硬貨識別装置
【課題】温度変化や電源の変化が生じた場合、硬貨の搬送ベルトの走行速度が設定値通りにならず、搬送方向下流側の硬貨識別部における硬貨の識別を精度良く行えない。
【解決手段】一実施形態によれば、硬貨の投入口と、投入された硬貨を金種別に収納する収納部と、収納部及び投入口間において硬貨の種別を識別する識別部と、識別部に対して投入口からの硬貨をこの硬貨の表裏何れかの面に接して搬送する搬送機構と、搬送機構を駆動し、所定の設定速度で硬貨に識別部を通過させる駆動源と、駆動により硬貨が投入口から識別部へ移動する速度を検知する検知部と、検知部が検知する硬貨の搬送の実速度により移動の速度を一定に制御する制御部とを備え、この制御部は実速度及び所定設定速度間のずれを解消するように駆動源を制御することを特徴とする硬貨識別装置が提供される。
【解決手段】一実施形態によれば、硬貨の投入口と、投入された硬貨を金種別に収納する収納部と、収納部及び投入口間において硬貨の種別を識別する識別部と、識別部に対して投入口からの硬貨をこの硬貨の表裏何れかの面に接して搬送する搬送機構と、搬送機構を駆動し、所定の設定速度で硬貨に識別部を通過させる駆動源と、駆動により硬貨が投入口から識別部へ移動する速度を検知する検知部と、検知部が検知する硬貨の搬送の実速度により移動の速度を一定に制御する制御部とを備え、この制御部は実速度及び所定設定速度間のずれを解消するように駆動源を制御することを特徴とする硬貨識別装置が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一実施形態は硬貨識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
硬貨入出金装置はPOS(Point Of Sales)端末やセルフPOS装置、ECR(Electronic Cash Register)等の電子機器に接続されて使用されている。
【0003】
近年、1円,5円,10円,50円,100円,500円等の硬貨を判別し、これらを金種毎に収納し、POS端末やECRからの釣り銭の払出し指令により、硬貨収納部内の硬貨を釣り銭額だけ硬貨払出口に払い出すようにした硬貨入出金装置が普及している。硬貨の識別精度を向上させる技術が知られている(例えば特許文献1〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−367006号公報
【特許文献2】特開平07−141546号公報
【特許文献3】特開平08−110961号公報
【特許文献4】特許第3335539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、装置が設置される環境によっては、温度の変化や電源電圧の変化が生じた場合、硬貨の搬送ベルトの走行速度が設定値通りにならないことがある。そうすると搬送方向下流側に設けられた硬貨識別部における硬貨の種別判定を精度良く行えないことがある。装置は偽貨を正しく排除できないことが生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するため、一実施形態によれば、硬貨の投入口と、この投入口より投入された前記硬貨を金種別に収納する収納部と、この収納部および前記投入口の間に設けられ、前記硬貨の種別を識別する識別部と、この識別部に対して前記投入口から送り出される前記硬貨を、この硬貨の表裏何れかの面に接して搬送する搬送機構と、この搬送機構を駆動させる駆動源と、前記硬貨が前記投入口から前記識別部へ移動する速度を検知する検知部と、この検知部が検知する前記硬貨の搬送の実速度により前記速度を一定に制御する制御部と、を備え、この制御部は、前記実速度および所定の設定速度間のずれを解消するように前記駆動源を制御することを特徴とする硬貨識別装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態に係る硬貨識別装置の外観斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る硬貨識別装置に用いられる硬貨の搬送機構ユニットの斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係る硬貨識別装置の縦断面図である。
【図4】第1の実施形態に係る硬貨識別装置の識別部の縦断面図である。
【図5】第1の実施形態に係る硬貨識別装置の搬送機構の一部分を示す上面図である。
【図6】第1の実施形態に係る硬貨識別装置の検知部の側面図である。
【図7】第1の実施形態に係る硬貨識別装置の電気的な接続関係を示すブロック図である。
【図8】(a)〜(c)はそれぞれ第1の実施形態に係る硬貨識別装置の検知部の出力波形を示す図である。
【図9】関連技術に係る硬貨識別装置の斜視図である。
【図10】第1の実施形態の変形例に係る硬貨識別装置の搬送機構の上面図である。
【図11】第2の実施形態に係る硬貨識別装置の検知部の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態に係る硬貨識別装置について、図1乃至図11を参照しながら説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0009】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る硬貨識別装置は硬貨入出金装置である。
【0010】
図1は硬貨入出金装置の外観斜視図である。同図には、天板を取り外した状態の装置上部が示されている。図2は硬貨の搬送機構ユニットの斜視図である。図1、図2中、同じ符号は互いに同じ要素を表す。
【0011】
硬貨入出金装置10は、顧客又は店員が投入した硬貨を搬送してこの硬貨の金種を識別し、硬貨を金種別に区切られた収納室16に選別して収納し、硬貨払出指示に応じて収納室16から硬貨を払出口68へ送り出すようにした循環型の装置である。硬貨入出金装置10は、硬貨の入出金を行う入出金ユニット11と、この入出金ユニット11の筐体12と、この筐体12の上部を覆う図示しない天板とを備えている。
【0012】
入出金ユニット11は、硬貨入出金装置10の前部に配置された投入口13及びこの硬貨の排出開口である排出端面14を有する硬貨受入部15と、この硬貨受入部15より投入された硬貨を金種別に仕切られた収納室16に収納する硬貨収納部17(収納部)と、硬貨収納部17及び投入口13の間に設けられ、電気的に硬貨の種別を識別する硬貨識別部18(識別部)と、硬貨識別部18に対して投入口13から送り出される硬貨を、この硬貨の表裏何れかの面に接した状態で搬送する硬貨搬送機構19(搬送機構)とを備えている。
【0013】
更に入出金ユニット11は、硬貨搬送機構19を駆動し、硬貨を所定の設定速度で硬貨識別部18を通過させる搬送モータ20(駆動源)と、搬送モータ20による駆動により硬貨が排出端面14から硬貨識別部18へ移動する速度を検知するエンコーダ21(検知部)と、エンコーダ21が検知する硬貨の実速度により硬貨の速度が一定値になるように制御するコントローラ22(制御部)と、硬貨搬送機構19が搬送した硬貨を金種別に選別する硬貨選別部23と、硬貨収納部17に収納された硬貨をコントローラ22からの指令により払い出す硬貨払出部24とを備えている。硬貨の所定設定速度とは、識別判定処理に必要な測定時間長で硬貨が硬貨識別部18を通過する硬貨の移動速度を指す。所定設定速度は予め決められており、コントローラ22に記憶されている。
【0014】
本実施形態では、コントローラ22が、これらの実速度及び所定設定速度間のずれを解消するように搬送モータ20を制御するようにしている。コントローラ22がエンコーダ21の出力の変化を検知し、搬送モータ20の回転速度を補正することによって、搬送ベルトの送り速度が常に一定になるように制御するようになっている。
【0015】
硬貨受入部15は、上方に開口した投入口13から、複数枚の硬貨がまとまって投入されることを許容する。硬貨受入部15の下部には、投入された硬貨を遮光により検出する複数例えば2組の投入センサ25が設けられている。排出端面14にはこの排出端面14にベルト外周面を向けた状態で投入ベルト26が設けられている。投入ベルト26は、図5のように投入モータ27、プーリ28によって走行駆動されており、硬貨を硬貨入出金装置10の奥側へと搬送する。硬貨受入部15の下部且つ投入ベルト26のベルト面の上方には、投入プーリ29が設けられている。この投入プーリ29は投入ベルト26上の複数枚の硬貨を一枚ずつ分離して送出するようにしている。
【0016】
硬貨収納部17は硬貨選別部23から落下した硬貨を受ける位置に配置された空間である。硬貨入出金装置10の装置幅方向で中央を通る面で切断した縦断面図を図3に示す。装置幅方向とは筐体12の正面に対峙して左右方向を指す。
【0017】
図3は硬貨入出金装置10の縦断面図である。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。硬貨収納部17は、それぞれ間仕切り板30により仕切られた金種別の6つの収納室16を有する。これらの収納室16は装置幅方向に並列して設けられている。
【0018】
また、硬貨収納部17(図1、図2)と、硬貨受入部15との間の硬貨搬送経路上に配設された硬貨識別部18は、少なくとも硬貨の材質を検知する材質センサを備えている。材質センサは例えば磁気センサである。
【0019】
図4は材質センサによる検知方法を示す硬貨識別部18の縦断面図である。同図右、左はそれぞれ硬貨入出金装置10の右側面、左側面側に対応する。既述の符号はそれらと同じである。材質センサ33は、例えば磁性体及び巻線式のコイルを有し、磁束の量によって硬貨の材質等を検知するものである。プレート状の搬送ベース31の上面は硬貨Cの搬送面として加工形成されており、この搬送ベース31上に重ねられたガイドプレート32に案内されて硬貨Cはこの搬送面上を搬送される。材質センサ33は搬送面との間に隙間を空けた状態で枠材などに取付けられている。搬送面及び材質センサ33間のギャップの幅は一枚の硬貨Cが通過可能な程度の寸法を有する。搬送ベース31には上面視切欠き円形状の貫通孔34が、材質センサ33と対面する位置に形成されている。貫通孔34の直径は、材質センサ33の外形寸法よりも大きい。材質センサ33はコイルに電流を流して磁束を発生させ、硬貨Cが貫通孔34の直上を移動すると、硬貨Cは磁界中を通過し、磁束が硬貨内部を貫く。硬貨内部を貫く磁束の数は硬貨Cの金種毎に異なる。硬貨Cの径に応じて硬貨内部を貫く磁束の数は異なる。材質センサ33は、硬貨Cの金種毎に固有な値をコントローラ22へ出力する。
【0020】
図5は硬貨搬送機構19の一部分を示す上面図である。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。硬貨識別部18は更に、硬貨の直径を検知する直径センサ35を設けている。直径センサ35は例えば遮光式の光学的センサである。直径センサ35は片寄せ搬送時、硬貨が案内される側の硬貨端部とは反対側の硬貨端部を検出する。硬貨識別部18は、硬貨の孔の有無や、硬貨の厚み、硬貨の反射率、硬貨の凹凸形状のいずれか一つ以上を検知するセンサを設けても良い。
【0021】
図6はエンコーダ21の側面図である。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。硬貨搬送機構19は、搬送ベース31と、この搬送ベース31の搬送面に硬貨を押し付けながら硬貨を搬送する搬送ベルト36と、搬送ベルト36を巻掛けるプーリ37と、このプーリ37と対をなすプーリ38(図1等参照)と、それぞれプーリ37、37間に設けられ搬送ベルト36を折返して巻掛ける上下一対のプーリ39、39(屈曲プーリ)とを備えている(下側のプーリ39は図示されていない)。
【0022】
搬送ベース31は投入ベルト26の硬貨搬送方向下流側に設けられ硬貨が送り出される方向に配置されている。搬送ベース31の投入口13側の端部には片40が形成されている。この片40は硬貨搬送経路を連続させる。硬貨搬送経路とは投入口13から硬貨収納部17内に至る硬貨の通過経路を指す。ガイドプレート32は搬送ベース31の搬送面上に固定されており、搬送方向下流側に向かって硬貨搬送経路の経路幅を狭めている。ガイドプレート32の側縁部は投入ベルト26上の搬送経路に干渉する。搬送ベース31及びガイドプレート32の材質は、硬貨よりも硬い金属製である。また、搬送ベース31上において、硬貨搬送方向の下流側には排除部41が形成されている。排除部41は、最大径の硬貨が落下する径を持つ貫通孔と、この貫通孔を塞ぐシャッタ42と、このシャッタ42を開閉させるリジェクトソレノイド43(図7)と、落下した硬貨を溜めるボックスとを備えている。
【0023】
搬送ベルト36の材質は例えば合成ゴムである。搬送ベルト36をベルト長方向に直交する面で切断したときのこの搬送ベルト36の断面形状は円形である。搬送ベルト36はプーリ37、38の外周凹状の湾曲面に嵌合している。
【0024】
プーリ37は投入口13に連なる硬貨搬送経路の入口に設けられた従動プーリである。プーリ38は搬送ベルト36を搬送モータ20の駆動力により走行させる駆動プーリである。搬送ベルト36が周回走行したときの周回長が予め決められた値になるようにプーリ37、38、39は位置決めされている。また、搬送ベルト36は、プーリ37及びプーリ38間において、互いに逆方向に走行する第1及び第2のベルト部分からなる。下方を走行する第1のベルト部分は搬送ベース31の搬送面の直上を走行し、硬貨を搬送面上に押し付けている。第1のベルト部分の内周面は複数のアイドラプーリ44により支持されている。プーリ39によって搬送ベルト36のベルト走行方向が変えられており、搬送ベルト36は、上面視略L字状を成す。プーリ38が等速回転すると、搬送ベルト36は等速回転する。
【0025】
搬送モータ20(図2)は矢印u方向の回転力を発生させる駆動源である。搬送モータ20は電圧を電源部45から供給されている。
【0026】
また、エンコーダ21は、プーリ37の回転軸と同軸状にこのプーリ37に取付けられている。エンコーダ21はパルス信号列をコントローラ22へ出力する。パルス信号列は回転スリット板48の回転速度や回転角を表す。回転速度とは、スリット47の位置に対応する回転スリット板48の半径に、回転スリット板48の角速度を乗じた値を指す。図5、図6に示すように、エンコーダ21は、発光素子46と、発光素子46からの照射光を透過、遮光するスリット47の列を有する回転スリット板48と、この回転スリット板48によりパルス幅変調された光パルス信号の列を光電変換する受光素子49とを備えている。
【0027】
更に図2の硬貨搬送機構19は、搬送モータ20の出力軸50に連結されたプーリ51を備えている。投入ベルト26から搬送された硬貨は、プーリ38の下流側で搬送ベルト36により搬送ベース31上に押し付けられながら硬貨選別部23へ渡される。
【0028】
硬貨選別部23は、上面を硬貨の搬送面とするプレート状の選別ベース52と、プーリ51及びプーリ38間に掛け渡され搬送面に硬貨を押し付けながら搬送する選別ベルト53とを有する。選別ベース52には、選別ベルト53のベルト走行方向に沿って6個の選別孔54が貫通形成されている。これらの選別孔54の孔幅寸法は、搬送方向上流から下流に沿って順次拡大するように形成されている。選別孔54は、図2の右下から左上へ1円、50円、5円、100円、10円、500円の順に形成されている。選別ベルト53は、搬送する硬貨を、この硬貨に対応する選別孔54から落下させる。選別孔54は、金種別の複数の収容空間を有する硬貨収納部17に連通している。各選別孔54には、金種別に硬貨の枚数をカウントする遮光式の収納計数センサ55が設けられている(図2では1つの収納計数センサ55のみ表示されている)。
【0029】
また、硬貨選別部23のプーリ38(第1のプーリ)、プーリ51(第2のプーリ)と、硬貨搬送機構19の先頭のプーリ37、上下2段のプーリ39、従動プーリであるアイドラプーリ44とは、フレーム56(図1)に回転可能に支持されている。これらのフレーム56、プーリ37〜39及び51、アイドラプーリ44、搬送ベルト36及び選別ベルト53(他のベルト)は一ユニット化されており、搬送機構ユニット57を構成している。筐体12正面から見て左方に位置するフレーム56の基端部には、出力軸50に対して同軸的に配置された軸受部58が設けられており、この軸受部58と、プーリ51の回転軸とが同軸状に配置されている。搬送機構ユニット57は、軸受部58の軸芯を中心とした回転を行えるようになっている。人がフレーム56を開閉することにより、搬送機構ユニット57は、閉状態ではフレーム56が入出金ユニット11内に収められ硬貨の搬送面を覆い、開状態ではこの搬送面を露出させるように構成されている。
【0030】
また、硬貨払出部24は、図3にその一つが示されるように、各収納室16の底部に無端状の払出ベルト59を備えている。6本の払出ベルト59の何れか一つ以上をコントローラ22が選択的に駆動することが可能にされている。各払出ベルト59は、駆動プーリ60、従動プーリ61及びアイドラプーリ62に支持されている。払出モータ63が駆動プーリ60を回すと、払出ベルト59は回転走行する。払出ベルト59は、硬貨収納部17の後部から前部へ向けて硬貨を搬送する。
【0031】
更に硬貨払出部24は、硬貨収納部17の前方側の開口に、6室間で共用される1個のリバースローラ64、6個の払出シャッタ65、6個の払出計数センサ66を有する。リバースローラ64は硬貨排出方向とは逆方向に回転し、払出ベルト59による硬貨の払出を一枚ずつに分離する。払出シャッタ65はピン状である。払出ソレノイド67は選択的に払出シャッタ65を上げ下げし、硬貨の待機、硬貨の払出が選択されるようになっている。各払出計数センサ66は金種別に設けられた遮光式の光センサであり、それぞれ払出ベルト59上の硬貨の枚数を計数する。硬貨払出部24には硬貨入出金装置10の前方のカバーへ硬貨を案内する図示しない壁体が設けられており、この壁体を通って硬貨は払出口68に払い出されるようになっている。払出口68は上方に開口したトレイであり、払出ベルト59によって払い出された硬貨を受ける。
【0032】
図7は硬貨入出金装置10の電気的な接続関係を示すブロック図である。コントローラ22は、CPU69と、ファームウエア、上位プログラム及び設定値等を記憶するROM70と、作業用のRAM71と、バス72とを備えている。コントローラ22は、投入センサ25、収納計数センサ55、払出計数センサ66、材質センサ33、直径センサ35等からの検知結果を取込む。コントローラ22は、硬貨排除用のシャッタ42を開閉するリジェクトソレノイド43と、払出シャッタ65を開閉する払出ソレノイド67等に駆動信号を出力する。コントローラ22は、投入モータ27、搬送モータ20、払出モータ63の駆動を制御する。コントローラ22は、POS端末73との間で情報データや制御信号を送受信するための通信インターフェース74を有する。
【0033】
上述の構成の硬貨入出金装置10は、硬貨が投入口13より投入されたことを投入センサ25により検知する。投入センサ25の検出信号の受信によりCPU69は、投入モータ27と搬送モータ20とを駆動し始める。投入ベルト26、搬送ベルト36及び選別ベルト53が走行し始める。ファームウエアの実行により、コントローラ22は、プーリ37の従動軸に配置されたエンコーダ21からの出力を監視する。
【0034】
図8(a)〜図8(c)はそれぞれエンコーダ21の出力波形を示す図である。コントローラ22は、硬貨搬送経路の先頭に位置するプーリ37について、エンコーダ21の波形論理がハイである期間の時間長を計測する。回転速度が正常値の範囲内である間、エンコーダ21は図8(a)に示すように、全て時間長t1を有する複数のパルス信号の列を出力する。ROM70には、予め時間長t1の誤差の許容範囲が記憶されている。正常とコントローラ22が判断すると、搬送モータ20の制御を行わずに硬貨を搬送する。
【0035】
投入ベルト26の先端部から硬貨識別部18までの距離は固定的であるため、搬送速度が所定の設定速度である間、硬貨が硬貨識別部18へ到達するまでの時間は一定である。硬貨識別部18が各硬貨の種別を識別するために要する測定時間は一定の長さを持つ。この測定時間の間、硬貨識別部18は、片寄せ搬送されてきた硬貨の情報を検知し検知データをコントローラ22へ送る。コントローラ22は検知結果に基づいて投入された硬貨を、正貨か偽貨かを判定する。
【0036】
コントローラ22が正貨と判定すると、硬貨搬送機構19に硬貨を硬貨選別部23にまで搬送させる。コントローラ22は、リジェクトソレノイド43を駆動制御せず、シャッタ42を閉状態のままにする。硬貨は硬貨選別部23へ搬送され、直径に対応する選別孔54から硬貨は自然に落下する。硬貨は硬貨収納部17に収納される。硬貨の落下時、収納計数センサ55がコントローラ22へ通知する。コントローラ22は全6種の硬貨の枚数カウンタをRAM71に生成して保持しており、通知された金種の硬貨の枚数カウンタをカウントアップする。一方、コントローラ22が、投入された硬貨が偽貨と判定すると硬貨を排除する。硬貨が通過する位置に設けられたシャッタ42を、コントローラ22は、硬貨の情報を検知してから所定時間経過後に開放し、偽貨である硬貨を排除部41から落下させる。偽貨が硬貨収納部17に搬送されることが防止される。コントローラ22は、POS端末73からの硬貨払出指示を受信すると、払出ベルト59を駆動する。コントローラ22は、所望する金種毎に払出ソレノイド67を駆動して、必要枚数の硬貨を払出口68に払い出す。
【0037】
また、図8(b)にプーリ37の回転速度が遅い場合のエンコーダ21の出力波形例を示す。回転速度が遅くなる要因は温度や電圧による。即ち搬送モータ20の回転速度が一定である状態において、室温の上昇などにより搬送ベルト36のベルト長が伸びた場合あるいは搬送モータ20の供給電圧が低くなった場合、回転速度が遅くなる。コントローラ22は波形がハイである期間の時間長t2により、回転速度が遅くなったことを検知する。コントローラ22はプーリ37の回転速度が一定となって硬貨の送り速度が一定になるように搬送ベルト36の走行速度を補正する。補正は、CPU69が速度値をROM70から読込みモータドライバ75に回転速度を上げる指令を出力することにより行われる。例えば時間長と、搬送モータ20へ指令するための駆動電圧との対応テーブルを予めROM70は格納しておく。ROM70は、時間長と、駆動電圧とを関係づける演算式を格納しておいてもよい。対応テーブルあるいは演算式は、実機を使った実験、テスト、シミュレーションを通じて決定される。
【0038】
図8(c)にプーリ37の回転速度が早い場合のエンコーダ21の出力波形例を示す。回転速度が早くなる要因は、搬送モータ20の回転速度が一定である状態において、室温の低下などにより搬送ベルト36のベルト長が縮むこと、あるいは搬送モータ20の供給電圧が高くなったことである。コントローラ22は時間長t3により、速度が上昇したことを検知する。コントローラ22はモータドライバ75を介して搬送モータ20の回転速度を下げる補正を行う。コントローラ22はエンコーダ21の出力により硬貨の送り速度が一定になるようにベルト速度を補正する。速度値をCPU69はROM70を参照して決定する。
【0039】
コントローラ22は、硬貨の搬送ベルト36の走行速度を検知し、搬送モータ20の回転速度を補正することによって、搬送ベルト36の送り速度が常に一定になるように制御することができる。
【0040】
実施形態に係る硬貨識別装置と関連技術に係る硬貨識別装置とを対比して述べる。図9は関連技術に係る硬貨識別装置の斜視図である。同図にはフレームを取り外した例が示されている。既述の符号は上述した要素と同じ又は同等の要素を表す。この硬貨識別装置の硬貨搬送機構150では、投入プーリ29よりも搬送方向下流側にスペースを空けずにプーリ37が設けられている。硬貨搬送機構150の途中に硬貨識別部18Aが設けられている。搬送ベルト36及び選別ベルト53は、温度の変化により、ベルト長方向に伸びあるいは縮む。商用電源の電圧や周波数の変動が生じることがある。搬送モータ20を構成する部品のばらつきにより、搬送モータ20の回転速度が装置設定値より多少速くなり、あるいは遅くなることがある。
【0041】
搬送ベルト36が硬貨を硬貨識別部18Aへ搬送する。硬貨識別部18Aでは硬貨の搬送速度が変化すると、一枚の硬貨についての測定時間の時間長が変動する。関連技術に係る硬貨識別装置は金種の識別判定を高い精度で行えないことがある。装置の設置環境によっては、温度の変化や電源電圧の変化が生じた場合、搬送モータ20の回転速度が通常の設定値通りにならない場合がある。例えば、設定値よりも多少速くなり、あるいは遅くなることがある。
【0042】
一方、硬貨入出金装置10を総括すると、通常は電気回路により、ある一定の速度で搬送モータ20を回転させており、搬送ベルト36によって硬貨を一定の速度で搬送させている。例えば搬送されてきた硬貨を硬貨識別部18が判別し、CPU69が正貨以外(偽貨)であると判断した場合にはCPU69は硬貨識別部18の先の硬貨排除部(排除部41)のシャッタ42を開き、該当の偽貨をボックスへ落としている。この時、偽貨をボックスへ落とすタイミングは、硬貨の搬送速度から決められている。よって、硬貨の搬送時間(通過時間)が常に一定であることが硬貨判別排除装置には必要とされる。ベルト速度の補正により、硬貨の送り速度を一定にすることができる。硬貨の搬送時間が一定であることを高い精度で提供することができるようになる。
【0043】
本実施形態に係る硬貨識別装置では、従動軸にエンコーダ21を配置しファームウエアで硬貨の搬送ベルト36の走行速度を検知し、ベルト速度を補正することによって、投入口13から投入された硬貨の送り速度を常に一定に保つことができるようになる。これにより、装置がこの装置が設定される環境による影響を仮に受けたとしても、装置がベルト速度を補正し常に一定速度で硬貨を搬送できる為、精度良く硬貨判別及び硬貨排除ができる。
【0044】
(変形例)
上記第1の実施形態では、プーリ51を回す搬送モータ20の出力軸50が搬送機構ユニット57の支軸と同軸配置されていたが、搬送モータ20は搬送経路上で別の箇所に設けても良い。
【0045】
図10は第1の実施形態の変形例に係る硬貨識別装置に用いられる搬送機構の上面図である。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。同図の例では、プーリ38にこのプーリ38を回す搬送モータ76が設けられている。搬送モータ76はコントローラ22により制御されている。エンコーダ21の出力によってコントローラ22が搬送モータ76の回転速度を制御する。コントローラ22は、投入口13から硬貨識別部18に至る搬送経路上において硬貨の搬送速度が予め決められた所定の設定速度になるようにベルト速度を補正する。
【0046】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、コントローラ22は、エンコーダ21を用いて硬貨の搬送の実速度を計測していたが、硬貨の搬送速度は別の方法によって計測してもよい。
【0047】
図11は第2の実施形態に係る硬貨識別装置に用いられる検知部の上面図である。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。この検知部以外について上記硬貨入出金装置10が有する構成と実質同じ構成を本実施形態に係る硬貨識別装置は備えている。
【0048】
搬送機構77は、先頭のプーリ37と、このプーリ37に折返して巻掛けられた搬送ベルト36と、この搬送ベルト36をプーリ38(同図では図示されていない)とを備えている。検知部78は、それぞれ遮光式の2組の通過センサ79を備えている。通過センサ79は発光素子80と受光素子81とを有する。これらの通過センサ79は投入口13及び硬貨識別部18の間の硬貨搬送経路にそれぞれ設けられ硬貨の通過を検出する。2組の通過センサ79の設置間隔は、最大径を持つ硬貨の直径よりも大きくされている。硬貨搬送方向で硬貨の前端及び後端を通過センサ79が検知するためだからである。コントローラ22は、これらの通過センサ79の出力により硬貨の送り速度が一定になるように搬送モータ20の回転速度を制御し搬送ベルト36の走行速度を補正するようにしている。
【0049】
このような構成の本実施形態に係る硬貨識別装置が、硬貨が投入されたことを検知すると、コントローラ22は、投入モータ27と搬送モータ20とを駆動し始める。最初の硬貨によって搬送速度の計測をコントローラ22は実行する。コントローラ22は各通過センサ79に通電する。コントローラ22は硬貨Cを投入口13から投入ベルト26上に送り出す。第1の位置での光ビームを硬貨Cが遮光し、コントローラ22は遮光を検知する。さらに第1の位置から、ROM70に予め記憶された既知の設置間隔だけ離れた第2の位置において硬貨Cは光ビームを遮光する。コントローラ22は2回目の遮光を検知すると、通過時間を求め、既知の設置間隔より搬送速度を計算する。
【0050】
搬送速度が正常値の範囲内である場合、コントローラ22は硬貨をそのまま搬送する。搬送速度が早い場合、コントローラ22は搬送モータ20の回転速度を落とし、硬貨の送り出し速度を遅くする。搬送速度が遅い場合、コントローラ22は搬送モータ20の回転速度を上げ、硬貨の送り出し速度を早くする。
【0051】
本実施形態に係る硬貨識別装置はベルト速度を補正し常に一定速度で硬貨を搬送できる為、精度良く硬貨判別及び硬貨排除ができる。
【0052】
(第3の実施形態)
また、温度の変化や電源電圧の変化を検出するセンサを筐体12に設けておき、変化が生じたことを検知した場合、ベルト速度が所定の設定速度になるように制御してもよい。第3の実施形態に係る硬貨識別装置は上記第1の実施形態での硬貨入出金装置10が有する構成と実質同じ構成を備えている。
【0053】
図7に示すように、コントローラ22は硬貨搬送機構19の温度を検知する温度センサ82を備えて構成されてもよい。温度とは室温、環境温度を指す。温度センサ82には例えばサーミスタが用いられる。温度センサ82の出力により温度が高いと、コントローラ22は搬送モータ20の回転速度を上げるように制御する。温度が低いと、コントローラ22は搬送モータ20の回転速度を下げる。ROM70は、検出温度と、回転速度の目標値との対応関係や、あるいは演算式を記憶しておく。搬送ベルト36のベルト材が温度により伸縮したとしても、硬貨の送り出し速度を常に一定の所定の設定速度にすることができる。
【0054】
また、コントローラ22は電源部45(図1)の出力電圧の変動を検知する電源出力センサ83を備えてもよい。電源出力センサ83の機能は例えばキャパシタ、ダイオード、抵抗器、オンオフトランジスタなどから成る直流電圧検知回路により実行される。電源出力センサ83の出力により電圧が大きい場合、コントローラ22は搬送モータ20の回転速度を下げるように制御する。電圧が小さい場合、コントローラ22は搬送モータ20の回転速度を上げるように制御する。ROM70は、検出電圧と、回転速度の目標値との対応関係や演算式を記憶しておく。硬貨の送り出し速度を常に一定の所定の設定速度にすることができる。
【0055】
本実施形態に係る硬貨識別装置では、硬貨の搬送速度を簡易な制御で補正することができる。
【0056】
温度センサ82及び電源出力センサ83は、第1の実施形態の変形例による硬貨識別装置と、第2の実施形態による硬貨識別装置とに設けてもよい。
【0057】
(その他)
上記硬貨識別部18の材質センサには磁束変化を検出する磁気センサが用いられる例を説明したが、磁気センサには、コイルインピーダンスの変化を検出する方式のものを用いてもよい。例えば材質センサは、コイルと、コイルに接続された発振回路と、この発振回路に接続された整流回路とを設ける。この材質センサでは、コイルに硬貨が接近したときにコイルのインピーダンスが変化し、発振回路の発振レベルが変化する。整流回路は発振回路の出力を整流してCPUに出力する。CPUは、その出力値と予め設定されている正規の硬貨である正貨の値とを比較して、硬貨が正貨であるか、あるいは正規の硬貨とは異なる偽物の硬貨である偽貨であるかを判定する。直径を検知するセンサや、硬貨の孔の有無あるいは硬貨の厚みを検知するセンサも検出値をCPUへ出力し、CPUが正貨又は偽貨を判定するようにしてもよい。硬貨の金種を識別するセンサを変更して実施したに過ぎない実施品に対して、実施の形態に係る硬貨識別装置の優位性は何ら損なわれるものではない。
【0058】
図8(b)、図8(c)では、例えば搬送ベルト36の滑りや、又は異物がベルト表面に付着する等により、速度変化が生じることが考えられる。あるいは商用電源の周波数等によっても、搬送モータ20は変化しうる。CPU69は、搬送ベルト36のベルト長の変動や搬送モータ20の供給電圧の変動等が重畳して生じた場合においても、図8(b)、図8(c)の例と同様にして、搬送モータ20の回転速度を補正することにより一定に制御することが可能である。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0060】
10…硬貨入出金装置(硬貨識別装置)、11…入出金ユニット、12…筐体、13…投入口、14…排出端面、15…硬貨受入部、16…収納室、17…硬貨収納部(収納部)、18…硬貨識別部(識別部)、19…硬貨搬送機構(搬送機構)、20…搬送モータ(駆動源)、21…エンコーダ(検知部)、22…コントローラ(制御部)、23…硬貨選別部、24…硬貨払出部、25…投入センサ、26…投入ベルト、27…投入モータ、28…プーリ、29…投入プーリ、30…間仕切り板、31…搬送ベース、32…ガイドプレート、33…材質センサ、34…貫通孔、35…直径センサ、36…搬送ベルト、37,38…プーリ、39…プーリ(屈曲プーリ)、40…片、41…排除部、42…シャッタ、43…リジェクトソレノイド、44…アイドラプーリ、45…電源部、46…発光素子、47…スリット、48…回転スリット板、49…受光素子、50…出力軸、51…プーリ、52…選別ベース、53…選別ベルト、54…選別孔、55…収納計数センサ、56…フレーム、57…搬送機構ユニット、58…軸受部、59…払出ベルト、60…駆動プーリ、61…従動プーリ、62…アイドラプーリ、63…払出モータ、64…リバースローラ、65…払出シャッタ、66…払出計数センサ、67…払出ソレノイド、68…払出口、69…CPU、70…ROM、71…RAM、72…バス、73…POS端末、74…通信インターフェース、75…モータドライバ、76…搬送モータ、77…搬送機構、78…検知部、79…通過センサ、80…発光素子、81…受光素子、82…温度センサ、83…電源出力センサ。
【技術分野】
【0001】
一実施形態は硬貨識別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
硬貨入出金装置はPOS(Point Of Sales)端末やセルフPOS装置、ECR(Electronic Cash Register)等の電子機器に接続されて使用されている。
【0003】
近年、1円,5円,10円,50円,100円,500円等の硬貨を判別し、これらを金種毎に収納し、POS端末やECRからの釣り銭の払出し指令により、硬貨収納部内の硬貨を釣り銭額だけ硬貨払出口に払い出すようにした硬貨入出金装置が普及している。硬貨の識別精度を向上させる技術が知られている(例えば特許文献1〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−367006号公報
【特許文献2】特開平07−141546号公報
【特許文献3】特開平08−110961号公報
【特許文献4】特許第3335539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、装置が設置される環境によっては、温度の変化や電源電圧の変化が生じた場合、硬貨の搬送ベルトの走行速度が設定値通りにならないことがある。そうすると搬送方向下流側に設けられた硬貨識別部における硬貨の種別判定を精度良く行えないことがある。装置は偽貨を正しく排除できないことが生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するため、一実施形態によれば、硬貨の投入口と、この投入口より投入された前記硬貨を金種別に収納する収納部と、この収納部および前記投入口の間に設けられ、前記硬貨の種別を識別する識別部と、この識別部に対して前記投入口から送り出される前記硬貨を、この硬貨の表裏何れかの面に接して搬送する搬送機構と、この搬送機構を駆動させる駆動源と、前記硬貨が前記投入口から前記識別部へ移動する速度を検知する検知部と、この検知部が検知する前記硬貨の搬送の実速度により前記速度を一定に制御する制御部と、を備え、この制御部は、前記実速度および所定の設定速度間のずれを解消するように前記駆動源を制御することを特徴とする硬貨識別装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態に係る硬貨識別装置の外観斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る硬貨識別装置に用いられる硬貨の搬送機構ユニットの斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係る硬貨識別装置の縦断面図である。
【図4】第1の実施形態に係る硬貨識別装置の識別部の縦断面図である。
【図5】第1の実施形態に係る硬貨識別装置の搬送機構の一部分を示す上面図である。
【図6】第1の実施形態に係る硬貨識別装置の検知部の側面図である。
【図7】第1の実施形態に係る硬貨識別装置の電気的な接続関係を示すブロック図である。
【図8】(a)〜(c)はそれぞれ第1の実施形態に係る硬貨識別装置の検知部の出力波形を示す図である。
【図9】関連技術に係る硬貨識別装置の斜視図である。
【図10】第1の実施形態の変形例に係る硬貨識別装置の搬送機構の上面図である。
【図11】第2の実施形態に係る硬貨識別装置の検知部の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態に係る硬貨識別装置について、図1乃至図11を参照しながら説明する。尚、各図において同一箇所については同一の符号を付すとともに、重複した説明は省略する。
【0009】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る硬貨識別装置は硬貨入出金装置である。
【0010】
図1は硬貨入出金装置の外観斜視図である。同図には、天板を取り外した状態の装置上部が示されている。図2は硬貨の搬送機構ユニットの斜視図である。図1、図2中、同じ符号は互いに同じ要素を表す。
【0011】
硬貨入出金装置10は、顧客又は店員が投入した硬貨を搬送してこの硬貨の金種を識別し、硬貨を金種別に区切られた収納室16に選別して収納し、硬貨払出指示に応じて収納室16から硬貨を払出口68へ送り出すようにした循環型の装置である。硬貨入出金装置10は、硬貨の入出金を行う入出金ユニット11と、この入出金ユニット11の筐体12と、この筐体12の上部を覆う図示しない天板とを備えている。
【0012】
入出金ユニット11は、硬貨入出金装置10の前部に配置された投入口13及びこの硬貨の排出開口である排出端面14を有する硬貨受入部15と、この硬貨受入部15より投入された硬貨を金種別に仕切られた収納室16に収納する硬貨収納部17(収納部)と、硬貨収納部17及び投入口13の間に設けられ、電気的に硬貨の種別を識別する硬貨識別部18(識別部)と、硬貨識別部18に対して投入口13から送り出される硬貨を、この硬貨の表裏何れかの面に接した状態で搬送する硬貨搬送機構19(搬送機構)とを備えている。
【0013】
更に入出金ユニット11は、硬貨搬送機構19を駆動し、硬貨を所定の設定速度で硬貨識別部18を通過させる搬送モータ20(駆動源)と、搬送モータ20による駆動により硬貨が排出端面14から硬貨識別部18へ移動する速度を検知するエンコーダ21(検知部)と、エンコーダ21が検知する硬貨の実速度により硬貨の速度が一定値になるように制御するコントローラ22(制御部)と、硬貨搬送機構19が搬送した硬貨を金種別に選別する硬貨選別部23と、硬貨収納部17に収納された硬貨をコントローラ22からの指令により払い出す硬貨払出部24とを備えている。硬貨の所定設定速度とは、識別判定処理に必要な測定時間長で硬貨が硬貨識別部18を通過する硬貨の移動速度を指す。所定設定速度は予め決められており、コントローラ22に記憶されている。
【0014】
本実施形態では、コントローラ22が、これらの実速度及び所定設定速度間のずれを解消するように搬送モータ20を制御するようにしている。コントローラ22がエンコーダ21の出力の変化を検知し、搬送モータ20の回転速度を補正することによって、搬送ベルトの送り速度が常に一定になるように制御するようになっている。
【0015】
硬貨受入部15は、上方に開口した投入口13から、複数枚の硬貨がまとまって投入されることを許容する。硬貨受入部15の下部には、投入された硬貨を遮光により検出する複数例えば2組の投入センサ25が設けられている。排出端面14にはこの排出端面14にベルト外周面を向けた状態で投入ベルト26が設けられている。投入ベルト26は、図5のように投入モータ27、プーリ28によって走行駆動されており、硬貨を硬貨入出金装置10の奥側へと搬送する。硬貨受入部15の下部且つ投入ベルト26のベルト面の上方には、投入プーリ29が設けられている。この投入プーリ29は投入ベルト26上の複数枚の硬貨を一枚ずつ分離して送出するようにしている。
【0016】
硬貨収納部17は硬貨選別部23から落下した硬貨を受ける位置に配置された空間である。硬貨入出金装置10の装置幅方向で中央を通る面で切断した縦断面図を図3に示す。装置幅方向とは筐体12の正面に対峙して左右方向を指す。
【0017】
図3は硬貨入出金装置10の縦断面図である。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。硬貨収納部17は、それぞれ間仕切り板30により仕切られた金種別の6つの収納室16を有する。これらの収納室16は装置幅方向に並列して設けられている。
【0018】
また、硬貨収納部17(図1、図2)と、硬貨受入部15との間の硬貨搬送経路上に配設された硬貨識別部18は、少なくとも硬貨の材質を検知する材質センサを備えている。材質センサは例えば磁気センサである。
【0019】
図4は材質センサによる検知方法を示す硬貨識別部18の縦断面図である。同図右、左はそれぞれ硬貨入出金装置10の右側面、左側面側に対応する。既述の符号はそれらと同じである。材質センサ33は、例えば磁性体及び巻線式のコイルを有し、磁束の量によって硬貨の材質等を検知するものである。プレート状の搬送ベース31の上面は硬貨Cの搬送面として加工形成されており、この搬送ベース31上に重ねられたガイドプレート32に案内されて硬貨Cはこの搬送面上を搬送される。材質センサ33は搬送面との間に隙間を空けた状態で枠材などに取付けられている。搬送面及び材質センサ33間のギャップの幅は一枚の硬貨Cが通過可能な程度の寸法を有する。搬送ベース31には上面視切欠き円形状の貫通孔34が、材質センサ33と対面する位置に形成されている。貫通孔34の直径は、材質センサ33の外形寸法よりも大きい。材質センサ33はコイルに電流を流して磁束を発生させ、硬貨Cが貫通孔34の直上を移動すると、硬貨Cは磁界中を通過し、磁束が硬貨内部を貫く。硬貨内部を貫く磁束の数は硬貨Cの金種毎に異なる。硬貨Cの径に応じて硬貨内部を貫く磁束の数は異なる。材質センサ33は、硬貨Cの金種毎に固有な値をコントローラ22へ出力する。
【0020】
図5は硬貨搬送機構19の一部分を示す上面図である。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。硬貨識別部18は更に、硬貨の直径を検知する直径センサ35を設けている。直径センサ35は例えば遮光式の光学的センサである。直径センサ35は片寄せ搬送時、硬貨が案内される側の硬貨端部とは反対側の硬貨端部を検出する。硬貨識別部18は、硬貨の孔の有無や、硬貨の厚み、硬貨の反射率、硬貨の凹凸形状のいずれか一つ以上を検知するセンサを設けても良い。
【0021】
図6はエンコーダ21の側面図である。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。硬貨搬送機構19は、搬送ベース31と、この搬送ベース31の搬送面に硬貨を押し付けながら硬貨を搬送する搬送ベルト36と、搬送ベルト36を巻掛けるプーリ37と、このプーリ37と対をなすプーリ38(図1等参照)と、それぞれプーリ37、37間に設けられ搬送ベルト36を折返して巻掛ける上下一対のプーリ39、39(屈曲プーリ)とを備えている(下側のプーリ39は図示されていない)。
【0022】
搬送ベース31は投入ベルト26の硬貨搬送方向下流側に設けられ硬貨が送り出される方向に配置されている。搬送ベース31の投入口13側の端部には片40が形成されている。この片40は硬貨搬送経路を連続させる。硬貨搬送経路とは投入口13から硬貨収納部17内に至る硬貨の通過経路を指す。ガイドプレート32は搬送ベース31の搬送面上に固定されており、搬送方向下流側に向かって硬貨搬送経路の経路幅を狭めている。ガイドプレート32の側縁部は投入ベルト26上の搬送経路に干渉する。搬送ベース31及びガイドプレート32の材質は、硬貨よりも硬い金属製である。また、搬送ベース31上において、硬貨搬送方向の下流側には排除部41が形成されている。排除部41は、最大径の硬貨が落下する径を持つ貫通孔と、この貫通孔を塞ぐシャッタ42と、このシャッタ42を開閉させるリジェクトソレノイド43(図7)と、落下した硬貨を溜めるボックスとを備えている。
【0023】
搬送ベルト36の材質は例えば合成ゴムである。搬送ベルト36をベルト長方向に直交する面で切断したときのこの搬送ベルト36の断面形状は円形である。搬送ベルト36はプーリ37、38の外周凹状の湾曲面に嵌合している。
【0024】
プーリ37は投入口13に連なる硬貨搬送経路の入口に設けられた従動プーリである。プーリ38は搬送ベルト36を搬送モータ20の駆動力により走行させる駆動プーリである。搬送ベルト36が周回走行したときの周回長が予め決められた値になるようにプーリ37、38、39は位置決めされている。また、搬送ベルト36は、プーリ37及びプーリ38間において、互いに逆方向に走行する第1及び第2のベルト部分からなる。下方を走行する第1のベルト部分は搬送ベース31の搬送面の直上を走行し、硬貨を搬送面上に押し付けている。第1のベルト部分の内周面は複数のアイドラプーリ44により支持されている。プーリ39によって搬送ベルト36のベルト走行方向が変えられており、搬送ベルト36は、上面視略L字状を成す。プーリ38が等速回転すると、搬送ベルト36は等速回転する。
【0025】
搬送モータ20(図2)は矢印u方向の回転力を発生させる駆動源である。搬送モータ20は電圧を電源部45から供給されている。
【0026】
また、エンコーダ21は、プーリ37の回転軸と同軸状にこのプーリ37に取付けられている。エンコーダ21はパルス信号列をコントローラ22へ出力する。パルス信号列は回転スリット板48の回転速度や回転角を表す。回転速度とは、スリット47の位置に対応する回転スリット板48の半径に、回転スリット板48の角速度を乗じた値を指す。図5、図6に示すように、エンコーダ21は、発光素子46と、発光素子46からの照射光を透過、遮光するスリット47の列を有する回転スリット板48と、この回転スリット板48によりパルス幅変調された光パルス信号の列を光電変換する受光素子49とを備えている。
【0027】
更に図2の硬貨搬送機構19は、搬送モータ20の出力軸50に連結されたプーリ51を備えている。投入ベルト26から搬送された硬貨は、プーリ38の下流側で搬送ベルト36により搬送ベース31上に押し付けられながら硬貨選別部23へ渡される。
【0028】
硬貨選別部23は、上面を硬貨の搬送面とするプレート状の選別ベース52と、プーリ51及びプーリ38間に掛け渡され搬送面に硬貨を押し付けながら搬送する選別ベルト53とを有する。選別ベース52には、選別ベルト53のベルト走行方向に沿って6個の選別孔54が貫通形成されている。これらの選別孔54の孔幅寸法は、搬送方向上流から下流に沿って順次拡大するように形成されている。選別孔54は、図2の右下から左上へ1円、50円、5円、100円、10円、500円の順に形成されている。選別ベルト53は、搬送する硬貨を、この硬貨に対応する選別孔54から落下させる。選別孔54は、金種別の複数の収容空間を有する硬貨収納部17に連通している。各選別孔54には、金種別に硬貨の枚数をカウントする遮光式の収納計数センサ55が設けられている(図2では1つの収納計数センサ55のみ表示されている)。
【0029】
また、硬貨選別部23のプーリ38(第1のプーリ)、プーリ51(第2のプーリ)と、硬貨搬送機構19の先頭のプーリ37、上下2段のプーリ39、従動プーリであるアイドラプーリ44とは、フレーム56(図1)に回転可能に支持されている。これらのフレーム56、プーリ37〜39及び51、アイドラプーリ44、搬送ベルト36及び選別ベルト53(他のベルト)は一ユニット化されており、搬送機構ユニット57を構成している。筐体12正面から見て左方に位置するフレーム56の基端部には、出力軸50に対して同軸的に配置された軸受部58が設けられており、この軸受部58と、プーリ51の回転軸とが同軸状に配置されている。搬送機構ユニット57は、軸受部58の軸芯を中心とした回転を行えるようになっている。人がフレーム56を開閉することにより、搬送機構ユニット57は、閉状態ではフレーム56が入出金ユニット11内に収められ硬貨の搬送面を覆い、開状態ではこの搬送面を露出させるように構成されている。
【0030】
また、硬貨払出部24は、図3にその一つが示されるように、各収納室16の底部に無端状の払出ベルト59を備えている。6本の払出ベルト59の何れか一つ以上をコントローラ22が選択的に駆動することが可能にされている。各払出ベルト59は、駆動プーリ60、従動プーリ61及びアイドラプーリ62に支持されている。払出モータ63が駆動プーリ60を回すと、払出ベルト59は回転走行する。払出ベルト59は、硬貨収納部17の後部から前部へ向けて硬貨を搬送する。
【0031】
更に硬貨払出部24は、硬貨収納部17の前方側の開口に、6室間で共用される1個のリバースローラ64、6個の払出シャッタ65、6個の払出計数センサ66を有する。リバースローラ64は硬貨排出方向とは逆方向に回転し、払出ベルト59による硬貨の払出を一枚ずつに分離する。払出シャッタ65はピン状である。払出ソレノイド67は選択的に払出シャッタ65を上げ下げし、硬貨の待機、硬貨の払出が選択されるようになっている。各払出計数センサ66は金種別に設けられた遮光式の光センサであり、それぞれ払出ベルト59上の硬貨の枚数を計数する。硬貨払出部24には硬貨入出金装置10の前方のカバーへ硬貨を案内する図示しない壁体が設けられており、この壁体を通って硬貨は払出口68に払い出されるようになっている。払出口68は上方に開口したトレイであり、払出ベルト59によって払い出された硬貨を受ける。
【0032】
図7は硬貨入出金装置10の電気的な接続関係を示すブロック図である。コントローラ22は、CPU69と、ファームウエア、上位プログラム及び設定値等を記憶するROM70と、作業用のRAM71と、バス72とを備えている。コントローラ22は、投入センサ25、収納計数センサ55、払出計数センサ66、材質センサ33、直径センサ35等からの検知結果を取込む。コントローラ22は、硬貨排除用のシャッタ42を開閉するリジェクトソレノイド43と、払出シャッタ65を開閉する払出ソレノイド67等に駆動信号を出力する。コントローラ22は、投入モータ27、搬送モータ20、払出モータ63の駆動を制御する。コントローラ22は、POS端末73との間で情報データや制御信号を送受信するための通信インターフェース74を有する。
【0033】
上述の構成の硬貨入出金装置10は、硬貨が投入口13より投入されたことを投入センサ25により検知する。投入センサ25の検出信号の受信によりCPU69は、投入モータ27と搬送モータ20とを駆動し始める。投入ベルト26、搬送ベルト36及び選別ベルト53が走行し始める。ファームウエアの実行により、コントローラ22は、プーリ37の従動軸に配置されたエンコーダ21からの出力を監視する。
【0034】
図8(a)〜図8(c)はそれぞれエンコーダ21の出力波形を示す図である。コントローラ22は、硬貨搬送経路の先頭に位置するプーリ37について、エンコーダ21の波形論理がハイである期間の時間長を計測する。回転速度が正常値の範囲内である間、エンコーダ21は図8(a)に示すように、全て時間長t1を有する複数のパルス信号の列を出力する。ROM70には、予め時間長t1の誤差の許容範囲が記憶されている。正常とコントローラ22が判断すると、搬送モータ20の制御を行わずに硬貨を搬送する。
【0035】
投入ベルト26の先端部から硬貨識別部18までの距離は固定的であるため、搬送速度が所定の設定速度である間、硬貨が硬貨識別部18へ到達するまでの時間は一定である。硬貨識別部18が各硬貨の種別を識別するために要する測定時間は一定の長さを持つ。この測定時間の間、硬貨識別部18は、片寄せ搬送されてきた硬貨の情報を検知し検知データをコントローラ22へ送る。コントローラ22は検知結果に基づいて投入された硬貨を、正貨か偽貨かを判定する。
【0036】
コントローラ22が正貨と判定すると、硬貨搬送機構19に硬貨を硬貨選別部23にまで搬送させる。コントローラ22は、リジェクトソレノイド43を駆動制御せず、シャッタ42を閉状態のままにする。硬貨は硬貨選別部23へ搬送され、直径に対応する選別孔54から硬貨は自然に落下する。硬貨は硬貨収納部17に収納される。硬貨の落下時、収納計数センサ55がコントローラ22へ通知する。コントローラ22は全6種の硬貨の枚数カウンタをRAM71に生成して保持しており、通知された金種の硬貨の枚数カウンタをカウントアップする。一方、コントローラ22が、投入された硬貨が偽貨と判定すると硬貨を排除する。硬貨が通過する位置に設けられたシャッタ42を、コントローラ22は、硬貨の情報を検知してから所定時間経過後に開放し、偽貨である硬貨を排除部41から落下させる。偽貨が硬貨収納部17に搬送されることが防止される。コントローラ22は、POS端末73からの硬貨払出指示を受信すると、払出ベルト59を駆動する。コントローラ22は、所望する金種毎に払出ソレノイド67を駆動して、必要枚数の硬貨を払出口68に払い出す。
【0037】
また、図8(b)にプーリ37の回転速度が遅い場合のエンコーダ21の出力波形例を示す。回転速度が遅くなる要因は温度や電圧による。即ち搬送モータ20の回転速度が一定である状態において、室温の上昇などにより搬送ベルト36のベルト長が伸びた場合あるいは搬送モータ20の供給電圧が低くなった場合、回転速度が遅くなる。コントローラ22は波形がハイである期間の時間長t2により、回転速度が遅くなったことを検知する。コントローラ22はプーリ37の回転速度が一定となって硬貨の送り速度が一定になるように搬送ベルト36の走行速度を補正する。補正は、CPU69が速度値をROM70から読込みモータドライバ75に回転速度を上げる指令を出力することにより行われる。例えば時間長と、搬送モータ20へ指令するための駆動電圧との対応テーブルを予めROM70は格納しておく。ROM70は、時間長と、駆動電圧とを関係づける演算式を格納しておいてもよい。対応テーブルあるいは演算式は、実機を使った実験、テスト、シミュレーションを通じて決定される。
【0038】
図8(c)にプーリ37の回転速度が早い場合のエンコーダ21の出力波形例を示す。回転速度が早くなる要因は、搬送モータ20の回転速度が一定である状態において、室温の低下などにより搬送ベルト36のベルト長が縮むこと、あるいは搬送モータ20の供給電圧が高くなったことである。コントローラ22は時間長t3により、速度が上昇したことを検知する。コントローラ22はモータドライバ75を介して搬送モータ20の回転速度を下げる補正を行う。コントローラ22はエンコーダ21の出力により硬貨の送り速度が一定になるようにベルト速度を補正する。速度値をCPU69はROM70を参照して決定する。
【0039】
コントローラ22は、硬貨の搬送ベルト36の走行速度を検知し、搬送モータ20の回転速度を補正することによって、搬送ベルト36の送り速度が常に一定になるように制御することができる。
【0040】
実施形態に係る硬貨識別装置と関連技術に係る硬貨識別装置とを対比して述べる。図9は関連技術に係る硬貨識別装置の斜視図である。同図にはフレームを取り外した例が示されている。既述の符号は上述した要素と同じ又は同等の要素を表す。この硬貨識別装置の硬貨搬送機構150では、投入プーリ29よりも搬送方向下流側にスペースを空けずにプーリ37が設けられている。硬貨搬送機構150の途中に硬貨識別部18Aが設けられている。搬送ベルト36及び選別ベルト53は、温度の変化により、ベルト長方向に伸びあるいは縮む。商用電源の電圧や周波数の変動が生じることがある。搬送モータ20を構成する部品のばらつきにより、搬送モータ20の回転速度が装置設定値より多少速くなり、あるいは遅くなることがある。
【0041】
搬送ベルト36が硬貨を硬貨識別部18Aへ搬送する。硬貨識別部18Aでは硬貨の搬送速度が変化すると、一枚の硬貨についての測定時間の時間長が変動する。関連技術に係る硬貨識別装置は金種の識別判定を高い精度で行えないことがある。装置の設置環境によっては、温度の変化や電源電圧の変化が生じた場合、搬送モータ20の回転速度が通常の設定値通りにならない場合がある。例えば、設定値よりも多少速くなり、あるいは遅くなることがある。
【0042】
一方、硬貨入出金装置10を総括すると、通常は電気回路により、ある一定の速度で搬送モータ20を回転させており、搬送ベルト36によって硬貨を一定の速度で搬送させている。例えば搬送されてきた硬貨を硬貨識別部18が判別し、CPU69が正貨以外(偽貨)であると判断した場合にはCPU69は硬貨識別部18の先の硬貨排除部(排除部41)のシャッタ42を開き、該当の偽貨をボックスへ落としている。この時、偽貨をボックスへ落とすタイミングは、硬貨の搬送速度から決められている。よって、硬貨の搬送時間(通過時間)が常に一定であることが硬貨判別排除装置には必要とされる。ベルト速度の補正により、硬貨の送り速度を一定にすることができる。硬貨の搬送時間が一定であることを高い精度で提供することができるようになる。
【0043】
本実施形態に係る硬貨識別装置では、従動軸にエンコーダ21を配置しファームウエアで硬貨の搬送ベルト36の走行速度を検知し、ベルト速度を補正することによって、投入口13から投入された硬貨の送り速度を常に一定に保つことができるようになる。これにより、装置がこの装置が設定される環境による影響を仮に受けたとしても、装置がベルト速度を補正し常に一定速度で硬貨を搬送できる為、精度良く硬貨判別及び硬貨排除ができる。
【0044】
(変形例)
上記第1の実施形態では、プーリ51を回す搬送モータ20の出力軸50が搬送機構ユニット57の支軸と同軸配置されていたが、搬送モータ20は搬送経路上で別の箇所に設けても良い。
【0045】
図10は第1の実施形態の変形例に係る硬貨識別装置に用いられる搬送機構の上面図である。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。同図の例では、プーリ38にこのプーリ38を回す搬送モータ76が設けられている。搬送モータ76はコントローラ22により制御されている。エンコーダ21の出力によってコントローラ22が搬送モータ76の回転速度を制御する。コントローラ22は、投入口13から硬貨識別部18に至る搬送経路上において硬貨の搬送速度が予め決められた所定の設定速度になるようにベルト速度を補正する。
【0046】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、コントローラ22は、エンコーダ21を用いて硬貨の搬送の実速度を計測していたが、硬貨の搬送速度は別の方法によって計測してもよい。
【0047】
図11は第2の実施形態に係る硬貨識別装置に用いられる検知部の上面図である。既述の符号はそれらと同じ要素を表す。この検知部以外について上記硬貨入出金装置10が有する構成と実質同じ構成を本実施形態に係る硬貨識別装置は備えている。
【0048】
搬送機構77は、先頭のプーリ37と、このプーリ37に折返して巻掛けられた搬送ベルト36と、この搬送ベルト36をプーリ38(同図では図示されていない)とを備えている。検知部78は、それぞれ遮光式の2組の通過センサ79を備えている。通過センサ79は発光素子80と受光素子81とを有する。これらの通過センサ79は投入口13及び硬貨識別部18の間の硬貨搬送経路にそれぞれ設けられ硬貨の通過を検出する。2組の通過センサ79の設置間隔は、最大径を持つ硬貨の直径よりも大きくされている。硬貨搬送方向で硬貨の前端及び後端を通過センサ79が検知するためだからである。コントローラ22は、これらの通過センサ79の出力により硬貨の送り速度が一定になるように搬送モータ20の回転速度を制御し搬送ベルト36の走行速度を補正するようにしている。
【0049】
このような構成の本実施形態に係る硬貨識別装置が、硬貨が投入されたことを検知すると、コントローラ22は、投入モータ27と搬送モータ20とを駆動し始める。最初の硬貨によって搬送速度の計測をコントローラ22は実行する。コントローラ22は各通過センサ79に通電する。コントローラ22は硬貨Cを投入口13から投入ベルト26上に送り出す。第1の位置での光ビームを硬貨Cが遮光し、コントローラ22は遮光を検知する。さらに第1の位置から、ROM70に予め記憶された既知の設置間隔だけ離れた第2の位置において硬貨Cは光ビームを遮光する。コントローラ22は2回目の遮光を検知すると、通過時間を求め、既知の設置間隔より搬送速度を計算する。
【0050】
搬送速度が正常値の範囲内である場合、コントローラ22は硬貨をそのまま搬送する。搬送速度が早い場合、コントローラ22は搬送モータ20の回転速度を落とし、硬貨の送り出し速度を遅くする。搬送速度が遅い場合、コントローラ22は搬送モータ20の回転速度を上げ、硬貨の送り出し速度を早くする。
【0051】
本実施形態に係る硬貨識別装置はベルト速度を補正し常に一定速度で硬貨を搬送できる為、精度良く硬貨判別及び硬貨排除ができる。
【0052】
(第3の実施形態)
また、温度の変化や電源電圧の変化を検出するセンサを筐体12に設けておき、変化が生じたことを検知した場合、ベルト速度が所定の設定速度になるように制御してもよい。第3の実施形態に係る硬貨識別装置は上記第1の実施形態での硬貨入出金装置10が有する構成と実質同じ構成を備えている。
【0053】
図7に示すように、コントローラ22は硬貨搬送機構19の温度を検知する温度センサ82を備えて構成されてもよい。温度とは室温、環境温度を指す。温度センサ82には例えばサーミスタが用いられる。温度センサ82の出力により温度が高いと、コントローラ22は搬送モータ20の回転速度を上げるように制御する。温度が低いと、コントローラ22は搬送モータ20の回転速度を下げる。ROM70は、検出温度と、回転速度の目標値との対応関係や、あるいは演算式を記憶しておく。搬送ベルト36のベルト材が温度により伸縮したとしても、硬貨の送り出し速度を常に一定の所定の設定速度にすることができる。
【0054】
また、コントローラ22は電源部45(図1)の出力電圧の変動を検知する電源出力センサ83を備えてもよい。電源出力センサ83の機能は例えばキャパシタ、ダイオード、抵抗器、オンオフトランジスタなどから成る直流電圧検知回路により実行される。電源出力センサ83の出力により電圧が大きい場合、コントローラ22は搬送モータ20の回転速度を下げるように制御する。電圧が小さい場合、コントローラ22は搬送モータ20の回転速度を上げるように制御する。ROM70は、検出電圧と、回転速度の目標値との対応関係や演算式を記憶しておく。硬貨の送り出し速度を常に一定の所定の設定速度にすることができる。
【0055】
本実施形態に係る硬貨識別装置では、硬貨の搬送速度を簡易な制御で補正することができる。
【0056】
温度センサ82及び電源出力センサ83は、第1の実施形態の変形例による硬貨識別装置と、第2の実施形態による硬貨識別装置とに設けてもよい。
【0057】
(その他)
上記硬貨識別部18の材質センサには磁束変化を検出する磁気センサが用いられる例を説明したが、磁気センサには、コイルインピーダンスの変化を検出する方式のものを用いてもよい。例えば材質センサは、コイルと、コイルに接続された発振回路と、この発振回路に接続された整流回路とを設ける。この材質センサでは、コイルに硬貨が接近したときにコイルのインピーダンスが変化し、発振回路の発振レベルが変化する。整流回路は発振回路の出力を整流してCPUに出力する。CPUは、その出力値と予め設定されている正規の硬貨である正貨の値とを比較して、硬貨が正貨であるか、あるいは正規の硬貨とは異なる偽物の硬貨である偽貨であるかを判定する。直径を検知するセンサや、硬貨の孔の有無あるいは硬貨の厚みを検知するセンサも検出値をCPUへ出力し、CPUが正貨又は偽貨を判定するようにしてもよい。硬貨の金種を識別するセンサを変更して実施したに過ぎない実施品に対して、実施の形態に係る硬貨識別装置の優位性は何ら損なわれるものではない。
【0058】
図8(b)、図8(c)では、例えば搬送ベルト36の滑りや、又は異物がベルト表面に付着する等により、速度変化が生じることが考えられる。あるいは商用電源の周波数等によっても、搬送モータ20は変化しうる。CPU69は、搬送ベルト36のベルト長の変動や搬送モータ20の供給電圧の変動等が重畳して生じた場合においても、図8(b)、図8(c)の例と同様にして、搬送モータ20の回転速度を補正することにより一定に制御することが可能である。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0060】
10…硬貨入出金装置(硬貨識別装置)、11…入出金ユニット、12…筐体、13…投入口、14…排出端面、15…硬貨受入部、16…収納室、17…硬貨収納部(収納部)、18…硬貨識別部(識別部)、19…硬貨搬送機構(搬送機構)、20…搬送モータ(駆動源)、21…エンコーダ(検知部)、22…コントローラ(制御部)、23…硬貨選別部、24…硬貨払出部、25…投入センサ、26…投入ベルト、27…投入モータ、28…プーリ、29…投入プーリ、30…間仕切り板、31…搬送ベース、32…ガイドプレート、33…材質センサ、34…貫通孔、35…直径センサ、36…搬送ベルト、37,38…プーリ、39…プーリ(屈曲プーリ)、40…片、41…排除部、42…シャッタ、43…リジェクトソレノイド、44…アイドラプーリ、45…電源部、46…発光素子、47…スリット、48…回転スリット板、49…受光素子、50…出力軸、51…プーリ、52…選別ベース、53…選別ベルト、54…選別孔、55…収納計数センサ、56…フレーム、57…搬送機構ユニット、58…軸受部、59…払出ベルト、60…駆動プーリ、61…従動プーリ、62…アイドラプーリ、63…払出モータ、64…リバースローラ、65…払出シャッタ、66…払出計数センサ、67…払出ソレノイド、68…払出口、69…CPU、70…ROM、71…RAM、72…バス、73…POS端末、74…通信インターフェース、75…モータドライバ、76…搬送モータ、77…搬送機構、78…検知部、79…通過センサ、80…発光素子、81…受光素子、82…温度センサ、83…電源出力センサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨の投入口と、
この投入口より投入された前記硬貨を金種別に収納する収納部と、
この収納部および前記投入口の間に設けられ、前記硬貨の種別を識別する識別部と、
この識別部に対して前記投入口から送り出される前記硬貨を、この硬貨の表裏何れかの面に接して搬送する搬送機構と、
この搬送機構を駆動させる駆動源と、
前記硬貨が前記投入口から前記識別部へ移動する速度を検知する検知部と、
この検知部が検知する前記硬貨の搬送の実速度により前記速度を一定に制御する制御部と、を備え、
この制御部は、前記実速度および所定の設定速度間のずれを解消するように前記駆動源を制御することを特徴とする硬貨識別装置。
【請求項2】
前記搬送機構は、前記投入口に連なる硬貨搬送経路の入口に設けられた従動プーリと、この従動プーリに折返して巻掛けられ前記硬貨を搬送するベルトと、このベルトに前記駆動源の前記駆動力を伝達する第1のプーリとを備え、
前記検知部は、前記従動プーリの軸に設けられたエンコーダを備え、
前記制御部は、このエンコーダの出力により前記硬貨の送り速度が一定になるように前記ベルトの走行速度を補正することを特徴とする請求項1記載の硬貨識別装置。
【請求項3】
前記ベルトが巻掛けられこのベルトの走行方向を変える屈曲プーリと、前記駆動源の出力軸に設けられた第2のプーリと、この第2のプーリおよび前記第1のプーリの間に巻掛けられた他のベルトと、この他のベルトが搬送した前記硬貨を金種別に選別する硬貨選別部と、前記搬送機構、前記屈曲プーリ、前記第2のプーリ、前記他のベルトおよび前記硬貨選別部を固定するフレームと、装置筐体に対してこのフレームを開閉する軸受部とを更に備え、
この軸受部と、前記第2のプーリの軸とが同軸状に配置されたことを特徴とする請求項2記載の硬貨識別装置。
【請求項4】
前記搬送機構は、前記投入口に連なる硬貨搬送経路の基端に設けられた従動プーリと、この従動プーリに折返して巻掛けられ前記硬貨を搬送するベルトと、このベルトを前記駆動源の前記駆動力により走行させる駆動プーリとを備え、
前記検知部は、前記投入口および前記識別部の間の前記硬貨搬送経路にそれぞれ設けられ前記硬貨の通過を検出する複数の通過センサを備え、
前記制御部は、これらの通過センサの出力により前記硬貨の送り速度が一定になるように前記ベルトの走行速度を補正することを特徴とする請求項1記載の硬貨識別装置。
【請求項5】
前記駆動源の電源の出力変動を検知する電源出力センサを更に備え、
前記制御部は、この電源出力センサの出力により前記駆動源を制御することを特徴とする請求項1記載の硬貨識別装置。
【請求項6】
前記搬送機構の温度を検知する温度センサを更に備え、
前記制御部は、この温度センサの出力により前記駆動源を制御することを特徴とする請求項1記載の硬貨識別装置。
【請求項1】
硬貨の投入口と、
この投入口より投入された前記硬貨を金種別に収納する収納部と、
この収納部および前記投入口の間に設けられ、前記硬貨の種別を識別する識別部と、
この識別部に対して前記投入口から送り出される前記硬貨を、この硬貨の表裏何れかの面に接して搬送する搬送機構と、
この搬送機構を駆動させる駆動源と、
前記硬貨が前記投入口から前記識別部へ移動する速度を検知する検知部と、
この検知部が検知する前記硬貨の搬送の実速度により前記速度を一定に制御する制御部と、を備え、
この制御部は、前記実速度および所定の設定速度間のずれを解消するように前記駆動源を制御することを特徴とする硬貨識別装置。
【請求項2】
前記搬送機構は、前記投入口に連なる硬貨搬送経路の入口に設けられた従動プーリと、この従動プーリに折返して巻掛けられ前記硬貨を搬送するベルトと、このベルトに前記駆動源の前記駆動力を伝達する第1のプーリとを備え、
前記検知部は、前記従動プーリの軸に設けられたエンコーダを備え、
前記制御部は、このエンコーダの出力により前記硬貨の送り速度が一定になるように前記ベルトの走行速度を補正することを特徴とする請求項1記載の硬貨識別装置。
【請求項3】
前記ベルトが巻掛けられこのベルトの走行方向を変える屈曲プーリと、前記駆動源の出力軸に設けられた第2のプーリと、この第2のプーリおよび前記第1のプーリの間に巻掛けられた他のベルトと、この他のベルトが搬送した前記硬貨を金種別に選別する硬貨選別部と、前記搬送機構、前記屈曲プーリ、前記第2のプーリ、前記他のベルトおよび前記硬貨選別部を固定するフレームと、装置筐体に対してこのフレームを開閉する軸受部とを更に備え、
この軸受部と、前記第2のプーリの軸とが同軸状に配置されたことを特徴とする請求項2記載の硬貨識別装置。
【請求項4】
前記搬送機構は、前記投入口に連なる硬貨搬送経路の基端に設けられた従動プーリと、この従動プーリに折返して巻掛けられ前記硬貨を搬送するベルトと、このベルトを前記駆動源の前記駆動力により走行させる駆動プーリとを備え、
前記検知部は、前記投入口および前記識別部の間の前記硬貨搬送経路にそれぞれ設けられ前記硬貨の通過を検出する複数の通過センサを備え、
前記制御部は、これらの通過センサの出力により前記硬貨の送り速度が一定になるように前記ベルトの走行速度を補正することを特徴とする請求項1記載の硬貨識別装置。
【請求項5】
前記駆動源の電源の出力変動を検知する電源出力センサを更に備え、
前記制御部は、この電源出力センサの出力により前記駆動源を制御することを特徴とする請求項1記載の硬貨識別装置。
【請求項6】
前記搬送機構の温度を検知する温度センサを更に備え、
前記制御部は、この温度センサの出力により前記駆動源を制御することを特徴とする請求項1記載の硬貨識別装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−4056(P2013−4056A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138122(P2011−138122)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]