説明

硬化性組成物

【構成】 下記の4成分(A)〜(D)を主成分とする硬化性組成物;
(A)分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有する化合物、(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)シリカ微粉末。
【効果】 充分な機械特性を有する硬化性組成物である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒドロシリル化反応によって、硬化する硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、硬化してゴム状物質を生成する硬化性液状組成物としては、各種のものが開発されている。ヒドロキシル化反応を利用した硬化性組成物(例えば、特開平3−95266)では、速硬化性であり、且つ深部硬化性に優れていることが知られている。しかしながら、機械的特性が充分に得られないという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、速硬化性であり、且つ深部硬化性に優れ、充分な機械的特性を有する硬化性組成物を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、下記4成分(A)〜(D)を主成分とする硬化性組成物;
(A)分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有する化合物、(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)シリカ微粉末。
を内容とするものである。
【0005】本発明の(A)成分である、分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有する化合物としては特に制限はなく、低分子化合物から有機重合体に至る各種のものを用いることができる。アルケニル基としては特に制限はないが、式(I)
【0006】
【化1】


【0007】(式中、R1 は水素またはメチル基)で示されるアルケニル基が好適である。(A)成分を具体的に記述すると、まず、式(II)
【0008】
【化2】


【0009】(R1 は水素またはメチル、R2 は炭素数1〜20の2価の炭化水素基で1個以上のエーテル結合が含有されていてもよい。R3 は脂肪族または芳香族の有機基、aは正の整数。)で表されるエーテル結合を有する化合物が挙げられる。式(II)中、R2 は炭素数1〜20の2価の炭化水素基を表すが、R2 の中には、1個以上のエーテル結合が含有されていても構わない。具体的には、
【0010】
【化3】


【0011】などか挙げられる。合成上の容易さから−CH2 −が好ましい。式(II)中、R3 は芳香族または脂肪族系の有機基である。具体的に示すならば、
【0012】
【化4】


【0013】
【化5】


【0014】
【化6】


【0015】
【化7】


【0016】
【化8】


【0017】などが挙げられる。これらのうちで、下記のものが好ましい。
【0018】
【化9】


【0019】
【化10】


【0020】R3 は有機重合体であってもよく、各種のものを用いることができる。まず、ポリエーテル系重合体としては、例えは、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体等が好適に使用される。その他の主鎖骨格を持つ重合体としては、アジピン酸などの2塩基酸とグリコールとの縮合、または、ラクトン類の開環重合で得られるポリエステル系重合体、エチレン−プロピレン系共重合体、ポリイソブチレン、イソブチレンとイソプレン等との共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、イソプレンとブタジエン、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体、ポリブタジエン、ブタジエンとスチレン、アクリロニトリル等との共重合体、ポリイソプレン、ポリブタジエン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリル、スチレンなどとの共重合体を水素添加して得られるポリオレフィン系重合体、エチルアクリレート、ブチルアクリレートなどのモノマーをラジカル重合して得られるポリアクリル酸エステル、エチルアクリレート、ブチルアクリレートなどのアクリル酸エステルと、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、スチレンなどとのアクリル酸エステル系共重合体、前記有機重合体中でのビニルモノマーを重合して得られるグラフト重合体、ポリサルファイド系重合体、ε−カプロラクタムの開環重合によるナイロン6、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の縮重合によるナイロン66、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の縮重合によるナイロン610、ε−アミノウンデカン酸の縮重合によるナイロン11、ε−アミノラウロラクタムの開環重合によるナイロン12、上記のナイロンのうち、2成分以上の成分を有する共重合ナイロンなどのポリアミド系重合体、例えばビスフェノールAと塩化カルボニルより縮重合して製造されるポリカーボネート系重合体、ジアリルフタレート系重合体などが例示される。
【0021】次に、一般式(III)
【0022】
【化11】


【0023】(R1 は水素またはメチル基、R2 は炭素数1〜20の2価の炭化水素基で1個以上のエーテル結合を含有していてもよい。R4 は脂肪族または芳香族の有機基、aは正の整数。)で表されるエステル結合を有する化合物が挙げられる。式(III)中、R2 は式(II)におけるR2 と同一である。また、R4 は、芳香族系までは脂肪族系の1〜4価の有機基である。具体的に示すならば、
【0024】
【化12】


【0025】
【化13】


【0026】
【化14】


【0027】
【化15】


【0028】などが挙げられる。これらのうちで下記のものが好ましい。
【0029】
【化16】


【0030】R4 は有機重合体であってもよく、式(II)のエーテル系化合物で例示した有機重合体をすべて好適に用いることができる。次に、一般式(IV)
【0031】
【化17】


【0032】(R1 は水素またはメチル基、R5 は脂肪族または芳香族の有機基、aは正の整数)で示される化合物が挙げられる。式(IV)中、R5 は脂肪族または芳香族の有機基を表すが、具体的には、
【0033】
【化18】


【0034】
【化19】


【0035】
【化20】


【0036】R5 は有機重合体であってもよく、式(II)の説明で例示した有機重合体をすべて好適に用いることができる。(A)成分の具体例としては、さらに一般式(V)
【0037】
【化21】


【0038】(R1 は水素またはメチル基、R2 は炭素数1〜20の2価の炭化水素基で1個以上のエーテル結合を含有していてもよい。R6 は脂肪族または芳香族の有機基、aは正の整数。)で表されるカーボネート結合を有する化合物が挙げられる。式中、R2 は式(II)中のR2 に同じである。また、R6 としては、
【0039】
【化22】


【0040】
【化23】


【0041】
【化24】


【0042】などが挙げられる。これらのうち下記のものが特に好ましい。
【0043】
【化25】


【0044】R6 は有機重合体であってもよく、式(II)の説明で例示した有機重合体をすべて好適に用いることができる。(A)成分として、有機重合体を使用する場合、アルケニル基を重合体に導入する方法については、種々提案されているものを用いることができるが、重合後に導入する方法と重合中に導入する方法に大別することができる。
【0045】重合後にアルケニル基を導入する方法としては、例えば末端、主鎖あるいは側鎖に水酸基、アルコキシド基等の官能基を有する重合体に、上記官能基に対して反応性を示す活性基、及び、アルケニル基を有する有機化合物を反応させることにより、アルケニル基を末端、主鎖あるいは側鎖に導入することができる。上記官能基に対して反応性を示す活性基及びアルケニル基を有する有機化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、アクリル酸クロライド、アクリル酸ブロマイド等のC2 −C20の不飽和脂肪酸、酸ハライド、酸無水物や、アリルクロロホルメート、アリルブロモホルメート等のC3 −C20の不飽和脂肪酸置換炭酸ハライド、アリルクロライド、アリルブロマイド、ビニル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(ブロモメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)エーテル、アリル(クロロメトキシ)ベンゼン、1−ブテニル(クロロメチル)エーテル、1−ヘキセニル(クロロメトキシ)ベンゼン、アリルオキシ(クロロメチル)ベンゼン等が挙げられる。
【0046】重合中にアルケニル基を導入する方法としては、例えばラジカル重合法で製造する場合に、アリルメタクリレート、アリルアクリレート等の分子中にラジカル反応性の低いアルケニル基を有するビニルモノマー、アリルメルカプタン等のラジカル連鎖移動剤を用いることにより、重合体の主鎖、または、末端にアルケニル基を導入することができる。
【0047】アルケニル基含有有機重合体は、線状でも、枝分かれ状でもよく、分子量は500〜50000の任意のものが好適に使用できるが、1000〜20000のものが特に好ましい。アルケニル基は分子末端にあっても分子中にあっても良いが、本発明の組成物を用いてゴム状硬化物を作成する場合には、分子末端にある方が有効綱目鎖長が長くなるので好ましい。
【0048】本発明の(B)成分である、分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する有機化合物としては特に制限はないが、ヒドロシリル基を含む基を具体的に例示するならば、
【0049】
【化26】


【0050】などのケイ素原子を2個含む基、
【0051】
【化27】


【0052】(式中、RはH、OSi(CH3 3 および炭素数が1〜10の有機基より選ばれる基であり各々のRは同じでも異なっていてもよい。m、nは正の整数で、且つ2≦m+n≦50)
【0053】
【化28】


【0054】(式中、Rは上記に同じ、mは正の整数、n、p、qは0または正の整数で、且つ1≦m+n+p+q≦50)
【0055】
【化29】


【0056】(式中、Rは上記に同じ、mは正の整数、nは0または正の整数で、且つ2≦m+n≦50)などで示される鎖状、枝分かれ状、環状の各種の多価ハイドロジェンシロキサンより誘導された基などが挙げられる。上記の各種のヒドロシリル基のうち、本発明のヒドロシリル基含有化合物の、(A)成分に対する相溶性を損なう可能性が少ないという点から、ヒドロシリル基を構成する基の部分の分子量は500以下が望ましく、さらにヒドロシリル基の反応性も考慮すれば、下記のものが好ましい。
【0057】
【化30】


【0058】(式中、pは正の整数、qは0または正の整数であり、かつ2≦p+q≦4)
【0059】
【化31】


【0060】同一分子中にヒドロシリル基含有基が2個以上存在する場合には、それらは互いに同一でも異なっても構わない。(B)成分中に含まれるトータルのヒドロシリル基の個数については、少なくとも、1分子中に2個あれば良いが、2〜15個が好ましく、3〜12個が特に好ましい。本発明のヒドロシリル基含有化合物を、ヒドロシリル化触媒存在下に、アルケニル基を含有する化合物((A)成分)と混合してヒドロシリル化反応により硬化させる場合には、該ヒドロシリル基の個数が2より少ないと硬化不良を起こす場合が多い。また、該ヒドロシリル基の個数が15より多くなると、(B)成分の安定性が悪くなり、そのうえ、硬化後も多量のヒドロシリル基が硬化物中に残存し、ボイドやクラックの原因となる。
【0061】(B)成分のヒドロシリル基含有化合物としては特に制限はないが、低分子量のものから重合体にいたる各種の化合物を用いることができる。具体的に例示すると、式(VI)
【0062】
【化32】


【0063】(式中、Xは上記のヒドロシリル基を1個以上有する基、R1 、R2 、R3 は、式(II)におけるR1 、R2 、R3 とそれぞれ同じものを用いることができる。)で表されるエーテル結合を有する化合物、式(VII)
【0064】
【化33】


【0065】(式中、Xは上記のヒドロシリル基を1個以上有する基、R1 、R2 、R4 は、式(III)におけるR1 、R2 、R4 とそれぞれ同じものを用いることができる。)で表されるエステル結合を有する化合物、式(VIII)
【0066】
【化34】


【0067】(式中、Xは上記のヒドロシリル基を1個以上有する基、R1 、R5 は式(IV)におけるR1 、R5 とそれぞれ同じものを用いることができる。)で表される炭化水素系の化合物、さらに、式(IX)
【0068】
【化35】


【0069】(式中、Xは上記のヒドロシリル基を1個以上有する基、R1 、R2 、R6 は、式(V)におけるR1 、R2 、R6 とそれぞれ同じものを用いることができる。)で表されるカーボネート結合を有する化合物を挙げることができる。(B)成分として有機重合体を用いる場合、重合体は線状でも枝分かれ状でもよく、分子量は500〜50000の任意のものが好適に使用できるが、500〜20000のものが特に好ましい。(B)成分のヒドロシリル基は、分子末端にあっても分子中にあっても良いが、本発明の組成物を用いてゴム状硬化物を作製する場合には、分子末端にある方が有効綱目鎖長が長くなるので好ましい。
【0070】(B)成分の製造方法としては特に制限はなく、任意の方法を用いればよい。例えば、(i)分子内にSi−Cl基をもつ有機化合物をLiAlH4 、NaBH4 などの還元剤で処理して該化合物中のSi−Cl基をSi−H基に還元する方法、(ii)分子内にある官能基Xを持つ有機化合物と分子内に上記官能基と反応する官能基Y及びヒドロシリル基を同時にもつ化合物とを反応させる方法、(iii)アルケニル基を持つ有機化合物に対して少なくとも2個のヒドロシリル基を持つポリヒドロシラン化合物を選択ヒドロシリル化することにより、反応後もヒドロシリル基を該化合物の分子中に残存させる方法などが考えられる。これらのうち(iii)の方法が特に好ましい。
【0071】(A)成分と(B)成分の組合せとしては、任意のものを組み合わせることができるが、(A)成分と(B)成分のいずれか一方または両方が有機重合体であることが好ましく、そのなかでも、(A)成分がポリプロピレンオキシド系重合体であることが好ましい。(A)成分と(B)成分の両方が低分子量化合物であると、得られる硬化物の架橋密度が高くなり、脆くなるのでプリント基板耐熱マスキングテープ用硬化性組成物としては好ましくない。
【0072】本発明の(C)成分であるヒドロシリル化触媒としては、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体{例えば、Pt(CH2 =CH2 2 (PPh3 2 Pt(CH2 =CH2 2 Cl2 };白金−ビニルシロキサン錯体{例えば、Ptn (ViMe2 SiOSiMe2 Vi)m 、Pt〔(MeViSiO)4 m };白金−ホスフィン錯体{例えば、Pt(PPh3 4 、Pt(PBu3 4 };白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt〔P(OPh3 4 )(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、m、nは整数を表す)、ジカルボニルジクロロ白金、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601および、3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、並びにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒も挙げられる。さらに、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
【0073】また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh3 3 、RhCl3 、RhlAl2 3 、RuCl3 、IrCl3 、FeCl3 、AlCl3 、PdCl2 ・2H2 O、NiCl2 、TiCl4 等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用しても構わない。触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−アセチルアセトナート錯体、白金−ビニルシロキサン錯体が好ましい。
【0074】触媒量としては特に制限はないが、(A)成分中のアルケニル基1molに対して10-1〜10-8molの範囲で用いるのがよい。好ましくは10-3〜10-6molの範囲で用いるのがよい。10-8molより少ないと硬化が充分に進行しない。またヒドロシリル化触媒は一般に高価で腐食性であり、また、水素ガスが大量に発生して硬化物が発泡してしまう場合があるので10-1molより多量に用いない方がよい。
【0075】本明細書においては、硬化性組成物が貴金属触媒を用いた、アルケニル基に対するSi−H基の付加反応によって硬化するので、硬化速度が非常に速く、ライン生産を行なう上で好都合である。(B)成分であるヒドロシリル基含有化合物を上記の選択ヒドロシリル化により製造する場合、反応後にも(B)成分中にヒドロシリル化触媒が含まれているので、一般にその安定性が良好でなく、長期間放置したり、湿分が混入したりするとSi−H基のSi−OH基への転化が起こり、粘度増大やゲル化等の現象が見られる。従って、(B)成分の中に貯蔵安定性改良剤を含有させることが好ましい。このような化合物としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機硫黄化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物などを好適に用いることができる。具体的には、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、2−ペンテンニトリル、2,3−ジクロロプロペンなどが挙げられ、特に、ポットライフ/速硬化性の両立という点でチアゾールが好ましいが、これらに限定されるわけではない。貯蔵安定性改良剤の使用量は(A)成分及び(B)成分に均一に分散する限りにおいて、ほぼ任意に選ぶことができるが、(B)成分のSi−H基含有化合物1molに対し、10-6〜10-1molの範囲で用いることが好ましい。これは、10-6mol未満では(B)成分の貯蔵安定性が充分に改良されず、10-1molを越えると硬化を阻害することがあるからである。貯蔵安定性改良剤は単独で用いても、また2種以上を混合して用いてもよい。
【0076】本発明の(D)成分であるシリカ微粉末としては、けい酸ソーダの加水分解による湿式製造法等から得られる含水シリカ、及び四塩化珪素などのハロゲン化珪素あるいは有機珪素化合物の熱分解による乾式製造法等から得られる無水シリカを用いることができる。含水シリカとしては、例えば、日本シリカ工業(株)のニップシールVN3、ニップシールAQ、ニップシールLP、ニップシールER、ニップシールNS、ニップシールNS−T、ニップシールNA、ニップシールL300、ニップシールN300A、ニップシールE、Monsanto社のSantocel FRC、Santocel CS、PPG Ind社のHi−Sil 233、Hi−Sil X303、Philadelphia Quarts社のQuso F−20等が挙げられる。無水シリカとしては、例えば、日本アエロジル(株)のアエロジル130、アエロジル200、アエロジル200V、アエロジル200CF、アエロジル300、アエロジル300CF、アエロジル380、アエロジルOX50、アエロジルTT600、アエロジルMOX80、アエロジルMOX170、アエロジルCOK84、アエロジルR972、アエロジルR974、アエロジルR202、アエロジルR805、アエロジルR812、Cabot社のCab−O−Sil MS−5、Cab−O−Sil MS−7、Cab−O−Sil HS−5、Cab−O−Sil MS−7等が挙げられる。
【0077】シリカ微粉末の添加量は、成分(A)100重量部に対して、1〜100重量部が好ましく、5〜40重量部がさらに好ましい。添加量が少なすぎると十分な強度が得られなくなる恐れがある。また、添加量が多すぎると粘度の上昇が大きく作業性が悪くなり、また良好な硬化物が得られなくなる恐れがある。本発明の硬化性組成物には必要に応じて、その他の充填剤、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、顔料、界面活性剤、などを適宜添加してよい。さらに、シランカップリング剤は、プリント基板との接着性を必要以上に上昇させる為、用いないことが望ましい。
【0078】前記その他の充填剤の具体例としては、例えば炭酸カルシウム、クレー、タルク、酸化チタン、亜鉛華、ケイソウ土、硫酸バリウム、カーボンブラックなどが挙げられる。
【0079】
【実施例】次に実施例により本発明の組成物を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
合成例1特開昭53−134095に開示された方法に従って、末端にアリル型オレフィン基を有するポリオキシプロピレンを合成した。
【0080】平均分子量3000であるポリオキシプロピレングリコールと粉末苛性ソーダを60℃で攪拌し、ブロモクロロメタンを加えて、反応を行い、分子量を増大させた。次に、アリルクロライドを加えて、110℃で末端をアリルエーテル化した。これをケイ酸アルミニウムにより処理して、精製末端アリルエーテル化ポリオキシプロピレンを合成した。
【0081】このポリエーテルの平均分子量は7960であり、ヨウ素価から末端の92%がオレフィン基であった。E型粘度系による粘度は130ポイズ(40℃)であった。
合成例2200mlの4つ口フラスコに、3方コック付冷却管を、均圧滴下ロート、温度計、マグネチック・チップ、ガラスストッパーを取りつけたものを用意した。N2 雰囲気下で環状ポリハイドロジェンシロキサン
【0082】
【化36】


【0083】(信越化学株式会社製、LS8600)12.03g(50mmol)及びトルエン20mlをフラスコ内に仕込んだ。1,9−デカジエン2.76g(20mmol)、塩化白金酸触媒溶液(H2 PtCl6 ・6H2 O 1gをエタノール1g、1,2−ジメトキシエタン9gに溶かした溶液)20μlをトルエン30mlに溶解したものを滴下ロート内へ仕込んだ。フラスコを50℃のオイルバスにつけ、N2 雰囲気下にて該トルエン溶液をフラスコ内へ2時間かけて滴下した。滴下終了後50℃でさらに1時間反応させた時点で、IRスペクトルを測定したところ、1640cm-1の付近のオレフィンの吸収が完全に消失していたのでこの時点で反応を終了した。反応が終了した該トルエン溶液を塩化アンモニウム飽和水溶液(100ml×2)、交換水(100ml×1)で洗浄後、Na2 SO4 で乾燥した。Na2 SO4 を濾過して取り除き、ベンゾチアゾール(13μl、0.12mmol)を加え、揮発分をエバポレートして除去後、80℃で減圧脱気することにより9.11gの無色透明の液体を得た。該炭化水素系化合物中のヒドロシリル基は2170cm-1の強い吸収として確認された。また300MHzのNMRでSi−のピークとSi−C3 とのプロトンの強度比(実測値0.216)と計算上の強度比を比較することによって該化合物は平均して下記式の構造を有する〔n=1(MW=998)が53%、n=2〔MW=1377)が47%〕混合物であることがわかった。これをもとに単位重量中のSi−H基の数を計算すれば0.769mol/100gであった。
合成例3ビスフェノールA114g(0.5mol)、5N水酸化ナトリウム水溶液250ml(1.25mol)及びイオン交換水575mlをよく混合した。次に相間移動触媒としてベンジルトリエチルアンモニウムクロライド
【0084】
【化37】


【0085】7.78g(25mmol)を加えた。該水溶液にアリルブロマイド242g(2.0mol)をトルエン300mlに溶解した溶液を、滴下ロートより徐々に滴下した。80℃で2時間攪拌しながら反応させた。この時点で水層のpHを測定すると酸性になっていたので、加熱攪拌を止めた。重曹水で有機層を洗浄した後、更にイオン交換水で洗浄し、Na2 SO4 で乾燥した。エバポレーションにより揮発分を除去後、80℃で2時間減圧乾燥することにより、淡黄色の粘稠な液体146g(収率95%)を得た。この粘稠な液体は元素分析、300MHz1H-NMR、IRスペクトルなどの同定により、ビスフェノールAのジアリルエーテルであることが確認された。
IR(neat)cm-1,3070(m,ν=C−H),3030(m),2960(s),2920(s),(ν=C−H),1645(m,ν=C−H),1620(s),1520(s),1290(s),1235(s),1180(s),1025(s),1000(s),920(s),825(s)
元素分析,計算値 C,81.78%;H,7.84%実測値 C,81.9 %;H,7.96%合成例4.攪拌棒、滴下ロート、温度計、3方コック、冷却管を備え付けた200mlの4つ口フラスコを準備した。次に窒素雰囲気下で環状ハイドロジェンポリシロキサン
【0086】
【化38】


【0087】(信越化学株式会社製、LS8600)12.03g(50mmol)及びトルエン20mlをフラスコ内に仕込んだ。合成例3で合成したビスフェノールAジアリルエーテル6.16g(20mmol)、塩化白金酸触媒溶媒溶液(H2 PtCl6 ・6H2 O 1.0gをエタノール/1,2−ジメトキシエタン(1/9V/V)9gに溶解したもの)41μlをトルエン50mlに溶解しよく混合した後、滴下ロート内へ仕込んだ。70℃で該トルエン溶液をフラスコ内に1.5時間かけて滴下した。更に80℃で5時間反応させた時点で、IRスペクトルを取ったところ、1645cm-1のオレフィンに由来する吸収が完全に消失していたのでこの時点で反応を終了した。反応混合物にジメチルアセチレンジカルボキシレート(34μl、0.24mmol)を添加したのち、トルエンを減圧溜去後80℃で1時間減圧乾燥することにより12.0gの淡黄色の粘稠な液体が得られた。この粘稠な液体は300MHz 1HNMR、IRスペクトルなどの同定により、次の構造式を有するSi−H含有エーテル系化合物であることがわかった。
【0088】
【化39】


【0089】合成例5.200mlの4つ口フラスコに、3方コック付冷却管を、均圧滴下ロート、温度計、回転子、ガラスストッパーを取り付けたものを用意した。窒素雰囲気下、環状ポリハイドロジェンシロキサン
【0090】
【化40】


【0091】(信越化学株式会社製、LS8600)12.03g(50mmol)及びトルエン20mlをフラスコ内に仕込んだ。ジエチレングリコールジアリルカーボネート
【0092】
【化41】


【0093】(RAV−7N,三井石油化学(株)製)5.49g(20mmol)、塩化白金酸触媒溶液(H2 PtCl6 ・6H2 O 1.0gをエタノール/1,2−ジメトキシエタン(1/9 V/V)9gに溶解したもの)41μlをトルエン50mlに溶解したものを滴下ロート内へ仕込んだ。フラスコを50℃のオイルバスにつけ、窒素雰囲気下にて該トルエン溶液をフラスコ内へ1.5時間かけて滴下した。滴下終了後IRスペクトルを測定したところ、1640cm-1の付近のオレフィンの吸収が完全に消失していたので、この時点で攪拌を終了した。反応混合物にジメチルアセチレンジカルボキシレート(34μl、0.24mmol)を添加したのち、エバポレートして揮発分を除去することにより、少し粘稠な淡黄色液体10.2gを得た。該カーボネート系化合物のヒドロシリル基はIRスペクトルで2170cm-1の強い吸収として確認された。また300MHzのNMRでSi−のピークとSi−C3 とのプロトンの強度比(実測値0.181)と計算上の強度比を比較することによって、該化合物は平均して下記式の構造を有することがわかった。これを基に単位重量中のSi−H基の数を計算すれば0.47mol/100gであった。
【0094】
【化42】


【0095】合成例6.攪拌棒、滴下ロート、温度計、3方コック、冷却管を備え付けた1リットル4つ口フラスコを準備した。次に窒素雰囲気下で環状ポリシロキサン
【0096】
【化43】


【0097】(信越化学株式会社製、LS8600)41.7g(0.173mol)をフラスコ内に仕込んだ。合成例1で合成した分子末端の92%がアリル基であるポリプロピレンオキシド300g(アリル基のモル数0.069mol)、トルエン230ml、及び塩化白金酸触媒溶媒(H2 PtCl6 ・6H2 O 1.0gをエタノール/1,2−ジメトキシエタン(1/9 V/V)9Gに溶解させたもの)83μlからなるトルエン溶液を滴下ロートへ仕込んだ.フラスコを70℃に加熱し、該トルエン溶液を1分間に約2mlの割合で5時間かけて滴下した。その後反応温度を80℃に上げ、約6時間攪拌した時点で、反応溶液中の残存アリル基をIRスペクトル分析法により定量したところ、1645cm-1の炭素−炭素2重結合が消失していることが確認された。反応混合物にジメチルアセチレンジカルボキシレート(118μl、0.83mmol)を添加した後、反応系中のトルエン及び未反応の過剰の環状ポリシロキサンを除去するために減圧脱気を80℃で3時間行い、ヒドロシリル基を有するポリプロピレンオキシド約315gが、淡黄色、粘稠な液体として得られた。E型粘度計による粘度は310ポイズ(40℃)であった。該ポリプロピレンオキシド中のヒドロシリル基はIRスペクトルで2150cm-1の強い吸収として確認された。300MHzのNMRスペクトルを分析し、Si−C3 とSi−C2 −とを合わせたピークの強度とSi−のピークの強度を比較することにより、該環状ポリシロキサン1分子当たり平均1.31個のヒドロシリル基が反応したことがわかった。即ち、該重合体は環状ハイドロジエンポリシロキサンにより1部分子量が増大した、次式の分子末端を有するポリプロピレンオキシドである。
【0098】
【化44】


【0099】実施例1〜12、比較例合成例1で得た有機重合体、合成例2、4、5、または6で得られたSi−H基含有化合物、シリカ微粉末、及び塩化白金酸触媒溶液(H2PtCl6・6H2O 1.0gをエタノール/1,2−ジメトキシエタン(1/9 V/V)99gに溶解したもの)を表1に示す量計量し、よく混合したのち減圧下脱泡した。
【0100】約2mm厚のフィルムを作成し、100℃、10分間硬化させて硬化物を作成した。ダンベルに打ち抜き、引張試験を行い、結果を表2に示した。
【0101】
【表1】


【0102】実施例131,9−デカジエン、合成例6のSi−H基含有重合体を用いる以外は実施例3のときと同様にして硬化物を作成し、実施例3と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
実施例14合成例3で製造したジアリルビスフェノールA、合成例6のSi−H基含有重合体を用いる以外は実施例3の時と同様にして硬化物を作成し、実施例3と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0103】
【表2】


【0104】
【発明の効果】表2の結果から明らかなように、本発明の硬化性組成物は、充分な機械的特性を有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記の4成分(A)〜(D)を主成分とする硬化性組成物;
(A)分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有する化合物、(B)分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する化合物、(C)ヒドロシリル化触媒、(D)シリカ微粉末。
【請求項2】 更に貯蔵安定性改良剤を含有する請求項1記載の組成物。
【請求項3】 分子内に少なくとも1個のアルケニル基を有する化合物が、数平均分子量が500〜50000のポリエーテル主鎖により構成されるオリゴマーである請求項1記載の組成物。
【請求項4】 シリカ微粉末が含水シリカである請求項1記載の組成物。
【請求項5】 シリカ微粉末が無水シリカである請求項1記載の組成物。