説明

硬貨取扱装置、セルフチェックアウト端末装置、および硬貨取扱方法

【課題】一の取引で硬貨取扱装置の内部に残留した硬貨が次の取引に持ちこされてしまうことを防止可能とする。
【解決手段】釣銭機(硬貨取扱装置)29は、利用者が硬貨投入口25から投入する硬貨を入金硬貨貯留部30に貯留する。入金が許可された状態で貯留された硬貨は、入金搬送部32が入金硬貨貯留部30から硬貨を繰り出して識別部34に向けて搬送する。入金が許可されない状態で貯留された硬貨は、釣銭出金の後にリジェクトされる。硬貨のリジェクトは、入金搬送部32の搬送路の途中にある切替器33により、硬貨の搬送先をリジェクト搬送部35を経る硬貨出金口27としておこなう。リジェクトする硬貨の搬送は、入金搬送部32とリジェクト搬送部35とにより、リジェクト搬送部35の途中にあるリジェクト硬貨検出センサ36の硬貨検出にもとづいておこなう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨取扱装置、セルフチェックアウト端末装置、および硬貨取扱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大手小売業において、通常のレーンにあるレジ担当によるレジ端末装置を用いたチェックアウト(商品精算)によらずに、利用者(客)自らによるセルフチェックアウトを可能にしたセルフチェックアウト端末装置の導入が進められている。セルフチェックアウト端末装置は、来店した利用者自身が商品登録から支払いまでをおこなうことを可能にして店舗の省力化や、レジ待ち行列の待ち時間短縮に貢献している。
【0003】
しかしながら、利用者は、誤ったタイミングでの金銭の投入や、釣銭の取り忘れをおこなうことで、セルフチェックアウト端末装置が入出金する金銭が次の取引、すなわち、次の利用者に持ちこされてしまう場合がある。
【0004】
セルフチェックアウト端末装置と同様に、利用者自身が取引操作をおこなうものとして金融機関が設置するATM(Automated Teller Machine:自動取引装置)がある。また、セルフチェックアウト端末装置やATM、その他の取引装置(たとえば、自動券売機など)が備える硬貨取扱装置がある。これらは、入出金口にシャッタを備えて金銭の投入タイミングを制限したり、金銭の取り忘れを検出して報知したり、次の取引の開始を中止したりして、出金する金銭を取引ごとに区分している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−121596号公報
【特許文献2】特開2010−218092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、シャッタを備えることによりシャッタが閉まる際に硬貨を挟み込み、挟み込んだ硬貨を次の取引の入金としてしまうことがある。また、金銭の取り忘れを検出して報知をおこなっても、利用者あるいは係員に必ずしも気づいてもらえない場合がある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、一の取引で装置内に残留した硬貨が次の取引に持ちこされてしまうことを防止可能な硬貨取扱装置、セルフチェックアウト端末装置、および硬貨取扱方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、硬貨取扱装置は、入金貯留部と、入金硬貨検出部と、識別部と、振分部と、入金搬送部と、出金搬送部と、切替部と、リジェクト搬送部と、リジェクト硬貨検出部と、制御部と、を備える。
【0009】
入金貯留部は、入金口から入金された硬貨を貯留する。入金硬貨検出部は、入金貯留部にある硬貨を検出する。識別部は、硬貨の金種を識別する。振分部は、硬貨の識別結果に応じて収納部における硬貨の収納先を振り分ける。入金搬送部は、入金貯留部が貯留する硬貨を一枚ずつ識別部に向けて搬送する。出金搬送部は、収納部から出金された硬貨を出金口に向けて搬送する。切替部は、入金搬送部にある硬貨の搬送先を、出金口に切り替える。リジェクト搬送部は、搬送先を出金口に切り替えられた硬貨を出金口に向けて搬送する。リジェクト硬貨検出部は、リジェクト搬送部にある硬貨を検出する。制御部は、入金貯留部が貯留する硬貨を、入金を許可した状態においては、入金硬貨検出部による硬貨の検出にもとづいて入金搬送部により識別部に向けて搬送し、入金を許可しない状態においては、入金貯留部が貯留する硬貨の搬送先を切替部により出金口に切り替え、リジェクト硬貨検出部による硬貨の検出にもとづいて入金搬送部およびリジェクト搬送部により出金口に向けて搬送する制御をおこなう。
【0010】
また、上記課題を解決するために、セルフチェックアウト端末装置は、上記の硬貨取扱装置を備える。
また、上記課題を解決するために、硬貨取扱方法は、上記の硬貨取扱装置について、入金貯留部が貯留する硬貨を、入金を許可した状態においては、入金硬貨検出部による硬貨の検出にもとづいて入金搬送部により識別部に向けて搬送し、入金を許可しない状態においては、入金貯留部が貯留する硬貨の搬送先を切替部により出金口に切り替え、リジェクト硬貨検出部による硬貨の検出にもとづいて入金搬送部およびリジェクト搬送部により出金口に向けて搬送する。
【発明の効果】
【0011】
上記の硬貨取扱装置、セルフチェックアウト端末装置、および硬貨取扱方法によれば、一の取引で装置内に残留した硬貨が次の取引に用いられてしまうことを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態のセルフチェックアウトシステムを示す図である。
【図2】実施形態のセルフチェックアウト端末装置の外観を示す図である。
【図3】実施形態の金銭取扱装置収容部の外観を示す斜視図である。
【図4】実施形態のセルフチェックアウト端末装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図5】実施形態の釣銭機の構成を示す図である。
【図6】実施形態のセルフチェックアウト端末装置が実行する商品取引処理のフローチャートである。
【図7】実施形態のセルフチェックアウト端末装置が実行する精算処理のフローチャートである。
【図8】実施形態の釣銭機が実行する入出金処理のフローチャートである。
【図9】実施形態の釣銭機が実行する釣銭出金処理のフローチャートである。
【図10】実施形態の釣銭機が実行するリジェクト処理のフローチャートである。
【図11】実施形態のセルフチェックアウト端末装置が実行する取り忘れ処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態を図面を参照して説明する。まず、セルフチェックアウトシステム1について図1を用いて説明する。図1は、実施形態のセルフチェックアウトシステムを示す図である。
【0014】
セルフチェックアウトシステム1は、小売り店舗内で運用される、利用者自身が商品の精算をおこなうことで、レジ待ち時間の短縮や人的コストの低減を図ることが可能な商品精算システムである。
【0015】
セルフチェックアウトシステム1は、セルフチェックアウト端末装置10、監視端末装置2、POS(Point Of Sale)サーバ3、これらを通信可能に接続するネットワーク4を備えて構成される。
【0016】
セルフチェックアウトシステム1は、商品を販売する小売店舗において、セルフチェックアウト端末装置10を運用するシステムである。セルフチェックアウトシステム1は、1つ以上(たとえば、4つ)のセルフチェックアウト端末装置10と1つの監視端末装置2を備える。セルフチェックアウト端末装置10は、客によるセルフチェックアウトを可能とするサービスを提供する。監視端末装置2は、セルフチェックアウト端末装置10を利用する客による不正の監視と、不案内な客への操作案内や、客の誤操作の訂正などの顧客サービスをおこなう。
【0017】
POSサーバ3は、セルフチェックアウト端末装置10により登録された販売情報を一元管理し、商品を識別するための商品コード(商品識別情報)、商品名(商品名情報)や価格(価格情報)などを登録した商品マスタ(商品情報ファイル)、および重量マスタ(商品重量ファイル)を管理する。セルフチェックアウト端末装置10も商品マスタ、および重量マスタを備え、POSサーバ3あるいは他のセルフチェックアウト端末装置10が備える商品マスタ、および重量マスタと同期させて管理する。
【0018】
次に、セルフチェックアウト端末装置10の外観について、図2、図3を用いて説明する。図2は、実施形態のセルフチェックアウト端末装置の外観を示す図である。図3は、実施形態の金銭取扱装置収容部の外観を示す斜視図である。
【0019】
セルフチェックアウト端末装置10は、客が自分自身で商品の精算をおこなうための端末装置である。セルフチェックアウト端末装置10は、筺体11と筺体12を含んで構成される。筺体11および筺体12は、セルフチェックアウト端末装置10を統括的に制御する制御装置や、外部との通信装置、電源装置などを収容する。筺体11は、上部に金銭取扱装置収容部13、ディスプレイ15、タッチパネル16、磁気カードリーダ17、バーコードスキャナ18、タッチスキャナ19、およびプリンタ(レシート用)20を備え、商品精算時に利用者の進入方向となる側方に買い物かご載置台14を備える。筺体12は、上部にレジ袋懸吊部21、スケール(合計重量計量用秤)22を備える。
【0020】
買い物かご載置台14は、客が精算前の商品を入れた買い物かごを載置する台である。バーコードスキャナ18およびタッチスキャナ19は、レーザ走査線を商品に照射して、商品に付されたバーコードを読み取る。バーコードスキャナ18は、セルフチェックアウト端末装置10に固定して設けられる。タッチスキャナ19は、セルフチェックアウト端末装置10に有線で接続して設けられる。セルフチェックアウト端末装置10は、読み取った情報にもとづいて商品を精算対象として登録する。
【0021】
ディスプレイ15は、所要の情報の表示出力をおこなう。タッチパネル16は、利用者の操作入力を受け付ける。ディスプレイ15は、セルフチェックアウト端末装置10の操作案内や操作メニューの表示、読み取ったバーコードにもとづいて商品名、商品単価、商品重量などの商品の精算に伴う情報、精算時の預かり金額、買い物合計金額、釣銭額などの情報を表示する。また、タッチパネル16は、ディスプレイ15の表示にしたがった利用者のタッチ操作による操作情報の入力を受け付ける。
【0022】
精算対象として登録をした商品は、レジ袋懸吊部21に吊り下げたレジ袋に納められ、スケール22により精算対象として登録した商品の合計重量が計量される。セルフチェックアウト端末装置10は、個別の商品の重量と、スケール22により計量した重量の増分との差が所定の許容範囲内にあれば、精算対象として商品を登録する。
【0023】
磁気カードリーダ17は、磁気カード(たとえば、クレジットカード)の磁気ストライプに記録された情報を読み取る。金銭取扱装置収容部13は、利用者の操作面となる外部に、紙幣投入口23、紙幣出金口24、硬貨投入口25、硬貨返金口26、および硬貨出金口27を備える。金銭取扱装置収容部13は、内部に、釣札機(紙幣取扱装置)と、釣銭機(硬貨取扱装置)を収容する。紙幣投入口23は、釣札機に入金する紙幣の投入口である。紙幣出金口24は、釣札機から出金する紙幣の取り出し口である。硬貨投入口25は、釣銭機に入金する硬貨の投入口である。硬貨返金口26は、釣銭機から返金される硬貨の取り出し口である。硬貨出金口27は、釣銭機から出金される硬貨の取り出し口である。
【0024】
利用者は、磁気カードリーダ17によるクレジットカードの磁気情報の読み取り、紙幣投入口23への紙幣投入、硬貨投入口25への硬貨投入により商品の精算をおこなうことができる。このとき、受付できなかった硬貨は、硬貨返金口26または硬貨出金口27から返却される。セルフチェックアウト端末装置10は、釣銭が生じた場合、釣銭機からの硬貨払い出し、釣札機からの紙幣払い出しにより釣銭を払い出す。セルフチェックアウト端末装置10は、プリンタ20により精算内容を印字したレシートを発券する。
【0025】
次に、セルフチェックアウト端末装置10のハードウェア構成について、図4を用いて説明する。図4は、実施形態のセルフチェックアウト端末装置のハードウェア構成例を示す図である。
【0026】
セルフチェックアウト端末装置10は、制御装置100を備え、制御装置100と各種装置(ディスプレイ15、磁気カードリーダ17、・・・)を接続する。制御装置100は、各種装置を統括的に制御する。セルフチェックアウト端末装置10は、制御装置100が備えるCPU(Central Processing Unit)101によって装置全体が制御されている。CPU101には、バス107を介してRAM(Random Access Memory)102、フラッシュROM(Read Only Memory)103、通信インタフェース104、グラフィック処理装置105、および入出力インタフェース106が接続されている。
【0027】
RAM102には、CPU101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの一部が一時的に格納される。また、RAM102には、CPU101による処理に必要な各種データが格納される。フラッシュROM103には、OSやアプリケーションプログラムが格納される。
【0028】
グラフィック処理装置105には、ディスプレイ15が接続されている。グラフィック処理装置105は、CPU101からの命令にしたがって、ディスプレイ15に画像を表示させる。
【0029】
入出力インタフェース106には、タッチパネル16、磁気カードリーダ17、バーコードスキャナ18、タッチスキャナ19、プリンタ20、釣札機28、釣銭機29、およびスケール22が接続されている。また、入出力インタフェース106は、外部記憶媒体108への情報の書込み、および外部記憶媒体108への情報の読出しが可能な外部記憶媒体インタフェースと接続可能になっている。入出力インタフェース106は、タッチパネル16、磁気カードリーダ17、バーコードスキャナ18、タッチスキャナ19、プリンタ20、釣札機28、釣銭機29、およびスケール22から送られてくる信号を、バス107を介してCPU101に送信する。
【0030】
通信インタフェース104は、ネットワーク4に接続されている。通信インタフェース104は、他のセルフチェックアウト端末装置10、監視端末装置2、POSサーバ3との間でデータの送受信をおこなう。
【0031】
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。なお、監視端末装置2、POSサーバ3も同様のハードウェア構成で実現できる。
なお、セルフチェックアウト端末装置10は、それぞれFPGA(Field Programmable Gate Array)やDSP(Digital Signal Processer)などからなるモジュールを含んで構成することもでき、CPU101を有しない構成とすることもできる。その場合、セルフチェックアウト端末装置10は、それぞれ不揮発性メモリ(たとえば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ、フラッシュメモリ型メモリカードなど)を備え、モジュールのファームウェアを記憶する。不揮発性メモリは、外部記憶媒体108、あるいは通信インタフェース104を介してファームウェアを書き込むことができる。このようにセルフチェックアウト端末装置10は、不揮発性メモリに記憶されているファームウェアを書き換えることにより、ファームウェアの更新をすることもできる。
【0032】
次に、釣銭機の構成について、図5を用いて説明する。図5は、実施形態の釣銭機の構成を示す図である。釣銭機29は、セルフチェックアウト端末装置10の金銭取扱装置収容部13に収容される。釣銭機29は、利用者が入金する硬貨の受け入れと、入金された硬貨の金種毎の収納、利用者に釣銭として払い出す硬貨の出金などをおこなう。
【0033】
釣銭機29は、利用者が硬貨投入口25から投入する硬貨を入金硬貨貯留部30に貯留する。硬貨投入口25は、セルフチェックアウト端末装置10の正面に利用者側に向かって開口を臨む。硬貨投入口25は、複数枚の硬貨が一度に投入された場合でも硬貨を一枚ずつ受け入れ可能な受け入れ口を凹室内に備える。硬貨投入口25は、受け入れ口にシャッタを備えないことにより、シャッタによる硬貨の挟み込みを防止し、挟み込んだ硬貨が次の取引に持ち越されることを防止している。硬貨投入口25が受け入れた硬貨は、図示しない通路を落下して入金硬貨貯留部30に至る。
【0034】
入金硬貨貯留部30は、硬貨投入口25から投入された硬貨を貯留する。入金硬貨貯留部30は、貯留した硬貨を検出する入金硬貨検出センサ31を備える。入金硬貨検出センサ31は、入金硬貨貯留部30に貯留されている硬貨の有無を検出するセンサ(たとえば、フォトセンサ)である。入金硬貨貯留部30は、硬貨投入口25がシャッタを備えないことにより、あらゆるタイミングで硬貨の貯留状態が生じ得る。
【0035】
入金搬送部32は、入金硬貨貯留部30が貯留する硬貨を1枚ずつ入金硬貨貯留部30から繰り出して識別部34に向けて搬送する。入金搬送部32は、図示しない駆動部(たとえば、モータ)を備え、搬送ベルトにより搬送路上にある硬貨を狭持して搬送する。
【0036】
釣銭機29は、入金搬送部32の搬送路の途中に切替器33を備える。切替器33は、入金搬送部32が搬送する硬貨の搬送先を、リジェクト搬送部35を経る硬貨出金口27とすることができる。切替器33は、図示しない駆動部(たとえば、ソレノイド)を備え、切替板を駆動して硬貨の搬送先を切り替える。
【0037】
識別部34は、硬貨が正貨であるか偽貨であるか判別するとともに、硬貨が正貨である場合に硬貨の金種を識別する。識別部34は、硬貨が正貨であるか偽貨であるかの判別結果、および硬貨の金種の識別結果を出力する。識別部34は、硬貨が正貨である場合に硬貨を振分部37に送り、硬貨が偽貨である場合に硬貨返金口26に送る。
【0038】
振分部37は、識別部34が出力する硬貨の金種の識別結果にもとづいて硬貨の収納先となる収納部38に硬貨を金種毎に振り分ける。収納部38は、振分部37が振り分けた硬貨を繰り入れて、金種毎に収納する。収納部38は、出金時に、収納している硬貨を出金搬送部39に繰り出す。
【0039】
出金搬送部39は、収納部38から繰り出された硬貨を硬貨出金口27に向けて搬送する。出金搬送部39は、図示しない駆動部(たとえば、モータ)を備え、搬送ベルトにより搬送路上にある硬貨を狭持して搬送する。
【0040】
リジェクト搬送部35は、切替器33により搬送先を硬貨出金口27に切り替えられた硬貨を硬貨出金口27に向けて搬送する。リジェクト搬送部35は、図示しない駆動部(たとえば、モータ)を備え、搬送ベルトにより搬送路上にある硬貨を狭持して搬送する。
【0041】
釣銭機29は、リジェクト搬送部35の搬送路の途中にリジェクト硬貨検出センサ36を備える。リジェクト硬貨検出センサ36は、入金硬貨貯留部30から繰り出された硬貨がリジェクト搬送部35を経て硬貨出金口27に搬送されるまでに要する時間の半分を超える位置に設けられる。
【0042】
硬貨出金口27は、出金搬送部39により搬送された硬貨、またはリジェクト搬送部35により搬送された硬貨を貯留する。硬貨出金口27は、セルフチェックアウト端末装置10の正面に利用者側に向かって開口を臨む。硬貨出金口27に貯留された硬貨は、利用者によって取り出し可能になっている。硬貨出金口27は、貯留した硬貨を検出する出金硬貨検出センサ41を備える。出金硬貨検出センサ41は、硬貨出金口27に貯留されている硬貨の有無を検出するセンサ(たとえば、フォトセンサ)である。硬貨返金口26は、識別部34が偽貨と判定した硬貨を貯留する。硬貨返金口26は、セルフチェックアウト端末装置10の正面に利用者側に向かって開口を臨む。硬貨返金口26に貯留された硬貨は、利用者によって取り出し可能になっている。
【0043】
制御部43は、釣銭機29を統括的に制御する。制御部43は、制御装置100と通信をおこない、所要の情報(たとえば、入金額や、出金硬貨検出センサ41が硬貨を検出した情報など)を制御装置100に送信する。また、制御部43は、所要の情報(たとえば、出金指示や、セルフチェックアウト端末装置10の制御状態など)を制御装置100から受信する。
【0044】
次に、セルフチェックアウト端末装置10の制御装置100が実行する商品取引処理について、図6を用いて説明する。図6は、実施形態のセルフチェックアウト端末装置が実行する商品取引処理のフローチャートである。
【0045】
制御装置100は、セルフチェックアウト端末装置10の稼働開始に伴い商品取引処理を実行する。たとえば、制御装置100は、監視端末装置2またはPOSサーバ3からの営業開始の指示、繁忙時の稼働レジ数の増台、あるいはあらかじめ登録した営業スケジュールにもとづいて商品取引処理を実行する。
【0046】
[ステップS11]制御装置100は、利用者による会計開始操作を待ち受ける。たとえば、セルフチェックアウト端末装置10は、ディスプレイ15に会計開始メニューを表示して、利用者からの操作入力をタッチパネル16により受け付ける。制御装置100は、会計開始操作を受け付けた場合にステップS12にすすむ。
【0047】
[ステップS12]制御装置100は、利用者による会計開始操作を受け付けて、会計開始処理を実行する。制御装置100は、会計開始処理において、各種パラメータ(たとえば、売買商品リスト、合計金額、入金額など)の初期化、各種入出力装置(たとえば、釣札機28、釣銭機29など)に状態通知をおこなう。具体的には、制御装置100は、釣札機28、釣銭機29に対して入金を許可する制御状態を通知する。また、制御装置100は、ディスプレイ15により会計開始の案内を表示し、図示しないスピーカにより音声案内をおこなう。
【0048】
[ステップS13]制御装置100は、商品登録処理を実行する。商品登録処理は、商品に付されたバーコードを読み取って、商品を精算対象として登録する処理である。制御装置100は、バーコードスキャナ18またはタッチスキャナ19が通知するバーコードデータにもとづいて、精算対象となる商品名、商品価格、および商品重量を特定し、特定した商品を精算対象として登録する。
【0049】
[ステップS14]制御装置100は、利用者による精算操作を待ち受ける。たとえば、セルフチェックアウト端末装置10は、ディスプレイ15に精算メニューを表示して、利用者からの操作入力をタッチパネル16により受け付ける。制御装置100は、精算操作を受け付けた場合にステップS15にすすみ、商品登録処理を終了する。一方、制御装置100は、未だ、精算操作を受け付けていない場合にステップS13にすすみ、商品登録処理を継続する。
【0050】
[ステップS15]制御装置100は、精算処理を実行する。精算処理は、精算対象として登録した商品の精算をおこなう処理である。精算処理の詳細は、図7を用いて後で詳細に説明する。
【0051】
[ステップS16]制御装置100は、商品取引処理の終了を判定し、セルフチェックアウト端末装置10の稼働終了に伴い商品取引処理を終了する。一方、制御装置100は、商品取引処理を終了しない場合にステップS11にすすみ、会計開始を待ち受ける。たとえば、制御装置100は、監視端末装置2またはPOSサーバ3からの営業終了の指示、閑散時の稼働レジ数の減台、あるいはあらかじめ登録した営業スケジュールにもとづいて商品取引処理を終了する。
【0052】
次に、セルフチェックアウト端末装置10の制御装置100が実行する精算処理について、図7を用いて説明する。図7は、実施形態のセルフチェックアウト端末装置が実行する精算処理のフローチャートである。制御装置100は、商品取引処理のステップS15において精算処理を実行する。
【0053】
[ステップS21]制御装置100は、釣札機28および釣銭機29に入金受付開始を通知する。釣札機28および釣銭機29は、入金受付開始の通知を受けて入金の受け付けをおこなう。
【0054】
[ステップS22]制御装置100は、釣札機28および釣銭機29からの入金額の通知にもとづいて、セルフチェックアウト端末装置10への入金(預かり金)の有無を判定する。制御装置100は、入金があった場合、ステップS23にすすみ、入金がない場合、入金を待つ。
【0055】
[ステップS23]制御装置100は、釣札機28および釣銭機29から通知された入金額を確認し、今までに通知された入金額の合計を算出する。
[ステップS24]制御装置100は、入金額(入金額の合計)が精算対象として登録した商品の請求額(合計金額)以上であるか否かを判定する。制御装置100は、入金が請求額以上である場合、ステップS25にすすみ、入金が請求額に満たない場合、入金が請求額以上となるのを待つ。
【0056】
[ステップS25]制御装置100は、釣札機28および釣銭機29に入金締切を通知する。
[ステップS26]制御装置100は、入金締切の通知後に釣札機28および釣銭機29から通知された入金額を確認し、入金額の合計を更新する。
【0057】
[ステップS27]制御装置100は、入金額の合計と請求額とから釣銭の有無を判定する。制御装置100は、釣銭がある場合にステップS28にすすみ、釣銭がない場合にステップS29にすすむ。
【0058】
[ステップS28]制御装置100は、釣札機28および釣銭機29に釣銭の出金指示を通知する。
[ステップS29]制御装置100は、精算対象となった商品の明細、請求額、入金額、釣銭額をプリンタ20により印字したレシートを発行する。
【0059】
[ステップS30]制御装置100は、取り忘れ処理を実行する。取り忘れ処理は、釣銭の取り忘れ等に対して利用者に注意喚起をおこなう処理である。取り忘れ処理の詳細は、図11を用いて後で詳細に説明する。
【0060】
このようにして、セルフチェックアウト端末装置10は、利用者に対して一連の取引をおこなうことができる。
次に、釣銭機29の制御部43が実行する入出金処理について、図8を用いて説明する。図8は、実施形態の釣銭機が実行する入出金処理のフローチャートである。制御部43は、精算処理のステップS21において制御装置100が通知する入金受付開始の通知を受けて入出金処理を実行する。
【0061】
[ステップS31]制御部43は、釣銭機29への入金の有無を判定する。硬貨投入口25に投入された硬貨は、入金硬貨貯留部30に貯留されるため、制御部43は、入金硬貨貯留部30が貯留する硬貨の有無を検出して釣銭機29への入金の有無を判定する。入金硬貨貯留部30が貯留する硬貨の有無は、入金硬貨検出センサ31の出力にもとづいて判定することができる。制御部43は、釣銭機29への入金がある場合、ステップS32にすすみ、釣銭機29への入金がない場合、ステップS35にすすむ。
【0062】
[ステップS32]制御部43は、硬貨の連続投入監視のタイマをセットする。タイマ値は、利用者が連続して投入した硬貨を一連の投入として扱うための時間が設定される。また、タイマ値は、入金搬送部32が入金硬貨貯留部30から繰り出した硬貨を識別部34まで搬送するのに十分な時間が設定される。
【0063】
[ステップS33]制御部43は、入金搬送部32を駆動する。これにより、入金搬送部32は、入金硬貨貯留部30が貯留する硬貨を一枚ずつ繰り出して、識別部34に向けて搬送する。
【0064】
[ステップS34]制御部43は、識別部34による硬貨の識別結果にもとづいて制御装置100に識別金額を通知する。
[ステップS35]制御部43は、ステップS32で設定したタイマがタイムアップしたか否かを判定する。制御部43は、タイマがタイムアップしていれば、ステップS36にすすみ、タイマがタイムアップしていなければ、ステップS31にすすむ。
【0065】
[ステップS36]制御部43は、制御装置100から入金締切通知が通知されているか否かを判定する。制御部43は、入金締切通知が通知されていれば、ステップS37にすすみ、入金締切通知が通知されていなければ、ステップS31にすすむ。これにより、制御部43は、入金硬貨貯留部30に硬貨の貯留がある場合、あるいは連続的に硬貨が投入される場合に、制御装置100から通知される入金締切通知に関係なく、一連の硬貨の投入を入金として扱うことができる。
【0066】
[ステップS37]制御部43は、入金搬送部32を停止する。これ以降に入金硬貨貯留部30に貯留された硬貨は、識別部34まで搬送されることがなく、入金対象とならない。
【0067】
[ステップS38]制御部43は、制御装置100が精算処理のステップS28において通知する釣銭の出金指示にもとづいて釣銭の有無を判定する。制御部43は、釣銭があれば、ステップS39にすすみ、釣銭がなければ、ステップS40にすすむ。
【0068】
[ステップS39]制御部43は、釣銭出金処理を実行する。釣銭出金処理は、釣銭の出金をおこなう処理である。釣銭出金処理の詳細は、図9を用いて後で詳細に説明する。
[ステップS40]制御部43は、リジェクト処理を実行する。リジェクト処理は、入金硬貨貯留部30に貯留されながら入金受付が可能なタイミング以外で投入されたため入金されなかった硬貨の払出をおこなう処理である。リジェクト処理の詳細は、図10を用いて後で詳細に説明する。制御部43は、リジェクト処理を実行後に入出金処理を終了する。
【0069】
次に、釣銭機29の制御部43が実行する釣銭出金処理について、図9を用いて説明する。図9は、実施形態の釣銭機が実行する釣銭出金処理のフローチャートである。釣銭出金処理は、入出金処理のステップS39において制御部43が実行する処理である。
【0070】
[ステップS41]制御部43は、釣銭機29から出金を開始可能か判定する。たとえば、制御部43は、各種入出力部の状態や収納部38が収納する硬貨の量を確認する。制御部43は、釣銭機29から出金を開始可能であれば、ステップS42にすすみ、出金を開始可能でなければ、釣銭機29から出金が開始可能になるのを待つ。
【0071】
[ステップS42]制御部43は、出金搬送部39を駆動する。
[ステップS43]制御部43は、収納部38から出金搬送部39に釣銭を繰り出す。
[ステップS44]制御部43は、出金搬送部39による硬貨搬送時間を確保するタイマをセットする。タイマ値は、出金搬送部39が収納部38から繰り出した硬貨を硬貨出金口27まで搬送するのに十分な時間が設定される。
【0072】
[ステップS45]制御部43は、制御装置100から通知された釣銭の出金指示にしたがい、全部の釣銭の出金をおこなったか否かを判定する。制御部43は、全部の釣銭の出金をおこなった場合に、ステップS46にすすみ、未だすべての釣銭の出金が終わっていない場合に、ステップS43にすすむ。
【0073】
[ステップS46]制御部43は、ステップS44で設定したタイマがタイムアップしたか否かを判定する。制御部43は、タイマがタイムアップしていれば、ステップS47にすすみ、タイマがタイムアップしていなければ、タイマのタイムアップを待つ。
【0074】
[ステップS47]制御部43は、出金搬送部39を停止して釣銭出金処理を終了する。
このようにして、釣銭機29は、入金確認後の釣銭出金をおこなうことができる。釣銭の出金中を含めて入金確認後に硬貨投入口25から投入された硬貨は、入金硬貨貯留部30に貯留される。
【0075】
次に、釣銭機29の制御部43が実行するリジェクト処理について、図10を用いて説明する。図10は、実施形態の釣銭機が実行するリジェクト処理のフローチャートである。リジェクト処理は、入出金処理のステップS40において制御部43が実行する処理である。ここでいうリジェクトとは、入金確認後に入金硬貨貯留部30に貯留された硬貨を識別部34を経ることなく硬貨出金口27に払い出すことをいう。リジェクト処理において払い出される硬貨は、識別部34を経ないため、金種の識別だけでなく、正貨、偽貨の判別もなされない。
【0076】
[ステップS51]制御部43は、釣銭機29からリジェクトを開始可能か判定する。たとえば、制御部43は、各種入出力部の状態を確認する。制御部43は、釣銭機29からリジェクトを開始可能であれば、ステップS52にすすみ、リジェクトを開始可能でなければ、釣銭機29からリジェクトが開始可能になるのを待つ。
【0077】
[ステップS52]制御部43は、切替器33により入金搬送部32が搬送する硬貨の搬送先をリジェクト搬送部35に向けて切り替える。
[ステップS53]制御部43は、入金搬送部32およびリジェクト搬送部35を駆動する。
【0078】
[ステップS54]制御部43は、入金搬送部32およびリジェクト搬送部35による硬貨搬送時間を確保するタイマをセットする。タイマ値は、入金搬送部32が入金硬貨貯留部30から繰り出した硬貨が、リジェクト硬貨検出センサ36で検出されるのに十分な時間が設定される。
【0079】
[ステップS55]制御部43は、リジェクト硬貨検出センサ36による硬貨の検出の有無を判定する。制御部43は、リジェクト硬貨検出センサ36による硬貨の検出があった場合に、ステップS54にすすみ、リジェクト硬貨検出センサ36による硬貨の検出がない場合に、ステップS56にすすむ。
【0080】
[ステップS56]制御部43は、ステップS54で設定したタイマがタイムアップしたか否かを判定する。制御部43は、タイマがタイムアップしていれば、ステップS57にすすみ、タイマがタイムアップしていなければ、ステップS55にすすむ。
【0081】
[ステップS57]制御部43は、入金搬送部32およびリジェクト搬送部35を停止する。
[ステップS58]制御部43は、切替器33により入金搬送部32が搬送する硬貨の搬送先をリジェクト搬送部35に向けた切り替えから復帰してリジェクト処理を終了する。すなわち、制御部43は、切替器33により入金搬送部32が搬送する硬貨の搬送先を識別部34に向けて切り替える。
【0082】
このようにして、釣銭機29は、釣銭出金後のリジェクトをおこなうことができる。釣銭の出金中を含めて入金確認後に硬貨投入口25から投入された硬貨は、入金硬貨貯留部30から硬貨出金口27に払い出される。入金硬貨貯留部30に貯留された硬貨は、入金搬送部32により一枚ずつ繰り出されてリジェクト搬送部35により硬貨出金口27まで搬送される。このとき、リジェクト搬送部35にある硬貨がリジェクト硬貨検出センサ36により検出されることでタイマが更新され、入金搬送部32およびリジェクト搬送部35の駆動時間が延長される。したがって、釣銭機29は、入金硬貨貯留部30に貯留された硬貨のすべてを硬貨出金口27に払い出すことができ、一の取引で釣銭機29の内部に残留した硬貨が次の取引に用いられてしまうことを防止することができる。
【0083】
なお、釣銭機29は、リジェクトをおこなう際に、入金硬貨貯留部30にある入金硬貨検出センサ31の出力を用いずに、リジェクト搬送部35にあるリジェクト硬貨検出センサ36の出力を用いることで、リジェクトの進行を確実に把握することができる。また、釣銭機29は、リジェクト搬送部35にあるリジェクト硬貨検出センサ36の出力を用いることで、リジェクト処理の終了を速いタイミングで判断可能になる。したがって、釣銭機29は、1回の利用者の取引時間の短縮をおこなうことができる。同様に、釣銭機29を備えるセルフチェックアウト端末装置10は、1回の利用者の取引時間の短縮をおこなうことができる。取引時間の短縮は、利用者サービスの向上と、セルフチェックアウト端末装置10を設置する小売店舗のコスト低減に寄与する。
【0084】
また、釣銭機29は、入金硬貨貯留部30に硬貨の詰まりが生じた場合であっても、必要以上に入金搬送部32およびリジェクト搬送部35を駆動することなく、異常状態を早期に検出できる。また、釣銭機29は、入金硬貨貯留部30に硬貨の詰まりが生じた場合であっても、必要以上に切替器33の切替状態を維持することなく、異常状態を早期に検出できる。
【0085】
次に、セルフチェックアウト端末装置10の制御装置100が実行する取り忘れ処理について、図11を用いて説明する。図11は、実施形態のセルフチェックアウト端末装置が実行する取り忘れ処理のフローチャートである。取り忘れ処理は、精算処理のステップS30において制御装置100が実行する処理である。
【0086】
[ステップS61]制御装置100は、硬貨出金口27に払い出された硬貨の有無を判定する。制御装置100は、硬貨出金口27に払い出された硬貨があればステップS64にすすみ、硬貨出金口27に払い出された硬貨がなければステップS62にすすむ。制御装置100は、釣銭機29への問い合わせで、あるいは釣銭機29からの通知で、硬貨出金口27に払い出された硬貨の有無を判定することができる。
【0087】
[ステップS62]制御装置100は、紙幣出金口24に払い出された紙幣の有無を判定する。制御装置100は、紙幣出金口24に払い出された紙幣があればステップS64にすすみ、紙幣出金口24に払い出された紙幣がなければステップS63にすすむ。制御装置100は、釣札機28への問い合わせで、あるいは釣札機28からの通知で、紙幣出金口24に払い出された紙幣の有無を判定することができる。
【0088】
[ステップS63]制御装置100は、プリンタ20が印字したレシートの有無を判定する。制御装置100は、プリンタ20が印字したレシートがあればステップS64にすすみ、プリンタ20が印字したレシートがなければステップS66にすすむ。制御装置100は、プリンタ20への問い合わせで、あるいはプリンタ20からの通知で、プリンタ20が印字したレシートの有無を判定することができる。
【0089】
[ステップS64]制御装置100は、会計の受付を休止する。
[ステップS65]制御装置100は、ディスプレイ15により取り忘れのある旨を表示し、図示しないスピーカにより取り忘れのある旨を音声により報知する。なお、制御装置100は、取り忘れがある旨を監視端末装置2に通知するようにしてもよい。これにより、監視端末装置2を操作する係員が、取り忘れの発生したセルフチェックアウト端末装置10を確認することができ、取り忘れた利用者に対して取り忘れのある旨を速やかに案内することができる。
【0090】
[ステップS66]制御装置100は、会計の受付を再開して、取り忘れ処理を終了する。
このように、セルフチェックアウト端末装置10は、硬貨出金口27に払い出された硬貨が残留している場合に、次の取引を開始しないので、一の取引で硬貨出金口27に払い出された硬貨が次の取引に持ちこされてしまうことを防止することができる。
【0091】
なお、識別部34で偽貨と判別された硬貨(あるいは異物)は、硬貨返金口26に払い出すようにしたが、硬貨返金口26を設けずに、硬貨出金口27に払い出すようにしてもよい。この場合でも、硬貨出金口27に払い出される硬貨は、識別部34からの偽貨の返却、釣銭の出金、リジェクトの順となるので、利用者は、偽貨の返却、釣銭の出金、リジェクトを区別することができる。また、より区別を明確にするために、釣銭機29は、偽貨の返却、釣銭の出金、リジェクトをおこなう際に、それぞれの硬貨返金口26からの硬貨の取り出し、すなわち、出金硬貨検出センサ41の硬貨の検出がないことを次の出金の条件としてもよい。また、より区別を明確にするために、釣銭機29は、偽貨の返却、釣銭の出金、リジェクトをおこなう際に、ディスプレイ15による案内表示や、図示しないスピーカによる音声案内をおこなうようにしてもよい。
【0092】
なお、リジェクト搬送部35は、ベルトによる硬貨搬送を例示したが、傾斜面を硬貨が滑走する搬送路などであってもよい。
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、釣銭機、セルフチェックアウト端末装置、監視端末装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体(可搬型記録媒体を含む)に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0093】
プログラムを流通させる場合には、たとえば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0094】
プログラムを実行するコンピュータは、たとえば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムにしたがった処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムにしたがった処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムにしたがった処理を実行することもできる。
【0095】
なお、上述の実施の形態は、実施の形態の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
さらに、上述の実施の形態は、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0096】
1 セルフチェックアウトシステム
2 監視端末装置
3 POSサーバ
4 ネットワーク
10 セルフチェックアウト端末装置
11、12 筺体
13 金銭取扱装置収容部
14 買い物かご載置台
15 ディスプレイ
16 タッチパネル
17 磁気カードリーダ
18 バーコードスキャナ
19 タッチスキャナ
20 プリンタ
21 レジ袋懸吊部
22 スケール
23 紙幣投入口
24 紙幣出金口
25 硬貨投入口
26 硬貨返金口
27 硬貨出金口
28 釣札機
29 釣銭機
30 入金硬貨貯留部
31 入金硬貨検出センサ
32 入金搬送部
33 切替器
34 識別部
35 リジェクト搬送部
36 リジェクト硬貨検出センサ
37 振分部
38 収納部
39 出金搬送部
41 出金硬貨検出センサ
43 制御部
100 制御装置
101 CPU
102 RAM
103 フラッシュROM
104 通信インタフェース
105 グラフィック処理装置
106 入出力インタフェース
107 バス
108 外部記憶媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入金口から入金された硬貨を貯留する入金貯留部と、
前記入金貯留部にある前記硬貨を検出する入金硬貨検出部と、
前記硬貨の金種を識別する識別部と、
前記硬貨の識別結果に応じて収納部における前記硬貨の収納先を振り分ける振分部と、
前記入金貯留部が貯留する前記硬貨を一枚ずつ前記識別部に向けて搬送する入金搬送部と、
前記収納部から出金された前記硬貨を出金口に向けて搬送する出金搬送部と、
前記入金搬送部にある前記硬貨の搬送先を、前記出金口に切り替える切替部と、
搬送先を前記出金口に切り替えられた前記硬貨を前記出金口に向けて搬送するリジェクト搬送部と、
前記リジェクト搬送部にある前記硬貨を検出するリジェクト硬貨検出部と、
前記入金貯留部が貯留する前記硬貨を、入金を許可した状態においては、前記入金硬貨検出部による前記硬貨の検出にもとづいて前記入金搬送部により前記識別部に向けて搬送し、入金を許可しない状態においては、前記入金貯留部が貯留する前記硬貨の搬送先を前記切替部により前記出金口に切り替え、前記リジェクト硬貨検出部による前記硬貨の検出にもとづいて前記入金搬送部および前記リジェクト搬送部により前記出金口に向けて搬送する制御をおこなう制御部と、
を備えることを特徴とする硬貨取扱装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記入金を許可しない状態において、前記入金貯留部が貯留する前記硬貨の搬送先を前記切替部により前記出金口に切り替えて前記入金搬送部および前記リジェクト搬送部により前記出金口に向けて搬送をおこない、前記リジェクト硬貨検出部により所定時間の前記硬貨の検出がない場合、前記入金搬送部および前記リジェクト搬送部による前記出金口に向けた搬送をやめる、
ことを特徴とする請求項1記載の硬貨取扱装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記入金を許可しない状態において、前記入金貯留部が貯留する前記硬貨の搬送先を前記切替部により前記出金口に切り替えて前記入金搬送部および前記リジェクト搬送部により前記出金口に向けて搬送をおこない、前記リジェクト硬貨検出部により前記硬貨の検出がある場合、前記入金搬送部および前記リジェクト搬送部による前記出金口に向けた搬送を前記検出から所定時間おこなう、
ことを特徴とする請求項1記載の硬貨取扱装置。
【請求項4】
前記リジェクト硬貨検出部は、前記リジェクト搬送部が前記硬貨を搬送する搬送路上にあって、前記入金貯留部から繰り出された硬貨が前記リジェクト搬送部を経て前記出金口に搬送されるまでに要する時間の半分を超える位置に設けられる、
ことを特徴とする請求項2または請求項3記載の硬貨取扱装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記入金を許可した状態において、入金を締め切ることとしてから所定時間、前記入金硬貨検出部による前記硬貨の検出がない場合、前記入金を許可した状態から前記入金を許可しない状態に遷移する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の硬貨取扱装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記入金を許可しない状態において、前記入金貯留部が貯留する前記硬貨の前記出金口への搬送をおこなう際に、前記入金を許可した状態における入金にもとづく前記収納部から出金口に向けての出金がある場合、前記出金が完了した後に前記入金貯留部が貯留する前記硬貨の前記出金口への搬送をおこなう、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の硬貨取扱装置。
【請求項7】
硬貨取扱装置を備えるセルフチェックアウト端末装置において、
前記硬貨取扱装置は、
入金口から入金された硬貨を貯留する入金貯留部と、
前記入金貯留部にある前記硬貨を検出する入金硬貨検出部と、
前記硬貨の金種を識別する識別部と、
前記硬貨の識別結果に応じて収納部における前記硬貨の収納先を振り分ける振分部と、
前記入金貯留部が貯留する前記硬貨を一枚ずつ前記識別部に向けて搬送する入金搬送部と、
前記収納部から出金された前記硬貨を出金口に向けて搬送する出金搬送部と、
前記入金搬送部にある前記硬貨の搬送先を、前記出金口に切り替える切替部と、
搬送先を前記出金口に切り替えられた前記硬貨を前記出金口に向けて搬送するリジェクト搬送部と、
前記リジェクト搬送部にある前記硬貨を検出するリジェクト硬貨検出部と、
前記入金貯留部が貯留する前記硬貨を、入金を許可した状態においては、前記入金硬貨検出部による前記硬貨の検出にもとづいて前記入金搬送部により前記識別部に向けて搬送し、入金を許可しない状態においては、前記入金貯留部が貯留する前記硬貨の搬送先を前記切替部により前記出金口に切り替え、前記リジェクト硬貨検出部による前記硬貨の検出にもとづいて前記入金搬送部および前記リジェクト搬送部により前記出金口に向けて搬送する制御をおこなう制御部と、
を備えることを特徴とするセルフチェックアウト端末装置。
【請求項8】
入金口から入金された硬貨を貯留する入金貯留部と、
前記入金貯留部にある前記硬貨を検出する入金硬貨検出部と、
前記硬貨の金種を識別する識別部と、
前記硬貨の識別結果に応じて収納部における前記硬貨の収納先を振り分ける振分部と、
前記入金貯留部が貯留する前記硬貨を一枚ずつ前記識別部に向けて搬送する入金搬送部と、
前記収納部から出金された前記硬貨を出金口に向けて搬送する出金搬送部と、
前記入金搬送部にある前記硬貨の搬送先を、前記出金口に切り替える切替部と、
搬送先を前記出金口に切り替えられた前記硬貨を前記出金口に向けて搬送するリジェクト搬送部と、
前記リジェクト搬送部にある前記硬貨を検出するリジェクト硬貨検出部と、
を備える硬貨取扱装置の硬貨取扱方法であって、
前記入金貯留部が貯留する前記硬貨を、入金を許可した状態においては、前記入金硬貨検出部による前記硬貨の検出にもとづいて前記入金搬送部により前記識別部に向けて搬送し、入金を許可しない状態においては、前記入金貯留部が貯留する前記硬貨の搬送先を前記切替部により前記出金口に切り替え、前記リジェクト硬貨検出部による前記硬貨の検出にもとづいて前記入金搬送部および前記リジェクト搬送部により前記出金口に向けて搬送する、
ことを特徴とする硬貨取扱方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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