説明

確実に駆動され、軌道を保つ平ベルトおよびコンベア

長さ全体に沿って柔軟で、山形の駆動機構と、外周上にらせん状の駆動面(37)を有する対応する駆動ドラム(14)とを有し、ベルト(12)を駆動させて軌道を保つ平坦なベルトコンベア(10)である。この平ベルトは、所望の長さのエンドレスベルトを形成すべく端部と端部が連結された、1またはそれ以上の長さの一連の柔軟なモジュール(42)、またはベルトセグメントを具えてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に動力駆動コンベアに関し、より具体的には、確実に駆動されるエンドレスの平坦なコンベアベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
低張力で、確実に駆動される平坦なコンベアベルトは、食品の搬送に特に有用である。このようなコンベアベルトの1つが、米国特許第7,210,573号に開示されている。このベルトは裏面に、ベルトの移動方向に対して直角にベルトの幅にわたって延在する、複数の等間隔の平行な歯を有する。スプロケットが歯と係合して、ベルトを駆動させる。しかし、何らかの方法でベルトが横方向に拘束されない限り、片側または反対側に逸れ、動かなくなるか側縁部を破損してしまうことがある。物理的な拘束部またはガイドは、ベルトが軌道に乗った状態を維持するのに役立つが、摩擦によって、ベルトを駆動させるために必要なモータの力の量やサイズを増加させてしまう。
【0003】
張力平ベルトと低張力で確実に駆動される平ベルトの双方が有する別の問題は、セグメントを互いに接合して、適切な長さのエンドレスベルトを形成するのが難しいという点である。ベルトセグメントを接合する従来の手段は、連続したセグメントを連結するために、連続したセグメントの対向する端部を融合させたり、ヒンジクリップ、すなわち回動ピンや把持部を有する金属要素を用いて連続したセグメントの対向する端部を押し込む手段を含む。両方を解決するのは面倒であり、多くの適用例で実施するには困難である。
【0004】
従って、確実に駆動する平ベルトの軌道および接合に関する問題を克服する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
これらの欠点は、本発明の特徴を具体化したコンベアベルトによって克服される。このようなコンベアベルトの一態様は、載荷側と、反対側の被動側とを具える。一定間隔で被動側から外側に延在している歯は一定間隔に配置された駆動受取面を形成しており、これらの駆動受取面はベルトの移動方向に対して斜めに向いた部分を有する。
【0006】
コンベアベルトの他の態様は、載荷側と反対側の被動側とを具える。被動側に形成される一定間隔に配置された駆動受取面は、一定間隔のストライプの山形に配置される。
【0007】
本発明の別の態様では、コンベアは、一定間隔の駆動受取面を含むコンベアベルトを具えており、これらの駆動受取面はベルトの移動方向に対して斜めに向いた部分を有する。ドラム駆動機構は、外周上にらせん状に配置された駆動面を有しており、これらの駆動面がコンベアベルトの駆動受取面と対応し、駆動受取面と係合することによりベルトを駆動させて軌道を保つ。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明のこれらの特徴および態様、ならびにその利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、および添付された図面を参照することによってさらに理解されるであろう。
【図1】図1は、平ベルトが山形の駆動装置を具える、本発明の特徴を具体化したコンベアの等角図である。
【図2】図2は、弾性のベルトモジュールで作られたベルトを具える、図1のようなコンベアの部分的に切断した等角図である。
【図3】図3A乃至図3Dは、図2のベルトを構成するために用いられる、一般的なベルトモジュールの等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特徴を具体化するコンベアの一態様を、図1に示している。コンベア10は、駆動ドラムまたはプーリ14とアイドラドラムまたはプーリ16との間に敷かれたエンドレスのコンベアベルト12を具えている。ベルトは、熱可塑性ポリマ、エラストマ、またはゴムといった弾性材料から作られており、その長さに沿ってフレキシブルである。メッシュ、繊維、または他の張力を支持する要素によって補強されてもよい。このベルトは、外側の載荷側18と反対の内側の被動側19とを有している。この載荷側は、ベルトの長さ全体に沿って連続的、すなわち継ぎ目がない載荷面20を規定することが好ましい。平坦な載荷面が図示されているが、フライトを提供する起伏部、またはベルトを通る排水または気流の通路を提供する穿孔を具えることもできる。このベルトは、成形または押し出し成形によって1またはそれ以上のセグメントに作られ、1またはそれ以上の接合端部22において溶接されてもよい。
【0010】
一連の歯24が一定間隔で被動側の外側に延在している。これらの歯は、隣り合う組26、27に分かれており(図2によりよく図示されている)、各組が山形のストライプを形成している。中心線30に沿ってベルトの長さに延在している間隙28が、各歯を中心線の反対側の鏡像から分離している。この間隙によって、ベルトは中心線周りに曲がり、例えば骨材などを運搬するトラフベルトを形成することが可能となる。一定間隔の長さ、すなわちベルトのピッチPは、ベルトの歯の厚さTよりも非常に大きい方が好ましい。
【0011】
山形の歯は、V型の駆動歯の組合せの後側に、直線の駆動受取面32を規定している。ベルトが駆動ドラムとアイドラドラムの周囲に巻き付くと、これらの歯はドラムの表面36に形成されたらせん溝部34に受け取られる。これらの溝部は、ドラムの表面の周囲に通常はベルトのピッチである弧長Pに間隔をあけて配置される。溝部の幅は、ベルトの歯の厚さよりも大きい方が好ましく、歯の厚さおよびベルトとドラムのピッチの間の変更を可能にする。駆動ドラムの溝部と接する駆動面37が、ベルトの歯の駆動受取面を押し、ベルトがベルトの移動方向38に進行する。駆動受取面はベルトの移動方向に対して斜めであるため、ドラムのらせん溝部との係合が固有の軌道をもたらし、ベルトが横方向に逸れるのを防ぐ。
【0012】
ベルトの他の態様が図2に示されている。この態様では、ベルト40は、一連の柔軟なベルトモジュール42で構成されている。各モジュールは、図3にも示すように、載荷面44から被動面45までの厚さに延在している。モジュールの各端部における接続端部46は隣接するモジュールの接続端部と交互に配置され、接続端部に並んだ開口部49に収容された接続ピン48によって互いに連結されている。接続ピンは頭部を有しても有さなくてもよく、ピンの保持構造で交互に配置された接続端部に、またはベルトモジュールの外側縁部に脱着可能に保持することができる。モジュール式のプラスチックコンベアベルトにおけるヒンジロッドに使用される種類の保持構造は、本発明の柔軟なベルトセグメントに対して適合性がある。破損したベルトセグメントは、破損したセグメントの端部の接続ピンを取り除き、破損したセグメントを新しいセグメントと交換し、接続ピンを再導入して新しいセグメントをベルトに連結することにより、簡単に交換することができる。ベルトの移動方向38に対して斜めの駆動受取面50は、モジュールの被動面に形成される。この例では、駆動受取面は、一定間隔の山形のストライプの模様に配置された歯52に形成されている。この例では、それぞれの山形のストライプは、山形の頂部である間隙にわたって分割されているが、代替的には、分割されていない歯52’に示すように、ベルトの中心線に沿って間隙がなく、連続していてもよい。モジュールの端部に最も近い歯は、接続端部で途切れた部分的なストライプ53、53’を形成している。駆動ドラムおよびアイドラドラム14、16の溝部34がV型の歯を受ける。
【0013】
図3A乃至図3Dに示すように、モジュールは、1ft、2ft、3ft、5ft、10ft、およびそれ以上に長くというように、異なる長さに成型されてもよく、これにより、接続ピンによって連結されたモジュールの長さの組み合わせから、任意の長さのベルトを構成することができる。
【0014】
本発明は、幾つかの好適な態様を参照して詳しく記載されてきたが、他の態様も可能である。例えば、図2のモジュール式平ベルトにおける代替例として図示された、分割されていない歯52’は、図1の連続的な平ベルトに形成することもできる。分割された歯は、中心線以外のレーンに沿った間隙によって、またはさらにトラフの性質を得るためにベルトの幅にわたって複数ある間隙によって、分割することができる。他の例として、山形模様は、片側の半分のストライプがベルトの長さに沿って反対側の半分のストライプに対して互い違いとなるように、中心線にわたってオフセットしてもよい。V型の山形のストライプを形成する代わりに、歯の模様は、一連の分割された、あるいは分割されていない、ベルトの幅にわたって延在する、斜めに配置された斜線を規定してもよい。駆動と軌道の双方を可能にする斜めの駆動受取面を提供している限り、これらの模様は図示のように直線である必要はない。そのため、これらの幾つかの実施例が示すように、特許請求の範囲は、詳しく記載された好適な態様に限定されることを意味するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアベルトであって:
載荷側と;
反対側の被動側と;
一定間隔で前記被動側から外側に延在し、前記ベルトの移動方向に対して斜めを向いた部分を有する一定間隔に配置された駆動受取面を形成する複数の歯とを具えることを特徴とするコンベアベルト。
【請求項2】
請求項1に記載のコンベアベルトにおいて、前記駆動受取面が、一定間隔のストライプによる山形模様に配置されることを特徴とするコンベアベルト。
【請求項3】
請求項2に記載の環状に配置されたコンベアベルトと、歯の山形模様と対応するらせん溝部を有する外面を具える駆動プーリとを具えるコンベアにおいて、前記歯を受けて、前記コンベアベルトを駆動させ軌道を保つことを特徴とするコンベア。
【請求項4】
請求項1に記載のコンベアベルトにおいて、前記歯がそれぞれ、前記駆動受取面における少なくとも1つの間隙で分割されていることを特徴とするコンベアベルト。
【請求項5】
請求項4に記載のコンベアベルトにおいて、前記間隙が、前記コンベアベルトの中心線にあることを特徴とするコンベアベルト。
【請求項6】
請求項1に記載のコンベアベルトにおいて、前記駆動受取面が、直線的であることを特徴とするコンベアベルト。
【請求項7】
請求項1に記載のコンベアベルトにおいて、前記ベルトの移動方向における一定間隔の長さが、前記歯の厚さよりも大きいことを特徴とするコンベアベルト。
【請求項8】
請求項1に記載のコンベアベルトが一連の柔軟なベルトモジュールを具え、当該ベルトモジュールは、各モジュールの対向する端部に沿って開口部を有する接続端部を具え、連続的なベルトモジュールの交互に配置された前記接続端部の並んだ前記開口部に収容される脱着可能な接続ピンによって端と端を連結されており、前記載荷側と前記被動側が前記ベルトモジュールの反対側であることを特徴とするコンベアベルト。
【請求項9】
請求項1に記載のコンベアベルトにおいて、前記コンベアベルトは長さ全体が柔軟であって、前記載荷側に連続的な載荷面を有することを特徴とするコンベアベルト。
【請求項10】
ベルトの移動方向に対して斜めの部分を有する、一定間隔に配置された複数の駆動受取面を具えるコンベアベルトと;
当該コンベアベルトの前記駆動受取面と対応する、らせん状に配置された駆動面を外周上に有し、前記駆動受取面と係合することによって前記ベルトを駆動させて軌道を保つドラム駆動機構とを具えることを特徴とするコンベア。
【請求項11】
請求項10に記載のコンベアにおいて、前記コンベアベルトが当該ベルトの裏面の外側に突出している歯を有し、前記駆動受取面を形成することを特徴とするコンベア。
【請求項12】
請求項10に記載のコンベアにおいて、前記駆動受取面が、前記ベルトの裏面に山形模様を形成することを特徴とするコンベア。
【請求項13】
請求項10に記載のコンベアにおいて、前記ドラム駆動機構が、らせん状に配置された前記駆動面が片側が隣接するらせん溝部を外周上に有することを特徴とするコンベア。
【請求項14】
載荷側と;
反対側の被動側と;
前記被動側に形成され、一定間隔のストライプによる山形模様に配置された、複数の一定間隔に配置された駆動受取面とを具えることを特徴とするコンベアベルト。
【請求項15】
請求項14に記載のコンベアベルトにおいて、前記駆動受取面が、前記コンベアベルトの前記被動側の外側に延在していることを特徴とするコンベアベルト。
【請求項16】
請求項14に記載のコンベアベルトにおいて、各駆動受取面の半分がそれぞれ、前記コンベアベルトの中心線について、他の半分と鏡像であることを特徴とするコンベアベルト。
【請求項17】
請求項14に記載のコンベアベルトが一連の柔軟なベルトモジュールを具え、当該ベルトモジュールは、各モジュールの対向する端部に沿って開口部を有する接続端部を具え、連続的なベルトモジュールの交互に配置された前記接続端部の並んだ前記開口部に収容される脱着可能な接続ピンによって端と端を連結されており、前記載荷側と前記被動側が前記ベルトモジュールの反対側であることを特徴とするコンベアベルト。
【請求項18】
請求項14に記載のコンベアベルトにおいて、前記コンベアベルトは長さ全体が柔軟であって、前記載荷側に連続的な載荷面を有することを特徴とするコンベアベルト。
【請求項19】
請求項14に記載のコンベアベルトにおいて、一定間隔に配置された前記駆動面がそれぞれ、前記ベルトの幅にわたって分割されていることを特徴とするコンベアベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【公表番号】特表2011−529427(P2011−529427A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521179(P2011−521179)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/050858
【国際公開番号】WO2010/014426
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(508181663)レイトラム,エル.エル.シー. (43)
【Fターム(参考)】