説明

硬貨入出金機

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、商店などのレジカウンタ上に設置して使用できる硬貨入出金機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来は、入金口、該入金口よりの硬貨を1枚ずつ繰り出す硬貨供給ホッパ、該ホッパよりの硬貨の金種等を判別する判別部、該判別部の判別結果に基づいて硬貨を金種別に振り分ける選別通路、その下方の複数の硬貨収納筒などを具備し、出金指令に基づいて各硬貨収納筒の下方から繰り出すとともに搬送手段により前記入金口側の出金口に硬貨を払い出すことができるように構成した硬貨入出金機において、特開昭61ー237187号公報に見られるように、入金口と出金口とを同一位置にしたり、第2の硬貨供給ホッパおよびそれに関連する搬送手段を設けたり、各硬貨収納筒の下方から上方の出金口側へ搬送ベルトを延設するような構造になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、そのように入金口と出金口を切り換えて機能させるため構造が複雑となり、しかも、第2の硬貨ホッパなどを装備したり、搬送ベルトにより硬貨を正確に上方へ搬送しなければならないため、全体に構造が複雑で大形となってコストアップとなり、商店などが購入してレジカウンタ上に設置し使用することは非常に難しい、といった不具合を呈していた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、そのような不具合を解決し、コンパクト構造にして好適に実施できるようにしたものであり、そのため硬貨入出金機で、この硬貨入出金機本体の上方一側部に、一側部側より前記出金口、前記入金口の順で前記出金口及び前記入金口を隣接して設け、前記出金口及び前記入金口には、水平方向にスライド自在に設けられ、スライドしたときにいずれか一方の口を閉鎖できるようになしたシャッタを設け、前記入金口の直下には、下方に設けられた前記硬貨供給ホッパに、投入された硬貨を案内する入金シュートを設け、前記硬貨供給ホッパの前記硬貨入出金機本体の他側部側に亘って、前記判別部及び前記選別通路を水平方向に設け、前記金種別の硬貨収納筒を、前記選別通路の直下に位置するように、水平方向に設け、前記硬貨搬送ベルトを、前記金手別の硬貨収納筒の直下から、前記硬貨入出金機本体の一側部側に亘ってほぼ水平方向に設け、前記硬貨搬送ベルトの前記硬貨入出金機本体の一側部側の端部位置には、この端部位置と、その直上の前記出金口の直下の上方位置との間で、上下動自在に設けられ、前記端部位置で、前記金種別の硬貨収納筒から繰り出され、前記硬貨搬送ベルトを介して搬送された硬貨を受け取り、前記上方位置で、前記シャッタがスライドして開放された出金口より硬貨を取り出しうる受け皿を設けたことを特徴とする硬貨入出金機としたのである。
【0005】
【作用】したがって、入金の場合には、シャッタにより入金口が開放されており、顧客より受け取った硬貨を確認後、入金口より投入された硬貨は入金シュートより硬貨供給ホッパ内へ直接に案内され、さらに外ホッパより選別通路へと搬送されて、判別部により金種判別された後、その判別結果に基づいて、複数の硬貨収納筒内へ金種別に振り分け収納されることになり、また、出金の場合には、出金指令に基づいて硬貨収納筒の下方から繰り出される硬貨が水平方向の硬貨搬送ベルト上に落ちると、そのまま水平方向へ安定良く搬送しながら受け皿に受け継がせ、受け皿は、入金口に隣接した出金口へ上動して、シャッタが出金口を開くことで、出金口に硬貨を払い出すことができることになる。
【0006】
【実施例】1は硬貨入出金機全体を示し、その上方一側部には入金口3と出金口2とを隣接させて並設し、両口3、2の上方にはスライドして一方側を閉鎖できるシャッタ4をスライド自在に被着し、前記入金口3の下方に垂設した入金シュート6の下方には、硬貨を1枚ずつ掬い上げる突起を周面に有した斜円盤を内装する硬貨供給ホッパ7を配備し、該ホッパ7の斜円盤により掬い上げられた硬貨が受け渡されて搬送する選別通路8の上流部位には、金種等を判別する判別部9を配備するとともに、その下流部位には、硬貨を500円、100円、50円、10円、5円、1円の金種別に振り分けることができる6個の選別ゲート11a〜11fを配備し、各選別ゲート11a〜11fの下方には垂立した硬貨収納筒10a〜10fをそれぞれ配備するとともに、各硬貨収納筒10a〜10fの下端部には、繰出し手段により硬貨を一枚ずつ繰り出させることができる繰出し孔14をそれぞれ設けて構成するが、前記選別通路8の下流終端側からは、前記硬貨収納筒10a〜10fが満杯になったときに余剰硬貨を金種を問わずに受け入れて下方の収納ボックス12に放出することができるガイドシュート13を垂設して構成する。
【0007】前記硬貨収納筒10a〜10fの下方から前記硬貨供給ホッパ7の下方にかけて、硬貨を載置したまま搬送できる硬貨搬送ベルト15を水平方向へ延設し、該硬貨搬送ベルト15から硬貨を受け入れることができる受け皿5を、硬貨搬送ベルト15の終端側とその上方の前記出金口2の下方との間で上下動できるように装備するが、受け皿5を固定した昇降台16の一端側のガイド体17を垂立のガイド軸18に摺動自在に嵌装するとともに、モータによって駆動される無端ベルトにガイド体17を連結して受け皿5を昇降自在にし、また、受け皿5が出金口2の下方まで上昇すると、レジ係りが受け皿5内の硬貨を取り出す際に受け皿5が下方に押し戻されないように、ソレノイドにより駆動されるストッパー19が受け皿5の下方に突出して受け皿5の下降を規制できるように設け、出金の際、受け皿5が出金口2の下方まで上昇すると、連動して前記シャッタ4が前記入金口3の上方へスライドして出金口2を開放させることができるように構成する。
【0008】したがって、硬貨入出金機1は、レジスター(POSシステム)に接続するとともに該レジスターからの入金・出金指令に基づいて動作するように、また、その高さ寸法はレジ係りが硬貨の出し入れを容易に行なえる位置に出金口2と入金口3が位置するように設定してレジスター近傍のレジカウンタ上に好適に設置できることになり、顧客が買い上げたい商品をレジカウンタ上において、レジ係りがその商品の金額の入力をしてレジスターの合計キーを押下すると、レジスターの金額表示部に合計金額が表示されることになり、その合計金額を顧客に告げて現金を受け取る際、その現金の中に紙幣がある場合には、レジ係りの手作業か、あるいは紙幣入出金機によって処理することになる。
【0009】その場合、硬貨があると入金口3に投入されることになり、投入された硬貨は入金シュート6から硬貨供給ホッパ7内に送り込まれ、そのまま1枚ずつ選別通路8に送り込まれる硬貨は判別部9によって金種判別されながら、各選別ゲート11a〜11fにより金種別に振り分けられて各硬貨収納筒10a〜10f内に落入し収納されることになり、前記判別部9の判別データは上位機であるレジスター(POSシステム)に向けて出力されることになる。
【0010】商品の合計金額と顧客から受け取った現金とに差額(釣銭)があった場合、その差額の中で紙幣で払い出せる金額は、レジ係りの手作業か、あるいは紙幣入出金機によって処理し、また、硬貨で払い出せる金額は、上位機であるレジスター(POSシステム)より出金指令が硬貨入出金機1へ向けて出力され、その出金指令に基づいて繰出し手段が動作されながら硬貨収納筒10a〜10fの下方の繰出し孔14から硬貨が順次、繰り出され、そのまま硬貨搬送ベルト15により矢印イ方向へ水平方向に安定良く搬送して、下方位に待機している受け皿5に投入されることになり、出金指令に基づいて繰り出された硬貨が全て受け皿5に収容されると、受け皿5は矢印ロで示すように出金口2の下方まで上昇し、同時にシャッタ4が入金口3側にスライドして出金口2が開放され、それに促されるようにしてレジ係が受け皿5内の出金硬貨を取り出すと、シャッタ4が出金口2側にスライドして入金口3を開放するようになる。
【0011】
【発明の効果】このように、本発明は、入金時には、入金されるべき硬貨が、入金口3より入金シュート6を介して硬貨供給ホッパ7へほぼ直接的に投入され、硬貨供給ホッパ7により直ちに判別部9によって硬貨の金種等が判別されながら選別通路8を搬送されて、金種別の硬貨収納筒11a〜11fに振り分け収納されることになるので、投入された硬貨の金種判別、判別結果に基づく振り分け収納が短時間で行える効果を有している。他方、釣銭を出金すべきときには、釣銭額に応じて金種別の硬貨収納筒11a〜11fから硬貨が硬貨搬送ベルト15上に繰り出され、硬貨搬送ベルト15上に繰り出された硬貨は、水平方向に搬送されて、硬貨搬送ベルト15上に硬貨が滞留することがなく受け皿5内に収集され、その後、受け皿5が上方の出金口3の直下に移動されると、シャッタ4が開放されて釣銭を取り出せるようになるので、釣銭の出金が短時間で行える効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である硬貨入出金機を示した断面図である。
【符号の説明】
2 出金口
3 入金口
5 受け皿
6 入金シュート
7 硬貨供給ホッパ
8 選別通路
9 判別部
10a〜10f 硬貨収納筒
15 硬貨搬送ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】入金されるべき硬貨が投入される入金口と、この入金口より投入された硬貨を一枚づつに分離して繰り出す硬貨供給ホッパと、この硬貨供給ホッパより一枚づつ分離して繰り出された硬貨の金種等を判別する判別部と、この判別部によって判別された硬貨をその判別結果に基づいて金種別に振り分ける選別通路と、この選別通路の下方に配置されて金種別に振り分けられた硬貨をそれぞれ収納するとともに収納された硬貨を任意に一枚ずつ分離して繰り出すことのできる金種別の硬貨収納筒と、この金種別の硬貨収納筒より任意に一枚ずつ分離して繰り出された硬貨を受け取って搬送する硬貨搬送ベルトと、この硬貨搬送ベルトにより搬送される硬貨を出金する出金口とが設けられた硬貨入出金機において、この硬貨入出金機本体の上方一側部に、一側部側より前記出金口、前記入金口の順で前記出金口及び前記入金口を隣接して設け、前記出金口及び前記入金口には、水平方向にスライド自在に設けられ、スライドしたときにいずれか一方の口を閉鎖できるようになしたシャッタを設け、前記入金口の直下には、下方に設けられた前記硬貨供給ホッパに、投入された硬貨を案内する入金シュートを設け、前記硬貨供給ホッパの前記硬貨入出金機本体の他側部側に亘って、前記判別部及び前記選別通路を水平方向に設け、前記金種別の硬貨収納筒を、前記選別通路の直下に位置するように、水平方向に設け、前記硬貨搬送ベルトを、前記金種別の硬貨収納筒の直下から、前記硬貨入出金機本体の一側部側に亘ってほぼ水平方向に設け、前記硬貨搬送ベルトの前記硬貨入出金機本体の一側部側の端部位置には、この端部位置と、その直上の前記出金口の直下の上方位置との間で、上下動自在に設けられ、前記端部位置で、前記金種別の硬貨収納筒から繰り出され、前記硬貨搬送ベルトを介して搬送された硬貨を受け取り、前記上方位置で、前記シャッタがスライドして開放された出金口より硬貨を取り出しうる受け皿を設けたことを特徴とする硬貨入出金機。

【図1】
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【特許番号】第2889998号
【登録日】平成11年(1999)2月26日
【発行日】平成11年(1999)5月10日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−105022
【出願日】平成3年(1991)3月22日
【公開番号】特開平4−294480
【公開日】平成4年(1992)10月19日
【審査請求日】平成8年(1996)1月19日
【出願人】(000116079)ローレルバンクマシン株式会社 (82)
【参考文献】
【文献】特開 昭61−237187(JP,A)
【文献】特開 昭61−52790(JP,A)
【文献】特開 昭59−9787(JP,A)