説明

硬貨入出金装置

【課題】硬貨判別を正確に行うこと。
【解決手段】硬貨Cが投入される硬貨投入口から送り出される硬貨の搬送経路の幅を徐々に狭くするような斜面を有して硬貨を片側に片寄せ搬送するように案内する搬送ガイド部材34と、搬送経路に設けられ、硬貨Cの直径を検知する直径センサ43と、搬送経路に設けられ、硬貨Cの直径以外の属性を検知する識別センサ42,44と、硬貨Cが正貨でない場合に、硬貨Cを搬送経路から排出するリジェクト孔33aと、を備え、直径センサ43は、リジェクト孔33aまでの搬送経路において識別センサ42,44より搬送方向下流側に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨入出金装置であって、特にPOS(Point Of Sales)端末やECR(Electronic Cash Register)等の電子機器に接続して使用するのに適した硬貨入出金装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、1円,5円,10円,50円,100円,500円等の硬貨を金種毎に収納し、POS端末やECRからの釣り銭の払い出し指令により、硬貨収納部内の硬貨を釣り銭額だけ硬貨払出口に払い出すようにした硬貨入出金装置が普及している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような硬貨入出金装置では、投入された硬貨が正貨か否かを判別する硬貨判別が行われている。より具体的には、硬貨入出金装置に投入された硬貨は、搬送ガイド部材に沿って硬貨収納部まで搬送されるが、この搬送途中に、材質検知センサや直径検知センサ等を設けて搬送中の硬貨の材質や直径を検知する。そして、硬貨入出金装置は、検知した材質や直径等から、搬送中の硬貨が正貨か否かを判別して、偽貨である場合には、搬送路中に設けたリジェクトボックスが硬貨を搬送経路外に排出して硬貨収納部に搬送しない構成となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の硬貨入出金装置において、硬貨が搬送ガイド部材に当接せずに搬送される場合があり、このような場合には、硬貨の直径を正確に検出することができず、硬貨判別を正確に行うことができないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、硬貨判別を正確に行うことができる硬貨入出金装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる硬貨入出金装置は、硬貨が投入される硬貨投入口から送り出される前記硬貨の搬送経路の幅を徐々に狭くするような斜面を有して前記硬貨を片側に片寄せ搬送するように案内する搬送ガイド部と、前記搬送経路に設けられ、前記硬貨の直径を検知する直径センサと、前記搬送経路に設けられ、前記硬貨の直径以外の属性を検知する識別センサと、前記硬貨が正貨でない場合に、前記硬貨を前記搬送経路から排出する排出部と、を備え、前記直径センサは、前記排出部までの前記搬送経路において前記識別センサより搬送方向下流側に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる硬貨入出金装置によれば、搬送中の硬貨の直径を正確に検出することができ、この結果、硬貨判別を正確に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態にかかる硬貨入出金装置を示す外観斜視図である。
【図2】図2は、入出金ユニットを示す平面図である。
【図3】図3は、硬貨搬送部を示す平面図である。
【図4】図4は、硬貨選別部及び硬貨収納部を示す縦断面図である。
【図5】図5は、搬送機構ユニットが開いた状態の入出金ユニットを示す平面図である。
【図6】図6は、搬送機構ユニットが開いた状態の入出金ユニットを示す斜視図である。
【図7】図7は、搬送機構ユニットの支持部を示す斜視図である。
【図8】図8は、硬貨入出金装置の電気的接続を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる硬貨入出金装置の一実施の形態を詳細に説明する。本実施の形態は、硬貨投入口から投入された硬貨を搬送して硬貨選別部で金種別に選別して硬貨収納部に収納し、硬貨払出指示に応じて金種別に払い出すようにした硬貨入出金装置への適用例である。
【0010】
図1は、本発明の一実施の形態にかかる硬貨入出金装置1を示す外観斜視図である。図1に示すように、硬貨入出金装置1は、硬貨の入出金を行う入出金ユニット2と、この入出金ユニット2を引き出し可能に収容保持する収納ケース3と、を備えている。
【0011】
図2は、入出金ユニット2を示す平面図である。入出金ユニット2は、硬貨入出金装置1の前部に位置し硬貨C(図3参照)を受け入れる硬貨受入部11と、硬貨受入部11によって受け入れた硬貨Cを硬貨入出金装置1の後部へ向けて搬送する硬貨搬送部12と、硬貨搬送部12によって搬送された硬貨Cを金種別に選別する硬貨選別部13と、硬貨選別部13によって選別された硬貨Cを金種別に収納する硬貨収納部14と、硬貨収納部14に収納された硬貨を払い出す硬貨払出部15と、を備えている。
【0012】
硬貨受入部11は、上方に開口した硬貨投入口21を有している。硬貨投入口21は、複数枚の硬貨Cのまとまった投入を許容する。硬貨投入口21には、投入された硬貨Cを光電的に検出する複数組の投入センサ22が設けられている。また、硬貨投入口21の底部には、投入モータ23(図8参照)の駆動により回転し、投入された硬貨Cを硬貨入出金装置1の内部へと搬送する投入ベルト24が設けられている。投入ベルト24の途中には、投入ベルト24によって搬送される硬貨Cを1枚ずつ分離して送り出す投入プーリ25が設けられている。
【0013】
図3は、硬貨搬送部12を示す平面図である。硬貨搬送部12は、硬貨搬送面31と、この硬貨搬送面31に硬貨を押し付けながらその硬貨を搬送する搬送ベルト32と、を有している。
【0014】
硬貨搬送面31は、投入ベルト24の硬貨搬送方向下流側において投入ベルト24によって搬送された硬貨を受ける位置に配置されている。硬貨搬送面31は、搬送ベース33の上面によって形成されている。搬送ベース33には、硬貨搬送面31における硬貨搬送方向の右側に搬送ガイド部材34が固定されている。搬送ベース33及び搬送ガイド部材34は、硬貨Cよりも硬い金属製である。
【0015】
搬送ベルト32は、ゴム製のエンドレスベルトであり、その断面は円形状に形成されている。この搬送ベルト32は、投入ベルト24から硬貨選別に用いる後述する選別ベルト63まで延出している。搬送ベルト32は、硬貨搬送面31の上方であって硬貨搬送面31に硬貨Cを押し付ける位置に配置されている。搬送ベルト32は、プーリ35,36に掛け渡されている。この搬送ベルト32の終端部は、上下一対のプーリ37(下側のプーリは図示せず)によって略直角に屈曲されており、これにより、搬送ベルト32は、上面視略L字状を成している。上下一対のプーリ37は相互に逆回転可能に連結されている。また、搬送ベルト32における硬貨搬送面31と対向する部分の内面は、複数のアイドラプーリ38によって支持されている。プーリ36は、選別ベルト63を介して連結された搬送モータ70(図8参照)の駆動によって等速回転し、プーリ36の等速回転により搬送ベルト32も等速回転する。投入ベルト24から搬送された硬貨Cは、プーリ35の下流側で搬送ベルト32と硬貨搬送面31とにより挟まれ、搬送ベルト32の回転に伴って硬貨搬送面31上に押し付けられながら搬送され、硬貨選別部13へ到る。
【0016】
搬送ガイド部材34は、投入ベルト24上を搬送された硬貨Cの搬送経路に干渉するように設けられている。搬送ガイド部材34は、搬送ベルト32に対して角度αの第1斜面Xと、搬送ベルト32に対して角度βの第2斜面Yと、を備えている。なお、第1斜面Xの角度αと第2斜面Yの角度βとの関係は、角度α>角度βである。第2斜面Yは、第1斜面Xの硬貨搬送方向下流側に位置している。この搬送ガイド部材34によって、投入ベルト24上を搬送された硬貨Cの搬送経路の幅が徐々に狭くなる。
【0017】
硬貨搬送面31における硬貨Cが通過する位置には、硬貨Cを識別する硬貨識別部41が設けられている。硬貨識別部41は、第1識別センサである材質センサ42と、第2識別センサである直径センサ43と、第3識別センサ44と、を有している。これらの3つの識別センサ42,43,44のうち材質センサ42が硬貨搬送方向で最も上流側に配置されており、直径センサ43が最も下流側に配置されている。そして、第3識別センサ44は、硬貨搬送方向で材質センサ42と直径センサ43との間に配置されている。
【0018】
また、材質センサ42、第3識別センサ44、直径センサ43は、いずれも、搬送ガイド部材34の角部、すなわち第1斜面Xと第2斜面Yとで形成される角部よりも硬貨搬送方向上流側に設けられている。これにより、第1斜面Xに当接されずに搬送されてきた場合でも当該角部に接触することによって第2斜面で当接して搬送されることになるため、材質センサ42、第3識別センサ44、直径センサ43による硬貨の検知をより正確に行うことが可能となる。
【0019】
材質センサ42は、硬貨Cの直径以外の属性として材質を検知するものであり、直径センサ43は、硬貨Cの直径を検知するものである。第3識別センサ44は、材質及び直径以外の硬貨Cに関する情報を検知するためのものであり、例えば、硬貨Cの属性として硬貨Cの孔の有無や、硬貨Cの厚さ、硬貨Cの反射率、硬貨Cの凹凸形状のいずれか一つを検知するものであって良い。
【0020】
材質センサ42、直径センサ43及び第3識別センサ44は、コイルと、このコイルに接続された発振回路と、この発振回路に接続された整流回路とを有する磁気センサである。材質センサ42、直径センサ43及び第3識別センサ44では、コイルに硬貨Cが接近すると、コイルのインピーダンスが変化し、これに伴い発振回路の発振レベルが変化する。整流回路は、発振回路の出力波形をデジタル信号に対応する波形に整流してCPU121(図8参照)に出力する。CPU121は、その出力値と予め設定されている正貨の値とを比較して硬貨Cの正偽の判定を行う。その出力値が、予め設定されている正貨の値と異なる場合には、CPU121は、その硬貨Cは偽貨であると判定する。発振レベルの変化量は、材質センサ42では硬貨Cの材質、直径センサ43では硬貨Cの直径によって、異なるように設定されている。また、第3識別センサ44における発振レベルの変化量は、硬貨Cの孔の有無や、硬貨Cの厚さ、硬貨Cの反射率、硬貨Cの凹凸形状によって、異なるように設定されている。
【0021】
また、硬貨搬送面31の硬貨搬送方向の下流端には、最大径の硬貨Cが落下し得るリジェクト孔33aが形成されている。リジェクト孔33aは硬貨Cの通過を許容するリジェクトシャッタ51によってその一部が塞がれている。このリジェクトシャッタ51は、リジェクトソレノイド52(図8参照)によって開閉駆動される。リジェクト孔33aの下方には、リジェクトボックス53が配置されている。
【0022】
リジェクトボックス53は、リジェクト孔33aから落下する硬貨C等を受けるものである。このリジェクトボックス53は、入出金ユニット2の筐体16に設けられた支持部に引き出し可能に支持されている。支持部には、リジェクトボックス53の取り付け状態を検出するボックスセンサ130(図8参照)が設けられている。
【0023】
上述したように直径センサ43は材質センサ42、第3識別センサ44よりも硬貨搬送方向下流側、ずなわち最も下流側に配置しているのは、以下の理由による。材質センサ42、第3識別センサ44による検知の場合には、硬貨Cが搬送ガイド部材34に当接せずに搬送された場合でも、硬貨Cの材質や孔の有無や、硬貨Cの厚さ、硬貨Cの反射率、硬貨Cの凹凸形状等を検知可能であるが、硬貨Cには最大径の硬貨、最小径の硬貨など複数種類存在するため、搬送中の硬貨Cが搬送ガイド部材34から外れて搬送された状態では、搬送される硬貨Cの種類によっては、直径センサ43は硬貨Cの直径を正確に検知することができない場合がある。一方、上述したように、搬送ガイド部材34が第1斜面X、第2斜面Yを形成していることにより、硬貨Cの搬送経路の幅が徐々に狭くなる。このため、硬貨搬送方向の下流側にいくに従い、硬貨Cが搬送ガイド部材34に当接する可能性が高くなる。例えば、硬貨Cが当初は搬送ガイド部材34の第2斜面Yから外れて搬送されていても、第2斜面Yの下流側にいくに従い確実に当接して搬送されるので、この時点で直径検出を行えば正確な検出を行える。このため、本実施の形態では、直径センサ43を他のセンサよりも搬送方向下流側に配置して、硬貨の種類によらず硬貨Cの直径の検出をより正確に実現している。
【0024】
さらに、直径センサ43は、材質センサ42、第3識別センサ44より下流側であって、かつ、直径センサ43からリジェクタ孔部33aまでの距離が、直径センサ43による硬貨Cの直径の検知からCPU121の硬貨判別に伴うリジェクタシャッタ51によるリジェクタ孔33aの開閉動作までの期間に、硬貨が搬送される距離よりも長くなるような位置に配置されている。これにより、直径判別で偽貨と判定され、リジェクタシャッタ51によってリジェクタ孔33aが開状態になった時点で、偽貨と判断された硬貨Cが既にリジェクタ孔33aを通過してしまい硬貨選別部13まで搬送されてしまうことを防止することが可能となる。
【0025】
例えば、本実施の形態では、硬貨Cの搬送経路中の搬送速度は約500mm/sであるため、この搬送速度と直径検知からリジェクタ孔33aの開閉動作までの時間を予め求めておき、上記搬送速度と上記予め求めた時間とから、直径センサ43とリジェクタ孔部33aとの距離を求め、かかる距離の位置に直径センサ43を配置するように構成すればよい。
【0026】
図4は、硬貨選別部13及び硬貨収納部14を示す縦断面図である。図2及び図4に示すように、硬貨選別部13は、上面に硬貨搬送面61が形成された選別ベース62と、硬貨搬送面61に硬貨Cを押し付けながら搬送する選別ベルト63と、を有している。硬貨搬送面61は、硬貨搬送面31に対して略直角を成して左右方向に延在しており、硬貨搬送面61と硬貨搬送面31とにより、上面視略L字状の硬貨搬送面が形成されている。
【0027】
選別ベース62には、硬貨搬送方向下流に向かうに従い孔幅寸法が順次拡大する金種毎の選別孔64a,64b,64c,64d,64e,64fが硬貨搬送面61を貫通して形成されている。選別孔64a,64b,64c,64d,64e,64fは、図2において右から1円・50円・5円・100円・10円・500円のそれぞれの金種に対応するように6個設けられている。即ち、最高金額の金種である500円の選別孔64fが選別孔64a,64b,64c,64d,64e,64fのうちで端に位置している。以後、説明の便宜上、選別孔64a,64b,64c,64d,64e,64fを特段に区別しない場合には、選別孔の符号として64を用いる。本実施の形態では、硬貨選別搬送方向で隣り合う選別孔64同士は相互に連続して形成されており、外見上、一つの孔を形成している。硬貨選別部13では、硬貨Cが搬送されて、所定の幅の選別孔64に到達した際に、その硬貨Cが硬貨収納部14に落下する。また、選別ベース62には、基準部材65が固定されており、この基準部材65には、基準面66が形成されている。この基準面66は、硬貨Cの側面を支持するものであり、この基準面66に硬貨Cの側面を当接させながら硬貨Cを搬送することで、選別孔64による正確な硬貨選別がなされる。また、各選別孔64に対しては、落下する硬貨Cを検出する計数センサ67が設けられている。
【0028】
選別ベルト63は、ゴム製のエンドレスベルトであって、内周に歯63aを有する歯付ベルトである。選別ベルト63は、硬貨搬送面61の上方であって硬貨搬送面61に硬貨Cを押し付ける位置に配置されている。選別ベルト63は、プーリ68,69に掛け渡されている。プーリ68,69は、選別ベルト63と噛み合う歯付プーリである。プーリ68は、駆動プーリであり、最高金額(500円)の硬貨C用の選別孔64f上に配置されている。プーリ69は従動プーリであり、全ての選別孔64の硬貨搬送方向上流側に配置されている。プーリ68には、硬貨搬送部12のプーリ36が固定されている。プーリ68は搬送モータ70の駆動によって等速回転し、このプーリ68の等速回転により選別ベルト63が等速回転する。また、選別ベルト63における硬貨搬送面61と対向する部分の内面は、複数のアイドラプーリ71によって支持されている。選別ベルト63と基準面66とは、硬貨搬送方向下流に向かうに従い相互に近づくように配置されており、これにより、選別ベルト63は、硬貨Cを基準面66に押し付けながら搬送する。
【0029】
図5は、搬送機構ユニット73が開いた状態の入出金ユニット2を示す平面図、図6は、搬送機構ユニット73が開いた状態の入出金ユニット2を示す斜視図である。
【0030】
硬貨選別部13のプーリ68,69、アイドラプーリ71及び硬貨搬送部12のプーリ35,36,37、アイドラプーリ38は、フレーム72に回転可能に支持されている。フレーム72は、プーリ35,36,37,68,69、アイドラプーリ38,71、搬送ベルト32及び選別ベルト63とによって、搬送機構ユニット73を構成している。
【0031】
フレーム72の基端部は、支軸74によって軸支されており、これにより、搬送機構ユニット73は、支軸74を中心とした回動によって開閉可能となっている。搬送機構ユニット73は、ロック機構75によって、閉じ位置(図2)にロックされる。この状態では、フレーム72の基準孔72gが、筐体16に固定されたピン80に嵌合する。また、搬送機構ユニット73は、支軸74に外挿されたねじりコイルバネ76によって開き方向に付勢されている。ロック機構75のロックが解除されると、ねじりコイルバネ76の付勢力によって、搬送機構ユニット73が開く(図6,図7)。搬送機構ユニット73が開いた状態では、硬貨搬送面31,61が露出する。
【0032】
フレーム72は、硬貨選別部13の硬貨搬送面61に沿う第1フレーム72aと、硬貨搬送部12の硬貨搬送面31に沿う第2フレーム72bとを有して、略L字状を成している。
【0033】
第1フレーム72aは、支軸74が挿通された一対の側板部72cと、これらの側板部72cを連結した連結板部72dと有している。この第1フレーム72aには、硬貨選別部13のプーリ68,69、アイドラプーリ71及び硬貨搬送部12のプーリ36が回転可能に支持されている。プーリ36,69及びアイドラプーリ71は、規定範囲内での上下動が可能に設けられるとともに、付勢部材によって下方に付勢されている。
一方、第2フレーム72bには、硬貨搬送部12のプーリ35,37、アイドラプーリ38が回転可能に取り付けられている。プーリ37、アイドラプーリ38は、規定範囲内での上下動が可能に設けられるとともに、付勢部材によって下方に付勢されている。
【0034】
支軸74は、最高金額(500円)の硬貨C用の選別孔64f上に配置されている。支軸74は、基準部材65に対して固定された一対の支持部77に軸支されている。一方の支持部77には、位置決め基準面77aが形成されている。この位置決め基準面77aには、第1フレーム72aの一方の側板部72cの外面に形成された当接面72eが当接する。位置決め基準面77aに当接面72eが当接した状態における選別ベルト63の位置が、選別ベルト63の基準位置である。
【0035】
ロック機構75は、爪部(図示せず)を有して第2フレーム72bに取り付けられた係止部材75aと、筐体16に設けられた係止孔(図示せず)とを有している。係止部材78a75aは、爪部が係止孔に係合する方向に、図示しないロックバネによって付勢されており、そのロックバネの付勢力に抗して爪部をロック孔から離脱させることにより、ロック機構7875によるロックが解除される。
【0036】
ねじりコイルバネ76は、その一方の脚部76aが板部材79の上面に支持されている。一方、ねじりコイルバネ76の他方の脚部76bは、第1フレーム72aの連結板部72dの内面に支持されている。これにより、ねじりコイルバネ76は、搬送機構ユニット73を開方向に付勢している。また、ねじりコイルバネ76の一方の脚部76aは、板部材79に設けられた突部79aに支軸74の軸方向で当接している。一方、ねじりコイルバネ76の他方の脚部76bは、第1フレーム72aの側板部72cに支軸74の軸方向で当接している。ねじりコイルバネ76は、支軸74の軸方向で圧縮されており、位置決め基準面77aに向けて当接面72eを付勢している。これにより、位置決め基準面77aに当接面72eが当接する。
【0037】
硬貨収納部14は、図2及び図4に示すように、選別孔64から落下する硬貨Cを受ける位置に配置されており、落下する硬貨を金種別に収納する。硬貨収納部14には、仕切板91によって仕切られた金種別の収納室92が設けられている。各収納室92は、対応する選別孔64に連通している。この収納室92は、上面が開口されており、収納室92の上面開口は、蓋93等によって覆われている。
【0038】
硬貨払出部15は、図4に示すように、各収納室92の底部に設けられた払出ベルト101を備えている。この払出ベルト101は、プーリ102,103に掛け渡されている。プーリ102は、駆動プーリであり、プーリ103は従動プーリである。また、払出ベルト101は、アイドラプーリ104によって支持されている。プーリ102は払出モータ110によって駆動されて回転し、これにより、払出ベルト101が回転する。払出ベルト101は、硬貨収納部14の後部から前部へ向けて硬貨を搬送する。
【0039】
また、硬貨払出部15は、硬貨収納部14の出口に配設されたリバースローラ105、払出シャッタ106、払出計数センサ107を有する。リバースローラ105は、払出ベルト101と同一方向に回転して、払出ベルト101による硬貨Cの払出を一枚ずつにするものである。払出シャッタ106は、払出ソレノイド108によって開閉駆動される。払出シャッタ106は、閉じ状態では硬貨Cを待機させる一方、開状態では払出ベルト101による硬貨の払出を許容する。払出計数センサ107は、払出ベルト101によって払い出される硬貨を検知する。
【0040】
搬送ベルト32の終端位置(前端)の下方には、図1に示すように上方に開口した硬貨払出口109が設けられている。硬貨払出口109は、払出ベルト101によって払い出された硬貨を受ける。硬貨払出口109は、硬貨投入口21の左側に配置されている。
【0041】
また、入出金ユニット2は、硬貨払出口109の後方斜め上方に、操作パネル111を有している。操作パネル111には、操作キー112と表示器113とが設けられている。
【0042】
図8は、硬貨入出金装置1の電気的接続を示すブロック図である。硬貨入出金装置1は、情報処理部としてのCPU121を搭載している。CPU121には、プログラム等の固定的データが予め記憶されたROM122と、各種データを書き換え自在に記憶するRAM123とがシステムバス124を介して接続されている。CPU121、ROM122及びRAM123によってマイクロコンピュータが構成されている。
【0043】
さらに、CPU121には、システムバス124を介して、投入センサ22、計数センサ67、払出計数センサ107、ボックスセンサ130、材質センサ42、直径センサ43、第3識別センサ44等のセンサ類Sからの信号を入力する入力ポート125と、リジェクトソレノイド52、払出ソレノイド108等に駆動信号を出力する出力ポート126と、POS端末と電気的に接続する通信インターフェース127と、投入モータ23、搬送モータ70、払出モータ110等のモータ類Mを個別に駆動制御するモータ駆動制御部128と、操作パネル111に接続されて操作キー112から入力されるキー信号を取込むとともに表示器113にデータを表示させる操作制御部129とが接続されている。これらの各部は、プログラムに従ってCPU121によって駆動制御される。
【0044】
このような構成において、硬貨Cが硬貨投入口21に投入されたならば、硬貨Cは投入センサ22により検出される。投入センサ22の検出信号の受信によりCPU121は、投入モータ23と搬送モータ70とを駆動して、投入ベルト24と搬送ベルト32と選別ベルト63とを回転させる。硬貨Cは、投入ベルト24の回転により硬貨搬送面31に搬送される。そして、硬貨搬送面31に搬送された硬貨Cは、搬送ベルト32の回転により、硬貨搬送方向下流側へと搬送される。
【0045】
ここで、搬送ベルト32は、幅が徐々に狭くなる搬送経路上の硬貨Cの側面を、搬送ガイド部材34に押し付けるようにして搬送する。したがって、硬貨Cは、金種毎に同一の通過軌跡を形成して硬貨搬送面31上を搬送されることになる。
【0046】
また、上述のように第1斜面Xの角度αと第2斜面Yの角度βとの関係を角度α>角度βとしたことにより、硬貨搬送方向上流側の搬送ガイド部材34における短い距離で硬貨投入口21を出た硬貨Cに対して幅寄せすることができる。
【0047】
このようにして硬貨Cが搬送ガイド部材34に押し付けられて硬貨搬送面31上を搬送されることを、硬貨Cが片寄せ搬送されると称する。このように硬貨Cを片寄せ搬送するのは、以下の理由による。直径センサ43による硬貨判別時に硬貨Cの直径判別などを行う場合には、硬貨を案内ガイドに片寄せさせて位置決めし、直径センサ43による硬貨判別を行う必要がある。そのため、硬貨投入口21を出た硬貨Cは、硬貨判別時において、搬送ガイド部材34に片寄せされて位置決めされている必要があるからである。
【0048】
硬貨搬送面31で搬送ガイド部材34に片寄せされて搬送される硬貨Cは、材質センサ42、第3識別センサ44及び直径センサ43を通過する。
【0049】
CPU121は、材質センサ42、第3識別センサ44及び直径センサ43の出力に基づいて硬貨判別を実行する。搬送される硬貨Cを正貨と判定した場合、CPU121は、リジェクトソレノイド52を駆動制御せず、リジェクトシャッタ51は閉状態が維持される。したがって、硬貨Cは、リジェクト孔33aから落下することなく硬貨選別部13へ搬送される。一方で、搬送される硬貨Cを偽貨と判定した場合、CPU121は、リジェクトソレノイド52を駆動制御してリジェクトシャッタ51を開状態にする。これにより、偽貨と判定された硬貨Cは、リジェクト孔33aから落下してリジェクトボックス53に収納される。
【0050】
硬貨選別部13では、硬貨Cは、選別ベルト63によって搬送され、対応する選別孔64から落下して硬貨収納部14に収納される。このとき、選別ベルト63と基準面66とが、硬貨搬送方向下流側に向かうに従い相互に近づくように配置されていることにより、選別ベルト63は、硬貨Cの側面を基準面66に押し付けながらその硬貨Cを搬送する。
【0051】
そして、CPU121は、POS端末からの硬貨払出指示があった場合には、払出ベルト101を駆動するとともに、金種毎に払出ソレノイド108を駆動して、必要枚数の硬貨を硬貨払出口109に払い出す。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態では、直径センサ43を、材質センサ42、第3識別センサ44よりも硬貨搬送方向下流側、ずなわち最も下流側に配置しているので、硬貨搬送方向の下流側において、硬貨Cが搬送ガイド部材34に確実に当接し、硬貨の種類によらず硬貨Cの直径の検出をより正確に行うことができ、この結果、硬貨判別をより正確に行うことができる。
【0053】
なお、本発明は、上記実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 硬貨入出金装置
C 硬貨
14 硬貨収納部
21 硬貨投入口
32 搬送ベルト
33a リジェクタ孔
34 搬送ガイド部材
42 材質センサ
43 直径センサ
44 第3識別センサ
51 リジェクトシャッタ
52 リジェクトソレノイド
53 リジェクトボックス
61 硬貨搬送面
62 選別ベース(選別部材)
63 選別ベルト
64(64a,64b,64c,64d,64e,64f) 選別孔
68 プーリ(駆動プーリ)
69 プーリ(従動プーリ)
73 搬送機構ユニット
74 支軸(駆動軸)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特開平8−110961号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨が投入される硬貨投入口から送り出される前記硬貨の搬送経路の幅を徐々に狭くするような斜面を有して前記硬貨を片側に片寄せ搬送するように案内する搬送ガイド部と、
前記搬送経路に設けられ、前記硬貨の直径を検知する直径センサと、
前記搬送経路に設けられ、前記硬貨の直径以外の属性を検知する識別センサと、
前記硬貨が正貨でない場合に、前記硬貨を前記搬送経路から排出する排出部と、を備え、
前記直径センサは、前記排出部までの前記搬送経路において前記識別センサより搬送方向下流側に設けられていることを特徴とする硬貨入出金装置。
【請求項2】
前記直径センサは、前記排出部までの距離が、前記直径の検知から硬貨判別よる前記排出口の開閉駆動までの時間に前記硬貨が搬送される距離よりも長くなる位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の硬貨入出金装置。
【請求項3】
前記識別センサは、前記硬貨の材質を検知する材質センサを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の硬貨入出金装置。
【請求項4】
前記識別センサは、前記硬貨の孔の位置または前記硬貨の厚さを検知するセンサを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の硬貨入出金装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−34141(P2011−34141A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176990(P2009−176990)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】