説明

硬化性組成物及び膜

(i)少なくとも2個のアクリルアミド基を含む架橋剤2.5〜50重量%と、(ii)エチレン性不飽和基と陽イオン基とを含む硬化性イオン化合物12〜65重量%と、(iii)溶媒10〜70重量%と、(iv)フリーラジカル開始剤0〜10重量%と、(v)非硬化性塩とを含む硬化性組成物であって、ここで(i)の(ii)に対するモル比が>0.10である。かかる組成物は、イオン交換膜を製造するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物、その膜製造への使用、及びかかる膜のイオン交換プロセスへの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン交換膜は、例えば浄水用のフロースルーキャパシタ(FTC)で使用する電気脱イオン(EDI)、連続電気脱イオン(CEDI)、電気透析(ED)、電気透析反転(EDR)及び容量性脱イオン、例えばフッ化物除去用又は酸回収用のドナン透析又は拡散透析(DD)、有機溶媒の脱水用浸透気化、燃料電池、水の電気分解又は塩素−アルカリ生産用電気分解(EL)並びにイオン透過膜により分離した塩濃度の異なる2つの流れから電気を発生させる逆電気透析(RED)を含む数多くの用途に有用である。
【0003】
電気脱イオン(EDI)は、膜及び電位を使用して水性の液体からイオンを除去してイオン輸送をもたらす水処理プロセスである。これは、通常のイオン交換などの他の浄水技術と異なり、酸又は苛性ソーダなどの化学薬品の使用を必要としない。EDIを使用して、超純水を製造することができる。
【0004】
電気透析(ED)及び電気透析反転(EDR)は、水及び他の流体からイオン及び他の荷電種を除去する電気化学分離プロセスである。ED及びEDRは、少量の電気を使用してイオン交換材料からなる膜によって前記の種を輸送し、別の精製濃縮した流れを創出する。直流はイオンの膜通過を駆動してプロセス流を脱塩するので、イオンが直流(DC)電圧により膜を介して移動し、供給流体から除去される。ED及びEDRは、飲料水を製造するのに適切な技術である。イオン交換膜は、ゼロ排出脱塩(ZDD)にも使用されている。
【0005】
膜電極一体構造(MEA)は、電気分解、センサー、及び特に燃料電池などの種々の用途に適切であると考えられる。
【0006】
フロースルーキャパシタ(FTC)は、化学薬品を使用しない総溶解固形分(TDS)低減の効率的な手段であり、電気的に荷電した炭素電極を使用してイオンを除去する。
【0007】
イオン交換膜の製造における重要な課題の一つは、最小の欠陥を有する薄膜をいかにして提供するかということである。望ましくは、膜が良好な選択透過性と低い電気抵抗とを有する。更に、膜は、強固であるが同時に柔軟であることが所望される。柔軟性は、緊密な円周構造体に巻き付けるべき膜に必要とされる。膜はまた、その物理的強度を長期間にわたって保持することが必要である。望ましくは、膜を製造するのに用いる方法が過剰なカールを生じないことである。膜が接触し得る化学薬品に対して耐性であること、例えば加水分解に対して耐性であることも望ましい。
【0008】
膜の使用者は最低価格が利用可能であることを必要とし、これは、膜の製造方法が理想的には高価でなく、膜を容易に大量生産できるようにすべきことを意味している。
【0009】
米国特許第5,037,858号明細書は、N,N’−メチレンビスアクリルアミドの濃溶液から陰イオン選択膜を高pHで製造することを開示する。実施例1で用いられた組成物は、pHが約13.5であり、非硬化性塩を含まない。
米国特許出願公開第2004/0203149号明細書は、支持多孔質ゲルを含む複合材料を開示する。実施例1において、架橋剤(N,N’−メチレンビスアクリルアミド架橋剤)と、硬化性イオン化合物((3−アクリルアミドプロパン)トリメチルアンモニウムクロリド)と、溶媒と、光開始剤とを含む組成物を架橋して多孔質ゲルを形成する。このゲルは、機械的に非常に弱いことが記載されている。この組成物は、非硬化性塩を含んでいなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,037,858号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0203149号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、膜の製造への使用に適した組成物、加えて迅速な膜製造方法、その方法によって製造した膜及びその使用を提供することにある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第一態様によると、
(i)少なくとも2個のアクリルアミド基を含む架橋剤2.5〜50重量%と、
(ii)エチレン性不飽和基及び陽イオン基を含む硬化性イオン組成物12〜65重量%と、
(iii)溶媒10〜70重量%と、
(iv)フリーラジカル開始剤0〜10重量%と、
(v)非硬化性塩とを含み、(i)の(ii)に対するモル比が>0.10である硬化性組成物を提供する。
【0013】
本発明の組成物は良好な保存安定性を有し、これから製造した膜はアルカリ性条件下でも良好な選択透過性及び加水分解耐性を有する。この保存安定性は膜の連続生産に特に有用であり、組成物の大きな貯蔵タンクを生産ラインにしばらくの間存在させることができるか、又は保管して殆ど使用済みのタンクを置き換えることができる。加えて、組成物は、タンク及び配管などの膜製造設備を腐食する傾向が低い。多くの膜の破裂強度も良好である。
【0014】
一実施形態において、組成物は1〜12、より好ましくは1.5〜11、特に2〜10、殊に3〜9、具体的には4〜8、例えば4〜5又は5〜7のpHを有する。別の実施形態において、組成物は1〜12のpHを有さない。
【0015】
一実施形態において、組成物はフリーラジカル開始剤を含まないか、又は光開始剤0.005〜10重量%を更に含む。
【0016】
架橋剤は、好ましくは3〜45重量%、より好ましくは4〜35重量%、特に5〜25又は35重量%の量で組成物中に存在する。一般に、比較的高い架橋剤含量は高い電気抵抗と共に高い選択透過性をもたらす一方、比較的低い架橋剤含量については、生成した膜構造体が更に開放して幾分低い選択透過性をもたらす。比較的低い架橋剤含量は、より高い硬化性イオン化合物含量とより高い膨潤度とを可能にし、これら両方ともが低い電気抵抗を有する膜を得るのに有用である。架橋剤/硬化性イオン化合物の比率は、生成する膜に所望される特性に依存して選択され、同様にその特性は膜の使用目的に依存する。
【0017】
低い電気抵抗を有する膜を所望する場合、組成物に用いる硬化性イオンモノマーの量が高いことが好ましい一方、より多量の硬化性イオンモノマーを受け入れるために架橋剤の量を減らす。従って、低い電気抵抗を有する膜を製造するのに好ましい架橋剤含量は、4〜20重量%、より好ましくは6〜18重量%、特に7〜15重量%、殊に約10重量%である。この量の架橋剤を用いると、良好な選択透過性を有し且つ過剰な膨潤を伴うことなく適度に強固な膜を依然として得ることができる。非常に高い選択透過性を有する膜を所望する場合、組成物中に存在する架橋剤の量は、一般により多く選択し、好ましくは8〜48重量%、より好ましくは10〜35重量%、例えば12〜30重量%の量とする。
【0018】
架橋剤は、好ましくは2又は3個のアクリルアミド基、より好ましくは2個のアクリルアミド基を有する。
【0019】
架橋剤の分子量は、下記の方程式を満たすのが好ましい:
(Y×m)>架橋剤の分子量
(式中のmは架橋剤中のアクリルアミド基の数であり;Yは120、好ましくは105、より好ましくは90、特に85又は77である)。
【0020】
上記Yのより低い値は、Yが高い値である場合よりもより効率的に、生成する架橋剤が架橋することから好ましい。更に、上記Yが低い値を有する架橋剤は、低分子量を有し、より多量の硬化性イオン化合物の余地を残し、これによって、同レベルの架橋及び選択透過性について低い電気抵抗を達成する。
【0021】
架橋剤は、式(I)のものが好ましい:
【化1】

式(I)
(式中のR及びRは、各々独立してH又はメチルであり;
及びRは、各々独立してH、アルキルであるか、R及びRがこれらに結合したN基お及びYとともに任意に置換した6又は7員環を形成し;
Yは、任意に置換し、また任意に中断されたアルキレン基である)。
【0022】
及びRがアルキルである場合、好ましくはC1−4アルキルである。
【0023】
及びRがこれらに結合したN基及びYとともに任意に置換した6又は7員環を形成する場合、好ましくはピペラジン、ホモピペラジン又はトリアジン環を形成する。
【0024】
Y中に存在し得る任意の中断基は、好ましくはエーテル基、より好ましくはアミノ基である。Yは、好ましくは式−(C2n)−(式中のnは1、2又は3である)である。
【0025】
適当な架橋剤の例としては、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−プロピレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ブチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビス−(メタ)アクリルアミド、1,4−ジアクリロイルピペラジン、1,4−ビス(アクリロイル)ホモピペラジン、トリアクリロイル−トリス(2−アミノエチル)アミン、トリアクリロイルジエチレントリアミン、テトラアクリロイルトリエチレンテトラミン、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン及び/又は1,3,5−トリメタアクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジンを挙げることができる。「(メタ)」という用語は、「メタ」が任意であることを意味する略語であり、例えばN,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミドは、N,N’−メチレンビスアクリルアミド及びN,N’−メチレンビスメタクリルアミドの略語である。
【0026】
より好ましくは、R及びRの両方がHであり、Yが任意に置換したC1−3アルキレン基又は任意に置換した−(C1−3−アルキレン−N(R)−C1−3−アルキレン)−基であり、ここでRはH又はC1−4アルキルである。特に好ましい架橋剤は、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−プロピレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビス−(メタ)アクリルアミド、トリアクリロイル−トリス(2−アミノエチル)アミン及びトリアクリロイルジエチレントリアミンである。
【0027】
組成物中の非硬化性塩の存在は、難溶性の架橋剤が溶解するのを助け、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミドなどの難溶性の架橋剤を用いる場合であっても、驚くほど安定な組成物を提供することができる。
【0028】
非硬化性塩は、組成物を硬化させるのに使用する条件下で、架橋剤と共有結合を形成することができるいずれかの塩とすることができる。典型的には、非硬化性塩は、酸(特に、無機酸)に由来する陰イオン基と、陽イオン基(特に、無機陽イオン基)とを含む。非硬化性塩は、好ましくは25℃の水に少なくとも250g/L、より好ましくは少なくとも400g/Lの溶解度を有する。好適な非硬化性塩は、無機塩、例えば、無機リチウム塩、無機ナトリウム塩、無機カリウム塩、無機マグネシウム塩、無機カルシウム塩及びそれらの塩の2種以上を含む混合物である。
【0029】
一実施形態において、硬化性組成物はリチウム塩及びカルシウム塩を含まない。別の実施形態において、硬化性組成物はリチウム塩及び/又はカルシウム塩を含む。
【0030】
好適な非硬化性塩としては、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウム、ヨウ化リチウム、塩素酸リチウム、チオシアン酸リチウム、過塩素酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ヘキサフルオロヒ酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、ヨウ化アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、硝酸ナトリウム、チオシアン酸ナトリウム、硝酸カルシウム、チオシアン酸カルシウム、臭化カルシウム、塩素酸カルシウム、過塩素酸カルシウム、ヨウ化カルシウム、テトラフルオロホウ酸カルシウム、ヘキサフルオロリン酸カルシウム、ヘキサフルオロヒ酸カルシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、硝酸マグネシウム、チオシアン酸マグネシウム、チオシアン酸カリウム、過塩素酸カリウム及びこれらの塩の2種以上を含む混合物が挙げられる。最も好ましくは、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウム、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カルシウム及びこれらの塩の2種以上の混合物である。
【0031】
非硬化性塩は、カオトロピック陰イオン(すなわち、わずかに水和した陰イオン)を含むのが好ましく、一方陽イオンが好ましくはコスモトロピックである。好適なカオトロピック陰イオンは、J.Biol.Chem.,261巻、12477−12486頁(1986年)に詳細に記載されているように、ビーズ状形態のエピクロロヒドリン架橋デキストランゲルを含む充填カラム(例えば、Sephadex(登録商標)G−10)からの溶出速度による順位によって実験的に決定し得るようなホフマイスター系列で下位のものである。好ましいカオトロピック陰イオンは、塩化物と同等以下で溶出するもの、例えばチオシアン酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、亜塩素酸塩、ヨウ化物、臭化物、硝酸塩、塩化物及び亜硝酸塩である。陰イオンは、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩及びフッ化物以外であるのが好ましい。
【0032】
非硬化性塩は、比較的低い分子量(例えば、200未満、より好ましくは150未満、特に110未満、殊に90未満、殊更には70未満)を有するのが好ましい。結晶水が存在する場合、これは非硬化性塩の分子量を計算する際に考慮しない。
【0033】
硬化性組成物は、好ましくは2〜50重量%、より好ましくは2〜30重量%の非硬化性塩を含む。従って、好ましい実施形態において、組成物は上で特定した部数の(i)、(iii)及び(iv)と、20〜65重量%の成分(ii)と、2〜30重量%の成分(v)とを含む。
【0034】
数多くの事例において、組成物中の非硬化性塩の存在は、それから作製した膜の選択透過性をも向上させることができる。
架橋剤が溶媒中低い溶解度(例えば、2重量%未満)を有する場合、組成物は非硬化性塩を好ましくは3〜40重量%、より好ましくは4〜30重量%、特に7〜25重量%、例えば約10重量%、又は15〜35重量%の量で含む。好適な量は、非硬化性塩の分子量及び組成物中に存在する架橋剤の量にある程度依存する。
【0035】
組成物(架橋剤及び随意的に他の硬化性モノマーを含む)における非硬化性塩の一部である陽イオンのモル数の(メタ)アクリルアミド結合の合計モル数に対する比率が、好ましくは0.3〜1.1、より好ましくは0.4〜1.05、特に0.7〜1.02、例えば約0.9である。驚くべきことに、非硬化性塩の存在は、架橋剤が溶媒中に良好な溶解度を有する場合でも、例えば向上した選択透過性のような利点を有する組成物と、より丈夫な膜を提供することができる。
【0036】
架橋剤は、20℃で10重量%LiNO水溶液に少なくとも2重量%の溶解度を有するのが好ましい。
【0037】
硬化性イオン化合物は、組成物中に好ましくは20又は25〜65重量%、より好ましくは35〜60重量%、特に40〜57重量%、殊に45〜55重量%の量で存在する。一般に、硬化性イオン化合物の量は、可能な限り多くして、膜の電荷密度を最大にする。
【0038】
成分(i)の成分(ii)に対するモル比は、好ましくは少なくとも0.15、より好ましくは少なくとも0.2、特に少なくとも0.25である。一実施形態において、成分(i)の成分(ii)に対するモル比が、好ましくは5.0未満、より好ましくは4.0未満、特に1.5未満、殊に1.0未満である。別の実施形態において、成分(i)の成分(ii)に対するモル比が、好ましくは1.5未満、より好ましくは1.0未満、特に0.7未満、殊に0.5未満である。好適な硬化性イオン化合物は、四級アンモニウム基を含む。かかる化合物の例としては、(3−アクリルアミドプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、(ar−ビニルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド、(2−(メタクリロイルオキシ)エチル)トリメチルアンモニウムクロリド、[3−(メタクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド、(2−アクリルアミド−2−メチルプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、3−アクリルアミド−3−メチルブチルトリメチルアンモニウムクロリド、アクリロイルアミノ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、N−(2−アミノエチル)アクリルアミドトリメチルアンモニウムクロリド及びそれらの2種以上を含む混合物が挙げられる。
【0039】
架橋剤が20℃で10重量%LiNO水溶液に2重量%未満の溶解度を有する場合、組成物の総重量に対する成分(i)と成分(ii)との合計重量%が、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは30〜88又は90重量%、特に35〜80重量%、殊に40〜80重量%、例えば約50重量%又は約55重量%である。
【0040】
架橋剤が20℃で10重量%LiNO水溶液に2重量%未満の溶解度を有する場合、成分(i)と成分(ii)との合計重量%は、好ましくは40〜85重量%、より好ましくは45〜80重量%、特に55〜80重量%、例えば約60重量%又は約65重量%である。膜膨潤及び低選択透過性を回避することを望む場合、成分(i)と成分(ii)との合計重量%は、好ましくは30重量%を超える。
【0041】
硬化性組成物は、成分(i)として1種以上の架橋剤を含むことができる。この場合、上述の溶解度は、架橋剤の混合物全体の溶解度を指す。特に好ましい実施形態において、成分(i)は2個のアクリルアミド基を有する架橋剤からなり、成分(ii)は1個のエチレン性不飽和基と1個以上の陽イオン基とを有する硬化性イオン化合物からなる。加水分解に対し特に良好な耐性を有する膜をもたらすことができるため、成分(ii)のエチレン性不飽和基が(メタ)アクリルアミド基であるのが好ましい。最も好ましい硬化性イオン化合物は、3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドである。
【0042】
一般に、成分(i)は、膨潤に対する耐性を膜に提供するが、柔軟性を低減する可能性がある。
【0043】
成分(ii)が1個のエチレン性不飽和基(例えば、1個のHC=CHCON<基)のみを有する場合、架橋することはできない。しかしながら、成分(i)と反応することはできる。1個のエチレン性不飽和のみを有する成分(ii)は、望ましい程度の柔軟性を有する膜を生成することができ、きつく巻かれる膜を必要とする用途に特に有用である。成分(ii)はまた、陽イオン基を提供することによって、膜が異なる電荷のイオンを区別するのを助ける。
【0044】
一実施形態において、組成物は成分(i)及び(ii)以外に10重量%未満、より好ましくは5重量%未満のエチレン性不飽和化合物を含む。好ましい実施形態において、組成物は成分(i)及び(ii)以外のエチレン性不飽和化合物を含まない。
【0045】
組成物の溶媒含量は、好ましくは均質溶液の形態で組成物を達成するのに必要な最低限であるか又は最低限より多く5%未満である一方、同時に少なくとも15重量%である。
【0046】
極性溶媒、特に水性溶媒は、硬化性イオン化合物を溶解させるのに特に良好であることから、好ましい。溶媒の少なくとも半分が水であり、残りは有機溶媒を含むのが好ましい。有機溶媒は、組成物の全成分の均質な溶液を提供するのに有用な場合がある。数多くの有機溶媒は組成物の粘度及び/又は表面張力を有益に低減し、幾つかの点で製造プロセスをより容易にすることから、有機溶媒の含有は、膜を製造するプロセスにも利点を有する場合がある。有機溶媒が、好ましくは少なくとも40重量%の水、より好ましくは少なくとも60重量%の水を含む。組成物は、好ましくは15〜55重量%、より好ましくは16〜45重量%、特に20〜40重量%、殊に22〜35重量%の溶媒を含む。
【0047】
溶媒は、水又は水と水混和性有機溶媒とを含む混合物であるのが好ましい。水混和性有機溶媒の存在により、少量の水非混和性溶媒を許容して、溶媒混合物全体を混和性となるようにすることもできる。
【0048】
溶媒が水と有機溶媒とを含む場合、水:有機溶媒の重量比は、好ましくは2:3より高く、より好ましくは10:1〜1:1であり、より好ましくは10:1〜1:2であり、特に5:1〜1:1であり、殊に3:1〜2:1である。
【0049】
有機溶媒は、単一有機溶媒又は2種以上の有機溶媒の組み合わせから選択自由である。
【0050】
好ましい有機溶媒としては、C1−4アルコール(例えばメタノール、エタノール及びプロパン−2−オール)、ジオール(例えばエチレングリコール及びプロピレングリコール)、トリオール(例えばグリセロール)、カーボネート(例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルジカーボネート及びグリセリンカーボネート)、ジメチルホルムアミド、アセトン、N−メチル−2−ピロリジノン及びそれらの2種以上の混合物が挙げられる。特に好ましい有機溶媒は、プロパン−2−オールである。
【0051】
一実施形態において、有機溶媒は、低沸点、例えば100℃未満の沸点を有する。低沸点を有する溶媒は、蒸発によって容易に除去することができ、溶媒の除去用洗浄工程の必要性を回避する。
【0052】
硬化性組成物に最適な溶媒含量は、溶媒と硬化性化合物と架橋剤との間の相互作用にある程度依存し、各組み合わせについて単純な実験によって決定することができる。
【0053】
組成物が0%のフリーラジカル開始剤を含有する場合、電子ビーム放射線を用いて組成物を硬化させることができる。
【0054】
組成物は、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.01〜5重量%、特に0.01〜2重量%、殊に0.05〜2重量%のフリーラジカル開始剤を含む。好ましいフリーラジカル開始剤は、光開始剤である。
【0055】
硬化性組成物は、成分(iv)として1種又は2種以上のフリーラジカル開始剤を含むこともできる。
【0056】
アクリルアミド、ジアクリルアミド及び更に多価のアクリルアミドについては、I型の光開始剤が好ましい。I型光開始剤の例は、国際公開第2007/018425号の14頁23行目〜15頁26行目に記載されており、これらを本明細書に参照して援用する。特に好ましい光開始剤としては、α-ヒドロキシアルキルフェノン、例えば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−tert−ブチル)−フェニルプロパン−1−オン、並びにアクリルホスフィンオキシド、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキシド、並びにビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシドが挙げられる。
【0057】
硬化性組成物は、随意的に(vi)2個以上のエチレン性不飽和基を有し、イオン基を有さない(i)以外の硬化性化合物0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%を含有する。
【0058】
硬化性組成物は、随意的に(vii)1個のエチレン性不飽和基を有し、イオン基を有さない硬化性化合物0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%を含有する。
【0059】
組成物中にラジカル開始剤が存在する場合、好ましくは重合抑制剤も含む。これは、例えば保存の間に組成物の早期硬化を防ぐのに有用である。適当な抑制剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4−t−ブチル−カテコール、フェノチアジン、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジノールオキシフリーラジカル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジノールオキシフリーラジカル、2,6−ジニトロ−sec−ブチルフェノール、トリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン)アルミニウム塩、Omnistab(商標)IN510及びそれらの2種以上を含む混合物が挙げられる。
【0060】
硬化性組成物は、他の成分、例えば、酸、pH調節剤、防腐剤、粘度調整剤、安定剤、分散剤、消泡剤、有機/無機塩、陰イオン、陽イオン、非イオン性及び/又は両性界面活性剤、緩衝剤などを含有することができる。
【0061】
緩衝剤を使用して、酸性化合物及び塩基性化合物の濃度の変化によって引き起こされるpH値の変動を低減することができる。
【0062】
硬化性組成物は、当然に上記で具体的に言及又は排除していない更なる成分を含有することもできる。
【0063】
硬化速度は、硬化性組成物にアミン相乗剤を含めることによって高めることができる。適当なアミン相乗剤は、例えばトリエチルアミン又はトリエタノールアミンのような遊離アルキルアミン;2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンソエート、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエートのような芳香族アミン、またポリアリルアミン及びその誘導体のような高分子アミンである。
【0064】
エチレン性不飽和アミン(例えば、アクリル化アミン)のような硬化性アミン相乗剤が好ましい。その理由は、使用すると硬化により膜内に組み込まれる能力のため付与される臭気が少なく、また最終膜(陰イオン透過性)で有用であり得る塩基性基を含有できるからである。
【0065】
アミン相乗剤を使用する場合、その量は組成物中の重合可能成分の合計重量に対して好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.3〜3重量%である。
【0066】
上述のことを考慮して、特に好ましい組成物は、
(i)少なくとも2個のアクリルアミド基を含む架橋剤4〜35重量%と、
(ii)エチレン性不飽和基と陽イオン基とを含む硬化性イオン化合物35〜60重量%と、
(iii)溶媒16〜45重量%と、
(iv)光開始剤0.01〜2重量%と、
(v)非硬化性塩2〜30重量%とを含む硬化性組成物を含み、ここで(i)の(ii)に対するモル比が少なくとも0.15、好ましくは1.5未満である。より好ましくは、(i)の(ii)に対するモル比が0.2〜1.0である。
【0067】
別の実施形態において、硬化性組成物は、
(i)少なくとも2個のアクリルアミド基を含む架橋剤5〜35重量%と、
(ii)エチレン性不飽和基と陽イオン基とを含む硬化性イオン化合物20〜65重量%と、
(iii)溶媒16〜45重量%と、
(iv)光開始剤0.01〜2重量%と、
(v)非硬化性塩3〜40重量%とを含み、(i)の(ii)に対するモル比が0.10〜5である。好ましくは(i)の(ii)に対するモル比が0.15〜1.5、より好ましくは(i)の(ii)に対するモル比が0.2〜1.0である。
【0068】
全成分の最適量は、選択した個々の成分の特性と組成物の使用目的とにある程度依存する。
【0069】
この組成物は、好ましくは1.5〜11のpHを有する。
【0070】
エチレン性不飽和基が(メタ)アクリルアミド基であるのが好ましい。
【0071】
好ましくは、上述の硬化性組成物中の(i)、(ii)、(iii)、(iv)及び(v)の部数が合計100になる。これは、更なる異なる成分の存在を排除するのではないが、上述の成分の総量に対する成分の比率を単に定める。
【0072】
好ましくは、硬化性組成物がメタクリル化合物(例えば、メタクリレート及びメタクリルアミド化合物)を含まないか又は実質的に含まない、すなわち、かかる組成物は、アクリル基を含まず1個以上のメタクリル基を含む化合物を最大で10重量%含む。
【0073】
好ましくは、硬化性組成物がジビニルベンゼンを含まないか又は実質的に含まない。
【0074】
好ましくは、硬化性組成物がスチレンを含まないか又は実質的に含まない。
【0075】
好ましくは、硬化性組成物が染料及び顔料を含まないか又は実質的に含まない。これは、組成物に染料又は顔料を含める必要が無いからである。
【0076】
このように、好ましい硬化性組成物は、ジビニルベンゼン、染料、顔料、スチレン、メタクリル化合物、及びスルホ基を有する化合物を含まないか又は実質的に含まない。
【0077】
本発明の第二態様によると、以下の工程:
(i)硬化性組成物を支持体に塗布する工程と、
(ii)前記硬化性組成物を硬化させて膜を形成する工程とを備える膜の製造方法を提供するもので、ここで前記硬化性組成物は本発明の第一態様で定義する通りのものである。
【0078】
従来、かかる膜は大抵数多くの段階を有する緩徐なエネルギー大量消費型プロセスで作られることが多かった。本発明は、長期間連続的に稼働して比較的安価に膜を大量生産することができる単純な方法で膜の製造を可能にする。
【0079】
本方法は、硬化した組成物と支持体とを分離する更なる工程を任意に備える。しかしながら、所要に応じてこの更なる工程を省略することができ、これにより硬化組成物と多孔質支持体とを具える複合膜が生成する。
【0080】
この膜は、好ましくは陽イオン交換膜である。
【0081】
膜の厚さは、支持体も含めて、好ましくは250μm未満、より好ましくは10〜200μm、最も好ましくは20〜150μmである。
【0082】
膜と、任意の多孔質支持体と、生成した膜に接触したままの任意の多孔質強化材料との合計乾燥重量に対して、膜が好ましくは少なくとも0.1meq/g、より好ましくは少なくとも0.3meq/g、特に0.6meq/gを超える、殊に1.0meq/gを超えるイオン交換容量を有する。イオン交換容量は、Diugoleckiら、Journal of Membrane Science、319巻(2008年)の217頁に記載されたような滴定によって測定することができる。
【0083】
膜は、小型陰イオン(例えば、Cl)に対し好ましくは80%を超える、特に85%を超える、殊に90%を超える、例えば95%を超える選択透過性を有する。
【0084】
膜が、好ましくは10Ωcm未満、より好ましくは5Ωcm未満、最も好ましくは3Ωcm未満の電気抵抗を有する。ある種の用途については、特に選択透過性が非常に高い、例えば90%以上である場合に、高い電気抵抗を許容することができる場合がある。電気抵抗は、以下の実施例の区分に記載した方法によって決定することができる。
【0085】
膜が、水中で好ましくは100%未満、より好ましくは75%未満、最も好ましくは60%未満の膨潤を示す。膨潤度は、架橋剤の量と、非硬化性塩の量と、硬化工程において適切なパラメータを選択することと、更には多孔質支持体の特性とによって制御することができる。
【0086】
電気抵抗、選択透過性及び水中での膨潤百分率は、Diugoleckiら、Journal of Membrane Science、319巻(2008年)の217〜218頁に記載された方法によって測定することができる。
【0087】
通常、イオン交換膜は実質的に無孔である。例えば、孔は標準の走査電子顕微鏡(SEM)の検出限界よりも小さい。従って、Jeol JSM−6335F電界放射型SEM(2kVの加速電圧の印加、作動距離4mm、絞り4、1.5nm厚のPtで被覆した試料、倍率100,000倍、傾斜視野3°)を使用すると、平均細孔径は、一般的に5nm未満、好ましくは2nm未満である。
【0088】
生成した膜は、イオンが膜を通過でき水分子が膜を通過しないような低い水透過性を有するのが好ましい。膜の水透過性が、好ましくは1.10−7/m.s.kPa未満、より好ましくは1.10−8/m.s.kPa未満、最も好ましくは5.10−9/m.s.kPa未満、特に1.10−9/m.s.kPa未満である。水透過性の要件は、膜の使用目的に依存する。
【0089】
所要に応じて、界面活性剤又は複数の界面活性剤の組み合わせを組成物中に湿潤剤として又は表面張力を調整するために組み込むことができる。放射線硬化性界面活性剤を含む市販の界面活性剤を利用することができる。組成物への使用に適した界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びそれらの混合物が挙げられる。
【0090】
好ましくは、硬化工程の間に相分離が起こらないように硬化性組成物の成分を選択する。このようにして、生成する膜におけるマクロな多孔質構造の可能性を低減する。
【0091】
膜のネットワーク構造は、架橋剤及び硬化性化合物の同一性並びにそれらの官能性、例えば、1分子あたりに含有する架橋可能な基の数によってかなりの程度まで決定される。
【0092】
硬化処理中、硬化組成物は支持体の上部に層を形成することができるか、又は支持体の孔に全体的若しくは部分的に浸透して含浸複合膜を形成することができる。硬化性組成物を支持体の両側に塗布して対称な複合膜を達成することもできる。好ましい実施形態においては、支持体を組成物で飽和させ、飽和支持体をEB照射又はUV照射によって硬化させる。
【0093】
本発明の方法は、所要に応じて、例えば生成する膜を洗浄及び/又は乾燥する更なる工程を含むことができる。
【0094】
硬化性組成物を支持体の表面に塗布する前に、例えば支持体の湿潤性及び接着性を向上させる目的で、支持体にコロナ放電処理、プラズマグロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理又は化学処理等を施すこともできる。
【0095】
支持体を処理して、その表面エネルギーを例えば70mN/mを超える値に改変することもできる。
【0096】
固定支持体を使用してバッチ式で膜を製造することが可能である一方、本発明の完全な利益を得るためには、移動支持体を用いて連続式で膜を製造することがより好ましい。支持体は、連続的にほどいたロールの形態とすることができるか、又は支持体が連続的な駆動式ベルトの上に載っていてもよい(あるいは、これらの方法の組み合わせであってもよい)。かかる技術を使用して、硬化性組成物を連続式で支持体に塗布することができるか、又は大規模なバッチ式で塗布することができる。
【0097】
硬化性組成物を支持体に任意適当な方法、例えばカーテンコーティング、ブレードコーティング、エアナイフコーティング、ナイフオーバーロールコーティング、スライドコーティング、ニップロールコーティング、フォワードロールコーティング、リバースロールコーティング、マイクロロールコーティング、ディップコーティング、フーラードコーティング、キスコーティング、ロッドバーコーティング又はスプレーコーティングによって塗布することができる。多層のコーティングを同時に又は逐次的に行うことができる。多層のコーティングを行う場合、硬化性組成物が同一であっても異なっていてもよい。多層の同時コーティングについては、カーテンコーティング、スライドコーティング及びスロットダイコーティングが好ましい。硬化性組成物を支持体の片側又は支持体の両側に塗布することができる。
【0098】
一実施形態において、同一又は異なっていてもよい少なくとも2つの硬化性組成物を支持体に、例えば同時に又は逐次的に塗布する。これら硬化性組成物を支持体の同じ側面又は異なる側面に塗布することができる。従って、塗布工程を、各塗布間に硬化を行うか又は行うことなく2回以上行うことができる。異なる側面に塗布する場合、生成する複合膜は対称又は非対称で、また硬化性組成物の層は同じ又は異なる厚さを有してもよい。同じ側面に塗布する場合、少なくとも1つの上部層と、該上部層より支持体に近い少なくとも1つの底部層とを具える複合膜を形成することができる。この実施形態において、上部層及び底部層は、任意の介在層と一緒に膜を形成し、多孔質支持体は生成する複合膜に強度を付与する。
【0099】
従って好適な方法においては、硬化性組成物を移動支持体に連続的に、より好ましくは、1つ以上の硬化性組成物塗布用ステーションと、1つ以上の組成物硬化用照射源と、膜収集ステーションと、硬化性組成物塗布用ステーションから照射源及び膜収集ステーションへの支持体の移動手段とを具える製造ユニットによって塗布する。
【0100】
硬化性組成物塗布用ステーションを照射源に対して上流の位置に配置することができ、また照射源を膜収集ステーションに対して上流の位置に配置する。
【0101】
高速コーティング機械による塗布用の充分に流動性の硬化性組成物を製造するためには、硬化性組成物が35℃で測定して好ましくは5000mPa.s未満の粘度、より好ましくは35℃で測定して1〜1500mPa.sの粘度を有する。より好ましくは、硬化性組成物の粘度が35℃で測定して2〜500mPa.sである。スライドビードコーティングのようなコーティング方法について、好ましい粘度は35℃で測定して2〜150mPa.sである。
【0102】
適切なコーティング技術を用いて、硬化性組成物を5m/分を超える速度、好ましくは10m/分を超える速度、より好ましくは15m/分を超える速度、例えば20m/分を上回る速度、又は60m/分、120m/分若しくは最高400m/分に達し得るような更に速い速度で移動する支持体に塗布することもできる。
【0103】
硬化は、ラジカル重合により、好ましくは電磁放射線を使用して行うのが好ましい。放射線源は、組成物を硬化させるのに必要な放射線の波長及び強度を付与するあらゆる放射線源とすることができる。硬化用UV光源の典型例は、フュージョンUVシステムズ社によって供給されるような600ワット/インチ(240W/cm)の出力を有するDバルブである。代替手段は、同供給者のVバルブ及びHバルブである。
【0104】
硬化性組成物が光開始剤を含まない場合、該組成物を電子ビーム露光により、例えば50〜300keVの露光を使用して硬化させることができる。硬化をプラズマ照射又はコロナ照射によって達成することもできる。
【0105】
硬化中に、成分(i)及び成分(ii)が重合して高分子膜を形成する。硬化は、任意適当な手段、例えば、照射及び/又は加熱によって引き起こすことができる。好ましくは、硬化が充分迅速に生起して30秒以内に膜を形成する。所望であれば、更なる硬化をその後に施して完了させることもできるが、一般にこれは必要ではない。
【0106】
硬化を好ましくは熱的(例えば赤外光で照射することにより)に、又はより好ましくは紫外光若しくは電子ビームで組成物を照射することによって達成する。
【0107】
熱硬化について、硬化性組成物が好ましくは硬化性組成物100重量部あたり0.01〜5重量部の量で存在する1種以上の熱反応性フリーラジカル開始剤を含むのが好ましい。
【0108】
熱反応性フリーラジカル開始剤の例としては、有機過酸化物、例えばエチルペルオキシド及び/又はベンジルペルオキシド;ヒドロペルオキシド、例えばメチルヒドロペルオキシド、アシロイン、例えばベンゾイン;ある種のアゾ化合物、例えばα,α’−アゾビスイソブチロニトリル及び/又はγ,γ’−アゾビス(γ−シアノ吉草酸);過硫酸物;過酢酸物、例えば、過酢酸メチル及び/又は過酢酸t−ブチル;過シュウ酸物、例えば過シュウ酸ジメチル及び/又は過シュウ酸ジ(tert−ブチル);二硫化物、例えば二硫化ジメチルチウラム、及び過酸化ケトン、例えば過酸化メチルエチルケトンが挙げられる。赤外線硬化には、約30℃〜約150℃の範囲の温度を一般に用いる。約40℃〜約110℃の範囲の温度をより頻繁に用いる。
【0109】
硬化性組成物の硬化は、該組成物を支持体に施した後好ましくは3分以内、より好ましくは60秒以内に始まる。
【0110】
硬化が、硬化性組成物を好ましくは30秒間未満、より好ましくは10秒間未満、特に3秒間未満、殊に2秒間未満照射することによって達成される。連続法においては、照射が連続的に起こり、硬化性組成が照射ビームを進む速度は、主に硬化の時間を決定する。
【0111】
硬化に紫外光を使用するのが好ましい。適切な波長は、該波長が硬化性組成物に含まれる任意の光開始剤の吸収波長と一致することを条件として、例えばUV−A(390〜320nm)、UV−B(320〜280nm)、UV−C(280〜200nm)及びUV−V(445〜395nm)である。
【0112】
適切な紫外光源は、水銀アークランプ、カーボンアークランプ、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、旋回流プラズマアークランプ、ハロゲン化金属ランプ、キセノンランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプ、レーザー及び紫外光放射ダイオードである。特に好ましいのは、中圧又は高圧水銀蒸気型の紫外光放射ランプである。ほとんどの場合、200〜450nm間の発光極大を有するランプが特に適している。
【0113】
照射源のエネルギー出力は、好ましくは20〜1000W/cm、好ましくは40〜500W/cmであるが、所望する照射線量が実現し得る限りそれより高くても又は低くてもよい。露光強度は、膜の最終構造に影響を与える硬化の程度を制御するのに使用し得るパラメータの一つである。照射線量が、高エネルギーUVラジオメーター(EIT社のUVパワーマップ(商標))によって測定して、該装置により示されるUV−A及びUV−B範囲において好ましくは少なくとも40mJ/cm、より好ましくは40〜1500mJ/cm、最も好ましくは70〜900mJ/cmである。照射時間は自由に選択することができるが、短いのが好ましく、典型的には10秒未満、より好ましくは5秒未満、特に3秒未満、殊に2秒未満、例えば0.1〜1秒の間である。
【0114】
高コーティング速度で所望の照射線量に達するために2個以上のUVランプを使用し得るので、硬化性組成物を2回以上照射する。2個以上のランプを使用する場合、全てのランプが同等の線量を与え得るか、又は各ランプが個別の設定値を有することができる。例えば、第一のランプが第二及びそれに続くランプよりも高線量を与えることができるか、又は第一のランプの露光強度を低くすることができる。各ランプの照射線量を変えることは、ポリマーマトリックス構造及び最終架橋密度に影響を与えることがある。好ましい実施形態態様においては、組成物を2つ以上の照射源、例えば2個のランプを用いて対向側面(各側面に1つ)からの同時照射により硬化させる。2つ以上の照射源は、好ましくは互いに同じ強度で組成物を照射する。この対称な構成を使用することによって、より高い架橋効率を達成することができ、また膜のカールを低減又は予防することができる。
【0115】
上述するように、光開始剤を硬化性組成物に含めることができ、これは通常UV又は可視光放射線を使用する硬化の場合に要求される。適当な光開始剤は、当業界で既知のものである。UV又は電子ビームでの照射による硬化は、20〜60℃にて行うのが好ましい。更に高温を使用することもできるが、より高い製造原価につながり得るため好ましくない。
【0116】
好ましい支持体は多孔質であり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド及びそれらのコポリマーのような合成繊維織物又は合成繊維不織布、又は例えばポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、酢酸セルロース、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、フッ化ポリビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン及びそれらのコポリマーに基づく多孔質膜とすることができる。
【0117】
種々の多孔質支持体が、例えばフロイデンベルグ・フィルトレーション・テクノロジーズ(Freudenberg Filtration Technologies)(ノバテックス・マテリアルズ(Novatexx materials))及びゼファー(Sefar)AGから市販されている。
【0118】
驚くべきことに、陽イオン基を有するイオン交換膜は、その選択透過性及び伝導率に関して良好な特性を示すことができると同時に、本発明の方法によって製造するのに高価すぎない。
【0119】
本発明の方法は、柔らか過ぎたり硬過ぎたりすることなく、所望の程度の柔軟性を有する膜の製造を可能にする。溶媒の存在は、硬化性組成物の被覆性を改善し、良好な耐久性を使用時に保持しながら少ない数の欠陥、低いカール傾向を有する薄膜を提供することができる。
【0120】
本発明の第三態様によると、本発明の第二態様の方法によって得られた膜を提供する。
【0121】
本発明の第三態様による膜は、陽イオン基を有する膜を必要とする他の用途にも利用することができる。
【0122】
本発明の第三態様による膜は、好ましくは上記本発明の第二態様に関して述べた特性を有する。
【0123】
本発明の膜は、特にED、(C)EDI、EDR、ZDD、FTC、DD、EL及びREDに有用であるが、他の目的(例えば、浸透気化、燃料電池)にも使用することができる。
【0124】
本発明の第四態様によると、浄水用又は発電用への本発明の第三態様の膜の使用を提供する。
【0125】
本発明の第五態様によると、1枚以上の本発明の第三態様の膜を具える電気透析若しくは逆電気透析ユニット、電気脱イオンモジュール又はフロースルーキャパシタを提供する。電気脱イオンモジュールは、連続電気脱イオンモジュールであるのが好ましい。
【0126】
好ましくは、電気透析若しくは逆電気透析ユニット又は電気脱イオンモジュール又はフロースルーキャパシタが、少なくとも1個のアノードと、少なくとも1個のカソードと、1枚以上の本発明の第三態様の膜とを具える。更に、該ユニットは、イオンが本発明の膜の第一側面から第二側面へ通るように膜の第一側面に沿って相対的に塩分が多い水の流れを提供する注入口と、膜の第二側面に沿って塩分の少ない水の流れを提供する注入口とを具えるのが好ましい。好ましくは、前記ユニットの1枚以上の膜が、陽イオン基を有する本発明の第三態様の膜と、陰イオン基を有する更なる膜とを含む。
【0127】
好ましい実施形態において、前記ユニットは、少なくとも3枚、より好ましくは少なくとも5枚、例えば36枚、64枚、又は最高で500枚の本発明の第三態様の膜を含み、その膜の数は用途に依存する。かかる膜を、例えばプレート-フレーム若しくは積層ディスク構成で又はスパイラル巻き設計で使用することができる。あるいはまた、陽イオン基を有する本発明に係る連続する第一の膜を蛇腹(又はジグザグ)様式で折り畳むことができ、陰イオン基(すなわち、第一の膜と反対の電荷)を有する第二の膜を折り目の間に挿入して、流体が通ることができ、側壁として交互に陰イオン膜と陽イオン膜とを有する複数のチャネルを形成することができる。
【0128】
次に、本発明を非限定的な実施例で説明するが、特記せぬ限り部及び百分率は全て重量によるものとする。
【実施例】
【0129】
実施例において、以下の特性を後述する方法によって測定した。
【0130】
[一般的試験方法]
選択透過性は、静止膜電位測定法を使用することによって測定した。2つのセルを実験中膜により分離した。測定に先立って、膜を0.1MのNaCl溶液中で少なくとも12時間平衡化した。異なるNaCl濃度を有する2つの流れを実験中膜の対向側でセルに通した。1つの流れは0.1MのNaCl(シグマアルドリッチ社から購入、最低純度99.5%)濃度を有し、他方の流れは0.5MのNaCl濃度であった。両方の流れの流速は、0.90dm/分であった。2個のカロメル参照電極(メトロームAG(スイス)から購入)を、各セルに挿入したハーバー−ルギン(Haber−Luggin)キャピラリー管に接続し、膜上の電位差を測定するのに用いた。有効膜面積は3.14cmであり、温度は25℃であった。
【0131】
定常状態に到達したときに、膜電位を測定した(ΔVmeas)。
【0132】
膜の選択透過性(α(%))を下記式に従って計算した。
α(%)=ΔVmeas/ΔVtheor100%
理論膜電位(ΔVtheor)は、ネルンストの式を使用して計算した100%選択透過性膜の電位である。毎日の測定値の変動を補償するために、全てのα(%)測定値は結果を正規化するための内部標準を含めた。使用した内部標準は、92%のα(%)値を有するトクヤマソーダのAMX膜であった。
【0133】
電気抵抗(「ER」)をDiugoleckiら、Journal of Membrane Science、319巻(2008年)の217〜218頁に記載された方法により以下の変更を加えて測定した:
・補助膜は、トクヤマソーダ(日本)のCMX及びAMXであった;
・ワトソン・マーロー社の双頭蠕動ポンプ(504S型/50)を4つの外区画に使用し、イージーロードIIモデル77200−62ギアポンプを備えたコールパーマー社マスターフレックスコンソールドライブ(77521−47)を2つの中心区画に使用した;
・各流れの流速は、Porter Instrument流量計(150AV−B250−4RVS型)及びコールパーマー流量計(G−30217−90型)によって制御して475mL/分であった;
・膜の有効面積は3.14cmであった。
【0134】
[成分]
MBAは、シグマアルドリッチ社から購入したN,N’−メチレンビスアクリルアミド(MW=154)である。
【0135】
BAHPは、国際公開第2010/106356号に記載された通りに合成した1,4−ビス(アクリロイル)ホモピペラジンである。
【0136】
ATMACは、Kohjin社から購入した3−アクリルアミドプロピル−トリメチルアンモニウムクロリドである。
【0137】
HDMAPは、サイテック社から購入した光開始剤である2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンである。
【0138】
MeHQは、メルク社から購入した重合抑制剤であるヒドロキノンモノメチルエーテルである。
【0139】
IPAは、シェル社から購入した2−プロパノールである。
【0140】
MeOH及びEtOHはそれぞれ、シグマアルドリッチ社から購入したメタノール及びエタノール(96%)である。
【0141】
LiNO、LiBr及びLiClは、シグマアルドリッチ社から購入したリチウム塩である。
【0142】
ノバテックス(商標)2597は、フロイデンベルグフィルトレーションテクノロジーズ社から購入した不織ポリアミド材料である。
【0143】
ノバテックス(商標)2426は、フロイデンベルグフィルトレーションテクノロジーズ社から購入した不織ポリエチレンテレフタレート材料である。
【0144】
溶媒含量を計算する際、いかなる成分中に存在するあらゆる溶媒の量も含めた(例えば、あらゆる結晶水も溶媒として扱った)。
【0145】
[実施例1〜15並びに比較例1及び2]
表1に示す成分(重量%で表示する)を80℃で混合することにより本発明の硬化性組成物CC1〜CC15並びに比較の硬化性組成物CE1及びCE2を調製した。
【0146】
【表1−1】

【0147】
【表1−2】

【0148】
水は、MeHQ重合抑制剤を含む(約1000ppm)。
【0149】
これら硬化性組成物を、手動で150μm巻線バーをおよそ5m/分の速度で使用してアルミニウム製地下搬送装置に適用し、続いて巻線ロッドコーターを使用して水平にした不織支持体(ノバテックス2597)に4μmの厚さで塗布した。硬化性組成物の温度は、約50℃であった。フュージョンUVシステムズ社から購入したDバルブ付ライトハンマーLH6を100%強度にて作動させて使用し被覆支持体を30m/分の速度で硬化(シングルパス)させることにより膜を調製した。照射時間は0.47秒であった。硬化後、膜を0.1MのNaCl溶液中に少なくとも12時間保存した。
【0150】
生成した膜の選択透過性(α(%))及び電気抵抗(ER)は、表1に示す通りである。
【0151】
[実施例16〜19]
表2に列挙する成分を用いて、実施例1と類似の方法でこれら成分を混合することにより本発明の硬化性組成物CC16〜CC19を調製した。
【0152】
【表2】

【0153】
水は、MeHQ重合抑制剤を含む(約1000ppm)。
【0154】
CC16〜CC19を実施例1に記載した方法によりノバテックス(商標)2426支持体に塗布した。
【0155】
生成した膜の選択透過性(α(%))及び電気抵抗(ER)は、上記表2に示す通りである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも2個のアクリルアミド基を含む架橋剤2.5〜50重量%と、
(ii)エチレン性不飽和基と陽イオン基とを含む硬化性イオン化合物12〜65重量%と、
(iii)溶媒10〜70重量%と、
(iv)フリーラジカル開始剤0〜10重量%と、
(v)非硬化性塩とを含み、ここで(i)の(ii)に対するモル比が>0.10である硬化性組成物。
【請求項2】
前記(i)の(ii)に対するモル比が5未満である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物の総重量に対する成分(i)と成分(ii)との合計重量%が30〜88重量%である前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項4】
前記成分(v)として非硬化性塩を2〜50重量%含む前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記(i)の(ii)に対するモル比が少なくとも0.15であり、前記成分(ii)20〜65重量%と前記成分(v)2〜30重量%とを含む前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記溶媒が水と水混和性有機溶媒とを含む前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記成分(iv)として光開始剤0.005〜10重量%を含む前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記成分(i)及び(ii)以外のエチレン性不飽和化合物を含まない前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記エチレン性不飽和基がアクリルアミド基又はメタクリルアミド基である前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
(i)少なくとも2個のアクリルアミド基を含む架橋剤5〜35重量%と、
(ii)エチレン性不飽和基と陽イオン基とを含む硬化性イオン化合物20〜65重量%と、
(iii)溶媒16〜45重量%と、
(iv)光開始剤0.01〜2重量%と、
(v)非硬化性塩3〜40重量%とを含み、ここで(i)の(ii)に対するモル比が少なくとも0.15である前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記(i)の(ii)に対するモル比が少なくとも0.15且つ1.5未満である前記請求項のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
(i)硬化性組成物を支持体に塗布する工程と、
(ii)該組成物を硬化させて膜を形成する工程とを備え、
該硬化性組成物が請求項1〜11のいずれか1項に記載のものである膜の製造方法。
【請求項13】
前記硬化が、電子ビームまたはUV放射線を用いて行われる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物を電子ビーム又はUV光で30秒間未満照射することにより硬化させる請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記硬化性組成物を、硬化性組成物塗布用ステーションと、該組成物硬化用照射源と、膜収集ステーションと、該硬化性組成物塗布用ステーションから照射源及び膜収集ステーションへの支持体移動用手段とを具える製造ユニットにより移動支持体に連続的に塗布する請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記硬化性組成物を5m/分を超える速度で移動する支持体に塗布する請求項12〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記硬化組成物および支持体を分離する更なる工程を備える請求項12〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
請求項12〜17のいずれか1項に記載の方法によって得た又は得ることができる膜。
【請求項19】
浄水、脱塩、廃水処理、電気分解、浸透気化又は発電用のイオン交換プロセスにおけるイオン交換膜としての請求項18に記載の膜の使用。
【請求項20】
請求項18に記載の膜を1枚以上具える電気透析又は逆電気透析ユニット。
【請求項21】
請求項18に記載の膜を1枚以上具えるフロースルーキャパシタ装置。
【請求項22】
請求項18に記載の膜を1枚以上具える燃料電池。
【請求項23】
請求項18に記載の膜を1枚以上具える拡散透析機器。
【請求項24】
請求項18に記載の膜を1枚以上具える膜電極アセンブリー。

【公表番号】特表2013−514423(P2013−514423A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543900(P2012−543900)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際出願番号】PCT/GB2010/052063
【国際公開番号】WO2011/073641
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(505232782)フジフィルム マニュファクチャリング ユーロプ ビー.ブイ. (50)
【Fターム(参考)】