説明

硬貨識別装置

【課題】 偽造硬貨による悪戯を未然に防止することができる。
【解決手段】 金種振り分けゲート35に連結された真貨通路36には、この真貨通路36に流入した500円硬貨62を一時保留するエスクロ部38を設け、返却レバー31が操作された場合には、制御部25からの指令に基づきエスクロ部38に保留された500円硬貨62を返却通路40に導くものである。これにより、偽造硬貨による悪戯を未然に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動販売機等に使用される硬貨識別装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】以下、従来の硬貨識別装置について説明する。従来の硬貨識別装置は、図8に示すように、硬貨の投入口1と、この投入口1に連結されるとともに下流に向かって設けられた硬貨の通路2と、この通路2の側壁に設けられた硬貨の識別センサ3と、この識別センサ3に接続された硬貨の識別部(図示せず)と、この識別部の出力に接続された制御部(図示せず)と、前記通路2の終端に設けられるとともに投入された硬貨の真偽により振り分けられる第1のゲート4と、この第1のゲート4により真貨側に振り分けられた硬貨が金種毎に振り分けられる振り分け部5と、この振り分け部5の出口毎に各々連結されたコインチューブ(硬貨の収納筒)6と、これらのコインチューブ6の下部に設けられた硬貨の払い出し部7とで構成されていた。
【0003】また、振り分け部5は、第1のゲート4で真貨側に振り分けられた硬貨を2種類の金種に振り分ける第2のゲート8と、この第2のゲート8の一方に振り分けられた硬貨を更に2種類の金種に振り分ける第3のゲート9と、前記第2のゲート8の他方に振り分けられた硬貨を更に2種類の金種に振り分ける第4のゲート10とで構成されていた。そして、金種毎に振り分けられた硬貨は前記コインチューブ6に夫々積層収納され、この積層収納された硬貨は払い出し時において、最下層の硬貨から1枚ずつ払い出し部7から払い出される構成であった。なお、この払い出しには釣銭としての払い出しと、売上金の回収の場合の払い出しとがある。
【0004】11は、返却レバーであり、この返却レバー11を押下することにより、投入された硬貨と同種の硬貨が返却されるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのような従来の構成において、投入された硬貨はコインチューブ6に順次上方へと積層収納されるので、既にコインチューブ6内に硬貨が収納されている場合、投入された硬貨は常に最上位に収納されることになる。
【0006】この状態で投入した硬貨をすぐに返却操作を行うと、返却される硬貨は最下層の硬貨から、1枚ずつ払い出し部7により払い出しされる。従って、投入された現物硬貨が返却される訳ではなく、投入した現物の硬貨とは異なった同種の硬貨が払い出されることになる。
【0007】そこで万一、偽造された硬貨が識別部で真貨と判断された場合、コインチューブ6の最上層に積層収納される。そして次に返却レバー11により返却させると、最下層に積層収納されている(本物の)硬貨を返却してしまうことになる。この性質を用いて、悪戯をされることがあった。
【0008】この発明は、このような問題点を解決するもので、投入された硬貨を返却する場合、投入された現物硬貨そのものを返却する硬貨識別装置を提供することを目的としたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために本発明の硬貨識別装置は、金種振り分けゲートに連結された真貨通路のうち少なくとも一つの真貨通路には、この真貨通路に流入した硬貨を一時保留するエスクロ部を設け、返却レバーが操作された場合には、制御部からの指令に基づき前記エスクロ部に保留された硬貨を返却通路に導くものである。
【0010】これにより、偽造硬貨による悪戯を未然に防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1記載の発明は、硬貨の投入口と、この投入口に連結されるとともに下流に向かって設けられた硬貨の通路と、この通路の側壁に設けられた硬貨の識別センサと、この識別センサに接続された硬貨の識別部と、この識別部に接続された制御部と、前記通路の終端に設けられるとともに投入された硬貨の真偽に基づいて振り分けられる第1のゲートと、この第1のゲートの一方の出口に連結されるとともに偽貨側に振り分けられた硬貨を返却する返却通路と、前記第1のゲートの他方の出口に連結されるとともに真貨側に振り分けられた硬貨が金種毎に振り分けられる第2のゲートと、この第2のゲートの出口に連結されるとともに前記真貨と識別された硬貨が転動する真貨通路と、この真貨通路の出口に連結されたコインチューブと、これらのコインチューブの下部に設けられた硬貨の払い出し部と、投入された硬貨を返却するための外部から操作可能な返却レバーとを備え、前記金種振り分けゲートに連結された真貨通路のうち少なくとも一つの真貨通路には、この真貨通路に流入した硬貨を一時保留するエスクロ部を設け、前記返却レバーが操作された場合には、前記制御部からの指令に基づき前記エスクロ部に保留された硬貨を前記返却通路に導く硬貨識別装置であり、投入された硬貨を返却レバーの操作により直ちに返却されたとしても、投入されるとともにエスクロ部に保留された硬貨そのものが返却されるので、例え偽造硬貨による悪戯があったとしてもそれを未然に防止することができる。
【0012】請求項2に記載の発明の硬貨識別装置は、本体部と、検銭部と、コインチューブと、払い出し部とから成り、前記検銭部には少なくとも制御部と、返却レバーと、金種毎に振り分ける第2のゲートとエスクロ部とを含むとともに、この検銭部は前記本体部から着脱自在とした請求項1に記載の硬貨識別装置であり、エスクロ部におけるエスクロ機能は着脱自在な検銭部に設けられているので、検銭部を交換することのみで簡単にエスクロ機能付きの自動販売機にすることができる。このことは、特に屋外に設置された自動販売機に使用する硬貨識別装置に適している。
【0013】請求項3に記載の発明の真貨通路の幅は、流入した硬貨の幅より広くするとともに前記硬貨の幅の2倍より狭くした請求項1に記載の硬貨識別装置であり、このことにより真貨通路上で2枚の硬貨が重なり合うことはなく、硬貨は1枚ずつスムーズに流れる。
【0014】請求項4に記載の発明のエスクロ部は、真貨通路と、この真貨通路上に設けられたエスクロレバーで形成され、このエスクロレバーには略硬貨の直径の間隔をもって前記真貨通路側へ交互に突出する第1と第2の凸部を設けた請求項1に記載の硬貨識別装置であり、先ず第1の凸部で最初の硬貨を停止させ、次に第1の凸部を真貨通路から離脱させて最初の硬貨を流出させるとともに、第2の凸部を真貨通路に突入させて2番目の硬貨を停止させることができる。従って、続いてくる2枚目の効果の重なりを防止することができるとともに一枚ずつ確実に返却することができる。
【0015】また、真貨通路上にエスクロ部を設けているので、硬貨識別装置の薄型化と小型化が可能となる。
【0016】請求項5に記載の発明のエスクロレバーは、耐磨耗性の優れた材質で形成された請求項4に記載の硬貨識別装置であり、寿命に対する信頼性の点で優れている。また、耐磨耗性を有する材料は一般に硬い材料であるため、このエスクロレバーに硬貨が衝突したときのバウンドが少ない。
【0017】請求項6に記載の発明のエスクロレバーは、真貨通路に流入するどの硬貨よりも硬い材質で形成された請求項4に記載の硬貨識別装置であり、このエスクロレバーに硬貨が衝突したときのバウンドを少なくすることができる。
【0018】請求項7に記載の発明は、硬貨を停止させる凸部の前記硬貨との当接面を前記硬貨の外周面に対して傾斜させた請求項4に記載の硬貨識別装置であり、当接面は硬貨の外周面に対して傾斜しているので、当接時の衝突力がその傾斜角に応じて分散され衝突における硬貨のバウンドが少なくなる。
【0019】請求項8に記載の発明のエスクロ部は、500円硬貨のみのエスクロ部とした請求項4に記載の硬貨識別装置であり、エスクロ部は一つだけであるので、小型でありながらしかも高額販売価格設定の商品販売にも対応でき販売機会を失することはない。
【0020】請求項9に記載の発明は、エスクロ部の真貨通路の長さを、硬貨の直径の2倍以上とした請求項8に記載の硬貨識別装置であり、高額販売価格設定の商品販売にも対応でき販売機会を失することはない。
【0021】請求項10に記載の発明は、エスクロ部の下流に返却通路と真貨通路とを切り替える第3のゲートを設け、前記真貨通路は本体部の前面側に配置した請求項2に記載の硬貨識別装置であり、返却硬貨を効率よく自動販売機の返却口に導くことができる。
【0022】請求項11に記載の発明は、返却通路と真貨通路とを切り替える第3のゲートは、ノーマル状態で収納側とした請求項10に記載の硬貨識別装置であり、例え第3のゲートが故障したとしても真貨と判定された硬貨が返却通路へ流れることはない。
【0023】請求項12に記載の発明は、第3のゲート下流の真貨通路にコインチューブ側と金庫側とを切り替える第4のゲートを設けた請求項11に記載の硬貨識別装置であり、コインチューブ側と金庫側とを(従来のようにオーバーフロー板ではなく)ゲートで切り替えるので、釣銭管理が確実に行える。
【0024】請求項13に記載の発明は、コインチューブ側と金庫側とを切り替える第4のゲートは、ノーマル状態で金庫側とした請求項12に記載の硬貨識別装置であり、例えコインチューブ側が硬貨で一杯になったとしても硬貨は金庫側へ流れるので販売機会を失することはない。
【0025】請求項14に記載の発明は、エスクロ部の上流のゲートの何れかの一つと、前記エスクロ部の下流のゲートの何れかの一つはソレノイドを共用した請求項4に記載の硬貨識別装置であり、ソレノイドを共用化できるので、小型化と軽量化が可能となる。
【0026】以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1において、本発明の硬貨識別装置は、硬貨の投入口21と、この投入口21に連結されるとともに下流に向かって設けられた硬貨の通路22と、この通路22の側壁に設けられた硬貨の識別センサ23と、この識別センサ23に接続された硬貨の識別部24(図示せず)と、この識別部24に接続された制御部25(図示せず)と、通路22の終端に設けられるとともに投入された硬貨の真偽により振り分けられるゲート26と、このゲート26により偽貨側に振り分けられた硬貨を返却する返却通路27(図示せず)と、ゲート26により真貨側に振り分けられた硬貨が金種毎に振り分けられる振り分け部28と、この振り分け部28の出口毎に各々連結されたコインチューブ29と、これらのコインチューブ29の下部に設けられた硬貨の払い出し部30とを備えた構成となっている。また、31は返却レバーであり、この返却レバー31を操作すると識別センサ23の発振周波数が特異の周波数となる。この特異の周波数を識別部24が識別し、この識別結果に基づいて制御部25からの指令で投入された硬貨が返却される。なお、この返却レバー31は、投入口21の近傍に設けられている。また、識別部24と制御部25とは一つのマイクロコンピュータ32で構成されている。
【0027】ここで、振り分け部28について更に詳しく説明する。振り分け部28は、ゲート26で真貨側に振り分けられた硬貨を50円と100円の組と、10円と500円の組の2種類の金種に振り分けるゲート33と、このゲート33の一方に振り分けられた硬貨を更に50円と100円に振り分けるゲート34と、前記ゲート33の他方に振り分けられた硬貨を更に10円と500円に振り分けるゲート35と、このゲート35で振り分けられた500円を真貨通路36上で500円を一時保留するエスクロレバー37(真貨通路36とエスクロレバー37とでエスクロ部38を形成している。)と、このエスクロレバー37の下流に設けられるとともにエスクロレバー37で一時保留された硬貨を、返却通路40(この返却通路40は前記返却通路27に連結している。)と収納通路63へ振り分けるゲート39と、このゲート39の下流に設けられるとともに収納通路63側へ振り分けられた硬貨をコインチューブ29側43と、金庫側44へ振り分けるゲート42とで構成されている。
【0028】また、ゲート35と前記500円を一時保留するエスクロレバー37の間の真貨通路36の長さは、500円硬貨の直径の2枚分以上、具体的には53mm以上としている。このことにより、500円硬貨2枚を一時保留することができる。
【0029】図2は硬貨識別装置の斜視図である。図2R>2において、60は本体部であり、61はこの本体部60に着脱自在に設けられた検銭部である。この検銭部61には少なくとも投入口21から振り分け部28及び識別センサ23、識別部24、制御部25が装着されている。
【0030】29は検銭部61の下方に連結されて設けられたコインチューブであり、やはり本体部60に着脱自在に装着されている。
【0031】30はコインチューブ29の下方に連結して設けられた払い出し部であり、硬貨の払い出しを行う。
【0032】図3は、硬貨識別装置のブロック図である。図3において、23は識別センサであり、識別部24を介して制御部25に接続されている。この識別部24と制御部25はマイクロコンピュータ32で実現している。そしてこの制御部25には以下のものが接続されている。すなわち、メモリ50と、切り替えスイッチ57と、ゲート26に接続されたソレノイド51と、ゲート33に接続されたソレノイド52と、ゲート34とゲート35に接続されたソレノイド53と、ゲート39に接続されたソレノイド54と、ゲート42に接続されたソレノイド55と、エスクロレバー37に接続されたソレノイド56とが接続されている。
【0033】なお、エスクロレバー37の上流側のゲート35を駆動するソレノイド53と、下流側のゲート39または42を駆動するソレノイドを共用化することもできる。
【0034】以上のように構成された硬貨識別装置について、以下にその動作を説明する。投入口21から投入された硬貨の特徴は識別センサ23で電気信号に変換され、この電気信号に基づいて識別部24で真貨と偽貨の識別、また真貨と識別された硬貨はさらにその硬貨の金種が識別される。これらの識別結果に基づいて、次の制御部25では各ゲート26,33,34,35,39,42を制御する。
【0035】また、エスクロレバー37の制御も行っている。次にこのエスクロレバー37を含むエスクロ部38の説明を行う。ゲート26で真貨側に振り分けられた500円硬貨62は、ゲート33と、ゲート35で500円側に振り分けられて、エスクロレバー37でエスクロ(一時保留)される。
【0036】このエスクロレバー37の制御は検銭部61を切り替えスイッチ57を57a側にすることにより実現している。切り替えスイッチ57を57b側に切り替えたものでは検銭部61はエスクロレバー37の制御は行われない。このように切り替えスイッチ57によりエスクロ機能付きとエスクロ機能なしとが区別される。この区別は着脱自在な検銭部61を交換することにより実現できる。
【0037】次に、エスクロレバー37の動作について図4と図5を用いて説明する。図4はソレノイド56に電力が通電されていない状態、すなわち、待機状態を示している。エスクロレバー37には、真貨通路36を遮断する2つの凸部37a,37bを有している。凸部37aは待機状態で真貨通路36を遮断し、凸部37bは真貨通路36より待機している。
【0038】また、ソレノイド56が通電されて、動作状態になると、図5に示すように、凸部37aは真貨通路36より待避し、逆に凸部37bが真貨通路36を遮断する構成となっている。ゲート35で振り分けられた1枚目の500円硬貨62aを凸部37aで真貨通路36上に一時保留させる。2枚目に入金された500円硬貨62bは、1枚目の500円硬貨62aの後方に連続的に一時保留される。また、真貨通路36の通路幅は、500円硬貨が重ならない寸法にする必要がある。具体的には、500円硬貨62の1枚分の厚み1.8mmより厚く、かつ2枚分の厚み3.6mm未満にする必要がある。
【0039】図6は、エスクロ部38の平面図である。図6において、36は真貨通路であり、この真貨通路36内にエスクロレバー37が設けられている。62a,62bは500円硬貨であり、この500円硬貨62aの略直径幅の間隔をおいて凸部37aと37bとが設けられており、それが交互に真貨通路36に突入と待避を行い500円硬貨62を一時保留するようにしている。なお、500円硬貨を一般にいうときは62とし、エスクロ部38の最初の500円硬貨を指すときは62aとし、二番目の500円硬貨をいうときは62bとしている。
【0040】また、このエスクロレバー37の凸部37aは500円硬貨62aの略中心を係止し、凸部37bは500円硬貨62bの上方を係止するようにしている。その理由は、例えば下方にすれば500円硬貨62bがこの凸部37bを乗り越えてしまう可能性があるからである。
【0041】また、このエスクロレバー37の材質には硬いものを使うことが望ましく本実施の形態ではポリアセタール樹脂を用いている。これは、耐磨耗性に優れるとともに500円硬貨62の衝突によるバウンドを小さくする効果を有する。
【0042】更にこの凸部37a,37bの500円硬貨62との当接面は、500円硬貨62の外周面に対して略45度の傾斜を持たせており、衝突時の衝突力を分散しバウンドを小さくしている。
【0043】次に図7を用いてエスクロレバー37からの500円硬貨62の排出について説明する。エスクロレバー37で一時保留された2枚の500円硬貨62a,62bを、エスクロレバー37を動作させることにより、凸部37aを真貨通路36より待避させる。すると、1枚目の500円硬貨62aは下流へ排出されると同時に、一体構造となった凸部37bが真貨通路36を遮断し、2枚目の500円硬貨62bを凸部37bにより真貨通路36上で停止させる。
【0044】次にエスクロレバー37を待機状態に戻すことにより、2枚目の500円硬貨62bは、凸部37bの係止を離れて凸部37aで一時保留される。そして、もう一度エスクロレバー37を動作することにより、2枚目の500円硬貨62bも下流へ排出される。
【0045】以上のような構成とすることにより、1枚ずつ500円硬貨62を排出することができるとともに、2枚目の500円硬貨62bが追いついて重なり、硬貨が詰まることを防止することができる。
【0046】エスクロレバー37より排出された500円硬貨62は、ゲート39で返却通路40側と、収納通路63側へ振り分けられる。ここで、返却レバー31を操作すると、ゲート39を返却通路40側へ連結することになり、エスクロレバー37で一時保留した硬貨をそのまま返却することができる。また、ゲート39を収納通路63側へ連結することにより、エスクロレバー37で一時保留した500円硬貨62をコインチューブ29に収納することができる。
【0047】更に、収納通路63側へ流出した収納した500円硬貨62を、ゲート42にて、コインチューブ29側43と金庫側44へ振り分けることができる。これは、コインチューブ29に積層収納する硬貨の枚数が設定した枚数に達した場合、金庫側44へ収納することができるので、コインチューブ29内の硬貨積層収納枚数の正確な管理が可能となる。
【0048】なお、このコインチューブ29は図面左から順に500円硬貨62のチューブ29a、10円硬貨のチューブ29b、50円硬貨のチューブ29c、100円硬貨のチューブ29d、補助チューブ29eとなっている。
【0049】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、金種振り分けゲートに連結された真貨通路のうち少なくとも一つの真貨通路には、この真貨通路に流入した硬貨を一時保留するエスクロ部を設け、返却レバーが操作された場合には、制御部からの指令に基づき前記エスクロ部に保留された硬貨を返却通路に導くものであり、投入された硬貨を返却レバーの操作により直ちに返却されたとしても、エスクロ部に保留された硬貨そのものが返却されるので、例え偽造硬貨による悪戯があったとしてもそれを未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による硬貨識別装置の正面図
【図2】同、斜視図
【図3】同、ブロック図
【図4】同、エスクロ部近傍の第1の状態を示す断面図
【図5】同、エスクロ部近傍の第2の状態を示す断面図
【図6】同、エスクロ部近傍の平面図
【図7】同、エスクロ部近傍の動作を示す断面図
【図8】従来の硬貨識別装置の正面図
【符号の説明】
21 投入口
22 通路
23 識別センサ
24 識別部
25 制御部
26 ゲート
29 コインチューブ
36 真貨通路
30 払い出し部
31 返却レバー
33 ゲート
34 ゲート
35 ゲート
37 エスクロレバー
38 エスクロ部
39 ゲート
42 ゲート

【特許請求の範囲】
【請求項1】 硬貨の投入口と、この投入口に連結されるとともに下流に向かって設けられた硬貨の通路と、この通路の側壁に設けられた硬貨の識別センサと、この識別センサに接続された硬貨の識別部と、この識別部に接続された制御部と、前記通路の終端に設けられるとともに投入された硬貨の真偽に基づいて振り分けられる第1のゲートと、この第1のゲートの一方の出口に連結されるとともに偽貨側に振り分けられた硬貨を返却する返却通路と、前記第1のゲートの他方の出口に連結されるとともに真貨側に振り分けられた硬貨が金種毎に振り分けられる第2のゲートと、この第2のゲートの出口に連結されるとともに前記真貨と識別された硬貨が転動する真貨通路と、この真貨通路の出口に連結されたコインチューブと、これらのコインチューブの下部に設けられた硬貨の払い出し部と、投入された硬貨を返却するための外部から操作可能な返却レバーとを備え、前記金種振り分けゲートに連結された真貨通路のうち少なくとも一つの真貨通路には、この真貨通路に流入した硬貨を一時保留するエスクロ部を設け、前記返却レバーが操作された場合には、前記制御部からの指令に基づき前記エスクロ部に保留された硬貨を前記返却通路に導く硬貨識別装置。
【請求項2】 硬貨識別装置は、本体部と、検銭部と、コインチューブと、払い出し部とから成り、前記検銭部には少なくとも制御部と、返却レバーと、金種毎に振り分けられる第2のゲートとエスクロ部とを含むとともに、この検銭部は前記本体部から着脱自在とした請求項1に記載の硬貨識別装置。
【請求項3】 真貨通路の幅は、流入した硬貨の幅より広くするとともに前記硬貨の幅の2倍より狭くした請求項1に記載の硬貨識別装置。
【請求項4】 エスクロ部は、真貨通路と、この真貨通路上に設けられたエスクロレバーで形成され、このエスクロレバーには略硬貨の直径の間隔をもって前記真貨通路側へ交互に突出する第1と第2の凸部を設けた請求項1に記載の硬貨識別装置。
【請求項5】 エスクロレバーは、耐磨耗性の優れた材質で形成された請求項4に記載の硬貨識別装置。
【請求項6】 エスクロレバーは、真貨通路に流入するどの硬貨よりも硬い材質で形成された請求項4に記載の硬貨識別装置。
【請求項7】 エスクロレバーに設けられた凸部の硬貨との当接面は、前記硬貨の外周面に対して傾斜した請求項4に記載の硬貨識別装置。
【請求項8】 エスクロ部は、500円硬貨のみのエスクロ部分とした請求項4に記載の硬貨識別装置。
【請求項9】 エスクロ部の真貨通路の長さは、硬貨の直径の2倍以上とした請求項8に記載の硬貨識別装置。
【請求項10】 エスクロ部の下流に返却通路と真貨通路とを切り替える第3のゲートを設け、前記真貨通路は本体部の前面側に配置した請求項2に記載の硬貨識別装置。
【請求項11】 返却通路と真貨通路とを切り替える第3のゲートは、ノーマル状態で収納側とした請求項10に記載の硬貨識別装置。
【請求項12】 第3のゲート下流の真貨通路にコインチューブ側と金庫側とを切り替える第4のゲートを設けた請求項11に記載の硬貨識別装置。
【請求項13】 コインチューブ側と金庫側とを切り替える第4のゲートは、ノーマル状態で金庫側とした請求項12に記載の硬貨識別装置。
【請求項14】 エスクロ部の上流のゲートの何れかの一つと、前記エスクロ部の下流のゲートの何れかの一つはソレノイドを共用した請求項4に記載の硬貨識別装置。

【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2001−56881(P2001−56881A)
【公開日】平成13年2月27日(2001.2.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−231103
【出願日】平成11年8月18日(1999.8.18)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)