説明

硬貨識別装置

【課題】搬送面上の異物によって硬貨の検出の悪影響を及ぼすことを抑制することが可能な硬貨識別装置を提供することある。
【解決手段】硬貨識別装置は、硬貨が搬送される搬送面と、前記搬送面上の前記硬貨を検出する検出部材と、前記搬送面において前記検出部材の検出領域の周囲に設けられ、異物が入る第1穴部と、を備える。前記第1穴部は、少なくとも前記硬貨の搬送方向において前記検出領域の上流側に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨の種類等の識別を行う硬貨識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
硬貨識別装置は、例えば店舗等に設置されたレジスターで取り扱われる硬貨を管理する硬貨処理装置において、硬貨の金種を識別する装置である。
【0003】
硬貨識別装置として、例えば特許文献1に記載のものがある。特許文献1に記載の硬貨識別装置は、硬貨が搬送ベルトにより搬送される搬送面と、搬送される硬貨の外径、材質、材厚等を磁気的に検出する検出センサとを有し、硬貨の種類や真偽を判別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3718619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、搬送面上で硬貨の搬送を続けると、搬送面上に異物が滞留することがある。異物は、例えば、硬貨の搬送を行うことで硬貨と共に搬送されてきたものや、搬送中の硬貨が搬送路上の部品と衝突し、又は擦れることで発生する硬貨粉である。そして、搬送面上に異物が滞留していると、その後の硬貨の検出に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、搬送面上の異物によって硬貨の検出の悪影響を及ぼすことを抑制することが可能な硬貨識別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、硬貨が搬送される搬送面と、前記搬送面上の前記硬貨を検出する検出部材と、前記搬送面において前記検出部材の検出領域の周囲に設けられ、異物が入る第1穴部と、を備えることを特徴とする、硬貨識別装置が提供される。
【0008】
かかる硬貨識別装置は、搬送面において前記検出部材の検出領域の周囲に設けられ、異物が入る第1穴部を有することによって、搬送面上の異物が第1穴部に入り込み、検出部材の検出領域上に異物が位置することを防止できる。この結果、搬送面上の異物によって硬貨の検出の悪影響を及ぼすことを抑制可能となる。
【0009】
また、前記第1穴部は、少なくとも前記硬貨の搬送方向において前記検出領域の上流側に設けられていることとしても良い。さらに、前記第1穴部は、前記検出領域を囲むように設けられていることとしても良い。
【0010】
また、前記硬貨を搬送方向に搬送する搬送部材と、搬送される前記硬貨に接触して前記硬貨の移動を規制する規制面と、前記規制面において前記検出領域の周囲に位置し、前記異物が入る第2穴部と、を更に備えることとしても良い。
【0011】
また、前記第1穴部は、前記異物が入る溝を有することとしても良い。又は、前記第1穴部は、前記異物が入る貫通孔を有することとしても良い。そして、前記貫通孔の先に設けられ、前記貫通孔に入った前記異物を受ける異物受け部を更に備えることとしても良い。
【0012】
また、前記検出部材は、前記搬送面を挟んで対向する第1検出センサ及び第2検出センサであり、前記第1検出センサ及び前記第2検出センサは、前記搬送方向から見た場合にコの字形状の断面を有し前記搬送面を挟むセンサ固定部に、それぞれ内蔵されていることとしても良い。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明によれば、搬送面上の異物によって硬貨の検出の悪影響を及ぼすことを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係る硬貨識別装置100の外観を示す斜視図である。
【図2】硬貨識別装置100の内部構成を示す断面図である。
【図3】第1の実施形態における硬貨の大きさとセンサ検出との関係を示す模式図である。
【図4】比較例における硬貨の大きさとセンサ検出との関係を示す模式図である。
【図5】搬送面103上に異物107が滞留している状態を示す図である。
【図6】第2の実施形態に係る硬貨識別装置100の内部構成を示す断面図である。
【図7】第3の実施形態に係る硬貨識別装置100の外観を示す斜視図である。
【図8】硬貨識別装置100の内部構成を示す断面図である。
【図9】搬送面103上に異物107が滞留している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
<1.第1の実施形態>
(1−1.硬貨識別装置の構成)
硬貨識別装置は、例えば店舗等に設置されたレジスターで取り扱われる硬貨を管理する硬貨処理装置において、硬貨の金種を識別する装置である。なお、硬貨処理装置は、硬貨を一括して受け入れた後、各硬貨の硬貨認識を行って金種を判別し、判別結果に応じて金種毎に硬貨を選別し、選別した硬貨を出金する。
【0017】
図1及び図2を参照しながら、第1の実施形態に係る硬貨識別装置100の構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る硬貨識別装置100の外観を示す斜視図である。図2は、硬貨識別装置100の内部構成を示す断面図である。
【0018】
図1に示すように、硬貨識別装置100は、搬送路102と、搬送部材の一例である搬送ベルト104と、ガイド部112と、規制部114と、第1検出センサの一例である第1硬貨検出センサ122と、第2検出センサの一例である第2硬貨検出センサ124と、センサ固定部130と、第1穴部の一例である搬送面溝142と、第2穴部の一例である規制面溝144とを有する。
【0019】
搬送路102は、硬貨Cが搬送方向に搬送される搬送面103を有する。搬送ベルト104は、搬送面103とで硬貨Cを挟んだ状態で、回転することにより硬貨Cを搬送方向に搬送する。
【0020】
ガイド部112は、搬送ベルト104に沿って設けられ、搬送ベルト104により搬送される硬貨Cをガイドするガイド面113を有する。搬送ベルト104は、硬貨Cをガイド面113に片寄せしながら搬送方向に搬送する。
【0021】
規制部114は、搬送方向と直交する方向(図1に示すY方向)において、搬送ベルト104から見てガイド部112の反対側に搬送ベルト104に沿って設けられている。規制部114は、搬送中の硬貨Cに接触して硬貨の移動を規制する規制面115を有する。これにより、硬貨Cが搬送路102から外れて飛散することを防止できる。
【0022】
第1硬貨検出センサ122及び第2硬貨検出センサ124は、搬送中の搬送面103上の硬貨Cを検出する検出部材である。例えば、第1硬貨検出センサ122及び第2硬貨検出センサ124は、検出領域Sを通過する硬貨Cの直径、硬貨Cの材質、硬貨Cの厚み、硬貨Cの表面の凹凸の状態、孔の有無等を検出する。
【0023】
第1硬貨検出センサ122は、搬送面103よりも下方に位置し、第2硬貨検出センサ124は、搬送面103よりも上方に位置する。また、第1硬貨検出センサ122及び第2硬貨検出センサ124は、搬送路102を挟んで互いに対向し、すなわち図1のY方向及びX方向において同じ位置に位置する。そして、第1硬貨検出センサ122及び第2硬貨検出センサ124は、搬送面103の所定の検出領域Sを通過する硬貨Cの種類を検出する。
【0024】
第1硬貨検出122及び第2硬貨検出センサ124は、ここでは磁気により硬貨の種類(特徴)を検出する磁気センサである。しかし、これに限定されず、第1硬貨検出122及び第2硬貨検出センサ124は、例えば光学センサであっても良い。また、上記では、2つの硬貨検出センサ122、124を設けたが、一つの硬貨検出センサ(第1硬貨検出センサ122)のみを設けても良い。
【0025】
センサ固定部130は、第1硬貨検出センサ122及び第2硬貨検出センサ124を内蔵するフレームである。センサ固定部130は、搬送面103の下方に位置し第1硬貨検出センサ122を内蔵する第1センサ内蔵部132と、搬送面103の上方に位置し第2硬貨検出センサ124を内蔵する第2センサ内蔵部134とを有する。第1センサ内蔵部132と第2センサ内蔵部134は、一体形状である。
【0026】
センサ固定部130を搬送方向の上流側から見た場合の断面形状は、図2に示すように逆コの字形状である。なお、センサ固定部130を搬送方向の下流側から見た場合の断面形状は、コの字形状である。すなわち、センサ固定部130は、搬送面103を挟むように設けられている。
【0027】
ここで、図3及び図4を参照しながら、上述した断面形状を有するセンサ固定部130の利点について説明する。図3は、第1の実施形態における硬貨の大きさとセンサ検出との関係を示す模式図である。図4は、比較例における硬貨の大きさとセンサ検出との関係を示す模式図である。なお、図3と図4では、直径の大きい硬貨C1と、直径が小さい硬貨C2が示されている。
【0028】
図3に示すように、第1の実施形態では、硬貨をガイド面113に片寄せしながら搬送されている際に、第1硬貨検出センサ122と第2硬貨検出センサ124による検出がされる。このため、図3(a)及び図3(b)に示すように、直径が異なる硬貨C1、硬貨C2に対して、2つのセンサ122、124間に生じる磁束Mが通過するため、硬貨C1、硬貨C2の直径等が適切に検出される。
【0029】
これに対して、図4に示す比較例に係る硬貨識別装置200では、搬送面203の上方に位置する2つの上方センサ204、206と、搬送面203の下方に位置する下方センサ202によって、硬貨Cを識別する。ここで、上方センサ204と上方センサ206の間のX方向における距離が大きいと、図4(b)に示すように、直径が小さい硬貨C2については、磁束Mが通過しないため、硬貨C2の直径等が適切に検出されない恐れがある。
【0030】
このように、第1の実施形態に係るセンサ固定部130を設けることで、硬貨Cの大きさに起因して第1硬貨検出センサ122と第2硬貨検出センサ124による検出精度が低下することを防止できる。
【0031】
搬送面溝142は、搬送面103において検出領域Sの周囲に設けられた溝である。搬送面溝142には、搬送面103上の異物が入り込む(落下する)。例えば、異物は、搬送中の硬貨Cに押されて搬送面溝142に落下する。搬送面溝142の幅は、搬送中の硬貨Cが引っ掛からず、かつ所定の大きさ以下の異物107が入るように、予め設定されている。これにより、検出領域S上に異物107が位置することを防止できる。
【0032】
ここで、異物は、硬貨Cの搬送を行うことで、硬貨Cと共に搬送されてきたものである。なお、異物には、搬送中の硬貨Cが搬送路102上の部品と衝突し、又は擦れることで発生する硬貨粉も含むものとする。
【0033】
なお、図1には、搬送面溝142として、検出領域Sの四方を囲むように設けられた溝が示されているが、これに限定されない。搬送面溝142は、少なくとも硬貨の搬送方向(Y方向)において検出領域Sの上流側に形成されていれば良く、X方向において検出領域Sの両隣にも形成されているとより望ましい。すなわち、搬送面溝142は、検出領域Sの周囲の一部のみに形成されても良い。かかる構成によって、異物は、搬送中の硬貨Cに押されて搬送面溝142に落下する。
【0034】
規制面溝144は、規制面115において検出領域Sの周囲に位置する溝である。規制面溝144は、搬送方向において搬送面溝142と同じ位置に形成されている。規制面溝144にも、搬送面溝142と同様に、搬送面103上の異物が入り込む。規制面溝144の幅は、搬送中の硬貨Cが引っ掛からず、かつ所定の大きさ以下の異物107が入るように、予め設定されている。これにより、検出領域S上に異物107が位置することを防止できる。
【0035】
なお、上記では、第1センサ内蔵部132と第2センサ内蔵部134は、一体形状であることとしたが、これに限定されない。例えば、第1センサ内蔵部132と第2センサ内蔵部134は、分割できる(上下に分かれる)構造であっても良い。
【0036】
(1−2.硬貨識別装置の動作)
上述した構成の硬貨識別装置100の動作例について説明する。硬貨識別装置100の動作は、制御ユニット(不図示)の制御部によって実行される。すなわち、制御部は、記憶部に記憶されたプログラムを実行することで、下記に説明する動作を実行する。
【0037】
本処理は、図5に示すように、搬送面103上に異物107が滞留しているところから開始される。図5は、搬送面103上に異物107が滞留している状態を示す図である。異物は、前述したように、硬貨Cと共に搬送されてきたものや硬貨粉である。
【0038】
図5の搬送面103上の異物107よりも搬送方向の上流側の硬貨Cは、搬送ベルト104によって検出領域Sに向けて搬送される。すると、硬貨Cは、異物107に当たり、異物107を搬送方向の下流側に押し出す。搬送方向下流側に押し出された異物107は、検出領域Sの周囲の搬送面溝142に至り、搬送面溝142内に入り込む(落下する)。これにより、搬送面103上の異物が除去される。
【0039】
なお、異物107は、硬貨Cに当たって、搬送方向下流側、かつ規制面115側へ向かうケースがある。かかる場合には、異物107は、規制面溝144内に入り込み、搬送面103上から除去される。
【0040】
その後、硬貨Cは検出領域Sに至り、第1硬貨検出センサ122及び第2硬貨検出センサ124は、硬貨Cの直径や材質等を検出する。この際、検出領域S上に異物107が存在しないので、第1硬貨検出センサ122及び第2硬貨検出センサ124の検出性能が悪化する恐れが無い。
【0041】
(1−3.硬貨識別装置の有効性)
第1の実施形態によれば、搬送面103の検出領域Sの周囲に搬送面溝142と規制面溝144を設けることで、検出領域S上に異物が滞留することで第1硬貨検出センサ122及び第2硬貨検出センサ124の検出に悪影響を与えることを防止できる。かかる理由を、以下において詳細に説明する。
【0042】
まず、検出領域S上に異物107が滞留した場合の問題点について説明する。第1硬貨検出センサ122及び第2硬貨検出センサ124による検出の際に検出領域S上に異物107が滞留している場合には、異物107の磁気的な影響をセンサが受信しノイズとなる。また、滞留した異物107の上に硬貨Cが乗り上げることで、検出結果のばらつきが発生する恐れがある。また、異物107に硬貨Cが引っ掛かることで、正常な搬送が損なわれ、センサと硬貨Cの位置関係が変化する。かかる場合には、第1硬貨検出センサ122及び第2硬貨検出センサ124のセンサ出力が変動し、検出精度が悪化してしまう。
【0043】
これに対して、検出領域Sの周囲に搬送面溝142と規制面溝144を設ける場合には、搬送面103上の異物107が搬送面溝142や規制面溝144に入り込み、検出領域S上に異物が位置することを防止できる。この結果、上述した問題の発生を抑制し、高精度に硬貨の識別を行える。
【0044】
<2.第2の実施形態>
図6を参照しながら、第2の実施形態に係る硬貨識別装置100の構成について説明する。図6は、第2の実施形態に係る硬貨識別装置100の内部構成を示す断面図である。
【0045】
第2の実施形態に係る硬貨識別装置100は、第1の実施形態の搬送面溝142及び規制面溝144の代わりに、第1穴部の一例である搬送面貫通孔152と、第2穴部の一例である規制面貫通孔154を有する。他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0046】
搬送面貫通孔152は、規制面115において検出領域Sの周囲に位置する。搬送面貫通孔152は、搬送面103から下方へ延びてセンサ固定部130を貫通する孔である。搬送面貫通孔152にも、搬送面溝142と同様に、搬送面103上の異物107が入り込む(落下する)。搬送面貫通孔152の幅は、所定の大きさ以下の異物が入るように、搬送面溝142の幅と同じ大きさに設定されている。
【0047】
規制面貫通孔154は、規制面115において検出領域Sの周囲に位置する。規制面貫通孔154は、規制面115から左側へ延びてセンサ固定部130を貫通する孔である。規制面貫通孔154にも、規制面溝144と同様に、搬送面103上の異物107が入り込む。規制面貫通孔154の幅は、所定の大きさ以下の異物が入るように、規制面溝142の幅と同じ大きさに設定されている。
【0048】
第2の実施形態においても、搬送面貫通孔152と規制面貫通孔154を設けたことにより、第1の実施形態と同様に搬送面103上の異物107が除去され、異物107が検出領域S上に位置することを防止できる。
【0049】
次に、第2の実施形態に係る硬貨識別装置100の動作例について説明する。搬送面103上に滞留した異物107が、搬送面貫通孔152又は規制面貫通孔154に至るまでの流れは、第1の実施形態において異物107が搬送面溝142又は規制面溝144に至る流れと同様である。そして、異物107が搬送面貫通孔152又は規制面貫通孔154に入り込むことで、搬送面103上から異物107が除去される。このため、第1硬貨検出センサ122及び第2硬貨検出センサ124は、異物107の影響を受けずに、硬貨Cを適切に識別できる。
【0050】
なお、第2の実施形態に係る硬貨識別装置100においては、使用者が、搬送面103を清掃することがある。かかる場合には、使用者が、搬送面103に滞留した異物107を刷毛等の清掃具で掃いて、搬送面貫通孔152又は規制面貫通孔154に入り込ませることができる。これにより、搬送面103上から異物107が確実に除去される。
【0051】
上述した第2の実施形態によれば、穴部として搬送面貫通孔152や規制面貫通孔154のように貫通孔の構造を採用するため、搬送面103に滞留した異物107の量が多くても、搬送面貫通孔152や規制面貫通孔154の異物除去機能が損なわれることを防止できる。また、使用者が搬送面103を清掃する際に搬送面貫通孔152や規制面貫通孔154に異物107を入り込ませることで、搬送面103から容易に異物107を除去することができる。
【0052】
<3.第3の実施形態>
図7及び図8を参照しながら、第3の実施形態に係る硬貨識別装置100の構成について説明する。図7は、第3の実施形態に係る硬貨識別装置100の外観を示す斜視図である。図8は、硬貨識別装置100の内部構成を示す断面図である。
【0053】
第3の実施形態に係る硬貨識別装置100は、第2の実施形態と同様に、第1の実施形態の搬送面溝142及び規制面溝144の代わりに、搬送面貫通孔162と、規制面貫通孔164を有する。さらに、第3の実施形態に係る硬貨識別装置100は、異物受け皿166を有する。
【0054】
搬送面貫通孔162は、規制面115において検出領域Sの周囲に位置する。搬送面貫通孔152は、搬送面103から下方へ延びてセンサ固定部130を貫通する孔である。規制面貫通孔164は、規制面115において検出領域Sの周囲に位置する。規制面貫通孔154は、規制面115から下方へ延びてセンサ固定部130を貫通する孔である。
【0055】
搬送面貫通孔162及び規制面貫通孔164にも、図9に示す搬送面103上の異物107が入り込む。これにより、搬送面103上の異物107が除去され、異物107が検出領域S上に位置することを防止できる。図9は、搬送面103上に異物107が滞留している状態を示す図である。
【0056】
異物受け皿166は、搬送面貫通孔162及び規制面貫通孔164に入り込み落下した異物107を受ける。異物受け皿166は、搬送面貫通孔162及び規制面貫通孔164の先、すなわちセンサ固定部130の下に設けられている。異物受け皿166が異物107を受けることで、貫通孔162、164から落下した異物が装置内に飛散することを防止できる。なお、異物受け皿166は、異物の回収ができるように、硬貨識別装置100の使用者によって取り出し可能である。
【0057】
次に、第3の実施形態に係る硬貨識別装置100の動作例について説明する。搬送面103上に滞留した異物107が、搬送面貫通孔162又は規制面貫通孔164に入り込むまでの流れは、第2の実施形態と同様である。搬送面貫通孔162又は規制面貫通孔164に入り込んだ異物107は、貫通孔内を移動して、異物受け皿166に落ちる。
【0058】
第3の実施形態によれば、第2の実施形態と同様に、搬送面103に滞留した異物107の量が多くても、搬送面貫通孔152や規制面貫通孔154の異物除去機能が損なわれることを防止できる。特に、第3の実施形態の場合には、搬送面貫通孔162又は規制面貫通孔164に入り込んだ異物107が落下する異物受け皿166を設けたことにより、貫通孔から落下した異物が他の部分に飛散することを防止でき、硬貨識別装置100の動作不良が発生する可能性を低減できる。
【0059】
<4.まとめ>
上述した第1の実施形態〜第3の実施形態に係る硬貨識別装置100は、搬送面103において第1硬貨検出センサ122及び第2硬貨検出センサ124の検出領域Sの周囲に設けられ、異物107が入る搬送面溝142又は搬送面貫通孔152、162(第1穴部)を有する。これにより、搬送面103上の異物107が搬送面溝142又は搬送面貫通孔152、162に入り込み、第1硬貨検出センサ122及び第2硬貨検出センサ124の検出領域S上に異物107が位置することを防止できる。この結果、搬送面103上の異物107によって硬貨Cの検出の悪影響を及ぼすことを抑制可能となる。
【0060】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0061】
なお、上記において、第1穴部として、搬送面溝142と搬送面貫通孔152、162のいずれか一方を設けることとしたが、これに限定されない。例えば、検出領域Sの周囲に、搬送面溝と搬送面貫通孔を両方設けても良い。
【符号の説明】
【0062】
100 硬貨識別装置
102 搬送路
103 搬送面
104 搬送ベルト
107 異物
112 ガイド部
113 ガイド面
114 規制部
115 規制面
122 第1硬貨検出センサ
124 第2硬貨検出センサ
130 センサ固定部
132 第1センサ内蔵部
134 第2センサ内蔵部
142 搬送面溝
144 規制面溝
152、162 搬送面貫通孔
154、164 規制面貫通孔
166 異物受け皿
S 検出領域
M 磁束


【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨が搬送される搬送面と、
前記搬送面上の前記硬貨を検出する検出部材と、
前記搬送面において前記検出部材の検出領域の周囲に設けられ、異物が入る第1穴部と、
を備えることを特徴とする、硬貨識別装置。
【請求項2】
前記第1穴部は、少なくとも前記硬貨の搬送方向において前記検出領域の上流側に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の硬貨識別装置。
【請求項3】
前記第1穴部は、前記検出領域を囲むように設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の硬貨識別装置。
【請求項4】
前記硬貨を搬送方向に搬送する搬送部材と、
搬送される前記硬貨に接触して前記硬貨の移動を規制する規制面と、
前記規制面において前記検出領域の周囲に位置し、前記異物が入る第2穴部と、
を更に備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬貨識別装置。
【請求項5】
前記第1穴部は、前記異物が入る溝を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬貨識別装置。
【請求項6】
前記第1穴部は、前記異物が入る貫通孔を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬貨識別装置。
【請求項7】
前記貫通孔の先に設けられ、前記貫通孔に入った前記異物を受ける異物受け部を更に備えることを特徴とする、請求項6に記載の硬貨識別装置。
【請求項8】
前記検出部材は、前記搬送面を挟んで対向する第1検出センサ及び第2検出センサであり、
前記第1検出センサ及び前記第2検出センサは、前記搬送方向から見た場合にコの字形状の断面を有し前記搬送面を挟むセンサ固定部に、それぞれ内蔵されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬貨識別装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−109452(P2013−109452A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252340(P2011−252340)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】