説明

硬貨出金口機構および現金処理装置

【課題】カルトン上の硬貨の集積を平準化することが可能な硬貨出金口機構を提供する。
【解決手段】本発明の硬貨出金口機構は、硬貨を収納する出金庫から出金された硬貨を放出部に搬送する搬送路と、放出部から放出される硬貨を受ける硬貨受部と、硬貨受部を少なくとも当該硬貨受部の出し入れ方向に移動させる駆動部と、硬貨受部の底面と放出部との間に設けられ、硬貨受部に集積された硬貨が所定の集積高さとなったことを検知する検知部と、検知部により硬貨受部に集積された硬貨が所定の集積高さとなったことが検知されたとき、硬貨受部における放出部から放出される硬貨の落下位置が集積高さまで硬貨が集積されていない位置となるように駆動部を駆動する駆動制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出金する硬貨を放出して硬貨受部に集積する硬貨出金口機構およびこれを備える現金処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
窓口用現金処理機等の現金処理装置において、出金硬貨はカルトンと称する硬貨受部である硬貨受皿に放出する方式が一般的である。窓口における硬貨の出金は釣銭等1金種について1〜4枚程度の少数枚が主であるため、カルトンの操作性の面からもカルトンの硬貨を集積する部分の深さは浅いものとなっている。
【0003】
機内硬貨の回収等では一度に多数枚の硬貨を放出する場合があるが、このような多数枚の硬貨の放出は全体の取引から見ればごく僅かであるため、カルトンの容量を必要以上に大きくすることはない。一般的には、カルトンの奥行を広く取ることで小数枚の出金取引時の操作性に影響を与えることなく比較的大容量を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−25326号公報
【特許文献2】特開平6−176231号公報
【特許文献3】特開2001−195637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、カルトンの深さはあまり深くすることができないため、多数枚の硬貨をカルトンに放出した場合に、硬貨の放出口近辺に硬貨の集積が集中する。このようにカルトン内の特定箇所に硬貨の集積が集中すると、後続の硬貨の放出の妨げとなったり、カルトンを引き抜く際にカルトン外に硬貨がこぼれたり、あるいは機内に硬貨が引っかかる等の不具合が発生する可能性がある。また、これらの不具合を防止しようとした場合には、硬貨を小数枚ずつ抜き取る作業を繰り返す必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、カルトン上の硬貨の集積を平準化することが可能な、新規かつ改良された硬貨出金口機構およびこれを備える現金処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、硬貨を収納する出金庫から出金された硬貨を放出部に搬送する搬送路と、放出部から放出される硬貨を受ける硬貨受部と、硬貨受部を少なくとも当該硬貨受部の出し入れ方向に移動させる駆動部と、硬貨受部の底面と放出部との間に設けられ、硬貨受部に集積された硬貨が所定の集積高さとなったことを検知する検知部と、検知部により硬貨受部に集積された硬貨が所定の集積高さとなったことが検知されたとき、硬貨受部における放出部から放出される硬貨の落下位置が集積高さまで硬貨が集積されていない位置となるように駆動部を駆動する駆動制御部と、を備えることを特徴とする、硬貨出金口機構が提供される。
【0008】
本発明によれば、硬貨受部内の硬貨の集積高さが所定値以上となったとき、硬貨受部を移動させて硬貨の集積箇所を変える。これにより、硬貨受部上の硬貨の集積を平準化することができる。
【0009】
ここで、硬貨受部は、放出部から放出された硬貨が集積される底部と、底部の周囲を囲む壁部とからなり、検出部は、壁部の上端付近に設けてもよい。
【0010】
検知部は光学センサをもちいてもよい。
【0011】
また、検知部は、硬貨受部の壁部の上端より底部側に設けられ、硬貨受部の壁部は、少なくとも検知部が配置された位置に対向する部分を透光性部材により形成するようにしてもよい。
【0012】
さらに、駆動制御部は、放出部から放出された硬貨を硬貨受部内に収容可能な収容可能範囲内で硬貨受部を移動させるように駆動部を制御してもよい。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、硬貨を収納する出金庫から出金された硬貨を搬送し、第1放出部または第2放出部から硬貨を放出する搬送路と、搬送路の第1放出部および第2放出部から放出されて落下する硬貨を受ける硬貨受部と、搬送路上における硬貨の通過を検知する通過検知部と、第1放出部から放出される硬貨の数を計数する第1計数部と、第2放出部から放出される硬貨の数を計数する第2計数部と、搬送路において硬貨の放出部を第1放出部と第2放出部とで切り換える切換部材と、通過検知部により硬貨の通過が検知されたタイミングで、第1計数部または第2計数部において計数された各放出硬貨数に基づいて、切換部材を切り換える切換制御部と、を備えることを特徴とする、硬貨出金口機構が提供される。
【0014】
本発明によれば、2つの放出部を設け、現在硬貨が放出されている放出部からの放出硬貨数が閾値枚数を超えたとき、切換部材切り換えることで硬貨の集積箇所を変える。これにより、硬貨受部上に放出される硬貨の集積箇所を変えることができ、硬貨受部上の硬貨の集積を平準化することができる。
【0015】
ここで、切換制御部は、現在硬貨が放出されている放出部からの放出硬貨数が閾値枚数を超えたとき、切換部材を切り換えて硬貨の放出部を変更してもよい。
【0016】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、硬貨を収納する出金庫から出金された硬貨を搬送し、第1放出部または第2放出部から硬貨を放出する搬送路と、搬送路の第1放出部および第2放出部から放出されて落下する硬貨を受ける硬貨受部と、第1放出部から放出される硬貨の数を計数する第1計数部と、第2放出部から放出される硬貨の数を計数する第2計数部と、搬送路において硬貨の放出部を第1放出部と第2放出部とで切り換える切換部材と、からなり、並列に設けられた複数の搬送路と、第1計数部または第2計数部において計数された各放出硬貨数に基づいて、各切換部材を同時に切り換える切換制御を行う切換制御部と、を備え、切換制御部は、各搬送路について、現在硬貨が放出されている放出口からの放出硬貨数が閾値枚数を超えたときに出金庫からの硬貨の搬送を停止し、全ての搬送路の出金庫からの硬貨の搬送が停止され、かつ、未出金の硬貨が存在する場合に、各切換部材を切り換えることを特徴とする、硬貨出金口機構が提供される。
【0017】
また、硬貨を入金する硬貨入金口と、上記請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬貨出金口機構と、硬貨出金口機構により硬貨受部に放出された硬貨が取り出される硬貨出金口と、を備えることを特徴とする、現金処理装置を提供することもできる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、カルトン上の硬貨の集積を平準化することが可能な硬貨出金口機構およびこれを備える現金処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る現金処理装置の概略構成を示す概略斜視図である。
【図2】同実施形態に係る硬貨出金口機構の構成を示す平面図である。
【図3】図2のA−A矢視図である。
【図4】図2のB−B矢視図である。
【図5】図2のA−A矢視図であって、集積監視センサにより硬貨の集積高さがhとなったことを検知したときの状態を示す。
【図6】図2のA−A矢視図であって、カルトンが移動されたときの状態を示す。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る硬貨出金口機構の構成を示す側面断面図であって、切換フォークが閉じている状態を示す。
【図8】同実施形態に係る硬貨出金口機構の構成を示す側面断面図であって、切換フォークが開いている状態を示す。
【図9】同実施形態に係る放出搬送路の切換部材を示す平面図である。
【図10】同実施形態に係る複数の放出搬送路の切換部材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
<1.第1の実施形態>
[1−1.現金処理装置の外観例]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る現金処理装置1の概略構成について説明する。なお、図1は、本実施形態に係る現金処理装置1の概略構成を示す概略斜視図である。
【0022】
一般に、銀行等の金融機関の窓口に備えられる現金処理装置1は、現金の入出金を行う機能を有しており、図1に示すように、装置上部に硬貨を処理する硬貨部10を備え、装置下部に紙幣を処理する紙幣部30を備えている。なお、ここでは現金処理装置1の前面をユーザと対向する側とする。
【0023】
硬貨部10の上面には、硬貨を入金する硬貨入金口11があり、硬貨入金口11には動開閉可能な入金口シャッタ11aが設けられている。硬貨部10の計数動作中においては、入金口シャッタ11aは誤投入を防止するように閉じられている。また、硬貨部10の前面には、硬貨出金口機構により硬貨が放出される硬貨出金口12がある。硬貨出金口12には、放出された硬貨を受ける硬貨受部であるカルトンが置かれており、カルトン上に硬貨出金口機構により放出され落下する硬貨が集積されるようになっている。一方、紙幣部30は、入金される紙幣が格納されるとともに、出金される紙幣が取り出される紙幣入出金口31が前面上部に設けられている。
【0024】
本実施形態に係る現金処理装置1は、硬貨部10に設けられる硬貨出金口機構により、カルトンに放出されて集積する硬貨を平準化する。これにより、カルトン内の特定箇所に硬貨の集積が集中するのを防ぎ、後続の硬貨の放出不良や、カルトンの引き抜き時におけるカルトンからの硬貨の落下、あるいは機内での硬貨の引っかかり等の不具合の発生を防止する。以下、図2〜図6に基づいて、本実施形態に係る硬貨出金口機構の構成とその動作について詳細に説明する。
【0025】
[1−2.硬貨出金口機構の構成]
まず、図2〜図4に基づいて、本実施形態に係る硬貨出金口機構100の構成を説明する。なお、図2は、本実施形態に係る硬貨出金口機構100の構成を示す平面図である。図3は、図2のA−A矢視図である。図4は、図2のB−B矢視図である。
【0026】
本実施形態に係る硬貨出金口機構100は、硬貨Cを出金する出金部110と、カルトン120上に出金された硬貨Cの集積高さを検知してカルトン120を移動させるカルトン移動部130とからなり、図1の硬貨部10内に設けられている。
【0027】
出金部110は、出金用硬貨を金種別に収納する出金庫112と、出金庫から出金される硬貨Cを放出口116に搬送する放出搬送路114とからなる。例えば、本実施形態の出金部110は、図2および図4に示すように金種1〜6の6つの出金庫112a〜112fが設けられている。各出金庫112a〜112fには、硬貨Cを搬送する放出搬送路114a〜114fがそれぞれ設けられている。放出搬送路114は、例えば2つのローラに搬送ベルトをかけ渡して構成することができる。放出搬送路114の一端側に出金庫112の硬貨出金口が配置され、他端側に硬貨を放出する放出口116が配置される。
【0028】
カルトン120は、放出口116から放出された硬貨Cを受ける硬貨受部であり、放出口116の下部に配置される。カルトン120は、硬貨Cが集積される底部122と、底部122の外周から立ち上がる壁部124とからなり、深さdを有する。壁部124によってカルトン120内に集積された硬貨Cがカルトン120からこぼれ落ちるのを防止することができる。
【0029】
カルトン移動部130は、カルトン120内の硬貨Cの集積高さに基づいて、カルトン120を移動させる機構であり、集積監視センサ132R、132Lと、スライド部134と、カルトン駆動部136と、駆動制御部(図示せず。)とからなる。
【0030】
集積監視センサ132R、132Lは、放出口116から放出され自由落下する硬貨Cが集積する位置で硬貨の集積状態を監視する検知部である。集積監視センサ132R、132Lには、例えば、光を出射するLED等からなる発光部と、発光部から出射された光を受光するフォトダイオード等の受光部とからなる光センサを用いることができる。
【0031】
集積監視センサ132R、132Lは、カルトン120の上端126付近の高さh(z方向におけるカルトン120の底部122の上面からの高さ)の位置における硬貨Cの集積状況を監視するように、発光部から出射された光を硬貨の搬送方向と垂直方向に受光部で受光するように設けられる(図2の132R、132Lの光軸を示す点線)。集積監視センサ132R、132Lは、カルトン120内の特定箇所に硬貨の集積が集中していることを検知するために設けられる。カルトン120に硬貨が所定の集積高さより高くなると、後続の硬貨の放出不良や、カルトンの引き抜き時におけるカルトンからの硬貨の落下、あるいは機内での硬貨の引っかかり等の不具合が発生する。そこで、集積監視センサ132R、132Lは、硬貨Cの集積高さがこれ以上硬貨Cを集積すると上記不具合が発生する可能性が出てくる位置の高さhとなったか否かを検知する。
【0032】
また、集積監視センサ132R、132Lは、放出搬送路114の硬貨搬送方向(x方向)においては放出口116から放出され自由落下する硬貨Cが集積する位置を検知するように配置される。この集積監視センサ132R、132Lのx方向における検知位置を、放出口116から正方向に距離Lだけ離れた位置とする。
【0033】
集積監視センサ132R、132Lは、図2に示すように、各出金庫112から出金される硬貨Cが放出されて集積する位置全体を監視できるように、出金庫112の配列方向(y方向)におけるカルトン120の両端に設けられる。これにより、1つの集積監視センサ132R、132Lによって全ての出金庫112から出金される硬貨Cの集積高さを検知することが可能となる。集積監視センサ132R、132Lの検知結果は、駆動制御部へ出力される。
【0034】
なお、本実施形態では、図3、図4等に示すように集積監視センサ132R、132Lはカルトン120の壁部124より上方を検知するように設けられているが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、カルトン120の壁部124の上端126より僅かに低い位置を検知するように集積監視センサ132R、132Lを設けてもよい。これにより、カルトン120内の特定箇所に集中して硬貨Cが集積することによって発生する不具合をより確実に防止することができる。このとき、集積監視センサ132R、132Lとして光学センサを用いている場合、光がカルトン120を透過可能なように、壁部124のうち少なくとも検知する集積高さに当たる部分を透光性のある部材から形成する。
【0035】
スライド部134は、図3に示すようにカルトン120が載置される載置盤であって、少なくともカルトン120の出し入れ方向(x方向)に移動可能に設けられる。スライド部134は、カルトン駆動部136により駆動される。
【0036】
カルトン駆動部136は、スライド部134を駆動するスライド用モータである。カルトン駆動部136は、駆動制御部からの制御信号に基づいて、カルトン120が載置されたスライド部134をx方向に所定の移動量だけ移動させるように駆動する。スライド部134の移動量は、例えば硬貨Cの直径の1〜2倍程度とすることができる。
【0037】
駆動制御部は、集積監視センサ132R、132Lの検知結果に基づいてカルトン駆動部136の駆動制御を行う。駆動制御部は、集積監視センサ132R、132Lの検知結果より、検知位置においてカルトン120内に所定の集積高さhまで硬貨Cが集積されたことを認識すると、カルトン駆動部136に対して、スライド部134を所定の移動量だけ移動させる制御信号を出力する。
【0038】
[1−3.硬貨出金口機構の動作]
図5および図6に基づいて、本実施形態に係る硬貨出金口機構の動作を説明する。なお、図5は、図2のA−A矢視図であって、集積監視センサ132R、132Lにより硬貨Cの集積高さがhとなったことを検知したときの状態を示す。図6は、図2のA−A矢視図であって、カルトン120が移動されたときの状態を示す。
【0039】
硬貨Cの出金は、出金部10内の出金庫112から指定された金種の硬貨Cを出金させることから開始される。出金庫112から出金された硬貨Cは、放出搬送路114に載って硬貨搬送方向(x方向)に搬送され、放出口116から放出される。放出口116から放出された硬貨Cは、放出口116の下側に配置されたカルトン120に集積される。このとき、特定の金種の硬貨Cが大量に出金されると、硬貨Cはカルトン120上に自由落下するため、図5に示すようにほぼ一定の位置に積み重なる。
【0040】
集積監視センサ132R、132Lによる検知位置において硬貨Cの集積高さがhとなると、集積監視センサ132R、132Lは硬貨Cがカルトン120の上端124a付近まで集積されたことを検知する。例えば集積監視センサ132R、132Lが光学センサであるとき、硬貨Cの集積高さが高さhより低い場合には発光部から出射された光は受光部により検出される(センサオフ状態)。一方、硬貨Cの集積高さが高さh以上となると、発光部から出射された光は集積する硬貨Cによって遮蔽され、受光部は光を検出できなくなる(センサオン状態)。集積監視センサ132R、132Lは、センサのオンオフ状態を検知結果として駆動制御部に通知する。
【0041】
駆動制御部は、集積監視センサ132R、132Lがオン状態となり、硬貨Cがカルトン120の上端124a付近まで集積されたことを認識すると、カルトン120を移動させるために、カルトン駆動部136を駆動させる。駆動制御部は、カルトン駆動部136に対してスライド部134を所定の移動量だけ移動させるための制御信号を出力する。カルトン駆動部136は制御信号に基づいて駆動し、これに応じてスライド部134が移動する。これにより、新たに放出される硬貨Cは、カルトン120内でまだ硬貨Cが集積されていない位置に集積され、硬貨Cの集積箇所を拡散させることができる。こうしてカルトン120に放出されて集積する硬貨を平準化して、カルトン内の特定箇所に硬貨の集積が集中するのを防ぎ、後続の硬貨の放出不良や、カルトンの引き抜き時におけるカルトンからの硬貨の落下、あるいは機内での硬貨の引っかかり等の不具合の発生を防止することができる。
【0042】
カルトン120の移動は、集積監視センサ132R、132Lがオン状態となる毎に行われるが、カルトン120を同一方向に移動し過ぎると、放出口116から放出された硬貨Cがカルトン120内に集積されなくなる。このため、カルトン120の移動は、放出される硬貨Cを移動後のカルトン120の位置において確実に収納できる場合とし、カルトン120内に収納できない場合には、集積監視センサ132R、132Lがオン状態となってもカルトン120の移動は行わないようにする。
【0043】
なお、本実施形態では、カルトン120の可動方向はカルトン120の引出方向であるx方向のみであったが、本発明はかかる例に限定されず、例えばカルトン120の幅方向であるy方向に移動可能にしてもよい。出金のない、あるいは少ない硬貨Cが放出される箇所では硬貨Cがカルトン120から落ちたりする程硬貨Cは集積されていない。そこで、x方向およびy方向に移動可能とすることで、より多くの硬貨Cをカルトン120内に平準化して集積させることができる。
【0044】
また、本実施形態では、カルトン120内の硬貨Cの集積高さが高さhより高くなる度に、カルトン120を装置前面側(x軸正方向側)へ移動させるようにしたが、本発明はかかる例に限定されず、例えば、カルトン120内の硬貨Cの集積高さが高さhより高くなる度に、カルトン120を装置背面側(x軸負方向側)へ移動させてもよい。
【0045】
<2.第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る硬貨出金口機構200の構成とその動作について説明する。本実施形態に係る硬貨出金口機構200も、第1の実施形態と同様、図1に示すような現金処理装置1に設けられる。本実施形態に係る硬貨出金口機構200は、カルトン120を移動させてカルトン120に集積される硬貨Cの平準化を図る第1の実施形態の構成に対して、カルトンは移動させずに放出搬送路から放出される硬貨Cの放出位置を切り換えることで、カルトンに集積される硬貨Cの平準化を図る。これにより、カルトン内の特定箇所に硬貨の集積が集中するのを防ぎ、後続の硬貨の放出不良や、カルトンの引き抜き時におけるカルトンからの硬貨の落下、あるいは機内での硬貨の引っかかり等の不具合の発生を防止する。
【0046】
以下、図7〜図10に基づいて、本実施形態に係る硬貨出金口機構200の構成とその動作について詳細に説明する。なお、図7は、本実施形態に係る硬貨出金口機構200の構成を示す側面断面図であって、切換フォーク222が閉じている状態を示す。図8は、本実施形態に係る硬貨出金口機構200の構成を示す側面断面図であって、切換フォーク222が開いている状態を示す。図9は、本実施形態に係る放出搬送路の切換部材を示す平面図である。図10は、本実施形態に係る複数の放出搬送路の切換部材を示す平面図である。なお、現金処理装置1の構成は第1の実施形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0047】
[2−1.硬貨出金口機構の構成]
まず、図7〜図9に基づいて、本実施形態に係る硬貨出金口機構200の構成を説明する。本実施形態に係る硬貨出金口機構200は、出金する硬貨Cを搬送する放出搬送部210と、放出搬送部210により搬送される硬貨Cの放出位置を切り換える切換部220と、放出された硬貨を受ける硬貨受部であるカルトン230と、切換部220を制御する制御部240とからなり、図1の硬貨部10内に設けられている。また、図7〜図9では、1金種辺りの硬貨出金口機構200の構成を示しているが、本発明はかかる例に限定されず、例えば硬貨出金口機構200は、6金種分個別に装備してもよく、いずれか1金種のみを装備してもよい。
【0048】
放出搬送部210は、出金用硬貨を金種別に収納する出金庫(図示せず。)から出金された硬貨Cを、例えば2つのローラ211(一方のローラは図示せず。)にかけ渡された搬送丸ベルト212と、当該搬送丸ベルト212と対向して硬貨Cを挟持する放出搬送路214と、切換部220により回転可能に駆動する切換部材である切換フォーク216とからなる。なお、本実施形態では放出搬送路214とともに硬貨Cを搬送する部材として搬送丸ベルトを用いたが、本発明はかかる例に限定されず、例えば幅広の搬送ベルト等を用いることもできる。搬送丸ベルト212が所定の回転方向(例えば図7では反時計回り)に回転されると、搬送丸ベルト212と放出搬送路214との間に挟持された硬貨Cは、搬送丸ベルト212との摩擦力によりカルトン230への放出口へ搬送される。
【0049】
放出搬送路214は、対向する搬送丸ベルト212との間に、挟持される硬貨Cが搬送丸ベルト212によって搬送可能な摩擦力を生じる程度の間隔を有して、対向する搬送丸ベルト212と略平行に配置される。放出搬送路214の搬送方向(x軸正方向)側は、カルトン230の配置側に延びる傾斜部214aとなっている。傾斜部214aは硬貨Cの第1放出口であり、傾斜部214aを通り放出された硬貨Cはカルトン230の装置奥側(x軸負方向側)に積載される。
【0050】
切換フォーク216は、放出搬送路214と反対側の端部が後述する切換部220と接続されており、切換部220の動作によって、放出搬送路214の硬貨Cの載置面と面一となる閉状態(図7)と、放出搬送路214側の端部がカルトン230と反対側に回転して持ち上がる開状態(図8)とが切り換えられる。図7に示すように切換フォーク216が閉状態のときには、硬貨Cは放出搬送路214、切換フォーク216を通り、カルトン230へ放出される。このように切換フォーク216からの硬貨Cの放出口を第2放出口とする。一方、図8に示すように切換フォーク216が開状態のときには、硬貨Cは放出搬送路214の傾斜部214aを通り、第1放出口からカルトン230へ放出される。
【0051】
なお、放出搬送路214の幅方向(y方向)の両側部には、図9に示すように、放出搬送路214を搬送される硬貨Cをガイドする搬送ガイド218が設けられている。
【0052】
切換部220は、切換フォーク216を切り換える駆動機構であって、切換フォーク動作ソレノイド222と、アーム部224と、連結部226とからなる。
【0053】
切換フォーク動作ソレノイド222は、例えば、銅線に電流を流すことにより磁界を発生させ、磁性体の可動部222aを吸引する。銅線に電流を流したときに可動部222aは銅線内に吸い寄せられて図8に示す状態となり、電流が断たれることで吸引力が消滅して可動部222aは図7の状態に戻る。このように切換フォーク動作ソレノイド222はy方向に平行移動する。切換フォーク動作ソレノイド222の可動部222aはアーム部224と連結されており、アーム部224をy方向に平行移動させることができる。切換フォーク動作ソレノイド222は、制御部240により駆動制御される。
【0054】
アーム部224は、切換フォーク動作ソレノイド222の可動部222aと連結され、y方向に一体となって移動可能な部材である。アーム部224の切換フォーク動作ソレノイド222側の一端には、可動部222aより径の大きいストッパ224aが設けられている。ストッパ224aを設けることで、アーム部224のx軸負方向の移動を制限し、切換フォーク216が過剰に回転移動しないようにすることができる。また、アーム部224のストッパ224aと反対側の他端は、連結部226の一端と回転可能に連結されている。
【0055】
連結部226は、切換フォーク216の放出搬送路214と反対側の端部と、アーム部224とを連結する部材である。連結部226は、一端がアーム部224と回転軸228aで回転可能に連結されており、他端が切換フォーク216と回転軸228bで回転可能に連結されている。
【0056】
カルトン230は、第1放出口および第2放出口から放出された硬貨Cを受ける硬貨受部であり、各放出口の下部に配置される。カルトン230は、硬貨Cが集積される底部232と、底部232の外周から立ち上がる壁部234とからなり、深さdを有する。壁部234によってカルトン230内に集積された硬貨Cがカルトン230からこぼれ落ちるのを防止することができる。
【0057】
制御部240は、放出搬送路214上における硬貨Cの通過を検知する通過検知部である通過センサ242と、第1放出部から放出される硬貨Cの数を計数する第1計数部である第1計数センサ244と、第2放出部から放出される硬貨Cの数を計数する第2計数部である第2係数センサ246と、これらのセンサ242、244または246の少なくともいずれか1つの検出結果に基づいて切換部220の動作を制御する切換制御部(図示せず。)とを備える。
【0058】
通過センサ242、第1計数センサ244および第2計数センサ246としては、例えば光を出射するLED等からなる発光部と、発光部から出射された光を受光するフォトダイオード等の受光部とからなる光センサを用いることができる。このとき、各センサ242、244および246は、硬貨Cが放出搬送路214上のセンサの検知位置に存在しないときには発光部から出射された光を受光部により検出する(センサオフ状態)。一方、硬貨Cが放出搬送路214上のセンサの検知位置に存在するときには発光部から出射された光が当該硬貨Cによって遮蔽され、受光部は光を検出できなくなる(センサオン状態)。各センサ242、244および246は、センサのオンオフ状態を検知結果として切換制御部に通知する。
【0059】
通過センサ242は、切換フォーク216の動作可否を判断するためのセンサであることから、放出搬送路214の傾斜部214aよりも硬貨搬送方向上流側(x負方向側)に所定の距離以上離隔した位置に設けられる。通過センサ242の配置位置は、通過センサ242による検知結果を受けて切換フォーク216を動作させるまでに必要な時間を確保できるように決定される。
【0060】
第1計数センサ244は、第1放出口から放出される硬貨Cの数を計数するため、放出搬送路214の傾斜部214aの屈曲部分に配置される。一方、第2計数センサ246は、第2放出口から放出される硬貨Cの数を計数するため、切換フォーク216の連結部226と連結された端部付近に配置される。第1計数センサ244および第2計数センサ246で計数された各放出硬貨数は、例えば装置内のメモリ(図示せず。)に記憶される。
【0061】
切換制御部(図示せず。)は、の少なくともいずれか1つの検出結果に基づいて切換部220の動作を制御して、切換フォーク216の開閉状態を切り換える。切換制御部は、通過センサ242により硬貨Cの通過を検知すると、第1放出口からの放出硬貨数および第2放出口からの放出硬貨数に基づいて、通過した硬貨Cを放出する放出口を決定する。そして、硬貨Cの放出口を第1放出部とした場合、切換制御部は切換フォーク216が開状態となるように切換フォーク動作ソレノイド222を動作させる。一方、硬貨Cの放出口を第2放出部とした場合、切換制御部は切換フォーク216が閉状態となるように切換フォーク動作ソレノイド222を動作させる。
【0062】
[2−2.硬貨出金口機構の動作]
本実施形態に係る硬貨出金口機構200の放出搬送部210は、カルトン230内の異なる位置に硬貨Cを放出できるように、2つの硬貨Cの放出口(第1放出口および第2放出口)を有している。硬貨Cの放出口は、第1計数センサ244および第2計数センサ246で計数された放出硬貨数が閾値枚数を超えたか否かという判定要件に基づき、切換制御部によって決定される。
【0063】
硬貨Cの出金は、出金部内の出金庫から指定された金種の硬貨Cを出金させることから開始される。出金庫から出金された硬貨Cは、搬送丸ベルト212と放出搬送路214で挟持されて硬貨搬送方向(x方向)に搬送される。なお、出金される硬貨Cは、出金庫の繰出機構および搬送機構により所定の時間間隔を有して搬送されるもとする。
【0064】
ここで、ほとんどの出金取引は釣銭であり、このとき1金種の最大枚数は4枚となる。したがって、本実施形態に係る硬貨出金口機構200は、例えば第1放出口または第2放出口のいずれかからの放出硬貨数が5枚となる毎に、切換制御部により切換フォーク216の開閉状態を切り換える。例えば、図7に示すように、切換フォーク216の初期状態は開状態であるとする。切換フォーク216が開状態のとき、硬貨Cは傾斜部214aを通り第1放出口からカルトン230の装置背面側(x軸負方向側)に放出、集積される。このとき、第1計数センサ244により、第1放出口からの放出硬貨数が計数され、メモリに記憶される。
【0065】
通過センサ242により硬貨Cの通過が検知される度に、切換制御部は第1放出口からの放出硬貨数を確認する。第1放出口からの放出硬貨数が5枚となるまでは、切換フォーク216は開状態のままにする。そして、第1計数センサ244により放出硬貨数が5枚となったことを検知すると、切換制御部は、可動部222aが吸引されるように切換フォーク動作ソレノイド222を動作させて、図8に示すように切換フォーク216を閉状態にする。切換フォーク216が閉状態のとき、硬貨Cは切換フォーク216上を通り第2放出口からカルトン230の装置前面側(x軸正方向側)に放出、集積される。このとき、第2計数センサ246により、第2放出口からの放出硬貨数が計数され、メモリに記憶される。
【0066】
通過センサ242により硬貨Cの通過が検知される度に、切換制御部は第2放出口からの放出硬貨数を確認する。第2放出口からの放出硬貨数が5枚となるまでは、切換フォーク216は閉状態のままにする。そして、第2計数センサ246により放出硬貨数が5枚となったことを検知すると、切換制御部は、可動部222aの吸引を解除するように切換フォーク動作ソレノイド222を動作させて、図7に示すように切換フォーク216を開状態に戻す。以降、硬貨出金口機構200はこの動作を繰り返し行う。
【0067】
なお、通過センサ242により硬貨Cの到達または通過を検知してから切換フォーク216の開閉状態の切換動作が間に合わない場合には、切換動作を見送ったり、あるいはエラーにしたりする。これにより、切換フォーク216の開閉状態の切換が間に合わず、放出搬送路214と切換フォーク216との間に硬貨Cが挟まれないようにしたり、硬貨Cが搬送されてくるタイミングで切換フォーク216が持ち上げられて開状態とされたりしないようにする。
【0068】
このように、本実施形態では、2つの放出口を設け、各放出口からの放出硬貨数に基づいて切換フォーク216の開閉状態を切り換える。従来はカルトンの放出口が固定であり硬貨Cは特定箇所に集積されていたため、多数の硬貨放出時に硬貨Cの放出を妨げたり、カルトンの引き抜き時にカルトンから硬貨Cがこぼれおちたりする等の不具合が生じる要因があった。本実施形態に係る硬貨出金口機構200により、カルトン230上の硬貨Cの集積位置が分散され、硬貨の集積を平滑化することができる。このようにカルトン230の奥行のある形状を活かして、一度に多枚数の硬貨を放出させることが可能となる。
【0069】
なお、本例では、切換フォーク216の切換タイミングはいずれかの計数センサ244、246で計数された放出硬貨数が5枚となったときとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば放出硬貨数が10枚となったときや、1枚となったときに切換フォーク216を切り換えてもよい。また、金種に応じてそれぞれ切換タイミングとする放出硬貨数を設定してもよい。
【0070】
[2−3.複数金種の切換フォーク切換動作]
図7〜図9では、1金種(すなわち、1放出搬送路)についての構成を示したが、本実施形態に係る硬貨出金口機構200Aは複数金種(すなわち、複数放出搬送路)を有することも可能である。このとき、例えば図10に示すように、6つの金種の放出搬送路214a〜214fが設けられているとき、1つの切換部220によって全ての切換フォーク216a〜216fを動作させる構成とすることもできる。
【0071】
すなわち、図10に示すように、6つの金種の放出搬送路214a〜214fが、搬送ガイド218を挟んで硬貨搬送方向(x方向)に対して直交する方向(y方向)に配列されている。各放出搬送路214a〜214f上には、出金庫から出金された硬貨Cが搬送されている。一般に、出金庫からの硬貨Cの繰出しは各金種で非同期に行われるため、切換フォーク216a〜216fの開閉状態の切り換えは、全ての放出搬送路214a〜214f上に硬貨Cがない状態で行う必要がある。したがって、本例では、切換フォーク216a〜216fの開閉状態を切り換える際には出金庫からの硬貨Cの繰出しが停止されるため、これを切換フォーク216a〜216fの切換判定に用いることができる。したがって、上述の例のように硬貨Cの到達または通過を検知するための通過センサ242を設置しなくともよい。
【0072】
なお、各放出搬送路214a〜214f上には、第1放出口からの放出硬貨数を計数する第1計数センサ244a〜244fおよび第2放出口からの放出硬貨数を計数する第2計数センサ246a〜246fがそれぞれ設けられる。
【0073】
硬貨出金口機構200Aにおいて切換フォーク216の初期状態を開状態とする。切換制御部は、いずれかの金種の放出搬送路214a〜214fの第1計数センサ244a〜244fにより第1放出口からの放出硬貨数が5枚となったことが検知されると、当該金種の出金庫からの硬貨Cの繰出しを停止する。同様に、他の出金庫からの硬貨Cの繰出しについても、第1放出口からの放出硬貨数が5枚となったことが検知されると、当該金種の出金庫からの硬貨Cの繰出しを停止する。
【0074】
こうして全ての金種について出金庫からの硬貨Cの繰出し処理が停止し、かつ少なくともいずれか1つの金種について指定された出金枚数の放出が完了していないとき、切換制御部は、切換フォーク動作ソレノイド222を動作させて切換フォーク216a〜216fを同時に閉状態に切り換えた後、指定された出金枚数の放出が完了していない金種の出金庫から硬貨Cの繰出しを再開する。かかる動作により、硬貨Cを第2放出口から放出させることが可能となる。
【0075】
以降は、各出金庫からの硬貨Cの繰出しを第2計数センサ246a〜246fで検出する度に停止する。そして、全ての金種について出金庫空の硬貨Cの繰出し処理が停止し、かつ少なくともいずれか1つの金種について指定された出金枚数の放出が完了していないとき、切換フォーク216a〜216fを同時に開状態に戻し、硬貨Cが第1放出口から放出されるようにする。
【0076】
このように、複数の金種の放出搬送路214a〜214fが設けられているとき、1つの切換部220によって全ての切換フォーク216a〜216fを同時に開閉させることで、各搬送部210a〜210fに対して切換フォーク216a〜216fを切り換えるための切換部220をそれぞれに設ける必要がなくなる。また、切換フォーク216a〜216fの切換制御上、全ての放出搬送路214a〜214f上での硬貨Cの搬送が停止していることが要件となるため、切換フォーク216a〜216fの動作可否を判断するための通過センサも省略可能である。
【0077】
なお、本例では、切換フォーク216a〜216fの切り換えの際、全ての放出搬送路214a〜214fが停止されるまでの待ち時間が発生する。このため、各放出搬送路214a〜214fにそれぞれ切換部220を設ける場合と比較して、トータルでの硬貨Cの放出に要する時間(放出完了時間)は長くなる。しかし、出金取引のほとんどを占める釣銭取引は1金種4枚以下であるため、他枚数の硬貨Cの放出を必要とするのは、機内に多くなり過ぎた硬貨Cの枚数を減らす等の一部回収処理と、精査時等に行われる全回収処理とである。したがって、通常の取引に影響を与えることはほとんどない。もちろん、各放出搬送路214a〜214fにそれぞれ切換部220を設けてもよく、複数金種に(例えば2金種、3金種毎に)対して1つの切換部220を設けるようにしてもよい。
【0078】
<3.変形例>
現金処理装置1に設けられる硬貨出金口機構の変形例として、第1の実施形態に係る硬貨出金口機構100の構成と第2の実施形態に係る硬貨出金口機構200の構成とを組み合わせてもよい。
【0079】
例えば、第1の実施形態のように、カルトン120を移動させて硬貨Cの集積箇所を変える硬貨出金口機構100に、第2の実施形態に設けた放出口116から放出される放出硬貨数を計数する計数センサを設けてもよい。このとき、駆動制御部は、計数センサにより、所定枚数(例えば、5枚)の硬貨Cの放出が検知されると、カルトン120を移動させて硬貨Cの集積箇所を変えるようにする。このような構成によっても上述した実施形態と同様にカルトン120上の硬貨Cの集積を平準化することが可能である。なお、複数の出金部110がある場合には、例えば少なくともいずれか1つの出金部110からの放出硬貨数が所定枚数を超えたときにカルトン120を移動させるようにしてもよい。
【0080】
また、第2の実施形態のように、2つの放出口を設け、切換フォーク126の開閉状態を切り換えることで硬貨Cの集積箇所を変える硬貨出金口機構200に、第1の実施形態に設けた、カルトン230上の硬貨Cの集積高さを監視する集積監視センサを設けてもよい。このとき、切換制御部は、集積監視センサによりカルトン230内の検知箇所での硬貨Cの集積高さが高さhとなったことが検知されると、切換フォーク216の開閉状態を切り換えて、硬貨Cの放出口を変更する。これにより、カルトン230に放出される硬貨Cの集積箇所を変えることができ、上述した実施形態と同様にカルトン230上の硬貨Cの集積を平準化することが可能である。
【0081】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0082】
1 現金処理装置
10 硬貨部
30 紙幣部
100、200、200A 硬貨出金口機構
110 出金部
112 出金庫
114 放出搬送路
116 放出口
120、230 カルトン
130 カルトン移動部
132R、132L 集積監視センサ
134 スライド部
136 カルトン駆動部
210 放出搬送部
212 搬送丸ベルト
214 放出搬送路
214a 傾斜部
216 切換フォーク
218 搬送ガイド
220 切換部
222 切換フォーク動作ソレノイド
224 アーム部
226 連結部
240 制御部
242 通過センサ
244 第1計数センサ
246 第2係数センサ
C 硬貨


【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨を収納する出金庫から出金された硬貨を放出部に搬送する搬送路と、
前記放出部から放出される硬貨を受ける硬貨受部と、
前記硬貨受部を少なくとも当該硬貨受部の出し入れ方向に移動させる駆動部と、
前記硬貨受部の底面と前記放出部との間に設けられ、前記硬貨受部に集積された硬貨が所定の集積高さとなったことを検知する検知部と、
前記検知部により前記硬貨受部に集積された硬貨が所定の集積高さとなったことが検知されたとき、前記硬貨受部における前記放出部から放出される硬貨の落下位置が前記集積高さまで硬貨が集積されていない位置となるように前記駆動部を駆動する駆動制御部と、
を備えることを特徴とする、硬貨出金口機構。
【請求項2】
前記硬貨受部は、前記放出部から放出された硬貨が集積される底部と、前記底部の周囲を囲む壁部とからなり、
前記検出部は、前記壁部の上端付近に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の硬貨出金口機構。
【請求項3】
前記検知部は光学センサであることを特徴とする、請求項1または2に記載の硬貨出金口機構。
【請求項4】
前記検知部は、前記硬貨受部の前記壁部の上端より前記底部側に設けられ、
前記硬貨受部の前記壁部は、少なくとも前記検知部が配置された位置に対向する部分が透光性部材により形成されることを特徴とする、請求項3に記載の硬貨出金口機構。
【請求項5】
前記駆動制御部は、前記放出部から放出された硬貨を前記硬貨受部内に収容可能な収容可能範囲内で前記硬貨受部を移動させるように前記駆動部を制御する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬貨出金口機構。
【請求項6】
硬貨を収納する出金庫から出金された硬貨を搬送し、第1放出部または第2放出部から前記硬貨を放出する搬送路と、
前記搬送路の前記第1放出部および前記第2放出部から放出されて落下する硬貨を受ける硬貨受部と、
前記搬送路上における前記硬貨の通過を検知する通過検知部と、
前記第1放出部から放出される硬貨の数を計数する第1計数部と、
前記第2放出部から放出される硬貨の数を計数する第2計数部と、
前記搬送路において硬貨の放出部を前記第1放出部と前記第2放出部とで切り換える切換部材と、
前記通過検知部により前記硬貨の通過が検知されたタイミングで、前記第1計数部または前記第2計数部において計数された各放出硬貨数に基づいて、前記切換部材を切り換える切換制御部と、
を備えることを特徴とする、硬貨出金口機構。
【請求項7】
前記切換制御部は、現在硬貨が放出されている放出部からの放出硬貨数が閾値枚数を超えたとき、前記切換部材を切り換えて硬貨の放出部を変更することを特徴とする、請求項6に記載の硬貨出金口機構。
【請求項8】
硬貨を収納する出金庫から出金された硬貨を搬送し、第1放出部または第2放出部から前記硬貨を放出する搬送路と、
前記搬送路の前記第1放出部および前記第2放出部から放出されて落下する硬貨を受ける硬貨受部と、
前記第1放出部から放出される硬貨の数を計数する第1計数部と、
前記第2放出部から放出される硬貨の数を計数する第2計数部と、
前記搬送路において硬貨の放出部を前記第1放出部と前記第2放出部とで切り換える切換部材と、
からなり、並列に設けられた複数の搬送路と、
前記第1計数部または前記第2計数部において計数された各放出硬貨数に基づいて、前記各切換部材を同時に切り換える切換制御を行う切換制御部と、
を備え、
前記切換制御部は、
前記各搬送路について、現在硬貨が放出されている放出口からの放出硬貨数が閾値枚数を超えたときに前記出金庫からの硬貨の搬送を停止し、
全ての前記搬送路の出前記金庫からの硬貨の搬送が停止され、かつ、未出金の硬貨が存在する場合に、前記各切換部材を切り換えることを特徴とする、硬貨出金口機構。
【請求項9】
硬貨を入金する硬貨入金口と、
上記請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬貨出金口機構と、
前記硬貨出金口機構により前記硬貨受部に放出された硬貨が取り出される硬貨出金口と、
を備えることを特徴とする、現金処理装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−114377(P2013−114377A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258755(P2011−258755)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】