説明

硬貨処理装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、異物または取り忘れ硬貨の回収機能を備えた硬貨処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の硬貨処理装置においては、例えば図13に示すように、装置本体aの入出金口の受皿bから入金された硬貨を硬貨繰出部の繰出ベルトc上に投下し、この繰出ベルトc上に投下された硬貨を1枚ずつ金種別硬貨選別部dに繰り出して選別し、この金種別硬貨選別部dで選別された硬貨を金種別に分類して金種別硬貨収納金庫eに収納するようになっている。
【0003】そして、この金種別硬貨収納金庫eに収納された各々の硬貨は、金額に応じて硬貨搬送部f、gを介して前記繰出部の繰出ベルトc上に投出し、金種別硬貨選別部d、硬貨搬送部h、iを介して出金口の受皿bに繰り出し、利用者に出金するようになっている。
【0004】また、前記金種別硬貨収納金庫eに硬貨を補給する場合には、装置本体a内に引出し可能に収納された補給硬貨収納金庫j内の硬貨を搬送ベルトk及び硬貨搬送部gを介して前記繰出ベルトc上に供給し、上記した入出金口の受皿bから入金された硬貨と同様にして、前記金種別硬貨選別部dで選別することにより、前記金種別硬貨収納金庫e内に金種別に分類して収納されている。
【0005】さらに、前記入出金口の受皿bから硬貨繰出部の繰出ベルトc上に硬貨以外の異物が投下された場合には、繰出ベルトcの逆回転で、硬貨繰出部の下方に引出し可能に設けた異物回収ボックスl内に収納し回収するようになっている。
【0006】一方、硬貨返却後に、前記入出金口の受皿bに取り忘れられた硬貨は、再度、前記硬貨繰出部の繰出ベルトc上に投下されて、図示しない経路を通じて前記補給硬貨収納金庫j内に仕切られて設けた取り忘れ硬貨回収ボックスm内に収納し回収するようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来構造の硬貨処理装置にあっては、取り忘れ硬貨及び異物が異物回収ボックスlと取り忘れ硬貨回収ボックスmとに別々に収納して回収するようになっていることから、利用者が取り忘れ硬貨及び異物の返却を要求した場合、係員の2回の解錠操作により、異物回収ボックスlと取り忘れ硬貨回収ボックスmとをそれぞれ引出さねばならず、それらの返却には時間が掛かる。
【0008】しかも、その間、装置の休止が余儀なくされるために、取引時間も短くなって利用者に不便を与えるといった問題があった。
【0009】本発明の目的は、係員の1回の操作で取り忘れ硬貨及び異物の回収あるいは利用者への受渡しを簡単にかつ容易に行えるようにした硬貨処理装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するために、本発明は、入出金口の受皿から入金された硬貨を繰出ベルト上に投下して1枚ずつ繰り出すようにした硬貨繰出手段と、この硬貨繰出手段から繰り出された硬貨を金種別に選別する金種別硬貨選別手段と、この金種別硬貨選別手段にて金種別に分類された硬貨を収納する金種別硬貨収納手段と、前記硬貨繰出手段の下部に配置され、かつ前記繰出ベルト上に投下された異物または前記入出金口の受皿に取り忘れられた硬貨が投下されて収納される引出し可能な回収ボックスからなる異物及び取り忘れ硬貨回収手段と、この回収手段の回収ボックスを異物回収部と取り忘れ硬貨回収部とに区画し、かつこれらの異物回収部と取り忘れ硬貨回収部に異物と取り忘れ硬貨をそれぞれ振り分けて収納する振分け収納手段と、を具備してなる構成としたものである。また、本発明は、入出金口の受皿から入金された硬貨を繰出ベルト上に投下して1枚ずつ繰り出すようにした硬貨繰出手段と、この硬貨繰出手段から繰り出された硬貨を金種別に選別する金種別硬貨選別通路部と、この金種別硬貨選別通路部に設置された硬貨の金種を判定する検銭部と、この検銭部にて検銭された硬貨を金種別に分類して一時保留する一時硬貨保留部と、この一時硬貨保留部に保留された硬貨を金種別に収納する金種別硬貨収納手段と、この金種別硬貨収納手段からオーバーフローした硬貨を収納し保管するオーバーフロー用金庫と、前記金種別硬貨収納手段に硬貨を装填補給する硬貨補給用金庫と、この硬貨補給用金庫に前記金種別硬貨収納手段及びオーバーフロー用金庫のそれぞれから繰り出された硬貨を前記検銭部で検銭し一時保留して確定した後に直接投入してなる硬貨締め上げ手段と、を具備してなる構成としたものである。
【0011】
【作用】すなわち、本発明は、硬貨繰出手段の下部に引出し可能な回収ボックスからなる異物及び取り忘れ硬貨回収手段を配置し、この回収手段の回収ボックスを異物回収部と取り忘れ硬貨回収部とに区画するとともに、これらの異物回収部と取り忘れ硬貨回収部に振分け収納手段を介して異物と取り忘れ硬貨をそれぞれ振り分けて収納するようになっているために、係員による回収手段の1回の引出し操作で、取り忘れ硬貨及び異物が回収することが可能になり、取り忘れ硬貨及び異物の受渡しが簡単かつ容易に行える。
【0012】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】図2は。本発明に係る硬貨処理装置の全体構成を概略的に示すもので、図中1は装置本体である。
【0014】この装置本体1の前部1a側上面には、入出金口となる受皿2が上下面反転可能に軸支され、この受皿2の下方には、硬貨繰出手段となる硬貨繰出部3が設けられている。
【0015】この硬貨繰出部3の底部には、繰出ベルト4が配置され、この繰出ベルト4は、図1に示すように、従動ローラ5と駆動ローラ6との間に掛け渡されて、前方の上流側から後方の下流側上方に向け傾斜状態で取り付けられているとともに、前記駆動ローラ6と同軸に取り付けられたプーリ7と駆動モータ8の駆動軸9に取り付けられたプーリ10との間に掛け渡された駆動ベルト11を介して斜め上方に移動可能になっている。
【0016】また、図中12は前記繰出ベルト4の下流側上に硬貨1枚分の間隔を存して設けたガイドローラで、このガイドローラ12は、前記硬貨繰出部3の側壁3aに軸13を介して回転自在に軸支されているとともに、この軸13に同軸に取り付けられたプーリ14に、前記駆動モータ8により駆動する駆動ベルト11を掛け渡すことにより、前記繰出ベルト4の繰り出し方向に対して逆回転するようになっている。
【0017】そして、前記繰出ベルト4の下流側には、金種別硬貨選別手段となる硬貨選別通路部20が配置され、この硬貨選別通路部20は、支持フレーム21と、この支持フレーム21の前後両端部側に設けた従動プーリ22と図示しない駆動モータにより駆動する駆動プーリ23との間に掛け渡された選別硬貨搬送ベルト24と、この選別硬貨搬送ベルト24の下方に配置されたガイドレール25とで構成され、このガイドレール25には、複数個の硬貨選別孔26・・・が硬貨搬送方向に沿って設けられている。
【0018】前記支持フレーム21は、装置本体1の後部1b側に位置する駆動プーリ23の軸23aを支点として上方に回動可能になっていて、修理・点検時に、前記ガイドレール25の上面を開放し得るようになっている。
【0019】さらに、前記ガイドレール25に設けた各々の硬貨選別孔26・・・には、シャッタ27がそれぞれ開閉可能に設けられていて、これら各々のシャッタ27は、前記硬貨選別通路部20の上流側に設置した例えば磁気センサあるいはイメージセンサ等からなる硬貨の金種等を検出する金種別硬貨検出手段である検銭部28の検出動作に応動して開閉制御されるようになっている。
【0020】また、図中30は前記ガイドレール25に下部に設置した金種別硬貨収納手段で、この金種別硬貨収納手段は、前記各々の硬貨選別孔26にそれぞれ一時硬貨保留部31を介して対応位置させた筐体状の硬貨収納部32からなっている。
【0021】これら各々の硬貨収納部32は、上流側から下流側に向けて、例えば1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨及び500円硬貨等の6種の金種が順に分離されて落し込み収納されるように配列して左右方向、図2における手前側に引出し可能なユニット構造からなり、それらの底部には、図3に示すように、左右方向に移動可能な硬貨繰出搬送手段である硬貨繰出搬送ベルト33が6種の金種毎に配置されている。
【0022】この硬貨繰出搬送ベルト33の下部には、駆動シャフト34と、この駆動シャフト34に同軸に設けた第1のギヤ35と、この第1のギヤ35と前記駆動シャフト34を連結するためのクラッチ36が設けられているとともに、前記第1のギヤ35の動力は、第2のギヤ37及び第3のギヤ38へと伝達され、この第3のギヤ38には、ローラ39が同軸に直結され、このローラ39と前記硬貨収納部32の底部側に設けたローラ40との間に前記硬貨繰出搬送ベルト33が掛け渡し駆動されるようになっている。
【0023】さらに、図中41は前記硬貨繰出搬送ベルト33の繰出面の上部に設けたギャップローラである。このギャップローラ41には、プーリ42が同軸に取り付けられているとともに、このプーリ42と、前記第1のギヤ35に同軸に取り付けてなるプーリ43との間にベルト44を掛け渡すことにより、前記ギャップローラ41を第1のギヤ35と連動させて、硬貨繰出し時に、硬貨を右方向(非繰出方向)に送るように回転させ、これによって、硬貨を1枚ずつ繰り出すようになっている。
【0024】そして、このような金種別硬貨収納手段30の各々の硬貨収納部32から繰り出された硬貨は、各々の硬貨収納部32の片側下部に配置した第1の横搬送手段としての第1の横搬送ベルト45上に投出され、この第1の横搬送ベルト45上に投出された硬貨は、後述する第1の縦搬送手段60を介して前記硬貨繰出部3の繰出ベルト4上に投出されるようになっている。
【0025】一方、前記第1の横搬送ベルト45の上部には、第2の横搬送手段としての第2の横搬送ベルト46が設けられ、この第2の横搬送ベルト46上には、後述するリジェクト手段80を介して前記硬貨選別通路部20を通過する硬貨が投出されるようになっているとともに、この第2の横搬送ベルト46上に投出された硬貨は、後述する第2の縦搬送手段90を介して前記入出金口である受皿2に出金されるようになっている。
【0026】また、図中47、47は前記硬貨繰出搬送ベルト33及びギャップローラ41を介して1枚ずつ繰り出される硬貨を計数する投光・受光の光センサ、48は金種別硬貨収納手段30の引出し方向側の側面に設けた開閉パネル、49はこの開閉パネル48を錠止可能にした止錠部材、50は前記金種別硬貨収納手段30の後端面に設置した硬貨金種別操作スィッチである。
【0027】この操作スィッチ50は、図4に示すように、1円硬貨用手動スィッチ部51、5円硬貨用手動スィッチ部52、10円硬貨用手動スィッチ部53、50円硬貨用手動スィッチ部54、100円硬貨用手動スィッチ部55及び500円硬貨用手動スィッチ部56を有し、前記開閉パネル48を開き、かつ前記金種別硬貨収納手段30のユニット化された各硬貨収納部32の引出し状態において、各硬貨繰出搬送ベルト33をそれぞれ手動により駆動操作可能にしている。
【0028】一方、前記第1の縦搬送手段60は、図5R>5、図6及び図7に示すように、上下縦方向に配置したローラ61、62及びこの下部ローラ62に対して横方向に配置したローラ63に掛け渡された搬送ベルト64から構成され、この搬送ベルト64は、縦搬送部64aと略水平部64bとを有し、かつ、この縦搬送部64aは、水平面に対して60〜80度の傾斜角度を持ち、水平部64bは0〜30度を持っている。
【0029】そして、前記搬送ベルト64上には、1個乃至3個の突起、図示の実施例では左右一対とした2個の突起65、65が搬送方向に等間隔を存して設けられ、これらの突起65、65の上下間の間隔は、取扱う硬貨の最大径よりも大きく、かつ、最小径の硬貨の2枚分よりも小さく設定されているとともに、前記搬送ベルト64を横に硬貨が1枚乗るだけにし、これによって、前記突起65、65間に1枚の取扱い硬貨Pが保持可能になっている。
【0030】また、前記搬送ベルト64の縦搬送部64aに対応する面には、硬貨Pの落下を規制する規制部材66が設けられ、かつ、この縦搬送部64aの下部と水平部64bとの対応する両側部には、ベルト押え部材67、67が設けられているとともに、これら規制部材66及びベルト押え部材67は、前記ローラ61、62、63と共に第1の縦搬送手段60の両側壁60a、60aにそれぞれ取り付けられている。
【0031】図中68は前記搬送ベルト64の下部水平部64bに臨ませてなるシュータ、69はこのシュータ68とで壁を形成するストッパである。
【0032】このシュータ68には、前記各硬貨収納部32から第1の横搬送ベルト45を介して繰り出された硬貨、後述する硬貨補給用金庫100及びオーバーフロー用金庫300から硬貨繰出し搬送ベルト101、301を介して繰り出される補給硬貨及びオーバーフロー硬貨が投出されるようになっている。
【0033】すなわち、前記シュータ68に投出された硬貨は、搬送ベルト64上に設けた突起65、65により1枚ずつ掻き上げ保持されて上方に導かれ、前記搬送ベルト64の上部に設けたシュータ70を介して前記硬貨繰出部3の繰出ベルト4上に投出されるようになっているものである。
【0034】このとき、図6に示すように、硬貨Pが水平部64bに立上り状態で並んだ場合、側壁60aが硬貨の高さであると、各々の硬貨は、両側の側壁間で挾まれて横倒れなくなり、いつまでも回転し続けるて所謂俵現象が生じる。
【0035】このような俵現象を防止するために、従来では、レバー振動等により機械的に崩すことがなされていたが、装置本体1の薄型化と大容量化を図るには、搬送ベルト64の幅を狭くする必要があることから、俵現象の発生を防止することが困難であった。
【0036】そこで、本発明では、前記搬送ベルト64に設けた突起65、65と、この突起65、65により俵となった硬貨の一部が掻き上げられたとき、硬貨をシュータ68側に倒し、これにより、順次に硬貨の俵現象を崩すようになっているものである。
【0037】この場合、前記シュータ68の底部の高さは、硬貨の中心よりも低い方が効果を上げることができるが、突起65、65により硬貨が掻き上げられた際に、硬貨が倒れる高さであれば良い。
【0038】また、このようにして搬送ベルト64により掻き上げられた硬貨は、上方に搬送されるが、突起65、65の高さを硬貨の厚さに設定しても、2枚の硬貨が同時に掻き上げられることがあり、これを防止するものとして、規制部材66を設けてなるものである。
【0039】ところが、この規制部材66は、図7に示すように、搬送ベルト64との間に硬貨の略最大厚さと同じ間隔を持たせて配置され、この間隔は、搬送ベルト64の上部で最大硬貨2枚分よりも厚い間隔を持たせてなるものであるが、搬送ベルト64の最上部で硬貨が離れるときに、一瞬ではあるが硬貨が突起65、65から離れて、その慣性力のみで上部シュータ70側に移動することがある。
【0040】このような慣性力のみで移動する硬貨の中には、その自重により落下するものがあり、このとき、搬送ベルト64上の突起65と規制部材66との間の間隔が狭いと、硬貨が挾まって搬送ベルト64をロックし、搬送ベルト64の駆動を停止させるという故障が生じ易いために、搬送ベルト64上の突起65、65と規制部材66との間の間隔が硬貨1枚以上の厚さになるように、搬送ベルト64と規制部材66との間隔を硬貨2枚分の厚さに設定してなる構成となっている。
【0041】さらに、前記第1の縦搬送手段60の両側壁60a、60aに取り付けられたベルト押え部材67、67は、図6に示すように、楔状の断面形状を呈し、その先端を前記搬送ベルト64に設けた突起65、65に最小厚さの硬貨よりも狭い間隔をもって略接するように配置され、これによって、硬貨が突起65、65とベルト押え部材67、67との間に挾まれることがない。
【0042】また、図中71、71は前記搬送ベルト64の上部に設置した投光・受光の光センサで、前記シュータ70を介して硬貨繰出部3の繰出ベルト4上に投出される硬貨の枚数を計数し得るようになっている。
【0043】図8に示すように、前記リジェクト手段80は、前記硬貨選別通路部20の下流側最後部にシャッタ機構を持たずに開口させたリジェクトゲート81を有し、このリジェクトゲート81には、前記硬貨選別通路部20により金種別硬貨収納手段30の各々の一時硬貨保留部31に選別収納されずに通過する硬貨の全てが投入されるようになっている。
【0044】そして、前記リジェクトゲート81は、第1のシュート82、第2のシュート83及び第3のシュート84からなり、これら各々のシュート82、83、84は、第1及び第2のゲート82a、83aによって切り換えられるようになっている。
【0045】これら第1及び第2のゲート82a、83aは、第1のソレノイド85及び第2のソレノイド86により切り換え制御され、これら第1及び第2のソレノイド85、86は、通常、非通電状態を維持し、これによって、前記第3のシュート84に硬貨が導かれるようになっている。
【0046】この第3のシュート84は、リジェクトシュートを構成し、検銭部28による検銭により、何れの種類の金種にも分類されなかった硬貨を前記第2の横搬送ベルト46上に投出し、この第2の横搬送ベルト46上に投出された硬貨を第1の縦搬送手段60と略同様な構成を有する第2の縦搬送手段90に投出するとともに、この第2の縦搬送手段90により前記入出金口である受皿2に戻すような経路を構成している。
【0047】一方、前記第1のシュート82は、装填補給時に、リジェクトされた硬貨を装置本体1内の底部に係員の操作により取り出し装填可能に設置された硬貨補給用金庫100内に設けてなるリジェクト金庫200に導いて収納してなるもので、この場合、前記第1及び第2のソレノイド85、86は、共に通電状態を維持するようになっている。
【0048】また、前記第2のシュート83は、リジェクトゲート81に投下された硬貨を第2のソレノイド86の非通電状態における第2のゲート83aの案内により、第1の横搬送ベルト45上に投出するようになっている一方、第2のソレノイド86のみの通電による第2のゲート83aの切り換え動作で、前記リジェクトゲート81に投下された硬貨を硬貨補給用金庫100内に導いて収納するようになっている。
【0049】さらに、図中87は前記第2の横搬送ベルト46の後部に配置して硬貨補給用金庫100に接続した第4のシュートである。
【0050】この第4のシュート87の上流側開口部には、第3のゲート87aが設けられ、かつ、この下流側開口部には第4のゲート87bが設けられ、これら第3及び第4のゲート87a、87bは、第3及び第4のソレノイド88、89によりそれぞれ駆動制御されるようになっている。
【0051】なお、前記第2の横搬送ベルト46上に投出された硬貨を入出金口である受皿2に出金する第2の縦搬送手段90は、前記第1の縦搬送手段60と略同一構造を有するものであり、その説明は省略する。
【0052】また、図中91はオーバーフロー用シュートで、その上流側開口部を前記金種別硬貨選別通路部20の上流側に臨ませ、図示しないシャッタの選択的な開閉制御により、硬貨通路上にオーバーフローした硬貨を装置本体1内の底部に設置したオーバーフロー用金庫300内に収納するようになっている。
【0053】図中92は前記硬貨収納部32のユニットを錠止する止錠部材である。
【0054】そして、図中400は前記硬貨繰出部3の下部に配置した異物及び取り忘れ硬貨回収手段で、図1及び図9に示すように、前記硬貨繰出部3の繰出ベルト4の前端側上部に配置された異物排除扉401を有し、この異物排除扉401は、前記硬貨繰出部3の側壁3aに軸402を介して回動自在に軸支された支持レバー403の一端に取り付けられている。
【0055】この支持レバー403の他端側には、長孔404が形成され、この長孔404に、前記硬貨繰出部3の側壁3aにブラケット405を介して取り付け固定したソレノイド406の出力軸407に設けてなる揺動ピン408が係合し、この揺動ピン408の揺動運動により、前記異物排除扉401を回動可能にして、前記繰出ベルト4の上流側前方の開閉動作を行うようになっている。
【0056】すなわち、この異物排除扉401は、前記繰出ベルト4上を横切るように設置した投光・受光の光センサ409、410の検出動作によって、前記繰出ベルト4上に異物または出金後の受皿2に取り忘れられた硬貨が投入されると、ソレノイド406の通電による駆動で、図1に2点破線で示すように、上方に回動して、前記繰出ベルト4の上流側前方を開くと同時に、前記繰出ベルト4を繰り出し方向と逆方向に移動させるようになっている。
【0057】これによって、前記繰出ベルト4上に投出された異物または取り忘れ硬貨は、前方に向け落下し、その落下位置に対応させて配置した回収ボックス411内に投入されるようになっている。
【0058】この回収ボックス411は、その上面が開口して受皿状に形成され、図10に示すように、前記繰出ベルト4の上流側が対応する部分のベルト幅方向中心部を境に、異物回収部412と取り忘れ硬貨回収部413とに区画形成されているとともに、この区画部には、異物と取り忘れ硬貨を選択的に振り分けて前記異物回収部412と取り忘れ硬貨回収部413に収納可能にした振分け手段としての振分けシャッタ414が配置されている。
【0059】この振分けシャッタ414は、前記した回収ボックス411の両側壁411a、411aに軸受415、415により軸支された回動軸416にベルト幅方向に揺動開閉可能に設けられ、この回動軸416の一端416aには、図11に拡大して示すように、U字型溝417が形成され、このU字型溝417に、ロータソレノイド418の駆動軸419を嵌合してなる構成を有する。
【0060】また、前記回収ボックス411は、装置本体1側に取り付けられたガイドレール420、420により引出し可能に設けられ、この回収ボックス411の引出し動作に伴い、前記回動軸416に形成したU字型溝417とロータソレノイド418の駆動軸419との嵌合状態が解除されて引出しを容易にしている。
【0061】さらに、図中421は装置本体1側に取り付けた図示しない鍵の差し込み回動操作により解錠・錠止可能な止錠部材で、この止錠部材421の錠止部422を、図12に示すように、前記回収ボックス411の一方の側壁411aに形成した切欠部423に係合させることにより錠止し、前記回収ボックス411の引出しが行えないようにしている。
【0062】次に、上記した構成からなる本発明に係る硬貨処理装置の入出金・返却及び装填補給動作について説明する。
【0063】まず、入金に際して、受皿2に硬貨が投入されると、受皿2が回転して硬貨を硬貨繰出部3の繰出ベルト4上の上流側に落下させる。この繰出ベルト4上に落下した硬貨は、前記繰出ベルト4の繰り出し方向に対して逆回転するガイドローラ12により1枚ずつ繰り出され、硬貨選別通路部20の上流側に投出されて、検銭部28により金種が判断される。
【0064】このように、検銭部28により検銭された硬貨は、選別硬貨搬送ベルト24により下流側に搬送され、検銭結果に基づき金種別に応じたシャッタ27の開きで選別される。
【0065】このようなシャッタ27により選別された硬貨は、その下部に位置する一時硬貨保留部31に保留され、取引が成立したときに、金種別金庫である硬貨収納部32に投入され、収納される。
【0066】そして、出金に際しては、硬貨収納部32から硬貨を繰り出して払い出すようになっているもので、この硬貨収納部32から繰り出された硬貨は、第1の横搬送ベルト45上に投出され、この第1の横搬送ベルト45により、第1の縦搬送手段60側に搬送され、その搬送ベルト64の底部に設けたシュータ68に投入される。
【0067】このシュータ68に投入された硬貨は、搬送ベルト64の水平部64bに送り込まれて、1枚ずつ縦搬送部64aにより上方に導かれ、上部シュータ70を介して硬貨繰出部3の繰出ベルト4上に投入される。
【0068】このようにして、硬貨繰出部3の繰出ベルト4上に投入された硬貨は、硬貨選別通路部20に送られ、検銭部28を通って、硬貨選別通路部20の最後部に設けたリジェクトゲート81に投入され、このリジェクトゲート81から第2の横搬送ベルト46を介して第2の縦搬送ベルト90上に投入することにより、受皿2に出金される。
【0069】また、受皿2に入金された硬貨を返却する際には、硬貨繰出部3の繰出ベルト4上に投入された硬貨を、硬貨選別通路部20に送り、検銭部28を通って、硬貨選別通路部20の最後部に設けたリジェクトゲート81に投入するとともに、このリジェクトゲート81から第2の横搬送ベルト46を介して第2の縦搬送ベルト90上に投入することにより、受皿2に返却するようになっている。
【0070】さらに、金種別硬貨収納手段30の硬貨収納部32に硬貨を装填し補給するに際しては、硬貨補給用金庫100またはオーバーフロー用金庫300内の硬貨を第1の縦搬送手段60側に搬送し、この第1の縦搬送手段60を介して硬貨繰出部3の繰出ベルト4上に投入する。
【0071】そして、入金動作と同様に、繰出ベルト4上の硬貨を硬貨選別通路部20の上流側に投出し、検銭部28により金種を判断して、選別硬貨搬送ベルト24により下流側に搬送し、検銭結果に基づき金種別に応じたシャッタ27の開きで選別することにより、硬貨収納部32に投入し装填補給する。
【0072】このとき、オーバーフロー硬貨は、オーバーフローシュート92を介してオーバーフロー用金庫300内に収納される。
【0073】ところで、入金された硬貨を金種別硬貨収納手段30の第1から第6の一時硬貨保留部31に保留し、金額を確定した後に、硬貨を硬貨補給用金庫100内に収納する締め上げ動作を行う場合には、硬貨補給用金庫100内の硬貨を硬貨繰出し搬送ベルト101により、第1の縦搬送手段60に繰り出し、硬貨繰出部3を介して硬貨選別通路部20に投入する。
【0074】このように繰り出された硬貨は、検銭部28により金種が判定された上、最初の金種の第1の一時硬貨保留部31の部分に入れるために、最初のシャッタ27が開き、これによって、検銭された全ての硬貨が同一の一時硬貨保留部31に収納されるもので、このとき、検銭結果において、金種が判定されなかった硬貨は、シャッタ27が開かないために、リジェクトゲート81から排出され、第1及び第2のソレノイド85、86を通電することにより、第1のシュート82からリジェクト金庫200に収納される。
【0075】第1の一時硬貨保留部31の部分が一杯になると、次の第2の一時硬貨保留部31に硬貨が収納され、第1から第4の一時硬貨保留部31の部分が順次一杯になったときに、前記硬貨補給用金庫100からの硬貨の繰り出しを停止し、通路上に残っている硬貨を第5の一時硬貨保留部31の部分に収納する。
【0076】このようにして通路上に硬貨が無くなると、一時硬貨保留部31が回転して硬貨を第2の横搬送ベルト46上に排出してなるもので、通常の場合に、第2の横搬送ベルト46は、硬貨を前方する排出するが、この場合には後方に排出可能になっている。
【0077】同時に、第3のソレノイド88の通電により第3のゲート87aが開き、硬貨が第4のシュート87を介して硬貨補給用金庫100内に収納される一方、オーバーフロー用金庫300からの硬貨が無くなると、金種別に収納された硬貨収納部32の硬貨を締め上げる。
【0078】そして、硬貨収納部32から繰り出された硬貨は、第1の横搬送ベルト45により第1の縦搬送手段60に搬送され、同様にして締め上げされる。
【0079】したがって、このようにして締め上げると、必ず硬貨を確定した後に硬貨補給用金庫100に収納することができるために、確実性があり、しかも、第2の横搬送ベルト46の後部に第3のゲート87aを設けてなるために、確定された硬貨は、直接硬貨補給用金庫100に収納され、これによって、高速処理が可能になる。
【0080】一方、一時硬貨保留部31に保留して確定することなく硬貨を計数するのみで硬貨補給用金庫100に締め上げる場合には、検銭された硬貨は、全てリジェクトゲート81に投入され、何れのゲートを動作させることもない。
【0081】これによって、検銭された硬貨の金種が判定できたときには、第2のソレノイド86のみを通電することにより、硬貨補給用金庫100内に硬貨を収納することができる。
【0082】また、硬貨の金種の判定ができなかったときには、第2のソレノイド86に併せて第1のソレノイド85を通電することにより、硬貨が第1のシュート82を通過してリジェクト金庫200に収納されることになり、これによって、検銭は行うものの、確定することなく高速に締め上げることが可能になる。
【0083】さらに、硬貨収納部32の硬貨を検銭することなく硬貨補給用金庫100内に収納して締め上げる場合に、硬貨収納部32の硬貨は、第1の横搬送ベルト45上に排出される。この第1の横搬送ベルト45は、通常前方に硬貨を搬送するように移動するが、この場合には後方に向かって硬貨を搬送するように移動する。そして、第1の横搬送ベルト45の後方には、第4のゲート87bが設けられ、この第4のゲート87bを第4のソレノイド89の通電により開放することにより、硬貨を硬貨補給用金庫100内に収納することが可能になる。
【0084】しかも、硬貨収納部32は、金種別に硬貨が分離されているために、硬貨を繰り出す際、硬貨の枚数を計数するのみで金額を計算することができることから、このような方法による締め上げが可能になる。
【0085】すなわち、本発明によれば、硬貨処理装置を設置する場所、使用者により制御するシステムソフトを変えることによって、上記した締め上げ法を適宜選択すれば、高速でかつ確実な締め上げが可能になるものである。
【0086】また、上記した金種別金庫を構成する硬貨硬貨収納部32においては、硬貨が何処かで引っ掛かることがあり、その硬貨を取り出す必要がある。
【0087】従来では、このような硬貨収納部32内での硬貨の引っ掛かりが発生すると、例えばピンセット等を用いて硬貨を取り出しているのが現状である。
【0088】ところが、本発明では、引出し可能にユニット化した硬貨収納部32の後端面に硬貨金種別操作スィッチ50を設置してなるために、例えば1円硬貨を取り出す必要があるとき、まず、開閉パネル48を錠止する止錠部材49を解錠し、開閉パネル48を開く。
【0089】更に、硬貨収納部ユニット32を錠止する止錠部材92を解錠して、硬貨収納部ユニット32を引出すことによって、硬貨金種別操作スィッチ50のスィッチング操作が可能になっており、この状態で、1円硬貨用スィッチ51を操作するだけで、硬貨収納部ユニット32の1円硬貨に対応する部分から硬貨を取り出すことが可能になっている。
【0090】そして、このような構成とすることにより、鍵を所有する貨幣の管理者以外は、硬貨収納部ユニット32から硬貨を取り出すことができないために、安全性を高めることが可能になり、また、直接硬貨収納部ユニット32から硬貨を取り出す必要が生じた際にも、管理者の解錠操作及び硬貨金種別操作スィッチ50のスィッチング操作により容易に硬貨を取り出すことが可能になる。
【0091】なお、上記の実施例において、硬貨金種別操作スィッチ50は、金種別にスィッチを設けたが、スィッチを1個にして順次硬貨を取り出すような構造にしても良い。
【0092】また、硬貨収納部ユニット32の止錠部92に連動するスィッチを設け、このスィッチが、硬貨収納部ユニット32の止錠部92が解錠状態にあることを検出したことを条件にして、開放された制御基板上のスィッチを操作することにより、硬貨収納部ユニット32から硬貨を取り出すような構成としても良い。
【0093】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、硬貨繰出手段の下部に回収手段を引出し可能に配置し、この回収手段に硬貨繰出手段の繰出ベルト上に投下された異物または入出金口の受皿上に取り忘れられた硬貨を投下し収納可能にするともに、前記回収手段に振分け手段を設け、この振分け手段により、異物と取り忘れ硬貨を回収手段に振り分けて収納するようになっているために、係員による回収手段の1回の引出し操作で、取り忘れ硬貨及び異物を回収することができ、取り忘れ硬貨及び異物の受渡しを簡単かつ容易に行うことができる。
【0094】また、これによって、取り忘れ硬貨を収納するための搬送距離を短縮することができ、処理時間を早めることができる。
【0095】さらに、回収手段を止錠部材の解錠操作で引出すようになっているために、安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る硬貨処理装置の一実施例を示す異物及び取り忘れ硬貨回収機構部分の概略的説明図。
【図2】硬貨処理装置の全体構成の概略的に示す説明図。
【図3】金種別硬貨収納機構部分を概略的に示す説明図。
【図4】硬貨金種別操作スィッチの説明図。
【図5】硬貨縦搬送機構部分を示す斜視図。
【図6】硬貨縦搬送機構部分の水平部における断面図。
【図7】硬貨縦搬送機構部分における縦搬送部の上部構造を概略的に示す説明図。
【図8】リジェクトゲート機構部分を示す説明図。
【図9】異物及び取り忘れ硬貨回収機構部分を示す平面図。
【図10】異物及び取り忘れ硬貨回収機構部分を示す縦断面図。
【図11】図1のA−A線矢視方向から見た断面図。
【図12】図10のB−B線矢視方向から見た断面図。
【図13】従来の硬貨処理装置の全体構成を概略的に示す説明図。
【符号の説明】
1…装置本体、2…受皿(入出金口)、3…硬貨繰出手段、4…繰出ベルト、12…ガイドローラ、20…硬貨選別通路部、28…検銭部、30…金種別硬貨収納手段、400…異物及び取り忘れ硬貨回収手段、411…回収ボックス、412…異物回収部、413…取り忘れ硬貨回収部、414…振分けシャッタ、420、420…ガイドレール、421…止錠部、P…硬貨。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 入出金口の受皿から入金された硬貨を繰出ベルト上に投下して1枚ずつ繰り出すようにした硬貨繰出手段と、この硬貨繰出手段から繰り出された硬貨を金種別に選別する金種別硬貨選別手段と、この金種別硬貨選別手段にて金種別に分類された硬貨を収納する金種別硬貨収納手段と、前記硬貨繰出手段の下部に配置され、かつ前記繰出ベルト上に投下された異物または前記入出金口の受皿に取り忘れられた硬貨が投下されて収納される引出し可能な回収ボックスからなる異物及び取り忘れ硬貨回収手段と、この回収手段の回収ボックスを異物回収部と取り忘れ硬貨回収部とに区画し、かつこれらの異物回収部と取り忘れ硬貨回収部に異物と取り忘れ硬貨をそれぞれ振り分けて収納する振分け収納手段とを具備したことを特徴とする硬貨処理装置。
【請求項2】 入出金口の受皿から入金された硬貨を繰出ベルト上に投下して1枚ずつ繰り出すようにした硬貨繰出手段と、この硬貨繰出手段から繰り出された硬貨を金種別に選別する金種別硬貨選別通路部と、この金種別硬貨選別通路部に設置された硬貨の金種を判定する検銭部と、この検銭部にて検銭された硬貨を金種別に分類して一時保留する一時硬貨保留部と、この一時硬貨保留部に保留された硬貨を金種別に収納する金種別硬貨収納手段と、この金種別硬貨収納手段からオーバーフローした硬貨を収納し保管するオーバーフロー用金庫と、前記金種別硬貨収納手段に硬貨を装填補給する硬貨補給用金庫と、この硬貨補給用金庫に前記金種別硬貨収納手段及びオーバーフロー用金庫のそれぞれから繰り出された硬貨を前記検銭部で検銭し一時保留して確定した後に直接投入してなる硬貨締め上げ手段と、を具備したことを特徴とする硬貨処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図11】
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【図6】
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【図12】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【図8】
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【図10】
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【図13】
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【特許番号】第2960201号
【登録日】平成11年(1999)7月30日
【発行日】平成11年(1999)10月6日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−113517
【出願日】平成3年(1991)5月17日
【公開番号】特開平4−340692
【公開日】平成4年(1992)11月27日
【審査請求日】平成9年(1997)9月2日
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【参考文献】
【文献】特開 昭62−1090(JP,A)