説明

硬貨取扱装置

【課題】硬貨投入口に投入される硬貨に混在しうる異物を適切に分離することが可能な硬貨取扱装置を提供する。
【解決手段】硬貨が投入される硬貨投入口と、前記硬貨が投入されるように前記硬貨投入口を開放する開放状態と、前記硬貨投入口を閉塞する閉塞状態との間を回動する蓋部材と、を備え、前記蓋部材は、前記開放状態において前記硬貨投入口に投入される前記硬貨が載置される載置部と、前記開放状態において前記載置部から前記硬貨投入部へ向かう第1方向と交差する第2方向に所定間隔で形成された複数の突起部と、を有し、前記所定間隔は、前記硬貨の直径よりも小さく、かつ投入される前記硬貨に混在しうる異物の幅よりも大きく、前記載置部に載置された前記硬貨が、前記第1方向に所定の長さを有する前記突起部上を移動して前記硬貨投入口に投入されることを特徴とする、硬貨取扱装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨取扱装置に関し、より詳細には、硬貨が投入される硬貨投入口を開放又は閉塞する蓋部材を有する硬貨取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
硬貨取扱装置として、例えば店舗等に設置されたレジスターの硬貨を管理する硬貨処理装置がある。この硬貨処理装置は、硬貨を一括して受け入れた後、硬貨の数を計り、各硬貨の硬貨認識を行って金種を判別し、判別結果に応じて硬貨を振り分けて出金する。
【0003】
上記の硬貨取扱装置は、硬貨が投入される硬貨投入口と、硬貨投入口を開放又は閉塞する蓋部材とを有する。蓋部材が硬貨投入口を開放した状態で、硬貨が硬貨投入口に一括投入される。
【0004】
下記の特許文献1に記載の自動釣銭機は、硬貨投入口を開閉すると共に閉止状態で硬貨投入口に投入する硬貨の受け皿を兼用するトレイを有する。自動釣銭機のキャッシャは、トレイ上の硬貨を目視で確認し、硬貨を硬貨投入口へ投入するためにトレイの開操作を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−305925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、硬貨投入口へ投入される硬貨の中に、異物(例えば、クリップやホッチキスの針)が含まれることがある。このような異物が硬貨と共に硬貨投入口に投入されると、その後の硬貨取扱装置の処理(例えば、硬貨計数処理)に不具合が発生する恐れがある。
【0007】
また、前述した特許文献1の自動釣銭機では、キャッシャがトレイ上の硬貨を目視するため、硬貨中に混在する異物を見落とす可能性がある。かかる場合には、異物も硬貨投入口へ投入されてしまう。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、硬貨投入口に投入される硬貨に混在しうる異物を適切に分離することが可能な硬貨取扱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、硬貨が投入される硬貨投入口と、前記硬貨が投入されるように前記硬貨投入口を開放する開放状態と、前記硬貨投入口を閉塞する閉塞状態との間を回動する蓋部材と、を備え、前記蓋部材は、前記開放状態において前記硬貨投入口に投入される前記硬貨が載置される載置部と、前記開放状態において前記載置部から前記硬貨投入部へ向かう第1方向と交差する第2方向に所定間隔で形成された複数の突起部と、を有し、前記所定間隔は、前記硬貨の直径よりも小さく、かつ投入される前記硬貨に混在しうる異物の幅よりも大きく、前記載置部に載置された前記硬貨が、前記第1方向に所定の長さを有する前記突起部上を移動して前記硬貨投入口に投入されることを特徴とする、硬貨取扱装置が提供される。
【0010】
かかる硬貨取扱装置によれば、硬貨投入口に一括投入されるべく載置部に載置された硬貨は、突起部上を移動するので、幅が所定間隔よりも小さい異物は突起部上を移動しない。このため、硬貨に異物が混在していても、突起部によって異物が硬貨と分離されるので、異物が硬貨投入口に誤って投入されることを防止できる。
【0011】
また、前記突起部は、前記載置部から前記硬貨投入口へ向かって上るようにスロープ状に形成されていることとしても良い。
【0012】
また、前記蓋部材は、前記開放状態において前記突起部よりも前記硬貨投入口側に位置し、前記突起部によって前記硬貨と分離された前記異物の前記硬貨投入口への移動を規制するように突出した規制部を、更に備えることとしても良い。
【0013】
また、前記蓋部材は、外周に沿って形成された曲げ部を更に備え、前記規制部は、前記曲げ部のうちの前記開放状態において前記硬貨投入口側に位置する部分であることとしても良い。
【0014】
また、前記規制部は、前記第2方向に沿って隣り合う前記突起部を繋ぐ連結部であることとしても良い。
【0015】
また、前記連結部は、前記開放状態において前記硬貨投入口側に位置する第1連結部と、前記第1方向において前記第1連結部よりも前記硬貨投入口から離れて位置し、前記第1連結部よりも突出高さが低い第2連結部と、であることとしても良い。
【0016】
また、前記蓋部材は、隣り合う前記突起部の間に位置し前記硬貨と前記異物のうちの前記異物を吸い付ける磁石部を更に備えることとしても良い。
【0017】
また、前記蓋部材は、隣り合う前記突起部の間に位置し毛先によって前記硬貨に付着した異物を取り除くブラシ部を更に備えることとしても良い。
【0018】
また、前記蓋部材は、前記第2方向に沿って隣り合う前記突起部の間に形成され、前記突起部によって前記硬貨と分離された前記異物が通過可能な異物通過穴と、前記異物通過穴を開放又は閉塞するシャッタと、を更に備え、前記シャッタによって前記異物通過穴が開放された際に、前記異物が前記異物通過穴を通過して前記蓋部材よりも下方に移動することとしても良い。
【0019】
また、前記シャッタは、前記蓋部材の前記開放状態と前記閉塞状態の間の回動に連動してスライドし、前記蓋部材が前記開放状態にある際に、前記シャッタが前記異物通過穴を開放することとしても良い。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、硬貨投入口に投入される硬貨に混在しうる異物を適切に分離できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】比較例に係る硬貨取扱装置700の構成を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る硬貨取扱装置100の構成を示す斜視図である。
【図4】図3のB−B断面図である。
【図5】所定間隔Lの大きさを説明するための図である。
【図6】第2の実施形態に係る投入口蓋130を示す図である。
【図7】第2の実施形態の変形例に係る投入口蓋130を示す図である。
【図8】第3の実施形態に係る投入口蓋130を示す図である。
【図9】第4の実施形態に係る硬貨取扱装置100の構成を示す斜視図である。
【図10】第4の実施形態に係る投入口蓋230の構成を示す分解斜視図である。
【図11】図10のC−C断面図である。
【図12】シャッタ260がスライドするメカニズムを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
<1.比較例>
本実施形態に係る硬貨取扱装置を説明する前に、図1及び図2を参照しながら、比較例に係る硬貨取扱装置700の構成について説明する。図1は、比較例に係る硬貨取扱装置700の構成を示す斜視図である。図2は、図1のA−A断面図である。
【0024】
硬貨取扱装置700は、使用者が硬貨を一括投入すると、例えば一括投入された硬貨の計数処理や判別処理等を行う。図1に示すように、硬貨取扱装置700は、装置筐体710と、硬貨投入部720と、投入口蓋730とを有する。
【0025】
装置筐体710は、硬貨投入部720から投入された硬貨を処理するユニット(例えば、硬貨計数ユニット、硬貨判別ユニット)等を有する。
【0026】
硬貨投入部720は、装置筐体710の上方に設けられ、使用者によって硬貨が投入される。硬貨投入部720は、装置筐体710の面から上方に突出するように形成されている。硬貨投入部720は、硬貨投入口722と側壁724とを有する。硬貨投入口722は、矩形状の開口であり、硬貨が一括して投入される。側壁724は、硬貨投入口722の周囲に突出するように設けられている。
【0027】
投入口蓋730は、硬貨投入口722を閉塞可能な部材である。投入口蓋730は、連結部732を介して硬貨投入部720に対して開閉自在に取り付けられている。投入口蓋730は、連結部732を中心に図1の矢印Rに示すように開閉する。投入口蓋730が開いた状態で、硬貨投入口722から硬貨が投入され、投入口蓋730が閉じた状態では、硬貨投入口722へ硬貨が投入できない。
【0028】
ところで、従来において、硬貨を投入口蓋730に投入する際には、投入口蓋730を開けて直接硬貨を硬貨投入口730へ一括投入している。このため、硬貨を一括投入される際に、硬貨の中に混在している異物(例えば、クリップやホッチキスの針)も投入されることがある。このように異物が硬貨投入口730へ投入されると、その後の処理(硬貨計数処理等)に不具合が発生する恐れがある。
【0029】
これに対して、比較例に係る投入口蓋730は、硬貨投入口722に硬貨以外の異物が入らないようにする機能を有する。具体的には、使用者は、開いた状態の投入口蓋730の裏面734に硬貨(図2に示す硬貨C)を一旦置き、手で異物を取り除く。その後、使用者は、裏面734上の硬貨を図2の矢印Xの方向へ移動させて、硬貨投入口722へ移動させる。
【0030】
しかし、比較例の場合であっても、使用者が手で異物を取り除くので、異物が取り除かれず残留するケースがある。このように異物が残留している状態で硬貨等を図2の矢印X方向に移動させると、異物も硬貨投入口722に投入されることになり、その後の処理に不具合が発生する恐れがある。
【0031】
そこで、本実施形態に係る硬貨処理装置は、上記の問題を解決すべく、詳細は後述するが、硬貨に混在する異物を硬貨から分離する突起部を有する。このような突起部を設けることで、使用者によって取り除かれなかった異物を分離できるので、異物が硬貨投入口に投入されることを防止できる。
【0032】
<2.第1の実施形態>
以下においては、本実施形態に係る硬貨取扱装置として、4つの実施形態(第1〜第4の実施形態)に係る硬貨取扱装置を例に挙げて説明する。
【0033】
まず、図3及び図4を参照しながら、第1の実施形態に係る硬貨取扱装置100の構成について説明する。図3は、第1の実施形態に係る硬貨取扱装置100の構成を示す斜視図である。図4は、図3のB−B断面図である。なお、図3には、硬貨取扱装置100の一部のみが示されている。
【0034】
第1の実施形態に係る硬貨取扱装置100は、使用者が硬貨を一括投入すると、例えば一括投入された硬貨の計数処理や判別処理等を行う。図3に示すように、硬貨処理装置100は、装置筐体110と、硬貨投入部120と、蓋部材の一例である投入口蓋130とを有する。
【0035】
装置筐体110は、硬貨投入部120から投入された硬貨を処理するユニット(例えば、硬貨計数ユニット、硬貨判別ユニット)等を有する。
【0036】
硬貨投入部120は、装置筐体110の上方に設けられ、使用者によって硬貨が投入される。硬貨投入部120は、装置筐体110の面から上方に突出するように形成されている。硬貨投入部120は、硬貨投入口122と、側壁124とを有する。
【0037】
硬貨投入口122には、硬貨が一括して投入される。硬貨投入口122は、硬貨投入部120の中央側に形成された矩形状の開口である。硬貨投入口122から投入された硬貨は、装置筐体110内に落下する。
【0038】
側壁124は、硬貨投入口122の周囲を覆うように、設けられている。側壁124は、硬貨投入口122へ向かって斜面を有し、硬貨投入部120に投入される硬貨が、硬貨投入口122へ向かって移動しやすくなる。
【0039】
投入口蓋130は、硬貨投入口122を閉塞可能な部材である。投入口蓋130は、硬貨が硬貨投入口122に投入されるように硬貨投入口122を開放する開放状態(図3に示す状態)と、硬貨投入口122を閉塞する閉塞状態との間を回動する。投入口蓋130は、両端に設けられた連結部132を介して硬貨投入部120に対して回動自在に取り付けられている。投入口蓋130は、連結部132を中心に図1の矢印Rに示すように回動する。
【0040】
投入口蓋130の開放状態で、使用者は、投入口蓋130の裏面134に硬貨(図4に示す硬貨C)を置くことができる。このため、裏面134が、硬貨投入口122に投入される硬貨が載置される載置部に該当する。
【0041】
投入口蓋130は、裏面134側の外周の4辺に沿って突出形成された曲げ部136a〜136dを有する。この曲げ部136a〜136dによって、裏面134上には所定量の硬貨を載置できる。
【0042】
投入口蓋130は、開放状態において裏面134から硬貨投入部122へ向かう第1方向(図3に示すY方向)と交差する第2方向(図3に示すX方向)に所定間隔Lで形成された複数の突起部の一例である硬貨分離突起140を有する。具体的には、硬貨分離突起140は、曲げ部136dが形成された1辺にわたって、曲げ部136dの近傍に所定間隔Lで複数設けられている。
【0043】
複数の硬貨分離突起140は、それぞれ第1方向に所定の長さを有する。使用者は、裏面134に載置された硬貨を、隣り合う硬貨分離突起140上を移動させて硬貨投入口122へ落下させる。硬貨分離突起140は、裏面134から硬貨投入口122へ向かって上るようにスロープ状に形成されている。
【0044】
硬貨分離突起140は、突出度合いが小さい第1突起部140aと、突起度合いが大きく第1突起部140aと繋がっている第2突起部140bとを有する。第2突起部140bは、曲げ部136dと繋がっている。なお、第1突起部140aの高さは、曲げ部136dの高さよりも低く、第2突起部140bの高さは、曲げ部136dの高さよりも高い。
【0045】
ここで、図5を参照しながら、所定間隔Lの大きさについて説明する。図5は、所定間隔Lの大きさを説明するための図である。所定間隔Lは、投入される硬貨の直径よりも小さい。投入される硬貨が複数有り、かつ各硬貨の直径が異なる場合には、直径が最も小さい硬貨の直径よりも小さくなるように、所定間隔Lが設定される。また、所定間隔Lは、一括投入される硬貨に混在しうる異物の幅よりも大きいように設定されている。所定間隔Lは、例えばクリップやホッチキスの針(図5に示す異物D)の幅よりも大きくなるように設定されている。
【0046】
上述したように、所定間隔Lで硬貨分離突起140を複数設けることで、使用者は、裏面134上の硬貨を、硬貨分離突起140上に乗り上げて、硬貨投入口122へ移動させることができる。特に、硬貨分離突起140がスロープ状に形成されているので、使用者が硬貨を移動させるときに、硬貨が硬貨分離突起140に引っ掛かり難い。この結果、一括投入される硬貨が、硬貨投入口122へスムーズに移動しやすくなる。
【0047】
一方で、異物の幅は、所定間隔Lよりも小さいので、異物は、硬貨分離突起140上に乗り上がらず、図4に示すように隣り合う硬貨分離突起140の間に位置する。このように、硬貨分離突起140によって、硬貨を硬貨投入口122に向かって移動させる際に、硬貨と異物を容易に分離できる。これに伴い、使用者は、裏面134上に硬貨を置いた後に、手で異物を取り除く作業を行わなくても異物を分離できるので、硬貨と異物を分離する作業時間を大幅に短縮できる。
【0048】
また、前述した曲げ部136a〜136dのうちの投入口蓋130の開放状態において硬貨投入口122側に位置する曲げ部136dは、隣同士の硬貨分離突起140の間に位置する異物が、硬貨投入口122へ移動することを規制する(塞き止める)。すなわち、曲げ部136dが、投入口蓋130の開放状態において硬貨分離突起140よりも硬貨投入口122側に位置し、硬貨分離突起140によって硬貨と分離された異物の硬貨投入口122への移動を規制するように突出した規制部として機能する。
【0049】
これにより、異物は、突起136dと硬貨分離突起140に囲まれて、残留することになる。そして、使用者が、硬貨を硬貨投入口122へ投入した後に、残留する異物を取り除くことで、その後に投入口蓋130を閉じても異物が硬貨投入口122に投入されることを防止できる。
【0050】
上述した第1の実施形態によれば、硬貨投入口122に一括投入されるべく裏面134に載置された硬貨は、硬貨分離突起140上を移動するので、幅が所定間隔Lよりも小さい異物は硬貨分離突起140上を移動しない。このため、硬貨に異物が混在していても、硬貨分離突起140によって異物が硬貨と分離されるので、異物が硬貨投入口122に誤って投入されることを防止できる。
【0051】
また、曲げ部136dを設ける場合には、硬貨分離突起140によって硬貨と分離された異物は、曲げ部136dによって硬貨投入口122への移動を塞き止められる。このため、分離された異物が硬貨投入口122へ誤って投入されることをより有効に防止できる。
【0052】
<3.第2の実施形態>
図6を参照しながら、第2の実施形態に係る硬貨取扱装置100の構成について説明する。図6は、第2の実施形態に係る投入口蓋130を示す図である。
【0053】
第2の実施形態は、第1の実施形態に対して投入口蓋130の構成が異なり、その他の構成は、第1の実施形態と同様である。このため、以下においては、主に投入口蓋130の構成について説明する。
【0054】
第2の実施形態に係る投入口蓋130の裏面134には、第1の実施形態で説明した硬貨分離突起140及び曲げ部136a〜136dに加えて、図6に示すように隣り合う硬貨分離突起140を繋ぐ連結部の一例であるリブ150を複数有する。具体的には、リブ150は、第2方向に沿って隣り合う第2突起部140bを繋ぐ。
【0055】
リブ150は、硬貨分離突起140と同様に、曲げ部136dが形成された1辺にわたって設けられている。すなわち、リブ150は、曲げ部136bと曲げ部136cの間を繋げている。リブ150の高さは、第2突起部140bの高さより低い一方で、曲げ部136dと同じ高さである。リブ150は、曲げ部136dと同様に、隣同士の硬貨分離突起140の間に位置する異物が、硬貨投入口122へ移動することを塞き止める機能を有する。
【0056】
このように、第2の実施形態では、曲げ部136d及びリブ150が異物を塞き止める(2段階で異物を塞き止める)ので、異物が硬貨投入口122に移動することをより有効に防止できる。なお、リブ150が隣り合う硬貨部分突起140を繋ぐように設けられているので、投入口蓋130の剛性を高めることができる。
【0057】
なお、上記では、隣り合う硬貨分離突起140の第2突起部140bを繋ぐリブ150を設けることとしたが、これに限定されない。例えば、図7に示すように、隣り合う硬貨分離突起140の第1突起部140aを繋ぐ第2リブ152を設けても良い。
【0058】
図7は、第2の実施形態の変形例に係る投入口蓋130を示す図である。変形例に係る投入口蓋130は、第1連結部の一例であるリブ150と、第2連結部の一例である第2リブ152とを有する。リブ150は、投入口蓋130の開放状態において硬貨投入口122側に位置し、第2リブ152は、第1方向においてリブ150よりも硬貨投入口122から離れて位置する。また、第2リブ152の突出高さは、リブ150の突出高さよりも低い。
【0059】
上記の構成の第2リブ152も、リブ150と同様に、硬貨と分離された異物が硬貨投入口122へ移動することを塞き止める。このような変形例によれば、リブ150、第2リブ152、及び曲げ部136dが、3段階で異物を塞き止めるので、異物が硬貨投入口122に移動することをより一層有効に防止できる。
【0060】
また、リブ150の代わりに第2リブ152を設ける構成であっても良い。かかる構成であっても、第2リブ152及び曲げ部136dが、硬貨と分離した異物の移動を2段階で塞き止めることができる。
【0061】
上述した第2の実施形態によれば、リブ150、第2リブ152を設ける場合には、硬貨分離突起140によって硬貨と分離された異物は、リブ150、第2リブ152によって硬貨投入口122への移動を塞き止められる。このため、分離された異物が硬貨投入口122へ誤って投入されることをより有効に防止できる。特に、リブ150、第2リブ152と曲げ部136dを併用することで、多段階で異物を塞き止めるので、分離された異物が硬貨投入口122へ誤って投入されることを一層有効に防止できる。
【0062】
<4.第3の実施形態>
図8を参照しながら、第3の実施形態に係る硬貨取扱装置100の構成について説明する。図8は、第3の実施形態に係る投入口蓋130を示す図である。
【0063】
第3の実施形態は、第1の実施形態に対して投入口蓋130の構成が異なり、その他の構成は、第1の実施形態と同様である。このため、以下においては、主に投入口蓋130の構成について説明する。
【0064】
第3の実施形態に係る投入口蓋130の裏面134には、第1の実施形態で説明した硬貨分離突起140及び突起136a〜136dに加えて、隣り合う硬貨分離突起140の間に位置する磁石部160を有する。
【0065】
磁石部160は、図8(a)に示すように隣り合う硬貨分離突起140の第1突起部140aの間に位置する。磁石部160は、磁力により、硬貨と異物(クリップやホッチキスの針)のうちの異物を吸い付けて、硬貨と異物を分離する。これにより、硬貨に付着した異物を、硬貨から確実に分離できる。
【0066】
上述した磁石部160に代えて、隣り合う硬貨分離突起140の間にブラシ部162を設けても良い。例えば、ブラシ部162は、図8(b)に示すように隣り合う硬貨分離突起140の第1突起部140aの間に位置する。そして、ブラシ部162の毛先が、第1突起部140aよりも突出して、硬貨分離突起140上を乗り上がる硬貨に付着した異物を取り除く。この結果、硬貨から異物を確実に分離できる。
【0067】
なお、磁石部160とブラシ部162の両方を設けても良い。かかる場合には、硬貨に付着した異物を、硬貨から一層容易に分離できる。また、第2の実施形態で説明したリブ150、第2リブ152と共に、磁石部160、ブラシ部162を併用しても良い。
【0068】
上述した第3の実施形態によれば、磁石部160やブラシ部162を設ける場合には、硬貨分離突起140によって適切に分離されないように硬貨に異物が張り付いていても、磁石部160が異物を吸い付け、又はブラシ部162の毛先が異物を取り除く。このため、硬貨に付着した異物を、硬貨から確実に分離できる。
【0069】
<5.第4の実施形態>
図9〜図11を参照しながら、第4の実施形態に係る硬貨取扱装置100の構成について説明する。図9は、第4の実施形態に係る硬貨取扱装置100の構成を示す斜視図である。図10は、第4の実施形態に係る投入口蓋230の構成を示す分解斜視図である。図11は、図10のC−C断面図である。なお、図9は、図1に示す開いた状態の投入口蓋130とは異なり、閉じた状態の投入口蓋230を示している。
【0070】
上記では、硬貨を硬貨投入口122へ投入した後に、使用者は、硬貨分離突起140によって分離されて突起136dと硬貨分離突起140の間に残留する異物を手で取り除くこととした。これに対して、以下に説明する第4の実施形態では、硬貨分離突起140によって分離された異物が、使用者が取り除かなくても、自動で取り除かれる。
【0071】
第4の実施形態に係る硬貨取扱装置100は、図9に示すように、装置筐体110と、硬貨投入部120と、投入口蓋230と、シャッタ開閉突起280とを有する。なお、装置筐体110及び硬貨投入部120の構成は、第1の実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0072】
投入口蓋230は、第1の実施形態と同様に、硬貨投入部230に開閉可能に連結される連結部232と、裏面234に形成された曲げ部236a〜236d及び硬貨分離突起とを有する。また、投入口蓋230は、図10に示すように、蓋本体231と、シャッタ260と、バネ270とを有する。
【0073】
蓋本体231は、異物が通過する異物通過穴242を有する。異物通過穴242は、蓋本体231を貫通する穴であり、第2方向に沿って隣り合う硬貨分離突起140の間に形成されている。そして、硬貨分離突起240によって硬貨と分離された異物は、異物通過穴242を通過する。異物通過穴242を通過した異物は、蓋本体231よりも下方に移動し、装置筐体110上に位置する。これにより、硬貨分離突起240によって硬貨と分離された異物が、投入口蓋230が閉じる際に硬貨投入口122に落下することを防止できる。
【0074】
シャッタ260は、蓋本体231の裏面234の反対側の面233側に取り付けられている。シャッタ260は、図9に示すY方向にスライドすることで、異物通過穴242を閉塞し、又は開放する。例えば、シャッタ260は、投入口蓋230が図1に示す開状態の場合に異物通過穴242を開放し、図9に示す閉状態の場合に異物通過穴242を閉塞する。
【0075】
シャッタ260は、投入口蓋230の開状態と閉状態の間の回動に連動して、スライドする。具体的には、シャッタ260は、蓋本体231に設けられた長穴243に沿ってスライドするボス262を2つ有する。2つのボス262の先端側が、図11に示すようにビス264によって固定されて、シャッタ260が投入口蓋230から外れないようになっている。これにより、シャッタ260は、投入口蓋230の回動に連動して、長穴243に沿ってスライドする。
【0076】
バネ270は、シャッタ260が閉状態となるように(すなわち、シャッタ260が異物通過穴242を閉塞するように)、シャッタ260の曲げ部266を付勢する。すなわち、バネ270は、シャッタ260を図11に示す方向Y1に押している。バネ270は、シャッタ260と蓋本体231の間に位置し、バネ270の一端側が蓋本体231に形成された穴244に挿入されてセットされ、バネ270の他端側が蓋本体231に形成された長穴245に挿入されてセットされている。
【0077】
シャッタ開閉突起280は、図9に示すように筐体装置110上の硬貨投入部120の近傍に設けられている。シャッタ開閉突起280は、投入口蓋230が開状態に位置する際に、シャッタ260に接触してシャッタ260を開く。
【0078】
具体的には、蓋本体231には、図10に示すようにシャッタ開閉突起280が入り込み可能な凹部246が形成されている。シャッタ開閉突起280は、投入口蓋230が開状態へ移動する際に、凹部246に入り込み、シャッタ260の角部267に接触する。シャッタ260が角部267に接触した状態で投入口蓋230が開状態へ更に移動すると、図12に示す方向Y2に角部267を押す。
【0079】
図12は、シャッタ260がスライドするメカニズムを説明するための図である。図12に示す方向Y2は、図11の方向Y1の逆方向であり、シャッタ開閉機構280は、バネ270の付勢力に抗いシャッタ260を開くことになる。これにより、投入口蓋230が開状態の場合には、異物通過穴242が開放されるので、硬貨分離突起240によって硬貨から分離された異物が、異物通過穴242を通過して装置筐体210上に位置する。
【0080】
投入口蓋230が開状態から閉状態へ移動する際には、シャッタ開閉突起280が角部267に接触しなくなるので、シャッタ260は、バネ270の付勢力によって異物通過穴242を閉塞する。
【0081】
なお、上記では、シャッタ260が投入口蓋230に回動に連動して自動でスライドすることとしたが、これに限定されない。例えば、使用者が、シャッタ260を手動でスライドすることとしても良い。また、上記では、投入口蓋230が開放状態のときに異物通過穴242が開放されていることとしたが、これに限定されない。例えば、硬貨の投入後に投入口蓋230が回動する際に、異物通過穴242が開放されることとしても良い。
【0082】
上述した第4の実施形態によれば、異物通過穴242とシャッタ260を設ける場合には、硬貨分離突起140によって硬貨と分離された異物は、開放された異物通過穴242を通過して装置筐体110上に移動するので、異物が硬貨投入口122へ投入されることをより有効に防止できる。また、分離された異物が裏面134上に残留した状態を防止できるので、投入口蓋230が閉じる際に異物が硬貨投入口122に落下することを防止できる。更に、使用者は、硬貨分離突起140によって分離されて突起136dと硬貨分離突起140の間に残留する異物を手で取り除く必要も無くなる。
【0083】
<6.まとめ>
第1〜第4の実施形態で説明したように、硬貨取扱装置100は、投入口蓋130の開放状態において裏面134から硬貨投入口122へ向かう第1方向(図3のY方向)と交差する第2方向(図3のX方向)に所定間隔Lで形成された複数の硬貨分離突起140を有する。ここで、所定間隔Lは、硬貨の直径よりも小さく、かつ投入される硬貨に混在しうる異物の幅よりも大きい。そして、裏面134に載置された硬貨が、第1方向に所定の長さを有する硬貨分離突起140上を移動して硬貨投入口122に至る。
【0084】
かかる構成によって、硬貨投入口122に投入されるべく裏面134に載置された硬貨は、硬貨分離突起140上を移動するので、幅が所定間隔Lよりも小さい異物は硬貨分離突起140上を移動しない。このため、硬貨に異物が混在していても、硬貨分離突起140によって異物が硬貨と分離されるので、異物が硬貨投入口122に誤って投入されることを防止できる。この結果、異物が投入されることに起因して硬貨取扱装置100の処理に不具合が発生することを防止できる。
【0085】
また、硬貨分離突起140によって硬貨と分離された異物は、曲げ部136dやリブ150、第2リブ152によって硬貨投入口122への移動を塞き止められ、又は、異物通過穴242から装置筐体110上に移動するので、分離された異物が硬貨投入口122へ投入されることをより有効に防止できる。
【0086】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0087】
100 硬貨取扱装置
110 装置筐体
120 硬貨投入部
122 硬貨投入口
130 投入口蓋
134 裏面
136a〜136d 曲げ部
140 硬貨分離突起
140a 第1突起部
140b 第2突起部
150 リブ
152 第2リブ
160 磁石
162 ブラシ部
230 投入口蓋
242 異物通過穴
260 シャッタ
270 バネ
280 シャッタ開閉突起


【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨が投入される硬貨投入口と、
前記硬貨が投入されるように前記硬貨投入口を開放する開放状態と、前記硬貨投入口を閉塞する閉塞状態との間を回動する蓋部材と、
を備え、
前記蓋部材は、
前記開放状態において前記硬貨投入口に投入される前記硬貨が載置される載置部と、
前記開放状態において前記載置部から前記硬貨投入部へ向かう第1方向と交差する第2方向に所定間隔で形成された複数の突起部と、
を有し、
前記所定間隔は、前記硬貨の直径よりも小さく、かつ投入される前記硬貨に混在しうる異物の幅よりも大きく、
前記載置部に載置された前記硬貨が、前記第1方向に所定の長さを有する前記突起部上を移動して前記硬貨投入口に投入されることを特徴とする、硬貨取扱装置。
【請求項2】
前記突起部は、前記載置部から前記硬貨投入口へ向かって上るようにスロープ状に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の硬貨取扱装置。
【請求項3】
前記蓋部材は、
前記開放状態において前記突起部よりも前記硬貨投入口側に位置し、前記突起部によって前記硬貨と分離された前記異物の前記硬貨投入口への移動を規制するように突出した規制部を、
更に備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の硬貨取扱装置。
【請求項4】
前記蓋部材は、外周に沿って形成された曲げ部を更に備え、
前記規制部は、前記曲げ部のうちの前記開放状態において前記硬貨投入口側に位置する部分であることを特徴とする、請求項3に記載の硬貨取扱装置。
【請求項5】
前記規制部は、前記第2方向に沿って隣り合う前記突起部を繋ぐ連結部であることを特徴とする、請求項3又は4に記載の硬貨取扱装置。
【請求項6】
前記連結部は、
前記開放状態において前記硬貨投入口側に位置する第1連結部と、
前記第1方向において前記第1連結部よりも前記硬貨投入口から離れて位置し、前記第1連結部よりも突出高さが低い第2連結部と、
であることを特徴とする、請求項5に記載の硬貨取扱装置。
【請求項7】
前記蓋部材は、隣り合う前記突起部の間に位置し前記硬貨と前記異物のうちの前記異物を吸い付ける磁石部を更に備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬貨取扱装置。
【請求項8】
前記蓋部材は、隣り合う前記突起部の間に位置し毛先によって前記硬貨に付着した異物を取り除くブラシ部を更に備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬貨取扱装置。
【請求項9】
前記蓋部材は、
前記第2方向に沿って隣り合う前記突起部の間に形成され、前記突起部によって前記硬貨と分離された前記異物が通過可能な異物通過穴と、
前記異物通過穴を開放又は閉塞するシャッタと、
を更に備え、
前記シャッタによって前記異物通過穴が開放された際に、前記異物が前記異物通過穴を通過して前記蓋部材よりも下方に移動することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬貨取扱装置。
【請求項10】
前記シャッタは、前記蓋部材の前記開放状態と前記閉塞状態の間の回動に連動してスライドし、
前記蓋部材が前記開放状態にある際に、前記シャッタが前記異物通過穴を開放することを特徴とする、請求項9に記載の硬貨取扱装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−88853(P2013−88853A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225816(P2011−225816)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】