説明

硬質面クリーニング方法

【課題】グリース除去性能利益を示す液体組成物をグリースに接触させることによって、機械作用を用いずに硬質面をクリーニングする方法を提供すること。
【解決手段】(i)0.005重量%〜20重量%のポリマー、及び(ii)0.005重量%〜20重量%の硫酸化またはスルホン化陰イオン界面活性剤と、0.005重量%〜30重量%の、アミンオキシド界面活性剤、ベタイン界面活性剤、スルホベタイン界面活性剤及びそれらの混合物から成る群から選択される補助界面活性剤と、0.005重量%〜30重量%のアルコキシル化非イオン界面活性剤とを含む界面活性剤系を含む酸性液体組成物を、傾斜しているか又は垂直である硬質面に噴霧する工程を含み、傾斜しているか又は垂直である前記硬質面に機械的作用を加えない硬質面クリーニング方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体組成物を用いる硬質面クリーニング方法に関する。本発明の方法で用いる硬質面クリーニング用液体組成物は、この液体組成物がグリースに接触する場合、機械的作用を加えなくても有効なグリース除去性能の利益を示すことがわかった。
【背景技術】
【0002】
当該技術分野において、硬質面をクリーニングする液体組成物はよく知られている。
当該技術分野において、特に硬質面のクリーニングに適用される界面活性剤系を含むグリースクリーニング用液体組成物については多くの記載がある。当該技術分野において知られている液体組成物の例としては、スルホン化陰イオン界面活性剤、アミンオキシド界面活性剤及びエトキシル化アルコール界面活性剤を含む硬質面液体洗剤組成物(欧州特許出願公開第0080749号)、又はエトキシル化アルキルエーテルサルフェート界面活性剤、ベタイン界面活性剤、アミンオキシド界面活性剤及びエトキシル化アルコール界面活性剤を含む組成物(国際公開第98/50508号)がある。
【0003】
欧州特許出願公開第0080749号には、スルホン化陰イオン界面活性剤、アミンオキシド界面活性剤及びエトキシル化アルコール界面活性剤を含む硬質面クリーニング液体組成物が開示されている。
国際公開第98/50508号にはアルキルエトキシル化エーテルサルフェート界面活性剤、ベタイン界面活性剤、アミンオキシド界面活性剤及びエトキシル化アルコール界面活性剤を含む凡用クリーニング組成物が開示されている。
欧州特許出願公開第0157443号には、半極性非イオン洗浄剤、陰イオン界面活性剤及びアシルアミドアルキルベタインを含む洗剤組成物が開示されている。
欧州特許出願公開第0595590号には、アミンオキシド界面活性剤、アルキル陰イオン界面活性剤、アルコキシル化非イオン界面活性剤及び疎水変性ポリマーを含む硬質面クリーニング液体組成物が開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、界面活性剤系を含む前記硬質面クリーニング組成物のグリース除去性能は、現在さらに改良する余地がある。特に、液体組成物のグリース接触時の、機械作用を用いないグリース除去性能は改良することができる。さらに詳細には、傾斜面または垂直面において、グリース接触時に機械作用を用いない液体組成物のグリース除去性能は、改良することができる。
従って、本発明の目的は、グリース除去性能利益を示す液体組成物をグリースに接触させることによって、機械作用を用いずに硬質面をクリーニングする方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、本明細書に記載されるような液体組成物を用いる硬質面クリーニング方法によって達成されることが見出された。
本明細書に記載の方法が液体組成物のグリース接触時に、グリース除去性能利益を示す液体組成物によって傾斜面又は垂直面を機械作用を用いずにクリーニングする方法を提供することは有利である。
さらに、本発明の利点は、本明細書の方法を塗装セラミックタイル、非塗装セラミックタイル、エナメル、ステンレススチール、イノックス(Inox)(登録商標)、フォーマイカ(Formica)(登録商標)、ビニール、ノーワックスビニール、リノリウム、メラミン、ガラス、プラスチック及びプラスチファイドウッドのような種々の材料から成る硬質面のクリーニングに用いることができるという点である。
さらに本発明の利点は、この液体組成物のグリース接触時の機械作用を用いないグリース除去性能利益が、油性染み、並びに粒子状油性染み及び油の石鹸かすに対して得られることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
<発明の概要>
本発明は、(i)ポリマー、及び(ii)硫酸化又はスルホン化陰イオン界面活性剤と、アミンオキシド界面活性剤、ベタイン界面活性剤、スルホベタイン界面活性剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される補助界面活性剤と、スルホベタイン及び/又はアルコキシル化非イオン界面活性剤とを含む界面活性剤系を含む酸性液体組成物を硬質面に噴霧する硬質面クリーニング方法に関する。
本発明の好ましい別の実施形態としては、前記硬質面が、例えば鏡、ガラス、洗面台、小便便器、下水管又は排水管のように傾斜しているか又は垂直である表面である。
【0007】
<硬質面クリーニング方法>
本発明は、本明細書中に記載される液体組成物を用いて硬質面をクリーニングする方法を包含する。好ましい実施形態では、前記硬質面が前記液体組成物に接している。
本明細書中の「硬質面」とは、キッチン、浴室のような屋内、又は車の内装又は外装に典型的に見られるあらゆる種類の面、例えば床、壁、タイル、窓、食器棚、流し台、シャワー、シャワープラスチックカーテン、洗面器、トイレ、皿、固定物及び備品及びセラミック、ビニール、ノーワックスビニール、リノリウム、メラミン、ガラス、イノックス(Inox、登録商標)、フォーマイカ(Formica、登録商標)、あらゆるプラスチック、プラスチック木材、金属又はあらゆる塗装並びに上塗り面又はシール面などのような異なる材料から作られた面等を意味する。硬質面には、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、自動乾燥機、オーブン、電子レンジ、皿洗い機など家庭電気製品を含むが、これらに限定されない。
【0008】
本発明に基づく好ましい実施形態では、本明細書の方法でクリーニングされる硬質面がセラミック、ガラス、エナメル、ステンレススチール、クロム処理面及びフォーマイカ(Formica、登録商標)から成る群から選択される。好ましくは、本明細書の方法でクリーニングされる硬質面は、セラミック、ガラス、エナメル、ステンレススチール及びクロム処理面から成る群から選択される。
本発明の好ましい実施形態は、液体組成物が処理される面に塗布されることを条件としている。この組成物は、非希釈型又は希釈型とすることができる。
この「希釈型」とは、本明細書では使用者が前記液体組成物を、代表的には水で希釈することを意味する。この組成物は、使用する前に水でその重量の10倍から400倍までの典型的な希釈レベルに、好ましくは10倍から200倍に、さらに好ましくは10倍から100倍までのレベルに希釈される。通常推奨される希釈濃度は、組成物の水中濃度が1.5%となる希釈である。
【0009】
「非稀釈型」とは、前記液体組成物がいかなる稀釈も加えられることなく、処理される面に直接塗布されること、すなわち本明細書の液体組成物が本明細書に記述の硬質面に塗布されるものと理解されるべきである。
本発明の好ましい実施形態では、前記硬質面は傾斜しているか又は垂直であることが好ましい。傾斜又は垂直の硬質面としては、鏡、洗面台、小便便器、下水管、排水管等が挙げられる。
本発明の別の好ましい実施形態では、前記液体組成物は、前記硬質面に噴霧される。さらに好ましくは、前記液体組成物は、前記硬質面に非稀釈型で噴霧される。
本発明の別の好ましい実施形態では、前記硬質面のクリーニング方法には、前記液体組成物の硬質面への塗布段階、好ましくは噴霧段階、前記液体組成物が作用する一定時間、好ましくは機械作用を加えずに前記組成物を前記硬質面上で作用させる段階、及び任意で前記液体組成物を除去する段階、好ましくは前記硬質面を水により洗い流落とす及び/又は前記硬質面を適当な用具、例えばスポンジ、紙又は布タオル等で拭く段階が含まれる。
本発明の別の好ましい硬質面クリーニング方法では、前記組成物は、稀釈型で前記硬質面に塗布され、良好な汚れ/着色除去効果を得るために、塗布後は硬質面の洗い落としを行わない。
【0010】
処理される硬質面は、さまざまな汚れ、例えば油性汚れ(例えば油性石鹸かす、体の脂肪、キッチン等で典型的に見られるキッチングリース又は焦げた食品/べたつく食品の残渣)、粉末状の油性汚れ又はいわゆる「ライムスケールを含む着色」で汚され得る。この「ライムスケールを含む着色」は、本明細書ではあらゆる純粋なライムスケールの着色、すなわち基本的にミネラル沈着物、並びにライムスケール含有着色から成るあらゆる着色、すなわち炭酸カルシウム及び/又は炭酸マグネシウム等のミネラル沈着物だけでなく、石鹸かす(例えばステアリン酸カルシウム)及び他のグリース(例えば体の脂肪)を含む着色を意味する。
【0011】
<クリーニング性能試験方法>
クリーニング性能は、次の試験方法によって評価することができる。
水平面上:
グリース汚れ又はグリース/粒子状−人工の汚れをタイルに塗布することにより、キッチンまたは浴室のタイル(セラミック、エナメルまたはステンレススチール)を準備し、続いて、汚れたタイルを熟成(130℃で2時間)する。少量(例えば5ml〜10ml)の製品を汚れたタイルに直接塗布し、この試験組成物を短い時間(例えば1分以内)作用させて、試験組成物を評価する。その後前記組成物をふき取るかタイルを洗い流すことによって、試験組成物を除去する。清浄な面を得るために必要なサイクル数を測定することによって、参照組成物に対するクリーニング性能を評価する。試験組成物の結果、すなわちサイクル数を参照組成物の結果と比較する。別の方法としては、タイルを視覚的に等級付けするかカラリメーター(Colorimeter、登録商標)光沢計を用いてクリーニング性能を評価してもよい。熟練パネリストのグループがパネルスコアユニット(PSU)を用いて視覚的等級付けを行ってもよい。提供された組成物のクリーニング性能利益を評価するために、参照組成物と比較して、クリーニング性能に顕著な差がないことを示す等級0からクリーニング性能に顕著な差があることを示す等級4までのPSU等級を用いることができる。
【0012】
垂直面上(スプレー製品用に限る):
キッチン又は浴室のタイル(セラミック、エナメル、フォーマイカ(Formica、登録商標)又はステンレススチール)にグリースと粒子状人工汚れとの混合物(グリース/粒子状汚れの混合比75/25(w/w))の薄い層(20g/m2)を塗布する。少量のクリーニング組成物(例えば2g)を汚れた垂直に設置された表面に噴霧する。任意で、タイルを水で処理する洗い落とし段階を実施してもよい。タイルを視覚的に等級付けするか、又はカラリメーター(Colorimeter、登録商標)光沢計を用いてクリーニング性能を評価する。視覚的等級付けは、熟練パネリストのグループがパネルスコアユニット(PSU)を用いて実施してもよい。提供された組成物のクリーニング性能利益を評価するために、参照組成物と比較して、クリーニング性能に顕著な差がないことを示す等級0からクリーニング性能に顕著な差があることを示す等級4までのPSU等級を用いることができる。
【0013】
<液体組成物>
本発明の組成物は、液体組成物として配合されている。
本発明の好ましい組成物は、4cmのスピンドルを用いたCSL2100(登録商標)レオメーター(2分以内に10〜100dyne/cm2の線状増加)によって20℃で測定した場合、20℃で1cpsより大きい、好ましくは1cps〜5000cps、さらに好ましくは、1cps〜500cpsの粘度を有する。
本明細書に基づく好ましい組成物は水性組成物であり、したがって好ましくは水を含み、さらに好ましくは組成物全量の50重量%〜98重量%、さらになお好ましくは75重量%〜97重量%、もっとも好ましくは80重量%〜97重量%の量の水を含む。
【0014】
別の好ましい実施形態においては、pHの範囲は0〜6.9、さらに好ましくは1〜6、さらになお好ましくは2〜5、及び最も好ましくはpH3〜5である。実際、驚くべきことに、特に油性汚れに対して、クリーニング性能が、これらの好ましい酸性から中性までのpH領域、好ましくは酸性pH領域ではさらに改善されることが見出された。従って、本明細書における組成物は適宜pHを調整するための酸又は塩基をさらに含んでもよい。驚くべきことに、通常は酸性クリーナーによって示されるきわめて優れた油性の石鹸かす(浴槽の汚れ)の除去、ライムスケール除去及び/又は硬いウォーターマーク(hard water marks)除去特性に加え、酸性pHで配合された本明細書の組成物は、アルカリ性クリ−ナーに匹敵するか又は上回りさえするグリース又は油性微粒子汚れ除去性能を有する。
【0015】
本明細書に用いるのに好適な酸は、有機酸及び/又は無機酸である。本明細書に用いる好ましい有機酸は、6未満のpkaを有する。好適な有機酸は、クエン酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、グルタル酸及びアジピン酸及びこれらの混合物から成る群から選択される。前記酸の混合物は、ソカラン(Sokalan)(登録商標)DCSの商品名で、BASFから市販されている。好適な無機酸は、塩酸、硫酸、燐酸及びこれらの混合物を含む群から選択される。
このような酸が存在する場合、その典型的な濃度は、組成物全量の0.01重量%〜5.0重量%、好ましくは0.04重量%〜3.0重量%、さらに好ましくは0.05重量%〜1.5重量%である。
【0016】
本明細書で用いるのに好適な塩基は、有機塩基及び/又は無機塩基である。本明細書で用いるのに好適な塩基は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び/又は水酸化リチウムのような苛性アルカリ、及び/又はナトリウム及び/又は酸化カリウム又はこれらの混合物のようなアルカリ金属酸化物である。好ましい塩基は苛性アルカリであり、さらに好ましくは水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムである。
その他の好適な塩基には、アンモニア、炭酸アンモニウム、K2CO3、Na2CO3及びアルカノールアミン(例としてモノエタノールアミン)が挙げられる。
このような塩基が存在する場合、その典型的な濃度は、組成物全量の0.01重量%〜5.0重量%、好ましくは0.05重量%〜3.0重量%、さらに好ましくは0.1重量%〜0.6重量%である。
【0017】
<界面活性剤系>
以上に概要を述べたように、本明細書に記載した方法に用いるクリーニング組成物は、本明細書に記載した固有の界面活性剤系を含み、好ましくは前記界面活性剤系は、25℃の脱イオン水中0.15%の総界面活性剤濃度で測定されたσL/0(界面活性剤系含有組成物の油性汚れに対する界面張力)が4mN/m未満であり、及びσL/S(界面活性剤系含有組成物の硬質面に対する界面張力)がクリーニングされる硬質面に対する除去される油性汚れの界面張力(σO/S)よりも低い。
「界面張力」とは、本明細書中では、実質的に混合不可能な二つの液体組成物間又は液体組成物と固体表面との間で測定される張力を意味する。
【0018】
「界面活性剤系含有組成物の油性汚れに対する界面張力(σL/0)」とは、本明細書中では、25℃の脱イオン水中、0.15%の総界面活性剤濃度で測定された界面活性剤系含有組成物と油性汚れとの間の界面張力を意味する。例えば、σL/Oは、ドロップボリュームテンショメーター、例えばラウダ(Lauda)TVT−1(登録商標)で測定できる。この方法は特に、例えば、界面活性剤系含有組成物の油性汚れに対する界面張力(σL/0)のような動的界面張力を測定する場合に有用である。ドロップボリュームテンショメーターを用いて油と界面活性剤を含む組成物との間の界面張力を測定するために、これらの二つの相の内の一つの相、例えば油性汚れの相又は界面活性剤を含む組成物相の液滴を、二つの相の内の第二の相、例えば本明細書に基づく界面活性剤系含有組成物相又は油性汚れの相中にそれぞれ毛管のチップによって形成する。液滴がチップから離れる直前の瞬間には、チップにおいて界面張力により、解離力と密着力との間で平衡状態が作られる。ドロップボリュームテンショメーターは、チップを通じての液体の流れ(dV/dt)の調整及びV=0mlから前記液滴がチップから離れる瞬間(dt)までの時間(表面齢)の測定を行うことによって、それぞれの液滴の容量(V液滴)を測定する。(動的)界面張力σL/0は、形成される液滴の容量に対し、直鎖状である。
【0019】
σL/0=V液滴×(Δ密度)×g/(π×d)
Δ密度は密度計で測定される二相の密度の差であり、gは重力定数であり、dはチップの直径である。
前記界面活性剤系は、25℃の脱イオン水中、0.15%の総界面活性剤濃度で、測定された好ましくは2mN/m未満、さらに好ましくは、1mN/m未満のσL/0(界面活性剤系含有組成物の油性汚れに対する界面張力)を有する。
【0020】
本明細書中、「界面活性剤系含有組成物の硬質面に対する界面張力(σL/S)」は、界面活性剤系とクリーニングされる硬質面との間の界面張力を意味する。界面活性剤系含有組成物の硬質面に対する界面張力(σL/S)も、25℃の脱イオン水中、0.15%の総界面活性剤濃度で評価されることが好ましい。σL/Sは、接触角測定法、例えばKruss DSA 10(登録商標)液滴形分析系の結果を用いて算出することができる。液滴形分析系は、面上での液体の接触角θを測定するものであり、その際、前記接触角が高いほど、液体組成物と面との相互作用は小さく、このことは、面上での液体の濡れが悪いことを示す。この測定を通じて、界面張力σL/A(試験液の空気に対する界面張力)が評価されねばならない。測定されているか又は既知の表面自由エネルギー(界面張力σS/A算出の基礎となる)を有する硬質面上で、接触角θ、σL/A及び空気界面張力に対する与えられた硬質面の界面張力(σS/A)を順番に用い、組成物を含む界面活性剤系の硬質面に対する張力σL/Sをヤングの等式によって算出することができる。
【0021】
σL/A×cosθ=σS/A−σL/S
本明細書中、「硬質面に対する油性汚れの界面張力(σO/S)」は、油性汚れとクリーニングされる硬質面との間の界面張力を意味する。硬質面に対する油性汚れの界面張力は、硬質面上に見られる油性汚れの種類に強く依存している。σO/Sは、上述のように接触角測定法、例えばKruss DSA 10(登録商標)液滴形分析系によって測定することができる。
本明細書に記載された三つの界面張力は、用いられる界面活性剤系、クリーニングされる硬質面及び前記硬質面上の油性汚れの物理的及び/又は化学的性質に左右される。しかし、硬質面及び油性汚れの物理的及び/又は化学的性質は、クリーニングされる硬質面及び前記硬質面上に見られる油性汚れのタイプに依存している。従って、本発明が上述のような界面張力σL/0及びσL/Sを供給する好適な界面活性剤系を選択することが必要である。実際に、固有のσL/0界面張力(油性汚れに対する組成物を含む界面活性剤系の界面張力)及びσL/S界面張力(硬質面に対する組成物を含む界面活性剤系の界面張力)を有するクリーニング組成物を供給するために、前記固有のσL/0及びσL/Sを提供する、当業者が周知の界面活性剤系は、いかなるものも用いることができる。
【0022】
本明細書中の界面活性剤系は、硫酸化又はスルホン化陰イオン界面活性剤、前記硫酸化又はスルホン化陰イオン界面活性剤の負電荷の少なくとも一部を中和する補助界面活性剤、並びにスルホベタイン及び/又はアルコキシル化非イオン界面活性剤を含む。
【0023】
(硫酸化又はスルホン化陰イオン界面活性剤)
本発明による界面活性剤系には、硫酸化又はスルホン化陰イオン界面活性剤又はその混合物が含まれる。
本明細書に用いるのに好適な硫酸化陰イオン界面活性剤は、当業者に一般に既知のものすべてである。好ましくは、本明細書で使用される硫酸化陰イオン界面活性剤はアルキルサルフェート、及びアルコキシル化サルフェート、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0024】
本明細書で使用するのに好適なアルキルサルフェートには、式ROSO3Mの水溶性の塩又は酸が挙げられ、上記において、RはC6〜C20の直鎖状又は分枝鎖状の、飽和又は不飽和のアルキル基、好ましくはC8〜C18のアルキル基、さらに好ましくはC10〜C14のアルキル基であり、Mは、H、又は、例えば、アルカリ金属陽イオン(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム)、又は、アンモニウム若しくは置換アンモニウム(例えば、メチル−、ジメチル−、及びトリメチルアンモニウム陽イオン及び例えばテトラメチル−アンモニウム及びジメチルピペルジニウム陽イオンのような第四級アンモニウム陽イオン、及びエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンのようなアルキルアミンに由来する第四級アンモニウム陽イオン、及びこれらの混合物など)のような陽イオンである。
【0025】
特に好適な直鎖状のアルキルサルフェートとしては、アルブライトアンドウィルソンALBRIGHT&WILSONにより市販されているエムピコル(EMPICOL、登録商標)0298/、エムピコル(EMPICOL、登録商標)0298/F又はエムピコル(EMPICOL、登録商標)XLBのようなC12,14アルキルサルフェートが挙げられる。
「直鎖状アルキルサルフェート」は、この明細書ではアルキル鎖が、6〜20の炭素原子、好ましくは8〜18の炭素原子、さらに好ましくは10〜14の炭素原子を含み、このアルキル鎖が一方の末端部で硫酸化されている非置換アルキルサルフェートを意味する。
【0026】
本明細書に用いるのに好適なアルコキシル化サルフェート界面活性剤は、化学式RO(A)mSO3Mに従い、Rは直鎖状又は分枝鎖状のC6〜C20アルキル成分を有する非置換C6〜C20アルキル、ヒドロキシアルキル又はアルキルアリル基、好ましくはC12〜C20アルキル又はヒドロキシアルキル基、さらに好ましくはC12〜C18アルキル又はヒドロキシアルキルを表し、Aはエトキシ又はプロポキシ又はブトキシ単位又はこれらの混合物であり、mは0よりも大きく、典型的には0.5〜6、さらに好ましくは0.5〜3であり、MはH又は陽イオン、例えば金属陽イオン(例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム等)、アンモニウム又は置換アンモニウム陽イオンを表す。アルキルエトキシル化サルフェート、アルキルブトキシル化サルフェート、並びにアルキルプロポキシル化サルフェートは、本明細書で検討されている。置換アンモニウム陽イオンの特別な例としては、メチル−、ジメチル−、トリメチルアンモニウム陽イオン、及びテトラメチルアンモニウム、ジメチルピペリジニウムのような、四級アンモニウム陽イオン、及びエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、及びこれらの混合物等のようなアルカノールアミンに由来する陽イオンが挙げられる。代表的な界面活性剤は、C12〜C18アルキルポリエトキシル化(1.0)サルフェート(C12〜C18E(1.0)SM)、C12〜C18アルキルポリエトキシル化(2.25)サルフェート(C12〜C18(E2.25)SM)、C12〜C18アルキルポリエトキシル化(3.0)サルフェート(C12〜C18E(3.0)SM)、及びC12〜C18アルキルポリエトキシル化(4.0)サルフェート(C12〜C18E(4.0)SM))であり、Mは適宜ナトリウム及びカリウムから選択される。特に好適なアルコキシル化サルフェートとしては、AKZOから市販されているエルファン(ELFAN、登録商標)NS 243S、アルブライトアンドウィルソン(Albright&Wilson)から市販されているエムピコル(EMPICOL、登録商標)ESC 3、SERVOから市販されているセルデット(Serdet、登録商標)DNK30(3EO)又はレオ(Rewo)から市販されているレオポル(Rewopol、登録商標)NOS 5が挙げられる。
【0027】
本明細書に用いるのに好適なスルホン化陰イオン界面活性剤は、当業者に一般に既知のものすべてである。好ましくは、本明細書に用いるスルホン化陰イオン界面活性剤は、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、ナフタレンスルホネート、アルキルアルコキシル化スルホネート、及び直鎖状又は分枝鎖状のC6〜C20アルキルアルコキシル化ジフェニルオキシドジスルホネート、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
本明細書で使用するのに好適なアルキルスルホネートには、式RSO3Mの水溶性の塩又は酸が挙げられ、上記において、RはC6〜C20の直鎖状又は分枝鎖状の、飽和又は不飽和のアルキル基、好ましくはC8〜C18のアルキル基、さらに好ましくはC14〜C17のアルキル基であり、Mは、H、又は、例えば、アルカリ金属陽イオン(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム)、又は、アンモニウム若しくは置換アンモニウム(例えば、メチル−、ジメチル−、及びトリメチルアンモニウム陽イオン及び例えばテトラメチル−アンモニウム及びジメチルピペルジニウム陽イオンのような第四級アンモニウム陽イオン、及びエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンのようなアルキルアミンに由来する第四級アンモニウム陽イオン、及びこれらの混合物など)のような陽イオンである。
【0028】
本明細書で使用するのに好適なアルキルアリールスルホネートには、式、RSO3Mの水溶性の塩又は酸が挙げられ、上記において、RはC6〜C20の直鎖状又は分枝鎖状の、飽和又は不飽和のアルキル基、好ましくはC8〜C18のアルキル基、さらに好ましくはC9〜C14のアルキル基で置換されたアリル、好ましくはベンジルであり、Mは、H、又は、例えば、アルカリ金属陽イオン(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムなど)、又は、アンモニウム若しくは置換アンモニウム(例えば、メチル−、ジメチル−、及びトリメチルアンモニウム陽イオン及び例えばテトラメチル−アンモニウム及びジメチルピペルジニウム陽イオンのような第四級アンモニウム陽イオン、及びエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンのようなアルキルアミンに由来する第四級アンモニウム陽イオン、及びこれらの混合物など)のような陽イオンである。
【0029】
特に好適な直鎖状アルキルスルホネートとしては、ヘキストから市販されているホスタプール(Hostapur、登録商標)SASのようなC14〜C17のパラフィンスルホネートが挙げられる。市販されているアルキルアリールスルホネートの例には、Su.Ma.からラウリルアリールスルホネートがある。特に好適なアルキルアリールスルホネートは、ナンサ(Nansa)(登録商標)の商品名でアルブライトアンドウィルソン(Albright&Wilson)から入手可能なアルキルベンゼンスルホネートである。
「直鎖状アルキルスルホネート」とは、本明細書では、アルキル鎖が、6〜20の炭素原子、好ましくは8〜18の炭素原子、及びさらに好ましくは14〜17の炭素原子を含み、その際このアルキル鎖が一方の末端でスルホン化されている非置換のアルキルスルホネートを意味する。
【0030】
本明細書に用いるのに好適なアルコキシル化スルホネート界面活性剤は、式、R(A)mSO3Mで表され、Rは直鎖状又は分枝鎖状のC6〜C20アルキル成分、好ましくはC12〜C20アルキル又はヒドロキシアルキル、さらに好ましくはC12〜C18アルキル又はヒドロキシアルキルを有する非置換C6〜C20アルキル、ヒドロキシアルキル又はアルキルアリール基であり、Aはエトキシ又はプロポキシ又はブトキシ単位であり、mはゼロより大きく、典型的には0.5〜6、さらに好ましくは0.5〜3であり、MはH又は、例えば金属陽イオン(例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム)、アンモニウム又は置換アンモニウム陽イオンであり得る陽イオンである。アルキルエトキシル化スルホネート、アルキルブトキシル化スルホネート、並びにアルキルプロポキシル化スルホネートは、本明細書で検討されている。置換されたアンモニウム陽イオンの特別な例としては、メチル−、ジメチル−、トリメチルアンモニウム陽イオン、及びテトラメチルアンモニウム、ジメチルピペリジニウムのような、四級アンモニウム陽イオン、及びエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、及びこれらの混合物のようなアルカノールアミンから得られる陽イオン等が挙げられる。代表的な界面活性剤は、C12〜C18アルキルポリエトキシル化(1.0)スルホネート(C12〜C18E(1.0)SM)、C12〜C18アルキルポリエトキシル化(2.25)スルホネート(C12〜C18E(2.25)SM)、C12〜C18アルキルポリエトキシル化(3.0)スルホネート(C12〜C18E(3.0)SM)、及びC12〜C18アルキルポリエトキシル化(4.0)スルホネート(C12〜C18E(4.0)SM)であり、Mは適宜ナトリウム及びカリウムから選択される。特に好適なアルコキシル化スルホネートとしては、ユニオンカーバイドから市販されているトリトン X−200(登録商標)のようなアルキルアリールポリエーテルスルホネートが挙げられる。
【0031】
本明細書に用いるのに好適なC6〜C20アルキルアルコキシル化された直鎖状又は分枝鎖状のジフェニルオキシドジスルホネート界面活性剤は、次の式に準じる:
【0032】
【化1】

【0033】
式中、RはC6〜C20直鎖状又は分枝鎖状の、置換又は非置換アルキル基、好ましくはC6〜C18アルキル基、及びさらに好ましくはC6〜C14アルキル基、及びX+はH又はアルカリ金属陽イオン(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム等)のような陽イオンである。本明細書に用いるのに特に好適なC6〜C20アルキルアルコキシル化された直鎖状又は分枝鎖状のジフェニルオキシドジスルホネート界面活性剤としては、それぞれダウファックス2A1(登録商標)及びダウファックス8390(登録商標)の商品名でダウから市販されている分枝鎖状のC12ジフェニルオキシドジスルホン酸、及び直鎖状のC16ジフェニルオキシドジスルホネートのナトリウム塩が挙げられる。
【0034】
本明細書に用いる前記硫酸化又はスルホン化陰イオン界面活性剤は、アルキルサルフェート、アルキルアルコキシル化サルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルキルアルコキシル化スルホネート、直鎖状又は分枝鎖状のC6〜C20アルキルアルコキシル化ジフェニルオキシドジスルホネート、ナフタレンスルホネート、及びこれらの混合物から成る群から好ましくは選択される。さらに好ましくは、本明細書で使用される前記硫酸化又はスルホン化陰イオン界面活性剤はアルキルスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルアルコキシル化サルフェート、アルキルアリールスルホネート、及びこれらの混合物から成る群から選択される。さらに好ましくは、本明細書に用いる前記硫酸化又はスルホン化陰イオン界面活性剤は、パラフィンスルホネートである。もっとも好ましくは、本明細書に用いる前記スルホン化陰イオン界面活性剤は、C14〜C17パラフィンスルホネートである。
【0035】
典型的には、本明細書の液体組成物には、重量において組成物全量の0.005〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5.0重量%、もっとも好ましくは0.2〜3.0重量%の硫酸化又はスルホン化陰イオン界面活性剤が含まれてもよい。
【0036】
(補助界面活性剤)
本発明に基づく界面活性剤系は、前記硫酸化又はスルホン化陰イオン界面活性剤の負電荷の少なくとも一部を中和する補助界面活性剤を含む。
好ましくは、本発明による酸性組成物中に存在する場合、前記補助界面活性剤は正に帯電しているか、又は同一分子内に正電荷及び負電荷を含む。
前記硫酸化又はスルホン化陰イオン界面活性剤の負電荷の少なくとも一部を中和する望ましい性質を有する補助界面活性剤はいずれも使用することができる。
好ましい補助界面活性剤は、アミンオキシド界面活性剤、ベタイン界面活性剤、スルホベタイン界面活性剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
好適なベタイン又はスルホベタイン界面活性剤は、次の式に準じる:
【0037】
【化2】

【0038】
式中、R1及びR2は、それぞれ独立して炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜7の飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素鎖であって;R3は、炭素原子数8〜30、好ましくは10〜20、さらに好ましくは12〜18の、直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素鎖、nは1〜20、好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜5の整数、Mは水素又はアルカリ金属、又はこれらの混合物である。
好適なベタイン又はスルホベタイン界面活性剤の例としては、アルブライトアンドウィルソン(Albright&Wilson)から市販されているココナッツジメチルベタインが挙げられる。好適なスルホベタインは、WITCOから市販されている(レオテリック AM−CAS(Rewoteric AM-CAS)(登録商標))。
【0039】
好適なアミンオキシド界面活性剤としては、化学式:R123NOに準じ、上記においてR1、R2及びR3はそれぞれ独立して炭素原子数1〜30の飽和又は不飽和、置換又は非置換、直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素鎖である。本発明により用いられるのに好ましいアミンオキシド界面活性剤は、次の式R123NOを有するアミンオキシドであり、上記において、R1は、1〜30の、好ましくは6〜20の、より好ましくは8〜16の、最も好ましくは8〜12の炭素原子を含む炭化水素鎖であり、そして上記において、R2及びR3は独立して、1〜4の炭素原子を、好ましくは1〜3の炭素原子を含む、置換又は非置換、直鎖状又は分枝鎖状の飽和又は不飽和炭化水素鎖であり、より好ましくはメチル基である。R1は、置換又は非置換の直鎖状又は分枝鎖状の飽和又は不飽和炭化水素鎖である。本明細書に用いるのに好適なアミンオキシドとしては、例えば天然混合物のC8〜C10アミンオキシド並びにヘキストから市販されているC12〜C16アミンオキシド、好ましいアミンオキシドとしては、アルブライトアンドウィルソン(Albright&Wilson)から市販されているC12〜C14ジメチルアミンオキシド、ゲナミノックス(Genopminox、登録商標)LAの商品名でヘキストから、又はアロモックス(AROMOX、登録商標)DMMCD−Wの商品名でAKZOから市販されているC12〜C14アミンオキシド、又はアロモックス(AROMOX、登録商標)DM14D−W970(−AO)の商品名でAKZOから市販されているC14アミンオキシドが挙げられる。
【0040】
好ましくは、前記補助界面活性剤は、アミンオキシド界面活性剤、ベタイン界面活性剤、スルホベタイン界面活性剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される。さらに好ましくは、前記補助界面活性剤は、アミンオキシド界面活性剤、ベタイン界面活性剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される。さらになお好ましくは、前記補助界面活性剤は、アミンオキシド界面活性剤である。
液体組成物は、本明細書では典型的に組成物全量の0.005重量%〜30重量%、好ましくは0.1重量%〜15.0重量%、さらに好ましくは0.1重量%〜10重量%、もっとも好ましくは0.20重量%〜5.0重量%の前記補助界面活性剤を含む。
【0041】
(アルコキシル化非イオン界面活性剤)
本発明による界面活性剤系は、スルホベタイン及び/又はアルコキシル化非イオン界面活性剤をさらに含む。
好適なスルホベタイン界面活性剤は次式による:
【0042】
【化3】

【0043】
上記において、R1及びR2は、それぞれ独立して炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜7の飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素鎖であり;R3は、炭素原子数8〜30、好ましくは10〜20、さらに好ましくは12〜18の、直鎖状又は分枝鎖状の炭化水素鎖;nは1〜20、好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜5の整数;Mは水素又はアルカリ金属、又はこれらの混合物である。
好適なスルホベタインは、WITCOから市販されている(レオテリック AM−CAS(Rewoteric AM-CAS)(登録商標))。
本明細書に用いる好適なアルコキシル化非イオン界面活性剤には、末端処理しない又は末端処理したアルコキシル化非イオン界面活性剤及びこれらの混合物が含まれる。
【0044】
好適な末端処理していないアルコキシル化非イオン界面活性剤は、式RO−(A)nHに準じ、式中、RはC6〜C22、好ましくはC8〜C22、より好ましくはC9〜C14のアルキル鎖、又はC6〜C28のアルキルベンゼン鎖であり;Aはエトキシ又はプロポキシ又はブトキシ単位又はこれらの混合物であり;式中、nは0〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは2〜15、さらにより好ましくは2〜12、及び最も好ましくは4〜10である。本明細書に用いるのに好ましいR鎖はC8〜C22のアルキル鎖である。本明細書に用いるさらに好ましいR鎖は、C9〜C12のアルキル鎖である。末端処理していないエトキシル/ブトキシル化、エトキシル/プロポキシル化、ブトキシル/プロポキシル化、及びエトキシル/ブトキシル/プロポキシル化非イオン界面活性剤もまた、本明細書において用いてもよい。末端処理していないアルコキシル化非イオン界面活性剤としては、末端処理していないエトキシル化非イオン界面活性剤が好ましい。
【0045】
本明細書に用いるのに好適な末端処理してないエトキシル化非イオン界面活性剤としては、ドバノール(Dobanol)(登録商標)91−2.5(HLB=8.1;RはC9及びC11アルキル鎖の混合物、nは2.5)、又はルテンゾール(Lutensol)登録商標)T03(HLB=8;RはC13アルキル鎖、nは3)、又はルテンゾール(Lutensol)(登録商標)A03(HLB=8;RはC13及びC15アルキル鎖の混合物、nは3)、又はタージトール(Tergitol)(登録商標)25L3(HLB=7.7;RはC12〜C15アルキル鎖の長さの範囲、nは3)、又はドバノール(Dobanol)(登録商標)23−3(HLB=8.1;RはC12及びC13アルキル鎖の混合物、nは3)、又はドバノール(Dobanol)(登録商標)23−2(HLB=6.2;RはC12及びC13アルキル鎖の混合物、nは2)、又はドバノール(Dobanol)(登録商標)45−7(HLB=11.6;RはC14及びC15アルキル鎖の混合物、nは7)又はドバノール(Dobanol)(登録商標)23−6.5(HLB=11.9;RはC12及びC13アルキル鎖の混合物、nは6.5)、又はドバノール(Dobanol)(登録商標)25−7(HLB=12;RはC12及びC15アルキル鎖の混合物、nは7)、又はドバノール(Dobanol)(登録商標)91−5(HLB=11.6;RはC9及びC11アルキル鎖の混合物、nは5)、又はドバノール(Dobanol)(登録商標)91−6(HLB=12.5;RはC9及びC11アルキル鎖の混合物、nは6)、又はドバノール(Dobanol)(登録商標)91−8(HLB=13.7;RはC9及びC11アルキル鎖の混合物、nは8)、ドバノール(Dobanol)(登録商標)91−10(HLB=14.2;RはC9〜C11のアルキル鎖、nは10)、ドバノール(Dobanol)(登録商標)91−12(HLB=14.5;RはC9〜C11のアルキル鎖、nは12)、リアレスル(Lialethl)(登録商標)11−5(RはC11アルキル鎖、nは5)、イサルケム(Isalchem)(登録商標)11−5(Rは直鎖状及び分枝鎖状のC11アルキル鎖の混合物、nは5)、リアレスル(Lialethl)(登録商標)11−21(Rは直鎖状及び分枝鎖状のC11アルキル鎖の混合物、nは21)、イサルケム(Isalchem)(登録商標)11−21(RはC11分枝鎖状のアルキル鎖、nは21)、エムピラン(Empilan)(登録商標)KBE21(RはC12及びC14アルキル鎖の混合物、nは21)又はこれらの混合物である。本明細書では、ルテンゾール(Lutensol)(登録商標)T03、又はルテンゾール(Lutensol)(登録商標)A03、又はタージトール(Tergitol)(登録商標)25L3、又はドバノール(Dobanol)(登録商標)23−3、又はドバノール(Dobanol)(登録商標)23−6.5、又はドバノール(Dobanol)(登録商標)45−7、ドバノール(Dobanol)(登録商標)91−5、ネオドール(Neodol、登録商標)11−5、リアレスル(Lialethl)(登録商標)11−21リアレスル(Lialethl)(登録商標)11−5、イサルケム(Isalchem)(登録商標)11−5イサルケム(Isalchem)(登録商標)11−21ドバノール(Dobanol)(登録商標)91−8、又はドバノール(Dobanol)(登録商標)91−10、又はドバノール(Dobanol)(登録商標)91−12、又はこれらの混合物を用いることが好ましい。これらのドバノール(Dobanol)(登録商標)/ネオドール(Neodol)(登録商標)界面活性剤は、シェルから市販されている。これらのルテンゾール(Lutensol、登録商標)界面活性剤は、BASFから、及びこれらのタージトール(Tergitol、登録商標)界面活性剤はユニオンカーバイドから市販されている。
【0046】
処理ヒドロキシル末端基を有する好適な末端処理アルコキシル化非イオン界面活性剤は、:R(A)n−O−R1で表され、R及びR1は独立してC1〜C30、好ましくはC1〜C20アルキル鎖、又はC1〜C18アルキルベンゼン鎖、Aはエトキシ又はプロポキシ又はブトキシ単位又はこれらの混合物;nは0〜20、好ましくは1〜15、さらに好ましくは2〜15、もっとも好ましくは2〜12である。末端処理エトキシ/ブトキシル化、エトキシ/プロポキシル化、ブトキシ/プロポキシル化及びエトキシ/ブトキシ/プロポキシル化非イオン界面活性剤も本明細書に用いてよい。本明細書に用いるのに好適な末端処理したアルコキシル化非イオン界面活性剤としては、例えばBASFから市販されているプルラファック(Plurafac、登録商標)LF231が挙げられる。
【0047】
本明細書に用いるのに好適なアルコキシル化非イオン界面活性剤を調製する化学的製造方法には、アルキレンオキシドと対応するアルコールを好ましい割合に縮合する方法がある。このような方法は、この当業者によく知られており、この技術分野において広く記述されている。
好ましくは、前記アルコキシル化非イオン界面活性剤は、末端処理していないアルコキシル化非イオン界面活性剤、及び末端処理したアルコキシル化非イオン界面活性剤及びこれらの混合物から成る群から選択される。さらに好ましくは、前記アルコキシル化非イオン界面活性剤は、C9−12EO4−10アルキルエトキシレート、C9−12EO4−7アルキルエトキシレート又はC9−14EO12−30アルキルエトキシレート又はこれらの混合物である。もっとも好ましくは、前記アルコキシル化非イオン界面活性剤はC11E05アルキルエトキシレート又はC11EO21アルキルエトキシレート又はこれらの混合物である。
【0048】
典型的には、本明細書に用いる液体組成物は、組成物全量の0.005重量%〜30重量%、好ましくは0.1重量%〜20重量%、さらに好ましくは0.1重量%〜15重量%、もっとも好ましくは0.3重量%〜8重量%の前記アルコキシル化非イオン界面活性剤を含んでいてよい。
本明細書の液体組成物のpHが0〜6.9(酸性pH)である本明細書の好ましい実施形態においては、本明細書の界面活性剤系は、硫酸化又はスルホン化陰イオン界面活性剤、好ましくは短鎖の硫酸化又はスルホン化陰イオン界面活性剤、より好ましくはオクチルスルホネート、オクチルサルフェート及び/又はC79サルフェート、前記硫酸化又はスルホン化陰イオン界面活性剤の負電荷の少なくとも一部を中和する補助界面活性剤、並びにスルホベタイン界面活性剤及び/又はアルコキシル化非イオン界面活性剤から成る。
【0049】
本発明は、本明細書に記載するような界面活性剤系を含む液体組成物によって硬質面を処理する方法が優れたグリース除去作用を示すという所見を基礎としている。実際に、当出願者は、25℃の脱イオン水中、0.15%の総界面活性剤濃度で、好ましくは4mN/m未満のσL/0(油性汚れに対する界面活性剤系含有組成物の界面張力)及びクリーニングされる硬質面に対する除去される油性汚れの界面張力(σ0/S)よりも低いσL/S(硬質面に対する界面活性剤系含有組成物の界面張力)を有し、硫酸化またはスルホン化陰イオン界面活性剤、前記硫酸化またはスルホン化陰イオン界面活性剤の負電荷の少なくとも一部を中和する補助界面活性剤、並びにスルホベタイン及び/又はアルコキシル化非イオン界面活性剤から成る前記界面活性剤系の液体組成物の組み合わせが、前記液体組成物がグリースに接触した際に、機械作用を加えることなくグリース除去性能の利益を提供することを見出している。
【0050】
理論に拘束されるわけではないが、当出願人はクリーニング組成物と油性汚れとの間の界面張力(本明細書では、σL/0−油性汚れに対する界面活性剤系含有組成物の界面張力で表す)だけでなく、クリーニング組成物とクリーニングされる硬質面との間の界面張力(本明細書では、σL/S−硬質面に対する界面活性剤系含有組成物の界面張力で表す)も硬質面クリーニング組成物の油性汚れ除去性能に強く関わっていることを驚きをもって見出している。好ましくは、σL/0−油性汚れに対する界面活性剤系含有組成物の界面張力及びσL/S−硬質面に対する界面活性剤系含有組成物の界面張力)の両方が低くなければならず、加えて硬質面に対する界面活性剤系含有組成物の界面張力であるσL/Sが、クリーニングされる硬質面に対する除去される油性汚れの界面張力(σ0/S)よりも低くなければならない。実際、本明細書で要求される界面張力を示す界面活性剤系は、油性汚れのついた硬質面をクリーニングするための硬質面クリーニング組成物に用いる場合、硬質面から油性汚れを剥がし、油性汚れを油の小滴に分解し、その小油滴を懸濁液中に維持(再沈着防止)することがわかっている。クリーニング組成物のσL/Sが低く、σ0/Sよりも低いことが、硬質面から油性汚れがよく剥離し、油性汚れが小さい油滴に分解する理由と考えられる(グリース除去性能利益)。クリーニング組成物のσL/0が低いとは、σL/0が4mN/m未満、好ましくは2mN/m未満、さらに好ましくは1mN/m未満であることを意味し、このことは、油滴が懸濁液中に維持され、これによりその油滴が表面上に再沈着することが防止される理由であると考えられる(グリース再沈着防止利益)。このように、グリース除去性能利益及びグリース再沈着防止利益に優れていることにより、前記液体組成物の硬質面塗布後に、グリースを硬質面から除去するための機械的クリーニング作用を要しない硬質面クリーニング用液体組成物の配合が可能になる(液体組成物のグリース接触による、機械的作用を適用しないグリース除去性能利益)。
【0051】
界面活性剤系が上述のような硫酸化又はスルホン化陰イオン界面活性剤と補助界面活性剤との組み合わせから成る、本明細書の極めて好ましい実施形態では、補助界面活性剤が陰イオン界面活性剤の負電荷を中和して陰イオン界面活性剤分子間に働く静電及び立体反発力を低下させることにより、クリーニング組成物のσL/S及びσL/0を低下させることが推測される。従って、界面活性剤の分子が近くに集まるにつれて、クリーニング組成物/油性汚れの界面、又はクリーニング組成物/硬質面の界面における陰イオン界面活性剤の局所界面活性剤濃度は増加する。二つの界面で前記局所界面活性剤濃度が上昇することにより、前記陰イオン界面活性剤は、グリースに対してより有効に作用することが可能となり、グリース除去性能及び再沈着防止性能が改良される。
【0052】
さらに、比較的高価な補助界面活性剤は、一部をグリース除去性能利益を妨げる作用のない、より安価なアルコキシル化非イオン界面活性剤に替えてもよい。それにより、本発明の方法に用いる硬質面クリーニング用液体組成物の製造コストは低下する。加えて、HLB(親水性−親油性バランス)が調和したアルコキシル化非イオン界面活性剤は、陰イオン系−補助界面活性剤系の立体反発力をさらに低下させることがある。
【0053】
<好ましい任意成分>
(ポリマー)
任意の、しかし極めて好ましいさらなる成分として、本発明に記載の方法に使用される液体組成物はポリマーを含む。好ましくは、ビニルピロリドンホモポリマー(PVP)、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(DM−PEG)、ビニルピロリドン/ジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートコポリマー、ポリスチレンスルホネートポリマー(PSS)、ポリビニルピリジン−N−オキシド(PVNO)、ポリエチレングリコールビス(2−アミノプロピルエーテル)(DAP−PEG)、ポリビニルピロリドン/ビニルイミダゾルコポリマー(PVP−VI)、セチルヒドロキシエチルセルロース(HM−HEC)、ポリビニルピロリドン/ポリアクリル酸コポリマー(PVP−AA)、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー(PVP−VA)、ポリアクリル酸ポリマー又はポリアクリル酸−マレイン酸コポリマー、及びホスホン末端基を有するポリアクリル酸ポリマー又はポリアクリル酸−マレイン酸コポリマー、及びこれらの混合物から成る群から選択されるポリマー。
本明細書で使用するのに好適なポリビニルピロリドン(PVP)ホモポリマーは、次の反復モノマーを有するN−ビニルピロリドンのホモポリマーである:
【0054】
【化4】

【0055】
上記において、n(重合度)は10〜1,000,000の整数、好ましくは20〜100,000、さらに好ましくは20〜10,000である。
本明細書に用いるのに好適なビニルピロリドンホモポリマー(「PVP」)は、1,000〜100,000,000、好ましくは2,000〜10,000,000、さらに好ましくは5,000〜1,000,000、もっとも好ましくは50,000〜500,000の平均分子量を有する。
【0056】
好適なビニルピロリドンホモポリマーは、ISPコーポレーション(ニューヨーク、NY及びモントリオール、カナダ)からPVP K−15(登録商標)(粘度分子量10,000)、PVP K−30(登録商標)(平均分子量40,000)、PVP K−60(登録商標)(平均分子量160,000)及びPVP K−90(登録商標)(平均分子量360,000)の商品名で市販されている。BASFコーオペレーションから市販されている他の好適なビニルピロリドンホモポリマーとしては、ソカランHP165(登録商標)、ソカランHP12(登録商標)、ルビスコールK30(登録商標)、ルビスコールK60(登録商標)、ルビスコールK80(登録商標)、ルビスコールK90(登録商標)及び洗浄剤の技術分野の熟練者が周知のその他のビニルピロリドンホモポリマー(例えば欧州特許出願公開第262,897号及び欧州特許出願公開第256,696号参照)が挙げられる。
本明細書に用いるのに好適なポリエチレングリコールジエチルエーテル(DM−PEG)は、次の式に準じる:
【0057】
【化5】

【0058】
上記において、nは0よりも大きい整数である。
好ましくは、nは1よりも大きい整数、さらに好ましくは5〜1000、さらにより好ましくは10〜100、さらになお好ましくは20〜60、もっとも好ましくは30〜50である。本明細書中で好ましいポリエチレングリコールジメチルエーテルは、分子量2000のジメチルポリエチレングリコールである。
好適なポリエチレングリコール(DM−PEG)はヘキストからポリグリコールシリーズとして市販されており、例えばPEG−DME−2000(登録商標)がある。
本発明の組成物に用いるのに好適なビニルピロリドン/ジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートコポリマー(四級化された、又は四級化されていない)は、次の式に準じる:
【0059】
【化6】

【0060】
式中、nは20〜99mol%、好ましくは40〜90mol%、mは1〜80mol%、好ましくは5〜40mol%、R1はH又はCH3、yは0又は1、R2は−CH2−CHOH−CH2−又はCx2x、上記においてx=2〜18、R3は炭素原子数1〜4の低級アルキル基、好ましくはメチル又はエチルを表し、又は
【0061】
【化7】

【0062】
4は炭素原子数1〜4の低級アルキル基、好ましくはメチル又はエチルを表し;X-はCl、Br、I、1/2SO4、HSO4及びCH3SO3から成る群から選択される。ポリマーは、フランス特許2,077,143号及び2,393,573号に開示された方法で調整することができる。
本明細書に用いる好ましい四級化された、又は四級化されないビニルピロリドン/ジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートコポリマーは、1,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、さらに好ましくは10,000〜100,000の分子量を有する。
【0063】
このようなビニルピロリドン/ジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートコポリマーは、ISPコーポレーション(ニューヨーク、NY及びモントリオール、カナダ)からコポリマー845(登録商標)、ガフクァット734(登録商標)、又はガフクァット755(登録商標)の商品名で、又はBASFからルビクァット(登録商標)の商品名で市販されている。
好ましいビニルピロリドン/ジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートコポリマーは、ポリビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマー(PVP/DMAEM)であリ、ISPからガフクァット755/N(登録商標)の商品名で市販されている。
本明細書に用いるのに好適なポリスチレンスルホネートポリマー(PSS)は次の式に準じる:
【0064】
【化8】

【0065】
上記において、nはポリマーの分子量が5000〜10,000,000、好ましくは50,000〜1,000,000となるように選択される整数である。
本明細書に用いるのに好適なポリスチレンスルホネートポリマー(PSS)は、ナショナルスターチ(ICI)からアクアトリート(登録商標)AR545、アクアトリート(登録商標)AR546、アルコスパース(登録商標)AS240及びバーサフレックス7000(登録商標)の商品名で市販されている。
好適なセチルヒドロキシエチルセルロース(HM−HEC)は、C16(セチル)で疎水変性されるヒドロキシエチルセルロース(ヘキサデシル−2−ヒドロキシエチルセルロース)であり、次の式に従い、
【0066】
【化9】

【0067】
上記において、nは1よりも大きい。
好適なセチルヒドロキシエチルセルロース(HM−HEC)は、アクアロン/ハーキュレスからポリサーフ76(登録商標)の商品名で市販されている。
好適なポリエチレングリコールビス(2アミノプロピルエーテル)(DAP−PEG)は、次の式に準じる:
【0068】
【化10】

【0069】
上記において、nは0よりも大きい整数である。
好ましくは、nは1よりも大きい整数、さらに好ましくは5〜1000、さらにより好ましくは10〜100、さらになお好ましくは20〜60、もっとも好ましくは30〜50である。
好ましいポリエチレングリコールビス(2アミノプロピルエーテル)(DAP−PEG)は、分子量2000の0,0’−ビス(2アミノプロピル)ポリエチレングリコールである。本明細書に用いるのに好適なポリエチレングリコールビス(2アミノプロピルエーテル)(DAP−PEG)は、ハンツマンから商品名ジェファミン(登録商標)シリーズで市販されている。
本明細書に用いるのに好適なポリビニルピロリドンビニルイミダゾルコポリマー(PVP−VI)は、次の式に準じる:
【0070】
【化11】

【0071】
式中、nは20〜99mol%、好ましくは55〜90mol%、さらに好ましくは60〜90mol%であり、mは1〜80mol%、好ましくは10〜45mol%、さらに好ましくは10〜40mol%である。
本明細書に用いるポリビニルピロリドンビニルイミダゾルコポリマーは、1,000〜5,000,000、好ましくは5,000〜2,000,000、さらに好ましくは5,000〜500,000、もっとも好ましくは5,000〜15,000の分子量を有することが好ましい。
本明細書に用いるのに好適なポリビニルピロリドンビニルイミダゾルコポリマー(PVP−VI)は、BASFからルビテック(登録商標)VPI 55 K18P及びルビテック(登録商標)VPI 55 K72Wシリーズの商品名で市販されている。
本明細書に用いるのに好適なポロビニルピロリドンアクリル酸コポリマー(PVP−AA)は、次の式に準じる:
【0072】
【化12】

【0073】
式中、n及びmはポリマーの分子量が1,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、さらに好ましくは10,000〜200,000となるように選択される整数である。
本明細書に用いるのに好適なポリビニルピロリドンアクリル酸コポリマー(PVP−AA)は、BASFから市販されている。
本明細書に用いるのに好適なポリビニルピリジンNオキシド(PVNO)は、次の式に準じる:
【0074】
【化13】

【0075】
式中、nはポリマーの分子量が1,000〜2,000,000、好ましくは5,000〜500,000、さらに好ましくは15,000〜50,000となるように選択された整数である。
本明細書に用いるのに好適なポリビニルピリジンNオキシド(PVNO)は、ライリーインダストリーズ及びクラリアント/ヘキスト(商品名HOE(登録商標)S 4268)から市販されている。
本明細書に用いるのに好適なポリアクリル酸ポリマー又はアクリル酸マレイン酸ポリマーは、次の一般式に準じる:
−(CH2−CHCOOH)n−(CHCOOH−CHCOOH)m
式中、nは0よりも大きい整数、mは0(ポリアクリル酸ポリマー用)又は0よりも大きい整数(アクリル酸マレイン酸コポリマー用)であり、n及びmはポリマーの分子量が1,000〜200,000、好ましくは2,000〜200,000、さらに好ましくは3,000〜100,000となるように独立して選択される整数である。
【0076】
本明細書に用いるのに好適なポリアクリル酸ポリマー又はアクリル酸マレイン酸コポリマーは、BASFからソカラン(登録商標)CP5又はCP7又はCP9の商品名で市販されている。
本明細書に用いるのに好適なポリアクリル酸ホスホン末端基ポリマー又はアクリル酸マレイン酸ホスホン末端基コポリマーは、次の一般式に準じる:
2PO3−(CH2−CHCOOH)n−(CHCOOH−CHCOOH)m
上記において、nは0よりも大きい整数、mは0(ポリアクリル酸ポリマー用)又は0よりも大きい整数(アクリル酸マレイン酸コポリマー用)であり、n及びmはポリマーの分子量が500〜200,000、好ましくは500〜100,000、さらに好ましくは1,000〜50,000となるように独立して選択される整数である。ポリアクリレートに関しては、mはゼロである。
【0077】
本明細書に用いるのに好適なポリアクリル酸ホスホン末端基ポリマー又はアクリル酸マレイン酸ホスホン末端基コポリマーはロームアンドハースからアキュゾール(登録商標)420又は470又は425の商品名で市販されている。
本明細書に記載の前記ポリマーは、ビニルピロリドンホモポリマー(PVP)、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(DM−PEG)、ビニルピロリドン/ジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートコポリマー、ポリスチレンスルホネートポリマー(PSS)、ポリビニルピロリドン/ポリアクリル酸コポリマー(PVP−AA)、及びホスホン末端基を有するポリアクリル酸マレイン酸コポリマー、及びこれらの混合物から成る群から選択されることが好ましい。
【0078】
典型的には、本明細書で用いられる液体組成物は、組成物全量の0.005重量%〜20重量%、好ましくは0.10重量%〜5.0重量%、さらに好ましくは0.1重量%〜3.0重量%、もっとも好ましくは0.20重量%〜1.0重量%の前記ポリマーを含む。
本明細書に記載するように特定のポリマーが存在する場合には、その泡立ち/泡沫形成の固有の性質が前記組成物に与えられるため、液体組成物のグリース除去性能が改良可能であることがわかっている。実際に、前記ポリマーを液体組成物に配合することにより、前記組成物を表面に塗布、好ましくは噴霧した場合に泡沫が形成される組成物が供給される。前記泡は前記表面に付着し、これにより前記液体クリーニング組成物のグリース除去性能利益が改良される。
【0079】
加えて、傾斜面又は垂直面で機械的作用を用いない場合の液体組成物のグリース接触によるグリース除去性能利益が、本発明の方法によってもたらされる。実際に、上述のように泡が表面に付着することは、前記液体組成物は傾斜面又は垂直面上で、滴り落ちや流出がないか又は少なくとも減少させるように作用する。
そのため、液体組成物が傾斜面又は垂直面に適用される場合、機械的作用を加えなくても液体組成物のグリース接触時のグリース除去性能利益がもたらされる。
さらに、本明細書に記載の硬質面クリーニング方法で用いられる液体組成物の泡立ち/泡沫形成特性により、硬質面クリーニング用噴霧可能な液体組成物の配合が可能となる。
【0080】
(脂肪酸)
本発明の液体組成物は、極めて好ましい任意成分として脂肪酸又はその混合物を含んでもよい。
本明細書に用いるのに好適な脂肪酸は、C8〜C24脂肪酸のアルカリ塩である。このようなアルカリ塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩及び/又はリチウ塩のような完全飽和金属塩並びに脂肪酸のアンモニウム塩及び/又はアルキルアンモニウム塩、好ましくはナトリウム塩が挙げられる。本明細書に用いるのに好ましい脂肪酸は、8〜22、好ましくは8〜20、さらに好ましくは8〜18の炭素原子を含む。
好適な脂肪酸は、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸及び植物又は動物エステルのような天然原料から得られ好適に硬化された脂肪酸(例えばパーム油、オリーブ油、ココヤシ油、大豆油、ヒマシ油、獣脂、グラウンドオイル、鯨油及び魚油及び/又はババスオイル)の混合物から選択してもよい。
【0081】
例えばココヤシ脂肪酸は、ユニケマからプリファック5900(登録商標)の商品名で市販されている。
組成物を塗布されていた面から洗い流す場合、本発明の方法で用いる液体組成物の泡立ちを減少させることが好ましいため、脂肪酸は本明細書で望ましい。前記脂肪酸は、本明細書に記載するポリマーによって液体組成物に与えられる泡立ち/泡沫形成特性を妨げないことが好ましい。
典型的には、本明細書における液体組成物は、組成物全量の6重量%まで、好ましくは0.1重量%〜2.0重量%、さらに好ましくは0.1重量%〜1.0重量%及び最も好ましくは0.2重量%〜0.8重量%の前記脂肪酸を含んでよい。
【0082】
(分枝鎖状脂肪族アルコール)
極めて好ましい任意の成分として本発明の液体組成物は分枝鎖状脂肪族アルコール又はその混合物を含んでもよい。
本発明に用いるのに好適な分枝鎖状脂肪族アルコールは、6〜16、好ましくは7〜13、さらに好ましくは8〜12、もっとも好ましくは8〜10の炭素原子を含む、アルキル鎖及びヒドロキシ末端基を有する2−アルキルアルカノールであって、前記アルキル鎖が1〜10、好ましくは2〜8、さらに好ましくは4〜6の炭素原子を含むアルキル鎖によって、α位置(すなわち位置番号2)で置換されている2−アルキルアルカノールである。
【0083】
そのような好適な化合物としては、例えばコンデア(Condea)から市販されているイソフォル(登録商標)12(2−ブチルオクタノール)又はイソフォル(登録商標)16(2−へキシルデカノール)のようなイソフォル(登録商標)シリーズが挙げられる。
前記分枝鎖状脂肪族アルコールは、2−ブチルオクタノール、2−へキシルデカノール、及びこれらの混合物から成る群から選択されることが好ましい。さらに好ましくは前記2−アルキルアルカノールは2−ブチルオクタノールである。
典型的には、本明細書における液体組成物は、組成物全量の2重量%まで、好ましくは0.10重量%〜1.0重量%、さらに好ましくは0.1重量%〜0.8重量%及びもっとも好ましくは0.1重量%〜0.5重量%の分枝鎖状脂肪族アルコールを含んでもよい。
【0084】
(溶媒)
本発明の液体組成物は、極めて好ましい任意成分として溶媒又はその混合物を含んでもよい。
好適な溶媒は、4〜14の炭素原子、好ましくは6〜12の炭素原子、さらに好ましくは8〜10の炭素原子を有するエーテル類及びジエーテル類、グリコール類又はアルコキシル化グリコール類、アルコキシル化芳香族アルコール類、芳香族アルコール類、アルコキシル化脂肪族アルコール類、脂肪族アルコール類、C8〜C14アルキル及びシクロアルキル炭化水素類及びハロ炭化水素類、C6〜C16グリコールエーテル類、テルペン類及びこれらの混合物から成る群から選択される。
本明細書に用いるのに好適なグリコール類は、式:HO−CR12−OH に準じ、式中R1及びR2は独立してH又はC2〜C10飽和又は不飽和脂肪族炭化水素鎖及び/又は環状化合物である。本明細書に用いられる好適なグリコール類は、ドデカングリコール及び/又はプロパンジオールである。
【0085】
本明細書に用いるのに好適なアルコキシル化グリコール類は、式:R−(A)n−R1−OH に準じ、式中RはH、OH、1〜20、好ましくは2〜15、さらに好ましくは2〜10の炭素原子の直鎖状又は分枝鎖状の、飽和又は不飽和アルキルであり、R1はH又は1〜20、好ましくは2〜15、さらに好ましくは2〜10の炭素原子の直鎖状の飽和又は不飽和アルキルであり、Aはアルコキシ基、好ましくはエトキシ、メトキシ及び/又はプロポキシ基であり、nは1〜5、好ましくは1〜2である。本明細書に用いるのに好適なアルコキシル化グリコール類はメトキシオクタデカノール及び/又はエトキシエトキシエタノールである。
【0086】
本明細書に用いられる好適なアルコキシル化芳香族アルコール類は、式:R(A)n−OH に準じ、式中Rは、炭素原子数1〜20、好ましくは2〜15、さらに好ましくは2〜10のアルキル置換又は非アルキル置換アリール基であり、上記においてAは、アルコキシ基であり、好ましくはブトキシ、プロポキシ、及び/又はエトキシであり、及びnは1〜5、好ましくは1〜2の整数である。好適なアルコキシル化芳香族アルコール類はベンズオキシエタノール及び/又はベンズオキシプロパノールである。
本明細書に用いられる好適な芳香族アルコール類は、式:R−OH に準じ、式中Rは、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜15、さらに好ましくは1〜10のアルキル置換又は非アルキル置換のアリール基である。例えば、本明細書に用いられる好適な芳香族アルコールはベンジルアルコールである。
【0087】
本明細書に用いるのに好適なアルコキシル化脂肪族アルコール類は、式:R−(A)n−OH に準じ、式中Rは、1〜20、好ましくは2〜15、さらに好ましくは3〜12の炭素原子の直鎖状又は分枝鎖状の、飽和又は不飽和アルキル基であり、Aはアルコキシ基、好ましくはブトキシ、プロポキシ及び/又はエトキシ基であって、nは1〜5、好ましくは1〜2の整数である。好適なアルコキシル化脂肪族で直鎖状又は分枝鎖状のアルコール類としては、ブトキシプロポキシプロパノール(n−BPP)、ブトキシエタノール、ブトキシプロパノール(n−BP)、エトキシエタノール、1−メチルプロポキシエタノール、2−メチルブトキシエタノール又はこれらの混合物が挙げられる。ブトキシプロポキシプロパノールは、商品名n−BPP(登録商標)として、ダウ・ケミカル(Dow chemical)から市販されている。ブトキシプロパノールはダウ・ケミカルから市販されている。
【0088】
本明細書に用いられる好適な脂肪族アルコール類は、式:R−OH に準じ、式中Rは、1〜20の炭素原子、好ましくは2〜15の炭素原子、さらに好ましくは5〜12の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状の、飽和又は不飽和アルキル基である。ただし、前記脂肪族分枝鎖状アルコール類が本明細書で上述のような2−アルキルアルカノールではないことを条件とする。好適な脂肪族アルコール類は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール又はこれらの混合物である。
本明細書に用いるのに好適なテルペン類は、単環式テルペン類、二環式テルペン類及び/又はアクリル酸テルペン類である。好適なテルペン類としては、D−リモネン、ピネン、松根油、テルピネン;メントール、テルピネオール、ゲラニオール、チモールなどのテルペン誘導体;及びシトロネラ又はシトロネロール型の成分が挙げられる。
【0089】
他の好適な溶媒には、ブチルジグリコールエーテル(BDGE)、ヘキサジオール、ブチルトリグリコールエーテル、第三級−アミルアルコール(ter amilic alcohol)等がある。BDGEはユニオンカーバイド又はBASFからブチルカルビトール(登録商標)の商品名で市販されている。
前記溶媒はブトキシプロポキシプロパノール、ブチルジグリコールエーテル、ベンジルアルコール、ブトキシプロパノール、エタノール、メタノール、イソプロパノール、ヘキサンジオール及びこれらの混合物から成る群から選択されることが好ましい。さらに好ましくは、前記溶媒はブトキシプロポキシプロパノール、ブチルジグリコールエーテル、ベンジルアルコール、ブトキシプロパノール、エタノール、メタノール、イソプロパノール及びこれらの混合物から成る群から選択される。さらになお好ましくは、前記溶媒はブチルジグリコールエーテル、ブトキシプロパノール、エタノール及びこれらの混合物から成る群から選択される。
【0090】
典型的には、本明細に用いる組成物は、組成物全量の30重量%まで、好ましくは1重量%〜25重量%、より好ましくは1重量%〜20重量%、もっとも好ましくは2重量%〜10重量%の溶媒又はその混合物を含む。
好ましい実施形態では、本発明に基づく液体組成物に含まれる溶媒は、揮発性溶媒又はその混合物、好ましくは揮発性溶媒又はその混合物と別の溶媒又はその混合物が組み合わされている。
【0091】
(香料)
本発明の液体組成物はまた、極めて好ましい任意成分として、香料又はその混合物を含んでもよい。
本明細書に用いるのに好適な香料には、嗅覚的に審美的利益を提供する物質、及び/又は製品が持つかもしれない、いかなる「化学的な」臭いをも防ぐ物質が挙げられる。
これらの香料中に含まれる高揮発性、低沸点(低沸点を有する)の微量香料成分の主な機能は、クリーニングの結果としてクリーニングされる面に生じる臭いに影響を与えるよりむしろ、製品そのものの香りを改良することである。それほど揮発性ではなく、高沸点の、香料成分でも、新鮮で、清潔な印象を面に与えるものもあるが、これらの成分は乾いた面に付着し、存在することが望ましい。香料成分は、存在する場合、例えば非イオン洗浄剤界面活性剤によって組成物中に容易に溶解され得る。本明細書において用いるのに好適な香料成分及び組成物は、当該技術分野において知られている従来のものである。いかなる香料成分又は香料の量も、単に審美的考察に基づいて選択される。
【0092】
好適な香料化合物及び組成物は、米国特許第4,145,184号(ブレイン及びクミンズ、1979年3月20日発行)、第4,209,417号(ホワイト、1980年6月24日発行)、第4,515,705号(モーデル、1985年5月7日発行)、及び第4,152,272号(ヤング、1979年5月1日発行)を含む当該技術分野に見出すことができ、前記特許はすべて参考として本明細書に取り入れられている。一般に香料の実質的な強さは、用いられる香料成分の実質的なパーセンテージに大まかに比例する。比較的強い香料は、少なくとも約1%、好ましくは少なくとも10%の実質香料成分を含む。香料成分の強さはクリーニング過程を通じて表面に付着する香料成分の強さであって、正常な嗅覚の鋭敏さを有する人に受け入れられる強さである。そのような物質は、典型的に平均的香料成分の蒸気圧よりも低い蒸気圧を有する。その物質はまた、典型的に約200以上の分子量を有し、それは平均的香料成分の分子量よりも低いレベルを、受け入れられる。本明細書で有用な香料成分、その匂いの特徴に加えて沸点、分子量などの物理的及び化学的性質は、「香料及び風味化合物(芳香化合物)」(ステフェン アークタンダー、著者により1969年発行)に示され、本明細書に参考として取り入れられている。
【0093】
高揮発性で低沸点を有する香料成分の例としては、アネトール、ベンズアルデヒド、ベンジルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルフォーメート、イソボルニルアセテート、カンフェン、シスシトラール(ネラール)、シトロネラール、シトロネロール、シトロネリルアセテート、パラサイメン、デカナール、ジヒドロリナロール、ジヒドロミルセノール、ジメチルフェニルカルビノール、ユーカリプトール、ゲラニアール、ゲラニオール、ゲラニルアセテート、ゲラニルニトリル、シス−3−へキセニルアセテート、ヒドロキシシトロネラール、d−リモネン、リナロール、リナロールオキシド、リナリルアセテート、リナリルプロピオネート、メチルアントラニレート、アルファメチルイオノン、メチルノニルアセトアルデヒド、メチルフェニルカルビニルアセテート、レボメンチルアセテート、メントン、イソメントン、ミクレン(mycrene)、ミルセニルアセテート、ミルセノール、ネロール、ネリルアセテート、ノニルアセテート、フェニルエチルアルコール、アルファピネン、ベータピネン、ガンマテルピネン、アルファテルピネオール、ベータテルピネオール、テルピニルアセテート、及びベルテネックス(パラ−t−ブチルシクロヘキシルアセテート)が挙げられる。天然油の中には、揮発性の高い香料成分を高比率で含んでいるものもある。例えば、ラバンジンは主成分としてリナロール、リナリルアセテート、ゲラニオール、及びシトロネロールを含有する。レモン油及びオレンジテルペンはいずれも約95%のd−リモネンを含有する。
【0094】
中程度の揮発性を有する香料成分の例としては、アミルシンナミックアルデヒド、イソアミルサリチラート、ベータカリオフィレン、セドレン、シンナミックアルコール、クマリン、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、エチルバニリン、オイゲノール、イソオイゲノール、フロルアセテート(flor acetate)、ヘリオトロピン、3−シス−へキセニルサリチラート、ヘキシルサリチラート、リリアル(パラ−t−ブチル−α−メチルヒドロシンナミックアルデヒド)、γ−メチルイオノン、ネロリドール、パチュリアルコール、フェニルヘキサノール、β−セリネン、トリクロロメチルフェニルカルビニルアセテート、トリエチルシトラート、バニリン、及びベラトルムアルデヒドが挙げられる。セダーテルペンは、主にα−セドレン、β−セドレン、及びその他のC15H24セスキテルペンで構成される。
【0095】
低揮発性で高沸点を有する香料成分の例としては、ベンゾフェノン、ベンジルサリチラート、エチレンブラシレート、ガラクソリド(1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−γ(gama)−2−ベンゾピラン)、へキシルシンナミックアルデヒド、リラール(4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロへキセン−10−カルボキシアルデヒド)、メチルセドリロン、メチルジヒドロジャスモネート、メチルベータナフチルケトン、ムスクインダノン、ムスクケトン、ムスクチベテン、及びフェニルエチルフェニルアセテートが挙げられる。
いずれの特定香料成分の選択も、主として審美的配慮に従う。
本明細書に用いる組成物は、組成物全量の5.0重量%まで、好ましくは0.01重量%〜2.0重量%、さらに好ましくは0.05重量%〜1.5重量%、さらになお好ましくは0.1重量%〜1.0重量%の量の香料又はその混合物を含む。
【0096】
<他の任意成分>
本発明に基づく液体組成物は、目的とする技術的利点及び処理面に応じてさまざまな他の任意成分を含んでもよい。
本明細書に用いるのに好適な任意成分としては、界面活性剤、ビルダー、キレート剤、ポリマー、緩衝剤、殺菌剤、向水性物質、着色剤、安定剤、ラジカルスカベンジャー、漂白剤、漂白活性化剤、酵素、汚れ懸濁剤、染料付着剤、光沢剤、アンチダスティング剤、分散剤、移染防止剤、顔料、シリコン及び/又は染料が挙げられる。
【0097】
(キレート剤)
本明細書に用いる一つのクラスの任意成分には、キレート剤、又はその混合物が包含される。キレート剤は、本明細書における組成物中に、組成物全量の0.0重量%〜10.0重量%の範囲で組み込むことができるが、好ましくは0.1重量%〜5.0重量%である。
【0098】
本明細書で使用するのに好適なホスホネートキレート剤には、アルカリ金属エタン1−ヒドロキシジホスホネート(HEDP)、アルキレンポリ(アルキレンホスホネート)、並びにアミノアミノトリ(メチレンホスホン酸)(ATMP)、ニトリロトリメチレンホスホネート(NTP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホネート、及びジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネート(DTPMP)を含むアミノホスホネート化合物が含まれてもよい。ホスホン酸塩化合物は、その酸性官能基の一部又はすべてにおいて酸であるか、又は異なった陽イオンの塩として存在してもよい。本明細書において用いられるのに好ましいホスホネートキレート剤は、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネート(DTPMP)及びエタン1−ヒドロキシジホスホネート(HEDP)である。かかるホスホンネートキレート剤は、モンサント社(Monsanto)より、デクエスト(DEQUEST)(登録商標)の商品名で市販されている。
【0099】
多官能基置換芳香族キレート剤も本明細書の組成物において有用である。米国特許第3812044号(Connorら、1974年5月21日発行)を参照のこと。この種の酸型の好ましい化合物は、1,2−ジヒドロキシ−3,5−ジスルホベンゼンなどのジヒドロキシジスルホベンゼンである。
本明細書で使用するのに好ましい生分解性キレート剤は、エチレンジアミンN,N’−ジコハク酸、又はそのアルカリ金属塩、又はアルカリ土類塩、アンモニウム塩又は置換アンモニウム塩、又はこれらの混合物である。エチレンジアミンN,N’−ジコハク酸、特に(S,S)異性体については、米国特許第4704233号(ハートマン(Hartman)及びパーキンス(Perkins)、1987年11月3日)に広く記載されている。エチレンジアミンN,N'−ジコハク酸は、例えば、パーマー・リサーチ・ラボラトリーズ(Palmer Research Laboratories)より、商品名ssEDDS(登録商標)の商品名で、市販されている。
【0100】
本明細書に用いるのに好適なアミノカルボキシレートとしては、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミンペンタアセテート、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四プロピオン酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、エタノールジグリシン、酸の形態をとるか、アルカリ金属、アンモニウム及び置換アンモニウム塩の形態をとるプロピレンジアミン四酢酸(PDTA)及びメチルグリシン二酢酸(MGDA)が挙げられる。本明細書に用いるのに特に好適なアミノカルボキシレートは、ジエチレントリアミン五酢酸、例えばBASFより商品名トリロンFS(Trilon FS)(登録商標)として市販されているプロピレンジアミン四酢酸(PDTA)、及びメチルグリシン二酢酸(MGDA)である。
本明細書に用いられる、更なるカルボキシレートキレート剤には、サリチル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、マロン酸、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0101】
(ビルダー類)
本発明の液体組成物はまた、任意成分として、ビルダー又はその混合物を含んでもよい。本明細書に用いるのに好適なビルダーには、ポリカルボキシレート及びポリホスフェート、及びその塩が挙げられる。典型的に、本発明の組成物は、ビルダー又はその混合物を、組成物全量の重量において20.0重量%まで、好ましくは0.1重量%〜10.0重量%、及びより好ましくは0.5重量%〜5.0重量%含む。
【0102】
そのような好適な及び好ましいポリカルボキシレートには、クエン酸塩及び次の式の錯体が含まれる:
CH(A)(COOX)−CH(COOX)−O−CH(COOX)−CH(COOX)(B)
式中、AはH又はOH、BはH又は−O−CH(COOX)−CH2(COOX)、またXはH又は塩生成陽イオンを表す。例えば、上記一般式において、A及びBが共にHである場合、この化合物はオキシジコハク酸及びその水溶性塩である。AがOH、及びBがHであれば、この化合物はタータラートモノコハク酸(TMS)及びその水溶性塩である。AがH、及びBが−O−CH(COOX)−CH2(COOX)であれば、この化合物は、タータラートジコハク酸(TDS)及びその水溶性塩である。本明細書に用いるのに、これらのビルダーの混合物が特に好ましい。特にTMSからTDSまで、これらのビルダーについては米国特許第4663071号(ブッシュ(Bush)ら、1987年5月5日発行)に開示されている。
【0103】
さらに本明細書に用いるのに好適な他のエーテルポリカルボキシレートには、無水マレイン酸と、エチレン又はビニルメチルエーテルとのコポリマー1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸が挙げられる。
その他の有用なポリカルボキシレートビルダーには、次の構造式で表されるヒドロキシポリカルボキシレートが挙げられる:
HO−[C(R)(COOM)−C(R)(COOM)−O]n−H
式中、Mは水素又は水溶性の塩を生じる陽イオン、好ましくはアルカリ金属、アンモニウム又は置換アンモニウム陽イオンであり、nは約2〜約15(好ましくはnは約2〜約10、より好ましくはnは平均して約2〜約4)であり、各Rは同一でも異なっていてもよく、水素、C1〜4アルキル又はC1〜4置換アルキルから選択される(好ましくはRは水素である)。
【0104】
好適なエーテルポリカルボキシレートにはまた、環状化合物、特に米国特許第3,923,679号、第3,835,163号、第4,158,635号、第4,120,874号、及び第4,102,903号に記載されているもののような脂環式化合物が挙げられ、これらの特許のすべてを参考とし本明細書に組み入れる。
これらの環状化合物の中で好ましいのは、ジピコリン酸、及びケリダン酸である。
同様に本明細書に用いるのに好適なポリカルボキシレートは、メリト酸、コハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボン酸、ベンゼンペンタカルボン酸、及びカルボキシメチルオキシコハク酸、及びそれらの可溶性塩である。
【0105】
本明細書においてさらに好適なカルボキシレートビルダーには、カルボキシル化された炭水化物が挙げられ、米国特許第3,723,322号(ディール(Diehl)、1973年3月28日発行)に開示されており、これは参考として本明細書に組み入れる。
本明細書に用いるのに好適な他のカルボキシレートは、上記の基準を満たさないため、あまり好ましくないが、ポリ酢酸のアルカリ金属、アンモニウム、及び置換アンモニウム塩である。ポリ酢酸ビルダー塩の例には、エチレンジアミン、四酢酸、及びニトリロ三酢酸の、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム及び置換アンモニウム塩が挙げられる。
他の好適ではあるが、あまり好ましくないポリカルボキシレートは、アルキルイミノ酢酸ビルダーとしても知られる、メチルイミノ二酢酸、アラニン二酢酸、メチルグリシン二酢酸、ヒドロキシプロピレンイミノ二酢酸のようなもの、及び他のアルキルイミノ酢酸ビルダーである。
【0106】
また、本発明の組成物において好適なものは、3,3−ジカルボキシ−4−オキサ−1,6−ヘキサンジオーテ、及び関連する化合物であり、米国特許第4,566,984号(ブッシュ(Bush)、1986年1月28日発行)に開示されており、これを参考として本明細書に組み入れる。有用なコハク酸ビルダー(コハク酸塩ビルダー)には、C5〜C20のアルキルコハク酸及びそれらの塩が挙げられる。特に好ましいこの種類の化合物は、ドデセニルコハク酸である。典型的に、アルキルコハク酸の一般式は、R−CH(COOH)CH2(COOH)、即ちコハク酸の誘導体であり、上記においてRは炭化水素、例えば、C10〜C20、好ましくはC12〜C16のアルキル又はアルケニルであるか、又はRはヒドロキシル、スルホ、スルホキシ又はスルホン置換基によって置換されてもよく、全て上記の特許に記載されている。
【0107】
その他の好適なコハク酸塩ビルダーとしては、イミノジコハク酸塩、オキソジコハク酸塩、タータラートモノコハク酸塩及びタータラートジコハク酸塩及びポリコハク酸塩類が挙げられる。
コハク酸塩ビルダーは好ましくは、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、及びアルカノールアンモニウム塩を包む水溶性塩の形態で用いられる。
コハク酸塩ビルダーの特別な例としては、ラウリルコハク酸塩、ミリスチルコハク酸塩、パルミチルコハク酸塩、2−ドデセニルコハク酸塩(好ましい)、2−ペンタデセニルコハク酸塩などが挙げられる。ラウリルコハク酸塩は、この群の好ましいビルダーであり、欧州特許出願第86200690.5/0200263号(1986年11月5日公開)に記載されている。
【0108】
有用なビルダーの例にはまた、カルボキシメチルオキシマロン酸ナトリウム塩及びカリウム塩、カルボキシメチルオキシコハク酸塩、シス−シクロ−ヘキサンヘキサカルボキシレート、シス−シクロペンタン−テトラカルボキシレート、水溶性ポリアクリレート、及び無水マレイン酸とビニルメチルエーテル又はエチレンとのコポリマーが挙げられる。
他の好適なポリカルボキシレートは、ポリアセタールカルボキシレートであり、米国特許第4144226号(クラッチフィールド(Crutchfield)ら、1979年3月13日発行)に開示されており、これは参考とし、本明細書に組み入れる。これらのポリアセタールカルボキシレートは、重合条件下で、グリオキシル酸のエステルと、重合反応開始剤を一緒にすることで調製することができる。
【0109】
その結果得られたポリアセタールカルボキシレートエステルは、アルカリ溶液中での迅速な解重合に対してポリアセタールカルボキシレートを安定化させるために、化学的に安定な末端基に結合して、対応する塩に転換し、界面活性剤に添加される。
ポリカルボキシレートビルダーはまた、米国特許第3,308,067号(ディール(Diehl)、1967年3月7日発行)に開示されており、これは参考として本明細書に組み入れる。こうした物質には、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、フマル酸、アコニット酸、シトラコン酸、及びメチレンマロン酸のような脂肪族カルボン酸の、ホモ−及びコポリマーの水溶性塩が挙げられる。
本明細書に用いるのに好適なポリホスホネートは、ポリホスフェート(トリポリホスフェート、ピロホスフェート、及びガラス状に重合したメタ−ホスフェートが例示される)及びホスホネートの、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、及びアルカノールアンモニウム塩である。本明細書に用いるのに最も好ましいビルダーは、クエン酸塩である。
【0110】
(界面活性剤)
本発明の液体組成物は、追加の界面活性剤又はその混合物を、本明細書で上述した界面活性剤に加えて任意成分として含んでもよい。
本発明に基づく組成物には、組成物全量の0.01重量%〜50重量%、好ましくは0.1重量%〜20重量%、さらに好ましくは0.5重量%〜1重量%の前記追加の界面活性剤が含まれていてもよい。
界面活性剤は、本発明の液体組成物のクリーニング性能利益をさらに改良し、及び/又は本発明の液体組成物に光沢効果をあたえるため、本明細書において界面活性剤は望ましい。
【0111】
(二価イオン)
本発明に基づく組成物はさらに二価イオン又はその混合物を含むことができる。当業者が周知の二価イオンはすべて本明細書で用いてもよい。本明細書に用いるのに好ましい二価イオンは、カルシウム、亜鉛、カドミウム、ニッケル、銅、コバルト、ジルコニウム、クロム、及び/又はマグネシウム、さらに好ましくは、カルシウム、亜鉛及び/又はマグネシウムである。前記二価イオンは、例えば塩化物、酢酸塩、硫酸塩、ギ酸塩及び/又は硝酸塩の形態、又は金属塩錯体の形態で添加されてもよい。例えば、カルシウムは塩化カルシウムの形態、マグネシウムは酢酸マグネシウム又は硫酸マグネシウムの形態、及び亜鉛は塩化亜鉛の形態で添加されてもよい。そのようなイオンは典型的に、組成物全量の3重量%まで、好ましくは0.00重量1%〜1重量%のレベルに添加されてもよい。
【0112】
(漂白成分)
本明細書における液体組成物はまた、漂白成分を含んでもよい。当業者が周知の漂白剤は過酸素漂白剤並びに塩素放出成分を包含するいかなるものも本明細書に用いるのに好適である。
本明細書に用いるのに好適な過酸素漂白剤には、過酸化水素又はその発生源が含まれる。本明細書で用いられるような過酸化水素の発生源は、前記組成物が水と接触する場合に活性な酸素を生成するあらゆる化合物を指す。本明細書に用いるのに好適な、過酸化水素の水溶性の発生源には、過炭酸塩、予め形成された過カルボン酸、過ケイ酸塩、過硫酸塩、過ホウ酸塩、有機及び無機過酸化物、及び/又はヒドロペルオキシドが挙げられる。
本明細書に用いるのに好適な塩素放出成分は、アルカリ金属次亜鉛素酸塩である。本発明の組成物がこの漂白剤成分の存在において安定であることは有利なことである。アルカリ金属次亜鉛素酸が好ましいが、その他の次亜鉛素酸化合物も本明細書に用いてもよく、次亜鉛素酸カルシウム及び次亜鉛素酸マグネシウムから選択することができる。本明細書に用いるのに好ましいアルカリ金属次亜鉛素酸塩は、次亜鉛素酸ナトリウムである。
【0113】
(漂白活性化剤)
過酸素漂白剤を含む本発明の組成物は、さらに漂白活性化剤又はその混合物を含んでもよい。「漂白活性化剤」とは、本明細書では過酸化水素のような過酸化水素漂白剤と反応して、過酸を形成する化合物を意味する。従って、過酸は活性化された漂白剤を構成する。本明細書で使用するのに好適な漂白活性化剤には、エステル類、アミド類、イミド類、又は無水物の部類に属するものが挙げられる。
【0114】
この種の好適な化合物の例は、英国特許第1586769号及び第2143231号に開示されており、小球形態に成形する方法は、欧州特許出願公開第62523号に記載されている。本明細書で使用するのに好適なかかる化合物の例としては、例えば、米国特許第4818425号に記載されるようなテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、ナトリウム3,5,5トリメチルヘキサノイルオキシベンゼンスルホネート、ジペルオキシドデカン酸、及び米国特許第4259201号に記載されるペルオキシアジピン酸のノニルアミド、及びn−ノナノイルオキシベンゼンスルホネート(NOBS)が挙げられる。置換又は非置換ベンゾイルカプロラクタム、オクタノイルカプロラクタム、ノナノイルカプロラクタム、ヘキサノイルカプロラクタム、デカノイルカプロラクタム、ウンデセノイルカプロラクタム、ホルミルカプロラクタム、アセチルカプロラクタム、プロパノイルカプロラクタム、ブタノイルカプロラクタム、ペンタノイルカプロラクタム又はこれらの混合物から成る群から選択されるN−アシルカプロラクタム類も好適である。関心のある漂白活性化剤の特別のファミリーが、欧州特許第624154号で開示されたが、そのファミリーにおいて特に好ましいのは、アセチルトリエチルシトレート(ATC)である。アセチルトリエチルシトレートは、最終的にクエン酸及びアルコールに分解するため環境に優しいという利点を有する。さらに、アセチルトリエチルシトレートは保存の際、組成物において良好な加水分解安定性を有する効果的な漂白活性化剤である。そのことが最終的に組成物にビルディング力を与える。
【0115】
<組成物の包装形態>
本明細書で用いられる組成物は当業者に周知の種々の好適な洗剤用包装で包装してもよい。液状組成物は、好ましくは従来の洗剤用プラスチックビンに包装される。
一実施形態において本明細書に用いる組成物は、通常合成有機高分子プラスチック材料から作られた手動又は電気操作によって操作されるスプレー型小出し容器に包装されてもよい。従って本発明はまた、スプレー式ディスペンサー、好ましくは制動型スプレーディスペンサー又はポンプ式スプレー式ディスペンサーに包装された本発明の硬質面クリーニング用液体組成物を包含する。
実際に、前記スプレー式ディスペンサーは、本発明に基づく使用に適する液体クリーニング組成物をクリーニングされる面の比較的広い範囲に均等に塗布することを可能にする。そのようなスプレー式ディスペンサーは特に、傾斜面又は垂直面のクリーニングに適している。
【0116】
本発明に基づいて使用するのに好適なスプレー式ディスペンサーは例えばスペシャルパッケージングプロダクト(Specialty Packaging Products)社又はコンチネンタルスプレーズ(Continental Sprayers)社により市販の手動による泡制動型ディスペンサーを含む。この種のディスペンサーに関しては、例えば米国特許第4,701,311号、ダニング(Dunnining)ら、及び米国特許第4,646,973号、米国特許第4,538,745号(いずれもフォカラッチ Focarracci)に開示されている。本明細書で用いるのに特に好ましいのはコンチネンタルスプレー(Continental Spray International)社から市販されているT8500(登録商標)又は北アイルランドのキャ二オン(Canyon)社から市販されているT8100(登録商標)などのスプレー式ディスペンサーである。このようなディスペンサーの中では、液状組成物は微細な液滴に分配され、スプレーとなって処理表面に向けられる。実際に、こうしたスプレー式ディスペンサーにおいては、ユーザーがポンプの仕組みを動かすため、ユーザーが動かすポンプ機構により生じるエネルギーでディスぺンサー本体に収容された組成物がスプレー式ディスペンサーのヘッド部分を通る。とりわけ、前記スプレー式ディスペンサーヘッド部分においては、組成物は例えば格子又は円錐体のような障害物に押し付けられ、これにより生じる衝撃により、液体組成物の霧状化、すなわち液滴形成が助長される。
【実施例】
【0117】
以下の実施例によりさらに本発明を説明する。列記した成分を列記した比率(特に指示がない限り重量%)で配合することにより組成物を製造する。以下の実施例は本発明に基づいた方法で使用される組成物を例示することを意味するが、必ずしも、本発明の範囲を限定あるいは制限するのに用いられるものではない。
【0118】
【表1】

【0119】
C9−11EO5は、ICI又はシェルから市販されているC9−11EO5非イオン界面活性剤である。
C12,14EO5は、ハルズ(Hulls)、A&W、又はヘキストから市販されているC12,14EO5非イオン界面活性剤である。
C11EO5は、C11EO5非イオン界面活性剤である。
C12,14EO21は、C12−14EO21非イオン界面活性剤である。
NaPSは、ハルズ(Hulls)又はヘキストから市販されているパラフィンスルホン酸ナトリウムである。
NaLASは、A&Wから市販されている直鎖状のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。
NaCSは、A&Wから市販されているクメンスルホン酸ナトリウムである。
イサルケム(Isalchem)(登録商標)ASは、エニケム(Enichem)から市販されているC12〜13サルフェート界面活性剤である。
C12−14AOは、C12−14アミンオキシド界面活性剤である。
C12−14ベタインは、C12−14ベタイン界面活性剤である。
スルホベタインは、ウィトコ(Witco)から市販されているC12,14スルホベタイン(レオテリック(Rewoteric)AM−CAS(登録商標))である。
C8SO3は、ウィトコ(Witco)から市販されているオクチルスルホネートである(ウィトコネート(Witconate)NAS−8(登録商標))。
C7−9SO4は、C7−9サルフェートである。
PSSは、ポリスチレンスルホネートポリマーである。
DMPEGは、ポリエチレングリコールジメチルエーテルである。
PVP K90(登録商標)は、ISP Corp.から市販されているビニルピロリドンホモポリマーである。
PVP−DMAEMは、ポリビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマーである。
HM−HECは、セチルヒドロエチルセルロースである。
イソフォル(Isofol)12(登録商標)は、コンデア(Condea)から市販されている2−ブチルオクタノールである。
イソフォル(Isofol)16(登録商標)は、コンデア(Condea)から市販されている2−へキシルデカノールである。
n−BPは、ダウケミカルから市販されているノルマルブトキシプロパノールである。
BDGEは、ユニオンカーバイド又はBASFから市販されているノルマルブチルジグリコールエーテルである。
エタノールは、コンデア(Condea)から市販されている。
IPAは、イソプロパノールである。
n−BPPは、ダウケミカルから市販されているブトキシプロポキシプロパノールである。
アキュゾール 425N(登録商標)は、ロームアンドハースから入手可能な、本明細書に使用されるアクリル酸マレイン酸(比80/20)ホスホン末端基コポリマーである。
【0120】
これらの液体組成物は、本明細書に開示される方法で用いられ、グリース及び油性の粒子状汚れ除去性能利益及び/又は水平面、傾斜面及び垂直面において、液体組成物がグリースに接触する時に機械的作用を用いないグリース又は油性の粒子状汚れ除去性能利益を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性液体組成物による硬質面のクリーニング方法であって、
傾斜しているか又は垂直である前記硬質面に、
(i)液体組成物全量の0.005重量%〜20重量%の、ビニルピロリドンホモポリマー(PVP)、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(DM−PEG)、ビニルピロリドン/ジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートコポリマー、ポリスチレンスルホネートポリマー(PSS)、ポリビニルピリジン−N−オキシド(PVNO)、ポリエチレングリコールビス(2−アミノプロピルエーテル)(DAP−PEG)、ポリビニルピロリドン/ビニルイミダゾルコポリマー(PVP−VI)、セチルヒドロキシエチルセルロース(HM−HEC)、ポリビニルピロリドン/ポリアクリル酸コポリマー(PVP−AA)、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー(PVP−VA)、ポリアクリル酸ポリマー又はポリアクリル酸−マレイン酸コポリマー、ホスホン末端基を有するポリアクリル酸ポリマー又はポリアクリル酸−マレイン酸コポリマー及びこれらの混合物から成る群から選択されるポリマー、及び
(ii)液体組成物全量の0.005重量%〜20重量%の硫酸化又はスルホン化陰イオン界面活性剤と、液体組成物全量の0.005重量%〜30重量%の、アミンオキシド界面活性剤、ベタイン界面活性剤、スルホベタイン界面活性剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される補助界面活性剤と、液体組成物全量の0.005重量%〜30重量%のスルホベタイン及び/又はアルコキシル化非イオン界面活性剤とを含む界面活性剤系
を含む前記液体組成物を噴霧する工程を含み、
傾斜しているか又は垂直である前記硬質面に機械的作用を加えない硬質面クリーニング方法。
【請求項2】
前記硬質面が、セラミック面、エナメル面、ステンレススチール面、クローム処理面又はフォーマイカ(Formica、登録商標)面である請求項1に記載の硬質面クリーニング方法。
【請求項3】
前記硫酸化又はスルホン化陰イオン界面活性剤が、アルキルサルフェート、アルキルアリールサルフェート、アルコキシル化アルキルサルフェート、アルキルスルホネート、アルキルアリールスルホネート、アルコキシル化アルキルスルホネート、C6〜C20のアルコキシル化アルキル直鎖状又は分枝鎖状のジフェニルオキシドジスルホネート、ナフタレンスルホネート及びこれらの混合物から成る群から選択される請求項1又は2に記載の硬質面クリーニング方法。
【請求項4】
前記アルコキシル化非イオン界面活性剤が、末端処理していないアルコキシル化非イオン界面活性剤、末端処理したアルコキシル化非イオン界面活性剤、及びこれらの混合物から成る群から選択される請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬質面クリーニング方法。
【請求項5】
前記液体組成物が、脂肪酸又はその混合物をさらに含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬質面クリーニング方法。
【請求項6】
前記液体組成物が、液体組成物全量の2重量%までの前記脂肪酸を含む請求項5に記載の硬質面クリーニング方法。
【請求項7】
前記液体組成物が、溶媒又はその混合物をさらに含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬質面クリーニング方法。
【請求項8】
前記液体組成物が、ビルダー又はその混合物をさらに含む請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬質面クリーニング方法。

【公開番号】特開2008−13767(P2008−13767A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176792(P2007−176792)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【分割の表示】特願2002−507968(P2002−507968)の分割
【原出願日】平成13年6月27日(2001.6.27)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】