説明

硬貨枚数計測手段を備えたコインチューブ

【課題】収容された硬貨の枚数を正確に計測することができる硬貨枚数計測手段を備えたコインチューブを提供する。
【解決手段】本発明のコインチューブは、硬貨を積載して収容するコインチューブ本体5と、コインチューブ本体5の周側壁の外側に配置される円筒状電極6と、コインチューブ本体5に積載される硬貨Cと電気的に接続されるように配置される硬貨電極部7とを備える。そして、円筒状電極6は、硬貨電極部7と円筒状電極6との間の静電容量がコインチューブ本体5内の硬貨の枚数に応じた値をとる位置に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主に、自動販売機、両替機、精算機、券売機、サービス機器等(以下、「自動販売機等」という。)に搭載される硬貨処理装置に設けられるコインチューブに関し、特に、収納されている硬貨の枚数を計測する硬貨枚数計測手段を備えたコインチューブに関する。
【背景技術】
【0002】
自動販売機等の内部には、投入された硬貨の正偽を判別するとともに、正貨とみなされた投入硬貨を金種毎に選別収納し、さらに選別収納された硬貨を釣銭等の額に応じて払い出す硬貨処理装置が搭載されている。図9は、このような硬貨処理装置の概略図である。硬貨処理装置1は、通常、投入された硬貨Cの正偽を判別するとともに投入硬貨Cを金種別に振り分けるための硬貨選別装置2と、この硬貨選別装置2により振り分けられた投入硬貨Cを金種毎に収納するための硬貨収納装置3と、この硬貨収納装置3から釣銭等の額に応じた硬貨Cを選択して払い出すための硬貨払出装置4とを備えている。この硬貨処理装置1における硬貨収納装置3は、通常、硬貨Cを金種毎に積載して収納する複数のコインチューブ本体5を備えており、また、多くのものは、硬貨処理装置1から取り外し可能なカセットになっている。
【0003】
硬貨を積載して収納するコインチューブ本体の周側壁には、一定枚数(例えば、10枚)以上の硬貨が収納されているか否かを検知するエンプティセンサと、コインチューブが満杯になったことを検知する満杯検知センサが備えられており、これによりコインチューブ本体内に収納されている硬貨のおおよその枚数を把握して、釣銭払い出しの可否を判断するようにしている。しかし、これらのセンサは、硬貨が一定レベル以上積載されているか否かを検知するものであるため、一定の枚数以上収納されているか否かは把握できるが、正確な収納枚数を把握することはできない。そのため、エンプティセンサ及び満杯センサの検出結果のみで釣銭払い出しの可否を判断した場合、エンプティセンサにより硬貨が一定レベル以上積載されていないと判断されると直ちに当該金種は払い出し不可能であると判断され、実際には釣銭の払い出しが可能であるにもかかわらず釣銭の必要な商品の販売が停止されてしまい、その商品の販売機会を逸脱することになる。そこで、硬貨の収納枚数を把握するために、硬貨処理装置の制御部において、最低限保障される硬貨の収容枚数が分かっている初期状態(例えば、エンプティセンサにより硬貨が一定レベル以上積載されていると判断される場合において、このときに保障される枚数)から硬貨の受入れと払出しをカウントすることにより硬貨の収容枚数を把握することも行われており、これについては特許文献1(特開平11−232521号公報)に開示されている。
【0004】
また、コインチューブ本体内に収容されている硬貨の枚数を直接検知するものとして、ソナーセンサによる検知が特許文献2(特表2003−518674号公報)に開示され、重量センサによる検知が特許文献3(特開2011−60128号公報)に開示されている。ソナーセンサによる検知は、コインチューブ本体の上方に配置されたソナーセンサから発生した音が積載された硬貨に反射して帰ってくる時間を測定することでソナーセンサから積載された硬貨の上面までの距離を算出し、この距離から硬貨の積載枚数を算出するものである。重量センサによる検知は、コインチューブ本体の底部に配置された重量センサによって硬貨の重量を測定し、その重量から硬貨の積載枚数を算出するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−232521号公報
【特許文献2】特表2003−518674号公報
【特許文献3】特開2011−60128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の硬貨枚数計測手段を備えたコインチューブには、次のような問題点がある。
【0007】
エンプティセンサと満杯センサのみを備えるコインチューブでは、収容されている硬貨の枚数を正確に把握することができない。また、特許文献1に開示されている、最低限保障される収容枚数が分かっている初期状態から硬貨の受入れと払出しをカウントすることにより収容枚数を把握する方法については、実際の収納枚数ではなく最低限保障される収容枚数からカウントをスタートするものであるため、実際の収納枚数を正確に把握できるわけではない。また、硬貨収容装置が硬貨処理装置から脱着されてコインチューブ本体に収納されている硬貨の状態が変更されると、それまでの値に信頼性がなくなることから、あらたに初期状態を設定して硬貨の受入れと払出しのカウントをやり直さなければならないという問題点もある。そのため、従来の硬貨枚数計測手段を備えたコインチューブでは、まだ払出しが可能な硬貨が残っていても釣銭切れと判断せざるを得ず、全ての硬貨を釣銭の支払に利用できない。
【0008】
特許文献2に開示されているソナーセンサによる検知では、満杯近くになるとソナーの戻りが拡散して正確な枚数を把握することができなくなるという問題点を有している。特許文献3に開示されている重量センサによる検知は、コインチューブ本体の底部に機械的構造を有する重量センサを配置するために、硬貨処理装置の構造が複雑になるという問題点を有している。
【0009】
本発明は、上記の問題点を解決することを課題とする。具体的には、本発明は、収容された硬貨の枚数を正確に計測することができる硬貨枚数計測手段を備えたコインチューブを提供することを課題とする。さらに、硬貨枚数計測手段を備えたコインチューブを備えた硬貨処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1のコインチューブは、硬貨を積載して収容するコインチューブ本体と、前記コインチューブ本体の周側壁の外側に配置される円筒状電極と、前記コインチューブ本体に積載される硬貨と電気的に接続されるように配置される硬貨電極部と、を備え、前記円筒状電極は、前記硬貨電極部と前記円筒状電極との間の静電容量が前記コインチューブ本体内の硬貨の枚数に応じた値をとる位置に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項2の硬貨処理装置は、請求項1に記載のコインチューブと、前記硬貨電極部と前記円筒状電極との間の静電容量を測定するための静電容量測定手段と、前記コインチューブ本体に積載されている硬貨の枚数と、前記硬貨電極部と前記円筒状電極との間の静電容量との関係を記憶するための記憶手段と、前記静電容量測定手段によって測定された静電容量の値と、前記記憶手段に記憶されている、前記コインチューブ本体に積載されている硬貨の枚数と、前記硬貨電極部と前記円筒状電極との間の静電容量との関係とから、前記コインチューブ本体に積載されている硬貨の枚数を算出するための演算手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コインチューブ本体に積載された硬貨の枚数を正確に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態のコインチューブの斜視図である。
【図2】(a)硬貨が収容されていない状態と(b)硬貨が1枚収容されている状態における、本発明の実施形態のコインチューブにおけるコインチューブ本体の底部付近の断面図である。
【図3】本発明の別の実施形態のコインチューブの斜視図である。
【図4】コインチューブ本体内の硬貨の枚数と、硬貨電極部と円筒状電極との間の静電容量との関係を測定した結果を示したグラフである。
【図5】コインチューブ本体内における硬貨の水平方向の偏りによって、硬貨電極部と円筒状電極との間の静電容量がどの程度変化するかを測定した結果を示した説明図である。
【図6】本発明の実施形態のコインチューブを備えた硬貨処理装置のブロック図である。
【図7】本発明の実施形態のコインチューブを備えた硬貨処理装置における処理を説明するフロー図である。
【図8】本発明の比較例のコインチューブの斜視図である。
【図9】硬貨処理装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について説明する前に、本発明者らが本発明をなすに至った経緯及び本発明の原理について説明する。まず、本発明の発明者らは、図8に示すように、コインチューブ本体5の周側壁の外側に対向する2枚の長尺状電極61,62を設けて、この2枚の長尺電極61,62間の静電容量を測定することを思いつき、コインチューブ本体5内に積載されている硬貨Cの枚数とこの対向する2枚の長尺状電極61,62の間の静電容量との間に相関関係があることを見いだした。しかし、本発明の発明者らは、コインチューブ本体5内における硬貨Cの水平方向の配置のばらつきによって、2枚の長尺状電極61,62の間の静電容量の値がばらつくことも見いだした。その後、本発明の発明者らは、コインチューブ本体5の周側壁の外側に配置される円筒状電極6と、コインチューブ本体5内に積載される硬貨Cに接触する硬貨電極部7とを設け、この硬貨電極部7と円筒状電極6との間の静電容量を測定することで、硬貨1枚あたりの静電容量の変化が大きくなり、且つ、コインチューブ本体5内の硬貨Cの水平方向の配置のばらつきによる静電容量の変化が小さくなることを見いだした。本発明は、以上の本発明の発明者らの独自の知得に基づいてなされたものである。
【0015】
以下、本発明の実施形態の1つを図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態のコインチューブの斜視図である。コインチューブ本体5の周側壁の外側に円筒状銅箔電極6が配置され、コインチューブ5の底部付近に硬貨電極部7が配置されている。
【0017】
コインチューブ本体5の周側壁の外側に配置された円筒状銅箔電極6は、その下端はコインチューブ本体5の底部近傍に位置しており、その上端は硬貨が満杯と判断される高さよりも高い位置になっている。円筒状銅箔電極6及び硬貨電極部7には、それぞれ、導線81,82が接続されている。この導線81,82は、絶縁被膜導線などを用いて構成されている。これらの導線81,82は、図1中に表示されているが、その等価回路は図6に示されている。図1の導線81,82における黒丸は、導線81,82と円筒状銅箔電極6又は硬貨電極部7とが電気的に接続されていることをシンボル的に示すものである。
【0018】
図2は、(a)硬貨が収容されていない状態と(b)硬貨Cが1枚収容されている状態における、本発明の実施形態のコインチューブにおけるコインチューブ本体5の底部付近の断面図である。コインチューブ本体5の底部付近に配置されている硬貨電極部7は、金属のバネ材で構成されており、コインチューブ本体5に積載されている硬貨Cと電気的に接続するようになっている。
【0019】
ここで、コインチューブ本体5内に積載されている硬貨Cの枚数が増加すると、硬貨電極部7と円筒状銅箔電極6との間の静電容量も増加する関係にある。そのため、硬貨電極部7と円筒状銅箔電極6との間の静電容量からコインチューブ本体5内に積載されている硬貨Cの枚数を算出することが可能となる。
【0020】
図3は、本発明の別の実施形態のコインチューブの斜視図である。この実施形態のコインチューブにおいては、円筒状銅箔電極6に、コインチューブ本体5の長さ方向に沿って所定幅の間隙Gが設けられているので、コインチューブ本体5の側面からコインチューブ本体5に積載されている硬貨Cを確認できるようになっている。
【0021】
図4は、本発明の実施形態のコインチューブ本体5内の硬貨Cの枚数と、硬貨電極部7と円筒状銅箔電極6との間の静電容量との関係を測定した結果を示したグラフである。(a)図1に示す本発明の実施形態(以下、「実施例(間隙なし)」という。)と、(b)図3に示す本発明の別の実施形態(以下、「実施例(間隙あり)」という。)とについての測定結果を示している。また、比較のため、(c)図8に示すコインチューブ本体5の周側壁の外側に対向する2枚の長尺状電極61,62を設けたもの(以下、「比較例」という。)におけるコインチューブ本体5内の硬貨Cの枚数と長尺状電極61, 62間の静電容量との関係の測定結果も合わせて示している。測定に用いたコインチューブ本体5は、外径28mm、厚さ2mmのアクリル製のものである。(a)実施例(間隙なし)では、コインチューブ本体5の周側壁の外側に、高さ150mm、厚さ0.07mmの円筒状銅箔電極が配置されている。(b)実施例(間隙あり)では、コインチューブ本体5の周側壁の外側に、高さ150mm、厚さ0.07mmの円筒状銅箔電極が配置され、コインチューブ本体5の長さ方向に沿って5mmの間隙が設けられている。(c)比較例では、2枚の縦150mm、横41mm、厚さ0.07mmの長尺状の銅箔電極が約3mmの間隙を介して並ぶように配置されている。硬貨Cとしては10円硬貨を用いた。静電容量は、ヒューレットパッカード社製の4192Aインピーダンスアナライザにて測定した。
【0022】
硬貨枚数と静電容量との関係をみると、硬貨枚数が1枚変化したときの静電容量の変化量は、(a)実施例(間隙なし)では約1.26pF、(b)実施例(間隙あり)では約1.24pF、(c)比較例では約0.23pFとなっている。
【0023】
図5は、本発明の実施形態のコインチューブ内における硬貨の水平方向の偏りによって、硬貨電極部7と円筒状銅箔電極6の間の静電容量がどの程度変化するかを測定した結果を示した説明図である。(a)実施例(間隙なし)と、(b)実施例(間隙あり)とについての測定結果を示している。また、比較のため、(c)比較例の長尺状電極間61,62の静電容量がどの程度変化するかを測定した結果も合わせて示している。コインチューブ本体5内に10円硬貨を100枚入れた状態で、コインチューブ本体5を図5の矢印で示す4方向に傾けることにより硬貨Cを移動させて、硬貨電極部7と円筒状銅箔電極6との間の静電容量又は長尺状電極間の静電容量を測定した。図5から分かるように、そこに記載の円はコインチューブ本体5を上方から見たものであり、その周囲の円又は円弧は銅箔電極6, 61, 62の配置を表している。矢印の先に記載されている数字は、コインチューブ本体5をその方向に傾けて硬貨Cを移動させたときの静電容量の値であり、コインチューブ本体5を表す円の中央に記載されている数字は、コインチューブ本体5を傾けない場合の静電容量の値である。
【0024】
コインチューブ本体5の傾き、つまり、コインチューブ本体5内の硬貨の水平方向の偏りによる静電容量の変化量をみると、図5(a)実施例(間隙なし)では約0.52pF、図5(b)実施例(間隙あり)では約0.52pF、図5(c)比較例では約0.53pFとなっている。
【0025】
(c)比較例では、硬貨枚数が1枚変化したときの静電容量の変化量が約0.23pFであるのに対し、硬貨Cが水平方向に移動したときの静電容量のばらつきは約0.53pFであり、硬貨1枚あたりの静電容量の変化量が、硬貨の偏りによる静電容量のばらつきよりも小さい。一方、本発明の実施形態である(a)実施例(間隙なし)では、硬貨枚数が1枚変化したときの静電容量の変化量が約1.26pFであるのに対し、硬貨Cが水平方向に移動したときの静電容量のばらつきは約0.52pFであり、本発明の別の実施形態である(b)実施例(間隙あり)では、硬貨枚数が1枚変化したときの静電容量の変化量が約1.24pFであるのに対し、硬貨Cが水平方向に移動したときの静電容量のばらつきは約0.52pFであり、両者ともに、硬貨1枚あたりの静電容量の変化量が、硬貨の偏りによる静電容量のばらつきよりも大きくなっている。そのため、(a)実施例(間隙なし)及び(b)実施例(間隙あり)のものでは、硬貨1枚単位での検知が可能となる。
【0026】
以上より、コインチューブ本体5の周側壁の外側に配置される円筒状電極6と、コインチューブ本体5内に積載される硬貨Cに接触する硬貨電極部7とを設け、この硬貨電極部7と円筒状電極6との間の静電容量を測定することにより、硬貨1枚あたりの静電容量の変化が大きくなり、且つ、コインチューブ本体5内の硬貨Cの水平方向の配置のばらつきによる静電容量の変化が小さくなる、つまり、正確に硬貨の枚数を算出できることが理解できる。
【0027】
図6は、本発明の実施形態のコインチューブを備えた硬貨処理装置のブロック図である。図6におけるコインチューブ本体5は、上面から見た概念図で表している。硬貨電極部7と、円筒状銅箔電極6とは、それぞれが、静電容量測定回路等の静電容量測定手段9に導線81, 82によって電気的に接続されている。静電容量測定手段9は、硬貨電極部7と円筒状銅箔電極6の間の静電容量を測定する手段である。記憶手段10は、静電容量値と硬貨の枚数との関係と、コインチューブ本体5に積載されている硬貨の枚数とを記憶する手段である。記憶手段10のEEPROM 101には、静電容量値と硬貨の枚数との関係が記憶され、RAM 102には、コインチューブ本体5に積載されている硬貨の枚数が記憶されている。演算手段11は、静電容量測定手段9によって得られた静電容量値と、記憶手段10に記憶されている静電容量値と硬貨の枚数との関係とから、硬貨の枚数を算出する手段である。これらの静電容量測定手段9、記憶手段10及び演算手段11は、主制御バス12を介して互いに接続されている。
【0028】
図7は、本発明の実施形態のコインチューブを備えた硬貨処理装置における処理を説明するフロー図である。硬貨処理装置の主制御により、コインチューブ本体5内に収容されている硬貨Cの枚数の計測が指示されると、この静電容量測定手段7によって、硬貨電極部7と円筒状銅箔電極6の間の静電容量を測定する(S1)。次に、演算手段11によって、静電容量測定手段9によって得られた静電容量値と、記憶手段10のEEPROM 101に記憶されている静電容量値と硬貨の枚数との関係とから、硬貨Cの枚数を算出する(S2)。最後に、算出された硬貨Cの枚数を記憶手段10のRAM 102に記憶して(S3)、硬貨枚数計測の処理を終了する。
【0029】
本発明の実施形態のコインチューブを備えた硬貨処理装置における硬貨枚数の計測は任意の時点で行うことが可能である。例えば、硬貨の払出し処理の直後に硬貨枚数の計測を行うことで、硬貨が確実に払い出されたか否かを確認することも可能である。
【0030】
本実施形態のコインチューブを備えた硬貨処理装置によれば、コインチューブ本体5内に収納された硬貨Cの枚数を正確に計測することができる。また、電源投入直後や、硬貨収容装置のカセットを脱着した直後であってもコインチューブ本体5内に収納されている硬貨Cの枚数を計測することができる。また、一つのセンサでエンプティも満杯も検出することができるので、エンプティセンサと満杯センサが不要になる。
【0031】
以上、本発明の実施形態の1つについて説明したが、本発明のコインチューブ及び硬貨処理装置はこの実施形態に限定されるものではない。
【0032】
上述の実施形態においては、硬貨電極部7が金属のバネ材で構成されてコインチューブ本体5の底部付近に配置されているが、硬貨電極部7は、この構成に限られず、コインチューブ本体5に積載されている硬貨と電気的に接続されるものであればよい。また、上述の実施形態は、円筒状電極に間隙が設けられていないものであるか、又は一つの間隙が設けられているものであるが、これらの構成に限定されず、円筒状電極に2つ以上の間隙が設けられていても良い。また、上述の実施形態においては、円筒状電極として銅箔電極を用いているが、円筒状電極は、銅箔電極に限られず、静電容量の測定に適するものであればよい。また、上述の実施形態においては、静電容量測定手段9により測定される値及び記憶手段10に記憶される値として静電容量値をあげているが、この値は、演算手段11における処理に適するように変換された適宜の数値であってもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 硬貨処理装置
2 硬貨選別装置
3 硬貨収納装置
4 硬貨払出装置
5 コインチューブ本体
6 円筒状電極
7 硬貨電極部
81, 82 導線
9 静電容量測定手段
10 記憶手段
101 EEPROM
102 RAM
11 演算手段
12 主制御バス
C 硬貨

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨を積載して収容するコインチューブ本体と、
前記コインチューブ本体の周側壁の外側に配置される円筒状電極と、
前記コインチューブ本体に積載される硬貨と電気的に接続されるように配置される硬貨電極部と、
を備え、
前記円筒状電極は、前記硬貨電極部と前記円筒状電極との間の静電容量が前記コインチューブ本体内の硬貨の枚数に応じた値をとる位置に配置されていることを特徴とするコインチューブ。
【請求項2】
請求項1に記載のコインチューブと、
前記硬貨電極部と前記円筒状電極との間の静電容量を測定するための静電容量測定手段と、
前記コインチューブ本体に積載されている硬貨の枚数と、前記硬貨電極部と前記円筒状電極との間の静電容量との関係を記憶するための記憶手段と、
前記静電容量測定手段によって測定された静電容量の値と、前記記憶手段に記憶されている、前記コインチューブ本体に積載されている硬貨の枚数と、前記硬貨電極部と前記円筒状電極との間の静電容量との関係とから、前記コインチューブ本体に積載されている硬貨の枚数を算出するための演算手段と、
を備えることを特徴とする硬貨処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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