるが、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対して、好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは0.5重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは25重量部である。添加量が0.1重量部より少ないと接着性改良効果が十分でなくなる傾向があり、添加量が50重量部より多いと硬化物物性が低下し易くなる傾向がある。
【0158】
エポキシ基含有化合物としては種々のエポキシ樹脂が例示される。エポキシ樹脂としては、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等のエポキシ樹脂を、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物等の脂肪族酸無水物で硬化させて得られたものが挙げられる。これらのエポキシ樹脂あるいは硬化剤はそれぞれ単独で用いても、複数のものを組み合わせてもよい。
【0159】
エポキシ基含有化合物の添加量としては種々設定できるが、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対して、好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは0.5重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは25重量部である。添加量が0.1重量部より少ないと接着性改良効果が十分でなくなる傾向があり、添加量が50重量部より多いと硬化物物性が低下し易くなる傾向がある。
上記シランカップリング剤、エポキシ基含有化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0160】
次に、(E)成分であるシラノール縮合触媒について説明する。本発明の(E)成分は、本発明の(D)成分との組み合わせにより硬化性組成物に接着性を与える成分として必須である。
シラノール縮合触媒としては特に限定されないが、有機アルミニウム化合物、ほう酸エステル、チタン系化合物等が好ましく挙げられる。より好ましくは、有機アルミニウム化合物、ほう酸エステルである。また、硬化時及び高温下での着色性が低い点からは、ほう酸エステルが好ましい。
【0161】
シラノール縮合触媒を用いる場合の使用量は種々設定できるが、[(A)成分+(B)成分]100重量部に対して、好ましい添加量の下限は0.05重量部、より好ましくは0.1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは30重量部である。添加量が0.05重量部より少ないと接着性改良効果が十分でなくなる傾向があり、添加量が50重量部より多いと硬化物物性に悪影響を及ぼし易くなる場合がある。
【0162】
本発明においてシラノール縮合触媒として用いられる有機アルミニウム化合物は、接着性の向上及び/又は安定化が可能である。
本発明に用いられる有機アルミニウム化合物としては、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリノルマルプロポキシアルミニウム等のアルミニウムアルコラート化合物;ナフテン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、オクチル酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム等のアルミニウム有機酸塩;アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムエチルアセトアセトアセテートジイソブチレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)等のアルミニウムキレート化合物等が挙げられる。反応性、基材との接着性・密着性の観点から、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムアルコラート化合物が好ましく、アルミニウムキレート化合物がより好ましい。さらにヒドロシリル化硬化反応との相性から、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)が好ましい。当該有機アルミニウム化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0163】
本発明においてシラノール縮合触媒として用いられるほう酸エステルは、接着性の向上及び/又は安定化が可能である。
本発明に用いられるほう酸エステルとしては、下記一般式(VII)、(VIII)で示されるものを好適に用いることが出来る。
【0164】
【化34】

【0165】
(式中Rは炭素数1〜48の有機基を表す。)
【0166】
ほう酸エステルの具体例としては、ほう酸トリ−2−エチルヘキシル、ほう酸トリノルマルオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sec−ブチル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリメチル、ほう素メトキシエトキサイド等を好適に挙げることができる。ほう酸エステルとしては、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を混合して用いても良い。2種類以上を混合する場合、混合は事前に行っても良く、また硬化物作成時に混合しても良い。
ほう酸トリノルマルオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリエチル及びほう酸トリメチルがより好ましい。
【0167】
入手性の点から、ほう酸トリメチル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリノルマルブチルがより好ましく、ほう酸トリメチルがさらに好ましい。
硬化時の揮発性を抑制出来る点から、ほう酸トリノルマルオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sec−ブチル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう素メトキシエトキサイドがより好ましく、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリフェニル、ほう酸トリノルマルブチルがさらに好ましい。
揮発性の抑制、作業性の点から、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピルがより好ましく、ほう酸トリノルマルブチルがさらに好ましい。
高温下での着色性が低い点から、ほう酸トリメチル、ほう酸トリエチルがより好ましく、ほう酸トリメチルがさらに好ましい。
【0168】
本発明においてシラノール縮合触媒として用いられるチタン系化合物は、接着性の向上及び/又は安定化が可能である。
本発明に用いられるチタン系化合物としては、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン類;チタンテトラアセチルアセトナート等のチタンキレート類;オキシ酢酸やエチレングリコール等の残基を有する一般的なチタネートカップリング剤等が例示できる。当該チタン系化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0169】
接着性発現のためには、本発明に記載の(D)成分であるシランカップリング剤及び/又はエポキシ基含有化合物と(E)成分であるシラノール縮合触媒が必須であり、どちらか一方では接着性は発現しない。
本発明においては接着性改良効果をさらに高めるために、さらにシラノール源化合物を用いることができ、接着性の向上及び/又は安定化が可能である。このようなシラノール源化合物としては、例えばトリフェニルシラノール、ジフェニルジヒドロキシシラン等のシラノール化合物、ジフェニルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン類等を挙げることができる。
【0170】
シラノール源化合物を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤及び/又はエポキシ基含有化合物100重量部に対して、好ましい添加量の下限は0.05重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは30重量部である。添加量が0.05重量部より少ないと接着性改良効果が十分でなくなる傾向があり、添加量が50重量部より多いと硬化物物性が低下し易くなる傾向がある。
また、これらのシラノール源化合物は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0171】
本発明においてはカップリング剤やエポキシ基含有化合物の効果を高めるために、カルボン酸類及び/又は酸無水物類を用いることができ、接着性の向上及び/又は安定化が可能である。このようなカルボン酸類、酸無水物類としては特に限定されないが、
【0172】
【化35】

【0173】
、2−エチルヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、メチルシクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルハイミック酸、ノルボルネンジカルボン酸、水素化メチルナジック酸、マレイン酸、アセチレンジカルボン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、桂皮酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等、及びそれらの単独あるいは複合酸無水物等が挙げられる。
【0174】
これらのカルボン酸類及び/又は酸無水物類のうち、ヒドロシリル化反応性を有し硬化物からの染み出しの可能性が少なく得られる硬化物の物性を損ない難いという点においては、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有するものが好ましい。好ましいカルボン酸類及び/又は酸無水物類としては、例えば、
【0175】
【化36】

【0176】
テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸及びそれらの単独あるいは複合酸無水物等が挙げられる。
【0177】
カルボン酸類及び/又は酸無水物類を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤及び/又はエポキシ基含有化合物100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは10重量部である。添加量が0.1重量部より少ないと接着性改良効果が十分でなくなる傾向があり、添加量が50重量部より多いと硬化物物性が低下し易くなる傾向がある。
また、これらのカルボン酸類、酸無水物類は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0178】
本発明の硬化性組成物の保存安定性を改良する目的、あるいは製造過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整する目的で、硬化遅延剤を使用することができる。硬化遅延剤としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、これらを併用してもかまわない。
【0179】
脂肪族不飽和結合を含有する化合物として、プロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、マレイン酸エステル類等が例示される。有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示される。有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示される。窒素含有化合物としては、アンモニア、1〜3級アルキルアミン類、アリールアミン類、尿素、ヒドラジン等が例示される。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示される。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示される。
これらの硬化遅延剤のうち、遅延活性が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが好ましい。
【0180】
硬化遅延剤の添加量は種々設定できるが、使用するヒドロシリル化触媒1molに対する好ましい添加量の下限は10−1モル、より好ましくは1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは50モルである。
また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0181】
次に、(F)成分である無機部材としては、前記無機部材と同様のものを好適に用いることが出来る。また、(F)成分の無機部材の配合量としては特に限定はないが、好ましい使用量は、本発明の硬化性組成物全体量の0.1〜90重量%である。塗布性が良好であるという点から、好ましい使用量は、硬化性組成物全体量の80重量%以下、より好ましくは70重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下、特に好ましくは40重量%以下、より特に好ましくは30重量%以下である。配合量が多いと塗布性が低下し、塗布不良のため遮光性が低下し易くなる傾向がある。また、遮光性が良好である点から、好ましい使用量は、硬化性組成物全体量の5重量%以上、より好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上、特に好ましくは40重量%以上、より特に好ましくは50重量%以上である。そこで、塗布性と遮光性の両立のためには、好ましい使用量は、硬化性組成物全体量の10重量%以上80重量%以下、より好ましくは20重量%以上70重量%以下、さらに好ましくは30重量%以上60重量%以下である。
【0182】
次に、本発明の硬化性組成物においては、上記(A)〜(F)成分に加えて、さらに(G)シリカを含有することが好ましい。(G)成分であるシリカについて説明する。
シリカとしては、例えば、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、石英、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定形シリカ等が挙げられる。
シリカは、硬化性組成物にチクソ性を付与したり、また増粘効果を付与することができる。当該シリカとしては、一次粒子の平均粒子径が3〜20nmであることが好ましく、5〜10nmであることが特に好ましい。シリカの平均粒子径は電子顕微鏡写真をもとに計測することができる。
【0183】
チクソ性付与の点からは表面処理をしていないことが好ましい。当該シリカとしては、例えば、日本アエロジル株式会社製のAEROSIL 300,130,200等を好適に用いることが出来る。
増粘効果の点からは表面処理をしていることが好ましい。当該シリカとしては、例えば、日本アエロジル株式会社製のAEROSIL R812,R972,R974,R976,RX200,RX300等を好適に用いることが出来る。
表面処理としては、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、カップリング剤による処理等が挙げられる。
【0184】
この場合のカップリング剤の例としては、シランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。
有機基と反応性のある官能基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては、取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
【0185】
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
【0186】
硬化性組成物中のシリカの量は特に限定されないが、塗布性及び低流動性の点から、樹脂成分[(A)成分〜(E)成分]100重量部に対して、0.5重量部〜20重量部が好ましく、2重量部〜10重量部がさらに好ましく、3重量部〜5重量部が特に好ましい。
【0187】
次に、本発明の硬化性組成物においては、80度の角度に傾斜したガラス基材上での、100℃で1時間経過後における流延性が、2cm以下であることが好ましい。また、1cm以下であることがより好ましい。
当該流延性は、具体的には以下のようにして測定する。まず、10cm×10cm×3mm厚のガラス板(一般的な青板ガラス)に、本発明の硬化性組成物約150mgを円形にガラス板の端から約1cmの位置に塗布する。そのガラス板を塗布部分が上部にくるようにし、80度の角度に傾斜させ100℃に加熱したオーブン中に設置する。1時間経過後、硬化性組成物が流動した先端と塗布位置の距離をcm単位で計測する。
【0188】
次に、本発明の硬化性組成物の調製方法について説明する。
上記(A)〜(F)成分を含有する硬化性組成物は、これら成分を混合することにより得ることができる。混合の方法としては、各種方法をとることができるが、(A)成分、(C)成分及び(E)成分を混合したものと、(B)成分、(D)成分を混合したものとを混合し、その後(F)成分を混合することが好ましい。(A)成分と(B)成分との混合物に(C)成分を混合する方法だと反応の制御が困難となる傾向がある。(B)成分と(C)成分、又は(E)成分を混合したものは、(C)成分、(E)成分の存在下、(B)成分と水分との反応が促進されるため、貯蔵中等に変質することもありうる。
【0189】
組成物を反応させて硬化させる場合においては、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)各成分それぞれの必要量を一度に混合して反応させてもよいが、一部を混合して反応させた後、(F)成分を加えて残量を混合してさらに反応させる方法や、混合した後に反応条件の制御や置換基の反応性の差の利用により組成物中の官能基の一部のみを反応(Bステージ化)させてから成形等の処理を行いさらに硬化させる方法をとることもできる。これらの方法によれば成形時の粘度調整が容易となる。
【0190】
(F)成分と(A)〜(E)成分との混合方法は、例えば3本ロール、ペイントミル、ボールミル等を用いて混練し、混練後真空脱泡することにより分散性に優れた遮光ペーストを得ることが出来る。また、10g以下の少量であれば遊星式攪拌脱泡機で攪拌することも可能である。
【0191】
また、(A)〜(F)成分以外にさらに(G)成分を含有する硬化性組成物を得る場合は、(A)成分、(C)成分及び(E)成分を混合したものと、(B)成分、(D)成分を混合したものとを混合し、その混合物に(F)成分と(G)成分を混合することが好ましい。
(A)成分、(C)成分及び(E)成分を混合したものに(F)成分と(G)成分を混合する場合、粘度が上昇し、作業性が低下する傾向がある。また、(A)成分、(C)成分及び(E)成分を混合したものと(F)成分を混合し、(B)成分、(D)成分を混合したものと(G)成分を混合し、それらを混合した場合、流延性が大きくなる傾向がある。また、(B)成分、(D)成分を混合したものに(F)成分と(G)成分を混合し、そのものと、(A)成分、(C)成分及び(E)成分を混合したものを混合させた場合、流延性が大きくなる傾向がある。
【0192】
次に、(A)〜(E)成分を混合したものと(F)成分及び(G)成分を混合する方法について説明する。混合装置は、例えば、へら、遊星式攪拌脱泡機、ディゾルバー、3本ロール、ペイントミル、ボールミル等を好適に用いることが出来る。混合時に硬化が進行しない温度/時間範囲で加熱しても良い。具体的には70℃/3時間以下が好ましい。加熱は空気中、又は例えば窒素、アルゴン等の不活性雰囲気ガス中で実施してもよい。また、遊星式攪拌脱泡機、ディゾルバーでは真空脱泡することにより分散性に優れた硬化性組成物を得ることが出来る。また、混合した硬化性組成物の性状を安定化する目的で加温して養生することも可能である。具体的には40℃〜60℃の温度範囲で1時間以上が好ましく、さらに好ましくは50℃で2時間程度が好ましい。
【0193】
本発明の硬化性組成物は、上記のようにしてあらかじめ混合し、組成物中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合とSiH基の一部又は全部を反応させることによって硬化させて、硬化物とすることができる。
【0194】
また、本発明の遮光ペーストは、上記硬化性組成物からなるものである。
本発明の遮光ペーストは、上記のようにしてあらかじめ混合し、組成物中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合とSiH基の一部又は全部を反応させることによって硬化させて、遮光用樹脂とすることができる。
【0195】
該遮光ペーストを被着体上で硬化し遮光用樹脂層を得る方法としては、単に混合するだけで反応させることもできるし、加熱して反応させることもできる。反応が速く、一般に耐熱性の高い材料が得られやすいという観点から加熱して反応させる方法が好ましい。
反応温度としては種々設定できるが、例えば30〜300℃の温度が適用でき、50〜250℃がより好ましく、100〜200℃がさらに好ましい。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと成形加工が困難となりやすい。
反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。また、反応時間も種々設定できる。例えば、60℃/1〜10分間で予備硬化させ、100℃/1〜60分間で硬化させる方法をとることが出来る。
反応時の圧力も必要に応じ種々設定でき、常圧、高圧、あるいは減圧状態で反応させることもできる。
【0196】
次に、本発明の硬化性組成物及び遮光ペーストに添加することが出来る物質について記載する。
本発明の硬化性組成物及び遮光ペーストには、特性を改質する等の目的で、種々の熱硬化性樹脂を添加することも可能である。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ビスマレイミド樹脂等が例示されるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、接着性等の実用特性に優れるという観点から、エポキシ樹脂が好ましい。
【0197】
エポキシ樹脂としては、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等のエポキシ樹脂を、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物等の脂肪族酸無水物で硬化させたものが挙げられる。これらのエポキシ樹脂あるいは硬化剤は、それぞれ単独で用いても、複数のものを組み合わせてもよい。
これらの熱硬化性樹脂は、単独で用いても、複数のものを組み合わせてもよい。
【0198】
熱硬化性樹脂の添加量としては特に限定はないが、好ましい使用量の下限は硬化性組成物全体の5重量%、より好ましくは10重量%であり、好ましい使用量の上限は硬化性組成物中の50重量%、より好ましくは30重量%である。添加量が少ないと、接着性等目的とする効果が得られにくいし、添加量が多いと脆くなりやすい。
【0199】
熱硬化性樹脂は、樹脂原料及び/又は硬化させたものを、(A)成分及び/又は(B)成分に溶かして均一な状態として混合してもよいし、粉砕して粒子状態で混合してもよいし、溶媒に溶かして混合する等して分散状態としてもよい。得られる硬化物がより均一になりやすいという点においては、(A)成分及び/又は(B)成分に溶かして均一な状態として混合することが好ましい。この場合も、熱硬化性樹脂を(A)成分及び/又は(B)成分に直接溶解させてもよいし、溶媒等を用いて均一に混合してもよいし、その後溶媒を除いて均一な分散状態及び/又は混合状態としてもよい。
【0200】
熱硬化性樹脂を分散させて用いる場合は、平均粒子径は種々設定できるが、好ましい平均粒子径の下限は10nmであり、好ましい平均粒子径の上限は10μmである。粒子系の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、硬化性組成物及び遮光ペーストの粘度が低く塗布性が良好となりやすいという観点からは粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。
【0201】
本発明の硬化性組成物及び遮光ペーストには、特性を改質する等の目的で、種々の熱可塑性樹脂を添加することも可能である。熱可塑性樹脂としては種々のものを用いることができる。例えば、メチルメタクリレートの単独重合体あるいはメチルメタクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリメチルメタクリレート系樹脂(例えば日立化成社製オプトレッツ等)、ブチルアクリレートの単独重合体あるいはブチルアクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリブチルアクリレート系樹脂等に代表されるアクリル系樹脂;ビスフェノールA、3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデンビスフェノール等をモノマー構造として含有するポリカーボネート樹脂等のポリカーボネート系樹脂(例えば帝人社製APEC等);ノルボルネン誘導体、ビニルモノマー等を単独あるいは共重合した樹脂、ノルボルネン誘導体を開環メタセシス重合させた樹脂、あるいはその水素添加物等のシクロオレフィン系樹脂(例えば、三井化学社製APEL、日本ゼオン社製ZEONOR、ZEONEX、JSR社製ARTON等);エチレンとマレイミドの共重合体等のオレフィン−マレイミド系樹脂(例えば東ソー社製TI−PAS等);ビスフェノールA、ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン等のビスフェノール類やジエチレングリコール等のジオール類と、テレフタル酸、イソフタル酸等のフタル酸類や脂肪族ジカルボン酸類を重縮合させたポリエステル等のポリエステル系樹脂(例えば鐘紡社製O−PET等);ポリエーテルスルホン樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリビニルアセタール樹脂;ポリエチレン樹脂;ポリプロピレン樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリアミド樹脂;シリコーン樹脂;フッ素樹脂等の他、天然ゴム、EPDM等のゴム状樹脂等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0202】
熱可塑性樹脂としては、分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合及び/又はSiH基を有していてもよい。得られる硬化物がより強靭となりやすいという点においては、分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合及び/又はSiH基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
熱可塑性樹脂としてはその他の架橋性基を有していてもよい。この場合の架橋性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、架橋性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
【0203】
熱可塑性樹脂の分子量としては、特に限定はないが、(A)成分や(B)成分との相溶性が良好となりやすいという点においては、数平均分子量が10000以下であることが好ましく、5000以下であることがより好ましい。逆に、得られる硬化物が強靭となりやすいという点においては、数平均分子量が10000以上であることが好ましく、100000以上であることがより好ましい。分子量分布についても特に限定はないが、混合物の粘度が低くなり成形性が良好となりやすいという点においては、分子量分布が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
【0204】
熱可塑性樹脂の配合量としては特に限定はないが、好ましい使用量の下限は硬化性組成物全体の5重量%、より好ましくは10重量%であり、好ましい使用量の上限は硬化性組成物中の50重量%、より好ましくは30重量%である。添加量が5重量%より少ないと得られる硬化物が脆くなり易い傾向があり、50重量%より多いと耐熱性(高温での弾性率)が低くなり易い傾向がある。
【0205】
熱可塑性樹脂は(A)成分及び/又は(B)成分に溶かして均一な状態として混合してもよいし、粉砕して粒子状態で混合してもよいし、溶媒に溶かして混合する等して分散状態としてもよい。得られる硬化物がより均一になりやすいという点においては、(A)成分及び/又は(B)成分に溶かして均一な状態として混合することが好ましい。この場合も、熱可塑性樹脂を(A)成分及び/又は(B)成分に直接溶解させてもよいし、溶媒等を用いて均一に混合してもよいし、その後溶媒を除いて均一な分散状態及び/又は混合状態としてもよい。
熱可塑性樹脂を分散させて用いる場合は、平均粒子径は種々設定できるが、好ましい平均粒子径の下限は10nmであり、好ましい平均粒子径の上限は10μmである。粒子系の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、硬化性組成物の粘度が低く成形性が良好となりやすいという観点からは粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。
【0206】
また、本発明の硬化性組成物及び遮光ペーストには充填材を添加してもよい。
充填材としては各種のものが用いられるが、例えば、銀粉、ガラス繊維、炭素繊維、カーボンブラック、グラファイト、タルク等の無機充填材をはじめとして、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として一般に使用及び/又は提案されている充填材等を挙げることができる。
なお、熱可塑性樹脂と無機部材からなる遮光ペースト、熱硬化性樹脂と無機部材からなる遮光ペーストには、例えば、石英、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定形シリカ等のシリカ系充填材も添加することができる。当該シリカ系充填材は、硬化反応を阻害し難く、線膨張係数の低減化効果が大きいという観点から好ましい。
充填材は適宜表面処理してもよい。表面処理としては、前記無機部材で例示したものと同様のものが挙げられる。
【0207】
その他にも充填材を添加する方法が挙げられる。例えばアルコキシシラン、アシロキシシラン、ハロゲン化シラン等の加水分解性シランモノマーあるいはオリゴマーや、チタン、アルミニウム等の金属のアルコキシド、アシロキシド、ハロゲン化物等を、本発明の硬化性組成物及び遮光ペーストに添加して、硬化性組成物及び遮光ペースト中あるいは硬化性組成物及び遮光ペーストの部分反応物中で反応させ、硬化性組成物及び遮光ペースト中で充填材を生成させる方法も挙げることができる。
【0208】
充填材の平均粒子径としては、浸透性が良好となりやすいという点においては、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。
充填材の粒径50μm以上の粒子の割合としては、浸透性が良好となりやすいという点においては、1重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以下であることがより好ましい。
充填材の粒径分布については、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として使用及び/又は提案されているものをはじめ、各種設定できる。例えば、24μm以上の粒子が15重量%以上かつ1μm以下の粒子が3重量%以上となるようにしてもよい。
充填材の平均粒子径、充填材の粒径50μm以上の粒子の割合はレーザー法マイクロトラック粒度分析計を用いて測定することができる。
【0209】
充填材の比表面積についても、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として使用及び/又は提案されているものをはじめ、各種設定できる。例えば、4m/g以上、4m/g以下、10m/g以下等、任意に設定できる。
比表面積はBET法モノソーブ比表面積測定装置によって測定できる。
充填材のガラス化率についても、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として使用及び/又は提案されているものをはじめ、各種設定できる。例えば、97%以上等、任意に設定できる。
充填材の形状としては、封止材の粘度が低くなりやすい観点からは、球状の充填材であることが好ましい。
充填材は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0210】
充填材の添加量は特に限定されないが、線膨張係数の低減化効果が高く、かつ組成物の流動性が良好であるという観点から、好ましい添加量の下限は全組成物中の30重量%、より好ましくは50重量%であり、好ましい添加量の上限は全組成物中の80重量%、より好ましくは70重量%である。
【0211】
充填材の混合の方法としては、各種方法をとることができるが、硬化性組成物及び遮光ペーストの中間原料の貯蔵安定性が良好になりやすいという点においては、(A)成分に(C)成分及び充填材を混合したものと、(B)成分を混合する方法が好ましい。(B)成分に(C)成分及び/又は充填材を混合したものに(A)成分を混合する方法をとる場合は、(C)成分存在下及び/又は非存在下において(B)成分が環境中の水分及び/又は充填材と反応性を有するため、貯蔵中等に変質することもある。
【0212】
本発明の硬化性組成物及び遮光ペーストには老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤としては、一般に用いられている老化防止剤、たとえばクエン酸やリン酸、硫黄系老化防止剤等が挙げられる。硫黄系老化防止剤としては、メルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィドカルボン酸エステル類や、ヒンダードフェノール系スルフィド類を含むスルフィド類、ポリスルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類、スルホキシド類等が挙げられる。また、これらの老化防止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0213】
本発明の硬化性組成物及び遮光ペーストにはラジカル禁止剤を添加してもよい。ラジカル禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス(メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系ラジカル禁止剤や、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン系ラジカル禁止剤等が挙げられる。また、これらのラジカル禁止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0214】
本発明の硬化性組成物及び遮光ペーストには紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤としては、例えば2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等が挙げられる。また、これらの紫外線吸収剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0215】
本発明の硬化性組成物及び遮光ペーストには、その他、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として使用及び/又は提案されているものをはじめ、着色剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、イオントラップ剤、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤、物性調整剤等を本発明の目的及び効果を損なわない範囲において添加することができる。
【0216】
本発明の硬化性組成物及び遮光ペーストは、溶媒に溶解して用いることも可能である。使用できる溶媒は特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムがより好ましい。
【0217】
使用する溶媒量は適宜設定できるが、用いる硬化性組成物及び遮光ペースト1gに対しての好ましい使用量の下限は0.1mLであり、好ましい使用量の上限は10mLである。使用量が0.1mLより少ないと、低粘度化等の溶媒を用いることの効果が得られにくくなる傾向があり、また、使用量が10mLより多いと、材料に溶媒が残留して熱クラック等の問題となり易く、またコスト的にも不利になる傾向がある。
これらの溶媒は、単独で使用してもよく、2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0218】
[本発明の遮光ペーストを用いたLED用パッケージ及び発光ダイオード]
本発明の半導体装置としての発光ダイオードは、底面と側壁とからなる開口部を備え、かつ、開口部底面は正の外部電極と負の外部電極との各端部が所定の間隔を隔てて露出するように成形樹脂にて一体成形されてなるLED用パッケージと、LED用パッケージの底面に載置される発光素子とを有するものであり、該LED用パッケージの実質上側壁にのみ、本発明の上記遮光ペーストが塗布され、及び/又は、それが硬化した遮光用樹脂により、遮光されている。
【0219】
「実質上側壁にのみ」とは、側壁近傍の底面に本発明の遮光ペーストが流れ出して硬化した場合でも、最終的に製品となる本発明の発光ダイオードの性能に悪影響を及ぼさない限り、該場合も含まれるという意味である。
また、本発明の半導体装置としては、発光素子の周囲のLED用パッケージの底面及び側壁に、遮光用樹脂が形成され遮光されてなるものも挙げることができる。この場合、「発光素子の周囲のLED用パッケージの底面及び側壁」とは、LED用パッケージの底面及び側壁で発光素子と接触しない部分をいう。
【0220】
なお、従来においては、半導体装置を組み立てる工程熱履歴により、パッケージ樹脂は熱変色し、反射率が低下した。そのため、光取り出し効率が低下し、低出力を招いていた。また、発光素子に遮光用樹脂が接触すると、発光素子からの光取り出しが低下し、低出力を招いていた。しかし、本発明においては、耐熱性に優れた樹脂からなる遮光用樹脂を用いて、LED用パッケージの実質上側壁のみに、又は、底面及び側壁に発光素子と接触しないように、遮光用樹脂層を設ける事により、組み立て工程熱履歴による反射率の低下を防ぐことが可能となり、高い光出力を有する半導体装置を提供することができる。
【0221】
また、本発明のLED用パッケージは、LED用パッケージ開口部の実質上側壁にのみ、遮光用樹脂を有することを特徴とする。
遮光ペーストを塗布する前のパッケージは、種々の材料を用いて作成することができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ABS樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフタルアミド樹脂、エポキシ樹脂、BTレジン、液晶ポリマー等の樹脂を挙げることができる。耐熱性の点から、半結晶性ポリマー樹脂であるポリフタルアミド樹脂、BTレジン、液晶ポリマーが好ましい。接着性の点から半結晶性ポリマー樹脂であるポリフタルアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂が好ましい。
またセラミック製のパッケージも用いることができる。
パッケージの開口部は長方形、円形、楕円形等、種々の形のものであってよい。
【0222】
遮光ペーストの塗布方法としては、一般に知られている液状樹脂塗布方法である印刷法、コーティング法、転写法等を用いることが出来る。例えば、スタンプ法、インクジェット法、ディッピング法、グラビア印刷法、孔版印刷、スクリーン印刷、あるいはマスクを介して塗布することである。また、針・へら・はけ等を使って塗布することも可能である。
【0223】
本発明の発光ダイオードに用いられている発光素子は、特に限定なく従来公知の発光ダイオードに用いられる発光素子を用いることができる。このような発光素子としては、例えば、MOCVD法、HDVPE法、液相成長法といった各種方法によって、必要に応じてGaN、AlN等のバッファー層を設けた基板上に半導体材料を積層して作成したものが挙げられる。
【0224】
この場合の基板としては、各種材料を用いることができるが、例えばサファイヤ、スピネル、SiC、Si、ZnO、GaN単結晶等が挙げられる。これらのうち、結晶性の良好なGaNを容易に形成でき、工業的利用価値が高いという観点からは、サファイヤを用いることが好ましい。
積層される半導体材料としては、GaAs、GaP、GaAlAs、GaAsP、AlGaInP、GaN、InN、AlN、InGaN、InGaAlN、SiC等が挙げられる。これらのうち、高輝度が得られるという観点からは、窒化物系化合物半導体(Inx GayAlz N)が好ましい。このような材料には付活剤等を含んでいてもよい。
【0225】
発光素子の構造としては、MIS接合、pn接合、PIN接合を有するホモ接合、ヘテロ接合やダブルヘテロ構造等が挙げられる。また、単一あるいは多重量子井戸構造とすることもできる。
発光素子はパッシベーション層を設けていてもよいし、設けなくてもよい。
発光素子には従来知られている方法によって電極を形成することができる。
【0226】
発光素子上の電極は種々の方法でリード端子等と電気接続できる。電気接続部材としては、発光素子の電極とのオーミック性機械的接続性等が良いものが好ましく、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウムやそれらの合金等を用いたボンディングワイヤーが挙げられる。また、銀、カーボン等の導電性フィラーを樹脂で充填した導電性接着剤等を用いることもできる。これらのうち、作業性が良好であるという観点からは、アルミニウム線或いは金線を用いることが好ましい。
【0227】
上記のようにして発光素子が得られるが、本発明の発光ダイオードにおいては発光素子の光度としては垂直方向の光度が1cd以上であれば任意のものを用いることができるが、垂直方向の光度が2cd以上の発光素子を用いた場合により本発明の効果が顕著であり、3cd以上の発光素子を用いた場合にさらに本発明の効果が顕著である。
【0228】
発光素子の発光出力としては特に限定なく任意のものを用いることができるが、20mAにおいて1mW以上の発光素子を用いた場合に本発明の効果が顕著であり、20mAにおいて4mW以上の発光素子を用いた場合により本発明の効果が顕著であり、20mAにおいて5mW以上の発光素子を用いた場合にさらに本発明の効果が顕著である。
発光素子の発光波長は紫外域から赤外域まで種々のものを用いることができるが、主発光ピーク波長が550nm以下のものを用いた場合に特に本発明の効果が顕著である。
用いる発光素子は一種類で単色発光させても良いし、複数用いて単色或いは多色発光させても良い。
【0229】
本発明の発光ダイオードに用いられるリード端子としては、ボンディングワイヤー等の電気接続部材との密着性、電気伝導性等が良好なものが好ましく、リード端子の電気抵抗としては、300μΩ・cm以下が好ましく、より好ましくは3μΩ・cm以下である。これらのリード端子材料としては、例えば、鉄、銅、鉄入り銅、錫入り銅や、これらに銀、ニッケル等をメッキしたもの等が挙げられる。これらのリード端子は良好な光の広がりを得るために適宜光沢度を調整してもよい。
【0230】
本発明の発光ダイオードは、種々の樹脂によって発光素子を被覆することによって製造することができるが、この場合被覆とは、上記発光素子を直接封止するものに限らず、間接的に被覆する場合も含む。封止樹脂としてはエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ユリア樹脂、イミド樹脂等を用いることが出来る。また、ガラスで発光素子を封止してもよい。
【0231】
封止の方法としても各種方法を適用することができる。例えば、底部に発光素子を配置させたカップ、キャビティ、パッケージ凹部等に、液状の組成物をディスペンサーその他の方法にて注入して、加熱等により硬化させてもよいし、固体状あるいは高粘度液状の組成物を加熱する等して流動させ、同様にパッケージ凹部等に注入してさらに加熱する等して硬化させてもよい。
【0232】
被覆部分の形状も特に限定されず、種々の形状をとることができる。例えば、レンズ形状、板状、薄膜状、特開平6−244458号公報記載の形状等が挙げられる。これらの形状は組成物を成形硬化させることによって形成してもよいし、組成物を硬化した後に後加工により形成してもよい。
【0233】
その他、本発明の発光ダイオードには従来公知の種々の方式が適用できる。例えば、発光素子背面に光を反射あるいは集光する層を設ける方式、封止樹脂の黄変に対応して補色着色部を底部に形成させる方式、主発光ピークより短波長の光を吸収する薄膜を発光素子上に設ける方式、発光素子を軟質あるいは液状の封止材で封止した後周囲を硬質材料でモールディングする方式、発光素子からの光を吸収してより長波長の蛍光を出す蛍光体を含む材料で発光素子を封止した後周囲をモールディングする方式、蛍光体を含む材料をあらかじめ成形してから発光素子とともにモールドする方式、特開平6−244458号公報に記載のとおりモールディング材を特殊形状として発光効率を高める方式、輝度むらを低減させるためにパッケージを2段状の凹部とする方式、発光ダイオードを貫通孔に挿入して固定する方式、発光素子表面に主発光波長より短い波長の光を吸収する薄膜を形成する方式、発光素子をはんだバンプ等を用いたフリップチップ接続等によってリード部材等と接続して基板方向から光を取出す方式等を挙げることができる。
【0234】
本発明の発光ダイオードは、従来公知の各種の用途に用いることができる。具体的には、例えばバックライト、照明、センサー光源、車両用計器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライト等を挙げることができる。
【0235】
<本発明の第二>
次に、本発明の遮光用樹脂層の形成方法について説明する。
底面と側壁とからなる開口部を備え、かつ、開口部底面には正の外部電極と負の外部電極との各端部が所定の間隔を隔てて露出するように成形樹脂にて一体成形されてなるLED用パッケージの、側壁にのみ遮光用樹脂層を形成する方法は、以下の3段階に大きく分けることが出来る。
(1)遮光ペーストを基材に塗布させる工程
(2)LED用パッケージの開口部を密着させる工程
(3)LED用パッケージの開口部を上にした状態で加熱する工程
【0236】
以下、各工程に分けて説明する。
(1)遮光ペーストを基材に塗布させる工程
遮光ペーストは種々の公知の方法によって基材に塗布させることが出来る。基材の材質は、例えば、樹脂製、ゴム製、ガラス製、セラミック製、金属製等、種々のものを用いることが出来る。基材の形状は、例えば、平板、水平板、板状ベルト、Δ状ロールのような平面状基材、ロール、ボール等の曲面状基材の種々のものを用いることが出来る。
【0237】
基材への遮光ペーストの塗布は、キャスティング法、コーティング法、Tダイを用いた押出し法、遮光ペーストを張った浴へのディッピング法等、種々の方法を用いることが出来る。また、膜厚を制御する目的で種々のスペーサーを用いることが出来る。塗布させる時間は、0.1秒〜24時間が好ましく、1秒〜1時間がさらに好ましく、1分〜30分が特に好ましい。塗布させる温度は5℃〜100℃が好ましく、10℃〜50℃がさらに好ましく、15℃〜30℃が特に好ましい。塗布は、真空中、空気中及び窒素、アルゴン等の不活性ガス中、いずれでも好適に実施することが出来る。加熱炉は、熱風循環オーブン、赤外線加熱炉等、種々のものを用いることが出来る。また、異物等の混入を防ぐ目的で、クリーンルームで行うことが好ましい。
【0238】
(2)LED用パッケージの開口部を密着させる工程
(1)項で形成した遮光ペーストが塗布された基材にLED用パッケージの開口部を密着させ、開口部上部に遮光ペーストを付着させる。遮光ペーストを塗布した基材が平面状である場合、LED用パッケージの開口部との密着はパッケージの自重によるもの、またプレスによる押圧、ロールによる押圧等種々の方法により行うことが出来る。また、遮光ペーストを塗布した基材が曲面状、例えばロール状である場合、そのロールを開口部に転がすことにより、また、遮光ペーストを塗布したロールとLED用パッケージの開口部が密着するようにロール間を通すことにより、LED用パッケージの開口部上部に遮光ペーストを付着させることが出来る。
【0239】
密着させる時間は0.01秒〜24時間が好ましく、0.1秒〜1時間がさらに好ましく、1秒〜5分が特に好ましい。密着させる温度は5℃〜100℃が好ましく、10℃〜50℃がさらに好ましく、15℃〜30℃が特に好ましい。密着させる温度・時間により遮光ペースト付着量を制御することが出来る。密着は、真空中、空気中及び窒素、アルゴン等の不活性ガス中、いずれでも好適に実施することが出来る。加熱炉は熱風循環オーブン、赤外線加熱炉等種々のものを用いることが出来る。また、異物等の混入を防ぐ目的で、クリーンルームで行うことが好ましい。
【0240】
(3)LED用パッケージの開口部を上にした状態で加熱する工程
次に、LED用パッケージの開口部を上にした状態で加熱し、加熱時間/温度を制御することにより、(2)項でパッケージ開口部上部に付着した遮光ペーストを、LED用パッケージ側壁のみに流延させることが出来る。本明細書でいう「LED用パッケージの開口部を上にした状態」とは、LED用パッケージの底部電極面を上に向け、かつ鉛直軸に対して該底部電極面を垂直に位置させた状態を意味する。
【0241】
垂直の精度は、本発明の(3)の工程に大きな支障を及ぼさない限り、±10度を目安に許容することができる。加熱温度は、遮光ペーストの付着量、粘度、チクソ性等により適宜設定することが出来る。パッケージの劣化を防ぐために30℃から200℃が好ましく、40℃から100℃がさらに好ましく、50℃から80℃が特に好ましい。加熱時間は、遮光ペーストの付着量、粘度、チクソ性等により適宜設定することが出来る。生産性の点からは、1時間以下が好ましく、30分以下がさらに好ましく、15分以下が特に好ましい。加熱は、真空中、空気中及び窒素、アルゴン等の不活性ガス中、いずれも好適に実施することが出来る。加熱炉は、熱風循環オーブン、赤外線加熱炉等、種々のものを用いることが出来る。また、加熱は段階的に実施することができる。例えば、60℃で30分間、80℃で30分間、100℃で30分間と段階的に加熱することができる。
【0242】
次に、本発明の遮光用樹脂層の形成方法で用いることが出来る遮光ペーストについて説明する。
該遮光ペーストとしては、上述の遮光ペースト、上述の硬化性組成物からなる遮光ペースト等を好適に用いることができる。
【0243】
該遮光ペーストは、種々の粘度のものを用いることが出来る。良好な塗布性を確保するために、常温(23℃)での粘度が高く、加熱時(30℃)では粘度が低下することが好ましい。常温(23℃)では10ポイズ以上が好ましく、加熱時(30℃)では1ポイズ以上が好ましい。粘度はE型回転粘度計で測定することが出来る。
【0244】
該遮光ペーストはチクソ性が大きいと流れ性が良好でなくなり、本発明の目的を達成することが出来ない。従って、23℃におけるチクソ性(粘度比)は、0.8〜1.2が好ましく、0.9〜1.1がさらに好ましく、0.95〜1.05が特に好ましい。チクソ性(粘度比)はE型回転粘度計で測定することが可能であり、粘度計の回転数は、通常10rpm/1rpmの値とするが、20rpm/2rpm、50rpm/5rpm、5rpm/0.5rpm等種々の組み合わせの値についても採用することが出来る。
【0245】
該遮光ペーストは硬化性が大きいと、(3)LED用パッケージの開口部を上にした状態で加熱する工程において、遮光ペーストがパッケージ側面全面に流延する前に硬化し、良好な遮光層が得られない。従って、115℃における硬化時間が15秒〜90秒であることが好ましく、20秒〜75秒であることがさらに好ましく、30秒〜60秒が特に好ましい。硬化時間はスナップアップタイムと呼ばれるゲル化時間により評価できる。測定方法を以下に示す。遮光ペースト約50mgを、ホットプレート(115℃±3℃)上に押し付けると同時にストップウオッチをスタートさせる。さらにへらで塗り付け、遮光ペーストが流動性を示さなくなるまでの時間を硬化時間とする。
【0246】
該遮光ペーストは流れ性が大きいと、(2)LED用パッケージの開口部を密着させる工程、及び/又は(3)LED用パッケージの開口部を上にした状態で加熱する工程において、パッケージ側面から底面の電極部分に流延し、LEDチップの導通が取れなくなるといった不具合が発生する。従って、遮光ペーストは適度な流動性を有することが好ましい。一方、上述のように導通が取れなくなる等の不都合が実質上発生しない限り、一部底面へ流れ出した後硬化しても問題はない。
【0247】
流動性はガラス板に該遮光ペーストを流延させる方法で評価することが可能である。以下にその方法を示した。遮光ペースト約50mgをガラス板に約8mm径の円状に塗布した後、該ガラス板を斜め約80度に固定して、約21℃に10分間保持した時の流下距離を測定する。流下距離が5mm〜30mmであることが好ましく、5mm〜20mmであることがさらに好ましく、5〜15mmであることが特に好ましい。また、約60℃に5分間保持した時の流下距離が、10mm〜70mmであることが好ましく、10〜40mmであることがさらに好ましく、10〜30mmであることが特に好ましい。加熱は熱風循環オーブンを用いることが出来る。
【0248】
また、上記遮光ペーストを硬化させて得られる遮光用樹脂について説明する。
該遮光用樹脂は、はんだリフロー等に耐えるための耐熱性が要求される。耐熱性が低いとはんだリフロー時に着色しLEDの輝度低下の原因となる。従って該遮光ペーストから製造される遮光用樹脂は高い耐熱性を有することが好ましい。耐熱性は基板状に遮光ペーストを塗布し形成させた遮光用樹脂を、260℃/3分間加熱し、遮光用樹脂の黄色度(イェローインデックス,YI)を評価することにより評価可能である。黄色度の初期値を100とした場合、260℃/3分間加熱後の値が100〜150であることが好ましく、100〜140であることがさらに好ましく、100〜130であることが特に好ましい。黄色度は色差計を用いて測定できる。
【0249】
該遮光用樹脂は、LEDチップからの光を反射させるため耐光性が要求される。耐光性が低いと着色しLEDの輝度低下の原因となる。従って該遮光ペーストから製造される遮光用樹脂は高い耐光性を有することが好ましい。耐光性は基板状に遮光ペーストを塗布し形成させた遮光用樹脂に光照射を行うことにより評価する。耐光性試験はスガ試験機製スーパーキセノンウエザーメーターを用い、放射照度0.18kW/m、1時間42分照射に引き続き18分降雨のサイクル試験、ブラックパネル温度63℃、湿度50%の試験条件で330時間実施した。黄色度の初期値を100とした場合、キセノンウエザーメーターによる耐光性試験後の値が100〜150であることが好ましく、100〜140であることがさらに好ましく、100〜130であることが特に好ましい。黄色度は色差計を用いて測定できる。
【0250】
該遮光用樹脂は、必要な遮光性を確保するため適切な膜厚を有していることが好ましい。膜厚は1〜1000μmであることが好ましく、5〜500μmであることがさらに好ましく、50〜100μmであることが特に好ましい。膜厚は超音波顕微鏡、X線透視装置等を用いた非破壊検査により測定できる。また遮光用樹脂と基板面を有する様に切片を作製し、走査型電子顕微鏡(SEM)により測定できる。
【0251】
該遮光用樹脂は、LEDの信頼性確保のためパッケージとの高い接着性が必要である。接着性が低いと、パッケージとモールド樹脂に剥離が発生しLED不灯の原因となる。接着性は遮光用樹脂層が形成された基板においてダイシェア試験により評価可能である。ダイシェア試験機は、例えばデイジ社製万能型ボンドテスター2400を用いることが出来る。耐光性試験は、スガ試験機製スーパーキセノンウエザーメーターを用い、放射照度0.18kW/m、1時間42分照射に引き続き18分降雨のサイクル試験、ブラックパネル温度63℃、湿度50%の試験条件で330時間実施した。接着強度は、初期値を100とした場合、キセノンウエザーメーターによる耐光性試験後の値が70以上であることが好ましく、80以上であることがさらに好ましく、90以上であることが特に好ましい。
【0252】
本発明の遮光用樹脂の形成方法に用いられる遮光ペースト、遮光用樹脂も、LED用パッケージ及び発光ダイオードに好適に用いることができる。なお、LED用パッケージ及び発光ダイオードの説明は前述のとおりである。
【0253】
以下に、本発明の実施例及び比較例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(合成例1)
(B)成分であるトリアリルイソシアヌレートと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの反応物の合成
5Lのセパラブルフラスコにトルエン1.8kg、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン1.44kgを加えて、内温が104℃になるように加熱した。そこに、トリアリルイソシアヌレート200g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)1.44mL、トルエン200gの混合物を滴下した。120℃のオイルバス中で7時間加熱還流させた。1−エチニル−1−シクロヘキサノール1.7gを加えた。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去した。1H−NMRにより、このものは1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がトリアリルイソシアヌレートと反応したもの(部分反応物B1と称す、SiH価:8.2mmol/g、アリル価:0.12mmol/g)であることがわかった。生成物は混合物であるが、本発明の(B)成分である下記構造を有する化合物を主成分として含有している。また、本発明の(C)成分である白金ビニルシロキサン錯体を含有している。
【0254】
【化37】

【0255】
(実施例1)
(A)成分としてトリアリルイソシアヌレート54.51gとジアリルモノグリシジルイソシアヌレート87.03gの混合物、(B)成分として合成例1の反応物(B1)162.64g、(C)成分として白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)913mg、(D)成分としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン7.60g、(E)成分としてほう酸トリメチル1.52gを用いた。上記(A)成分、(C)成分及び(E)成分をあらかじめ混合、攪拌し混合物A液を作製した。また、上記(B)成分、(D)成分及び1−エチニル−1−シクロヘキサノール90mgをあらかじめ混合、攪拌し混合物B液を作製した。上記混合物A液と混合物B液を混合し攪拌・脱泡を行い一液混合物とした。該混合物2.5gに(F)成分である酸化チタン(石原産業(株),タイペークR−820)2.5gを混合し攪拌・脱泡を行い遮光ペーストを得た。
【0256】
(実施例2)
実施例1で得られた(A)〜(E)成分の一液混合物2.5gに、(F)成分である酸化チタン(石原産業(株)タイペークR−820)2.5gを混合し、さらにシリカ(日本アエロジル(株),アエロジル300)75mgを混合し、攪拌・脱泡を行い遮光ペーストを得た。
【0257】
(実施例3)
(A)成分としてトリアリルイソシアヌレート12.04g、(B)成分として合成例1の反応物(B1)17.96g、(C)成分として白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)90mg、(D)成分としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン750mg、(E)成分としてほう酸トリメチル150mgを用いた。上記(A)成分、(C)成分及び(E)成分をあらかじめ混合、攪拌し混合物A液を作製した。また、上記(B)成分、(D)成分及び1−エチニル−1−シクロヘキサノール90mgをあらかじめ混合、攪拌し混合物B液を作製した。上記混合物A液と混合物B液を混合し攪拌・脱泡を行い一液混合物とした。該混合物2.5gに(F)成分である酸化チタン(石原産業(株)、タイペークR−820)2.5gを混合し、さらにシリカ(日本アエロジル(株),アエロジル300)125mgを混合し、攪拌・脱泡を行い遮光ペーストを得た。
【0258】
(実施例4)
実施例1〜3で得られた遮光ペーストをポリフタルアミド樹脂成形体の上にテープをスペーサーとして膜厚を制御して塗布し、100℃/1時間硬化させることで遮光層を形成させた。その上に、以下のようにして作製した接着剤により、ダイシェア試験用のダイを接着させた。
接着剤層は60℃/6時間、70℃/1時間、80℃/1時間、120℃/1時間、150℃/1時間、180℃/30分間加熱した後、硬化させて形成した。
【0259】
(比較例1)
ポリフタルアミド樹脂成形体の上に、以下のようにして作製した接着剤により、ダイシェア試験用のダイを接着させた。
接着剤層は60℃/6時間、70℃/1時間、80℃/1時間、120℃/1時間、150℃/1時間、180℃/30分間加熱した後、硬化させて形成した。
【0260】
<接着剤成分の作製>
トリアリルイソシアヌレート12.04g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)90mg及びほう酸トリメチル150mgをあらかじめ混合、攪拌し混合物A液を作製した。また、合成例1の反応物(B1)17.96g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン750mg及び1−エチニル−1−シクロヘキサノール90mgをあらかじめ混合、攪拌し混合物B液を作製した。上記混合物A液と混合物B液を混合し攪拌・脱泡を行い接着剤成分とした。
【0261】
<ダイシェア試験用のダイの作製>
トリアリルイソシアヌレート12.04g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(自金として3wt%含有)90mg及びほう酸トリメチル150mgをあらかじめ混合、攪拌し混合物A液を作製する。また、合成例1の反応物(B1)17.96g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン750mg及び1−エチニル−1−シクロヘキサノール90mgをあらかじめ混合、攪拌し混合物B液を作製する。上記混合物A液と混合物B液を混合し攪拌・脱泡を行い、一液混合物とした。
該一液混合物を、2枚のガラス板に3mm厚みのシリコーンゴムシートをスペーサーとしてはさみこんで作成したセルに流し、熱風乾燥機中で60℃/6時間、70℃/1時間、80℃/1時間、120℃/1時間、150℃/1時間、180℃/30分間加熱した後、硬化させた。得られた透明な成形体を3mm(縦)×3mm(横)×1mm(厚)にダイヤモンドカッターを用いて切削し、ダイとした。
【0262】
(測定例1)
実施例4、比較例1で得られた試験片についてダイシェア試験により接着性を評価した。ダイシェア試験機はデイジ社製万能型ボンドテスター2400を用いた。温度23℃で、50kgfのロードセルを用い、試験スピードは83μm/秒で実施した。結果を表1に示した。
【0263】
(測定例2)
実施例4、比較例1で得られた試験片について、ダイを通して接着面に光が照射されるようにした状態で耐光性試験を実施した。耐光性試験はスガ試験機製スーパーキセノンウエザーメーターを用い、放射照度0.18kW/m、1時間42分照射に引き続き18分降雨のサイクル試験、ブラックパネル温度63℃、湿度50%の試験条件で330時間実施した。耐光性試験後の試験片について、測定例1と同様の条件でダイシェア試験により接着性を評価した。結果を表1に示した。
【0264】
【表1】

【0265】
表1から明らかな様に、本発明の遮光ペーストは耐光性試験後の接着性低下が見られず、遮光能を有していることが明らかとなった。また、耐光性試験後も着色がなく高耐光性を有していた。従って、本発明の硬化性組成物は遮光ペーストとして好適に用いることが出来る。
【0266】
(合成例2)
(A)成分としてトリアリルイソシアヌレート54.51gとジアリルモノグリシジルイソシアヌレート87.03gの混合物、(B)成分として合成例1の反応物(B1)162.64g、(C)成分として白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)913mg、(D)成分としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン7.60g、(E)成分としてほう酸トリメチル1.52gを用いた。上記(A)成分、(C)成分及び(E)成分をあらかじめ混合、攪拌し混合物A液を作製した。また、上記(B)成分、(D)成分及び1−エチニル−1−シクロヘキサノール913mgをあらかじめ混合、攪拌し混合物B液を作製した。
【0267】
(実施例5)
合成例2で作製した混合物A液114gと混合物B液136gを遊星式攪拌脱泡機(クラボウ(株)、マゼルスターKK−500)にて10.5分攪拌した。そこに(F)成分として酸化チタン(石原産業(株),タイペークR−820)を250g加えて遊星式攪拌脱泡機にて2分間攪拌した。そこに(G)成分としてシリカ(日本アエロジル(株),アエロジル300)を7.5g加えて120分間混合し、硬化性組成物を得た。
該硬化性組成物のE型粘度計による粘度(0.5rpm/1rpm)は46Pa・s/31Pa・sであった。該硬化性組成物150mgを、10cm×10cm×3mm厚の青板ガラス上に、円形にガラス板の端から約1cmの位置に塗布した。そのガラス板を塗布部分が上部にくるようにし、80度の角度に傾斜させ100℃に加熱したオーブン中に設置した。1時間経過後、硬化性組成物は流動しておらず、流延性は0cmであった。
【0268】
(実施例6)
合成例2で作製した混合物A液363gと混合物B液434gをディゾルバーにて3分攪拌した。そこに(F)成分として酸化チタン(石原産業(株),タイペークR−820)を800g加えてディゾルバーにて14分間攪拌した。そこに(G)成分としてシリカ(日本アエロジル(株),アエロジル300)を24g加えて49分間混合し、硬化性組成物を得た。
該硬化性組成物のE型粘度計による粘度(0.5rpm/1rpm)は39Pa・s/26Pa・sであった。該硬化性組成物150mgを、10cm×10cm×3mm厚の青板ガラス上に、円形にガラス板の端から約1cmの位置に塗布した。そのガラス板を塗布部分が上部にくるようにし、80度の角度に傾斜させ100℃に加熱したオーブン中に設置した。1時間経過後、硬化性組成物は流動しておらず、流延性は0cmであった。
【0269】
(実施例7)
合成例2で作製した混合物A液46gと(F)成分として酸化チタン(石原産業(株),タイペークR−820)46g及び(G)成分としてシリカ(日本アエロジル(株),アエロジル300)を1.4g加えて遊星式攪拌脱泡機にて攪拌した。また、混合物B液55gと(F)成分として酸化チタン(石原産業(株),タイペークR−820)55g、及び(G)成分としてシリカ(日本アエロジル(株),アエロジル300)を1.7g加えて遊星式攪拌脱泡機にて攪拌した。混合液A液−酸化チタン−シリカ混合物30.0gと混合液B液−酸化チタン−シリカ混合物35.7gを攪拌脱泡機にて混合した。
該硬化性組成物のE型粘度計による粘度(0.5rpm/2.5rpm)は17Pa・s/12Pa・sであった。該硬化性組成物150mgを、10cm×10cm×3mm厚の青板ガラス上に、円形にガラス板の端から約1cmの位置に塗布した。そのガラス板を塗布部分が上部にくるようにし、80度の角度に傾斜させ100℃に加熱したオーブン中に設置した。1時間経過後、硬化性組成物は流動しており、流延性は9cm以上であった。
【0270】
(実施例8)
合成例2で作製した混合物A液46gと(G)成分としてシリカ(日本アエロジル(株),アエロジル300)を3g加えて遊星式攪拌脱泡機にて攪拌した。また、混合物B液54gと(F)成分として酸化チタン(石原産業(株),タイペークR−820)を100g加えて遊星式攪拌脱泡機攪拌した。混合液A液−シリカ混合物30.2gと混合液B液−酸化チタン混合物95.9gを攪拌脱泡機にて混合した。
該硬化性組成物のE型粘度計による粘度(0.5rpm/1.0rpm)は17Pa・s/12Pa・sであった。該硬化性組成物150mgを、10cm×10cm×3mm厚の青板ガラス上に、円形にガラス板の端から約1cmの位置に塗布した。そのガラス板を塗布部分が上部にくるようにし、80度の角度に傾斜させ100℃に加熱したオーブン中に設置した。1時間経過後、硬化性組成物は流動しており、流延性は9cm以上であった。
【0271】
(実施例9)
合成例2で作製した混合物B液54gと(F)成分として酸化チタン(石原産業(株),タイペークR−820)を100g、(G)成分としてシリカ(日本アエロジル(株),アエロジル300)を3g加えて遊星式攪拌脱泡機にて攪拌した。合成例2で作製した混合物A液22.5gと混合液B液−酸化チタン−アエロジル混合物77.5gを攪拌脱泡機にて混合した。
該硬化性組成物のE型粘度計による粘度(1.0rpm/2.5rpm)は9Pa・s/10Pa・sであった。該硬化性組成物150mgを、10cm×10cm×3mm厚の青板ガラス上に、円形にガラス板の端から約1cmの位置に塗布した。そのガラス板を塗布部分が上部にくるようにし、80度の角度に傾斜させ100℃に加熱したオーブン中に設置した。1時間経過後、硬化性組成物は流動しており、流延性は9cm以上であった。
【0272】
(実施例10)
(A)成分としてトリアリルイソシアヌレート54.51gとジアリルモノグリシジルイソシアヌレート87.03gの混合物、(B)成分として合成例1の反応物(B1)162.64g、(C)成分として白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)913mg、(D)成分としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン7.60g、(E)成分としてほう酸トリメチル1.52gを用いた。上記(A)成分、(C)成分及び(E)成分をあらかじめ混合、攪拌し混合物A液を作製した。また、上記(B)成分、(D)成分及び1−エチニル−1−シクロヘキサノール90mgをあらかじめ混合、攪拌し混合物B液を作製した。上記混合物A液と混合物B液を混合し攪拌・脱泡を行い一液混合物とした。該混合物2.5gに(F)成分である酸化チタン(石原産業(株),タイペークR−820)2.5gを混合し、さらにシリカ(日本アエロジル(株),アエロジルR812)25mgを混合し、攪拌・脱泡を行い遮光ペーストを得た。
【0273】
(実施例11)
実施例10で得られた(A)〜(E)成分の一液混合物2.5gに、(F)成分である酸化チタン(石原産業(株),タイペークR−820)0.625gを混合し、さらにシリカ(日本アエロジル(株),アエロジルR812)250mgを混合し、攪拌・脱泡を行い遮光ペーストを得た。
【0274】
(実施例12)
(A)成分としてトリアリルイソシアヌレート12.04g、(B)成分として合成例1の反応物(B1)17.96g、(C)成分として白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)90mg、(D)成分としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン750mg、(E)成分としてほう酸トリメチル150mgを用いた。上記(A)成分、(C)成分及び(E)成分をあらかじめ混合、攪拌し混合物A液を作製した。また、上記(B)成分、(D)成分及び1−エチニル−1−シクロヘキサノール90mgをあらかじめ混合、攪拌し混合物B液を作製した。上記混合物A液と混合物B液を混合し攪拌・脱泡を行い一液混合物とした。該混合物2.5gに(F)成分である酸化チタン(石原産業(株),タイペークR−820)2.5gを混合し、さらにシリカ(日本アエロジル(株),アエロジルR812)188mgを混合し、攪拌・脱泡を行い遮光ペーストを得た。
【0275】
(実施例13)
実施例11で得られた遮光ペーストの硬化時間を測定した。115℃におけるスナップアップタイムで測定された硬化時間は32秒であり、本発明の遮光用樹脂層の形成方法に適用可能な遮光ペーストであった。
【0276】
(実施例14)
実施例10〜12記載の遮光ペースト50mgをガラス板に8mm径の円状に塗布した後、該ガラス板を斜め80度に固定して、21℃に10分間保持した時の流下距離を評価した。実施例10:2cm,実施例11:2cm,実施例12:2.5cmであり、本発明の遮光用樹脂層の形成方法に適用可能な遮光ペーストであった。
【0277】
(実施例15)
実施例10〜12記載の遮光ペースト50mgをガラス板に8mm径の円状に塗布した後、該ガラス板を斜め80度に固定して、60℃に5分間保持した時の流下距離を評価した。実施例10:4.5cm,実施例11:3.5cm,実施例12:4.0cmであり、本発明の遮光用樹脂層の形成方法に適用可能な遮光ペーストであった。
【0278】
(実施例16)
50μmのポリエステル製テープをスペーサーとし、ガラス板上にガラス棒で、実施例10〜12で得られた遮光ペーストを21℃でコーティングした。プレパラートに両面テープで樹脂製のLED用パッケージ(約3×2×1mm厚)を、パッケージ開口部と逆側の面で装着した。LED用パッケージ10個を1回の試験単位とした。該パッケージの開口部を、上記ガラス板上にコーティングされた遮光ペーストに、約1秒間、21℃で密着させた。パッケージ開口部を上にした状態で60℃の熱風乾燥機中で5分間加熱した。
実施例10〜12で得られた遮光ペーストは、パッケージ底面の電極部底面への流延は見られず、該パッケージの開口部側面にのみ遮光ペーストが塗布され、遮光用樹脂層が形成された。また、塗布に要した時間は6分以内であった。
【0279】
(比較例2)
実施例16で用いたものと同様のLED用パッケージに、実施例10〜12で得られた遮光ペーストを針で塗布した。10個すべてを側面のみに塗布するために30分以上要した上に、作業者の熟練度に大きく依存すること、また眼が非常に疲れやすい作業であることが明らかとなり、量産化に耐えうる方法ではないことが明らかとなった。
従って、本発明の遮光用樹脂層の形成方法は、効率的であり生産性向上につながる。
【0280】
(実施例17)
まず、半導体素子として、サファイア基板上にn型層、活性層及びp型層を含む窒化物半導体層を順次形成し、活性層及びp型層の一部を除去してn型層の一部を露出させた。この露出させたn型層の上にn電極、p型層の上にp電極をそれぞれ形成し、単色性発光ピークが可視光である475nmの青色の発光が可能な窒化ガリウム系化合物半導体の発光素子を形成した。
また、酸化チタン等の顔料にて高反射化された熱可塑性樹脂(ポリフタルアミド)をハウジング材料として用い、パッケージ成形体を作製した。つまり、ポリフタルアミド樹脂100重量部に、強化材としてグラスファイバーを40重量部、顔料として酸化チタン20重量部に微量の熱安定剤を添加して混練し、銀メッキされたリードフレーム材と一体型に射出成形した。
得られたパッケージ成形体は、縦3.5mm、横2.8mm、高さ2.0mmの直方体の形状を成していた。パッケージ成形体は開口する凹部を有し、その凹部の底面に発光素子を載置した。パッケージ成形体の凹部の開口部分は、縦3.1mm、横2.4mmの略長方形であった。パッケージ成形体の凹部は、開口部側が広口のテーパー形状を形成していた。載置された発光素子を覆うように凹部に封止樹脂を注入して硬化した。パッケージ成形体は、一端部がパッケージ成形体に挿入され、他端部がパッケージ成形体の外壁面から突出するように形成された一対のリード電極を有していた。リード電極の主面の一部がそれぞれ第2の凹部の底面にて露出していた。
パッケージ成形体凹部内に、エポキシ樹脂を用いて発光素子をダイボンドして固定した。導電性ワイヤーであるAu線を、発光素子の各電極と各リード電極とに、それぞれワイヤーボンディングにより電気的に接続した。
続いて、高反射コーティング部材として、実施例6で得られた硬化性組成物を、発光素子に接触しないように、パッケージ成形体の凹部の側壁に塗布、乾燥し、約100℃、約1時間で硬化させた。
さらに、パッケージ成形体凹部の上から、封止部材として、合成例2の混合物A液10gと混合物B液11.9gの組合せからなる封止樹脂を注入した。これを、60℃で約6時間、70℃で約1時間、80℃で約1時間、120℃で約1時間、150℃で約1時間、180℃で約0.5時間の条件で硬化させ、半導体装置としての発光ダイオードを作製した。
【0281】
(比較例3)
高反射コーティング部材をパッケージ成形体の凹部に塗布しないこと以外は、上記の実施例17と同様にして発光ダイオードを作製した。
【0282】
(測定例3)
得られた発光ダイオードの光出力を測定したところ、表2に示すように、20mAの通電時、実施例17の発光ダイオードは、ほぼ5800μW程度の光出力が得られたが、比較例3の発光ダイオードでは、同条件でほぼ4670μW程度の光出力しか得られなかった。これより実施例17の発光ダイオードは、比較例3の発光ダイオードと比較して、初期の光出力の向上を図れることが確認された。
【0283】
【表2】

【0284】
また、実施例17及び比較例3で作製した発光ダイオードを、260℃でリフロー実装を繰り返し、初期の光出力を100としたときの光出力の低下をそれぞれ測定した。その結果を以下に示す。
【0285】
【表3】

【0286】
表3から、実施例17においては、高反射コーティング部材の形成により、リフロー時の熱によるリフレクター部の黄変が抑制され、出力低下が抑制されたことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0287】
本発明の硬化性組成物は、遮光性に優れ、高い耐光性を有するため遮光ペーストとして用いることが出来る。また、本発明の硬化性組成物は、低流動性であるため、当該硬化性組成物を用いることにより、LED用パッケージの側壁にのみ硬化物が形成されている発光ダイオードを得ることが出来る。さらに、本発明の遮光用樹脂層の形成方法によれば、効率的に、LED用パッケージ側壁にのみ、遮光ペーストを塗布し、遮光用樹脂層を形成可能であり、生産性が大幅に向上する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、
(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、
(C)ヒドロシリル化触媒、
(D)シランカップリング剤及び/又はエポキシ基含有化合物、
(E)シラノール縮合触媒、及び、
(F)酸化チタンを必須成分として含む遮光ペーストであって、
前記(F)酸化チタンがルチル型であり、その平均粒子径が0.1〜1.0μmである、遮光ペースト。
【請求項2】
(A)成分がトリアリルイソシアヌレートとモノグリシジルジアリルイソシアヌレートの混合物であり、
(B)成分が1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとトリアリルイソシアヌレートの反応物である、請求の範囲第1項に記載の遮光ペースト。
【請求項3】
(E)成分が、ほう酸トリノルマルオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリエチル及びほう酸トリメチルからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求の範囲第1または2項に記載の遮光ペースト。
【請求項4】
さらに(G)シリカを含有する、請求の範囲第1〜3項のいずれか一項に記載の遮光ペースト。
【請求項5】
前記(G)シリカの一次粒子の平均粒子径が3〜20nmである、請求の範囲第4項に記載の遮光ペースト。
【請求項6】
80度の角度に傾斜したガラス基材上での、100℃で1時間経過後における遮光ペーストの流延性が2cm以下である、請求の範囲第4または5項に記載の遮光ペースト。
【請求項7】
(A)成分〜(E)成分を混合したものに、(F)成分及び(G)成分を混合して得られる請求の範囲第4〜6項のいずれか一項に記載の遮光ペースト。
【請求項8】
請求の範囲第1〜7項のいずれか一項に記載の遮光ペーストを硬化させてなる遮光用樹脂。
【請求項9】
LED用パッケージ開口部の実質上側壁にのみ、請求の範囲第8項記載の遮光用樹脂を有することを特徴とするLED用パッケージ。
【請求項10】
LED用パッケージが樹脂製であることを特徴とする請求の範囲第9項記載のLED用パッケージ。
【請求項11】
LED用パッケージの成形樹脂が半結晶性ポリマー樹脂を含有する組成物であることを特徴とする請求の範囲第9項記載のLED用パッケージ。
【請求項12】
LED用パッケージがセラミック製であることを特徴とする請求の範囲第9項記載のLED用パッケージ。
【請求項13】
LED用パッケージの開口部が長方形であることを特徴とする請求の範囲第9項記載のLED用パッケージ。
【請求項14】
LED用パッケージの開口部が円形であることを特徴とする請求の範囲第9項記載のLED用パッケージ。
【請求項15】
LED用パッケージの開口部が楕円形であることを特徴とする請求の範囲第9項記載のLED用パッケージ。
【請求項16】
底面と側壁とからなる開口部を備え、かつ、開口部底面には正の外部電極と負の外部電極との各端部が所定の間隔を隔てて露出するように成形樹脂にて一体成形されてなるLED用パッケージと、LED用パッケージの底面に載置される発光素子とを有する半導体装置において、該LED用パッケージの実質上側壁にのみ、請求の範囲第1〜7項のいずれか一項に記載の遮光ペーストが塗布され、及び/又は請求の範囲第8項記載の遮光用樹脂が形成され遮光されてなることを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
パッケージの成形樹脂が半結晶性ポリマー樹脂を含有する組成物であることを特徴とする請求の範囲第16項記載の半導体装置。
【請求項18】
底面と側壁とからなる開口部を備え、かつ、開口部底面には正の外部電極と負の外部電極との各端部が所定の間隔を隔てて露出するように成形樹脂にて一体成形されてなるLED用パッケージにおいて、
(1)基材に塗布させた遮光ペーストに、
(2)LED用パッケージの開口部を密着させた後、
(3)LED用パッケージの開口部を上にした状態で加熱する、
ことにより、遮光ペーストをパッケージの側壁にのみ流延させることを特徴とする遮光用樹脂層の形成方法。
【請求項19】
遮光ペーストが、平板、水平板、板状ベルト、Δ状ロールからなる群より選ばれる平面状基材上にコーティングされていることを特徴とする請求の範囲第18項記載の遮光用樹脂層の形成方法。
【請求項20】
遮光ペーストが、ロール、ボールからなる群より選ばれる曲面状基材上にコーティングされていることを特徴とする請求の範囲第18項記載の遮光用樹脂層の形成方法。
【請求項21】
LED用パッケージの開口部を上にした状態で加熱する工程(3)において、加熱を段階的に実施することを特徴とする請求の範囲第18項記載の遮光用樹脂層の形成方法。
【請求項22】
LED用パッケージの開口部が長方形であり、短い方の一辺の長さが100μm以上であることを特徴とする請求の範囲第18項記載の遮光用樹脂層の形成方法。
【請求項23】
LED用パッケージの開口部が円形であることを特徴とする請求の範囲第18項記載の遮光用樹脂層の形成方法。
【請求項24】
LED用パッケージの開口部が楕円形であることを特徴とする請求の範囲第18項記載の遮光用樹脂層の形成方法。
【請求項25】
遮光ペーストの粘度が、常温(23℃)では10ポイズ以上であり、加熱時(30℃)には1ポイズ以上であることを特徴とする請求の範囲第18〜24項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法。
【請求項26】
遮光ペーストの23℃におけるチクソ性(粘度比)が0.8〜1.2であることを特徴とする請求の範囲第18〜24項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法。
【請求項27】
遮光ペーストの115℃におけるスナップアップタイムで測定される硬化時間が15秒〜90秒であることを特徴とする請求の範囲第18〜24項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法。
【請求項28】
遮光ペースト50mgをガラス板に8mm径の円状に塗布した後、該ガラス板を斜め80度に固定して、21℃に10分間保持した時の流下距離が、5mm〜30mmであることを特徴とする請求の範囲第18〜24項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法。
【請求項29】
遮光ペースト50mgをガラス板に8mm径の円状に塗布した後、該ガラス板を斜め80度に固定して、60℃に5分間保持した時の流下距離が、10mm〜70mmであることを特徴とする請求の範囲第18〜24項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法。
【請求項30】
前記遮光ペーストが、
(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、
(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、
(C)ヒドロシリル化触媒、
(D)シランカップリング剤及び/又はエポキシ基含有化合物、
(E)シラノール縮合触媒、及び、
(F)酸化チタンを必須成分として含む遮光ペーストであって、
前記(F)酸化チタンがルチル型であり、その平均粒子径が0.1〜1.0μmである、請求の範囲第18〜24項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法。
【請求項31】
さらに(G)シリカを含有する、請求の範囲第30項に記載の遮光用樹脂層の形成方法。
【請求項32】
シリカが疎水性シリカであることを特徴とする請求の範囲第31項記載の遮光用樹脂層の形成方法。
【請求項33】
前記(E)成分が、ほう酸トリノルマルオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリエチル及びほう酸トリメチルからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求の範囲第30項記載の遮光用樹脂層の形成方法。
【請求項34】
前記(A)成分がトリアリルイソシアヌレートとモノグリシジルジアリルイソシアヌレートの混合物であり、(B)成分が1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとトリアリルイソシアヌレートの反応物である、請求の範囲第30項記載の遮光用樹脂層の形成方法。
【請求項35】
請求の範囲第18〜24項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法により形成された遮光用樹脂の黄色度(イェローインデックス,YI)が、初期値を100とした場合、260℃/3分間加熱後の値が100〜150であることを特徴とする遮光用樹脂。
【請求項36】
請求の範囲第18〜24項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法により形成された遮光用樹脂の黄色度(イェローインデックス,YI)が、初期値を100とした場合、キセノンウエザーメーターによる耐光性試験後の値が100〜150であることを特徴とする遮光用樹脂。
【請求項37】
請求の範囲第18〜24項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法により形成された遮光用樹脂層の厚みが、1〜1000μmであることを特徴とする遮光用樹脂。
【請求項38】
請求の範囲第18〜24項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法により形成された遮光用樹脂と基板との接着強度が、初期値を100とした場合、キセノンウエザーメーターによる耐光性試験後の値が70以上であることを特徴とする遮光用樹脂。
【請求項39】
請求の範囲第18〜34項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法によって遮光ペーストが塗布され、遮光用樹脂層が形成されたLED用パッケージ。
【請求項40】
LED用パッケージが樹脂製であることを特徴とする請求の範囲第39項記載のLED用パッケージ。
【請求項41】
LED用パッケージが半結晶性ポリマー樹脂を含有することを特徴とする請求の範囲第39項記載のLED用パッケージ。
【請求項42】
LED用パッケージがセラミックス製であることを特徴とする請求の範囲第39項記載のLED用パッケージ。
【請求項43】
底面と側壁とからなる開口部を備え、かつ、開口部底面には正の外部電極と負の外部電極との各端部が所定の間隔を隔てて露出するように成形樹脂にて一体成形されてなるLED用パッケージと、LED用パッケージの底面に載置される発光素子とを有する半導体装置において、該LED用パッケージの実質上側壁にのみ、請求の範囲第18〜34項のいずれか一項に記載の遮光用樹脂層の形成方法により、遮光用樹脂が形成され遮光されてなることを特徴とする半導体装置。
【請求項44】
LED用パッケージが樹脂製であることを特徴とする請求の範囲第43項記載の半導体装置。
【請求項45】
LED用パッケージが半結晶性ポリマー樹脂を含有することを特徴とする請求の範囲第43項記載の半導体装置。
【請求項46】
LED用パッケージがセラミックス製であることを特徴とする請求の範囲第43項記載の半導体装置。
【請求項47】
底面と側壁とからなる開口部を備え、かつ、開口部底面には正の外部電極と負の外部電極との各端部が所定の間隔を隔てて露出するように成形樹脂にて一体成形されてなるLED用パッケージと、LED用パッケージの底面に載置される発光素子とを有する半導体装置において、発光素子の周囲のLED用パッケージの底面及び側壁に、遮光用樹脂が形成され遮光されてなることを特徴とする半導体装置。

【公開番号】特開2011−94143(P2011−94143A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256121(P2010−256121)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【分割の表示】特願2005−502905(P2005−502905)の分割
【原出願日】平成16年2月25日(2004.2.25)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】