説明

硬化性組成物及びそれを用いた硬化皮膜の製造方法

【課題】電子線に対して高感度であり、保存安定性に優れ、有機高分子基材上に密着性が良好な皮膜を作製できる電子線硬化性組成物、及び、有機高分子基材上に密着性に優れた硬化皮膜を製造する方法を提供すること。
【解決手段】式(I)で表される化合物を含有することを特徴とする電子線硬化性組成物。


式(I)中、Q1はシアノ基又は−COX2基を表し、X1は、ヘテロ原子を介してα炭素に結合する水素原子、有機残基若しくはポリマー鎖、又は、ハロゲン原子を表し、X2は、ヘテロ原子を介してカルボニル基に結合する水素原子、有機残基若しくはポリマー鎖、又は、ハロゲン原子を表し、Ra、Rbは各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は有機残基を表し、X1とX2、RaとRb、X1とRa又はRbとが互いに結合して環状構造を形成してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料、インキ、接着剤、粘着剤等に使用することのできる有機高分子基材への密着性に優れた硬化性組成物に関する。また、本発明は、有機高分子基材に優れた密着性を有する硬化皮膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
硬化性組成物には、光、熱及び電子線等各種エネルギーによる硬化性組成物があるが、製造プロセスにおける生産性向上(処理速度や印加エネルギー量の削減)の点を考慮した場合、光硬化性組成及び電子線硬化性組成物が好適に使用されている。
光硬化性組成物としては、ラジカル重合系が使用されることが多く、生産性向上の観点からは硬化が速いより高感度なラジカル重合系が求められている。ラジカル重合系の高感度化の試みとしては、光重合開始剤や重合性化合物等の種々の検討がなされており、高感度な重合性化合物として特許文献1及び特許文献2に記載の重合性化合物等、低感度化の主原因である空気中の酸素の重合阻害を低減するなどの試みがなされている。
【0003】
一方、電子線硬化性組成物としても生産性の点でラジカル重合系が好適に使用されている。電子線の場合には光とは異なり、電子線の発生が必然的に真空下で行われるため、酸素による重合阻害は、プロセス上問題とはならない。また、重合性化合物が直接電子線を受けて重合を開始するため、開始剤の存在も不要である。さらには、電子線の性質により、膜形成の場合には深さ方向に対し、膜表面から基材界面まで、十分に反応が起こり、むしろ物質の密度の高い基材界面が反応しやすいというメリットを有する。光は光硬化性膜の深さ方向に対して、膜表面で光が吸収されて反応が起こりやすく、硬化性膜と基材の界面では起こりにくい。
【0004】
しかし、その反面、高出力の電子線では、基材自身の化学結合を破壊し、特に有機化合物を基材とした場合には、結合解裂等が生じ、ガス発生や化学的構造変化あるいは基材表面の物性変化等の問題があり、昨今では、低エネルギーの電子線の利用へ移行しつつある。しかし、低出力にした場合には、製造プロセスに好適なレベルまで高感度な硬化性組成物にしようとすると、重合性化合物の構造が、電子線による重合に好適な構造に限定されるという問題がある。
すなわち、本来、硬化性組成物は、重合して膜となった際の粘性、接着性、弾性、硬度、親水性、導電性等々の膜物性又は、機能発現が重要であるが、硬化性化合物の化学構造に制約を伴うことでそのバリエーションの幅が、狭まることが非常に問題である。
【0005】
【特許文献1】特開2001−92127号公報
【特許文献2】特開2002−105128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、電子線に対して高感度であり、保存安定性に優れ、有機高分子基材上に密着性が良好な皮膜を作製できる電子線硬化性組成物、及び、有機高分子基材上に密着性に優れた硬化皮膜を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、下記に記載の手段により達成された。
<1>式(I)で表される化合物を含有することを特徴とする電子線硬化性組成物、
【0008】
【化1】

式(I)中、Q1はシアノ基又は−COX2基を表し、X1は、ヘテロ原子を介してα炭素に結合する水素原子、有機残基若しくはポリマー鎖、又は、ハロゲン原子を表し、X2は、ヘテロ原子を介してカルボニル基に結合する水素原子、有機残基若しくはポリマー鎖、又は、ハロゲン原子を表し、Ra、Rbは各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は有機残基を表し、X1とX2、RaとRb、X1とRa又はRbとが互いに結合して環状構造を形成してもよい、
<2>前記X1が、エーテル結合、エステル結合、チオエーテル結合及びチオエステル結合よりなる群から選ばれた少なくとも1つの結合を有する有機残基若しくはポリマー鎖である<1>に記載の電子線硬化性組成物、
<3>着色剤を含む<1>又は<2>に記載の電子線硬化性組成物、
<4>硬化皮膜の製造方法であって、有機高分子基材上に<1>〜<3>いずれか1つに記載の電子線硬化性組成物を用いて電子線硬化性層を形成する工程、及び、前記電子線硬化性層に電子線を照射して、前記電子線硬化性層を硬化させる工程を含むことを特徴とする硬化皮膜の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子線に対して高感度であり、保存安定性に優れ、有機高分子基材上に密着性が良好な皮膜を作製できる電子線硬化性組成物、及び、有機高分子基材上に密着性に優れた硬化皮膜を製造する方法を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(1)電子線硬化性組成物
本発明の電子線硬化性組成物は式(I)に示す化合物を含むことを特徴とする。また、本発明の電子線硬化性組成物は、着色剤を含有することが好ましい。更に必要に応じて、分散剤、界面活性剤等を含むこともできる。
本発明の電子線硬化性組成物は電子線の照射により硬化可能であり、「電子線」は、ほぼ一定の運動エネルギーを有する電子ビームであり、その照射により電子線硬化性組成物中において重合開始種を発生させ、電子線硬化性組成物を効果することができる。
以下、本発明の電子線硬化性組成物に含まれる成分について説明する。
【0011】
本発明の電子線硬化性組成物は式(I)で表される化合物を含有する。
【0012】
【化2】

【0013】
式(I)中、Q1はシアノ基又は式COX2を表し、X1は、ヘテロ原子を介してα炭素に結合する水素原子、有機残基若しくはポリマー鎖、又は、ハロゲン原子を表し、X2は、ヘテロ原子を介してカルボニル基に結合する水素原子、有機残基若しくはポリマー鎖、又は、ハロゲン原子を表し、Ra、Rbは各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は有機残基を表し、X1とX2、RaとRb、X1とRaあるいはRbとが互いに結合して環状構造を形成してもよい。
【0014】
本発明において、式(I)で表される化合物は、エチレン性不飽和二重結合を形成する片方の炭素原子に2つの置換基が結合したエチレン性不飽和基を少なくとも1つ有する。
1及びX2は1価の有機残基でも良く、2価若しくはn価の有機連結基によってX1同士若しくはX2同士が連結して2官能型若しくはn官能型となっていても良く、又、オリゴマー又はポリマー中のモノマー単位の残基を形成して高分子型となってもよい。
以下に式(I)で表される代表的な化合物群i)〜iv)について説明する。
【0015】
以下の説明において、X2はエチレン性不飽和結合のα−位にあるカルボニル基に直接結合するので、X1と同じく、「ヘテロ原子を介してα炭素に結合する水素原子、1価の有機残基、又はハロゲン原子」ともいうことにする。
式(I)で示される化合物は、Q1が−COX2を表す場合において、X1及びX2がヘテロ原子を介してα炭素に結合する水素原子、1価の有機残基、又はハロゲン原子である場合には、後掲のi)単官能型エチレン性不飽和化合物となり(例示化合物A−1〜A−42)、X1とX2、RaとRb、X1とRaあるいはRbとが互いに結合して環状構造を形成する場合には、環状構造を有する単官能型エチレン性不飽和化合物となる(例示化合物B−1〜B−9)。
式(I)で示される化合物は、Q1が−COX2を表す場合において、X1がヘテロ原子を介してα炭素に結合する水素原子、1価の有機残基、又はハロゲン原子であって、X2がヘテロ原子を介して2つのカルボニル基に結合する2価の基である場合には、ii)2官能型エチレン性不飽和化合物となり(例示化合物C−1〜C−14)、X1がヘテロ原子を介して2つのα炭素に結合する2価の有機残基であって、X2が水素原子、1価の有機残基又はハロゲン原子である場合にもやはり2官能型エチレン性不飽和化合物となる(例示化合物D−1〜D−30)。
式(I)で示される化合物は、X1が1価の基であって、X2がn価の有機残基(n≧3)である場合には、iii)3官能型以上の官能基数を有するn官能型エチレン性不飽和化合物となり(例示化合物E−1〜E−22)、X1がn価の有機残基(n≧3;nは3以上の整数を表す。)であってX2が水素原子、1価の有機残基又はハロゲン原子である場合にもやはりn官能型エチレン性不飽和化合物となる(例示化合物F−1〜F−30)。
又、式(I)で示される化合物は、X1又はX2のいずれかが、好ましくはX2が、付加重合又は付加共重合により生成するオリゴマー又は高分子のモノマー単位の残基である場合には、iv)高分子型エチレン性不飽和化合物となる(例示化合物G−1〜G−15)。
式(I)で示される化合物は、Q1がシアノ基を表す場合においても、Q1がCOX2である場合と同様にして、後掲のようなi)単官能型、ii)2官能型、iii)多官能型、及び、iv)高分子型の化合物となることができる。
1が−COX2又は−CNを表す場合において、上記の4つの化合物群以外にも、当業者は多くのバリエーションの化合物を製造できることはいうまでもない。
【0016】
上述の高分子型エチレン性不飽和化合物では、X1、X2のうち少なくとも片方で、重合体の主鎖に結合している。即ち、重合体鎖の側鎖に式(I)から誘導される構造が存在する形態を採っている。ここで、重合体としては次の線状有機高分子重合体が例示できる。
すなわち、ポリウレタン、ノボラック、ポリビニルアルコール、ポリヒドロシスチレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリル酸アミド等のようなビニル系高分子、ポリアセタールが例示できる。これら重合体はホモポリマーでも、コポリマー(共重合体)でもよい。
【0017】
式(I)においてQ1がシアノ基又は−COX2基であり、X1又はX2において、α炭素及び有機残基等に結合するヘテロ原子は、炭素以外の原子を意味し、好ましくは非金属原子であり、具体的には酸素原子、イオウ原子、窒素原子、リン原子が挙げられ、酸素原子、イオウ原子が好ましく、酸素原子がより好ましい。X1又はX2がハロゲン原子である場合、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及びフッ素原子等が挙げられ、塩素原子、臭素原子が好ましい。
1は、好ましくは、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基、置換アミノ基、スルホ基、スルホナト基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、ホスホノ基、置換ホスホノ基、ホスホナト基、置換ホスホナト基、ニトロ基及びヘテロ環基(但し、ヘテロ原子で連結している)よりなる群から選ばれた、ヘテロ原子を介してα炭素に結合する水素原子、有機残基若しくはポリマー鎖であり、より好ましくは、酸素原子及び/又はイオウ原子を2つ以上有する置換基であり、更に好ましくは複数のエーテル結合、エステル結合、チオエーテル結合及びチオエステル結合よりなる群から選ばれた、少なくとも1つのヘテロ原子を介してα炭素に結合している有機残基若しくはポリマー鎖であり、特に好ましくは、複数のエーテル結合又はカルボン酸エステル結合の酸素原子を介してα炭素に結合している有機残基若しくはポリマー鎖である。
【0018】
2は、好ましくは、ヘテロ原子を介してカルボニル基に結合している水素原子、有機残基又はポリマー鎖であり、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基、置換アミノ基、ヘテロ環基(但し、ヘテロ原子で連結している)が例示できる。
【0019】
a、Rbは、各々独立して、より好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、又は有機残基を表し、有機残基は置換基を有していても良くかつ不飽和結合を含んでいてもよい、炭化水素基、置換オキシ基、置換チオ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、カルボキシラート基を表し、またRaとRbは互いに結合して環状構造を形成してもよい。
【0020】
次に、式(I)におけるX1、X2、Ra、Rbに許容される置換基の例を示す。この置換基には、さらに置換基を有していても良くかつ不飽和結合を含んでいてもよい炭化水素基、アシル基、ヘテロ環基が含まれる。
上記の置換基を有していても良くかつ不飽和結合を含んでいてもよい炭化水素基としては、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基及び置換アルキニル基が挙げられる。
上記のアシル基には、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルスルフホニル基、アリールスルホニル基が含まれる。
上記のヘテロ環基には、窒素、酸素、硫黄原子をヘテロ原子として含む5員又は6員のヘテロ環基及びこれに芳香族基が縮合した基が含まれる。
【0021】
アルキル基としては炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基をあげることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
【0022】
置換アルキル基は置換基とアルキレン基との結合により構成される基であり、その置換基としては、水素を除く一価の非金属原子(団)が挙げられ、式(I)で示される化合物の重合反応を阻害しない限り任意の原子又は基が許容される。置換アルケニル基、置換アルキニル基、置換アリール基も同様に定義できる。これらの基において、好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシルオキシ基、シアノ基が例示できる。その他の許容できる置換基は、特許文献1の段落0017〜0041に記載されている。
【0023】
アリール基としては、炭素数が6〜20であり、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものをあげることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナブテニル基、フルオレニル基、をあげることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
【0024】
アルケニル基としては、炭素数2〜20の基が好ましい。置換アルケニル基は、置換基がアルケニル基の水素原子と置き換わり結合したものであり、この置換基としては、上述の置換アルキル基における置換基が用いられる。
【0025】
アルキニル基としては、炭素数2〜20であることが好まし。置換アルキニル基は、置換基がアルキニル基の水素原子と置き換わり、結合したものであり、この置換基としては、上述の置換アルキル基における置換基が用いられる。
【0026】
次に、X1とX2、RaとRb、又はX1とRaあるいはRbとが互いに結合して形成する環状構造の例を示す。X1とX2、RaとRb、又はX1とRaあるいはRbとが互いに結合して形成する脂肪族環としては、5員環、6員環、7員環及び8員環の脂肪族環をあげることができ、より好ましくは、5員環、6員環の脂肪族環をあげることができる。これらは更に、これらを構成する炭素原子上に置換基を有していても良く(置換基の例としては、前述の置換アルキル基に許容される置換基をあげることができる)、また、環構成炭素の一部が、ヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子、窒素原子等)で置換されていてもよい。また更に、この脂肪族環の一部が芳香族環の一部を形成していてもよい。
以下に式(I)で示される化合物を前に説明したi)単官能型、ii)2官能型、iii)多官能型、及び、iv)高分子型の順に例示化合物を示す。
【0027】
なお、以下に例示する具体例以外にも特許文献1の段落0043〜0066及び特許文献2の段落0043〜0051に他の具体例が例示されている。
【0028】
【化3】

【0029】
【化4】

【0030】
【化5】

【0031】
【化6】

【0032】
【化7】

【0033】
【化8】

【0034】
【化9】

【0035】
【化10】

【0036】
【化11】

【0037】
【化12】

【0038】
【化13】

【0039】
【化14】

【0040】
【化15】

【0041】
【化16】

【0042】
【化17】

【0043】
前掲の例示化合物の中で、A−1、A−12、A−17、A−22、A−27、A−38、B−5、C−1、D−7、E−4、F−3、G−5及びG−13については、特許文献1の段落0322〜0335に合成方法が記載されている。その他の例示化合物についても、これらの合成方法に準じて合成することができる。また、例示化合物H−1、H−2、H−3、H−4及びH−5についても特許文献2の段落0178〜0182にそれらの合成方法が記載されており、その他の例示化合物についても、これらの合成方法に準じて合成可能である。
【0044】
<硬化反応>
背景技術の欄で述べたように、低エネルギーの電子線により高感度の硬化性を示す化合物についてその化学構造面の制約を伴う理由については下記のように推定される。すなわち、電子線による重合機構について考えてみると、電子線照射装置から放出された高エネルギー電子が、硬化性組成物に多く含まれる重合性化合物に衝突し、2次電子を発生、その2次電子により重合が開始するという2段階の開始機構を経ている。また、その2次電子を効率よく発生する化合物としては、エチレンオキシド鎖やヒドロキシ基等の酸素を含有する電子リッチな化合物であり、低エネルギーの電子線を使用する際には、従来から一般的な高感度な重合性化合物として使用されているアクリル酸エステル基、アクリル酸アミド基やメタクリル酸エステル基、メタクリル酸アミド基等を有するモノマー、オリゴマー、ポリマーなどの重合性化合物の構造に、上記エチレンオキシド鎖等を含むことが必要であり、膜物性や機能発現の点で足かせとなっているのが現状である。
【0045】
本発明の電子線硬化性組成物において、式(I)に示すα−ヘテロ原子置換メチルアクリル基を有する重合性化合物が、特に電子線硬化に優れている理由は不明であるが、一応以下のように推定できる。
このα−ヘテロ原子置換メチルアクリル基を有する重合性化合物は、同じα位に置換基を有する重合性の低いイタコン酸基やα−アルキルアクリル基などとは違い、α位に置換されたヘテロ原子の電子的効果及び立体的効果により重合性が向上し、アクリル系に匹敵する重合性をもつ基であることが知られている。また、α−ヘテロ置換メチルアクリル基を有する化合物と光開始剤の組み合わせにより、酸素の重合阻害の影響が大幅に低減でき、高感度化し保存安定性がよい光重合性組成物を得られることも、重合成長速度定数や停止速度定数や開始剤とのマッチングによる連鎖成長末端が酸素と反応しにくい等の理由によるものであるとのことは知られていたが、光とは要求性能や重合開始機構が異なる電子線硬化に対する有効性は知られていなかった。
α−ヘテロ置換メチルアクリル基を有する重合化合物の電子線硬化に対する重合機構は明確ではないが、その重合性基に直接結合しているα−ヘテロ原子の効果により、2次電子が重合性基の極近傍で発生することによるものと考えている。
また、このことは、結果的に、重合性が高いが置換基を1種しか連結できないアクリル基やメタクリル基では、先にあげた2次電子を発生する構造を置換することで、機能性基の置換が困難になるということに対し、幸いにも該重合性基においては、α−ヘテロ置換部(式(I)中のX1)以外にもう一つ機能性の基を連結するアクリル部(式(I)中のQ)が存在することで、構造の制限なく種々の機能性置換基を連結することができ、電子線硬化における構造制限の問題(電子線硬化時の重合高感度化)を解消することができたと推定される。
【0046】
本発明の硬化性組成物は、式(I)で表される化合物以外の他の重合性化合物を含んでいてもよい。他の重合性化合物には、アクリル酸エステル類、α−位にヘテロ原子を有しない通常のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、α−位にヘテロ原子を有しない通常のメタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレンなどの芳香族基を有するエチレン性不飽和化合物、アクリルニトリル類、(メタ)アクリルアミド類、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知の重合性化合物が含まれる。これらの具体例として、特開2002−107927号公報の段落0051〜段落0056に記載された重合性化合物が含まれる。
【0047】
式(I)で表される化合物の含有量は、電子線硬化性組成物の全成分の重量に対して10重量%以上であることが好ましく、20重量%以上であることがより好ましく、50重量%以上であることが更に好ましく、80重量%以上であることが特に好ましい。
上記の数値の範囲内であると、保存安定性に優れた高感度の電子線硬化性組成物が得られ、硬化させた場合に、密着性に優れた硬化皮膜を得ることができる。
【0048】
<着色剤>
本発明に用いることができる着色剤としては、特に制限はないが、耐候性に優れ、色再現性に富んだ顔料及び油溶性染料が好ましく、溶解性染料等の公知の着色剤から任意に選択して使用することができる。
本発明において電子線硬化性組成物に好適に使用し得る着色剤は、電子線による硬化反応の感度を低下させないという観点からは、硬化反応である重合反応において重合禁止剤として機能しない化合物を選択することが好ましい。
【0049】
<顔料>
本発明に使用できる顔料としては、特に限定されるわけではないが、例えばカラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
赤或いはマゼンタ顔料としては、Pigment Red 3,5,19,22,31,38,42、43,48:1,48:2,48:3,48:4,48:5,49:1,53:1,57:1,57:2,58:4,63:1,81,81:1,81:2,81:3,81:4,88,104,108,112,122,123,144,146,149,166,168,169,170,177,178,179,184,185,208,216,226,257、Pigment Violet 3,19,23,29,30,37,50,88、Pigment Orange 13,16,20,36、
青又はシアン顔料としては、Pigment Blue 1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17−1,22,27,28,29,36,60、
緑顔料としては、Pigment Green 7,26,36,50、
黄顔料としては、Pigment Yellow 1,3,12,13,14,17,34,35,37,55,74,81,83,93,94,95,97,108,109,110,120、137,138,139,153,154,155,157,166,167,168,180,185,193、
黒顔料としては、Pigment Black 7,28,26、
白色顔料としては、PigmentWhite 6,18,21
などが目的に応じて使用できる。
【0050】
<油溶性染料>
以下に、本発明で使用することのできる油溶性染料について説明する。
本発明で使用することのできる油溶性染料とは、水に実質的に不溶な染料を意味する。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解できる染料の重量)が1g以下であり、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下であるものを指す。従って、油溶性染料とは、所謂水に不溶性の顔料や油溶性色素を意味し、これらの中でも油溶性色素が好ましい。
【0051】
本発明に使用可能な前記油溶性染料のうち、イエロー染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料;等が挙げられ、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
【0052】
本発明に使用可能な前記油溶性染料のうち、マゼンタ染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料が挙げられ;カップリング成分としてはピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料が挙げられ;アリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料が挙げられ;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料が挙げられ;ナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料が挙げられ;ジオキサジン染料等のような縮合多環系染料等を挙げることができる。
【0053】
本発明に適用可能な前記油溶性染料のうち、シアン染料としては、任意のものを使用することができる。例えばインドアニリン染料、インドフェノール染料或いはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料が挙げられ;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料が挙げられ;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料が挙げられ;フタロシアニン染料が挙げられ;アントラキノン染料が挙げられ;カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料;インジゴ・チオインジゴ染料等を挙げることができる。
【0054】
前記の各染料は、クロモフォア(発色性の原子団)の一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、更にはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
【0055】
以下に限定されるものではないが、好ましい具体例としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック 3,7,27,29及び34;C.I.ソルベント・イエロー 14,16,19,29,30,56,82,93及び162;C.I.ソルベント・レッド 1,3,8,18,24,27,43,49,51,72,73,109,122,132及び218;C.I.ソルベント・バイオレット 3;C.I.ソルベント・ブルー 2,11,25,35,38,67及び70;C.I.ソルベント・グリーン 3及び7;並びにC.I.ソルベント・オレンジ 2;等が挙げられる。
これらの中で特に好ましいものは、Nubian Black PC−0850、Oil Black HBB 、Oil Yellow 129、Oil Yellow 105、Oil Pink 312、Oil Red 5B、Oil Scarlet 308、Vali Fast Blue 2606、Oil Blue BOS(オリエント化学工業(株)製)、Aizen Spilon Blue GNH(保土ヶ谷化学工業(株)製)、NeopenYellow 075、Neopen Mazenta SE1378、Neopen Blue 808、Neopen Blue FF4012、Neopen Cyan FF4238(BASF社製)等である。
本発明においては、油溶性染料は1種単独で用いてもよく、また、数種類を混合して用いてもよい。
【0056】
また、着色剤として油溶性染料を使用する際、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、他の水溶性染料、分散染料、顔料等の着色剤を併用することもできる。
本発明においては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で分散染料を用いることもできる。分散染料は一般に水溶性の染料も包含するが、本発明においては水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で用いることが好ましい。
分散染料の好ましい具体例としては、C.I.ディスパースイエロー 5,42,54,64,79,82,83,93,99,100,119,122,124,126,160,184:1,186,198,199,201,204,224及び237;C.I.ディスパーズオレンジ 13,29,31:1,33,49,54,55,66,73,118,119及び163;C.I.ディスパーズレッド 54,60,72,73,86,88,91,92,93,111,126,127,134,135,143,145,152,153,154,159,164,167:1,177,181,204,206,207,221,239,240,258,277,278,283,311,323,343,348,356及び362;C.I.ディスパーズバイオレット 33;C.I.ディスパーズブルー 56,60,73,87,113,128,143,148,154,158,165,165:1,165:2,176,183,185,197,198,201,214,224,225,257,266,267,287,354,358,365及び368;並びにC.I.ディスパーズグリーン 6:1及び9;等が挙げられる。
【0057】
本発明に使用することができる着色剤は、電子性硬化性組成物に添加された後、適度に当該組成物内で分散することが好ましい。着色剤の分散には、例えば、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各分散装置を用いることができる。
【0058】
着色剤は、電子性硬化性組成物の調製に際して、各成分とともに直接添加により配合してもよいが、分散性向上のため、あらかじめ溶剤又は本発明に使用する重合性化合物のような分散媒体に添加し、均一分散或いは溶解させた後、配合することもできる。
本発明において、溶剤が硬化皮膜に残留する場合の耐溶剤性の劣化並びに残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)の問題を避けるためにも、着色剤は、重合性化合物のような分散媒体に予め添加して、配合することが好ましい。なお、分散適性の観点のみを考慮した場合、着色剤の添加に使用する重合性化合物は、最も粘度の低いモノマーを選択することが好ましい。
これらの着色剤は電子性硬化性組成物の使用目的に応じて、1種又は2種以上を適宜選択して用いればよい。
【0059】
なお、電子性硬化性組成物中において固体のまま存在する顔料などの着色剤を使用する際には、着色剤粒子の平均粒径は、好ましくは0.005〜0.5μm、より好ましくは0.01〜0.45μm、更に好ましくは0.015〜0.4μmとなるよう、着色剤、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定することが好ましい。この粒径管理によって、電子線硬化性組成物の保存安定性、透明性及び硬化感度を維持することができるので好ましい。
本発明において、電子線硬化性組成物中における着色剤の含有量は色、及び使用目的により適宜選択されるが、一般的には、電子線硬化性組成物全体の重量に対し、0.01〜30重量%であることが好ましい。
【0060】
<分散剤>
着色剤の分散を行う際に分散剤を添加することが好ましい。分散剤としては、その種類に特に制限はないが、好ましくは高分子分散剤を用いることが好ましい。高分子分散剤としては、DisperBYK−101、DisperBYK−102、DisperBYK−103、DisperBYK−106、DisperBYK−111、DisperBYK−161、DisperBYK−162、DisperBYK−163、DisperBYK−164、DisperBYK−166、DisperBYK−167、DisperBYK−168、DisperBYK−170、DisperBYK−171、DisperBYK−174、DisperBYK−182(以上BYK Chemie(株)製)、EFKA4010、EFKA4046、EFKA4080、EFKA5010、EFKA5207、EFKA5244、EFKA6745、EFKA6750、EFKA7414、EFKA7462、EFKA7500、EFKA7570、EFKA7575、EFKA7580(以上エフカ・アディティブズ社製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ(株)製)等の高分子分散剤;ソルスパース(Solsperse)3000,5000,9000,12000,13240,13940,17000,24000,26000,28000,32000,36000,39000,41000,71000などの各種ソルスパース分散剤(アビシア(株)製);アデカプルロニックL31,F38,L42,L44,L61,L64,F68,L72,P95,F77,P84,F87、P94,L101,P103,F108、L121、P−123((株)ADWKA製)及びイソネットS−20(三洋化成工業(株)製);ディスパロン KS−860,873SN,874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)(楠本化成(株)製)が挙げられる。
また、EFKA−745等のフタロシアニン誘導体(エフカ・アディティブズ(株)製)、ソルスパース5000,12000、ソルスパース22000(アビシア(株)製)等の顔料誘導体もあわせて使用することができる。
本発明において、電子線硬化性組成物中における分散剤の含有量は使用目的により適宜選択されるが、一般的には、電子線硬化性組成物全体の重量に対し、0.01〜5重量%であることが好ましい。
【0061】
<界面活性剤>
本発明の電子線硬化性組成物には、必要に応じて界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
本発明において、電子線硬化性組成物中における界面活性剤の含有量は使用目的により適宜選択されるが、一般的には、電子線硬化性組成物全体の重量に対し、0.0001〜1重量%であることが好ましい。
【0062】
(他の成分)
本発明において、電子線硬化性組成物には、必要に応じて、他の成分を添加することができる。その他の成分としては、例えば、増感剤、共増感剤、その他の重合性化合物、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、溶剤、高分子化合物、塩基性化合物等が挙げられる。
【0063】
<紫外線吸収剤>
本発明においては、得られる硬化皮膜の耐候性向上、電子線硬化性組成物の退色防止の観点から、紫外線吸収剤を添加することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.5〜15重量%であることが好ましい。
【0064】
<酸化防止剤>
電子線硬化性組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1〜8重量%であることが好ましい。
【0065】
<褪色防止剤>
本発明において、電子線硬化性組成物には、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類、などが挙げられる。前記金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体、などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、固形分換算で0.1〜8重量%であることが好ましい。
【0066】
<溶剤>
本発明において、電子線硬化性組成物には、有機高分子基材との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量は電子線硬化性組成物全体に対し0.1〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量%の範囲である。
【0067】
<高分子化合物>
本発明において、電子線硬化性組成物には、皮膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することができる。
高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。
【0068】
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、皮膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の有機高分子基材への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などが例示できる。
【0069】
<硬化皮膜の製造方法>
本発明の硬化皮膜の製造方法は、
(工程1)有機高分子基材上に前記電子線硬化性組成物を用いて電子線硬化層を形成する工程、及び、
(工程2)前記電子線硬化層に電子線を照射して、前記電子線硬化層を硬化させる工程を含むことを特徴とする。
【0070】
<工程1>
有機高分子基材上に前記電子線硬化性組成物を用いて電子線硬化層を形成する工程について説明する。
【0071】
<基材>
基材としては、特に制限はないが、アルミ、銅、銀、金、鉄、ニッケル、スズ等の金属、ガラス、陶器、磁器、天然ゴム、絹、麻、動物の毛、動物の皮、ポリエステエル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、テトロン、ナイロン、トリアセチルセルロース等セルロース類、シリコーン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエチレン等のポリオレフィン類及びスチレン−ブタジエン等の合成ゴム等の有機高分子基材が挙げられる。密着性の観点で好ましくは有機高分子基材である。より好ましくは、酸素及び/又は窒素原子を含有する有機高分子基材である。
【0072】
<有機高分子基材>
有機高分子基材は公知の材料を用いることができ、その種類に特に制限はないが、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエーテル、セルロース誘導体、ポリイミド、(メタ)アクリル系誘導体ポリマー、耐熱性エラストマー、熱硬化性ポリマー、ポリエン、主鎖網状ポリマー及び上記のポリマーの共重合体が例示できる。
【0073】
具体的には、ポリオレフィンとしてはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられ;ポリアミドとしては6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,12−ナイロン及び芳香族ポリアミドが挙げられ;ポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが挙げられ;ポリカーボネートとしてはビスフェノールA又はジフェニルカーボネートをモノマーとして形成されたポリカーボネートやポリエステルカーボネートが挙げられ;ポリエーテルとしてはポリオキシメチレン、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド及びポリスルホンが挙げられ;セルロース誘導体としては、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロースが挙げられ;(メタ)アクリル系誘導体ポリマーとしてはポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレートが挙げられ;耐熱性エラストマーとしてはシリコーン系ポリマー、フッ素系ポリマー及び窒素−リン系ポリマーが挙げられ;熱硬化性ポリマーとしてはフェノール樹脂及びエポキシ樹脂が挙げられ;ポリエンとしてはポリアセチレン、ポリジアセチレン及びポリアゾメチンが挙げられ;主鎖網状ポリマーとしてはポリ(p−フェニレン)、ポリトリアジン、ポリパラバン酸、ポリヒダントイン及びポリジスチリルピラジンが挙げられ;上記ポリマーの共重合体としては(メタ)アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンの共重合体(ABS樹脂)及びエチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、トリオキサン−エチレンオキシド共重合体が挙げられる。
フィルム状の有機高分子基材の場合、密着性に優れる点で、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、セルロース誘導体又はポリイミドが好ましく、ポリエチレンテレフタレート、及び三酢酸セルロースフィルムがより好ましく、中でもポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0074】
有機高分子基材に表面処理を施して使用してもよい。表面処理は、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸処理等が挙げられる。表面処理により、疎水性であった支持体表面に極性基を形成させたり、表面の接着に対してマイナスの要因になる薄層を除去したり、表面の架橋密度を増加させることにより密着性を向上させることができる。
【0075】
有機高分子基材の形状は特に限定されるものではなく、フィルム状、シート状、カード状、ブロック状のいずれの形状でもよく、フィルム状であることが好ましい。
【0076】
フィルム状の有機高分子基材は、一軸延伸又は二軸延伸されたものが好ましく、機械的強度の観点から、二軸延伸されたものがより好ましい。また、複数の材質を複合して製造されたものであってもよく、異種の樹脂を二層以上積層した積層体であってもよい。
フィルム状の有機高分子基材の厚さは、15〜500μmが好ましく、15〜200μmがより好ましく、40〜200μmが更に好ましい。上記の厚さの範囲内であると取り扱いやすさ、汎用性の点で有利である。
フィルム状の有機高分子基材は透明でもよいし、前記着色剤を含有していてもよい。更に、必要に応じて添加剤を添加することができる。例えば紫外線吸収剤、光安定剤、熱線吸収剤、帯電防止剤及び抗菌剤等を含んでいてもよい。
【0077】
本発明においては、紙等を有機高分子樹脂でコートした樹脂コート紙を用いることもできる。例えば上記のポリエステルフィルム、ポリオレフィンのフィルムを紙の片面又は両面にラミネートしたものが挙げられる。
また、CD−ROM、DVD−ROM等の読み出し専用光ディスク、CD−R、DVD−R等の追記型光ディスク、書き換え型光ディスク等を基材として用いることもできる。
【0078】
<電子線硬化層の形成>
電子線硬化性層は、例えば、走行下にある有機高分子基材フィルムの表面に、前記電子線硬化性組成物を所定の膜厚となるように塗布することにより形成される。
電子線硬化性組成物を塗布する塗布機としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。これらについては例えば(株)総合技術センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考にできる。
【0079】
<工程2>
前記電子線硬化層に電子線を照射して、前記電子線硬化層を硬化させる工程について説明する。
【0080】
<電子線>
電子線は、(1)重合性化合物の硬化トリガー、(2)グラフト化を誘起する活性ラジカルの発生トリガーの、2つの役割を果たすと考えられる。
ここで活性ラジカルとは、有機高分子の主鎖切断により発生するポリマーラジカルや、重合性化合物から発生するラジカル種によりポリマー鎖から水素引き抜きが起こり発生するポリマーラジカルを意味する。
有機高分子基材との密着性発現には、有機高分子基材を構成する高分子鎖から活性ラジカルが発生してグラフト化が起こることが重要であり、グラフト化量は活性ラジカル発生量に比例する。
【0081】
有機高分子基材ヘのダメージを少なくして、基材深部ではなくて基材界面付近のみでの重合反応を生じるためには、加速電圧を下げる必要があるが、下げすぎるとラジカル発生が起こりにくく重合反応が進行しなくなる、この点を両立する加速電圧としては、好ましくは、5kV〜150kVであり、より好ましくは、5kV〜100kV、最も好ましくは、5kV〜50kVである。
また、生産スピードと重合性化合物の重合度との観点で、好ましい照射量は1kGy〜200kGyであり、より好ましい量は、1kGy〜70kGy、最も好ましい量は、1kGy〜30kGyである。
【0082】
ここでいう電子線の照射線量は、以下のように決定した。線量測定フィルム(FWT−60−00 厚さ44.5μm Far West Technology(株)製)に標準線源(60Coガンマ線)で照射し、被照射線量とフィルムの吸光度の相関を求めた。続いて、電子線を照射して着色したフィルムの吸光度と同じ吸光度を示す標準線源で照射されたフィルムの被照射線量を、電子線の照射線量として決定した。
【実施例】
【0083】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例、比較例で使用した化合物の略語を記す。なお、Mnは、数平均分子量を意味する。
【0084】
(重合性化合物)
重合性化合物として、前記式(I)の例示化合物である、A−15、A−28、B−1、C−13、D−3、D−17、D−29、E−10、F−3、G−5、G−9又はG−10を用いた。
PE4A:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(共栄社化学(株)製、Mn=352)
BADGDA:ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート(共栄社化学(株)製、Mn=484)
BS575:6官能ウレタンアクリレート(荒川化学工業(株)製、Mn=818)
EB270:2官能芳香族ウレタンアクリレート(ダイセル・サイテック(株)製、Mn=約1,500)
【0085】
NDDA:ノナンジオールジアクリレート(共栄社化学(株)製、Mn=268)
TPGDA:トリプロピレングリゴールジアクリレート(東亞合成(株)製、Mn=300)
TMPTA3EO:トリメチロールプロパントリアクリレート・エチレンオキサイド3モル付加物(共栄社化学(株)製、Mn=429)
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、Mn=296)
TBA:t−ブチルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、Mn=128)
【0086】
(光重合開始剤)
Irg907:2−メチル−1{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製)
(顔料)
LBFG7330:フタロシアニン系顔料(東洋インキ製造(株)製)
MA−11:カーボンブラック(三菱化学(株)製)
【0087】
(分散剤)
S24000SC:高分子系分散剤(アビシア(株)製)
BYK−168:高分子系分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製)
S5000:高分子系分散剤(アビシア(株)製)
【0088】
(界面活性剤)
F−177:フッ素系界面活性剤メガファックF−177(大日本インキ化学工業(株)製)
(着色剤A)
着色剤Aは下記の成分を混合して調製した。
LBFG7330 13.7部
BYK−168 3.00部
S5000 0.48部
(着色剤B)
着色剤Bは下記の成分を混合して調製した。
MA−11 14.4部
S2400SC 2.65部
S5000 1.06部
【0089】
(実施例1)
A−15 10部
シクロヘキサノン 20部
F−177 0.03部
上記の成分を混ぜて調製した硬化性組成物を、#4のバーコーターで市販の未処理PETフィルムに塗工した。つぎに、エリアビーム型電子線照射装置(日新ハイボルテージ社製「CuretronEBC−200−20−30」)を用いて、加速電圧100kV、照射線量20kGyの条件で電子線を照射して硬化皮膜を作製した。
【0090】
<密着性の評価>
得られた硬化皮膜にカッターでクロス状に傷をつけ、セロハンテープ剥離試験を行い、セロハンテープ剥離後の残存塗膜の様子を目視で観察して、クロスカット密着性を5段階で評価した。
5:クロスカットで入れた4つの桝目部分が剥がれない。
4:3つの桝目部分が剥がれない(桝目の1つだけが剥がれる。)。
3:2つの桝目部分が剥がれない(2つの桝目が剥がれる。)。
2:1つの桝目部分が剥がれない(3つの桝目が剥がれる。)。
1:すべての桝目が剥離する。
製品として許容レベルは3以上である。結果を表1に示す。
【0091】
<保存安定性の評価>
調製した硬化性組成物を、高温条件下(60℃)に3日間放置し、その後、基材に塗布して同様の電子線照射又は露光し、クロスカット密着性の評価を行った。結果を表1に示す。数字が大きく変化のないことがよい。製品として許容レベルは3以上である。
【0092】
(実施例2〜8、比較例1〜8)
重合性化合物を表1に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして硬化皮膜を作製し、密着性及び保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
【0093】
(実施例9)
D−17 10部
着色剤A 3部
シクロヘキサノン 20部
F−177 0.03部
硬化性組成物は上記の各成分と、その各成分と等重量のガラスビーズ(直径2.0mm)をマヨネーズビンに入れ、ペイントコンディショナーで2時間分散させた後、ガラスビーズを取り除いて調製した。それ以外は実施例1と同様にして硬化皮膜を作製し、密着性及び保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
【0094】
(実施例10〜16、比較例9〜16)
重合性化合物、着色剤及び電子線の照射線量を表1に示すものに変更した以外は実施例9と同様にして硬化皮膜を作製し、密着性及び保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
【0095】
(比較例17)
A−15 10部
Irg907 3部
シクロヘキサノン 20部
F−177 0.03部
上記の各成分を混ぜて調製した硬化性組成物を、#4のバーコーターで、実施例1と同様のPETフィルムの表面に塗工した。
次に、80W、120Wの水銀ランプ2灯用いて、20cmの距離から紫外線を照射して硬化皮膜を作製し、密着性及び保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
【0096】
(比較例18〜24)
重合性化合物を表1に示すものに変更した以外は比較例17と同様にして硬化皮膜を作製し、密着性及び保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
【0097】
(比較例25)
D−17 10部
Irg907 3部
着色剤A 3部
シクロヘキサノン 20部
F−177 0.03部
硬化性組成物は、上記の各成分と、その各成分と等重量のガラスビーズ(直径2.0mm)をマヨネーズビンに入れ、ペイントコンディショナーで2時間分散させた後、ガラスビーズを取り除いて調製した。それ以外は比較例17と同様にして硬化皮膜を作製し、密着性及び保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
【0098】
(比較例26〜28)
重合性化合物及び着色剤を表1に示すものに変更した以外は比較例25と同様にして硬化皮膜を作製し、密着性及び保存安定性を評価した。結果を表1に示す。
【0099】
表1に示す結果より本発明の電子線硬化性組成物は、特に電子線硬化において、高感度及び高密着であり、保存安定性も良好である。
【0100】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物を含有することを特徴とする電子線硬化性組成物。
【化1】

式(I)中、Q1はシアノ基又は−COX2基を表し、X1は、ヘテロ原子を介してα炭素に結合する水素原子、有機残基若しくはポリマー鎖、又は、ハロゲン原子を表し、X2は、ヘテロ原子を介してカルボニル基に結合する水素原子、有機残基若しくはポリマー鎖、又は、ハロゲン原子を表し、Ra、Rbは各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は有機残基を表し、X1とX2、RaとRb、X1とRa又はRbとが互いに結合して環状構造を形成してもよい。
【請求項2】
前記X1が、エーテル結合、エステル結合、チオエーテル結合及びチオエステル結合よりなる群から選ばれた少なくとも1つの結合を有する有機残基若しくはポリマー鎖である請求項1に記載の電子線硬化性組成物。
【請求項3】
着色剤を含む請求項1又は2に記載の電子線硬化性組成物。
【請求項4】
硬化皮膜の製造方法であって、
有機高分子基材上に請求項1〜3いずれか1つに記載の電子線硬化性組成物を用いて電子線硬化性層を形成する工程、及び、
前記電子線硬化性層に電子線を照射して、前記電子線硬化性層を硬化させる工程を含むことを特徴とする
硬化皮膜の製造方法。

【公開番号】特開2008−201889(P2008−201889A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−39379(P2007−39379)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】