説明

硬質表面用洗浄剤組成物

【課題】溶剤臭の制効果に優れた特定のブチルカルビトール系溶剤を含有し、且つ洗浄力とスプレー時の起泡性に優れた硬質表面用洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)ブチルカルビトールからなる溶剤であって、該溶剤中の主成分以外の分子量50〜300の物質の含有量が、ヘッドスペースGC−MS分析において、前記溶剤のピークエリアに対する前記主成分以外の物質のピークエリアの比が0.5%以下となる量であるブチルカルビトール系溶剤を0.1〜20質量%、(B)陰イオン界面活性剤〔(B3)成分を除く〕、非イオン界面活性剤及び、アシル化アミノ酸から選ばれる界面活性剤を0.1〜20質量%含有し、(A)と(B)の質量比が(A)/(B)で1.5〜2.8の範囲にある、硬質表面用洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質表面用洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の洗浄剤組成物は、汚れの種類、程度の違いにより使い分けられている。即ち、比較的汚れの程度の軽い手アカ汚れ、未変性油汚れに対しては界面活性剤/溶剤系の洗浄剤が、台所回り等の熱、日光、空気中の酸素などの作用により変質した油脂汚れ等には界面活性剤/溶剤/アルカリ剤系の洗浄剤が、また浴室内の金属石ケン、特に脂肪酸のカルシウム塩に対しては界面活性剤/溶剤/金属イオン封鎖剤系の洗浄剤が主流となってきている。
【0003】
又、その洗浄剤の主成分である溶剤は、洗浄力、基材に対する損傷性等から低級アルコールにエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイドを付加したアルキレングリコールアルキルエーテル系溶剤が一般的に用いられる。アルキレングリコールアルキルエーテル系溶剤は、溶剤臭に課題があったが、特許文献1、2には、特定の揮発性物質を低減したアルキレングリコールアルキルエーテル系溶剤を界面活性剤と共に用いることで、前記課題を解決できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−91197号公報
【特許文献2】特開平5−214392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
硬質表面用の洗浄剤組成物は、泡吐出手段を備えたスプレー容器に充填して、泡状にして硬質表面に適用、洗浄させることが行われる。更に近年では、溶剤臭の一層の低減と、スプレー時の豊かな泡立ちのニーズが生じてきた。
【0006】
本発明の課題は、従来よりも溶剤臭が更に抑制され、且つスプレー時の起泡性に優れた硬質表面用洗浄剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(A)ブチルカルビトールからなる溶剤であって、該溶剤中の主成分以外の分子量50〜300の物質の含有量が、ヘッドスペースGC−MS分析(測定条件は本文中に記載)において、前記溶剤のピークエリアに対する前記主成分以外の物質のピークエリアの比が0.5%以下となる量であるブチルカルビトール系溶剤〔以下、(A)成分という〕を0.1〜20質量%、
(B)陰イオン界面活性剤〔以下、(B1)成分という〕、及び非イオン界面活性剤〔以下、(B2)成分という〕から選ばれる界面活性剤〔以下、(B)成分という〕を0.1〜20質量%含有し、
(A)と(B)の質量比が(A)/(B)で1.5〜2.8の範囲にある、
硬質表面用洗浄剤組成物に関する。
【0008】
また、本発明は、上記本発明の硬質表面用洗浄剤組成物をスプレー式容器に充填してなる、スプレー式硬質表面用洗浄剤物品に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、溶剤臭が更に抑制され、且つスプレー時の起泡性に優れた硬質表面用洗浄剤組成物が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<(A)成分>
本発明において、ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)のヘッドスペースGC−MS分析は以下のように行なわれる。
【0011】
(1)測定機器
・ヘッドスペースサンプラ…HP 1935 A HEWLETT PACKARD社製
・ガスクロマトグラフ…HP 5890 SERIES II
・検出器…HP 5971 A
MASS SELECTIVE DETECTOR
MASS レンジ10〜400
(ヘッドスペースサンプラ→ガスクロマトグラフ→検出器の順に連結)
【0012】
(2)ガスクロマトグラフ条件
・カラム…JアンドW社製 DB−WAX 30×0.32×50μm
・キャリアガス…He、1.84ml/min
Split vent.20.0ml/min Total Split vent.125ml/min
・カラム昇温条件
時間
0〜2分…40℃で一定
2〜12分…4℃/分で80℃まで昇温
12〜19分…10℃/分で150℃まで昇温
19〜30分…150℃で一定
・試料注入温度 230℃
・検出温度 250℃
【0013】
(3)ヘッドスペース条件
・サンプル容器…20mlバイヤル容器
・サンプル量…10ml
・加温条件…90℃、1.5時間
【0014】
(A)成分中の副生成物の含有量は、溶剤臭を抑制する観点から、ヘッドスペースGC−MS分析において、溶剤のピークエリアに対する主成分(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)以外のブタノール、ブチルセロソルブなどの副生成物のピークエリアの比が0.5%以下となる量である。
【0015】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(A)成分を0.1〜20質量%、好ましくは1〜12質量%含有する。
【0016】
<(B)成分>
〔(B1)成分〕
陰イオン界面活性剤としては、カルボン酸又はその塩、硫酸エステル又はその塩、スルホン酸又はその塩、リン酸エステル又はその塩等が挙げられる。
【0017】
カルボン酸又はその塩としては、脂肪酸(炭素数8〜18)又はその塩、アルキル(炭素数8〜18)エーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数1〜6モル)カルボン酸又はその塩等が挙げられる。硫酸エステル又はその塩としては高級アルコール(炭素数8〜18)硫酸エステル塩、アルキル(炭素数8〜18)エーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数1〜6モル)硫酸エステル塩、アシル化アミノ酸等が挙げられる。スルホン酸又はその塩としてはアルキル(炭素数8〜18)ベンゼンスルホン酸又はその塩、アルキル(炭素数8〜18)フェノールスルホン酸又はその塩、アルキル(炭素数8〜18)ナフタレンスルホン酸又はその塩、脂肪酸(炭素数8〜18)とアミノスルホン酸の縮合物又はその塩、スルホコハク酸エステル塩(炭素数8〜18)又はその塩、脂肪酸(炭素数8〜18)エステルのスルホン酸塩、アシル(炭素数8〜18)オキシエタンスルホン酸又はその塩等が挙げられる。リン酸エステル又はその塩としては、高級アルコール(炭素数8〜18)リン酸エステル又はその塩、アルキル(炭素数8〜18)エーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数1〜6モル)リン酸エステル又はその塩等が挙げられる。
【0018】
溶剤臭の抑制とスプレー時の起泡性の観点から、これらの中で好ましくはアルキル(炭素数8〜18)エーテル(エチレンオキサイド平均付加モル数1〜6モル)硫酸エステル塩、アルキル(炭素数8〜18)ベンゼンスルホン酸又はその塩が挙げられる。塩は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、モノエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0019】
また、更に速やかな泡消え性が望まれる場合は、(B)成分としてアシル化アミノ酸を含有することが好ましい。アシル化アミノ酸としては、溶剤臭の抑制、スプレー時の起泡性と泡消え性の観点から、脂肪酸(炭素数8〜18)とアミノ酸の縮合物又はその塩等が挙げられる。塩は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、モノエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。泡消え性の観点から、N−アシル(炭素数8〜18)−β−アラニン又はその塩が好ましい。
【0020】
〔(B2)成分〕
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグリセリンエーテル、アミンオキシド等が挙げられる。溶剤臭の抑制とスプレー時の起泡性の観点からこれらの中で好ましくは、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルポリグリコシド、アミンオキシドが挙げられる。
【0021】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレン(エチレンオキサイドの付加モル数1〜10モル)アルキル(炭素数8〜18)エーテルが好ましい。
【0022】
また、アルキルポリグリコシドとしては、アルキル(炭素数8〜18)ポリグリコシド(平均縮合度1〜2)が好ましい。
【0023】
アミンオキシドとしては、アルキル(炭素数8〜18)ジメチルアミンオキシド、アルキル(炭素数6〜18)アミドプロピルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。好ましくはアルキル(炭素数10〜16)ジメチルアミンオキシドである。
【0024】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物は、(B)成分を0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜5質量%含有する。
【0025】
なお、(B)成分としてアシル化アミノ酸を含有する場合、アシル化アミノ酸以外の(B)成分の界面活性剤を含有することが好ましく、アシル化アミノ酸以外の(B1)成分から選ばれる1種以上、且つ(B2)成分から選ばれる1種以上を含有することがより好ましく、アシル化アミノ酸以外の(B1)成分から2種以上、且つ(B2)成分から1種以上を含有することが更に好ましい。また、(B)成分としてアシル化アミノ酸を含有する場合、アシル化アミノ酸の含有量と(B)成分の総量との質量比は、溶剤臭の抑制、スプレー時の泡立ち及び泡消え性の観点から、アシル化アミノ酸/〔(B)成分の総量〕で、0.01〜0.1が好ましく、0.02〜0.05がより好ましい。
【0026】
本発明の硬質表面用洗浄剤組成物では、スプレー時の泡立ちの観点から、(A)成分と(B)成分の質量比が(A)/(B)で1.5〜2.8の範囲にあり、好ましくは1.7〜2.5、より好ましくは2.0〜2.3の範囲にある。
【0027】
<その他の成分>
本発明では(B)成分以外の界面活性剤として、両性界面活性剤、陽イオン界面活性剤も使用可能である。両性界面活性剤としては、炭素数8〜22のアルキル基を有するカルボベタイン、スルホベタイン、ヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。また、陽イオン界面活性剤としては、炭素数10〜22のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。これらの界面活性剤は、本発明の組成物中に0.1〜5質量%配合できる。
【0028】
本発明の洗浄剤組成物は、(C)成分として、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカリ剤、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸又はその塩(EDTA)等の金属イオン封鎖剤を含有することが好ましい。(C)成分は、エチレンジアミン四酢酸又はその塩が好ましい。(C)成分の含有量は、組成物中、0.5〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%、更に0.5〜5質量%が好ましい。
【0029】
本発明の洗浄剤組成物は(D)成分として、酸化防止剤を含有することが、経日的な匂いの劣化防止の観点で好ましい。本発明に用いられる酸化防止剤としては、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン等のフェノール系酸化防止剤;N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェニル−4−ピペリジニルカーボネート等のアミン系酸化防止剤;ジドデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート等のイオウ系酸化防止剤;トリス(イソデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト等のリン系酸化防止剤;L−アスコルビン酸及びそのナトリウム塩、DL−α−トコフェロール等の天然酸化防止剤が挙げられ、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン及びDL−α−トコフェロールから選ばれる酸化防止剤が好ましく、特に3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエンが好ましい。(D)成分は、本発明の洗浄剤組成物中に、(A)成分に対して好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.005〜5質量%、特に好ましくは0.01〜0.3質量%の割合で配合される。又、酸化防止剤は、(A)成分の製造中に添加しても、本発明の洗浄剤組成物を調製する際に添加してもよい。
【0030】
本発明の洗浄剤組成物は、エチルアルコール等の低級アルコール、エチレングリコール、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸塩等の低温安定化剤、商品価値を付与させる為の香料、色素、防腐剤等を任意に配合することができる。
【0031】
本発明の洗浄剤組成物は、水を含有する液体組成物であることが好ましい。水は組成物の残部である。本発明の洗浄剤組成物のpHは、20℃で3〜11、更に5〜9、特に6.5〜7.5であることが好ましい。また、スプレーでの使用を考慮すると、粘度は200mPa・s以下であることが好ましい。
【0032】
本発明は、上記本発明の硬質表面用洗浄剤組成物をスプレー式容器に充填してなる、スプレー式硬質表面用洗浄剤物品を提供する。
【0033】
スプレー式容器としては、トリガー式スプレーヤーが装着されたスプレー容器(トリガー式スプレー容器という)が挙げられる。トリガー式スプレー容器としては、液体洗浄剤組成物を収容する容器本体と、容器本体の口部に装着されたトリガー式液体噴出器とを具備するものが挙げられ、更には、容器本体の口部に液体洗浄剤組成物を噴出するトリガー式スプレーヤーが装着され、該トリガー式スプレーヤーの内部に垂直管路及び水平管路が形成され、該垂直管路内に該垂直管路と上記水平管路との連通を遮断するバルブが配設されたスプレー容器(スプレー容器(I)という)が挙げられる。スプレー容器(I)における上記水平管路の容積は0.1〜0.28cm3が好ましく、上記垂直管路の上記バルブ下の容積は0.06〜0.19cm3が好ましい。スプレー容器(I)は、水平管路の下方位置にシリンダーを備え、また、水平管路の先端部にスピンエレメントが装着され、さらに、このスピンエレメントの先端部にノズル孔を有するノズル部が嵌着固定されている。スプレー容器(I)は、トリガーを引いて、シリンダー内の空気を外に排出し、トリガーを戻した際に容器本体の液体洗浄剤組成物に浸した垂直管路を通じて液体洗浄剤組成物を吸い上げ、上記シリンダー内に液体を満たし、再びトリガーを引くことにより、該シリンダー内の液体を押し出して垂直管路に導き、さらに水平管路、スピンエレメントを通じて液体の流れにスピンを与え、最後にノズルから噴出するタイプのものである。トリガー式スプレー容器としては、例えば、「バスマジックリン泡立ちスプレー」(花王(株))のトリガー式スプレー容器を、洗浄、乾燥させたものを使用できる。
【実施例】
【0034】
表1に示す液体洗浄剤組成物を調製し、以下の方法でスプレー時の泡立ちとにおいを評価した。結果を表1に示す。
【0035】
(1)スプレー時の泡立ち
2010年4月製造のバスマジックリン(花王(株)製)のトリガー式スプレーを脱イオン水で洗浄し、室温で乾燥後、液体洗浄剤組成物を充填し、1回のスプレーを0.7秒かけて行う操作を10回繰り返したときの起泡性を以下の基準で評価した。
○:十分な起泡性が得られた。
×:泡がほとんど立たなかった。
【0036】
(2)においの評価方法
評価用アクリルボックス(縦40cm×横40cm×高さ30cm;上部に開閉可動式のフタ付き)の中に洗浄剤組成物を前記トリガー式スプレーヤー(1回の噴霧量1ml)で3回スプレーし、3回目のスプレー直後にボックス内のにおいをパネラー10人により官能評価し、以下の基準で評価した。においの強さの評価基準は以下の6段階とし、10人の評価結果の平均値を用いて判定した。
・溶剤臭の強さの評価基準
5:溶剤臭が強烈に感じられる
4:溶剤臭が強く感じられる
3:溶剤臭があきらかに感じられる
2:溶剤臭がかすかに感じられる
1:溶剤臭がほとんど感じられない
0:溶剤臭が全く感じられない
【0037】
【表1】

【0038】
表中の成分は以下のものである。なお、pHは、水酸化ナトリウム又は塩酸で調整した。
・ブチルカルビトール(A):ピークエリア比0.5%以下
・アルキルベンゼスルホン酸ナトリウム:アルキル基の炭素数12
・アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム:アルキル基の炭素数12、エチレンオキサイドの平均付加モル数4
・LBA:ラウロイル−β−アラニン(ラウリルアミノプロピオン酸)
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル:アルキル基の炭素数12、エチレンオキサイドの平均付加モル数6
・アルキルグリコシド:アルキル基の炭素数12、グルコースの縮合度1.3モル
・C12アミンオキシド:ラウリルジメチルアミンオキシド
・EDTA4Na:エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩
・BHT:3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン
【0039】
上記の表にまとめられた結果から、以下のことが分かった。
実施例は何れも溶剤臭が抑制されていて、スプレー時の泡立ち性で優れている。
実施例1、3、4、5、9と比較例2、3を比較すると、(A)/(B)が所定の範囲を満足する場合、溶剤臭が抑制されていて、且つスプレー時の泡立ち性が十分であったが、(A)/(B)が過大な場合(比較例2)、過小な場合(比較例3)のいずれの場合もにおいがあり、スプレー時の泡立ち性も十分ではなかった。
又、実施例の結果から、(A)/(B)が所定の範囲を満足すれば、(A)成分と種々の(B)成分との併用において溶剤臭が抑制され、スプレー時の泡立ち性が十分であることが分かった。
なお、LBAを含有する実施例12では、他の実施例と比べて、スプレー後の泡が早く消えることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ブチルカルビトールからなる溶剤であって、該溶剤中の主成分以外の分子量50〜300の物質の含有量が、ヘッドスペースGC−MS分析(測定条件は本文中に記載)において、前記溶剤のピークエリアに対する前記主成分以外の物質のピークエリアの比が0.5%以下となる量であるブチルカルビトール系溶剤を0.1〜20質量%、
(B)陰イオン界面活性剤、及び非イオン界面活性剤から選ばれる界面活性剤を0.1〜20質量%含有し、
(A)と(B)の質量比が(A)/(B)で1.5〜2.8の範囲にある、
硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項2】
(B)成分としてアシル化アミノ酸を、アシル化アミノ酸/〔(B)成分の総量〕の質量比で含有する請求項1又は2記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項3】
更に(C)金属イオン封鎖剤を0.5〜20質量%含有する請求項1記載の硬質表面用洗浄剤組成物
【請求項4】
更に(D)酸化防止剤を(A)に対して0.005質量%以上含有する請求項1〜3の何れか1項記載の硬質表面用洗浄剤組成物。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項記載の硬質表面用洗浄剤組成物をスプレー式容器に充填してなる、スプレー式硬質表面用洗浄剤物品。

【公開番号】特開2012−72281(P2012−72281A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218081(P2010−218081)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】