説明

硬質平面板貼合用樹脂シート、それを用いた積層体及び該積層体の用途

【課題】2枚の硬質平面板をそれぞれ両面に、段差追従性及び耐気泡再発性よく貼合するための樹脂シートを提供する。
【解決手段】2枚の硬質平面板をそれぞれ両面に貼合するための樹脂シートであって、少なくとも3層の樹脂層からなり、硬質平面板と接する2層の樹脂層の温度23℃における貯蔵弾性率がいずれも0.05〜0.11MPaであり、温度80℃における貯蔵弾性率がいずれも0.01〜0.09MPaであり、かつ被着体と接しない中間層の少なくとも1層の80℃における貯蔵弾性率が0.08〜0.11MPaであることを特徴とする硬質平面板貼合用樹脂シートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質平面板貼合用樹脂シート、それを用いた積層体及び該積層体の用途に関する。
硬質平面板貼合用樹脂シートとしてさらに詳しくは、2枚の硬質平面板をそれぞれ両面に、段差追従性を有すると共に、気泡を再発させることなく(以下、「耐気泡再発性」ということがある)貼合するための樹脂シートに関するものである。
また積層体及び該積層体の用途に関してさらに詳しくは、該樹脂シートを介して2枚の硬質平面板が積層されてなる積層体、及び前記積層体を部材として用いてなる携帯情報端末機器及び静電容量方式タッチパネル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、モバイル機器やディスプレイの表示体と保護板を接合するためには、両面テープを用いた額縁状の貼合が一般的であった。しかしながらこの手法では、ディスプレイと保護板との間のエアーギャップ層由来の内部散乱により、画質が低下するという問題があった。その解決手法として、粘着剤やアクリル樹脂でエアーギャップ層を埋めることで内部反射を低減し、画質を向上させる手法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また近年では、内部電極を外部から隠蔽するためのベゼルをなくし、表示体表面をフラット形状にしたデザインが好まれている。この場合、黒化粧印刷をしたフィルムを表面に貼合する手法が取られるが、ガラスの質感を活かしたデザインとするため、額縁印刷したガラスを表示体に貼り合わせる手法が提案されている。
【0003】
しかしながら、ガラスのような硬質の平面板と、LCDやPDPモジュールなどの平面とを貼り合わせる際、一部のみ高さの異なる黒額縁印刷が存在すると、気泡なく貼り合わせをすることが困難となる。
また、単純に段差の高さと比較して、膜厚の厚い粘着剤を用いることでも貼合できるが、抜き加工精度が低下し、端部からの粘着剤の染み出しなどが発生し、歩留まり低下が懸念される。そこで、粘着剤の膜厚400μm以下で、段差のある平面板を貼合する手法が望まれている。
さらに、電子機器の耐久性の確認は、高温、高湿条件下にて加速促進することによって行われるが、高温条件下では、オートクレーブ処理によって一度消失したはずの気泡が再発することが確認されている。
【0004】
一方、携帯情報端末機器として、抵抗膜方式、静電容量方式、電磁誘導方式、赤外線方式等のタッチパネルを搭載したものが既に多く上市されているが、その中でも静電容量方式タッチパネルは、2点検出(マルチタッチ)が可能であり、近年のモバイル製品のアプリケーションに対して有効である。静電容量方式タッチパネルは、表面の静電容量の変化を検出する方式であるため、均一な電場が要求される。通常、薄型化、軽量化、貼合時の気泡混入対策にはフィルム方式が有効であるが、均一な電場を形成するためにはガラスなどの平滑な面が有効となる。そのため、特に静電容量方式タッチパネルでは、平面板同士の貼合が要求される。
【0005】
従来の携帯情報端末機器の内部部材同士を貼合する方法として、特許文献2にはポリウレタンフィルムからなる芯材の両面に粘着剤を用いた両面粘着テープが提案されている。
しかし、特許文献2の両面粘着テープでは、平面板と変形可能なフィルムを貼合する場合は、多少の段差があっても気泡を残すことなく貼合できるが、平面板同士を貼合する場合、つまり変形不可能な面同士の貼合の場合には、気泡を追い出しながら貼合することができないため、貼合面に気泡が混入し、さらに段差に完全に追従することは困難であった。
【0006】
これに対し、特許文献3には動的粘弾スペクトルの損失正接が0.6〜1.5であり、かつ80℃における貯蔵弾性率が1.0×105Pa以上である粘着剤層を有する両面粘着シートが提案されている。
特許文献3の両面粘着シートは、段差のない表面保護パネルを画像表示パネルに貼合した際に混入する気泡を、オートクレーブ処理によって除去することができ、さらにその後加熱促進を行っても前記気泡が復活せず、新たな気泡も発生しない。
また、特許文献4には、25℃におけるtanδが0.5以上である第1層と25℃におけるtanδが0.5未満である第2層及び25℃におけるtanδが0.5以上である第3層からなるディスプレイ用耐衝撃フィルムが提案されている。
特許文献4のディスプレイ用耐衝撃フィルムにおいても、貼合時に発生した気泡を加熱加圧処理により消泡することができ、経時的に気泡が再発することもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−245805号公報
【特許文献2】特開平6−346032号公報
【特許文献3】特開2008−231358号公報
【特許文献4】特開2009−300506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし前記特許文献3に記載の両面粘着シートや前記特許文献4に記載のディスプレイ用耐衝撃フィルムを、平坦なガラスパネルではなく、段差を有する面に貼合した場合には、オートクレーブ処理によって消泡したとしても、経時的に気泡が発生することが本発明者らによって確認されている。
本発明は、このような状況下になされたもので、2枚の硬質平面板をそれぞれ両面に、段差追従性及び耐気泡再発性よく貼合するための樹脂シート、及び該樹脂シートを介して2枚の硬質平面板が積層されてなる積層体、並びに該積層体の用途を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、樹脂シートとして、少なくとも3層の樹脂層からなり、かつ硬質平面板と接する樹脂層の貯蔵弾性率を制御すると共に、被着体と接しない中間層の貯蔵弾性率を制御したものを用いることにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0010】
すなわち、本発明は、
(1)2枚の硬質平面板をそれぞれ両面に貼合するための樹脂シートであって、少なくとも3層の樹脂層からなり、硬質平面板と接する2層の樹脂層の温度23℃における貯蔵弾性率がいずれも0.05〜0.11MPaであり、温度80℃における貯蔵弾性率がいずれも0.01〜0.09MPaであり、かつ被着体と接しない中間層の少なくとも1層の80℃における貯蔵弾性率が0.08〜0.11MPaであることを特徴とする硬質平面板貼合用樹脂シート、
(2)樹脂シートの総厚が100〜400μmである、上記(1)項に記載の硬質平面板貼合用樹脂シート、
(3)少なくとも一方の硬質平面板が段差を有するものであって、該段差の高さが、樹脂シートの総厚の2〜20%である、上記(1)又は(2)項に記載の硬質平面板貼合用樹脂シート、
(4)全光線透過率が80%以上であることを特徴とする、上記(1)〜(3)項のいずれかに記載の硬質平面板貼合用樹脂シート、
(5)上記(1)〜(4)項のいずれかに記載の硬質平面板貼合用樹脂シートを介して、2枚の硬質平面板が積層されてなることを特徴とする積層体、
(6)硬質平面板の段差が、印刷層による段差である、上記(5)項に記載の積層体、
(7)携帯情報端末機器の画面表示に用いられる、上記(5)又は(6)項に記載の積層体、
(8)上記(5)〜(7)項のいずれかに記載の積層体を部材として用いたことを特徴とする携帯情報端末機器、及び
(9)上記(5)〜(7)項のいずれかに記載の積層体を部材として用いたことを特徴とする静電容量方式タッチパネル装置、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、2枚の硬質平面板をそれぞれ両面に、段差追従性を有する共に、耐気泡再発性よく貼合するための樹脂シート、該樹脂シートを介して2枚の硬質平面板が積層されてなる積層体、及び前記積層体を部材として用いてなる携帯情報端末機器及び静電容量方式タッチパネル装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本発明の硬質平面板貼合用樹脂シートについて説明する。
[硬質平面板貼合用樹脂シート]
本発明の硬質平面板貼合用樹脂シート(以下、単に「樹脂シート」と称することがある。)は、2枚の硬質平面板をそれぞれ両面に貼合するための樹脂シートであって、少なくとも3層の樹脂層からなり、硬質平面板と接する樹脂層の温度23℃における貯蔵弾性率が0.05〜0.11MPaであり、温度23℃における貯蔵弾性率が0.01〜0.09MPaであり、かつ被着体と接しない中間層の少なくとも1層の80℃における貯蔵弾性率が0.08〜0.11MPaであることを特徴とする。
【0013】
(硬質平面板)
本発明の樹脂シートを介して貼合される2枚の硬質平面板としては、少なくとも一方が段差を有するものであって、該段差の高さが、樹脂シートの総厚の2〜20%であるものが、本発明の効果をより一層発現させることができる。本発明は2%以上の段差高さに対して効率的に効果を発現できるが、より困難な段差高さ3%以上の方が本発明の効果をより一層発現させることができることから好ましく、4%以上とすることが特に好ましい。また段差高さは20%以下であることが好ましく、より好ましくは15%以下であり、特に好ましくは10%以下である。
硬質平面板の材質としては、通常透明なガラス板が用いられる。このガラス板としては、例えばソーダライムガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、アルミノケイ酸ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英などからなるものを用いることができる。
上記硬質平面板の厚さは、後述する積層体の用途にもよるが、通常0.08〜5mm程度、好ましくは0.2〜4mm程度、特に好ましくは0.4〜3mmである。
硬質平面板における前記段差は、通常平面板に対して、紫外線硬化型インクなどを用いて額縁状に加飾印刷層を設けることにより形成される。
【0014】
(硬質平面板と接する樹脂層)
本発明の樹脂シートは、少なくとも3層の樹脂層からなり、前述した2枚の硬質平面板が、当該樹脂シートの両面に貼合される。硬質平面板と接する樹脂層(以下、樹脂層Aと称し、両面の2つの樹脂層を、それぞれ樹脂層A−1、樹脂層A−2と称する。)は、温度23℃における貯蔵弾性率が0.05〜0.11MPaであり、温度80℃における貯蔵弾性率が0.01〜0.09であることを要する。この貯蔵弾性率が上記の範囲にあれば、良好な凹凸追従性と耐気泡再発性が得られる。樹脂層A−1及び樹脂層A−2は、同一の組成及び性状を有するものであってもよいし、異なる組成及び性状を有するものであってもよい。
【0015】
(平面板と接しない中間層)
本発明の樹脂シートにおいては、前記した樹脂層A−1と樹脂層A−2との間に、中間層(以下樹脂層Bと称する。)が設けられており、この樹脂層Bは、1層構造であってもよいし、2〜4層程度の多層積層構造であってもよいが、本発明においては、当該樹脂層Bの少なくとも1層の80℃における貯蔵弾性率が0.08〜0.11MPaであることを要する。80℃における貯蔵弾性率を0.08MPa以上とすることにより耐久条件下でも気泡の再発を抑えることができる。また0.11MPaを超えてしまうと、樹脂層Aと樹脂層Bの密着が悪くなり、気泡が発生しやすくなる。必要な材料の種類が少なくなることと、総厚が薄い方が携帯情報端末機器に適していることから、樹脂層Bは1層構造であることが特に好ましい。
【0016】
当該樹脂シートの総厚は100〜400μmであることが好ましく、120〜250μmであることがさらに好ましい。総厚が100μm未満では充分な凹凸追従性が得られず、400μmを超えると加工精度が低下する。
【0017】
本発明の樹脂シートを構成する樹脂層A及び中間層である樹脂層Bは、それぞれの貯蔵弾性率が、前述した要件を満たすものであればよく、特に制限されず、例えばアクリル系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。中でも耐候性に優れ、かつ貯蔵弾性率と平面板への粘着力制御が容易であるアクリル系樹脂が特に好ましい。
(アクリル系樹脂)
アクリル系樹脂に特に制限はないが、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体が好ましい。
この(メタ)アクリル酸エステル系共重合体としては、エステル部分のアルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、必要に応じて用いられる架橋性官能基含有エチレン性単量体や他の単量体との共重合体を好ましく挙げることができる。
【0018】
<(メタ)アクリル酸アルキルエステル>
エステル部分のアルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
<架橋性官能基含有エチレン性単量体>
必要に応じて用いられる架橋性官能基含有エチレン性単量体としては、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基を分子内に有するエチレン性単量体であり、好ましくはヒドロキシ基含有エチレン性不飽和化合物、カルボキシル基含有エチレン性不飽和化合物が用いられる。このような架橋性官能基含有エチレン性単量体の具体的な例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート等のヒドロキシ基含有アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のカルボキシル基含有エチレン性不飽和化合物が挙げられる。上記の架橋性官能基含有エチレン性単量体は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
<他の単量体>
必要に応じて用いられる他の単量体としては、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレートなどの脂環式基含有アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリドなどのハロゲン化オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体;ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル系単量体;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミドなどのN,N−ジアルキル置換アクリルアミド類などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以上これらの単量体の選択並びに組み合わせを調整することで、アクリル系樹脂の温度23℃及び80℃における貯蔵弾性率を調節し、本発明の樹脂シートの樹脂層Aを形成することができる。
【0021】
(アクリル系樹脂シートの作製)
まず、前述した(メタ)アクリル酸エステル、及び必要に応じて用いられる架橋性官能基含有エチレン性単量体や他の単量体を、それぞれ所定の割合で用い、従来公知の方法に従って共重合を行い、重量平均分子量が、好ましくは50万〜150万程度、より好ましくは60万〜130万程度の(メタ)アクリル酸エステル系重合体を製造する。
なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
次に、樹脂層A及び樹脂層B作製用の樹脂溶解液A及びBを調製する。この樹脂溶解液A及びBは、前記で得られた(メタ)アクリル酸エステル系重合体と、必要に応じて用いられる架橋剤や他の添加剤、例えば粘着付与剤、顔料、染料、フィラー、酸化防止剤、紫外線吸収剤などとの混合物に、適当な溶媒を加えて、塗工に適した濃度にすることにより、調製することができる。
【0022】
<架橋剤>
必要に応じて用いられる架橋剤としては、従来アクリル系樹脂において架橋剤として慣用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。このような架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、アジリジン系化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩などが挙げられるが、前記(メタ)アクリル酸エステル系共重合体が、架橋性官能基としてヒドロキシル基を有する場合には、ポリイソシアネート化合物が好ましく、一方カルボキシル基を有する場合には、金属キレート化合物が好ましい。
【0023】
≪ポリイソシアネート化合物≫
ポリイソシアネート化合物の例としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂環式ポリイソシアネートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油などの低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などを挙げることができる。上記ポリイソシアネート化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
≪金属キレート化合物≫
架橋剤として用いられる金属キレート化合物には、金属原子がアルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、鉄、スズなどのキレート化合物があるが、性能の点からアルミニウムキレート化合物が好ましい。
アルミニウムキレート化合物としては、例えばジイソプロポキシアルミニウムモノオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムビスオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノオレエートモノエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノラウリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノステアリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノイソステアリルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノ−N−ラウロイル−β−アラネートモノラウリルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(イソブチルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(2−エチルヘキシルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(ドデシルアセトアセテート)キレート、モノアセチルアセトネートアルミニウムビス(オレイルアセトアセテート)キレートなどが挙げられる。上記金属キレート化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
本発明においては、当該樹脂シートが、樹脂層A−1、1層の中間層である樹脂層B及び樹脂層A−2の3層構造からなる積層シートである場合、例えば以下に示す方法により作製することができる。
前記のようにして調製した樹脂層A−1作製用の樹脂溶解液Aを、重剥離シートの剥離処理面に、乾燥厚さが所定の厚さになるように塗工したのち、加熱処理して重剥離シート上に樹脂層A−1を形成させる。次いで該樹脂層A−1に軽剥離シートの剥離処理面をラミネートし、2枚の剥離シートに挟持された樹脂層A−1を作製する。また、別途前記のようにして調製した樹脂層B作製用樹脂溶解液Bを、軽剥離シートの剥離処理面に、乾燥厚さが所定の厚さになるように塗工したのち、加熱処理して軽剥離シート上に樹脂層Bを形成する。
次いで、前述の2枚の剥離シートに挟持された樹脂層A−1の、軽剥離シートを剥離して表出した樹脂層A−1と前記樹脂層Bとを貼合し、2層の樹脂層からなる樹脂シートを作製する。
さらに別途、前記の樹脂溶解液Aを軽剥離シートの剥離処理面に、乾燥厚さが所定の厚さになるように塗工したのち、加熱処理して軽剥離シート上に樹脂層A−2を形成させる。次いで、前述の2層の樹脂層からなる樹脂シートの軽剥離シートを剥離して表出した樹脂層Bと前記樹脂層A−2とを貼合することにより、樹脂層A−1、樹脂層B及び樹脂層A−2の順からなる3層構造の樹脂シートが得られる。
【0026】
次に、本発明の積層体について説明する。
[積層体]
本発明の積層体は、前述した本発明の硬質平面板貼合用樹脂シートを介して、2枚の硬質平面板が積層されてなることを特徴とする。
前記硬質平面板については、前述した本発明の樹脂シートの説明において示したとおりである。
【0027】
本発明はさらに、当該積層体を部材として用いてなる、携帯情報端末機器及び静電容量方式タッチパネル装置を提供する。
携帯情報端末機器としては、抵抗膜方式、静電容量方式、電磁誘導方式、赤外線方式等のタッチパネルを搭載したものなどがある。
また、静電容量方式タッチパネルは、表面の静電容量の変化を検出する方式であるため、均一な電場が要求される。均一な電場を形成するためにはガラスなどの平滑な面が有効となり、そのため、静電容量方式タッチパネルでは、硬質平面板同士の貼合が要求されることから当該積層体が有効となる。
【実施例】
【0028】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例における諸特性は、以下に示す方法に従って求めた。
(1)樹脂層A、樹脂層Bの貯蔵弾性率
樹脂シートの剥離フィルムを取り除き、複数枚積層し、厚さ2.0mmのシートサンプルを作製した。形成したシートサンプルを直径8.0mm×高さ2.0mmの円柱状に切り抜き、粘弾性測定装置[レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製、商品名「RDAII」]を使用し、ねじりせん断法により測定周波数1Hzにて、各温度における貯蔵弾性率を測定した。
(2)樹脂層の厚さ
各例で得られた樹脂層の厚さを、JIS K 7130に準じて、定圧厚さ測定器[テクロック社製、製品名「PG−02」]で測定した。
(3)可視光透過率
紫外線可視近赤外分光透過率計[島津製作所製、「UV3600」]を用い、サンプルの樹脂シートの波長550nmにおける透過率を測定した。
(4)段差追従性
黒色印刷段差付きガラスに、ラミネーターを用いてサンプルの樹脂シートを貼合し、次いでガラス板を貼合した後、オートクレーブ処理(50℃、0.5MPa、30分)を行った。額縁印刷の内側を目視観察し、気泡が消失していれば○、残っていれば×とした。
(5)耐気泡再発性
上記(4)で得られたオートクレーブ処理後で気泡が消失しているサンプルを80℃の恒温槽に100時間放置し、気泡の再発有無を目視観察した。気泡がなければ○、気泡があれば×とした。
【0029】
調製例1 樹脂溶解液1の調製
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、シクロヘキシルアクリレート(CHA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)からなるアクリル系共重合体(2EHA/CHA/HEA質量比=59.7:40:0.3、重量平均分子量80万、濃度40質量%)100質量部に、イソシアネート系架橋剤[日本ポリウレタン社製、製品名「コロネートL」、濃度75質量%]0.15質量部混合し、メチルエチルケトンで希釈して不揮発分濃度30質量%の樹脂溶解液1を調製した。
【0030】
調製例2 樹脂溶解液2の調製
ブチルアクリレート(BA)、エチルアクリレート(EA)、アクリル酸(AAc)からなるアクリル系共重合体(BA/EA/AAc質量比=77:20:3、重量平均分子量90万、濃度29質量%)100質量部に、アルミニウムキレート系架橋剤[綜研化学社製、製品名「M−5A」、濃度4.95質量%]4質量部混合し、メチルエチルケトンで希釈して不揮発分濃度30質量%の樹脂溶解液2を調製した。
【0031】
調製例3 樹脂溶解液3の調製
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、シクロヘキシルアクリレート(CHA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)からなるアクリル系共重合体(2EHA/CHA/HEA質量比=59.7:40:0.3、重量平均分子量80万、濃度40質量%)100質量部に、イソシアネート系架橋剤[日本ポリウレタン社製、製品名「コロネートL」、濃度75質量%]0.05質量部混合し、メチルエチルケトンで希釈して不揮発分濃度30質量%の樹脂溶解液3を調製した。
【0032】
調製例4 樹脂溶解液4の調製
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、シクロヘキシルアクリレート(CHA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)からなるアクリル系共重合体(2EHA/CHA/HEA質量比=59.7:40:0.3、重量平均分子量80万、濃度40質量%)100質量部に、イソシアネート系架橋剤[日本ポリウレタン社製、製品名「コロネートL」、濃度75質量%]1.5質量部混合し、メチルエチルケトンで希釈して不揮発分濃度30質量%の樹脂溶解液4を調製した。
【0033】
調製例5 樹脂溶解液5の調製
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、シクロヘキシルアクリレート(CHA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)からなるアクリル系共重合体(2EHA/CHA/HEA質量比=59.7:40:0.3、重量平均分子量80万、濃度40質量%)100質量部に、イソシアネート系架橋剤[日本ポリウレタン社製、製品名「コロネートL」、濃度75質量%]0.25質量部、シランカップリング剤[信越化学工業社製、製品名「KBM403」、濃度100%]0.2質量部混合し、メチルエチルケトンで希釈して不揮発分濃度30質量%の樹脂溶解液5を調製した。
【0034】
調製例6 樹脂溶解液6の調製
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、シクロヘキシルアクリレート(CHA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)からなるアクリル系共重合体(2EHA/CHA/HEA質量比=59.7:40:0.3、重量平均分子量80万、濃度40質量%)100質量部に、イソシアネート系架橋剤[日本ポリウレタン社製、製品名「コロネートL」、濃度75質量%]0.25質量部混合し、メチルエチルケトンで希釈して不揮発分濃度30質量%の樹脂溶解液6を調製した。
【0035】
調製例7 樹脂溶解液7の調製
アクリル系粘着剤[リンテック社製、製品名「P1069」]をメチルエチルケトンで希釈し、不揮発分濃度30質量%の樹脂溶解液7を調製した。
【0036】
調製例8 樹脂溶解液8の調製
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、シクロヘキシルアクリレート(CHA)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)からなるアクリル系共重合体(2EHA/CHA/HEA質量比=59.7:40:0.3、重量平均分子量80万、濃度40質量%)100質量部に、イソシアネート系架橋剤[日本ポリウレタン社製、製品名「コロネートL」、濃度75質量%]0.01質量部混合し、メチルエチルケトンで希釈して不揮発分濃度30質量%の樹脂溶解液8を調製した。
【0037】
実施例1
樹脂溶解液1を重剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET75T103−1」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、重剥離シート上に厚さ50μmの段差面貼合層(以下、A層−1という)を形成した。さらにA層−1に軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET3801」]の剥離面をラミネートし、2枚の剥離シートに挟持された樹脂層を作製した。また別途、樹脂溶解液2を軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET382120」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、軽剥離シート上に厚さ50μmの非段差面貼合層(以下、B層という)を形成した。さらに前述の2枚の剥離シートに挟持された樹脂層の軽剥離シートを剥離して表出したA層−1とB層とを貼合し、2層の樹脂層からなる樹脂シートを得た。
さらに別途、樹脂溶解液1を軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET382120」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、軽剥離シート上に厚さ50μmの層を形成した(以下、A層−2という)。続いて前述の2層の樹脂層からなる樹脂シートの軽剥離シートを剥離して表出したB層とA層−2とを貼合し、3層の樹脂層からなる硬質平面板貼合用樹脂シート1を得た。
【0038】
実施例2
樹脂溶解液3を重剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET75T103−1」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、重剥離シート上に厚さ50μmの段差面貼合層(以下、A層−1という)を形成した。さらにA層−1に軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET3801」]の剥離面をラミネートし、2枚の剥離シートに挟持された樹脂層を作製した。また別途、樹脂溶解液4を軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET382120」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、軽剥離シート上に厚さ50μmの非段差面貼合層(以下、B層という)を形成した。さらに前述の2枚の剥離シートに挟持された樹脂層の軽剥離シートを剥離して表出したA層−1とB層とを貼合し、2層の樹脂層からなる樹脂シートを得た。
さらに別途、樹脂溶解液3を軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET382120」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、軽剥離シート上に厚さ50μmの層を形成した(以下、A層−2という)。続いて前述の2層の樹脂層からなる樹脂シートの軽剥離シートを剥離して表出したB層とA層−2とを貼合し、3層の樹脂層からなる硬質平面板貼合用樹脂シート2を得た。
【0039】
実施例3
樹脂溶解液5を重剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET75T103−1」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、重剥離シート上に厚さ60μmの段差面貼合層(以下、A層−1という)を形成した。さらにA層−1に軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET3801」]の剥離面をラミネートし、2枚の剥離シートに挟持された樹脂層を作製した。また別途、樹脂溶解液2を軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET382120」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、軽剥離シート上に厚さ55μmの非段差面貼合層(以下、B層という)を形成した。さらに前述の2枚の剥離シートに挟持された樹脂層の軽剥離シートを剥離して表出したA層−1とB層とを貼合し、2層の樹脂層からなる樹脂シートを得た。
さらに別途、樹脂溶解液5を軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET382120」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、軽剥離シート上に厚さ60μmの層を形成した(以下、A層−2という)。続いて前述の2層の樹脂層からなる樹脂シートの軽剥離シートを剥離して表出したB層とA層−2とを貼合し、3層の樹脂層からなる硬質平面板貼合用樹脂シート3を得た。
【0040】
実施例4
樹脂溶解液6を重剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET75T103−1」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、重剥離シート上に厚さ60μmの段差面貼合層(以下、A層−1という)を形成した。さらにA層−1に軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET3801」]の剥離面をラミネートし、2枚の剥離シートに挟持された樹脂層を作製した。また別途、樹脂溶解液2を軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET382120」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、軽剥離シート上に厚さ55μmの非段差面貼合層(以下、B層という)を形成した。さらに前述の2枚の剥離シートに挟持された樹脂層の軽剥離シートを剥離して表出したA層−1とB層とを貼合し、2層の樹脂層からなる樹脂シートを得た。
さらに別途、樹脂溶解液6を軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET382120」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、軽剥離シート上に厚さ60μmの層を形成した(以下、A層−2という)。続いて前述の2層の樹脂層からなる樹脂シートの軽剥離シートを剥離して表出したB層とA層−2とを貼合し、3層の樹脂層からなる硬質平面板貼合用樹脂シート4を得た。
【0041】
実施例5
樹脂溶解液7を重剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET75T103−1」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、重剥離シート上に厚さ50μmの段差面貼合層(以下、A層−1という)を形成した。さらにA層−1に軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET3801」]の剥離面をラミネートし、2枚の剥離シートに挟持された樹脂層を作製した。また別途、樹脂溶解液2を軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET382120」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、軽剥離シート上に厚さ20μmの非段差面貼合層(以下、B層という)を形成した。さらに前述の2枚の剥離シートに挟持された樹脂層の軽剥離シートを剥離して表出したA層−1とB層とを貼合し、2層の樹脂層からなる樹脂シートを得た。
さらに別途、樹脂溶解液7を軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET382120」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、軽剥離シート上に厚さ50μmの層を形成した(以下、A層−2という)。続いて前述の2層の樹脂層からなる樹脂シートの軽剥離シートを剥離して表出したB層とA層−2とを貼合し、3層の樹脂層からなる硬質平面板貼合用樹脂シート5を得た。
【0042】
比較例1
樹脂溶解液2を重剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET75T103−1」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、重剥離シート上に厚さ50μmの段差面貼合層(以下、A層−1という)を形成した。さらにA層−1に軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET3801」]の剥離面をラミネートし、2枚の剥離シートに挟持された樹脂層を作製した。また別途、樹脂溶解液2を軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET382120」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、軽剥離シート上に厚さ50μmの非段差面貼合層(以下、B層という)を形成した。さらに前述の2枚の剥離シートに挟持された樹脂層の軽剥離シートを剥離して表出したA層−1とB層とを貼合し、同じ樹脂2層の樹脂層からなる樹脂シートを得た。
さらに別途、樹脂溶解液2を軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET382120」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、軽剥離シート上に厚さ50μmの層を形成した(以下、A層−2という)。続いて前述の同じ樹脂2層の樹脂層からなる樹脂シートの軽剥離シートを剥離して表出したB層とA層−2とを貼合し、同じ樹脂3層の樹脂層からなる硬質平面板貼合用樹脂シート6を得た。
【0043】
比較例2
樹脂溶解液4を重剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET75T103−1」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、重剥離シート上に厚さ50μmの段差面貼合層(以下、A層−1という)を形成した。さらにA層−1に軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET3801」]の剥離面をラミネートし、2枚の剥離シートに挟持された樹脂層を作製した。また別途、樹脂溶解液3を軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET382120」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、軽剥離シート上に厚さ50μmの非段差面貼合層(以下、B層という)を形成した。さらに前述の2枚の剥離シートに挟持された樹脂層の軽剥離シートを剥離して表出したA層−1とB層とを貼合し、2層の樹脂層からなる樹脂シートを得た。
さらに別途、樹脂溶解液4を軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET382120」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、軽剥離シート上に厚さ50μmの層を形成した(以下、A層−2という)。続いて前述の2層の樹脂層からなる樹脂シートの軽剥離シートを剥離して表出したB層とA層−2とを貼合し、3層の樹脂層からなる硬質平面板貼合用樹脂シート7を得た。
【0044】
比較例3
樹脂溶解液3を重剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET75T103−1」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、重剥離シート上に厚さ50μmの段差面貼合層(以下、A層−1という)を形成した。さらにA層−1に軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET3801」]の剥離面をラミネートし、2枚の剥離シートに挟持された樹脂層を作製した。また別途、樹脂溶解液3を軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET382120」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、軽剥離シート上に厚さ50μmの非段差面貼合層(以下、B層という)を形成した。さらに前述の2枚の剥離シートに挟持された樹脂層の軽剥離シートを剥離して表出したA層−1とB層とを貼合し、同じ樹脂2層の樹脂層からなる樹脂シートを得た。
さらに別途、樹脂溶解液3を軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET382120」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、軽剥離シート上に厚さ50μmの層を形成した(以下、A層−2という)。続いて前述の同じ樹脂2層の樹脂層からなる樹脂シートの軽剥離シートを剥離して表出したB層とA層−2とを貼合し、同じ樹脂3層の樹脂層からなる硬質平面板貼合用樹脂シート8を得た。
【0045】
比較例4
樹脂溶解液8を重剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET75T103−1」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、重剥離シート上に厚さ50μmの段差面貼合層(以下、A層−1という)を形成した。さらにA層−1に軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET3801」]の剥離面をラミネートし、2枚の剥離シートに挟持された樹脂層を作製した。また別途、樹脂溶解液4を軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET382120」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、軽剥離シート上に厚さ50μmの非段差面貼合層(以下、B層という)を形成した。さらに前述の2枚の剥離シートに挟持された樹脂層の軽剥離シートを剥離して表出したA層−1とB層とを貼合し、2層の樹脂層からなる樹脂シートを得た。
さらに別途、樹脂溶解液8を軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET382120」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、軽剥離シート上に厚さ50μmの層を形成した(以下、A層−2という)。続いて前述の2層の樹脂層からなる樹脂シートの軽剥離シートを剥離して表出したB層とA層−2とを貼合し、3層の樹脂層からなる硬質平面板貼合用樹脂シート9を得た。
【0046】
比較例5
樹脂溶解液8を重剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET75T103−1」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、重剥離シート上に厚さ50μmの段差面貼合層(以下、A層−1という)を形成した。さらにA層−1に軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET3801」]の剥離面をラミネートし、2枚の剥離シートに挟持された樹脂層を作製した。また別途、樹脂溶解液8を軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET382120」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、軽剥離シート上に厚さ50μmの非段差面貼合層(以下、B層という)を形成した。さらに前述の2枚の剥離シートに挟持された樹脂層の軽剥離シートを剥離して表出したA層−1とB層とを貼合し、同じ樹脂2層の樹脂層からなる樹脂シートを得た。
さらに別途、樹脂溶解液8を軽剥離シート[リンテック社製、製品名「SP−PET382120」]に塗布し、120℃で2分間加熱して、軽剥離シート上に厚さ50μmの層を形成した(以下、A層−2という)。続いて前述の同じ樹脂2層の樹脂層からなる樹脂シートの軽剥離シートを剥離して表出したB層とA層−2とを貼合し、同じ樹脂3層の樹脂層からなる硬質平面板貼合用樹脂シート10を得た。
【0047】
前記の実施例1〜5で得られた硬質平面板貼合用樹脂シート1〜5及び比較例1〜5で得られた硬質平面板貼合用樹脂シート6〜10について、諸特性を評価した。その結果を第1表に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
第1表から、本発明の硬質平面板貼合用樹脂シート(実施例1〜5)は、いずれも段差追従性は○であったが、耐気泡再発性は「×」で不合格である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の硬質平面板貼合用樹脂シートは、2枚の硬質平面板をそれぞれ両面に、段差追従性及び耐気泡再発性よく貼合するための樹脂シートであって、該樹脂シートを介して2枚の硬質平面板が積層されてなる積層体は、携帯情報端末機器及び静電容量方式タッチパネル装置などの部材として好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の硬質平面板をそれぞれ両面に貼合するための樹脂シートであって、少なくとも3層の樹脂層からなり、硬質平面板と接する2層の樹脂層の温度23℃における貯蔵弾性率がいずれも0.05〜0.11MPaであり、温度80℃における貯蔵弾性率がいずれも0.01〜0.09MPaであり、かつ被着体と接しない中間層の少なくとも1層の80℃における貯蔵弾性率が0.08〜0.11MPaであることを特徴とする硬質平面板貼合用樹脂シート。
【請求項2】
樹脂シートの総厚が100〜400μmである、請求項1に記載の硬質平面板貼合用樹脂シート。
【請求項3】
少なくとも一方の硬質平面板が段差を有するものであって、該段差の高さが、樹脂シートの総厚の2〜20%である、請求項1又は2に記載の硬質平面板貼合用樹脂シート。
【請求項4】
全光線透過率が80%以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の硬質平面板貼合用樹脂シート。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の硬質平面板貼合用樹脂シートを介して、2枚の硬質平面板が積層されてなることを特徴とする積層体。
【請求項6】
硬質平面板の段差が、印刷層による段差である、請求項5に記載の積層体。
【請求項7】
携帯情報端末機器の画面表示に用いられる、請求項5又は6に記載の積層体。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれかに記載の積層体を部材として用いたことを特徴とする携帯情報端末機器。
【請求項9】
請求項5〜7のいずれかに記載の積層体を部材として用いたことを特徴とする静電容量方式タッチパネル装置。

【公開番号】特開2013−18832(P2013−18832A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151854(P2011−151854)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】