説明

硬貨処理装置

【課題】回転軸18を有し硬貨24を受容して搬送ガイド底面15上を回転搬送する搬送ディスク16と、硬貨24の搬送軌跡上に認識センサ25a、25bを備え、認識センサ25a、25bの検出結果に基づいて硬貨24の真偽判定および金種識別を行う硬貨処理装置において、硬貨粉30が発生することにより、認識センサ25a、25bによる硬貨24の真偽判定や金種識別への影響をなくし、誤った判定をしないようにする。
【解決手段】搬送ディスク16の搬送ガイド底面15側、若しくは搬送ガイド底面15、または両方を、搬送ディスク16の回転軸18側ほど、搬送ディスク16下側と搬送ガイド底面15の間隔を広くまたは狭くし、或いはさらに前記間隔を広くした側に溝15a(15b)を設け、或いはさらに搬送ディスク16の回転速度を変化させる速度制御部31を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨を識別して計数し入出金取引を行う硬貨処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、硬貨を識別して計数し入出金取引を行う硬貨処理装置では、硬貨の真偽判定や金種識別を行うためにフォトセンサや磁気センサなどの各種の認識センサが用いられている。
【0003】
そして、例えば、入金時には、透過磁束検出形の磁気センサの出力により硬貨の材質を検出するとともに、ラインセンサの出力により硬貨の外径および形状(穴)をそれぞれ検出し、これら3つの検出結果に基づき念入りに硬貨の識別を行ない、出金時には、上記磁気センサの出力により硬貨の材質を検出するとともに、上記ラインセンサの出力により硬貨の外径のみを検出し、これら2つの検出結果に基づき簡単に硬貨の識別を行なう技術はあった(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記磁気センサは、近傍を金属が通過すると出力が低下し、その低下する量は金属の材質や形状などによって変化する。この特性を利用して、材質、直径、厚さなどの形状が異なる各種の硬貨の真偽判定や金種識別が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−160922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、硬貨を搬送するときに、硬貨と搬送路の摩擦などによって硬貨粉が発生し、これが蓄積すると、硬貨粉は金属であるために磁気センサが反応し、誤った金種識別をしたり、正しい硬貨を異常な硬貨と判定したりする場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題を解決するために次の構成を採用する。すなわち、回転軸を有し硬貨を受容して搬送ガイド底面上を回転搬送する搬送ディスクと、硬貨の搬送軌跡近傍に認識センサを備え、当該認識センサの出力に基づいて硬貨の真偽判定および金種識別を行う硬貨処理装置であって、前記搬送ディスクの前記搬送ガイド底面側、若しくは前記搬送ガイド底面、または両方を、半径方向に傾斜させるようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明の硬貨処理装置によれば、以上のように構成したので、硬貨粉を搬送ディスクの回転軸周辺または外周近傍に集め、硬貨粉による認識センサへの影響を最小限とし、硬貨の真偽判定や金種識別を正しく行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の硬貨処理装置の要部構成および動作説明図である。
【図2】実施例1の硬貨処理装置の要部構成および動作説明図である。
【図3】実施例1の硬貨処理装置の搬送ディスクユニットの拡大図である。
【図4】実施例2の硬貨処理装置の要部構成および動作説明図である。
【図5】変形例1の硬貨処理装置の搬送ディスクユニットの構成および動作説明図である。
【図6】変形例2の硬貨処理装置の搬送ディスクユニットの構成および動作説明図である。
【図7】変形例3の硬貨処理装置の搬送ディスクユニットの構成および動作説明図である。
【図8】変形例4の硬貨処理装置の搬送ディスクユニットの構成および動作説明図である。
【図9】変形例5の硬貨処理装置の搬送ディスクユニットの構成および動作説明図である。
【図10】変形例6の硬貨処理装置の搬送ディスクユニットの構成および動作説明図である。
【図11】変形例7の硬貨処理装置の搬送ディスクユニットの構成および動作説明図である。
【図12】変形例8の硬貨処理装置の搬送ディスクユニットの構成および動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【0011】
なお、以下の説明では、硬貨処理装置のうち本発明にかかるところの投入された硬貨を繰り出す繰り出しユニットおよび硬貨を回転搬送する搬送ディスクユニットの構成および動作について詳細に説明する。また、以下の説明では、硬貨を取り扱う硬貨処理金装置を例として説明するが、コインなどを取り扱うコイン処理装置などであってもよい。
【実施例1】
【0012】
(構成)
図1は実施例1の硬貨処理装置の要部構成である繰り出しユニット1および搬送ディスクユニット13の構成を示す上面図であり、図2はそのX−X断面図であり、図3は搬送ディスクユニット13の拡大図を示す図1のY−Y断面図である。
【0013】
図1のように図中左側には、硬貨繰り出しユニット1が設けられており、図2のように硬貨投入口2の下側に回転軸4に固定され水平に回転する回転円盤3が配置され、回転円盤3が繰り出しモータ5によりギヤ6を介して図1の矢印Bのように回転するようになっている。
【0014】
回転円盤3の外周には、100枚程度の硬貨24を収容できる空間を確保できる高さの円盤ガイド部材7が設けられている。回転円盤3と円盤ガイド部材7とは硬貨1枚が挟まらない程度の隙間が設けられている。また、円盤ガイド部材7の一部には、回転円盤3を底面として硬貨24が1枚だけ通過できる放出口8が設けられている。
【0015】
放出口8に続く硬貨通路9には、硬貨24を挟持搬送する搬送ローラ10が設けられ、搬送モータ11によりギヤ12を介して回転させることにより矢印Cのように硬貨24が搬送される。また、硬貨通路9には硬貨24の繰り出しを検出するための繰り出し検出センサ28aが設けられている。
【0016】
硬貨通路9の搬送下流側(図中右側)には、搬送ディスクユニット13が配置されており、この搬送ディスクユニット13は、硬貨通路9に続づく部分に開口部21が設けられた円形状の外周壁面14と、水平な搬送ガイド底面15と、で周囲が構成されている。
【0017】
搬送ガイド底面15は、搬送ローラ10によって硬貨24を挟持したときの硬貨下面よりもわずかに低く設定されており、正貨でないと判定された場合にソレノイド等により開口し落下させる異物落下シュート26と、正貨と判定された硬貨を落下させる正貨落下シュート27が設けられている。また、搬送ガイド底面15の下側には、取込まれて回転搬送されるときに硬貨24の材質や大きさを検出する磁気センサ等の認識センサ25a、25bが回転搬送軌跡上に配置されている。
【0018】
外周壁面14の内側には、搬送ガイド底面15上で水平に矢印Dのように回転する円盤状の搬送ディスク16が設けられている。
【0019】
搬送ディスク16の外周側には硬貨24を一枚ごとに保持するU字状の切欠き部からなる硬貨受容部17が等間隔で複数設けられている。この硬貨受容部17には、硬貨24が硬貨受容部17に取込まれたことを検出するための受容検出センサ28bが設けられている。
【0020】
搬送ディスク16は、回転軸18に固定され、搬送ディスク回転モータ19によりギヤ20を介して矢印Dのように回転し、硬貨受容部17に入った硬貨24を外周壁面14に沿って回転搬送する。この回転搬送される硬貨24を搬送ディスク16の回転軸18側に寄せる硬貨幅寄せガイド29が搬送ディスク16の外側に設けられている。
【0021】
搬送ディスク16には、硬貨受容部17の位置を検出するために、位置検出センサ22および円周状に等間隔のスリットを持った位置検出用スリット23が設けられている。
【0022】
さらに、実施例1の硬貨処理装置においては、図3に示したように、搬送ディスク16の下側の面は水平な面ではなく、回転軸18側ほど搬送ディスク16下側と搬送ガイド底面15の間隙が広く、外周壁面14側ほど搬送ディスク16下側と搬送ガイド底面15の間隔が狭くなっている。
【0023】
(動作)
以上の構成により実施例1の硬貨処理装置は、以下のように動作する。この動作を前出図1ないし図3を用いて以下詳細に説明する。
【0024】
まず、図2の矢印Aのように、硬貨投入口2に硬貨24が一括して投入されると、硬貨投入口2の下側に設けられた回転円盤3上に集積させられる。
【0025】
回転円盤3は繰り出しモータ5を駆動することにより矢印Bのように回転し、遠心力により硬貨24が外側へ押し出され、円盤ガイド部材7の放出口8より1枚ずつ硬貨通路9に矢印Cのように押し出される。
【0026】
そして、押し出された硬貨24は、搬送ローラ10が回転していないときはそのまま滞留し、搬送モータ11が駆動され搬送ローラ10が回転すると噛み込まれて矢印Cのように搬送される。
【0027】
一方、搬送ディスクユニット13の搬送ディスク16は、搬送ローラ10により繰り出された硬貨24により繰り出し検出センサ28aがオンとなると、搬送ディスク回転モータ19の駆動により矢印D方向に回転させ、位置検出用スリット23による位置検知センサ22の出力に基づいて硬貨受容部17が硬貨通路9と対向する位置で一旦停止させ、所定の時間停止した後、再び、回転させる。この動作を繰り返して搬送ディスク16を矢印D方向に回転させる。
【0028】
そして、搬送ディスク16が停止している間に、硬貨24を硬貨受容部17内に受容し、再び回転させて搬送し、硬貨幅寄せガイド29により搬送ディスク16の回転軸18側に寄りながら、認識センサ25a、25bを通過する。このときの認識センサ25a、25bの出力に基づいて硬貨24の真偽判定や金種識別が行われる。
【0029】
そして、真偽判定および金種識別の結果により、正貨以外は図示しないソレノイド等により異物落下シュート26を開口し落下させ、正貨の場合は異物落下シュート26を閉じたままとして通過させ、正貨落下シュート27に落下させる。
【0030】
以上のように、搬送ローラ10により搬送された硬貨24は、搬送ディスク16の硬貨受容部17に受容され、外周壁面14および硬貨幅寄せガイド29に沿って回転搬送されるが、このとき、硬貨24が外周壁面14、硬貨幅寄せガイド29および搬送ガイド底面15と接触しながら搬送されるために摩擦が発生し硬貨粉30が僅かずつ発生する。
【0031】
実施例1の硬貨処理装置の搬送ディスク16は、搬送ディスク16下側が水平面ではなく、外周側ほど搬送ガイド底面15との間隙が狭く、内周側ほど搬送ガイド底面15との間隙が広くなるように傾斜しているため、搬送ディスク16下側と搬送ガイド底面15との間の空気の流れが、外周側ほど速く、回転軸18側ほど遅くなる。
【0032】
その結果、上記のように発生した硬貨粉30は、より空気の流れが遅い方向、すなわち、回転軸18側方向に集まり、最も空気の流れが遅い回転軸18の周りに硬貨粉30が集積する。
【0033】
従って、認識センサ25a、25bの近傍には硬貨粉30が滞留せず、硬貨粉30が認識センサ25a、25b近傍を通過しないので、認識センサ25a、25bの出力への影響が発生せず、硬貨24の真偽判定や金種識別を正しく行うことができる。
【0034】
(実施例1の効果)
以上のように実施例1の硬貨処理装置によれば、前記搬送ディスクの前記搬送ガイド底面側を、回転軸側ほど、搬送ディスク下側と搬送ガイド底面の間隔を広くするようにしたので、硬貨粉を搬送ディスクの回転軸近傍に集め、硬貨粉による認識センサへの影響を最小限とし、硬貨の真偽判定や金種識別を正しく行うことができる。
【0035】
また、硬貨粉が搬送ディスクの回転軸近傍に集積するので、硬貨粉を集める新たな機構や治具が不要となり、清掃や除去も容易になるという派生効果もある。
【実施例2】
【0036】
(構成)
図4は、実施例2の硬貨処理装置の要部構成図である。同図に示したように、実施例2の硬貨処理装置では、実施例1の構成に加えて、搬送ディスク16の回転速度を変化させることができる速度制御部31を搬送ディスク回転モータ19に接続した構成としている。
【0037】
速度制御部31は、搬送ディスク回転モータ19に対して、硬貨24を回転搬送するときは通常速度で回転させる指示を出し、硬貨24を回転搬送しないときは通常速度よりも高速に回転させる指示を出す機能を有する。その他の構成は実施例1の硬貨処理装置の構成と同様であるので、同様の構成については簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0038】
(動作)
以上の構成により、実施例2の硬貨処理装置は、以下のように動作する。すなわち、硬貨粉30の集積動作以外は実施例1の動作と同様であるので、簡略化のために、同様の動作についは説明を省略する。
【0039】
まず、硬貨処理業務終了後のように硬貨24を搬送していない時間帯では、速度制御部31の指示により搬送ディスク回転モータ19の回転を通常速度よりも高速で回転させる。
【0040】
このように、硬貨24を搬送していない時間帯を利用して、搬送ディスク16を高速に回転させることにより、搬送ディスク16の外周側と内周側の空気の流れの速度差が通常の速度で回転させた場合よりも大きくなり、硬貨粉30の回転軸18近傍への集積度が高くなる。
【0041】
(実施例2の効果)
以上のように、実施例2の硬貨処理装置によれば、搬送ディスクの回転速度を変化させる速度制御部を設け、硬貨を搬送していない時間帯は高速に回転できるようにしたので、実施例1の効果に加え、さらに硬貨粉の集積度を向上させることができる。
【0042】
《変形例》
なお、以上の実施例1の硬貨処理装置の説明では、搬送ガイド底面15は平面として説明したが、図5の変形例1に示したように、回転軸18近傍に溝15aを設け、搬送ディスク16の回転により回転軸18近傍に集まった硬貨粉30を溝15aに集積させるようにしてもよい。このようにすれば、溝15aに確実に硬貨粉30を集積させることができ、認識センサ25a、25b近傍への硬貨粉30をさらに少なくすることができ、認識センサ25a、25bによる硬貨の真偽判定や金種識別への影響をさらに少なくすることができる。
【0043】
また、以上の実施例の硬貨処理装置の説明では、回転軸18側がほど搬送ディスク16下側と搬送ガイド底面15の間隙を広く、外周壁面14側ほど搬送ディスク16下側と搬送ガイド底面15の間隔を狭くするように説明したが、図6の変形例2のように、回転軸18側がほど搬送ディスク16下側と搬送ガイド底面15の間隙を狭く、外周壁面14側ほど搬送ディスク16下側と搬送ガイド底面15の間隔を広くするようにしてもよい。この場合、外周壁面14側の空気の流れが回転軸18近傍より遅くなるので、硬貨粉30は外周壁面14側に集積され、認識センサ25a、25b近傍には硬貨粉30が集積されず、認識センサ25a、25bによる硬貨の真偽判定や金種識別への影響を少なくすることができる。なお、この場合、外周壁面14側に集積された硬貨粉30が硬貨幅寄せガイド29に接触するおそれがあるため、硬貨幅寄せガイド29は搬送ガイド底面15より上側に離した位置に設けるようにするとよい。
【0044】
また、図7に示した変形例3のように、搬送ディスク16の形状を変形例2のようにし、さらに、外周壁面14に溝15bを設け、この溝15bに硬貨粉30を集積させるようにしてもよい。このようにすれば、溝15bに確実に硬貨粉30を集積させることができ、認識センサ25a、25b近傍には硬貨粉30が集積されないので、認識センサ25a、25bによる硬貨の真偽判定や金種識別への影響をさらに少なくすることができる。
【0045】
また、以上の硬貨処理装置の変形例のように搬送ディスク16の搬送ガイド底面15側を半径方向に傾斜させるのではなく、図8に示した変形例4のように、搬送ガイド底面15を回転軸18側ほど下方向に傾斜させるようにし搬送ディスク16の下面と搬送ガイド底面15間の間隔を広くするようにしてもよい。このようにすることにより、上記実施例1と同様に、搬送ディスク16下側と搬送ガイド底面15との間の空気の流れが、外周側ほど速く、回転軸18側ほど遅くなり、その結果、発生した硬貨粉30が、より空気の流れが遅い方向、すなわち、回転軸18側方向に集まり、最も空気の流れが遅い回転軸18の周りに硬貨粉30を集積させることができる。
【0046】
また、上記図8の変形例4のように搬送ガイド底面15を回転軸18側ほど下方向に傾斜させるようにし、さらに、図9の変形例5のように、回転軸18近傍に溝15aを設けるようにしてもよい。このようにすれば、図5の変形例1と同様、溝15aに確実に硬貨粉30を集積させることができ、認識センサ25a、25b近傍への硬貨粉30をさらに少なくすることができ、認識センサ25a、25bによる硬貨の真偽判定や金種識別への影響をさらに少なくすることができる。
【0047】
また、上記図8の変形例4のように搬送ガイド底面15を回転軸18側ほど下方向に傾斜させるのではなく、逆に、図10の変形例6のように搬送ガイド底面15を外周壁面14側ほど下方向に傾斜させるようにし搬送ディスク16の下面と搬送ガイド底面15間の間隔を広くするようにしてもよい。このようにすることにより、上記図6の変形例2と同様に、搬送ディスク16下側と搬送ガイド底面15との間の空気の流れが、外周側ほど遅く、回転軸18側ほど早くなり、その結果、発生した硬貨粉30が、より空気の流れが遅い方向、すなわち、外周壁面14側方向に硬貨粉30を集積させることができる。
【0048】
また、上記図10の変形例6のように搬送ガイド底面15を外周壁面14側ほど下方向に傾斜させるようにし、さらに、図11の変形例7のように外周壁面14近傍に溝15bを設けるようにしてもよい。このようにすれば、上記図7の変形例3と同様、溝15bに確実に硬貨粉30を集積させることができ、認識センサ25a、25b近傍への硬貨粉30をさらに少なくすることができ、認識センサ25a、25bによる硬貨の真偽判定や金種識別への影響をさらに少なくすることができる。
【0049】
また、以上のように搬送ディスク16の搬送ガイド底面15側または前記搬送ガイド底面15をそれぞれ半径方向に傾斜させるのでなく、図12の変形例8のように、搬送ディスク16の搬送ガイド底面15側および前記搬送ガイド底面15の両方を半径方向に傾斜させるようにしてもよい。このようにすれば、回転軸18側と外周壁面14側の空気の流れの差がさらに大きくなり硬貨粉30をより効率よく集積させることができる。また、図示していないが、この場合も、搬送ガイド底面15に搬送ディスク16下側と搬送ガイド底面15の間隔を広くした側に溝15aおよび15bを設けるようにするとなおよい。
【0050】
また、以上の実施例2の硬貨処理装置の説明では、実施例1の搬送ディスク16の形状にて、搬送ディスク16の回転速度を変化させる速度制御部31を設けるように説明したが、変形例1ないし変形例8の構成において、搬送ディスク16の回転速度を変化させる速度制御部31を設け、硬貨24を回転搬送していない時間帯は高速に回転できるようにしてもよい。
【0051】
また、以上の実施例および変形例の硬貨処理装置の説明では、搬送ディスク16下側および搬送ガイド底面15を直線的に傾斜させた例を示したが、直線的な傾斜には限らず、曲線的な傾斜、或いは直線と曲線を組合せて傾斜させた形状としてもよい。
【0052】
また、以上の実施例の作用・効果として、硬貨粉30による認識センサ25a、25bの磁気センサの検出への影響が少なくなる作用・効果のみを説明したが、硬貨粉30を搬送ディスク16の回転軸18近傍や外周壁面14近傍に集積させることにより、受容検出センサ28bなどのフォトセンサの検出精度をも向上させる作用・効果もある。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、硬貨を識別して計数し入出金取引を行う硬貨処理装置に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 硬貨繰り出しユニット
7 円盤ガイド部材
8 放出口
9 硬貨通路
10 搬送ローラ
11 搬送モータ
13 搬送ディスクユニット
14 外周壁面
16 搬送ディスク
17 硬貨受容部
18 回転軸
19 搬送ディスク回転モータ
21 開口部
24 硬貨
25a、25b 認識センサ
26 異物落下シュート
27 正貨落下シュート
28a 繰り出し検出センサ
28b 受容検出センサ
29 硬貨幅寄せガイド
31 硬貨ガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を有し硬貨を受容して搬送ガイド底面上を回転搬送する搬送ディスクと、硬貨の搬送軌跡近傍に認識センサを備え、当該認識センサの出力に基づいて硬貨の真偽判定および金種識別を行う硬貨処理装置であって、
前記搬送ディスクの前記搬送ガイド底面側、若しくは前記搬送ガイド底面、または両方を、半径方向に傾斜させるようにしたことを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】
前記傾斜は、前記回転軸側ほど、前記搬送ディスク下側と前記搬送ガイド底面の間隔を広くまたは狭くするようにしたことを特徴とする請求項1記載の硬貨処理装置。
【請求項3】
前記搬送ガイド底面は、前記搬送ディスク下側と前記搬送ガイド底面の間隔を広くした側に溝を設けたことを特徴とする請求項2記載の硬貨処理装置。
【請求項4】
前記搬送ディスクの回転速度を変化させる速度制御部を設けたことを特徴とする請求項1記載の硬貨処理装置。
【請求項5】
前記認識センサは、磁気センサであることを特徴とする請求項1記載の硬貨処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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